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1964-05-19 第46回国会 参議院 文教委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     中野 文門君    理 事            北畠 教真君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            小林  武君    委 員            木村篤太郎君            斉藤  昇君            中上川アキ君            野本 品吉君            秋山 長造君            加瀬  完君            米田  勲君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    外務省情報文化    局長      曽野  明君    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————国立教育会館法案内閣提出、衆議  院送付) ○教育文化及び学術に関する調査  (千葉大学の留学生に関する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  国立教育会館法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 いままでの質問に対していろいろ文部省等からお答えをいただいたわけでございますが、ここで次の質問をする前に、いただきましたお答えの中で、はっきりさしていただきたい点がございますので、それらについて二、三お伺いをいたします。  第一点は、教育会館研修施設提供者ではあるけれども、ここで、いわゆる任命権者研修のごときことをする権限というものは持たせておらない、こう解釈してよろしゅうございますか。以下の質問はぜひ大臣お答えをいただきたいと存じます。
  4. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 任命権者がいわゆる研修権限を持っておりますが、そういう立場とは違っておると思うのであります。ただ、この教育会館などのように、研修する、何と申しますか、権利能力とでも申しますか、そういうふうなものを与えようといたしておるわけでございます。
  5. 加瀬完

    加瀬完君 研修権利能力というものを与えようとしておるのですか。この間までのお答えは、いわゆるそういう意味研修というものをここでできることではないんだというお答えでありましたので、その御確認をいただきたいのです。
  6. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 任命権者が、任命権者として研修をするということとは別の問題でございまして、立教育会館研修ということができると、こういうことを規定しておるわけでございます。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 研修ではございませんで、いわゆる研究会あるいはまた講習会等主催をするという文部省設置法の八条の十三号を同じような性格のものだと、この間からのお話は、御答弁されたと思いますが、そうでしょう。
  8. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) そのとおりでございます。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 第二点は、文部省教育会館を通じて、いままで文部省としては行なわなかった教職員に対する思想教育等をしようとする意図は全くない、こう解釈してよろしゅうございますか。
  10. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いわゆる思想教育というふうなものをここでやるつもりはございません。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 第三点は、教育会点で行なう研究集会講習会等は、語学の練習や視聴覚教育などがおもなるものであって、特に教養講座だけが重視をされて、ここで教師のものの見方や考え方を変えていく、そういう方向運営するものではないと解してよろしゅうございますか。
  12. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) それほど大がかりなことを、この会館でわれわれ期待いたしておるわけじゃございません。現教育基本法範囲外にわたるようなことを、ここでもしやるといたしますれば、監督権者として、この点は十分注意しなきゃならぬ。そのように  ひとつお考えいただきたいと思います。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 したがって、教育会館は、二十条第一項第一号が主目的であって、二号を主目的とするような考えはないと解してよろしゅうございますか。
  14. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回のこの教育会館をつくろうという考えが出発したしましたのも、いわゆる一条の目的を達成したい、こういうことから出発いたしたわけでございますので、われわれの考えといたしましては、一号を主目的としておる、このように考えております。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 それならば、二十条一項二号の研究講習主催権、または資質向上のため必要な業務という項も、あくまでも教育会館事業としては、補充的なものであって、この内容について、特に文部省がきびしいワクをはめて、すなわち、教育会館という機関を通して文部省意図をここで実現させる、そういう性格のものではないと解してよろしゅうございますか。
  16. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) そのとおりでございます。もし文部省が特に意図を持っているとすれば直接やります。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 直接やれるかやれないかの問題はあとに残りますが、本題ではございませんので質問を先に進めます。そういうことでございますと、国立競技場と同様、大きく教育関係者資質向上教育振興のための必要な業務といったものであっても差しつかえないわけですね。
  18. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先般来申し上げておりますようなことが、この教育会館においてできるということをお認めいただきますならば、表現はおっしゃるとおりでけっこうでございます。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 そうなりますと、当然、研究会講習会がここで開かれるといたしましても、どういう内容、どういう項目といったようなことは、教育会館側自主性にゆだねられる問題であって、文部省ワクをはめたり、干渉したりするということは行なわれないし、そういうものではないと了解してよろしゅうございますね。
  20. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いかなることを具体的にやるかということは、これは会館においてきめるべきことでございます。文部省といたしましては、監督権者としての立場において、必要があれば、その監督権を行使するだけのことでございます。自主的に考えてけっこうでございます。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、講師等の決定は、教育会館側が選んだ者を文部省はこれを黙認するといいますか、許容するということであって、文部省選定された講師についてまで取捨選別のようなことは行なわれないと解してよろしゅうございますか。
  22. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 一々そういったところまで干渉がましいことをしようと思っておりません。もし御相談でもあれば御相談に乗ります。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 一応、会館自体運営というものの文部省の御態度というものはわかりました。このお答えの限りにおきましては、われわれがいろいろ杞憂したような点もいささかぬぐわれてきた感じがするのでございますが、もう一つの問題点は、会館使用させることもあると思うわけでございますが、使用についての制限ということがもし設けられるといたしますと、これは使用制限ということから、会館方向というものが一応色づけられるということもあり得るわけでございます。その点も伺いますが、二十条の会館施設運営の基準はどういうものでございますか、これは大臣でなくてもけっこうです。
  24. 福田繁

    政府委員福田繁君) 国立教育会は館その第一条におきまして、「研修施設運営し、教育関係者資質向上を図り、もって教育振興に寄与することを目的とする。」ということが明記されております。したがいまして、終局において、教育振興に寄与することを目的とした諸事業を行なうわけでございます。したがいまして、他にこれを利用してもらうというような場合におきましても、当然その教育会館の設置されました目的というもののもとにおきまして使用させるということになろうと思います。使用制限ということになるかどうかわかりませんが、使用のやり方といたしましては、そういう趣旨からこれが運営されるべきであると、かように考えております。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 これは国立競技場にならったということがたびたび御説明の中に出てきているわけでございますが、国立競技場における施設提供というものと、この教育会館法における第二十条の業務の中における内容というものは、必ずしも同様には解釈できない点がございます。二十条では、この施設を他に提供をするという点が国立競技場のように明瞭ではございません。ですから、施設提供するというお話は承っておりますけれども、その運営をするということ自体は、みずから講習会研究会をさせるということが主であって、他の講習会研究会等に場所として提供をする、あるいは施設提供するということは、どれだけ重点に考えられているのかどうか、この点が明瞭ではございませんので、重ねて伺いますが、使用することが主であって、使用させることは従ということになりますか。
  26. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、二十条の一項の一号、これが教育会館としては業務の主目的だというように申し上げたわけでございますが、この一号に書いておりますように、「研修施設を設置し、及び運営する。」ことという中には、他に使用してもらうという、いわゆる貸すという場合も運営の中に含むと考えております。したがいまして、国立競技場の場合におきましても、国立競技場法の十八条に書いておりますように、「その設置する体育施設及び附属施設運営すること。」という、そういう条項がございますが、その中で、競技場施設を他に貸すという場合も運営の方法として規定しているわけでございます。その点において区別はないと私ども考えているわけでございます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、他の団体研究あるいは講習の場を提供するということも、この目的の中の、あるいは業務の中の目的だと考えてよろしいわけですね。
  28. 福田繁

