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1964-02-18 第46回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十八日(火曜日)   午前十時十九分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     中野 文門君    理事            北畠 教真君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            加瀬  完君    委員            木村篤太郎君            久保 勘一君            中上川アキ君            野本 品吉君            秋山 長造君            小林  武君            豊瀬 禎一君            米田  勲君    発 議 者   加瀬  完君    発 議 者   秋山 長造君    発 議 者   小林  武君    発 議 者   豊瀬 禎一君    発 議 者   米田  勲君   政府委員    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立養護教諭養成所設置等に関す  る臨時措置法案加瀬完君外四名発  議) ○日本育英会法の一部を改正する法律  案(秋山長造君外四名発議) ○高等学校定時制教育及び通信教育  振興法の一部を改正する法律案(秋  山長造君外四名発議)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  まず、国立養護教諭養成所設置等に関する臨時措置法案議題といたします。  発議者より提案理由説明を聴取いたします。加瀬完君。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 ただいま議題となりました国立養護教諭養成所設置等に関する臨時措置法案について提案理由内容概略を御説明申し上げます。  現行の学校制度、特に義務教育学校並びに高等学校においては、児童生徒に対する健康管理並びに保健指導がことのほか重視され、その任に当たるも一のとして養護教諭が置かれておることは御承知のとおりであります。この養護教諭制度昭和十六年勅令により制度化され、戦後の新学制においてさらに整備拡充されたものでありますが、制度発足の当初においては、その養成が緊急には間に合わないという見地から、学校教育法の本則では、義務教育学校の場合必置制とされながら、附則で、当分の間、任意設置制とされたのであります。この養護教諭養成設置推進は、職務重要性の認識の不徹底に加えて、地方財政の貧困という条件が重なり、その後今日に至るまで遅々として進まなかったことはまことに遺憾であります。これらの点について、最近、国会ではしばしば問題として取り上げられ、ついに第四十国会参議院文教委員会で、養護教諭設置推進とこれに即応する養成計画の拡充についての決議全会一致で行なわれましたことはまことに喜びにたえないところであります。この決議に対して、政府は、昭和三十八年度から向こう五カ年間に約五千名の増員を行なう旨言明いたしました。さらにまた、第四十五国会においては、義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律国会を通過いたし、養護教諭標準定数は、昭和四十三年度を目途として、中学校千二百人に一人、小学校九百人に一人の割合にまで充足するという方針が確定され、法律上からも養護教諭増員計画の実行が義務づけられたのであります。  しかしながら、反面の養護教諭養成の問題は、これまでと同様、大きな不安があるのであります。第四十三国会に本法案と同趣旨の法案提案審議されてからも、参議院文教委員会ではたびたびこのことが論議されましたが、政府増員計画に対する養成措置は、まことにあいまいであると同時に、現状のような措置では増員計画が実行倒れになること必至であると思われるのであります。その事情をここで要約いたしますと、現在、養護教諭養成機関は、国立私立大学、短大十四、文部大臣の指定する公私立養成所約二十、国立大学に付置された養成所八等であり、養護教諭資格取得者は年間二千名をこえるとされております。しかしながら、その多くは卒業資格として、養護教諭のほかに保健婦その他の免許状を同時に与えられていること、また入所基礎資格として看護婦資格を必要とするものも多いために、入所生徒が定員を下回っているものも多いこと等があり、実際に養護教諭として確保できる数は、資格取得者の二〇%ないし三〇%にすぎないのであります。この事情は、昭和三十八年度において、文部省市町村支弁養護職員正規県費負担養護教諭に切りかえることをも含めて二千名の増員をはかると国会で答弁したにもかかわらず、わずか三百五十名の増員しかできなかった実績が、よく説明していると思うのであります。また、昭和三十九年度においては、新標準法の実施の第一年目ということで、文部省養護教諭増員を千百名以上、義務教育費国庫負担金において見込んでおりますが、これも一実行できるかどうか危ぶむのであります。  そこで、私ども一はこの際、養護教諭増員計画が完全に実行できるための、養成と確保ということに重点を置き、高校卒程度の者に二年間の教育を与え、養護教諭免許状のみを与えること、就学奨励措置を十分に講ずることの二点を骨子とした新たな養成所を全国に十カ所設置し、緊急の需要に確実にこたえることを適切と考え、ここに本法律案を提出した次第でございます。