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米田勲君 私は、ただいま
議題になっております
法律案に関する
質問に入る前に、
委員長に対し強い
要望があります。
一つは、きょうの朝のテレビのニュースを見ますと、自由民主党は、本日の
法務委員会において、
社会党が何と言おうと
強行採決を行なう、こういう報道であります。しかし、この
法案のただいままでの
審査過程を
お互いに
考えてみますと、わが党の
稲葉議員が
最初質問を行ない、
公明会の
和泉議員が
質問を行なって、きょう私は初めて第三番目の
質問に入る指名を受けたわけであります。御
承知のように、
稲葉委員の
質問についても、まだ
相当究明をしておかなければならない問題を持っておることは御
承知のとおりであります、しかも、私もまた相当分量の
質問をあらかじめ
原稿にして、余分な
発言をすることによって時間をかけることをできるだけ避けようとして、たんねんに本日の
質疑をするために
原稿をまとめ上げたのであります。およそ要する時間も相当分量あると見込まれるのであります。なおまた、
委員長理事打合会では、本日は
亀田議員にも
発言の
機会を与えるということをきめておられるようでありますが、そうなりますと、この
法案の
質疑はまだ相当これから残っておる問題があると
考えるのが常識であります。会期は
あと十日になっておりますけれ
ども、
委員長においては、ぜひとも、
社会党の
質問を中断して多数の力でこの
法案の
問題点を究明する
機会を遮断をしてしまおうというようなそういう
委員会の
運営はなさらないように極力御
配慮をいただきたいと思うわけです。これが私の第一の
要望であります。
第二の
要望は、私もできるだけ端的に
自分の
見解、
立場を明らかにして
質問をしたいと思いますが、
政府当局の
答弁についても、私今日までの
法務委員会における
政府側答弁を見ますと、必ずしも妥当な
答弁が、しかも時間を節約した中で有効に行なわれておるとは
考えられない向きがございます。このようないわゆる政治的な
発言といいますか、事実を事実として肯定したくないといったような
傾向の
発言が繰り返されますと、私は中途でそのことをやめませんから、したがって、繰り返しの
質問が多くなってまいるわけです。したがって、
委員長は、
委員会の
運営をできるだけ円滑に前進させるために、
政府答弁のあり方についても逐次注意すべきものは注意してこの
委員会の
審査を精力的に進めてもらうように、この
二つを特に強く
要望しておきます。
そこで、私は、まず第一に、この
議題になっております
改正法案の
提案理由を読んでみますと、社会不安を惹起する
暴力犯罪に対し一そう強力かつ適切な
対策を講ずるために法の
改正がきわめて緊要だと
主張をしておるのであります。私もまた、
暴力犯罪、特に最近目に余る
組織的暴力団による
暴力犯罪を絶滅させることは、平和で民主的な
国民のための社会を築くために、そういう環境をつくるために、絶対になし遂げなければならない重要な条件だと思うのであります。だがしかし、そのために法の
改正が必要だと
主張する
政府のこの
主張には、直ちに賛成するわけにはまいらないのであります。
その私の
考え方を端的に申し上げるなら、第一に、
警察当局は、これは
法務省当局も含みますが、
現行法規のもとにおいて
暴力犯罪特に
組織的暴力犯罪の
防遏に対して、はたして今日まで
最善の
努力を払ってきたのであろうかという疑問なのであります。私は万全の
対策がとられていたと評価することのできない多くの事実を知っているからであります。
その第二の
理由は、そういう一面があるのに対して、反面、
警察当局は、
現行法規に基づく
職務権限を、
労働組合や
民主団体のいわば善良な
国民の
労働争議や
大衆行動の際に勃発的に起こった事件に対して必要以上に限度をこえて
警察の
職権を行使された事例が、今日までわれわれの手元でも相当多くの
資料を整備しておるのであります。つまり、
組織的暴力団の
暴力犯罪の防過に主たるねらいをもって定められた
現行法が、適切妥当な運用という面でなお多くの
検討と反省を必要とする実態であるからであります。
第三には、
警察並びに
司法当局は、
暴力犯罪、特に
組織的暴力犯罪の
防遏と絶滅に対する徹底した
信念と
気魄にいまだ欠けるところがあるという
批判を私は強く持つのであります。端的に申し上げるなら、
警察の
地方末端組織では
組織的暴力犯罪の
対策に実は手こずっているというのが
実情であります。あたかもはれものにでもさわるような
気持ち、わざわざ毛を吹いてきずを求めるようなことは極力避けたいというような、そういう
傾向が
現実の偽らざる姿だと私は見ておるのであります。もちろん、私がこれを
指摘しても、
政府当局のそれぞれの
答弁をいただけば、それは否定されるでありましょう。しかし、あなた方が幾ら否定しても、この
日本の各都道府県における私が今
指摘した問題は、
現実の姿としては何としても否定し切れないのであります。私は、謙虚に大胆率直にこの
現実にメスを入れることが
法改正の問題に先立ってまず必要だということを強く感じておるのであります。
第四は、
日応力犯罪の最近の
傾向、
暴力団の
性格とその失態に対応できるように
警察当局の機構とその
運営に思い切った改善が必要であると思われるのに、積極的にそのことが進められてはいないという事実であります。
これらの私が
指摘しました事柄について、ただいまから、どのような
自己批判と
見解を持っておられるのか、まず、
警察庁長官——国家公安委員長は十五分過ぎでないと
出席がないと申されますから、これは後ほどどなたかから
質問の内容を伝えてもらって
お答えを願い、
法務大臣にも
お答えをいただきたいと思うのであります。