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1964-06-09 第46回国会 参議院 法務委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月九日(火曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     中山 福藏君    理事            後藤 義隆君            迫水 久常君            稲葉 誠一君            和泉  覚君    委員            植木 光教君            栗原 祐幸君            鈴木 万平君            田中 啓一君            坪山 徳弥君            日高 広為君            丸茂 重貞君            亀田 得治君            中村 順造君            米田  勲君            岩間 正男君            山高しげり君   国務大臣    法 務 大 臣 賀屋 興宣君    国 務 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    警察庁刑事局長 日原 正雄君    法務省刑事局長 竹内 壽平君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○暴力行為等処罰に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会開会いたします。  暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。稲葉君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 質問に入るんですが、この前のこの委員会法務省関係相当ペンディングになったものがあると思うんですが、どういう点がペンディングになっていたか、ひとつ法務省のほうで最初に確認してもらいたいと思います。そこから始めたいと思います。
  4. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) この前、御質問の中で、問題は、第五十一帝国議会における治安警察法審議暴力行為等処罰に関する法律審議等に関しまして、当時の実態国会議事録に基づきまして研究をしてほしいという御要望があったように承知をいたしております。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、要望というか、その結果はどうなったんですか。
  6. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 研究をいたしました結果も、この前ここで御答弁申し上げたところと大綱において何ら誤りがないということを確認をいたしております。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 誤りがあるかないか聞いているわけじゃなくて、ペンディングになっていたことがあると私は思うんです。たとえば、治安警察法の十七条で暴行、脅迫を廃止したという理由が明確にはなっていなかったように私はまあ考えるわけです。もし明確だというならば、その廃止になった理由を、これはもうあなたのほうの最終的な研究の結果、そういう見解としてひとつ個条書きかなんかでわかるように説明を願いたい。
  8. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 速記録に基づきまして調査をいたした結果によりますると、政府の述べておりますのは、治安警察法第十七条及び第三十条は、従来しばしば議会において問題となったものであるが、今日においては労働争議または小作争議に関してかような特別の刑罰法規を存置する必要を認めざるに至った、それゆえにこれを廃止しようとするものであるということを国務大臣から国会の場でその趣旨を明らかにいたしておりまして、詳しいことはわからないのでございますが、その後の委員会での質疑応答等を見てまいりますると、同盟罷業等に対する政府の考え方が、その当時、それ以前とかなり大きな変化が見られるのでございまして、その変化に基づいてこれを廃止するに至ったと、かようにうかがわれるのでございます。そのことは、私がこの前答弁申し上げましたのと内容的に何ら違いはないように私は思っているのでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それでは、これは一応ほかのほうへ進めることにしましよう。どうもその点がまだはっきりしないんですがね。  そこで、きょうの質問は、まず暴力団というものの定義というか、そういうふうなものを、たとえば警察はどういうふうに考えておるのか、そういうようなところからひとつ聞いていきたいと思うんですが。
  10. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 警察暴力団として取り締まり対象にしておりますのは、集団的にあるいは常習的に暴力的不法行為を行ない、または行なうおそれがあるものというふうに一応解釈して考えております。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどこに根拠があるんですか。法律上の根拠があるんですか。そういう定義は。
  12. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 法律上の根拠は一切ございません。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警察庁組織令第十条の二第二号というのは、これは何ですか。
  14. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) ただいま申し上げましたのは、警察庁組織令の十条の二の捜査二課の分掌事項の中に暴力団として定義づけられておる事項でございます。ここには、「集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行なうおそれがある組織をいう。」ということに一応なっております。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、一応法律的な定義というものは、まあ警察庁組織令にしても、その中に暴力団定義というものはあらわれているんじゃないんですか。そう見ていいんじゃないですか。
  16. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 一応組織令上はそういう定義になっております。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省のほうはどういう見解なんですか。
  18. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいま警察庁からお述べになりましたように、私ども警察庁組織令第十条の二の第二号に規定してあります警察取り締まりの面から見た暴力団というものをただいまお述べになったように定義をつけておるということにつきましては、私どもも全くそのとおりだと思います。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、法務省にお聞きしますけれども、いまの暴力団定義ですね、これはどこか不完全なところがあるんですか。
  20. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 不完全なところは何もございません。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、警察のほうはどうですか。これで暴力団定義がどこか不完全なところがあるというか、欠陥があるんですか。
  22. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 御質問趣旨がちょっとわかりかねるのですが、  一応私どものほうはこういう解釈でもって暴力団というものを把握しておるわけでございますので、一応いまのところ特に不完全なところというのは考えておりませんですが……。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の質問意味がわからないというんですけれども暴力団というのは、いま言ったように、警察庁組織令第十条の二の二号で定義づけられていると、こう法務省も言うし、警察庁も言うわけですから、それじゃその定義は不完全なのか、どこか欠陥があるのか、こういうふうに聞いているわけですよ。そうしたら、法務省のほうでは、これは欠陥はないのだ、不足なところはないのだと、こう言われる。警察のほうは、何か私の質問意図というかそれがよくわからないように言われたんですけれども、いま私の説明したことでわかるのじゃないですか。もう一ぺんひとつ答弁願います。
  24. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私は、これで一応の出正義になっておると思います。特に不完全なところということは考えておりません。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、ここに資料として「昭和三十九年四月十四日、刑事課」という資料が来ておるんです、「暴力団について」というのが。これは法務省資料なのか、警察庁のほうの資料なのか、ちょっとわからないんですが、これはどこの資料でしょうか。
  26. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 法務省と書いてございませんが、「刑事課」と書いてありますのは、法務省刑事課資料でございます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、「暴力団定義することはむずかしい。」と最初に書いてありますね。「しかし、それは、現に多数存在している。そして、それらの中には、いわば公然と存在しているものもある。」と、こういうんですが、暴力団定義することはむずかしいと言ったって、ちっともむずかしくないのじゃないですか。
  28. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、社会学的ないしは刑事犯罪学的な観点から暴力団というものを定義するその必要は、警察取り締まりとかこれの対策を講じていく上において重要でございます。そういう観点からの定義は、先ほど警察当局でお述べになったような定義ができると思います。それから今度は、冒頭に書いてあります「定義することはむずかしい。」という意味は、これを刑法学観点から、もし暴力団というものが違法か合法かということを観点に置いて、そういう観点から刑罰対象としての暴力団というものを考えました場合に、その定義はなかなかむずかしい、こういうことを申し上げておるのでございます。もう少しわかりやすく言うならば、もし暴力団というものが違法なるものでありますならば、それ自体違法なものでありますならば、処罰する団体として規制対象に置くということが可能になってくると思うのでございますが、そういう観点からこの暴力団を見てまいりますると、裏口ではどのようなことを実際にやっておるか知りませんが、実体として見ますると合法の仮面をかぶっておるというふうに見ることもできましょうし、いやそうじゃなくて合法そのものだというふうに見ることもできるのでございまして、団体刑罰対象という観点から定義づけようということになりますと非常にむずかしいということを冒頭に書いておるつもりでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どうもよくわからないんですが、警察庁組織令に書いてあるのは、これは法律的な解釈ではないと、こういうんですか。そういうようにお聞きしてよろしいんですか。
  30. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 法律的な解釈でないというふうな意味じゃなくて、実体のとらえ方の面が、片一方は社会学的にとらえておるし、片一方——法律学的ということばが適当かどうかわかりませんが、刑罰対象としての暴力団というものを、つまり違法な団体であるか合法団体であるかという観点からの団体としての性格法律的に見ていくという観点から暴力団とはどういう性格のものかということを見きわめていきますと、その定義が非常にむずかしいのでございますが、社会学的に見てまいりますと、警察庁組織令できめてございますように言い得ると思うのでございまして、これで過不足があるかどうかということはしばらく別としまして、私は一応社会学的に見てうなずける定義であると、かように考えておるわけであります。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃ、いま言った警察庁組織令法律学的に見ると、これではどこがいけないんですか。
  32. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 法律的に見ればどこがいけないか——法律的に見てもそれは一向かまわないのでございますけれども、つまり暴力団というものを違法な団体だと見得るかどうかということの定義はむずかしいということを申しておるだけでございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力団を違法かどうかを見るということはむずかしいとしても、暴力団そのもの法律的に定義することはできると、こういうわけですね。そうすると、暴力団そのもの法律的に定義するとどうなんですか。これでいいというんですか。
  34. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) そういうふうに見てまいりますと、第二項のところで冒頭に書いてありますように、警察定義と同じように見ていいと思います。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力団そのものが違法か違法でないかということは、それはどうやって判断をするということになるんですか。
  36. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 団体そのものが違法であるということを申し得るかどうかということなんでございますが、博徒と言われるような人たちは、ばくちは違法なる行為でございますから、この違法なるばくちをもって唯一の資金源としておるというような団体がもしあるといたしますれば、そういう団体はあるいは違法というレッテルをはることが可能かと思いますが、そうではなくて、資金源、財源というものを得る手段としてあるいは土木建築をやっておるとか、あるいは汲取業をやっておるとか、あるいは興行をやっておるとか、あるいは大道商人をやっておるとかいうことで、その生業自体は何ら違法でないという場合でも、警察庁でおきめになっておるような社会学的な立場から見ると、やはり暴力団の中に数えなければならない団体も少なからずあると思うのでございます。そこに私ども法律的に違法の団体であるかどうかという立場、非常に狭い立場、きびしい立場暴力団というものを定義しようとすると、それはむずかしいのでございますが、そうでなくて、どういう生業、正しい生業を営んでおる団体でございましても、集団的に常習的に暴力的な不法行為を行なうおそれがあるという団体は少なからずあるわけでございまして、そういう意味において、警察庁組織令にきめてあります。その定義は私は正しいと思うのでございますが、しかし、今度はその団体そのものが違法かどうかという立場定義づけることができるかどうかという観点に立ちますと、それはなかなかむずかしいということが一の冒頭のところに書いてある趣旨でございます。
  37. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 国家公安委員長がお見えになりました。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、国家公安委員長にお尋ねするんですが、今年になって、四月の二十日ですか、国家公安委員会で全国の管区警察局長会議を開いて、そこで組織暴力といいますか、そういうようなものを中心にこれの対策討議した。この中で、一体どういうことを討議をされたのか、まずそこから承っていきたいんですが。
  39. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私はその席ではあいさつだけいたしまして退席をしましたが、そのあとでいろいろな打ち合わせをいたしたようでございますので、事務当局から内容説明いたさせます。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと待ってください。それは、あなたは国家公安委員長としてあいさつだけで帰ってしまったんですか。これだけの重要な会議であるのに、あとは、はいさよならということなんですか、あとは知らないということなんですか。だとすれば、ぼくはちょっと無責任だと思うんですが、ほかにも用があったのかわかりませんが、そこのところはどうなんですか。
  41. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 国会開会中でございますので、なかなか時間がございません。そこで、委員会の要求もありますし、最初から私責任上出まして、一言あいさつを述べまして、そして、あとは、いろいろな問題、特に組織暴力などということについて特に何らかの点を取り上げてこれを議題にしたというふうに——私は承知をしてはおりませんけれども交通問題その他についていろいろな討議があったと了承いたしております。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあそれは四月二十日だから、月曜日だから、国会はどういうふうであったのかちょっと問題だと思うんですけれども、これはあなたがそういうふうに言われるならあれですけれども、具体的にどういうふうなことがそこであったんですか。これは刑事局長のほうでわかっているんですか。
  43. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 暴力団取り締まりにつきましては、本年一月の取り締まり強化のための国家公安委員会決定に基づく要綱に基づいて取り締まりを実施してきておるわけでございますが、四月の会議におきまして、それぞれ各省管区ごと暴力団の現状、取り締まり状況等について互いに報告いたしますとともに、私どものほうでさらに要綱に基づいて取り締まり強化心がまえ等について指示いたしたようなわけでございます。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その警察局長会議でどういうことが報告になったのか、そのことを知りたいのと、それから今年の一月の国家公安委員会要綱というのがありますね。それがこの委員会には出ていないわけですね。それを説明してくれませんか。そうしてあと資料として出してほしいんですが、今年の一月の国家公安委員会暴力対策要綱というようなものはどんなものですか。
  45. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 一月二十日に要綱をつくっていただいたわけでございますが、それには、前段のほうは省きまして、要綱内容だけ一応簡単に申し上げますと、第一は「取締り強化対策」ということで、これも項目だけ申し上げますと、第一に「暴力組織実態解明を推進すること。」、それから第二に「暴力取締りのための特別取締体制の確立を図ること。」、それから第三番目に「暴力組織に対する視察内偵体制強化すること。」、それから第四番目に「暴力犯罪に対する初動捜査体制充実強化を図ること。」、それから第五番目に「暴力組織存立基盤に対する取締り徹底すること。」、それから第六番に「暴力犯罪の温床に対する取締り強化を図ること。」、それから第七番に「暴力組織相互対立抗争事件取締り強化徹底を図ること。」、それから八番目に「けん銃その他の銃砲刀剣類取締り徹底を期すること。」、それから九番目に「暴力犯罪被害届出の促進を図るとともに、被害者参考人等保護措置徹底を期すること。」、それから十番目に「暴力取締りについての民間協力関係強化に努めること。」、それから十一番目に「暴力犯罪を犯した者に対する保釈等適正化を図るため、裁判検察機関との連絡をいっそう緊密にすること。」それから十二番目に「暴力組織構成員については、単に被疑者としての検挙措置に終わることなく、正業への転換を促進するよう、関係機関との連絡を緊密にすること。」、それから十三番目に「暴力犯罪を犯すおそれのある精神障害者等の発見とその保護取締り強化すること。」、これが「取締り強化対策」の項目でございます。  それから第二の「法的規制強化対策」として、一つが「暴力行為等処罰に関する法律の一部改正を促進すること。」、それから二つ目に「銃砲刀剣類等所持取締法改正検討すること。」、それから三番目に「簡易な即決裁判手続きの創設について検討すること。」というようなことを定めております。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その要綱の正式な名前は何というんでしたかね。
  47. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 「暴力取締対策要綱」でございます。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その「暴力取締対策要綱」というのは今年の一月二十日につくったというんですが、その前にはそういうふうな要綱というようなものはなかったんですか。
  49. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 昭和三十六年の閣議決定に基づく「暴力犯罪防止対策要綱」というのがございますけれども、特に警察庁としてその前にこういうようなものをつくったことはございません。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和三十六年二月二十一日閣議決定暴力犯罪防止対策要綱」というのがあるわけですが、それはやはり抽象的なものが書いてあるわけですが、それに基づいて三十九年一月二十日までそういうふうな取り締まり対策要綱というものはなかったんだ——要綱だけがあることが暴力取り締まりの基本的な問題であるかどうかは議論があるところで、これは別個の問題として、そういうような要綱はそれまでなかったということだけは事実だと、こう承ってよろしいわけですか。
  51. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 警察取り締まり体制問題そのものとしては、この要綱以前にもほぼ同じような線で進めてきておられる面もございまするけれども国家公安委員会決定にまで持へ込んで強力に進めるということにいたしましたのは、この要綱が初めてでございます。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこら辺が、国家公安委員会なり何なりが、この問題に対して積極的に取り組む意図というか、取と組んできたという体制なりというようなものがあるのかないのか、ぼくは一つの問題になるところじゃないかと、こう思うんですが、そうすると、あれですか、特にことしになってからこれを強力にやらなければならない事情というものが生じてきたわけですか。そうでなければ、何かてこに具体的なものが何かあるんですか。
  53. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私どものほうとしては、従来もできるだけ暴力犯罪取り締まりにつとめてまいったつもりではおるわけでございまするが、依然として暴力犯罪あとを断たない、また、世論も暴力犯罪一般についての取り締まり強化を望む声が非常に強いということから、いままでの体制ではどうしても強力な取り締まりができないということで、本年度は暴力交通ということを二つ警察中心目標に掲げて出発いたしました関係上、暴力につきましても従来の施策を全部総合いたしまして、この要綱のもとに徹底した取り締まりを行ないたいというような気組みでつくったわけでございます。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのお話を聞いておりますと、いままであまり徹底してやらなかったというふうに聞こえるんですが、これはぼくが皮肉にとっているからかもしれませんけれども、どうもそういう印象を与えるのですが、そうすると、昭和三十六年二月二十一日に閣議決定があった後に警察全体としてはどういうような具体的な対策をとってきたんですか。これはこの前何か質問があったかして資料をいただきましたけれども、はっきりしない点もありますから、説明を願いたいんですがね。
  55. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) この対策要綱以前の取り締まり体制の問題につきましては、先ほども申しましたように、私どもの局の関係につきましては、ほぼおおむねみな同じような取り締まり体制でやってきてはおるわけであります。特に今回暴力団取り締まりについての奇手を発見したということはないのでございまするけれども、ただ、従来の体制はまだなまぬるいということで、強化しよう。前の対策要綱以来の問題といたしましては、この前も長官からお話がございましたように、この刑事局取り締まり体制以外の問題として、青少年に対する総合的な施策の推進、あるいは犯罪を誘発する不良有害環境改善等、各般の施策が講じられているわけでございます。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのいまの閣議決定から後の法律改正は、何か警察関係であったわけですか。
  57. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) その後のこれに関連する法律改正の問題としては、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律ということで、昭和三十七年の——これも資料として「改正経過」としてお渡ししております終わりから二枚目の後段の部分だけと一応記憶いたしております。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その閣議決定後における法務省関係ではどうですか。
  59. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは資料としてお手元へ差し上げてございますが、五月九日という日付の入りました「関係各省庁が実施した施策等について」という資料でございますが、その第二枚目に、警察庁の次に法務省関係が書いてございます。法務省といたしましては関係部局が相当ございますので、最初検察関係といたしまして、検察庁で何をしてきたかということを書いてございます……。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法律改正のことを言っておるんですよ。
  61. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 法律改正の点につきましては、三ページのところにございますように、法制審議会刑事法特別部会刑法改正の作業を行なっておるのでございますが、それと、第二番目には、ただいま提案をいたしております暴力行為等処罰に関する法律改正案でございます。それからなお、ただいま検討いたしておりますものとしましては、4のところにございます(2)でございますが、小暴力事犯取り締まりのための法制の整備でございます。それからまた、小暴力事犯関係刑事訴訟手続簡素化についての検討をいたしておりますし、さらに(4)に書いてあります少年関係法制改正についても検討中でございます。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、警察関係がおもですが、この閣議決定があった後に警察庁関係の人員の構成というか、配置というようなものは、どういうふうに変化をしてきたわけですか。それは刑事警察とか警備警察とか交通警察とかいろいろありますが、全部で十三、四万あるわけですが、この内容的変化はその閣議決定の後にどういうふうに変化してきているんですか、人数なり何なり。
  63. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) ただいま資料を持ち合わせておりませんが、あまり人員的にはふえておりません。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 人員的にふえていないって、ただそういうふうなだけでなく、何がどういうふうに人員的にふえていないんですか。そういういろいろな人員的なだけじゃなくて、内部のいろいろの構成の問題なり何なり、暴力団対策というものがきまったなら、それに応じた人的構成なり何なりいろいろのことが行なわれておるなら、それに対する閣議決定後の資料というのはないんですか、あることはあるが忘れてきたのか、そういうものはまだつくってないというんですか。話はいろいろあるが、どっちなんですか。
  65. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) いまさしあたり手元に資料を持っておりませんけれども、人員的にはふえていないのですが、いろいろな機構の面その他で強化した面がございますので、後ほどまとめて御説明いたしたいと思います。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あれですか、こうやって暴力団対策に積極的に政府なり何なりが取り組む必要があると認めたけれども、人員的には別にふやす必要はないんだという見解だったわけですか。これは、公安委員長は、そういうことは就任前だから、詳しいことはあまりおわかりになりませんか。そこはどうなんですか。
  67. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 御承知のように、刑事警察官の問題といたしましては、五千名増員が本年度から来年度にかけて認められておるわけでございます。これはもちろん暴力取り締まり強化に資するわけでございますが、いままでの経過から申しまして、交通の増員その他でもって人員的には必ずしも十分な配慮がなされていなかったという欠点はあろうかと思います。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 人員については十分な配慮がなされておらなかったというんですが、これは、これだけのものをきめたらば、それに基づいて積極的に人員なら人員をこの関係暴力犯罪防止に専属させるというか、そういう形での人員というものをふやしていくとかなんとかいうことは、考えたんだけれども政府で認めなかったというのか、あるいはそこまで考えなかったというのか、ここら辺がどうもはっきりしませんね。そういうふうなことはなくても十分やっていけるというふうに考えたんですか。どうもよくわかりませんな。私はやはりわからないことはわかるところまで聞かないと気が済まない性質なものですからお聞きするわけですが、どうなんですか。
  69. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 今回の五千名増員でも、特に本年度から来年度にかけて増員は認められたわけでございますが、それ以前の段階においてなかなか認められなかったという事情であろうと思います。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは認められなかったというんですけれども閣議決定以後、暴力団関係犯罪防止のために、警察庁としては、人間をこれだけふやしてほしいとか、そういうことで、三十六年二月二十一日から、三十六年もあるし、三十七年もあるし、三十八年もあるし、三十九年春あるし、具体的にどういうふうに人員を増加してくれという要求をしていたんですか、通った通らないは別として。その人数をふやすことだけが問題の解決ではありませんけれども、どういうふうになっているんですか。やる気がないんじゃないですか。形だけこんなものをつくったんじゃないかと疑われてもしかたがないんじゃないですか。疑うわけじゃないんですけれども。(「宣伝だけだ。裏づけがない」と呼ぶ者あり)
  71. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 静粛に願います。
  72. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 従来、閣議決定が出ましてから、人員を要求したが、なかなか認められなかった。したがって、ほかのいろいろな部面の人員をある程度融通してもらって、部内的には暴力団に対する人員はふえておりますけれども、新規な人員としての増員は従来認められていなかったという状況でございます。
  73. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、私の聞くのは、閣議決定以後、毎年一体何人ぐらい暴力犯罪防止のために必要だというので警察庁政府に対して人員の増を要求したのかというんですよ。これはわかっているんじゃないですか。要求しないならしないでいいですよ。別にそれは隠すこともないので、それだけの問題ですから、しなかったらしなかったと、したけれども認めてくれなかったと、それしかないじゃないですか。
  74. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 人員問題について非常に激しい御質問でございますが、現在、警察庁は、御案内のとおりに約十五万で、私どもといたしましてもいろいろ検討いたしました結果、なお三万ぐらいの人員増が望ましいわけでございますが、御案内のとおりに、全部国庫で警察官を使うわけじゃありません。地方負担もありますし、いろいろ本庁のほうで配備計画はいたしますけれども、それで不足を感じておる比較的富裕な県では、また単独で地方団体で費用を出しましてそして警察官を増員しておるというような、まことに私としてはおもしろくない状態であるわけでございます。しかしながら、やはり量より質ということも考えなければなりませんし、また、こういう社会的にいろいろな不安をかもすような事態になってきておりますので、その原因につきましてもしかし全体の問題としてやはり解決しなければならぬ問題があると私どもは考えております。しかしながら、やはりこういう暴力行為というものは絶滅を期さなければ、やはり国民としては安心して日常生活を送ることはできませんから、それに対しましては、単に日前に現行犯があったということでそれを措置するということだけでなくて、やはり情報も得、また、いまの段階ではいわゆる暴力団組織の内部を解明してそうして絶滅を期しておりますが、これは御承知いただいておる点だと思いまするけれども、末端のほうでつかまえました者がいわゆる親分のところへ至りますまでにはなかなかむずかしい過程がありまして、しかしながら、前国家公安委員長も言っておりましたとおりに、交通事故半減、暴力犯罪絶滅ということを期して日夜努力はいたしておるわけでございます。ですから、いろいろなそういった方面の人員をふやすふやさぬということもありますけれども、一方、暴力犯罪絶滅を期しまして警視庁でもそういう対策本部をつくったりいろいろ努力いたしましたり、日夜警察活動をいたしておる次第でございます。
  75. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国家公安委員長の話はわかります。それはそのとおりというか、あなたの言われることはわかりますけれども、私が聞いているのは、閣議決定でこういうふうになったならば、暴力犯罪防止のための警察官をふやすことだけが能ではないわけですが、私は、だから、決して警察官の数を反面でふやすだけで問題が解決するということを言っているのじゃないんで、しかし、こういうふうなものをつくったとすれば、その後において積極的にこれに切り換えようとするならば、これだけの警察官をこれだけの専門のものなり何なりの要求をしたのかしないのか、しなかったならしなかったでどっちでもいいんだけれども、したけれども認めてくれなかったのか、したなら、いつ、何名なら何名、どういうふうにしたということだけを聞いているんです。誤解されるといけませんけれども、このことだけで問題が解決すると言っているのじゃないんですよ。そういうふうに解されると因るんですがね。
  76. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 具体的な数字は、あと事務当局のほうで準備して出すようでございます。
  77. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あれですか、別に警備警察というのがありますね。警備警察のほうは、あれですか、その後ふえているんですか、あるいはふえていないのか、ふえるように増員を要求しているんですか、したけれどもだめだったというんですか。そこはどうなっているんですか。
  78. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 説明員に説明いたさせます。
  79. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をつけて。
  81. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 警備警察の要員は、増加しておりません。おりませんが、先ほど私申しましたとおりに、機構など改革いたしましてこれに対応する措置は講じておるわけでございまして、私が新任されました後にもまずこの問題を取り上げて、警察官職務が過酷だと思われることすら、実は私自身じゃありませんが、公安委員会として要求せざるを得なかったわけでございまして、たとえば新聞にもからかわれましたが、おすわりさんが初めておまわりさんになるとからかわれたこともあったわけでございますけれども、いすなんか取り払ってしまえという激しい議論まであったわけでございます。やはりこの警備ということはなかなか精神の集中が必要がございますので、、私は、具体的に、交代制を守る、瞬間がどういうふうに勤務しておるか、無理があるかないかということ、それから警察官は一般の職務に従ってそれぞれ警備の任務を持っておりますけれども、昔の軍隊でもやっておりましたが、ああいうふうに一線の歩哨に立ちます場合には特別に守則などの簡単なものは付与されますし、また、受け持ち区域をきめるなどいたしませんと、まあ、ある一定の警備を命ぜられた者にとってはほかの雑務を軽くしてやりませんと、なかなか精神の集中ということが困難であると考えられます。そういった指導面では綿密な計画を立てまして、一そう国民の期待に沿わなければならんと考えてやっておるわけでございます。  ただ、そのために人数を何人ふやしたかというお尋ねになります場合におきましては、先ほど申しましたように、なかなか警察官の増員ということは困難でもあります。困難なら困難の事態の中に、われわれといたしましては目的完遂のために全力を注ぎつつあるわけでございます。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どうも国家公安委員長は、たいへん失礼ですけれども、まだ新任されて、こういうことを言っちゃ悪いけれども、あまりこのほうの仕事にはおなれになっていないのではないかという印象を受けるものですから、私もできるだけやわらかくお聞きしているつもりですが、いま言われたように、警備なら警備はふえていないというんですけれども、現実の問題として、ふえていないということよりも、それじゃ警備のほうはその後において増員の要求をしたのか、それから刑事警察の中で特に暴力関係ということで増員の要求をしたのか、そういうようなことを年次別に明らかにしてほしいということを言っているわけですが、いま資料がないというなら、あと資料で明らかにしてもらえればと思いますが、いま機構改革があったというのですが、私の聞きたいのは、昭和三十六年二月二十一日に閣議決定があって暴力犯罪防止対策要綱というのができたんだと。できた後に、いつどのような形で警察庁全体の中でこれに対処するための機構の改革があったのか、そのことを具体的に日時を追って説明を願いたいと、こういうことです。
