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1964-03-26 第46回国会 参議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     中野 文門君    理事            北畠 教真君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            豊瀬 禎一君    委員            植木 光教君            久保 勘一君            斎藤  昇君            笹森 順造君            中上川アキ君            野本 品吉君            秋山 長造君            小林  武君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    文部省調査局長 天城  勲君    文部省管理局長 杉江  清君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部大臣官房総    務課長     木田  宏君    文部省初等中等    教育局中等教育    課長      渋谷 敬三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○私立学校振興会法等の一部を改正す  る法律案内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、大臣にお尋ねしますが、私学振興につきましては、当委員会におきましても、たびたび議論をしてまいったところですが、先の荒木大臣は、端的に言いますと、私立学校は自分でつくった学校だから、てまえで経営をしていきなさいと、大体これに類したような見解をたびたび表明されてまいったのですが、私学というものに対して、大臣は、そのあり方というか、あるいは公共性というか、あるいは国との関係と申しますか、どういう見解を持っておられましょうか。
  4. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私学がその特色を発揮いたしまして、日本の学問あるいは人材の養成のために貢献してまいりましたことは、これは明らかであると思います。先ほど荒木大臣のことに言及せられましたが、従来、私学につきましては、それぞれその建学趣旨をもって、それをますます発展させるために、ひとつ、いわば伸び伸びと自由にやってもらう。国立あるいは公立大学と、政府あるいは地方団体との関係とはいささか違って、自由に伸び伸びとやってもらうというところが今日までの考え方であったかと思うのであります。ただ、現在における私学が、日本の学界並びに教育界において占めております地位というものは、かなり大きくなったと思うのであります。ことにその育成いたしております学生の数というようなことを考えますというと、大学生等の数からいいますというと、私学のほうがよほど多いのであります。したがって、私は今日の日本学術及び教育のために私学の果たしておる役割りはすこぶる大きい、こういうふうに考えます。同時に、私学実情から申しまして、その施設の拡充整備、これをはからなければならない点が多々あるように思います。また、その関係からいたしまして、私学の財政的な困難というものもだんだんと強くなってきておるのではないか。さらにその関係からいいまして、私学に学ぶ学生側負担が次第に大きくなっているように見受けられるのであります。そういうふうないろいろな実情考えましたときに、私は従来私学に対しまして、御承知のように、近年、若干の援助助成をいたしてまいりましたけれども、この程度でよろしいものかどうかということについて、われわれとしましては真剣に考えなければならない段階にあるように思うのであります。  そこで、私といたしましては、今回、法律の改正をお願い申し上げておりますが、ただこの程度にとどまるものではなく、もっと、何といいますか、従来の角度について再検討を加えまして、むしろ、この私学に学ぶ学生側立場私学問題を考えなければならないのじゃないか。こう考えますというと、現在の私立大学実情から申しまして、政府のこれに対する助成があまりにも乏しいという考え方も出してくるのじゃないかと思うのであります。そのような気持ちで実は私立大学振興についての助成等方途につきまして、あらためてひとつ検討してみたいと、こういうまあ考え方をいたしております。ことに大学生急増等の問題を控えまして、私学に果たしてもらう役割りも大きいと思います。一そうそのことを感ずる次第であります。私はその意味におきまして、当面する重要な課題といたしまして、私学振興に関する方途を再検討し、何か適切な方策を樹立いたしたいものと現在考えておるような次第であります。
  5. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 新聞におてもやん大臣と書かれた荒木さんと違って、非常に私学振興について真剣に考えておられる所見を聞いて私も賛意を表するんです。その私学の中で、いま答弁の中にありましたように、私立大学の占める位置というのは、日本教育の中でもかなり大きいのですが、義務教育学校というとらえ方をする際に、私立義務教育があることが望ましいか、それとも義務教育に関する限りは公立をたてまえとする、こういう形が望ましいか、その点についてはどういう所見でしょうか。
  6. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現在の実情から申しますというと、やはり私学といたしましては、どちらかといえば、大学という高級な学術教育機関のほうが伸びてきておるように思います。で、高等学校以下の、ことに御指摘になりました義務教育等につきましては、私学の占めておる地位は比較的小さいと思います。私はこの義務教育というようなものにつきましては、従来のように公立をもって本則とするというぐらいな考え方でもって進んでよろしいのではないかと思います。
  7. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その原則論は、同時に、私学振興という立場から見てみます際に、かりに義務教育学校だけの私立学校があるとすれば、それは助成という点から考えても、公立本則だから、平易に言いますと、援助の手を差し伸べないでよろしいんだ、こういう考えでしょうか。
  8. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 援助の手を差し伸べないと言い切ってしまうのもどうかと思いますけれども、私はやはり私学助成をするとすれば、重点義務教育学校にはない、こう申し上げてよろしいと思います。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 冒頭の答弁の中にありました、本来伸び伸びとした私学自主性といいますか、特徴といいますか、それを生かしていくことが私学一つの重要な点だろうと思いますが、幼稚園から大学まで持っている私学がございますね。小学校からのものもありますが、こういういわゆる幼児教育から大学教育まで一貫教育を続けていくという私学一つあり方については、どういう御所見でしょうか。
  10. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私はそれはそれで別に差しつかえないと思っております。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現在、私学関係の人々の不安も、また一般のこれに対する関心を持つ人の一つ問題点も、国の助成はもっと拡大さるべきである、しかし同時に、そのことによって私学に対する文部省干渉といいますか、あるいは監督と申しますか、そういう私学自主性が侵される危険がありはしないかというのが、該当者もまたこれに関心を持つ、第三者も同時に持っておると思うのですが、助成援助の拡大という問題と私学自主性ということについて再度見解をお聞きしたいと思います。
  12. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) その点が、実は私はよほど考えなければならぬ問題だと思います。私学振興のために助成を行なうといたしまして、いろいろ議論のあることと思いますけれども、いまの点がやはり一つの大きな問題ではないかと思うのであります。したがって、現在、私学人たち意見の中にも、政府からよけいな干渉がせられるぐらいなら補助金どもらえなくてもよろしいという考え方をされている向きもありますし、政府の多少の監督があっても助成がほしい、こういうふうな方たちもおられると思うのであります。なかなかこの意見は帰一しにくい点もあろうかと思います。われわれといたしましても、今後の検討問題として、これは重要な課題として研究しなければならぬと思うのであります。いま結論を申し上げるわけではございませんけれども、従来の私学に対する助成は、どちらかといえば物的な面に対する助成であったと思うのであります。しかし、いまの私学の皆さんは、運営費といいますか、あるいは人件費といいますか、そういうふうなものについて助成がほしい、こういう希望を持っておられると思うのであります。そうなってまいりますというと、やはり公金を支出する関係もございますので、はたしてほんとうに必要とせられるだけのものであるのかどうなのか、はたして一体その人的組織がそれで十分なのか、どうなのか、あるいは過ぎているのかどうなのかというようないろいろ問題があるかと思います。そういう公金支出の適正をはかってまいります上から申しますと、どうしても政府との間に、ある程度関係をつけざるを得ない、こういう問題になろうかと思うのであります。その辺が、実は非常にむずかしい問題として、今後われわれも考え、また、関係者あるいは世間の人たち意見というふうなものもわれわれは知りたいところでございますが、どちらともいま結論を出しているわけじゃございませんが、とにかくこれがやっかいな問題としてあるということは、私もよく承知いたしております。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 単に問題点であるということだけではなくして、国費を出すことですから、全く放任といいますか、そういうことは許されない問題であるだろうと思います。しかし、助成が増大する、したがって、私学の最も特徴とする運営あるいは特に教育内容といいますか、教育方針あるいは内容等について、同時に、予算と同時にそのことの、干渉ということばが悪ければ、いい意味監督といいますか、そういうことがふえてくるのは当然だというお考えでしょうか。それとも経費支出というか、使用の適否程度のことであって、たとえば人件費補助を出すという段階になっても、学校経営あるいは教育内容、こういったものについては原則として文部省はいろいろと口出しといいますか、監督指導あるいは自主性を侵すようなことはなすべきでないという基本態度でしょうか。
