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1964-06-04 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月四日(木曜日)    午後一時三十六分開会     —————————————   委員異動 六月二日   辞任      補欠選任    安田 敏雄君  小柳  勇君 六月三日   辞任      補欠選任    小柳  勇君  北村  暢君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            櫻井 志郎君            仲原 善一君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大河原一次君            大森 創造君            北村  暢君            小宮市太郎君            牛田  寛君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    農林省園芸局長 酒折 武弘君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○食料品総合小売市場管理会法案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  委員異動について報告いたします。六月二日付をもって、委員安田敏雄君が辞任され、その補欠として小柳勇君が委員に選任されました。六月三日付をもって、委員小柳勇君が辞任され、その補欠として北村暢君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 食料品総合小売市場管理会法案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言願います。
  4. 北條雋八

    北條雋八君 この前の委員会のときに一応伺いましたけれども、さらに伺いたいことは、今度の小売市場ができますと、この入居する業者は必ず組合なり、あるいは会社組織をつくりまして、それでスーパーマーケット式に営業するということになるのでありましょうか。各個人の紀伊ということは全然考えない、仕入れその他も、一本にまとめて仕入れをするというお話でありますが、そういう形をとるわけ本化してまいりたいと考えているのでございます。その理由といたしましては、何と申しましても、いろいろ新しい施設——従来からございます施設もありますが、施設をできるだけ効率的に使う、冷蔵庫にいたしましても、またできるだけ効率的に使うということもございます。重要な点としては、全体として、ものによってはやや無理なものもございますけれども、セルフサービス方式でやってもらいたい。その場合に、要するにセルフサービスでやりますときには、出口で一括して代金の清算を行なう、いわゆるチェックアウト方式をとるわけであります。そういうことからいたしますと、部門ごとに別々の経営でないほうが望ましいと考えているわけであります。しかし、これはなかなかその一般原則を、すべてそのまま強行するということに無理がある場合がございますので、ある場合は、たとえば加工食品部門は別経営にするというようなことはあり得ると考えております。
  5. 北條雋八

    北條雋八君 そうすると、ある場合には個人経営することもできるということになるのでありますか。そこがはっきりしないと、入居の希望があるかないか、非常にこれは重大なことだと思うのですが、八百屋が五軒なら五軒入るといたしますと、その五軒が必ず組合なり、あるいは会社というものに一本にまとまるのかどうか、それらをはっきりさしていただきたいと思うのであります。
  6. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 大阪公設市場の場合には、これは従来の古い型のマーケットでございますので、同じ市場の中に、三軒か四軒同じ業種の八百屋が入っておるのでありますけれども、今度の場合は、青果なら青果は、一つの部として一緒にさせる、それで全体の会社または組合の構成の中に入れてまいりたいと考えておるわけでございます。
  7. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、結局、共同計算になるわけですね。だから、売り上げつまり分配をしなければならないわけですが、そういう場合に、結局、個人個人の張り合いというものが全然なくなってしまう。ですから、私も二、三軒、実際営業する商店について聞いてみますと、商人の一番うまみというものは、いい品を安く仕入れてくる、その仕入れにあるし、また客をできるだけよけいとるということは、やはりサービスの点に関係がある。だから、それを共同経営して、売り上げその他を共同計算して、分配を受けるというふうなことじゃ、もう自分はマーケットが近所にできても、当然そういうものに入居してやる意欲がないというのが多いのですね。ですから、そういう点が、政府のほうで実際のものに当たって、そうしてその意欲があるかないか、確かめられたことはあるかどうかですね。  それからもう一つは、いま言ったセルフサービスといいますか、それをやるには、八百屋でいいますと、やはりパッケージみたいなものに入れてやることになります。そういうものの加工は、一体どこでやるのか。そういう点もわからない。実際、いざ開業をした、それからまた開店をした場合の順序だとか方法だとか、そういったようなものを説明していただきたいと思います。私も全然そういうことはわかりませんから、どういう方法で、どういうセルフサービスをするのか、そういう点もひとつ人体御説明願いたいと思います。
  8. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 私も商売をそうよくわかっておるわけではございませんけれども、昨年の夏から、役所といたしましてもずいぶん研究を続けてまいったわけであります。小売り商の意見も、常に接触いたしまして聞いてまいっておるわけでございます。で、いまお話のありました共同計算になって、勘定の区分をどうするかというお尋ねでございます。これは、組合でその中に部ができたような場合でございますが、その場合には、たとえば伝票色分けされる場合、あるいは伝票に特定のしるしをつける。それで、それがおのずからチェックアウトの場合、分類されるというような方式があるようでございます。  それからパッケージプリ・パッケージやり方でございますが、これは出荷される段階パッケージされるのが一番望ましいわけでございます。だんだんそういうように指導していくのが今後の方向だと考えるのでございますが、さしあたり、そこまでいけない場合、特に魚のようなものは、デパートなどではすでにやっておるところもございますけれども、すぐに、そこまでいけない場合が相当あるかと思います。しかし、最初は、その市場の中でやる場合も相当あると思いますが、だんだん段階を先に延ばして、パッケージが、生産される段階まで進む。こういう産地に近い段階パッケージができるということが望ましい方法考えておるのでございます。
  9. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、行って、たくさん買物をするときには、便利かもしれませんが、簡単に買いものをするということは、むしろかえってできなくなってくるんじゃないかというふうに思うのですね。  それからもう一つは、色分けで、伝票を整理するといわれますけれども、これがかえって非常にめんどうなことになって、時間がかかる。そういう点が、実際私見ませんからわかりませんけれども、買いものによって、好きなものをどんどんかごに入れて、それを最後に計算してもらうということになるわけですから、時間的に非常に簡単に買いものができないということで、自然お客もあまり行かないというようなことになるのじゃないかと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  10. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) プリ・パッケージをやると、おそらく小口買いものが、なかなかやりにくいのじゃないかという御質問が第一点だと思います。これは、そういう御心配はあまりないのではないかと思います。もちろんプリ・パッケージがやりにくい品物がございます。さしみ用のものとか、そんなものは、これからくふうしなければならぬものもあるかと思いますけれども、しかし、現にデパートマーケットで、すでに小口パッケージして仕分けし、売っている店が相当ございます。それから蔬菜類等は、必ずしもパッケージを必要としないで、そのまま売るということが可能でございます。それから伝票の仕分けでございますが、これは御心配の点が、必ずしも私よく理解できないのでございますが、いずれにしましても、かりに一つ会社として、その中の計算制がもっと統合されているような場合におきましても、部門別伝票、これは色分けに限りませんが、デパートなどでも行なわれておりますように、何といいますか、番号でやるとか、いろいろな方法でやっておって、決して手数がよけいかかるということにはならないと思います。
  11. 北條雋八

    北條雋八君 それからもう一つ伺いたいことは、昨日も伺いましたけれども、管理会指導あっせんをするということでありまして、その指導あっせんの具体的の内容について伺ったんでございますけれども、その伺った範囲考えますと、店舗と、それから消費者に対して、どれほどの利益があるのか、私にちょっと判断がつかないのですが、結局、組合をつくるなり、会社をつくってやるとすれば、管理会がなくても、仕入れその他がりっぱにやっていけるのじゃないかと思うのです。特に管理会指導受けたり、あっせんをしてもらうということについて、どういう店舗利益があるのか、どうもはっきりしないのですが、その点をなおひとつ伺いたいと思います。
  12. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ごもっともだと思います。もちろん一つ会社なり組合が、マーケットをつくってやるということは、それ自体十分できることでございます。現に、必ずしも大資本スーパーマーケットでなくて、まあ私なんかの知っている三億とか、いろいろございますけれども、やっております。そのために、小さな業者では、資金がないというような場合には、中小企業高度化資金で、無利子の資金を借りて、共同組織マーケットをつくるということを、すでに奨励いたしておるわけでございます。本年度もかなり資金量を拡充いたしておりまするが、しかし、それと同じような仕組みでございますけれども、これは公設市場としてつくろうということでございます。これは、その公設市場をつくるのは、民間経営として、全く自由な活動で商業的にやってもらうということも、もちろんそれでいいわけでございますが、そのほかに若干の規制、統制というより規制と申すほうがいいと思いますが、規制が加わった公設市場として、その中に一部をつくっていく、こういう考えに立っておるわけでございます。
  13. 北條雋八

    北條雋八君 そうすると、管理会があるために、どういう利点といいますか、恩典がありましょうか、その……。
  14. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは消費者の側からいいますならば、大阪公設市場東京標準店と同じような標準価格を定めて、できるだけ安目にものを供給するという指導を加えるということでございます。東京標準店は必ずしも徹底いたしませんけれども、こういう公設市場でありますならば、大阪の例をとりましても、比較的徹底したそういう措置ができるのじゃないかと思うのでございます。それから小売り商自体からいいますならば、私どもは、小売り商にあまり大きな特典を与えてはならない、ここに入居する業者に、大きな特典を与えてはならない、不当な競争力がつくようになっては困る、こう考えておるのでございます。しかし、中小企業高度化資金でも奨励いたしておりまするし、そういうことが望ましいわけでございますから、この中に入居する業者は、一般のビルやなんかを借りるよりは安く施設を借りる、つまり小売り業者で十分負担し得る限度家賃で借りる、新しい設備もつくって貸してあげる。小売り商として十分やっていける程度家賃で、相当のりっぱな施設でございますが、それを使えるということにいたしております。それで、直接値段に対して補助したり、そういうようなことにはいたさないようにいたしたい、こう考えております。
  15. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、昨日もお話がありましたけれども、値段を安くすることも、管理会があるから特に安くなるわけじゃありませんし、ただ、いまのお話だと、安い家賃で、いい場所に店が開けるというだけでございまして、その点を、もっと管理会が積極的に動いてくれるといいと思う。ただ、安い家賃で店を貸してくれるというのに過ぎないように私は感じますので、何かもうちょっとわかりやすく、管理会があるためにこのような便利があるとか、そういう点……。
  16. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 私の説明が足りなかったのでありますが、もちろん先ほど申しましたように、直接価格を下げるような補助をする、たとえば大根については幾ら補助をするというような方式をとるわけではございません。しかし、通常、大資本がやっているのに近い、あるいは同程度のりっぱな施設を、小売り業者が負担し得る限度使用料で使用して、マーケット経営がやれる、その場合に、設備にいたしましても構造にいたしましても、セルフサービスをやる、チェックアウトをやる、そういうようなことのできるものにして、それで大量仕入れ、それから経費の節約ができるようにする。セルフサービスとかチェックアウトで、相当人件費節約ができるわけであります。つまり、そういう努力といいますか、そういう経営上のくふうによって、やれる下地をつくって貸してあげる、こういうことでございます。
  17. 牛田寛

    牛田寛君 関連して。いまお話を伺いますと、大資本経営しているようなスーパーマーケット式経営の形態に持っていくというようなお話のように受け取れるのですが、現在いろいろの大資本が、だいぶあちらこちらにスーパー式マーケットをつくっております。で、この管理会法考え方で、いままでの御説明を聞きますと、大体一カ所に十店舖くらい入れるということでございますが、大資本経営規模は、これとは比べものにならないほど大きい。そうしますと、経営やり方は、大資本やり方をやっていくとはおっしゃいますけれども、実際の規模としては、それに追っつかない。そういたしますと、はたして実際問題として、大資本スーパーマーケットのような経営方式でもって、実際に採算がとれていくだけの経営ができるかどうかということは、疑問になる。非常に中途はんぱな状態になるのではないかと思うのですが、その点について、もう少しはっきりしていただきたいと思います。
  18. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 大資本と申しましたのは、少し言葉がいかがであったかと思いますが、東京にございます。そういった店舗の実態を調査しております。その中で、たとえば全部で三十六店舗を調査しておりますが、百五十坪以上の店舗の数が九つ。三百坪以上の店舗が七つございます。さらに、もう少し小さいところになりますと、百二十坪から百五十坪くらいの店舗が七つ。まあデパートなどの場合は、やはり食料品部門を取り上げれば、一つのフロアが数百坪くらいではないかと考えますが、もちろんアメリカのスーパーマーケット、これには大資本がございますけれども、数千坪というような規模のものを考えるわけではございません。ヨーロッパでは数百坪というのが多いそうでございますが、大体二百坪から三百坪程度規模マーケット考えておるのでございます。これは一般マーケットとしては小さ過ぎず、またそう過大なものではない。こう考えております。
  19. 牛田寛

