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1964-06-05 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午後一時三十七分開会     —————————————   委員の異動 六月四日   辞任      補欠選任    田畑 金光君  高山 恒雄君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            森 八三一君            矢山 有作君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            櫻井 志郎君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            北村  暢君            小宮市太郎君            牛田  寛君            高山 恒雄君   衆議院議員    発  議  者 角屋堅次郎君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    水産庁長官   庄野五一郎君    通商産業省軽工    業局長     倉八  正君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○肥料価格安定等臨時措置法案内閣  提出衆議院送付) ○漁業災害補償法案内閣提出、衆議  院送付) ○漁業災害補償法案衆議院送付、予  備審査) ○食料品総合小売市場管理会法案(内  閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  肥料価格安定等臨時措置法案及び漁業災害補償法案議題とし、提案理由説明補足説明並びに提出資料説明を聴取することにいたします。  なお、漁業災害補償法案衆議院修正の上、送付されましたので、その修正点について、便宜政府当局よりあわせて説明を聴取することにいたします。赤城農林大臣
  3. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 肥料価格安定等臨時措置法案提案理由を御説明申し上げます。  農業生産上の基礎資料としての肥料重要性輸出産業としての肥料工業の意義につきましては、ここにあらためて申すまでもないところであります。政府といたしましても、昭和二十九年に現行肥料二法、すなわち臨時肥料需給安定法及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法を制定し、肥料工業合理化の推進につとめると同時に、農家に対し低廉にして豊富な肥料の供給を確保するよう措置してまいった次第であります。  ひるがえって最近のわが国における肥料生産需給等事情を見ますると、現行肥料法制定当時に比べ、著しい変貌を見るに至っております。すなわち肥料工業合理化の進展に伴ない、その生産能力は急速に増大し、現在では内需を充足した上で、その生産量の四割以上を輸出に向ける状況となっております。また価格も逐次引き上げられてまいっております。  国内需給がこのような状態にあるのでありますから、現行肥料二法のように国が需給計画を策定し、これに従って生産指示調整保管指示等を行ない、また国が価格を公定するというような措置を必要とする段階ではないと考えられるのであります。したがって、今後の肥料対策の中心は、内需確保趣旨に基づいて輸出を適切に調整するとともに、価格の低位安定をはかることにあると考えるのであります。  以上のような考え方のもとに、現行肥料法失効後、すなわち本年八月以降における肥料対策のあり方につきまして、昨年より関係各方面の御見解をも伺ってまいったところであります。  これらの御意見を参酌し、慎重に検討した結果、内需優先国内価格の低位安定、輸出体制の一本化等を基本とする臨時措置法を制定し、これによって、二法失効後の肥料対策につき、遺憾のないよう対処いたしたいと考えるに至った次第であります。  以下、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  まず第一に、内需確保措置について申し上げます。  肥料国内需要を優先的に確保し、内需向け供給にいささかの不安もなからしめる措置をとることといたしました。すなわち、肥料輸出、特に後に述べます日本硫安輸出株式会社肥料の買い入れについては、農林大臣及び通商産業大臣が定める肥料需給見通しに基づいて通商産業大臣承認するものとし、その承認については農林大臣同意を要するものといたしておるのであります。  また、前記需給見通しを定めたときは、これを関係者に対し通知するものといたしておりなす。  第一に、国内価格の安定について申し上げます。  まず、肥料国内価格の安定をはかるため、肥料生産業者販売業者とが互いに共同して自主的に価格取りきめを締結することができるよう、当該共同行為について独禁法適用を除外することといたしております。  次に、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめが農業または肥料工業の健全な発展支障を与える等不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止しなければならないこととしているのであります。  さらに、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめの締結を促進するため、これに必要な資料当事者に対し交付し、または取りきめの締結に関し必要な勧奨もしくは助言を行なうことといたしたのであります。  また、その取りきめが成立しがたく、その当事者双方またはいずれか一方から申請があった場合において、特に必要があると認めるときは、農林大臣及び通商産業大臣は、調停を行なうことといたしておるのであります。  第三に、肥料輸出についてでありますが、これに関しては、一手輸出体制を引き続きとるものとしこのため、日本硫安輸出株式会社を存置することとして、これに関し所要規定を設けることといたしておるのであります。  第四に、以上の措置実施するため、農林大臣及び通商産業大臣は、必要があると認めるときは、肥料生産業者及び販売業者に対し、必要な事項報告を求め、または生産業者事務所等立ち入り検査を行なうことができることといたしておるのであります。  第五に、この法律は、現在における肥料をめぐる客観情勢にかんがみ、附則におきまして五年以内に廃止することといたしておるのであります。  以上が肥料価格安定等臨時措置法案提案理由及び主要な内容でございますが、政府といたしましては、このような措置のほか、肥料輸入自由化をはかるとともに、肥料工業合理化、体質の改善確立、流通の合理化円滑化等に努力し、今後の肥料対策に遺憾なきを則してまいる所存でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたす次第であります。  続きまして、漁業災害補償法案提案理由及び主要な内容につき、御説明申し上げます。  漁業は申すまでもなく、自然の影響を受けることの多い産業でありますが、特にわが国漁業は、その大部分が沿岸漁家等経営基礎の脆弱な中小漁業者によって営まれており、これら大多数の漁業者経営は、気象または海況変化漁業資源変動等によって常に不安定な状況に置かれているのであります。このため従来から災害対策金融対策等の諸施策が講ぜられてきているのでありますが、これらの諸施策に加えて、漁業共済事業による漁業災害補償制度の確立が必要とされていたのであります。  政府といたしましては、昭和三十二年度から、漁業共済事業について試験実施調査を行ない、本制度基礎研究調査、漁村に対する啓蒙普及共済金支払い財源確保等について助成措置を講じてきたのでありますが、この漁業共済事業に対する試験実施調査は、このたびこれを打ち切り、昨年施行されました沿岸漁業等振興法規定している災害による損失の合理的な補てん等の具体的な施策の重要の一環として、ここに新しく漁業災害補償制度を樹立することといたしたのであります。  この法案において定めている漁業災害補償制度は、漁業協同組合等協同組織を基盤とする漁業共済団体が行なう漁業共済事業及び漁業共済事業により、中小漁業者相互救済の精神を基調として、その営む漁業につき、異常の事象または不慮の事故によって受けた損失を補てんするための必要な給付を行ない、中小漁業者漁業生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的とするものであります。もとよりこの制度漁業者の十分な理解と自主的な努力が前提となっているのでありますが、その健全かつ円滑な運営を確保するためには、漁業共済団体支払い資金確保、小規模な漁業者共済掛金負担軽減等措置を講ずることが必要でありますので、この法案においては国がそれらの措置を講ずることを明らかにしているのであります。  以上述べましたような漁業災害補償制度の適切な実施により、中小漁業者経営近代化及び高度化等漁業経営発展をもたらす基礎的な条件の整備が期待し得るのでありますが、政府といたしましては、この制度とともに、これまで実施してまいりました構造改善事業漁港整備事業金融対策その他の漁業施策をさらに積極的に推めながら、沿岸漁業等振興を総合的にはかってまいりたい所作であります。  以下、この法案の主要な内容につき御説明申し上げます。  第一は、農業共済団体組織についてであります。すなわち都道府県段階において漁業共済組合を、全国段階において再共済機関たる漁業共済組合連合会を設け、いわゆる二段階制組織とすることとしております。漁業共済組合は、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会をその構成員とし、漁業協同組合系統組織事業との相互連携を緊密にし、適正円滑な事業運営確保することといたしております。  また漁業共済組合は、相互の危険分散をはかるため漁業共済組合連合会へ当然に加入することといたしております。  第二は、漁業共済事業についてであります。漁業共済組合は、その構成員たる漁業協同組合組合員等のために、漁獲共済養殖共済及び漁貝共済の三種類の漁業共済事業を行なうこととしております。  漁獲共済は、海況変化、資源の変動その他の下山により中小漁業漁獲金額が減少した場合に、その損失について共済金交付する事業としております。  養殖共済は、養殖事業を営む者が養殖中の水産動植物または養殖の川に供する施設の流失、損壊等により受けた損害について共済金交付する事業としております。  漁業共済は、中小漁業者漁業の操業中に漁網等損壊等により受けた損害について共済金交付する事業としております。  以上の漁業共済事業につきましては、漁業共済組合漁業者との間に共済契約が成立したときは、漁業共済組合連合会漁業共済組合との間に当然に再共済契約が成立することとし、その危険の分散をはかることとしております。  第二は、漁業共済基金ついてであります。以上申し述べましたように、漁業共済事業はまず都道府県段階で、次に全国の段階で二重に危険の分散をはかり、その事業経営の安定を期しているのでありますが、共済金または再共済金支払いが円滑に行なわれるために、政府都道府県及び漁業共済団体が出資する漁業共済基金を設置し、漁業共済団体に対する必要な資金の貸し付け、債務の保障等の業務を行なわしめることといたしております。  第四は、国の助成についてであります。漁業災害補償制度につきましては、漁業共済団体の人件費等基幹的な事務費について助成してまいる所存でありますが、特に共済基金つきましては、小規模な漁業者掛金負担の軽減のためとあわせて加入の奨励という見地から純共済掛金の一部を補助するものとしております。この共済掛金の補助につきましては、特に規定を設け、本制度に対する国の助成の方針を明示いたしているのであります。  以上がこの法案提案理由及び主要な内容でありますが、この漁業災害補償制度につきましては、政府は、今後における中小漁業者漁業事情推移漁業共済事業実施状況に応じて、共済掛金率共済責任負担区分等に関して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を構ずるものとする旨の規定を特に設けております。これは、この法律によりまずもって漁業共済団体組織整備漁業共済への加入確保をはかり、今後、漁業共済事業実績等に基づいて資料の蓄積とその分析につとめ、漁業災害補償制度について検討を加える趣旨でありまして、これらの検討の結果に基づき本制度をより一層整備してまいりたいと存ずるものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  4. 青田源太郎