  14. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど申し上げましたように、私学についてのいわば建学精神と申しますか、そういうふうな問題については、あくまでも私は尊重しなければならぬ。同時にまた、教育内容等について行政当局がみだりに干渉すべきものではないということは当然のことだと思います。私学私学として認めております以上、それはやはり私学の自主的な判断においてやるべきものということは当然だと思うのであります。問題は、公金支出関係から、それに必要ないろいろな点をわれわれが調べて、そうしてこれを支出する、それが適正に使われているかどうか、主としていわば経理の面ということになろうかと思うのであります。また一面から申しますというと、私学は、あるいは授業料を取り、あるいは入学金を取るということもやっているのでありますが、そういう、現在まではいわば自由にやっているというかっこうになっておりますが、国から相当なそういう運営に必要な経費というようなものについて助成をするといたしますれば、その授業料を勝手気ままに上げてそれでよろしいものか、入学金等についても自由に引き上げてそれでよろしいものかどうか、こういう点が問題になるところじゃなかろうかと思うのであります。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私学全体の中には、必ずしも学校教育法あるいは私立学校法精神に照らして十分でない学校もなきにしもあらずと思うのです。こういう点は、こういう学校に対してはむしろ排除していくというか、ちょっとことばが悪いのですが、そういう考え方でしょうか。それとも援助をしていって、ちゃんとした学校に育成していく、そういうお考えでしょうか。
  16. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は、国の行政権でもって監督するとか、取り締まりをするとかいうふうなことは好ましいことは思っておりません。しかし、国においてお世話をします以上、やはり本来の学校設置目的に従ってしっかりやってほしいということは、これはもう当然のことであります。そういうものを、いわば不都合だからやめろということを考える前に、やはり本来の目的に従って適正にひとつ学校運営をやってほしい、これは政府として私学に対して要求し得ることじゃないかと思います。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私学大学に対する基本的なかまえについては了解できましたが、大学と同様に、幼稚園も、公立に比して私立のほうが多いことも御承知のとおりですね。この幼児教育というのも、いわゆる幼稚園保育所との関連についても、厚生省といろいろ相談なさっておるようですが、幼児教育義務教育年限関係、並びに現在、私立幼稚園に対する国としての、直接、お尋ねしたいことは、助成という問題ですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  18. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 幼児教育義務化の問題でございます。幼児教育が非常に大切だと、人間形成の上から申しましても、幼いときからしっかり育っていくことを考えなきゃならぬということは、議論のないところじゃなかろうかと思うのでございます。それだけに、われわれ文部省といたしましては、現在、幼児教育として扱っております幼稚園整備充実、物的にも、また内容的にも整備充実をはかっていかなきゃならぬと、このように考えております。これを、あるいは義務制にしたらという意見もあるわけでございます。私もまた、この幼児教育義務化という問題については、相当な関心を持っておるつもりですが、これはよほど研究しなければ、みだりに結論を出すべきじゃないと思います。また、義務制にする場合におきましても、いまの幼稚園の形態そのままを義務化するのがいいのかどうか、あるいは今日の幼児の発育の状況から考えまして、現在の小学校就学年齢を低下するというふうなことも一つ考え方じゃなかろうかと、かようにも思うのであります。これらにつきましては、まだ、私としましても結論を持っておるわけじゃございません。そういうことについて、相当関心を持ってこの問題を検討したいと、かように考えておる次第でございます。そういう義務制とか何とか申しますまでに、まず第一に考えなきゃならぬことは、幼稚園というものの普及をはかるべきじゃないかと思うのでございます。幼稚園普及をはかるということが先決であって、ある程度幼稚園にしろ、普及いたしません以上、すぐに、卒然として義務制にするということも事実不可能でございますから、まず、私は幼稚園普及をはかってまいりたいと思うのでございます。この場合に、いわゆる私立幼稚園と、あるいは今度設立せらるべき公立幼稚園との関係という問題もございます。これにつきましても、地方におきましてはいろいろ心配もし、また意見もあるようにも聞いておるわけでございます。私は、現在考えておりますことは、いまある私立幼稚園というものを、別にどうしようこうしようという考えは持っておりません。それはあるものとして、足らざるところに対しては、私立でもけっこうでありますけれども、実際問題として、法律が手を延ばすこともないじゃないかと、こういうふうに思いますので、公私立並んで進んでいくようにいたしたいと考えております。いまの私立幼稚園を押えるとか、制限するという気持はさらさらございません。私立私立として、それを拡充整備せられることもけっこうであります。それを、また押えるような形で公立幼稚園をつくる必要もないと、このように思っております。そういう関係からいたしまして、私立幼稚園につきましても、だんだんと、内容設備等に対する助成等については、政府としても考えてよろしいのじゃないか。今回の予算でも、ごくわずかでありますけれども、若干、頭を出しておるということでございますが、私は考えていい問題だと、こう思うのであります。  それから保育所との関係でございますが、これは豊瀬さんもすでに御承知いただいておると思いますが、厚生省との間でいろいろ話し合いをいたしまして、そこで、原則的にどうだとかこうだとか申しますよりも、現在の実情に即して、それぞれ設立の趣旨というものはございますけれども、私は保育所も足りないのだし、幼稚園も足りないわけであります。互いにあまり。ダブってむだすることはしないようにして、それぞれ拡充をはかっていったらよろしいのじゃないか。現段階におきましては、そうしてその保育所との間も、あるいはそれの設置者との間におきましても、互いに協調いたしまして事を進めていくように取り計らうことも実際の状況に適するのじゃないか、こう考えております。ただ保育所といたしましても、その預っております子供年齢ということからいえば、幼稚園教育しておる年齢と同じでございますから、やはり保育所の中でその幼児教育と申しますか、それについては幼稚園と同じようにやっていただきたい、こういうことを話し合いをいたして、厚生省もそういうお考えのもとに、今後、保育所整備をはかっていくということになっております。これはどちらがどうというふうに片づけるということは、少なくともいまの段階には考える必要はないのじゃないか。それぞれ手を延ばしながら、内容的には保育所幼稚園程度教育をしてもらう、こういうふうなことがいいんじゃないか、お互いに競争する必要もないじゃないか、協調して進んでいただきたい、このように考えております。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 非常に明確な答弁をいただきまして、大体わかったのですが、念を押しておきますが、現在の幼児教育の中で、私立幼稚園の占めておる位置から考えて、かりに学制を変えて幼稚園義務制にするか、あるいは大臣答弁のように義務年限を下げていくか、いずれかの方法があると思うのですが、その際を見通して、義務教育は、公立本則であるというたてまえではあるけれども、その際に現在の私立幼稚園の果たしておる役割りから考えて、必ずしも公立収容必要数だけ増大していって、私立解消方向をとるのはいまは考えておられない、このように理解してよろしいでしょうか。
  20. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) そのとおりと考えます。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この問題でもう一点尋ねておきたいのですが、保育所保育です、幼稚園教育ですと、どうも厚生省と話し合って一緒に出された通達とか、あるいは文部省計画書を見てみますと、義務化という割り切り方もきわめて単純というよりも、私ときおりは口の悪いことを言うのですが、ずさんといいますか、通り一ぺんの計画のような気がして、幼児教育、それから特に私立幼稚園等の現在のあり方、あるいはいま文部省が努力しておる公立幼稚園の増設、こういった点と幼児教育重要性という問題から考えますと、あの幼児教育一つ方針というものでは間に合わせ的な気がしますが、少なくとも文部省義務化考えらるべき課題であるという意思表示をするとすれば、幼児教育理念というものをまず明確に打ち出して、その中からいわゆる年限切り下げという方式が望ましいのか、あるいは学制を変更して小学校の下位にもう一つ幼学校とするのか、幼児学校とするのか、それはいろいろありましょうが、そういう方式でいくかというような、単に年齢の何歳で適否かという問題と同時に、学校制度の改変を進めていくか、義務年限切り下げていくか、非常に幼児教育の問題は重要であるし、ひとつの方向を見出さなければならない段階になってきておると思うのですね。こういう問題につきまして、たとえば中央教育審議会が、あるひとつの答申を出しておるのですけれども、まだあいまいだと思うのですね。このことに対して、私はアメリカでやっている三歳児を国家が健康診断をして、義務教育にあがるまでにいろいろの手当てや指導を加えていく、こういうひとつの諸外国の例から見ましても、大学教育もさることながら、幼児教育に対してもっと早く抜本的な幼児教育理念、それに対する対策、あるいは制度あり方、こういったものを文部省自体も確立しなければならない時期に来ておると思うのですね。このことに対して、いつごろそれをどうやりますかという突き詰めた問題でなくして、もう少しいま私がお尋ねした内容について、省としての方針があればそれでもよろしいし、大臣の個人的な見解をお持ちでしたら、それをもう少し明確にお答え願いたいと思います。
  22. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 幼稚園教育についての指導要領を先般定めまして、この四月一日からこれに従って、これをひとつ頭において幼稚園教育をやってもらいたいということを出しておるのであります。われわれといたしましては、この指導要領というものが生かされて、そうして幼稚園でいい教育先生方の力によって行なわれることを期待いたしておるのでありますけれども、もとよりこの種の問題につきましては、私どももこれからいろいろなお研究を必要とする点もございましょう。その実績を見ながら、常に改善を要するものについては改善をしてまいりたいという心がまえでおるわけであります。なお、幼児の問題につきましては、ある年齢に達しますれば幼稚園、こういうことに大体なってくるわけでありますが、やはりその前の幼児ということになれば、現在の所管から申しますというと、これは厚生省で御心配願うと、こういうことになってまいりますが、したがって、厚生省の施策と文部省の仕事との間におきましても密接な関連を持ってまいらなければなりません。幼児の養育という問題については、これは両省がほんとうに緊密な連絡のもとに成果をあげるようにやらなければならないものと考えておる次第でございます。それらの点につきましても十分今後留意してまいりたいと存じます。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 義務化という一つ方向を展望する中で、たとえば幼稚園は何歳程度保育所は例として具体的に出すと悪いのですが、三、四歳とか、そういう整理を将来においては当然行なうべきだと私は思うのですが、保育所保育所幼稚園幼稚園、それぞれの特色を発揮していただいておればまあよろしいでしょう。現在の工程と同時に将来の設計から考えると、そこまで考えるべきだと思うのですが、大臣のお考えいかがですか。
