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1964-03-24 第46回国会 参議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十四日(火曜日)    午前十一時二十二分開会   —————————————   委員異動  三月二十一日   辞任      補欠選任    谷村 貞治君  中上川アキ君  三月二十四日   辞任      補欠選任    米田  勲君  大河原一次君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     中野 文門君    理事            北畠 教真君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            豊瀬 禎一君   委員            久保 勘一君            斎藤  昇君            中上川アキ君            野本 品吉君            秋山 長造君            小林  武君            米田  勲君            柏原 ヤス君            赤松 常子君    発  議  者 米田  勲君    発  議  者 秋山 長造君    発  議  者 豊瀬 禎一君    発  議  者 小林  武君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○産炭地域における公立小学校及び  中学校学級編制及び教職員設置に  関する特別措置等に関する法律案  (米田勲君外四名発議) ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査  (当面の文教政策に関する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。三月二十一日、谷村貞治君が委員辞任され、その補欠として中上川アキ君が選任されました。   —————————————
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。米田勲君。
  4. 米田勲

    米田勲君 ただいま議題となりました産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案につきまして、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  主として世界的なエネルギー革命に基因する石炭鉱業構造的不況は、石炭鉱業の急激な合理化整備を伴い、多数の炭鉱休廃止関連産業の倒産、炭鉱離職者の大量の発生等を招来いたしましたことは御承知のとおりであります。この事態に対して、従来から石炭企業合理化対策離職者対策産炭地域振興対策等が行なわれてまいりましたが、離職者生活環境年齢構成技能程度等の諸条件から、他産業への再就職にはおのずからきびしい隘路と限界があり、また、産炭地域に新しい産業を導入し、多角的産業地帯を早急に造成することも立地条件その他により容易なことではなく、このため、若年労働者地域外流出が著しい反面、数多くの離職者雇用機会がないまま産炭地域に滞留し、鉱害その他の産炭地域特有事情と相まって経済的貧困社会不安をもたらしております。  さらに、産炭地域経済は、全面的に石炭鉱業に依存しているものが多いため、同地域地方財政は極端に窮迫している現状であります。このような現状は、産炭地域における教育の面にも強い影響を及ぼしております。すなわち、その一つは、炭鉱離職者家庭は、経済的貧困、父母の求職のための外出、あるいは夜間に及ぶ内職等で子供の教育に十分な関心を持つことが困難な状態であり、教職員の不断の努力にもかかわらず、長期欠席児童生徒及び非行少年が著しく増加していることであります。たとえば、北海道の一産炭地における昭和三十八年度調査によれば、非行青少年の八六%が小、中、高等学校在学青少年で、その七二%は中学生であり、非行少年の数は、昭和三十二年度に対して昭和三十八年度は四五%の増加を示しております。また、福岡県における産炭地域在籍児童生徒数に対する長期欠席児童生徒数割合は、産炭地域外に対して二倍近い数を示しております。  また、産炭地域児童生徒数減少、これに伴う学級数及び教職員減員は著しいものがあります。たとえば、福岡県の産炭地域における昭和三十八年度小学校児童数は、昭和三十四年度に比してその三五%七万四千人が減少しており、はなはだしい小学校にあっては児童減少率が五〇%に達している状況さえあり教職員数についても、定員において一九%八百九十四名、実員において一四%六百四十九名が減員となっており、また、北海道の一産炭地でも、学級数において昭和三十七年度に比べ、三十九年度見込数は二カ年間だけで約三〇%の減少が見られるという実態もあります。  反面、経済的貧困のため産炭地域における要保護、準要保護児童生徒数は年々著しく増加してきております。たとえば、全児童生徒数に対する要保護、準要保護児童生徒数割合が、産炭地域外の一一%に対して産炭地域は二五%の高率を示し、ある小学校のごときは六〇%を占める現状さえあります。また、北海道を初め各産炭地から、産炭地特殊条件生活環境から派生している特殊児童生徒に対する特殊学級増設要望が強く出されております。一方、産炭地域における児童生徒の疾病の増加も著しいものがあり、産炭地域において医療費補助を受ける昭和三十九年度準要保護児童生徒数は、昭和三十七年度に比べて五〇%増加する見込みという実情もあります。  以上、申し述べましたように、産炭地域における教育は、きわめて不安な状況にあり、このまま推移すれば、教育危機的段階への転落を避け得ない状況であります。したがいまして、かような教育環境のもとにある最も抵抗力の弱い児童生徒に対して、十分な教職員を配置して学校教育充実向上を期し、また、激増した要保護、準要保護児童生徒教育に必要な補助をなし得るよう、疲弊した地方公共団体に対し、国が援助策を講ずることが緊急不可欠のことと考え、この法律案提案いたした次第であります。  この法律案内容は、石炭鉱業不況による疲弊の著しい地域及びこれに隣接し、当該不況による影響の著しい地域で、別に政令で定める産炭地域公立の小、中学校について、次の特別措置を講じようとするものであります。  まず第一に、学級編制の基準について、同学年の児童または生徒で編制する学級は四十人以内とする等の特例を定めることによって、不安な教育環境のもとに置かれている児童生徒教育水準の維持をばかろうとするものであります。第二には、もっぱら児童生徒生活指導をつかさどる教員を置かなければならないものとし、就学奨励非行の補導等十分な指導をはかろうとするものであります。第三には、養護教諭必置するものとし、貧困家庭急増等により児童生徒健康管理がきわめて重要となっている事態に対処しようとするものであります。第四には、事務職員必置するものとし、要保護、準要保護児童生徒急増に伴い、扶助費補助金等支給事務が激増し、生活指導はもちろん、日々の授業にも支障を来たしている現状を打開しようするものであります。第五には、義務教育学校における教育教材に要する経費並びに要保護、準要保護児童生徒にかかわる教科書費学用品費通学費修学旅行費給食費日本学校安全会共済掛金及び医療費に関する国庫補助金補助率を十分の八とすることとし、これによって、窮迫した財政のもとで、合理化整備に関連して派生する諸般の財政需要や、せっかく措置された特別交付税も、一般財源のゆえに就学援助費等に優先充当することの困難な事情など、援助措置が徹底を欠いている事態解決をはかろうとするものであります。また、長期欠席児童生徒の中には、通学用品を購入し得ないため、欠席する者が相当多数あり、一部市町村においては、窮迫した財政のもとで必要やむを得ずこれを支給している実情にかんがみ、これら児童生徒に対する就学奨励措置として、生活保護法による教育扶助費と同様に通学用品費を加え、国がその十分の八を補助することとしております。  なお、附則において、本法施行期日昭和三十九年四月一日とし、昭和四十二年三月三十一日限り効力を失うものとしております。また、本法施行のための経費は、教職員給与費教材費就学奨励費等合わせて約九億五千万円を要する見込であります。  以上がこの法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  6. 中野文門

  7. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  8. 小林武

    小林武君 学術振興に即応する図書館の機能の重要性にかんがみまして、図書館専門職員養成する機関として図書館短期大学を設置することについては、私も同感の意を持つものでありますけれども、そこで、ひとつお尋ねしておきたいことは、この図書館短期大学における、今までは養成所ですか、この養成所において養成されたものはどういう方面就職をされておるか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  9. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 図書館職員養成所は、御承知のように大正十四年に創設されまして、自来、相当長期間にわたって図書館員養成をやってまいっておりますが、ここの卒業者は、従来は学校図書館、それから地方公共団体等のいわゆる公共図書館就職する者が多かったわけでございますが、最近におきましては、いろいろ民間会社等におきましても、いろいろな図書その他の資料の収集、整理等も行なわれるようになってまいりまして、そちらのほうに就職する者も漸次数を増してまいったような状況でございます。
  10. 小林武

    小林武君 そこで、ちょっとわき道にそれるようでもございますけれども学校図書館法によりますところの司書教諭必置の問題について図書館教育の重視をお考えになった文部省としては、現在どのような御検討をなさっておるか、そのことについて伺いたい。
  11. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校図書館では、これは学校のいわゆる正課教育を援助する意味におきまして、図書館活用ということはきわめて大切なことでありまして、そのために大規模の学校等におきましては、漸次、図書館関係司書というものを置く傾向にございますが、しかし一般的には、現在の段階では、まだ学校の本来の正課の先生があわせてその司書の業務をなさっておる実情でございます。この図書館が、施設面におきましても、設備面におきましても漸次整備されまして、学校のほうでこの活用のために司書をお置きになるということは、私どもも将来の方向としてきわめて意義の深いものだと思っております。この図書館職員養成所なり、あるいは大学等におきまして、教員に対するいわゆる単位の修得等によりまして、そういった面の司書の資格のある者が漸次ふえまして、学校において司書教諭整備されるということは、私どもも望ましいことと思っております。
  12. 小林武

    小林武君 望ましいことなんですけれども、その必置をはばんでいる理由については、一体どうお考えになっておりますか。
  13. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大学は別でございますが、高等学校以下の学校におきまして、こういった面のいわゆる阻害の理由と申しますか、現状では、たとえば建物等におきましても、まだそれだけの余裕面が十分でないということに一つ原因があろうと思います。また、さらに、定数と申しますか、教官の定数等にも原因があろうかと思いますが、将来の問題としましては、そういった施設設備に対するめんどうと同時に、定数の問題も十分検討させていただきたいと思っております。
  14. 小林武

    小林武君 定数との問題で問題があるとか、あるいは設備の問題について問題点があるとかいうことは、これはお話のとおりだと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、図書館重要性というようなことを考える場合に、これはひとり司書養成する短期大学というようなものをつくったというだけでは、私は望みは達せられないと思う。いまお話がございましたように、これは学校における、大学から小学校におけるまでですが、学校における図書館というようなものの整備も、いまの非常に学問の発達の目ざましい時代においては、これは重要な問題であります。お話によると、民間企業においてもそういうものの整備が着々進んでいるということになりますと、私は学校というものの図書館というものについて、文部省はもっと積極的な意見をお持ちになる必要があるのではないかと思うのです。そう考えますと、どうもいささか局長お話は何か他人ごとのような態度であるように思うのです。これは非常に残念なんです。その整備ができないとか、図書館定員の問題がどうだとか、設備の問題がどうだとか、そういうところに難点がございますというようなお話では、この問題解決はいつまでたっても私はできないと思う。積極的にもっと進んでいって、図書館法学校図書館法をどうするとか、こういう問題も一つあると思うのです。こう考えますと、私はもう少し意欲的な、これは実際この法律案と直接関係があるかどうかは私は疑問だと思うのですけれども国立学校設置法改正の中に図書館短大のことを取り上げられたことでもありますから、私は文部省意見というものは、もっと積極的にそういう面について触れていいのではないかと思ったから質問したわけですが、どうですか。多年、学校図書館法の問題については、学校方面からの陳情関係者陳情があり、そういうことに御賛成になった方は、ひとり野党である社会党とか何とかというだけではなくて、与党である自民党の方々も双手をあげて御賛成になった問題でありますから、どうなんですか、一体。もう少し検討なさっておらないのですか。
  15. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 御指摘のとおり、学校教育を充実発展さしていくために、学校図書館というものをフルに活用するということの必要性は言うまでもないことでございます。ただ、いままで学校図書館法によっては、司書教諭必置制にして、司書教諭をもってこれに充てるという考え方でいままでやってきているわけでございます。しかし、その司書教諭も、当分の間必置制が抜け穴になっているわけでございます。どうしても司書教諭完全必置にする方向に持って行かなければならぬという面が一つございます。それについて、われわれは予算を通じてそれができるような方向にしむけて努力しているわけでございますけれども、まだ十分成果があがっておりませんので、そういう意味で、この面につきましてはさらに努力を重ねて、大多数の学校司書教諭必置になれるような、そういう方向にひとつ努力をしなければならぬと思っておりますが、同時に、片手間でやる司書教諭だけで十分でないという面があろうかと思います。どうしても司書をまた別の意味でひとつ新たに考えてまいらなければならぬのじゃないか、こういうふうに思っております。でき得べくんば、この国会中にでも、学校図書館法改正という形で持って行くか、あるいは学校教育法施行規則の一部を改正するという形で持って行くか、司書教諭というものに対する考え方をひとつ鮮明にいたしたいというような気持で、いま準備をしているのでございますけれども、まだ、図書館法改正で臨むか、学校教育法施行規則の一部を改正するのでやるかということが、議がまとまっておりませんので、できるだけすみやかに議をまとめて、そのような配慮をし、もとよりそれだけをやって、法改正だけで万事終わりということではございませんので、前向きで、予算獲得の際にもそれに対応できるような方向に持って行くように努力してまいりたいということで、現在準備中でございます。
  16. 小林武