  5. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 肥料価格安定等臨時措置法案につきまして、若干補足して御説明申し上げます。  この法律案は、その第一条おいて規定しておりますとおり、肥料価格の安定をはかるため、その取引の適正かつ円滑にするのに必要な措置を講じ、あわせて肥料輸出調整するため、その輸出体制整備し、もって農業及び肥料工業の健全な発展に資することを目的としております。  法律案構成といたしましては、第一に生産業者販売業者との価格取りきめに関し規定し、第二に日本硫安輸出株式会社について規定するとともに、肥料需給見通し作成とこれに基づく前記輸出会社肥料の譲り受け計画承認等について規定し、第三に独禁法適用除外及び公正取引各員会との関係について規定し、第四にこの法律施行に必要な報告徴収及び立ち入り検査について規定しおりますほか、罰則、この法律期間等について規定しております。  以下、その細目について若干捕捉させていただきます。  第一に価格取りきめとこれに伴なう規定について申し上げます。  まず、第二条第一項において、硫酸アンモニアその他価格の安定をはかることが特に必要であると認められる肥料であって政令で定めるものにつきましては、その生業者及び販売業者は、その双方またはいずれか一方がそれぞれ共同して、当該肥料価格について、取りきめを締結することができる旨規定しております。  この場合、販売業者としては、生産業者から直接当該肥料を買い入れるものであって、後に述べます輸出会社以外のものとなっております。また、この取りきめを締結しようとする者は、締結の日の十五日前までに農林大臣及び通商産業大臣に届け出なければならないこととなっております。  次に、第二条第二項から第四項までは、取りきめに対する是正措置等について規定しております。  すなわち、農林大臣及び通商産業大臣は、取りきめの届出があった場合において、その取りきめが第二条第二項の一号から五号までの各号に適合するものでないと認めるとき、すなわち、農業または肥料工業の健全な発展支障を与える等不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止しなければならないこととしております。  また、取りきめの締結後において、その取りきめが前記各号に適合しなくなったと認めるときも、同様の是正命令をすることにいたしております。  第一条第四項は、取りきめを廃止した場合の届出義務規定したものであります。  第三条及び第四条におきましては、取りきめの締結についての国の援助措置規定しております。すなわち、第三条第一項におきましては、取りきめの当事者は、取りきめを締結しようとするときは、これに必要な資料交付農林大臣及び通商産業大臣に求め得る道を開き、次いで、これを受けまして、同条第二項におきましては、農林大臣及び通商産業大臣は、取りきめの締結を促進するため必要があると認めるときは、当該資料交付することといたしております。  さらに、同条第三項におきましては、農林大臣及び通商産業大臣は、生産業者及び販売業者に対し、取りきめの締結に関し必要な勧奨または助言を行なうことといたしております。  これらの規定は、肥料価格の安定をはかるためには、生産業者販売業者とが共同して話し合い、自主的に価格の取りきめを締結することが適当であると考えられるので、このような取りきめが円滑に締結され、またその内容も公正妥当なものとなるよう、国としても必要な資料交付勧奨助言を行なうようにしておくべきであるとの考え方に基づくものであります。  これに加うるに、第四条におきましては、農林大臣及び通商産業大臣は、生産業者及び販売業者が取りきめの締結について相当期間にわたり努力したにもかかわらず、その取りきめを締結することができないため、その双方またはいずれか一方から申請があった場合において、特に必要があると認めるときは、調停を行なうことといたしております。  この規定は、価格取りきめのための話し合いにおける当下名の自主性を尊重する趣旨から言っても、両当事者間の話し合いにはあまり介入しないほうが適当であると考えられますが、しかし、いかなる場合にも政府が全然介入しないというわけにはまいらないので、必要と認める場合には、政府調停まではすることとして、設けたものであります。  第二に、第五条から第十三条までは、日本硫安輸出株式会社需給見通し作成とこれに基づく輸出承認等輸出調整について規定いたしております。  肥料輸出については、国際競争の激化と主要輸入国輸入一本体制に対処し、一手輸出体制をとることとし、このため、硫安その他政令で定めるアンモニア系窒素肥料輸出については、現在の日本硫安輸出株式会社を存置し、これにより秩序ある輸出をはかることといたしました。  しかしながら、肥料は、農業生産上の必須の基礎資材としてきわめて重要なものでありますので、これが無制限輸出されることを認めるわけにはまいらないのであります。すなわち、内需にいささかの不文もなからしめることが必要でありますので、内需優先確保のたてまえから、第八条において、農林大臣及び通商産業大臣は、その責任において、政令の定めるところによりアンモニア系窒素肥料需給見通しを立てることとし、輸出会社肥料の譲り受け計画については、この見通しに基づいて通商産業大臣承認を行なうことといたしました。  なお、右の通商産業大臣承認について農林大臣同意を要すること及び需給見通し関係者に通知することについては、従来と変わりはありません。  さらに、輸出会社取り扱い品目以外のアンモニア系窒素肥料輸出については、輸出貿易管理令により、実際上右需給見通しに基づいて承認することとしております。  このように、需給見通しに基づいて輸出調整を行なえば、最近のわが国における肥料生産需給等事情からして、内需に不安はないと考えておりますが、万が一、国内需給が逼迫し、または国内価格が高騰するおそれがある場合は、輸出承認を停止するとか、金融排置や適当な行政指導措置を講じて、遺憾のないよう対処してまいる考えであります。  次に、日本硫安輸出株式会社については、前に述べましたように今後も存置することといたし、将来と同様、第六条で商号の使用制限、第七条で事業の範囲について規定するほか、第九条及び第十条で定款の変更等についての通商産業大臣命令についても規定しております。  また、節十一条で輸出会社に譲り渡すべき硫安に関する生産業者の取りきめ、第十二条で硫安輸出制限、第十三条で輸出用硫安の流用の禁止などについても従来の例にならい規定しております。  第三に、独禁法適用除外とこれに伴う公正取引委員会との関係につきましては、第十四条及び第十五条に規定いたしております。  独禁法適用除外を受けるのは、第二条第一項の規定による国内価格についての取りきめと、第十一条第一項の規定による輸出会社に譲り渡すべき硫安についての生産業者の取りきめに関する共同行為でありますが、ただし、第十四条の一号から三号までに該当する場合、すなわち不公正な取引方法を用いたり、是正等命令に違反したり、第十五条第三項及び第四項の規定により公正取引委員会農林大臣及び通商産業大臣に対し是正等命令をするよう請求し、かつ同条五項の規定によりその旨公示してから一カ月経過してもなお是正等命令がなされなかった場合には、適用除外されないこととなっております。  したがいまして、さきに述べました二種の取りきめに対する是正等命令の違反につきましては、その共同行為独禁法適用を受けることとなり、同法の規定により処理されることとなりますので、この法律におきてまして、罰則等につき特別の規定を設けることはいたさなかった次第でございます。  なお、第十五条第一項及び第二項におきましては、農林通産両省公正取引委員会に対する通知について規定しております。  第四に、報告徴収及び検査について申し上げます。  第十六条第一項におきましては、農林大臣通商産業大臣は、この法律施行に必要な限度において、生産業者販売業者に対し必要な事項報告を求め、またはその職員をして生産業者事務所等立ち入り検査させ得る旨規定いたしております。  これは、第八条の肥料需給見通しに基づく輸出会社肥料の譲り受け計画承認第二条の国内価格についての生産業者販売業者の取りきめにかかる是正命令、第四条の調停などの行政上の措置を講ずるために必要でありますので、規定いたした次第であります。また、第十六条第二項におきましては、輸出会社に対し、通商産業大臣報告を求め、またはその職員をして立ち入り検査させ得る旨規定いたしております。  なお、第十七条から第二十一条までは、所要罰則規定いたしております。  最後に、附則におきまして、この法律は、二法失効に合わせて本年八月一日より施行することとしておりますが、国内価格取りきめについては、事前に当事者が話し合う必要がありますので、第二条及び第三条並びに第十四条及び第十五条の関係規定は、公布の日から施行することといたしております。  また、この法律は、肥料をめぐる諸般の事情を勘案し、五年以内に廃止することといたしております。  なお、肥料審議会につきましては、今回の法律では、従来のように、生産指示調整保管指示価格公定等統制措置はとらないことといたしておりますので、特に設置しなければならない事情にはないことを考慮して、規定しなかった次第でございます。  以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終わります。
  6. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をつけて。  この際、漁業災害補償法案(衆第三五号)を議題とし、提案理由説明を聴取することにいたします。角屋衆議院議員
  8. 角屋堅次郎

    衆議院議員角屋堅次郎君) ただいま議題に供されました漁業災害補償法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  漁業は、農業と同じく、自然に左右されることの大きい産業であり、不可抗力である自然災害によって事業が壊滅し、あるいは再起不能の損失をうける危険に常にさらされているのであります。  しかも、わが国漁業においては、経営規模が小さく、これらの災害に対する抵抗力の弱いものがきわめて多いのであります。このため、災害によって漁業者がこうむる損失を補てんし、漁業の再生産を持続することのできる画期的な漁業災害補償制度確立することは、漁業者の久しく切望し来たったところであります。こうした漁民の要望にこたえ、充実した漁業災害補償制度確立し、漁業者不慮災害または不漁に基づく窮乏から解放することは、政府責任でなければなりません。  しかるに、農業においては早くから災害補償制度実施され、不充分ではあれ農民を農業災害から守っているにもかかわらず、それよりも一段と条件の悪い漁業においては、昭和三十二年から漁業共済が試験的に実施されているにすぎず、今日に至るも災害補償制度確立しておらないのであります。  政府が今年から実施しようとしている漁業災害補償法は、単なる共済制度規定しているにすぎず、災害補償制度としての実体を備えておらないのであります。今般政府漁業災害補償法の制定に踏み切ったことは、漁民のために多とするものでありますが、単なる共済制度規定では無意味であると存じます。  災害補償と共済との関係は、同一平面において論ぜられるべきものではありません。これを意識的に混同せしめようといたしますならば、結果的には、羊頭を掲げて狗肉を売るということになるのであります。  以上申し述べました事態にかんがみ、画期的な農業災害補償制度確立漁業の健全な発展をはかり、漁業者災害に基づく窮乏から解放することは、目下の急務であると存じます。  これが、本案を提案するに至った理由であります。  次に、この法律案の大要について御説明申し上げます。  第一に、この法律目的でありますが、漁業災害補償制度確立し、沿岸漁業者等が異常の事象または不慮の事故によって受けることのある損失を十分に補てんして漁業経営の安定をはかり、もって漁業発展に資することを目的とする旨を明記いたしました。さらに、この法律案において漁業災害補償制度とは、漁業共済組合が行なう漁業共済事業漁業共済組合連合会が行なう漁業共済事業及び政府が行なう漁業保険事業により、沿岸漁業者等の漁獲金額の減少または養殖水産動植物養殖施設もしくは漁具にかかる損害に関して必要な給付を行なう制度であることをあわせて明らかにいたしました。これは、わが党が、この法案によって名実兼ね備えた災害補償制度確立を願っているからにほかなりません。  第二に、漁業共済団体組織でありますが、都道府県の区域によるものと全国の区域によるものの二段階といたしました。  また、組合員たる資格を有する者は、県段階における漁業共済組合においては、組合の地区に住所を有する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会全国段階における漁業共済組合連合会においては、組合の地区内に住所を有する漁業共済組合とするとともに、両者とも当然加入といたしました。  第三に、漁業共済組合が行なう事業でありますが、共済組合が当面行なうべき事業としては、漁獲共済養殖共済及び漁具共済の三つとし、漁船保険及び任意共済事業については、なるべくすみやかに、この法律に基づく漁業災害補償制度の対象とするための必要な措置を講ずべき旨、附則規定いたしました。  第四に、契約の方法についてでありますが、義務加入及び任意加入の方法によることとし、それぞれ必要な条項を規定いたしました。  第五に、漁業共済連合会の漁業共済事業についてでありますが、連合会が行なう共済卒業は、共済組合が漁業共済事業によって被共済者に対して負う共済責任を再共済する事業とするとともに、共済組合と被共済者との間にこの法律規定による共済関係が成立したときは、これによって連合会と共済組合との間に、当該共済契約につき再共済関係が成立するものといたしました。  また、連合会の再共済金額は、当該共済金額に通常責任共済金額の百分の九十をこえない範囲内で政令で定める金額といたしました。  第六に、政府の保険事業でありますが、政府が行なう保険事業は、共済組合が漁業共済事業によって被共済者に対して負う共済責任を保険する事業とし、共済組合と被共済者との間にこの法律規定による共済関係が成立したときは、政府と当該共済組合との間に保険関係が成立するものとすることといたしました。  なお、政府の保険金額は、共済金額のうち通常責任共済金額をこえる部分の金額とし、政府負担する保険料率は、異常共済掛金部分とするものといたしました。  第七に、漁業共済基金についてでありますが、漁業共済団体に対してその業務に必要な資金を融通することにより、漁業共済事業の過渡的な収支調整をはかることを目的として、資本金十億円(うち政府出資七億円)の漁業共済基金を設けることといたしました。  第八に、共済掛金等の国庫負担についてでありますが、区画漁業等であって政令で定めるもの、及び総トン数十トン未満の漁船によって行なう漁業(区画漁業等及び政令で定めるものを除く)にあっては、異常共済掛金部分の全額と通常共済掛金部分の三分の二の合計額を、総トン数十トン以上百トン未満の漁船により行なう漁業(区画漁業等を除く)にあっては、異常共済掛金部分の全額と通常掛金部分の二分の一の合計額を、百トン以上千トン未満の漁業については、異常共済掛金部分の全額と通常共済掛金部分の三分の一以内で政令で定める金額の合計額を国庫で負担すべきことといたしました、  養殖共済及び漁具共済においても、おおむねこれに準じて掛金の一部を国庫で負担することといたしております。  また、漁業共済団体事務費に対しても、その全額を国庫で負担すべき旨規定いたしました。  第九に、漁業共済団体の行なう損害査定の公正を期するため、学識経験者をもって構成する漁業共済団体損害評価会を置くことといたしました。  第十に、漁業共済を漁民にとって一段と魅力あるものとするため、共済限度額をたかめ、特約制度によって限度額率を九五%まで引き上げることができることといたしております。いま一つは、豊漁年における余剰金の一部を不漁準備金として積み立て、共済事故が発生した場合は、その積み立て金を優先的に取りくずすことができるようにいたしました。この場合の積立金に対する課税及び契約者の共済掛金率は、不漁準備金の積み立て額に応じて逓減することができるようにいたしました。  また、無事故優遇措置として無事故継続年数に応じて掛金の一部を払い戻すことができるようにするとともに零細漁民の掛金払い込みを容易にするため、漁獲共済及び養殖共済にかかる共済掛金は分割して支払うことができるようにいたしました。  第十一に、政府漁業保険事業実施に伴なう漁業保険特別会計の設置、基金の設立その他この法律施行に伴い必要な事項及び関係法律の整理に関しては、別に法律で定めることといたしました。  以上が、この法律案提出した理由及び法案の主な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  なお、御承知の衆議院段階におきましては、政府案、社会党のただいま提案理由説明を行ないました法案と対比しながら審議を進め、後ほど御説明のような修正の経過になっておることを申し添えます。