  24. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) なかなか専門的なお尋ねで弱るのですが、私どもとしましては、幼稚園は、間違ったら訂正してもらいますが、四歳、五歳あたりを重点にやっていくべきではないか、そうして、やはり小学校教育との間につながるものとして考えていくべきではないか、このように考えております。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最後に幼児の問題で一点だけですが、現在の幼児教育というものは、従前何といいますか、母親が主として骨肉の愛情という観点において、家庭の教育ということに重点を置いて育てられてきたのですが、これを保育所なり、あるいは幼稚園に移すということは、子供公共化といいますか、そういう観点がひとつの問題だと思うのですね。そうしていくと、やはり義務教育と同じように、国がひとつの公共的な立場で人の子を教育をしていく、こういうたてまえをとれば、当然その裏づけとして経費負担というものも、段階をとるか、一時にやるかは別問題として、考えてこなければならないと思う。そういう点から考えまして、私学振興という大網の中での、現在の保育所あるいは幼稚園、これらに対して公立をふやしていくこともけっこうですが、私立に対してもっと積極的に援助の手を差し伸べ、それによって実質幼児教育義務教育的になっていく過程を通じて、義務年限切り下げとなるか、義務制という制度化するか、とにかく幼児教育がひとつの、いま私が申し上げたようなステップを踏んで、次の段階義務化段階であろうと思う。その段階をとるためにも、現在の私立幼稚園、あるいは保育所に対しては、今度は五千万程度ですか、金額は忘れましたが、もっと財政的な援助をする過程が必要だと思うのですね、大臣のお答えをお願いします。
  26. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私立幼稚園につきましても、先ほどちょっと申しましたが、若干の助成を行なうことにいたしております。これはひとつ来年度の予算で頭を出したものと御承知を願いまして、今後また皆さんの御協力のもとに、これを拡充することに努力いたしたいと思っております。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ぼつぼつ本論に入りますが、後期中等教育というものは、六三制が発足してかなりになったのですが、当分の間は、現行の制度の中で後期中等教育を進めていこうという考えでしょうか、それともいまの六三三のあり方も検討の時期に入って、後期中等教育あり方については、あるいは理念については、再検討の段階に来ている、こういうふうにお考えでしょうか。
  28. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現在、御承知のように、文部省としましては、後期中等教育整備ということで、いろいろの機関に御検討を願っておるところであります。その結論によりまして、いろいろ考えてみたいと思うわけであります。六三三四をいま変えるとか変えないとかというような考え方を、現に文部省としては持っておりません。その御検討の結果によりまして、ひとつ考えてみたい、このように考えます。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次の質問に入る前に、三十八年六月二十四日付の文部大臣の後期中等教育拡充整備についての資料、それから、昭和三十八年十一月二十九日の臨時行政調査会第三専門部会の分科会報告書を提出してください。
  30. 杉江清

    政府委員(杉江清君) ただいま持ち合わせておりませんが、初中局長にすぐ連絡いたしまして取り寄せます。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 朝、あれだけ言って、大体三、四十分経ったのですが、まだそういう資料を取り寄せようとしていないのですか。どうもあなたのふまじめな態度について、法案審議をする意図をなくしますね。  大臣にお尋ねしますが、いま答弁されたように、前大臣の際に中央教育審議会に対して諮問が行なわれておるのですが、その後期中等教育整備拡充に対する諮問を行なわれた意図を、先ほどの答弁よりもう少し具体的に説明願いたいと思います。
  32. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 後期中等教育に相応する年齢層と申しますか、その人たちの中には現に高等学校で学んでいる人もおりますし、あるいは定時制の高等学校で学んでおる人もおり、あるいは通信教育を受けておる人もいるわけであります。そのほかに、そういったような学校形態によらないで教育を受けている人もたくさんおるわけでございます。その中には、あるいは青年学級というふうなもので学んでおる人もおりますし、中には全然そういうものと関係のない生活をしておる人もおると思います。この年齢層はやはり日本といたしましては、将来最も重要な人たちでありますので、これらの人々に対して教育というものをどういうふうに今後やっていったらよろしいだろうかというので、すべての現在の学校教育、あるいは社会教育それにはまっておらない人たち全体に対しまして、こういう年齢層に対する教育という問題はいかにあるべきかということで、私はそのような諮問がなされたものと承知いたしております。
  33. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  34. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  35. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 初中局がこないんで、これは初中局の所管じゃないかと思うんですが。法案を担当している責任部局ですから、後期中等教育適齢者の全日制、定時制、通信、各種学校、青年学級、企業内訓練等、一応この五つに類別しているんですが、それぞれに就学といいますか、している数を言ってください。
  36. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まことに相済みませんが、後期中等教育関係のことを直接所管いたしておりません関係もありまして、そのような資料をただいま用意いたしておりませんので、さっそく連絡して取り寄せることにいたします。
  37. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 各種学校が後期中等教育の中でどういう位置をしめるべきかは、初中局の問題でしょうが、少なくとも、これに対して助成措置をやるという法案の担当部局としては、全体に対する該当者数というものを把握しないで、自分の所管の数だけわかっておればやれるという、そういう考え方教育というものを見ておっては問題があると思うんです。
  38. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 各種学校の現況については、相当詳細に把握しているつもりでございます。全体の数もおよその概念を持っておりますが、詳細な数字として申し上げるには資料を通じて申し上げたほうがよろしいかと思います。
  39. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 きょう配付されました三十八年五月一日付現在の私立各種学校府県別設置者数ですか、これの法人、準法人、その他が出ておりますが、生徒数がわかりますか、各県別に。
  40. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 生徒数は、私のほうで現在のところ把握しておりません。
  41. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この法律案によって恩典を受ける学校数、生徒数は。
  42. 杉江清

    政府委員(杉江清君) この法律の対象といたします学校につきましては、政令、省令でその範囲を具体的にしぼってまいります。一口に言いますと、各種学校のうち、理工系、医療系も含みますが、広い意味における理科、工科関係のものを含みます。そうして、その中でも省令で、授業時数とか、修業年限とか、入学資格、卒業のさせ方等について一定の条件を設けまして、それに該当するものを対象といたします。ところで、具体的にどのような学校が含まれるかということについては、私のところで資料は用意しておりますが、これは実際にはもっと詳細な調査をいたさなければ的確にそれはつかめませんから、一応私どもは三十七校がその対象になる、しかし、その中でなお現実に融資の対象になるのは、いわゆる施設の不足の学校が申請してまいると思います。そういうものをこの中から一応私どもの手持ちの資料で検討いたしますと、ほぼ十六校が予定されます。なお、その対象になる学校の生徒数までは、現在のところ把握いたしかねておる状況でございます。
  43. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ちょっと大臣に対していやみを言うことになりますが、政令で定めるというときにはあり得ることではあるんですが、法律が通って政令できめるんですから、そのときに検討するんですということでは、私は法律を出した意味がないと思うのですね。少なくともこの法律を出そうとすれば、どこに補助をして、幾らそれが要るんだという計算が出て、法律が後に出てくるんですからね。そのために制度としては法律ができてから、それが新たに一つの体系を打ち出していくんですけれども予算要求という形から法律、立法という、法律の意図するところはどの程度学校に適用するかということが先でなければならないと思うのです。その資料も出さぬということになると、ちょっと困りますな。三十七校の名称、設置者、それからその後の施設不足のもの十六校というのはいまそこにありますか、資料。
  44. 杉江清

    政府委員(杉江清君) ございます。学校名については一応私のほうの資料としては用意してございますが、ただ、これは今後実際の法の適用にあたっては動く場合も想定されますので、資料として差し上げることはいたしませんでしたが、ここに用意してございますので、あるいはメモ式にして差し上げることはいますぐにもできることでございます。
  45. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 予算は幾らですか。
  46. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 一応融資総額は五千二百万と予定いたしてございます。
  47. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 五千二百万を算定する基礎数字として、学校がちゃんと事前にあるはずですね。その理工系をとったことの可否、それからその設備不足の判断の根拠、こういうものが必要ですから出してください。  大臣にお尋ねいたしますが、この改正案を見てみますと、新たに職業に必要な技術の教授を目的とする各種学校、こういう書き方をしてありますね。この職業に必要な技術の教授を目的とする各種学校と限定された理由は何ですか。
  48. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 私から最初に事務的に御説明申し上げたいと思います。お手元に各種学校の概況という資料が差し上げてありますが、この中に、課程等の種類の中にいろいろなものがあげてあります。まず、この課程等の種類の一番下にあります補習学校とか、外人学校、これはここに言う職業技術を目的とするもの、こういう範疇から省かれます。なお、この中には単なる趣味、娯楽のための教育を行なっておるものもございます。そういうものも省かれます。したがって、この中で、いまのような職業技術ということで厳密な区別はいたしておりませんけれども、おおむね家庭技芸、技術系、事務系等が職業技術の習得を目的としておるものに多く該当いたします。ただし、この中にも、単なる趣味、娯楽のものも含まれておりますが、おおむねこれらのものが職業技術を目的としている、そういうふうに考えてよろしいと考えております。