    小林武君 大体、図書館の問題につきましては、従来、県が手を尽くしたといってよろしいと思います。あとは手当てをどうするか、どういう手当てによって解決するかということに問題が残っているだけだと思います。いまのお話によると、学校図書館法改正によるが、あるいは施行規則の一部改正ですか、そういうものによってやるか、目下検討中だというわけでありますが、めどとしては、それもそう遠くない時期にこれをやるというようなお考えなんですか。
  17. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) でき得べくんば、四月中に成案を得たいという心組みでいま準備をしております。
  18. 小林武

    小林武君 大学局長お尋ねいたしますが、この図書館短大をつくったということについては私も同感だと申し上げた。したがって、これとも関連いたしまして、国立の短大というものを将来どうするかということについてお考えがあったら、ひとつ承りたいと思います。
  19. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、戦後、短期大学制度昭和二十五年に発足したわけでございますが、現在の形は、学校教育法附則に根拠がございますが、当分の間というようなことばがついておりますように、いわば一種の暫定的な高等教育機関という形になっているわけでございます。しかし、その後、社会的需要に合致したと申しますか、相当、一般社会要望もございまして、年々その数を増加してまいっておりまして、相当多数の短期大学ができております。こういった現状を見まして、やはりこの短期大学制度を現在のままに放置すべきでなく、いわば一種の正規の機関にすべきではないかという意見社会的にもございましたし、御承知のような中央教育審議会等におきましても、この点について検討をし、意見を出しております。その意見は、恒久化すべきものであるという、究極の結論としてはそういう意見でございますので、文部省といたしましても、そういう答申の線に沿いまして、いろいろ検討をいたしました結果、短期大学制度は、できるだけ早い機会にこれを高等教育機関として恒久化したいというふうに考えまして、ただいまその準備をいたしておるところでございます。
  20. 小林武

    小林武君 短期大学全般に関してのただいまの御説明でございましたが、その点については一応理解ができましたけれども、私がお尋ねいたしたいのは国立短期大学です。国立短期大学ということになりますと、すでにこの設置法の一部改正法律案によりましても、宇都宮工業短期大学が同大学工学部になっておる。それから久留米工業短期大学高専に移行の予定になっておる。こういうようなことになっておりますので、一体この国立短期大学というようなものが将来どうなっていくかということについてお伺いをしたいわけです。たとえば、いまここに残っておる北見工業短期大学というのは、これは一体どうなるのかというような点について、具体的に何か案がありましたらひとつお知らせをいただきたい。
  21. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように国立短期大学といたしましては、現在夜間制のものが二十数校、これは昼間の大学に併置されておるわけでございます。そのほかに、ただいま御指摘のございましたような短期大学が、工業関係のものでございますが、五校ございます。この五つの短期大学はいわゆる中堅技術者養成という社会的ないろいろな要望にかんがみまして創設をいたしたものでございますが、その後、工業高等専門学校という新しい中堅技術者養成制度ができまして、その関係からいろいろ学校当局者等にも要望もございまして、一部のものは工業高等専門学校に強く移行したいという希望を述べられました。私どももいろいろ検討しました結果、妥当であると認めるものにつきましては、その措置をいたしましたし、また今回の改正法におきましても、久留米につきましては、その措置をいたしておるわけでございます。しかし工業関係の昼間の短期大学はすべてこれを工業高等専門学校に移行しなければならぬというふうに、かたく考えておるわけではございませんで、ただいま御指摘のございましたように、地元等におきまして非常に強い要望もあり、妥当であるとされました宇都宮工業短期大学は、三十九年度から四年制昇格ということを考えておるわけでございます。また、お尋ねの中にございました北見につきましては、地元におきましては、できればこれを四年制の工業大学昇格をしたいという御要望も承っておりますが、ただ北海道、ことに道東の特殊の事情等も十分検討いたしませんと、いま直ちにこれを四年の工業大学にするということには多少無理があるのではないだろうか。時間をかけて十分検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  22. 小林武

    小林武君 図書館短大ができたからということも一つありますし、それに短期大学そのものがいまの段階では直ちにこれをどうするというようなこともなく、将来、永久的にこの短期大学というものの存在を許していくというようなことになりますと、当然、国立短期大学というものがどういう学校制度の中で地位を占めていくかということになるわけでありますが、いまの御意見ですというと、あるいは工学部とかいう学部昇格する、四年制の大学昇格するものもあれば、あるいは高専になるものもあるという例はありますけれども短期大学そのものとしてこれを存続させるというようなことは、将来の国立短期大学の場合に考えられるということですね、結局。
  23. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 高等専門学校と、いわゆる工業関係短期大学は、もちろんこの学校の種別としては違ったものでございますので、それを必ず工業短期大学工業高等専門学校に移行しなければならぬというふうには考えておりません。もちろん工業短期大学そのままとして存置もできるわけでございます。
  24. 小林武

    小林武君 これは政務次官お尋ねをしたいのですけれども、そうすると、私は短期大学というものの性格が明らかにならなければいかぬと思うのですよ。高専にしてしまうか、昇格して一つ学部にするかというような、そういうあれを持っていて、その暫定的なひとつの何かあり方がこの短期大学であるというふうに従来考えておったけれども、先ほど大学局長の御説明によって、文部省の腹というものも明らかになったところを見ると、学校制度の中において、一体短期大学というものをどういう性格づけをしていくか、高専でもない、いわゆる四年制の大学でもないという、そういう中で、短期大学は何をねらっていくのか、こういう点について、これはやはり政務次官でないと答弁のできないところでありますから、この点をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  25. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 先ほど局長の答えましたように、暫定的な措置として残っております短期大学を、社会の要請もあることでもあるので、この際恒久化しようということで、近々御審議をいただくということになるかと思うのでございますが、その際に、短期大学目的性格というものを鮮明にして、いまのところ、考え方としては大学の範疇の中に入れて、大学と違った目的性格ということで、短期大学恒久化というものをひとつはかってまいりたいというふうな気持でおります。そういうことで、近々のうちに御審議を願うことになろうかと思うわけでございます。以上でございます。
  26. 小林武

    小林武君 そうすると、政務次官お話は、近日中に審議をしてもらうから、それまではしばらく伏せて置くという意見ですか、いまのところまとまった意見というものは別に発表できる段階にまでいっておらない、こういうわけですね。
  27. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 特に伏せなければならぬということではないけれども、もうごく最近のうちに御審議願う課題でございますから、そのときにやはり明らかにしてもらったほうがいいんじゃないだろうか、いま直ちにこういう構想でございますということを言ってもいいわけですけれども、まあ安全を期する意味において、そのときにひとつ十分御審議をお願いしたいと思います。
  28. 小林武

    小林武君 そのときにしましょう。  それから、この問題とちょっとからんで、勤労青年のための夜間学部というのですか、第二学部というのですか、これは一体現在どのくらい数があるでしょうか。
  29. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 夜間学部を置く大学の数でございますが、国立大学では六大学ございます。それから公立大学では四大学、それから私立の大学で四十一、合わせて五十一大学という数字になっております。
  30. 小林武

    小林武君 先ほど二十数校と言ったのは、あれは何ですか、短期大学
  31. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 二十二校と申しましたのは、夜間短期大学部を併設しているものでございます。ただいま申し上げましたのは、四年制の夜間部のほうでございます。
  32. 小林武

    小林武君 第二学部というのは設置法にあるのですか、設置法にないのですか。
  33. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校教育法夜間学部を置くことができるというふうになっておりますが、国立学校設置法にはその点はっきりした明文はございません。
  34. 小林武

    小林武君 どういう理由ですか。
  35. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来から昼間の学部に併設されたような形で、特にその点について根拠法を置かなかったものというふうに解釈いたしております。しかし、この点につきましては、夜間は昼間と違うので、根拠法を置くべきではないかという御意見もございますので、将来検討さしていただきたいと考えます。
  36. 小林武

    小林武君 これはもう検討しなきゃいかぬと思うのですね。大体もうこういうところから差別感があるような気がするのですよ。文部省あたりは、この勤労青年の夜間大学を卒業した者を、それぞれの企業で差別待遇をすることについて非常に心配なさっておる。これは当然のことなんです。それと、これとは関係があるとは直ちには考えられませんけれども、法律の上でも何か日陰者扱いのようなことをするというのは、ぼくはこれはどうかと思うのです。やはりこれは大した金のかかることでもないでしょうから、十分検討をされて、やっぱりあの夜間大学を出る者というのは一そう苦労しているわけですから、対等のやっぱり立場を与えるという意味からも、私は当然もう検討して、大体その検討の結果によって対等の扱いができるような法的にも措置を講ずるべきだと思うわけです。
  37. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  38. 中野文門

    委員長中野文門君) それでは速記を起こして。  午前中の委員会はこの程度にいたしまして、午後一時三十分に再開いたします。    午後零時六分休憩    ————・————    午後三時二分開会
  39. 中野文門

    委員長中野文門君) これより委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。本日、米田勲君が委員辞任され、その補欠として大河原一次君が選任されました。
  40. 中野文門