  83. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 要綱以後の日時を追っての機構的な面での強化の面でございますが、詳しい資料を準備してまいっておりませんので、これは警察庁ばかりでなしに、各府県にそれぞれ捜査四課が設立されましたし、それから初動捜査班が強化されましたりいたしておりますので、しばらく時間の御猶予をいただきたいと思います。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、ここまで質問があるというふうにあなたのほうで考えられなかったかもしれませんけれども、各府県のこまかいことは抜きにして、大きな流れとして、閣議決定以後に警察庁としてやったことは——あなたは刑事局長になられたのは去年ですか、おととしですか、忘れましたが、大体のことはわかるのじゃないですか。これに対処するための機構改革があったのかなかったのか、あったとすれば一体何なのかということだけお聞かせ願いたいんです。それによって一体効果をあげたのかあげないのかということもあわせてお聞きしたいわけです。
  85. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) この要綱以後、機構改革がありました。捜査四課あるいは初動捜査班、あるいは防犯関係におきましても取り締まり強化のための機構を強化いたしております。  それからそれによって効果があったかどうかということでございますが、私どもとしては、検挙人員その他の状況から見まして、相当な効果をおさめているというふうに考えております。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 赤澤委員長がいま述べられたことの中で私いま考えて気づいたのですが、一体、暴力団が社会的不安をかもすようになってきたというようなことは、いつごろからそういうふうになってきたかというふうにあなた自身にお考えなんですかね。それがはっきりしないんですね、聞いていて。
  87. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) いつからといって明確な時期は申し上げかねますけれども、実際、統計の数字からいたしまして、暴力犯罪絶滅どころか、どうもやはり最近こういった案件が新聞紙上でもたくさん出てまいりますし、また、私も、いわゆる暴力団暴力ということは、さっきからいろいろ御議論がありますけれども、なかなか取りようによっては範囲が広いと思うんです。チンピラとかテキヤとかいろいろな種類の、考え方のよくない人たちの数がやはり統計上減らないでふえていく状態にあるということを私見て、たいへん残念に思うわけでございます。どうしてそうなったかということにつきましては、いまここで私がこれこれこれが原因だということを申し上げることは困難でございまするので……。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 原因については、これはむずかしい問題があって、それをいまあなたに聞いているわけじゃなくて、私の聞いているのは、あなたのお話を聞いていると、暴力団が社会不安をかもすようになってきた、と言って、つい最近そういうふうになってきたようにあなたのお話を聞いていると聞こえるから、そうじゃないのか、あるいはそうなのか、いつごろから社会的不安をかもすようになったとあなた自身はお考えなのかということを聞いているわけです。原因については別個の問題ですから。あなたのお話を聞いていると、ついこのごろそういうふうになってきたという印象を与えるわけです、聞き方が悪いかもしれませんが。
  89. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) それは私は誤解をこうむるようなことを申し上げたかもしれませんが、私宅二十年もここにおるわけでございます。その間の経過はいろいろございますが、やはりこの最近ということばを使わしていただくよりしかたがないと思うのですけれども、私の最近というのは、最近という近間からではなく、やはり数年前から何か私はおもしろからぬ社会現象が起きているというふうに察知するものですから、このことを申し上げたわけでございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはその程度ですね。  そこで問題になってくるのは、あなたの言われた対策本部をつくったと。何の対策本部をいつつくったでしょうか。これはことしつくった話じゃないんですか。去年つくった話ですか。
  91. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 都道府県ごとにやっておりますが、警視庁につくったのは二十九年だそうでございます。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警視庁の話ですか、対策本部というのは。  それでは、これはどうなんですか。組織暴力ということについていろいろこのころ問題になっていますね。この組織暴力というのは何なのか、具体的にはどういうものですか、説明を願いたいんですがね。
  93. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お尋ねの要旨がよくわかりませんけれども、近ごろ暴力団というものもだいぶ組織化いたしまして、それが政治結社の届出をするなどという事態まで起こっておりますので、そういうことを御指摘になりますならば、組織暴力というものは、まことに個人の暴力がさらにこれが組織されたら強大になるわけでございます。何々組とか何々団とかそういうものがそれぞれ組織として動いていますので、これはまた格段の注意をいたしているわけでございます。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その組織暴力ということは、具体的にどういうものなんですか。それはどの程度あるのかというそれについていろいろ会議を開いて報告などをやっているのじゃないですか。特に近来組織暴力が問題になっているということで、これに対する対策中心としてやっているのじゃないですか。
  95. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御指摘のとおりやっております。いまここでいや松葉会、いや何会、何回ということを一一全国的にわたって申し上げることはいたしませんが、ただ、御留意願いたいことは、先ほど申しましたように、ただ末端で起きたものをつかまえるということだけではなかなか根絶ができない。そこで、その根っこのまず資金源を洗っていこう。それからまた、こういった内部の状況というものをよく調査いたしまして、そうして根っこに手を入れるにはどういう方法があるかということを検討をしております。で、それに今の警視総監の原君なども非常に熱意をもってこの問題をぜひ解決しなければならぬということで陣頭指揮をやっております実情でございます。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いま組織暴力の問題の中で——どうも組織暴力というのはあまり簡単に説明されてしまったんですが、その資金源の問題が出てきたわけてすが、そうすると、そういうふうな暴力団資金源をどこから得ているか、こういうふうなことについて、警察庁としてそれと取り組むというか、調査もしたというか、そういうふうなものはどの程度あって、どういうふうにわかっているわけですか。
  97. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 暴力団資金源ということでございますが、一応大きく分けまして、合法的な資金源、それから不法な資金源というふうに分けられると思うのです。合法的な資金源につきましては、これは各種いろいろございますし、特に申し上げることはないと思いますが、不法な資金源といたしましては、賭博事犯、麻薬密売事犯、あるいは興行等をめぐる不法な事犯というようなことで、いろいろな態様をもって資金源といたしております。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、法務省にお聞きをしたいんですが、「犯罪白書」ということを私のほうで政府委員室のほうに知らしておいたわけですが、その「犯罪白青」ことに昭和三十八年の一番新しい「犯罪白書」、これを見ると、刑法犯の罪種別の傾向とか、検挙人員とか、十八ページ以下に一応記載してあるわけですが、これのひとつ大ざっぱなところを説明を願いたいわけです。これは暴力犯罪との関係において現在どういうふうに犯罪が行なわれておるのか。たとえば刑法犯の罪種別の傾向、検挙人員、暴力犯罪、その中でも主要暴力犯罪の検挙人員の指数表、主要暴力犯罪発生件数、傷害・暴行・恐喝有罪人員、所属団体暴力団関係検挙人員、こういうふうなものは大体資料として「犯罪白書」に出ているわけですね。出ているでしょう。全体の暴力関係犯罪がどういう傾向にあるのか、これをひとつ大ざっぱにでも説明を願いたいと思います。
  99. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ごく大ざっぱに申し上げますと、刑法犯は、数字の上から申しますと、ここ数年来の傾向といたしましては、検察庁の受理人員という統計の上から見ますと、大体横ばい状態にあるかと思うのでございます。ただし、その中で暴力犯罪は、これも全体的に見ますると、数字の上で必ずしもひどくふえているというのではございませんけれども暴力犯の中で、最も凶悪と思われる恐喝とか傷害とか強姦とか、この種のいわゆる粗暴犯と申しております類型の犯罪は、成人につきましても少年につきましても著しくふえていることが認められるわけでございます。これは統計の上から見ますると、これは個人心々の犯罪対象として統計の上に出ているのでございますが、これを先ほど申したような組織的にこのような暴力行為に出るおそれのある団体がどういうふうに暴力犯罪に関与しているかといろ観点から見てまいりますと、この関与の程度は非常に深いのでございまして、特に暴力団構成員と思われる者の暴力犯罪というのは、またその占めております比率が非常に調いということが伺われるのでございまして、ごく大ざっぱに申しますと、そのような傾向になっているように私は看取いたしておるのでございます。この白書におきましては、これらを計数的に分析しながら記述してあるわけでございまして、ごくあらましを申し上げますと、そういう傾向にあると申して過言ではないと思います。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この白書で言うと十八ページの最初のところに罪種別にこう分けているわけですね。財産犯罪暴力犯罪と性犯罪、過失犯、その他、こう五つに分けておるわけですが、暴力犯罪の中の殺人、傷害の次に暴力というのがありますね。その次に脅迫というのがありますが、これはどういう意味ですか、この暴力というのは。これが十九ページのI−7表にきますと、殺人、傷害致死、傷害、暴行、こういうことになっているんですかね。7表のほうにいくと暴行になっているでしょう。
  101. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) この傷害の次に暴力と書いてございますのは、これは誤植でございまして、暴行でございます。刑法犯の暴行罪という意味でございます。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑法犯の暴行って、単純暴行のことですか。
  103. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) さようでございます。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、7表の「刑法犯主要罪名別一審有罪人員と百分率」というところには、暴力行為というのは刑法犯でないので、ここに人っていないわけですか。そういう解釈ですか。
  105. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 統計上入っておらないわけでございます。暴力行為処罰法に含む犯罪は、私どもは刑法犯の類型に入れるものだと思っておりますが、形式上は明らかに刑法以外の特別法の規定でございますので、準刑法犯と申すことができるかと思いますが、統計の上では刑法犯の中に入れておりません。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、全体の犯罪の中で暴力行為の処罰の犯罪がどういうパーセントを占めてどうなっているか、これではよくわからないわけですな。
  107. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) この「犯罪白書」では十分その点がわかりかねると思いましたので、特に資料といたしまして国会に別の資料を差し上げてその間を明らかにいたしたつもりでございます。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この暴行という中に暴力行為はダブっていないわけですか。単純暴行がこんなにたくさんありますか。こんなにないのじゃないですか。ちょっとこれはおかしいですよ。単純暴行はこんなにありっこないですよ。
  109. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) そういう御疑念かもしれませんが、この統計ではそうなっております。上の図面をごらんいただきましても、暴力とは書いてないで、暴行となっておりますように、中のものは誤植であることは一見明白でございまして、これは統計に基づいて書いたものでございまして、間違いないつもりでございます。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 間違いないつもりはつもりでいいんですが、これは刑事局長刑事課長も専門であるし、単純暴行というのはほとんど一般の場合には出てこないのじゃないですか。ほとんど出てこないと言ってはあれですけれども、これは一人でやった場合でしょう。一人でやって相手がけがをしない場合ですね。けがをすれば傷害になるのだし、二人でやれば暴力行為になるのだし、一人でやって相手がけがをしない暴行がこんなにあるということは、ちょっと私は理解しかねるんですがね。これは法律常識から言ったってちょっとおかしくありませんか。これはもう少し内容検討しなくちゃ、ちょっとおかしいですよ。
  111. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) おかしくないのでございまして、私どものほうで別の資料として差し上げてありますものと対照していただきますと、わかるわけでございます。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあそれはあと検討しましょう。  そうすると、「暴力犯罪」というところが二十八ページにあるわけですね。そこの十四表を見ると、殺人から傷害致死、傷害、暴行、普通の強盗、強盗殺人、強盗傷人、強盗強姦、恐喝と、こうあるわけですが、三十一年を一〇〇とした指数の中で、三十六年を見ると、一番ふえているのが恐喝ですね。まあ暴行もふえていますが、恐喝が一四五で一番ふえているわけですな。これと対照した場合に、暴力行為の処罰法に触れた事件はどういうふうになるんですか。これと比べた場合、この表に引き直した場合、どうなんですか。
  113. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、お手元に配ってございます「暴力犯罪関係統計表」というのをごらんをいただきたいのでございますが、統計表の第一表でございますが、これを見ますると、昭和二十七年から三十六年までの数字が掲げてございます。暴行と比べまして御説明を申し上げますと、三十一年から申し上げましょうか、三十一年の暴行を見てまいりますと、受理件数が二万九千二百五十六、これの暴力行為等処罰ニ関スル法律違反が四千九百二十六でございます。それから三十二年が、暴行が三万二千三百五十五でございまして、暴力行為のほうが五千七百六十、昭和三十三年が、暴行が三万七千四百九十八でございまして、暴力行為のほうが七千九百五十七、昭和三十四年が、暴行が三万八千五百三でございまして、暴力行為が七千八百三、昭和三十五年が、暴行が三万六千七百五十八で、暴力行為が八千八百九、昭和三十六年が、暴行が三万六千八百に対しまして、暴力行為のほうが九千二百八十九、こういう数字になっておるわけでございます。
  114. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、だんだん問題を煮詰めるという形で進めたいと思うんですが、この「犯罪白書」の四十一ページを見ますと、「特別法犯の概況」としていろいろ書いて。あるわけですね。その中で、「集団的暴力行為であって、個々の行為だけをみれば、殺人、傷害、恐かつのような犯罪よりは一般に犯情は軽いが、しかし集団的である点において軽視できないものがあり、」、こう言っているわけですけれども、個々の行為を見るというと恐喝なんかよりも犯情が軽いんだというふうに見ていいんですか。ここに書いてありますが。
  115. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これもまあ一がいに申せませんが、法定刑から申しますとまさにそのとおりでございまして、暴力行為のほうは暴行、脅迫、器物損壊でございますので、まさに罪質としましては恐喝のほうが重いことは明らかでございます。
  116. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、この「犯罪白書」を見てみても、恐喝が非常に普通刑法犯の中ではふえているわけですね。いま言ったような関係でふえている。十五表を見てもふえているし、十六表でも相当多いわけですね。そうすると、その恐喝が暴力団資金源としてどういうふうな関係にあるか、こういうことについては、いままで調査なり何なりしたことはないんですか。
  117. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 資金源といいますと、団体組織を維持していく上の財源と、こういう意味から言いますと、この恐喝というのがはたしてどれだけの役割りを果たしているかということは、あまりウエートはないのではないかという見方をいたしておりますが、その構成員の下の者がしばしば自分の小づかいをかせぐために恐喝にでるということは、これはもう顕著な事実でございまして、そういうものも含めて資金源だ、こういうことになりますと、これは有力な資金源を得る手段として恐喝が行なわれているというふうに申してもいいかと思います。ただ、ここで統計上気がつきますことは、従来、御承知のように、財産犯の中で窃盗犯というのは非常に圧倒的に刑法犯の中で多数を占めております。そして、これは、従来の統計によりますと、毎年ふえているようでございますが、この窃盗という罪が、絶対数においては多いのでございますけれども、あまりふえていない。これに反しまして、同じ財産犯である暴行、脅迫を手段とする恐喝という罪が非常にふえているというところに刑法犯の中に暴力性というものを認めることができると思うのでございまして、そしてしかもこれは青少年の犯罪にも恐喝がふえているのでございます。それから暴力団構成員による犯罪にもこの恐喝が圧倒的に多いのでございまして、これは資金源という大きな角度で集団を組織体を維持していくための財源、こういうのにその恐喝が利用されているという、そういうケースもあるのでございますが、このふえている数字そのものから見れば、大部分は小づかいかせぎというふうに私どもは見ているわけでございます。
  118. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、恐喝の場合、被害者の畏怖ですね、畏怖の状態は範囲では非常に広いものですね。どの程度の場合が恐喝罪が成立するわけですか。
  119. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、強盗と恐喝との区別、あるいはいわゆるいやがらせによる押し売り的なものとの区別、こういう三者の区別が、大体まん中にあるのが恐喝でございまして、強盗ということになりますと、自分のもはや反抗ができない程度の強さの暴行、恐喝でなければなりません。恐喝の場合は、自分で判断して、そのときやろうかという気持ちを起こして渡すわけでございますから、その反抗抑圧の程度というものははるかに軽いものでございますが、単にいやがらせ程度のものも、いやがらせと一日に申しましても、程度の高いものはむろん恐喝になりますし、その恐喝の程度に至らないものが軽犯罪法の規定に触れる場合があるということでございまして、従来の解釈、判例によりますと、人を困惑せしめ、または不安の念を生ぜしめ、これによって意思決定の自由を制限する場合も恐喝である、こういうふうにある程度の限界を認めておるのでございます。
  120. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、被害者の畏怖の程度は、あとがうるさいから出すとか、それからあとでまだまだいやがらせをやられちゃ困るからというので出す。だから、会社に金なんかもらいに行っても、そういうようなことで畏怖の念があれば、金を出せば恐喝になるのじゃないですか。実際問題としては暴力団中心とした恐喝というのは非常に多く行なわれているとしても、ただ被害者が届け出なかったりなんかするから、めんどうくさいからというようなことがあって届け出ない、あとのことを考えたりして届け出ない、そしてあらわれてこないものが相当あって、それが恐喝罪に実際にはなるのだけれども、そうするとそれが暴力団資金源となっているのだけれども、形には表面にはあらわれてこない。こういうものがあるんじゃないですか。
  121. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 仰せのようなケースも少なからずあろうかと想像いたしております。
  122. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、その暴力団なら暴力団がどういう会社からいろいろな資金を得ておるか、寄付を得ておるか、こういうことを調べれば、その会社が一体ほんとうの気持ちから交付したのか、あるいは、畏怖の状態というものを非常に判例が広く解釈しているわけですから、そういう状態で交付したのか、それがわかるのじゃないですか。そういうふうなことをほとんどやっていないのじゃないですか、現在の段階では。
  123. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) それは、仰せのように、そういう場合、調べればわかることでございますが、調べるきっかけと申しますものは、犯罪捜査の常道といいますか、刑事訴訟法に乗せて捜査をするということになりますと、ある事件が発生してからその実体あとになってふり返ってみてきわめるということはこれは可能でございますが、これを未然に調査をしておいて捜査の端緒をそういう面から得ていくということは、実際問題としてはなかなかむずかしいと思うのでございます。被害者立場の者が、自分が被害を受けたということはなかなか言いにくい、ほんとうはおどかされて金を取られておるのであるけれども、いやくれてやったのだというふうに言うのが普通であろうかと思いますし、その辺の実体は、やはりその被害者の方々がほんとうに捜査に協力していただくという体制が出てきませんと、なかなか実体をつかんでそういう面から暴力団を検挙するということがむずかしいように思うのでございます。
  124. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、大会社を調べれば、こういう暴力団としての登録というか、そういうようなものは警視庁、警察全体がつかんでいるわけですから——こういうものがあって、そしてこれだけの構成員があるということをつかんで発表しているじゃないですか。ここの資料にもちゃんとありますよ。法務省が出したものでも、会社ごろというのがあるでしょう。会社ごろが六十八団体あって、構成員が千九百七十四名おる。いろいろなものがありますが、ここに書いてあるわけですから、こういうようなものもあるし、その会社なら会社というものを被害者を調べるのに、刑事訴訟法の何も被疑者を逮捕するのでも何でもないんですから、被害者のところへ行くのは、任意で行って被害者かどうかということは聞くことができるわけですから、刑事訴訟法の制約というものはそんなにないのじゃないですか。それはおかしいじゃないですか。それは本人をやったかどうかということでむやみにやるわけにはいかないとしても、その裏づけとする被害者と目される人のところに行ってこれが被害者かどうかということを調べることは、話は簡単じゃないですか。簡単じゃないにしても、やろうと思えばできることじゃないですか。これは刑事訴訟法の制約なんかないはずですよ。
  125. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 被害者から申告でもありまして、会社ごろという団体はある程度警察庁においてはつかんでおるわけでございますから、そういう端緒、そういう者が来たということが何らかの間にわかってまいりますれば、そういう先は、何しに来たんだという調べをすることは、仰せのようにきわめてやさしいことで、それから証拠が得られるかどうかは別問題といたしまして、調べること自体が別に法律上制約があるわけでございませんが、そういう団体の者がある会社を訪ねていったかどうかということを捜査官がなかなか知り得ない状況になっておるということを先ほど申したのでございます。
  126. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはやろうと思えばできないことはないと思うんですが、これは議論のあるところだと思うんです。  それから政治家が、いろいろ暴力団から来たときに金を出すわけです。寄付するのか何するのか別として、出すわけです。これだって、ほんとは畏怖して出している場合が多いのじゃないですか。そんなことだって、調べようと思えば調べられるのじゃないですか。とにかく政治家なりあるいは経済界の、大物か何か知らんけれども、そういう人だから、調べにくいから結局調べないということじゃないですか。そういうことを野放しの状態にしているから、結局、暴力団資金源というものに対する取り締まり徹底というものがさっぱりされていないのじゃないですか。そういうふうに考えざるを得ないのじゃないですか。私はどうもそういうふうにとれるんです。政治家なら政治家、経済界なら経済界なりに行って——警察なりあるいは法務省当局なりが公安調査庁やあるいは警備警察を使って労働組合へ行って情報を探ったり何かしている、あれだけの熱意をもって経済界や政治家のところへ行って、そういうふうなことの被害を受けたか受けていないかやれば、そんなことは簡単なことじゃないですか。やっていないんじゃないですか。そこに問題があるのじゃないですか。公安委員長、どうなんですか。
  127. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 組織暴力のそういう団体資金源のことが御質疑中心になっておりますが、実はそういう懸念もありますので、その実態がどうなっているかということを、私は私なりに調べてみたわけでございます。よく政治家が金を出しているという評判がございますけれども、実際調べてみますと、やはり何千とか、一万とか二万ということはあるのではないか。ただ、何十万も金を出しているということは私はないというふうに見ているわけでございますが、五千とか一万とかいう金は、政治家としても戒心しなければなりませんけれども、まあとにかく勇ましいのがくれば、なにも恐れるわけじゃないですけれども、秘書なんかから、あとがやっかいだからひとつ払っておこうというのがあるのじゃないか、そういうようなのが大部分じゃないかというふうに私は判断いたしました。  そこで、先ほどの組織暴力実体は何かという御質疑でございましたけれども、私はさっき松葉会という名前も出しましたが、これとて、松葉会すなわち暴力団というわけじゃない。そういうのじゃないかということでいろいろ調査も進められているけれども、そういう面は出てきておらん。しかも、これがどういう団体構成かということになりますと問題はあるが、ただ、やはりこれは政治結社という届け出もありまして、われわれのところにも重大な警告をときどき政治結社の名前においてもらっているけれども、松葉会自体が何か特にどこかへ行って暴力をふるったということはないわけでございます。そうすると、これが一体ほんとの政治団体なのか、何を意図しているかということになりますと、そのこと自体の究明もまた大いに問題になろうかと思うわけでございます。  この組織は、いまそう言ったことが問題になりまして、きょうは実は閣議でちょっと私報告いたしましたけれども、たとえばおととい松山市に起こりました事件、これなども、こういうことなんです。つまり、何々組がやったということなら、まだ出たとこ勝負のけんかであるという判断もつくかもわからんが、それには、たとえばやりましたのは本多系の郷田組、山口系の矢島組というような、いろいろ系列化されておりまして、これが御指摘の組織一つになるのではないか。これが、御承知のとおりに、ああいうピストルを何丁も使ったり、ライフル銃を使ったり、撃ち合いまでやっている。こういうことについてのいまの法案というものを御審議願っているものと私は考えているわけでございますが。やはりこれは何と申しますか確かに組織化された形があるわけでございますし、また、その中の資金源のことが問題になっている。その資金源のことも、われわれがこうじゃないか、だろうという疑いを持っているものだって、その団体自体がやっているわけじゃない。先ほど刑事局長が申しましたとおり、調べてみますと、末端のほうで小づかいかせぎとか何とかのためにいろいろ恐喝その他のことがあるようですが、それが必ず上のほうにずっと上納されるというわけでもないらしい。結局、それじゃこういう団体は当面政治結社であるけれども、一体何でまかなわれているかという実体の究明については、実は鋭意努力はしておるわけでございますけれども、私もいま御指摘のとおり警察のことについてははなはだ不案内の男ですけれども、私は私なりにいろいろ心配をいたしましてその実体をきわめていく。特に、いま政治家がこういう団体に相当大幅な資金を出ているのではないか、なぜ調べないのかというおことばでございますが、私はこの任についてすぐこの問題に当たってみたわけでございます。私は私なりに調べたものを大ざっぱに御報告申し上げた次第でございます。
  128. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまあなたの言われたことは非常に重要な問題を含んでいると思います。いまあなたの言われた松山事件のことは午後聞こうと思っているんですが、政治家が、暴力団資金源の一部かもしれぬけれども、全部じゃないかもしれぬけれども、少なくとも資金を出しているということ、何の名目か知らぬけれども出しているということ、そういうふうなことをあなたは国家公安委員長となってから当たってみられたということを言われた。これは私は敬意を払うのですが、それでは、具体的にどのようなやり方で当たったのか、どのようなやり方でだれにどうやって当たったのか、そこら辺がいま基本的な問題じゃないかと思うんです。いまの問題はもう少しぼくのほうから聞かしていただきたい。国民が一番知りたがっている。具体的にどういうような形で、だれにどうやって、どういうふうにして調べたのか、あなた個人が調べたのか、だれがどこで調べたのか、そこら辺を明らかにしていただきたい。
  129. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) いまの政治家の献金のこと——献金じゃございませんが、政治家が資金源として何がしかのものを寄付しているという実態に御議論が及びまして私に対して質問がありたわけですが、私はそういうことについて捜査の権限も何もないわけでございます。ですから、私自体がやるわけにはいきませんけれども、しかし、真剣にこういう事態について、やはり権限、職権を持っている諸君に、実態はどうなんだ、ほんとのところはどうなんだ、何かわれわれに遠慮して隠しているんじゃないかというところから話を始めて、いろいろな角度から私は私なりの角度から聞いてみたわけですけれども実態は何のだれそれがまとまった金をやったということは私は耳にしなかった。そうじゃないのです。しかし、個々の方々は、やはり何かだれかたずねてくれば何がしかの金をくれてやっている者があるようですと、まあその程度か、ちょっとそれから出たところぐらいで、中に入っていくわけにはまいりませんので、その程度しかできぬわけですから、いたし方なかったんですが、私は総体としてそういうように感じ取った、そういうことを申し上げたわけです。
  130. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたの感じ取ったのは感じ取ったこととして、では、具体的にあなたは国家公安委員長として指示されたんですか、あるいは個人として指示されたんですか。国家公安委員長としてはそういう指示権はないんだと、こうなれば話は別ですよ。そこら辺がはっきりいたしませんが。
  131. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 指示権はございませんし、指示もいたしません。しかしながら、これがやはりいま問題になっております暴力団資金源という問題ですから、私は国家公安委員長として警察庁のこれに関係しておる諸君を呼びまして、大体ほんとうのことを話してくれと言ったまででございまして、何も指示はいたしておりません。
  132. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、いつごろ、だれを呼んで、どういうことをあなたはお話しされたんですか。その結果として、警察庁の人はどういうことをやってそのことを調べてあなたに報告があったんですか、それを知りたいわけです。ただばく然として、たいしたことはない、まあ少し小づかいをやった程度だということでは、これはあなた納得できませんよ、私としても。だから、そのことをお聞きするのです。これはフェアに私はやりたいと思うんです。別にあなたのほうで隠しているわけでもないけれども、何かもごもご隠しているような印象を与えるし、実際はどういうところまで調べてそういう結果が出てきたのかわからない。国民は一番知りたがっているところですから、これは明らかにしていただきたい。
  133. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 国民が知りたがっているからこそ私はこの問題を取り上げたのですが、おっしゃるように、私としては、じゃ一体どこがおかしいか調べてみようという権限はないわけでございますから、しかしながら、この問題は、警察庁のほうから実はこうですと言ったわけじゃないのでありまして、私は、そういううわさもありますし、懸念もあるからこそ、一体これについてどういう調査をやっているのか、ほんと一のことはどうなっているんだということを聞いたまででございます。
  134. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたが自分で調査されたわけじゃないから、あなたに向かってあなたが調査しろということを私は言うんじゃなくて、あなたにあなたの部下が何かそういうことを報告されたわけでしょう。部下なら部下は一体どういう資料に基づいた、どういう調査の結果、そういうことを明らかにしてきたのかということを私は聞いている。ただばく然とした、そうだとかそうじゃないとか言っても始まらない。警察はそれだけの権限があってやっているんでしょう。どういうような資料、どういうような経過をたどって、いや政治家は何もやっていないんだと、暴力団にたいした金はやっていないという結論が出てきたのか、そこを聞くわけです。
  135. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) なかなか割り切れるようにきめつけられますけれども、そうはいかぬわけでわけでございまして、ただ、私は、こういう問題がやっぱり国会内で質疑にも出てくるし、世評も聞きます。私個人はどんなのが来ても一銭も寄付したことはございませんけれども、しかしながら、そういううわさもよく聞きますから、私はそういうことがあるだろうかと言って一つの話題としてこれを取り上げたまででありまして、それを私が指令した結果がどうだ、文書にして報告せい云々といったような式のことをやったわけではないのであります。
  136. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、警察庁、これはやはりそういう問題は刑事局の管轄だと思うんですが、刑事局としては、政治家が暴力団にまあ寄付したとかしないとか、資金源の一部を助けておるような形になるわけですね、結果としては。そういうことをやっているとかいうふうなことについて調べたことはあるんですか、あるいはないんですか。いま国家公安委員長から言われた経過を、どういうようなことを言われてどういうようにしてあれしたのか、そこを明らかにしてください。あなたのほうが国家公安委員長に報告をしたんでしょう。
  137. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 政治家とのつながりの問題を含めてでございますが、要するに暴力団資金源ということをどうしても究明していかなければならないというのでございますけれども、実際のところを申しますと、十分にわかっていない。それはいろいろなうわさもございますし、いろいろ散発的には話が出ておる部面がありましょうけれども、私どものほうとしては、もちろん恐喝罪その他でもって犯罪として検挙した事件については別問題でございますけれども、そうでないものについて資金源はまだまだこれから究明を十分していかなければならない、ほんとうのところはまだ十分わかっていないと、こういう実情でございます。
  138. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ほんとうのことはわかっていないのがいまの段階であるとしても、政治家がどういうふうにそうした暴力団につながりがあるんだということ、それは資金源の問題だけでなく、あるいは暴力団のほうから働きかけているかもしれんし、そういうことについて調べたことがあるんですか、調べようとしたことがあるんですか、あるいは調べようとする意欲もないんですか、そこら辺はどうなんですか。
  139. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私どものほうとしては、不法資金源の追及ということについて資金源を追及していかなければならない。これがためには、いままでの究明が十分でない。単にうわさその他の問題は別問題でございまして、実態が十分にわかっていない。この面をさらに強力に徹底して究明していかなければならないというふうに考えておるわけであります。
  140. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いま国家公安委員長が話されたでしょう。国家公安委員長からあなたのほうに、政治家がどうも暴力団のほうに金をやったり何かしているうわさがあるとか、だから実態を調べてくれという話があったんですか、ないんですか。これは国家公安委員長じゃなくて赤澤正道さん個人が雑談的に話されたことなんでしょうか、どうなんですか、そこら辺のところは。
  141. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 直接私はお話を伺わなかったわけでございますけれども、私のほうで一応所管しておる問題でございますから、私のほうでなかなか実態がわかっていないという実情をお話をされたと思います。
  142. 米田勲