    政府委員福田繁君) そのとおりでございます。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、その貸与をする団体については制限をいたしますか。
  30. 福田繁

    政府委員福田繁君) この貸与する場合におきましては、もちろん国立教育会館法が成立いたしまして、その役員等組織ができましてから、これは自主的に決定されるべき問題でございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、この第一条の、教育振興に役立つ、寄与するという大きな目的があるわけでございますから、その目的にかなう範囲においては、また、施設があいている限りにおきましては、貸して差しつかえない、当然そういうことになろうかと思いますが、これは役員組織等がきまりましてから、会館自体運営すべき事柄でございます。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 会館自体運営する事柄でございますけれども、この法の解釈といたしましては、ここではっきりさせておかなければならない問題でありますので、くどいようでございますが、もう少し伺います。  たとえば、講師選定などにいたしましても、教育会館選定する講師傾向というものは、ある程度まあ予測されるわけでございます。まあ学者をここに取り上げましても、教育会館として好ましい学者と、あるいは好ましくない学者というものが、現実の上では講師選定の上に出てくるのじゃないかと思います。研究団体でも、民主的な、いろいろ組織された学会とか、教育研究会とか、そういう団体の中でも、教育会館使用したいということであれば、いずれの団体であろうとも、使用の便に供し得る条件でれば貸与をするということでなくて、これは好ましい団体だと、だから大いに提供して、これは好ましい団体ではないから貸与を断わろうというようなことが教育会館自体運営として行なわれるということであっては、これは国費をもってつくられた特殊法人でございますから、しかも、教育研究講習のための施設でございまから、政治的偏向というものや宗教的偏向というものは持つべきはずのものではないわけでございます。しかし、これ自体教育会館にまかせておけば、教育会館としては教育会館評議員会なりあるいは理事なり、館長なりの考え方で左右されないとは限らない。しかし監督権文部省にあるわけです。いま文部省として、いわなる団体でも、それが教育関係者団体か、社会教育といったようなものを含めて広く教育関係者団体研究のため、あるいは講習のため、こういうことであり、目的資質向上のためということであれば貸与すると考えてよろしいかどうか。
  32. 福田繁

    政府委員福田繁君) そのとおりに私ども考えております。もちろん学校教育社会教育にわたりまして団体はいろいろございます。初めからどの団体には貸さないとか貸すとかいう区別をすべきじゃなくて、その団体事業そのもの教育振興にとってプラスになるかどうかということを考えるべきでありまして、お説のように私どもはこの会館が運用されるべきものだと考えております。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 世上の取りざたは、この国立教育会館日教組の全国の研究集会に対して、別の全国的な研究集会をここを会場に持って対抗するためのものだといわれている一面もございます。そこで、具体的に伺いますが、かりに、日教組であっても、日教組関係団体であっても、資質向上、あるいはまたこの施設を応用して視聴覚教育、あるいは語学講習といったようなもので会館使用というものを願い出された場合は、原則として許可しないということはあり得ませんね。
  34. 福田繁

    政府委員福田繁君) そのとおりだと思います。個々事業内容について十分検討してこれを貸す、貸さないをきめるべき問題だと考えております。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、個々事業内容ということは、この目的なり、あるいは業務なりにきめられておるようなことに合致するかいなかということであって、この主催をする団体性格なり、団体内容なりということを外側から推測をして、好ましい団体じゃないからだめである、好ましい団体だからよろしいというような判断はないということでございますね。
  36. 福田繁

    政府委員福田繁君) そのとおりに考えております。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 次に、いまの問題はわかりましたので、次の問をまたはっきりさせていただきたいと思います。教育委員会法地方教育行政組織及び運営に関する法律というのに変わるときに、当時の文部大臣清瀬さんでございました。で、清瀬さんは、その提案説明の中ではございませんが、その法律についてのいろいろ質疑の中で、教育内容について国は監督権を持たなくてはいけない、この監督権を持つために教育委員会法の改正が必要なんだという御説明がございました。文部省は、いまでも直接の監督権がないから資質向上が思うようにいかないというお考えでございますか。これは大臣に伺います。
  38. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 直接の監督権の有無にかかわらず、私は資質向上という問題については文部省としても努力すべきだと考えております。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 国の監督権は必要だ、国の監督権がなければ教師資質向上しないというお考えのように清瀬さんの御説明があったわけでございますが、ただいま文部大臣はやはり同意見でございますか。
  40. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 監督権という意味がよくわからないのでありますが、私は別にその関係においては現行法について特別な考え方をいたしておりませんし、現行法のもとにおきまして教師資質向上をはかってまいりたいと、このように考えております。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、文部省教師資質自体に問題を感ずると言います・か、不足を感じ、あるいは研修対策と言いますか、研修対策そのものが完全でないということは、これは今度の国立教育会館法案の前後における御説明でもよくわかります。そこで、研修責任にあります任命権者研修対策というものがどこか欠けているとはお考えになりませんか、現在で。
  42. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文部省としましては、先般来お答え申しておりますように、文部省が行なうものはいわゆる連絡なり援助であるこういう性格のものとして行なっておるわけであります。したがって、その意味におきましては、文部省がそういうことをする必要がないというふうな事態でないことはわれわれとしては認めざるを得ない、やはりお手伝いをし、援助をする必要がある、このように考えております。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことではなくて、現在の任命権者による研修状態というものを見ていると、あれでは研修というものはどうも不完全だというようにはお考えになりませんか。これは初中局長でもけっこうです。
  44. 福田繁

    政府委員福田繁君) もちろん地方公務員法あるいは教育公務員特例法等におきまして任命権者研修を行なうことが規定されております。その規定の趣旨に従いましていろいろ地方任命権者におきましても計画は実施されております。しかしながら、一般的に考えまして、ただ任命権者が行なう研修講習等だけではなくて、各種の団体等が行なっているのが実情でございます。そういう意味におきまして、やはり任命権者研修だけではなくして、いろいろな各方面で行ないますそれらの研修等によって、教職員資質向上ははかられるというのが現在の実態でございまして、したがいまして、私どもとしては任命権者だけでなく、国の機関もあるいは一般団体等におきましても、よりよき研修等を実施いたしまして、資質向上をはかっていくということが望ましいというように考えておるわけでございます。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 何と言いますか、そう防潜網みたいなものを張らなくてもけっこうなんです、きょうはそんなややこしいことは聞きませんから。現実において地方教育委員会あるいは都道府県教育委員会における研修というものは、地域教育の問題というものを解決するような効果的な効率的な運営にはなっていないというようにはお考えになりませんか。
  46. 福田繁

