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政府委員(
竹内壽平君) これは諸外国のすべての入管令につきまして調べたわけではございませんが、一九五一年に難民の地位に関する
条約というのがございます。その三十一条には、やはりただいま
亀田委員の仰せになったような点を考慮した
規定がございます。不正規な入国または在留ということの理由でそれだけの理由で刑罰を科してはならないという
規定が置いてございますが、これには条件があるのでございまして、やはりその在留そのものが遅滞なく当局に出頭して不正規な入国または在留の十分な理由を明らかにした場合には刑罰を科してはならない、こういうことになっておりまして、その前提として、あいまいもこたる、ただ自分としては政治亡命をしているのだ、
避難民であるというだけを言ってもいけないので、ちゃんと成規の手続を踏んで、かくかくの理由で不正規な入国になっているのですということを明らかにし、当局がそれを認められる場合には、そういう者に対して
庇護する義務はないにしても、
庇護する
権利があることは当然でございますし、この難民の地位に関する
条約に入っている国といたしましては、三十一条でそういう者に対しては刑罰を科さない、こういうたてまえをとっております。でありますから、お
考え方は私もよくわかるわけでございまして、そうあらねばならぬと思うのでございますが、問題はその前提になっている政治
避難民というようなものを扱う場合の
避難民であるかどうかということを認定する手続、そうして、それに隠れておってつかまったら、自分は
避難民だと、こう言うのでは、だめなんで、進んで出て行っていまのような
事情を明らかにした場合には、そのゆえに刑罰を科さないというのが、こういうのが三十一条の
規定でございます。
そういう
規定もございますので、こういうものの将来への取り扱いというものはこういう方向に向かっていくのじゃないか。これこそ
先ほど御指摘の
人権宣言の十四条の
趣旨を逐次明らかにしていった
条約だと思うのでございますが、こういう方向にあることは疑いないと思うのでございます。しかし、
わが国はこの難民の地位に関する
条約には加盟いたしてはおりませんし、またそういうもの々認定する手続も
日本にはございませんので、その辺は
先ほど仰せのような
運用よろしきを得て、また真実そういうものでありますならば、起訴にならぬとかなんとかいうような取り扱いも
運用としてはできるわけでございまして、そういう点の過酷にわたるようなことのないような取り扱いということは、私
どもも今後また考えていかなければならぬ点だと思っております。