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1964-06-10 第46回国会 参議院 法務委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十日(水曜日)    午前十時十七分開会   ―――――――――――――   委員異動  六月十日   辞任      補欠選任    鈴木 万平君  二木 謙吾君    坪山 徳弥君  久保 勘一君    大和 与一君  小宮市太郎君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     中山 福藏君    理事            後藤 義隆君            迫水 久常君            稲葉 誠一君            和泉  覚君    委員            久保 勘一君            栗原 祐幸君            鈴木 一司君            田中 啓一君            日高 広為君            二木 謙吾君            丸茂 重貞君            亀田 得治君            小宮市太郎君            中村 順造君            米田  勲君            岩間 正男君   国務大臣    法 務 大 臣 賀屋 興宣君   政府委員    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁刑事局長 日原 正雄君    法務省刑事局長 竹内 壽平君    法務省矯正局長 大沢 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○暴力行為等処罰に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)   ―――――――――――――
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。本日大和与一君、鈴木万平君、坪山徳弥君が辞任され、その補欠として小宮市太郎君、二木謙吾君、久保勘一君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。稲葉誠一君。
  4. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうは、最初警察庁長官にお尋ねしていって、それであとで法務大臣にいろいろお尋ねしたいと思います。  最初に、今度警察本部長会議を、これは全国のものだと思いますが、二十九、三十日に開くということを聞いたわけですが、これはあれですか、何か特別な目的を持って開くわけですか。
  5. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察本部長会議は、毎年春秋二回慣例として開いているものでございまして、今回もその一つでございます。三十日一日が全体の会議でございます。
  6. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは特別に、今度松山事件や何かがあったので、特に開くというわけではないわけですか。
  7. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そうではございません。前もって予定した日にちでございましす。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それではちょっと銃砲刀剣類等関係、これは今度の暴力法改正にも関係があるわけですが、それからお聞きをしていきたいと思います。  このピストルCRSピストルですか、これはどういうものなんですか。
  9. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) CRSという拳銃は、最近フィリピン等を主として密輸によって入っている拳銃の一定の種類を申しているようでありまするが、専門的なことについては、後刻取り扱いの課長参りまして必要ならば説明いたします。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 こまかいことはいいんですが、結局、何かこのピストル日本猟銃たまが使えるようになってできているんですか。これは普通のピストルたまを使うのではなくて、猟銃たまを使うために特につくったピストルだと言う人もあるんですが、その点はどうなんですか。
  11. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 二十二口径拳銃のようでありますが、これはそういう拳銃も他にもございますから、拳銃たまも使えますが、同時に、日本猟銃たまも使える。こういうことから、猟銃たまを使うためにそういう口径にしておるんじゃなかろうかという推定でございます。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、ここに資料としていただいた「昭和三十八年中銃砲刀剣類等所持取締法第三条等違反検挙状況」ですか、この中には入っているわけですか。
  13. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その中には、そういう区別はいたしておりませんけれども、当然入っております。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどこへどの程度入っておるわけですか。
  15. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 最初銃砲の中の拳銃検挙件数五百八十三というものの中に何丁入っておりますか、これも後刻申し上げますが、その中に入っておるわけでございます。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 後刻申し上げますでなくて、これはわかっておるんじゃないですか。新聞に出ているんだから。新聞に出ているのが違うと言うなら違うんでしょうけれども、新聞では百八丁というようなことを書いておりましたよ。
  17. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 後刻申し上げますというのは、私の手元に確実な数字がないということで、警察庁ではもちろんわかっております。その百八丁という数字は、ただいま係がいませんが、刑事局のほうで記憶しているところでは、ことし急にふえているということで、ことしになって、正月から四月まででそのくらいの数であろう。去年のうちには何丁かというのは、保安局がただいま参りますから、はっきりわかると思います。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この表の、たとえば拳銃検挙件数が五百八十三と、こうなっておって、物件数が四百三となっているように、この検挙件数物件数が違いますね。所持取締法違反所持が犯罪になっているわけですから、こういうふうに違うのは何かちょっとおかしいように感じるわけですが、何か理由があるわけですか。ちょっともう少し具体的にこの表を説明してくださいませんか。
  19. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 説明員をして説明さしてよろしゅうございますか、この数字中身について。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 中身というよりも、なぜこの検挙件数物件数とが違うのかということでいいですよ。だから、所持違反になっているのだから、そう違うのはおかしいじゃないかとちょっと考えるので聞いているわけです。中身中身で、また別に聞きます。
  21. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 検挙人員が五百八十三名で扱った物件数が四百三ということは、拳銃の一丁ないし二丁というものについて関係者が一人とか二人じゃなしに、それ以上の者が関係して検挙されるというような場合でございます。だんだん出所を探求していく途中において、最後に持っておった人間だけじゃなしに、それに売り渡した者、あるいはそのもとになった者というか、一つ拳銃について場合によっては三人検挙されるというようなことになるわけであります。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 検挙件数人員とが違うのはどういうわけですか。
  23. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 件数のほうが人員より多いわけでありますが、これは一人が拳銃を持ったり、あるいは不法に猟銃を持ったりというようなことで、一件じゃなしに二件、三件というような複数の件数をとっている、件数のとり方の問題であります。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなことはわかっているわけですね、これはもう常識で考えてそれに違いないのだから。こっちが聞いたら、その程度のことはすぐ答えるようにしていただかないと審議が停滞してしょうがないですね。これは委員長からもこの前言われたとおりで、資料を出されるときには、資料についてどういうことを聞かれるかは大体わかるわけです。そうむずかしいことを聞くわけじゃありませんから、その点よく準備していただきたいと、こう思うわけですが、それはいずれにいたしましても、そうすると、このCRSピストル日本に入っている。それがフィリピンから入っているということは、これはいつごろこういうふうなことがわかってきたのですか。
  25. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) フィリピンらしいということを推定できたのは、ことしに入ってからでございます。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、このCRS短銃が出てきた、そうして今度の松山事件でも使われているわけです。これはいま聞きますが、これがフィリピンから入ってきているということは、ことしになってわかった。そうすると、入ったことがいつごろわかったのか。それに対して警察庁としてはどういうふうな手を打ったわけですか。ことしといっても、いま六月ですからね。
  27. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) このCRS拳銃が去年あたりから出回り、ことに、ことし、わりに多く発見されているということで調べておりましたら、そのうち数件がフィリピン回り船員からあがったということがわかったのでございまして、現在フィリピンのほうに、向こうで製造しているかどうかというようなことを問い合わせ中でございますが、近くこちらからの係官を派遣して、よく打ち合わせをしたいというやさきであったわけでございます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、去年はこのCRS短銃というのはどのくらい出ているか、それはまだわからないのですか。どういうルートで入ってきたかということについての警察調べはどの程度になっていたのですか。船員からあがったというならば、その船員調べれば、ある程度のことはわかったと思うのですが。
  29. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) CRS拳銃につきましては、昨年度は全部で十六丁ぐらいであります。十六丁を一気にあげたのでなしに、もう陸にあがって使われているものというようなものから、一丁ずつ出所調べていったわけでありますが、はっきりした外国の出所まではよくわからないけれども、どうもフィリピン通いの船から一丁ないし二丁ずつ揚げられておったのではないかという想像が昨年はできておったのであります。ことしの三月になりまして、神戸でございましたか、神戸に入りました船から、これは現実に持っておったわけではありませんけれども、相当数の、八十丁ぐらいのこういう拳銃フィリピンから密輸されるという情報を得まして、それに基づきまして、全国に、四月にフィリピンからこういう型の拳銃がどうも日本に大量に密輸入されているらしいので、そういう含みでその拳銃について特別の捜査をするようにという指示を出して、今日に及んでおったわけであります。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今度の松山事件で、このCRS短銃、これは出てきたわけでしょう。その点はどうですか。
  31. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 今度押収しました松山関係の凶器の中に二丁、この種類のものが入っておりました。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その二丁は、まだ、どこからどういうふうにして入ってきたかということは調べてないわけですか。まだ日にちがないから、調べがついてないかもわかりませんね。
  33. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 現在追及中でございまして、まだわかっておりません。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ことしになって百八丁というのは、現実に入ってきて警察が押収したものという意味ですか。あるいは、入ってきたと伝えられるという意味ですか。
  35. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 現実に押収した数でございますが、これは入ったのは、あるいは昨年であるか一昨年であるか、これは含んでおりません。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、現実に押収したのの月別と場所と、どういうふうな組というか、会というか、そういうようなものから押収したかということはわかるわけですね。
  37. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 当然わかります。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは概要はいまわかりませんか。概要でいいですよ、こまかいことはまたあとでいいですけれども。
  39. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 具体のことについては、現在資料が参っておりませんので、わかりません。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、いまの具体的なことを、これは調べりゃわかりますから、あなたのほうで調べあとで答えていただきたいと思うんです。すぐ連絡すればいいわけでしょう。もうさっきも何か私が聞いたときに、保安局のほうへ連絡して答えるというのがありましたから、一緒に答えていただきたいと思うんです。そこで、フィリピンからそういうふうに入ってくるということで、四月に指示をしたと、こう言いましたね。どこへどういうふうに指示をしたのか、その結果はどうなったんですか。何かそれに対する効果というか、反応はあったわけですか。各県の警察本部指示をしたと、こういう意味ですかな。
  41. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろん、あと意味です。各県に指示をして、普通ならば、拳銃の型にかかわらず、どこからだれから出たかということを調べれば一応終わりでありますが、特にこの種の拳銃については、系統的に、継続的に、しかも大量に入っているという想像がつきまするので、特にこの分については気をつけた報告をしてもらいたい、こういう意味指示であります。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大量に継続的に入っているとすれば、大体入る所はさまっていますね。横浜とか神戸とか、あるいはそうでないいろんな所もあるでしょうし、横浜神戸じゃわかるからというのでほかから入るかもわかりませんけれども、その後における具体的なピストル密輸入に対する捜査というようなことは、どういうふうに行なわれたんですかな。これは警察だけでやるべきことじゃなくて、あるいは税関協力という問題もあると思うんですがね。そこら辺は、税関との打ち合わせとか、いろんな形のものはどういうふうに進めたんですか。
  43. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私は、ここで、どこにどういう連絡をしてどういう手を打ったかということについてつまびらかでございませんが、当然海上保安庁とかあるいは税関とか、上陸の場合に発見に協力し得るところには、現地現地において手を打っているものと考えております。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたのところへ連絡がないという意味は、各県本部へそういうふうな指示をしたけれども、各県本部からは、CRS短銃中心とした捜査についてどういうふうな手を打ったとか、結果がどうだったとか、こういうことの結果があがってこないと、こういう意味ですか。
  45. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私自身がまあここで答えているわけで、私自身に入ってないということでありまして、私の部局には、もちろん、御協力あったものについては入っているわけでございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま一番大きな問題になっておるのは、警察庁としては、ことに銃砲刀剣類の、これは松山事件その他、きのうは横浜でありましたが、この問題を中心として、法の改正の問題まで取り上げようということが一部に伝えられている。これは新聞紙上伝えられているわけですから。それで、きのう、銃砲刀剣類のこの関係資料をもらったわけですね。これはいまの暴力行為改正法にも関係することですから、資料をもらって、その資料について聞くわけですから、ここで、松山事件があった直後だから、CRSの問題が出てくることはこれはもうわかっていると思うんですがね。どうもそこまで準備されておられないとは  私のほうではそこまで詳しく準備してくれということを言わなかったわけですから、あれですけれども。そこで、いまの詳しい状況というのは、保安局長はわかるのですか、一番わかっているのは。
  47. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 数字その他について一番よくわかっているのは課長補佐でございますが、ただいま参りますのは、なるたけそれに近いという意味保安課長を呼んでおります。しかし、保安局長も私よりはもちろんわかっております。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは警察庁長官がこまかいことを知らないでもいいですよ、大局を知っていればいいのですけれども、ことにいま問題となって、この問題に関連してあなたのほうで法律改正までやりたいと言っておるんでしょう。こういうようなことを言っておるときには、この問題についてもう少しぼくはやってもらわないと困るんですが、保安課長が来てから、あなた、聞かれて答弁されてもいいんですが、しかし、この問題に関連をして、フィリピンには港が三つあるわけですね。北側からマニラ、セブと、南は何とかむずかしい名前の港があるわけです。セブの港からおもに来るらしい。セブの港のフィリピン人夫頭名前捜査線上に浮かんでおるのじゃないですか。これは新聞紙上に伝えるところですが、けさの朝日新聞ですか、これは毎日かな、出ていますがね、その点が。人夫頭名前まで出ていますよ。「レイモンド・オンパド(三十二、三歳)ら十数人が捜査線上に浮かんでいる。」。これはこのとおり浮かんでおるのかどうか、そこまでお聞きしません。これはまた捜査の秘密もありますから、はたしてこのとおりであるかどうか。あなたがここで答えるのは当を得ていないと思いますから、そういう点は聞きませんけれども、少なくともこういうようなことまで言われておるのですから、もう少し実態というものをつかんでおかないと非常に困ると思うのですが。そうするとあれですか、フィリピンへ係員を派遣するというのは、これはこの松山事件があったからそういうふうになったのですか。
  49. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあ、直接急いで行こうということになったのはそれでありますが、四月以来、地方にさえこのことについては十分気をつけて捜査するようにという指示をしておるわけでありますから、中央におきましても、だれかを出さなければならぬということを寄り寄り検討をしておったのは、松山事件とは別に、前からでございます。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 松山事件が直接の契機になったのは、これは常識的に考えられますが、それ以前にこういうふうなものを、ピストル類密輸入というか、この問題について警察庁当局が積極的に取り組むという姿勢があれば、もっと早くフィリピンなり何なりのほうと連絡をとるというか、こっちから出かけていくということが幾らでもできたんじゃないですか。どうしてそういうことをやらんのですか。何か事件が起こるとばたばたっとやりだす、おかしいじゃないですか。だから、後手後手に回っているということを言われる。しかし、実際こういうこと全体に対してどうも熱意が足りないのじゃないか、こういうふうに見られがちになるのじゃないですか。そうすると、これは正式に派遣することはきまったのですか、きまらないのですか。
  51. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察庁としては、昨日、派遣するということをきめました。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 フィリピンNBIといえば、これは警察組織ですか。何ですか、NBIというのは。
  53. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) フィリピン警察組織でありまして、ただ、各地の警察ということじゃなしに、アメリカでいうFBIに相当する組織のようであります。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのフィリピンNBIとの連絡というか、それはとれておるのですか、こっちからも。まだとっていない、これからとるというのですか。
  55. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 拳銃のことだけじゃなしに、麻薬その他についても、その組織とは常時こちらは連絡をとっております。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、常時とってるのはわかりますが、今度のCRS短銃密輸入というか、製造の問題に関連して、フィリピンNBIに対する連絡というか、要請というか、そういうふうなものはとってるかと、こう聞いてるんですよ、一般論でなくて。あるいはとってるとすれば、いつとったのかということです。
  57. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 拳銃のことについても連絡をとりました。ただ日にちははっきりしませんけれども、先月末か今月初めです。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで、連絡とってどうだったんですか、結果は。
  59. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 二回連絡をとっておりますが、一回は外務省を通じて連絡をとりましたが、それに対しましては十分協力をするという返事が参りました。二回目には、具体的の事件について、こういうことがあって、あなたのほうのどこそこが怪しいということを言うてやっての連絡でありまするが、これについてはまだ返事が来ておりません。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この短銃がどういうわけでフィリピンでつくられるんだとあなたはお考えでしょうかね。その点はどうでしょうか。
  61. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そういうことを調べたいということで係官を派遣するわけでございます。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 こまかいことは係官を派遣しなくちゃわからぬとしても、おおよそのことはあなたのほうでわかってるんじゃないですか。わかってなくちゃおかしいじゃないですか。なぜフィリピンでこういうようなものがつくられるんだろうかと、そんなことわからないですか、大体のことは。
  63. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 残念ながら、およそのことも――まあこれは想像というようなことならいろいろできますが、わからないというのが現在の結論でございますが、もう一つ考えられることは、フィリピン自身でつくってるのか、あるいはフィリピンのそこを一つ中継地にして、他の場所においてつくられてるのかということも、実のところ現在わかっていないわけでございます。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 詳しいことはもちろん行って調べなくちゃわからぬわけですが、じゃ、いまあなたのほうでこうだろうというふうにつかんでるものは何なんですか。その程度のものはあるんじゃないですか。その程度のものをまだ言えないわけかな。そんなことないでしょう。きのうテレビでやってたんじゃないかな。NHKのテレビでやってたでしょう。