  9. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 続いて、肥料関係資料説明を求めます。松岡農林経済局長
  10. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) お手元にお配りしてございます「最近の肥料事情」という資料によりまして御説明申し上げます。  一ページの「肥料の需給推移」でございますが、これは窒素、燐酸、加里の三つの三要素別に、需給の推移を示したものでございます。  一番上の窒素肥料は、これはア系肥料のほかに石灰窒素を含んでおります。これをごらんいただきましても、二十九肥料年度、つまり肥料二法が施行されました年に、窒素肥料生産はおよそ三百万トンでございましたが、三十八肥料年度におきましては  三十八肥料年度はことしの七月をもって終わる年度でございますが、生産が六百六万ント、約六百万トンに倍増いたしております。そのうちで、内需は、二十九肥料年度は、二百四十四万七千ントでございましたが、三十八年度におきましては三百四十九万ントと増大いたしております。しかしながら、輸出のほうは、二十九年が五十五万八千トンでありましたのに対し、三十八年度は二百七十八万トンと約五倍以上に増加しておるのでございます。需要の中で輸出の占めるウエートも、二十九肥料年度におきましては二割ちょっとでございましたのが、三十八肥料年度におきましては四割をこえるという状況でございます。それから燐酸肥料につきましても、これは輸出関係はたいしたことはございませんが、生産は、二十九年が二百三十二万トンでありましたのが、三十八年には三百十九万トン、内需が二百万トンから約三百万トンに増大いたしております。それからカリ肥料は——過燐酸の場合も、燐鉱石はほとんど輸入でございますが、カリは全部が輸入といっても差しつかえございませんが、二十九肥料年度では輸入七十四万八千トン、三十八年は百二十二万一千トン、内需もこれに応じて非常な増大を示しております。  その次に、二ページでございますが、いまの「窒素肥料の需給」をさらに分けましてアンモニア系窒素肥料、今度の法律でも特に対象となっておりますアンモニア系だけを取り上げますと、硫安、尿素、塩安、高度化成、硝安その他、ア系合計、一番下の欄でございますが、二十九年が、生産が二百五十三万トン、内需が百九十七万トン、輸出が五十二万トン、輸出が二割でございます。それが三十八肥料年度では、生産が五百七十二万トン、内需が三百十六万トン、輸出が二百七十六万トン、四十数%の輸出となっておるわけでございます。  この中をごらんいただきますと、硫安につきましては、まず生産でございますが、生産は三十二年の二百七十四万トンをピークといたしまして、だんだん低下いたしております。逆に、それに変わりまして尿素の生産がその後急速に増加いたしておりまして、二十九肥料年度で三十二万トンの生産に過ぎなかったものが、三十八年には二百十四万トンの生産となっております。塩安も全体の中での割合は小さいものでございますが、これも急速に増加いたしております。  それから特に注目すべきことは、高度化成の生産が非常にふえておることでございます。同じ硫安の中でも、これは合成硫安と回収硫安、副産硫安に分かれますが、一番上の左の欄に、三つに分かれておりますが、その中で合成硫安、これはいままで一般に使われていた硫安でございますが、これは三十三年の二百四十八万トンをピークにいたしまして、その後どんどん減少いたしております。それに変わりまして回収硫安、これは合成繊維などの生産の過程で回収されますアンモニアを原料とするものでございますけれども、これが相当な勢いで増加いたしております。それから副産硫安もかなり増加いたしておるのでございます。  その次は、三ページの石灰窒素でございますが、石炭窒素は、最近ではむしろどちらかといえば安定いたしておりますが、生産内需も三十万トンをややこえるところで、以前に比べますと減ってまいっております。しかしながら、農薬肥料としての固定的な需要がございますので、この程度で推移いたしておるわけでございます。  下のほうに、参考のため、石灰窒素の原料となります「カーバイド需給の推移」が示されております。これはカーバイドそのものの生産はふえております。塩化ビニール等への消費がふえてまいっておりますが、石灰窒素用のウエートはずっと低下しております。こういうことでございます。  四ページは、「りん酸肥料の需給」でございます。これにも各種の燐酸肥料の内訳をあげておりますが、何といいましても過燐酸石灰、それから高度化成としての形の燐酸肥料が多いわけでございます。で、これも生産内需ともに顕著に増加いたしております。一番下の「計」の欄で、先ほど申し上げましたように、非常にふえておることがごらんいただけるかと思います。  それから、その次のページは、カリ肥料でございますが、カリも非常な増加でございます。最初の七十万トンくらいの消費から、現在では百十万トンくらいの消費まで増大いたしております。  六ページは、消費の面から見たものでございますが、「窒素質肥料」で見ますと、「構成比」で申し上げるといいと思いますが、二十九肥料年度で硫安の消費が、窒素質肥料の中で六六・七%であったものが、三十七肥料年度では四二%に低下いたしました。逆に、尿素が九・五%から二二・六%に増加いたしております。塩安もかなりふえておりますが、高度化成が一・一%から一五・六%に変わっておるのでございます。そのほかの肥料については、特に申し上げることはないと思いますが、燐酸にいたしましても、カリにいたしましても相当ふえておる。特に燐酸の場合も、高度化成で消費されるものが非常にふえておるということでございます。  その次のページは、「対前年比」の表でございます。これは省略いたします。  それから、八ページが、「窒素肥料内需構造の推移」ということでございますが、まず、単肥と、複合肥料別の構成でございます。で、肥料二法が施行されました当時、単肥が七七・五%で、複合肥料——これはいわゆる高度化成と低度化成及び配合肥料でございますが二一・五%でございましたのが、三十七肥料年度は、単肥が四八%、複合が四五・四%、こういう構成に変っております。  一〇ページは、複合肥料の中での、高度化成とその他の低度化成、あるいは配合肥料の割合でございます。これは二十九肥料年度では、高度化成が五%に過ぎず、その他の複合が九、五%でございましたのが、三十七肥料年度は、高度化成が三四・四%、その他が六五・六%、こういうように単肥の割合が減って、複合の生産、消費が増加し、複合の中では高度化成が顕著に増加しているというのが、最近の実情でございます。  その次に、一ページ、今度は農家の段階における消費の実態でございます。これは米麦反当施肥料を示したものでございますが、ごらんのように、三十五年から三十七年の数字でございますが、窒素質は、これは三十七年ちょっと落ちておりますが、目立ったものではございません。大体安定いたしております。それから麦は、変動はございますが、これも特に大きな動きは目立っておりません。この麦が、ずっと前の数字がありませんので、よく見ていただけませんが、燐酸、カリの施肥量の増加が、実は目だっておるわけでございます。  それから、一二ページの輸出、これはむしろ通産省から説明していただいたほうが……。それでは、便宜私からやめますが、先ほども申しましたように、二十九肥料年度に比べまして、最近は輸出が非常に大きくなってまいっておるわけでありますが、ただ、最近、韓国はなかなか実現しそうでありませんが、台湾等の国で、国内で自給態勢を整えつつございます。それで、ここでもごらんいただけますように、海外への輸出などは、だんだん減っておるのでございます。特にこれは、三十八肥料年度が下に出ておりますけれども、三十八肥料年度は、未曾有の輸出の見込みでございます。これは欧州の寒波、あるいはソ連の、不作等がございまして、非常に世界的に、特に窒素肥料につきまして、需給が緊迫いたしてきておりまして、わが国に対しましても、引き合いが非常に参っております。輸出価格もだんだん上がってまいっておりまして、実は国内でフル生産になっても足りない、輸出の引き合いにこたえられないというような状況でございます。特に三十八肥料年度では、中共への輸出が目立って増加いたしました。  それから、一三ページ、肥料価格でございますが、ごらんのように、硫安、尿素、高度化成等は、肥料二法施行の当時から三十八肥料年度まで次第次第に下がってまいりました。これは硫安の場合、一六%くらい下がっておるのでございます。それから尿素とか、高度化成、過燐酸等は、これは全購連とメーカーの建て値でございます。それから一番下に、ア系窒素肥料輸出価格というのがございます。これは、二十九肥料年度からだんだん下がってきまして、三十七年度に至ってはトン当たり三十六ドル程度まで下がったわけでございます。これに対して、国内価格が五十一ドル弱でございます。ところが、三十八肥料年度に入りまして、先ほど申しましたように、若干上がってまいっております。三十八肥料年度の平均は、四十ドル弱くらいになるかと思います。最近の引き合い価格は、四十四、五ドルにまで至っております。  次のページが、農村物価指数から見たものでございますが、これで、農林生産物が、ごらんのように上がって、農業用品も上がり、家計用品も上がって、農業用品と家計用品の総合でございます。購入品総合もかなり上がっておるのでございますが、逆に、肥料は一割近く低下いたしております。硫安が特にそうでございます。  次は、農家経済でございますが、その中での肥料の消費を、農家経済の支出の総額と現金支出とで見たものでございます。中の欄の、農業支出のうち、肥料費というのをごらんいただきますれば、ごらんのように絶対額は増加いたしております。これは、施肥料がふえたのと、高度化成等が使われるようになって、支出額としてふえておりますが、しかし、農業指数の中でのウエートは低下いたしております。  次の、一六ページにございますように、肥料の支出もふえましたが、飼料費等が著しく増加している。それから、農薬、農機具等も相当なウエートで、全体としてのウェートが低下したわけでございます。  一七ページは、肥料二法施行等によりまして、硫安工業の合理化を推進してまいったわけでございますが、その姿でございます。大体におきまして、硫安工業の合理化は、量産化と、ガス源の電化によって実現を見てまいったわけでございます。ごらんのように、二十八年四月一日現在のガス源別に見ました生産方法は、電解法等が二六・四、固体原料が六八・五%を占めて、最も低コストの流体原料が五%程度しかなかったのでございますが、三十八肥の見込みでは、逆に、電解法が五%、固体原料法が四・七%、流体原料は九〇・二%、こういうように大きく転換されております。  これに対する硫安工業合理化のための設備投資の実績を、次のページにあらわしておるのでございます。二十八会計年度から三十七年度まで、累計で一千四百六十五億円の合理化投資が行なわれております。そのうち財政資金が二百二十一億円でございます。  それから、一九ページは、硫安メーカーの企業の内容の特徴を申し上げておるわけでありますが、専業メーカーと兼業メーカーに分けて、専業メーカーでは、総売り上げのうち肥料の売り上げが五〇%以上のものを示しているわけでありますが、その中での肥料のウエートが、いずれの場合も下がっておる、こういうことでございます。アンモニアの構成比で見ますと、専業メーカーの場合、三十年度で肥料用が九二・四%でありましたが、三十七年度で七九%、兼業メーカーは、三十年度が七五%でありましたのが、三十七年度が五七%に低下いたしております。大体最近の状況から見ますと、兼業のメーカーは比較的収支の状況はよろしゅうございますが、専業メーカーには、無配会社などが出てまいっております。  それから二〇ページは、欧米の主要国の窒素肥料の需要や国内価格、それから輸出価格を示したものでございます。これは、ごらんのとおり硫安国内価格でございますが、下から二番目の欄でございます。西ドイツは六十三ドル六十、それからイギリスは五十六ドル十五、イタリーが安くて四十八ドル四十九でございますが、一番右の日本が五十ドル十九で、イタリアを除いては、この資料による限り、日本が安いということになります。それから硫安輸出価格をその下に示しておりますが、ヨーロッパでもどんどんどんどん下がっておりまして、極端なのは三十ドル台、オランダのごときは二十九ドル台まで下っております。日本は三十七ドル、こういう状況でございます。  その以下の点は、いままでの説明を図表にしたものでございますので、省略いたします。
  11. 青田源太郎