本法律案内容といたしましては、第一に北海道大学外大学国立養護教諭養成所臨時に付置し、修業年限二年、入学資格高校卒程度とし、卒業の際は、養護教諭二級普通免許状を与えることとしております。本養成所設置の場所としては、医学部の活用が期待できることとともに、全国的な視野からの配置を考えたのであります。これによって、不足状況にある看護婦の再教育という方法をやめるとともに、卒業生には養護教諭免許状のみを与えて完全にこれを確保することを期しておるわけでございます。なお、この制度はあくまで臨時措置であり、将来は本養成所を拡充強化して、正規大学の四年課程として発展せしめることを期待しております。  内容の第二点は、今日、養護教諭職務はその重要性割合には一般に理解されていないうらみがありますので、若い人々に魅力ある職業として迎えられるように、その職務の意義、内容を周知せしめるとともに、他方で授業料その他の費用の免除及び猶予並びに育英資金貸与に対する返還免除のことを規定いたしております。これにより有為な人材を多数本養成所に迎え入れることを期待いたしております。  内容の第三点は、附則で、本法施行期日昭和四十年四月一日としていること、また一つの養成所には所長外二名の常勤職員を置くこととして、合計三十名の増員文部省設置法の一部改正によって行なっていること、さらにまた、法案施行に要する経費については、養成所運営費、人件費等合わせて九千二百万円を計上いたしております。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で本案の提案理由説明聴取は終了いたしました。
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、日本育英会法の一部を改正する法律案高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、発議者より提案理由説明を聴取いたします。秋山長造君。
  6. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま議題となりました日本育英会法の一部を改正する法律案について、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  日本育英会法は、戦時中の昭和十九年に制定され、戦後の学制改革経済事情変動等により幾たびか改正されましたが、なお根本的に改正を要する点が多いと思います。すなわち、学資貸与を受ける者の範囲貸与額内容及び貸与金返還業務等、現在、政令にゆだねられている事項は、むしろ本法の骨格をなすきわめて重要な部分でありますから、当然、法律事項に移さるべきものであると考えられます。しかしながら、さしあたってこれらの点は、政府において十分な考慮をめぐらし、新しい時代における人材養成に着目した貸与金の増額と対象人員拡大をはかるべく最善の努力を払う.ことに期待をかけるものであります。したがって、この際私ども一は、これらの点を除いた、当面特に急務と考えられる二点について改正を加えようとするものであります。  その第一は、幼稚園において教育の職にある者の奨学金返還免除に関する問題であります。近年、幼児教育重要性が次第に認識され、幼稚園教育の効果は高く評価されるにつれ、その就学率は年を追って上昇しております。それに伴い、施設及び教職員充実増加しつつありますが、その教員待遇は、国立を除く公、私立の大部分義務教育学校の給与と比較して、なおはるかに低く、しかも、これらの教員のうち、大学において日本育英会から学資貸与を受け、幼稚園における教育の職についた者は、貸与金返還免除対象となっていないために、その返還も困難であり転職を希望する者があとを断たないのであります。参議院文教委員会は、第三十九回国会において日本育英会法の一部を改正する法律案審議いたしました際、このような事態に対処する方策として、幼稚園教育の職についた者に対する貸与金返還免除すべきことの附帯決議を行なって政府に要望したのでありますが、いまだその実現をみないことはまことに遺憾と申さねばなりません。幼児期教育重要性困難性を考えますときに、優秀な教員を確保するためには待遇の改善が根本ではありますが、この際は、まず日本育英会からの貸与金返還免除をはかることが緊要であると考えるもuのであります。  第二点は、各種学校である養護教諭養成機関によって養成された養護教諭に関する問題であります。現在、教育職員免許法第五条第一項により、文部大臣の指定する養護教諭養成機関規定の単位を修得した者に対しては、養護教諭免許状を授与されておりますが、ここで養成された養護教諭は、大学において教育された養護教諭とは異なり、日本育英会から学資貸与を受ける対象になっておりません。免許法によって同一の資格を与えられる者が、その就学した教育機関の差異によって差別的取り扱いを受けることは、まことに遺憾なことであります。なお、昭和三十七年から国立大学教員養成学部養護教員養成課程が付置されましたが、この養成課程もまた文部大臣の指定する養護教諭養成機関であり、ここに学ぶ学生もまた現在のところ学資貸与対象とはなっていないことを申し添えなければなりません。最初に述べましたように、学資貸与対象の決定は政令事項でありますので、私どもはここで、政府がすみやかに施行令改正して、養護教諭養成機関に在学する者への学費貸与の道を開くことを前提として、それらの養成機関において、の貸与を受けた者が養護教諭として勤務した場合について、その貸与金返還免除規定を設ける必要があると思うのであります。  