  65. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 残念でありますが、同じ答えを繰り返す以外にない状態でございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、まあいまの段階であなたのほうとしてもまだ向こう行って調べなくちゃわからぬことですから、それをここで言えと言ってもあなたの立場もあるでしょうし、私は決してわからないことを言うつもりはありませんから、これ以上のことは聞きませんが、まあきのうのテレビでやってたのは、これは想像かもわかりませんけれども、あそこじゃ非常に安くて、五千円ぐらいでピストルがつくれるんだと、製造やなんかは禁止されてるんだけれども、あそこは非常に海賊が多いんだということで、海賊が盛んに出るんだと、それで船員がそれに備えるためにこれを持ってるんだ、こういうようなことをきのうテレビで言ってました。それがそのとおりかどうか、行って調べなきゃわかりませんが、それはそれとして、そこでぼくは一つの問題は、こうやってフィリピンに行って調べるというふうなことをなぜいままでやらなかったのかということが一つの問題だと思うんですよ。それと、こういうふうに行って調べることについての予算関係がどうなってるかということが一つ何かポイントになってるわけですね。これはどういうふうになってるんですか。
  67. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 実は今度の場合でも、警察庁ではきめました、と申し上げてるのはその点でございまして、やはり海外捜査というのは、一応いままでの警察予算としてはなかったわけです。海外にいろいろな会議があってそれに列席するとか、あるいは視察をするとかいうのは、幾ばくかのものはございますけれども、この間香港麻薬関係で人をやりましたのが、捜査関係で人が行った、おそらく私の記憶じゃ、初めだと思うくらいで、だから、今度フィリピンにやります場合も、何人やるかというようなことによっても違いましょうけれども、やはり予算関係するところとの了承は、いまからやらにやならぬという状態にあることは、御想像のとおりでございまして、私、当方としてはやりたいということをきめましたという段階であることを申し上げたわけであります。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、そういう予算上の制約があって、これはフィリピン捜査に行くとしてもなかなかできなかったのだ、とまでは言わぬにしても、そのためにおくれていると、こういうことは言えるわけですか。
  69. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) かりに日本警察のたてまえが、まあ、海外関係があるだろうということが幾らかで毛推測ができて、すぐ飛んで行ったほうがベターだという場合に行けるという仕組みになっていれば、おそらく、今度の場合はもっと早く行ったろうと思いまするが、私はしかし、金がなかったからいままでやらなかったということよりも、そういう一つ仕組みになっていないということで御了承願いたいと思います。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは私も前から疑問に思っていたのですよ。これはあとで聞こうと思っているのですがね。香港の例の麻薬捜査のときに、渡辺君、行ったでしょう。あのときのこともどうもおかしいと思ったことがあるのです。これはあとからお聞きしますが、いまの場合に、フィリピンに行くといっても、いまのそういう予算上の問題でおくれるわけですが、現実にはどういう経路をたどってどこの予算で行くわけですか。
  71. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは国家公務員を派遣します場合は警察庁自体の予算で行きまするし、地方公務員を派遣しまする場合はその地方の予算で行きますけれども、その外国旅費の中で行くのでございまして、今回の場合は、人数によっては、新たにそういう予算をもらわなければ行けないというようなことになるかと思います。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま、全体としてはそういう予算はどの程度組んであるわけですか。何か海外捜査予算はないような話に、前にちょっと聞いたのですがね、ぼくは。いまあなたの話だと、そういうものはあるにはあるのだというふうにも聞こえるし、ちょっとはっきりしない。
  73. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほど申し上げましたように、海外へ行って捜査をすることを前提にした旅費はございません。しかしながら、海外調査旅費というものは、四つか五つでございますか、世界的な警察関係会議がございますが、それに列席するための旅費というものは幾ばくかございます。それを追加してもらえば、こういうものも、まあ、調査と捜査とは違いますけれども、行けるというわけでございます。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今後こうやって暴力団の事件が大きくなるわけでしょう。その場合に、フィリピンにしろ、香港にしろ、あるいはその他のところにしろ、ことにそういう地区から入ってくるものは非常にあるわけだと考えられるわけですよ。そういうようなことに対する体制というものは、警察自身がやはりつくってないわけですよ。これは警察だけでつくろうたってなかなか無理かもわからぬけれども、つくっていないところに私は非常に問題がある。それだけ警察自身が暴力団の国際的に大きくなってくるのに対する根源をつくという意欲が欠けているのですよ。と、まあ、私は思うのですがね。どうもその点が足りないと思いますね。その点はどうですか。これはまあ、あなたの感想というか……。
  75. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあ、意欲において欠けるということはないと思いまするが、だんだん国際的な関連が日本の暴力に毛あるということがわかってまいりましたので、先ほど来申し上げたような方向で、将来は捜査関係にも時期を失せず人を派遣できるようなふうな予算を組まなければいかぬというような感じを持っておるわけです。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、調査と捜査とは違うわけです。片っ方は行政的な問題で、片っ方は司法的な問題ですから、それは違います。それは流用はできないと思います、やかましく言えば。いずれにしても、そういう海外捜査の費用というようなものについていままで要求したことはあるのですか。これは外務省か大蔵省かわかりませんが、要求したことはあるのですか。
  77. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 捜査と調査はもちろん違いますが、捜査にこの間香港にやったと言いましても、これは一つの常識的な俗語でございまして、向こうで権限による捜査をするということはできないわけでございます。まあ、調査――こちらの捜査資料を得るというか、役に立つような調査をやったというようなことにでも表現しなければならないようなものでございまして、将来とも国際警察機構の中で、日本警察が外国に行っても捜査ができるというようなことにでもならないと、捜査という名目そのものは立てにくいのじゃないかと思います。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 結論としては、海外捜査のそういう費用を要求したことはないと、こういうわけですか。ないならないでいいじゃないですか。
  79. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 海外捜査費として要求したことはございません。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは暴力団が国際的なつながりを持っておる――つながりということばは正確じゃないかもわかりませんが、そういうようなことがあるということは、警察庁としてはわからなかったわけですか。わかったのはいつごろですか、そうすると。
  81. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 国際的なつながりがあると、こう申しましても、暴力団の資金源の一部になるというアヘン――アヘンというか、ヘロインというような麻味というものが外国から来るという意味で、つながりというか、関連があるということでございます。  それから、今回の場合は、拳銃を押収してみますというと、大部分が外国製であるというようなことから、特定の外国ということはわかりませんけれども、外国との関係がある、こういうような意味合いでございまして、暴力団の上海の何々組がこちらの暴力団何々団と関係があるというような調子のつながりとは考えていない。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、いまあなたがあとで言われた上海の暴力団というのは、いまはあるはずがないのですから、そんなことを言うと中華人民共和国から非常なあれが出ると思います。  それは別として、麻薬のような場合に、麻薬をこちらに持ってきて資金源としておるということ、日本麻薬ができるということはないのですから、香港か、タイか、東南アジア、どこか知らぬけれども、そういうようなところから麻薬を持ってきて、そうして暴力団がこちらで資金源にしておるということは、警察庁としてはわかっていたのですか、わかっていないのですか。
  83. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 暴力団の資金源の一部になっておるということはもちろんわかっています。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、それはいつごろからわかっていたのですか。
  85. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは麻薬の取り締まりをやって挙げました際に、暴力団が関係しておるものが出れば、そのつどわかっておったのであります。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうようなことを聞いておるのじゃなくて、だからいつごろから麻薬が、たとえば香港にしろ、どこにしろ、日本に入って、日本で売られて、暴力団が売って資金源になっていたのでしょう。それはいつごろからわかっていたのですか。それをあなたのほうで、あとで質問が出るだろうと思って用心してかかるものだからかえっていかぬのですよ。
  87. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 麻薬密輸入に暴力団が多数関係しておるというようなことが、統計上――統計上というか、実際われわれの目に映りかけたのは一昨年ころからかと思います。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 一昨年ごろからあなたのほうにわかったわけですね。それはそれとして、調べてみたらば、実際にはいつごろから関係があったんですか。前から関係があったわけでしょう。それとは違うでしょう。あなたのほうにわかったのは一昨年だったけれども、その結果としてわかったのは、ずっと前から関係があったと言えるかもしれませんし、そこのところはどうなんですか。
  89. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろん、麻薬密輸入というのは、一昨年よりもっと前からあったんでございますけれども、その場合にあげた事件からしますというと、密輸入自身は暴力団に関係しておったかもわからぬけれども、それがわからずに、中国人その他をあげて、そのあげた後の密売にはちょこちょこ暴力団員が関係しておったのはおととしより前からでございます。しかし、暴力団員自身密輸入関係し、しかも、その密売についても関係が非常にはっきりしてきた、広くそういうことが行なわれるようになったというのは、おととしぐらいでございまして、そういう関係でございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 おととしでもいいけれども、おととしのいつごろ、どういうふうな経過からどういう暴力団が麻薬関係しているということがわかったんですか。それがはっきりしないと、問題は解明しないですよ。
  91. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 御承知のように、麻薬の取り締まりの強化というものをやりましたのは一昨年でございまして、そのときに全国的に麻薬捜査というものに力を入れてやりましたところ、その結果あらわれました違反の中で、七割ぐらいが暴力団であったということでございまして、その前はあまりつかまえていないもんですから、暴力団がやっておったのか、やっておらなかったのかということを言えないだけでございまして、前からもうそれはやっておったんだろうと想像されます。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 一昨年といっても、一月から十二月まであるんですが、まあ、そこまでこまかいことは聞きませんが、つかまえた七割ぐらいが暴力団が関係したということであれば、麻薬日本には普通はできない、こうなれば、いずれにしたって、香港なりどこなり、東南アジアから入ってきておるということはわかっているんですから、それ以後警察庁としてはどういう手を打ったかということでございまして、それが私は知りたいわけですよ。ほとんど積極的にやっていないわけでしょう。海外に、いま言った捜査費がないから行けないというわけで、麻薬なら麻薬の根源というものをちっともついてないわけじゃないですか。そこに問題があるんですよ。
  93. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 根源をつく――一番の根源はそれを密造するために栽培しているところが一番根源でございましょうが、そこまでいかぬにしても、私たちの観点では、日本に入っている麻薬の九割が香港だと思われる。で、香港についてはこの間みたいな特殊な事例がありまするけれども、いままで行かなかったというのは、先ほど来申し上げるように、直接にこちらの捜査権が及ばないということでございまして、香港警察とはもちろん連絡をとりまして、こちらに積み出しをするような場合には通報を受けるという仕組みになっておりまするし、また、私のほうからも外務省の身分ではございまするけれども、特にそういうことのために警察出身の外交官も駐在さしておるというようなとで、常時連絡のとれるようにはなっています。しかしながら、香港から九割も入っておりますが、香港に言わせると、自分のところからこれだけ出ているということがわかるなら、向こうのほうで押えるわけであって、まあ情報をあとから得たが、実はこの船で行ったんであるとかなんとかという教え方はできましょうけれども、そうじゃなしに、何月何日の船で自分のほうからどれだけの麻薬をお前のところの密輸入者が密輸入するのだとか、あるいは自分のところから密輸出をするのだとかいうような連絡は、なかなかこれはとりにくいのでございます。それからなお、香港に言わせますというと、つくるところはバンコクの山の中だというようなことになりますし、バンコクの係官に言わせると、インドの国境だというようなことになりまして、実は去年とおととし麻薬関係係官のセミナーを日本で続けてやったのであります。四十日ずつでございますが、参加国は十二九国参加しまして、いろいろ熱心にその係官は討議をいたします。しかし、どこで栽培されてどこでつくられて、どこからどこに運ばれるかというようなことをいろいろ検討しますけれども、そのために、まあ連絡がとれるといえばとれますが、どうも聞いておりますというと、結論は、よそでつくられてよそから入れられるというふうな結論になりまして、はっきりしないことが多うございますが、私たちとしては、やはりやり得ることは、どこから来ているかということを突き詰めれば、そこから密輸出してもらっちゃ困るじゃないかという要請もできまするけれども、やはり一番的確なのは、情報をつかんで、こちらにあがるところをつかまえるとか、あがったあとを分散されないうちに捕えるというようなのが一番いい方法でございまして、患者に、各人に行き渡ってから、多く使用されてから、その逆戻りに犯人をその後につかまえるという方法はありますけれども、そういうのはまあ使用されたあとでありますから、下の下だと思いますけれども、できるだけ大量に持っている業者の手の過程でつかまえたいというふうに努力をいたしております。  なお、麻薬の取り締まりについては、厚生省の麻薬取締官、あるいは海上保安庁等でも船の上ではこれをつかまえておるというような実情でございます。これらの官署があわせまして日本麻薬取り締まりの効果をあげているというか、ろ過弁としてやっていることのすべてでございます。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私は麻薬捜査が非常にむずかしいものだということはよく知っているわけですよ。ですから、捜査がむずかしいから警察としてどうこうということじゃなくて、それよりも、いま言ったように、一昨年麻薬の七割ぐらいが暴力団に関係しているのだ、全体の九割ぐらいが香港から出ているのだということがわかれば、その後のやり方によって、こちらの警察庁から香港に行っていろいろなことを頼むとか、そうして、そこに行って現実捜査はできなくても調査をするとか、いろいろな形のものはあるわけだと思うのですよ。そういうようなものを全然やっていないじゃないかということですよ。だから、結局、暴力団なら暴力団の根源の問題というものに対する積極的な取り組みがないじゃないかということを、だれが見てもそう思うじゃないかと、こういうのですがね。私はそう思うわけですよ。  そこで、じゃ、これは法務省のほうにちょっとお聞きしますけれども、法務省のほうでは、麻薬関係香港なり、それから東南アジアのほうに派遣したことがあるのじゃないですか、検事を。
  95. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 一回でございますが、これは捜査とか調査とかいうのではございませんで、たしかシンガポールであったと思いますが、東南アジアの麻薬関係の人たちが集まって会議をするというのがございまして、厚生省から係官が出られたわけですが、それに法務省からも一人検事を出させてもらいまして参加したことがございます。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいつごろですか。まあ、わからなければ大体でいいです。それはこちら、法務省として行ったのでしょうけれども、横浜地検の麻薬係の村上君ですか、あれが行ったのでしょう。それはいつごろでしたかね。
  97. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) はっきり記憶しませんが、三十五、六年ごろであったと思います。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのシンガポールの会議には、警察は行かなかったのですか。
  99. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 出席いたしておりません。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 話があまり麻薬ばかりのことではあれですけれども、本筋へ戻りますが、この前麻薬の犯罪が起きて、あれは淀橋ですかの、警察で、中村とかいう人がなくなりましたね。なくなった原因は別として、そのことに関連して、渡辺というあなたのほうの課長補佐ともう一人の人が香港へ行ったわけでしょう。行くときも、これは行くのがおくれたのじゃないですか。渡辺君の談話が出ているのを見ましたが、おくれて残念だということが出ていましたね。あのときはあれですか、あなたのほうとして、中村という人が自殺か何か知らぬが、死んだときと、それから渡辺君ともう一人の人が香港へ行かれたときまでの間、相当日にちがあったのじゃないですか。その間のいきさつはどうですか。
  101. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 中村何がしが死亡しましたのは、四月の二十七日でございます。渡辺警視正ほか一名が香港におもむきましたのは、五月の三日でございます。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私は渡辺君の談話というのを見たのですが、これは何かいろいろな事情か何かは知らぬが、おくれて非常に残念だった、もっと早く行きたかったということを言っていますが、もっと早く行けたのじゃないですか。
  103. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは先ほど来申し上げるように、外国との関連のある犯罪について、すぐにでも飛び立てるという日本警察のあり方というものを確立すれば、それは渡辺君が言うように、その日にでも飛び立つようなことにできると思いまするが、今回は初めてのことでもございまするし、大蔵省、外務省等と可及的に早い方法で了解を得て行ったつもりでございますので、これはもっと一日でも早ければ早いほどいいにきまっておりまするけれども、そうひどくおくれたものだとも考えておりません。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、やり方によってはもっと早く行けたわけですか。
  105. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) いや、今度の場合は一番早い方法をとってこれくらいかかったわけでありまするが、いまから、こういう場合は必要だからそれじゃすぐにでも行けるようにしようというたてまえをとれば、私はその日でも行けるようになると考えます。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、その日でも行けるようなたてまえというのは、具体的にどうやってとるのですか。
  107. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは、まず予算において一年じゅうの大体の見通しを立てて、そういうものの見通しを立てて、一々そういうことに大蔵省の了解を受けなくても手持ちの予算を使えるとか、あるいは、外務省のビザと申しますか、そういう旅券についても、そういう性質のものになっておれば、すぐ出るものだと考えます。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうな点も、改善しようと思えばあなたのほうで改善できるわけじゃないですか。これはさっぱりやらないのじゃないですか。さっぱりと言うと、あなたのほうでも憤慨するかもわからぬけれども、やれるところは、いまのような問題でも、麻薬の問題でも、ピストルの問題でも、フィリピンにしろ、それから香港にしろ、やって、もっと早くやれるというのに、そういうふうな機構がある機構が障害になっているからといって、その前に手をこまねいているという形じゃ困るのじゃないですか。もっと積極的にやるならやるということで、その根源に取り組むような形のものを警察庁自身でやるということをしっかりしなくちゃ、問題はちっとも解決しないじゃないですか。そういうふうになってくると、何と言うか、さっぱり消極的だというふうな印象を与えるのですね。ピストルの問題になりますが、いままで暴力団の手入れというようなものを何回くらいやったのですか、実際には。手入れというものにはいろいろありますけれども、定期的にやったというのはあるのですか。どういうふうな形でやっているのですか。その中でピストルが具体的に一体どのくらい発見されて押収されたのですか。
  109. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 暴力団が不法に所持しておりますピストルその他凶器類につきましては、事件の起こりましたつどやっておるわけでございます。具体的な数字になりますが、暴力団で検挙し押収いたしました凶器でございますが、昨年の統計から申しますと、凶器全体として五千八百八十五件になっております。そのうち拳銃が三百三十丁、それから拳銃以外の銃砲類が二百六十四件、日本刀が九百三十八件、あいくちが八百六十六件、あとその他が三千四百八十七件でございます。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは三十八年だけですか。ちょっと、三十六年の二月何日かに閣議決定がありましたね、十一日かに。その後におけるそうしたいわゆるピストルだとか、銃砲とか、そういうふうなものの押収状況はどうなっておるのですか。
  111. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) それでは三十六年から申し上げます。三十六年は総数が五千四百六十三件、うち拳銃が二百九件、それから、拳銃以外の銃砲類が二百六十二、日本刀が九百四十四、あいくちが六百八十二、その他が三千三百六十六でございます。三十七年が、総数が五千六百六十二件、そのうち拳銃が二百二十六件、拳銃以外の銃砲類が二百九十、日本刀が九百六十七、あいくち七百三十九、その他が三千四百四十、こういう数字でございます。三十八年は、先ほど申しましたとおりでございます。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、三十八年のピストルの押収状況と、ことしになってからの状況と比べるとどうなっておりますか、ことしはまだ上半期までは行きませんけれども。