  12. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 政府提案の、漁業災害補償法案内容につきまして、若干補足して説明申し上げます。  漁業災害補償法案は、提案理由にもありましたように、沿岸漁業等振興法に定められている国の施策の基本方針に沿った漁業施策の重要な一環として、沿岸漁家等経営基礎の脆弱な中小漁業者漁業経営の安定に資するために、漁業共済事業による漁業災害補償制度を新しい制度として発足させることとしているのであります。  漁業共済事業は、昭和三十二年より、水産業協同組合法に基づいて設立されておりました全国産業協同組合共済会の事業として開始され、政府といたしましては、昭和三十八年度まで、委託費の交付、国庫債務負担行為を通ずる共済金支払い資金の補助等によりまして、同共済会に試験実施の調査の委託をしてまいったのであります。この事業は、加入件数もいまだ少なく、現在までのところ相当の支払い超過の実績を示してまいっておるのでありますが、試験実施調査の結果、漁業共済の共済としての成立の可能性及びこれに対する有効需要の存在につきましては、一応の見通しもつきましたので、沿岸漁業等の実情からその早急な制度化が要請されていることにこたえて、ここに漁業共済事業による漁業災害補償制度確立をはかろうとするものであります。  以下、法律案の骨子について、その概略を御説明申し上げます。  法律案の骨子の第二は、この法律目的についてであります。すなわち、この法律は、法第一条におきまして、中小漁業者がその営む漁業につき異常の事象または不慮の事故によって受けることのある損失を補てんするため、漁業災害補償制度及びその健全かつ円滑な運営確保するための措置を定め、これによって中小漁業者漁業生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的としております。漁業災害補償制度は、漁業協同組合等中小漁業者協同組織を基盤とする漁業共済団体が行なう漁業共済事業及び漁業共済事業により、中小漁業者相互救済の精神を基調として実施される制度としており、また、この制度の健全かつ円滑な運営確保する措置といたしましては、後に述べます漁業共済基金の設置、共済掛け金に対する国の補助等の措置を定めているのであります。  法律案の骨子の第二は、漁業共済団体組織についてであります。従来の試験実施におきましては、いわゆる一段階組織により事業を行なってまいったのでありますが、加入確保及び事業運営の適正を期するため、この法律案におきましては、二段階の系統組織とすることといたしております。すなわち、漁業共済組合は原則として一の都道府県の区域を地区として漁業共済事業を行ない、漁業共済組合連合会漁業共済組合をもって組織し、全国の区域を地区として漁業共済事業を行なうこととしております。  これら漁業共済団体事業は、漁業共済事業または漁業共済事業及びこれらに付帯する事業に限っており、これは法第十条に規定してございます。その他のいわゆる任意共済事業は、水産業協同組合法に基づく水産業協同組合共済会が行なうことといたしております。なお、これらの新しい共済団体による事業の開始は、その設立に若干時日を要しますため、おおむね昭和三十九年十月を目途としておりますが、都道府県によりましては、そのときまでには漁業共済組合が成立しないことも予想されますので、そのような都道府県の区域については、昭和四十一年三月三十一日までの間に限り漁業共済組合連合会が直接漁業共済事業を行なうことができることとしておるのであります。これは附則第三条に規定してございます。  次に、漁業共済団体組織のうち、漁業共済組合について御説明申し上げます。漁業共済組合の組合員たる資格を有する者は、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会漁業共済組合の地区内に住所を有するものに限ることとしております。法第十二条に規定してございます。漁業共済組合はいわゆる出資制をとることといたしておりまして、漁業共済組合の自己資本の造成により、共済金の円滑な支払いに資するための調整資金確保をはかり、事業運営の円滑を期しております。組合員の加入脱退は任意とするほか、組合員の権利義務、漁業共済組合の管理等に関しましては、水産業協同組合法その他同種の法律の例にならって規定を設けております。漁業共済組合の設立につきましては、農林大臣の認可を要することとしておりますが、組合員たる資格を有する者の一定割合以上が漁業共済組合加入すること、及び既存の漁業共済組合とその地区が重複しないこと等の要件を満たしている場合に設立の認可をすることとし、もって漁業共済組合の健全な運営確保し得るように配慮しております。  漁業共済組合連合会につきましては、漁業共済組合をもって構成するのでありますが、その設立につきまして、は、漁業共済組合と同様農林大臣の認可を要することとし、会員たる漁業共済組合の地区が合わせて十五以上の都道府県の区域を包括することとなる場合に設立の認可をすることとしております。なお、漁業共済組合連合会の成立後は、漁業共済組合はすべて当然にその会員となることとしております。法第六十三条に規定してございます。  法律案の骨子の第三は、漁業共済組合の行なう漁業共済事業についてであります。漁業共済事業は、漁獲共済養殖共済及び漁具共済の三種類としておりますが、その内容を簡単に御説明申し上げます。  まず第一に漁獲共済についてでありますが、その内容は、漁業共済組合の組合員たる漁業協同組合の組合員である中小漁業者等が営む漁業共済責任期間中の操業にかかる漁獲金額が、一定の方式によって定められる共済限度額に達しない場合の損失について、共済金交付する事業であります。法策七十八条第一項に規定してございます。  漁獲共済の対象とする漁業の種類は、政令で指定してまいるのでありますが、共済契約締結の方法により次の三種に区分されるのであります。  その一は、採貝採藻業等であり、この法律案において区画漁業等と総称しておりますが、これらの漁業につきましては、通常同一漁場で同種漁業を営む者が多数おりますので、都道府県知事が定める一定の水域内において政令で定める種類ごとの漁業を営む者の全員をその構成員とする団体を被共済君とし、これら漁業者が一まとめになって漁業共済加入する場合に限り、共済契約締結し得ることとしております。法第百五条第一項の第一号に規定してある、いわゆる集団加入の方式でございます。  その二は、総トン数十トン未満の小型漁船により行なう漁業であり、各漁業者を相手方として、その者の営む小型漁船漁業のすベてを一括して共済に付することを要することとしておりますが、都道府県知事が定める一定の区域内に住所を有する漁業者が同時に加入しようとする場合であって、その加入しようとする者のうちに総トン数一トン以上十トン未満の動力漁船を使用する漁業者の二分の一以上を含む場合に共済契約締結し得ることとしております。法第百八条に規定してございます。いわゆる小型連合加入方式でございます。  その三は、定置網漁業及び総トン数十トン以上の漁船を使用して行なう漁業であり、政令で定める漁業種類別に契約を締結するのでありまして、原則として個別に加入し得ることとしております。  次に、漁獲共済の共済限度額についてでありますが、基準漁獲金額に限度額率を乗じて得た額としております。法第百十一条に規定してございます。  基準漁獲金額は、共済に加入しようとする漁業者の過去一定年間の漁獲金額を基準として定めるものであり、限度額率は当該漁業者の過去一定年間の漁獲金額の年ごとの変動の態様に応じて定められる割合としております。なお、先に申し述べましたとおり、総トン数十トン未満の小型漁船を使用して行なう漁業につきましては、一定の区域内の漁業者が同時に加入すべきこととしておりますが、この場合の限度額率は、当該区域内の加入者を通じて同一の癖とし、また定置網及び総トン数十トン以上の漁船を使用して行なう漁業についても、小型漁船漁業と同様に一定の区域内の加入者を通じて限度額率を同一の率とし縛るよう措置してまいることといたしております。  漁業共済事業の第二は養殖共済であります。その内容は、養殖中の水産動植物及びその養殖の用に供する施設を共済目的とし、養殖中の水産動植物の死に等または養殖の用に供する施設の損壊等により受けた損害について共済金交付する事業としております。法第七十八条第二項に規定してございます。  このように漁獲共済とは異なる別個の仕組みといたしておりますのは、養殖業につきましては、その実態が一般の漁業とは著しく異なっており、漁獲共済のように漁獲高を基準とする方式をとることは適当でないためであります。  養殖共済の対象とする養殖業の種類は、政令で指定することとしておりますが、これも共済契約締結の方法により二種に区分されるのであります。法第百十四条に規定してございます。  その一は、いわゆる築堤式または網仕切り式の魚類養殖業等であり、漁業共済組合の組合員たる漁業協同組合組合員等を相手方として、個別に養殖業の種類別に共済を引き受けることとしております。  その二は、ノリ、カキ、真珠等の養殖業であります。これらの養殖業につきましては、同一の漁場で多数の漁業者が同種の養殖業を営んでいる実態にかんがみまして、一定の漁場区域内において、契約にかかる種類の養殖業を営む者のすべてが同時に共済に加入する場合であって、加入者が、その区域内における養殖水産動植物養殖施設のすべてを共済に付する場合に限って、漁業共済組合は契約を締結することができることにいたしております。法第百十八条三項に規定してございます。  漁業共済の種類の第三は漁具共済であります。漁具共済の対象は当面定置網等の漁網を考えておりますが、政令で指定する漁具が漁業の操業中に損壊等により受けた損害について、共済金交付する事業としております。漁具共済に加入し得る者は、漁業共済組合の組合員たる漁業協同組合組合員等中小漁業者に限っており、個別に共済契約締結し得ることとしております。  法律案の骨子の第四は、漁業共済組合連合会の行なう漁業共済事業についてであります。第四章に規定してございます。  漁業共済組合連合会は、会員たる漁業共済組合が行なう漁業共済事業、すなわち漁獲共済養殖共済及び漁具共済によって被共済者に対して負う共済責任を再共済する事業を行なうのでありますが、会員たる漁業共済組合漁業者との間に漁業共済事業にかかる共済契約が成立したときは、これによって当然に漁業共済組合連合会と当該会員たる漁業共済組合との間に再共済契約が成立するものとしており、漁業共済事業危険分散をはかることとしております。法第百三十九条に規定してございます。この再共済事業について、漁業共済組合連合会は、会員たる漁業共済組合共済責任を比例保険の方式により再共済するのでありますが、その割合は当面九割と考えております。法第百四十条に規定してあります。  法律案の骨子の第五は、漁業共済基金についてであります。法第五章に規定してございます。  漁業共済及び漁業再共済の事業については、その性質上、事業収支の変動が相当程度予想されることにかんがみ、漁業共済団体共済金または再共済金支払いに必要な資金供給を円滑にすることを目的として、漁業共済基金を設置することとしております。この漁業共済基金の資本金は、政府都道府県及び漁業共済団体の出資によって造成してまいるのであり、政府漁業共済基金の設立に際し二億五千万円を出資することとしております。なお、基金の成立当初の資本金は四億円以上とし、また成立後一年以内に五億円以上とすることとし、もって漁業共済事業の円滑な運営支障のないように配慮いたしております。  漁業共済基金の業務は、共済金または再共済金支払いに関して出資者たる漁業共済団体が必要とする資金を貸し付け、または金融機関に対し負担する債務の保証を行なうとともに、貸し付け業務に必要な資金に充てるために出資者たる漁業共済団体からの金銭の寄託の引き受けを行なうことであります。漁業共済基金の役職員、財務及び会計等に関しては、政府の出資する同種の法人の例にならい、必要な規定を設けてあります。  法律案の骨子の第六は、国の助成についてであります。第六章に規定してございます。漁業災害補償制度につきましては、漁業共済団体の基幹的な事務費等の必要な助成措置は講じてまいる所存でありますが、特に共済掛金の補助については、本制度に対する国の助成の方針を明示すべく、特に規定を設けております。第百九十五条に規定してございます。すなわち、国は、毎会計年度予算の範囲内において、一定の要件を満たしている共済契約者に対し、その支払うべき純共済掛金の一部を補助するものとすることとしております。この助成の対象となる漁業者は、一定の区域内の漁業者の相当部分が同時に加入することを要件とする契約によって加入した者等としており、その補助率はその者の漁業の規模に応じ、また、一定の区域内の漁業者加入率に応じ二分の一以内とする予定であります。  法律案の骨子の第七は、この法律施行その他についてであります。  まず、この法律施行についてでありますが、漁業共済団体の設立準備等を考慮して、おおむね本年十月より漁業共済事業が開始し得ることを目途としております。なお、現在政府試験実施調査の委託を受けて、全国産業協同組合共済会が漁業共済事業を行なっておりますが、この試験実施昭和三十八年度でこれを打ち切ることといたしておりますので、本格実施までの空白期間を生ぜしめないため、全国産業協同組合共済会がこの期間中に締結した漁業共済と同種の共済契約に基づく権利義務を漁業共済組合連合会が引き継ぐ旨の契約を両者の間で締結し得ることとしております。附則の第四条に規定してございます。  最後に、この制度についての今後の検討についてでありますが、附則第二条に規定してあります。  すでに提案理由説明でも申し述べましたとおり、政府は、今後における中小漁業者漁業事情の推移と漁業共済団体が行なう漁業共済事業実施状況に応じて、共済掛け金率、共済責任負担区分等に関し、所要検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずべきものとしております。この検討にあたっては、漁業共済事業の実績が最も重要な基礎資料となることは言うまでもないのでありまして、漁業者の十分な理解と自主的な努力と相まって、すみやかに資料の蓄積とその分析につとめ、各般の検討を加えて、本制度を一そう整備してまいりたいと考えております。  なお、この法律案につきましては、衆議院におきまして数項目の修正が行なわれましたので、その修正項目につきまして御説明申し上げます。  修正の第一点は、組合の共済規程の規定事項に法第二十三条でございますが、「損失又は損害の認定に関する事項」を加えることとした点であります。修正の第二点は、漁業共済団体事務費の補助及び事業の円滑な運営支障を生じないよう適切な措置を講ずることに関する規定を設けたことであります。これは法第百九十五条の規定修正されたわけでございます。修正の第三点は、附則第二条の今後における政府検討の項目として共済限度額を加え、これらの検討政府の保険事業をすみやかに実施することを目途として行なうべき旨の規定を設けたことであります。  以上をもって漁業災害補償法案補足説明といたします。  引き続きまして、提出申し上げました「漁業災害補償法案参考資料昭和三十九年三月」横とじの分につきまして御説明申し上げます。
  13. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  14. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて。