    牛田寛君 そうしますと、先ほど大資本マーケットとおっしゃったのは、どの辺をねらっていらっしゃるのですか。
  20. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 大資本ということばは、あるいはどうかと思いますが……。
  21. 牛田寛

    牛田寛君 大資本にこだわるわけではございませんが。
  22. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 二百坪から三百坪くらいのデパートでも数百坪というのが、食料品としてそういった規模ではないかと考えますが、それよりやや小さいくらいの規模であろうと思います。
  23. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、まだ私よくわかりませんけれども、結局、建物を建ててやって、そしてそれを安く貸してやって、そうしたあと、特別に低利の金融をしてやる。別にこういう管理会などを設けずにやるということも、それでもいいんじゃないかと思うのです。管理会というものがどういう利益になるのですか、その点、私非常に疑わしく思うのです。はたして事業をする上に、さほどの必要がないように思われてならないのですが。
  24. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 低利資金だけを貸すという方式、これは中小企業高度化資金で、共同化によるマーケットを奨励しておるわけであります。それはそれでよろしいと思います。また、それで奨励していくべきではないかと思いますが、しかし、公設市場としての役割を与えることは、それではできないわけでございます。公設市場としては、やはり規制を加えて、指導を加えたものにする必要がある。標準価格を設けて、その標準価格基準にして販売をしてもらう、その指導態勢管理会がとる。こういうことでございます。
  25. 北條雋八

    北條雋八君 標準価格を指定するということは、これは中央卸売り市場価格基準にするわけでありますから、管理会がそこでつくるわけじゃないわけでしょう。また、それを基準にして、二割なり二割五分なり、そういうマージンというものを、これは規制ができるわけでありますが、昨日も申したとおり特に野菜などは、そういうものがきめられても、それを守ってやっている店は一軒もない。鮮度が価格を大部分左右するのでありますから、仕入れてきたものが少し古くなればすぐ値段がくずれてしまうことでありますから、これは管理会がなくても、一般中央卸売り市場標準価格によって、お客のほうでは大体見当がつくわけであります。その点は、管理会があるために、非常に価格が安定する、また暴利をむさぼることができないのだという効果も発揮しないだろうと思うのです。ですから、安くていい品物管理会あっせんするということなら、これは非常にいいのですが、昨日のお話では、これは直接やれないのだというお話でありますから、そうすると、どうも繰り返すようですが、一体、管理会というものは何をやるのか。家賃を取って、そして経営をただやっていく事務的の仕事だけしかやらないようなふうに考えるのですが、その点に対してはどういうようにお考えになりますか。
  26. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) お話しになっていらっしゃいますのは、東京都の標準店の場合を想定しておられるように思うのでございます。これは確かに中央卸売り市場の中値にプラス何%というような基準で、しかも非常に品数も少なくてやっておる場合を考えておられるようでございますが、今度の場合は、もっと銘柄もふやし、またマージン算定方式も、魚が三一%というような大まかな方式でなくて、もっときめこまかくして、それで見回りをよくやろう、標準唐についても、見回り幾らか行なわれておりますけれども、相当徹底した見回りをやって、指導してまいりたいというような態勢をとりたいわけでございます。  それから今度の公設市場が、経営方式としては非常に新しいわけでございます。これはかなりリスクもありますので、できるだけ安く貸すわけでございますが、同時に、新しい経営方式に持っていくように相当指導をしなければなりません。それには相当専門家も入れて、その指導をやっていく必要がある、そういうようないろいろな意味で、この法人を設けたいと、こう考えておるわけでございます。
  27. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ちょっと関連して。  この前、私が質問をいたしました、それに対する答弁と、ただいま北條さんと質疑応答しておられる間に、ちょっとふに落ちない点がありましたので、ここではっきりしておきたいと思います。  それは、今度できる市場ですね、市場性格というものが、従来の公設市場的な性格のものであるのか、いま一般に言われている、いわゆるスーパーマーケットのような性格のものであるか、私は、その二つは非常に違うと思うのです。従来の公設市場であれば、一つ設備を公的に持って、その内部においては、それぞれ小さい小売店店舗を並べるわけです。そういう姿であろうと思う。ところが、スーパーマーケットというのは、一つ企業体として、できる限り多数のバラエティのある商品を、これは食料品でもいいが、並べる、そうして物によってそれぞれ価格つけ方等も、全体の総合経営の観点から価格がつけられる。物によっては一般商店価格よりも格段に安くする、そのかわり、ある物については非常に高くする。そういう一つ価格操作でもって、全体のスーパーマーケットとしての経営利益を上げていくというところに、スーパーマーケット経営一つの新しい技術があるというふうに私は承知しておるのであります。それで、私の質問に対しては、それは公設市場的な性格である、そういう御答弁であったと記憶いたしております。ところが、先ほどは、できる限りまとめたい。できる限りまとめたいということは、たとえば加工食品生鮮食品も、言いかえれば魚も、野菜も、くだものも、かんづめも全部、そのマーケット一つ企業体であれば、これは最も好ましいことになる。そうすれば、その企業体としての、当然の経営の才覚といいますか、才能といいますか、やり方というものは、その企業体自体がやらなきゃいけない。そういう一つ企業体でありながら、いやこれは幾ら、この品物幾ら価格である、これは幾らである、そういうふうに一々やかましくした日には、企業体としての責任というものはなくなっちまうんですね。しかも、管理会が、その企業体についての企業上の責任を持つということになりはしないか。一体そういう姿のものがうまくいくんであろうかという疑問が、私は出るんであります。もし、初めのお話のように、そうじゃないんだと、それは、従来、大阪その他で行なわれてきた公設市場的なものを、そういう必要がある立地条件のところに設けて、そこに、いろいろの小売り屋さんを、適当の資格で、選定されるかどうかしらないけれども、入れて、そしてやらしていくんですね。その面で、いろいろの点で指導していくんだ、こうなりますと、それぞれの八百屋さんなり、魚屋さん自体も、小さい範囲における責任になるわけですね。これは一応理解ができる。一体どちらなんだろうか。どちらかということは、非常にこの問題を考える上において重要な問題であり、しかも管理会責任とかいうもののあり方にも関連している。非常に重要じゃなかろうかと思うんですが、その点をもう一度はっきりお答えを願いたい。
  28. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 最初に、ごく単純化して申し上げますが、これはどなたかの御質問にお答えしたと思いますが、つくりますのは公設市場でございます。それで、その経営を、スーパーマーケット経営方式を入れるようにいたしたい、こういうことでございます。いま御指摘がありました点、確かにごもっともな点があると思うのでございますが、しかし、たとえば標準価格をきめるといいます場合に、確かに通常スーパーマーケット——スーパーマーケットというよりも、スーパー・ストアといったほうがいいわけでございますが、その場合には、生鮮食料品のようなものをおとりに使う、これを非常に安く売る。奥さん方が毎日買う品物でございますから、それで客を寄せて、ほかの衣料品とか、雑貨をやや高目に売って、総合経営をやる。こういう販売戦術と申しますか、そういうことが行なわれておるようでございます。スーペー・ストアと言われるような場合。しかし、今度の場合の、公設市場たるゆえんは、標準価格を定めるということでございますが、これは、確かにその意味では規制が加わり、企業の自由な活動がそれだけは制限されるわけでございますけれども、その中に入る業者が、大阪公設市場の場合のように、店舗が幾つかある場合でも、かりに一つである場合でも、それは同じであると思うのでございます。そこは、やっぱり業者責任がある程度制約されるという点は、変わりはないと考えておるのでございます。
  29. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 もう一点だけ。そうしますと、一市場企業会社という場合が当然あり得るわけですね。したがって、一市場企業会社の場合は、相当資本金が必要だと、これは当然そうだと思う。そうすれば、一市場企業会社一つの理想形態だと、こう考えていいわけですね。今回のこの法案に関連して、そうですね。わかりました。
  30. 牛田寛

    牛田寛君 先ほどからいろいろお伺いしておりますと、結局、この管理会そのものの性格が非常に不明確といいますか、あいまいであるという点が、大きな問題になっていると思うのであります。それで、第一条の「目的」のところには、「食料品総合小売市場管理会は、大都市及び人口の集中の著しいその周辺の地域に、近代的な経営方式を導入して総合的に生鮮食料品等の小売業を経営するための小売市場を設置することにより、生鮮食料品等の流通の合理化を促進して適正な小売価格の形成に資し、もって国民生活の安定に寄与することを目的とする。」、これはたいへんけっこうなことと思いますが、この管理会法案を通じまして、第何条がこの目的に直接関与するか、こういう点を考えてみますと、一体どこにあるのかという感じがするのでございますが、どの辺にあるのですか。
  31. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) この法律は、公設市場の開設主体を設置するための法案でございますから、直接には、この管理主体の組織でありますとか、業務に関する規定が盛られているわけでございます。第三章の業務に、これについての業務の基準あるいは業務方法書、こういったものの定めがございますが、これは主務大臣の認可を受け、かつ関係の自治団体の意見を入れて定める、とあるわけでありますが、その内容として、各種の指導、あるいは価格面で標準価格を設定する等のことが行なわれるわけでございます。
  32. 牛田寛

    牛田寛君 標準価格の設定等の業務を行なうということは、これは法律で定めるようにはなっておらぬですね。政令ですか。
  33. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 第二十二条の一項の二号で、「当該小売業に係る生鮮食料品等の種類、品質、価格その他その購入、保管及び販売に関し必要な事項についての指導を行なうこと。」、こういう規定がございます。二十三条におきまして、二項でございますが、「農林大臣は、生鮮食料品等の流通の合理化を促進して適正な小売価格の形成に資するため特に必要があると認めるときは、管理会に対し、食料品総合小売市場の設置に関し、必要な指示をすることができる。」、あるいはその次の、第二十四条の業務方法書で、二項に、「業務方法書に記載すべき事項は、農林省令で定める。」、こういうもので規定されるわけでございます。
  34. 牛田寛

    牛田寛君 この小売市場に参加する業者は、何店舗かが共同の形をとる。それは組合をつくるか、あるいは会社をつくるか、その点は私どもはっきりいたしませんけれども、何らかの形で、そういう一つ経営体制を持つ。そうしますと、管理会が業務として指導を行なう。そうしますと、その指導によって、その業者が集まった会社なり、組合なりは、経営の方向なり、方針なりに制約を受ける。それによって利益に対しても影響がある。その営業成績にも関係してくる。そういった場合に、管理会はその指導の結果について、その業者に対して責任を持つのか持たないのか。いまの御説明ですと、いわゆる標準小売価格を指定する、あるいは農林大臣が必要な指示をするということが規制であるというようなお話なんでございまして、そういたしますと、やはり小売り市場に参加したものが、利益についてはある程度規制を受けるのでありますから、その指導について、農林省が責任を持たなきゃならないことになると思いますが、その辺についてはいかがでしょうか、はっきりしておりますか。
  35. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 事項のいかんによっては、農林省に行政上の責任が生ずる場合があると思います。しかし、営業につきましては、これは、入居すること自体は契約でございます。入居する契約で、管理会の定める業務報告書で示す、あるいは契約で示す条項を順守してもらう、こういうことでございます。そこは民事上の契約関係として規制されるわけでございます。で、あまり無視された場合は、契約の取り消しとか、あるいは出てもらう、こういうことになる。これは公設市場としては当然のことだと思うのでございます。中央卸売市場の場合にも、違反の事実が多ければそういう措置がとられる、そういうことになっております。
  36. 牛田寛

