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1964-05-26 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十六日(火曜 日)    午前十一時三十三分開会     —————————————   委員の異動 五月二十五日   辞任      補欠選任    高山 恒雄君  田畑 金光君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大河原一次君            大森 創造君            矢山 有作君            安田 敏雄君   衆議院議員    農林水産委員長    代理      野原 正勝君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農政局長 昌谷  孝君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    通商産業省公益    事業局施設課長 藤波 恒雄君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農山漁村電気導入促進法の一部を改  正する法律案衆議院提出)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は御発言を願います。
  3. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 土地改良法は、周知のように、昭和二十四年六月に生まれた法律でありますが、当時、この法律は一部の人々から、あるいは自作農主義であるとか、あるいは食糧増産主義であるとか、いろいろな批判的なことばが浴びせられたにいたしましても、農業農村農民の多くの期待を寄せたことも事実であります。その限りでは、農地改革に伴う農村民主化立法一つだといえると思います。その第一条に見られるように、農産物生産を維持増産させることがその特徴であるからであります。ところで、周知のように、池田自民党内閣農政は、成長農作物拡大なり、農業構造改善を強調しております。その観点から、今回も土地改良法を改造したものだと、従来の審議を通じて理解をいたすわけであります。農業生産性向上、総生産の増大・選択的拡大農業構造改善にひたすら奉仕するのが、この法律改正中心点であります。増産主義政策土地改良法農業改善政策のそれにかわったものと理解をするわけであります。  そこで私は、まず、農林大臣お尋ねをする基本となる問題を先に取り上げるわけでありますが、であるからといって、私は、現在の農業基本法のワクの中で土地改良あり方を考えることがいけないといっておるつもりはないのであります。問題は、現行農業基本法そのものがもたらすところの、現在の農村における混乱現実矛盾に対抗して、土地改良姿勢というものが、農業基本法への無条件埋没主義にこれが位置づけられてはならないということであります。現に、膨大な国費を投下して完成した愛知用水が、次第に工業用水化をしている。干拓地域が年とともに工業敷地化をいたしております。土地改良費を十アール当たり一万ないし二万円を投資している既成水田が、次第に宅地化をし、工業用地を急いでいるという現実に対処する土地改良事業あり方が問題とされなければならぬと思うのであります。つまり国民経済観点から国土高度利用あり方を明らかにし、土地利用の新しい習慣を創造するということへの土地改良の任務と方法、あるいはこれに対する国家規制というものが勇敢に提起されなければならないと考えるのであります。でないと、農業基本法の衣はほころびが次第に拡大し、ひいては、土地改良そのものが行き詰まることになりかねない危機にばく進をしている現状であります。矛盾に満ちた現行農業基本法を善導し、変革し、ときには切りくずしていくという関係が、いまこそ土地改良法に寄せられている大きな期待でなければならぬと考えるのであります。この点に関して、まず大臣所見を伺いたいのであります。