  49. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 全く私の質問意図と食い違ったことを答えていますので、もう一度質問し直したほうが大臣の御答弁がしやすいと思うのです。後期中等教育拡充という諮問の中にある意図というものは、単にいわゆる学校教育法の適用を受ける学校も含んでおりますれども、各種学校に学ぶ者、あるいはその他職業訓練あるいは青年学級等、いろいろな形で後期中等教育という範疇の中に入れて諮問されておるものであるし、当然しかるべきと思うのですね。その後期中等教育の課程を通じてつくり上げていく人間像を描こうとしてあるこの中で、特に今回の助成措置を職業に必要な技術の教授を目的とする学校という限定をされた意図ですね。私とすればもっと範囲を広げて、いわゆる諮問の意図をそのまま進めていくとすれば、こういう限定の仕方のほうが、諮問のされた意図をむしろ狭めてきておるものだと、こう思うのですが、なぜこれだけを特定されたか。
  50. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 後期中等教育整備充実の問題で、その結論によりまして、またいろいろ考えなければならぬものもあろうかと思いますが、今回のこの法律案は、私学振興会を通じて、従来助成の対象となっていなかった各種学校について、振興会の手を通じまして援助していこうという考え方でございます。それ以外の問題につきましては、また今後検討に待たなければならぬと思いますが、ただいまのところは、各種学校を取り上げて振興をはかっていこうというわけであります。その各種学校の中にも、申すまでもなく千差万別でございます。数から申しましても非常にたくさんの数に上っておるのでありますし、同時にまた、先ほど局長が申しましたが、その中には、まあいわば個人的な修養といいますか、個人的な教養を身につけていく、こういうふうなものも少なからずあるわけでございます。この場合といたしまして、私学振興会を通じて何らかの援助をするということなどにつきまして、まず私ども考えなけばならぬと思いますことは、各種学校の果たしておる役割の中で、特に国家的社会的に大事な役割を果たしておる、このように考えるものをまず一つ選んで、これに対して援助をしていこう、こういうことから、職業に必要な教育を行なっておる私立の各種学校を選んだわけです。これらの人たちは、現に相当な組織、相当な規模をもって各種学校で学び、また、社会的にも大きな役割を果たしておる人たちであると思うのであります。特に重要な部面と考えられるものからこの道を開いていく、このようにひとつ御了承いただきたいと思います。
  51. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 多分そういう意図だろうと思うのですが、やはり予算委員会で、私が池田総理に質問した人つくりのねらいというのが、どうもエンジニアやテクニシャンの養成という、いわゆる生産向上というところに重点が置かれて、少なくとも六月二十四日、中教審に諮問された後期中等教育拡充整備の構想の中で期待される人間像、このことが学校教育法教育基本法にうたわれるところの広い意味の、そして憲法が求めておる人間像でなくて、池田さんがときおりプライベートの席上で言っておる、あるパーセンテージはホワイト・カラー、あるパーセンテージはエンジニア、こういう何と申しますか、人的能力部会の答申したナンバー・ポリシー、これに対応する一つの措置として、いま大臣が国家社会的に貢献しておるという部門分けをしておられるところに、学校教育という立場から、あるいは人間形成を担当しておる文部省という立場からすると問題があると思うのです。原則としては、各種学校の法人あるいは準法人その他に類するものをどこまで入れるかは、きわめて厳格なというか、一つの基準が要りましょうけれども、少なくとも普通の学校教育のワク外にあって、しかも、いろいろなそれがお茶であるか、お謡であるか、あるいは花嫁修業であるか、いずれかを問わず、中教審に答申された人間像の形成に役立っているという観点に立てば、原則としては援助の手を伸べて、成人になる前の後期中等教育に該当する青少年の育成に国が進んで手を差し伸べていくべきだと思うのですが、将来ともに、こういう限定のしかたで進まれるつもりですか。
  52. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 将来のことをいま画然たることを申し上げることは困難でございまして、ただ、いわゆる人づくりと申しましても、いろいろ私はその内容があると思うのでありまして、そのある部面に対して国が援助するということをもって直ちにそれだけを人づくりとして国が推進しておる、こういうふうにはお考えいただかないでもよろしいではないか、このように思います。限られた財源の中からいろいろなことをやっていくわけでありますから、したがって、今回、私立学校の今までやっていなかった各種学校に対する私学振興会の援助というふうな問題につきましても、資金的な面からもおのずから制約のあることでございます。新しくそういうものを一つのワクとして取り入れることにしましたわけでございますが、どれだけが政府の人つくり政策というふうにはひとつお考え願わないで、やはり必要に応じて適当と認めるものを政府は資金的に援助するのである。資金的に援助をしないからといって、それが重要でないと一がいに言い切れるものでもありません。まあ実情に即して、現在の段階におきましては、まずこの辺を取り上げるのが適当ではないか、このように考えましてこの措置を講じたわけでございます。それがすべての後期中等教育相当の年齢層に対する施策であるというふうにはひとつおとりにならぬようにお願いをしたい。
  53. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いま大臣が言われたように、私も政府の政策を理解したいと思っているのですが、やはり高専にしろ、理工系に対するここ数年一貫した援助の具体的な方法を見ましても、同法案の求めておるところを見ましても、技術あるいは生産に直接役立つものがより国家的社会的に貢献しておるという理念が、池田内閣の人つくり政策をぴしっと貫いておるものだと思うのですよ。その理念の中でいろいろな施策が行なわれてきておる、こういう気がするのですが、端的にお答えいたしまして、いわゆる一般教養的な人つくり機関あるいは学校教育といいますか、あるいは各種学校、そういうものと、いわゆる理工系というか、技術を直接提供することを目的として養成されておる諸機関、この二つをとってみると、後者のほうがより国家的社会的に貢献度が高いと、こういう判断があるのじゃないですか。
  54. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 国家社会に貢献するということにも私はいろいろあろうと思います。また、それに対する援助のしかた等につきましてもいろいろ考えられる問題ではないかと思います。われわれ教育関係する者といたしましては、何よりもまずりっぱな人間をつくりたいということにあるわけでございます。それはもう重いとか軽いとかという問題ではないと思うのでありまして、りっぱな人をつくり上げるということが、何と申しましても教育の本旨であると思いますけれども、しかし、現実に国家社会がいま何を、どういう人を必要としているかというふうなことを考えましたときには、何と申ましても産業経済の発展あるいは社会の発展の上において、職業の上で大きな役割を果たし得る人をつくるということもきわめて大事なことであります。そういうものに対して、国が資金の援助をするということが、直ちに人間形成に必要な方面のことをおろそかにしているとか何とかということじゃないと私は思うのです。国がすべてのことを全部やり得れば、これはもちろん問題はないわけでありますけれども、なかなかそうもいかないし、同時にまた、それをやらないからといって、それを粗末にしているというふうには私はならぬと思うのでありまして、今日の場合としまして、各種学校の中にもいろいろございます。また御承知のように、各種学校はいろいろな形態があるわけであります。それを一がいにみな否定するわけじゃもちろんありません。それぞれ堅実に発展を遂げてほしいと、こう思いますけれども、いま国が金を出して、あるいは私学振興会を通じて援助するのに、どういうものからまずやるかということを考えましたときには、やはりおのずからそこに限定を生じてくると思うのでありまして、そういうふうにひとつ御了解をいただきたいと思うのであります。
  55. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣考え方は、賛否は別にして大体わかりましたが、理工系の才能を持っておる青少年に不良児が少なく、そうでない者に不良児が多いというようなとっぴな言い方はしませんが、やはり産業界がエンジニア、テクニシァンを求めていることは事実です。そのことを、即国家社会の最も要求度の高いものであるという判断を行なうこと、これがそうでない青少年に、有形無形に与える心証というものはきわめて大きいと思うのです。このことが、いろんな国の施策の中で、理工系というか、技術の養成というか、教育は生産向上の最も効率高い投資であるという理念の横行が、何かそうでない青少年に対して、自分たちは置き忘れられた存在であるという考え方を与えているし、また具体的な施策を見てみると、高専における教科課程を見てもおわかりのように、一般教養は大幅にカットされている、そして、技術技術と詰め込み教育が行なわれておる、こういう、放置したくはないけれども、具体的な予算の裏づけ、あるいは施策として放置されていっているということは、これは青少年をどう国が大切にしていくかという観点と、それぞれ能力に応じてひとしく教育を受け、社会の恩恵を受ける権利を持っておるという、平常等の原則からも問題であるし、特に私が、この法案も、百のうちの一つ、十のうちの一つと見るかは別として、この法案の傾向から危倶を持つことは、いま言ったように、技術養成が最も国家社会の要求度の高いものであるという、技術偏重の考え方が、通産省や科学技術庁やその他に、ある程度あるということはやむを得ないことでしょうけれども文部省自体が、その課題にこたえて、下請機関というか、ことばは悪いですが、各種学校、あるいはその他を含めて、教育という場所を借りて遂行しようとしておるという危惧を持つのです。これに対して大臣の、これが私の全く杞憂であるかどうか、見解を承りたいと思います。
  56. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私からお答えすれば、全くの杞憂であるとお答えせざるを得ないのです。そういう心持ちでやっているわけではございません。ただ、各種学校というのは、御承知のように、大多数のものは、いわば、きわめて自由につくり、自由に経営しておるものであります。その中には、千差万別いろいろのものがあるわけです。また、いわゆる学校的な意味におきましても、充実したものもあれば、まだまだ未開発の段階にあるというふうなものもあるわけです。それらがすべて全部でございますまいけれども、いわゆる人間形成のそれぞれの面について役立っておるということはもちろん認めざるを得ない、またそうありたいと思うのであります。そういうふうなことでありますから、どの各種学校といえども程度の差こそあれ、いろいろ役には立っておる、また、せっかくやられるなら、内容の充実したものをしっかりやってほしいという気持ちはございます。ございますけれども、それを全部一体援助の対象にしなければならぬものかということになれば、私はおのずから考え方も出てくると思います。それぞれ重要な役割りを持っておるということは否定いたしません。そういうもの全体について、常に国が援助でもしなければならぬのかということになれば、やはり一面におきましては、その対象となる施設そのものを、もっともっと整備を必要とする観点もございましょうし、同時にまた、しいて国から直接間接に援助しなくても、御自由にひとつやっておっていただいたらいいのではないかというものもあろうと思います。そういうことで、今回のねらっております点が、広いか狭いか、これは御意見があろうと思いますけれども、私どもは、やはり国が直接間接に資金的な援助でもしようというものについては、これに相当するものを選んでやっていくということが、国としても考えなければならぬ問題だと思うのであります。そのような観点から、今回はこの法律におきまして、いまの職業に必要な教育をするところ、そういうところを選んだ、これが直ちに、そういうことばかり偏重しているんだというふうにはならない、援助のしかた、あるいはそれに対処するしかたはいろいろあろうと思います。私学振興会を通じて援助する面だけをおとらえになって、これを偏重しておるというふうにはお考えいただきたくない、杞憂であると申し上げたいのであります。