  113. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) ことしになりましてこの数字はさらにふえております。一応、上半期になっておりませんので、いま持っております資料は、一月から四月までの押収数でございますが、昭和三十九年一月から四月まで、これが総数で千五百九十八、そのうち拳銃が百二十四、拳銃以外の銃砲が百六十二、日本刀が四百四、その他の刀剣類が九百八ということで、前の数字と比較いたしますと、その他の件が入っておりませんが、一応これを前年の同期――長年の一月から四月までと比較いたしまして、昨年が同じ数字で申しますと、拳銃が八十四、拳銃以外の銃砲が八十三、日本刀が二百六十五、その他の刀剣類が六百三十、計千六十二ということで、前年同期と比較して本年度の四月までの押収数から見ますと、拳銃で四十丁、拳銃以外の銃砲で七十九丁、日本刀が百三十九、その他の刀剣類が二百七十八、合計五百三十六件の増加を示しております。
  114. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのピストルが、いま言ったように、ことしになってからもそういうような形、去年がこのうち密輸入で入ってくるのはどの程度だということはわかりますか。
  115. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) いま手元にあります資料から申しますと、これはまた統計の日にちが変わりまして、昨年の十二月一日からことしの三月末までの統計で、押収拳銃二百九丁を押収しておりますが、はっきり密輸入というものが八十丁、しかし、 いろいろな種類別から見ますと、一番多い数になっております。
  116. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それらのピストルの密輸が非常に多いわけです。これはフィリピンから全部入ってくるわけでもないでしょうが、そういう密輸入の取り締まりの態勢はどうやっておるのですか。どこがどういうふうにやっておるのですか、密輸入の取り締まり態勢は。
  117. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 密輸ということを抽象的に全般的に言いますれば、税関も入りましょうが、私たちの系統としては、こういうものは保安局に主管さしております。
  118. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま、そうすると、これは押収されたものだけでしょう。それ以外でも相当あるわけだと思うのですけれども、あとは概算というか、確たる数字は出てこないと思うのですけれども、どの程度ピストルがあるかとかなんとかいうことはわからないですか。――はっきりした数字はわかりませんわね。大体わからぬですか。
  119. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 残念ながら、どのくらいということは確信を持ってお答えできませんが、係のほうで、推定というか、これぐらいじゃないかと推量しておるのは大体三千丁ぐらいじゃなかろうかと思っております。
  120. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この三千丁というのは、押収された以外に不法にあるというものですね。それがどこへどういうふうに大体行っておるかということはわからぬですか。ほとんどは暴力団へ行っておるわけですか。
  121. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 的確にどこにどうということであれば、もちろん捜査しなければならぬわけでございますが、これも想像として申し上げれば、暴力団がもちろん一番多かろうと思います。しかし、それ以外に、使わないけれども持っているというようなのが、従来の例からいっても多少ございますから、暴力団以外にもないわけじゃないと思います。
  122. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、そういうふうにピストルがこれだけあると非常に危険ですわね。これはどうしてこういうふうにあるのですかね。あなたはどういうふうに考えますか、これを。
  123. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 聞くところによりますというと、拳銃はもちろん使用するために暴力団等は持つわけでございましょうが、暴力団の勢力を誇示するという意味で、ジャの道はヘビといいますか、私たち自身はつかめなくても、連中にしますと、組員が何人あるということと並んで、ピストルが何丁勢力圏内にあるとか、あるいはライフルが幾らあるとか、あるいは日本刀は幾ら集まっておるというようなことが、その団体団体の勢力を比較するというか、お互いに張り合う場合の基礎になっておるということを聞きまするから、そういうところに一番多くピストルというものが隠されておるのであろうと、こう想像します。そのピストルの多くが、先ほど来申し上げるように、輸入によるものでありまするが、ただ、外国製の中でも、ときどき駐留軍等からの盗品として、あるいは場合によっては売り払う場合も悪いやつはありますが、そういうふうに、輸入しなくても日本で外国製のものが出回るということもありまするし、また、日本の国内で手製のものというものも多少ございます。それから、旧軍隊で、これはもちろん回収しなければならぬ性質のものでありまするけれども、回収されずに持っているとか、あるいは流れているとかいうような種類に分けられるかと思います。
  124. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それだけピストルがあるということがわかっていて、しかも、密輸であるということがわかっていても、あれですか、なかなかこれは取り締まりなり何なり、警察の力でこれをなくするとか、発見するとかはできないのですか。これは一〇〇%できるわけはないとしても、これはどうなんですかね。
  125. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 前段の、それだけわかっていてということでありますが、それだけ想像されておるということでございまして、的確に、だれがどこに隠し持っているということがわからない限りにおいては、こちらのほうは手が出ないわけでございます。
  126. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはそうですがね。そんなことはわかっている。  そこで、問題になってきますのは、いまあなたの言われた、ピストルが、密輸のものがあり、駐留軍から流れたものもあり、あるいは旧軍人のものもあり、あるいは拾得したものもあると、こう言われましたね。こういうようなものの実態的な調査をやったことが警察としてもあるのじゃないですか。大体出回っておるものなり、あるいは押収されたものがどこからどういうふうに入ってきたものかということの実態調査をやったことがあるでしょう。
  127. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほど申し上げた三千丁ぐらいが倍数としてあるのじゃないかというものはもちろんわかりませんが、押収しましたものについては、その点は調べてあります。
  128. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 押収したものはどこからどういうふうに入ってきたものだかということの調査は、具体的な調査の結果を知らせていただきたいのですよ。これは前にもやったことありますよ、前の国会で問題になっているのだから。
  129. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 例をあげますというと、昭和三十八年じゅうに押収しました銃砲刀剣類のうちで、拳銃だけについて例を申し上げます。先ほど申し上げましたように、拳銃の押収は四百三丁でございます。その中で、出所別に調べますというと、駐留軍関係から出たのが十一丁、輸入されたのが八丁、旧軍人関係が十三丁、それから自己所持――これはいろいろまた口を割ればいろいろなところまで分ければ分けられる性質のものでございまするけれども、言わないという、自分が持っていたというのが七十三丁、拾符、発見というのが五丁、手製が三十五丁、その他百七十一丁という、これも自分がだれから買ったということを言いまするけれども、その点調べてみてはっきりしない。この百七十一丁と、自己所持の七十三丁、それから、最後の出所不明というのが八十七丁ありますが、これは本人が初めからもう黙否するというか、言わない、こちらで調べてもわからないという性質のものでありまして、大部分について出所がわからぬわけでありまするが、一応わかっただけの内訳を申し上げますというと、以上のような割合になっております。
  130. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この駐留軍から出てくるピストルは近ごろは減ってきたんでしょうけれども、前はだいぶありましたね。これに対して警察から駐留軍に対していろいろな申し入れをしたことがあるのじゃないのですか。
  131. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 駐留軍から出たということがわかりました場合は、そのつど申し入れをしております。
  132. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうじゃなくて、そのつどじゃなくて、公文書でちゃんと申し入れをしたことがあるのじゃないのですか。
  133. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 全国的に一般的な申し入れとしてやりましたのは、三十五年に警察庁から向こうの憲兵司令官に、もっと厳重に取り扱うようにということ、及びそれに関係した軍人、軍属等についてはおのおのその規則に定められたとおりの制裁をするというようなことを内容とした申し入れをしております。
  134. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは「在日米軍司令官に対して、「武器管理の厳重化と武器所持の申し入れについて」という形で公文書を出していますね。これはいまきょうのに関係ありませんからこの点はあれしまして、およそピストルはいま言ったような形で相当あるわけですが、これに対する備えもあまり万全ではないようですが、猟銃の問題ですね、今度の松山事件では猟銃は使われたのですか。この点はどうなんですか。
  135. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 猟銃は使われております。
  136. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その猟銃は、現在はどういうふうな場合に持てるのですか。
  137. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 銃砲刀剣類等所持取締法の第五条で、「都道府県公安委員会は、前条の」云々という許可の願い出をする者について、「次の各号の一に該当する場合においては、許可をしてはならない。」というので、許可をしない者を列記しまして、それ以外はまあ許可をしなければならぬということでございますから、わりに簡単に持てるということになっているわけでございます。許可をしないのは、一つは、「十八歳に満たない者」、もっとも空気銃の場合はもう少し年が下がりますが、「十八歳に満たない者」、二は、「精神病者、麻薬若しくは大麻の中毒者又は心神耗弱者」、三は、一住居の定まらない者」、四は、「第十一条の規定により許可を取り消された日から起算して三年を経過していない者」、これはこの銃刀法の違反を犯して三年たっていないという者でございます。そのほか第五は、「第三条第一項の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、」云々。要するに、銃砲等を持っていることによる違反を犯した者、それから、最後に粗暴犯の前歴者等をさしておりますが、「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」、こういう者については許可をしないという例外をつけて、あとは持ってもいいというようなことになっているのであります。
  138. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、松山事件で使われた猟銃は、これはだれがどういうふうにして許可を受けたものですか。
  139. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) いままでの調べでは全部不法所持でございまして、許可を受けておりません。
  140. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 猟銃は許可を受けない者でもどんどん製造できるわけですか。製造はどうなっているのですか。製造して販売するのはどうやっているのですか。
  141. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 製造販売の面は私のほうに関係があるといえばありますけれども、所管しておりません。武器等製造法によるものでございまして、第三章第十七条に「製造の許可」というものがございまして、これは業者が都道府県知事の許可を受けるようになっております。それから販売につきましては、「猟銃等の販売の事業を行おうとする者は、店舗ごとに、その販売する猟銃等の種類を定めて、都道府県知事の許可を受けなければならない。」ということでございまして、これはつくったり、売ったりということについては、公安の立場はほとんど入っていないように考えられます。
  142. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、各県の知事は、その県で猟銃がどの程度できてどの程度売られているかということはつかんでいないわけですか。各県の知事といったって、どこで取り扱うのかはっきりしないのですが。公安委員会ノー・タッチですか、その点は。
  143. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 通商産業大臣の系統で商工課でやっております。
  144. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、通商産業大臣が許可権を知事に委任しているのですか。
  145. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そのとおりでございます。
  146. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、製造業者が何丁製造するかということはこれはそこまでの許可を得るのですか。あるいは、製造したものは何丁製造したということで番号でも打ってあるのですか。そういうところどうなっているのですか。
  147. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 何丁つくるという制限はないそうでありますが、種類の許可はございまして、それでつくったものについての報告は商工課のほうで受けるようになっておりまするから、どういう種類の銃が何丁つくられたということは、県の商工課ではもちろんわかります。それから、銃にはすべて番号がつくようになっているそうでございます。
  148. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それを製造業者がつくって販売店におろす場合はどうやるのですか。販売店のほうで何か台帳でもあるのですか。
  149. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 販売店には台帳がございます。
  150. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その台帳の管轄はやはり知事であり商工課だと、こういうわけで、公安委員会はタッチしないということですか。
  151. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そのとおりでございます。
  152. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、製造業者が、許可を得た以上によけいつくっても、実際にはなかなかわからぬわけですか。そこまで調べないわけですね、知事のほうとしても。
  153. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それはその監督官庁のほうで常時それを調べ、在庫その他調べることによってわかり得る場合もございまするけれども、わからない場合も、故意につくればあり得ると思います。
  154. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、公安委員会は、しかし、その猟銃所持することについては許可をする権限を持っているわけですね。そうすると、いままで特に問題となった第五条の第一項の六号ですね。「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」に対しては、これは所持を許可しちゃいかぬわけですね。こういうふうなことで不許可になったことがあるのですか、猟銃の場合。
  155. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろん、ございます。
  156. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もちろんありますって、だいぶあれですけれども、具体的にはどうですか。
  157. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろんありますと言いましても、もちろんありますが、数は去年の例に照らしますというと、八十件ほどございます。
  158. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 八十件ほど不許可があるといっても、これは聞き方が悪かったのかもしらぬですが、全体として申請があったのは何件ぐらいで、何件が許可になって、何件が不許可になったのですか。不許可になった理由はどういう理由ですか。私の言っているのは六号ですよ。六号に関連しての不許可はどの程度あるかということが問題だと思うのです。
  159. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 三十八年の例を申し上げますと、猟銃については、許可をいたしましたのが四十六万一千九百八十七でございます。これはその年だけじゃなしに、ずっと毎年許可をしてまいりましたものの累計が三十八年末にはそうなっているという数字でございまして、一年をとればどれくらいになりますかわかりませんが、十年平均にしましても、まあ四万件ぐらいのものは許可しているのじゃないかと思います。それから、不許可処分のほかに、不許可処分は、これは六号の該当者でございますが、その以外に、県によりましては、不許可ということよりも、お前は許可願いを出しても許可できないということで、それじゃ申請出しませんという取り下げをさした数がそれよりも多いのでございまして、約不許可処分の倍ぐらいの数は、本人から取り下げを、申請は一ぺんしてきましたけれども、取り下げということで、不許可という処分になっておりません。これが先ほど申し上げました八十件の約倍百七十六件――じゃない、もうちょっと多いですね。二百三十件くらいになりますか、まあそういうことで、以上であります。
  160. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あまり追及するのもあれですけれども、そのいま言った、ちょっとよくわからないので、四十六万幾らというのは、これは更新も含むのですか。よくわからぬのですけれども、一年ごとかなんか更新するのですか。それじゃあれを、前の年と今度のやつと比べれば、新しい年のあれが出てくるのじゃないですか、許可数が。それじゃ、いま言った八十件の不許可処分の理由はどうなんですか。
  161. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 不許可処分の八十件は、すべて六号該当でございます。
  162. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いま言った六号の八十件というのは、あなたがさつき言われた粗暴犯等の前歴がある者の場合に不許可なんだと、こういうふうに言われた。そうすると、この不許可基準は何か規則なり通達なり、そういうようなものによってきまっているのですか。何かありますか。
  163. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 一応はこちらのほうから基準を示しております。こちらというのは、中央のほうから各公安委員会に。
  164. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうぽつりぽつりと答えないで、その基準を示しているんなら、その基準について聞くわけですから、基準はどうなのか、ついでに答えてくれませんかな。あまりぽつりぽつりだと、こちらも気勢をそがれてしまう。
  165. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 従来から、もちろんこの解釈というか方針については、公安委員会に対し中央から基準を示して出しておりましたが、さらに最近の世情にかんがみまして、この五月の二十八日に保安課としてつくっている案は、もう少しこの六号のほうを広くというか、従来よりも少し、持たせない範囲を広くしようというような考え方で案をつくっております。従来出しておりまする基準を読んでみますというと、許可の基準として「旧令による許可」、これはこの法律の改正前の許可でありますが、「旧令による許可は、公安委員会の自由裁量によるものであるが、新憲法の国民の自由権の尊重の精神に照らして、本会においては許可の基準を明定した。従って、公安委員会は、許可申請者が本条の欠格条件に該当しない限り許可を与えなければならないものと解する。」ということで、この前の改正のときに自由裁量を覇束裁量のほうにむしろ移しかえたのでございます。「又、本条各号の事実の有無の認定は、公安委員会の事実認定行為であるから、何らかの方法において公安委員会が当該事実の存否について心証を得ることによって足りるものと解する。」、「本条各号は危険予防の観点より規定されたものであるから、刑法上の絶対的又は相対的刑事責任無能力者は許可を受けることができないこととした。」、これは一号の説明であります。それから、「二、第五号は、許可の申請前三年以内に第二条の違反即ち不法所持で罰金以上の刑に処せられた者をいう。「刑に処せられた」とは、「罪を犯し」とは異り、罪を犯し且つその罪について確定判決を受けたことをいう。従って許可申請前三年以内に罰金以上の刑罰について確定判決を受けた者をいう。許可の申請前三年以内に確定判決を受けたが執行猶予に処せられ、その猶予期間を満了したものは刑の言渡の効力を失うことになるから、本号の「刑に処せられた者」に該当しないことになる。大赦、特赦の場合及び刑の免除の言渡を受けた者が、その言渡確定したる後罰金以上の刑に処せられることなく二年を経過したる場合についても、有罪の言渡の効力を失うので「刑に処せられた者」に該当しなくなる。三、第六号は、殺人、強盗、傷害、恐喝等の犯罪を犯し、再犯の疑いのある者、許可の申請前三年以内に不法所持の罪を犯したが、未だ申請時には確定判決を受けていない者、又は犯罪の経歴はないが現に人の生命若しくは財産又は公共の安全を害する虞れのある者を欠格者としたのである。「疑うに足りる相当の理由」とは、単にその理由の存在すると思料することが主観的なものではなく、或る程度の客観性が要求せられるのである。」ということで、従来まで基準をいたしておるわけでございます。しかし、このことを受けて現実に府県の公安委員会で許可不許可をきめておりまするのは、多少の程度の差があるようでございまするから、今回いろいろな問い合わせもございまするので、現在の暴力団その他の所持状況にかんがみまして、もう少し――もう少しといっても、羈束裁量でございますから、そう自由にやれるというものでございませんが、実情に合うところまで基準というか標準というようなものをはっきりさせていきたいということで作業をしておるわけでございます。
  166. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大体のことはわかりましたが、そうすると、私が聞いているのは、やはり第五条の第一項の第六号が一番問題だと思うわけですが、これは五号のほうはわりあいに内容がはっきりしているんですが、これでいいかどうかは別として、六号のほうはいろいろ解釈その他運用で問題が起こるところですから、そうすると、いまの八十件の不許可処分というのは、全部いわゆる大体暴力団の構成メンバーが猟銃を持ちたいと言って申請してきたんだ、それに対する不許可をしたんだと、こういうふうに承ってよろしいですか。必ずしもそうは言えないのだということですか。
  167. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 暴力団としてとらえているものをはっきり言いますというと、八十名のうちの二十九名、「その他」というので五十一名ございますが、「その他」というものは暴力団という形じゃない。まあ個人個人の暴力的な性格を持っておるものだ。こういうふうに思います。
  168. 米田勲