    政府委員福田繁君) 必ずしもそうは考えないわけでございまして、やはり地方教育委員会などが行ないます研修につきましても、地域実情に応じて、それぞれ相当な効果をあげているものもたくさんあると思います。そういった問題を、私どもはその研修自体を高く評価いたしておりますけれども、それだけで全体が十分かというと、これは必ずしも十分ではないというように考えるわけでございます。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 効果をあげておって十分なら、何も教育会館なんてむだなものをつくる必要はない。効果が万全ではなく、さらにこういう施設をつくったほうがよりプラスであるという問題がありますから、教育会館法というものの成立の要因というものがあるわけでしょう。地域において教職員の要望にこたえて研修の問題というのが完全に行なわれているとは考えられません。その原因として、教育委員会法当時のいわゆる任命権者組織というものと、いまの組織というものは違っていますね。いまのほうがプラスだと考えられますか。具体的に申しますと、教育委員会法当時の教育長というものはこれは資格者でなければならない。いまは資格者でなくてもいいわけです。専門職でなければならないと言われた教育長が、まるで、技術的にはあるいは専門的には教育のしろうとがなり得るわけですね。それで教職員現場研修の面をはっきりと把握することができますか。そこに欠陥があるとは考えられませんか。
  48. 福田繁

    政府委員福田繁君) お説のように、確かに資格の上におきまして教育長は以前のような資格は撤廃されましたけれども、まあ実態を見ますと、かなりまだ教育長自身教育家出身の方が多いようでございますが、そうではない場合におきましても、教育長補助職員としては指導主事その他の専門的な職員相当数教育委員会にはおります。したがいまして、教育長自身が、いわば一人で講習研修をきめるということではなく、てこういう専門的な職員やあるいは現場教職員の意向というものを十分くみながら実施計画を立てるわけでございますから、必ずしも仰せのように現場実情をつかんでないというようには、私ども一がいにそれは言えないことだと考えるわけでございます。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 指導主事が何十人いたって、指導主事をコントロールできなければ意味がない。市町村において指導主事が設置きれておるというところは数が少ない。町村なんかにおきましてはほとんどありません。で、研修ということを問題にするならば、現在、教育行政の末端の責任者であります。教育長見識というものを私は問題にすべきであると思う。あなたは教育関係出身者が非常に多いと言っているけれども、それじゃ昭和三十年と昭和三十七年と比べて、教職にあった者、県庁等職員であった者、あるいはその他の者といったような分類で、昭和三十年と三十七年に都道府県教育長の経歴がどう変わっておりますか、御存じですか。
  50. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまその調査した資料を持っておりませんので申し上げかねますけれども、当時よりも多少行政的な職員がふえていることはこれは事実でございます。その傾向はあると思いますけれども一般市町村教育委員会等におきましては、やはり校長さんを経験したような方がかなりあることは、これは御承知のとおりでございます。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 かなりありましたのがかなり減ってきているのです。たとえば福島県を例にとれば、学芸学部部長であった人が教育長であった。あるいは埼玉県を例にとれば、高等学校校長であった者が教育長といったような例が三十年には多かった。ところが三十七年になってまいりますると、県の議会事務局長だとか、農政部長だとか、経済部長だとか、知事室長だとか、あるいは労政部長だとか、こういう人たち教育長にだいぶなっている。その比率を見ると、昭和三十年には県庁関係あるいは文部省の旧課長等視学官といったような者を含めて十名、それが昭和三十七年には二十名になっております。この傾向は、少なくも教育行政というものを一般行政と切り離して考え教育委員会法制定当時とは変わって、一般行政と同じように教育行政考えているという証左である。少しの数じゃないですよ、二倍にふえているのですから。それと、教職にあった者は昭和三十年には十四人でありましたものが三十七年には九人に減っています。いわゆる専門職といったような者はだんだん少なくなっている。悪いことばでいえば、労務担当に都合のいいようなものだけがここに出てきている。教育担当には不適任です。こういう状態をそのままにしておいて、研修責任者である地方研修そのものについての見識を疑われるような者が教育長になり得るという事態を捨てておいて、教育会館をどんなにつくったところで、これは中央の力で研修をしなければ研修はできないという結果に、逆に憂うべき結果が生じてくる。これ、好ましい傾向と思いますか。専門職の者がだんだん減ってきて、専門職でない者の教育長がふえてくるという現実を好ましい傾向とお考えになりますか、これは大臣に伺います。
  52. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 教育長の取り扱っております事務範囲が広いので、それらのすべての事務について適材しておる人を地方において任命いたしておるわけでございます。私はその人が専門職であるかどうかということに必ずしも拘泥する必要はないと思います。
  53. 加瀬完

    加瀬完君 これはまた逆戻りに質問がなりそうでありますので、時間がありませんからきょうはやめておきますが、教育というものは独立しているものですよ。具体的に言うなら、教室で何人かの子供を教えている教師は、教師の独立した人格だけが教育の主体ですよ。校長でもございませんければ、教育長でもございませんよ。そうして教育行政にしたところで、これはやがて二、三年たてば他の行政職に移る、その事務局長から労働部長に移るとか、労働部長から経済部長に移るといったのと同じように、二、三年の腰かけ仕事で、一体、県の教育長なりというものをやられておって教育振興をいたしますか。ですから専門職でなければならないという条件が教育委員会法のときにはきびしくついておりました。特別の講習をして、教育長資格というものを特別の講習によって与えた。教育に対する見識があるかないかということは、これは没交渉です。横すべりにいけばいいわけです。悪いですけれどもね。ぼくらも千葉県でやってよく知っていますけれども、県庁に残しておいて、総務部長にしたいとか、副知事にしたいという者を、わざわざ教育も勉強しなければいかぬから、お前さん教育長に行って来いとは言いませんよ。そういう者も中にはあるかもしれないけれども、ほとんどまあ二流の人物が教育長といったような外のほうに追われる形になりがらです。そういう人たち研修責任者であるというところに私は地方研修そのものがふるっておらない問題がある。ですから、これは命令を受けるという慣習がついているから、文部省から何か言ってこないか、上のほうから何か言ってこないかという、地域実態を見て、地域のこの教育の問題は何だという把握の教え方をしませんよ。上ではございませんけれども、上のほうと考えている文部省から何か来れば、それを忠実にやろうということしか考えませんよ。これでは教育委員会法だけではございませんよ。地方教育行政組織及び運営に関する法律ワクの中から考えたって適任だとは言えませんよ。この問題は、あとの質問もございますので、私はこの傾向に対して、文部省があまり問題にしておらないようでございますから、私のほうで問題点をもう少し具体的にあとで申し上げたいと思います。  大体、教育会館法に対する質疑の時間はきたようでございますので……。
  54. 中野文門