    牛田寛君 そういたしますと、この小売市場管理会の目的は、むしろ小売り価格を安く押さえて、あまり小売り価格が高くならないようにするというほうに重点があって、消費者のための管理会だと、あるいは業者はいわゆる零細企業が多い、その零細企業を近代化し合理化して、零細企業をも近代的な一つ企業として育成していく、そのためのマーケット式な、いわゆる共同事業態勢をつくっていくための一つの方向であるのか、その点が、やはりいまお話を伺ってくると、はっきりしてこなくなってくるわけです。いまのお話ですと、安く入れてやるかわりに、販売価格についても農林省から制限を受ける、それで、ある程度自由に経営することについての制約を受ける。もし、あまりはなはだしく指導に反したような場合には、退去してもらうというようなお話でありますと、業者としては希望者がなくなる、そういうことが十分考えられる。業者育成のため、零細企業生鮮食料品小売り業の近代化育成のためにあるのならば、もう少し自由な営業のやり方を、むしろ助長する方向にいくべきではないか。消費者のためのものであるならば、もっと別な形が考えられる。したがって、ただいまの御説明の内容によりますと、その点についても、性格がはなはだあいまいであると言わなければならないと私は思うのですが、いかがですか。
  37. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは、法律の第一条にもございますように、適正な小売価格の形成に資し、もって国民生活の安定に寄与することを目的としておるわけでございます。消費者に安定してできるだけ安目品物を供給する、しかし、同時に、そのやり方は、経営方式を近代化するということで、その目的を達しようとするわけでございますが、一面において、近代化の一つの類型として、小売り商、それが普通の経営資金の融通等によって金を貸して、そういう方向にいってもらう以外に、現実にそういうものをつくって、一つのモデルにしていく、こういう意味もあわせて持ち得ると考えるのでございます。
  38. 牛田寛

    牛田寛君 その適正な小売り価格の形成は、これは当然けっこうなことだと思いますが、経営の合理化を通じて、適正な小売り価格の形成を実現するのが、私は本旨じゃないかと思うのですが、それを、ただ農林省の指導で、価格を抑えるというようなことが強く表面に出されたのでは、これは健全な経営の近代化には私はならないと思う。いままで御説明を聞きましたのは、むしろその反対で、個々の零細業者を集めて、そうして能率化し近代化していくことによって、低廉なる価格によって生鮮食料品を供給する、こういうお考えが強かったのでありますが、ただいまのお話ですと、何か規制の面が非常に強くなる。そうなりますと、この法律の解釈次第で、管理会の事業の性格なり方向なりが、どちらの方向にも向いてくる。非常に危険性をそこにはらんでくると思うのであります。最初は、そういうお話ではなかった。そういうことで最初は賛成だった業者も、あとでは反対するようなことが起こりはしないか、私はそう思うのであります。事実そういう例がほかにもあるわけです。東京都あたりの実情を聞いてみますと、最初業者の方々も賛成であったが、最後になりまして、この法律案の内容をいろいろ検討してみますると、これはどうも賛成しかねるという声が強くなった、こういうことも私は実は聞いております。そういたしますと、実際にこの法律が、管理会ができ上がって、いよいよそれがすべり出したというときになりまして、業者が協力しない、希望しないということになれば、これは何の役にも立たない、これだけのものだということになってまいります。最初の目的とたいへん反対の結果になるのではないか、そのように非常に危惧するわけであります。ただいまのお話だけでも、その点が非常にあいまいであるという印象を深くするわけであります。
  39. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) お耳に、規制という言葉が非常に強く響いたと思うのでありますが、これはるる申し上げておりますように、経営方式を近代化して、消費者価格を引き下げ得る余地を、安定させ得る余地をつくって、そうして標準価格を示していきたい、こういうことでございます。それから小売り商の動向ということでございますけれども、私どもとして一番苦慮し、心配いたしました点は、いまお話のあったところでございます。それで、立案の当初から、小売り商東京都の意見を常に聞いてまいっておるわけでございます。法案の作成の過程においても、予算の過程においても聞いております。これはもちろん、一面反対の動きもございます。しかし、私どもとしては、意見の調整はできておると確信しております。
  40. 牛田寛

    牛田寛君 東京都との意見の調整ができておるというお話でございますが、意見の調整をどういうふうな形で行なわれたか、お答え願いたい。
  41. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 昨年の七月に、流通対策について閣議決定がありました。その際は、大綱だけでございますが、閣議の決定の内容として、こういう構想が出たわけであります。それを決定する事前に、すでに東京都と協議いたしました。で、私も東京都の副知事と話し合ってきめておるのでございます。  それから、その後、構想を具体化する過程において、事務当局同士で何十ぺん相談しておるか、まあ回数はともかくといたしまして、具体案について設置個所数、法律案、予算の内容、すべて相談いたしております。私も数回副知事と意見の調整をやってまいっております。
  42. 牛田寛

    牛田寛君 業者の意見はお聞きになりましたか。
  43. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 青果の団体、鮮魚の団体、すべて聞いております。
  44. 牛田寛

    牛田寛君 青果、鮮魚、それから食肉関係はどうですか。
  45. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 食肉も聞いております。
  46. 牛田寛

    牛田寛君 どういう機会に、その意見を徴しましたか。
  47. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 担当の課においては、しばしば説明会をやり、あるいは来てもらって話し合いをやっております。私も団体の首脳と数回話しております。
  48. 牛田寛

    牛田寛君 公式な、何かこの法律案に対する委員会、その他協議会等設けられて、検討されたことはあるのですか。
  49. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 公式の委員会といいますと、設置法が要るわけでございますから、そういうわけにまいりませんが、役所において私も会って、数時間話し合ったこともございます。
  50. 牛田寛

    牛田寛君 東京都に、消費者物価対策審議会というのがあるそうです。そこへ業者——食肉、鮮魚、青果組合長の出席を求めて、この問題についての話し合いもあった。その場合には、業者は賛成しなかった。反対意見があったということを聞いておりますが、その点は御存じでしょうか。
  51. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) それは聞いておりません。
  52. 牛田寛

    牛田寛君 私どもが当局の御説明を聞きましても、時によって非常にニュアンスが違っておる。先ほどの管理会の業務の方法につきまして、前に伺った点と、本日伺った点では、だいぶ食い違いがある。業者からの話を聞きましても、初めは、そういうことならば賛成だ、近代化をやって商売がうまくいくということであれば賛成だ。こうなりますが、内容がわかってくれば、それならちょっと困るというふうなことは、ままあることでございますが、最近では、反対という声が私どもの耳にちょいちょい入ってきております。私どもは、何もこの法案がどうのこうのではないが、こういう法律ができた場合、もし業者の協力がなければ、これは何にもならぬことでありますから、その点についての十分な理解と調整及びそれだけのパックを持った企画でなければならないと思うわけでありますが、その点について、もう少し慎重さがあっていいのではないかと考えるわけでございます。  もう一つお伺いいたしますが、この小売り市場と非常によく似た形のもので、いわゆる東京都小売り市場協会というものがすでにある。北区の西ヶ原に一つあるようであります。これはどういう形のものなんですか。
  53. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは昭和三十八年、昨年の十月に発足したものでございますが、数年前に、農林省といたしましては、都内の映画館の転用あるいは国有地の貸与をいたしまして、そこに公設市場をつくるということで、東京都と協議したのでございます。ところが、映画館の転用につきましては、なかなか高いことを言われましたので、それは取りやめにしたわけでございますが、農林省の管理しておりました西ヶ原の国有地を貸与いたしまして、そこにげたばきの住宅をつくりまして、その下を公設市場にしてつくったわけであります。その際東京都は、東京都あるいは東京都の特別区自身がそれを運営することはなかなかむずかしいから、財団法人をつくって運営に当たりたい、こういうことで財団法人をつくって、現在運営しておるわけでございます。
  54. 牛田寛

    牛田寛君 経営の状況はいかがでございましょう。
  55. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) なかなかよくいっているようでございます。御参考のために申し上げますと、売り上げ対経費率は、精肉の場合二丁五%、青果部が一三%、鮮魚の場合が一六・四%、それから従業員一人当たりの売り上げが、一般の小売りの場合よりもかなり大きくて、精肉の場合二十五万八千円、青果の場合主十一が六千円、鮮魚の場合十七万七千円、かなり普通の小売り商よりは大きくなっております。
  56. 牛田寛

    牛田寛君 この形の小売り市場は、現在ほかにはあるのでしょうか。
  57. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 戦後につくりましたのは、それが一カ所でございます。ほかに数カ所、大正時代か昭和の初期にできましたものがございますが、そのうちで四谷と真砂町、それぐらいがわりあいにいまでもうまくいっている。ほかのものは、どうもうまくないと聞いております。
  58. 牛田寛

    牛田寛君 この形のものを都内に九カ所ぐらいつくるという目的で始められたと伺っておりますが、そのとおりでしょうか。
  59. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 西ケ原につくりましたときは、数カ所を考えておったわけです。特に映画館の転用を考えておりましたので、個所数も数カ所というものを考えておったわけですが、どうも映画館は貸し付け料が相当高いと言われましてできなかったわけであります。
  60. 牛田寛

    牛田寛君 現在の西ケ原は、いわゆるげたばき住宅の一階を使っておるのですか。
  61. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) さようでございます。
  62. 牛田寛

    牛田寛君 この小売り市場をつくられた目的と、それから今度のいわゆる管理会をつくって、そこに業者を集めて、いわゆる共同化でもってやらせる、そういういき方と同じようないき方ではないかと思うのですが、相違点はどこにありますか。
  63. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 財団法人をつくって、それが管理主体になって、げたばき住宅のようなところに市場を設けたという形とちょっと似ておりますが、西ケ原の場合は、セルフサービスとか、そういういわゆるスーパーマーケット方式経営方式を取り入れておりません。今回は新しい経営方式でやってもらうように指導したい、こう考えております。
  64. 牛田寛

    牛田寛君 西ケ原の場合は何店舗入っておりますか。
  65. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 七店舗でございます。
  66. 牛田寛

    牛田寛君 面積は。それから業種。
  67. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 八十四坪。業種が七つ。
  68. 牛田寛

    牛田寛君 生鮮食料品が主で、あと食料品だけですか、それ以外のものもございますか。
  69. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 精肉、青果、鮮魚、これだけ生鮮食料品でございますが、これに近いものとして、つけものが入っております。それから酒、調味料、パン、菓子、そのほかに荒物、雑貨というようなものでございます。
  70. 牛田寛

    牛田寛君 今度の総合小売市場の案でありますが、いわゆるスーパー・ストア式の能率化した経営をやり、それによって利潤を生んでいくとお考えですが、どういう点で——西ケ原の市場一つ例に取り上げたわけですが、そういう市場あるいはこれまでの個々の小売り業者の行き方、それと比べて、どういう点でいわゆる能率化が可能であるかという点について、ちょっと私どもは理解ができない点がある。というのは、今度の小売り市場の案でも、大体十店舗ぐらいの規模である。まあ面積が二百坪見当ですか。そうしますと、それほど大規模なものとはならない。そうしますと、仕入れの点についてどれほどマージンが少なくなるか、その点はなはだ疑問に思うわけであります。大量仕入れによって、というお話でございますが、その大量仕入れによって、という内容が、実際にはどうなのか疑問が出てくるわけであります。結局、いままでの小売り業者がただ一カ所に集まった形に終わるのではないかという懸念が十分にあると思いますが、大量仕入れによって非常に安くできるという具体的な根拠をお聞きしたいと思います。
  71. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 西ケ原の市場は、標準店として運営されておるわけでございます。今度の場合は、そのほかにいわゆるスーパー・ストア方式といいますか、そういう方法をとるわけでございます。具体的にいいますと、プリ・パッケージ、それからセルフサービス、こういう方法を導入いたしますと、売り場の従業員が減員されます。これは尾行販売などやめるわけでございますから、ここで人件費相当減るわけでございます。それから商品の包装が、機械化になりまして能率的になり、包装費が節約される。それから量目と価格について決定する。それからこういう方法をとりますと、買い物の時間が節約されて、来客の回転をよくする。それから店内を衛生的にするる。プリ・パッケージとか、冷凍商品ケース等を使いますので、そういうようなことから商品の回転を早めることによりまして、仕入れの量も通常の小売りの場合よりはふやすことができる。しかし、われわれとしましては、一段とそれを進めて、小売市場全体として共同仕入れ組織をつくるように指導してはいかがかと、こういうふうに考えております。
  72. 牛田寛

    牛田寛君 ただいまの御説明は、スーパー・ストアの基本的ないろいろな有利な点でございまして、今度の十店舗なりが集まって、はたしていまおっしゃるようなことが実現できるかというのが私どもの懸念なんです。大体小売り業者が集まるわけなんですから、一店舗何人くらい集まってくるかわかりませんが、その中で一体何名従業員の節約ができるかということになりますと、これは知れたものだと思います。一体、一店舖当たり何名節約できるか、こういう点を伺いたいと思います。
  73. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 新しい方式によります場合は、普通の店舗で七、八十人要するところを、五十人台くらいに節約できる、こういうことでございます。
  74. 牛田寛