  57. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 くどいようですが、各種学校にどこまでワクを広げるかという論点から展開していくならば、今回の措置も一つの合理的なやり方でしょう、私はそういう角度から言っているのではない、いま私が言っているのは、私学援助の手を伸べるという角度から見ると、大臣は、まず大学急増等から考えて、まだ十数万の入学金が要る、国立、公立に比べると比較にならないほどの教育費が要っておりますね。これは私学自体の経営難を物語っていると思います。そうして、現在の入試制度、あるいは入試制度の影響を受けた学校教育にどういう波紋が生じているかは、大臣承知のとおりですね、そういう全体の私学をどう見るかという角度の中から見ていって、この各種学校の職業に必要な技術の教授に対して、これこれするという特殊な措置が、大学院、大学、あるいは高専、工業教員の養成、あるいは工業学校に対する援助金の拡大とか、補助費のワクの広げ方とか、いろいろ一貫して見ると、あるいはそれを人的能力部会の答申、あるいはそれを受けた教育白書、これは一つの試案であるというおぞましい言い方をしながら、実際に意図しているものを出しておる教育白書、教育投資論に基づいた教育白書、これをずっと、私はこの一つを指摘するのではなくて、全体のいまの文教政策の流れを見ていくと、やはり技術を最も国が必要としているんだという判断、そのことが、さらに技術偏重に拍車をかけ、いま国で、社会のすべての人が、最も求めておる人間像というものに対する国の施策が薄くなっておる、私はそれだけが池田内閣の文教政策と、へんぱな言い方はしません。他も考えておられるだろうけれども、そこに偏重し過ぎておる、そういうことがやはり政府の手によって進められる際には、たとえば、青少年に与える影響としては、それがいま求められている人間であろう、こういう観点から、いろんな問題も起こってくるのではなかろうか。こういうことを進められることはけっこうなことですけれども、同時に、中教審に答申を求めておられる後期中等教育に該当する人間像というものはかくあるべきだと、結論を急がれることがまずもって大切なことではなかろうかと思います。そうして、そのことが出てきた場合には、たとえば、企業内訓練に従事している者に対して、どういう人間として、潤い、あるいは教養を高めていくような政策を国が手を差し伸べてやるか、あるいは青年の家、その他ありますね、ああいうものを増設していって、そこに経営者、あるいは国と折半の負担によって、ある一定期間、そこでいろんな人間向上の行事を持っていくとか、こういうことも私は決して産業界という形で直接的には出てきていないと思うけれども、国あるいは社会全体の最も強く求めている人間像であるし、単に教育という問題でなくして、国家と人間との関係という大きな問題からとらえても、日本全体の一つの大きな課題であろうと思うのですよ。こういう政策に対する努力が少なさ過ぎて、技術養成があまりに先行し過ぎておる、そこに文教政策の、あるいは池田内閣の人つくり政策のひずみがありはしないかということを危惧するわけです。これは決して私の杞憂ではないと思うのですね。このことに対して大臣としては、かりに池田内閣の政策がどうであるかないかという答弁ではなくして、文部大臣としては、私がいま憂えていることに対してもっと努力をしていただきたい、少なくともこれが五・五が正しいか、六・四が正しいかということは軽々に結論が出ないと思います。あまりに一方に片寄り過ぎていないかということを憂えるわけです。したがって、私の期待している方面に対する、私学、あるいは社会、あるいは全般に対して、もっと国として責任を持ち、施策の拡充をはかるように努力していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  58. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お尋ねの御趣旨につきましては何の異存もございません。機械のような人間をつくっていくのが決して一国の繁栄あるいは社会の発展のためにいいことではないと思います。やはりりっぱな人間性を持った、そうして職業上必要ないろいろのものを身につけた人をつくるということが大事だと思います。その意味におきまして、人間的な面を大いに強調し、また大いに施策を講ずべきだというお考えにつきましては、私も何の異存もございません。これはおそらく人間としましては一生を通じての問題でもあるのではなかろうかと思うわけです。国としてもその方面のことを強調し、同時にそれぞれの人がやはり自分をよくしていくことについての努力をしてもらわなければならぬと思うわけであります。国民全体が最高の学府を出るわけでもございません。中学校を終えたらすぐ社会に出る人もおるし、また各種学校を出て社会に出る人もおる、あるいは高等学校を出て社会に出る人もおるわけです。その教養の程度ということになりますと、いろいろ個人的に違ってくるわけでありますから、少なくとも教育機関なら教育機関を通じて努力をする、さらにまた社会に出れば御本人も一生懸命努力するでしょうし、また企業もそれに協力するというのもありまして、いろいろな便宜を与えるということも、これは当然考えなければならぬと思うのでございまして、私は現在の日本といたしまして、産業経済を大いに発展させるために、その方面の人材を多分に必要としておる事態はこれは無視するわけではございません。文部省としても、このためにいろいろ施策を講じてまいっておることは事実でございます。また、予算がその方面に相当傾斜的に使われておるということもこれも事実でございます。そのことを私は決していなむものではございませんけれども、同時に、人間形成についての文部省の努力をもっとやれという御意見につきましては、何ら私はあらがうところはない、われわれとしましても、大いに努力しなければなりませんし、同時にまた、国民全体がやはりその心持ちを持って修養につとめてもらう、自分で自分をつくっていくことについての努力もぜひお願いしたい。また、政府としてなし得るこれに対する便益の供与というようなことについても、施策として大いに考えてまいらなければならぬものと思っております。これは御激励のおことばと承りまして、しっかりやりたいと思います。
  59. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ひとつおことばのとおりしっかりやっていただきたいと思います。  昨年の予算委員会におきまして、私、当時、荒木大臣、大橋労働大臣に対しまして次のことを質問したのです。すなわち、いま大臣が指摘された、中学を出て生産に従事しておる青少年に対する国の施策ですね、たとえば、アメリカのように工場に通いながら、イギリスのように工場に通いながら、一定期間給与をやって学校教育的なことを受けさせておるという制度もありますね。これに対して大橋労働大臣は、日本もすでにそのことを検討すべき段階にきておると、こういう答弁をしておるのですが、荒木大臣は例の調子で、それを企業内訓練というとらえ方をしたのですが、私は企業内訓練も問題があると思いますが、本法案とは直接関係がございませんので深く立ち入りませんが、やはり各種学校のこの施策と同時に、勤労青少年がこれらの各種学校にも行けるような措置といいますか、そうして、それが生産に時間的に若干支障を与えるとすれば、施策としては、その補償を国がやっていくとか、いろいろの方法があると思うのですが、こういうことも同時に考究していくべき課題であると思うのですが、どうお考えでしょうか。
  60. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 実社会において、すでに職業に従事して働いておる人たちに、いかなる方法でもってさらに教育をやっていくかということが、私は後期中等教育整備一つ課題だと思います。その中に、いまお話しになりましたように、企業の経営者が、そこで勤労しておる青少年に対していかなる協力を行なうか、どの程度の協力ができるかというようなことは、これは具体的に検討しなければならぬ問題だと思いますが、私はいろいろ程度その他の問題はございましょうが、大体いま豊瀬委員のお話しになりましたお考え方についきましては、私も何の異存もございません。できるだけ若い人たちの、ことに教養という問題については、使用者側においても十分な理解をもって協力してもらいたいという気持は十分持っております。これをいかにして具体化するかという問題がわれわれの検討課題である、このように存じております。
  61. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことは労働行政というとらえ方だけでなくして、いま大臣答弁されたように、後期中等教育をどう全体の青少年に受益させるかという観点から、企業内訓練に依存するという考え、そこでという考え方でなくして、やはり文教政策としては、できるだけ学校教育、各種学校も含めて学校教育の恩恵が受けられるような措置をやっていくべき課題だと思うのです。このことも遠い将来の夢としてでなくて、あなたが先ほど言われた生産技術の向上というこの課題にこたえるためにも、人間の資質というものが、技術偏重よりも、同時に進められていったほうがより生産に貢献し得るという角度からも、文部省としては勤労青少年にどう学校教育の恩恵を受けさせるかということも、中教審ご答申が出てくるかどうかわかりませんけれども、出るような努力もしていただきたいし、また、文部省としても同時に検討し、できるだけ早く結論を出すべき課題だと思うのですが、御所見はいかがでしょうか。
  62. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お考え方向につきましては、先ほど申しましたように、私もそのようなことはもちろん思っています。十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  63. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  65. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 後期中等教育をどの範囲内で見るかということについてもいろいろ問題がありますが、文部省のこの資料によりますと、各教育機関在籍者の中で十五歳から十七歳の年齢層の在籍者の占める割合で計算したという資料が出ていますが、この中で、いまもらったので全体の判断ができにくいんですが、ここ二、三年間の傾向について私がただしたいのは、全日、定時あるいは各種学校に入っておる者が数的にどういう移動をしているかということを知りたいのです。これ非常にこまかい資料ですから、見ておるとひまが要りますので、簡単にこの十九ページの資料を説明してください。