    委員長中野文門君) 本法案に対する本日の質疑は、この程度にいたします。
  55. 中野文門

    委員長中野文門君) 教育文化及び学術に関する調査中、千葉大学の留学生に関する件を議題といたします。  質疑の申し出がございますので、これを許します。加瀬君。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 いま千葉大学の留学生部で一部が授業放棄をいたしておりますが、内容を御存じですか。
  57. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 大体存じております。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 授業放棄の原因はどのように把握していますか。
  59. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 千葉大学の留学生課程に女子の外国人留学生が十三人おりまして、これが寄舎の入寮につきまして、大学側が現在方針といたしておりますのは、一室に二人入れるという方針を、これは日本人の場合でございますが、そういう方針をとってまいっておりますが、この十三人に対しましても、基本的にはやはり日本人と同じような考え方でいくのが至当だと考えますけれども、しかし、外国人のいろいろ風俗習慣も違いますので、また、特に希望もあるようでございますので、十室だけ提供する、ところが、十三人でございますので、これらの外国人の女子留学生は個室を要求いたしております。そういたしますと、十三人に対して十室でございますから、三人はみ出るということに対して、全部個室に入れろと、こういうことが紛争の原因であるように伺っております。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 この問題で、千葉大学の学長の指導は万全であったと御認定ですか。
  61. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) ちょっとお尋ねしますが、千葉大学長の何ですか。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 学長の指導は万全であったとお考えですか。
  63. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 千葉大学の学長が十五日に全留学生を集められまして、この授業拒否事件につきまして学長の見解を表明され、正常な授業に入るように説得しておられます。で、ただいま申し上げましたように、原則としては一室二人同居と、日本人の学生がそうでございますし、外国人の留学生に対してもそういうことがやはり原則としては望ましいが、しかし、諸般の事情も考えて特に十室用意をした。それにどうしてもはみ出る学生が寄宿舎に入りたいというなら、とりあえずは一室に二人入る方も出てくるわけでございますが、それでもなお個室でなふればならないという人については、民間の篤志家にお願いをいたしまして、環境のいい下宿を大学で責任を持ってお世話すると、こういう態度でございますので、この学長の考え方は適当であると私考えております。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 十五日の午後一時から千葉大の谷川学長が留学生を集めて話をしたわけです、訓辞といいますか。この内容は御存じですか。
  65. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) ただいま申し上げた程度のことを私承知いたしております。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 こういうことをおっしゃっておるようですね。君たちは日本政府の奨学資金を受けて、日本の教育を日本人と一緒に受けることを許された学生であって、特別に招かれた客ではない、こう言っておるようでございますが。——外務省は参りませんか。——文部省といたしましても、これがいま問題の学生に与えることばとして非常に適当だとお考えになりますか。
  67. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 表現の点では、私直接その場に立ち会っていなかったものですからわかりませんけれども、大体の考え方としては適当であろうと存じます。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 特別に招かれた客ではなくても、留学生でございますし、外務省の国際親善という目的で招いた留学生でもあるわけですから、特別の客として待遇をされておるのだという印象を与えるような取り扱いというものが至当じゃないですか。おまえら勉強に来たのだから、特別に招いたわけじゃないのだから、おまえらの下宿まで世話をする必要はないとは言いませんけれどもね。そういうようにそんたくをされるような、全く法律用語のような表現で、一体この問題の解決にあたっての学長のことばとして、留学生にどういう影響を与えるかという点などを考えあわせまして、全く妥当な御発言だとお考えになりますか。
  69. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) ただいま申し上げましたように、そのときの発言あるいは表現につきまして存じておりませんので、その表現のしかたが妥当であったか行き過ぎがあったかは、何ともお答えしようがございませんけれども、基本的に、お客さん気分で、外国人の留学生がお客さん気分であるということについては、これは間違った考えだと思いますので、表現の点はともかくといたしまして、学長のお考えは私至当であるというふうに存じます。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 留学生というのは、これは私費留学生じゃないわけですね、ここでいま問題になっているのは。国が呼んだ留学生ですよ、日本が。呼ばなければ来なかった。呼んでおいて、学習条件も何も与えないで——まあこれは学校の責任だけではないということを、あとで私は伺いたいと思いますけれども、一応、衝にあたっている学校側とすれば、もっと留学生の立場になって理解をさせていくという態度が望ましいのじゃないですか。文部省の態度と考えてよろしゅうございますね、これは。おまえらは招かざる客だから勉強をやるならおとなしく勉強しろ、ぶつぶつ言うなと言わぬばかりの考えが、文部省のお考えも同じだと考えてよろしいですか。
  71. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この問題は、具体的な問題としては、いま官房長からお答え申し上げましたとおりであると思います。ただ、学長がどういう心持ちで、どういう指導をしておるのかということになりますれば、直接聞いておりませんので、それに対するお答えはいたしにくいと思うのであります。向こうさんの学生諸君の気持ちの問題もあろうかと思います。やはり文部省としまして、国費をもって留学生を招いておるその趣旨は、申すまでもなく、東南アジアその他の諸国との間のやはり友好親善ということを考えてやっておることでありますので、来ました学生に対して不愉快な思いはさせたくない。できるだけ気持ちよく日本で学生生活を終えてもらいたい、こういう心持ちでやっておることはもちろんのことであります。ただ、郷に入っては郷に従えということもあります。留学生の諸君が何か非常に特権でもあるようなつもりでこちらにおいでになって、一々気に入らぬからそれに対してこうだ、こういうふうな態度も、これは留学生としても考えてもらわなければならぬ点があろうかと思うのでありまして、日本のなし得る限りのことをするわけでありますから、現状においてそれが十分であるかどうかということになりますれば、これはいろいろと考えなければなりますまい。われわれとしましても、現在、留学生の受け入れ態勢が決して完全であるとか、十分であるとかは考えておりませんけれども、しかし、いまの現状のもとにおいてなし得るだけの親切は尽くしていきたい、こういう心持ちでやっているわけであります。留学生の諸君に対しましても、いいことばかり言って日本にとにかく誘惑したと申しますか、引きつけるというようなことはいたしておらぬと思うのであります。日本の状況ということについても十分理解してもらった上で来てもらうような措置を講じておるものと私は思っているわけであります。その辺にもし考えの行き違いがあるとするならば、これは是正しなければならぬと思うのであります。将来ともにわれわれとしましては、外国から来た留学生の諸君に対して、できるだけ愉快に快適に日本で暮らしてもらうような努力はいたしたいと存じておりますが、具体的な今の状況というものにつきましては、学校側も考えなければならぬ点があろうかと思いますが、ただ単に部屋の問題だけでないというふうなこともあるいはあろうかと思うのでありますが、そういうふうな点につきましては、十分取り調べまして将来改善をしてまいりたいと思いますが、学生の諸君としましても、それだからすぐに授業をボイコットするような考え方はいかがであろうか、私はかように考えるのであります。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 私も授業ボイコットに応援をしているわけではございません。しかし、外国人を受け入れるならば、受け入れ態勢というものは、これは完全にしてやる義務が日本側にあるわけです。また来た者に、日本に来てよかったという印象を与えるような、これは誠意と親切というものを日本人の義務として当然尽くすべきだと思うのであります。  そこで次に伺いますが、学長は女子留学生を集めまして、女子留学生は特に日本人の家庭に住み込んで日本を学ぶことも効果的な方法である、こう説明をしているわけであります。この考え方文部省は賛成でございますか。
  73. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) まあ一般的に申しまして、男女を問わず、外国から日本へ来て勉強する留学生につきましては、現想的に申しますならば、やはり民間の家庭に入りまして、そうして日本の風俗、習慣も学び、そうして溶け込んだ生活をするということがよろしいかと思いますけれども、ただ、現実的にはいろいろ日本の住宅事情等もありまするし、また、すぐになじめない点もございますので、そういう場合には寄宿舎に入るということも必要だと考えますけれども、先ほど言いましたように、基本的には、やはり民家へ入って、そうして日本人の生活に溶け込んでいくということが、あるいは留学の目的にかなうのではないか、かように思います。
  74. 米田勲