  15. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 私たちの手違いで、参考資料おくれまして御迷惑をかけました。よろしくお願いいたしたいと思います。  第一ページをお開き願いますと、漁業におきまする共済事業の経過を書いてございます。二十五年十二月に、建物共済等が漁業に、水産業協同組合法の一部改正で行なわれております。そのために、二十六年一月に、全国産業協同組合共済会、いわゆる全水兵の設立を見たわけでございますが、その後三十年九月、火災と、それからいわゆる厚生共済が行なわれるようになったわけでございます。  それから次のページの、二ページでございますが、昭和三十二年十月に、漁業共済規程認可をいたしまして、いわゆる漁業共済についての試験実施が三十二年十月から始められたわけでございます。それから昭和三十三年九月に、漁業共済制度調査会、それから三十八年十月に、漁業共済制度研究会をそれぞれ設けまして、この制度の研究をいたしたわけでございます。  次の、三ページでございますが、漁獲共済及び漁具共済事業試験実施調査の実績でございまして、昭和三十二年から三十八年度までの実績が書いてございます。三十七年、三十八年はまだ経過中でございまして、三十六年度までが明確に損害率等が記載してございます。三十二年は初年度でございまして七十二件。損害率は三九三で約四倍近い。支払い掛金に対しまして三九三%と申しますか、三倍、四倍近い赤字になっている。それから三十二年は五百四十九件。それから三十四年が八百八十一件。三十五年が八百八十九件。三十六年は千百二十三件。それから三十七年が千九百七件で、それぞれ加入引き受け件数が増加しております。三十八年は千五百二十八件。こういうふうに加入は増加いたしております。損害率は、一番右に書いてございますが、純共済掛金に対します支払い共済金の割合でございますが、それが三十六年まで締めてございますが、大体二・二倍、こういうふうになって、赤字になっております。ただ三十五年だけが一・七倍ということになっております。三十七年はまだ経過中でございますが、現在まで締めたところでは一・八%程度でございます。まだ増加するのではないか、こういうことで、大体支払い不足金を生じているわけでございます。  それから、四ページが、漁獲共済及び漁具共済事業昭和三十六年度単年度実績でございます。契約種類別の実績でございますが、単独加入と連合加入と集団加入というのが、漁獲共済についての三つの加入方式でございます。漁具については、これは漁具共済でセットで引き受けるものが一般でございますが、北洋の母船式のサケ・マスの流し網というのが別個にございます。合計で千百二十三件、合わせて引き受けております。共済限度額が八十億三千六百万円で、それに対します共済金額が五十億四千万円。それに対しまする純共済掛金額が一億四千七百万円。支払いのほうでございますが、支払い件数で、引き受け件数の千百二十三件に対しまして四百八十五件。支払い共済金は三億二千五百万円、こういうことで、純共済掛金額に対しまして二・二倍、こういうふうになっております。  それから、五ページでございますが、これは漁業種類別の実績、三十六年度の単年度でございますが、漁業種類別に定置、まき網、刺し網、底びき網、地びき・船びき網、敷き網、釣り、はえなわ、養殖、採貝・採藻、その他となっております。漁具共済については定置、まき網、刺し網、のり網ひび・それから母船式のサケ・マスの流し網と、そういうふうになっております。そうなりまして、漁獲共済の中での損害率の一番大きいのは、地びき綱、船びき網等が五七三。それから採貝・採藻等が七四大と、こういうふうなパーセントになっております。こういうことで、平均いたしまして漁獲共済損害率が二四二%、二・四倍程度になっているわけでございます。漁具共済につきましては、まき網、刺し網が七二五%、ないし八八〇%、こういうふうに非常に損害率が高くなっておりますが、平均いたしますと一四七%、こういうふうになっております。いずれも不足金を生じているわけです。  それから、六ページの、都道府県別の実績でございますが、府県別に見ますと、北海道あたりが八十六件、これは三十六年度でございますが、八十六件。石川が六十八件。福井が五十七件。長崎が五十三件、こういうふうに引き受けの件数の成績が上がっている所と、青森とか秋田とか一件しかない所。茨城が二件、富山が三件、あるいは鳥取が一件、愛媛が一件、福岡が一件、佐賀が二件と、こういうふうに非常に成績の悪い所もございます。漁具共済はまだ試験段階でございまして、実施している所はこういうふうに四百七十七件、大部分は鮭鱒が中心になっております。  それから、七ページでございますが、三十六年度のいわゆる試験実施におきます共済の設計と実績の比でございます。設計のほうは、事故発生率と同上の安全割増を加えまして〇・三〇九、こういうふうになっておりますそれから平均支払率は安全割増率を加えたものが〇・一五九、こういうふうになっております。予定事故率が〇・〇四九、こういうことになっておりますが、実績のほうは、事故発生率が〇・三五二、これが〇・〇四三ほどふえているということでございますが、平均支払率は〇・一五六で、大体保険設計と同じでございますが、実績事故率が予定事故率の〇・〇四九に対しまして〇・〇五五、共済掛金率が、これも〇・〇四九の予定事故率と同じになるわけでございますが、共済掛金率〇・〇二七ということで、共済掛金率が非常に低くなっているということは、それに対しまして実績事故率が〇・〇五五ということで赤字になっているわけでございます。それから、次の掛金級別危険率でございます。現行の試験実施におきましては、地域別、漁業種類別の料率体系をとっているわけでございますが、一級から十級までということで、一級が以西底びき、北海道区たこ釣、太平洋北、中区わかめ、てんぐさ採取等、こういうことで、共済掛金額が共済金二万円について百五十円、これは付加保険料も入っておりますが、純共済掛金率は設計で一・三、約三十円までですが、二十円は付加保険料、こういうことになります。実績の危険率のほうが七・一、こういうふうになって、掛金率に対し危険率が非常に高いということになりますし、また、次の八級の日本海区、東支那海区、いわし流網等では八・一の純共済掛金率に対して四一・七、こういうふうに高くなっております。大体五級、六級の四百五十円から五百八十円では四・〇%ないし五二%の純共済掛金率を中心にいたしまして、統計等で上下に開いているわけでございますが、こういうふうに地域別、漁業種類別の料率体系に、設計と実績が矛盾している、食い違っている、こういうところに問題があるわけでございまして、今後こういう点については、法律案では修正して、こういう開きのないようにしたい、こういうことで料率体系を改めております。  それから、八ページでございますが、漁業災害補償制度の概要で、(A)が漁業災害補償制度の機構でございますが、これが御審議願います漁業災害補償法案におきまする機構でございます。漁業者と、それから漁業共済組合、これを県ごとに一つ作るということになりまして、それが全国漁業共済組合連合会が再共済する、それで、漁業共済組合が元受の共済でございまして、それが当然に漁業共済組合連合会に再共済される、その再共済は比例共済でございまして、九〇%以内——九割以内、こういうことになるわけでございます。この左のほうに、点線の横に書いてありますものは、附則三条で、共済組合がまだできない場合に、県につきましては、昭和四十年度末までは漁業共済組合連合会が元受の共済ができるという、経過規定でございますが、附則に書いてあるものを書いたわけでございます。四十一年度からは、その点線の左はなくなる、こういうことに相なるわけであります。  それから漁業共済基金が、この漁業共済組合及び漁業共済組合連合会からの出資と国庫の出資とそれから都道府県の出資で共済基金が造成される、それが共済団体の共済金支払いに、それかへ不足が生じた場合に連合会及び共済組合に貸し付けるあるいは融資の保証をする、こういうことに相なるわけでございます。それから右の下のほうに現行機構が全国一本、全国産業協同組合共済会いわゆる全水共が全国一本で元受けをやっておる、こういう状況でございます。それで不足金は、国庫の債務負担行為によりまして、一定の範囲において補てんする、こういうわけでございます。  それから、九ページが、御審議願いまする漁業災害補償法の漁業共済事業及び漁業共済事業内容を表式に書いたわけでございます。漁獲共済についての事業内容、それから共済契約のしかた、それから再共済契約、こういうふうになっております。それで漁獲共済事業内容は、百四条に書いてございますが、共済契約は、漁業者が任意に加入するということで、任意制度でございますが、契約いたしますと、当然にそれが再共済契約につながっていく、百三十九条でございます。補足説明で申し上げたとおりでございます。共済契約内容は、百四条の一号がで区画漁業、採そう、採貝事業とございますが、二号が、総トン数十トン未満の漁船により行なう漁業でございますが、三号が、総トン数十トン以上の動力漁船により行なう漁業、こういうふうに三段階に分かれるわけでございます。  それから、一〇ページでございますが、養殖共済でございます。七十八条二項に規定しておりますが、やはり漁獲共済と同じように、共済契約は元受けのところで任意共済になりますし、再共済のところでは当然に成立するということに相なっております。養殖共済規定は、築堤式あるいは網仕切り式魚類養殖業、これは百十四条の一号でございます。そかからニで、ノリ、カキ、真珠母貝、真珠、はまち小割養殖業、これが百十四条の二号でございますけれども、地区についてその全員が加入する、こういうふうに集団加入、こういった形で規定してございます。  それから漁具共済については、七十八条の三項に規定してございます。  一一ページに漁具共済の内容と契約が規定がございます。  それから、さらに一二ページでございますが、漁業共済事業の概要といたしまして、漁獲共済で、種目ごとの被共済資格者及び共済契約締結方式ということで、(ア)の区画漁業についての被共済資格者は百五条、こういうことで規定しております。それからこれが集団加入、こういうことに相なるわけでございますが、それから(イ)が総トン数十トン未満の漁船により行なう漁業でございまして、一トン以上十トン未満の動力漁船により当該漁業を営むものの二分の一以上の者から共済契約締結の申し込みがある場合でなければ共済契約締結しないとして、百八条の一項で小型連合加入方式で規定してございます。それから(ウ)のところが単独加入または大型連合加入こういうことで十トン以上の動力漁船または定置網により行なう漁業あるいは定置漁業、こういうことでございます。  それから、一三ページが漁獲共済につきましての共済責任期間、それから共済金額、共済限度額、それから共済掛金率の設定、共済金支払いといった点を表式にわかりやすく説明した資料でございます。  それから、一四ページが養殖共済につきまして、被共済資格者とそれから共済契約締結方式、それから共済目的及び共済事故、共済責任期間、共済金額、それから共済価額、共済掛金率の設定、共済金支払い、こういったふうに一六ページまで法律に書いてありますことをわかりやすく響いたわけでございますので、法律と参照してごらん願えればけっこうだと存じます。  それから、一七ページが漁具共済について、やはり被共済資格者、共済契約締結、共済目的及び共済事故、共済責任期間、共済金額、共済価額、共済掛金率の設定、共済金支払い、可、分漁具にかかる特例、これは百三十六条でございますが、こういう漁具共済についての法案を、わかりやすく表式に書いたわけでございます。  それから、一八ページが、昭和三十九年度漁業共済関係の予算要求で、すでに成立しておるわけでございます。前年対比でございますが、前年が試験実施でごいざますので四千三十三万二千円、一番下の合計欄をごらんになると四千三十三万二千円、これは三十八年度の試験実施の費用でございますが、先ほど御説明いたしました法案施行に伴いまして、三十九年度は五億四千五百十四万七千円ということで、十月から実施するということで計上いたしたわけでございます。  その次の漁業共済事業実施費補助金という中に、漁業共済事業実施費三千五百十三万六千円、これは共済組合及び共済組合連合会が行なう漁獲、漁具共済及び養殖共済事業実施に必要な基本的経費に対する定額補助ということで、いわゆる国の補助に相なるわけでございます。  それから漁業共済加入協力費ということで、漁協の加入奨励に対しまする協力謝金を払って普及をはかっていこうということでございます。  3が漁業共済事業普及指導費補助金七百十一万九千円、これは都道府県の行ないまする普及指導事業費でございます。  それから漁業共済掛金補助金が二億二千六百十五万六千円ということで、漁獲共済、漁具共済、養殖共済というふうに分けまして補助金を計上いたしております。その掛金補助金が二億二十六百十五万六千円、こういうことになります。  それから漁業共済基金に対します政府の出資金が二億五千万円、総計で五億四千五百十四万七千円、こういうことに相なるわけでございます。  それから、次のページの一九ページが、昭和三十九年度予算要求の積算基礎とした漁業共済加入計画、これは昭和三十九年十月から昭和四十年三月までの六カ月分でございまして、漁獲共済養殖共済、漁具共済に分けまして加入件数の設計が二万四千六百九十二件、それに対しまする加入経営体数が三万三千四百二十八経営体、こういうことに相なっております。大体、全経営体の、二十二万ほどございますが、重複いたす部分がございますので、加入資格者として考えられるものは三十一万三千経営体ほどを考えておりまして、そのうちおおむね七〇%が加入される、こういうふうに考えております。加入資格者が大体七〇%、五年計画でその六〇%まで加入を上げていこう、こういう考えでございまして、初年度はこの二〇%、この六カ月分が三万三千四百二十八経営体、こういうふうに考えております。共済限度額または共済価額は二百六十億ということになります。共済金額が二百七億八千三百万、純共済掛金額の予定が九億二百万、こういう予定で奨励してまいりたい、こういうふうに考えております。  次が二〇ページ、これは漁業別、階層別経営数でございます。三十七年度漁業動態調査で御説明しましたところでございます。沿岸漁業経営数なりを、漁船漁業、定置、浅海、増殖、こういうふうに分けて御参考までに供したわけでございます。それから下が沿岸漁業以外の漁業でございますが、いわゆる資本漁業等を考えておるわけでございます。  それから、次の二一ページが、漁業生産量生産金額の三十五年から三十七年までの沿岸漁業なり中小漁業、その他の漁業、こういうふうに過去三年間の水揚げ高、水揚げ金額を御参考までに掲げてございます。生産金額、生産量を掲げてあるわけでございます。  それから、二二ページ、これは養殖業の種類別施設数でございまして、三十七年、真珠養殖業については、いかだが、施設数といたしまして二十一万三千百八十二台、カキ養殖業には、いかだ、はえなわ、簡易垂下、こういうふうに三種類になるわけでございます。ノリ養殖業につきましては、網ひび、すだれひび、こういうふうに分かれるわけでございます。その面積や枚数が掲げてございます。  それから、二三ページが、漁具共済の主要対象漁業の着業統数でございますが、やはり三十七年度の漁業の統計でございます。あぐり・巾着網漁業、大型、定員漁業、小型定置漁業、母船式サケ・マス漁業、こういうことを掲げているわけでございます。  それから、二四ページが、水産業協同組合の概況でございまして、これも中小漁業融資保証法のときに御説明申し上げた組合の概況数字でございます。三十八年三月三十一日現在のものでございます。御参考までに掲げたわけでございます。  以上を持ちまして配付資料の御説明を終わります。     —————————————