    ○米田勲君 委員長、関連質問。
  169. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  170. 米田勲

    ○米田勲君 警察庁にお尋ねいたしますが、昨年末に警察庁が発表した暴力団の数、五千何がし、人員十八万何がしのこのメンバーが申請をした場合には、所持を許可するという方針でいままできておったのか、許可しないという方針できたのか、それを明確にしてください。
  171. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 現在までは、どういう団体に入っている、その影響下にあるというようなことを許可不許可の基準にいたしておりませんので、その申請してくる個人の性格というものがこの六号に当たるかどうかという判断でやっておったわけでございます。
  172. 米田勲

    ○米田勲君 ちょっともう一問、関連質問。  いま、示達といいますか通達の内容を、もっと明確に具体化させるために検討中だという先ほどの答弁がありましたが、その新たに出される通達ないし指示内容には、先ほど私が聞きました、警察庁がすでに暴力団体と認定をしている五千何百団体並びに十八万何がしの暴力団員と個人個人を大体リストに載せている、そのメンバーがかりに所持の申請をした場合には許可すべきであるという指導方針に立つか、許可すべきでないという指導方針に立つか、それとも別な立場で検討するような、そういう指導をする考えか、その点をもう一度明確にしてください。
  173. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 現在検討しておりまするその示達の内容というものは、精神としてはそういう者には許可したくないという気持ちはございます。しかしながら、法律を現在いじっておりませんので、現在の法律に書いてあることを読んでいって、そういうものに属する者だから即不許可ということができるかどうかということについては、なお検討を要するということで、組に入っている者だったら、何ら前科もない、そういう性癖もないという者でも不許可にするということは、なかなか現行法のもとでは困難でなかろうかということで、法律自体をこの次はまあいじらなければいかぬのじゃなかろうかという方向で検討しているというのが現状でございます。
  174. 中村順造

    ○中村順造君 委員長、関連して。
  175. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 中村君。
  176. 中村順造

    ○中村順造君 先ほど来の論議の中で、関連してお尋ねしますが、ここへ出されておる資料の中で、猟銃のことですね。検挙件数が九百三十二件となっていますが、これはどうですか。検挙件数となっていますが、これは犯罪からこういうふうな件数が出ておるわけですか。いわば犯罪につながってこういう件数となっているのかどうか。その点はどうなんですか。
  177. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 広い意味では全部犯罪につながると。猟銃を不許可で持っておるというそのことが犯罪になりますから、ここにあがっているのは全部犯罪になりますが、おっしゃる意味は、他の何らかの犯罪につながってそういうものが出てきたかどうかという意味であろうと思いまするが、そういう場合もあるし、ほかの犯罪を犯さないけれども、持っちゃいけない者が不許可で持っておったというものもこれは含んでおります。
  178. 中村順造

    ○中村順造君 その点は、広い意味の犯罪だと言われる。そうすると、先ほど言われた八十件の不許可ですね。これは法律からくる八十件、それから、そのほか二百三十件と言われたが、この合計はこの九百三十二件の中に入るのですか。それとも、全部申請をして――私の聞きたいのは、申請したが不許可になったということは、申請するということは、すでに持っているわけでしょう。持っているから申請するわけでしょう。たてまえとしては、猟銃を持っているから許可の申請をするわけでしょう。それから、それをまあ不許可になるのは、六号の八十件と、それから、申請をしてもお前には許可しないぞというのが二百三十件あると、こうお話しされたのですが、これもやはり前提としては、持っているわけでしょう。いわゆる猟銃を持っているから申請をする。あるいは申請のときに猟銃の番号だとか形だとかいうものを、みんなそんなものを申請するわけでしょうから、当然その実物を持ってから申請をする。それが不許可になる、あるいは申請をしても許可しないという前提で、三百五十件ですか、これは当然押収をされなければならない。まああるいは不許可になったから、許可にならないからというので、よそに売るということも考えられるが、おおむねよそに売るという場合よりか、自分が持っておる。この場合は全部それは押収されなければならぬわけですね、三百十件というのは。そうすると、この九百三十二件、この中で三百十件というものはそういう意味で押収をした数、この関連はどうなるのですか。
  179. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 昭和三十八年中に押収しました猟銃九百三十二件というものと、それから昭和三十八年中に不許可ないしは申請取り下げをさせました三百数件との関係は全然ございませんので、いまの御質問の前提になっているその許可を受けようとする者は、鉄砲を持っていて、この鉄砲を持つことを許可してくれというような許可の申請をするのじゃなしに、鉄砲は許可を得てから手に入れるというたてまえのものでございまして、持っていないわけです。だから、しいて言えば、九百三十二件の中に、許可をしなかった、にもかかわらずどこからか手に入れて持っておったという者が、あるいはそれは一件か二件入っているかもわかりませんけれども、一応観念としては別でございまして、私たとのほうでは入っていないのじゃないかという感じでございます。
  180. 中村順造

    ○中村順造君 これでやめますが、私の考え方が前提が違っておったからということで、猟銃のその申請するときには、実物なしで申請するのですか、たてまえは。わかりました。
  181. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もう時間が昼過ぎておりますから、要点だけにしますが、私がなぜこういうことを聞くかというと、これはいま出ている暴力行為改正案に毛関係することだし、それから、今度のたとえば六月九日の朝日新聞を見てみても、「暴力団凶器入手は思いのまま」、「ピストル密輸入で」、「猟銃日本刀は法に盲点」という形で問題が提起されているわけです。特にその中では、いま言った猟銃では六号の「「人の生命や財産、公共の安全を害するおそれがあると認めるに足る相当な理由があるもの」も持たせてはいけないという一条があるが、この条項を暴力団のメンバーにまで広げて解釈出来るかどうか当局は自信がない。」、こう書いてあるのですよね。「当局は自信がない。」と書いてあるのだから、あなたのほうで自信があるのかないのかお聞きしているわけですけれども、   〔委員長退席、理事迫水久常君着席〕 結局それは暴力団のメンバーだというふうなことだけでは、これはこの六号に当てはまらないということになるわけですか。ここがはっきりしないのですがね。不許可の場合には、こういうふうに暴力団に入っているメンバーだからといって不許可にするわけにはいかないのだということですか。それよりもっと厳格ないろいろな条件がなくちゃいけないのだと、こういう意味ですか。
  182. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その前の意味でございまして、暴力団というものを特定するというか、われわれはリストにはもちろん載せておりますが、これは暴力団というレッテルを張って営業しているものじゃないものまで、何々組という普通の仕事を――かりに土建とか港湾荷役とか、いろいろありましょうが、普通の仕事をしている一つの団体で、その構成員の多くが暴力をふるうという意味で暴力団として私たちは把握をしておりまするけれども、これに猟銃を許可する場合に、その組員の中でも実におとなしい、何も従来やったこともない、普通の仕事をやっておるだけだという者もそれはあり得るわけでございまして、そういう者を排除できるかどうかということについてはその自信がないと、まあなお検討せないかぬということなんです。
  183. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのほうとしては、暴力団というのは現実にあることは認めるのだ、だけれども、これが暴力団だという指定はできないのだと、こういうことですか。そうしてこれで指定して解散しろとかいうようなことはできない、こういうことなんですか。
  184. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私はそう思います。
  185. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこら辺は非常にむずかしい議論があると思いますが、これはまた別の議論になると思うのですが、そうすると、いまあなたの言われた六号のところのいまの通達がちょっとはっきりわからなかったのですが、殺人、強盗、恐喝、あと何でしたか、罪名があがっているのは。
  186. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 罪名であがっているのは恐喝まででございます。殺人、強盗、傷害、恐喝等の犯罪を犯し、再犯の疑いがある者というしぼりをかけております。
  187. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのあとまだ文句があったのじゃないでしょうか。何か欠格者とか……。
  188. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 「再犯の疑いのある者、許可の申請前三年以内に不法所持の罪を犯したが、米だ申請時には確定判決を受けていない者、又は犯罪の経歴はないが現に人の生命若しくは財産又は公共の安全を害する虞れのある者を欠格者としたのである。」、こういうのであります。
  189. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは公安委員会で許可するのですが、警察が事務代行しているわけですね。そうでしょう。警察はどこですか。防犯課でやるわけですか。
  190. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 小さなところじゃもちろん系統は防犯課でございますが、公安委員自身県本部のほうでやっているところもありますし、場合によっては署に代行させるところもあるようであります。
  191. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いまのその猟銃が不法に流れているというふうに推定されるのは、大ざっぱに言ってどの程度でしょうか。あなたのほうではピストルは三千丁ぐらいと言いましたね。いまの猟銃で不法に出ているのはどの程度に推定するのですか。これは推定ですから大ざっぱなことしかできませんが。
  192. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これもほんとうの推定で、私と係との意見が違うくらいですから、申し上げるのもどうかと思いますが、まあそうたいして多くはなかろう、ピストル以下じゃないか、不法に持っているのは、ということでございます。
  193. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 推定だから、あなた方の中で意見が違ったって、ぼくはそれ以上のことは言わないです。それはしようがないです。それはこっちだってわかります。猟銃ピストル以下だということも大体常識ですよ。それはそういうふうになるわけですが、そこでさらに問題になってくるのは、ピストルを持っていても、猟銃を持っていても、空気銃を持っていても、無許可で持っている場合は、罰則が同じなんですか。
  194. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) おっしゃるとおりであります。
  195. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 やけに答えが簡単になってきたのですが、法律はどこですか。
  196. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 銃砲刀剣類等所持取締法の第五章罰則第三十一条でございます。読み上げますと、「次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」、「一 第三条第一項の規定に違反した者」、「二 偽りの方法により第四条若しくは第六条の規定による許可又は第十四条の規定による登録を受けた者」ということで、同じでございます。
  197. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それを、ピストルの場合と、猟銃なり日本刀、空気銃の場合なりと不法所持の場合の罰則を変えたいという考え方をいま警察庁で持っているわけですか。あるいは、いや、これは領域が非常に広いのですが、その範囲内でまかなえるという考え方を持っているのですか。そこら辺のところがいろいろあるように伝えられるものですからお聞きするわけですが、まだそこまでいってないというならいってないでもいいです。
  198. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私たちが法律改正の検討をいたしておりまする段階におきましては、やはりこれを同じ罰にしておくのは均衡を失する、ピストルやライフル等についてはもっと罰則を引き上げるべきだという方向で検討いたしております。
  199. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは空気銃と一緒だということはおかしなことだけれども、これは法定刑の範囲が広いからそとでまかなえるという考え方だと思いますが、いまあなたのほうで言われたのは、そのことはそのこととして別になるわけですが、そうすると、日本刀の場合は、これはいまどういうふうになっているのですか。何か登録ということになっているのですか。
  200. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 日本刀の場合が実は一番数も多く、また取り扱いも簡単でございますので、結果において困るわけですが、これは文化財保護委員会の系統に登録を申請して、登録さえ受ければ、これはだれが持っておっても、その持っておるということだけでは罪にならないということになります。
  201. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 文化財保護委員会というのは、各府県の教育委員会が事務を代行するのでしょう。登録だけですか。これは条文はどこでしたっけ……。
  202. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 法律は、銃砲刀剣数等所持取締法の中にございまして、第三章に「火なわ式銃砲又は刀剣類の登録」という項がございまして、(登録)第十四条「文化財保護委員会は、美術品もしくは骨とう品として価値のある火なわ式銃砲又は美術品として価値のある刀剣類の登録をするものとする。」という規定がございます。
  203. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは登録だから、持っていることは禁止ではないわけですね。許可のほうは禁止の解除だけれども、登録だから、元来日本刀はみんな持てるのだという前提ですね。
  204. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) この条件に合うものでありますれば、だれでも持てるということになります。
  205. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 持てることが前提になるわけですな。いまの猟銃やなんかとは逆になるわけですね、法律のたてまえから言うと。
  206. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そうでございます。
  207. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、これは「美術品として価値のある」ということが前提なんじゃないですか。いま暴力団が持ってる日本刀なんて美術品として価値のあるものじゃないでしょう。こういう形でどんどん登録されればどこへどういうふうに渡っちゃってもかまわないんですか。ここがどうもはっきりしないですね。
  208. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあ、文化財保護委員会が美術品として価値があるとして登録をしてるものでありますから、私はそれが価値のないものだと言うのにちょっとはばかりまするけれども、同じく価値があっても、だれが持っててもかまわない、どこにあるかわからぬという状態が困るんで、それは何とか――許す許さないということは別として、その所在ぐらいは常に知っておくような手続をとるべきだと、こういうふうに考えまして、この法律の改正の場合には、文部省等とも意見が一致しますれば何とか手入れをしたい、こう考えます。
  209. 米田勲

    ○米田勲君 委員長
  210. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  211. 米田勲

    ○米田勲君 ちょっと関連質問いたしますがね。従来の暴力犯罰の際に、特に暴力団等の家宅捜索をした際に、相当数の刀剣類が押収されているわけでしょう。ところが、現行法によると、いまの質疑応答の中でも明らかなように、警察庁としては、これまでに直接犯罪防止のための予備的な行動をとることがほとんど不可能な条件に置かれている。しかし、実際暴力団はこの刀剣を使って相当暴力行為をやっている、殺傷をしている。こういう事実にかんがみて、警察庁としてか、これは法務省としても考えなければならぬですが、単に文化財保護委員会にこの刀剣の問題を登録申請をした者に対して云々するというにとどまらないで、もっと積極的に刀剣の所持についても、これは公安上これが何らかの処置によって規制されるというような必要があるように常識的には感ずるわけです。その点は現在のところ検討を加えておられるでしょうか、どうか。
  212. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その点は全くお説のような気持ちで、この法律を改正する場合には、その点も一つの骨子として取り上げたいということで、いままでも文部省等とは数回両方の合同の検討をいたしている段階でございます。
  213. 迫水久常