    ○米田勲君 関連。いま加瀬委員と政府側の質疑応答が重ねられておりますが、私が聞いておってちょっと問題があると思うのは、留学生を迎え入れる場合に、日本の政府と当該国政府との間に、留学中における学生の生活あるいは学習、それらの環境条件、そういったものについてあらかじめ詳細な了解を求める努力をし、両国政府の間でそういうことについて十分な了解をし合った上で留学生を派遣し、留学生を迎え入れるという従来の措置ではないのかどうか。聞いておりますと、受け入れた大学当局の何か自主的な判断でさまざまな対策が講ぜられるというところに私は問題があるんじゃないか。せっかく国費を投じて外国の留生を迎え入れるんですから、かえって日本という国に悪感情を持たれたのでは、これはどろ沼に捨てた金のようなことになって、マイナスはあってもプラスがないわけです、ですから、私はそういう寄宿の問題あるいは学習上の問題いろいろな問題があったために事件が起こってきたんだと思うが、あらかじめ、そういう両国政府の間には具体的な取りきめや了解が従来なかったのかどうか。おおむね受け入れた学長側、学校側に、そういう問題をまかされていたのかどうか、その点をひとつ、一問だけお聞きをしますので、少し詳しく話してください。
  75. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 実は、両政府間でどういう具体的な条件を出しておったか、詳細に私いま存じておりませんけれども、後ほどまた必要であれば調べてお答えいたしますが、原則的には、募集条件を政府間で話し合いまして、それを提示して募集しておるわけであります。それによって志願をしてきた者をその国の政府が推薦をいたしまして、そうして向こうにおける日本の在外公館で試験をいたしまして、そうしてその結果向こうの政府から推薦順位をつけてこちらへ出してくる、こういうふうになっております。したがいまして、一応、日本の、あるいは大学生活の環境なり実情は知って、その上で応募しておるというふうに考えております。
  76. 米田勲

    ○米田勲君 もう一度だけ質問さしてください。あなたのほうではそういうふうに考えておるが、実際の問題としては、具体的なそういう問題について両国政府の間に十分な了解が成り立っておらないのではないかという疑問があるわけです。もし、あなたの言われるがごとき状態で万全が期せられておるなら、来た学生が、てんでん勝手に条件を持ち出して、この条件が入れられなかったのはけしからんというようなことが発生するわけがない。どうもそんな問題が起こるのは、少し受け入れる側も、当該国との間の話し合いも大ざっぱ過ぎはしないか。だからそういうトラブルが起こるのではないかという感じがするのですが、万全の策は講じられておるのですか、その点は間違いないですか。
  77. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 先ほど御答弁いたしましたように、募集条件は徹底周知しているように私どもは聞いております。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 募集条件を聞いているんじゃないですよ、あなた。女子留学生は日本の家庭にいたほうがいいというけれども、これは日本の事情を調査にきているのではない、日本人のお嫁さんになるために来ているわけでもないんですよ。勉強にきているんですよ。だから、受け入れる側としては、学習のよりよき条件というものを提供するのは当然の義務じゃないですか。外務省に伺いますが、あなたたちはどういう考えで、米田委員の御指摘のような呼び方で相手方の国との話し合いで留学生を呼んでいるのですか。
  79. 曽野明

    政府委員(曽野明君) 国費留学生の場合でございますが、外務省におきましても、毎年、文部省と御相談してきめました人数の留学生を公募いたします。その場合に、先ほど文部省から御説明ありましたように、詳細な待遇条件、全部発表してやっております。で、選老に当たりましては、国によってこれはいろいろ違いますが、大使館で、原則として向こうの関係者と一緒に試験をやりまして、何人かの候補を選ばせまして、それを東京に報告させまして、その中から適当のものを選び、国によっては大部分、希望の少ないところはその申し出をしまして、選老を通った人はそのまま採用になる、中には少し年をこえておる人がある、さような場合には困るという場合もございます。ただ、その場合に、いま問題になっております宿舎、ここまでの詳しい条件は初めからついておりません。それで月幾らの待遇を与える、あるいはことしからは往復旅費もこちらが持つ、こういうふうなことははっきりなっておりますけれども、宿舎は必ず政府施設の寮に入れるというようなことは何ら条件ではなっておりません。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 なっておりませんで済まされる問題ですか。いま女子学生の言い分を聞きますと、下宿生活では生活費がかかるとともに、習慣等が違うので入浴等がほとんどできないような不便がある。それから経費の関係で、自炊生活をしますと、学習の時間がつぶれるし食生活が不規則になる。また、周囲に同国人がいないので非常にホームシックになる。それから周囲の環境から、外国に来て女一人の生活が何となく不安だ。なお、夜間に外出して酔っぱらいに追っかけられたりというようなこともあって、身の危険を感ずることも多い。ですから、何とかして学習できるような条件に置かせてもらいたいというのが言い分のようでございます。  そこで、外務省に伺いますが、おまえたち試験をして日本に受け入れる、奨学資金を出して学習させるのだということだけで親善の効果があがりますか。もし不測の事態が女子学生の一人か二人の間に起こった場合に、一体、外交上の問題というのは出てきませんか。そういうことも考えて、受け入れるなら万全の策をもって受け入れる態勢を整えなくてもよろしいということになりますか。この辺がまるで、ブラジル移民はブラジル棄民だという一部の批判がありますけれども、外務省のやり方はとことんまで、その目的を達するというところにどうも手が届いておらないのじゃないかと思うわけです。これは学習をさせに連れてきておるのですから。相手方の国に対して外務省は交渉したのか、国内の条件では文部省と外務省がお話し合いをしておるのか、どうなっておるのですか。これは宿舎のことまでは心配をする約束はありませんと言ったって、それらを心配をしないで問題の解決になりますか、親善の効率があがるということになりますか。
  81. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 私から宿舎のことについてちょっとお答えいたしますが、募集いたします際に、その条件の中に、大学に宿舎がない場合は民間に大学においてあっせんをするということは募集要項にうたってございます。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 そういう募集要項がどうだの、そんなことを聞いておるのじゃないのだよ。現実問題として、いままで問題が起こらなかったのは、千葉の場合は黒須さんという篤志家があって、その人がアパートをつくって全部留学生を入れておったから問題が起こらなかった。その人が、今度、経済上の問題でアパートを離しちゃって、行きどころがなくてばらばらのところに下宿したら、これはとても生活に耐えられるものではないという問題が起こりなんです。だから、受け入れの条件に下宿の条件がないとか何とかということじゃなくて、これは文部省の問題かどうかわかりませんけれども、外務省にその点で伺っておるのだけれども、受け入れるからには、相手の国々に喜ばれるような受け入れのしかたというものをしなければだめじゃないか。学生はこう言っておりますよ。日本にはわれわれ留学生を受け入れる誠意がない。このままでは好感を持とうとしても持てない。こう言っておる。こういう考え方で本国に帰られたときに、米田委員の御指摘のように、一体、経費をかけて東南アジア等から国際親善の目的で留学生を呼んでいることは全くナンセンスということになるんじゃないですか。もう少し、呼んだら呼んだ目的を達するように、経済の面でも、社会環境の面でも、国が責任を持つべきじゃないですか、その誠意というのが一体どれくらいあるかという疑いを持つんですよ。
  83. 曽野明