    ○米田勲君 委員長、ちょっと関連して。
  143. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  144. 米田勲

    ○米田勲君 関連質問でお伺いしますが、いま稲葉君から暴力団の活動の資金源の問題が取り上げられて、そのうち政治家が暴力団に何らかの形で結果的には資金のルートを援助するようなことになりそうな金の供与があったのではないかということの質問から発展して、だんだん刑事局長のほうの質問にまで発展していったのですが、いま刑事局長は、資金源の問題については、どうもいままでの調査でははっきり明確なものはわからない、だから答弁はいまここではできないということになるのだろうと思うが、そこで私質問があるんです。  この暴力団資金源問題は、今に始まったことではない。これはもう数年前から、暴力団の絶滅のためのいろいろな対策の一環として、資金源をつかなければいつまでたっても勢力を温存することになるということは、もうこれは国民ひとしくその問題を重視したところであって、警察当局は当然今日までこの資金源問題について活動をしたはずであります。していないとすれば、それは無責任なことになる。いままで活動をどの程度にやったのか、その活動によって具体的なものはどの程度把握されたのか、それを明らかにした上で、なおかつわれわれの従来の調査に基づいても十分でないし、明確なものの全貌はわからない、こういう答弁をなさるなら、私は聞いていて納得はできるのですが、あなたのは全くばく然としておって、まだ調査はきわめて不明確であって、これからやらなきやならぬというような答弁ですから、それでちょっと私としては警察当局の怠慢ではないかという感じがするわけです。ですから、いままでもちろん資金源調査に手をつけられてからあなたとして努力されたでしょう。しかし、それが完ぺきなところまで調査が行き届いていないということはわれわれも十分に憶測できるところです。しかし、ここの委員会審議にあたっては、稲葉君の質問に対して可能な限りいままであなた方が努力したその成果のあとを具体的に説明された上で先ほどの結論的な答弁があるのならよろしいが、そういう答弁では不十分なので、私は特にそのことを明確にしてほしいという質問をいたします。
  145. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 資金源の問題で、当初申し上げましたように、適法な資金源と違法な資金源とございますのですが、明らかに違法な資金源につきましては、たとえば賭博あるいは民事事件に介入しての恐喝あるいは麻薬密輸に関連しての資金等というような面で不法資金源の面においては相当取り締まり徹底し、また、内容も傾向もわかってまいっておるわけであります。合法と申しますか、犯罪検挙までに至らない面について従来の内偵が十分でないということを申し上げたいわけでございます。
  146. 米田勲

