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羽生三七君 あんまり議論はしたくありませんが、武力で立ちはだかっておって、そして相手の国に平和を多く言わせようと思っても、なかなかむずかしいから私がいまのようなことを申し上げたのですが、それはとにかく、この日中問題の
解決に際して、
政府の重要
課題が台湾問題の処理のあり方、これにあることは言うまでもないと思います。それで今日
日本では、国内に台湾の蒋総統に対する恩義とか、あるいは道義の問題、そういう
立場から日中問題を論ぜられる方があります。私は、恩義は恩義として感謝していいと思います。しかし迷惑をかけたのは
中国本土の六億数千万の人民大衆に対してであるということは、これは忘れちゃいかぬと思います。だから問題は、これは恩義は恩義としても、同時にこの
中国本土に対する事実問題を事実問題として冷静に
認識する
外交上の理性だと思う。何か
政府の統一
見解というものを見ると、事実問題は事実問題として処理していくということを一応は言っておりますが、私の
立場から見れば決して十分ではない。だから恩義は恩義として感謝してもいいが、現に存在しておる事実に対する冷静な
外交上の理性である、その確立がいま要求されておる。ですから、そういう
立場でこの問題を見た場合、この今
国会でしばしば表明されたこの
中国との
国交回復、正常化は国連加盟が認められる時点、これは当然だろうと思う。こういう
政府の
考え方は、国連
中心主義を唱えておる
日本の
政府が、国連が何をきめても知らぬというはずはないから、国連がきめればそうするのは当然だろうと思う。その場合に、賛成か反対か棄権か、いろいろありますが、きょうはそういう具体的な答弁を求めようとは私は思いません。ただそういう場合に、
日本が、一部で心配されておるのは、
中国との賠償問題だろうと思う。これは先日新聞社の問いに答えて、
中国の趙安博氏が
見解を示しております。かなり好意的な
見解です。しかし私は、問題はそう簡単ではないと思う。問題の所在は、それが
日本にとって望ましい形で
解決されるかどうか、それをまた可能にする
条件は何か、こういう問題であります。それは私は国連総会で
日本がうしろ向きでなしに、積極的に前向きの姿勢で問題を処理することだと思う。これは何でもないことのようでありますが、非常に重要であります。そういう積極的な姿勢で取り組む、そういう姿勢が当面の日中問題の
解決だけではなく、長い将来にわたる日中の、いま申し上げた問題も含めて、多くの困難を
解決していく重要な
条件であるばかりでなしに、
アジアの多数の
国々と今後
日本が接触する場合に、非常な説得力を持つ、したがって、ただ単に国連の場できまったらおつき合い
外交、
日本がおつき合い
外交をやる、こういう姿勢では私はなかなか問題は
解決されないと思う。そういう
意味で私は、国連の場において
日本がどういう態度をとるか、いまここでそんな具体的な——どうせ答弁はわかっていますから、そんな十一月の総会のところまでは腹はきまっておりませんと、わかっておるけれ
ども、しかし姿勢だけは私は要求したい。賛成、反対、棄権、そのどちらか——そんなことは言いません。問題はそういう前向きの姿勢でのみ、いま申し上げた、
一つの例ですが、賠償問題が
日本にとって好ましい形で
解決する
条件にもなる、また近隣にも、近隣
外交ということを言われておりますが、いろいろな各種のトラブルが起っておるこの近隣
諸国を説得する場合の説得力が出てくる。そういうことはお
考えになりませんか。そういう
意味でも、より積極的に前向きの姿勢というものを私は求めたいと思います。いかがですか。