    委員長中野文門君) それでは午前の委員会に引き続き、国立学校設置法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は御発言願います。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 小林委員の引き続いての御質問に入る前に、私ちょっとさっきも開会前に話がありましたが、資料のことですがね。実はこの前の委員会のときに、村山審議官が見えていたのですが、国立学校施設整備五カ年計画云々の話が出ておりましたので、その五カ年計画なるものを資料として提示してもらいたいということをお願いしたわけです。それに対して配られたのが、この一枚紙に書いた五カ年計画ですがね。私この一枚紙を見てはなはだ不愉快な感じを持っているんです、実は。というのは、国立学校の五カ年計画というて、ことごとしく答弁なんかにしゃべっておられて、その内容は何ぞやと言ったら、これだけぽんと出されて、これで納得する人はないと思うのです。なるほどこれが文部省国立学校五カ年計画かと納得できぬのですわ、こんなもの。実はこの委員会で、再開国会早々でしたか、文部大臣の所信表明をお願いしたときにも、最初は一枚紙にちょこちょこと書かれたものを出されて、それで、そのあとまたあらためて少し念のいった所信表明をなさったような経緯もお互いに実はよく記憶しておるところだと思うのです。いやしくもこれだけ大世帯の国立学校整備計画として文部省が国会へ責任をもって提示される資料がこれではね。ちょっと人をばかにしたと言うてよろしいか、何と言うてよろしいか、これは全く通り一ぺんのことですがね。これは一体これでよろしいと思っておられるんでしょうか、どなたからでもよろしゅうございますが。
  42. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 秋山委員お尋ね国立文教施設整備五カ年計画の具体的のことは、私そのときにおりませんので存じませんけれども、おそらくはこの施設整備五カ年計画——従来ありましたものを将来に向かって改正せねばならぬという実は時期に来ております関係から、従来のものについて簡単なものをお出ししたのではなかろうかと、これは御承知のように局の担当が違うものですから、私こまかいことまでは存じませんけれども、そうではないかと、私は実はただいまのお尋ねを承っておって推察いたしたわけでございます。御要求でございますので、できるだけその担当局とも話し合いまして、許す範囲の整備計画、こまかいものをできるだけお出しするように私のほうからも申し伝えたいと思います。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 重ねてお伺いしますが、局長は当時おられなかったし、まあ文部省の所管関係が違うとおっしゃることはよくわかります。私ども、しかし、いずれにしても、これは政務次官にまた申し上げますけれども、こんなものを、政務次官そこでごらんになっておられてわかりましょうが、あなたの所管の大学の五カ年計画というものは大体こんなものかなということもわかりませんですね、これは。もう少し数字を並べるなら並べるで説明でもつけるとか、何か一とおり見れば大体の輪郭がつかめるぐらいの親切心というものがあって当然だと思うのですね。全く人をばかにしておりますよ。こんなものなら出してくれんほうがいい。腹が立たぬだけいい。それから何でしょう、大体今度の国立学校特別会計法案なんかにしましても、国立学校施設設備の拡充ということが一番眼目になっているわけですね。この前、大臣も大学局長もおっしゃった。それからまたせんだっての文部大臣の当委員会での所信表明でも、大学進学志望者の急増対策その他の必要からも、大学のこの施設整備というものを急速にやらねばいかぬというようなことをおっしゃっておったのですがね。ですから国立学校施設設備整備拡充ということを最大の眼目にして、そして特別会計というような画期的なものをやろうといういまの文部省としては、あまりにも私は不用意だと思うのですね。これは一体三十六年から三十九年までの五カ年計画にすぎぬので、これはおそらく今度の国立学校特別会計法案とは関係のないものだと思う。そこで、一体わざわざ国立学校を特別会計にするというからには、当然その裏づけとして施設設備の拡充計画、相当長期的な拡充計画というものが用意された上でなければ、そんなものを、大きなものをぽんと出してくるということはちょっと常識として考えられない。ところが、そういうものはないので過去のものにすぎない。しかもその過去のものたるやこんなものしか出ない。これでは事ごとに不満ですよ。こんなものは、いま大学局長がおっしゃったように、まあ将来のことは将来のこととして、また国立学校特別会計法案をやるときにまた出すつもりですと、将来の計画についても私はおそらくないのだろうと思うのですけれども、あるなら、いまから用意しておいてもらいたい。それから、いまこの配られているものも、もっと資料の名に値する資料を大学局長のおことばどおり至急に出していただきたい。  第三として、一般論として、これはもう何回も言うことですけれども、もっと親切味を持って積極的にやはり資料の提供というものを心がけていただきたい。この三つお願いしておきます。御答弁があったらひとつ。
  44. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 確かにこちらにいま提示しております五カ年計画、これは三十六年度を起点にして、主としておくれている大学の老朽改築というものを中心に、科学技術の振興というものを含めた五カ年計画が一応策定をされた、そのトータルだけが出ておるようであります。このよって起こった全体計画の基礎がどういうものか、あるいはまたその消化した、各年次の消化が各学校ごとにどうなっているかということがこの表では明らかでございませんので、おしかりをいただくのも無理のないことだと思いますが、これはさっそく、もう少し詳細にわたるものが出せるように私のほうからも督励をいたしたい、こう思っております。ただ、今度の特別会計制度と一緒に新五カ年計画を策定して、それでもってひとつやるのだと、こういうふうに申し上げておると思うのでございますが、御案内のとおり、前第一次五カ年計画がまだ終了いたしておりません。終了いたしてないだけではなしに、計画も計画どおり進んでないという実態でございます。その意味で、現在四カ年をすでにまあ進んでおりますこの五カ年計画というものを、この際ここで前期五カ年計画を一応中途でやめて、第二次五カ年計画に入るという手はずでございます。それにつきましては、いわゆる大学急増対策というものとあわせ、いままでと少し趣を変えまして、老朽改築であるとか、あるいは科学技術振興に伴う施設であるとかいったような、そういうことだけではなしに、文化系も含めた急増対策というものに今度は向かわなければならぬ、しかるところ、その急増対策が前にも私ちょっと申し上げたいと思いますけれども、ことしの夏までにそれをひとつきめるという予定にいたしております。その意味で、新五カ年計画の全体規模はまだ大蔵省と十分に話をつけるというところまでまいっておりません。五カ年計画を策定をするという基本方針は間違いがないのでございますけれども、その新五カ年計画の基礎数字というものをいま直ちに出すということができかねるのではないか、こう思うのでございます。お許しをいただけますならば、ひとつ前期と言いますか、第一次五カ年計画の詳細を、このような簡単なことではなくて、でき得べくんば、学校別にどういうものであったかということ、それが計画と実施とがどういうふうになっておるかということを御報告することにひとつお許しをいただければ幸いだと思います。なお、それらができましたならば、当然それは私ども提示をいたしまして、御相談申し上げなければならぬ課題だと思います。なお、文部省は少し資料作成について消極的だというおしかりは、前回にもお聞きいたしておるのですが、決してサボタージュをしようとか何とかいうことではございませんけれども、どうも御満足のいくようなのが出ておりませんが、その点につきましては、私のほうからも各局に十分に話しまして、御不満のないように努力いたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
  45. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いまのことですが、次官はサボタージュしていないとおっしゃるけれども、実際にサボタージュをしているのです。と申しますのは、僻地の資料を私が要求いたしました。ところが、久保委員の質問に対して、文部省は新しく私の要求した資料をつくってそれを手にして答弁した。ところが、その日の朝まで私のところには国会班を通じて連絡があったんですが、できませんと、まだその資料が届いていない。現に委員会では私の要求したとおりの資料を作成して、それを手にして私の横で答弁しておりましたが、そういうふうにきわめて明らかにサボタージュしている。だから、ない資料を要求した場合に、日にちがかかるとか、あるいはこういう範囲内しかできませんという話は当然あることでしょう、それは了解するのですが、そういう実際に、先ほども申し上げたのですが、もう少し、官房長の責任になるかどこが責任になるかわかりませんけれども、吉江さんも言われたように、たとえば私学振興会法を改正して各種学校にも助成金を出すという形になれば、理工系は全国どのくらい数字があるとか、あるいは予定しているものは各県にどういうものがあるとか、あるいはその他のものはどういうものがあるとか、そういう法案の審議と直接、だれが考えても必要なものは、一々委員会を通じて要求しなくても、他の委員会でもそういう例があるのですから、積極的に資料を出して審議の用に供しながら法案を早くあげてもらいたいという、そういう気持がなければいけないと思うのです。これは今国会になりまして特に資料提出の怠慢と言いますか、不手ぎわが重なり過ぎております。この点を今後は厳重に、それぞれの所管がありましょうから、注意していただいて、以後そういうことのないようにやっていただきたいと思います。
  46. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) おっしゃるとおりだと思います。私の責任でそれをひとつ推進するように努力をいたします。
  47. 小林武

    小林武君 大学付置の研究所についてお尋ねいたします。共同利用研究所というようなものが、既設のものがたしか九つあると思いますが、さらに新設されるものが三つこの法律案によって出ておるわけでございますが、共同利用研究所の必要感というようなものがますます多くなってきたと言いますか、高くなってきたと申しますか、そういう感じがするわけでございますけれども、その必要とする理由一体どういうところにあるのか、大学局長お尋ねをします。
  48. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来、大学における学問研究の形といたしましては、大学の各学部でやるもののほかに、たとえば数学部にわたるようなもの、広範囲なものについては大学の付置研究所で研究をするというたてまえであったわけでございますが、しかし最近の、ことに戦後の学問研究の発達進歩と申しますか、非常に速度が早いばかりでなく、規模も非常に大きなものになってまいりました。この規模と申しましても、単に施設設備ばかりではなしに、たとえば学問研究所の領域も非常に広範囲になるというようなことがしばしばございます。こうした場合に、わが国のその方面の専門の学者、それぞれの大学に教官としておられるわけでございますが、これを一つのまあ研究網というものを組織いたしまして、所属する大学は別であっても、共同研究ができれば非常に学問の進歩の上で効果が大きいということから、日本学術会議等におきましても、共同利用の研究所というものの設置を勧告されたわけでございまして、その勧告の線に沿いまして、文部省といたしましても、その勧告を受けて、従来、大規模な大学にそれぞれ幾つかの共同利用の研究所をつくってまいったわけでございます。今回の国立学校設置法の一部改正で御審議をお願いしております三つのものにつきましても、ただいま申し上げましたような趣旨であることは、前のものと同様でございます。
  49. 小林武

    小林武君 いまの御説明で非常にはっきりわかったのでありますけれども、研究の単位が、もう大学からさらに広がっていったということ、一つ大学という単位から広まっていったということは、これはいまの御説のように、研究の設備の問題もありましょうし、領域の拡大の問題もありましょう。さらにそれを一つの組織立ったものにしようという、そういう考え方もある、これは当然のことだと思うのです。そうすれば当然私は共同利用研究所というものが、今後さらに発展するといいますか、これに重点を置いていくというようなことが考えられると思うのでありますが、そうしますというと、この共同利用研究所の当面している一体問題点は何かということが、将来の発展の上から、研究所の発展、すなわち学問の発展の上から非常にわれわれの関心を呼ぶわけなんです。で、私はその大学の自治の問題と、それから研究所の運営管理の問題、そういう問題で、いわゆる大学側と研究者グループといいますか、そこに集まっている研究者の方々との意見の間に若干の意見の相違があって、そのことが共同利用研究所のやはり一つの当面する大きな問題だと、こう聞いているのであります。こういう点については、文部省一体どういう問題の把握のしかたをしているのかということをお尋ねしたいわけです。
  50. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 共同利用研究所がスタートいたしまして、現在までまだ数年でございますが、この運営について、私どもも一部の方から、まあ欠点もあるというような御批判を承ったこともございます。しかし、私ども自体として、これをどうするということでなしに、それぞれ共同利用研究所に関係しておられる専門の教官なり、あるいは研究者に集まってもらいまして、共同利用研究所の運営に関するいろいろな懇談を実はいたしました。で、ただいま申しましたような、いわゆる学問分野の中の批判等も、率直にその会合に私どもから披瀝いたしまして、御意見を求めたこともございます。共同利用研究所の管理運営に関して、その付置された大学との関係につきましては、いわゆる付置研究所と違いまして、この共同利用の研究所につきましては、特に運営委員会というようなものを設けまして、この運営委員には、その付置された大学の専門の教官並びにその大学以外のいわゆる関係者の方にもその委員になってもらいまして、両方から意見を出し合って管理運営の根本的な相談をしてもらうということにいたしております。したがいまして、そういった共同利用研究所では、いわゆる研究計画と申しますか、どういうテーマのものをどれだけその年度ではやろうというようないろいろな研究計画も、基本については、この運営委員会等で相談をしてもらうということでやっておりまして、こういった制度をつくりましてからは、ただいま申しましたような、いわゆる共同利用研究所に関する批判というものは大部分は解消されたものというふうに私思っております。
  51. 小林武