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 土地利用につきまして、いろいろ変化が生じてきておりますことは、いま御指摘のとおりでございます。また、土地改良目的につきましても、戦後の荒廃した状況から、食糧その他農産物生産を維持増進していくということに非常にウェートが高くかかっておったことも御承知でありまするし、そういう意味の総則第一条の現行法もあるわけでございます。ただ、食糧増産自給とをやめるということは全然ございませんけれども、国内的・国際的にみまして、やはり日本の農業構造改善政策を強力にとらなくちゃならぬという段階におきまして、そういう面にマッチしたような土地改良ということをさらに進めていかなくちゃならぬと思います。と同時に、その結果、自給度、総生産、ことに米等におきましての拡大にも寄与しなくちゃならぬというようないろいろな面をもっておりますことは、いま御指摘のとおりでございます。そこで、農業基本法達成等によりましても、十分でない面も相当ございまするし、いろいろ検討を加えなくてはならぬ問題もあろうと思います。しかしながら、土地というものの利用、これは永久に捨てるわけにまいらぬ問題でございます。その利用をいかに高度化するか、ことに工業面との接触点におきまして、農業関係の面とどういうふうに調整するかということは、いまも直面いたしておりまするし、これからも大きな問題になろうかと思います。私どもそういう調整をいたすことはいたしますけれども、この土地改良法目的というものは、農用地につきましてこれを高度に利用でき、そうしてこの基盤の上に立って農業近代化が進められ、そうして農家の安定が得られるような方向への基盤をつくっていくということに重点を置いていくことは申すまでもありません。そういう意味におきまして、この法律によりましていまの目的を達するように努力するというのがこの法律改正の要旨と私は了承しておるわけであります。
  5. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 御答弁の範疇ではわかるのでありますが、しかしながら、ただいままで審議をいたしました経過では、現行百四十五条のうち九十条あまりを改正し、また二十条近くを新たに取り込んだ大幅な改正手直し案であるにもかかわらず、私が指摘したように、農基法の中に埋没し、土地改良法性格を逸脱していないとは、この提案された法案の中において具体的に理解できないわけであります。また、大臣から答弁がありましたように、もっとこの機会に、土地改良法自体一つ契機として、いまの現地混乱を巻き起こしておる現行土地改良方法というものを考えるということは、農業基本法矛盾を突き破る大きな役割り期待した国民としては、大臣答弁にもかかわらず、この法案の中に盛られておる内容からして失望を感ぜざるを得ないわけであります。  それでは、具体的にお伺いをいたしますが、まず、土地改良長期計画前提となるところの総合計画調査についてであります。これは、今後十カ年の土地改良事業必要面積がどのくらいあるかということを、四つの柱に立てて、圃場整備かんがい排水基幹施設整備農用地造成、防災というものを中心に、市町村または事業地区別にとらえて、その事業費やその事業の研究までも把握して、全国の要土地改良地図をつくるということであります。特に最近、所得倍増計画新産都市計画などの契機から、国土開発総合調整が望まれていただけに、これらとも調整した土地基盤整備計画未来図は一体どうなるかということに私は問題を感じるのであります。そこで、たとえばこの四つ事業のうちに、市町村にそれぞれの作業をやらせる前提として、農用地造成というものが、国土高度利用という観点から、国家的な施策の中でこれが地方実態の中に浮き彫りにされなければならぬと思うのであります。この土地高度利用というものを基本政策として一体どういうふうにとらえておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) たいへんむずかしい御質問のように私も感じますが、土地改良、ことに長期計画を立てる場合に、末端までいろいろな調査をし、計画に協力させるということについての考え方、一口で言いますならば、いまおことばの中にもありましたように、国家的要請にこたえる、すなわち公共性を相当持つということから長期計画も立て、また国のほうでも強い関心を持って末端のほうまでの調査をして、計画の中にも大きく盛り上げていきたい、こういうように考えておるので、一言で言えば、公共性あるいは国家的要請に応ずるような考え方において計画をつくり上げる、こういうふうに御答弁したらいいかと思います。
  7. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 国土の公共的な性格高度利用という観点から大きく国の政策を踏まえて、たとえば現在提起されておる土地改良未来図を描くということでありますから、まさにそうでなければならぬと思うのであります。しかしながら、その土地高度利用というものに対して、一体政府はどれだけの科学的な、基礎的な準備をして対処されているのか、現状を考えるときわめてこれは寒心にたえないと私は考えるのであります。いやしくも、これらの農用地造成一つを取り上げてみましても、わが国土の中で一体農川地というものが既存と今後、その適格条件にある立地条件の中でどれだけあるのか。