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1964-06-04 第46回国会 参議院 文教委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月四日(木曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————   委員異動  五月二十七日   辞任      補欠選任    赤松 常子君  田畑 金光君  五月二十八日   辞任      補欠選任    二木 謙吾君  田中 啓一君  五月二十九日   辞任      補欠選任    田中 啓一君  二木 謙吾君    田畑 金光君  赤松 常子君  五月三十日   辞任      補欠選任    米田  勲君  山口 重彦君  出席者は左のとおり。    委員長     中野 文門君    理 事            北畠 教真君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            小林  武君    委 員            植木 光教君            木村篤太郎君            久保 勘一君            斎藤  昇君            笹森 順造君            中上川アキ君            野本 品吉君            豊瀬 禎一君            柏原 ヤス君            高瀬荘太郎君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○学校教育法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  五月二十八日、二木謙吾君が辞任され、その補欠として田中啓一君が、五月二十九日、田中啓一君が辞任され、その補欠として二木謙吾君が、五月三十日、米田勲君が辞任され、その補欠として山口重彦君が選任されました。   —————————————
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い理事に欠員を生じましたので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、理事二木謙吾君を指名いたします。   —————————————
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を求めます。灘尾文部大臣
  6. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) このたび政府から提案いたしました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、従来、暫定的な制度とされていた短期大学を恒久的な制度とすることとし、これに伴い、短期大学目的を明らかにするとともに、その学科組織を明確に定める等、短期大学に関する規定を整備しようとするものであります。現行の短期大学制度は、当分の間の暫定措置として昭和二十五年度から発足したものでありますが、以来、十四年間に年々その学校数は増加し、昭和三十八年度現在では、国、公、私立合わせて三百二十一校を数え、また、在学生は約十二万人に達し、わが国高等教育における重要な役割を果たしているのであります。短期大学暫定措置として置かれたものであるにもかかわらず、このような実績を示しておりますことは、この制度が、四年制大学に比べ短期間の修業年限を持つ高等教育機関として、父兄学生経済的負担を軽減しつつ、実際的な専門職業教育女子高等教育を施す点において、社会要請に沿ったものであるからと考えられます。したがいまして、このような短期大学発展実態短期大学に対する社会的要請にかんがみ、この際、明確な目的性格を有する短期大学制度を確立し、より一そう充実した教育の展開をはかろうとするものであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。まず第一に、従来、附則に置かれていた短期大学に関する暫定規定を削除し、本則の大学の章の中において短期大学目的修業年限及び学科組織等について規定を設け、短期大学制度的に安定させることといたしました。第二に、短期大学は、深く専門学芸を教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成することをおもな目的とすることとし、短期大学発展してきた実態に即応して、その目的を明確にするとともに四年制大学に対する短期大学性格を明らかにいたしたのであります。第三に、短期大学修業年限については、従来どおり二年または三年といたしました。第四に、短期大学には、その実態に即して、学部を置かずに学科を置くことといたしました。学科設置廃止については、文部大臣認可を受けることを要することといたしましたが、その適正を期するため、大学設置審議会に諮問することといたしております。第五に、短期大学を卒業した者は、文部大臣の定めるところにより、大学に編入学することができることとし、また、短期大学には大学院を置かず、短期大学卒業者には学士の称号を与えないことといたしておりますが、これらの点については従来と全く同様であります。このほか、専攻科及び別科教職員組織教授会研究施設の付置、名誉教授公開講座等大学に関する諸規定は、すべて短期大学にも適用することといたしました。なお、現存の短期大学は、この法律による改正後の短期大学として設置されたものとみなし、また、現に置かれている学科については、あらためて文部大臣認可を受けることを要しないことといたしました。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  7. 中野文門

    委員長中野文門君) 提案理由説明は終了いたしました。  ただいまより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  8. 小林武

    小林武君 ただいまも提案理由説明がありました中に明らかにされたように、昭和二十五年に発足いたしましてから、短期大学は現在まで十四年の年月を経過したわけでありますが、この短期大学制度の上からは暫定的な措置として、まあ平たく言えば、当分、様子を見るといったような程度で置かれたように考えるわけであります。それにもかかわらず、設立当初から見て、学校数から見ましても、あるいは学生の数から見ましても、非常な発展を遂げて、一つ制度として定着したと見ても差しつかえないと思うのであります。短大の側といたしましては、暫定的なものから恒久的なものにしてもらいたいというような要求の出ることは当然のようにも思うわけであります。そこで、このような短大発展がどのような理由原因によってなされたものか、これは提案理由の中にも若干は触れられておりますけれども、もっと突っ込んだ説明をいただきたいと思うわけであります。そういう質問をする理由は、今後の短大恒久化する、ただいまの提案趣旨からいって恒久化するという立場から、きわめて重大なやっぱり問題をその中に含んでいると考えるからであります。その点について御説明を願いたいと存じます。
  9. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 提案理由でも申し上げましたように、短期大学発足以来、現在までの発展実態を見てみますと、現状は、お尋ねの中にございましたように、まあ暫定的な制度としてスタートしたわけでごさいますけれども、現在では、要するに四年制の大学に対する修業年限の特例といったような形で制度自体ができておるのでございますが、その後の発展様子を見ますと、これがやはり社会的な需要と申しますか、要求に合った点がございまして、非常な勢いで増加をいたしてまいっておるわけでございますが、その実態を申し上げますと、主として職業的な面と、それから実際生活に必要な面というふうに分けることができると思います。一般に職業人社会人というものに対して、職業的な能力を開発するという面並びに実際生活に必要なという面から申しますと、ことに女性の、家庭主婦としての教育というような面に大きな需要があるように思われます。現在までに増加してまいったものは、大体、一番大きいのがそういった女性の、家庭主婦としての生活面教育に対する需要ということが大きいように思われる次第でございます。
  10. 小林武

    小林武君 ただいま、まあおもにこの教育を受ける側の要求というような観点から、いろいろお話しがありましたが、もう一つ、いわゆる大学側からといいますか、特に短大の場合には文部省から提示されました統計資料等によりましても、私立が相当大幅にこの中に占められているという現状から考えまして、経営者側が、一体短大発展を促進しているというような、そういうお考えは持っておられませんか。ありましたら、やや具体的にお話しをいただきたいと思います。
  11. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 被教育者と申しますか、学生並びにその父兄、いわば社会的な要請の面は、先ほどお答え申し上げましたように、職業的な教育と、それから家庭生活に必要な能力の開発ということを主として、女子主婦としての教養の面ということを申し上げたわけでございますが、これがやはり一番大きなこの短大の現在までの発展の大きな原因だろうというふうに考えるわけでございます。もちろんこの社会要求に応じまして、学校経営者である大学側、ことに私立大学理事者も、発足以来、たとえば非常に従来貧弱でございました施設あるいは設備の充実等にも努力をいたしてまいっております。また、教員組織等についても、ことにまあ創設以来、年次のたっておりますものについては非常な努力をされて、この充実努力をしておられます。なお、この制度的な問題につきましても、これはかねてから、経営者側のと申しますか、大学側の連合的な団体であります私立短期大学協会というのがございまして、その協会のほうからも、ぜひ現状に即した恒久的な制度につくりかえてもらいたい、制度自体をいまの暫定的なものから恒久的なものに発展的につくりかえてもらいたいという強い要望がございまして、今回御提案申し上げておる短期大学制度恒久化の線も、大体その大学側の御要望の線に沿っておるような次第でございます。
  12. 小林武

