○大倉精一君 私は、日本社会党を代表し、あわせて野党各派の立場から、ただいま
政府から御
報告のありました
新潟地震の
災害の
対策に関し、
総理並びに
関係各
大臣の所信をお伺いをしたいと思うのでございます。
まず、冒頭にあたりまして、今次の
地震により、一瞬にして肉親を失い、家財をなくする等、痛ましい
犠牲になられた
方々に対しまして、さらにはまた、
災害地の地方公共団体に対しまして、日本社会党を代表し、さらに、野党各派の名において、深甚なる御同情と心からなるお見舞いのことばを申し上げる次第であります。同時に、一日も早く力強く立ち上がっていただくことを、心からお祈りを申し上げる次第でございます。(
拍手)
さて、ただいま御
報告がありましたとおりに、
新潟地震は、去る
昭和二十三年六月二十六日の福井地方の大
震災にまさる、戦後最大の規模でありまして、
赤澤自治大臣の御
報告のとおり、一瞬にして
通信連絡はとだえ、
交通は麻痺し、ために、
被害状況は知る由もない
状態でございまして、逐次その実情が判明するに従い、さらにまた、ただいま赤澤
大臣の御
報告にもありましたとおり、その
被害の広範かつ激甚なる惨状は、実に目をおおわしむるものがあるのであります。
政府はこの実情を直視して、当面すみやかなる人心の安定を回復することを第一義とすべきでありまして、この点は、赤澤
大臣も触れられましたことを、私は力強く思っておるのでありまするが、これがためには、この際、拙速をとうとぶ式の思い切った救済
措置をすみやかに講ずべきであると存じます。これなくしては、必然的に人心の不安と混乱を激化し、不測の事態を惹起することをおそれるものであります。
総理にお伺いする第一点は、従来ややもすれば、
災害対策に際し、「よく実情を
調査して判明次第」云々ということばが常用語でありましたが、今次の
対策にあたっては、もちろん綿密周到なる
調査の必要は言うまでもありませんが、それと並行して、直ちに拙速的の
対策を樹立し実施をすることが、絶対肝要であると思うのであります。まずもって、
総理の御所見をお伺いしたいと思っております。
次に、
政府はすでに
災害対策会議を持ち、
災害対策本部を設けられ、さらにまた、
赤澤自治大臣、
小林厚生大臣を
現地に
派遣されておりまするが、まことにけっこうではありまするが、私はこの際、
総理は、竿頭一歩を進められて、池田内閣が常日ごろ自慢しておられる、いわゆる一日内閣を、この非常事態にこそ、
現地においてお聞きになってはどうであろうかと存ずる次第でございます。
総理大臣、各閣僚諸君は、
現地のなまの息吹きの中に飛び込んでいけば、百聞一見にしかず、おのずから真剣になることは必定、早急なる総合
対策の樹立と人心安定のために、画期的な成果は期して待つべきものがあると信ずるものでありまするが、
総理の決意を促し、御所見をお伺いする次第であります。
次に、今次大
災害の救済復興は、容易ならぬ大仕事でありまするが、これが財政
措置等の万全を期するために、すでに今国会の会期を余すところ短こうございまするので、今国会の終了後引き続き、あるいは、すみやかに臨時国会の召集を予期すべきであると存ずるのでありまするが、
総理大臣はいかがお
考えでありましょうか、お伺いする次第であります。
次に、以下三点について、担当
大臣の請求をしておりませんから、
総理からお答えをいただきたいのであります。
第一に、
災害地における防疫の問題であります。
災害地において最もおそろしく、かつ、人心の不安動揺をもたらす最大のものは、悪疫の
発生流行であります。その原因要素はたくさんありましょうが、なかんずく水は、人間の生きる上において欠くことのできないものであると同時に、最もおそろしいものであります。赤灘
大臣の
報告にもありましたが、
現地においては、
災害地の常として、飲み水の不足は深刻であり、速急の
対策を必要とするのでありますが、反面、汚水による危険もまた深刻であることは、想像にかたくないところであります。
災害地における水の
対策は、一刻もちゅうちょすることができない重大な問題でありまするが、赤澤
大臣の
報告によれば、飲料水はとりあえずの
措置をやっておいでになるようでありまするが、
政府は防疫
対策について、特に水に対しまして、いかなる
対策を持ち、かつ指導を行なっておられるか、お伺いをしておきたいのであります。
次に、学校施設に対する
被害であります。いまだ
情報がつまびらかでありませんので、詳しくは判明はいたしませんが、現在わかっておりまする
状態から
判断しまするならば、相当ひどいものであると思うのであります。特に鶴岡における京田幼稚園におきましては、いたいけな
犠牲者を出しましたことは、何ともいじらしく、胸の痛む思いを禁じ得ないものがあります。私はこの際、
罹災学校施設に対しましては、特に早急なる
手当てを必要とすることはもちろんでありまするが、この際、老朽校舎に対しましては、これを機会に、抜本的な
措置を強く
要求するものでありまするが、
総理の御所見をこの際承っておきたいと思うのであります。
次に、この際、特にお伺いいたしたいのは、都市における引火性の強いガソリン、石油、ガスあるいは化学薬品等の貯蔵についてであります。鶴見における
昭和電工の爆発事故は、いまだなまなましい事件でありまするが、今次
災害の
中心地である
新潟市において、
石油タンク、ガス
タンク四万トンが燃え続け、しかも、まだとどまるところを知らないという
状況でありまするが、これらの貯蔵施設は、近来とみに、都市に増加しつつあるのであります。鶴見に続く今次の教訓が示すごとく、一たび、人災あるいは天災地変による不測の事態が
発生せんか、その及ぼすところの
被害、まさにりつ然たるものを覚えるのであります。特に