    ○米田勲君 その中の一つに、いまの政治家の供与というものが不明確のまま調査が進められておる、こういうことですね。
  147. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、こだわるようですけれども、政治家がいろいろなときというか、暴力団にある程度の金を出しておるということについて、それはあれですか、調査はしたことはあるんですか、あるいは調査をする権限はいまの段階では警察にはないのですか、ここはどうなんです。
  148. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 政治家も含めまして、あらゆるものについて恐喝になるような事態になりますれば、私どものほうで強制捜査をする権限があるわけでございます。ただ、それが恐喝にならないという限度になりますと、はたして強制的に捜査することができるかどうかは別問題でございますが、一応私どものほうとしては暴力団実体を解明する面で強制力を用いずとも内偵できる面は十分に調査をしていきたいという気がまえは持っておるわけでございます。
  149. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力団なら暴力団を逮捕するとか、家宅捜査をするとか、押収をするとかというときには、それは強制捜査の問題は起きるでしょう。しかし、被害者と目される人、あるいはまだそこまでいかないとしても、その人のところに行って事情をお聞かせ願いたいということで聞くことは、強制捜査の域ではないんです。だから、これは再三言っているように、経済界の人、政治家、そういう話が伝わってきたとすれば、当然あなたのほうでもその程度のことはやれるのじゃないですか。それを、相手は政治家だ、相手は経済界の何とかだということでやらないのじゃないですか。そういうことにとらざるを得ないのじゃないですか。これは任意捜査の問題じゃないですか。強制捜査の問題じゃないですよ。問題をはぐらかしてはいかんですよ。そういうことはいかんですよ。やればできるのじゃないですか。任意捜査の段階でいままでやったことがないというならいいですよ。やったことがない、捜査しなかったというなら、それでいいんですよ。
  150. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 政治家のことにも関係しておりますので、私からお答え申し上げますが、私だって、何々組、何々団というのが、これは暴力団とレッテルがはられておる団体であるかどうかについてはわからぬ面もある。ですから、少しでもそういうにおいのする団体には、会館に来たって、本部に来たって、そういう者には金を出してはいかんということを私は秘書に厳命しておるわけでございます。しかし、お互いに議員をやっておりますと、中にはうるさいからといった形で何がしかお出しになる方もあるかもしれませんが、しかしながら、それを一々届け出てくださいというわけにもまいりませんし、ことに民間の会社なりは、何がしか無心を言って来たやつにくれてやった金だって、一々それをまた警察のほうに通報したりなんかすることについてはなかなか積極的にやらない面が事実あるわけでございまして、実は警察当局としてもこの問題については非常にもどかしがっているわけでございます。私は任意捜査なんということばもあまり聞いておりませんが、そういうことは警察等でやっているかもしれませんけれども、どの程度こういうことをやって効を奏するものか現在の状態では私はわかりませんけれども、名案があったらむしろお聞かせいただくほうが早いのではないかと思います。
  151. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま公安委員長は、これはちょっとくどくなりまして恐縮ですけれども警察庁の人に聞いたというんでしょう。聞いたんですか。刑事局長は聞かないと言っていましたね。だれに聞いたんですか。これは刑事局長じゃなくていいですよ。ほかに偉い人というか、まだいるんだから。だれから聞いたんですか。名前を知らない人に聞いたんですか。はっきりしないから誤解を招くんですよ。赤澤さんとしては、個人的にいい人だと聞いているが、なかなかはっきりしない人だということも——いまのは失言ですけれども、わからないんですよ、だれに聞かれたのか。聞かれた人がすぐ答えだのか、いろいろ調べた結果答えたのか、わからないんですよ。国民はかえって疑惑を持っちゃいますよ。
  152. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 先ほど申しましたように、着任したときにこのことが非常に気になったことの一つでございましたので、国家公安委員長室に某君においで願って、これは御指摘になりますように、私は何か職権があって命じたとか報告させたということではないのですから、気になったから、私は国家公安委員長として、雑談として、一番気になっているから、これはどうなっているんだと聞いた。私は率直にものを言う男でございまして、こういうことは何も隠し立ていたしませんけれども、ただ、事が明確でないのに、その次の段階で、またこういう名前の者を呼んで、君はこういうことを言っているがということになると——私は実際そういう意味の話をしたのではないのでございますから、そこはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  153. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どうもはっきりしませんな。あなたのほうはくどいというふうに言われると思いますが、じゃこういうふうにお聞きしましょう。某君は某君でいいんですよ。そのときに某君だったが、あとになってだれかわかったんでしょう。名前はわかったけれども、その人が出されちゃ困るから……。そのときは某君だったけれどもあとから調べてみたらわかったんだ、わかったんだけれども言いたくないんだということもあるし、初めからわかっているのだけれども、まあ某君としておいてくださいと、こういう場合もあるし、どっちでもそれはそういうふうに、こっちならこっち、こっちならこっちというふうにあなたのほうから率直に言ってもらえれば、いまその人を引っぱり出してどうこうということは私は考えているわけじゃないんですからね。そういう隠すような印象をどうも与えるのは、結果としてまずくなってくるような印象を受けるんですね。そういう点はどうなんでしょうか。すぐそこで答えたんですか、その人は。そこがはっきりしないですな。
  154. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 隠すわけじゃありませんので、先ほど申しましたことは、私が何か職権に基づいてどうこうしたということではない。私にしてみれば、政治家がとにかく暴力団なんかの資金源のある一端をになっているといううわさなんかもありますから、そういう事実はあるのかどうか、こういう全般論から聞いてみた。それで、だれがいつ何万円どうしたかというそういうことを言ったわけではない。ところが、そのときの回答が、実はこれは不明確だけれども、やはりそういうにおいは確かにあるわけなんだと。調査して的確に何の太郎兵衛がどうしたということを言ったわけではないわけでございます。しかし、私が感じとったことは、とにかく何十万とかいってそういうまとまった金を出しておるんじゃない。どうもやはりせびりに行った末端のほうで何がしかづつ寄付している。これだって累積される金額は無視できませんよといったような、いろいろな話をいたしたわけでございまして、私は、そうか、まとまったものを暴力団に寄付したということじゃないのか、それはありませんと、こういった意味のやりとりをしたわけでございまして、名前もちゃんと局長だから言ってもいいようなもんですけれども、ただ私が職権をもってこれを扱ったわけじゃないのでして、そのことはひとつ私の申す意味を御了承をお願いいたしたいと思います。
  155. 米田勲

    ○米田勲君 委員長
  156. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  157. 米田勲

    ○米田勲君 関連質問さしてください。どうもここまで来て答弁が非常に停滞しておるのですが、私は先ほどもらいましたこの「警察の窓」という冊子の巻頭言を読みますと、刑事局長がいろいろなことを申されておる中で、「暴力犯罪は、ひとり取締当事者のみの力で解決できるものではない。政治、教育その他社会全般にわたって暴力排除の気運が高揚されてはじめて、これを解決できるものであることをここであらためて強調したい。」ということを特に述べておるわけです。そこで、私は、先ほどからの答弁を聞いておって、あなたは稲葉君の質問に対して、強制捜査権もないし、なかなかやれませんという答弁をしましたが、一体政治家だとか経済界の人たちがあなた方の資金源捜査を協力するというようなことがお願いできないようなことでは、一般の国民にこういうようなことを百ぺん書いても、何ら期待できないのじゃないですか、あなた自身がこういうことを強調する限り。あなたの立場としては当然合法的でなければならぬけれども、誠意をもってそういう被害者と目される人たちのところに出かけて、あなたが出かけるのではなくて、あなたの関係者たちが掛けて、努力をして調査を進めれば、ある程度の実態が、それが全貌でなくても把握できるのじゃないか。どうもあなたの答弁を聞いていると、政治家や経済界の人たちの資金の問題にわたると、ほとんどばく然として答えられない。あなた自身が国民に協力を求めて暴力団をとにかく根本的に掃滅したいと考えておられるなら、当然あなたは平常にわたってそういう国民の中でも特に立場のある人たちに対して協力を求められたはずだ。それの具体的な話がここでできないということは——全部を話してくれと稲葉君も言っておらないと思います。特徴的なもの、代表的なものを二、三話してもらえれば、それから類推できるのですから、ただしかし、あなたの答弁からはほとんど具体的なものが聞かれないので、どうもおかしいといって、そこで公安委員長のほうに食い下がったり、あなたのほうに食い下がったりして、答弁と質問が停滞しておるわけです。ですから、あなたもやはりもっと——捜査をいままでやった全体をここで答弁するなんというむちゃなことはできませんけれども、もう少し代表的な、具体的なことを二、三でもせめてあげて、その結果はこういうケースです、こういうケースですということを話されるほうが、質問を前進させるために必要なんじゃないですか。何かあなたがばく然とした答弁しかなさらないために、そこに疑義を持って、ますますそこをつつこうとする、審査は発展しないということを感じますので、ぜひそういう立場で積極的に話されてはいかがですか。
  158. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) どうもたいへん誤解していただいているのじゃないかと思うのですが、暴力団資金源は、いま取り上げられたものが、政治家、経済界、こういう形で出ておりますから、その点についての御質問になってしまった。先ほど刑事局長が申しますように、暴力団資金源は一体那辺にあるのか。その調査は一体いまのような、特別いま警察庁ではこの問題に全精力をあげてやっておりますが、一体いままでの警察流だけのことでいいのか。また税務署的な立場になれば、別のやり方もあるのじゃないか。いろんなことの検討は、実は私自身考えていろいろ話し合ったこともあります。やろうともしたわけでございますが、しかし、言い得ることは、さっき資金を合法的に集められたもの、非合法なものもあると刑事局長申しましたけれども、非合法なものが大部分だ。その他合法的なものは、これは総体からいったら、数字は私は調べたことはありませんけれども、感じからすると、それは全体からするとほんの氷山の一角ではないかという印象を受ける。しかし、これが麻薬密売とかいろんなものからいいますと、どこかから大きな資金が出てくる。それを一生懸命につかもうとして警察は努力しておるわけでございますが、しかし、政治家が何千か何万か、ちょっとめんどうだからやったというものの累積が一体どうなるだろうかということについては、そうそのこれで暴力団か何かが大いに潤っているというふうには、私どもは総体から判断いたしませんし、また諸会社のほうでも実態は御指摘のとおり調べなければならぬと思います、やり得れば。しかしながら、これとて日本の暴力団全体の資金関係からすればわずかなものではないかというふうに考えまするので、大体私は感じ取っていることを申し上げているので、ただ何か不明確なことばかり言うておるというふうにおっしゃっておりますけれども、実際それはわずかな部分だという印象を私は持っております。
  159. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたのお話、わかるところもあるんですよ。だから、それならあなたがだれに話したかということで、某々という名前を使うでしょう。あとになってくると、局長なんだと、それは名前はわかっているんだと言い出しますから、それを隠しておいて、あとになると名前はわかっているけれども、言わないほうががいいだろうと。なぜ言わないほうがいいんですか、その名前を。日原君じゃないですか。刑事局長じゃないですか。そんならそれでいいじゃないですか。そんなことを隠すから、おかしくなって、こっちも変だな変だなというふうに考えてきて、質問は停滞していないけれども、答弁が停滞するんでしょう。僕はそうなってくると思うんですけれどもね。そんなことははっきりしたらいいじゃないですか。
  160. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) それはたいしたことではないわけです。私が公安委員長になりましたのは、例のライシャワー事件が発端でございまして、それを機会に、同じ暴力団でも、何か町のかたすみでおでん屋や何かでやっておりますものばかりでなくて、やはりこういう何か思想的な団体と申しますか、暴力団という一つの範疇の中にもいろいろなものが私はあると思うのです。そういった組織というものが何によってまかなわれておるか。政治家も、おでん屋や何かばかげたものに資金をやることはないわけです。ですから、ああいうことがやはり起こり得る思想団体と申しますか、政治結社と名のっておるわけですが、こういったものの資金が一体何だろうかということから入ってまいりましたので、はっきり言えば後藤田警備局長といろいろな打ち合わせをいたしました。そのときにあわせて政治家がこういった団体について何がしかの資金ルートになっておるのじゃないかというようなことから議論をしたわけでございまして、何もそれで厳密に調査を命じたわけでもございませんし、そういった意味のことを申したわけでございます。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 委員長、関連質問
  162. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 岩間君。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 だいぶ長くなったのですが、いろいろ答弁の中につけ加えることが出てくるのですが、私はいままでの経過の中でぜひ一つだけただしておきたいことがある。それは松葉会の問題である。あなたは、最初暴力団の例として松葉会ということをちらっと申しました。そのあとの答弁で、今度は、これは暴力団でないというふうな答弁をしている。明らかにこれは食い違いがある。こういう態度でこの暴力法を審議するということは、私は非常に重大問題だと思うんです。おそらく、あなたは、暴力団といえば松葉会と頭にすぐ浮かんできて、ちらっと言ったのかもしれない。うっかりしたのではないか。あとで、これはちょっとうまくないんじゃないかと、そういうことで、今度はああいうふうな言い回しをされたのではないかと、これは憶測で申しわけないのですが、そうとられてもしかたがない節がある。首尾一貫していない。こういうことで、暴力団をほんとうに取り締まる一番の責任者、最高責任者と言っていいあなたが、そういうあいまいな態度でいては、この問題は解決しないわけです。だから、いままでの答弁を見ていると、いろいろおでん屋がでてきて、まことに世話話になってきている。こんなことを聞いているのではないんです。当委員会は。当委員会の権威のために、私はもっとはっきりとした態度で——国家公安委員長でしょう、あなたは。はっきりとした立場でこの問題に対決する必要があると思うんです。したがって、どっちの立場をとるのか。松葉会は暴力団であるのか、暴力団でないのか。二つ速記録に載っている。そこで、あなたのこの見解を明らかにしていただくことは、当委員会の権威のために必要なんです。この点、はっきりしてください。
  164. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) おでん屋ということばを言ったことはおかしかったかもわかりませんけれども、しかし、御案内のとおりに、いわゆるなわ張りということがございまして、これまたまことに不可解なものでございます。いわゆるおでん屋というものは、何と言っているかわかりませんけれども、そのなわ張りがもとになっていろいろないざこざが起こって、そうして傷害事件が起こっているということは、御存じのとおりです。ただ、おでん屋ということを言ってこの委員会を冒涜しておるわけではございません。そのことは明確に申し上げておきます。  それから松葉会の一件は、私たちは、やっぱり大きな団体のもとに入ったほうが末端のほうでは何か強力に庇護をされるという印象を持つのかどうかしらぬけれども、末端のものを起きた現象によってわれわれのほうでそれぞれ処理いたしますと、今度はそれがどこかに所属するような傾向があるやに私どもは感ずるわけでございます。そうすると、やっぱりもとになるところを何とか押えなければどうにもならぬじゃないか。だんだんいま組織化されている状態にあることは現に見えるわけでございます。そこで、私は、松葉会のことでございますけれども、やはりこれを構成しておる団体の個々のものを小さく言いますと、何かそういう印象を受けるわけでございますが、松葉会としては、私の調査が不十分かもしれませんけれども、実は松葉会が暴力をふるったとかなんとかということは耳にもいたしておりませんし、しかしながら、やっぱり普通の政治団体とは私どもは考えないわけでございますので、そういうことで区別いたしましたが、何も松葉会の実体を知りませんので、そういうことは決して御懸念は要りません。言い直すわけではもちろんありません。
  165. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの公安委員長の答弁は、速記録を調べましてよく検討してあらためて質問をしますから、そのときにまたたいへん恐縮ですけれどもおいでを願いたい。  それから警察庁に、暴力団資金源についていままで調査をしたことがあるのかないのか、あったとすれば、いつどのようにやって、その結果はどういうふうなものであったのか、こういうふうなものを、今でなくともいいですよ、資料として出していただきたい、こういうふうに考えるわけです。  それから公安委員長に、午前中はこの質問で終わりになると思いますが、最後に一言聞いておきたいのは、一体暴力団は減らないでふえているわけですね。その原因がどこにあるとあなたはお考えになるのか、これだけをお聞きしておきたいと思います。
  166. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) これは私見に立ってしまいますと、それがまたもとになっていろいろな議論を呼んだら、果てがございません。これはなかなか日本だけでなくて、各国が困っておるところでございます。しかし、また個人々々によって見方も違うと思います。これはもう社会環境からも教育からもいろいろなことを引っくるめて、私はやっぱり今日の世相というものに対して責任なしと言えませんし、やっぱりそれには家庭の関係もありましょう。と申しますことは、食いつめて貧乏になって生きる道としてこれを選んだという者ばかりじゃございません。大体、御案内のとおり、調査をしてみますと、良家の子弟などがこういうところに加わっていくという傾向がありますことは、はなはだ残念な次第でございます。しかしながら、この原因が何にあって、これをどうすればすぐ解決するかということは、私どもといたしましては、なんとかそういうことになればいいと思いますけれども、なかなか十分な原因というものはちかみ切れぬという状態でございます。
  167. 米田勲