    ○理事(迫水久常君) それでは、の午前中の質疑は一応この程度にとどめまして、暫時休憩いたします。    午後零時二十四分休憩    ――――・――――    午後一時四十四分開会
  214. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 委員会を再開いたします。  休懇前に引き続き、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。
  215. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 午前中からの続きがあって警察庁長官に先に聞きますが、結局、銃砲刀剣類取締法の関係で、暴力団のほうにこれらのものが渡らないように、それらの者によって使われないようにという形でこの法律そのものがいままで変わってきたのがあるわけですか、そういう目的で何か変わったのがありますか。
  216. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律を昭和三十七年、法律第七十二号によって改正をされておりまするが、刃渡り五・五センチメートル以下の飛び出しナイフも規制の対象にするというようなことや、あいくちに類似する刃物の携帯禁止を、刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯禁止に改めたというようなこと、こういうことは直接にその暴力団そのものに刃物を持たせないというねらいであったと言うのは言い過ぎであろうかと思いまするが、そういうものも一部の目標として三十七年の改任をやっております。
  217. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力団に銃砲刀剣類の渡らないように、渡った場合にそれを処罰したり、事故の起きるのを未然に防止するという形で法律の改正があったのじゃないですか。飛び出しナイフやなんかじゃなくて。それを聞いておるわけですよ。ちょっと聞き方が悪かったかもしれませんが。
  218. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 同じ法律の第五条に三項を加えまして、「都道府県公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者に第一項第六号に該当する同居の親族(配偶者については、婚姻の居出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)がある場合において、その同居の親族が当該許可の申請に係る銃砲又は刀剣類を使用して他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認められる者であるときは、許可をしないことができる。」と、したがいまして、従来はまあ本人だけにかかっておった条件を、同居の親族、そういう銃砲刀剣類が容易にその本人の手に入りいいような者に対しても許可しないことができるというような改正をやっておるのは、その一つのねらいであろうと思います。
  219. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ねらいは別として、もう一つないですか、重要な改正が。
  220. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もう一つは第四章の雑則で、第二十一条の二といたしまして、業者が銃砲刀剣類を売る場合に、第七条第一項の許可証を提示した場合でなければ売っちゃいけないという項を入れまして、やはりいかがわしい者には売っちゃいけないという項目を入れているのが、御指摘の一つかと思います。
  221. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは質問のしかたが悪かったというか、あるいは私のほうで少し質問のテクニックを乱用したというか、あれですけれども、私の聞いているのは、第十条の問題なんですよ。第十条で許可なり登録を受けた者であっても銃砲刀剣類を携帯したり運搬してはいけないのだ、こういう形で十条の規定があるのじゃないですか。これが暴力団に渡らないようにということで規制されたのじゃないですか。そのことを聞いているわけですよ。これは一番大事なんじゃないですか。
  222. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これはその改正しました時期が、ただいま申し上げましたものよりもっと早く、昭和三十三年の改正で、十条がおっしゃるような意味のことを改正として入れましたのは、まさに別府事件の事例にかんがみて入れたそうでございます。
  223. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これはあれですか、銃砲なり刀剣というものが、たとえば刀剣のような場合は登録だけで済むのだ、だからそれをそれ以外、登録のときの用途以外に使った場合には処罰をするということだと思うのですが、それはどうやって認定するのですかな。前に問題になった日本刀の場合ですね、日本刀は美術品として登録してあるわけでしょう。それを運んだというだけで処罰されるわけですか。それを美術品以外の目的で運べば処罰になるのだ、こういうことになるのですかね。そこはどうやって認定するのですか、美術品以外の目的で運んでいるとかなんとかいうときのことは。
  224. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) おっしゃるように、登録した刀剣については、単にまあ美術品でありますから、自分のところに置くとか博覧会に出すとかというだけじゃなしに、その美術品を保存するに相当な形態であれば、あるいは刀屋にとがせにやるとか、あるいは鑑定を詳しい人に頼みに持って行く途中であるとかいう場合は、用途による所持、携帯ということになりますけれども、それ以外に、登録した刀剣といえども、いまからけんか、出入りに使いに持っていく途中であるというようなものであれば、これにかかるわけであります。
  225. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはよくわかりました。  そうすると、この十条は最高裁で判決があって、結局、所持する目的のいかんによっては所持罪として処罰する旨の規定は存在しないのである。たとえば人を殺傷するものであっても、かかる所持が殺傷に関する罪を構成する場合ありゃいなやは別として、該刀剣の所持自体を違法視することはできない、こういう判決が昭和三十二年に下ったが、これに関連をして第十条の改正があったはずですが、そうすると、それ以後に第十条の援用でこの所持、帯用についての制限ですが、これで暴力団が処罰されたとか何かしたということは相当あるのですか、こまかいことはいいのですが、どの程度あるのですか。
  226. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいま御指摘になりました事例は、昭和三十八年中におきまして二十七件、人員にして二十八名、その刀の数にして二十六という数字になっております。
  227. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 すると、日本刀の場合は、日本刀の登録のしかたに不備というか、考え方によっては欠陥があるのだ、それを補うために十条のような規定をもって補充しているといいますか、法の間隙を埋めようとしていると、こう考えられると思うのですが、いまの日本刀の場合の登録というのは、だれが持っておるという登録でなくて、その刀自身、つまり物の登録という形をとっておるのですか、そこのところはどうなんですか。
  228. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) もちろん登録を申請する人は名前を出すわけでございますけれども、自分がこれを持っておりたいとかどうとかいうことは要件にはございません。刀そのものの値打ちを十四条で文化財保護委員会が認定するわけでございます。
  229. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、日本刀にしろ、猟銃にしろ、あるいはピストルにしろ、あれですか、貸した人は処罰されないのですか。ピストルの場合はちょっと違うような感じを受けるのですがね。正規に登録を受けておる、あるいは許可を得ておるというものを人に貸してもいいですか。目的いかんによると思いますが、目的を分けてですね。そこはどうなっておりますか。
  230. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 許可を受くべき銃砲刀剣について、許可を受けない者が持っておれば、これは持っている者自身が犯罪になることはもちろんでございますが、それを貸した者ということになりますというと、その不法所持自身に対して、情を知っていると言いますか、共犯関係にならない限りは罪にはならないのであります。
  231. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 はっきりしませんけれども、ピストルにしろ、日本刀にしろ、猟銃にしろ、正式に許可を得て持っていますね。それを他人に貸してもかまわぬわけですか、どんどんどんどん。そこはどうなっておるのですか。
  232. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ピストルについてはまあ原則として普通は持てないのですから、本人が貸すと言っても、貸す人間自身が持つことが違法でございましょうが、ただ正規に持ち得る私たちがだれかに貸したというような場合であれば、持ち得ない者に貸したのでありまするから、当然情を知るわけでございまするから、一種の共犯関係に立つものだと思います。また、刀剣類は、主としてこれは登録だけの問題が多うございまする日本刀なんかまあそうでございまするが、そういう場合は、登録証と一緒に借りて持っておればその者自身も罪にならない。それで登録証を持たずに刀だけを借りているというようなことになれば、当然登録証を受けて持っていないと罪であるということを知っておるはずの貸し主でございまするから、これもピストルと同様なあるいは関係になるのではなかろうかと思いまするが、これは個々具体の事件について判断しないというと、全部、借りた者が罪になる場合は貸した者も一緒になるというふうには規定されておりません。
  233. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっとはっきりしないのですが、そうすると、銃砲所持取締法で、日本刀なり銃砲を他人に貸した場合のことは規定してありますか。
  234. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 第十七条がその一部であろうかと思いまするが、「登録を受けた銃砲又は刀剣類を譲り受け、若しくは相続し、又はこれらの貸付若しくは保管の委託をした者は、委員会規則で定める手続により、すみやかにその旨を文化財保護委員会に届け出なければならない。貸付又は保管の委託をしなくなった場合においても、また同様とする。」ということでございまするから、こういう手続をしませんと、この手続違反になるわけでございます。
  235. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの条文は罰則はどうなっていますか。
  236. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 第三十三条でございまして、「第十七条第一項の規定により届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。」ということになっております。
  237. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 十七条はあれですか、貸したほうと借りたほうと、両方の規定ですか。
  238. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その届け出の義務は貸したほうにありますから、この場合の罰は貸したほうにかかると思います。
  239. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 登録を受けた銃砲または刀剣類を譲り受けた者をとも読めるんじゃないですか。
  240. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいまの御質問はその「又は」以下の御質問のようでございましたから答えましたが、その前のほうは、もちろん譲り受けた者または相続した者が届け出をしなければやはり同じあれになります。ただ、借りた者というものはここに書いてございませんから、借りたほうはこの罰則の対象にならないということを申し上げたのであります。
  241. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、暴力団などが日本刀などを登録する場合には、これはあれですか、だれの名義でやってもそこまで詳しく調べないわけですか。その刀自身が美術品と認められるかどうかということを調べるだけで、最初に登録する人がだれかということは要件にならないわけですか。
  242. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 美術的な価値のあるものとして登録する刀剣については、人的な要件はございません。
  243. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたのところの警察庁保安局保安課の西川清次という人と加山文男という人が書いた本ですが、それを見ると、刀剣の場合はそういう形なんだから、気違いなんかでも刀剣を持つことができるのだということが書いてありますね。いまの法律はそういうことになるのですか。
  244. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 現在の法律では、そうなっておるわけです。
  245. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうような法律のあり方で、あなたのほうとしては疑問を持たなかったわけですか。
  246. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) いまになれば――いまにならなくても、つくったときから観念的にはそうであったと思いまするが、文部省との共管案として第十四条をつくっておりまして、従来の日本の刀剣の取り扱いの経過が、おそらく人を問わない、刀剣の美術的価値に着目した規定としてつくっておるのでございまして、現在となれば、こういう刀剣もよく犯罪に使われますから、何らかの規制をしたいというのが私たちの考え方です。
  247. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本刀でほんとうに美術品として、骨とう品としてというか、そういう価値のもので登録を受けているものと、形はそうだけれども、実際にはそういう以外の目的に使われたりなんかしているもの等を、これはいまはっきりわかりませんけれども、大ざっぱに言うと、どうなんですか、比率は。大ざっぱでいいですよ、そんなこまかいことはわからないのがほんとうでしょうから。大ざっぱに言うと、半々くらいですか。七、三くらいかな。
  248. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは刀剣に対する趣味の問題、刀剣に対する価値を認める、認めないの問題で相当違うと思いまするが、私たちの考えじゃ、半分なんかないと思います。現在九十万本くらいのものが届け出を申請すればほとんど無制限に申請を受け付けられているという状態でありますから、ほんとうの意味の美術品として扱われました時期、これはアメリカ軍が進駐してきた当時、ほとんど引き揚げたわけでございまするが、そういうものは残されたものはごくわずかでございましたから、それだけが美術品だとは私申しませんけれども、その後相当ふえておりまするのは、まあ新しい刀でございますから、どの辺までを美術品として認めるべきかということは、これは専門家の意見で違うと思いますが、私たちはそんな九十万の半分なんかというものだとは考えません。
  249. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何かちょっとわかったと言えばわかるようなんですが、九十万振りというのですか、本というのかわからないが、それが現在あるというのですか。その中のほんとうの意味で美術品として使われているのはどの程度あると警察のほうではお考えなんですか。大ざっぱでいいのです。あなたのお考えでもいいし。
  250. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私は私の考えでさっきから申しているのですが、とても半分なんか、ほんとうの意味の美術品として使われているものとは思いません。ごくわずかだと思います。
  251. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、美術品というのだから、大体古くからのものが美術品と普通考えられていいんじゃないかと思いますが、必ずしもそうでないかもわからんけれども、そうすると、いま九十万本のうちに美術品というのは半分もないのだ、半分以下なんだ、あとは何に使われていると考えているわけですか。
  252. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私の考えを言えというお話ですから、私はごくわずかしがなかろうと申し上げたわけでございますが、この権威づけられているのは文化財保護委員会でございまするから、九十万本登録を受けつけてそのままにしているところを見ますというと、やはり九十万について、その権威と言いますか、その係の方は美術品だと認めているわけでございます。
  253. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 文部省の文化財保護委員会が全部管轄しているというわけですか。
  254. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 中央におきましては、文部省の文化財保護委員会でございますが、これを受けまして、実際上の事務は都道府県の教育委員会で事務をとっておるようでございます。
  255. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本刀が非常に出回っているということの法制的なひとつの基盤というか何というか、そういうようなものはだんだんわかってきたわけですが、いま言ったような文化財保護委員会がそういうふうな取り扱いをしておるという行き方、これに対して警察のほうではどういうふうにしたいと考えておるわけですか。まだそこまで検討してないわけですか。
  256. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 根本的には、これは刀屋さんにはおこられるかもしれませんけれども、美術品ないしは骨とう品ということでありますから、まじめな意味で、そういう、ただ自分が刀を持ってるのが好きだという程度のことじゃなしに、やはり美術的な価値があるとか骨とう的な価値があるということに厳密な審査の対象を限れば、数も減ってくると思いますが、その点について、私たち権限がございませんから申し上げませんけれども、その次に、現在の規定では、第四号に、「文化財保護委員会は、第一項の規定による登録をした場合においては、すみやかにその旨を登録を受けた銃砲又は刀剣類の所有者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に通知しなければならない。」という一項がございます。これは明らかに、だれがそういう刀を持ってるかということを、治安保持の面から警察が知っておきたいという意味で書いた文章でございますけれども、先ほど来申し上げるように、その移転というようなことになってくると、これはだれが持っていてもいいと、その場合は、警察としては現在知る方法がございませんので、その刀が移転した経路というものを、やはり単に登録を申請したときの所有者だけでなしに知っておきたい。そういう意味で、その移転関係についても知り得るような方法を今回の改正では考えていきたい、こう思っております。
  257. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いまの日本刀なりあるいは猟銃というか、こういうふうなものの製造は、現在どの程度に行なわれておるかということは、警察としてはわからんわけですか。日本刀のことはわからんけれども、猟銃のほう、ピストルのほうはわかるということなんですか。
  258. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは問い合わせれば、日本刀についてもわかるはずですが、ピストルについては、これはやみでつくられているものについては、午前中の質疑応答にあったように、数はわかりませんけれども、正規に購入しているのは、警察、防衛庁、海上保安庁、鉄道公安官等、正規に持てる人間だけのものでございまするから、これはすぐわかります。それから、銃砲については、武器等製造法による通産省関係の届出がありますから、これも集計すればわかりますが、ここではわかりません。
  259. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刀剣はどうなんですか。刀剣もわからない、知る方法がないのですか。
  260. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 刀剣については、この九十万本登録されている中で、何本が戦後の製造にかかるものか、また、現在においてはどのくらいずつできておるものであるかということは、これも調べれば、正規につくっているものでございますからわかると思いまするが、現在の手元においてはわかりません。
  261. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、日本刀をつくるのは、これはどこか許可を受けるおけですか。武器等製造法、これにやはり入るわけですか。日本刀も通産大臣の許可を得る、あるいは日本刀はそういうことは関係なしにつくれるのですか。
  262. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 刀剣につきましては、銃刀法の中に書いてございまして、三条七号「文化財保護委員会の承認を受けて刀剣類の製作をする者がその製作したものを製作の目的に従って所持する場合」という項目がございまして、これは不法所持じゃないということでございますが、この前提として文化財保護委員会の承認を受けてつくるというのが、刀剣製作者の義務というか、手続でございます。
  263. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、一年間に、何本くらい刀剣ができているかということは文化財保護委員会に聞かなければわからないのだ、警察のほうはそこまでつかんでいないのだということですか。
  264. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そういうことでございます。
  265. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、銃砲刀剣類等の所管はあなたのほうだと言うが、実態についてはどうもあまり通産省のほうのこと、文化財保護委員会のほうのことで、たいしたつかみ方をしていないようですね。積極的にあまりやらないのですか、ほかの省のことだからというので。日本刀が一年間に何本くらいつくられているということは警察庁としてつかんでいてよさそうなものですがね。銃砲にしてもそうなんです。そういうところまでつかまないのですか。つかむ必要がないわけですか。そこまではほかの省のやっていることだから、別にそういうことは関係ないのだということですか。
  266. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察としては何でも知っておくことが一番いいのですから、つかむ必要がないことは万々ございません。つかむ必要がありますが、新しくつくる刀剣というものは最近そう多くはない。的確な数字を申し上げられないだけで、多くはないというふうに聞いておりまするし、銃砲等については、つくる状態というよりも、それを持たせる場合には、こちらのほうが許可をするわけでございますから、そういう点でつかみ得ることでございまするから、幾らつくっている、これを輸出用に幾ら、国内用に幾らというような点を考えるのが通産省の立場であり、それを日本人のだれだれに持たせるという場合におきましては、私のほうの関係になるものでございまするから、おのずからつかみ方が違うわけでございます。
  267. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、結局、あなたのほうとしては、いま暴力団の凶器の入手は思いのままだ、ピストル密輸入をしてどんどん入ってくる、日本刀はそういうような形で登録ということでどんどん自由に手に入る。猟銃ならほとんどと言っていいくらい、特別の制限はあっても、そういうような制限も実際は抜け穴みたいになってどんどん入手される。こういうふうなこと、そのことだけで問題をとらえてはもちろんいけないわけで、別な観点から問題をとらえなければならない。日本刀などは文化財保護の関係もあるでしょうし、猟をやる立場の人のことも考えなければなりませんが、いずれにしても、そういうふうなことの中で、じゃ、銃砲刀剣類等所持取締法を、暴力団取り締まりのために一体どういうふうにしたいとあなたのほうでは考えているわけですか。
  268. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 午前中のむし返しになりますが、第一点は銃砲刀剣類というものを一括して一つの罰則に重いのも軽いのも入れておるというのは、ピストルやあるいはライフル銃、人を傷つけることを目的とする、あるいはそれにもっぱら使われるというものについては罰則をあげたいというのが一つと、それからもう一つは、刀剣類については、非常に、ただいまの御指摘のように、私たち自身もそう考えまするので、もう少し実態の把握ができるような仕組みにしたいというのが第二点。第三点は、もう一つは、銃砲刀剣類等を許可する場合に、午前中も問題になりました羅束裁量ではあっても、もう少し人に着目した面について、法文上はっきりと書いて除外する。こういう危ないものについては持たせないという範囲を、これはデリケートな問題でありますけれども、もう少し広げたい、そういう点を主眼にいたしております。
  269. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまあなたの言われたのは、いつごろからそういうふうにしたいと考えているのですか。いつごろからそういうふうにしたいと考えていたわけですか。
  270. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 実は当国会に、御審議を願おうかということで、昨年来、まあもちろん課題としてはその前から作業はしておったと思います。警察庁自体として庁議に取り上げて、できれば今度の国会におはかりをしたいということで作業をやりましたが、刀剣については、文部省との間の話し合いが必ずしも最後まで行ってないということと、それから、罰則の強化にしましても、ことに対人的な許可の範囲というものを暴力団に所属するだけというような条件でできるかどうかというようなことに、法律上の疑点がございまして、かたがた他の法案とのにらみ合いもあって、今回見送ったという状態でございますが、これが暴力団退治の有力な法律的なきめ手の一つであるという考え方は、前から持っておるのでございますから、作業をしたのはいまに始まったことではございません。  それから、出す予定はいつかということになれば、できるだけ早急に、この国会には間に合わなくても、次の国会といいますか、あるいは通常国会というような場合にはぜひ出したい、こういう気組みでおります。
  271. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたのほうが、ほんとうに暴力団を取り締まりたいのだ、そのことが一つのきめ手になる、このことだけが一つのきめ手になるかどうかとか、あるいはこのことがどれだけウエートを占めるかということはなかなかむずかしい問題であって、一がいには言えないと思うのですけれども、ほんとうにあなたのほうで暴力団というのは凶器の入手から始まってくるのだというふうなことが事実としてあるならば、その点についてもっとしっかりした態勢というものをつくろうとすればつくれるのじゃないですか。それをやらないのじゃないですか。文部省と話がつかないとか、罰則を強化してとかなんとかいろいろ言っておりますが、積極的に暴力団なら暴力団を退治するという態勢が警察庁自身にないのじゃないですか。そういうふうに感じられますね。何か間に合わないということをあなたのほうも言われますから、これ以上追及いたしませんが、今度松山なんかの事件が起きてきた。そこであわてふためいて法の改正を急ぐのだ、そういうことを言い出したのじゃないですか。それで後手、後手にみんな回っているのだというふうにあちこちで批判されるのですから、松山事件があったから法の改正を急ぎたいのだということも言えるのですか、それも入っているのですか。
  272. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そう言ってもかまいませんけれども、実際はそうじゃない。その松山事件とは無関係に、この国会に提出すべき法案として、十分とは申しませんけれども、相当のところまで論議を尽くしておって、国会提出の予定表等には、政府委員室にはいまでも張ってある。それを消しているぐらいでございますから、これは昨年からそういう予定はしておったわけでございます。しかし、諸般のことを考えて今回見送ったというのが実際のいきさつでございます。
  273. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力団の取り締まりそのものについては、いまあなたの言ったような態勢が非常に必要なわけじゃないですか。そのほうが取り締まりそのものとしては大きなウエートを占めているのではないか、こう思うのですが、それが諸般の情勢というのはどうなんですか、どこかからそういうことをやっちゃいかぬと苦情が出たのですか。
  274. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 苦情は別に承っておりません。
  275. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きのうあなたのほうの刑事局長から話があったのですが、いま暴力行為取締法の改正案が出ているわけですね。改正案がいま出ているのですけれども、それが通る通らないということと逮捕とは、取り締まりそのこととは直接関係がないのだということを刑事局長言ったが、それは私はそう思うのです。これと比べると、銃砲所持改正のほうが、むしろ直接逮捕なり取り締まりに関係してくるのじゃないですか。そのほうが直接性が強いのじゃないですか。あなたはそういうふうに考えませんか。
  276. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私は、この銃砲所持改正を庁内でいろいろ議論いたしまする際に、これを早く審議を得て改正したいというのは、このことでまあ罰を重くする、罰則の強化というのもありますから、罰を重くするという面もありますが、このこと自身が暴力団をたぐっていく上に非常に有利というか、役に立つ法律だ、だれかをあげた場合に武器の関係から追っていく、武器取り締まりそのものの法律が強化されれば、そういう点にねらいがあってこれは早くつくりたいという気持ちになった法案でございまするが、暴力行為等の取締法の改正につきましては、これは現実に罪を犯した具体の行為をした者に対する処罰を強化するという案でありますから、これは両々相まつというか、どちらが必要である、片方があればいいという問題じゃないと思います。それから、警察取り締まりは、もちろん、罰が軽いからやらない、罰が重いからやるという意味はないのであって、変わりはないということを刑事局長答えたと思いまするけれども、まあ、つかまえた効果というものは非常に違うわけです、改正になるのとならぬのと。それから、もうこうなってまいりますと、正直に言えば、つかまえる意欲という点におきましても、やはりつかまえた効果が強いか弱いかということによってそれは違いませんと言うのが公式論ではありましょうけれども、それは何名やっても同じだという気持ちは、それは一般の人にあるのと同様に、末端の警察官に皆無であるとは私は申し上げられない、こう思います。
  277. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまあなたの言われたことは非常に重要な問題ですよ。すると、あれですか、現在警察官は、暴力行為改正法が出ている、それが通らない現段階では、そのために取り締まりなら取り締まりそのものの意欲を失っておるとは言わぬけれども、減殺されている、こういう意味ですか、あなたの言われるのは。こともある、こういう意味ですか。
  278. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 減殺されておるとか、あるいは減殺されてはひとつもおりませんとかいうことは、私は言えないと思いまするけれども、通ります場合と通らない場合についても、私自身でも大いに、こういうことになったのだから一生懸命やろうという気持ちになるのと、幾らつかまえてもすぐ出てくるのじゃないかというのじゃ、違うのじゃなかろうかと私が公の立場で言い切ってしまうのも、多少――多少というか、大いにデリケートな意味がございまするけれども、また、そういうふうに考えられるということも皆無じゃなかろう、こういうふうに言えるわけでございます。
  279. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの点は、いずれこれはもうこの法案の中心の問題になるところですから、ゆっくりやりますが、そこでゆっくり別にやるわけですが、そうすると、いままでこうした刃物の問題で刃物追放道動というのをやってきましたね。それは具体的にどういうふうにやってどういうふうになったのですか。
  280. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) たぶん三十六年だと思いまするが、青少年の不良化防止とそれから町の暴力、小暴力の追放というような運動が起こりました際に、警視庁等が率先しまして、警察ももちろんそういう運動を推進しますが、一般民間の方々にも協力を願って、刃物は持ち歩かない、刃物は持たないというような運動を展開したことをおっしゃっておるのだと思いまするが、現在におきましても、繰り返し繰り返しそういう運動はやっている次第でございます。
  281. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 繰り返し繰り返しやっていると言うのですが、具体的にはどういうふうにやっているのですか。いまやっぱりやっていないのじゃないですか。
  282. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 十分やっているというところの標準がございませんから、十分やっていると言えるかどうかわかりませんが、各署単位に警察官が中心になるとか、あるいは防犯連絡会あたりが音頭をとるとかということで、知らず知らずにうちにあった違法な刃物というようなものを署のほうに提出してやっているというのは現在でも続いておりますが、たくさんのものが集まるというときもありまするし、また音頭がかれてくるというと、ほとんどそういう刃物が出てこないという時期もございまして、継続してやっていると申し上げたのは、そういう意味でございます。
  283. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 たとえば警視庁へそうした運動を起こして刃物を一応提出した数というのはどうなっていますか。非常に減ってきているのじゃないですか。これは統計があるのじゃないですか。これはけさの朝日新聞に出ていましたよ。けさの朝日新聞ですよ。
  284. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私の手元にその数字はございませんから、後刻刷りものとしてお配りいたします。
  285. 米田勲