  66. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  68. 渋谷敬三

    説明員(渋谷敬三君) 全般的な傾向といたしまして、全日制の高等学校へ進学いたします者がこの数年ずっとふえております。定時制の高等学校におきましては、夜間の定時制へ進学する者はずっと横ばいの状態でございます。昼間の定時制へ進学する者は年々減っております。それから高等学校の通信教育の課程へ進みます者が年々ふえております。高等学校関係につきましては大体このようなことでありますが、青年学級につきましては年々生徒が減っておるわけです。しかしながら、しっかりした学級になっておると、こういう傾向にございます。職業訓練所につきましては、ずっと数年横ばいの状態でございましたが、去年あたりからふえる傾向になってきておると存じております。各種学校に学ぶ者も年々ふえる傾向にあるようでございます。大体大まかな傾向はそういうところであります。なお、高等学校の全日制、定時制も含めましての進学率が、昭和二十五年が四〇%ちょっとでございましたが、昨年度は六七%ぐらいにふえております。こういうことでございます。
  69. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 各種学校に学んでおる生徒総数は百三十七万ですか。
  70. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 約総数としては百三十七万でございます。
  71. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これは該当年齢者の何%くらいになっておるのですか。
  72. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 後期中等教育年齢該当者は四十万でございますから、各種学校にいる者の全体に対して占める率は七・四%でございます。後期中等教育の該当年齢者としてはですね。
  73. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 百三十七万に対して、総数は。
  74. 渋谷敬三

    説明員(渋谷敬三君) 各種学校は年輩の人が行っておるものがかなりございまして百三十七万ございます。このうち後期中等教育期該当年齢層といいますか、それが四十万一千人でございますが、後期中等教育期該当年齢層のうち、その四十万一千人の占める割合が大体七・四%と、こういうことでございます。
  75. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでよくわかりました。  先ほど私が指摘した、昨年十一月二十九日付の臨時行政調査会第三専門部会の報告がいま配付されましたが、この一つの報告と、昨年から続けられておる中教審における後期中等教育議論内容といいますか、それは大体大まかに言って傾向が同じでしょうか。相互が関係して話し合いをしているかどうかということじゃなくて、内容的には無関係でしょうか。
  76. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 中教審に対して各種学校問題は私からいろいろ御説明いたして審議をお願いいたしました。今後の後期中等教育あり方の具体案については、まだ方向は出ておりません。ただ、後期中等教育の問題を考えるにあたって、各種学校の問題に十分注意し、このあり方改善をもくろんで、後期中等教育の問題を考える必要がある、こういう点ではそういうふうな御意見が多く出ておりました。その際、私はこの答申の要領も十分御説明し、御報告申し上げております。
  77. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 中教審の論議している内容については、所管は管理局ですか。
  78. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 調査局が一応窓口になっておりますが、関係事項についてはそれぞれの局が御説明申し上げておるわけでございます。
  79. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この諮問事項に対して今日まで何回ぐらい会談を開いておりますか、大まかでいいです。
  80. 渋谷敬三

    説明員(渋谷敬三君) 昨年の六月に大臣から諮問がございまして、それから総会を三回開きました。それから秋に入りまして、人間像のほうの問題と、後期中等教育あり方の問題につきまして、それぞれ第十九特別委員会、第二十特別委員会に分かれまして、特別委員会が九月から、それぞれ毎月一回づつ開催されております状況でございます。
  81. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 検討すべき問題点というのが二つあげられて、それぞれ内容があるのですが、第一の問題点については、おもな論議の傾向はどういうところにありますか。期待される人間像。
  82. 渋谷敬三

    説明員(渋谷敬三君) 期待される人間像のほうの問題につきましては、秋、特別委員会に入りましてから、しばらくの間は、教育基本法制定の経緯その他あるいは戦後の学校における道徳教育の問題、そういったような関連する問題につきまして、文部省側からいろいろ御説明いたしまして、それから昨年の十二月ごろから各それぞれの特別委員会委員の方々が、委員としてお考えになります期待される人間像につきましての各委員としての考えが述べられております。その中身につきましては、非常にそれぞれの先生方から、非常に広い視野のもとにいろいろな角度からの広般な御意見が現在まで述べられております。
  83. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、この答申はいつごろに期待しておられますか。
  84. 木田宏

    説明員(木田宏君) ちょっと私から。答申のことでございますけれども、中教審の委員の方々からは、いずれも大切な問題であるから、あまり時期の制約なしに、ひとつじっくりと検討さしてほしいという御要望が出ておることを伺っておるわけでございます。しかし、私どもといたしては、第一の問題につきましても、今年の秋ぐらいには何がしか一つ方向をお示し願えぬだろうかというような希望を申し上げておる段階と私は承知いたしております。ですから、いつまでにどうというスケジュールが現在の段階で明確にきまったというふうにはまだ承知いたしておりません。  あとの第二段の後期中等教育の問題につきましても、これもただいま豊瀬委員からいろいろと御指摘がございましたように、関連する事項が非常に広いものでございますから、これまでいろいろな関係者からの意見説明、そうしたものをずっと聴取をしてこられておるという段階でございまして、これからだんだんと中教審の委員としての取りまとめの段階に進んでいく時期にはきておりますけれども、いつまでにどうというようなめどがまだきまったようには伺っておらないのが現在の状況でございます。
  85. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういう答弁を求めておるのではないのです。大臣が先ほどずっと経過を通していろいろの見解を出されておりますが、私、いつどの時期にというせっかちな質問をしてこなかったし、また、しても即答はできない問題だと思うのですが、大臣としては、諮問されておる諸事項について、時期的な期待があってしかるべきだと思うのですね。それをたとえばことしの六月に求めておるとか、そういうことではなくて、やはり多少誇張すれば、一日もゆるがせにできない急を要する課題であろうと思うのです。大臣のこの時期的な一つの期待に対してお答え願いたい。
  86. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この諮問は、いつまでに出していただきたいというような形で御諮問申し上げておらないのでございます。しかし、それぞれ重要な課題でありますだけに、自分から言えば、なるべく早く出していただきたいという気持ちもあるわけでございます。私としましては、その結論をなるべく早くちょうだいして、そうして、ひとつ政府としていろいろ考えてみたい、こういうことでありますから、できるだけ早くと思いますけれども、あまりまたせっつくわけにもまいりませんが、できれば私は来年度予算等の場合に検討ができるような状態であれば望ましいとは思いますけれども、いま何月までにというようなことを申し上げることも実はいかがかと思っておりまして、その御審議を横から見ていると言ってははなはだ語弊がありますけれども、推移を見守っておる、こういう状況でございます。
  87. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 配付された資料は、私の持っておる資料から見ると、きわめてこうほんのちょっぴり出しているが、なぜ後期中等教育拡充整備についての趣旨説明やその他は配らなかったのですか。この中にはかなり具体的に出ているのですよ、第一はこれこれ、第二はこれこれと。あなた方が配った資料には、理由と問題点だけぽつんと書いて……。
  88. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  89. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  90. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ちょっとお尋ねしますが、問題点の二のほうに、目的あるいは内容あるいは形態、制度というのがありますね。この討議の中、あるいは第一の討議の中で、各種学校の今回の、職業に必要な技術教育目的とする各種学校に対する手当、この問題がいずれかの特別委員会の中で、あるいは全体会議の中で討議されたことがありますか。
  91. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 各種学校の問題について私から申し上げます。先ほど申し上げましたような観点から、各種学校の全貌をまず十分承知したいということで、そういう御注文がありましたので、お手元に差し上げてあります「各種学校の概況」、これに即しましてその実態を十分御説明申し上げ、そしてまた臨時行政調査会からの答申についても十分御説明申し上げたわけでございます。そういう段階で、それ以上に、職業技術等の習得を目的とするものというような観点にしぼっての御議論はまだないのであります。
  92. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、この諮問の内容からいたしましても、各種学校の中で今回のこの部門だけ取り上げて手当てをしていくということは、後期中等教育の全般にわたり、各種学校あり方というものの結論が出て後に、あるいは大臣が昭和四十年に期待されておっても昭和四十一年に出るかもしれませんが、その総合的な後期中等教育理念、具体的な目的、性格あるいは内容、方法、形態、教育制度位置、こういったことを諮問してあるのですから、それが出た後に、その中で各種学校の中でどれを大臣が先ほど答えられた必要性の中で取り上げていくか、これが当然好ましいすべり方だと思うのですが、その結論の中で、局長説明してあとは論議もあってない。そういう中でこれだけを立法化してくるというのは、やはり当初の私の危惧というものが、文教政策全般に対する構想なきままに、世論あるいは社会の要請という形の中でぽつんぽつんと飛び出しているというきらいを持つのですね。何がゆえに中教審の答申を待ってこのことをされなかったか、検討されておればお答え願いたいと思います。