以上申し述べましたように、本改正案は、第一に、貸与金返還免除を受けることができる教育の職の範囲幼稚園における教育の職を加えること、第二に、返還免除を受けることができる者の範囲に、教育職員免許法第五条第一項に規定する養護教諭養成機関において学資貸与を受けた者を加えるものとすることの二点をその内容とするものであります。なお、この法律は公布の日から施行することといたしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。  次に、高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案について、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  最近、技術革新を基軸とした社会変革が急激に進行する中で、国民の資質及び能力の展開向上に対する期待は、一そう高まり、教育の責務はいよいよ、重大になってきております。すなわち、義務教育に続くいわゆる後期中等教育が、当面の切実な課題として各方面で取り上げられており、高等学校への進学率がすでに六八形をこえ、さらにその他の各種教育訓練施設に学ぶ者も年々増加している実情は、国の責任において後期中等教育をすべての青少年に対してすみやかに拡大整備し、時代の進運にこたえてゆかなければならない時期にあることを物語っていると申せましょう。  さて、このような状況の中で、私どもが最も関心を持たなければならないのは、申し上げるまでもなく、全日制の高等学校に学べない勤労青少年教育を今後どのように充実拡大してゆくかということであります。戦後の新しい教育制度において誕生した高等学校定時制教育及び通信教育は、かような勤労青少年に対する教育組織の中核をなすものでありますが、今日、問題を数多く含んでおり、伸び悩みの状態にあることを指摘しなければなりません。定時制高校の実態は、農山村と都会とでは大きく異なっております。農山村においては、全日制高校の増加と対照的に定時制減少傾向にありますが、これは交通の発達等により全日制高校へ通学しやすくなったこと、産業構造変革により農山村にとどまる青少年が少なくなったことなどによるものと思われます。しかし、農山村社会近代化家庭生活合理化等立場から、これらの地域の定時制教育は一そう充実される必要があります。  また、都会地における定時制は、ほとんどが夜間であり、学校数生徒数も多く、木教育に対する期待はますます強まっておりますが、ここにおける最も大きな問題は、通学生徒が昼間は勤労、夜はフルタイムの勉学という生活の中で、自分で学習する時間もなく、疲労も重くなるというはなはだ教育的でない状況にあるとともに、夜間学習のための適切な施設、設備も不十分であり、そのような生徒教育指導する教師その他の職員に対する配慮にもいまだ欠けている面があるということであります。さらに、通信制課程については、ラジオ、テレビの発達とも呼応して、漸次高等学校制度一環として整備されてまいり、生徒数も年年多くなってきておりますが、労働と勉学が相当に過酷であるために、中途脱落者が多い現状にあります。  以上、現況の一端を申し上げましたが、もとより、この定時制通信教育は、後期中等教育拡大充実一環として総合的な対策が立てられ、なるべくすみやかに全面的に整備されることが必要であります。しかし、当面の施策として、とりあえず、本教育に対する雇用者の理解と協力を徹底せしめること並びに本教育に従事する教員並びに職員に対する待遇上の不均衡を是正し適正化することは、日々の教育遂行上緊急を要することと考えますので、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案内容といたしましては、第一に、勤労青年を使用する者の義務として、彼らの就学を妨げることを禁止するとともにさらに使用者は、勤労青年教育を受けるのに支障がないように積極的に配慮しなければならないことを規定しております。  第二には、現在、定時制通信教育手当校長及び教員に対して支給されておりますが、実習助手制度教員に含められているにもかかわらず、政令のワクによって約半数が除外されております。また一部の都道府県では、夜間定時制課程の場合には、事務職員等にまでこの手当夜間勤務手当の名称で支給されておりますが、大部分の県では、校長教員に限られております。したがって、職業教育技術教育重視立場から、すべての実習切手支給範囲拡大するとともに、夜間定時制教育に従事するものの苦労と困難を考慮して、この場合に限っては、事務職員その他の職員にまで定時制通信教育手当を支給することといたしております。  第三には、附則において、本法施行期日昭和三十九年四月一日としております。また、現在すでに定時制通信教育手当に類する手当事務職員等に支給している地方公共団体が、本法施行に伴う条例を制定するに当たっては、既得権を十分に尊重した経過措置を定めることを義務づけております。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  7. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で両案の提案理由説明聴取は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。   午前十時三十九分散会    ————————