  16. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 次に、食料品総合小売市場管理会法案議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  17. 北村暢

    ○北村暢君 まず私は第一にお伺いしたいのは——その前に、きょうは大臣も見えておりませんし、時間も時間ですから、ごく簡単に、法案そのものに触れる質問も後ほど大臣の見えたところでゆっくりやらしていただきたいと思いますし、また資料が膨大な資料をいただきましたので、これはきのうもらったんで、これはとても読み切れませんので、きょうとあすとあさってかけて一生懸命勉強して、ひとつ火曜日にゆっくり質問させていただく、こういうようにさせていただきたいと思います。  それで、まず今度の総合小売市場の管理会というものをつくるにあたって、「生鮮食料品等の流通の合理化を促進して適正な小売価格の形成」をするということを目的にうたっているのですが、まあこういうものを設けなければならなくなった理由等、いろいろ言われておりますけれども、昨年の八月閣議決定しました生鮮食料品の流通対策要綱ですか、これで政府は相当施策を講じてきたわけです。それでもなおかつ生鮮食料品の価格は安定というか、横ばいというか、そういう方向ではなしに、予期に反していろいろな施策をしたにかかわらず上昇傾向をたどっている、こういう実態のようであります。  したがって、まず第一に、私はきのうからいろいろ生産地の指定の問題、指定生産地の問題等の質問が出ておりまして、生産関係から、もちろん問題はあるわけですが、流通機構の中で、中央卸売り市場というものが非常に大きな役割りを果たしておりますし、これについての整備等についても、流通対策でうたわれているわけですが、この点について、まず一体どういう程度の中央卸売り市場の整備並びに強化策を講じられたか。また、将来どういう計画を持っておられるか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  18. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 中央卸売り市場の整備につきましては、数年前に中央卸売り市場法を改正いたしまして、政府整備計画をつくることにいたしたわけでございます。昨年、流通対策要綱の閣議決定をみまして、ちょうど時を同じういたしまして、八カ年計画全国の主要な都市の中央卸売り市場のすでに狭隘化しているもの、あるいは老朽化しているものの整備拡充をはかります。さらに新設をするための方針を決定いたしまして、すでにいままで申請のありましたものについて、妥当と認められるものについては、法律に基づく告示をいたしまして、それぞれ整備計画をつくることにいたしております。現在におきまして、御承知のように大都市のものが非常に狭隘化しておりますので、数年間かけまして、大阪の東部市場をまずこれは前年度一ぱいまでで完成に至ったわけでございますが、それの開場を準備いたしております。それから東京につきましては、築地の中央市場、これも非常に狭隘になっております。駐車場等の設備も足りなくなっておりますので、隣接の、もとの海軍経理学校あとの用地、現在の海上保安庁の水路部の用地の譲り渡しを受けまして、拡張工事を現在実施いたしております。そのほかの整備も進めておるわけでございます。それから東京都内において、青果のほうも著しく狭隘になってきておりますので、特に神田の中央市場は、これは拡張の余地がもうほとんどございませんので、周辺の従来、分場といっておりました、現化は市場になっておりますけれども、それのものと、それからそのさらに末端にあります従来配給所といっておりましたものを最近は分場にいたしたわけでございます。それの整備に着手いたしております。分場については、あまり小さくて、すでに不備になっているものを統合して大きくするというような計画を進めておるわけでございます。そのほか、全国の都市におきましても、新設、拡充改良を実施いたしております。
  19. 北村暢

    ○北村暢君 いまお伺いしますと、八カ年計画内容が、これはありましたならば、資料提出願いたいと思いますが、そのうちで、東部市場は完成をして開場を待つばかりになっているわけですが、東部市場について若干お伺いしたい。私はこの東部市場が完成をして開場を待つばかりになっておるわけですが、東部市場について若干お伺いしたいと思います。私は、この東部市場が完成をしてまだ入らないでいるという状態、収容しないでいる状態、これは遺憾だと思うのですが、大体四月から開場するという目安を持っておったようですが、今日なお開場できないでいる原因は何であるか、事情説明していただきたい。
  20. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 御指摘のように、四月開場の見込みでやってまいりまして、工事のほうはほぼ完成したわけでございますが、入居する荷受け機関の問題で現存若干おくれております。まことに遺憾でございますが。で、そのうち、水産の関係につきましては入居する業者の大体の組織運営の方法等について話がついて、現在はどういうふうに人を入れていくということをきめる段階になっております。青果のほうも大体同様でございますが、同じように、単一制で青果の荷受け機関を入れるにつきまして、場外業者と本場から移る業者との間の話し合い、これは市当局があっせんして、うまく単一の形で入場できるように話し合ってまいったわけでありますが、これもほぼ話し合いが落ちつくところに近づいております。おりますが、まだ最終的な決着まで至らないというところで、いまのところは七月くらいの開場の見込みで準備をいたしておるわけでございます。
  21. 北村暢

    ○北村暢君 東部市場をつくるに至った根本の考え方、これについて確かめておきたいと思うのですが、これは東部市場に入る、収容するその立場立場の人によって解釈が違うようであります。したがって、農林省は、やはり一番問題になる入場者の選定をする場合に、やはり確たる方針を持っていなければいけない、基本的な方針を持っていなければいけない、こういうふうに思うのです。したがって、その方針がどのように考えられておるのか。これは、鮮魚の場合とそれから青果の場合と状況は違うようでありますから、しかも、開設者である大阪市当局の考え方というものも、一部報道されているところのものを見まして、必ずしも妥当でない、こういうような感じを私は持っておるわけでありまして、どういう方針でこの東部市場の収容というものを、入居者の決定というものを考えておられるか。これを御説明願いたいと思います。
  22. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは北村委員あるいはよく御承知じゃないかと思うのでございますが、農林省が東部市場を開設するために補助金を出し、あの計画承認いたしました際から、あそこは設備の内容自体も、せりを機械化して、自動装置でせりをやり、荷受け機関も統合して、そこでほんとうに近代的な市場を、完全とは思いませんが、できるだけそういうものを試みたい、そういう考え方でやってまいったわけでございます。しかし、現実に収容する業者をきめるということは、まあ説明するまでもありませんが、まあいろいろなその間のあつれきなり対立関係等もございますし、選定基準を具体的にどこにきめるかということは、なかなか容易でなかったわけであります。で、私どもとしては、水産部門についてももちろん統合して入れるということで、御承知のように、本場のほうは淡水魚は別でありますが、二社やっております。これを統合するように努力してまいったわけであります。なかかその対立が激しくて、若干の既定方針の緩和をいたしましたけれども、どうやら形は統合する形で入場させるということができたわけでございます。それからそのほかに水産部門につきましては、仲買い人の問題がございます。仲買い人については、これは場外の業者もございますので、その選定を急いだわけで、まあ大阪市をして選定させたわけでありますが、これはわりあい円滑に場外を含めて一定数のものをほとんど法人として収容入居する、こういうことになる。青果のほうは大体青果業界が単数に賛成の人が多くて、われわれの方針に精神的には協力的であったわけでございますけれども、実際には場外業者と本場の業者とのまあ従来のなわ張りもあって、いろいろめんどうないきさつがありまして、今日まで話し合いがなかなかうまくいかなかった。最近どうやら解決の方向にまいっているわけでございます。おそらく近いうちに、当初の見込みのように単数で話が結着するものようでございます。
  23. 北村暢

    ○北村暢君 どちらも鮮魚も青果も単数でいくというのは、まあ従来の方針ですから、それでいいと思うんですけれども、ただ東部の市場が本場の出先という感じではならないというふうに私ははっきりしていると思う。したがって、本場の鮮魚の場合においても、両者が単一の形をとっていくという場合にも、新たな法人格を持った会社が設立されて入居するということだと理解している。それからこれは東部に鮮魚の場合、場外市場というようなものはないわけでありますから、本場からそういう形で経験のある者が行く、これはいいと思います。ところが青果の場合は、いま本場と類似市場とのなわ張りの問題でむずかしいとこうおっしゃられたが、大体本場が狭隘のために、東部市場というものをつくったのか。そこら辺が私の聞きたかったところなんです。本場が狭いために本場の青果の五社か六社ある、それを間引きして向こうへ持っていく、そういう考え方に立って収容しようとしているのか。そうではなしに、まあ私はこれを東京等の各市場のできた歴史的な過程を見れば、ほとんどすべてといっていいくらい、付近の市場というものを新しい市場ができた際に、荷受けと仲買いに区分をして整理をして、類似市場の整理をしながらそのできた市場に収容していく、こういう形をとっているだろうと思います。したがって、東部の場合にも歴然たる類似市場業者が非常に多いわけでありますから、円滑な形でこれを収容するということが、やはり考えられなければならないのじゃないか。それが主であって、本場からいくものは本場の狭隘のためにどうしてもやむを得ないものをやる、そうして混雑を避ける、こういう方針であるべきだと思うのでありますが、私の考え方が誤りか、また別な考え方を持っておられるか、お伺いしたい。
  24. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 前段のほうのお話でございますが、これは鮮魚の関係は御承知のように、本場の三社から現実には人を出すことにはなるわけでございますが、しかし、東部市場の荷受け人としてはあくまでも新法人として設立したい。これは特に本場は非常に狭隘でございますのが現実の理由でございます。同時に、実際に東部市場の業者を移さなければどうにもならないということでございますから、新法人に人は本場から入れるということで、実はそれで徹底したかったわけでございます。しかしながら、どうも御承知のような業者の対立というものはきわめて激しいものがございまして、単に新法人にして人をよんだからといって、うまく運営できるというものでもございませんので、せっかく御鞭撻を受けたわけでございますけれども、ある程度そこに妥協をせざるを得なくなっております。  それから青果の関係につきましては、いま東京の築地市場などの例をあげられましたが、大体お話のような経過をとっておると私は理解しておりますが、それで場外業者も円満にやはり入場させるのが望ましい。しかしながら、同時に本場のほうは狭隘でございますから、ことに荷受け機関としての経験は、本場に非常にりっぱな業者が多いのでございますから、それもあわせて円満な形で東部市場に入場されるのが、やはり場外業者もそれ相応の位置を、待遇を受けて入る、それが最もよい姿である、こう考えて現在までもそういう形で話し合いが進んでおるのでございます。
  25. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、ちょっとはっきりさせておきたいのは、鮮魚の場合です。妥協せざるを得なかったというのは、新しい会社をつくるのがあたりまえだけれども、妥協せざるを得なかったというのは、形は一体どういう形なのか。それからもう一つ、魚関係では淡水魚がわしにも一枚加わらせてくれという要求が最近出たというふうに聞いておりますが、それについてどういうふうな方針でおられるか。それから青果のほうについては、第三者の、本場でもない、類似市場でもない、ここに東部市場ができるというような形で第三者が従来の経験あるいはそういうものとは無関係に架空とは申し上げませんが、会社をつくって、おれもひとつ入れろ、こういう動きがあるというふうに伺っておりますが、それのいきさつについてはどのようにお考えになっておるか。しかも、この第三者の割り込みといいますか、それについては相当政治的な動きをしているということを聞いております。したがって、私はそういうことがなければ幸いでありますが、いま先ほど来私が申した東部市場収容の方針については、大体局長の意見と私の意見は同じようでございますが、その方針を貫かれていかれるとするならば、その架空の第三者が——架空って言いませんけれども、従来関係のなかった人が、第三者が新しい法人をつくって入ってくるということはあり得ないことであると考えるわけですが、その方針を貫いていかれる御用意があるか。四月開場が今日までおくれている理由の一つが、そういうところにあるのではないかというふうな憶測もされるのでありますけれども、あの大きな大阪の大消費都市に完成した東部市場を開場もせずにほっておくということは、これは一カ月でも、二カ月でも利息だけでもたいへんでありますから、なるべく早く開場するということはしなければならないと思う。そういう意味からいっても、農林省はどういう確固たる指導をなされておられるか。そういう点について所見を承りたい。