    牛田寛君 十店舖くらいがこの中に入るわけですね。そうしますと、小売り業者が集まるのですから、一店舖五人働いておるところはない。せいぜいフルに集まって二十人くらい。そうすると、いまの七、八十人を五十人くらいに節約するという話は、大体絶対数で七、八十人のものが五十人に節約できるということで、二十人のものがこの割合で減るとは私は思えない。私はそういう点で、観念的に企画の穴があると思うのです。その点。
  75. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 私ども、これは想定とそれからいろいろな実績とあわせて検討しておるのでございます。もちろん想定でございますから、そんなことができるか、こう言われればまたそれは別でございますけれども、いろいろな想定でございますが、売り上げの想定で見ますと、青果四百三十四万、魚類三百四十七万、肉類三百三万、これは生鮮部門でございますが、一応別の実績等を参考にして想定をしたのでございます。それで、これは普通の店で申しますと、大体売り上げが三分の一くらいの見当でございます。で、先ほど七、八十人とか五十数人とか申しましたのも、これはまあ大体そういう見当でやれると、こういうことでございまして、十店舖七十人、八十人、こう限定して申し上げたのではございません。
  76. 牛田寛

    牛田寛君 ちょっといまのお話、よくわからないのですが、結局一人当たりの売り上げをふやそうと、こういうお考えだろうと思うのですが、いま申し上げましたように、小売り業者が十店くらい集まってくると、そういう場合に、何人人数が減らせるかという問題、いまの八十人とか五十人とかいうのは、一つの割合だと思いますが、その割合の、いわゆる人数の節約の統計的な結果というものが、一体どれくらいの規模のストアーの経験から割り出されたものか、これ一つ問題になると思う。ですから東光ストアーであるとか、あるいは西武ストアーであるとか、そういうふうな大きなものであれば、そういう数が出てくるでありましょうけれども、いま言った個人経営商店が十集まったから、はたしてそれだけの割合でその人数が減ってくるんだ、その割合で結局一人当たりの売り上げがふえてくるんだというふうには、簡単には割り切れない。これが一つ問題。これは私先ほどの考えを繰り返すわけでございますが、これ一つと、それからもう一つスーパー・ストアーの行き方では、いわゆるプリ・パッケージで、お客が好きなものを持って行って、最後にカウンターで計算をして出ていく、そういうやり方を頭に入れて、一体プリ・パッケージをこういうところはどこでやるのか、だれがやるのかということになると、やはりその労働力が必要になってくる。それで生鮮食料品などは、やはり市場から仕入れてきて、それをやはりこの小売り段階でもってプリ・パッケージしなければならない。プリ・パッケージをやってることについては、現在すでに個々の小売り業者でもやってるわけであります。で、その場合に、プリ・パッケージをやるから、直ちに労力が減るんだというふうには、一がいには言えない。だからそういうふうに考えますと、十店舗集めただけで、はたして一体一人当たりの売り上げがどれだけふえるかということは、いままでの御説明では、はなはだ私ども納得できかねるところであります。こういうふうに思うのですが……。
  77. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) どうもいろいろ想定の問題でございますから、現物を見ていただかなければ、御納得がどうしてもいかないかもしれませんけれども、実績で申し上げますと、三十六店舗、これは平均二百一坪の売場面積でございます。その粗利益率は一四・七%、東京青果の小売り業、これも平均を言いますと、従業員一人当たりの売り上げは、三十六店舗売り上げの実績を申し忘れましたが、従業員一人当たり四十二万七千円でございます。それで東京の平均を申しますと、十九万四千円でございます。これは二百坪で見ました従業員一人当りの売り上げです。それからプリ・パッケージについていろいろお話がございましたけれども、店が大きければ大きいほど、かりに小売り段階プリ・パッケージをいたしましても、労力ははるかに合理的に使えるはずでございます。
  78. 牛田寛

    牛田寛君 ちょっとこの点については、まだ十分な御説明を伺えないので納得いかないのでございますが、この次の問題に移ります。それは大量仕入れという点なんですがね。大量仕入れで安くなるんだと、こういう御説明ですが、大量仕入れというと、どの辺から大量仕入れになるのですか。仕入れの量です。
  79. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 大量、少量というのは相対的な問題でございますから、どこからを大量というという定義はないと思いますけれども、一般小売り商よりも相当大きな売り上げなり仕入れ量を、われわれ大量と言っております。
  80. 牛田寛

    牛田寛君 大体十店舗くらいの集まりですから、たとえば八百屋にしてみれば、二店舗とか三店舗くらいの集まりなわけです。そうしますと、はたしてそれで大量仕入れと言えるかどうか、この点が一つ。  それからもう一つは、やはり中央卸売り市場から仕入れるわけです。そうしますと、二店舗、三店舗が集まった程度仕入れも、結局一店舗ずつの仕入れと変わりが実際にはない、大量仕入れというのであれば、むしろ、たとえば世田谷区のある地域の八百屋さんが合同して、そして仕入れをやって、トラックで一台に積んで仕入れを実際にやっているのです。そのほうが実は大量仕入れである、そう考えますと、大量仕入れのために安くなるということは、はなはだ影が薄くなる、こういう点はいかがですか。
  81. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) もちろん青物にいたしましても、魚にいたしましても、小売り商共同仕入れをやっている場合はございます。また、共同運搬をやるのにとどまる場合が多いのでございます。トラックだけは共同でやりますが、買い出しは一緒じゃない、こういう場合が相当ございます。一地区の小売り商が一緒になって共同仕入れをやると、それは確かに大量仕入れになって安く買える、同じようなことをいたしたいというわけですが、小売り市場相互間の共同仕入れ組織、これは最近各地で共同仕入れ機関を設ける働きが続々できているわけですが、そういうように持っていく必要があると思います。  それから、一つ店舗にいたしましても、客の回転が早くなるのは理屈上当然でございますが、総合店舗でございますから、買いものの量も専門店よりは多くなるわけです。野菜を買いに来たついでに調味料も買う、あるいは魚も買うというような場合がございます。そういうことから商品の回転もふえることは想定されるわけでございます。
  82. 牛田寛

    牛田寛君 いまの話ですと、結局大量仕入れによってマージンが小さくできるという、そういう実際の結果が出てこないのではないか。
  83. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ちょっとお答えのしようがないのでございますが、どういう理由で……。
  84. 牛田寛

    牛田寛君 大量仕入れといいましても。二店舗とか三店舗程度が集まって仕入れるということであれば、そのほかにも同じ程度仕入れをやっていると、そうすれば二店舗店舗集まって仕入れたということは大量仕入れにはならないのだ、大量仕入れで、しかも安くなると、ことばでは言いますけれども、実際にこの程度の形で仕入れを行なったのでは、決してここでマージンの幅を切り詰めることにはならないのではないか、こういう疑問が私どもあるのです。
  85. 北村暢

    北村暢君 関連して。いまの大量仕入れの問題で答弁を聞いているとわからないのですけれども、商品の共同仕入れというのは、そうすると管理会のいま設けようとする総合小売り市場が幾つか集まって共同仕入れするということかどうかということですね。それから都内でも、いま考えておられる総合仕入れをやっている大きな業者は、都内に何店舗か、十か十以上の店舗を持っている業者がいるのです。小売り業者が。そういうものが一括仕入れをして自分の店舗に分ける、これは簡単にいくだろうと思うのですけれども、共同仕入れということを言われたんだが、共同仕入れということはどういうことなのか、ちょっとそのことを説明していただきたい。
  86. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これはいまお話がありましたように、小売り市場相互間、公設市場としてまあ二十なら二十全部でもいいわけでございますが、地区の近いものが四つ、五つ集まって仕入れ組織をつくる、組合なり、そういう方法共同のトラックを求めて共同の買い出しをやる、こういう方法考えられると思うのでございます。それからいま市内で盛んに共同買い出しがあります。大型トラック、これはまあ雇っておる場合が多いと思いますが、やる場合には買い出しは各店舗の人が行ってやっておる場合が相当多いようでございます。だれか一人が代表してやっておるというのはわりあい少ない。それは共同運搬にとどまっておる、こういう状況でございます。
  87. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を起こして。
  89. 牛田寛