また、このことが国内の農産物自給度向上とにらみ合わせて、どれだけ農用地造成がなされなければならないかということがまず明らかになって、この要土地改良の末来図の写真が描かれなければならぬと思うのであります。従来、この法案審議の際に、同僚議員からただしました限りにおきましては、それらの国土基本的な、科学的な調査というものがいまだ前進していない、そういう国土基本的な、科学的な調査の上に土地利用区分が設定され、設定されたその区域における農用地造成というものでなければならぬと思うのであります。また・近時、国有地の開放がムード的に盛り上がっておりますけれども、このことも、これらの土地利用というものが、その利用区分が設定されて、科学的に位置づけられてこそ、初めて国家百年の大計を誤まることなく具体的な施策方法として実現されるものと考えるのであります。この点に関して、私が単にそのことを主張するだけではなく、去る二月二十四日に、全国町村会が決議をいたしております。これはわが党の考え方と全く同様でありますので、この全国町村会土地利用についての問題の提起を参考にして、大臣の御所見を伺いたいのであります。二月二十四日に、全国町村会で「土地利用区分明確化について」という一項をあげて、意思表示をいたしております。それは次のようにうたっております。  「最近工場群住宅団地等が野放しに農業地帯に進入し地価の上昇、用の土地改良施設機能低下等を招き、一方都市計画新産都市等地域開発計画による用途指定地域利用は無視される傾向にある。  又、このため土地改良事業による公共投資工場住宅等敷地造成利用される場合もあり、これらの影響は農業の発展に無視し得ないものがあるので、都市工場地帯住宅地帯農林業地帯等土地区分を明確に規正する法制化を必要とする。」  以上のようにうたっておるのでありますが、農林大臣としては閣僚として重きをなしておる立場から、これらの農業農地農民がたえず守勢に立たされておる、この農業危機に直面して、これらを抜本的に正しい姿勢に直すために、土地区分を明確にする何らかの具体的な措置町村会では「法制化を必要とする」と言っておりますが、これらについての確固たる御所信のほどを承りたいのであります。
  8. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 土地利用区分等につきまして、実は総合的な区分方途というものが残念ながらいまだ講じられておりません。御承知のように新産都市だとか、今度の住宅の問題とか、あるいは工業開発とか、いろいろ部分的に、それぞれの目的に対応した土地利用がなされつつありますが、総合的になされてはおりません。土地改良農業の面における土地利用の問題を取り扱っておるわけでございますが、総合的に土地利用区分ということにつきましては、これは相当検討を加えていかなくてはならぬ問題だと思います。これを規制する法制化というものをどういう形でやるかということは非常に問題があろうかと思います。なかなかむずかしい問題でございますけれども利用区分というものの大まかなものでも、あるいは方向でもつくるということは必要であるというふうに私は考えております。
  9. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは非常に重大な私は課題一つだと思いますので、決して委員会における単なる問答で終わることなしに、大臣農村期待をになってその重責につかれておる方でありますから、私の申し上げる点を十分具体的な施策の中に生かすように特段の善処を要請してやまないものであります。  次に、この土地改良事業そのものの中に問題点を一、二要約してお尋ねをいたしたいのでありますが、実は岩手県で出しておる岩手日報という日刊紙があるのでありますが、それの五月二十四日、日曜日の新聞の投書欄に、二つの土地改良反対投書が出ておるのであります。これは単にこの日の投書だけではなしに、これらに象徴されるように、現行土地改良については農民不満がかなり想像以上にきびしいものがある一例として、お聞きとりを願いたいのであります。この五月二十四日に出された土地改良反対理由投書一つは、盛岡の一農民となっておりますが、時間の関係上、この投書内容を紹介することは省略いたしますが、農民負担があまりに経済性を無視した過重なものであるということに、この反対理由投書が出ておるのであります。第二の投書は、農民の信頼を裏切るなということで、猿ケ石南部土地改良区についての投書をあげておるのでありまして、これは末端工事ができたけれども、いまだに幹線水路もできず、したがって、水も流れなければ、耕地の配分予告はあっても、ことしの作付が危ぶまれる実態にある、こういう岩手県の江刺市玉里の菊地という農民投書であります。