  26. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 第一点の鮮魚部門の点で多少妥協をせざるを得なかったと申し上げました内容は、あくまでも新法人をつくって統合をいたします。いたしますが、私どもとしては、その中で本場の両者から入る人々は混然一体となって一つの新しい会社として荷受け機関の活動をしてもらうことを理想としたわけです。ところが、やはり人的になかなかそこのところが最初からはうまくいかないということで、一応会社はもちろん一本でございますが、その中で売り場を二つにせざるを得なかった。そこで別々に一応従来の経歴別の人的構成をとらざるを得なかった。そういう点遺憾ながら妥協した、こういうことでございます。  それから、淡水魚の問題については私は実は詳しい話は聞いておりません。これは本筋の問題でもございませんので、市当局にまかしたほうがいいかと思います。実態的に淡水魚の扱い量というものはたいしたものではないと思います。ぜひ東部に入れなきゃならぬかどうか問題があるかとも思います。よく実情を聞いて、もし必要があれば、私どもとしても何らかの措置をとることをいたします。  それから、青果部門のほうで場外業者でもない、類似業者でもないまた本場業者でもない全くの新しい人が、しかも、政治的に入場したいとして動いておるというようなお話でございますが、これも私ちょっと耳にいたしております。大阪市からもちょっと聞いたことがございますが、しかし、それは私どものほうとしては、問題にいたしておりません。そういうことは原則的に認めるべき筋合いではないと考えます。
  27. 北村暢

    ○北村暢君 時間も時間ですから、いろいろお伺いしたいのですが、ごく簡単にお伺いしますが、食肉市場の問題で食肉関係も流通が非常に何といいますか、封建的といいますか、そういうことで流通面に特に近代化されておらないわけであります。これはしばしばこの委員会でも問題になったのでありますが、最近の聞くところによるというと、岡山県が県営の食肉市場を設立した。これが非常な従来の食肉取引の抜本的な改革をやって、従来一頭の豚なら豚、牛ですか、五、六千円にしか生産者の利益がなかったものが一挙にして一万円近いものが生産者の手にいく。それくらい思い切った流通面の改革が行なわれた。これが県営によって行なわれたということが報道されております。これは非常に私は今日の食肉関係の流通問題が、非常に難解で解決することが困難な事態であるのに対して、非常にいい標本であったと思うのです。そういう点からして、一体この芝浦の問題はどのようになっておるのか。芝浦屠場が中央市場ということに切りかえるべく何回か努力されて今日いまだに実現をしない。この大消費地である東京に食肉の中央卸売り市場というものが存在しない。この点については私は東京都知事に参考人に来てもらっていつかやろうと思っておったのですけれども、しかも芝浦の食肉市場というものについては、非常にとやかくの意見があるところであります。改革しなければならない多くのものを持っているのでありますが、この芝浦の問題についてどのような状況になっておられるのか。また農林省はどういう方針で臨まれようとしているのか。この点についてお伺いしておきたいと思います。
  28. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 食肉の取引が非常に古い形で行なわれておる、全く御指摘のとおりでございます。農林省としましても、産地における家畜取引はもちろん、消費地の食肉の取引につきましても、いろいろな改善を試みつつあるわけであります。その一つには中央卸売り市場を設置していく。これは最近名古屋でありますとか大宮でありますとか、数個所設置してまいりました。遺憾ながら最も大事な東京につきまして、まだ屠場におけるいわゆる何といいますか、袖の下取引のような取引が行なわれておるわけで、昨年以来実は農林省としては東京都を説得しまして、芝浦屠場の中央卸売り市場への切りかえを再三折衝いたしました。で東京都もその気持ちになってくれまして、その後業者との話し合いがだいぶ進んでまいったわけでありますが、まだどうも荷受け機関としてどういう形で統合されるか、またその荷受け機関ができた後における取り扱い業者はどうなるかというような点の話し合いが進まない状況でございます。一方、東京都としては中央卸売り市場に切りかえるための予算を、設備の改善とかそういう点で予算を計上したり、いろいろ準備は進めておるはずでございます。
  29. 北村暢

    ○北村暢君 これはやり出すととても時間ございませんから、またいつかの機会を見てやらせていただきます。いずれにいたしましても枝肉あるいはその枝肉取引と枝肉よりまだ肉のかたまり、何と申しますかそういう形で取引したほうがはるかに合理化できる。こういう点がいまだになまの豚で取引がなされておる。これは実態だと思うのです。これはやはり早急に解決しなければならない。しかし、これは家畜業者がいるわけですから、そういう面において抵抗も強いし、非常にめんどうな問題である。したがっていままで解決しないでいるわけなんですが、私はもうこれだけ流通問題がやかましく言われるようになってくれば、ほうっておけない段階にもう来ておるのではないか、こういうふうに思います。したがって、これについてはひとつ相当な政治力をもってやらないとできない問題でありますから、これは農林省としては思い切った措置をやはり相当の決意を持ってやらなければならない。このように思いますから、御要望だけ申し上げてこまかい質問は避けます。ただ、岡山県のやった例は、県営食肉市場は非常に勉強されておる。合理化が非常によくいっておるようであります。一度検討せられてみたらいいんでないか。このように思います。  それから次に標準店の問題について、これは総合小売り市場と非常に関連を持ってまいりますので、標準店の問題についてお伺いしますが、標準店の指定その他の問題については、相当努力をされて、標準店の問題が、流通合理化のあるいは小売り価格の安定のための施策としてとられた措置でありますけれども、一体どれだけの成果があがったのか。標準店の標準価格ということを、標準品の価格を掲示するというようなことを言われておるんですけれども、一体この標準価格というものがあるのかないのかということなんですが、どうやっておきめになるか。これは私は、非常に、標準価格と一言に言う、また、ことばにも使って標準価格を掲示させるということを言っておるのでありますけれども、どうやってこの標準価格というものをきめるのか。これは具体的な例をあげてちょっと説明していただきたい。
  30. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 標準店は東京都内に千五百ばかり設けたわけでございますが、その運営状況につきましては、実は東京都の主婦やそういった方を中心にして相当数の方から、モニター調査をやってみたのでございます。ところが、どうも標準品とほかのものが入りまじってて、どれが標準品かわからないというような意見が相当出ております。それから、標準店がはたしてほかの店と比べて安くなっているかどうかという点についても、そうなっているという答えも相当出ておりますけれども、そうでないという人も相当多い。まあそういった点で、まだ標準店については改善すべき点がいろいろある、ように思われます。たとえば、いまお話がありましたような標準品とその価格を表示する設備を設けてやる。これは東京都などが補助してやるようになるかと思いますが、まあ改善の余地が相当あると思うのであります。  それから、いまどうやって標準価格というものを算定しているかという御質問でございますが、これは東京都がやっているものにつきましては、青果につきましては卸売り価格に対しまして三割をプラスしておるわけでございます。それで標準小売り価格、かなり大ざっぱなものでございます。で、時期によって五%を限度としてさらに引き上げることができる、こういうものでございます。それから水産物につきましては、卸売り価格プラス仲買い人のマージン、このマージンは五%ないし七%、それに対して一・三一五をかけるわけでございますから、三割一分五厘のマージンを小売り段階に見ておる、こういうことでございます。
  31. 北村暢

    ○北村暢君 実は中央卸売市場の卸売り価格ですが、卸売り価格というのは、またこれがどういうふうにしてどういう価格のものをとるのか。だから私は例を引いてひとつお伺いしたいと言ったんですが、たとえば、いまキャベツが、カンランが非常に安くなっておりますから、したがってこれを一つ例にとってみましょう。カンランの中央卸売市場の卸売り価格というものは一定していないのですよ。各卸売市場によって値が違う。また同じ卸売市場であっても、朝の八時と午後の一時では、同じ品物で価格が違う。そういうものなんです。したがって、それの三〇%ないし五%の何か引き上げができるとか何とかいうことですが、それが卸売り価格というものがまず一定しておらぬということなんです。そういうもので標準価格ということで掲げてもいかがかと思うのです。それからこれは標準価格としてそういうふうに掲示したにしても、それは標準品の価格である。カンランの中に上物と上物でないものとある。質的に同じでないわけですね。同じでなければ、これは値段違うのはあたりまえなんです。したがって、標準品と標準品でないものとの区別がつかない。そういうものを気安めに標準価格と称して掲示をしてどれだけの効果があるか。そうしてまた、監督に行った際において、監督にまあ都の人が行くのでしょうけれども、行った際に、一々これは卸売り価格の仲買いを通ってくればこれはちょっと価格わからなくなってしまう。と同時に、その売っているものが標準品についてですから、まあ一般消費者が行った場合には、これは標準品の価格です。これは質がいいですから高いのですと、こう言われれば、それでだめだというきめつける何らの方法が実はないのですよ。したがって、この標準品の価格の掲示ということがどれだけ監督の立場からいっても、消費者の立場からいっても効果があるか、全く実は判断がしにくいのですね。わからないのです。これは。ですから、たとえばカンランが一つ、まあきのうの話で一かご五十円の卸売り価格だった。それに三〇%だったらおそらく一個五円か六円までいかないのじゃないですか。それにいま三〇%といって八円だの十二円だのというカンランの表示なんかしているの大体ない。たいてい十円とか十五円とか、切りよく出ておりますがね。したがって、そういうカンランの安いものについて三〇%のマージンを見て標準価格として掲示する、こういうことが実際監督がどの程度いっているのか。これは相当高いものだったら三〇%の掲示をしてもいいのですけれども、もう二つ五円だの三円だのというものに三〇%のマージンをかけて、これが標準価格でございますといって掲示しておる小売り店が成り立つのか成り立たないのかですね、大いに問題があると思います。したがって、卸売り価格が相当下がっているときでも小売り価格は下がっておらぬ、逆に上がっておる、こういう事実がこの表にも出ておるようでございますが、したがって、その標準価格を掲示することが、どれだけの効果があるのかということについて、はなはだ疑問を持たざるを得ない。また消費者が見てわからないのではないか。したがって、こういう標準店の施策をやったから、やらないよりいいのだと、こういうふうにおっしゃるけれども、このモニターの調査の結果が、まだ私読ましていただいておりませんから、どうなのかわかりませんけれども、まあ私の感じた範囲内ではそういうものであると、こういうふうに思うのです。したがって、これはもうばく然たるものですから、標準店をやったからといって、標準店の効果というものはないのじゃないか、実際には発揮しないのじゃないか。これは鮮魚においても同じです。生きがいいのです。こう言われたら、これはもう標準品はこれです。しかし、これは生きがいいのですと言われれば、同じマグロでも、とんでもない高いものと、とんでもないやつがあるのですからね、これにはもう反駁の余地がないのですよ。だから、気休めに掲げておくというだけなんです。同じマグロでとんでもない値の開きがあるでしょう。キログラム当たりでどうですか。それは卸売り価格においてだってたいへんな開きがある。だから、こういうものは非常にむずかしい問題ですけれども、標準店では解決しない問題である。このように思うのですが、このモニターなり何なり、調査の結果についてどういう措置をとろうとされているのか。せっかく調査をやられたのですから、これはしかも標準店の効果というものについて、五〇%の人は認めておるようでありますが、あとの五〇%の人は疑問を持っているのです。というのは、ちょっと見たらこれでそういうふうになっておるようですが、農林省は一体どういう対策を考えておりますか。
  32. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ごもっともなお話なんでございます。実は標準店をつくりました経緯から申し上げますと、たしか河野農林大臣の時でございますが、公設市場を相当数つくらないかということを東京都に勧奨しまして、なかなかそれが東京都としてはむずかしいということで、実は標準店制度に変えたという面がございます。それで、私どもとしては当時かなり疑問を持ったわけであります。当時は千くらいでございましたが、いまは千五百の店になって、かりにうまく標準価格をきめても、それを守って消費者がほんとうに納得して買える店ができるかどうかということについては、いろいろお話しのような問題がありますので、考えたのでございます。しかし東京都もかなり熱心でございまして、やってみたところでは評判のいいところもある、確かにお客がふえたというところもございます。やり方としては、いまお話があったような点がございますけれども、統制価格をきめるわけでございませんので、大体その日の中央市場の値段から推して、その日のサンマならサンマがどのくらいの値段になるべきかということをお客さんに知らせるという効果があると思うのでございます。これはまあ普通品、普通品の場合にどれくらいになるだろうかという効果があるだろうと思います。もちろん、こうしたものでございますから、全部役所なり業者側で懇切丁寧にもう一々の品物について教えるというわけにはいきませんので、消費者のほうもある程度見分けるようなことの能力が必要でございますし、それから店も信用を重んずるという点から、標準品にできるだけ即応した値段をとっていくのが結局、長い目でいい商法だと思うのでございます。でありますから、標準店というものをほんとうによい店を選んでそれを一般によく理解してもらうということが、最も大臣じゃないかと私どもは考えます。それで、あの店に行けば確かにわりあいに納得した物を納得した値段で買えるという店をつくっていく、これが標準店の目的であり、そういう方向に指導していかなければならぬ、こう考えるのであります。