    小林武君 説明でその点は明らかになりましたが、先ほど説明の中に、社会的な要求の話が出たわけでありますが、その中で、いわゆる女子教育といいますか、家庭主婦というようなものを、よりよい主婦になるといいますか、そういう家庭人になるというふうな立場からの教育が、短大に期待するところが多かったということをお話しになりましたが、その点はさておいて、実際的、職業的な方面からの短期大学に対する社会的な要求が非常に多かったというような御説明であったと思うのです。そこで、文部省からの資料は若干出ておりますけれども、一体、この職業的な実際的な教育を受けているという点で、短大は他の大学に比べて就職率がきわめてよろしいというような状態にあるのでございますか、その点をお尋ねいたします。
  13. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 他の大学卒業者との就職率の比較でございますが、四年制の大学に比較しますと、やりり従来、短期大学創設後なお年次が新しかったという点から考えまして、やはり四年制の大学卒業者のほうが現在まで就職率がいいようでございます。しかし、最近、御承知のように、産業界等の好況の反映でもありましょうか、この四年制に比べて短期大学卒業者就職率のほうも漸次改善されてまいっております。いま私、手元に数字的な資料を持っておりませんが、昨年の計数でもそういう傾向になっておるわけでございます。
  14. 小林武

    小林武君 私はこういことをちょっと聞いているのでありますけれども、短大教育というものの性格がどうも明らかでない。これについては後ほど文部大臣にもお尋ねをいたしたいと思っているわけでありますけれども、われわれが聞く範囲では、短大教育というものはどうもやはり中途はんぱ、と言ったら悪いですけれども、ややもの足りないものを持っておる、こういう声が、使うほうの側からも、あるいは就職をする者の中にも、そういうことを自身思っておるような気がするわけです。このことは、短大恒久化する上においてはやはりはっきりさせなければならぬということだと思うのです。事実、先ほども申し上げましたように、短大そのものは放置された、と言っては悪いですけれども、まあそのままにしておかれたものが予想外発展をしていった、定着をしていったという現状から見れば、恒久化に踏み切るということもやむを得ないと思うのでありますけれども、そうすればそうするほど、一体社会的要求が多いという、社会的要求がきわめて強いのだというような、きわめて表面的な受け取り方をしているというと、私は非常に将来の短大発展のためによろしくないように考えるのです。で、そういう意味からお尋ねをするわけでありますけれども、昭和三十一年の中央教育審議会における短大制度改善という問題について、その答申一体どうなっておるのか。あるいは昭和三十八年の大学制度全般に対する改善答申というようなものは、これは一体どういう高等教育のあり方を、何といいますか、答申しているのか。そうしてまた、その中で御提案になったのでありますから、短大というようなものをどういうふうに一体位置づけをするかということが出てくるだろうと思うのです。そこで、まず私は三十一年の中教審短期大学制度に対する改善答申、それから大学制度全般に対する改善答申について、かなり詳しい御説明をいただきたいと思うのです。
  15. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 短期大学制度に関しましては、従来、中央教育審議会で何回かの検討を経ております。そのうちで、ただいまお尋ねのございました三十一年の短期大学制度改善に関する答申におきましては、まず最初に、短期大学制度恒久化する。そうして高等学校教育の基礎の上に、主として職業または実際生活について専門学芸を教授研究する機関とする。なお、土地の状況、男女の性別、専門分野等によりそれぞれ特色を持たせる。それから二番目といたしまして、一貫した専門教育を授けるために、必要のある場合は、高等学校の課程を包含した五年または六年の短期大学を認めたらどうであろうかということを言っております。なお、短期大学はそれ自体短期大学自体一つ完成教育機関であるので、四年制の大学とは別個なものであるのだ。したがって、目的性格は四年制の大学とは違うものであるから、両者を明確に区別する必要があるというようなことを言っております。なお、短期大学は、深く専門学芸を教授研究するとともに、主として職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的とする。大体以上のような点が三十一年の中央教育審議会答申骨子でございます。それから、この答申につきましては、当時いろいろ社会的な批判がございまして、一部には短期大学目的明確化という点でいろいろ反対がございました。  それから、二番目にお尋ねの三十八年の中央教育審議会答申でございますが、これはお話のございましたように、大学制度全般に関する改善についての答申の一部でございます。その短期大学に関しましては、まず第一に、先ほどお尋ねのございました昭和三十一年の短期大学制度改善についての答申趣旨に沿って、短期大学目的性格を明らかにするとともに、恒久化する必要があるということを言っております。それから、短期大学は、専門職業教育を行なうもの、または実際生活に必要な知識、技能を与え、もしくは教養教育を行なう、そういうふうに短期大学性格を明確にする必要があるということを言っております。それから、修業年限は二年または三年ということでございまして、これは最初に申し上げましたように、要するに高等教育機関大学教育全体に対する制度改善の一環としての答申でございます。
  16. 小林武

    小林武君 答申を二つ、まあその骨子を大体聞いてみますというと、もっともなようでもございますけれども、短大恒久化するということのあまり、明確な答申ではないように考えるわけです。と申しますのは、一つには、やはりあの高等専門学校というのがあるわけですから、その間の関係等からいって、ただいまのことであれば、それとは若干変わっているようでもあるけれども、一体その間の関係をどうするかという問題も明らかでないように思うのです。で、私はやはりそういう点からながめてみた場合に、短期大学恒久化ということは、やはり日本高等教育をどうするかという問題と切り離して考えることができないように感ずるわけです、高等教育全般に関してですね。単にこの短期大学が既成の事実の上に立って、便宜的と言ったら少し口が悪いですけれども、便宜的に恒久化されたというようなことであるならば、これは短期大学のためにも結果的にはよろしくないのではないか。だから、この暫定的な措置をされておったものから恒久化するということのためには、高等教育の中で短期大学が果たす分野というものが明確にならねばならぬ、こういうふうに考えるわけです。この点について、文部大臣は、日本高等教育というものを短期大学恒久化に従ってどうしなければならぬというような、こういうような腹案をお持ちになっておりますかどうか。これはひとり日本だけの問題ではなくて、文部省から出した資料の中にも、イギリスの高等教育がいま非常に検討の対象になっているということもあります。あるいは社会主義の国に行ってみましても、高等教育というものに対して、はっきりした考え方一つ持っております。これはそれぞれのやっぱり特徴点一つあると思うのです。そういう角度から、文部大臣高等教育についての、これらの短期大学恒久化したという立場から、この機会に高等教育全般についてどういうお考えを持っておるか、その構想をひとつお尋ねいたします。
  17. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) わが国教育制度につきましては戦後、新たなる教育制度がしかれまして、ここに十数年を経過いたしたわけであります。したがいまして、学校教育の新しい制度実態等についても、われわれは十分にこれを把握いたしまして、改善すべき点があれば改善をしていくということを考えなければならないし、また、そういう時期もきておるのではないかと思っております。いまお話の、この高等教育についての問題でございますが、この問題も最も重要な問題として検討してまいらなければならぬと思います。中央教育審議会におきましても、大学制度改善等につきまして、すでに答申をいただいておるわけでありますが、しかし、この問題はなかなか重要な問題でありますと同時に、軽率なことのできるものではないと思います。あくまでも慎重に考え、また改善をするということになれば、相当長期的な視野に立って問題は考えていかなければなりませんので、高等教育の問題全体をどういうふうに持っていくかという問題が、まだ私どものところにもごらんに入れるほどの具体的な腹案というものを持っておりません。せっかく検討中に属しておるわけであります。と同時に、そうは申しましても、現実の問題ということがあるわけでございますので、現実の必要に迫られて一部手直しをしていくというようなことは、これはあり得ることだと思います。根本的に、いま申しましたような新しい学制に対する検討を加えて、さらに将来の発展を期していくという意味における根本的な構想というものは、まだお示しするだけのものを持っておらないことをまことに残念に思っております。この短期大学を今回恒久化するということにいたしました理由は、先ほど説明申し上げましたとおりでございます。現在の現実の上に立ちまして、短期大学をいたずらに暫定的というような形のままに放任しておくべきではない、やはり現実に即して短期大学としての恒久化をはかってまいらなければならないということは、短期大学の側から申しましてもきわめて重要なことであり、熱心な希望があったことでありますので、今回はこの短期大学現実をそのままに一応認めまして、そうしてこれが恒久化の方途をはかっていこう、こういうふうに考えました次第でございまして、広い意味における高等教育の全般的な再検討ということを考えます場合には、もとより短期大学あるいは高等専門学校等制度につきましても、これを除外して考えるという性質のものではないと存じますが、現在といたしましては、そのような構想はまだなかなか容易にできない問題であります。現実の事態に即して短期大学恒久化をはかっていった、このようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  18. 小林武