    ○米田勲君 いま稲葉君から刑事局長のほうに資料要求を出しましたが、これを委員長が取り上げて、明確に資料を提出することを命じてください。それからその提出の時期ですが、本国会はもう二十六日までしかありませんから、この委員会の審査も急いでおる現状から見て、これは本日中に出してもらいたい。そういうことを委員長から命じてもらいたい。  それからいまの公安委員長の、暴力団が統計上増加しているということは、もう警察庁の発表で明らかなんです。その原因が那辺にあるかという答弁については、きわめてざっぱくであって理解できない。したがって、これは午後の冒頭、権威あるまとめた見解をこの委員会に公安委員長からでもよろしいし、警察庁長官からでもよろしいが、はっきりやはり述べてもらいたい。これは原因がなしに、増加しているはずはないんです。その点をひとつ委員長にお願いいたします。
  168. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっとお尋ねしますが、その資料はどうですか、どれくらいの時間があったら出せますか。きょう出せますか、いつまでに出せるか。
  169. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) いまわかっている範囲内でお話ししてもよろしいですが、いまあります資料なら。
  170. 中山福藏

    委員長中山福藏君) いまそれに関連しているのがありますか。
  171. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) はあ。
  172. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それじゃきょう出せますか。
  173. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 午後の冒頭にでも……。
  174. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 午後の冒頭にね、それじゃそうしてください。  それでは、本案に対する午前中の質疑は一応この程度にとどめまして、暫時休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時二十九分休憩    ————————    午後一時四十九分開会
  175. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。稲葉君。
  176. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国家公安委員長はどうしたんですか。——いま地方行政で採決だそうで、授決が終わったらこっちへ入るそうですから、それまでいまいただいた「暴力団が経済界等から資金を得ている事例」というのが来ましたが、これについて概略説明していただけませんか。
  177. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 先ほどの御質問に基づいて一応そういうような資料があるかどうかということでさがしましたんですが、お手元に差し上げておるようなものしか資料がございません。いずれも経済界に関する調査でございますが、一ページ目にありますように、神奈川県で三十六年に調べたところで、八百七十四社について二百四十八社までが金品を渡しておるという調査結果が出ております。それから三十九年に福岡県下で五百三十六社に対してアンケートをとりまして、二百二十一社が——金額別にあとに出ておりますが、金品を渡したことがあるという調査結果が出ております。  なお、3以降は、事件として処理いたしましたもので、3が、中国電力の坂——これは「発電所」とありますが、「電話所」の誤りでございます。その増設工事をめぐる恐喝事件、それから4に土地売買をめぐる恐喝事件、それから5に秘密探偵社の恐喝事件というようなものを掲げてございます。  結局、先ほども申しましたように、お話の中で、経済界に対するアンケート式な調査につきましてはこの程度でございますが、政界に対するものについては一切資料はございません。
  178. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまいただいた資料で、経済界等から資金を得ている事例の中で、たとえば神奈川県の問題、福岡県の問題がございますが、これはどういう経過からこういう調査をしたんでしょうかね。これだけじゃちょっとわからないんですが。
  179. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これは、一応事件にするしないは別問題といたしまして、アンケート式に各会社に当たって調べた結果でございます。
  180. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのところに集まっている資料は、三十六年の神奈川県下のものと三十九年の福岡県のもので、福岡県はこれはやっぱりアンケート式にとったものですか。
  181. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) さようであります。
  182. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これは、あなたのほうでは、「暴力団による被害状況について調査した結果」と、こうなってますね。これは暴力団による被害と認めているわけですか、書いてあるのは。
  183. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 暴力団が資金を得ている事例として、ここに書いてありますようなことでアンケートで調査をいたしたわけでございます。
  184. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の聞いているのは、ここに書いてあるでしょう、「暴力団による被害状況について調査した結果によると、」と、こう書いてあるんですから、暴力団による被害の状況として調査をしたんですかと言うんです。あなたのほうでは金をもらっただけだと言っていますが、もらったのは暴力団だけれども、渡したのは会社なんで、会社は暴力団による被害としてこれを出しているわけですか。そういう見方ですか。
  185. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) お話のとおりでございます。
  186. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、暴力団による被害の状況でこれだけのものがあって、これはどうなったんですか。刑事事件になったんですか。ならなかったんですか。それはまた別個のものだというので刑事事件としての捜査というか任意の捜査なりは全然しなかったと、こういうことですか。
  187. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 事件とは別個のものとして一応アンケートとしてとりましたので、もちろん事件になりますものにつきましてはそれはございますが、これは一応別個のものとして調査をいたした結果でございます。
  188. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、あなた、被害ということばはおかしいじゃないですか。暴力団による被害、こういうんでしたら、被害ならば、ある程度のものは犯罪として成るわけですよ。何だかさっぱりわからないな。だめだな、こんなのじゃ。
  189. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 確かに、「暴力団による被害状況」ということでございますので、被害ということは反面犯罪になるわけでございますけれども、証拠その他で十分でないものもここへ含まれているという意味において、この被害状況等を広く解釈して書いたと思います。
  190. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、好意に解釈すれば、あなたのほうで無意識にこういうふうに書いてしまったんだ、こういうふうにぼくのほうは好意的にとってあげてもいい——いいと言うと語弊がありますけれども、そういうふうにとってもいいですけれども、そうすると、これらのものは、神奈川県の場合は、八百七十四社に対して暴力団による被害状況を調査して、二百四十八社が出している。そうすると、出したところを調べたんですか。調べてどうなったんですか。それは調べて、ただアンケートをとっただけですか。どういう状況でどういう意思のもとに出したのだ。進んで出したのか、喜んで出したのか、いろいろあるでしょう。喜んで出さなければ、恐喝の被害になる場合が相当あるわけです。そういう点はどうでしょうか。そういう点がはっきりしなければ、これは資料にならないですよ。
  191. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 一応これで暴力団による被害状況調査をいたしたのですが、それぞれの個々について、はたして事件になるかならないか検討したようでございますが、この中の大部分のものは、被害届けその他の証拠をそろえて事件とするまでに至らなかったということでございます。
  192. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、いまの答えはまたあいまいですよ。大部分のものはというようなことを言っているわけですね。大部分のものでないものがあるわけだから、それは被害届けを出して恐喝の被害になったのかもしれない。それは全然わからないですね、これでは。これは急につくったんですか。急につくったならつくったでいいですよ。その点は正直に言ってくださいよ。
  193. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 正直に申しますと、急につくったので、この中のどれだけが事件になっているかということは、非常に記録で大ざっぱにやっているだけで、十分わかっておらないのであります。
  194. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうに率直な答弁なら率直な答弁でいいんですよ。それをさっきの赤澤さんみたいにわかったようなわからないようなことを言うと、かえって変みたいになっちゃう。  そうすると、もう一つの疑問は、なぜ神奈川県で三十六年の三月にこういう調査をやったのでしょうか、三十九年三月に福岡県で調査をやったのでしょうか。その点がまたはっきりしないですな。
  195. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私ども、それぞれの事件が起きましたときに、余罪としていろいろ追及していくわけでございますが、実際問題としてどの程度会社からどんなような状況になって金が出されているかという実態はなかなかわからないわけでございます。そういうような意味におきまして、神奈川県なり福岡県でもって実態を調べたいというような趣旨であったと思います。
  196. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これは、神奈川の場合は昭和三十六年、福岡はことしの三月に何か事件があってそうしてやったことなんですか。そこのところはっきりしませんな。事件があったとすれば、どういう事件があったんですか。
  197. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 特にこの時期に事件があってそれの必要から調査したというふうには聞いておりません。
  198. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、東京なんかではこういうふうな調査をやったことはないんですか、あるんですか。
  199. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) いままで私どものほうに報告がありましたのはこれだけでございまして、あとのものは私どものほうには報告が来ておりません。
  200. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、暴力団がはびこっておる、それを根絶するためには資金源の問題についても十分探究しなければいかんわけですが、全国一斉に警察庁なり何なりが各県の警察本部に命じて経済界から資金が出ている状況だとかそういうふうな状況について調査をしろという指示をしたことはないんですか。
  201. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私どもとして、もちろん刑事局立場としては、不法資金源の追及ということについては、この要綱の面でも特に強調して統一的にやっておりますが、いま言ったような調査面につきましては、統一的にやっておりません。
  202. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 不法資金源というのは調査してみなければわからんのであって、初めからこれは不法資金源と言うのはおかしいじゃないですか。全国一斉にこれだけのものを調査してみて、その中でこういうものは根絶しなければいけないとか、その中から犯罪になるものが出てくるのだとか、こういう形のものをやらなければいかんのじゃないですか。初めから不法資金源をやっていると言っても、不法資金源があるかないかということはわからんのじゃないですか。やはり熱意がないのじゃないですか。じゃ、やっていないのじゃないですか。そこのところほどうですか。
  203. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) お話のとおり、不法資金源かどうかは調べてみなければわからんわけですが、不法資金源と認められる状況があるかどうかということが一つの問題だと思うわけであります。それはやはり幅広くできれば各会社に当たっていくという方法も考えられるわけでありますが、そこまでいままでの取り締まり体制で十分に調査はしてなかったという実情であります。ただ、この点はもちろん私どもとしてさらにそれはやらなければならんじゃないかということは、今後力を入れていかなければならんと思いますけれども、従来では十分でなかったということは言えると思います。
  204. 米田勲

    ○米田勲君 関連して。
  205. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  206. 米田勲

    ○米田勲君 いまの局長の答弁を聞いておって不審に思うのですが、暴力団資金源の追及ということは、もう常識的な問題として取り上げているわけです。いまここに資料を提出してもらったのですが、お聞きしておりますと、この神奈川県下の調査の例は、ある事件の発生に伴って付帯的に調査を試みた結果こういう結論が出たというようなお話ですが、その結果に基づいたとしても、八百七十四社に対して二百四十八社で、いずれの状況か複雑であろうけれども、とにかく金品を供与せざるを得ない状況になっているという結果が報告されているわけです。そういたしますと、あなた方の書いた文章の中にある「暴力団による被害状況について」ということばは、暴力団による被害らしいものというか、そういうものについても、これだけ事件があった、それが実際に問題になるかどうか別にして、とにかく事件らしいものがあった、こういう事実がはっきりすれば、警察当局に熱意があれば、すでに三十六年の三月以降において東京都をはじめ全県下にこれと類似の調査をしてみるだけの熱意がなかったのですか。この資金源問題にほんとうに警察当局が熱意があるなら、すでにこのときにこういう結論が出たと同時に、これをいかんというので全県下に対して同じような調査をして依頼して、事件になるならんは別にしても、そういう調査をしてまとめ上げて、その資金源の傾向を把握するだけでも大きな今後の捜査対策にプラスになるはずであります。そういう点、三十九年に事件の発生があるまで福岡県の調査だけが第二回目に行なわれた、こういったような解釈にこの表はなりますか。私の聞きたい第一点は、三十六年以降において、こういう調査の結論が出たのに、なぜ引き続いて全国にわたって同様の調査を試みようとしなかったのか、その理由は何か、それをはっきりさしてください。
  207. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 確かに、お話のように、不法資金源の追及あるいは会社等で被害にかかっていたものについて十分な調査をし、事件になるものは事件にしていくというような措置を十分にとっていくべきだったというふうに私どもも考えるのであります。この点では私どもはいままで暴力団に対するそういう面についての追及というものは十分できなかったということを申し上げざるを得ないと思います。
  208. 米田勲

    ○米田勲君 私は、事件にするための調査というよりも、むしろこういう神奈川県で八百七十四社調査したところが、いずれにしても二八%にのぼる何らかの形の資金を供与した結論が報告されているのだから、事件にするしないは別にしても、直ちに全国各府県に向かって同様の調査を進めて全貌を把握するのが警察当局の責任ではないかと思うのです。それが十分ではなかった、ゼロだと私は言いたい。なぜ三十九年までこの調査をしなかったのか。あなた方は法の改正さえすれば何か暴力団の問題が解決するように思っているのではないかという疑いがこういう例の中からも浮かんでくる。私は、そういう簡単な、調査が不十分であったなんという反省では納得できない。これだけのものが神奈川県下の調査からあらわれてきたのに、なぜそれをやってみないのか。東京都だけでもせめてやってみなかったのですか。怠慢ではないですか。まさにそれだけの調査もしていられないようなことで、何が熱意があると言えますか。法の改正をわれわれに要望するなんというのはおこがましいです。こういうことをやっているのでは無責任もはなはだしい。もう一度答弁してください。
  209. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) お話ではございますが、これは神奈川県と福岡県がこういう調査をやっていて、その他の府県が決してこの調査をやっていないということではございません。ただ各社に対してアンケートをとった事例としては二つだけなのでございますけれども、それぞれ事件にできるものを取り締まっていく体制におきましては、各都道府県も一生懸命やっておったと私は信じております。ただ、お話のような調査を一斉にやって協力してそういう面をやっていくべきではないかと申されますと、私どものほうもそこまでやるべきであったかなあというふうに反省をいたしておるわけであります。
  210. 米田勲