    ○米田勲君 委員長
  286. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  287. 米田勲

    ○米田勲君 ちょっとそのことで関連質問をさしていただきます。この刃物の追放運動というのは、一時非常に民間の協力を得て盛んに運動として発展した時期もありました。しかし、最近はそういうことが非常に下火になっている。この刃物の追放運動そのものを考えてみますと、私はまだ精神年齢の発達過程にあるような、非常に不安定な時期における善良な青少年が、ちょっとしたはずみで事故を起こす、傷害事件を起こすというような、そういう事故防止というか、傷害事件の防止のためには非常に有効な運動だと思う。しかし、この刃物の追放運動が今日日本の中における暴力団とその暴力行為、暴力事件というものを根本から解決するような運動には私は発展しないのじゃないか、そういう判断から、警察庁のほうでもこのごろはたいした熱意を持って民間のそういう刃物追放運動を助勢するような努力をしなくなってしまったのじゃないかというように判断をいたしますが、この点は長官どういうふうにお考えになっておられますか。
  288. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 刃物追放運動の趣旨なり限界は、おっしゃるとおりでございまして、そのことで暴力団等がわざわざ買い求めた刃物を提出してくるというようなことはないと思います。しかし、ただいま御指摘になったような善良と言っては何ですけれども、そう悪くない者が、一種の風潮として刃物を持ち歩くというような者が、これはいけないことだということで、ああいう運動をもって任意提出させれば、あとはやはり任意に言うたのでは聞かないような者だけがかりに残るというような状態になれば、この法律による強制的な取り締まりというようなものもわりにやりやすくなるというか、対象がはっきりする。また、刃物一丁ぐらい持っていてやられてはおかしいじゃないかという世論がなくなり、ああいう運動をして、持っていかぬということをあれほど言っているのだから、持っているという者はこれは相当な悪だということになるのでございまして、やはり周囲をよく掃いておいて、中身を追求していくということでございますから、私たちは刃物追放運動というものは役に立たないということで力を抜いていい現状ではなく、やはり続けてやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  289. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刃物追放運動を続けてやっていくのはいいのですが、具体的にどう進んでいるかというのですよ。たとえば、東京都でも何か「刃物をもたない東京都推進本部」というのをやったのだけれども、これは解散しちゃったというじゃないですか。三十五年できて、何か一年間やって解散しちゃった。ほんとうですか、これは。
  290. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 東京都にただいまおっしゃったような名前の本部ができたことはその当時聞きましたが、現在それが一年で解散になったかどうかということは、確認いたしておりません。
  291. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはけさの朝日新聞に出ていますよ。「どこへ消えた〃刃物追放〃」というので、「典型的なお役所運動」と書いてある。これは新聞社の人の感覚で書かれたのですが、ぼくもそう思いますがね。「三十五年末、副知事を中心組織された〃刃物をもたない東京都推進本部〃は、一年で解散」した。これは事実をすぐ調べてくれませんか。「刃物運動を提唱した青少年問題協議会も、その後の実態、成果について、何も資料を持っていないという。」結局、ちょっと線香花火みたいに上げて、あとやめちまったのじゃないですか。こういう程度のことをやっても大して意味がないという意味ですか。「警視庁へ刃物を任意提出した数をみると、三十六年が五万七千。三十七年は六千百。三十八年は五千百。」、こうなっているのですね。こういう腰くだけという批判に対して、警察庁、警視庁でいろいろ言っている、こう言っていますがね。ちょっと始めただけでもうぱっとやめちゃったんじゃないですか。さっぱり、それに対してPRというのを一時やったにしても、その後のことは全然と言っていいくらい熱意を持っておらない、こういうんじゃないですか。きょうの、六月十日の朝日新聞を見てこの事態を調べてくれませんか。ここに出ていることはほんとうかどうか――ほんとうかとうかではなくて、これに書いてあることを詳細に調べてください。調べてくれますか。
  292. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私はそれを読んでおりませんが、その数字それからいきさつ等につきましては調べます。それから、こういう運動でございますからお役所仕事で線香花火になったのじゃないかという御批評については、あるいは全体としてはそういう場所もあると思いまするが、警察の立場では、これが非常に効果をあげていない、要らないというような考えは、毛頭現在でも持っておりません。
  293. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは法務省に伺うのですが、これは暴力団の取り締まりのためには、その前提となっておる銃砲刀剣類所持そのものですね、これは今度の改正案でもそれによるところのものを重くしようというわけですから、その前提となるというか、ピストルとか、猟銃とか、日本刀とか、そういうようなものの所持だけの違反が大体どのくらいあるわけですか、年間にですね。
  294. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 銃砲刀剣類等取締法(令)の違反件数は、昭和三十六年におきましては一万五千七百六十二名でございますが、これは三十五年も大体同じような数字でございまして、昭和二十七年が七千九百二十五でございますので、ざっと十年間に倍増いたしておる状況でございます。
  295. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三十六年までしかありませんか。三十七年、三十八年はないのですかね。ということは、その内訳は、ピストル所持とか、日本刀の所持とかいろいろあるわけでしょう。その内訳別のものはありませんか。
  296. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) うちのほうではそういう統計がつくれませんので、つくっておりませんが、三十七年の受理件数は一万七千五百六十九名でございます。三十八年はまだつくれておりません。
  297. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察のほうから補足して申し上げますというと、三十八年の状況については、一部午前中刑事局長からお答えいたしましたとおりでございますが、繰り返しますと、三十八年における銃刀法の第三条違反、いわゆる不法所持の事案は、全体の件数が一万七千五百七十六件になっておりまして、うち拳銃が五百八十三件、猟銃が九百三十二件、空気銃が九千九百十二件、その他建設用銃五十三件、その他の中のまたその他五十六件、計一万一千五百三十六件が銃砲でございまして、刀が二千四百四十五件、剣が百五十九件、なぎなた・やりが七十二件、あいくちが二千八百八件、飛び出しナイフが五百五十六件で、刀剣類が六千四十件でございまして、総数が先ほどの一万七千五百七十六件となっておるわけでございます。
  298. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで法務省に私がお伺いしたいのは、こうした銃砲等の取締法違反のこれだけのものが、とにかくピストルとか日本刀とかいろいろあるわけですね。これはほかの犯罪と一緒になって起訴されている場合がありますから、そういう場合だとなかなか量刑がわかりにくいと思うのです。わかりにくいというか、おそらく不可能でしょう、それだけをやるのは。ただピストルならピストルの不法所持日本刀なら日本刀の不法所持というような形のものがどういうような量刑になっておるか。これは法務省としてはわかるのじゃないかと思うのですがね。資料に入っていますか。
  299. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) お手元に差し上げてございます暴力犯罪関係統計表の第四表(つづき)のほう、つまり五ページのところでございますが、その最下欄に銃砲刀剣類等所持取締法(令)違反の第一審議裁判結果調がございます。これによりますと、最下欄の昭和三十五年の統計のところを見ていただきますと、有期懲役になりましたものについて申しますと、総数百六十九人中三年が一人、二年以上が一人、一年以上が三十一人、六月以上が七十五人、六月未満が六十一人、その中で、刑の執行猶予になっているものが九十三人、こういうことになっております。以下右のほうに参りまして、罰金刑になったものが六十二名でございまして、その金額は五万円以上が一人、以下ごらんのとおりでございます。
  300. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは物をピストルから空気銃まで一緒にしていますから、空気銃が懲役ということはないでしょうけれども、そういうものが全部ひっくるまっているから中がわからないが、一体ピストルの場合は大体どういうような量刑の傾向があるのか、これではまったくわからないですね。
  301. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 具体的な例で申し上げませんと、いまの御質問の十分なお答えにならないわけでございますが、ただいま私のほうでとっております統計としましては、内訳ができておらないのでございますが、ただ申し上げ得るのは、求刑標準と申しますか、そういう考え方のほうから申しますと、銃砲の中でもピストル、これを最も悪質なもの、危険なものという考え方で刑の量刑をいたしております。しかし、事案ごとによって何とも言えないものですから、具体的な例で申し上げるほかないのでございますが、いま一、二例をさがしましてお答え申し上げます。  お手元に、これも資料といたしまして暴力団構成員による暴力犯罪関係事例集というのがございますが、これは法務省刑事局に報告のありました事件の中から選び出してここに事例集として掲げたものでございますが、ごらんのように、非常にいろいろな犯罪とふくそうしておりまして、特にピストルだけの場合にどういう刑が盛られるかということもなかなかわかりにくいのでございますが、たとえば第一ページの第一の東京の事例でございますが、それの中に銃砲刀剣類等所持取締法違反の事例でD、同じ東京の事例で二ページの下から二番目の火薬類取締法違反の前のところに銃砲刀剣類等所持取締法違反というのがありまして、Lという被告人の氏名になっておりますのが、これはここに書いてありますように、三十八口径拳銃一丁及び実包二個を不法に所持したという事例でございますが、第一ページ――最初のページのほうに戻りますと、Lに対しましては懲役十月の判決が言い渡されておりますが、ただ、右から二番目の行の前科欄を見ますると、Lは前科五犯を持っておるのでございまして、そういう関係から、この十月というのは前科との関係で出てきている刑だと思いますので、全く前科のない者がいまのような拳銃を持っておったという場合に、どれだけの刑が盛られるかということは、なかなかわかりにくいようでございますが、一例として御指摘申し上げますと、いまのような事例がございます。
  302. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのしの場合は、傷害といっても、罰金の傷害だか、体刑の傷害だかわからぬわけですね、これは。
  303. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 罰金か懲役刑か、その区別はちょっとわかりかねますが、これも、詳細に調べてみればわかることでございます。
  304. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは詳細に調べるというほどのことでもありませんからいいですが……。そこで、私の言うのは、この場合、銃砲の単なる所持の場合に、相当、罰金刑があるわけですね。これは、初めから略式で検察官が、罰金刑を求刑したと、こういうふうな例ですか、ほとんどが。公判で体刑を請求したんだけれども、罰金になったんだ、こういうのはほとんど例がないわけですか。
  305. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 先ほど申し上げました暴力犯罪関係の統計表の第四表(つづき)のところ、五ページのところを申し上げましたのは、上のほうに書いてありますように、通常第一審裁判結果――この通常第一審裁判結果と申しますのは、これは統計作成上の用語でございますが、これは略式命令を請求したのは入っておりませんで、公判請求をしたものの結果でございます。したがいまして、これも全部、罰金を初めから求刑をしないものばかりが入っておるのではございませんが、公判請求をしましたのは、検察官としては体刑を大部分が請求しておるものだと思うのでございます。その結果が、いま言ったような状態になっておるわけでございます。
  306. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この資料では、これだけのことでは、どうもはっきりわかりませんから、体刑を請求してこういうふうに罰金になって、しかも、罰金に執行猶予がついておるというようなものもあるわけですね。そういうのは、ちょっと普通の場合考えられないわけですね。ここであまり詳しいことを言っても、裁判所じゃないんだから、あれしますが。そうすると、大体の基準はあるのですか、ピストルの場合は、どの程度だというようなことの。その不法所持が、それだけで切り離されていないで、ほかのものと関係しているような場合が非常に多いから、それだけをとっての量刑ということになると、なかなかわかりにくいのだと、こういうふうに承っておいてよろしいですね。  そこで、法務省関係になるわけですが、いまの場合の……、ピストルでも、直接実刑を請求して、そのとおり実刑になったという例も相当あるわけでしょう。
  307. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) それは少なからずあると思っております。先ほどの統計で申し上げますと、五ページでございますが、三十五年の懲役刑になりました百六十九名のうちで、執行猶予になりましたのが九十三名でございますから、百六十九名から九十三名を引きました残りの者は実刑になっておるわけでございます。ただし、この中には、前科が考慮されたものもあろうと思いますので、単純なる、前科のない者についてどういう状況になっておるかということは、具体的な事例について見ないとわからないわけでございます。
  308. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、検察庁全体は、暴力関係の事犯については非常にきつい態度で臨んでいるのだと、こういうことが抽象的には言えると思うのですがね。しかし、たとえば、六月三日の毎日新聞に出ていた例ですが、暴力団がお礼参りして、そこへ行ったおまわりさんをぶんなぐってしまったのです。これは公務執行妨害、傷害でつかまえたのですが、その前に、傷害か何かで十日間拘留されたわけですね。六月三日の毎日新聞ですが、二日の午後十時ごろに、東京城東署にどこかの店員から、ぐれん隊にお礼参りされたという連絡が一一〇番にあって、同署の谷田川という巡査がかけつけて職務質問したら、一人がなぐりかかった。職務質問した巡査が、ビールびんで頭をなぐられたのですが、なぐったのは、その前に、二月三日に事件があって、何か洗たく屋に行ってアイロンか何かのことで文句があって、そこでぶんなぐって一週間のけがをさせた。十日間入っていた。十日間入っていたということでよくわかりませんが、罰金二万円の刑だけで釈放されたというんですよ。十日間入っていて二万円の刑で釈放されたというのだから、おそらく検事は、身柄を釈放して、そこで略式請求をしたのじゃないか、いわゆるこれは在庁略式みたいな形でやったのじゃないかと思いますが、しかも、それは警視庁指定暴力団で、名前は言いませんが、ある会の組員だとこう書いてあるんです。その警視庁指定暴力団の組員が、それだけの事件を、軽いかなんか知らぬが、前に起こして、傷害でつかまえられた。十日間入れておいて二万円で釈放しちゃったのだ。そこで、出たとたんに、お礼参りであばれ回って、巡査が来たらぶんなぐって、公務執行妨害、傷害、そういうような一つの、凶悪というか、そういう犯罪をする者を検察庁では、つかまえておいて、十日間拘留して、二万円の刑で釈放してしまったと、こう出ているわけです。これはどうもよくわからぬというか、検察庁全体がそういうような態勢で取っ組んでいるというのに、この程度のことでやられたのじゃおかしいと思うのですが、この事件はあなたのほうでも調べてくださいませんか。どういうわけで罰金二万円程度にしてしまったのか。だれが見ても軽過ぎるような印象を与えるのですがね。これは新聞にも出たことですから、あるいは質問でもあるかと思って、あなたのほうで調べられたかと思うのですが、大体のことわかりませんか。
  309. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) いまのその事件、取り調べましてお答えを申し上げたいと思いますが、新聞の掲載のとおりでございますと、私どもの申しておる趣旨にも反すると思うのでございますが、ただ、二万円でございますか、二万円払って出てきたというのは、いわゆる権利保釈の保釈金でありますかどうか、そこの点も確かめてみないとわかりませんが、もう少し御猶予願いたいと思います。
  310. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、六月三日の毎日新聞ですから、内容を検討してくださいませんか。もし、これがこのとおりだとすれば、検察庁全体として、何か事案によってもちょっと違いますけれども、非常に何か軽いあれをしているような印象も与えるのですがね。新聞にも出ておったことですけれども、もと刑務所の所長が暴力団の顧問かなんかになっているというようなことが言われていましたね。このことについてお調べになったことありますか。新潟の例ですか、これは。
  311. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 新聞に出ておりましたことは、私もよく承知しております。ただいま東京地検で調べ中だという報告も聞いております。しかし、まだ結果を受けておりませんので、どういう事情でありますか、ちょっとお答えいたしかねるわけであります。
  312. 米田勲