    小林武君 高等教育全般に関する構想というようなものは、短期大学恒久化するといういまの段階でまだ十分な考慮が払われておらないように、ただいまの御答弁からは伺ったわけであります。しかし、考えまするに、短大恒久化するということ、短大をひとつ高等教育の中で十分に発展させるという角度からいえば、私は早晩、高等教育全般に関しての方針が明確に確立されなければならないと思うのであります。そういう立場からいたしまして、私の感じとしては、たとえば三十一年の中教審短大に対する制度改善答申にいたしましても、あるいは三十八年の大学制度全般に関する答申、これも一部であるというような御答弁でございますけれども、これにつきましても何かその点をはっきりと突いておらないように思います。どうも短大関係者意見というようなものに引きずたれた、と言ったらちょっと悪いのですけれども、短大関係者だけの意見によってどうも動いたというような感じが強いのです。ただいまの大臣お話を承っても、大学局長お話を承っても、一体短大関係者というのは、私立だけではなくて、公立国立もあるわけなんですから、特に私は国立とか公立というようなものは、この件に関して相当やはり考えるところがなきやならぬと思う、大学当局がですね。私立のほうは、これは悪いですけれども、学校経営という立場が非常に大きな比重を占めますから、その点では割合に経営面からの考え方というようなことも考えられますけれども、国立公立というようなものはそうではないと思うのです。で、一体そういう国立とか公立とかというような大学人たち高等教育全般に対して疑問を持たないのかどうか、あるいは将来こうあるべきだという考え方を持たないのかどうか、その点をお尋ねしたいわけです。それから私の予想した短大側関係者意見に大体引きづられて、現状それを認めざるを得ないという程度のこれは恒久化の方策なのかどうか、その点も局長から御答弁をいただきたい。
  19. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この短期大学制度恒久化の問題につきましては、もうすでに十年近い期間にわたりまして、年々、学校側団体のほうから要望が出ておるわけでございまして、そのうち私立短期大学協会の主張するおもな点は、まず第一に短期大学制度恒久化してもらいたい。それから第二番目といたしまして、恒久化にあたっては大学教育のワクの中に置いてもらいたい。それから三番目に、その目的、使命にはなはだしい変革を加えない。それから名称はいままでのとおり短期大学という名称にしてもらいたいという、この四つの点に、集約できると思います。それから国立公立短期大学連絡団体といたしまして国公立短期大学協会というのがございますが、この主張も多少は変わっておりますが、大体似ております。その第一は、名称短期大学または専科大学ということでやってもらいたい。それから二番目といたしまして、法律規定方法としては、要するに学校教育法第五章の大学の中で、節を分けるか、または新しく条を起こして規定してもらいたい。こういうようなことを言われております。私ども、このたびこの短期大学制度恒久化にあたりましては、もちろん従来言われておりましたところの団体側の主張も十分検討をいたしました。しかし、ただいたずらに団体側の要望に追随したということではございませんで、その制度化にあたりましては、この短期大学の現在の実態、それから四年制大学短期大学との比較検討というようなことを十分いたしまして、その検討の結果を法案として御審議を願っておるようなわけでございまして、短期大学協会の御主張になっている点と多少変わったところもあるわけでございまして、それらの点につきましては、その後に私どもの気持ちも十分連絡いたしまして、協会側のまあ御賛成も、得たようなわけでございます。ただいたずらに団体側の主張を取り入れたというわけのものではございません。なお、国立の教官などは高等教育機関改善ということについてどう思っているのだろうかというような御趣旨お尋ねもございましたが、この短期大学そのものについては、先ほど申しましたように、国公立短期大学協会意見が大体それを代弁するものとして私どもは取り扱っておるわけでございまして、特に国立大学協会等にこの点について諮問をする、あるいは意見を求めるというようなことはやっておりません。
  20. 小林武

    小林武君 ちょっと聞き漏らしたのかもしれませんけれども、あれですか、国立短大側というようなものは、特にこれについて意思表示はなかったのですか、短大恒久化ということについてですね。
  21. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 例年、短期大学の主事の会議というようなものをやっております。やっておりますが、この短期大学制度恒久化について政府に特に要望するというようなことはございませんでした。国公立短期大学協会の主張として出てきたものが大体その意見であろうというふうに私どもは解釈しておるわけでございます。
  22. 小林武

    小林武君 文部省の出されましたこの資料の中に、国立が二十九で、この場合は男子だけということになっておりますが、先ほどのこの短大恒久化する理由等の中に、女子教育という立場からの短大恒久化ということを言われておるわけでありますが、こういう点から言いますと、将来、国立女子短大というようなものが設置されるというように考えてよろしいわけでありますか。
  23. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、国立の二十九の短期大学は、主として従来、勤労青年を対象とする夜間の短期大学であったわけでございます。その後、工業中堅技術者の養成の見地から、五つばかりの昼間の短期大学創設いたしました。なおしかし、そのうちのあるものは、これは高等専門学校に転換しつつありますので、現在、昼間の短期大学として残っておるのは三校でございます。現状御承知のように、女子を主とする短期大学はほとんど私立で経営されておるわけでございまして、現状から私ども申しますと、特に国立女子教育のための短期大学を、これから今後創設していくということはあまり考えぬでもいいのじゃないかというふうに思っております。
  24. 小林武