地震国である
わが国におきましては、これらの貯蔵に対しまして、ただに平常時における配慮のみならず、非常
災害の場合もあわせ
考慮し、この際、貯蔵施設の配置について再
検討すべきであると思うのでありまするが、御所見をお伺いしたいのであります。
次に、建設
大臣にお伺いをいたします。
まず第一番に、
被害地の住宅問題であります。先ほ
ども若干御答弁がありましたが、
応急措置として仮収容等の
措置はしておられると存じまするが、特に今次の
地震は、鉄筋の
建物すら傾いたというほどでありまするから、一般の住宅の
被害の激しさは、想像にかたくないところであります。かつてのアンカレッジの大
震災の際、応急にトレーラー・ハウスを総動員いたしまして住居を提供したがために、人心の安定に大いに役立ったと聞いておりまするが、
政府はこの際、公営住宅等、
災害地の庶民大衆の住宅建設に、従来のワクにとらわれることなく、
河野建設大臣の実行力をもってしまして、思い切った施策を行なうとともに、当面、
罹災者住宅の
応急措置につきましては、悪質業者による建築
資材等の不当な高騰を抑制する等、あらゆる手段を尽くして万全を期すべきであると思うのでありまするが、
大臣の御所見を伺っておきたいと思うのであります。
次にお伺いしたいことは、
新潟におきましては、新築落成したばかりの鉄筋のビルが倒れ、あるいは傾き、新しく架設した
昭和大橋がもろくも折損したということは、都市における近代建築に対しまして、一まつの疑惑なきを得ないのであります。いま、もし不幸にして、
東京に同
程度の
地震があった場合、ビル・ラッシュを誇る近代建築物による
被害の惨状は、いかなる
状態になるであろうか、
東京都民ひとしく一まつの不安と疑惑を禁じ得ないところがあるのであります。この際、
大臣から、所信のほどを明確にお示し願いたいのであります。
次に、運輸
大臣にお伺いいたします。
災害地における生活物資の
確保、人心の安定、さらには
災害復興の原動力は、
交通運輸の
確保にあると言っても過言ではないのでありますが、
現地においては
飛行場は使えず、港湾また使用ほとんど不能となり、鉄道軌道は寸断同様の惨状であります。
災害地
復旧はまずこれから始めなければならぬと思うのであります。運輸
大臣はこの重大なる使命を担当しておられるのでありまするが、ただいまの
大臣の御答弁によれば、何か積極的に具体性が欠けておると私は受け取っておりまするが、最高責任者として、具体的にいかなる方策をもって御推進されんとするものであるか、その方策をお示しを願いたいと思うのであります。
なお、この機会に、気象
関係についての
政府の施策について一言しておきたいと思います。元来、気象の仕事は非常に地味な部門であります。しかしながら、
災害国として名をなす
わが国としては、気象の仕事は非常に重大なる役割りを持つと言わなければなりません。たとえば
地震につきましても、強弱の差こそあれ、身体に感ずるものが大体毎日二回あると言われております。しかるに
政府の気象に関する関心は、何とその場の言いのがれをしようとも、きわめて冷淡である事実は否定できないのであります。今次の
地震におきましても、
地震計は飛んでしまって、ものの用に立たなくなっております。さらに一、二の例を申し上げますならば、気象観測に欠くことのできない観測用飛行機すら、かつて伊勢湾台風の際、岸首相はみずからその必要性を国会で証言しているにもかかわらず、いまもって自前のものは持たず、依然として
米軍に頼っているというのが現状であります。また、先般チリ津波
災害の際に、
衆議院本
会議におきまして、当時の岸
総理大臣は、速記録を見ると、こういうぐあいに申されております。「今回の事態にかんがみまして、気象庁の内容の整備に関しましては格段の
措置を講じていくよう十分努力をいたします。」と、答弁をされておりまするが、その後今日に至るまで、
政府がいわゆる格段の
措置を講ぜられた実績を私は知らないのであります。
政府はその後、いかなる格段の
措置を講ぜられたか。この際具体的にお示しを願いたいと思うのであります。同時に、
総理より、今後の気象行政に対する、うそのない所信を率直に御披瀝を願いたいのであります。
次に、
大蔵大臣にお伺いいたします。
まず、被災地における中小零細商工業者等に対する救済
対策であります。さなきだに、
政府の無慈悲な経済政策のために深刻なる不況に呻吟している中小零細商工業者が、突如として異常なる大
災害の追い打ちをかけられたのでありまするから、いまやまさに最悪瀕死の事態に立ち至っているということであります。
政府は、当面の救済策として、すみやかに長期低利によるところの特別融資をする等、先ほど
大蔵大臣から若干御答弁がありましたが、この際思い切った、てこ入れをすべきであると思うのでありまするが、重ねて
大蔵大臣の答弁をお願いする次第であります。
最後に、
罹災地の地方公共団体及び被災者に対する
対策であります。すでに
総理はじめ各
大臣に申し上げたごとく、今次の大
災害に対しましては、ただでさえ財政困難な地方自治団体が、その租税負担者が甚大な打撃を受けた、こういう
状態のもとにおいて、自力でもって
災害対策に当たるということは不可能に近いことであります。
政府は、すみやかに応急の財政的
措置をし、地方公共団体の行なう
災害対策を、積極的に指導督励すべきであると思うのでありますが、
総理大臣並びに
大蔵大臣はいかなる方策を持っておいでになるか。あるいはまた、
自治大臣も出席しておいででございますので、
要求大臣ではありませんが、ぜひとも御答弁をお願い申し上げる次第であります。
以上をもって私の
質問を終わる次第であります。(
拍手)
〔
国務大臣池田勇人君
登壇、
拍手〕