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国務大臣(
灘尾弘吉君) この問題は、具体的な問題としては、いま官房長から
お答え申し上げましたとおりであると思います。ただ、学長がどういう心持ちで、どういう指導をしておるのかということになりますれば、直接聞いておりませんので、それに対する
お答えはいたしにくいと思うのであります。向こうさんの学生諸君の気持ちの問題もあろうかと思います。やはり
文部省としまして、国費をもって留学生を招いておるその
趣旨は、申すまでもなく、東南アジアその他の諸国との間のやはり友好親善ということを
考えてやっておることでありますので、来ました学生に対して不愉快な思いはさせたくない。できるだけ気持ちよく日本で学生生活を終えてもらいたい、こういう心持ちでやっておることはもちろんのことであります。ただ、郷に入っては郷に従えということもあります。留学生の諸君が何か非常に特権でもあるようなつもりでこちらにおいでになって、一々気に入らぬからそれに対してこうだ、こういうふうな態度も、これは留学生としても
考えてもらわなければならぬ点があろうかと思うのでありまして、日本のなし得る限りのことをするわけでありますから、現状においてそれが十分であるかどうかということになりますれば、これはいろいろと
考えなければなりますまい。われわれとしましても、現在、留学生の受け入れ態勢が決して完全であるとか、十分であるとかは
考えておりませんけれ
ども、しかし、いまの現状のもとにおいてなし得るだけの親切は尽くしていきたい、こういう心持ちでやっているわけであります。留学生の諸君に対しましても、いいことばかり言って日本にとにかく誘惑したと申しますか、引きつけるというようなことはいたしておらぬと思うのであります。日本の状況ということについても十分理解してもらった上で来てもらうような措置を講じておるものと私は思っているわけであります。その辺にもし
考えの行き違いがあるとするならば、これは是正しなければならぬと思うのであります。将来ともにわれわれとしましては、外国から来た留学生の諸君に対して、できるだけ愉快に快適に日本で暮らしてもらうような努力はいたしたいと存じておりますが、具体的な今の状況というものにつきましては、学校側も
考えなければならぬ点があろうかと思いますが、ただ単に部屋の問題だけでないというふうなこともあるいはあろうかと思うのでありますが、そういうふうな点につきましては、十分取り調べまして将来改善をしてまいりたいと思いますが、学生の諸君としましても、それだからすぐに授業をボイコットするような
考え方はいかがであろうか、私はかように
考えるのであります。