    小林武君 局長お話を聞いておるというと、たいへん安心しておるような状態にあるように聞こえるわけなんですね。ちょっと私から見れば楽観的に過ぎまして、この問題は、あるいは学術会議なり、その他研究者の間で、いまかなり真剣に討論されておる状況とはかけ離れておるように考えるわけです。そういうことについては少し具体的にあとで御説明をお願いいたしますけれども、原子科学研究所が設置されたとき、東大と文部省との間に覚え書きがかわされた。この東大の五原則といわれる覚え書きというのは、一体そういう管理運営に関するいわゆる大学側の要求、あるいは文部省側の要求というようなものが盛られておると考えられるわけでありますけれども、その際の覚え書きというのは一体どういう内容についてやられたものですか。
  52. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) まあ私その当時直接関係はいたしておりませんでしたけれども、覚え書きということも聞いたこともございます。ただ私の存じておる範囲では、要するに、こういう巨大な共同利用研究所が付置された場合に、たとえば施設設備に要する経費、あるいは運営に要する経費、こういうものもかなり巨額なものになりますので、それで東京大学なら東京大学本来の、自体の経費を圧迫するというようなことになると非常に困る。したがって、そういうことだけは絶対にひとつ避けてもらいたいというのが覚え書きの御趣旨であったように私は承っております。直接この共同利用研究の管理運営に関する原則についての覚え書きではなかったように考えております。
  53. 小林武

    小林武君 そういう、いわゆる何といいますか、予算面といいますかね、そういう面だけからの問題ではないように聞いておるのですがね。東大五原則と称せられて、これはもうその筋の間ではみんなそれぞれ理解されておる事項のように私は聞いておるのですがね。私がなぜそういうことを聞きますかというと、やはりいまの共同利用研究所というものが、ほんとうにやはりわれわれが期待するように発展していくためには、やはりそのときに東大側なら東大側で、一体どういう問題点をそこに感じておったか、大学の自治というようなものと、この共同利用究研所との関係において、こういうことだけは明らかにしておかないと、将来あとで問題が残るということで、そういうことをやられたと思うのです。文部省もそういう観点からこの覚え書きを交換したんだと思うのですがね。そのことが明らかにされないということですね。現状のままいろいろ問題点というものを、とにかく克服することができないんじゃないかと、こう考えたものですから、私はそういうような予算面だけのことならば、逆に大学が研究所に圧迫されるというよりかも、研究所が大学に圧迫されて困っているという話を聞いたと思うわけなんです。研究所の出した予算大学の側からひねりつぶされちゃって、同じものを要求したのに、大学側にはこれが入ったけれども、研究所の中には入らなかったというような事実も、これは聞いているわけなんです。そういうことを考えますと、もっと、どうなんですか、何かないんですか、具体的に文部省としては記録に残っておるのですか、こういう重要な問題で、八カ所も九カ所もいままであるわけですしね。これから三カ所もつくるのでしょう。そうなれば、この問題は、覚え書きというのは、経費の問題だけでちょっと話し合われたという程度のものでは、いささかお粗末であるというような感じもするのですよ。で、決してこのことでいやみたらしい質問するという意味ではなくして、私は共同利用研究所というものは、非常に大学の付置の、従来あった研究所よりかも一そう、これはやはり学問の発展のためからいえば、重要視しなければならないというような気持も私はするわけです。そういう意味で、問題点があるなら、やはりここで解明しておく必要がある、こういうことで質問しているわけですから、東大五原則と言われているというのだが、その五原則とは何なんでしょうね。私が考えただけでも、予算とか人事とかいうようなものがあると思うのですよね。二原則くらいまでわかったんだけれども、あとの三原則というのはどんなものか。これはしろうと考えでも二原則くらい考えられる。経費だけというのは、大学局長、あんまり小な過ぎると思う。
  54. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 原子核研究所ができた後にも、御承知のように東京大学では物性研なり海洋研もできております。それから、それ以外の大学でも共同利用の研究所ができておるわけでございますが、その後に、そういった際にも、たとえば、ただいま御指摘のございました覚え書きを特に交換してというようなことはございません。ただ、いずれの際にも、たとえば海洋研をつくりました際にも、だんだん共同用研究所がふえてきて、その予算はもちろん重要だけれども、それが重視されるために、大学本来の教育研究に必要な予算が取れないというようなことでは困るから、共同利用研は大学に付置されてはおるものの、これとは別ワクのものと考えるような気持で、大学本来の予算を取ってもらいたいという御要望はございます。しかし、ただいま御指摘のございましたような覚え書きによる五原則というようなものについては、私はいまのところまだ存じておりません。
  55. 小林武

    小林武君 そうですがね。ひとつ宿題と言ってはおかしいですけれども、これはお互いの間で、私はよくわからないですけれども、これはもう皆さん関係者が言ってるんですね。東大五原則というようなことを言ってることでありますから、だからやはりこれ、いまでなくていいですよ。いずれこのことをやっぱり明らかにして、われわれにもはっきりしておいて、そして共同利用研究所というものの将来の発展のために、やはり問題点はひとつ解消するというような角度で調べておいてください。  そこで、五原則はわからなかったけれども、一番ぼくが感じたのは、人事予算ですね。これはかなり問題が起こるのではないかと思うのです。このようなやり方でいけば、大学側も、共同利用研究所側も、管理運営といえば、その中で人事、予算というものが一番問題があるのではないかと考えるのです。この点について、共同利用研究所の予算というのは大学を窓口にして出すわけでしょう、ですから、私は大学が被害者になるというよりも、共同利用研究所のほうが被害者になる場合が多いと、これは大体想像するわけですね、そういう点で、問題点があるなら、やはりここで大学局長から率直な御意見を承りたい。  もう一つは、予算もそうですが、定員のワクなんかも、これも直接、共同利用研究所にそのままこないと思うのです。これはやはり大学を通してということになりますので、だから、予算面の問題が非常にあるのではないか、これをひとつ。もう一つは、人事に問題点がないかどうか、共同利用研究所の人事面、この点について、この二つについて大学局長から御説明をいただきたい。
  56. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 共同利用研究所は、法的にはそれぞれの大学に一応付置された形になっておりますので、たとえば、予算につきましては、それぞれの大学を通じて文部省のほうに要求されるというのは御指摘のとおりでございます。ただ、その場合に、たとえば大学がそのために研究所に圧迫されるとか、あるいは研究所のほうが被害者になるとか、そういう事態は起こらないように、できるだけの理解は取りつけて実はやってきておるつもりでございます。大学のほうから提出されたものについて、単に大学当局者だけの御説明だけでなしに、それぞれの専門の領域の先生方の御意見等も承る機会等も実はあるわけでございますので、いま御指摘のございましたように、むしろ研究所のほうが圧迫されて被害者になるであろうということでございますが、現実にはそういう事態は起こってきてないと思います。定員のワクも、これは当然大学の中に包括されておりますが、しかし、予算ではっきり共同利用研究所の分としての定数は出てくるわけでございますし、と同時に、省令等におきましても、その共同利用研の定数というものは、その大学本来の定数とは別ワクになっておりますので、大学のほうからは、悪いことばかも存じませんけれども、研究所のほうが圧迫されるというような事態になっておらぬと思います。具体的の人事の問題につきましては、これは共同利用研の所長さんのほうから内申されるという形になっております。もちろん大学との連絡もあろうと思いますが、この人事については、先ほど申しましたような運営委員会等で、その所長が中心になって専門的な立場からいろいろと御相談があってのことだと思います。特に付置された大学の都合によって、その共同利用研のほうの人事が歪曲されるという事態は起こらないと思います。
  57. 小林武

    小林武君 局長としてみれば、人事の上でもたくさん問題があります。予算の上でもたいへん問題があって困っておりますということは、これはおっしゃりにくいだろうと思います。そういう意地の悪いことは言いたくないのですが、だけれども、ちょっと表面的な見方ではないかと思うのです。たとえば、京都大学に付置されている共同利用研究所で大型電子計算機を要求したことがあります。このことが、大学の窓口を通すということのために、これがどうも削られてしまいまして、逆に、逆というわけではありませんが、京都大学工学部のほうには電子計算機が入ったというときに、たいへんショックを受けたと、研究者の間からこういう問題を聞いているわけです。やはりそれなんかは、ショックの受け方の問題なんですけれども、やっぱり相互にショックを受けたということになりますと、片方に入って片方には入らないということになると、大学に付置されているというこの状況の中では、被害者はどうしても共同利用研究所だと私は思うんですよ。これはどう考えてみても、どんなに公平に考えても私はそうなると思う。だから、全然問題ないというふうにお考えにはなっておらないと思いますけれども、あまり何といいますか、現状というようなものを甘く見られないというようなことが必要じゃないかと思うのです。人事の面についても、これはいろいろごてごて言えば問題がありましょうけれども、私はここでは言いませんが、先ほどから申し上げているように、将来、共同利用研究所というものをどう発展させるかということでは、私は大学局長自体もよく御存じだと思うんですよ。とえば、あなたのこれはあれですか、諮問機関になるわけでありますか、国立研究所協議会。この国立研究所協議会という諮問機関で、共同利用研究所の運営をどうするかということで、人事も予算も含めて諮問をされたことがあるのでありますか。
  58. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 国立大学研究所協議会は、共同利用研に関しましては、現在のような形態でいいか、現在のような運営方法でいいかというようなことについて、専門家に意見を出し合ってもらったのでございまして、具体的に個々の研究所の人事とか、あるいは予算の一々こまかいことについて意見を承ったことはございません。共同利用研が欠点があるならば、どう是正すべきだとか、あるいは現在の形態をどう将来発展させるのが最も妥当であるかというような点について御意見をいただいているわけでございます。
  59. 小林武

    小林武君 その小委員会が持たれたことは事実ですね。——持たれて、その小委員会の責任者は武藤さんという方ですか、その武藤さんが第一次の中間報告というようなものをお出しになった。その中に一体どういう問題が大体結論として出たのか、中間報告として。その出た結論というようなものが、いまの共同利用研究所の問題点というものを私は多少とらえているんじゃないかと思う。一体どういう問題点がその中に出たのですか。
  60. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 共同利用研究所は現在の形態では、それぞれ付置された、たとえば東京大学とか、あるいは名古屋大学というものに付置された大学に属しているような形になっておりますが、こういう形態でなしに、どの大学にも属しないような共同利用研究所というようなものが法制的にできないだろうか、そういうものを研究する必要があるのではないかというような御意見が中心であったように思います。
  61. 小林武

    小林武君 共同利用研究所というものは大体二つに分けるというわけですね。大学に付置されたものと、それからいずれの大学にも属さないというか、何にも所属しないところの共同利用研究所、こういうものに二つに分けると、そういう問題もあったでしょうし、あるいは運営の公正化という問題もあったというふうに聞いていますね、運営の公正化の問題。あるいは共同研究推進会議というようなものについて一体どうしたらよいか。その委員の推薦はどうしたらいいか。その委員の推薦というのは、ちょうどこの共同利用研究所の学長とでもいうような者を選ぶということの意味であって、それは複数の制度であるというような、なかなかわれわれにはちょっとよくわからないような考え方もその中に盛られていると聞いているんです。そういう点ですね。私はこういう点を私なりに見るというと、やっぱり問題点をついているような気がするんですね。運営委員会というようなものを、先ほど大学局長さんは、大体すらすらいっているというような、まあ一言で言えばそういうお話ですけれども、運営委員会というものは、やはり問題点をたくさん持っているというようなことをその中にあらわしている。さらに、委員の推薦にあたっては、国大協の推薦を何人とるというようなことをうたっていたりするのを見るというと、やっぱりずいぶん、複数の学長みたいなものだから、非常に慎重にやっているというようなふうにも考えられる。それから、そこの研究者というものは、特定の大学に属さない教官にするというようなことについても、そこで議論された、こう聞いておるのです。これはあなたの諮問機関である国立研究所協議会というところでやられた案であるということを聞いておるのです。さらに、学術会議でもこの問題について委員会をつくって、桐根さんがやられておるということも聞いておるのです。この点についてはどうなんですか、御存じでありますか。
  62. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学術会議のほうで研究態勢についていろいろまあ相談をしておられるということは聞いておりますが、具体的な報告はまだ承っておりません。
  63. 小林武