    小林武君 ただいまの御答弁によりますというと、大体、国立ではその短大創設されるというようなことはあまり考えられないというようなことでございますので、当然、私立が相当私はふえるのじゃないかと思うわけであります。この私立短大の増加、短大発展というようなものを考えました場合に、これはくどいようですけれども、高等教育の中において、大学と高専と短大、この三つのものがどういう特徴を持っておるのかということが明らかでないわけです。一応、文部省説明等によって、まあわからないわけもございませんけれども、たとえばあれだけの法文の上にあらわれただけの差でもって、現実教育の面ということについて、どういうことになるのかということになりますというと、これは実際面から考えた場合には、ややあいまいだと私は言ってよろしいと思うのです。その点については、私は灘尾文部大臣の衆議院における御答弁なんかも読んで見たのですけれども、大臣お話の中に、「大学は直接社会要求に直ちに役立つということよりも、できるだけ人間の基本的な知能を発展させる、こういうふうなところに大きな重点があるのではないかと思うのです。その点に関しましては短期大学のほうがむしろ専門教育のほうに重点を置いている、こう申し上げてよろしいかと思います。もとよりいま申しました心持ちでございますので、短期大学専門教育のための基礎教育、または職業人社会人としての必要な一般教養を授けることを決して否定するものではない、」というようなぐあいに御答弁されている。大体この趣旨答弁だと思う。ここらあたりにいきますと、やはり答弁のための答弁と言ったらはなはだ悪いんですけれども、いささか明確でないように思うのです。四年制の大学を出た者が急場の間に合わないと言ったら悪いんですけれども、はたして卒業して、一体社会がこれを迎える場合に、短大の者よりかも急場の間に合わないような者として迎えているかどうかというようなことを考えたら、短大の卒業生と大学の卒業生というようなものの、いろいろの面からのあれを、文科系統にしろ、理科系統にしろ、まあどの系統にしろ、私は文部大臣のおっしゃるようなことでは事実はないのじゃないか。やはりこういう御答弁をなさらなければならぬというのは、何といっても、先ほどから何べんもくどく申し上げている専門学校とか、大学とか、短大とかというものの特徴点が、文部省自体明らかにされてつかんでおられない。だからこういう御答弁をなさるのではないか。これにとどまればいいんですけれども、今後、実際面の教育になったら、一そうそれが今度は問題として大きくなると思う、出てくる。今度は青年のことを考えますというと、これまた一そうこれは問題が大きくなるということになりますので、私はこの点については、やはり短大恒久化するということのためには、この三者を、ただ五十二条にはこう書いてあるとか、高専の場合はどうであるとかというような、文字づらだけからながめまして、それでだけ表現されたことで満足しているというようなやり方については非常に危惧を感ずるわけです。いま大学局長として、高専とか、それらの点について、一体どういう特徴点を——まあ真剣にお考えになっていると思うのですが、特徴はここに置いているというようなことを御説明願いたいし、文部大臣はやはり、よその院で御答弁なさったことを聞くのもおかしいんですけれども、大学教育というようなものに対して、急場の間に合わないと言ったら悪いんですけれども、私はまあ文部大臣の気持ちはよくわかるのです。そのくらいの大らかなところがあって私はいいと思うのですけれども、それにしては、ちょっと短大というものに対する期待があんまり大き過ぎるのじゃないか、期待するのは、もっと何か手がなければならぬと思うのですが、大臣一体真意というもの——真意はこの中に尽くされているかもわかりませんけれども、お尋ねをしたいと思うのです。
  25. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この点は実は短期大学を、ざっくばらんに申し上げますと、短期大学恒久化ということを考えます場合に、恒久化いたします以上は、短期大学目的性格等については、少なくとも従来の四年生大学というものと何かそこに違ったものがなければならぬと思うのです。沿革的に申しますというと、短期大学をいまのままで恒久化しようというふうな御要望もずいぶん強くあったわけでございますが、二年制あるいは三年の大学、しかもまたその実態を見ました場合に、これを四年制の大学と同じような性格目的を持った大学として恒久化するということは、まあ私どもとしましてまだ容認しがたい要望のように思います。そこで、恒久化するに際しましては、何かそこに特別な目的と申しますか、四年制大学と違った目的を書かなければならぬということになるわけでありますが、さて、文字にして書くということになりますと、実にむずかしいということを私は味わったのであります。きわめて抽象的な字句を並べておるようなことでありまして、文字的に見ましたときに、たとえば、「深く専門学芸」云々と申し上げましても、その「深く」ということはどういうことかという議論になってきますと、何とも説明の困難な問題であります。しかし、これは事実によって解決していくよりはかなかろうかと、かように考えまして、このような字句でもって目的性格を、少なくとも四年制大学とは違っておるところがあるのだということを示したつもりで、このような文字で書いたわけであります。私が国立大学の四年制大学について急場の役にたたぬでもいいのだということを申したことは、あるいは言い過ぎがあるかもしれませんが、ただ四年制大学要求しておりますのは、ただ当面の科学技術がどうのこうのというだけばかりでは片づけられないと思います。やはりほんとうに学問の本質をきわめて、そうしてまた社会に出ましても指導的な役割りをするようなりっぱな人材をつくっていくというところに四年制大学の主眼があるのではなかろうかと思います。それに対比して考えますれば、短期大学の場合に、どちらかといえば専門的な学門、技術あるいは実社会の実生活における生活技術とでも申しますか、そういうふうなものを主としてやっていくのだ、そういう心持ちを申し上げましたようなわけでございます。もとより人づくりというものはしないのか、こういうふうにおっしゃられても困るのです。いかなる学校といえども、りっぱな人をつくっていくということは当然のことでありますが、四年制大学に期待するところは、短期大学よりももっと高く、また深いものを期待しておる、こういうふうな心持ちでございます。なかなか字句に書きますというと非常に困難を感じます。あいまいなことを申し上げて恐縮でございますが、気持ちをどうぞ御了承いただきたいと思います。
  26. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大臣のお答えのとおりでございまして、要するに、学校側の御要望あるいは考え方というものは、恒久化にあたって、従来この暫定的な制度として附則にありましたような形で、これを学校教育法の本条に持ってくるという気持ちが強かったわけであります。しかし、実際教育を受ける学生立場から申しますと、四年制の大学短期大学との間には、実態といたしましてもはっきりいわば差があるわけでございます。四年制の大学のほうでは、もちろん大学として直接社会要求に役立つようなこともしなければなりませんけれども、あわせて、できるだけ人間としての基本的な知能を発展させるということに四年制の大学は重点を置かれると思います。短期大学は、もちろん人間としての一般教育、基礎教育も必要でございますが、より具体的には職業または実際生活に必要な専門教育という点に重点を置くということになろうと思います。なお、高等専門学校につきましては、これは御承知のように、入学資格も大学並びに短大とは違っておりまして、義務教育の修了者に対して五カ年間一貫教育を行ない、そして主として専門職業教育を行なうのだ。現状では工業に関する専門職業教育を行なう。もちろんこれでも、この高等専門学校制度におきましても、一般教育を忌避するものではありませんけれども、やはり重点の置かれるのは職業専門教育、そういうふうに私ども考えておるわけであります。したがって、この三者に、これはいわば比重と申しますか、相対的なものでございますが、比重と申しますか、ニュアンスの差というものは当然あるというふうに考えておるわけであります。
  27. 小林武

    小林武君 非常に御苦心のあるところはよくわかりますがね、やっぱり教育というものはきわめて具体的な問題でありますから、その点では短大恒久化の問題のために、文部省としても、これは私立であろうが、公立であろうが、国立であろうが、やはりもっと力を入れて短大の将来の発展に協力をしないというと、私は恒久化した目的というものがどこにあったかということが明らかでなくなってしまうと思うのです。そういう点の御努力をお願いしたいと思います。  きょうはこれで質問を終わります。
  28. 久保勘一

    ○久保勘一君 二点だけお尋ねをしたいと思います。その第一点は、ただいま小林委員の質問によりまして、大体、短大の格づけと申しますか、教育体系上の位置づけについてのあらましの内容が理解できたのでありますが、承っておりますと、やはり短大は従来の四年制の大学とも違うし、また、高等専門学校とも違う、独特の特殊の目的性格を持っておると、こういうことでございますので、これは法の体系の問題になりますけれども、そういうことでありますれば、当然に第一条の学校の種類の中に、やはり短期大学として一つあげて明確にすべきではないか、こういうふうに常識的に考えるわけですが、その点についてはどのようにお考えになっておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  29. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど来御説明しておりますように、今回の恒久化にあたりましては、短期大学の従来発足後の実態に着目いたしまして、やはり四年制の大学とは別個の性格を持っているものというふうに考えて、四年制の大学とは違った独自の目的を持たせたわけであります。すなわち、この改正法にございますように、六十九条の二で言っておりますように、「第五十二条に掲げる目的に代えて、」云々ということにしたわけでございます。ただ、それでは学校教育法上、大学とは別の種別の学校にすべきではないかというお尋ねでございますが、しかし、やはりこの高等教育機関というものに着目いたしますと、短期大学も四年制の大学も同じように高等学校卒業を入学資格とする学校でありますし、また、従来から暫定制度としてではございますが、同じ目的を持つものとして取り扱われてきておる実態があるわけでございます。したがって、この大学と申しますか、高等学校卒業を入学資格とする高等教育機関の位置として、第五章の中で同じワクの中で取り扱う、ただし、目的は、その現実を十分取り入れまして四年制の大学とは別個の目的を持たせる、こういうことにしたわけであります。この目的と申しますか、その近似性に着目するか、あるいはまあいわば相違の点に着目するかという点でいろいろ考えられてくると思いますけれども、今回の恒久化にあたっては、やはり従来からの実態、それから入学資格等に着目して、第五章の中に規定することにいたしたわけでございます。
  30. 久保勘一

