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北村暢君 画一的に考える必要はない、こういうことですが、しかし、
産地直結で
消費地と結ぶ場合、そのときの価格というものは、一体何を基準に取引が行なわれるのか。これはもう私はいま
青果の場合だったならば、神田の価格というものが、大体において支配的な価格として、それを目当てに取引されるということは間違いないと思う。したがって、その中間
経費の分はどこで吸収するかという、直結した場合にするかというのですが、結局は直結したから直ちに
消費価格が安くなる、こういうことに直ちにいくのかどうかということなんですね。これはなかなか疑問のあるところだと思う。したがって、価格形成の上からいくと、私はやはり
中央卸売り市場の価格というものが支配的な価格になると思う。そういう非常に価格形成の上における重要な意義を、
中央卸売り市場というものは持っている、こう思うのですが、そういう意味からいっても、
流通機構の中における
中央卸売り市場というものは、非常に大事な役割を果たしている。それなるがゆえに、中央
市場の価格というものは公正にきめられなけばならない。しかも、いまのシステムからいけば、
青果の委託販売、委託されたものを全くの自由な形で価格がきめられる。完全に需給関係、品質はもちんですけれ
ども、それによって価格が形成される、こういう形をとっているのですから、したがって、政策的に価格をどうしよう、こうしようといったって、今日の
生鮮食料品の価格の中では、まず
中央卸売り市場の価格を基準としなければならない、こういう形になっておるのですね。したがって、
流通面における役割りというものは非常に大きいと思うのです。ですから、
中央卸売り市場を通じない直結した見本等における取引というものもあるでしょう。それは個々の店、
小売り商というものを見た場合には、とても大量に販売するような形のものというものはそうはない。ただ、その
小売り店舗が
企業体として幾つかの店舗を持つものが
一つの
企業体になっているという場合にはこれはあり得ると思いますね。だけれ
ども、
一つの店舗を対象にすれば、なかなかそういうものは簡単にいかないのではないかとこう思います。したがいまして、出荷者が、それじゃ東京都内に何千とある店舗に、相当まとまればというので、個々に
連絡をとり、価格というものを、取引というものを個々にするというのは、よほど
信用度の高いものでなければできない。したがって、これは私は大
企業なり、または相当資本力の強いものなら、それはできるかもしれません。取引に、中央
市場を通ずることによってその代金の決済その他において絶対といっていいくらい中央
市場保障されているわけですね。そういう点大量にいま、しかもこれを迅に処理しよう、こういう中央
市場を通じていけば、
生産者のほうも絶対に心配なしに委託の形で物を送れる、ここに大きな
利益がある。これは
信用問題ですから、大阪のように旅荷を中心とする中央
市場、付近の軟弱
野菜等は類似
市場で扱うというようなところは、必ずしもそれじゃ
信用度においてうまくいっておったか、安心感があったか、
生産者に有利であったか、こういう点についてはやっぱり問題がある。したがって、やはり
流通の本旨は中央
市場を通ずる、こういうことだと思います。
それからもう
一つは、そういう意味からいって中央
市場の価格形成がきわめて大きな役割りを果たす中で、先ほど言った
水産関係において
産地において価格がすでにきまっちゃう、そしてこれが中央
市場の価格をある程度左右する。
青果の場合はそういうことないわけです。しかも、
水産の場合は沿岸の漁業協同組合の
出荷団体というようなものと資本漁業などとこれも非常に違うわけです。そういう点からいって、いま冷凍魚等は定価的に売れるのじゃないか。定価であれば、一番いい。現在魚関係は冷凍魚、加工食品、これが半分くらいになりつつある。生鮮魚は半分くらい、こういう
状態のようですけれ
ども、その場合に価格形成の上において往々にして魚の場合は自由な価格の決定ができない、指し値でもってきまる。大資本がもう値が下がれば荷は引っこめちまう、こういうようなことが往々にしてあるわけなんです。だから、魚の場合は、私は全く自由な意味における価格形成はできていないのじゃないか、こう思います。したがって、
青果の場合と魚の場合違うだろうと思いますね。しかし、本筋はやはり中央
市場において全く自由な形においてこの価格形成というものがなされる。こういうふうな非常に大きな役割りを持っていると思いますがね。そういう意味からいっても、近代的な
流通形態というものは、中央
市場、しかも
生産者が零細であり、それを共同出荷というような形でやってきて、安心をして委託ができる。こういう形はやはり中央
市場というものを本筋として持っていくべきじゃないか、こう思うのですがね。