    政府委員(曽野明君) 先生の御指摘なさる点はまことにごもっともでございます。私たちもそういう見地から、国費留学生につきましては、予算面は文部省についておるわけでございますけれども、われわれとしましては、待遇をよくしてもらうために、昨年度の予算におきましても、新年度の予算におきましても、現実には、金銭面では待遇の改善もかなり成功したわけでございまして、たとえば先ほど申し上げましたように、ことしからは往復旅費まで政府で全部持つという予算の獲得に文部省も成功されたわけでございます。ただ、宿舎につきましては、理想を申し上げますと、国費留学生、それからそれ以外で私どものほうでお世話しております私費留学生、こういうものを合わせまして全部で二千人か三千人いるわけでございますが、これに該当します宿舎が、それぞれの彼らの希望の大学の所在地において政府の金で確保できれば、これはもう先生のお話問題点は全部解決するわけなんでございます。ところが、いままで努力はいたしておりますが、だんだん改善はされておりますが、まだ十分にはできていないような現状でございます。ことに女子学生の場合には、男子と同じ所に入れられない、そして女子宿舎のほうから、女子学生何人とるという今度はやり方をすれば、さしあたりは何とかなると思うのでございますが、しかし、募集しました結果、最近の例を見ますと、予想以上に千葉に行くものが多かったんじゃないかと思うのでございます。そこでこういった問題が起こったわけでございますが、これは文部省も同じかと思うのでございますが、やはりこれを完全にいたしますためには、先生方の御協力によりまして、宿舎の建設に伴う経費をひとつもっととれるようにしたいというふうに考えます。たとえば京都でございますが、京都は新年度の……。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 時間がないから答えだけ言ってくれればいい。
  85. 曽野明