    牛田寛君 どうも話がから回りしやすいのですが、いわゆる仕入れの問題ですが、大量仕入れ大量仕入れとおっしゃいますが、卸売り市場の仲買いが二、三店舗合同したくらいの仕入れで特別扱いをするかどうか、これが疑問なんです。特別扱いはしないと私は思うのであります。そうすると結局はいまも話があったように、ただ大量運搬するという車代程度節約で、大量仕入れのありがたみが少しもない、こういうことに私はなると思うのですね。局長お話はたいへんけっこうなんです。スーパー・ストアの利点を先ほどからずっと並べてくださっております。確かにその利点が実現できれば、それはけっこうなんです。けっこうなんですが、ただ宣伝文句ではだめなんで、実際に売り上げの能率がよくならなければ、このような店舗をつくった意味がないわけであります。そこのところを私どもが明確にしておきたいわけなんです。それでその点が一つと、それからもう一つは、先ほどの一番初めの問題に戻りますが、この管理会法の内容及び管理会性格というものが、この法律の条文を通観しますと、大部分が建物の管理、維持ですね。これが大部分なんです。そのための法律になっておる。それで二十二条でいわゆる購入とか販売あるいは購入のあっせん等の指導、こういう条項が入っておるわけでありまして、あとは全部建物の管理その他に必要なものなんです。そうしますと、いままで私が質問を申し上げ、答弁を承ってきた問題は、むしろそういう問題とは離れまして、いわゆるストアの経営の問題が中心です。で、問題もやはりこの経営の問題がいわゆる主要の問題に当然なってこなければならないはずでありますが、この管理会性格というものは建物の管理が中心である、そういう点で非常にこの管理会性格が問題になってくる。それからいまもう一つの問題は、お話しのように、このようにして集まれば非常に能率があがって大量仕入れスーパー・ストアとしての利点があるという御説明でございますが、個々の点についてこまかく伺いますと、さっぱりはっきりした結論が出てこない。そうしますと、第一条の目的にうたわれてあります目的が、はたしてこれで達成されるものかどうかということは、はなはだ疑問に思うわけであります。そのためにこのような特殊法人としての管理会をつくるということは、ちょっと考えなければならぬのではないか。このように考えます。ちょうど大臣おいでになっておりますから、大臣から。
  90. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 将来の見通しがあまり正確でないんじゃなかろうかというような御質疑かと思います。事実、なかなか複雑な小売り関係との競合みたいなところで、流通機構の一環としてやっていこうということでございますので、的確な見通しを申し上げかねるような実情であるというふうに思うのでございます。しかし一つのパイロット的なやり方として、経費の節約とか、あるいは流通面の改善等によってモデル的なものをやってみようじゃないか、そういう面におきまして自治体等でやってもいいのでございますし、あるいはほかの方法でもいいでしょうけれども、一つの商売でございますので、管理会というようなものを設けてやっていこうじゃないか、こういうふうなプランのもとに進めていきたいと思っておるわけでございます。
  91. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まず食料品総合小売市場管理会法案、この法案を提案するに至った社会的な経済的な背景、そうしてこの法案のねらいというものがどこにあるか、これを大臣一つまずお伺いします。
  92. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように両三年経済の成長に伴って消費物価といいますか、消費物価の面が相当上がってきつつあるわけでございます。この点につきましての政策がいろいろあるはずでございますけれども、その一つとして消費物価の値上がりの大きな部門を占めている生鮮食料品の値上がりが強かったのでございます。その後下がっているものもあるかもしれませんが。そういうような情勢下で、昨年でございますか、内閣におきまして消費者物価の総合的な対策を講じていこうじゃないかということで方針をきめまして、そのきめた中で流通面に手を加えていこうじゃないか。そこで生産面におきましても、生産を安定化する、あるいは共同出荷面を強化する、あるいはまた、それから離れた面におきまして市場面、中央卸売り市場、こういうものの改革をして、流通経路をスムーズにしていこうじゃないか。そうすると、最後に結局消費者の手にわたる小売りの問題が出てきたわけであります。でございますので、実際生産者の販売価格消費者が買い受ける価格との間に相当な開きがあるような状況でございます。こういうような状況でございますので、こういう開きを、できるだけ合理的にしていく一つ方法として、食料品等の総合小売市場もその一端として手がけてみて、こういうものが消費者に非常に役立つということであるならば幸いだ。なお、小売り商との関係もございます。小売り商の権益といいますか、利益を極度に侵害するというようなことであっても、政治としてまことにまずいわけであります。そういう面におきまして、これはこれとして商店街の法律とか、あるいは小売り関係、あるいはその他金融面とかいろいろ対策を講じていかなければなりませんが、とりあえず、流通経済といいますか、流通対策の一環としてモデル的な総合小売市場というものを設置していこう、こういう考え方でこの法律を出すことに相なったわけでございます。
  93. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 総体的な御答弁をいただきましたが、確かにこの法案の目的を見ますと、生鮮食料品の流通の合理化、もう一点は適正な小売り価格の形成、これが本法の目的にうたってあるわけですね。手段として総合生鮮食料品の売り場をつくるのだ、これが手段として取り上げられた。しかし、はたしてこの目的がこの法案で解決できるかどうか、いろいろこれから各項目にわたって私は大臣に具体的にお尋ねをいたして、その目的が達成されるかどうかを伺う所存でありますが、総体的に、まず冒頭から伺いますことは、生鮮食料品の流通の合理化という目的に対して、これを具現する最大の手段であるのかどうか、この点がまず私は問題じゃないかと思うのであります。結論から言えば、むしろ生鮮食料品の流通の合理化対策としては、本末転倒の手段の取り上げ方ではないかという考え方を持つのでありますが、この法律が万一実施された場合に、目的にうたうところの生鮮食料品の流通の合理化に対して貢献できるということについて、もっと大臣の具体的な御答弁をお願いします。
  94. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) この方法、すなわち食料品の総合小売市場を設けるということだけによって、流通の合理化がなされるというふうには考えておりません。流通の合理化をする一つの、いまお話もありましたような手段というふうに考えます。その手段といたしましても、消費者に対する小売り面の全面的な機能を発揮する、こういうふうには考えられませんで、一つのモデル的なものとして、人を節約するとか、いろいろな食料品を一カ所に集めておくために消費者の便宜を得るとか、セルフサービス方法とかあるいはチェックアウト方法とかいろいろ人手も節約し、したがってそういう面の経費も小売り価格に盛り上がることなしにやっていけるモデルを、ひとつやってみようじゃないかということでございますから、このことによって消費者全般に非常に、まあよくいわれる画期的な効果を発揮するというふうなことには考えられませんが、一つの手段として考えているわけでございます。
  95. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 当然、これだけが手段であろうなどと私は質問しているのじゃないので、生鮮食料品の生産者から消費者に至るまでの流通の合理化というものは、現状は前近代的な流通機構に織りなされているだけに、私はその問題の重点の置き方が本末転倒じゃないかということを、意見を添えてお尋ねをいたしたわけであります。これは、いずれ具体的なそれぞれの項目の質疑によってまた政府考え方をお尋ねをいたしたいと思います。  で、この法律によって、はたして安定した生産者価格が期待できるのか、また消費者価格が、法律にうたうように適正な小売り価格の形成に資することができるか。同僚議員の質問によっても、これはきわめてあいまいもことした答弁に終始しているのであります。大臣も、これについては的確な御答弁がただいまもなかった。あらためてお尋ねいたしますが、この法案が成立することによって、生産者には安定した、生産に従事する意欲を勇き起こす一つの課題の提起になるのか、また、消費者に対しては適正な小売り価格の形成に役立つのであるか。これをまずあらためてお伺いをいたしておきたい。
  96. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これは流通の最末端の取り扱いだけでございますので、このことによって安定した生産者価格の形成に寄与できるか、これは別個の問題だと思います。生産者のほうに安定した価格対策を講ずることは別個の問題として考えておりますが、このことから直接生産者全体が、安定した生産者価格を形成するというわけには私はまいらんという見通しを持っています。しからば第二の、小売価格の形成には役立つかどうか。これは、これも先ほどから申し上げておりますように、小売り制度が、全部これでもってやるということでございませんから、これによって小売り価格を全部コントロールするというわけにもまいりません。が、私は現在の小売り価格の形成よりも進んだ形によりまして合理性が加えられるモデルになる、こういうふうには考えております。
  97. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 生産者に安定した価格を約束することは別個な問題であるということでありますが、私はそういうものとの関連なしに、こういう消費地における一つの新しい課題の提起というものを考えるところに、農林省の内部におけるセクションの弊害があらわれておると思う。少なくとも農林省でありますから、生鮮食料品の生産者の立場を絶えず大きな念頭に置いて施策を講ずるべきものだと思います。特に生鮮食料品といえば、政府で言うところの農業基本法の選択的拡大のこれは作目でありましょう。蔬菜にしても、果物にしても、あるいは食肉にしても、食鳥にしても、すべてこれは選択的拡大と称する需要の増大に対応する今後発展をしなければならない作目であるだけに、そういうものがただいまの御答弁にもあるように、何ら関連なしに適正な小売り価格の形成というところに分断されて法案が出ているところに、私は問題の大きな点を指摘せざるを得ないのであります。大臣がこの法案を提案された社会的な、経済的な背景について御答弁をなされたのでありますが、最近における消費者価格の値上がり傾向の中で、この課題が提起されたことも、われわれも承知をいたしております。しかしながら問題は、単に消費者価格の上昇傾向の中に、これらのいわゆるスーパーマーケット・システムを取り上げるというだけではなしに、産地における暴騰、暴落の繰り返しというこの不安定な実態、それこそ生鮮食料品の流通過程の合理化に取っ組む、より緊要な、より重大な課題ではないかと思うのであります。たとえば最近の蔬菜の価格の暴落等について見ましても、去る五月の二十三日には、東京の築地市場の調査によると、キャベツはキロ当たり三円という安値を示しております。これは二十三日です。二十五日になりますと、これは日本農業新聞の記事でありますが、非常な暴落を示しておって、埼玉物だけでも、当日の相場は一かご三十円ないし七十円という底値を示しておる。中央卸売り市場におけるところの卸売り価格というものは生産者価格にこれを遡及いたしますとたいへんなことになるわけです。大臣これはあるいは御承知がないかと思いますが、卸売り市場の仕切り相場から逆算して、生産者価格はキャベツの場合は一体どのくらいの諸掛かりが中間経費、いわゆる流通経費として計算されているか御存じですか。キャベツに例をとって……。
  98. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 前段のことをちょっと申し上げます。私直接安定した生産者価格を形成するというわけにはなかなかまいらぬと申しましたが、これは制度の上でそう申したのでありまして、生産者と直接取引をするという面におきまして、種目によっては、品物によっては生産者の価格の安定との関係が間接についていないというわけではございませんが、直接にまたつく場合もございます。制度として生産者価格の安定ということをねらった制度ではないと、関連はございます。そういう面で先ほど私は御答弁申し上げておる、御了承いただきたいと思います。  そこでキャベツなどが非常に値下がりしておることもよく承知しております。卸売市場価格から逆算して生産者価格がどのくらいかという点につきましては、事務当局からお答えさせます。
  99. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) キャベツの市場に出るまでの中間経費につきましては、これは輸送手段とか距離によって相当の差はございますが、大体申し上げますと高くて七、八円、安い場合には三、四円といったところかと思います。
  100. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 事務当局という立場で、高くて七、八円、安くて三、四円という非常に大ざっぱな答弁は私は意外であります。少なくとも埼玉の例をとれば、一かごについて平均運賃が二十五円かかっている、それからかご代が三十八円かかっている、縄とこの中についているビニールとレッテルで八円かかっている、これで七十一円かかっているわけです。農林省では確認しているでしょうが、一かごは何キロですか、これは指定産地、農林省が指定している産地のものですが、すぐ答えてください。
  101. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) ちょっとはっきり覚えておりませんが、十五キロではなかったかと思います。
  102. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 十五キロで七十一円の平均諸掛かりがかかり、そのほかに市場手数料が百円とするならば八円五十銭かかる、それだけで八十円かかるわけです。中央卸売市場で昨日の相場が埼玉物で八十円で落とされております。これだけで生産者の手取りはゼロになります。かご代と運賃を全部諸掛かりとして払えば手元には一文も入らない。むしろこうしたような事情を考えるならば消費地にこれを送らせて、また消費者にもあまり適正な価格で配給できないというならば、産地で腐らしたほうがいいという指導こそが現実に適切な事態に置かれている。現に行政庁がそういう指導をしなくても、私の郷里の岩手なんかでは、一年おきごとに畑でカンランは腐らせている農家がかなり多い。それは東京へ出荷するよりはそのほうが経済的に採算が合うからであります。マイナスになるよりはゼロのほうがいいという生産者本能から畑で腐らせている。そういう事態を一体政策としてどう取り上げていくか、これを具体的に、政府が出された資料を中心としてお伺いをいたすつもりであります。消費者価格幾らになっておりますか、いまキャベツの。これは農林省が指定産地を指定して、そうして京阪地区を消費経済圏としてリンクしていることですから、おわかりのことだと思います。最近の消費者価格は、埼玉、栃木等の指定産地のキャベツは幾ら消費者が買っていくか御存じですか。
  103. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) キャベツにつきましては、五月に入りまして当初は比較的よかったのでありますけれども、第三週、第四週ぐらいから低落いたしまして、現在卸売り価格はキロ当たり四円程度でございます。したがいまして、それに即応しまして小売り価格も小売り価格はなかなか的確な把握はできませんけれども、概略、事例調査的なもので申し上げますと、キロ当たり七、八円から十円ぐらいの間のものになっております。
  104. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 七、八円から十円ということでありますが、私の調査した範囲では、小売り商店から消費者が買う値段は、キログラム当たり二十円程度で買っておるわけです。ですから、ここで私は問題を考えなければならぬのは、生産者価格は、確かに先月の下旬から今月上旬に至るこういうカンランを中心とする蔬菜の安値というものは、一応アブノーマルな価格であることは、私も従来の価格の動向からいって認めるにやぶさかではないのでありますが、かりにこの間の平均生産者手取りを見ますと、キログラム当たり二円程度にしかなっていない。生産者は手取りが二円で、これを消費市場へ出荷をして、消費者はこれを二十円で買っておる。この間の流通の合理化というものは、この広い一千万の東京都にわずかな、かすかな、星空に星を勘定するような、何カ所か、ごくごくサンプルとも言えないような、ただやったという看板を掲げているにすぎないような、こういう総合小売り市場の設置なんかにうき身をやつすよりは、現実に選択的拡大という、こういう作物に、こういう価格の不安定に悩まされておる生産者の立場を中心として、いかに前近代的な生鮮食料品の流通を合理化するか、ここに私は政策の重点を傾注すべきだと思うのであります。もちろん、やっているとおっしゃるでしょう。私はそのやっている点を、これから具体的にお伺いをするつもりであります。また、そういうものが、少なくともモデル・ケースとして出た小売り市場であっても、そのものにできるだけ共販体制を通じて直結するということが、国の基本的な総合小売り市場に対処する方針でなければならない。勇気を持って、いろいろな反対等も考慮するところなく、筋を通して政策を確立するということが、私は今回の法律にはみじんも見当たらない。右顧左べんし、あらゆる方面の思惑を考慮し、そのために結局腰抜けの法律案になっているのではないかと私は懸念をするのであります。これからの審議を通じて、それが懸念であればしあわせであります。  そこで、私は具体的にこれから順次項を追うて大臣を中心にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、大臣も御答弁になりましたように、この法案の出たきっかけというものは、昨年の七月九日に閣議決定を見た生鮮食料品流通改善対策要綱の中の一つの課題を取り上げられたものだと存じます。そこで、この閣議決定による生鮮食料品流通改善対策要綱、この中の生産者、産地、そういうものを中心とする項目を拾ってみますと、十ページから出ておるわけです。特にその生産の立場から問題をしぼってみると、まず十ページの「野菜生産の安定的拡大」、ここから出ているわけです。そうして「野菜指定産地制度の拡充」が出ておる。だから、ここではすでにこの閣議決定によって、いま一つの例を取り上げたようなキャベツ、トマト、キュウリというものの種類をはっきり指定して指定席地という制度を取り上げておる。それに関連して、二番目として「野菜生産安定事業の拡充」ということをうたっておる。次には「生鮮食料品価格安定のための輸入措置」ということがありますが、これはむしろ産地としては異質の要素であります。「生鮮食料品の輸送の円滑化」ということが出ておる。しかし、私はこの輸送問題一つをとってみても、たとえばフランスの農業の基本法では、遠隔地からこれを大消費地に運ぶための農産物に対する立地的な不利を規正するために、運賃の減免を基本法の中で明らかにうたっている。そういう点すらこの閣議決定の中には出ていない。できるだけ冷蔵庫なり通風車なりを整備するとか、配車の確保につとめるとか、あたりまえのことを文章で羅列しているに過ぎない。あくまでもこれらの生鮮食料品の選択的拡大の前向きの政策というものは、この閣議決定には出ていない。まあ少しフランスの基本法をもう少しみならってもらいたい。それから「出荷の安定と計画化」について「青果物の出荷調整の推進」ということが出ておる。「食肉処理販売会社の増設」ということが出ておる。私はこの問題一つとっても、食肉処理販売会社の増設などという従来のケースじゃなくて、これはあくまでも生産者の共同体によってこれらの施設を十分やらせるために、政府がそのささえをするという姿勢が必要だと思うのであります。私が去年ヨーロッパの各国の農業事情を見ても、非常に共鳴をしたのは、その国の程度によって差こそありますが、これらの農業者による共同体にあらゆる流通の実態を中心として位置づけてて、それに対する施設その他は、十分なる財政の支援をして国家的使命を果たさせておる。そういう点から見れば非常に残念でならないのでありまして、これらをずっと取り上げていけば切りがないのでありますけれども、この最初の「野菜生産の安定的拡大」、「野菜指定産地制度の拡充」、関連して「野菜生産安定事業の拡充」、これは一体どういうようにその後運用されているのか。その点を少し別紙の資料も私要求してもらっておりますから、この点の内容、これが一体どれだけ効果があったのか、あるいは看板倒れに終わったのか、その積立金の範囲内に制約されたために、期待した生産者が三分の二以下に価格が暴落したのに、その期待されたものに補てんする機能も十分ではなかった、私はそう結果的に理解しておるのですが、これが一体選択的拡大に対する政府のただ一つの措置であることは、あまりにも情けない話であります。その点を、少しく具体的に事務当局から答弁する前に、大臣は一体この閣議決定になった生産地のこれらの選択的拡大と称する野菜生産の安定的拡大、これをどういうふうに理解されて、農政の根幹に現実に推進されておられるのかということを、まずお伺いをいたしたいのであります。