    小林武君 いや、この具体的な、文部省にこうしましたというような報告は別といたしましてね。あれですか、学術会議で議論をされて、外部にすでに発表しているようなものが文部省では全然わからぬというような状態にあるのですか。
  64. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学術会議は、総会等には御招待がございますけれども、一々のいろいろな委員会にはお呼び出しがございませんので、私のほうから必ずしも全部に出ているわけではないわけでございます。
  65. 小林武

    小林武君 全くちょっと不思議な感じがするわけですがね。まあ情報を盗んでこいとまでは言いませんけれどもね。学術会議といったら、これは皆さんとはまるで縁もゆかりもないものだとは私は思わないのです。縁もゆかりもないどころか、きわめて密接な関連を持った一つ学術会議というような機関でしょう。そこで、たとえば、まあ結論が出なくても、一つの案が、もちろんそれは下部討論を含めての意味でしょうけれども、そういう前の一つの結論が出ましたら、御存じないというのは、ちょっと私は学術会議を皆さんが軽視していらっしゃる、こう誤解したいのですがね。私は学術会議を軽視するというような傾向がどうも文部省にもあるのではないかという心配をいま抱いたのです。科学技術の関係の技術庁関係のことを考えても、学術会議というものをどうも十分に活用するというような立場をおとりになっておらないというような感じがするのです。何かこう、これを疎遠にしてしまうというようなやり方、学術会議の機能を十分発揮させるというのではなくて、学術会議と別個のものによって何か日本の学術振興というものをお考えになるというような傾向があるやに実は心配をしておるものなんです。いまお伺いして、非常に私は、大学局長がそういうことを考えられておるわけでもないだろうけれども、非常に心配なのは、この梅根小委員会ですか、委員会において一応の結論を出している、こうわれわれは聞いているし、知っているわけです。そうしてその結論は、少なくとも武藤さんのところへ諮問されたこの委員会のあれには、かなり修正的な案を出した形のものであるというようなことも聞いておる。それをあなたたちは、正式な文書をもって報告しないから知らないというのか、それとも全然、いや、いま初耳なんだというようなことなのか、非常に私はふしぎでたまらないわけですよ。もし初耳であるというようなことであるならば、これは局長、あれですよ、ちょっとおかしいですよ。そういうことであげ足を取りたいなんという気持一つもありませんけれども、そういうことでは大学のいわゆる共同利用研究所というものの問題点は私は解決できないように思うのです。もっと積極性があっていいと思うのですが、全然お知りになりませんか。
  66. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど申しましたように、学術会議でこの共同利用の研究、情報を含めて研究体制等について御相談があっておるということは私どもも承っておりますが、一々のその委員会に私どもからまいりまして、たとえば文部省としての意見を言うという立場でございませんので、正式のことは公式に聞いておるというわけではございません。それからもう一つ学術会議を軽視しておるんではないかというお尋ねでございますが、学術会議は御承知のようにそれぞれ学問研究の専門家が集まっていろいろな問題を研究する、こういう国家機関でございまして、ここでいろいろ検討されましたことについては、もちろん文部省としても十分尊重して、措置を要するものは措置してまいっておるわけでございます。先ほど来お尋ねのございます共同利用研究所にいたしましても、あるいは物研センターを新たに設けるということにいたしましても、すべて学術会議で正式に御決定になりまして、政府に御勧告のあったものについて実施の措置をとったわけでございまして、私どもとしては決して学術会議を尊重しないというような気持は毛頭ございません。
  67. 小林武

    小林武君 尊重しないというようなことが、またこう然として言われたら大問題だと思いますがね。結果的に言えば、あまりいい関係ではないと思うのですね。共同利用研究所ができてからかなりの年月を経て、しかも先ほど来申し上げておるように、だんだんこれがふえてきておるということ、これはもうやはりそのものについての値打ちをみんなが認めて、だん、だんそうなってきておると思うのですが、また研究者自体も研究者を単位とした横のつながりといいますか、そういうものが学問の発展の上から非常に重要だということを自覚して、そのことについて協力体制をますます深めてきていると私は思うのです。だから、そういう点ではこの大学に付置されておる共同利用研究所というものを、われわれはやはり全体として発展させる方向に持って行かなければならぬと思うのです。そうすれば、いまここで一番問題になっておる点を、われわれがやはりその問題点を解消するということが一番大事だと思うのです。そういう点をお考えになったから、大学局長も、これをあなたの諮問機関であるところの国立研究所協議会に諮問なされたと思うのです。そうすれば、同じようにやはり研究者でありますから、学術会議の中でもその問題を取り上げて委員会をつくられて、土台は国立研究所協議会の案を中心にしてやられたように見受けるわけです。そうしますと、この学術会議の検討、一応の結論というようなものについて深い関心を持つというのが当然じゃないかと思うのですよ、私に言わせれば。共同利用研究所というものを非常に重視するという立場から言えば、当然その結論に関心を持つ。そうして、しかもその内容から言うと、私はこれ、かなりおもしろい形が出ていると思うのですね。あなたのほうの諮問機関でやられたあれには、現在あるように大学付置でなく、大学付置のものとそうでないものをつくったらどうかということを一応出している。今度は学術会議にいくというと、これは全部やっぱり大学付置ということをやめたらいいじゃないか、こういう研究所単位というところに全重点を置いて研究所というようなものを考えられておる。そうすると、これは問題はやはり大学付置という場合に起こっておる運営上、管理上のいろいろな諸問題を考慮した上で、実際の研究に携わっておる方々がこういう考え方を出したとすると、私はこれをそう皆さんがきめなければならぬとは思わないけれども、非常に参考になる意見じゃないかと思うのです。それについて、どうも大学局長さんを初め、あなたのその局内においてのこの問題に関する何といいますか、関心の度合いというものはわりあいに薄いように思う。非常に残念だと思います。国立学校設置法の一部改正に関する法律案が出てきたとすれば、付置研究所の問題が出てくる、われわれがこの問題については非常に関心を持つのは当然なんです。ところがあなたたちのほうは、どうもあまりそのことについて十分なるというか、関心を持ったり心配したりすることはないようだ。何か悪口を言えば、つくればいいじゃないかという式のもので、将来うんと発展させるということについてはあまり熱意がないんじゃないか、そんなら反対したらいいじゃないかという結論にはいかないだろうが、やっぱりお互いに熱意を持ってやらなければならぬということになっていないと工合が悪いと思うんです。そういう点私は非常に不満を感じましたけれども、ここではこれ以上質問はいたしませんが、ひとつ十分御検討いただきたいと思います。やっぱり共同利用研究所というのは日本の学術振興の上においてこれは一つの新しい型でありましょう。そのものをよくするという意味で虚心になって御検討いただいて、よりよく発展させれば、皆さんがお出しになった法律の趣旨にも合致するんじゃないかと、こう考えるわけであります。それと一つ、あとちょっと簡単に質問いたしておきますが、これもまあ勘ぐっていえば、あまり問題ないとおっしゃるかもしれませんが、宇宙航空研究所の問題ですけれども、ここでどうなんですか、たとえば科学技術庁と宇宙科学研究推進本部ですか、何かありますね、そういうものとか、この科学技術庁と文部省との関係ですね、そういうもので、どうも研究の一元化といいますか、そういう点ではどうなんですか、問題点はございませんか。
  68. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 今回の改正法で東京大学に付置しようとしております宇宙航空研究所は、これはやはり宇宙科学に関するいろいろな分野についての基礎的な研究を主にするわけでございます。大学の学問研究からいって、これは当然のことでございますが、科学技術庁のほうのおやりになる、いわゆる宇宙科学の研究というのは、まあいわば応用面が主になるわけでございまして、御承知のように、科学技術庁所管の航究宇宙技術研究所というのがございまして、ここはいわば何と申しますか、実用化的な面に中心を置いておる、したがって、それぞれまあ名称は類似しておりますけれども、中身は私どもは違っているものというふうに考えておるわけでございます。すなわち、基礎研究と実用化研究の差がある、これを私どもとしては無理に統合しなければならない、一本化しなければならないというふうには考えておりません。それぞれ専門の領域について十分効果がある研究をしていけば存在の理由はあるだろうというふうに考えておるわけでございます。
  69. 小林武

