○渡辺
勘吉君 七、八円から十円ということでありますが、私の調査した
範囲では、
小売り商店から
消費者が買う
値段は、キログラム当たり二十円
程度で買っておるわけです。ですから、ここで私は問題を
考えなければならぬのは、生産者
価格は、確かに先月の下旬から今月上旬に至るこういうカンランを中心とする蔬菜の安値というものは、一応アブノーマルな
価格であることは、私も従来の
価格の動向からいって認めるにやぶさかではないのでありますが、かりにこの間の平均生産者手取りを見ますと、キログラム当たり二円
程度にしかなっていない。生産者は手取りが二円で、これを消費
市場へ出荷をして、
消費者はこれを二十円で買っておる。この間の流通の合理化というものは、この広い一千万の
東京都にわずかな、かすかな、星空に星を勘定するような、何カ所か、ごくごくサンプルとも言えないような、ただやったという看板を掲げているにすぎないような、こういう総合小売り
市場の設置なんかにうき身をやつすよりは、現実に選択的拡大という、こういう作物に、こういう
価格の不安定に悩まされておる生産者の立場を中心として、いかに前近代的な
生鮮食料品の流通を合理化するか、ここに私は政策の重点を傾注すべきだと思うのであります。もちろん、やっているとおっしゃるでしょう。私はそのやっている点を、これから具体的にお伺いをするつもりであります。また、そういうものが、少なくともモデル・ケースとして出た小売り
市場であっても、そのものにできるだけ共販体制を通じて直結するということが、国の基本的な総合小売り
市場に対処する方針でなければならない。勇気を持って、いろいろな反対等も考慮するところなく、筋を通して政策を確立するということが、私は今回の法律にはみじんも見当たらない。右顧左べんし、あらゆる方面の思惑を考慮し、そのために結局腰抜けの法律案になっているのではないかと私は懸念をするのであります。これからの審議を通じて、それが懸念であればしあわせであります。
そこで、私は具体的にこれから順次項を追うて大臣を中心にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、大臣も御
答弁になりましたように、この法案の出たきっかけというものは、昨年の七月九日に閣議決定を見た
生鮮食料品流通改善対策要綱の中の
一つの課題を取り上げられたものだと存じます。そこで、この閣議決定による
生鮮食料品流通改善対策要綱、この中の生産者、産地、そういうものを中心とする項目を拾ってみますと、十ページから出ておるわけです。特にその生産の立場から問題をしぼってみると、まず十ページの「
野菜生産の安定的拡大」、ここから出ているわけです。そうして「
野菜指定産地制度の拡充」が出ておる。だから、ここではすでにこの閣議決定によって、いま
一つの例を取り上げたようなキャベツ、トマト、キュウリというものの種類をはっきり指定して指定席地という制度を取り上げておる。それに関連して、二番目として「
野菜生産安定事業の拡充」ということをうたっておる。次には「
生鮮食料品価格安定のための輸入措置」ということがありますが、これはむしろ産地としては異質の要素であります。「
生鮮食料品の輸送の円滑化」ということが出ておる。しかし、私はこの輸送問題
一つをとってみても、たとえばフランスの農業の基本法では、遠隔地からこれを大消費地に運ぶための農産物に対する立地的な不利を規正するために、運賃の減免を基本法の中で明らかにうたっている。そういう点すらこの閣議決定の中には出ていない。できるだけ冷蔵庫なり通風車なりを整備するとか、配車の確保につとめるとか、あたりまえのことを文章で羅列しているに過ぎない。あくまでもこれらの
生鮮食料品の選択的拡大の前向きの政策というものは、この閣議決定には出ていない。まあ少しフランスの基本法をもう少しみならってもらいたい。それから「出荷の安定と計画化」について「
青果物の出荷調整の推進」ということが出ておる。「食肉処理
販売会社の増設」ということが出ておる。私はこの問題
一つとっても、食肉処理
販売会社の増設などという従来のケースじゃなくて、これはあくまでも生産者の
共同体によってこれらの
施設を十分やらせるために、
政府がそのささえをするという姿勢が必要だと思うのであります。私が去年ヨーロッパの各国の農業事情を見ても、非常に共鳴をしたのは、その国の
程度によって差こそありますが、これらの農
業者による
共同体にあらゆる流通の実態を中心として位置づけてて、それに対する
施設その他は、十分なる財政の支援をして国家的使命を果たさせておる。そういう点から見れば非常に残念でならないのでありまして、これらをずっと取り上げていけば切りがないのでありますけれども、この
最初の「
野菜生産の安定的拡大」、「
野菜指定産地制度の拡充」、関連して「
野菜生産安定事業の拡充」、これは一体どういうようにその後運用されているのか。その点を少し別紙の資料も私要求してもらっておりますから、この点の内容、これが一体どれだけ効果があったのか、あるいは看板倒れに終わったのか、その積立金の
範囲内に制約されたために、期待した生産者が三分の二以下に
価格が暴落したのに、その期待されたものに補てんする機能も十分ではなかった、私はそう結果的に理解しておるのですが、これが一体選択的拡大に対する
政府のただ
一つの措置であることは、あまりにも情けない話であります。その点を、少しく具体的に事務当局から
答弁する前に、大臣は一体この閣議決定になった生産地のこれらの選択的拡大と称する
野菜生産の安定的拡大、これをどういうふうに理解されて、農政の根幹に現実に推進されておられるのかということを、まずお伺いをいたしたいのであります。