    ○久保勘一君 御説明はわかるのでありますけれども、先ほども申し上げますように、高等専門学校とも違うし、また、四年制の大学とも明かに性格目的が違うということはお認めであるわけですから、高等専門学校というものを特に第一条に掲げておりまする経緯から考えても、私は当然やはり短期大学というものを第一条に明確に掲げて、大学の概念と明確に区別すべきものである、こういうふうに考えるのですが、もう少しその点について検討された経緯なり御説明を加えていただきたいと思います。単にいまおっしゃるとおりのことであれば、まことに理屈に合わない話で、入学資格が高等学校卒業生であり、学校性格が従来やや似ておったから、こういう程度の御説明のようでありまして、どうも説明として不十分じゃないかと思うのですが、苦心のところはわかりますけれども、少なくとも法律でありますから、こういうわけでこうしたという点がもう少し明確にならないものかと思いますので、もう一度お尋ねいたします。
  31. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 高等専門学校につきましては、これは御承知のように、入学資格も、それから目的性格も、それから修業年限も全然違うわけでございまして、したがって、学校教育法上、別の学校体系に属するものとして、学校種別を明らかにしたわけでございます。短期大学につきましては、これは先ほど説明申し上げましたように、学校性格からいたしますと、四年制の大学は、まあいわば学問の中心的な存在ということで従来きております。学術の中心ということでございまして、教育のほかに研究も重点として行なうということできておるわけでございまして、現在まで法制上のたてまえからいたしますと、短期大学も暫定的な制度としては、その目的をそのまま受けて、同じ目的のものとして制度上きたわけでございます。しかし、短期大学実態から申しますと、必ずしも同じ目的を達成しているものというふうには考えられません。やはりこの法案でお願い申し上げておりますように、職業教育あるいは実際生活に必要な教育を行なうというのが短期大学実態でございまして、その実態の点に着目して別の目的を持たせたものとして、この四年制の大学とは別個の性格を持たしたわけでございます。ただし、それではその別個の点に着目して、全然別の制度にすべきではないかという御意見もございますが、しかし、この点はまことに不徹底な言い方かもしれませんけれども、従来やはり高等教育機関の一種といたしまして、ただ単に修業年限の差だけということで発足以来経過をいたしておりますその点に着目をいたしまして、同じ第五章の大学の章の中で規定をする、ただし、四年制の大学とは違った別個の目的性格を持たせるという形にいたしたわけでございます。
  32. 久保勘一

    ○久保勘一君 そういたしますと、当然、第一条に掲げてあります大学というものの概念といいますか、内容短大を含めたものというふうに今度は解釈はなるわけですね。
  33. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 非常に広範囲に申せば、要するに第五章の大学目的は当然かかるように思いますけれども、ただし、改正法の六十九条の二で言っておりますように、「大学は、第五十二条に掲げる目的に代えて、」云云ということを言っておりますので、四年制の大学目的がそのままこの短期大学目的になるということはない、したがって、たとえば先ほど申し上げましたように、四年制の大学は、学術研究の中心的な存在というようなことをいっておりますが、この短期大学はそういう性格は当然には持たぬというふうに考えておるわけでございます。
  34. 久保勘一

    ○久保勘一君 もっと端的にお答えを願いたいと思うのでございますが、私のお尋ねは、第一条の大学の概念は変わってくるのかということでございます。当然変わらなければならぬと思うのですが。
  35. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来、大学目的は四年制大学だけにかかわる目的でございましたが、今回、大学の章にあわせて短期大学規定しましたので、この学校教育法規定しておる大学目的は四年制大学だけにかかわる、両者を通ずる目的ではない、したがって、大学の目標というものは短大を含めました場合には変わってくるものというふうに思われます。
  36. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 理論的に申せば局長の申したとおりであります。なかなか御了解のいきかねる点もあるかと思いますが、今回の短期大学恒久化ということについて、やはりわれわれとしまして一番問題となりましたのは、目的性格の問題でございます。この目的性格を従来の四年制大学をそのままにしておいて、たとえば附則の中で、「当分の間、」という字を削ったらいいじゃないか、こういう御要求もかなりあったのでありますが、しかし、恒久化をはかるといたしますならば、目的性格はやはり四年制大学とはおのずから異なったものとしなければならぬという考えのもとに立案をいたしたわけであります。そのでき上がりました条文は、先ほど小林委員の御指摘もございましたが、抽象的な字を並べておりまして、御説明にかなり困難を感ずるのでありますが、とにかく目的性格の違ったものとして恒久化をしていこう、こういう考え方に立ったわけであります。そのことは前からも中央教育審議会等の答申等にも、やはり目的性格を明らかにして短大の問題を解決しろ、こういう趣旨のものがあったと思います。そういうふうにいたしましたこの考え方は前々からあるわけでございまして、かつて国会で専科大学法案について御審議をいただいたことがございました。この専科大学法案は、当時の考え方としましては、専科大学という特別な大学を設ける、そのかわりだんだんと短期大学はひとつそっちのほうに転換していただこう、こういうような心持で御審議をわずらわしたわけでありますが、この点については、遂に国会のおいれになるところとなりませんで略案となっております。この間、時勢の要求に従って、高等専門学校という制度が新たにつくられたわけであります。短期大学問題は依然として残されておったわけであります。その問題は、やはりあくまでも大学というワクの中で考えてほしいという御要望が非常に強かったと思います。そういう実際上の御要望を十分取り入れまして、同時にまた大学というワクの中に入れておくということは、ある意味においては短期大学そのものの充実、あるいは水準の向上ということにも資するところがあるんじゃないかと、このようにも考えまして、論理的に申せばかなりはっきりしないものがあるというふうにおとりになるのもごもっともだと思うのでありますけれども、そういうふうな実情も加味いたしまして、今回、大学というワクの中で短期大学というものをひとつ恒久化していこう、こういう考え方にいたしたわけであります。したがいまして、四年制大学短期大学との間には目的性格も違っておりますが、学校教育法の第一条にいう大学というものの中には、自然、四年制の大学短期大学と両方が含まれておると、こういうふうに解釈せざるを得ない、われわれもそういうふうに考えておるわけであります。
  37. 久保勘一

    ○久保勘一君 いまの点は了解いたしました。  次に、お尋ねいたしますが、先ほど来いろいろ意見が出ておりますように、短期大学に対する国民の期待と申しますか、要望が非常に強いということは、私どももよく理解いたしておるのでありますが、この点を少し考えてみますと、特に女子の進学者が目立っておるというふうな点から考えて、現在の高等学校、高校における特に女子高等教育について私は多少問題があるんじゃないか、こういうふうに理解をするわけですが、その点について文部省当局としてどのように考えておられるか。もっと具体的に申し上げますと、いまの高等学校が、申し上げるまでもなく、大学の予備校化している。そういう点が大学進学に多少希望の少ない女子の場合には、非常に自分たちの期待するような教育が実際上受けられないというようなことがやはり一つの大きな原因をなして、私は短大に対する要望が増してくるんじゃないか、こういうふうに理解するわけですが、いま申し上げまする高等学校の特に女子教育について、この際、文部省として考えてみなければならない点があるんじゃないかと思うのですが、その点についての御理解がありましたら承りたい。
  38. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 短期大学女子教育機関として非常に大きな貢献をいたしているのは事実でございますが、それはただいま久保委員からお尋ねのございましたように、女子の高校教育の欠陥に基づくものとばかり私は一がいに言い切れないと思います。もちろん最近の高等学校教育が、相当いわば大学入学試験の予備教育的な傾向が強いということは事実だろうと思いますが、同時に、やはり高等教育に対する社会的な要望というものが、これは日本だけでなしに、世界的な傾向として実はあるわけでございまして、これはただ単に男子だけでなしに女子にも最近は非常に多い。これは一つには、女子職業人として社会に進出していく際に、やはりどの程度高等教育を受けておるか、どの程度機関教育を受けておるかということを一つの目安にするような産業界の傾向があるということにも基因しておると思います。したがって、また実際に社会生活に入る、家庭生活に入る場合にも、その教育程度というものを一つの目安にするような傾向があるために、やはり女子においても、せめて短大程度だけは出したいというような父兄等の希望もあるわけでありまして、こういうことが相まって女子短期大学の非常な最近の発展ということになっていくと思います。一がいに高等学校における女子教育のいわば欠陥のあらわれであるというふうには考えておりません。
  39. 久保勘一