    ○米田勲君 私は、事件になるものをしなかったと追及しているのじゃないんですよ。誤解をしないでください。警察庁は、全国の警察の元締めでしょう。そうすれば、いま暴力団に対する対策を立てて、全県下の警察を動員してその対策強化していく場合にでも、あらゆる情勢、状態を警察庁自体が把握する必要がありませんか。そういう立場からも、こういう事例が一つあらわれれば、全国において傾向はどうなっているかということはしろうとでもすぐ気づくことですよ。それをなぜやらなかったか、なぜさせなかったか、みなどの県にもそういう調査をさして報告を求めれば、そのことが直ちに事件になるならぬは別にして、全体的な全国的な傾向がつかめるわけです。その傾向を踏まえた上で具体的な対策がまた生まれてくるのではないか。あなた方は暴力団に対する対策といってでかでかと大きな看板だけあげて全国に号令しておっても、あなた方自身そういう怠慢な無責任な態度では、いつまでたっても解決がつかないということを自覚してもらわなければならない。そういう意味で、どこの県でもやっておるかもしれぬというあなたのことばはそのとおりかもしれません。しかし、その実態をなぜあなた方自身が把握しようとしないのですか。だから、指揮がうまくできないんでしょう。警察庁の存在が意味がなくなってくるのじゃありませんか。てんでんばらばらに各県でやっていればいい、その誠意と努力に期待するというようなことなら、警察庁は必要ないでしょう。警察庁が頭脳を働かして全国に号令をしながら対策を合理的に進めるというためにも、こういう調査は必要であった。それを今日までやっていないというのは、あなた方自身の無責任によるものであるということを私は指摘しているんです。事件になるものをしないで怠慢にしたという意味ではないんですよ、私の言っているのは。どうですか。
  211. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) お話はよくわかるのでございますが、暴力団取り締まりについて今後はあらゆる面から従来の方針を検討してやっていこうということで、いま御指摘の点もお話しの点も十分今後注意してやってまいりたい。従来のことにつきましては、これは私どもとして抜かりはあったと思います。
  212. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、ここに出ているのは、神奈川県では二八%は渡している。福岡県では、調査したものは五百三十六社の主要会社、そのうちの二百二十一社で四一%が渡している、百万円渡したところもあると、こうあるわけですな。そうすると、神奈川と福岡だけではなくて、ほかの県でもこういう調査をやっているところがあるかもわからないわけですね、報告がないとしても。それはあなたのほうから至急各地へ電話でも出して、そういうものを過去においてやったことがあるのかどうか、ことに三十六年二月二十一日閣議決定があるわけですから、その後にそういうことがあるかどうか、至急まとめてください。これは一週間もあればまとまるのじゃないですか。どの程度かかりますか、各県へ電話してまとめるのに。
  213. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 一応一週間程度いただきまして調査いたしてみたいと思います。
  214. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは一週間程度かかると。  それから不法資金源の調査ですね。不法資金源の調査ということは、全国的にやったことがあるんですか。いまあなたの言われた資金源の調査はやったことがあるような話をされたけれども、そういうようなものをやったのは、全国的なものとして何かまとまっているんですか。何かありますか。
  215. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 不法資金源の調査と申しますのは、いずれも犯罪になるものでございますので、賭博とかそれぞれの事件についてその発覚のつど検挙いたしておるわけでございます。
  216. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、発覚のつどはいいんですけれども、不法資金源というのはどういうのが不法資金源ですか。賭博だけですか。そんなこともないでしょう。いろいろあるでしょうけれども、そういうものをいろいろ分けて——不法資金源でもいろいろ内容がありますね。いろいろな内容があるわけでしょう。そういうようなものを項目別に分けて年々の統計をとったとかなんとかいう形でまとめたものはないんですか、警察庁として。
  217. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 一般的な条項としては、お手元にあります「警察の窓」に「暴力団実態」として掲げてございます。それから個々の内容別にはそれぞれ統計がございますのですが、これを御説明いたしましょうか。たとえば、賭博事犯で申しますと、これは、昨年の一月から十月までの検挙で五百九十八件、千四百十六人というような検挙を見ておりまして、これは前年に比較いたしまして増加の傾向にあるわけでございます。それからこういう賭博における金銭貸借の取り立てをめぐる恐喝事犯、あるいは詐欺賭博等の多発ということがございます。それから麻薬密売事犯でございますが、暴力団構成員による麻薬密売の介入事犯、これは先ほどと同じ時期をとりまして七百五十三件、六百六十四人というものを検挙いたしております。これもやはりここ数年来増加の傾向をいたしております。それから一般民事事件その他をめぐる恐喝事件につきましては、これは法務省のほうの統計で恐喝が出ておると思いますので、省略をさしていただきます。
  218. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、政界のほうでこれと同じような調査をやったことがないんですか。政治家に対して、政治家が法律的な被害を受けたという意味ではなくて、これと同じような形での一般的なアンケートというか、そういうことはやったことはないんですか。
  219. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) ございません。
  220. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、あれですか、やる必要がなかったと判断したのか、あるいは、そこまで考えつかなかったのか、やる必要があると思ったのだけれども遠慮したのか、大きく分けて三つぐらいかな、まだあるかもしれませんが、そのどっちですか。
  221. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 具体的に事件に結びつくような事例がございますれば、そういうこともやったかと思うのでございますが、従来のあれでは一応その必要がなかったというふうに考えております。
  222. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、そういう必要はなかったというふうに判断をしたんですか。それはだれが判断したの。国家公安委員会会議をやって、政治家が暴力団や何かに金を出しているということがいろいろ言われるのだけれども、そういうことを調査する必要がないのだという結論を出したんですか。
  223. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これは、そういうことを調査する必要がないという結論を出したというようなことではございませんので、もちろん事件になります限度においては、各都道府県が私どものほうで特に指示しないでも検挙いたしているわけでございますが、特にそういうことであらためて指示したわけではございません。
  224. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今年の六月二日かな、警視庁の組織暴力取締本部というので管内八十七署の刑事課長を集めて、組織暴力の集中取り締まりを始めるように指示したのだ、こういうようなことが新聞に出ておりますが、こういう事実はあるわけですか。これは詳細にどういうことを指示したのか、内容ははっきりいたしませんが。
  225. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これは、今年は暴力団取り締まりを重点的にやりたいということでもございますし、また、オリンピックを控えている年でもございますので、一応全国一斉に暴力団取り締まり強化をする月というものを考えていこうということで、警視庁もその一環としてやっているわけでございます。
  226. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それによりますと、1は、「表面に出た暴力事件だけでなく政治や経済界にくい込み、大きな資金源になっている会社ゴロなど知脳暴力の追及」、2に、「背後にいる大幹部まで、あらゆる法律を適用してメスを入れることを強調している。」と、こう新聞に出ているんですがね。これは毎日新聞ですが、出ているんですが、組織暴力ということで政治や経済界に食い込み、大きな資金源になっている、そういうものに対する追及だとか、その背後にいる大幹部まで、あらゆる法律を適用してメスを入れると、こういうようなことを中心として警視庁では今年六月にそういう態度をはっきりさして、ここから本格的に取り組むようになったんだ、こういうことですか。
  227. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) お話のとおりだと思います。
  228. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これは裏を返して恐縮ですけれども、この前は本格的にこういう問題に取っ組んでおらなかったんだ、こういうふうにどうも聞こえますね。それはやっぱり本格的に取っ組んでいなかった、ここから今度は取り組むようになった、こういうことですか。それからそれでいいですよ。いいったって、そういうことが事実ならしようがないので、そうじゃないのだということになってくると、それじゃどうかということでずっと聞いていきますよ。だから、それならそれでいいですがね。
  229. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私どものいまの考えから申しますと、従来から本格的に取り組んでいなかったと言われると、これはまあつらいのですが、いまありますような面について追及のしかたは非常に従来では足りなかったんじゃないか、こういう面にもっと取り締まりを強めていくべきじゃないかという考え方は持っておるわけなんでございまして、それがそういう紙面にあらわれているのじゃないかと思います。
  230. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 全体を聞いていまして、どうもこうした問題に対する取り組みが足りないということを考えるわけです。それはやっぱり経済界とか政界に対しては、なかなか手が回らないと言うと語弊があるんだけれども、遠慮しているんじゃないですか。やりづらいのじゃないですか、ほんとうを言うと。やりづらいんでしょう。そうならそれでいいんじゃないですか。
  231. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) まあお話しのような面もあろうかと思います。
  232. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのあなたの答弁は速記に残りましたから、それをまたゆっくり検討して、あらゆる角度から質問することになると思うんですが、あなたはかなか正直だと思うんですよ。ぼくはその点においてあなたに敬意を表します。  そこで、恐喝が非常にふえているわですね。もうさっきから聞いていて、けそれが一そう組織暴力中心となっているんだ、こういうわけですね。そうすると、その恐喝の現行法というのはどういうふうになっているんでしたかね。刑や何か、二百四十九条ですか、どうなっているんでしたかね。
  233. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 現行法は、「十年以下ノ懲役」ということになっております。
  234. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、それは下限はないんですか。
  235. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 下限はございませんので、総則の規定から見ますと一カ月以上ということになります。
  236. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、権利保釈ですね。権利保釈ということばが正しいのですか、必要的保釈ということばが正しいのですか、どっちが正しいのか、どうもはっきりしないんですが、条文では必要的保釈という形ですね。それは適用はあるわけですね。
  237. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 権利保釈ということばは通俗に言っておるので、法律の用語からいいますと、必要的保釈、こういうことだと思います。それからいわゆる権利保釈との関係におきましては、これは必要的保釈のほうへ入るわけでございます。
  238. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、恐喝は、いま言ったように、下限は一カ月だと、それから必要的保釈に入ると、こういうわけですな。  恐喝がそういうような形で、暴力団の中で非常に大きなウエートを占めておる、しかもそれがだんだん組織化され知能化してくる、経済界、政界にいろいろな形で入ってくるというんですが、これは改正しないのですか。
  239. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 必要性は私どもも認識しておるつもりでございますが、今回の改正からははずしましていじらないことにいたしたわけでございます。
  240. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは今度の改正でははずれておると。それはそうですね。いわゆる準備草案でも改正はしないのじゃないですか。それはどうなっておりますか。恐喝でも別な形の恐喝は別ですよ。
  241. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 準備草案の考え方も現行法のとおりということになっております。これは今回の法制審議会で十分に御検討をいただいておる問題なのでございますが、準備草案の発表されました時点で申し上げますと、現行法のとおりだということになっております。
  242. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、それはまたあれじゃないですか、どうして恐喝だけを切り離しちゃって、暴力団のこれだけ大きな資金源なり何なりの犯罪のもとになっておると考えられる恐喝を——暴力団の恐喝は相当ありますね。そういうふうなものを、法定刑の問題だとか、あるいは必要的保釈の問題だとか、こういうふうなことは今度は一切ノータッチ——ノータッチということばは悪いかもしれませんが、準備草案では現行法と同じですね。だから、今度の改正案と比べたらおかしいのじゃないか。根本的なところにちっともメスを入れないで、そっちのほうにちっとも重点を置いて改正しないで、そうして今度の改正案をまずぱっと出してきておるというふうにとれますが、どうして恐喝の問題にもっと強くメスを入れて改正なり何なりという方向に行かないんですかね。
  243. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは刑法全面改正の際に検討をしていただくという趣旨のもとに恐喝につきましては今回は手を触れなかったのでございますが、いま申しますとおり、暴力団構成員等による犯罪の相当部分を占めておることは明らかでございますので、必要性から申しますならば、恐喝についても手を加えるのが相当で奉ったろうと思います。しかしながら、恐喝に手を触れるということになってまいりますると、それでは建造物侵入の点はどうか、あるいは建造物損壊の点はどうか、あるいは強要の点はどうか、それから不法監禁の点はどうかというふうに、暴力団の犯します犯罪の種類を数字的に見てまいりますと、相当手広く直していかなければ事が済まないわけでございまして、さらにまた、立法技術的な問題、あるいは刑法学の問題から考えてみましても、恐喝罪は財産犯でございますし、暴力を手段としておるという点から申しますと、いま申したようなその他の暴力的な事犯もあるわけで、これをずっと体系的にバランスのくずれないように考慮して立証するということになりますと、これは相当大がかりな改正作業になってまいります。そうなりますと、やはりこれは刑法の全面改正の際に考慮をすべきが相当であるというふうな考え方に立ちまして、今回は必要の最少限度——全面改正も相当期間がかかると思いますので、その間のつなぎを埋めてまいりますために、必要にして最小の改正にとどめるという基本的な立法方針のもとに立案をしたわけであります。そういう観点から恐喝罪を割愛をいたした次第でございます。
  244. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、あれじゃないですか、刑法の一部改正という形でいままでやってきたのがあるのじゃないですか。
  245. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 刑法の一部改正は、いままでいたしてきておりますが、すでに資料としてお手元に差し上げましたように、文字どおり一部改正でございまして、今回この委員会に御審議に提案されております誘拐罪の改正などはむしろ大きいほうの改正でございまして、従来の改正はほんのわずかなものでございます。文字どおり一部改正でございます。この恐喝の問題をいじるということになりますと、その他の罪との関係を相当広範囲に深く検討してみませんと、十分な結論が出しにくい状況にありますので、やむなく今回の改正では割愛をいたした、こういうことでございます。
  246. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和二十二年に法律第百二十四号で暴行罪の法定刑の引き上げが行なわれておりますね。同じときに、脅迫罪、これも法定刑の引き上げが行なわれておる。暴行罪は、親告罪が普通の非親告罪になった、こういう形が行なわれておるわけですね。これは刑法全体の体系とは関係なしにやれると、こういうんですか。恐喝の場合には、暴行なり脅迫なり強要等も関連してくる、逮捕、監禁とも関連してきてできないが、昭和二十二年の刑法改正には暴行罪と脅迫罪を出しているけれども、そういうことは全然関係なしに、独自にできるとしてやったわけですね。そういうことですか。
  247. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) この昭和二十二年の改正につきましては、新憲法との関係において考慮されたのでございますが、特に新憲法の精神の中で民主主義ということが強く表面に出ておりますし、暴力の否定ということこそ民主主義の基本原理の一つであるという観点に立ちまして、暴行罪、脅迫罪のようないわゆる暴力犯罪の典型的なものが刑の引き上げがはかられたように私は承知いたしております。
  248. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 恐喝なんかは暴力犯罪ではないという考え方なんですか。
  249. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 恐喝は私ども暴力犯罪の中に数えておりますが、罪の性質から申しますと、これは財産犯でございますことは、稲葉先生もよく御承知のとおりだと思います。
  250. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 恐喝は、「犯罪白書」でも言っておりますように、傷害、暴行、恐喝と三つ並べて一緒に書いてあるのじゃないですか。昭和三十八年版の二十九ページの十六表をごらんください、ここに書いてあるのじゃないですか。二十八ページの終わりから「恐かつは、二、三の例外を除いて、発生件数、検挙人員ともに昭和二七年から三六年まで増加し続けている。その結果恐かつの発生件数は、昭和三六年には二七年を基準とする指数で二二〇に達している。」のだとずっと書いてあって、非常に恐喝は多いと書いてあるのじゃないですか。しかも、傷害、暴行、恐喝、これは暴力団犯罪の一番多いものだとはっきり書いてあるのじゃないですか。それを恐喝だけをはずしてしまうというのは、何か、そういうふうな資金源というか、経済界とか政界というふうなものは、恐喝とか何とかなかなか調べ方がやりにくいわけでしょう、率直に言って。やりにくい面があるから、どうもめんどうくさいという形でこれを除いてしまうということになるんじゃないですか。いろいろな暴力団資金源という問題がそこからオミットされてきているのじゃないですか。どうもおかしいですね。
  251. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 「犯罪白書」の二十九ページに、傷害、暴行、恐喝というふうに並べまして、暴力犯罪の中の一つに数えておりますが、これは手段が暴行、脅迫というところに着目して要するに犯罪学的に分類しますとこういうことになるわけでありまして、私もこれを暴力犯罪一つであるというふうに見ておりますけれども、罪としましてはこれは財産犯であるということは、先ほど申したわけでございます。そうして、この改正案の立案にあたりましては、私もそれに当たった者でございまして、決していまお述べになったような捜査が困難であるからこれを除いておくとか、あるいは資金源をむしろ解明しないほうが適当であるからこれを除いておくというような趣旨ではないのでございまして、先ほど申したような立法的な考慮からいたしたのでございます。  なお、付加して申し上げておきますが、お手元に差し上げてあります統計表によってもおわかりいただけると思いますが、恐喝罪がふえておりますことは間違いないのでございますけれども、それをさらに中身をよく検討してみますと、青少年の犯罪の恐喝、これが著しくふえておりまして全体として恐喝罪がふえているという結果を示しているのでございますが、一方、暴力団構成員の恐喝の罪につきましては、大体横ばいでございますが、特に三十七年は著しく減っているのでございまして、こういうような点も考えまして、先ほど申したような理由が三でございますが、こういう統計上の裏づけもあるというような考えであったわけでございまして、立案に当たりました私がそういうふうに考えているのでございまして、ほかの考え方が立案に当たりました以外の者にあるはずがございませんので、その点御了承賜わりたいと思います。
  252. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、法務省では、たとえば暴力団による恐喝が横ばいであるというんですが、一体恐喝というものの届け出が、実際に行なわれたうちどの程度のものが届け出られているのか、どういうふうに見ているんでしょうか。
  253. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、午前の御質問のときにもお答え申し上げたのでございますが、残念なことに、恐喝罪の被害者と私ども法律的に見得る者がしばしば被害意識を持たない場合が多いのでございまして、あるいは、そのために被害者とは考えていないものですから、もちろん保護を求めるという意味の届け出もしなければ、あるいは相手方を処罰してほしいという意味の告訴、告発もないのが多いのでございます。その結果としまして、多数あるであろうと思われるのでございますが、事件としてはなかなかなりにくいという実情になっているように私は見ているのでございます。先ほど警察でお調べになりましたのは、これはアンケートでございまして、もしこれが犯罪捜査をやるということで被害があるかどうかを届け出ろといっても、おそらく届け出ない者が相当あるのじゃないかという感じをしながら承っておったわけでございます。
  254. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、今度の改正案に対しても非常に関係があると思われるのは、銃砲刀剣類等所持取締法改正ですね。これがいままでどういうふうになってきたのか、ちょっと概略を説明してほしいんです。
  255. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 「銃砲刀剣類等所持取締法改正経緯」というのがお配りいたしてございますが、これは「題名」と「内容」と「制定、改正趣旨」を盛ってございますが、簡単に申し上げますと、連合軍最高司令官によって発せられた一般命令の第一号十一項、それから昭和二十年十月二十三日付の指令で、銃砲等所持禁止令が二十一年六月三日に公布されて、十五日に施行になっております。  それ以後、連合軍の覚書による措置として、地方長官が許可する際の刀剣審査員の鑑定の事項改正になりまして、昭和二十一年九月十七日に公布、即日施行になっております。  それから火なわ銃式火器で骨とう品または美術品として価値のあるものを許可の対象とするという点で銃砲等所持禁止令の一部を改正する政令が出まして、二十二年五月二十一日に公布、即日施行になっております。  それから警察制度の改正に伴う措置が二十三年三月六日公布、七日施行でとられております。  それから連合軍最高司令官の覚書に基づく措置として銃砲等所持禁止令を廃止して、新たに登録制度を設ける等、取り締まり規定を整備するための措置として、銃砲刀剣類等所持取締令が昭和二十五年十一月十五日に公布され、二十日に施行になっております。その内容は、そこに書かれているような内容でございます。  それからポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく警察関係命令の措置に関する法律ということで、一部これが平和条約の効力発生の日以降も法律としての効力を有するような措置がとられております。  それからめくっていただきまして、武器等製造法、これが制定されまして、武器製造事業者等が法定されました関係で、その面の改正が二条に加わっておりまして、それが二十八年八月一日公布、九月一日施行になっております。  それから空気銃及び飛び出しナイフによる事故の増加の状況から、この所持を規制するための措置が三十年の七月四日公布で銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律が出まして、十月一日に施行になっております。  それから三十三年には、国際競技に参加する外国人に対する所持許可の方途を講ずるというようなことを中心にいたしまして、法律の題名も銃砲刀剣類等所持取締法と改めまして、三十三年三月十日公布、四月一日に施行になっております。  それから犯罪の増加に伴う規制強化とオリンピックに関係しての規制整備というようなことを中心にいたしまして法の一部を改正する法律が三十七年の四月の五日に公布されまして、十月一日に施行になっております。内容は、それぞれそこの表にありますような状況でございます。
  256. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、七日の昼に松山市で起きた暴力団の撃ち合い事件、これが非常に大きな問題となってくるわけですが、この問題についての、あなたのほうで入手しておる公式な事実というか、それはどういうふうになっているんですか。
  257. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 松山の事件の概要と捜査の概況を御説明いたしたいと思います。  一応、発生の原因でございますが、矢島組が——これは今治市所在の暴力団でございます。ことしの三月ごろに松山市へ進出したことにつきまして、松山市所在の郷田会と対立をしていたのでございますが、六月の七日に松山市内で矢島組員が郷田会員一名を拉致したことに端を発しております。具体的に申しますと、六月の七日の午前十一時ごろ矢島組員が郷田会員を拉致した後に電話をかけまして、おまえのところの若い者をつかまえている、ほしければ取りに来いと、こう郷田会の事務所に電話をいたしましたので、郷田会員の四名が乗用車に乗って平和通まで行ったところ、待ちかまえていた矢島組員が乗用車の中から猟銃等を発射いたしまして、これに対して郷田会員が所携の拳銃、猟銃等を発射して応戦して、相互に二名が負傷いたしました。矢島組員が東雲ビルの三階に逃げ込んだために郷田会員は引き上げた、こういうのが事件の概要でございます。  これに対する捜査の概要でございますが、この日の午前十一時五十分ごろに、松山東署に、一般人から、一一〇番で、平和通で暴力団らしいものが猟銃で撃ち合いをしているという連絡がございまして、東署では捜査員六名を現場に派遣いたしました。現場に到着いたしますと、このビルの三階に立てこもっていた組員が窓から猟銃を出しまして空に向けて数発発射する等危険な状態にありましたので、兇器を捨てて出てくるように警告するとともに、危害防止のために住民の避難を呼びかけた。二時三十五分ごろに矢島組の末崎という者が、人質にしておりました郷田会員阿部を連れてこのビルから出てきまして、ライフル銃一丁、散弾猟銃一丁、拳銃一丁、これを所持して出てきております。そこでこれを殺人未遂、銃砲等違反で緊急逮捕いたしております。その後再三警告をいたしたのでございますが、矢島組の片岡が、午後三時十五分まで待ってくれ、全員を連れて出るからというので、これを期待したけれども、出る様子が認められないので、午後四時にガス弾二発を撃ち込んで内部に踏み込みまして、矢島組員七名を逮捕し、また、拳銃二丁を押収したという状況でございます。これによりまして、矢島組員を九名、殺人未遂と銃砲等違反で検挙いたしました。郷田会員四名を同じく同じ罪名で検挙いたしております。検挙人員は、合計十三名でございます。それから押収凶器は、拳銃五丁、実包二十八発、猟銃六丁、実包八百三十三発、日本刀四振りという押収の状況になっております。
  258. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 このことに関連をして、江口警察庁長官は、「結果的には市民の間に死傷者を出さなかったことはよかったと思う。しかし、現地警察のとった措置が最良であったかどうかについては疑問もあるので、十分調査している。」、これは六月九日の毎日新聞ですが、こういうような談話を出しておるわけですがね。あれですか、現地警察がとった措置が最良であったかどうかについては疑問があるということを言っておられるんですが、その点はどうなったんですか。現地警察がとった措置は絶対最良のものであった、こういうふうにあなたのほうでは見ているわけですか、そこのところはどうなんですか。
  259. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) この事件に関連して、団員それ自体は負傷を負っておりますけれども、これを逮捕する過程において、あるいは鎮圧する過程において、一般人その他に被害者がなかったということは、これは一応の成功だと思います。ただ、一面におきまして、これだけ時間をかけなければできなかったかどうかという点については、さらにこまかい検討を要すると思いますが、そういうふうにさらに検討を進めていかなければならない面もあろうかと思いますが、最良の方法であったかどうかということについては検討する余地はあろうと思います。
  260. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 家宅捜索がだいぶおくれて事件後手数時間もたっていたため、屋内はきれいに片づけられて、結局不法な銃砲等は出てこなかった、こういうふうに言われておりますが、この点はどうなんですか、家宅捜索の点は。
  261. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 家宅捜索は十カ所いたしまして、このときの押収状況でございますが、郷田組の事務所その他五カ所から、日本刀四振り、ライフル銃一丁、そのたまが六百十一発、猟銃一丁、たまが百九十九発、それから矢島組の事務所ほか五カ所から木刀一丁、これを発見、押収いたしております。
  262. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、私が聞いているのは、事件が起きたのは一体河畔かというんです。事件が起きたのは何時で、家宅捜索に実際行ったのは何時かと、こう言っているんです。その間、時間がたち過ぎているじゃないかと、こういうことです。
  263. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 捜索は、翌日の午前五時に警察官二百四十六名を動員して捜索をいたしております。あくる日行ったということなんでございますが、その間に、証拠をそろえて令状を準備してやった、それから警察官の動員その他分担をきめてやったというようなことで、多少おそくなっておるような状況がうかがわれます。
  264. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、事件が起きたのは何時ですか。一一〇番で連絡があったというのは何時ですか。
  265. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 十一時五十分ごろということでございます。
  266. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、令状は、前の日の夕方が午後にはもらっていたんじゃないですか。何時ごろもらったのですか。
  267. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 令状をもらった時間は同夜のことと思いまするけれども、時間はわかりませんが、十一時に事件発生の認知を受けまして、それから現場にかけつけておるわけでございます。先ほどのような逮捕をいたしました時間は、最終的には午後四時に検挙態勢を整えて踏み込んでおるわけでございます。
  268. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、こういう事件が起こるということは、全然予期していなかったのですか、愛媛県では。あるいは起こりそうだというふうなことに考えていたんですか。そこはどうなんですか。
  269. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 矢島組が松山市に進出するのに伴いまして郷田会との対立関係を生じていると、そういう状況にありましたので、この両団体を視察内偵中であったのでございますが、この両組員の動向等から、事前の段階では直ちに抗争事件に発展するような要因が見られなかったというような状況にあったようでございます。
  270. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、四時ごろ逮捕したのは、緊急逮捕ですわね。ですから令状は要らないわけですけれども、令状は一体何時にもらって、その令状をもらってから、その日のうちに家宅捜索はできなかったか。朝、寝込みを襲うという手もありますけれども、その日のうちにやればやれたんじゃないですか。あるいは、どうしてもやれないような事情があったのか。そこら辺がわからない。常識的に見ると、ちょっとおそ過ぎるんじゃないか。その日のうちに、夜やればよかったんじゃないか、こうも思うわけですが、警察としての態勢全体がそこまでいっていなかったとすれば、どういう意味でいっていなかったのか。たとえば、愛媛県の警察本部としては、暴力団取り締まりに対する対策が十分ふだんから立っていなかったとか、いろいろあると思うんです。警察官を各地から集めたのかどうかわかりませんけれども、その点のことがよくわからないんですがね。あなたのほうでいまわからなければ、調べればわかると思いますから……。  令状は何時に出たということはわかるんじゃないですか。
  271. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 令状が出ました時間というのは、あとで調べてお答えさしていただきます。
  272. 米田勲