    小林武君 ごもっともな御意見だと思いますが、一つ最後に御要望を申し上げますけれども、これはある研究者の非常に心配している話なんですけれども、まあその研究者の研究分野というものは、もう各省それぞれにまたがっているといいますか、ある研究所を持っているのですね、各省が全部拾い上げると十幾つにもなるそうであります。ところが、この間の横の連絡というものが全然ないので、相互の間に何を研究しているか見当もつかぬというような実情にあるという話を一度聞いたことがあるわけなんです。私は科学技術特別委員会にも出ているわけでありますけれども、若干やはり文部省と科学技術庁の間にも、やはりもっと研究その他に関する機構について検討する余地があるのではないかということを考えるわけなんですが、今度たとえばその宇宙航空研究所ですか、というようなものがつくられた場合において、宇宙航空研究所がつくられましたときに、一番先に考えるのは、科学技術庁と文部省とがどういう連絡を相互にとって、総合的にひとつこの分野の研究をおのおの補い合いながら完成していくかということにあると思うのでありますが、そういう点については、これはあげ足とりの意味でございませんから、十分ひとつ御検討をいただいて、十分に効果をひとつあげられるよう希望するものであります。私の質問、これで終わります。
  70. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、前年度の国会におきまして、この種の法案を審議する際に、米田委員の質問に答えまして、単に工業高専だけでなくて、農業、商業等も拡大していきたい、こういう見解を表明されたのですが、この方針は現在文部省として変わっておりませんか。
  71. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 高等専門学校を工業に限らないで、農業その他の方面にも拡大していきたいというお話があったそうでございます。これは私は相当長い目で見ました場合には、工業高等専門学校に限る必要はないと思います。国家、社会の必要に応じまして、このワクを広げてまいるということは、文部省として考えなければならないところであると存じますが、当面の問題ということになりますれば、豊瀬委員承知のように、あるいは農業高等専門学校をつくったらどうか、あるいはまた水産方面のそういうものをつくったらどうか、商船方面考えたらどうかというふうな御意見はございます。われわれとしましては、この問題については十分検討をいたしまして、そうして日本としてこれをつくっていく必要があるというふうな考え方に立ちましたときに、ひとつ改正をお願いしよう、このように考えておる次第で、目下まだ具体的にどの方面に広げていこうというふうなところまで結論は持っておりません。いろいろな御要望、御意見もございますので、検討をする、こういう段階でございます。
  72. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現段階において、すでに検討の時期に入っているということでしょうか。それとも、いつの時期にどういう種類のものを増設していくかということは将来の課題であると、わりあいにばくとしたものでございましようか。
  73. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) これは私のつもりでございます。この問題につきまして、いま直ちに広げようというような結論には到達しておりません。今後さらに検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
  74. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 高専の各校に参りますと、新しい意図に基づいて発足したのだから、もっと予算面において、あるいは特に学校運営について自主性が尊重されると思っていたが、非常に文部省の干渉というか、監督というか、きびしいと、こういう意見を述べる学校が私の知っている限りではわりに多いのですが、大学とは異なりますけれども学校教育というのは、その学校の自主性ができるだけ尊重されていくことがより効果をあげ得ると思うのですが、原則的に大学と同様にと言ったら大臣の答弁もちょっと窮屈になると思うのですが、高専に対する学校運営の自主性の尊重ということに対しては、大臣としては基本的にどういうお考えでしょうか。
  75. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) われわれとしましては、現在この立場といたしまして、この法律に基づいてやってまいるわけでございますが、具体的にどういう点がどうなのかよく存じませんけれども、たてまえから申しまして、学校教育のことでもあるし、しかも高度の専門教育をやるところでありますので、文部省の行政官がかれこれ干渉がましいことをするということは慎まなければならぬと思っております。その意味におきましては、どこまでも各学校教職員の諸君が、何と申しますか、自由に創意工夫を働かしていただいて、そして業績をあげていただきたいと、このように存じます。何さま設立当初のことでございますので、いろいろ双方に往復しなければならぬ問題も少なくないと思います。その点は御了承をいただきたいと思いますが、心持の上から申しますると、文部省の行政官がいたずらに干渉するということは差しひかえるべきものと、かように考えております。
  76. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長お尋ねしますが、職員構成というか、人事構成ですね、これは現行の配当率程度でよろしいと考えておられますか、ある時期をみたらもう少しゆとりのあるといいますか、教授、助教授、その他増員していくことが望ましいという考え方ですか。
  77. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 高等専門学校教員の組織編制に関する問題でございますが、当初、一応の完成年次までの計画を立てて、その学年進行分を年々予算要求をしておるわけでございます。いままでに私どもとして気づきました点は、たとえば常勤講師というものをかなりの数を要求しておったわけでございますが、年次がたちますと、やはりこの専任講師を助教授に格上げするというような必要が生じてまいりましたので、すでに発足後三年目になります学校につきましては、三十九年度の予算でその格上げを予算措置をいたしたわけでございます。学年進行が進みますにつれまして、多少今後も手直しは出てくると思います。また必要な先生の要求もあるいは学校から出てまいるかも存じませんが、もしそういうものも十分検討して、理由がありますれば将来措置したいと思います。
  78. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、これも荒木大臣当時の当委員会における答弁ですが、原則としてというか、大体のかまえとして、少なくとも各県にこの程度の高専、工業高専はできるだけ早く設置していきたい、こういう方針でしたが、これも踏襲されておりますか。
  79. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) まあ大体の心持ちといたしましては、私も同じような考え方をいたしております。
  80. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その際に、現在のように土地が地元提供という形を依然として踏襲されますか。それともできるだけ早い時期に、国立学校ですから、土地その他のものについては国が負担するように努力していくおつもりですか。
  81. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) たてまえ論から申しますれば、国が必要とする施設をこうしてまいらなければならないことは当然のことであります。今日までの経過から申しますというと、非常にこの高専の設置ということについて地方の方々が熱心に要望せられまして、いろいろな条件を地方でそろえていただいて、そうしてやってまいった。したがって、ある意味からいえば、高専の設置ということもわりかたスムーズにできたというふうに思うのであります。今後の状況はどういうことになりますか。はたして従来のごとく熱心な御要望があるものかないものか、これもわからないのでありまして、いずれにしましても、政府としましては、無理な負担をかけるとか、あるいは負担の割り当てを行なうとか、そういうふうなことはもちろん避けてまいらなければなりません。いわゆる積極的な、自由な意味における浄財ならば私どもちょうだいしていいと思います。それ以外のものを当てにしてやろうとは実は思っておりません。
  82. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 再度お尋ねしますが、まだ現段階では土地等についても国庫で負担するという方向をとってはいない、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  83. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今年度に設置せられるものにつきましては、もうすでに御承知のとおりの状況でございます。別に土地等については国が負担しないでも済んだというような形でございます。今後設置する問題につきまして、やはり財政その他の関係もございますので、建てる以上は、文部省としましては、そういうものを当てにして建てるというふうな態度はとるべきでないと思うわけであります。実際問題としてどういうふうな形にあらわれてまいりますか、この点は何とも申し上げかねる状況であります。
  84. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 浄財だから受けたいとお考えですが、まあまさか不浄財と寄付したり提供したりすることはないと思いますが、各地域がこぞって希望しているからということで地元負担という形をとられないで、できるだけ国が持つように努力願いたいと思います。  局長お尋ねしますが、有明高専につきまして、当時、誘致促進期成会的なものがつくられて、そこで土地は提供するという話で進んで、すでに設置されたのですが、現在、熊本、福岡両県の地元のほうで、この土地提供の資金といいますかね、このために紛争を生じておるのは御存じですか。
  85. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 有明高専の敷地につきましては、これは当初の予定は、地元産業界のほうで土地の取得を了するという形でございました。ただ、その後実際にその当初予定されました土地が必ずしも地元の期待したように円滑に進捗いたしませんで、場所が変わりましたが、しかし、その変わった場所につきましては、地元の大牟田並びに荒尾市で御あっせんくださいまして、設置等も円滑に進んで、建築もやっておるわけでございます。ただ、その地元における両市の負担について、特にもめておるとか、あるいは紛争が生じておるということは全然私ども伺っておりません。
  86. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私はその負担がもめておるように聞いておるのですが、それを調査しておいていただきたいのと、最悪の場合、すでにそちらが、地元負担するからということで学校をつくったのだ、だから、そちらで解決しなさいということじゃなくして、もしそのことによって、当該学校に入学しておる父兄負担の割り当て寄付的になってみたり、強制寄付的なことがその地元において行なわれることがないように十分の御指導を願いたいし、同時に、最悪の場合には国が負担するということも、あわせて考えておいていただきたいと思います。  次に、大臣にお尋ねをしますが、この今回設置されました久留米高専についてですが、これは過ぐる委員会におきまして、高専の設置の法案と付属高校設置の両案が国会に提出されました。で、その際に文部省の答弁が食い違いをいたしまして、最終的には文部大臣は、工業短大は短大として存続していく、付属高校を高専に切りかえることはやらない、こういう答弁を行なって、本委員会としては理事会の話し合いの結果おさめたのですが、その後いろいろな事情が変わったとはいえ、国会において答弁をした基本方針を変更するということは、これは好ましくないことであると思うのです。このことについて大臣の所信をお聞きしたいと思います。
  87. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 国会におきまして政府が言明いたしましたことがみだりに変えられるべきものではないと、私もさように存じます。今回の場合は、国立高専にすることが適当であると考えまして、このようにいたしたわけでございますが、将来十分に注意をいたします。
  88. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 午前中に小林委員からも質問されたことですが、まだ、北見ですか、工業短大が残っていますね。これについて、地元は四年制の大学になりたいと言っておるのですが、文部省がやはり工業短大は高専に切りかえる予定であるという方針のもとに、高専大学に押しつけるというか、強くそれを要求しておるという態度は全然ありませんか。
  89. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 北見の工業短大を、地元としてはできれば四年制の工業大学にしてもらいたいという御要望がございます。これは北見市並びに道東地方の関係者の方の御希望でございますか、これについては、私ども産業立地の関係その他の関係から、いま直ちにこの方針を取り上げるということにはいたしておりませんが、将来の問題として検討させていただきたいと思っておりますが、北見工業短期大学を工業高専に移行させるというような考えでこれを指導しておるというようなことは全然ございません。
  90. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その想定のもとに北見短大のある地域において、他地域で工業高専の設置を要望した際には、北見をなしたいというあなた方の意思が、新たな設置を阻害するということはありませんか。
  91. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 北見の将来の問題は学校当事者なり、あるいは御関係の方々の御意見を十分検討してきめてまいりたいと思います。北見の工業短大を別にいたしまして、道東方面に工業高専を設置してもらいたいという御希望につきましては、もしこれが、同じ北見に工業高専をつくってくれというようなお話でございますれば、その際はまあ比較的目的の相似たような中堅技術者の養成機関でありますから、まあいかがかと存じますが、別の場所でありまするならば、北見工業短期大学はそのままにしても、別に工業高専を設置するという問題は検討し得る問題かと思っております。
  92. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、次官は、これまた小林委員の質問に対して、後日ということで避けられたのですが、短大を制度として恒久化しようとする意図が文部省にありますですね。このことと工業短期大学ですね、これを二つくらいつぶして高専に切りかえたと思うのです。今後、工業短期大学を短大恒久化と関連をして増設していく方針か、あるいは工業短期大学はこれ以上ふやさないで、いま局長が言われますような趣旨から高専でいきたい、こういうお考えか、いずれでしょうか。
  93. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 工業短期大学の問題ということになりますれば、私は国立工業短期大学をただいま増設するということにつきましては、まだ結論を持っておりません。いま直ちにこれを増設しようというような考えもございませんし、私また、しろうとでありますので、よくわかりませんけれども、これを全然否定しようというような考え方もいたしておりませんけれども国立の問題につきましては、私は必ずしも二兎を追うことがいいのかどうか、ここに問題があろうかと思いますが、一般の短期大学ということになりますれば、これはやはり設置者の希望といいますか、意思というものを尊重して、短期大学を選ぶ場合には、それによって相談をしてよろしい、あるいは工業専門学校をつくりたいということであれば、それによって検討してよろしい問題ではないか、このように考えます。
  94. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 高専が新たに設置されたとき、私どもいろいろな角度から論議したことですが、発足して、実際の学校経営、教育内容にとっても、そのとき私ども指摘した内容がやはり正当であったと判断するのですが、工業高専の特質はそれぞれあると思いますが、欠点を補う一つ措置としてですね、たとえば九州に一校とか、ブロック単位に一つとか、たくさんできておるところはしかるべき個所にというように、高専のアドバンスト・コースですね、これをつくって、各高専からさらにより高度の技術、知識を習得したいと考える者がそこにいって仕上げをし、高度のエンジニアとしての力を養成していく、こういうことが必要であろうと思うのですが、高専のアドバンスト・コースについて検討を加えられたことがあるかどうか、あるとすれば、どういうお考えでしょうか。
  95. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、現在の工業高専は、中学校卒業後五カ年間の修業年限で仕上げをするということになっております。一応この五カ年の修業年限の後にさらに上級の大学に行きたい者も出るかもしれぬということを予想いたしまして、大学の編入学の資格というものについては法律できめておりますが、ただいまのお話の、いわゆる高専自体の上級課程と申しますか、アドバンスト・コースというものについては、現在まだそういった学年進行の状況にきておりませんので、私どもとしてはまだ問題といたしておりませんが、将来いろいろ学校当事者その他の御意見も聞きまして十分検討さしていただきたいと思います。
  96. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 高専の求めるものが何であるかは、あなた方は十分御承知ですが、やはり若干短期間の中に、わりと盛りだくさんの教育が行なわれておることは御承知のとおりですね。同時にそのことによって即決的な要請としては、需給に応じてという面の特徴はありましょうけれども、科学技術の発展のテンポから見まして、単に大学に編入できるということでなくして、高専の持っておる欠点を是正して、より有能なエンジニアとして育てていくためには、やはり高専の上に、いま申し上げましたようなコースが必要でなかろうかと思うのです。このことは、いま高専卒を求められておる社会の要請に即応することはできないという問題は生じてきましょうけれども、やはりもっと高度なエンジニアとしての能力が、長期の見通しの中ではより生産に貢献し得ると思うのです。こういう点を十分考えられまして、すでに発足して二年ですか、三年たっておると思いますが、アドバンスト・コースの可否、あるいは現在の工業高専教育の欠陥等についても早急に調査をして、これが検討に入っていただきたいと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょう。
  97. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 高専もまだ創設以来十分目がたっていないことでありますので、その実績というふうなものにつきまして、にわかに結論を下すわけにもまいらないかと思うのでありますが、御注意の点につきましては、われわれもなおひとつ研究さしていただきたいと思います。
  98. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長お尋ねしますが、まだ現段階ではその必要は起こっておりませんが、父兄等の不安を聞いてみますと、やはり生徒としては、大学編入が認められておるけれども学校当局がそれを押えるといいますか、生徒の編入希望が抑制されるのではなかろうかという不安をかなりの人から聞くし、久留米の場合でも、第一回の、第一回といいますか、現在、付属高校の父兄について、いろいろ学校当局が話し合いをした際も、そのことが最も大きな問題として出ておるのですが、文部省としては、一つの必要に基づいた計画養成という立場をできるだけ強く持していきたいのか、それとも、生徒がそういう希望を持てば喜んで大学編入にいくように学校当局の指導が行なわれるように期待されておるのか、いずれですか。
  99. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 高等専門学校は御承知のように五カ年間の一応完成教育でございまして、それが原則としてさらに上級の、たとえば大学へ編入学するというのは、これが普通のコースというわけではないと思います。ただし、特別に希望する若干の者について、そういうほうがまあいいであろうということから法律にはその道をはっきり明示しているわけでございます。もちろん受け入れる大学当局のほうで余裕があり、また高専の卒業生が大学に上級編入して勉強ができる実力があるという判定をすれば、当然これは受け入れ大学としては喜んで受け入れるものと思います。特にそういった学生の中の希望を押えるということはいかがかと存じますが、その辺は学校の当事者である校長等とも十分意見を交換して今後の検討課題にさしていただきたいと思っています。
  100. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いまから早過ぎるというお考えを持たれるかもしれませんが、公務員については文部省の期待どおり、公務員になった場合は給与等については、あなた方当初答弁されたことが可能だと思うんですが、給与表でやればいいんですから。ただし民間の場合はそうはまいらぬのではなかろうかと思うんです。これまた父兄の一つの不安ですが、現段階から短大出と同じに取り扱って、給与がなるようにという措置について、民間の場合に対してどういう施策をとっておられるか、またとるべきであろうと考えておられるか。
  101. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御指摘のございましたように、まだ学年進行の途中でございますので、その点についてまで私ども配慮をいたしておりませんけれども、御指摘のございましたように、これは当然、工業短期大学の卒業生と少なくとも同等以上の給与であるべきものという感じが私いたしております。御注意もございましたので、そういった民間産業のいろいろな団体等とも、今後この点については話し合いをいたしてまいりたいと思います。
  102. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最後に一点だけですが、これも本委員会における荒木大臣の答弁ですが、最後にこまかなことになって恐縮ですが、福岡県の場合ですね、有明高専福岡県に設置したとは認めない。それから久留米に予定する短期大学の切りかえは、一つの付属高校を設置してモデル・ケースとしてやっていきたいと考えておるので、これまた各県一校の原則には入らない。したがって、地元が強く要望すればさらに福岡県に高専を設置することは当然と考えてみるし、また十分地元の意向を尊重してやっていきたい、こういう荒木大臣の答弁があっておったんですが、そのことも局長、現在は変わっていないと見て差しつかえありませんか。
  103. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私、荒木前大臣の御答弁がどうだったかということははっきりは覚えておりませんけれども、有明高専につきましては、これは御承知のように福岡県と熊本県の県境の特殊の地域にございます。また所在地といたしましても大牟田市と荒尾市にまたがる地域でございますので、これが有明高専福岡県のものというふうにはっきり言い切っていいかどうか、もちろん所在地として登録してありますのは福岡県ということにしてありますが、その辺は、これがあるからといって他のものは絶対に考えられないということにはならないと思います。
  104. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  106. 小林武