    ○久保勘一君 最後に私一点だけお尋ねいたしますが、この法が通りましたあと、おそらく地方におきましても、かなり短大の新設あるいは増設の機運があると思うのですが、現在の短大におきましても、私つまびらかには調査いたしておりませんけれども、一般的にながめました場合に、教授陣の内容といいますか、そういう点において、あるいは学校施設状況において、必ずしも大学の名に値しないような学校がかなりあるんじゃないかというふうな感じを抱いておるわけですが、さらに、この法で制定されたのを機会として、先ほど申し上げますように、新しい学校が立つ、あるいは学級が増設されて生徒をよけい募集するという機運が私は高まってくると思うのですが、この際、文部省として、短大教育内容充実というような立場からながめて、教授の問題あるいは施設の問題等について何かお考えがあるのか、ありましたらひとつ簡単でけっこうございますから、大体の方針なりを承っておきたいと思います。
  40. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私ども、この短期大学制度恒久化の結果として、直ちに従来以上に短期大学が新たに増設されるというような事態に直接は結びつかないのではないかと思っております。ただ、御承知のように、大学志望者の急増というようなことが近々出てまいります、そういった事態、これが原因になりまして、相当、ことに地方ではやはり短期大学を増設してもらいたいという要望も出てまいりますが、しかし、やはり教育をする学校をつくる以上は、あまりに安易な新増設は私はしないほうがいいのではないか、やはり充実したものをつくるんならつくっていくべきである。したがって、今後この新増設、あるいは定員増等につきましても、十分、文部省として、そういった手続の際には指導、助言をしてまいりたいと思っております。ことに教官組織なり、施設設備の点については十分注意をしてまいりたいと思います。なお、教育内容の点につきましても、これは御承知のように、短期大学の基準というものがあるわけでございますが、この基準についても将来必要があればさらに検討を加えてまいりたいと思っております。
  41. 野本品吉

    ○野本品吉君 いま久保委員から将来の問題についての質問がありましたが、私はいままで、「当分の間」云々ということできわめて不安定でありました短期大学が、この法の改正によって恒久化されると、これはまあけっこうなことでありますが、恒久化するということになりますと、当然、文部省としては、この短期大学の健全な育成、発展のためのいろいろな考慮が払われなければならぬと思う。そのうちの一つとして、いま久保委員から発言があったのでありますが、大学設置基準は三十一年の十月二十一日の文部省令第二十八号で出ておる。ところが、短期大学の設置基準は昭和二十四年に大学設置審議会の決定になっておる。そういうことになりますというと、恒久化された短期大学に対しましては、一般の大学文部省令によって設置基準を設定されておりますように、短期大学に対しても当然そういう配慮がなさるべきじゃないか、こう思うのです。これについてどういうふうにお考えですか。
  42. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御指摘のございましたように、現在の短期大学の設置基準は、昭和二十四年に大学設置審議会が決定したものをそのまま適用しておるわけでございます。大学設置基準とは、その点、まあいわば根拠的に違っておるわけでございます。これは御承知のように、従来、短期大学制度が暫定的なものということになっておりまして、これをどう恒久化するかということによって、その設置基準というものが相当大幅に動く可能性があるということから、これを法令的なものにしなかったわけでございます。御指摘のございましたように、もしこの恒久化ができるということになりますれば、この中身を検討すると同町に、あわせてやはりこれの法令化ということについても、文部省として検討しなければならぬと思っております。
  43. 野本品吉

    ○野本品吉君 それから先ほど説明で、短期大学は大部分が私立である、それでこれは調べればすぐわかることですが、国、公、私立別の短期大学の数というものはどうなっておりますか。
  44. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 資料を配付してあります。
  45. 野本品吉

    ○野本品吉君 それじゃそれでけっこうです。  そこで、私立が大部分短期大学教育を担当しているということになれば、最近特に声が大きくなっております私学振興の問題もからんで、さらに短期大学の問題が考慮されなければならぬ。従来の私学振興ということは、私の感じているところでは一般の大学に対する配慮が多かったわけです。恒久化された短期大学というもりをどこまでも健全に育成発展させるためには、さっき申しましたような設置に関するしっかりした基準を設けるというようなこと、それから私学振興という角度から見て毛、短期大学に対する配慮というものがさらに一段と考えられなければならないのじゃないか、考える必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その辺についてはどうですか。
  46. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 国民教育立場からすれば、国公私立というふうに設置者が違っておりましても、みな同じような人材養成のための制度でございますので、ことにわが国では私学が非常に学校数から申しましても、学生数から申しましても、大きなウエートを持っておりますので、私学振興に力を入れなければならぬことは当然だと思っております。従来も私学振興の立場から申しますと、短大大学に追随する制度として、大体、大学と同じように施設に対する融資その他の援助、また設備に対する補助というようなものも同じ扱いをしてまいっておったわけでございます。これは大学と同じような水準でいくべきもの、しかし全体の方途と申しますか、私学振興の全体に対する方途として、やはり大学と同様に今後さらに十分な国家的な援助等について文部省考えてまいりたいと思っております。
  47. 野本品吉