    政府委員(曽野明君) 京都だけ申し上げます。京都は、新年度の予算におきまして、約五十室の建物をいま建てております。これは国費、私費両方入れることになると思います。京都は男子につきましてはそれで解決する。ただ、女子寮は別になるわけでございまして、これはいま京都の民間の方が婦人寮を建てようという努力をしてくださっております。逐次よくなると思いますが、まだ不完全であることは十分認めるわけでございます。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 逐次よくなるといったって、外国人を呼ぶという制度をきめておいて、住めるところを考えないというのは、先生方とおっしゃる前、にあなた方自身が、当然、予算要求をして、国の政策としてやっていることなんですから、とれる話です、筋の通ることなんですから。私は努力が不十分だと思うのです。これは文部省に伺いますが、教育会館で外側からたくさん寄付をもらっているわけです。そんなら国際親善のためなんだから、こういうようなものも国立教育会館方式で、政府が一部出して、一部寄付というような形でも何とか受け入れ態勢というものは早急に考えるべきじゃないですか。千葉大学の問題はあとで詳しく伺いますが、どう入れるかという収容する方法も考えないで、ただ呼んでしまったって、これはかえって反日感情をつのるだけですよ。日本の外務省なんか、中国の留学生をたくさん呼んで失敗しているということの御反省はないのですか。日本にきた連中が一番反日感情を強くして帰っているんです。
  87. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いろいろと御批判をいただいたわけであります。これは留学生の制度を始めまして今日までの間、受け入れ態勢につきましては、政府といたしましては、努力はしてまいったつもりでございます。必ずしもそれが十分でないということは私どもも認めざるを得ないと思います。漸次、改善してまいりたいと思うのであります。今度は千葉の問題もございますし、東京に留学生会館というのもございます。これを最初つくりましたときには、いまお話が出ておりますが、民間の御協力もいただいて、会館をつくったのであります。本年度はさらにこれを拡張していく、こういうふうなこともいたしているわけでありますが、一ぺんに解決するということはなかなか困難だと思いますけれども、われわれとしましても、できるだけ受け入れ態勢を整備していくということには、続いての努力をやってまいりたいと思っているような次第であります。そのようにひとつ御承知を願いたいと思うのであります。
  88. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ちょっと関連して。私も加瀬委員のいま質疑、究明されていることに実は同感なんでございまして、留学生の扱いについては、大学当局も文部省もなお一そうひとつ力を入れられる必要があるのじゃないかということを感じておりますものなんです。その点につきましては全く同感でありまして、なおもっとこういう点につきましては詳細に私どものほうからも質疑をしたいのでありますが、問題を千葉の問題に戻しまして、ちょっと私も最近の状況がわからないのですが、今度、女子の留学生を二人を一室に入れるような扱いになったというまでに、あそこの留学生課程に入っている留学生を、従来はどういうふうに扱っておられたのか、建物が最近に新しくできて、そこに新規に今度入れるような扱いになってこういう問題が起こったのか、ちょっとそこがわかりにくいのですが、現在の女子は十三名と聞きましたが、これはいつから入っておって、そうしてその前は一体個室に入っておったのか、あるいは二人が一緒に入っておったのか、今度初めてそういう扱いをなさったのか、そういう経過がはっきりしないので、少しそういう点を詳細に御説明願いたいと思います。
  89. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 従来は、加瀬先生もちょっとお話がございました民間に黒須というような方がございまして、そこに女子の留学生は入っておったのでございます。今回、千葉大学に女子の寮ができる、近々できることになりましたので、これは日本の女子学生のために、百二十四人収容する女子寮ができるわけでございますが、いま申しましたように、そのうち十室だけは割愛をして、そうして留学生の女子に与えようという計画でございますが、先ほども申しましたように、十三人おりますのが個室を要求しておりますので、こういう問題が生じたわけでございます。
  90. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 従来は民間といいますか、そこに入っておったようなお話ですが、実際はやはり女子留学生は別のところの、大学の施設の中の寮に入っておったようにも聞くのですが、間違いはないのですか。
  91. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 女子留学生は大学の施設には従来入っておりません。
  92. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 どうも少しその点納得しかねるのですが、従来入っておったのは、女子と男子を別にして、女子を大学の一部の施設の中に収容されておったが、しかし、その建物は非常に古くて男子の寮に比べると非常に施設が悪いので、そのことについては相当意見が出ておったやに私は聞いておるのですが、従来そういう施設に入れておらないと言われるなら、もう少しその点についてお尋ねしてみたいと思うのです。
  93. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 実は、はなはだ恐縮でございますけれども、私もまだその施設を、実は従来の施設も存じておりませんので、自信を持っていまここでお答えいたしかねますけれども、係の者から聞きますと、大学の施設には女子は入っていなかったということでございます。
  94. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 これは調査をされればわかることですから、もうこれ以上私は追及しませんが、女子の留学生の不満の一つは、あすこの新しい寮に男子ばかりを収容されて女子をお入れにならなかったということでまず不満が起こっておったのではないかと思うのです。これを今度つくった寮のうちの十室をさいて女子を入れられることになったのだろうと思うのですが、その前のときのことをもう少し調べられる必要があるのじゃないかと思うのですが、十名あるいは十三名が、いまの古い寮のようなところに入っておられたときには、個室に入っておったのか、一体どういう扱いをしておったのか、この点については私も非常に女子の留学生の扱いが不十分であったのじゃないだろうか。しかし、そのために今度新しい寮を提供して収容されることになったのだろうと思うのですが、それはけっこうなんです。そこで、女子の留学生に限って、何名かでしょうが、二人を一室に入れるとか、三名を一室に入れるというような決定をされるときに、なぜ女子留学生だけをそういうように扱われるのか。あすこに入っておる男子の連中は、これはいわゆる既得権というようなもので寮を動かすことができなかったのかもしらぬですが留学生全体について考えたときに、もし一つの部屋に二人を入れて一緒に共学さすほうがよいという考えのもとに、文部省なり大学は、女子のほうを二人を一室に入れたほうがいい、男子はみな一人一人の個室を持たせておいたほうがいい、こういうような考え方でいまのような措置をされたのか、その点を少しお聞きしてみたいと思うのですが。
  95. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 千葉大学に限って申し上げますと、外国の留学生のための寮ができましたのが昭和三十六年でございまして、それから年々これを増設してまいっております。ただ、いまの女子学生の問題でございますけれども、まあ圧倒的に男子が多いものでございますから、まず数の多い男子の寮に重点を置いて施設を拡充してきたことと思いますが、同時に、少数であっても女子の寮も必要であるということで予算の請求もしておりますけれども、申し上げますように、どうしても男子のほうが数が多いものですから、そのほうが順位が先になり、そして女子の外国人寮が今日までできなかったという経緯であろうかと存じます。したがいまして、今後の留学生の受け入れ態勢ということも十分考えなくなりませんし、大学側でもまたそういう希望を強く持っておられますので、先ほど大臣も申されましたように、今後できるだけ女子の便官をはかるために、女子だけの寮の新設も考えてまいりたい。こういうふうに考えております。
  96. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 長くなって失敬ですが、もうちょっと。この問題についてはいろいろな問題が起こっておるのです。大学だけにまかしておかれずに、もう少し文部省も内情をよくお調べにならぬと、ここに来て答弁されておっても、実は内情を知っている者から言いますと、実にもの足りないような御答弁なんです。いままで男子が数が多いから男子だけ入れておったのじゃないかと、こうおっしゃいますが、この扱い方についても、留学生の間に男女との差別をするというので相当問題が起こっておったのです。こういうような差別をして扱っており、今度また女子の中の一部の人が差別をされる、しかも、留学生は各国から来ておりまして、その差別をされた国の留学生にとってみますというと、自分の個人の問題のみならず、これはやはり国から選ばれて来ている留学生ですから、日本の女子の学生は何名入るのか知りませんが、こういう日本の女子と同じような考え方でその留学生を扱っている、千葉大学の扱う担当者がものを考えておられるというところにも、少し留学生を扱うには不十分ではないかという感じが私はいたすのであります。かつて私が聞いたときにも、留学生が悩んで、父母が遠いので、父になり母になるのは学長であり、あるいは担当の教授でありますので、そういう先生のところへ相談に行っておるのですが、そういうときに、やはり留学生が行きますときに、あるいは夜になって相談に行っておるときもあるのですが、そういう夜、留学生が心配のあまり相談に行きましたときにも、大学の扱われる先生が、夜訪問するんじゃない、来るなら昼来いといういうような扱いをされて、ほんとうに故国を離れて来ている留学生にとってみますというと、さびしい感じを持ったということを聞いているのですが、これは私はもう少し留学生に対する特別な、やはり千葉大学は大学ですから、留学生の扱いはきびしくやられることは私どもけっこうだと思いますが、もう少し特別な配慮と愛情を持って扱う大学であってほしいということを私は強く感じておるものでありまして、この機会に私の所見だけを思し上げまして、あらためてまた留学生問題については御質問いたしたいと思います。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 いま吉江委員の御指摘のとおりです。私はさっき学長の問題を出しましたが、学長が非常に当を得ていないとは思わない、あたりまえだと思う。しかし、あたりまえであっては困るのです。言語、風俗が違い、習慣が違う外国人ですから、よほどの愛情というものを持って、皆さん御存じでありましょうけれども、魯迅の書物の中に「藤野先生」というのがございますが、やはり留学生を扱うには、藤野先生ほどのあたたかみがなければ留学生は慕ってきません。その国に対して感謝の念は起こらないだろう、そういう点で、個人でなくて組み立て、組織というものをやはり文部省では考えていただかなければならないんじゃないかと思うのです。しかしながら、学校だけの問題ではございませんので、次に移りますが、留学生のこの受け入れ態勢でございますが、今度の女子の問題で、留学生協議会に千葉大側から、女子学生が多人数入学されると施設等・の関係で困るから、たくさんよこさないでくれという発言があったわけです。といいますのは、吉江さんのお話のように、男子寮といいますか、建てるという計画があったわけです。ここにも文部省なり大学側なりの考えていたただかなければならない問題があると私は思う。というのは、千葉大の学生部は、日本人の女子学生すら全員入れないのだから、女子留学生だけを特別扱いするわけにいかない、こういう見解を持っておった。しかし、男子のほうでは一人一部屋にみんな入った、しかしながら、女子のほうは、全然女子の一人一室というものを退けるわけにいかないので、十室、十部屋だけ女子用として残したわけですね、残したというか、設定をしたわけです、新しく。ですから、十人以内でないと困るからという意思表示が、千葉大側から留学生協議会に述べられている。ところが、実際はいろいろの関係で、あなたのところで引き取ってくれと十三名来た、だから、三名の問題が新しく起こったということなんですね。一体この留学生協議会で、千葉大側から述べられた、十名をこせば問題が起こるという意思表示があったのに、どうして十三名を配置をしたのか。しかも、受け入れられる態勢というのは国のほうでは一つも考えておられない。黒須さんというのがありましたから問題がなかった。黒須さんといのがいなくなれば当然問題は起こるわけだ。しかしながら、それに対する女子寮というものがさっぱり考えられておらない。それは学生のほうにも、学長の言うように、かってなところがあるかもしれませんよ。しかし、かってなところがあろうがなかろうが、外国の学生を受け入れる側としては、これは一応宿舎ぐらいは準備するのが当然ではございませんか。留学生協議会にお出になった文部省の方はどなたですか。千葉大の申し入れというのは、そういうのがあったはずですけれども、これをどうお考えになっておったのか、当時は。
  98. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) いまの協議会に文部省から出席しました者は、調査局長及び国際文化課長でございます。で、私が聞いておりますところでは、国別割り当てをいたしまして、そして、いま先生おっしゃいますように、なるべくそういう宿舎等の関係から、現段階においては女子学生は少な目にとりたいというお話があったことは事実のようでございますが、ただ、国別割り当てをいたしまして、そして先ほども申しましたような手続を経て、推薦順位をつけて向こうからまいりますと、それを順位を変えて男子をとるということは、向こうの国に対して非礼でございますし、したがって、まあそういう関係もあって、やむを得ず十三名引き受けたというような事情であったように聞いております。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 それは十三名とろうが二十名とろうがいいのですよ。だけれども、受け入れ側としては、十名以上では、宿舎の問題等で問題が起こるから困りますから御配慮願いますという申し出があったのにかかわらず、十三名を配置をしたわけです。十三名配置するからには、三名の宿舎で問題が起こらないような配慮というものが当然行なわれなければならないでしょう。これは学校の責任とばかりは言えないと思う、私は。この点です。
  100. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) その点につきましては、大学側におきましても、環境のいい民家を責任を持ってあっせんするということでございましたので、まあこういう問題に立ち至るということも想像していなかったわけでございます。
  101. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ちょっと関連でございますが。この問題はいま千葉大学で起こっておりますが、やはり全国の留学生の問題をあわせて考えなくちゃならぬかと思うのです、これは。いま留学生が——まあ千葉の留学生課程におる留学生もそうですが、今度いよいよ各大学に入学しました留学生が、東京、京都から、あるいは東北、名古屋、関西、各地におりますが、この留学生が、いま話を聞きますと、京都にはある程度の施設はいま考えておる、こういうお話なんですが、大学も相当、十幾つの大学に留学生が入っておりますが、その各地の留学生が一体どういうところに宿舎を持っておるか、寮に入っておるか。つまり、全国におる留学生はいまどういうような状態におるかということも一応説明をしていただいて、千葉の大学の問題を片づけるというか、解決されるとともに、あわせてひとつ、留学生全体の宿舎の問題はどうなっておるかということも説明していただくと非常に参考なるかと思うのです。これはいま京都だけおっしゃいましたが、そのほかの地域におる留学生は一体どこに入っておるのか、そういう点をひとつお話しいただいたらと思います。
  102. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  103. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記起こして。
  104. 加瀬完