    小林武君 国立学校設置法の一部を改正する法律案につきましては、数点の要望を付して賛成をいたすものであります。  大学学部の新設を見まするというと、科学技術振興ということが理工科系の偏重と同じ意味であるというような印象を与えるおそれもあります。また、現在の大学教育状況から判断いたしましても、そういう点が憂慮されるわけでございますけれども、この点は、どこまでも科学技術の振興というものは、それに関連する他の科学との裏づけがあって初めてなされるものであるということを十分お考えを願いたいということでございます。  第二点は、大学院の新設でございますけれども大学院の新設につきましては、教員養成大学をどうするかという問題が一つあるわけでありますが、この点について明確な意見がないということについては、これはどうかと思うわけであります。教員養成、特に高等学校教員の免許状の中には、大学院を終わったものが一つ条件になっておるわけでございます。資格条件になっておるわけでございますから、この点からも考え、あるいは将来の学術の発展等から、教育の発展等を考慮いたしまして、教員養成大学院を置くということについて、早急に検討が必要であるということを考えるわけであります。  第三点は、司書養成について図書館短大を設置することについては、これは同感の意を表するものでございますけれども、同時に、図書館機能の重要性をかんがみた場合には、さらに学校図書館法改正その他についても、積極的にこの際計画を樹立する必要があるということを考えるわけであります。この点についての十分な御検討をまずお願いをいたしたいわけであります。  次の点は、短大の問題で、高専と関連いたしまして、私は短期大学恒久化ということが考えられました場合、これが学部昇格するか、あるいは高専に、悪いことばでございますけれども、横すべりするかと、こういうような短期大学性格では、短期大学恒久化する意味がないように思うわけでございまして、この点について短期大学性格を明らかにすると同時に、高専短期大学を含めて、ここに学校制度について十分の検討をこの際試みなければならないと思うわけでございます。そういう点の要望を申し上げる次第でございます。  次の問題といたしまして、付置研究所の問題でございますが、付置研究所の問題の中の、共同利用研究所につきましては、どうしても管理、運営、人事、予算を含めてでございますが、これと大学の自治との関係において、将来の共同利用研究所の発展に大きな影響があるものと考えますのが、その点につきまして、早急に各方面意見を聴取して、そうして共同利用研究所の発展のために、はっきりした態度を打ち出すことが必要であると考える次第であります。  以上、数点の要望を申し上げて本案に賛成するものであります。
  107. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 私は自由民主党を代表いたしまして、国立学校設置法の一部を改正する法案に対し、賛成意見を申し述べたいと存じます。  本案の主たる内容として掲げられておりまする諸点のうち、まず第一に、国立大学に工学、医学、薬学の各学部を新たに設置いたしますことと、国立工業高等専門学校十二校の設置を見ますことは、科学技術教育振興のために、現下最も喫緊かつ適切な措置であると存じます。  第二に、岩手、山形を初めといたします国立の六大学に、それぞれ大学院を新設いたしますことは、学術振興の観点から見まして、特に重要な分野について充実した内容を有しまする学部を持っておりまする大学でありますることが、提案理由にも詳しく述べられておりまするが、これらの六つの大学が、ほとんど新制の大学でありますことにかんがみまして、私はこれらの大学が、創立後ようやく十数年を経ました今日、いち早くこのように充実した学部を持つに至りましたことを、まことに欣快とするものであり、同時に、今回の大学院設置の措置が、他の新制大学に対しまする強い刺激となりまして、わが国の国立大学の学問的水準の高揚に、少なからぬプラスをもたらすゆえんにほかならないと信ずるものであります。  また、国立大学付置研究所の新設、図書館職員の養成のための国立短期大学の新設等、いずれも当面喫緊適切な施設であると存じます。  私は以上申し述べました理由によりまして、本案に対しまして賛意を表する次第であります。
  108. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  112. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、当面の文教政策に関する件を議題といたします。  質疑の申し出がございますので、これを許します。豊瀬君。
  113. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 時間も迫っておりますので、私もできるだけ簡潔に質問いたしますから、答弁も簡潔に願います。  まず、大臣にお尋ねいたしますが、昭和三十七年だったと思いますが、国会におきまして、自民、社会党の協定によりまして、養護職員、事務職員の増員についての取りきめを行なったのですが、まず第一番は、定数法の改正を行なって増員に持っていく、これは、すでに昨年通った定数法の中に盛られております。大臣に見解をお尋ねしたいのは、次の問題ですが、それが終わった後に、法改正文部省でやっていきたい、法改正というのは、学校教育法百三条の撤廃、すなわち、当分の間は置かないでもよろしいということを撤廃することですから、全校必置方向をとるということ、この文部大臣の本委員会における文書を読み上げても、増員計画は当然踏襲されねばならないと考えておりますが、大臣の所感を承ります。
  114. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今後の方向としては、そのように進んでまいりたいと考えます。現状といたしましてはまだそこまで進むことができなかったわけでございます。十分努力いたしたいと思います。
  115. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、五カ年間の新定数法による増員の根拠が、約三千九百にのぼる市町村採用者の切りかえというところに重点があるのですが、これが切りかえが終わった後は、当然、養成機関による免許状取得が配置されねばならなくなります。そうすると、定数法五カ年の完了年度を見通して、新規のというか、新たに正規の養護教諭養成する必要があると思いますが、初中局長は、法改正後の増員の際の養護教諭の確保をどういう方途で求めようとしておりますか。
  116. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 御承知のように、養護教諭の確保につきましては、定数法の改正によりまして、今後五年間に約五千人の増員をする、四十年以降におきましても毎年約一千人程度の増員をするということに現在は努力が向けられているのでございます。したがいまして、その以後の問題といたしましては、おっしゃるように、さらにこれを継続的に、計画的に増員をはかっていきますには、法改正等も検討いたしますが、同時に、新たな養成機関の設置あるいは増加養成等を行なわなければならないと考えておりますが、私どもといたしましては、さしあたり約五千人の増員ということに現在は努力をいたしておる、将来のことはまだそこまで手が届いてないというのが現状でございます。
  117. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 小林局長お尋ねしますが、いまの初中局長の答弁で、将来、法改正が行なわれた際には、新たに養成機関が必要であろう、増加養成が必要であろうと、こういうことですが、その際、養護教諭の資質と数の確保と両面から見まして、どういう養成の方法が必要だとお考えでしょうか。
  118. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在は、御承知のように五千人を充足するというたてまえから、八つの国立大学養護教諭養成課程を設置しておるわけでございますが、将来、たとえば必置制というようなことになりまして、各学校にそれぞれ養護教諭を当然に採用してもらうというようなことになりますれば、現在の八つの国立養成課程だけでは不足でございまして、これは当然計画を別に立て直さなければならぬと思っております。私どもとしては、現在の養成課程が妥当だとは思いますが、しかし急増の場合には、さらに工夫をして、別の方途というようなこともあるいはとるかも存じません。現在の段階としては、この八つの養成課程の定員を特に増加するとか、あるいは新設するとかいうような方法を考えていけばよいのではないかと思っております。
  119. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 厚生省の調査によりますと、看護婦六万六千数百、准看護婦六万程度、それぞれ十数万の看護婦あるいは保健婦等の免許状を持っている者があるのですが、現在の養護教諭の確保の一途が、一つの道が、看護婦または保健婦等の免許を持っておる者から、さらに養成をして一級免その他をとらせようとしておる。現在、看護婦も厚生省の所見によりますと不足しておる。こういう全体的な体系の中で、看護婦の免許状を持っておる者を短期養成をして養護教諭に切りかえていくということは、これは厚生、文部のなわ張り争いという意味でなくして、看護婦の確保、養護教諭の確保という両面の国家的な必要性からくると好ましくない方法であると思うのですが、局長の見解はどうですか。
  120. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 最近、看護婦さんの資格をとる者はあっても、現実に看護婦として働く者の数が減っておるというのは事実であろうと思います。ただ、これはいろいろ看護婦さん自体の勤務の条件とか、あるいは給与の面というような諸条件によるものだろうと思います。実際には免許状をとる有資格者というものは相当あるわけでございまして、この中から、自分は教育面で働きたいとして養護教諭の資格をとる者は現実にはあるわけでございますので、特に看護行政とのなわ張り争いというようなことではなしに、そういった看護婦さんの有資格者の中から教育関係に働きたいという者を採用するような現在の制度も、これは十分私は理由があると思っております。ただし将来の問題として、大急増をする、かりに大急増をしなければ間に合わないというような事態になりますれば、またその際にいろいろ養成方法等も検討する必要があろうかと思います。
  121. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  122. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  123. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 一年程度の養成とか、そういうことでなくして、二年がいいか、四年制度がいいか、あるいは教育関係大学の中に養護教員養成科というものをつくるのがいいか、いろいろ検討の必要があろうかと思いますが、やはり養護教諭の資質という点と数の確保という点からしますと、当然、五年を展望しますと、正規の養護教諭養成措置がとられなければならないと思うのですが、どうお考えですか。
  124. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在、国立大学では、御承知のように東京大学に衛生看護学科というのがございまして、これが四年の課程の養成機関でございます。これ以外には、御承知のように、先ほど来お話のございました養護教諭養成課程しかございません。大量の養成をはからなければならぬという事態に、はたしてこの四年課程を増設するということがいいかどうか、四年課程の増設ということにつきましては、いろいろ準備も必要になってくると思いますので、おそらく大量養成の場合は現在のものを拡大するか、あるいはさらに別の方法を研究する必要があるのじゃなかろうか、そう思っておるわけであります。