    ○野本品吉君 私も特にそれを申しますのは、政府提案によって短期大学恒久化される、で、恒久化された短期大学の大部分が私学であるということを考えますというと、その点に今後の私学である短期大学の育成のために、制度的にも、それからして助成その他の面においても特別な配慮をしなければならないということにもなってくるように考えられますので、いまの点をお聞きしました。
  48. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣が取りまとめの政治的な答弁をなさって、久保委員のほうは了解なさったようですが、どうも私は了解しがたいので二、三お尋ねしたいと思いますが、六十九条の二で目的をかえていますね。豊瀬家に住んでいる者は豊瀬家族だというこれが大学の五十二条ですね。ところが、六十九条の二で、豊瀬家に住まない者も豊瀬家族、こういう定めをした。だから目的を全くかえておいて、それが大学だという言い分はどこから出てくるのですか。目的をかえないで修業年限だけを変えるとすれば首肯し得るとこころがあるわけでありますが、目的を全くかえておいて、それが大学だという主張は、これは第五章に入るべきじゃなくて、久保委員の御指摘のように、高等学校高等専門学校短期大学大学と別個にすべきだと思うのですが、目的をかえておきながら、なぜ大学と言わねばならぬのですか。
  49. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほどお答えしましたところでございますが、大学というものの観念と申しますか、大学という考え方の中に、今回、従来は暫定的ということで入っておりました短期大学、この短期大学恒久化するに際しまして、やはり大学というワクの中でこの短期大学というものを位置づけたほうが適当であるという結論に達しまして、このようにいたしたわけでございます。したがいまして、目的性格を普通の大学とはかえておりますけれども、大学の中に、いわゆる五十何条でございましたか、四年制の大学もあるし、またそれと目的をかえた短期大学もあるという、こういう観念の仕方でこの法律を御提案申し上げておるわけであります。
  50. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 四年制大学よりもレベルダウンしておるという判断ですか。
  51. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 修業年限四年制の大学と二年、三年の修業年限を持っている短期大学と、これが何もかも同様だというふうには認めるわけにはまいらぬと思うのでございまして、やはり二年あるいは三年の大学として適当な水準をもってこれが発展をはかっていかなければならぬと、このように私ども考えているわけでございます。
  52. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長お尋ねしますが、先ほどの久保委員の質問の際にも答えられたところですが、大学は学術の中心であり広く知識を授けるところである。短期大学はそうじゃない。似ているところは、「深く専門学芸を教授研究」であって、大学のほうはそれを受けて、「知的、道徳的及び応用的能力を展開させる、」で、この「学術の中心として、広く知識を授ける」、それからさらに、「知的、道徳的及び応用的能力を展開させる」。これは第六十九条の二ですりかえたのだから、このことを短期大学は否定したと見てよろしいですね。
  53. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 五十二条の法文の書き方は、これは大学は何々を目的とするというふうに、まず大学目的を確定させておるわけでございます。先ほど来お答え申し上げておりますように、大学の中に短期大学を位置づけする、したがって、大学の一種である短期大学につきまして特に規定を設けなければ、五十二条の本文の規定がそのままこの短期大学にもかかるということになるわけでございまして、この目的の特例として、短期大学独自の現在の実態に着目して六十九条の二のような法文の規定をしたわけでございます。いまお尋ね大学目的の中には、「知的、道徳的及び応用的能力を展開させる」ということを書いておるが、六十九条の二のほうにはそういうことが書いてない。職業に必要な能力を育成するというような書き方をしているので、大学目的で言っているような知的、道徳的云々ということを否定したのかというお尋ねでございますが、必ずしもこれは全然否定するということではございません。「職業又は実際生活に必要な能力を育成する」ということの中にも、当然、まあこれは程度の差はあるかも存じませんけれども、そういった基本的な能力も含まれるわけでございますけれども、主として特に強調すべきは、「職業又は実際生活に必要な能力」、たとえば職業または実際生活に必要な能力で知的な能力、道徳的な能力が全然要らないというふうには考えておりません。どちらにウエートを置くかというような問題であろうと思っております。
  54. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 中身の説明は必要ありません。五十二条の目的を六十九条の二で、「五十二条に掲げる目的に代えて、」だから、五十二条が六十九条を包括するとは法律考えられませんね。これを廃棄しておいて、そしてこの看板をかけるのですから、法律にちゃんと、五十二条は捨てるのですよ。そのかわりにこういう看板ですよと書いているのですから、「職業又は実際生活に必要な能力」の中に知的、道徳的が入るということは、これは小学校の一年生でもわかります。そういう内容説明じゃなくて、法律体系上、六十九条の二によって五十二条は当然阻却される、そう考えなければならないと思うの、です。もし、あなたが六十九条の二の中に五十二条が包括するという根拠を持っているならば、その理由説明してください。
  55. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) それはまあ法文の字句に関する問題でございますが、従来の百九条、附則にあります百九条では、「かかわらず」という文字を使っておりました。今回はその「かかわらず」でなしに、「目的に代えて」というようなことばを使っております。この点はいろいろ政府部内におきまして、法制局とも審議いたした際に議論をいたしたところございますが、「かかわらず」の場合は一そう大学目的を排除する意味が強い、四年制の大学との異質性が強調されるということでございまして、したがって、その異質性の強調ということではぐあいが悪いので、これを「代えて」ということにいたしたわけでございます。
  56. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、「目的に代えて」というこの「代えて」で五十二条が包括するということですか。六十九条の二の短期大学目的に対して五十二条が包括しておるという解釈ですか。
  57. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 六十九条の二で「代えて」と言っておりますのは、五十二条に掲げる目的を包括するという意味ではございません。ただし、先ほど申しましたように、短期大学といえども、もちろんここにございますように、「職業又は実際生活に必要な能力」という点に重点をおきますけれども、そういった人間として基本的な知的な能力とか、道徳的な能力という点を全然否定するものではございません。
  58. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほどから言っていますように、「職業又は実際生活に必要な能力」という中に、知的、道徳的、応用的能力が入らないという、ぼくはそういう暴論をしておるわけじゃないのです。そういう言語、文字の解釈論じゃなくて、五十二条にこれをかえるのですよ、こう言っておりますね。違う目的を立てたでしょう、第五章、大学目的と。違う目的を立てたならば、久保委員の言うように、学校教育法の中に、高等学校高等専門学校短期大学大学とやるべきですよ。それをやらなかったということで、ただ一つ私はこういう答弁をなさるのなら理解できるのです。短期大学というのを学校教育制度の中に別に並べると大学でなくなる。だから非常にそれでは残念だ。格落ちするような気がするから大学という章の中に入れてもらいたい。しかしレベル・ダウンはするのですよ。こういうことを苦肉の策として明確におっしゃるならわかります。
  59. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど来、大臣がお答えになっておりますように、要するに短期大学恒久化にあたっては、大学の中で大学の一種として位置づけをしたいという気持ちがあったわけでございまして、しかし、四年制の大学と比べましてその実態が必ずしも同じではございませんので、その目的を明確にするということでこのような法文のつくり方をいたしたわけでございます。従来の四年制の大学目的等には変更を加えないということをたてまえとしたわけでございます。
  60. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 五十二条を掲げる必要はないのです、これは大学ですから。そうすると、将来、たとえば幼稚園を義務化しようという場合に、第二章、小学校、小学校目的はこれこれ。第何条の二にして、これこれの目的にかえて幼児の教育をこれこれする、こういうことも考えられますね。目的が違うのに学校教育制度規定のワクの中に別の看板を掲げておいてそのワクの中に入れるということは、これは学校教育制度として明らかに邪道ですよ。ただ気持ちとしてわかるのは、大学でなくなるのがいやです。短期大学ということになると名目的な格下げになる。そういう気持ちが短大担当者にあったでしょう。それはよくわかりますけれども、しかし、学校教育制度を新たに立てるというか、恒久化する際には、当然、目的をかえるならば、第五章に短期大学と明記してこの目的を入れ、第六章に大学と明記すべきです。若干、気分論で法律論をすりかえたきらいがありましょう、それは認められますか。
  61. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど私のお答え申し上げたところで御了解をいただきたいと思うのでありますが、この制度として短期大学大学のワク内において処理しようとしたということには、いわゆる実情についての考え方が入っているということを御了解いただきたいと思います。
  62. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 気持はわかりますがね、そうすると、この六十九条の二、短期大学目的の表現のしかたが変えられなければならない。「かかわらず」のほうが強く否定し、「代えて」のほうがやわらかく否定するのだ、そういう小説的な説明をしてもだめだ、明確に同じものを、「深く専門学芸を教授研究し、」と、大学の主たる目的は全部削除してしまっておいて、大学でございます、これは明らかに邪道でしょう。だから、さっき小林局長お尋ねして、五十二条が六十九条の二まで包括しますかと言うと、そうではないとおっしゃる、包括しなければ大学ではない、目的が並列しているのですから。だから実情——苦心のほどはわかりますが、法律体系上、学校教育制度上の両方から考えていくと、五十二条が六十九条の二を包括しなければ大学とは言えない、また言うべきでない、その点はどう考えられますか。