  93. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 前にちょっと従来の経過と、そしてこのような法律をつくる趣旨について事務的に御説明申し上げたいと思います。実は私立学校に対する助成の有力なものとして、私立学校振興会からの貸し付けの制度があるわけでありまして、これが最も包括的な私立学校に対する助成方法に現在なっておるわけでございます。ところで、この私立学校に対する貸し付けの対象は、これは条文で学校法人ということに限定されておりまして、各種学校はその対象になっておりませんでした。そこで、これは前から各種学校にも、非常に社会的に有用な機能を果たしておるのですから、国は少なくとも融資の対象にはしてくれ、こういう要求が長年にわたって続けられてきたのであります。そこで、そういう観点から私どもその助成の具体的な方法について団体等とも話し合いを続け、どのようにすべきかについて検討してまいったのでありますが、そういう観点から、まず最も公共性の強いと考えられるいわゆる学校法人立の問題、それから先ほど大臣から御説明のありましたようないわゆる……。
  94. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そんな答弁必要ない。そんなことを聞いているのじゃない。
  95. 杉江清

    政府委員(杉江清君) そういった設備等について十分金のかかるもの、いわゆるもうけの多いと考えられないもの、そういうものについてさしあたってひとつ助成してくれ、少なくともある程度助成してくれ、こういうふうに意見がまとまりまして、このような法案を用意したというのが経過でございます。
  96. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣ちょっとお答えになる前に、以前も中教審に諮問されておる事柄の中で取り出して、具体的な政策がなかったときも、やはり同じような論議をしたことがあるのですが、やはり中教審に答申をすれば、多少急ぐ問題であろうとも、その結論を待って実施に移すというのが中教審に対する文部省のかまえとしても至当であろうと思うのです。これだけ取り出して急がれたというか、やはり中数審に諮問したという立場から考えても、何と申しますか、不穏当といいますか、好ましくないやり方ではないか。そういう中教審との関連する御見解をお答え願いたい。
  97. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私学振興会の融資の対象を拡大するという問題として、この問題はひとつお考えを願いたいと思うのであります。なるほど中教審の後期中等教育全般についての諮問をいたしておるわけであります。その結論によりまして、またいろいろ考えなければならない問題も起ころうかと存じますが、現在とにかく相当の数の各種学校があるわけであります。その中で特に資金的な援助を求めていると同時に、また、われわれから考えまして、資金的な援助が適当であると考えられる範囲のものにつきまして、私学振興会の援助のワクを拡大したわけであります。将来、制度が変わってくるとか、あるいは考えが変わってくるということがあるかもしれませんけれども、しかし、現在やっておりますこの各種学校に対するこの範囲の助成という問題は、私はそれほど決して矛盾もしないと思うのです。そういう意味におきまして、従来から私学振興会を通じております対象を若干広げたという程度の問題として、ひとつお考えいただきたいと思います。
  98. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういう考え方にはどうも納得できませんね。やはり形はあなたの御指摘のとおり、私学振興会の学校にやっておったのを各種学校に広げたという形です。それは法案としてはそうですが、それにしても、先ほどからずっと言っておりますように、大学に対する手当て、幼稚園に対する手当て、こういった全体の関連の中で各種学校をどう持っていくか、さらに各種学校の中でこれを特定していく意味づけは何か、このことが前段に出てきて、初めてこの法律案というものが文教政策全般の中で後期中等教育という意味において意味を持つのだ。ただ、助成のワクを広げただけなんですよ、各種学校の問題はあとで結論が出ることですよと、こういう考え方一つ一つ法律をそのつど、社会の要請とか、あるいは業界の希望とか、そういうことにすりかえていくということは好ましくないと思いますね。これはきょう、これを直ちに助成措置をとることの可否ももちろん必要なことでしょうけれども、少なくとも各種学校というものが後期中等教育の中でいかなる位置づけをするかという見通しの中で、どこまでワクを広げるかということが私は必要であると思います。これは議論をしてもあなたとの意見の一致を見ないと思いますので、私の意見を申し上げておきたいと思います。今度この法案によれば、先ほどからたびたび申し上げておるように、職業に必要なこれこれの各種学校に特定されたわけですが、このことと、先ほど指摘した十一月二十九日の行政調査会の第三専門部会第一分科会の報告ですね。これから調査会報告と仮称しますが、この調査会報告との関係がありますか。
  99. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 考え方といたしましては、行政調査会におかれても、現在の各種学校にはあまりにも雑多なものが含まれておって、その公共性についても疑問のあるものがあるから、それは相当その範囲をしぼって、もっとしっかりしたものを各種学校とすべきじゃないか、そういう考え方があるわけでございます。で、そのような考え方方向には沿っておると思います。しかし具体的に、それでは職業技術にしぼり、それからまたなお政令、省令等においてその対象をしぼる、こういうふうな点につきましては、もっと別な観点から、実際助成を必要とする範囲がどの程度か、またどの範囲に及ぶことが現段階において妥当かという点からしぼっておりますが、大きな考え方においては軌を一にしておると考えております。
  100. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 調査会報告に対して杉江君は賛成ですか。
  101. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 方向においてはおおむね賛成でございます。
  102. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 用語は別にして、大臣が各種学校あり方、あるいはそれに期待するものとして先ほど答弁された趣旨と、この臨時行政調査会の指向しておる方向とは、具体的にどこという指摘はできませんが、少なくともよいものはますますよくしていくし、かりに趣味その他でやっておられるところでも、教養を深めていくという意味でますますしっかりおやりなさい、これが大臣趣旨だったと思います。ところが、この報告書の指向は、それをつぶすとは言っていないけれども、国が一つの手を差し伸ばす際には、これこれに整理すべきであるという基本線が貫かれておると思うのですが、各種学校に対する基本的なかまえは、大臣としては、質の低いものは質を高めるように――いま助成金を出すか、出さないかということは別にして、そうあるべきことが後期中等教育、あるいは全体の人づくりという観点から望ましいことである、こういうふうに答えられたと思うのですが、大臣、そうではなかったのですか。
  103. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は各種学校の設置についてはできるだけ自由にしたらよろしいのじゃないか、自由なる国民の施設としてそれはあってよろしいと思うのであります。ただ、各種学校として授業料をとって、そして青少年、そのほかの人に対して教育をするとすれば、やる以上はいいものにしていただきたい、こういうことでございます。
  104. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、その考え方からすると、悪いものをいますぐ助成をするかどうかは施策として問題だが、しかし基本的にはそれがよくなっていくように期待することが、やはり各種学校に恩恵を受けておる主として青少年に対して親切な立場であると思うのです。寺小屋式、塾式のものはだめなんですよ、一がいに国としてそれをきめつけていくやり方は否定さるべきです。ところが調査会報告というのは、もちろん純教育という観点ではありませんので、若干の立場の相違はありましょうけれども、やはり私が先ほど、人的能力部会の方向と一緒の危惧を持っているような、社会的価値とか、必要性あるいは社会的公共性の増大、こういった期待は、一般教養的なというか、趣味、娯楽、技芸教授を目的とするもの、こういっておりますが、そして技能、技術に無関係な知識を教授するもの、こういう言い方をする以上は、やはり技能、技術だけを特別に国としては考えていきなさい、こういう思想が若干強いと思うのですよ。このことは、生産向上という純粋の、純粋というか、単純な立場からすれば一つ方向ではあろうけれども、後期中等教育の広い意味での拡充、充実という観点からすると、若干理解が足らないと申しますか、冷たい態度をとっておる、こういうふうに私は理解するのです。その理解と管理局長が同じ考え方を持っておるとすれば、やはり若干、大臣との見解に食い違いがあると思うのです。両者いかがですか。
  105. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 基本的な考え方にそう食い違いがあると私は思いませんけれども、ただ各種学校という形態でやっております仕事は、先ほどから申しますように、いろいろのものがある。それをやることについてそうやかましい制限をしておるわけではございません。自由にやっておるわけであります。その中には、あるいは学校法人でやっておるものもありましょう。あるいは準学校法人というものでやっておる場合もいろいろございましょうけれども、何さま自由勝手にやっておるといえばそういうものでございますから、それを国との結びつきにおいていろいろ考えます場合には、おのずからそこに違ったものが出てきはしないかと私は思うのであります。私は非常に広い意味から、およそ国民の教養が高まるものなら、それを押えることはないという考え方をいたしておりますけれども、一面からいえば、まあ名前だけはりっぱであるけれども、実はさっぱりやってない。あるいはもうけ主義でやっておる、営利事業と、こう言われてもしかたのないものもないとはいえないのであります。そういうことでございますから、やはり国が取り上げて援助するとか、あるいは奨励するとかいうものについては、おのずから限界があろうかと思うのであります。同時にまた、それをすぐに禁止するとか、取り締まるとかいう態度もいかがかと思います。態度としては局長の言う態度が今日としてはいいと思います。
  106. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういう考え方に立ちますと、大臣のお手元にあるかどうかわかりませんが、先ほど配付された資料の中ほどのところの「教育内容による対象の限定」という中に、「技能、技術に無関係な知識を教授するもの」、こういうきめつけ方には若干問題があると思うのです。技術、技能に無関係な知識というのは、いま大臣が言われたような一般教養という意味においてはかなり広いのですからね。それだけに対象を置いていくという、国が援助する際でも対象を置いていくという考え方は若干問題があると思うのです。
  107. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) もう一度ちょっと……。