  105. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) もうすでに渡辺さん御承知のはずでございますけれども、生産地における生鮮食料品の生産が安定しなければ、消費者に渡る価格の安定もあり得ないと思うのでございます。そういうわけで、ここに並べておるもの等は、すでにやって継続しているのがあります。新たにやるものもございます。私は何といたしましても、一つの計画生産ということではございませんが、一つの見通しといいますか、計画性を持たせる。すなわちカンランならカンランはどれくらいの消費を必要とするとか、タマネギはどれくらいの消費を必要とするとかというめどに応じて作付制限等を戦争中みたいにするわけにはまいりませんが、そういう統制下ではございませんが、こういう作付の状況等を、需要に見合ってやるようにと、こういうことは町村の農業団体あるいは県の団体等を通じて常に情報を提供して、そうして作付についての一つの調整をいたしておるわけであります。それから指定産地等につきましても、指定産地をふやす、あるいはまた価格安定措置をとっておりまするところの野菜の種類等につきましても、それを指定し得られるものについては、それを指定して範囲を広げていく、こういうようなことを通じて、いま御指摘の問題を、すでにやっているものはさらに強化する、金融の方途を講じたことなども緊急的にはございます。いろいろな手段をもちまして、いま御指摘の点を強化し、あるいは拡大していく、こういうふうにいたしておるわけでございます。また恒久的の問題を考えまして、予算のときに申し上げたのでございますけれども、食肉等の問題等につきましても、あるいはその他につきましても、食料コンビナートといいますか、大きな市場をつくりまして、そこで価格形成が合理的にできるように、あるいはまた流通の経費を節約できるような方法考えて、東京におきまして、あるいは全国的に考えましても、あるいは東北とか九州とかそういう方面にコンビナート的な市場をも合わせたものをつくっていくという計画で、ひとつ調査を進めるということで、調査の計画なども御審議をいただいて、可決していただいております。そういう方針で、いま御指摘の点を強化あるいは拡充といういろいろな手を通じてやっておることだけを申し上げ、なおこまかい点につきましては、専務当局から御報告申し上げます。
  106. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) まず野菜の指定産地の問題でございますが、これは昨年から発足したわけでございますが、三十八年度におきましては、京浜地区への出荷する産地につきまして、品物といたしましては、キャベツとトマトとキュウリ、この三品物につきまして四十九産地を指定いたしました。これは申すまでもなく、生産あるいは出荷の計画、情報の収集そういうことを主たる業務内容としたものでございますが、その効果といたしましては、昨年秋の高原カンランといわれるものにつきましては、実は相当価格値下がりがあやぶまれたわけでございますが、この指定産地の相互間の協議によりまして相当強力な出荷調整をやり、その効果がございまして、相当価格維持ができたという実績がございます。ただその後いわゆる寒玉カンランにつきましては、あまりにも作柄がいいということで、指定産地の出荷調整だけでは、何としても価格維持ができなかったということで、そのような暴落が起こったのであります。したがいまして、指定産地のそういう出荷調整にも、おのずからやはり限度があるということは、われわれ今後十分考えて対処しなければならないと考えます。で、本年度の指定産地につきましては、さらにこれを京阪神及び名古屋地区に拡大いたしまして、産地数としては大体九十二カ所程度を予定しております。現在この指定産地につきましては、選定の途中でございます。  なお、今後の指定産地の問題としては、大消費地として残るものといたしまして、北九州地区等が考えられるわけでございまして、これらへの拡大、あるいはまた品物といたしましても、この三品目以外にさらに白菜とか、大根といったようなものにつきましても、今後検討していかなければならない、そう考えております。  次に、生産安定事業のほうでございますが、これは先ほど申しましたように、寒玉カンランにつきまして大暴落が起こりました結果、資金の、不足を来たしたわけでございます。寒玉カンラン用の資金といたしましては、八千万円を用意しておったのでありますが、計算どおりの補てんをするとすれば、約一億の金が必要でございます。ところが、これは実は最初からの約束といたしまして、価格補てんは資金限度においてやるというような規定になっておりまして、その結果といたしまして計算上は二億でございますけれども、結局八千万円でがまんをしていただかなければならないという結果になったわけでございます。そこで寒玉カンランについては実質的に破産したというようなかっこうでございまして、現段階におきまして早急に制度の建て直しをしなければならない、また、制度の悪いところは直さなければならないということで目下検討中でございます。  本年度の価格安定事業を、新しく名古屋及び京阪神地区に広げようということを計画しておりますけれども、これにつきましても、現在検討中の新しい制度というものを、結論を得た上で実施していきたい、そう考えております。あるいはまた、価格安定事業につきましても、指定産地と同様に市場の拡大あるいは品目の拡大といったようなことにつきましても、今後積極的に検討していきたいと考えております。
  107. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 関連。いまのお話では本年度は名古屋地区等を指定されるというようなお話でしたが、北九州については、たしか昨年の野菜の暴落のときに、農林大臣は北九州地区にも適用するように考えているというお答えがあっておったと私は思うのですが、いまのお話では、それは入っていないような御発言のようですが、それはいかがですか。  それと関連して、種類の拡大というのが要望されていると思うんです。それぞれの地区からそれぞれの要望があると思います。特に北九州地区に供給しておるところのっけものの中でタカナというのがあるのですが、タカナの値段というのは、全くことしは問題にならないのです。計算してみたところが、労働賃金五百円と見て、十アール当たり延べ十人と考えて、植えつけから追肥、切り取り、こういうものをあわせて考えた場合に、肥料代その他引いてマイナス千円ちょっとになる。これはマイナスになっちゃうんです。一人当たり五百円の労賃に見て。そうすると、全く作物を放てきして、野放しにしておったほうがいいんだという結果が出てくるわけですね。これは非常にいいときもあったんですけれども、ことしのような場合には、全く問題にならないんです。それと同じように、長雨でもって麦はいけなかったが、バレイショはどういうわけなんですか、高温で多湿でことしはいいんですね、全く豊作貧乏。これはこまかいことを申し上げませんけれども、箱代が二十五円、運賃、農協の手数料、市場手数料等を引くというと、大体四十円ぐらいの赤字になるんです。だから、貯蔵しなければ、もうどうにもやっていけないというかっこうですね。だから、さっきから話が出ておりましたように、そういう貯蔵設備というものが、いま急にないわけでして、それらの点について農村の設備を急がなきゃならぬという状況に迫られております。また、玉ネギもそうなんです。玉ネギもどういうわけかことしはこれまた豊作で、価格としては最高十円から三円ないし四円くらいのところですから、これもリヤカー引っ張っていったって、労賃にもならぬという状況です。これもやはり貯蔵しなければどうにもやっていけないという、こういうところに来ているわけですね。ですから、そういうものの措置もしなければなりませんけれども、やはりキャベツ、キュウリ、トマト同様に、こういうものに対する種類の拡大というものも、当分の間、貯蔵その他の設備ができる間は、農林省でひとつ御研究を願わなきゃならぬのじゃないか、こういうように思うんですが、そういう点いかがでしょう。
  108. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 最初の北九州適用の問題でございますが、大臣御本人がおる前のことでございますけれども、予算審議の過程におきまして、そういう問題が出たと思います。そのときの大臣の答弁は、北九州への拡大を考えたい、すぐにというわけにもまいりませんが、ということで御答弁申し上げたはずでございます。この意味は、予算要求は北九州を予定しておらなかったわけでございます。しかし、必要性についてはわれわれ十分認識しておりまして、たとえば来年度予算あたりで、できるならば要求していきたい、こういう考えでおるわけであります。  品種の拡大の問題についてお話がございましたが、たとえばバレイショ、確かに蔬菜用バレイショは対象品目としての種類であろうと思います。現実問題といたしまして、この安定事業をやる場合の基本的な条件といたしましては、共販体制の確立、特に共同計算の整備ということが、絶対の条件になるわけでございます。単なる輸送の共同化だけではだめなのでありまして、代金の受け取りについてプール計算をするということが、価格安定事業に入るための必須的条件になるわけであります。そういった点、品物によりまして、そういう体制が農民側にできておらないという点もございまして、制約があるわけであります。  なおまたタカナのお話がありましたが、われわれが現在考えておりますのは、まず将来ますます需要が伸びるものにつきましてのキャベツ、トマト、キュウリを考えているわけでありますが、さらに今後は単にそういう観点からではなく、相当需要の大きい、消費の面から見て、そう伸びるとは思われないが、需要の絶対量において、大きく全国的に影響のあるものについて、まず優先的に考えていきたいという方向で検討しているわけであります。そういうふうにして、順序がございまして、そういう意味から申しますと、タカナといいますものは、共販体制という面から申しましても、また量的なウエートという点から見ましても、もう少し後に考えなければならない、そう考えております。
  109. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 関連質問ですから長いことはやりませんから、的確にひとつ御答弁願いたいと思います。たしか私の質問であったか森部先生の質問であったか、両方これについて質問したわけです。というのは、ほとんど畑に植えたまま腐らした。中には腐らすのは、そのままではいけないというので切り込んで肥料にするのだというのでやった。そういう非常に緊迫した状況であった。だから、特に農協は園芸連を中心にして出荷停止という非常手段に出たことを新聞でごらんになったと思う。そういう非常手段までやった結果、やったはやったんだけれども、農民はその損失を取り戻せない、こういうわけなんです。だから、そのときに思い余って農林大臣の御意見をたたいたはずなのです。そのときに農林大臣は北九州については早急に考えるというおことばが私はあったと思うのです。これは記録があれば、それはすぐにでも取り寄せたいと思いますけれども、当時の地方新聞では農林省はすぐにでも取り上げるというような意味の報道をなされて、来年、——三十九年度は間違いなくそういう事態が起これば、その措置をしていただけるものだというように、農民は私は信じておると思うのですが、どうもいまのお話ですと、そのときはそのときで、何かそういう話があったので、どうも三十九年度はやらないというようなお話のようです。これはどうも農民をがっかりさせるばかりでなく、何かそのときに、農林大臣にいいかげんにあしらわれたのではないかという、そういうことを思いはしないかと私は心配するわけです。その点は明確にひとつしていただかないといけないと思う。  タカナですが、タカナの話は地方的になってどうもおそれ入りますけれども、これはほとんど市場に持っていかないのです。せりに持っていかないのですよ。ほとんどたんぼでいわゆる見込みでもって買い付けている。昔と同じようなやり方です。これは七百貫ぐらいだ、八百貫くらいだと値づけをして、つけもの業者が買い取っていく、つけもの業者が買い取っていって、つけものの製品にして初めて市場に出る。こういうややっこしいところを通るわけです。そういうことからいよいよ豊作ということになると、まことにひどく、豊作貧乏の被害を受けるわけです。だから、そういう点もひとつ十分考慮に入れてもらうと同時に、もちろんそれは農協あるいはその他関係の県あるいは市町村の指導という点も、非常に必要だと思いますけれども、しかし、まあそういう指導だけで足りない面は、やはり国でもって、その価格の安定を見てやる、こういうことが必要じゃないかと、こういうように思うのです。以下バレイショにしてもタマネギにしても、同じだと思うのですが、まずさっきの指定地にされるかどうか、その点は非常に重要な御発言でありましたから、あらためてお聞きしておきたい。農林大臣ひとつ。
  110. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 指定産地にするべく至急事務的にも進めさしたいと思います。
  111. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 三十九年度間違いございませんね、いまのお話は。
  112. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 三十九年度間違いないとは申し上げられませんが、至急三十九年度できるような方針で進めます。予算の面もありますから、また事務的にもいろいろあると思いますが、できるだけ早く、三十九年度に間に合えば間に合うように折衝を進めさしたいと思います。
  113. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 局長どうですか。
  114. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 実は現在北九州につきましては、福岡県は、わりあいこの前の例でわかりますように、農協側の結束力があるわけです。これが近県の佐賀、大分辺からほとんど荷が入ってくる、これのものと一緒に出荷調整というものをやらんと、出荷調整の効果はきわめて微弱なものになる。それで現在熊本の農政局を通じまして、北九州市場の関係各県がそういった点について話し合いをしまして、出荷調整の効果があがるような体制をつくっていくということの準備を進めておるわけでございます。したがいまして、この準備のできぐあいとの関係で考えなければならんと思います。ただ、ただいま大臣が御答弁いたしましたように、できるだけ早くやるということにつきましては、われわれも最大の努力を払っていきたい、そう考えております。
  115. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 だいぶカンランを中心とした具体的な問題で、むだ道に入り過ぎた感がするのですが、しかし、いまも説明が大ざっぱにあったように、非常に期待した農家としては、期待を裏切られたという憤りが激しいことだけは、大臣、よくこれは認識してもらわなければいかんと思うのです。大臣はあらゆる財政その他の措置で前向きに善処するということを答弁されましたが、きょうの審議の経過で、そういう答弁はけっこうでありますけれども、実際この野菜の生産安定に対する政府のささえ方一つを見ても、政府が面接この基金にどれだけの財政援助をしているのかということを見ますと、生産者が出すのとその都道府県が出すことで一億五千万の積立金を構成しておる、政府は何らこれには出していないのですね。そうじゃなければ、それをひとつ明らかにしていただけばけっこうです。しかも、それが八千万しかなくて、二億なければ約束どおりの交付ができないということの矛盾が明らかにされているわけです。この交付金の交付の要綱にもあるように、平均市場価格の三分の二を下回った場合には云々ということを言うこと、しかも、それは事業勘定に属する資金の額を限って、と言っておる。この問題が非常に現地では不満が爆発しておる問題点なわけです。政府が出すのは、この協会の経費に都道府県が三分の二以上補助をしたときには、国がその経費に対して県に二分の一を出す、こういう程度政府の援助で、はたして真剣に政府が率先して野菜指定生産事業に取り組んでおるとは考えかねるわけです。私もこのことについてはかなり農林議員として関心を抱いて、その効果を見守ってきたのですが、日本農業新聞でもこのことをかなりひんぱんに特集記事で出しておる。二月二十六日、補償制度がマイナスに追い打ちをかけている、というように出しております。三月十三日には、暗礁に乗り上げる野菜安定事業として、産地に不満と動揺、というふうに出しておる。五月四日には、不満だらけの野菜価格補償制度、農林省の大みえも一番で腰くだけ、という記事が出ておる。五月十一日には野菜価格補償に抜本改正を望む、という論説を掲げてその矛盾を具体的に指摘しておる。これは一つの例に過ぎない。こういう実態に置かれて、一体生鮮食料品の流通の合理化ということにどれだけ積極的に政府考えておるか、私は疑わざるを得ないのであります。大臣がおっしゃったように、品目も逐次拡大する、タマネギはすでに試験的に前からやっておる、一体どれだけの積極的な施策をこれに集中されようとするのか。わずか一億五千万の民間のあるいは地方自治体の積み立てすらその目標の半ばに達せず、八千万程度で二億の補てんができかねて、いま怨嗟の声が上がっておる。そのことが生産意欲を減退し、せっかくつくったものが、産地で、圃場でこれが腐敗をさしておる。こういう国家的にまことに不経済な事態というものが繰り返し行なわれているということに、目をおおうべきではないと思うのであります。確かに閣議決定のこの生鮮食料品の流通改善の要綱には、抽象的にこの問題も取り上げておりますが、中身を伺うと、きわめてお粗末千万な実態であります。一体、生鮮食料品の流通改善の基本的なこの生産地に対する生産意欲、あるいは消費の拡大に即応する生産の向上というものに対して、農林大臣はいかなる施策をもって立ち向かおうとされておるのでございましょうか。先ほどの抽象的な御答弁に対して、もっと具体的に生産者農民が納得のいくような一つの御答弁をまずここで伺っておきたい。
  116. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 言いわけではございませんが、この生鮮食料品流通改善対策をつくりましたいきさつというものは、生鮮食料品が非常に上がっておる、こういうときにこれを取り上げたのでございます。でございますので、この対策そのものには、生産者対策はわりあいにウエイトを軽く扱われております。しかし、これを取り上げた後におきまして、生産地の生産価格が非常に暴落した、いま御指摘のような事態が各地に起こっております。しかし、これはことし初めてではなく、前にもそういうことが何年かのうちには繰り返し行なわれておることでございます。でございますから、生鮮食料品の流通対策というものは、非常にむずかしい問題でございます。むずかしい問題でございますけれども、この対策をおろそかにするということは許されない事態にありますので、生産から消費に至るまでの一貫した対策を講じていかなければならぬ。しかし、私が再三申し上げておりますように、戦争中の作付制限というようなことまで入ってやっていくということが、これは不適当であり、その効果もわりあいになかったというふうにも見ております。そういう面におきまして、先ほどから申し上げましたように、一つの統制経済は行なうことはできませんけれども、計画性をもちまして、作付におきましても、あるいはまた出荷の調整等におきましても、あるいは流通関係のルートにおきましても、中間のコストがそうかからないような方法指導して、そうしてまた消費者の手に渡るときにも安定した価格で渡るというような、一連の考え方でやっていかなくちゃならぬと思いますが、これを具体的にどうこうということでございますが、これはいままでいろいろ講じてきております問題方法、方策、これを強化する、こういうことに尽きるのではないかと思います。抜本的というならば、これは全部統制ということでございますが、これはちょっとできにくいことだと思います。でございますので、価格の面につきまして一つの安定を考えまするならば、いまの一億とか二億という安定資金をつくっておるのでございますから、こういう面、高いときもあるのでありますので、その一部を積み立てて、あるいは国におきましてもそういうものに対しての助成といいますか、協力をしていくというようなことで安定資金等も多くしていく、こういうことも具体的には考えなくてはならない問題であろうかと思います。  いまの御指摘の具体的にどうこうということでございますならば、一言で申し上げますならば、従来続けてきました対策を強化拡充していくというふうに考えておるわけでございます。
  117. 北村暢