  63. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 六十九条の二の短期大学目的は、との法文にございますように、「代えて」ということでいっておりますので、当然に四年制の大学目的である五十二条をそのまま包括するというふうには考えておらないわけであります。大学の一種の扱いはする、しかし、四年制の大学とは別個の目的性格を持ったもの、これは御承知のように、修業年限も違うものでございますので、そういった点から申しましても、また現在の短期大学社会における実態から申しましても、別個の性格を持ったものとして規定をするのが適当であるというふうに考えたわけであります。
  64. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ますますおかしくなってきたでしょう、別個の目的性格を持っておれば大学ではない、五十二条のとは逆にいっています。私は六十九条の二が五十二条を包括するかと聞いているのじゃないのです。五十二条は六十九条にかぶさる、包括するかと聞いているのです。それを否定する。さらに具体的には目的性格が違います。目的性格が違うのになぜ大学のほうに入れる。目的性格が違えば、当然、別個の目的を持ち性格を持っておれば学校教育制度上は大学でないところに位置すべきです。これは学校教育制度として、そういう短期大学の人々の希望が強いからということで制度をそういうふうに壟断してはいかぬです。ぼくは当然恒久化されるとするならば、本質的には、学校教育制度の中に大学短期大学というものは目的性格が違えば並列すべきである。本質論としてはそうじゃないですか。「かかわらず」というのは、そうであるけれども、特例としてこういうことを認めるのだということと解釈するのが一番穏当です。しかし、今度の場合は、この目的は看板をおろすのですよ。そのかわり、「深く専門の」云々という看板を掲げるのですよ。そうしてそのことは、あなたがおっしゃるように、目的性格大学とは違うのですよ。修業年限の差だけではありませんよ。学校を設置する目的性格大学とは異なっておって、それをあえて大学という名称で第五章のほうに包括しようということは、法体系からいっても学校教育制度からいっても邪道ですよ。これは当然大学とは別個に設定されるべきものです。あなたは、この五十二条が六十九条を包括して、それの部分的なものだとあえて強弁するなら、そのことを制度上からも、目的上からも明確にすべきでしょう。それはできないでしょう、あなたの答弁では。
  65. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大学の一種として規定する場合に、これは現在でも百九条で規定しておりますように、これは現在の短期大学では四年制大学目的をそのままかぶっておるわけでございます。それをそのままこの五章の中に持ってくる、別の規定を設けなければ当然五十二条の規定がそのままかかるということになるわけでございます。ただし、先ほど来お答え申しておりますように、現在の、発足以来の経過並びに実態から申しますと、短期大学は単に修業年限の違いばかりではなしに、実際の状況も、その性格が違っておりますので、したがって、五十二条とは別の目的を明確に定める必要があるということで、六十九条の二という別条を起こして規定したわけでございます。もちろん、もっと短期大学というものが全然大学のワクに入らないものとして規定するしかたも考え得ることではございますけれども、従来の経緯もございますので、大学のワクの中で位置づけをしたいということから、ここに御提案申し上げておるような法文の条項にいたしたわけでございます。
  66. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、あなたのいまの答弁を聞いていると、私の主張を肯定している、したがって、当然、最後のワクの中に入れるべきだということだけが違うのです。学校を設置する目的性格が違ってきた。最初は五十二条を受けておりましたものがありますけれども、特例として二年ないし三年もやむを得ぬでしょう。これは修業年限の差としてだけ認めるのだ、目的は同じです、一応それは包括しておる。ところが、今度はこの五十二条を廃棄して、看板をおろしてこれをやると思うのですよ。だから明確に言えば、従来の制度よりも今度の恒久化にあたって、この六十九条の二によって短期大学というものが明確にレベル・ダウンしたのだ、こう言えるでしょう。そうすると、大学目的を受けないで、別の目的を持つとすれば、学校教育制度上、短期大学という章を設置すべきである、高専と同じように。これが筋論でしよう。
  67. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 豊瀬委員のおっしゃることは、まことに明確だと思うのであります。きわめてはっきりした、筋の通った御意見だと伺います。それに対して、それが間違っているというような気持はさらさらございません。筋はまことによく通った、おっしゃるとおりの形にすることが理論的には一番いいのかもしれません。ただ、今回、短期大学恒久化をはかるに際しまして、そのとおりの筋道だけではなかなか困難な事情もございます。実際の実情論ということを申し上げましたのは、実際の状況というものを勘案いたしまして、このような形で御提案を申し上げましたわけでございます。筋が通るか通らないかということにつきましては、いろいろ御意見もあろうかと存じますけれども、内容的にお考えをいただきますならば、私はこれは別に混乱を生ずることもないし、紛糾を生ずることもない、やはりいわゆる大学短期大学は違うということははっきりしていると思うのであります。こういうふうに書きました関係におきましては、われわれが御説明申し上げますれば、いわゆる大学というものの中に、従来からの大学と、それから今度の短期大学、この二つが含まれていると、こういうふうに御説明せざるを得ないのであります。そういうことでやることが、この恒久化をはかってまいります上において適当であると、かような判断のもとに、このような提案をいたした次第であります。その間の経緯をひとつ十分御理解をいただきたいと思います。
  68. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いまの答弁で、きょうのそのことに関する質問は終わりますが、まだ不明確なのは、従来の短大よりも今回の、意図的であるなしにかかわらず、目的の変更によって、従来よりもレベルが下がると判断しておられますか、大臣は。
  69. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) レベルという問題でございますが、下がるのか上がるのかというお尋ねでございます。私は下がるということばが適当であるかどうか存じませんけれども、少なくとも従来の短期大学のレベルを下がることはないと思うのでございます。四年制の大学に比べまして、二年あるいは三年制の大学が同じレベルを維持するということは、これは実際問題として非常に困難であり、現実におきましても、いままでの短期大学が四年制の大学と同様のレベルを持っているということはないと思います。その意味におきましては、いわゆる四年制の大学よりも短期大学と称する大学のレベルが低いと申し上げざるを得ない。しかし、これは実情から申しまして、別にいまのものを下げたことにはならぬと思います。
  70. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 四年制との差はよくわかります。しかし、実態論、従来の短大よりも下がるとは考えられません。それをむしろ上がるというのが至当だと。しかし、法制上は下げた、あるいは下がったというのでしょう。
  71. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 法制上から申しますというと、水準の違ったものを同じ大学のワクの中に入れている、こういうことになるわけであります。
  72. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 なかなか名答弁です。  最後にもう一つ国立短大について、従来から高専制度とからめて本委員会で論じ合ったことですが、今後、国立短大はこの制度になって一定の計画といいますか、あるいは増設していくという目標というか、そういう考え方ですか、それとも国立短大はあまりつくらないという考え方ですか。
  73. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回の短大恒久化ということは、現状短期大学を恒久的なものにしていこうということがもとになっているわけでございます。短期大学というものに対して将来どうするかというふうなことについてまでは及んでおりません。したがって、国立関係におきましても、いま文部省としましては、この恒久化の機会に短期大学の増設をはかるとか何とかいうふうな計画的なものは持っておりません。将来必要に応じまして、国立でもって短期大学にする必要がありますれば、国立短期大学というものもできようかと思いますけれども、いまこれを増設するというような計画というものは持ち合わせておりません。
  74. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 逆のほうから考えまして、高専は増設していくという方針ですか。短大は増設しない、逆に減少していく、あるいは高専等に切りかえていく、ないしは国立短大を四年制の大学に切りかえていく、こういう考え方は持っておられますか。
  75. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) そういうふうなことも、実際問題としてはあろうかと思いますけれども、いまどこをどうしようというふうな考えは持っておりません。
  76. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 方針としては、短大という学校恒久化によって、国立短大をふやす、減らす、あるいは四年制に切りかえていく、こういう考え方は全くいまのところはないと判断してよろしいですね。
  77. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御承知のように、国立短大はきわめて数も少ないことでありますし、一つ一つ短大について、いまこれを四年制の大学にしたほうがいいというふうな場合には、そういうこともございましょう。あるいはまた、これを高専にかえたほうが実情に合うというふうな場合には、そういうこともあろうかと思いますが、大きな一つの方針として、どうしよう、こうしようということは今日考えておりません。
  78. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  79. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後零時十一分散会    ————・————