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小林武君 午前中の
質疑でたいへん残念に思いますことは、
調査、
保護のしかたというようなものはもっと具体的に、
計画的にやられなければならないということ、それが
文化財保護委員会の中では十分でないというようなことを感じたわけであります。こういう
委員会行政といいますか、そういうもののよさというものを、この
文化財保護の場合においては十分発揮すべきであるのに、
委員長の御
答弁の中にも、どうもややお役所的な、役人的なものの見方に立ったような御
答弁があるということは、これは遺憾だと思うわけです。しかし、そういうことを取り上げてかれこれ言ってもしようがないんでありまして、大体
質問で明らかにされたと私は思うんですけれども、案件はたくさんある。これをいまのままで放置しておくならば、とにかく
日本の
埋蔵物文化財というようなものはほとんど破壊され尽くすと言ってよろしいのではないか。学問的な損失も加えて、これは非常に重要な問題でありますから、
文化財保護委員会としては、一そうの御
努力をひとつお願いいたしたいと思うわけであります。
その際、特にお
考えを願いたいことは、やはり岡山県の例を見ましたんですが、あの膨大な地域の開発が行なわれるという場合に、
調査については、なかなか局長の言われるような程度のあれでは手に負えないと思うんです。どうしてもたくさんの
研究者並びに
学者の
協力を得なければならぬと思うんでありますが、そういう手だてについても、もっと範囲を広げて十分おやりになったらどうか。あなたのほうの
関係の
学者の人たちとわれわれが接触する
学者の人たちでは、だいぶ同じ人がいないように思うんです。だから、私は、
文化財保護委員会でその気になれば、相当のことはできるんじゃないか。なお、その際、
研究者の中には、必ずしも小学校の先生だから、中学校の先生だからというふうに、
専門家ではないのではないかという
考え方で、研究をむしろできないようなことにしないようにしてもらいたいと私は思うんです。岡山県の高等学校の生徒諸君でも、このぐらいの「
文化財保護問題の研究」というようなものを
一つ出して、世界の二十一カ国の
文化財保護に関するアンケートをやって、各国の
文化財保護対策を集めているというぐらいな、そういう熱心な
研究者もいるということを
考えますと、これらの
研究者の研究というものは助長するように
努力なさるべきだ。もちろん、そのことによって
文化財がいたずらに掘り荒らされるとかなんとかということがあってはなりませんから、厳重なそういうあれはなさるべきでありますけれども、それを口実にして研究の発展を阻害することのないように、そういう体制をつくっていただきたいということを要望申し上げます。
この際、
埋蔵物文化財ではないんでありますけれども、昨年の十一月の何日ですか、二十四日ですか、六日間にわたって本院から
委員派遣をやった際に、一例ですけれども、安芸の宮島の厳島神社、これについては二木
委員から御報告があったわけであります。その際に私は非常にふしぎに感じましたことは、建築そのものが国宝であり重要
文化財、そういう厳島の神社に社務所がある。そしてそれが、国宝が社務所のかわりをして、代用もさせられておるということになりますと、
一体、これは一朝何か事があった場合に、いろいろ非常に苦心されて防火設備等についてはかなりやっておりましたけれども、これはやはり社務所に使ったんじゃ、私は危険度がきわめて大だと思うんです。ところが、まあいろいろ理由もあるだろうと思うんですけれども、そういう国宝であり重要
文化財に指定されたような建物というものに対して、国がもっと適切な指導というものはできないものか。そのとき
関係者の
説明を聞いて痛感したのでありますが、そういう点なんかについて、いささか
文化財保護委員会のやり方は手ぬるい。こういうことをやっておったんじゃ、建物、
埋蔵物をはじめ、
日本の
文化財というものはどうなることやら。その他、そういう
事例は、私が申し上げるまでもなく、京都の場合においてもあったことでございますから、どういうあれをやるのかというようなことについて、
ほんとうに確たる方針をお
立てになっておるのかどうか、伺いたいと思います。宮島の問題なんかについては、単に金の出どころがないとかなんとかということで放置しておいていいものかどうなのか。もちろん、国がどうするということを私は言うわけじゃありませんけれども、
一体へ指導はどうなっておるのか、このことをひとつ
お尋ねして、私の
質問を終わります。