    ○米田勲君 いま、そういう質問が出ましたので、この際にお聞きしますが、もと検察庁の役人あるいは警察官、そういう人で現在警察庁がリストに押えている暴力団体とその構成員の中に関係を持っていると思われる者はおらないかどうか。あるとすれば、いまのところ明らかになっているのはどの程度おるのか。どちらからでもいいから、ひとつこの機会にお答えをお願いします。
  313. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私も具体的に何人、どういう団体に、やめてからあと関係しているかということは存じませんし、また、そういう者はほとんどおらなかろうと思いまするけれども、先般の選挙違反の場合に、例の背番号候補の違反の際に、その団体に関係しておった元警察官というのが出てまいったことがございますので、そういう形なり、あるいは地方の興行界等で――これは暴力団体として必ずしも興行界全体をわれわれ暴力団と思ってはおりませんが、ただ、大きな系列になりまするというと、その系列の末端のところでは、何らかの形で退官後就職しておるというような者もそれはおらないことはなかろう。しかし、そういう数はもちろん多くもないでしょうし、あるいは私の思い過ごしで、全然いないかもわかりません。けれども、まあ絶無だということをここで言い切るのはどうかというような感じでございます。
  314. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 十八万四千という名簿の中に、もと検察に関係しておりました職員が入っているかどうかということは、私のほうの調査でございませんので、わかりかねるわけでございますが……。
  315. 米田勲

    ○米田勲君 これはいつか私関連質問でお聞きしたんですが、暴力団体の数とその構成人員警察庁の発表で明らかになっておって、その個々のメンバーが押えられていると答弁されているんです。そうすると、その個々のメンバーの中に前歴のそういう者がどの程度おるかということは、私はこれはやはり注目して調査しておくべきものでないか。長官はまあ位置が位置だから、そういうことを一々あなたがすぐ即答できる立場ではないけれども、警察庁としてはそういう調査が、暴力団の構成人員のメンバーの個々を調査していく際に浮かんでくるはずだと私は思うんですが、その点は局長どうですか。
  316. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 私どもの名簿に入ってくるような者について、これは全部の集計はとっておりませんけれども、それぞれの署管内その他では従来からそういう者がありますと、すぐにみんなの話にあがってくるのでありまして、それでまたそこから離れた者もございまするし、地方のそれぞれの所轄の府県本部では十分把握しておるわけでございます。ただ、われわれの十八万の中以外の部面、それから全体として統計をとっておりませんものですから、それで先ほどの長官のような状況であろうということでお話したわけでございます。
  317. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま元刑務所長が暴力団の顧問になっているということをちょっと言ったんですが、それは何か東京地検でお調べになっているのですか。――ああそうですか。
  318. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 彼はまあ現在被疑者でございます。取り調べ中でございます。
  319. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 取り調べ中の事件ですから、いまの段階でここであれすべきじゃありませんから聞きませんが、その被疑者だとすれば、この程度はいいのじゃないですか。何なんですか、罪名とか何か。暴力団に関係あるのですか。
  320. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) もちろん、捜査中でございますので限界もございますが、申し上げ得る限り申し上げたいと思います。いま資料を、わかる限りのことを調査いたしましてお答え申し上げます。
  321. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまその資料が来ればまた出てくると思うのですが、近来刑務所の中において、これは大臣御存じかと思うのですが、刑務所の中において暴力団から金をもらったりそれから、いろんなことで便宜をはかったりして賠収賄みたいなかっこうになったり何かして、二、三事件がありますね。それはどういうふうなことから起きたのか、どういう事件なのかということもいまその資料と一緒にお話し願えればと思うのですがね。暴力団自身が刑務所の中へ食い込んでいるような事件があるのですがね。これは法務省の名誉に関することだと思うのですがね。
  322. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 大臣から御答弁をいただきますのは資料に基づいて御答弁申し上げますが、その前に、これは先般検察長官会同の席上で暴力団問題が論議されました際に、矯正局長から報告のありましたことの一節を申し上げてみたいと思いますが、刑務所の内部におきまして、暴力団団員である受刑者が、行刑上非常なやっかいな存在であると申しますか、矯正教育を施すのに因っている状況をるる説明されたわけでございまして、こういう収容者は、これは矯正局長のことばをそっくりそのまま申し上げますが、「こういう収容者は、御承知のとおり、誤れるヒロイズムと申しますか、いわゆるやくざかたぎの持ち主でありますため、施設の規律に服従しようとせず、職員に対して反抗する者が多く、この種職員に対する抗命あるいは暴力事故の数は、昭和三十七年中において刑事事件として送致または告発をした者が六十八件を含めて約三千件以上の発生を見ているのであります。これらの者は、しばしば職員に対して直接的な暴行、脅迫を用いて不当な処遇を要求することが多く、この種収容者の約八〇%がいわゆる行刑施設における処遇困難者の範囲に入るのでありまして、これは一般収容者を含めた処遇困難者の三〇%強を占めているのであります。」こういうような事情のようでございます。そのほか、るる各施設の中における状況を詳しく話されまして、要は、非常に刑が軽いために、いわゆる短期自由刑の処遇が困難だという端的な例にこういうものが当たるのだということを述べておられるのでございまして、矯正当局としては、もしもこういう人たちが相当長期間収容されておるならば、あるいは収容施設の場所を変更して、そしてその間に彼らの帰住する環境の調整をはかるのか、あるいはその間に考え方を変えてもらうようないろいろな教育も施す余地もあるが、たとえば六カ月未満のような懲役でございますと、次々と出ていく時期がわかっておりますので、出ていくときには暴力団がトラックを連ね、のぼりを立てて出迎えに来るといったようなことでございまして、もし地元の暴力団の団員が地元の刑務所に収容されておるという場合には、帰っていくところはもとの暴力団でございまして、これでは矯正教育の目的は果たし得ないのだということをるる述べておるのでございます。そういうこともありましたことを御報告申し上げます。
  323. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの答弁でちょっと問題が二つあると思うのですよ。一つは、短期自由刑が非常に困難だという話がありましたね。これは何も暴力団に限ったことでなくて、ことに一年未満の自由刑というものが、何といいますか、教育刑としての意味ということで、非常に足りないというか、短期自由刑というのはあまり意味がないのだということは、これは行刑上一つの定説なんであって、何も暴力団だからというふうに限るのは僕はおかしいと思う。これは定説なんですからね、あらゆる場合の。それが一つと、そういうことが問題じゃなくて、三十七年度に三千件以上のいわゆる刑務所の中における暴力が、たとえばそれは暴行であったか、傷害であったか、公務執行妨害か知りませんけれども、それだけのものがあったのに、なぜ六十八件しか立件しないのですか。そこに問題があるんじゃないですか。三千件以上のものがあって、どうして六十八件しか立件しないんですか。どういうわけですか。こういうところで刑務所の中で暴力団に対して法務省当局がしっかりした態度をとっていれば、問題がまた別になってくるんじゃないですか。三千件以上あったって、事件になるのは六十八件だ、あとはうやむやにしている。うやむやかどうか別ですが。
  324. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 矯正施設のことにつきましては、私もあまり知識がないのでございますが、短期自由刑が効力がないかどうかということにつきましては、一般論としましては昔からそういうふうに言われておりますが、しかし、近ごろの刑事学では必ずしもそうは申しておらないのでありまして、短期自由刑の効果というものにつきましての新しい認識というものが各国の学者の間で提唱されつつあるのでございまして、これは一がいに言えないのでございますが、そういう短期自由刑に向かない性格の受刑者、こういうものの中の顕著なるものが暴力団の構成員であるという趣旨にお聞き取りを願いたいと思います。  それからもう一つ、三千件からある中で六十八件とは何だというおことばでございましたが、この中でももちろん六十八件以外にも刑罰に触れる行為も私はあると思いますが、抗命というようなものは、懲罰の対象にはなりましても刑事罰に触れる場合はないものも相当たくさんあるわけでございます。抗命と申しますのは、看守の言うことを聞かないということ、刑務所の中ではそういうものも事故になるわけでございます。そういうものは刑罰に触れないので告発のしようもないわけでありますが、もちろん懲罰の対象になる。しかし刑に触れるものでございましても、やはり施設内の教育効果を高めていきますためには、一種の起訴猶予みたいな扱いでやるほうがなお補導に便利なこともあるわけで、その辺の行刑の勘どころ、押えどころというものは、局外者の私どもが申すのもいかがかと思うのでございます。まあ、非常に努力していることは、私どももこの報告を聞いて十分考えるのでございます。
  325. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたのほうでわからないとなれば、これは矯正局長にこの次でも来てもらって聞きたいと思うのですがね。三千件以上というのは、それはいろいろなものが含まれているとしても、抗命というのは、命に抗するというので、具体的に何を言うのかわかりませんけれども、場合によれば脅迫になることもあるんじゃないですか。その看守の言ったことに対して生命、身体、財産に関するようなことを言うのですから、脅迫になることもあるでしょう。三千件以上事件らしいものがあって、六十八件しか立件しないというこの態度が、法務省当局がそういう態度をとっていることが根本的に批判さるべきじゃないかな。これはいろいろ見方がありますよ。特に行刑のやり方からいって、あまり当たりさわりないようにやっていたほうが、どうせ彼らは出ていってしまうのだから、そのほうがかえってうまくいくのだといういき方もあると思いますが、具体的に三千件というのはどういうものがあるわけですか、それで刑事事件に立件した六十八件は、具体的にどういう内容ですか、そこまでわかりませんか。
  326. 賀屋興宣

    ○国務大臣(賀屋興宣君) はなはだ相すまんかったです。先ほど私に対する御質問でありましたそうですが、つい聞きのがしまして……。  いまの刑務所の中におきます刑務所員の先ほどお話しの、たとえば囚人等の要請によりまして差し入れすべからざるものを入れましたその事件を聞き及んでおるのでございます。はなはだ遺憾なことでございまして、厳重にさようなことがないように部内に警告をいたしております。そんなことでございますが、今日も全国の法務局長や地方法務局長の会同をいたしまして、法務局にもおもしろくない事件がございます。特にその件につきまして厳重に注意を喚起し、訓示をいたしたような次第でございます。お示しの刑務所内の件は、大体刑事局長からお答え申し上げましたが、暴力団に属するような乱暴な者から脅迫を受けましたり、またその土地の暴力団の所属の者が入っております刑務所の看守あるいはその家族が外にいる仲間から威嚇とか脅迫を受けるというようなことから起こった事件もあるようでございます。これは双方が悪いわけで、所員の考え方も十分にこれを直してまいりたいと思います。ただいまの三千何件の中で六十何件というのでございますが、これは私の承知しておりますところは、検察当局が起訴したのがそうじゃないかと思います。それで、それ以外のものにつきましては、相当刑務所内の規律によりまして、行政罰と申しますか、適当な必要なことは相当やっておるように聞いております。私詳しいことは正直申しまして存じませんが、やっております。  それで、今回の御審議いただきます法律が通過いたしますれば、前に刑事局長が申し上げましたように、刑期も大体長くなるわけでございますから、その暴力団に属する者の背後関係の暴力団のある所在地より違った場所にも移すことができまして、その点におきましても若干の効果はあるかと、かように考えておる次第でございます。
  327. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま法務大臣が言われている、この法律の改正案が通れば刑期が長くなるという前提、そのあなたの前提自身が問題があるわけですよ。それはこれからだんだんその論議に入っていくところですがね。  それから、いま言った具体的な刑務所内の汚職事件にどういう事件があって、それは暴力団との関係でどういうふうな関係から起きてきたのか、こういう点をもう少し明らかにしていただかないと、将来それをなくするためにどうしたらいいかという結論出てきませんから、あなたのほうでもあまり詳しく述べるのがあれだといえば、要点だけでもいいんです。たばこの差し入れの問題でごたごたしたのもあるし、府中の刑務所の看守なんか巻き込まれたりしていろいろ便宜をはかってやったりなんかして懲戒免になった者もあるでしょう。いま大臣が言われたように、暴力団から脅迫を受けてやったというのもありますけれども、そういう場合もあるでしょうけれども、一ぺんごちそうか何かなっちゃうと、それがためにおどかされたりなんかして言うことを聞くというようになったこともあったりしますね。
  328. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 仰せのように、刑務所の中へ暴力団の手が伸びる――という言い方をすると適当でないかもしれませんが、確かに暴力団がある程度へいの中にまで影響力を持ってくるというふうなことは、行刑上非常に遺憾なことでございますので、その点につきましては、行刑当局におきましていろいろと実態毛調査し、行政面で、あるいは指導面で幾多の改善策を施しつつあると私は承知しておりますが、主管の局長にただいま来ていただくように手配してございまするので、矯正局長から実情につきましてはお答えしていただくことにしていただきたいと思います。
  329. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もうさっきのことはわかりましたか、元刑務所長のこと。
  330. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) なお詳しいことはいま電話で取りに行っておりますが、恐喝の共犯ということでただいま勾留をして取り調べ中でございます。
  331. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは元刑務所長が暴力団と一緒になって恐喝をしたという共犯の容疑であると、こういうことですか。
  332. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) さようでございます。
  333. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長
  334. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 亀田君。
  335. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連。それは新潟刑務所長ですね。
  336. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 元新潟刑務所長であった者でございます。
  337. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはいつやめたのですか。名前はだれですか。
  338. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) 名前は西田直という者でございますが、数年前にやめた人かと思います。
  339. 亀田得治

    ○亀田得治君 じゃ、いま調査されるそうでありますが、当然、それは数年前――一、二年前のように私は聞いておるわけですが、数年というと相当前のようですが、そうじゃなしに、わりあい新しくやめた。で、そういう者が暴力団の相談相手というか、一緒に仕事をするような関係になるということは、おそらく新潟刑務所長をやっておるころにすでに暴力団と密接な関係ができておるというふうにわれわれは考えるわけなんです。だから、そういう点もあわせてひとつこの問題については調べてほしいわけです。何もそういうものはなくして、清廉潔白な所長が所長をやめてから間もなく暴力団の相談相手になる、そんなことは考えられぬわけですね。だから、世上よく暴力団の諸君は、いや、またちょっと別荘へ行ってくるからというようなことを言うのがありますが、それはまさしくそういう所長がおるものだから、これはまた別荘扱いされるわけなんでして、そういう世評を裏づけておるのじゃないかと思うのです。だから、そういう中身についても十分ひとつ検討したものを報告を願いたい。私たちある程度聞いておるわけですが。
  340. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) まあ、私どもも亀田先生と同じような想像をいたすのでございますが、しかし、真偽は捜査をいたしまして明らかにいたすべき事柄でございます。検察庁としましては、もちろんその部分につきましても重点を置いて調べて、何ゆえそういうことになったのかという点を明らかにされることと思いますが、まだ勾留したばかりのようでございまして、捜査の結果をここで申し上げる段階にまだなっておりませんけれども、仰せのような点は十分調査をしてもらうように私のほうからも連絡をいたしておきたいと思っております。
  341. 亀田得治

    ○亀田得治君 この法案の審議に間に合うように調査報告を願いたいと思う。
  342. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) できるだけ御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。
  343. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの刑務所内の暴力団との関係のいろいろな汚職というかなんというか、そういうような事件は、矯正局長がいま来るわけですか。それまで待って、来てからにしましょう。  それじゃ、矯正局長が来るそうですから、それまでにちょっと一つ警察のほうに聞きたいのは、従来、暴力団の関係に対して機動隊はこれを使わなかったのだけれどもというようなことで、機動隊も今度は使う用意があるということをあなたが語っているわけですね、松山事件に関連をして。「機動隊はこれまで警備事件に出動する場合が多かったが、今後は暴力団の凶悪犯罪に対しても随時出動できるよう検討したい。」、こういうふうな談話があるというわけです、六月九日の新聞ですが。そうすると、機動隊はこれはいままでは警備事件に出動する場合が多かったということは間違いないわけなんですか。警備事件というのは何ですか。
  344. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 予ての前にまず申し上げておきたいのは、機動隊というのは全国で五千三百でございましたか、定員が。その大部分が大都会の大きな警察本部が持っておるのでありまして、機動隊というのは、普通のときには与えられた任務という特別の任務を持たないのですから、小さな県ではそういう余裕がないというようなことから、必ずしも全国的にはないというのが一つの前提でございまして、従来使われたおもなる例は、安保騒動その他、御承知のように、たくさん機動隊が常時出るというのはまあ警備事件が多かった。それから、各地方で出ておりますのは雑踏警備等はやはり警備隊が出ております。それから、災害救助というような場合は、これはやはりわれわれのほうは警備でやっているもんですから、そういうのには出ておる。しかし、捜査そのものに機動隊が出るというのはわりに少なく、まあ歳末の警戒あたりには使いますけれども、捜査には普通は使ってない。今度の愛媛等の場合も、愛媛の千何百の警察官のうちに捜査員というのはその何割かになっておりますが、そのうちでさらに暴力団関係というのは四十数名だと、こう思います。そういうことから、今度の事件、そういう人数のことだけではございますまいけれども、そういう、人数が急速にそろうそろわないというのも、時間が早く処置できるか長くかかるかということの一つ大きなポイントになったということにかんがみまして、やはり今度からというか、いまからは機動隊をああいう種類事件のときにはいつでも差し向けるというような訓練というものをせにゃいかぬ、こういうことを語ったのでございまして、そのために急に暴力団係の機動隊というのを増すとかどうとかいう考えはございません。
  345. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 機動隊にいま関連して、たとえば松山事件で、愛媛県では暴力団関係警察官は四十名だ、こういうお話がありました。そこで、警備関係警察官は何名ですか。ずいぶんいるでしょう。愛媛県は全部で千三百くらいですか。警備関係がどのくら  いいるのですか。
  346. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 愛媛県の定員は、ここではっきりした数字でございませんけれども、仰せのように千三、四百かと思います。そのうち警備警察官というのは、これも数字が出ておりませんけれども、私のほうで聞き合わしてつくっておる書類はもちろん警備局にございますけれども、ここにないし、地方の状態によって警備関係職員が多いところと、わりに少ないところとございまして、愛媛等においては私は少ないほうの事例だろうと思いますから、たぶん一割くらいの数じゃなかろうかと思います。
  347. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは前三輪氏が警備局長のころにぼくは要求して、警察官全体の中で、警備、刑事、交通、保安とか、全部分けた表をもらったことがあるのですよ。それをきょうちょっと持って来ませんでしたが、それを見てもわかるのですが、やはり警察の暴力団に対する態度というものは、その人数によってもわかるのですが、全部のいまの警察官のうちで、刑事警察、警備警察、あるいは保安、交通、外勤、もちろんあるでしょうが、それを分けた人数をはっきり出していただきたい。愛媛県の場合はどうなっているのか。東京の場合はどういうふうになっているのか。外勤というのがありますね。外勤は実際は警備関係をやる場合があるのですね。一応警察での型どおりの分け方でどういうふうになっているか、これを分けてみれば、警察が暴力団に対してどういう取り組み方をしているかということがそこではっきりわかってくる。この資料、前にももらったのですが、新しい資料としてぜひ出してください。全体のやつわかりませんか。暴力団関係を含めて別にわかるようにしてください。
  348. 岩間正男