    北村暢君 関連して。いま答弁をお伺いしまして、私はちょっと具体的に確かめておきたいのは、生鮮食料品が値上がりしておるための価格安定、安定というよりは値下げをさせるための施策、こういうようなことで集団的な産地指定をやる、こういうことで政府がとった施策の結果が、いま渡辺委員が指摘したとおりのいわゆる豊作貧乏で、生産費が全然まかなえるものでなかった。価格安定資金を使い果たしてもできなかった。こういうことは、作付について統制ができればいいけれども、それができないということでございますけれども、野菜というものは、堀本さんもいつかも言ったことがあるのですが、とにかく一割増産になれば半額で二割増産でもうゼロになってしまう。こういうことを言っておるのですが、もうほんのちょっとした増産でそういうことが敏感に起こる。したがって、これはもう全くの、共同出荷だの何だのと言ってみたところで、価格は自由価格としてきまるわけですから、大量に出てくれば値下がりするのは需給の関係からいっても明らかだ。したがって、先ほど来質問をされておる冷凍の施設をしたらどうか、こういうことを盛んに言っているわけです。これは政府として、私はやはりそういう生鮮食料品の特性からいって、共同出荷もいいけれども、ちょっと豊作になるというともう手が出ない、こういうことですよ。したがって、政府は、いま大阪東京の消費地に冷蔵庫をつくった。一体これらのものがどのように利用できるか、技術的な問題からいって、野菜の冷凍というものが可能なのかどうなのか。私の知った範囲内においては、今日野菜の冷凍は可能である。しかも経営的にも成り立つ、こういうふうに思うのですが、もっとも非常に価格の安いものを貯蔵するということになると、貯蔵する費用だけで経済的に、価格的に成り立たないという面は確かにむずかしい問題であります。それをやはり政府は思い切ってやらない限り、私は生鮮食料品価格の安定なんてなんぼ言ったって、安定なんかするものじゃない、こう思うのです。したがって、野菜なり何なりの冷凍技術というものがどういうふうになっておるのか、そうしてまたその可能性の問題についてどうなるのか、施策として考えられるのかどうなのか、こういうふうにこの点を質問したいと思うのです。  それからこれだけ余っている野菜ですから、国内消費だけを考える必要はないと思う。これはシベリヤなり何なり沿海州なり、こっちのほうまで輸出という点も考えていいと思うのですね。これは冷凍ができれば、それが可能性があるわけです。貿易自体の問題については、私ども今後の問題としてミコヤンも来た時期でもあるし、これは貿易というものは可能性はあると思う。この折衝はやはりやっていいのじゃないかと思うのですが、冷凍枝術が可能になれば、圧倒的に沿海州、シベリア方面は野菜が不足しているのですから、そのために野菜が食べられないで、あすこはクロレラの薬を飲んでやるという状態でしょう。したがって、もう少しやはり生産農民を保護する立場から考えて、抜本的にもっと構想を大きく持って価格安定を考えていいのじゃないか、こう思うのです。したがって、そのためにどうしても冷凍技術が問題になってくる。これはとても零細な生産者なり何なりにまかしておいたのではできない。これはやはり思い切って政府の施策として講ずるべきじゃないかと思うのですけれども、そういう点はどのように考えておりますか。どうも大臣の話は、価格安定のことで対策をやっているけれども、むずかしくてどうにもならない、手も足も出ないというふうにしか答弁は受け取ないのですよ。ですからやはりそういうことではいかぬじゃないかと思う。私はそう思いますので、国でやられる価格安定の施策というものがもっとあるのじゃないか。産地の指定だの何だの農民のために指定してやれば、農民の犠牲において価格が安くなるなんというのは、これは農林省のとる施策じゃないではないか、こう思いますけれどもどうでしょうか。
  118. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように魚とか肉については、冷凍貯蔵も相当やらしておりますし、こういう冷蔵庫等につきまして金を出しております。野菜についてそういうことも、私は技術的には可能だと思います。しろうとですが。ただ、いまもお話がありましたように、これが貯蔵しているコストといいますか、貯蔵をして経済的にその費用を乗せて販売し得られるような経済効果があるかどうかは研究してみたいと思います。またそれがコストに合わぬという場合には、国が出すという形になろうかと思います。そういう方面は研究してみます。  それから輸出の問題でございますが、お話のようにモスクワなどでは、野菜がなくてキュウリだけです。ほかの野菜はない。こういうところで、また世界的にも私は野菜に対する考え方が日本と少し違うのじゃないか。ほかでは野菜というものが貴重品で、非常に高く見ているのじゃないかと思います。日本では、従来野菜なんていうものは捨ててもいいようなものだということで、売るほうではもっと高くしなきゃならぬ。すなわち生産者は高くしなきゃならぬと考えているんですけれども、消費者のほうから見ると、こんな安いものが高くなったという不満があるようでございます。野菜といいますか、生鮮食料品に対する考え方が少し違うのじゃないかという気がいたします。それは別といたしましても、はたして輸出して、それが輸出に適するかという研究はございましょうけれども、確かにシベリアとかモスクワの方面もそうでございます。野菜は非常に不足しておるところでございます。考えられない面がないわけではないと思います。それから別に共産圏ばかりではなくて、先進国等におきましても、野菜というものは相当貴重なものでございます。まあ、考え方としてはくだものを相当輸出のほうに向け、野菜を国内のほうで消費の面に充足するというようなことも考えられると思いますが、いろいろ考えられる面はあると思います。お説、お考えにつきましては、それを基礎としてなお研究していきたいと思います。
  119. 北村暢