    ○米田勲君 関連質問
  273. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  274. 米田勲

    ○米田勲君 第一に関連質問でお伺いしたいのは、この松山市の事件の該当しておる矢島組というのと郷田会というのですか。これは警察庁の昨年末の調査発表にある暴力団五千二百団体、その人員十八万四千人の中にはこの二つの組は入っているか入っていないのかということをまずお尋ねします。
  275. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 入っております。
  276. 米田勲

    ○米田勲君 この事件に関連した人物は、この十八万四千人の暴力団員の該当者の中にはすでに入っていたかどうか、その点は。
  277. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 中に入っております。
  278. 米田勲

    ○米田勲君 入っているんですね。それでは、もう一つお聞きしますが、十一時五十分に松山東署にこれは住民が通報をしたのでしょうか、そのことが一点と、あなたの先ほどの報告に基づけば、警官を六名直ちに現場に派遣をしたということですが、四時全員を逮捕するまでに動員された警察官の総数は幾らであるのか、その点をあわせてお伺いします。
  279. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 最初の電話は一般人から一一〇番で連絡があったようでございます。  それから動員しました警察官は、九十六名、約百名ということでございます。
  280. 米田勲

    ○米田勲君 先ほど私の聞いたのは、六名というのは聞き違いで百名ですか。
  281. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 先ほどは、一番まっ先にかけつけたのは六名と申し上げましたので、あとのほうのは、最終的に動員した人数を申し上げたわけであります。
  282. 米田勲

    ○米田勲君 十一時五十分通報を受けて、直ちに派遣した警官は六名、自後残余の警官を増員した時刻は何時でしょうか。
  283. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 十二時五分に六名でございます。それから十二時十分に全署員を非常招集いたしまして、十三時までの間に現場には制服の松山東署員三十名、それから同署の刑事官児玉警部が責任者として現場の指揮に当たったわけでございます。それから県本部捜査二課の特捜班では七名、本部機動隊員六名が現場に到着をいたしております。十四時三十五分に現場にさらに五十名の署員を増強いたしまして児玉刑事官の指揮下に入っております。
  284. 米田勲

    ○米田勲君 先ほど稲葉氏のほうから質問が出ておりましたが、午後四時に至って該当者を緊急逮捕をしておりますが、私のしろうと判断では、翌日四十六名の警官を動員して家宅捜索を行なったようでありますけれども、これはこれらの暴力団がすでに警察庁の調べにも載っておる暴力団であるということは先ほどの答弁でも確認をされているし、また、その事件に該当した人物もこの十八万四千人の中の該当者ということになれば、緊急逮捕した直後にこれらの関係の家宅捜査を行なって、容易に推定できる銃砲刀剣等の不法所持を摘発することができたのではないか、それをなぜ翌日まで延ばして家宅捜索をしなければならなかったかということに私は非常に疑問を持ちます、しろうととして。これがこういう疑問が、どう暴力団のこういう事犯に対して機を失せず警察当局が積極的に合法的な手を打つということに欠けているんじゃないかという判断をいたしますが、あなたのほうのお考えをお聞きしたいことと、もう一つは、この二つ暴力団はすでに対立関係にあったということを予知しておって、警察当局も内偵中であったと報告をされたのですが、そういうことになれば一そうその緊急性が当然生まれてくるのではないか。また、動静についても、こういう民間の人の協力を得て電話の通報があって出動ができたのはまあよかったけれども、しかし、内偵が確実に進められていれば、全貌はわからなくても、ある程度の動静についてはあらかじめ予知できたのではないかという疑問が一つあるわけです。それらの点についてひとつ当局の見解をこの際お聞きをしておきます。
  285. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 先ほど申し上げましたとおり、令状をとりました時間はあとで調べてお答えいたしますが、令状をとりますのには、もちろんそれぞれ緊急逮捕した者の調書をとって、それを添えて令状を請求いたしておるわけでございます。そういう意味で、令状が得られましたのは夜になっておると思われます。この際に、朝まで待たずに捜索ということでございますが、先ほど私申し上げたのを多少人数を誤解しておられるかもしれませんが、二百四十六名を動員しておるわけでございます。そういうものを動員し、十カ所を一斉に捜索するということになりますると、夜間は概して紛争の起きやすい場面もございまするし、また、これだけの人員を集めまして、そのほかに県下におけるいろいろな動きというものも絶えず動静も見ていなければならないというようなこと等を考えますると、早朝を期して午前五時を期してやったということは、必ずしもおそかったとは考えておらないのであります。
  286. 米田勲

    ○米田勲君 もう一度。関連質問ですから、長いのはやめますから……。
  287. 中山福藏

    委員長中山福藏君) できるだけひとつ簡単にお願いいたします。
  288. 米田勲

    ○米田勲君 あなたの答弁を聞いてもう一つお聞きをしたいのですが、この検挙された人物は、私の知る範囲では年齢が非常に若い人たちが多いわけです。そうしますと、あらかじめ暴力団の人員、該当者も当局の調査によって明らかになっているのであるから、当然これらの若い人たちの背後関係というものは直ちに思いつくわけです。しかも、こういう若い人をいままでたびたび暴力事件で逮捕しても暴力団あとを断たないでどんどん成長しているというのは、あなた方自身が身にしみて知っておるところです。ですから、私たちの判断からすれば、この事件の背後にある者をいち早く探索をする必要があるということを判断するわけです。そうでなければ、事件の表面に浮かんだ者だけを取り調べて、そうして彼らの仲間は義理がたいですから、さっぱり何も言わない。私が自分の判断でやったんだということで、当局もそれ以上に発展できないということに従来は往々なっているわけです。それから、これらの暴力団体は、半生、銃砲、刀剣を隠して持っておるのが通例です。これはもうあなた方のほうがよく知っているはずです。だからここで、この事件が起こったときに銃砲が使われているのですから、これらの該当者の事務所その他には相当数のまだ銃砲、刀剣が隠匿されているということは、だれしも判断のできるところです。しかもそういうものをこの事件をきっかけにして大々的にこの際摘発をするということも、暴力事犯をなくしていく過程の一つとしては大事ではないか。そういう判断に私は立ちますので、どうもあなた方の指導で活動しておられる警察官の諸君の行動には、国民の側から見てまだ手落ちがあるんじゃないか、もう少し機を失せず適切な処置がとれないものか、そういう適切を欠く措置が積み重なるから、いつまでたっても暴力団がふえる一方であとを断たないのじゃないかという国民の心配がふえてくるわけです。その点について、ひとつ私の疑問とするところを当局の立場から明快に解明をしてこの際聞かせてください。
  289. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 先ほど御質問の中で御答弁を忘れたのですが、対立関係を生じている状況にあったので、視察内偵中であったのでございますが、直ちに暴力事件に発展するというような要因が見られなかったので、それが急に勃発したという点で事前の措置ができなかったということがあるようでございます。  それから凶器の押収、捜索の問題でございますが、私どものほうとしては、お話のとおり、ここに使われました日本刀はいずれも登録刀剣でございます。それから猟銃等はいままでのところでは所持許可を受けた事実はございません。こういうような凶器の面について、事前に不法所持の状況が拳銃その他についてわかっておりますれば、これを取り締まらなければならなかったわけでございますが、その点が十分にわれわれのほうで把握できていなかった。この事件をきっかけにいたしまして、先ほど申しましたとおり、捜索を実施いたして押収したわけでございますから、さらにまたあらゆる面を考えて、拳銃その他のものがあるいはまだ隠匿されておるかもしれないという予想のもとに十分に徹底した捜索方針でやってまいりたい、背後関係等についても十分な捜索をいたしてまいりたいと、こう考えております。
  290. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、この松山の事件では、いままあ暴力行為改正案がここで審議されているわけですけれども改正案まだ通っていないわけです。そうすると、いま暴力行為法があるわけですけれども改正案がまだ通っておらないと、通っておらないためにこの事件の逮捕なり家宅捜索なり何なりに具体的な影響があったんですか。
  291. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) この暴力行為等処罰法の改正案が通っていないことといまの逮捕なり家宅捜索等についての関連はないと思います。
  292. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、公安委員長なり警察庁刑事局長ね、いまの暴力法の改正案がここに出ているわけだけれども改正案がなくても警察としては暴力団に対してやれることは、一体、何と何と何なんです。わかりますか、意味が。何と何と何がやれますか、いまの改正案がなくても。
  293. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) ちょっと御質問趣旨をはき違えておるかも存じませんが、暴力団犯罪として検挙してまいりますのには、刑法犯で殺人をはじめとしていろいろな様態があるわけでございます。その中で暴力行為等処罰に関する犯罪もありまするけれども、それ以外の一般の刑法犯、その他銃砲刀剣類所持取締法違反その他の特別法犯がある。これに関しましては、今回の法案とは直接の関係がないわけでございます。
  294. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、暴力団を逮捕する場合ですね、逮捕そのものですよ。逮捕には、いまの改正案関係ないわけですか。
  295. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これも御質問趣旨をはき違えているかもしれませんが、逮捕には関係がないと私ども解釈いたしておるのでございまして、ただ、今回の改正案は、暴力行為処罰法について法定刑を引き上げるという点については別問題でございますが、逮捕そのものについてはこれは関係がないと一応考えております。
  296. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国家公安委員長にお伺いするんですが、これは法務大臣でもどちらでもいいんですけれども昭和三十六年二月二十一日閣議決定で「暴力犯罪防止対策要綱」ができましたね。これは一体できたときの主管省はどこなんですか。
  297. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) それぞれの事項によって主管省が分かれております。
  298. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、この「対策要綱」に基、ついて、第一からずっとありますね、法務省の主管はどことどこなんですか。
  299. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 法務省の担当いたします部分は全面的にわたっておるのでございますが、その中でまず第一の「行政上の措置」というところの「暴力排除の国民運動の展開」は、一応私どもの主管というわけじゃございません、協力をいたすわけなんでございます。それから「総合的な暴力犯罪取締体制の確立」、これも主管省というわけじゃございませんけれども警察、その他の関係機関と協力するという責任を持っております。それから3の「量刑等の適正化に資するための方策」、これも私どものほうの主管でございます。  それから二の「順法意識を高揚し、法の実効を確保すること。」という点の1は、もちろんこれは協力でございまして、主管というわけじゃございません。2の「裁判の権威の尊重」という点でございますが、これは私どものほうもいうなれば一つの主管と申していいかもしれませんが、これは直接ではございません。それから3の「法の実効を確保するための警察・検察・裁判の機能の強化」でございますが、これは警察、検察を含めておりますので、わがほうも一部主管と申していいかと思います。  それから三の「総合的な犯罪防止対策を確保すること。」、これにつきましては、「青少年の保護、育成のための総合的施策の推進」の関係におきまして法務省の主管も入っております。単なる協力ではないと思います。2の「犯罪を誘発する不良有害環境の改善」、これにつきましても、法務省だけじゃございませんが、法務省も単に協力ではなくて、みずからの行政としてやるべき責任がある分野でございます。3の「再犯を防止するための保護、矯正施策徹底」、これは法務省の主管でございます。  それから第二の「法制上の措置」につきまして、一の「暴力を根絶するための法的規制強化」という点につきましては、法律によりましては警察庁法律によりましては法務省、こういうことになっております。  それから二の「法の実効を確保すること。」で「改廃の措置を講ずる。」という点がございますが、これは警察庁だと思います。  三の「総合的な犯罪防止対策を確立すること。」という項のところは、法務省もその一端をになっておりますが、警察裁判所もその責任があると思いますが、まあ裁判所につきましては直接行政府から命令するという形をとっておりませんので、裁判所の分担部分につきましては、法務省が側面から協力をするという形になろうかと思います。2の「犯罪を誘発する不良再審環境の排除」、これにつきましても、先ほど申しましたように、保護の面で法務省が一端の責任をになっております。3の「再犯を防止するための保護、矯正施策の充実」、これは法務省の主管でございます。  第三の点は、協力でございます。
  300. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警察庁としてはどこですか。
  301. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 第一の「行政上の措置」の一の2の「総合的な暴力犯罪取締体制の確立」というのが私どものほうの主管になろうかと思います。  それから二の「順法意識を高揚し、法の実効を確保すること。」の中で、3の「法の実効を確保するための警察・検察・裁判の機能の強化」ということがございます。  それから三の「総合的な犯罪防止対策を確立すること。」の中で、1の「青少年の保護、育成のための総合的施策の推進」、これは中心ということではございませんですが、一応警察のほうがこの中の一環としてやってまいっております。それから2の「犯罪を誘発する不良有害環境の改善」、これもやはり警察としてこの線に沿ってやっていくべき事項だと考えております。それから第二の「法制上の措置」でございますが、この中では、一の「銃砲刀剣類の所持についてその規制強化し、あわせて警察官に所要の権限を付与する立法措置を講ずる。」、これが私どものほうの事項になります。  それから二の「法の実効を確保すること。」ということで「特別報償制度を確立する等の措置を講ずる。」、これが私どものほうの関係になろうかと思います。  三の「総合的な犯罪防止対策を確立すること。」の中で、1の「青少年の保護、育成のため総合的施策の推進」、2の「犯罪を誘発する不良有害環境の排除」、これも警案が一応その中の一環としてやることになろうかと思います。
  302. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは国家公安委員長がおられる間にお聞きしたいのですが、第三の「暴力犯罪防止対策懇談会の開催」というので、「民間の学識経験者による暴力犯罪防止対策のための懇談会を設けて検討する。」と、こういうのがあるんですが、これはどうなったんですか、やっているんですか。やっているとすれば、その具体的な状況はどうなっているんですか。
  303. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 総理府の官房で一回やったそうでございます。
  304. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何ですか、総理府の官房で一回やった……。いつやったんですか、これは。
  305. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 銃刀法改正の時期だったそうでございますので、日にちをはっきり覚えておりませんが、その改正の時期に一回やったということでございます。
  306. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の聞いているのは、いろいろな「根本問題については、民間の学識経験者による暴力犯罪防止対策のための懇談会を設けて検討する。」と、こういうふうに閣議決定しているじゃないですか。やっていないじゃないですか。やっていないならやっていないでいいんですよ、それをはっきりさせれば。銃刀法等について何か取り締まりをやったときに一ぺんやったというんですか。総理府でいつやったんですか。三十何年かな。それはちっとも根本問題じゃないじゃないですか。飛び出しナイフの問題でしょうが。飛び出しナイフを入れるか入れないかの問題のときですが、何をやったんですか。その議事録を出してくださいよ。何をやったかわかりゃしない。詳しく説明をしてくださいよ。
  307. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 主管が総理府になっておりまするので、どうもその間の経過は事務当局もよく知っておらぬようであります。
  308. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、主管は総理府だと言ったって、だから私はわざわざこの主管はどこかどこかと一々聞いていったんですよ。これを聞きたいから聞いていったんです。そこまで聞くとわからなくなるから言わなかったんですよ。これはやっていないんですよ、ちっとも。総理府で一回やったというのは、何をいつやったんです。あなた方は出たんでしょう。警察は出ないんですか。法務省はどうなんですか。出ないんですか。
  309. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 私も幹事でございましたか、そういう資格で出ました。たしかいまお話のありましたように一回やったわけで、みな関係者が集まりまして、飛び出しナイフなどを見て大いに論議したわけでございますが、その後、国会の内部で、こういう事実上の懇談会形式の審議会のような懇談会のようなものは適当でない、法的根拠がなければならないというような御意見があったようで、その後この部面は動かなくなってしまっておるのが現状だと思います。しかし、各省の、先ほど私どもの主管と申し上げました各事項につきましては、引き続きこの要綱に基づいて施策を講じておるわけでございます。
  310. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、それはだれなんですか、責任者は。総理府の長官ですか。飛び出しナイフと総理府とは関係ないんじゃないですか。飛び出しナイフは警察庁の問題でしょう。銃砲刀剣類等所持取締法の違反のときだから警察庁の問題で、総理府とは関係ないんじゃないですか。そのときは何をやったんですか。これは根本問題をやることになっておるんですよ。飛び出しナイフは根本問題とは離れていますね。何をやったんですか、一体。
  311. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) この席におります者ではちょっとわかりかねますので、いま至急にその当時の状況を調べましてお答えをいたします。
  312. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  313. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を始めて。
  314. 岩間正男

    ○岩間正男君 さっきの問題、これは速記で調べたわけですね。そうすると、明らかにこれは稲葉委員質問に対してあなたが「松葉会」云々というようなことを答えている。暴力団の代表的な例として、そういう例としてこれは答弁されています。ところが、そのあと質問に対してあなた自身の答弁は、松葉会はこれは暴力団でない、暴力団であると言い切れないというような答弁をやっておる。したがって、さっきのような点で私は非常に意思の食い違いがあると思う。しかも、このことは、これは暴力団対策の最も責任者であり、国家公安委員長の発言としては現実の認識の程度がどうかという点で非常に重大な問題だと考えたのです。つまり、松葉会そのものを具体的にどういうふうに考えておるか、その認識によってあなたの対策は非常に変わってくることですから、影響するところが非常に大きい。単にことば先の問題をつかんで私は質問しておるわけじゃない。ところが、最後に、あなたは質問に対して次のような答弁をされています。私はちょっと念のために読み上げてみますが、こう言っておる。「そこで、私は、松葉会のことでございますけれども、やはりこれを構成しておる団体の個々のものを小さく言いますと、何かそういう印象を受けるわけでございますが、松葉会としては、私の調査が不十分かもしれませんけれども、実は松葉会が暴力をふるったとかなんとかということは耳にもいたしておりませんし、しかしながら、やっぱり普通の政治団体とは私どもは考えないわけでございますので、そういうことで区別いたしましたが、何も松葉会の実体を知りませんので、そういうことは決して御懸念は要りません。言い直すわけではもちろんありません。」、何だかこの答弁は何を一体言おうとしているのか、私はつかもうとしてずいぶん努力したんです。しかし、これはつかめない。しかし、言おうとすることは、どうも松葉会は暴力団であるのかないのかはっきりしない。まあないんだと言いたいような口吻でこれは言われたように思うんですが、もう一ぺん念のためにはっきり答弁願いたい。
  315. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 始終暴力団が何であるかということが念頭にあるものですから、たとえばということばに引いたと思います。しかし、私は何も松葉会が暴力団でないということを一生懸命で説明しているわけではございませんで、ただ、私、そのときの認識が、暴力団松葉会というもの、すなわち暴力団であるかどうかというお答えでありますならば、私の認識は、松葉会そのものが暴力団として出たということは事実かどうか調べておりません。が、しかし、それを構成するいろいろな暴力団関係等の連合体であって、それがおそらく松葉会というふうに名づけられておると思いますし、それはまた政治結社の届け出をしておるわけでございます。これがいまの議論の対象になっております暴力団そのものであるかどうかということにつきましての判定は、ここへ事務当局がおりますので、そのほうからお答え申し上げさせます。
  316. 岩間正男