    加瀬完君 いま委員長からのお話もございましたから、端的に結論だけ伺いますが、いま、とにかく千葉大学では、留学生の女子寮の問題で授業放棄が行なわれているわけでございます。これは直接に、もう短時日の間に解決しなきゃならない問題でもございますので伺いますが、あと三人の女子学生を、どう彼女らに満足される状態で収容するかということに問題解決の要点があるわけでございます。これは学校側だけにまかせられても、学校側としては満足な回答を与えられないという状態にございます。で、彼女らの言い分を言うと、十人はそれでいい、同国人で入れと言っても、宗教なども違っておったり何かすると 同国人がかえってまずい、そこで、プレハブ方式か何かで、あと三室だけ増築をしてくれないかということが、学部に対する要請となって出てきておるようでございます。で、どういう方法で文部省としては御解決をしていただけるのか、その点だけお示しをいただきます。
  105. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) いまプレハブ住宅というお話もございますけれども、さしあたって、役所のことでございますので、そのための予算もございません。ですが、なお、千葉大学の学長並びに大学側のお考えなり、方針もさらに伺いまして、そして大学側と協議しつつ、大学側のさらに自主性なり、あるいは指導もございますので、解決してまいりたい、検討いたしたい、かように存じます。
  106. 加瀬完

    加瀬完君 大臣に一点伺いますが、県などにも協力を願いまして、この留学生の受け入れのための法人組織としての寮といったようなものを、各留学生の多数おりますところ、特に初期の留学生教育を委託されておる大学の所在地等には設けていただければ、将来文教においてはこの問題が一つの明るい方向に解決を見るのではないかと思いますが、何か駒場にあるとか伺っておりましたが、法人組織の寮があるそうでございますね。そういう方式を各地域に必要なところにおとりいただくわけにはまいりませんか、その点どうでございますか。
  107. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 駒場にございますのが財団法人日本国際教育協会という団体でございます。そこで寮をつくって、これにつきましては先ほどちょっと申し上げましたが、民間の御協力も得て寮をつくり、その後の拡充整備については文部省援助をしておるというような姿で進んでおるわけでございます。私といたしましては、政府直接の問題もございますし、今のような団体の拡充整備というような方途も講じてまいりたい、このように存じておる次第でございます。今回の事件は、まことに何かそこに、私も実は率直に申し上げますというと、どこかに手違いがあったとか、あるいは不徹底なところがあったとかというふうなことじゃないかと思うのでございますが、この問題は千葉大学の誠意ある努力に待ちたいと思うのでありますが、今後の問題といたしましては、留学生の受け入れ態勢についてもっともっと努力してまいりたいと存じております。
  108. 中野文門

    委員長中野文門君) 本件についての本日の質疑はこれをもって終了いたします。  本日の委員会は散会いたします。   午後零時十二分散会    ————・————