    北村暢君 いま冷凍の問題について、技術的にどうかという、できても経済的にどうかという問題、これは大臣にこれを聞いてもちょっと無理ですから、担当の局長に、園芸局長に、そういう冷凍の研究を農林省でやったことがあるのかどうなのか。そういう経済的なものを含めて、そういうものを検討したことがあるのかどうなのか。それから私は、こういうことを思いつきで言っているのじゃないんですよ。実は、貿易の問題が手続上の両国間の貿易の手続上の問題さえ解決すれば、実は、日本の業者の中にそれをやりたいという人がおるわけです。すでに日冷の冷凍船をもって、そして貿易をやれば、夏野菜をたくわえておいて、冬になる前にシベリアに輸出する。そしてこれは非常に時間をかけないで、ごく短時間に全く自然のものに返るという技術が、もうすでに完成しておる。こういうふうに日冷あたりはできておる。したがってこういうものを、これは貿易上の問題があるから、両国間の貿易のワクであるとか、そういう問題はあるけれども、それが解決すればやりたいということがすでに出てきているんですよ。で、先ほど大臣もおっしゃっているように、日本では野菜と言えば、菜っぱというものは安いもんだ、こういうふうに思っておるけれども、各国でなま野菜というのは非常に商い。なま野菜を食べることが肉よりも高いという状態にある。そういうことですから、十分貿易としては成り立つ、こういう見解ですよ。したがって日本で、いまあり余って腐らして生産農民がゼロでいく。ゼロならいいけれどもマイナスになります。こういうことでは、やっぱりそういう事態がありながら、一方においてなま野菜は諸外国でも不足しておる。こういう点は、やはり何かこう考えてよさそうに感ずるんです。私は思いつきでなしに、そういう面で大体一体ソビエトなりああいう野菜のできないところの消費量というものは、一体それはどのくらいの量で消費できるのか、こういうようなことも、やはりそういうところに農林省だの大臣というものは、頭を使うべきである。総合小売り市場をつくるとか何とかいう、そんなやらなくてもいいようなところまで首を出しているから大きなところに知恵が回らない、そういう状態だろうと思うのですよ。だからこれは園芸局長専門なんですから、専門の立場で一体そういうことを検討しているのかどうなのか、お伺いしたいのです。
  120. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 野菜の中でもタマネギとかバレイショというような保存性のきくものにつきましては、御承知のとおり、現在ある程度生産期に保管して逐次出していくということで価格調整をやっているわけでございます。その他のものについてどうかという問題でございますが、たとえばカンランを例にとって申しますと、これはなかなかむずかしい問題がいろいろありまして、たとえばカンランと申しましても、作期形はいろいろございまして、先ほど話されました寒玉カンラン、わせカンラン、普通カンラン、高原カンラン、そういったものが逐次出荷されることになります。そこで、かりに寒玉カンランがどうも増産で困るから、これを貯蔵して次の値上がりを待とうといっても、これはなかなか将来いつになったら値が上がるだろうかということは、予測がほとんどつかないわけでございます。まあ、せいぜい秋から年末にかけての期間をねらえばねらえるだろうかということでございまして、まあそんなことでやはり貯蔵する限りにおきましては、将来ある程度値が上がってバランスのとれる場合もあるというふうなケースでないと、なかなかむずかしいのではないかということがございます。そういった点を、単に貯蔵技術の問題ではなくて、経済面の要素が非常に多い。同時にまた白菜などにつきましてこれは十二月、普通ならば十二月までに出荷されるようになるのですけれども、それを茨城産のようなものを二月、三月まで貯蔵する。これは現にやっております。やっておりますが、これはきわめて簡易な竹やぶの中に入れて置いておくというような簡易なことで初めて採算がとれているのです。これをたとえば冷蔵庫に入れて保管するということになりますと、これは金利、保管料、相当なものになりまして、どう計算しても採算が合わないというふうなことも、われわれ計算したことがあるのでございます。まあそんなことで、技術面に入る前に、どうもわれわれの先入観、これは非常に誤っておるし、またそこを打開することを考えなければならぬ問題かと思いますけれども、経済的にどうしても採算が合うような計算ができないということでございまして、現段階においてはまだ入り口の段階で、もそもそしているというようなところでございます。しかし、御指摘の点につきましては、何とかうまい方法はないかということにつきまして、十分今後研究してみたいと思います。
  121. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いろいろ産地対策についてもまだお伺いをいたしたい問題がありますが、後ほど時間があればそれは日をあらためて伺うことにしまして、私がこれからお伺いしますことは、中央卸売り市場について特にお伺いをいたしたいと思っておるのであります。それにはかなり具体的なひとつの検討資料を、いままで私が要請しました資料のほかに準備をしていただきたいと思いますので、今後の審議に備えて用意をしていただきたい。  それは、この生鮮食料品流通改善対策要綱の中に卸売りの条項が各項目あるのですが、第一点は、この九月から従来の手数料を、野菜については現行一〇%を八・五%に改訂をしている。くだものについては八%を七%、水産物は六%を五・五%、これのそれぞれの改訂したバック・データを出していただきたい。これが第一点であります。  それから、この中央卸売市場から三つの交付金というものが、この要綱によって九月から実施されているわけですが、荷主交付金、それから買い受け人交付金、荷主前渡金。で、この荷主交付金も、この要綱にありますように、業態によってかなり内訳があるわけで、最高支出限度は、その年度の総取り扱い金額の千分の九・三相当額、こうなっておりますけれども、これが野菜、果実についてそれぞれの出荷団体の共販の規模によって違いがあるわけです。で、この違い別に、まあ農林省ではおわかりでしょうから、私は内訳をことさら具体的に言いませんから、この内訳別の実績がどうなっているか、九月から三月まで、これの交付金の実績を、ひとつそれぞれの内訳によって、蔬菜の千分の十四の要素と、千分の七と千分の五に分けて出していただきたい。果実については千分の七と千分の二についてそれぞれ出していただきたい。荷主前渡金については承認基準によってそれぞれあるわけですが、その内容について出していただくとともに、サイトを越えたものについては金利を取るということになっておりますが、それが具体的な適用金利とその額を出してほしい。私がこれを要求するのは、こういう一つの問題に発展するために使うのですから、その意味を申上げますと、これらの中央卸売市場の手数料を、これらの交付金を全免したならば、どれだけ手数料率がさらに減免されるかということに使う資料です。——いいですか、そういう内容でこれらの計数をひとつはっきり出してもらいたい。買い受け人交付金も同様であります。その内訳別、最高支出交付金のそれぞれのケースによって内訳がありますから、それを出していただきたい。  それから、次に、私の質問で今後資料に関係のあることだけをここで申し上げて、資料の準備をお願いかたがた大臣に伺いたい点があるのです。それは去年来、中央卸売市場青果物の卸売り人たる荷受け会社、これらの会社がタマネギ、バナナの輸入とバレイショの思惑によって莫大な損失をこうむっておるということが、業界の中で言われておるわけですね。しかし、バナナの輸入差損については昨年の八、九月を頂点として、その後の扱いによってかなりカバーをしてきているはずです。ですから、バナナについてはその仕入れ時期別にこれを内訳をつくって、ひとつこれらの資料を出していただきたいのであります。まずこういう事実を農林大臣は承知されておられますかどうですか。
  122. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) バナナの思惑とかバレイショの思惑でばく大な損害をこうむったり、またそれで差損を受けたというような事情を、実は私まだ不敏にして聞いていなかったのであります。
  123. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣が聞いていないとなれば、なおさらでありますけれども、たとえばこれは昭和三十二年に神田青果市場の中のマル東青果会社が買い取り等の思惑による損失で二億と称されておりますが、私の知っている限りにおいては四億二千万、これだけの赤字をかかえて倒産して、そのしりが生産者に非常な迷惑を与えておるわけです。こういう一つの過去の実績といいますか、実例があるわけでありますので、大臣はこれらのバナナの輸入、これもその輸入単位別に時期別に、卸売り会社の実態というものを、監督官庁として的確に把握をしていく私は責任があると思うのであります。またタマネギの損失、バレイショの思惑損失に至っては、これは非常に問題であるわけであります。そういうような実態がどこにあるかということは、これは大臣としても初めてこの質問で承知したということでは、どうもこの中央卸売市場に対する政府の監督がどこまで徹底しているのか、かなりこれは疑問視せざるを得ないような気持すら持つわけであります。なお私は次の機会に多少の時間をとって、レモンの抜き打ちの自由化に対する問題点を大臣に質問するつもりであります。さしあたりこの中火市場の卸売り人であるところの荷受け会社は、出荷者の委託を受けてそれによってその市場機能を発揮するにとどめれば問題はないのでありますけれども、思惑的に輸入をするとか買い取りをやるということで出てきた膨大な損失というもの、そういうものは本来の卸売り市場の使命を逸脱したものであると私は言わざるを得ないと思うのであります。でありますから、農林省はこのバナナなりタマネギなりバレイショの思惑行為による損失額の資料、これを荷受け会社別に品物別に輸入数量とか、特にバナナについてはその輸入単位別に何月はどれだけ損失、その輸入単価はどれだけで仕入れ価格及び販売価格はどれだけだ、翌月の輸入単価はどれだけで数量はどれだけで、どれだけの売却でこれは差益が出た、こういう明細な資料をひとつ国会に提出していただきたい。これらの赤字がなおかつ補てんされて、これらの会社は三月に決算をやっております。それが一社を除いてことごとく配当をしているというように私は聞いておるのでありますが、それらの決算の内容、それが一体どういう財源で利益が出されたのか、それをひとつ決算事業報告書の中でわかるように会社別にひとついまの思惑輸入、思惑買い取り、バナナ、タマネギ、バレイショのほかに全体の決算がどういう内容で首尾があっているのか、それらを資料として御提出を願いたいのであります。これは出してもらえますね。
  124. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ただいまあげられました資料のうち、最初のほうの手数料、交付金、前渡金等の資料は調整して提出いたします。ただ品目別の毎月別の業績、これにつきましては検査を行なっておるわけですが、毎年全部の会社について検査を行ないませんので、直ちに集計して出してもらうというわけにはなかなかまいらぬと思います。バナナにつきましては一時問題がございましたので、ある一定時期をとって東京の荷受け機関について調査いたしました。できるだけこれも調製して提出いたしますが、御要求どおりにいくかどうか、ちょっと時間的な問題がございます。
  125. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 しかしながら、品目は、タマネギとバレイショとバナナだけであります。バナナは、すでに問題が起きた去年の夏時分には、農林省としても、捨ておけない事態として、ある程度これは検討の資料は提出さしておるだろうと思う。だから、これは、今後の中央卸売り市場のあり方にも関連する問題でありますから、できるだけ要求した資料を提出して、審議の資料に私はさしていただきたい、重ねてこれは、局長に資料要求を要請いたしておきます。
  126. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) できるだけ、時間の許す限りいたします。
  127. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時四十二分散会