    ○岩間正男君 委員長
  349. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 岩間君。
  350. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。機動隊員五千三百名というような話ですね。この内訳はどうなっているのですか。大都市に配備している、こういうことですけれども、この内容もついでに資料として出してもらいたい。  それから、愛媛の場合どうですか。機動隊というのは全然いないのですか。この点はどうですか。
  351. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 愛媛の場合は三十五名おります。
  352. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体わかりますか、東京、大阪は。
  353. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 東京はたぶん千八百…、二千近くだったと思います。
  354. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料で出していただきたい。たぶんなどと言って、一番足元の機動隊がどのくらいあるかわからないのじゃ、ましてほかのところはわかりませんよ。これははっきり出していただきたい、五千三百名の内容。ついでに機動隊がどういう装備を持っているか、装備の内容。これは装甲車とかいろいろ持っているな。火炎放射機はどうか。催涙弾とか、これもついでにみな出してください。
  355. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 人数等については、すぐわかることでございますから出しますが、火炎放射機等はもちろんございませんが、また、機動隊の将来の働きに差しつかえのあるようなものについては、ここでお約束できません。
  356. 岩間正男

    ○岩間正男君 秘密の兵器はおかしいよ。
  357. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長
  358. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 亀田君。
  359. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連して。それはおかしいよ。
  360. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  361. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起こしてください。
  362. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それから警察官の数でございますが、手元に参りました書類によりますというと、昭和三十七年――これはその後の一万人増員というのがございますが、現に増員を終わっているところ及び現在教育中のところ、及び今年の予算で募集中のところといろいろございますから、その前の三十七年の十三万二千百人について分けますと、警務関係、いわゆる人事をやるとか厚生あるいは教育というものに関係しているのが四千二百三名、それから捜査、いわゆる刑事関係現実捜査に従事しているのが二万二千三百十四名、それから同じく捜査ではございますが、鑑識関係に従事しているのが二千九百二十一名、防犯保安関係が九千五百四十六名、交通関係が一万二千三百五十名、外勤が五万一千六十一名、警備が一万八千六百十六名でございまして、ここにカッコ書きがありますのは、全体の一四・〇八%が警備だということに相なっております。
  363. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの資料は私が持っているのと同じだけれども、十三万二千二百十人じゃないか。十三万二千百人というのはぼくの聞き違いか。
  364. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 十三万二千二百十人です。
  365. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 では、私の聞き違いかもわかりませんが、警備は一四・一%じゃないですかね。それはパーセンテージの計算が多少切り捨てがあったのか、あるいは切り上げがあったのか。
  366. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ちょっと私計算をしておりませんけれども、一万八千六百十六名が一四・〇八%に当たりますから、刑事の場合は二万二千三百十四名、鑑識を入れますと、二万五千名をこしますから、そのパーセンテージはもっと多くなるはずだと思います。
  367. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その数字でいくと刑事警察が一九・一%、警備警察が一四・一%、こうなっているのですが、一四・一でも一四・〇八でもどっちでもいいですが、刑事警察の鑑識を除いた二万二千三百十四名のうちで、これは暴力団係というと語弊があるかもわからぬけれども、そういう係としてやっているのがどの程度いるのですか。大ざっぱでいいです、きょうのところは。大ざっぱでいいし、こまかいところはあとでいいですよ。
  368. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは御参考までですが、刑事警察強化増員の前の数字でございますが、この数字でいきますと、大ざっぱなところで二、三千だと、こう申しておりますが、これはいきさつを申しますと、暴力団専従ということの課を設けたり、専従員を各署に置いたりということにしましたのは、暴力団問題というものが表面に出ましたここ二、三年来のことでございまして、これをもって足れりとしているわけじゃなしに、比率としては少ないということは私たちも認めておりまするが、人数はいま申し上げたような程度でございます。
  369. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 はっきりしませんが、暴力団係というか、それの人数は正確なものを出していただきたいんですが、昭和三十七年十二月末現在より新しいものはないんですか、統計が。それはあと増員したのは交通警察がおもですか、刑事警察もあるだろうし。もっと新しい資料で、現在の警察機構の中で暴力団関係が何人いるのか、それから刑事関係が何人いるのかということを明らかにして、刑事関係だけじゃないでしょうけれども、明らかにしなきゃいかぬ。ただ、暴力団係といっても、それだけが暴力団やっているのではなくて刑事係も暴力団のことをやっていますから、ぼくはそれは知っていますよ。それだけが暴力団やるのじゃなくて、ほかの刑事係が暴力団やらないとは言えないでしょう。そういうことを言えば刑事警察以外も外勤はすべて警備のことをやっている場合もあるし、やっていない場合もある。そうすると、警備警察の一万八千六百十六名というのが、右と左と言うのは悪いですけれども、右翼と左翼とに分けると割合がきまっているわけでしょう。右翼が二くらいで左が八ぐらいじゃないですか、割合は。これはこの前言ったのですよ、警備局長がちゃんと数字ここで。あるいはぼくの言うのはちょっと違うかもわからぬけれども。
  370. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ここに右翼、左翼という分け方をしておりませんけれども、これも暴力団係と同じようで、従来普通の保安という課で左翼を主にし、右翼ももちろんおったわけですけれども、従としてやっておったものも大きなところは独立さしてやっているというようなことで、右翼係というものを置きましたのは、これは暴力団係を置いたよりも、むしろそれよりもあとだ、最近始まったものは。だから、数は、私はいまおっしゃるように八と二になるか、七と三になるか、この数字にございませんけれども、半々ということはもちろん現在ございませんが、だんだん必要に応じて右翼のほうを強化していっていることは事実でございます。
  371. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、あなたのお話聞いていると、右翼係はできた、二、三年前に。暴力団ができたのは二、三年前か、それよりあとだ。右翼係ができたのはその前――右翼じゃなくて左翼ばかり――左翼といっても何だかぼくはよくわかりませんけれども、そっちばかり対象にして警備警察があったようですね。それはこの前三輪さんがはっきり数字あげているのですよ。議事録持ってきませんがあげているのです。もう少しはっきり、きょうわからなければ、この次あげてください。こうなってくると、警察全体の姿勢が一体どこ向いているかということがはっきりわかるのだ。暴力団やるのだやるのだと言っても、ちっともそっち向いていない。逆なところばかり向いている。それはだんだん明らかになってくるわけです。きょうは最後にそこのところへずっときたわけで、あと十五分ありますから、その時間内で明らかにされるものがあればしたいと思います。
  372. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) それ以後の増加の分は、またあらためて資料として差し上げますが、そのときの状況でございますと、純粋に暴力団だけをやっておりますのが千六百三十六人、それから他の係と兼務しながら暴力団をやっております者が千百五十五人、これは本部と警察署と合わしての数字でございます。なお、三十七年九月のこれは統計でございますので、その後の増加を入れてまた資料として差し上げたいと思います。
  373. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 大沢局長来られましたか、まだですか。
  374. 竹内壽平

    政府委員(竹内壽平君) まだです。
  375. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) この機会に、午前中に御質問がありまして答弁を保留しておきましたCRSのことをちょっとお答えしたいと思います。CRSというのは何かというと、これはコルトとルビーとスミス・アンド・ウェッスンという三種類の刻印を押してあるものですから、そのイニシアルをとってCRSとこちらで名前をつけている密輸拳銃であります。今まで押収いたしました状況は、昭和三十七年のこのCRS検挙について申し上げますが、二丁。以後三十八年に月別でございますが二十六丁、それから本年に入りましてから九十一丁という計百十九丁というものがCRS、CあるいはRあるいはSの刻印を押した二十二口径拳銃でございます。二十二口径というのはもちろん正規な拳銃にもございますけれども、拳銃としての使用では、聞くところによりますと、競技用ピストルで普通より小さい。しかし、猟銃はその二十二からあるそうでございまして、猟銃たまをそのままそれに使えるというのがねらいどころじゃなかろうかというのがわれわれの想像でございます。できている性能を見ますというと、ほんとうのものでございませんから、そういう専門のピストル製造業者によるものと違いまして、粗悪品でございます。たとえば銃口の中にライフルがない。旋条といいますか、巻いてないような、わりに本物よりは簡単にできるというようなしろものでございます。それから、フィリピンに目をつけましたのは、過去に押収しました拳銃のうち、兵庫、神奈川、である程度の数の拳銃を押収しましたが、その際情報としてもっとあがっているというような情報や、どこから入ったかというと、フィリピンから来た船員から流れておるというような情報を得ておりまするので、そういうものを総合して、これらの拳銃フィリピン方面において製造されたかあるいはそこを中継ぎにして日本に流れておるものという推定を下したわけであります。そして五月の初めに、そのことについて外務省を通じフィリピン警察協力方を依頼いたしましたら、抽象的には十分協力しますという返事が参り、さらに最近の具体事件について照会をいたしておりまするが、そのことについては現在まで返事が来てない状況でございます。
  376. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはことしの分はいつまでの統計ですか。
  377. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 昨日までの統計でございます。
  378. 岩間正男

    ○岩間正男君 九年になってからですか、年度か、暦年ですか。
  379. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは暦年で申し上げておりまして、月別にも分かれております。
  380. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 さっき警察の部門別の定員について話がありましたね。そのうちの警備の右とか左とかいう内訳などはもっと明らかにしてもらいたいのですが、同時に、予算の中で刑事警察と保安、交通、警備と大体あるわけですね。こう分けた予算があるわけですか、これはいまはどういうふうになっておりますか。たとえば刑事や保安や交通は補助金もあるし、警備は国費だけですね。だから違ってくると思うのですが、私が聞きたいのは、これは結局そのうちで、刑事警察の中で暴力団関係に特にそういうふうな予算を割り当ててやっているのがあるのか、ないのかどうか、こういうことです。これは事件が起きてみないとわからないから、予算としてはそういうのがないといえばどうかわかりませんが、いずれにしても、暴力団なら暴力団を退治するという目的のために刑事警察の中でこれだけの人数が一応従事しておるとするならば、それらを含む捜査の費用の中で、そのために特別の予算が刑事警察の中にあるかどうか。
  381. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 暴力団関係捜査関係予算全体として、地方費もありますし、純国費、補助金と分けられております。正確な数字はいま覚えておりませんが、国費で四億、補助金で二億くらいだったと思います。
  382. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何が四億と二億ですか。
  383. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 暴力団関係の取り締まりの旅費、捜査費その他のものでございます。
  384. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっとよくわかりませんが、刑事警察全体としては、大体国費が九億幾らですか、十億になるかならないかですね。補助のほうが十七、八億でしょう。二十七、八億というのが大体刑事警察全体じゃないですか。その中で暴力団関係に大ざっぱで国が四億くらいで、補助金は幾らですか、二億ですか、これは正確な数字を出してくれませんか。それと、それが全体の刑事警察の費用の中でどの程度の割合を占めているか。
  385. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) すぐ調べまして、お答え申し上げます。
  386. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま私が調べてくれと言うのは、捜査費だけで、人件費なんかは入らないのですか、入った形でなくちゃわからないのですか、別々にわかるのですか。
  387. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 人件費は入っておりません。
  388. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 入っておらない。そうすると、この予算というものは、何か大きく分けてどういうふうな形になって分けているのですか。款項目でいうと、予算書でどこに出てくるのですか、節の中で。暴力団関係をやるとかなんとかいうように分かれている程度ですか。ちょっと予算書を持ってこないからわかりませんが。
  389. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 捜査旅費それから捜査費という形で、さらにまた、内訳として暴力団その他というふうに分かれております。
  390. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、それでは、きょうの毎日新聞に出ていた事件ですが、「交番で〃暴力〃見のがし」、「被害の少年に手錠」、「日吉駅前・乗車拒否からもつれ」というので、「東横線日吉駅前の交番に、タクシーの乗車拒否を訴えた少年が、交番の中でタクシー運転手に加勢したグレン隊ふうの男二人になぐられた。ところが立ち番中の警官は」逆に被害を訴えた「少年のほうに手錠をかけ、暴行した男たちをとり逃がしてしまったことが九日明るみに出た。」こういうことがきょうの毎日新聞に出ておるのですが、しかも、これを見ていた人は、交番の中で警官が二人ともA君がなぐられているのを傍観していた。Aという少年を間違って立ち番中の古橋というのと鈴木という巡査が手錠をかけてしまった。そこで交番の中で「グレン隊ふうの男たちは床に倒れたA君になぐる、けるの乱暴を加えた。百人以上の人が同交番を囲んで見ていたが、目撃者の話だと、たまりかねた三、四人が交番の中にはいり「やめさせてくれ」といったが、両巡査はとめようとしなかったという。通行人が二〇番に連絡、パトカーもかけつけて乱闘はおさまったが、この騒ぎにまぎれてグレン隊ふうの二人は逃げてしまった。目撃者の訴えで事件を知り、神奈川署は運転手二人を調べ、乱暴した男を追及している。」、こうなっておるのですが、目撃者は、「少年は手錠をはめられたままなぐられていた。」、交番の中で手錠をはめられたままなぐられていた。「警官に「助けてやって下さい」というと「とんでもない、きつく処分するんだ」というので、まったくビックリした。」、「守屋神奈川署長の話」、「両巡査から事情を聞いたが、騒ぎをとりしずめるのがせいいっぱいだったようだ。一番興奮していた男をしずめようと、誤って被害者に手錠をかけ、乱暴した男を逃がしたのはまずかった。暴行した男の捜査はつづけている。」、これは、このとおりかどうかは調べてみなくてはあれですけれども、あなたのほうで十分調べていただきたい。これを見ると、いかにも警察官は暴力を取り締まるということを言いながら、ちっとも取り締まらないで、それを目の前で見ていて何もなすことがない。逆に被害を受けた少年に手錠をかけて、やられるのを見ていたのだ、こういうふうに出ておるわけですから、警察のほうとしては、十分この内容について調べていただきたいわけです。警察は暴力追放、暴力追放ということを言っていながら、それを逆に見のがしておいて、それのなすがままにしておいたという一つの大きな例になるかと思うのです。なるとは言いません。なるかと思われるような事案ですから、内容について十分調査をしていただきたい。これは警察庁としては当然やらなくちゃならない、こういうふうに思うわけです。  ちょうど四時になったから、ここでやめます。
  391. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 先ほどの数字でございますが、四億と二億と申し上げましたのは、ちょっと間違っておりまして、刑事警察の国費の分が全部で六億二百十万五千円、それから補助金のほうが八億八千八十五万三千円、その中で暴力団の関係の国費が二億一千八十六万四千円、それから補助金のほうが二億三千四百六十二万一千円でございます。
  392. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちゃんと数字資料として出してください。
  393. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) はい。
  394. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいま、神奈川県日吉の問題につきましては、私もけさほど新聞でそれを知りまして調査を指示しているところでありまするが、現在までのところ、私の手元には、もう役所には参っておると思いますが、参っておりませんので、詳しく検討しまして、ただいまおっしゃったように、あのままが事実であるということであれば、これはたいへんなことでございまして、何かその事情が、間違ったら間違っただけの事情があったんじゃなかろうかとは想像いたしますけれども、これは想像でございますから、事実を調べまして、しかるべき処置をすると同時に、また御報告申し上げます。
  395. 岩間正男

    ○岩間正男君 さっきの資料、装備の資料を早く出すように明らかにしておいてください。
  396. 中山福藏

    委員長中山福藏君) お聞きのとおりですから、もし資料がございましたら、出してください。
  397. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 何の資料です。
  398. 岩間正男

    ○岩間正男君 機動隊の資料。内訳と装備、これの資料を出してください。いいですね。
  399. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 答弁要りませんね。きょうは要りませんね。
  400. 岩間正男

    ○岩間正男君 あしたでいいです。
  401. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 はっきりしてください。
  402. 米田勲

    ○米田勲君 相当時間がかからないなら、きょう聞いたほうがいいよ。(「やめようよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  403. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それじゃもう少し意地になってください。進めましょう。
  404. 米田勲

    ○米田勲君 意地になるとは何を言ってるんだ。委員長、いまの態度は何だ。
  405. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 何でもない。
  406. 米田勲

    ○米田勲君 何でもないとは何だ。
  407. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 何でもない。
  408. 米田勲

    ○米田勲君 あなたが、四時きっぱりで二、三分前なんと厳密なことを言うから、ぼくがわざわざ協力して聞こうと、それを意地になるなんと言うのは何ですか。
  409. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 意地になるとは、あなたが言うから、それで、やらせましょうと、こういうわけです。まあ、よろしい。
  410. 米田勲

    ○米田勲君 意地になるなら、やるなんというのは逆な話じゃないか。
  411. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  412. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは、本案に関する質疑はこの程度にいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四分散会