    ○岩間正男君 事務当局の答弁はあとで聞きますけれども、それは大臣はあまり認識不足じゃないかと思うんですよ。ことに暴力団取り締まりの問題をあなたはやっていられる。そういう立場としては非常に認識不足だと思うんです。「松葉会は東日本に勢力を持つ組織で東北など十三都県に十九の支部があり、会員二千四百人といわれ、さる三十五年毎日新聞社を襲撃するなどたびたび暴力事件を起こしている。」、これは読売新聞の三十九年一月十七日の記事です。「松葉会手入れ」「けさ四人逮捕」「大阪で悪どい総会荒らし」、総会荒らしの問題でも、近江絹糸に対してたいへんな金を、つまり脅迫的な要求をしている。これが非常に大きな問題になっている。ここにあげた事例は一、二のことであります。しかし、これは非常に付随したたくさんの問題があると思う。これについて、いまの判断がおできにならないんですか。私は、最初に、一番先に松葉会などというので、とにかく代表的な暴力団の例としてあなたあげられたと思うんです。それをあとで何であのように何だかわけのわからないような言い方で打ち消されたのか。この点は国民は納得できないんです。この点、あなたの判断を明確にしてほしいんですね。暴力団と考えるのか、考えないのか。いまの暴力法の処罰の対象になるのだというので暴力団の問題が先ほどから論議されている。そういうときに、これに該当する団体と一体考えるのか考えないのか、この認識程度が、政府暴力団対策をわれわれが判定する上に非常に大きな資料になるわけです。だから、あえてあなたの考えを伺います。
  317. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私が申し上げていることをひとつ的確に御判断願いたいのです。私が認識不足かもしれませんけれども、傘下のたくさんの暴力団的なものの集合体でございますから、個々にはいろいろな犯罪対象になるような事件を起こしておるようでございます。しかし、その連合体の松葉会という名前で何事か起こしたということは私は実は記憶がなかったと申し上げたのでありまして、こういう暴力団の連合体としての松葉会というものは、当然これは取り締まり対象として警察庁当局としては扱っておるわけでございます。
  318. 岩間正男

    ○岩間正男君 刑事局長、答弁してください。
  319. 米田勲

    ○米田勲君 関連。
  320. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君。
  321. 米田勲

    ○米田勲君 国家公安委員長に聞いても明確でないから、あなたから答えてください。警察庁から。私の聞くことは、警察庁の発表しておる昨年末の暴力団の総数五千二百団体、この中に松葉会は明確に入っているんでしょう、これを答えてください。
  322. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 松葉会は、暴力団として考えております。
  323. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それじゃ、国家公安委員長は放免します。どうぞ……。
  324. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この答えはどうしたんですか。
  325. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それじゃ、それだけをお答えして退場していただきましょう。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  326. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起こして。
  327. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) この三十六年の二月二十一日の閣議決定できまりました暴力犯罪防止対策懇談会の開催についての御質疑でございますが、これはいま事務当局に聞きましたところ、一回だけ開いてそのままになってしまっているということでございますので、その一回開いたというものの内容をいま調べてもらっているわけでございますが、その後はこういう形では開いておらぬようでございます。
  328. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それならばそれでいいわけですね、答えは。答えはいいということは、それに対する中身が悪いいい、それの評価は別ですよ。こういう形では開いていないわけですね。いまあなたの言われるのは、こういう形では開いていないと言う。じゃ、どういう形で開いているんだと次に聞かざるを得なくなってくる。それはあなたのほうで予期されておると思いますが、それはどういう形で開いておるわけですか。
  329. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) もちろん警察当局では日常これをやっておることは当然のことですが、ただ、別に青少年保護育成……
  330. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 青少年だけじゃない。違うですよ。
  331. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 中央青少年問題協議会も、やはりこれに関連していろいろ協議を進めておるようでございます。
  332. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたの言われるのは、こういう形では開いていないと言われるから、それじゃどういう形で開いているのかと言ったら、青少年問題協議会ですか、それで開いていると言われるんですが、それは総理府のなんですか。これは青少問題だけじゃないでしょう。それは、暴力団そのものの根本問題ではないんじゃないですか。それはある程度もちろんサークルとしてはお互いに重なるかもしれませんけれども、違うのじゃないですか、ものが。
  333. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ですから、私が申し上げましたのは、こういう「民間の学識経験者による」云々の会議というのは、あれっきりになっておるようでございます。こういう式のものは、一部は青少年問題につきましてはただいま申し上げました協議会でやっておりますし、一般は警察当局の責任として当然やっておるということを申し上げたわけでございます。
  334. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、確かめますと、ここに書いてあるこういう「根本問題については、民間の学識経験者による暴力犯罪防止対策のための懇談会を設けて検討する。」というのは、これはやめたんですか、やめはしないんですか。ただそのままになっておるんですか。やめたのか、やめないけれどもそのままになっておるというのか、ちょっと意味が違うわけですね。それが青少年問題というものに変わったのか変わらないのか、よくわからないんですが、その点、はっきりさせていただければ、その点はきょうはこれでいいんですよ。どうもはっきりしないんですよ、それが。
  335. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 当時幹事をして、おられた事務当局が申されるのには、停止状態ではなかろうかということでございますが、しかし、これについて的確なことを言えと言われましても、実は私としては責任ある答弁ができぬわけでございます。この点、ひとつ御了解をお願いしたいのでございます。
  336. 米田勲

    ○米田勲君 関連。
  337. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 米田君、一点だけに願います。
  338. 米田勲

    ○米田勲君 その点で一点、調査をされて答えられるのでしたら、私の要望も入れてひとつ答えてください。それは、私らに言わせると、閣議の決定というのは相当権威のあるものなんです その権威のある閣議決定が行わなれて、その後一度持たれて、自後ずっと持たれていないということは、いままでの答弁でほぼ明らかなんです。それでは閣議の決定はそれはもう取り消して、自後別な角度から対策を立てるということになったのか、閣議決定はあるが一度しか持つ必要がなかったから持たないのか、その点もあわせて、閣議決定の始末はどうなっているかをひとつ明確にしてください。
  339. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 実は、最初申しましたとおりに、所管も違いますので、これにつきまして私からここで責任あることを申し上げられぬと言ったわけでございます。しかし、所管が何であれ、これは現実は私どもの責任にあることでございまするので、私ほんとうのことを申し上げますと、こういうものがあることは知らなかったわけでございます。しかし、学識経験者による、しかも民間のこういった方々によってまたりっぱな意見を出していただくことは非常に有意義でございますので、これはまた新しい角度で私は取り上げてみたい、かように思っております。
  340. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  341. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起こしてください。
  342. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省にお尋ねしますけれども、「暴力団について」という資料があるんですが、この資料の中に、昭和三十七年末現在で博徒とかテキヤとかいろいろなものが書いてありますね。これはちょっとよくわからないんですが、これはどこから持ってきた資料なんですか。資料そのものはこれは法務省資料だということはさっきわかったわけですが、この中に書いてある数字なり表なりは、これはどこのやつなんですか。
  343. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいま御指摘の団体数とか構成員の数、三十七年末現在という数字は、警察庁資料を拝借をいたして書いてあるわけでございます。
  344. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警察庁の何ですか、どこにある資料ですか。
  345. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これを作成しましたときは公表されていなかったと思いますが、現在では、この「警察の窓」にも書いてございますが、ただいまでは団体数もふえておりますし、構成員の数も一万二千人くらいふえておるように思うのでございます。
  346. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのほうでこれはことしの四月十四日に衆議院へ出したんでしょう。衆議院の法務委員会に出した資料だと、こう思うんですが、ことしの四月十四日のときに、法務省としては昭和三十七年末のものしか資料としてはつかんでいなかったわけですか。
  347. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) そうではございませんで、この資料は、法制審議会暴力団実態について委員の方から御質問がございましたので、そのときに私から口頭で御説明をしたものを文章にいたしまして、さらにこれを衆議院の御要望によりまして出したわけでございまして、最新版ということになりますと、この数字に関します限りは「警察の窓」のほうが新しいわけでございます。
  348. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、この資料は、法制審議会へ出したものをそのまま国会へ出したんですか。そういう意味ですか。
  349. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) さようでございます。
  350. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これよりも新しい資料が当然あるわけですね。あるんだけれども、そいつは引用しなかったと、こういうわけですか。
  351. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) そのとおりでございます。
  352. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、こういう資料をいただいたんですがね。これは、いつどういうふうに配ったのか、よくぼくもわからないんですが、こういうことに対して、ただ出しっぱなしで、全然質問があるまであなたのほうでは説明しないんですか、ぼくらに対して。説明したんですか、
  353. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、衆議院の段階で出しました資料は全部参議院にも差し出しまして、当然なこととしてそういたしたのでございます。
  354. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もう少し新しいのはないんですかな、これは。ことしの四月十四日にしちゃやけに古い資料を出してあるし、法制審議会に出したなら、出したということをどこかに断わっていただきたいですね。いつどういうようなところへ出した資料であるか断わっていただかないと、何が何だかちょっとわからないんです。これは私のほうで聞かないのが悪いといえば悪いかもしれませんがね。  まあいずれにしても、そうすると、警察に聞くんですけれども、いま言ったようなこういう数字ですね、これは法務省が出した資料とそれから「警察の窓」に出した資料とは、日にちが違うから、こっちのほうが新しい。人数もふえていますけれども、私が疑問に思いますのは、こういうような数字をどうやって警察庁としてはつかんでおるわけですか。方法はどうやってつかんでいるんですか。どういう調査をやってこれはつかんでおるんですか。
  355. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私どものこの具体的な集計数字につきましては、これは各都道府県の警察本部からの報告によるものでございますが、各都道府県警察本部におきましては、検挙活動、内偵活動等を通じて実態の把握につとめておるわけでございます。
  356. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、法務省に言わせると、この資料はあまり正確じゃないなんて言っていますな。そうでしょう。法務省の言い分はそうでしょう。
  357. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 私のほうは、正確でないとは申しておりませんので、昭和三十七年末現在におきましてはこの状況でありましたが、その後今日までの間にかなり数字がふえておるということを申しただけでございます。
  358. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 「しこうして、暴力団につき、次のような分類、団体数及び構成員等の数を示しているものもある。」——「ものもある。」というんですから、ほかのものを引っぱってきたことはわかりますが、「ただし、この表は、大小各種の暴力団体と疑われるものを何でも彼でも掲記したのではないかと考えられる点に留意する必要がある。」と。そうすると、あまり正確じゃないという意味じゃないですか、法務省のほうでは。警察の出した統計をそういうような観点から批判しているのじゃないですか。それならそれでいいですよ。そんなに正確につかめないのはあたりまえなんだから、だから、そういうような意味ではこれはまだ不正確なんだと言われれば言われたでいいんですよ。そこのところはどうなんですか。
  359. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、大づかみのつかみ方をすれば、何も正確、不正確の問題はないのでございますが、この数字がたとえば裁判資料になるとかなんとかいうような問題になってきますと、かなり正確なものでなければならぬと思うのでございますが、そういう法制審議会資料でありましたので、相当正確なものとして考え得るかどうかという点につきましては、そういう意味でここへ注を入れておいたわけでございまして、初めから疑っておるというような意味ではないわけでございます。
  360. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのほうでこの資料を出しましたね。資料にいまいったようなことを注みたいなことを書いたのは、これは法務省の考えで書いたわけですね。警察庁関係ないわけですね。
  361. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 全くそうでございまして、警察庁からは、数字を、この分類、団体数、構成員の数字をいただいたのでございまして、それをコメントしたのがこの書いてありますようなことでございます。
  362. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのほうで警察庁の出した数字に対して法務省は一種の疑問みたいなものを投げておるわけですね。疑問というか批判みたいなものをね。それはどういう根拠で疑問なり批判なりが出てきたんですか。
  363. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、特に「青少年不良団体(いわゆるぐれん隊)」というようなものとか、「的屋(露天商の集団)」、こういうようなものの中には、いままでは構成員であった者が今度はもうやめてしまったというような者もありまして、どの程度固定しておるものかどうかという点につきまして的確に言えるものであるかどうか、その辺がやや言うなれば疑問と、正確でないという意味でこういうふうに書きましたわけであります。
  364. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、警察庁が出しているこういう数字は、警察庁、いま法務省が言ったように正確ではないんだ、こういう意味ですか。
  365. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 先ほど申し上げましたとおり、各都道府県警察が検挙活動なり内偵活動を通じて把握しておる数字でございますので、これがはたしてさらにそれ以外の団員がいないかどうかという点については、やはり正確を欠く面はあろうかと思います。だんだんに視察内偵が進んでまいりますれば、さらに人員を増加するというような部面も見受けられるわけであります。
  366. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは人数はある程度のことは増減がありますから、そういう点をこまかく聞くわけじゃありませんが、あなたのほうの出した「警察の窓」、これによると、年次別の状況で、昭和三十八年十二月三十一日現在では、全国都道府県警察で把握している暴力団構成員の人数は総数が十八万四千九十一人だ、こう言っていますね。ところが、あなたのほうで四月二十日に全国の管区警察局長会議を開いたんじゃないですか。そのとき出した暴力団組織状況の資料というのと違うじゃないですか、数字が相当大きく。
  367. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 十二月三十一日現在で把握しておるのは、この「警察の窓」に書いてあります数字が正しいわけでございまして、この前の管区局長会議のときの数字は、各管区ごとに調査してある時点が違うようでございます。それを新聞社のほうで集計したようでございます。
  368. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、管区警察局長会議というのは、具体的にどういうものですか。これとどう違うんですか。それでなぜその違いができてきたのか。私は違うなら違うでいいんですよ。そういうことはこだわるわけじゃないですよ、決して。問題が問題ですから、多少のことはしようがないから。ただ、あまり違い過ぎるんですよ、数字がそのときによって。
  369. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 調査時点が違っておるということでございまして、警察庁で統一して集計したものでございませんので、これのほうが正しいわけでございます。
  370. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この「警察の窓」のほうが正しいんですか。「警察の窓」は去年の十二月三十一日現在じゃないですか。
  371. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) さようであります。
  372. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 管区警察局長会議はことしの四月二十日に行なわれているんだから、これはもっと新しいものがあるんじゃないですか。いずれにしてもたいしたことじゃないからいいとして、管区警察局長会議で出したその資料をひとつ出してくれませんか。非常に違んです、数字が。
  373. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 四月の管区局長会議の人数は、これより古い数字を基礎にしてお話ししておるのもありますし、各管区ごとにそれぞれ局長さん方が説明されましたので、警察庁として資料を取りまとめたわけではないわけでございます。
  374. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃ、管区警察というのは一体何をやっているんですか。それで人数がどのくらい違う——約一万人近く違うんじゃないですか。
  375. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これは各管区ごとの数字なのでございますけれども、新聞にどういう表現になっておったか私もちょっと記憶がないですが、約何千人というような表現のものもその中にありまして、その数をそのまま数字として出されておる、それをそのまま集計したというような形でだいぶ違いが出てきておるようでございます。
  376. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、どの程度違うんですか。大ざっぱでいいです。八、九千人違うでしょう。
  377. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これは四月二十一日の毎日の朝刊でございますが、これでは一応団体数は五千九十四団体、十七万五千六百七十九人というようなことになっておりまして、私どものほうの十八万四千というところからしますと相当な開きがあるわけでございます。
  378. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、開きがあるのは開きがあっていいんですよ。それはなかなかむずかしい問題ですからね。こういうことは人数が何人違ったからといって、それが大局にどうということはありませんけれども、私が聞きたいのは、なぜこういう開きが出てくるかということが一つと、もう一つは、どういうふうにして暴力団の数をつかんでおるかということです、各県警察で。それはどういうふうなつかみ方しているんですかね。そこがどうもはっきりせぬのですよ。
  379. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) この差異が起こってきた原因ですが、これはここにもありますように、何千単位で集計しておるものもございますし、私どものほうの集計は、都道府県から何十何人というところまで一応調べてもらって報告を受けて集計をいたしておるわけでございます。そこで、大ざっぱな数字でいきまして結論的には一万に近い数字が減少になっておりますけれども、これは非常に大ざっぱな数字で、これは統計として私どもが出した数字ではございませんので、各管区局長の話に出てきている人数を新聞社で集計したものなので、一つ一つの都道府県で克明にそれぞれの人員について調べたものを集計したものが私どもの出しました資料に載っている数字でございます。
  380. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうは臨時までですから、時間がありませんから、一つ最後に聞いておくのは、今度の改正案にも非常に関係することなんですけれども、いま日本にピストルが正式な許可を得ているものほどのくらいあって、正規の許可を受けていないものはどの程度あるのか。正規な許可を得ていないものがどの程度あるのかといっても、なかなかつかみにくいことはつかみにくいとしても、大体のところは警察がつかんでいなければならないと思うんですが、きょうわかりますか。きょうわからなければ、わからないでいいですよ。きょうわからなければこの次でもいいですけれどもね。
  381. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 銃砲刀剣類の所持の許可状況でございますが、これも昨年の十二月末現在の集計でございますが、銃砲が八十六万八千二百四十六件許可をいたしております。そのうち、猟銃が四十六万一千九百八十九件、その他は捕鯨銃、救命銃、屠殺銃、空気銃、建設用のびょう打ち銃というようなものでございます。それから刀剣類は、全部で合計して一万四千五百五十五件でございます。狩猟、有害鳥獣駆除、屠殺、漁業等のものでございます。両方総計いたしまして八十八万二千八百一件の許可になっております。
  382. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 許可はまあいいとして、許可を受けないで持っているもの——きょうでなくていいですけれども、いまの許可されているもの、いろいろなもののどういうところに許可になっておるが、大体大筋か何かのやつが表があればこの次まで出していただきたいのと、それから不許可で持っているもの、これはなかなかむずかしいでしょうが、大ざっぱな推定については、あれですか、考えたことはないですか。ピストルだとか、猟銃だとか、いろいろあるでしょう。きょうわからなければ、きょうわからなくてもいいんですよ。この次でいいですよ。
  383. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) いまの許可状況表は、ただいま申し上げましたような種類別の許可状況表でよろしゅうございますか。
  384. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いいです。
  385. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) それから不許可で所持しているものというのは、私どもは不法所持になれば検挙しておらなければならないわけでございますので、ちょっと推定がむずかしいと思います。
  386. 岩間正男

    ○岩間正男君 密輸はわかるでしょう、密輸であげたのは。
  387. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 密輸であげた件数はわかります。
  388. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいいです。この次にゆっくり聞きますから。
  389. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 政府にお願いしておきますが、質疑促進の意味において、できるだけ事前にひとつ関係官庁の方々、日時と計数についてお打ち合わせおきを願いたい、これだけお願いいたします。  本案に対する質疑は一応この程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時一分散会    ————————