  33. 北村暢

    ○北村暢君 これは今後、総合小売市場は一般市価よりも何か一〇%か一五%安い物を売る、こういう考え方に立っているようですから、 これは非常に問題なんですよ。何を基準に一五%安い物にするかというのですね。したがって小売り価格というの鮮度においても、まあその日の中央卸売り市場の価格を示せばそういう価格なんだという程度のことはわかるという程度で、小売り店では、きょう仕入れたものはきょうじゅうにどうしても全部売ってしまうというわけではないのですから、きのうの標準価格をきょうの標準価格で売るというのはおかしい。鮮度において、もう値下がりするのはあたりまえなんです。したがって、小売り店のあるものの標準品というものが実はわからないのです。ですから総合小売り市場というものをつくって、そうして市価よりも一五%ぐらい安いというものを売るということになっても、実際に一五%安いのかどうかということですね。これが判断するのに非常にむずかしい。たとえば総合小売り市場のすぐ隣りに、そこに入れなかった野菜屋なり何なりというものが、総合小売り市場よりも安い価格で売るという場合が往々にして出てくるのです。これは競争ですから往々にして出てくる。それはそれなりにできるのです。まあ総合小売り市場が大量仕入れするから、仕入れの面なり人件費なりで安くできる、こうおっしゃるなら、仕入れの一つの面でも、大量仕入れするのに、朝八時か、朝の早いうちに仕入れするのと、その隣の店は、中央市場ももう一番ぎりぎりの時間で、これで終わるというようなところで、残るようなものをどんと仕入れてきたら、これは絶対に安く売れるのです。これは堂々と競争できるのです。したがってそういうものが、隣にべらぼうに安い八百屋さんができるというと、総合小売り市場というのはできたけれども、たいして安くないじゃないか、お客さんというのはちゃんと八百屋の前を見て、値段を見ていくわけです。菜っぱは幾らだ、大根は幾らだ、あっちの隣のほうが安いと言って、向こうに買いにいくというような現象が起きないとは絶対に言えないのです。起こり得るのです。したがって、この標準品の価格の掲示というようなものはどれだけの効果をあげるかということが、またその比較というものが非常に困難であるということなんです。したがってまた、私に、それではそのほかにいい方法があるのかと、こう聞かれても、私もそれは専門家でないからわからないけれども、実際標準価格というものについて大きな疑問がある。したがって、いま消費者の訓練をして、目がなれて、あそこの店へ行けばという、そこまで消費者訓練をするということは、それは局長がそうおっしゃれば、またなかなか、そこまでやっていただけるのかどうか知りませんけれども、そういうことでは、施策のうちに入らないのではないかと、こう思うのです。何かいい方法はないかと、こう思うのですが、これは方法がないというのが正しいのではないでしょうか、どうでしょうか。
  34. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 先ほどから申し上げておりますのは、東京都の標準店について申し上げておるわけでございますが、これは千五百もあって相当な数でございますから、いろいろな小売り店も入っております。しかしながら、大阪の公設市場の場合におきましては、標準店は標準価格でございますが、これは非常に経験に富んだ見回りの人がおりますし、値段をきめる人がいるわけです。これはなかなかうまくいって、非常にお客さんも多いわけでございます。もちろんその標準品の価格を基準にして、鮮度を、どれだけ置いたらどれだけの値が妥当であるか。キャベツを、たとえば嬬恋産のカンランを標準にした場合に、こっちのカンランはどうだ、そういう格差を厳密にいうことは、これはなかなかむずかしいことだと思うのであります。しかし、標準店とは違って公設市場の場合は、品数もふやして、銘柄もふやして、大体の目安となるような値段を示すということはできると思うのでございますが、大阪の市場の場合はそれが行なわれておる、こういうことでございます。
  35. 北村暢

    ○北村暢君 もう時間ですからやめますが、東京都の指定の標準店は千五百くらいですか、ですけれども、それから漏れたものは全部、小売り商の協同組合ですか、これの指定の標準店になっているんですよ。だから、東京都の指定の標準店と、標準店でない店はないことになっているんですよ、東京都内に。全部標準店なんです。そういうことで、だからいい考えないかと、こう言っているんですよ。区別つかぬですよ。だから、一般消費者、モニターに行った調査員は、ここは東京都指定かどうか、看板をよく見てから入るであろうからわかるかもしらぬけれども、一般消費者はわからないですよ。もう全部標準店になっておる。そういうことなんです。だから、そういう施策が、それじゃいまおっしゃったように効果をあげたかどうかということについて、私は非常に疑問があるし、なかなか一朝一夕でこれがいいという方法も出てこないんじゃないかと思うんですが、ただ心配するのは、大阪の例を示されて、公設市場というものが信用があってお客さんが多い、これはもう事実であります。したがって、そういう面から、今後できるものについてもそうあるべきだと思うんですがね。ただ、そういう面の監督からいくというと、価格面ではそういう複雑な要素を持っておるので、一体高いか安いかの判断が非常にむずかしい、監督に行ってもむずかしい、こういうことだと思うんです。したがって、これはもう長い経験をもってやらなけりゃいけないんで、まあ管理会には有能の士があってこれを監督するんでしょうけれども、さぞかしうまくいくんじゃないか、こう思いますがね。だいぶあれのようですから、まああとからゆっくりいたすことにいたしまして、きょうの質問はこのくらいにしてやめておきます。
  36. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ちょっと一つ二つ伺いますが、きのうからきょうにかけて、野菜の流通機構の問題がずいぶんいろいろと議論になり、お答えがあって、それを伺っていまして、何かきめ手がないような気がするんです。これはまあたいへんむずかしいことだと私は思う。非常に鮮度が高くなければ、同じ品物でも時間によって、その日の朝と昼とは違うというようなものですから、なかなかむずかしいと思うが、そこで私は一つ不思議なことがあるのは、たとえば指定産地との値下がり補償という問題ですね。これは局長の管轄ではないかと思うんですが、いまカンランというものがたいへん暴落して、これについて一体どうするかという問題がやかましく言われておる。で、まだそのほかに、キュウリだとか、トマトだとか、タマネギだとか——タマネギは試験中だと言われるのでありますが、そういういろいろなものが野菜の区分の中にあると思う。やがてこれも取り上げなければならぬと思うんだが、その補償をする場合に、国と府県と生産者団体がこの補償をしようという関係の対象になるわけですね。私はそれが不思議なんです。これは少なくとも消費者というもののためにも、ある意味において民生の安定をはかろう、需給の安定を期して国民の生活の安定をはかろうというのであるのだから、消費者の団体、というよりもむしろ消費者的団体である東京都あるいは区、そういうものを、生産者を入れるくらいならば、なぜそういうものを入れなかったんであろうかと思うんですが、これはどうなんですか。
  37. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 野菜の安定対策の負担といいますか、負担は、国と出荷する県とそれから生産者団体、三者が負担しておるが、さらに消費県も負担すべきじゃないか、こういうお話かと思うのですが……。
  38. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そうです。
  39. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) それは形として、そういう形も確かに御指摘のように考えられると思いますが、結局、消費者が払う価格というものがそういうものを含んでおる。生産者が受けておる価格はいろいろ上がり下がりがあるので、上がった場合と下がった場合を、極端な上がり下がりのないように安定するという場合に、消費者はその価格に対して安定した水準に対して妥当な値段を払って負担する、こういう考え方になるんではないか。私もその責任者でないんで、私自身の説明では御満足いかないかもしれませんが、そう考えるのでございます。
  40. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は少なくとも今後の需給計画については、国が法律生産計画、出荷命令を出し統制をしていくということはなかなかむずかしいと思う。これはたいへんむずかしい。東京都へ出す場合なら、東京都周辺だけでいいのか、あるいは特殊なものができれば周辺という概念からもっと遠ざかったところからも出荷してくる場合もありましょうから、そういう考え方に立ちますと、非常に広範囲な生産者に及ぼすような法律をつくらなけりゃならぬ。これはたいへんむずかしいと思うんですが、それについてわれわれはいま研究をいたしております。研究をいたしておりまして、若干の、こうがいいかああがいいかということについては、幾らか意見も持っておりますがね、おりますが、少なくとも東京都が一体どのくらいな野菜を消費するんだ、消費の計画が、どれくらいなものを必要とするのだという基本的な数字がきまらないで、そして出てきた価格をなるべく安く買おう、自分は、値下がり補償というものについては生産者のほうであるいは国でその補償をしておきなさい、私のほうは買うほうだから何も問題ございませんという考え方はいかにも冷淡だ。それが欠けておるから、私はそこにうまくいかない理由があるのではないか、こういうふうに思うのです。できれば、どれだけの数量が何については幾ら要るのだ、それをどこの県にどういうふうな生産計画を立てて出荷計画をそれに及ぼしてくるということを、団体でもつくって、そしてそこに対して価格に対する補助なり、あるいは事務に対する補助なり、あるいは出荷に対する手当なりというものを、国なり都道府県なり、あるいは消費者なり、あるいは生産者が負担してもけっこうですが、そういうような関係者が寄って、そして安定をしたルールに乗せていく、農家というものは、値が上がって高い値段がいつまでも続けばいいとは考えておりません。上がったり下がったりする不安定な価格が続くことに、もうまいっちまう。だから、農家というものの生産費を償ういわゆる安定した価格というものが、同じレベルで進行するというくふうをこらすということが、私は流通機構の一大目標でなければならぬ。それに消費者の面は知らぬ顔をしておるという政策がありますか。これは絶対の誤りであります。これは、あなたにこういうことを申し上げることは少し筋が違っておるかと思いますが、しかし、市場を預かり、ただいま市場に関する審議をいたしておるのでありまするので、私は御参考までに申し上げたのでありますが、もう少し申し上げたいと思いますが、たいへんおそくなって皆さんに御迷惑ですから、私はこの程度でやめますけれども、これは率直な意見として一応お聞き取りおきを願って、参考にしていただきたいと思うのでございます。
  41. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 私も畜産、水産、青果それぞれの部門を全部代表して申し上げることはできませんけれども、大体流通対策と申しますか、生鮮食料品の価格の安定をはかり、また流通経費をできるだけ節減するという方向は、これは全くむずかしいことでございます。私ども何年も苦労いたしましたけれども、むずかしいことでございますが、基本はやはり産地の出荷組織を強化して、これをりっぱなものに仕上げる。それから消費地の流通組織をやはり組織化していくということが第一。それから加工、貯蔵の方法と施設を整備する、これではないかと思います。いまお話のありました問題は、まだいまのように消費者組織はもちろんですが、消費地の流通組織もばらばらでございますし、産地も……、その中のかなめになっている中央卸売り市場が、荷受け機関は五つも七つもある、これが荷引き競争をやっているという状況でございますから、なかなかその計画性まで実際は論ずる段階ではなくて、いかに組織化をするかということに、問題がまず第一にあるという感じを持っているのであります。
  42. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは国もめんどうをほんとうに見ようということで、事務費なりあるいは損失価格差補給金、こういうような形のものを出していって、コントロールしていこうということなら、団体がそれをやってもできると私は思う。何にもやらないで、から回りしているから、できないのですよ。これは意地の悪い生産者ならば、ある国の例を引いて恐縮ですけれども、バナナを牛に食わしている。バナナを牛の飼料にすることはもったいない、どうしてですかと言ったら、バナナの価格を維持するために、これは牛に食わしてるんですという説明をしたということを私は聞いている。それは現実に食うているから、それをどうしてですかと聞いた現実の問題なんです。ところが、そういうようなことで、少しつくって、少しでまかなおうなんていう現象がかりに起きてきたら、たいへんなことになる。それよりも、つくってですよ、そうして生産費に見合うような価格で、スムーズに出していって、消費者も生産者も、その相場が、あまり一カ月あるいは二カ月の間にはたいして動かないというような形で出荷をされ、出荷を希望する数量が円滑に出てくるというような制度を考えなければならないのではないか。これは私は団体にも若干の罪があると思いますが、政府並びに指導機関に、それだけの飛躍した考え方がないからであると思うのでございます。これはどうぞひとつ、御勉強をお願い申し上げたいと思います。
  43. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十五分散