  125. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたの答弁どおり、六つの四年課程の養成機関というか、あるいは養成措置国立大学の中にとられているのですが、実際に六大学養護教諭免許状を取得する見込の者、三十九年の三月卒業見込みの者を、当該学校に私どもが照会して、直接、大学から正式に回答をとったところによりますと、見込みの者は全体で三十二名ですが、養護教諭就職希望した者は八名ですね、これは大学の正式回答ですから大体において見込みとしては間違いないと思います。こういう点からしますと、現在の東京その他、大阪とか、奈良、そういうところの養成措置というのが、実質、養護教諭の確保に役立っていないというのが現状ですね、したがいまして、将来、百三条撤廃の措置を見通した際には、五年後、新たに検討するのでなくして、何カ年間の長期の養成の中で質量ともに確保しようとすれば、新たな養成措置というのか検討段階に入るべきだと思うのです。このことを十分配慮していただきたいと思います。  初中局長に尋ねますが、市町村採用の切りかえ三千九百四十七名という文部省の資料ですが、普通免許状を持っている者が千二百五十五、臨免を持っている者が七百七十ですが、この者はすぐ切りかえが、資格という点から可能ですか。昭和三十八年度市町村採用の者は公費に切りかえられた者がおよそどの程度おりますか。
  126. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 三十八年度におきまして県費負担に切りかえました者の数は九十二名になっておりまた。
  127. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 約二千名の臨免を含める有資格者がおって、九十二名しか三十八年度に切りかえができなかったということは、市町村採用の者を優先切りかえしていくことによって養護教諭を確保したいという、こういう方針とはなはだしく食い違っていますね。この原因をどこに求めておられますか。
  128. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私どもとしては、できる限り優先的に切りかえるという方針で指導いたしておることは御承知だと思いますが、実際の問題といたしまして、やはり養護教員の県費負担に切りかえる問題につきましては、それぞれの個人的な理由が非常に強いように思っております。と申しますのは、たとえば年齢の問題とか、あるいは任地の問題、そういういろいろの点から本人自身が希望しない者があるようであります。いろいろ個々について的確な何を聞いておりませんけれども、多くはそういう希望が出なかったというのが各県の報告になっております。
  129. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十九年度の切りかえ見込み数の把握がありますか。
  130. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 三十九年の切りかえの問題につきましては、まだ各府県の定数がようやく大体内定した程度でございまして、これからの問題だろうと思います。したがいまして、私どもとして、切りかえ可能な数字について的確にまだ県から聞いておりません。今後の会議等におきまして十分調査をしたいと考えます。
  131. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 切りかえ困難な原因は、私どもはまず一番に、切りかえによって初任給が下がる者がかなり出る。それは新規採用としてやるからです。それから御承知のことと思いますが、年齢制限を各県が行なっておりますね。たとえば広島は三十五歳、神奈川に至っては三十歳以上の者は切りかえない、これが第二の理由。第三としては、これは必ずしも望ましい傾向ではないのですが、採用試験がきびしいから、いまさら試験を受けて落ちた場合にちょっと調子が悪いといいますか、そういうことも一つの切りかえを困難にしていると思うのです。それと、こういう初任給が下がるとか、年齢制限とか。資格を持っておればこの際増員する、さらに増員の大きな根拠を市町村切りかえに置いておるというたてまえからすると、採用試験等についても有資格者については緩和していく、それから年齢制限を排除させていく、初任給が下がらないような新規採用の際の切りかえの指導をしていく、こういう問題について、三十九年度にあたって積極的な指導を行なってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  132. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 各県でやはりいろいろな事情があるようでございますので、画一的にはなかなか困難な場合が多いと思いますが、できる限り御趣旨のような方向努力してまいりたいと考えます。
  133. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほど私が申し上げましたように、九つの一年制の養成課程、それから十六の公立養成、さらに二年課程の公立あるいは国立大学、私立等、数多くの養成所があるのですが、三十九年三月卒業見込みの者について、全学校にわたりまして調査したところによりますと、まず一年課程の公立養成所では、十六の養成所の中で、定数五百名ですが、免許状取得の見込みの者は四百十七名おります。ところが養護教諭志望の者はそれからぐっと減って百六十七名、三十九年の二月の調査ではなっておるわけです。それから二年課程のものは、これは三カ所ありますが、七十五名の養護教諭希望ですから、これはややいいのですが、国立の四年制課程につきましては、先ほど申し上げましたように、取得見込みの者が三十二名おって希望者が八名おるわけです。これは私どもの把握では、他の免許状を持っておるために養護を希望しないものと判断しておりますので、この養成方法も一つの問題です。その他三十九年三月卒業見込みの者で免許取得の者と養護教諭就職の希望を見ますと、文部省の期待に反して非常に希望者が少ないわけですね。この二つの問題が何を意味しているかと申しますと、二つというのは、一つは市町村切りかえが文部省の希望どおり進んでいないで、少なくとも三十八年度については二千名近く採用したいというのがわずか九十八名ですね。それからもろもろの養成機関の中で免許状取得の者のパーセンテージもわりによくないのですが、さらに問題なのは養護教諭就職希望者が少ないということですね。こういう二つの角度から見ると、三十九年度も養護教諭定数どおり確保できるという見通しはやや暗いと思うのです。免許状取得の見込みの者で養護教諭に希望者が少ないという原因をどういうふうに判断しておりますか。
  134. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 養護教諭に志望者が少ないという原因については、いろいろ考えられるわけでございますが、私どもとしては、従来の養成機関を卒業した者について各府県が考えておりますのは、なるべく最近はいなかのほうの僻地、あるいは都市以外のいなかのほうの学校に養護教員を配属したいという考え方が強いわけであります。ところが若い方は、いなかのほうはいやだ、僻地などはまっぴらというような、そういう任地についての苦情もかなりあるようでございます。また、何と申しますか、養護教諭というか、学校以外の職場がかなり開けておりますので、そういった面で学校以外のほうにいきたいという者が、そのほうに先に志望してしまうというようなこともあるようでございます。そういったような関係で、待遇等もそのわりに、これは看護婦などよりいいのですけれども、そのわりに魅力がないといったような点も若干あるかと思います。そういういろいろな原因で確保が非常に困難だというように私ども考えております。
  135. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 小林局長に尋ねますが、国立大学の四カ年制の養成機関ですね、これは六カ所ですが、この希望者が八名というのは、私どもは、他の免許も同時に取っているために、他の科目に希望しておって養護教諭になりたがらないというのも一つの大きな原因だと見ているのですが、どういう把握をしておられますか。
  136. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいま御指摘のようなケースも相当大きな理由だと思います。他の教科の免許状を持っておって、そちらのほうの正規の教員になるというケースが相当多いと思っております。
  137. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現在の九カ所の一年課程の養成所ですね、これに対して施設あるいは教授陣容等早急に整備して、そこで養成されている者の質を高めると同時に、これは取得者はほとんど養護教諭を希望しているんですが、そういう養成所施設整備、あるいは人的な充実をはかるべきだと思いますが、いかがですか。
  138. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この国立大学に付設されております養護教諭養成課程は、大体その大学関係の教官をケルンにいたしまして、それに従来なかった教科の専門科につきましては、正規の教官の定数をとりまして教育を行なっているわけでございます。また、その施設につきましても、特に別個の養護課程自体の施設ということではなしに、大学本来のものとの共同的な使用ということでやってまいっているわけでございます。もちろん教官定数につきましては、御要望のありました学校につきましては、その後、増加したものもございます。ただいまの御指摘のような教官陣容の不足という面があれば、その点については今後措置をいたしたいと思っております。
  139. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次官にお尋ねいたしますが、御承知のように、工業教員養成所学校ではありませんけれども、育英会法の適用が行なわれておりますね。ところが、いま指摘しました九カ所の養護教諭養成機関には育英会法の適用がないのです。このことが教員になっても、あるいは養成所に進んで行こうとする気持、いろいろな点から考えて、やはり育英会法の適用がないということが一つの障害になっておると私は考えるのですが、次官のお考えは……。
  140. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) おっしゃるとおり、養護教諭に対して育英会法のいろいろの免除規定というものがないということ、これが一つの障害になっておることは間違いないことだと思っております。
  141. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最後の締めくくりですが、私が指摘いたしましたように、まず市町村採用の切りかえというのが、増員計画と見合わしても見通しとしてきわめて暗い。それから、かなり多くある——三十カ所くらいありますか、それぞれの養成機関のものも養護教諭を志望する者が、三十九年度卒業見込みの者についても非常に少ないという現実から、それとさらには養護教諭の質の向上という角度、そうして基本的には、新定数法を五カ年終了後は百三条撤廃を意図して必置方向努力したいという文部大臣の公約ですね、これから判断していきますと、やはり看護婦の免許を持っておる者で希望する者を養護教諭になさないという措置はまた問題があると思いますが、看護婦から切りかえていくとか、そういう当面の便宜措置ではなくして、将来の展望に立った際には、どうしても養護教諭に必ずなるというたてまえの養成機関といいますかね、これをつくっていかなければ、文部大臣の公約の百三条を撤廃して必置努力していきますということはなかなかなか実現困難になると思うのです。その将来を見通しをして、早急に養護教諭養成を、現行で満足されないで、四十年に幾つつくるとか、四十一年にどうするとか、具体的な計画については答弁できないでしょうけれども、長期見通しの中で専門の養成措置が必要だと私は考えるのですが、それを検討して百三条撤廃の公約にこたえられるように検討する意思がありますか。
  142. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 近い将来、養護教諭必置制にするということを考えておるわけでございますが、その前提として、進んで養護教諭になってもらえるような環境をつくる。たとえば給料をどうするか、あるいはいま言ったような育英制度をどうするかといったようなことに検討を加えることはもちろん、養成方法につきましてもなお検討の余地があると思いますので、それらを総合的に判断をしながら検討を加えてまいりたいと、こう考えております。
  143. 中野文門

    委員長中野文門君) 豊瀬君の質疑は以上をもって終了いたしました。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後五時十三分散会    ————・————