  108. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 二つの角度がある。国が援助するという場合と、後期中等教育に対して何らかの貢献をしておるという二つの問題があると思うのです。しかし、いずれの場合でも、ここに限定しておるように、技能、技術に無関係な知識を教授するものは、ざっくばらんに言えば、まあ入らないんですよ。こういう考え方が全体を貫いておると思うのですよ。それはやはり問題がありはしないかと、こう言っているのです。まずあなたが答えられたように、さしずめ、これが急ぐという判断は私は批判を持ちますけれども一つの判断としては成り立ち得る。しかし原則論としては技能、技術に無関係な知識を教授するものを排除していくという、この全体の流れというものは、先ほど言ったような立場からすると、やはり問題があると思うのですが。
  109. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) どういう心持ちでこの臨時行政調査会第三専門部会第一分科会の報告がなされたのか、実はつまびらかにいたしておりませんので、ちょっと耳打ちをされたぐらいではわかりかねるところがあるのでありますが、私はしかし、いまの各種学校に対する、先ほど来私の申し上げておりますような態度でよろしいのじゃないかと思っております。同時に、まあ現在の各種学校の中にもほんとう学校と見てもいいような発展を遂げておるものもあろうかと思います。そういうふうなものを各種学校という形態で今後とも継続をするのがよろしいか、あるいはやはり一つの、学校教育法のいわゆる一条にいう学校ですが、そういうふうな範疇の中で考えるのがよろしいのか、こういう問題はこれは今後の問題としてはあろうかと思いますけれども考えの大筋としましては、私は国民の教養を上げるための施設としては、これを一がいに排除すべきものじゃない、もっとも非常な弊害がある、インチキであるというようなものになればこれは別でありますけれども、これはまた別の観点から考えなきゃなりません。私はそういうようなものにつきましては、とにかく月謝を取って教育をやる以上は、まじめにしっかりした教育をやってもらいたいと思いますが、しかも、それがそうやってもらえれば、それはそれなりにお役には立つわけなんであります。そういうような各種学校というものも排除しようという考え方はいたしておりません。あるいはもっと検討しなきゃならぬかと思いますけれども、私は現在のところそういう考え方をいたしております。
  110. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この私立学校に出資をするという範囲を各種学校まで広げたということに対して、私立学校関係の私大協とか、連盟とか、協会とかいろいろありますね。あるいは私学振興会としての、機関としての意見あるいは各種学校側の関係者意見、わかっておりますか。
  111. 杉江清

    政府委員(杉江清君) わかっております。まず結論的には本案には賛成だ、ただし、その実施については十分注意してくれ、また今後の運営についても十分相談してくれ、こういうふうな申し入れをいただいております。で、それはもちろん各種学校の団体についてはこれは全面的に賛成でございますが、従来、その他の私立学校団体については、そういうふうな御注文がまとまって出ております。なお、従来の経過でございますが、私どもこの予算要求をいたす当初から、私立学校の諸団体には御相談を申し上げて、その御了解を得てこの予算要求をいたしております。また、この法案をこのように煮詰めますにあたっても、私学団体とよく御相談を申し上げて、こういうふうな形にいたしておるのでございます。
  112. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いまの意見というのはどこですか。
  113. 杉江清

    政府委員(杉江清君) それは私立学校の諸団体からそういうふうな申し入れが文書になって出ております。なおつけ加えますと、各種学校を除いた私立学校関係諸団体におきましては、やはり第一条の学校整備充実を先にすべきだ。それも十分な助成が行なわれていない現在、その範囲を広げることは納得できない。こういう御意見もあったわけでございます。それに対して私どもは、第一条の学校整備も、もちろん今後とも財源をふやしていく、貸し付け財源をふやしていくということに努力すべきは当然でありますし、また三十九年度においても相当大幅にふやしておる。その金額の問題にいたしますと、現在、各種学校に充当すべき貸し付け金としては五千二百万円を予定しており、全体の金額からすればわずかであって、わずかに窓口を広げるという程度のことであるからその点は御了承をいただきたい、こういうことでお話しし、基本的には御了承を得られておる、かように考えております。なお、ただいまその資料が手元にございますが、これは二月二十七日に全私学連合からの申し入れで、ただいま私が申し上げたような趣旨のことがうたわれております。
  114. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 全私連としてはそういう意見を持っておるが、それぞれ短大とか、あるいは幼稚園とか、異論がありはしないのですか。
  115. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 一部に異論のあることは承知いたしております。しかし全体としては、このように意思表示をされたものと了解いたしております。
  116. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の聞き違いだったかどうか知りませんが、先ほどの三十七と十幾つですか、十六校、まだですか。
  117. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 十六校についてはお手元に資料を差し上げております。三十七校についてはいまそれを……。
  118. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十七からこれを特出された理由、そういう言い方をしてもよし、逆にこれ以外が除かれたそれぞれの理由というのは説明できますか。
  119. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 私ども一応これらの学校について調査した結果、これらの学校で――これらというのは何ですが、三十七校と申し上げた学校についてその実態を調べたところ、施設の基準不足は一応ないものとして考えて、おそらくそこに差し上げてあります十六校に融資対象がとどまるだろう、こういう判断をいたしておるのであります。
  120. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次回にこれ以外の残りの学校と、それからこれに対しても経営者というか理事長というか、経営者、収容生徒数、それから教育内容というとばくとしてきますが、まあばくとした一、二行のものでいいです、どういうことをやっておるのか。それから先ほどの五千何百万ですか、それを一つ一つ学校の何に助成するかということを出しなさいという意味でなくて、主としてどういうことに助成金を出そうとしておるか、それを次に出してください。  初中局長にお尋ねしますが、現在の各種学校と企業内訓練の質の比較といいますか、これつかめておりますか。
  121. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 全般にわたって申し上げることは困難かと思いますが、企業内訓練施設等におきましても、かなり優秀なものがございます。各種学校ももちろんいろいろございますが、その中には、技術あるいは技能的な教育をやっております各種学校については、歴史もあり、また非常にりっぱな各種学校教育として成績をあげておるものもございます。したがって、それぞれ長所と申しますか、いろいろ特色、長所を持っておるものがかなりあるようでございますけれども、一般的に比較してどちらがいいということは、これは一がいに申し上げられないと思いますが、私どもはそういうふうに認識をいたしております。
  122. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 どことどこを比較するかということが非常に困難な問題ですから質問も若干無理があると思うのですが、まあ方向としてお尋ねしましょう。勤労青少年というか、あるいは学校教育法の正規の適用を受けておる学校で、後期中等教育的な恩恵を受ける場所を選ぶとすれば、望ましい方向、あるいは望ましいという判断から助成をしていくべき方向は、この職業に必要な技術の教育ということに限定してお尋ねすると、各種学校ですか、企業内訓練と判断されますか。
  123. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これはいろいろな御意見があるかもわかりませんが、私の考えといたしましては、企業内訓練施設としては、一定の年限も限られておりますし、やることの内容としても学校教育とは違ったやり方をいたしております。したがいまして、方向としては企業内容より、やはり各種学校の完備したものでやったほうが、十分な技能、技術教育ができると私は考えております。したがって、国が助成するという道を開くといたしますれば、その方向に私ども考えたい。また、各種学校よりもさらに正規の高等学校のほうがなおベターだと、こういうように考えるわけでございます。
  124. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の質問、若干無理があったかと思うんですが、ここの職業に必要な技術の教育目的とする、このことばもちょっと無理があるでしょうが、いわゆる職業技術教育という簡単に割り切ってしまった際には――こういう角度から聞くことにしましょう。経営者の求めているものは各種学校ではない、企業内訓練だと言えませんか。
  125. 福田繁

    政府委員(福田繁君) それはおっしゃるとおりだと思います。企業者としては自分の企業に都合のいいような、また、直接役に立つような技術教育をやるというのが主眼でございます。各種学校でございますけれども、やはりそこには一般教養というものも加え、学校の形態として一定の年限、技術教育を主としながら、これをやっているのが現状でございますから、したがって、私どもとしては、学校教育というたてまえから考えますと、先ほどのような考えになるわけでございます。
  126. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 各種学校は特定の企業に必要なものだけでなくして、一般的な技術の習得が行なわれておる、もう一つは、一般教養も同時に行なわれておる。こういう言い方は逆にとると、企業内訓練は、ことばは悪いけれども、いびつというか、部分技能が指導され、教養もあまり重視されていないという、そういう企業内訓練の欠陥を、後期中等教育という観点からどう是正していこうとしておられますか。
  127. 福田繁

    政府委員(福田繁君) むずかしいお尋ねでございますが、企業内訓練施設等につきまして私ども是正するということはできませんが、御承知のように、企業内訓練施設の高等学校との連携をはかりまして、企業内訓練施設で習得した技術等はできる限り単位の換算をいたしまして、高等学校教育にこれが通算されるようなたてまえを開いております。したがって、現在でもその方向で連携をはかってやっておりますので、その限りにおいてこれを是正するという意味じゃなく、できるだけ補完していくというふうな、補完と申しますか、ことばは適切ではありませんが、相提携してこれを進めていくというやり方をとっているわけでございます。
  128. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  129. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後零時五十九分散会