私は本院において、この土地改良事業一貫性が欠けておるということを、三十六年度の会計検査院の勧告の例をあげて、その国営県営事業末端団体営事業一貫性が欠けておるために、いかにこのことが事業効果経済効果を削減し、国家投資が不効率になり、工事費用がかさみ、地方公共団体受益農民負担が高まっているかということを具体的に指摘をいたしたのでありますが、いまだその一貫性の欠如というものに対しては確たる施策方向というものを見出し得ないわけであります。また、末端農民の非常に不満がありますところのこの受益者負担というものについても、少なくとも国営については、これは全額政府負担して、その土地改良の責めに当たるべきものだと考えるのであります。県営事業団体営事業等におきましては、全額とは申しませんが、八割は国でその負担を持ち、残り二割に対しては長期低利融資をもって、その返済は経済効果を十分発揮したあとにおいて長期にこれを返済するというような措置が、この法案改正には盛り込まれずに、単に受益者から負掛金を徴収するために市町村財政圧迫等、問題を包蔵しながらそれらの手直しが出されている。私はその法案の中にひそんでいる、政府末端に犠牲を強いて、その上にあぐらをかいているようないまの法律改正には、なかなかくみし得ない点をただしたのでありますが、最終的に、今度のそういう課題提起に対しては、農林大臣はいかようにお考えになっているかをお聞きいたしたいのであります。
  10. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに従来土地改良を見てみまするというと、一貫性を欠いている点があることは認められると思います。いまの御指摘作付等においてもそうだと思います。すなわち国営県営団体営、この間の関連を持たずに、それぞれ国営国営やりっ放し——やりっ放しと言っては失礼ですが、自分のほうから言うのはおかしいのですが、やりっ放し県営県営団体営のほうは待っているければも、なかなか団体のほうに回ってこない。こういうような形であったと思います。この点につきましては、御指摘のような事情がありますので、今度の土地改良法におきましても、あるいはまた指導におきましても、一貫して圃場の整備までもやっていくというような進め方を強く打ち出しておるわけであります。  第二の、農民負担経済性を無視しているじゃないか、こういう点でございます。確かにこの農民負担というものを少なくしませんと、そしてまた、土地改良をしてもすぐにその効果が現われるものではございません。御承知のように、数年間たちませんと効果が現われませんから、そういう点につきましてもなお一そう検討を加えて、負担を少なくしていくような方途を講じていきたいと思います。また、御指摘のように、町村負担をさせるというようなことにもしましたが、これは町村財政を圧迫するという意味でございませんで、一つ公共性を持っておりますので、受益者のみならず町村においても負掛をしてもらう。しかし、その負担受益者にかけないで、町村負担しきりのものもありましようけれども、そういうものについては別途特別交付税等について配慮いたすというような形で公共性というものを見ておればこそ町村負担というようなことも考えたわけであります。なお、受益者農民負担軽減等につきましては、一そう私は考えていきたいと思っております。
  11. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 今度の法律改正は、その第一条にその性格が明らかに象徴的に出ておるのでありますが、従来の増産主義政策土地改良性格から、農業構造改善政策に集中される特徴を持って、農基法目的にこれが移しかえられたというところに大きな特徴があると思うのであります。この農業改善政策を受けて、土地改良手直しをされるということであれば、なおさら農業構造改善に対する基本的なあり方というものが問題とならざるを得ないのであります。農業改善事業の、その後の現地における状態を見ますと、一部の例外を除いて、きわめて混迷まかりあるという実態であります。いろいろな経過を経てこれが農民理解がなりがたいというような問題の中に数多くの問題があります。たとえば選択的拡大と称する畜産なり、青果にいたしましても、それにこたえて草地造成が今度の法律の中には入っておりますけれども、はたして、えさの自給度向上から見て、畜産の拡大に伴って五十万ヘクタールというものが科学的な根拠がある面積であるかどうかも、これはうかがい知ることができない点であります。あるいは価格の点、流通の不合理の点、あるいは基盤整備について、全額政府負担すべきであるという農民要請というものが、いまだ五割に、地方、県が七割、二割積み上げというような程度に定着をしておる。  なお、同じ地域の中で部分的に地域指定がなされて、その指定地域の中においてアンバランスの矛盾拡大しておる。経済企画庁の地域経済問題調査会で、内閣総理大臣答申をしておる中から見ましても、特に農業以外に、今後の地域課題が解決されないという地域に対しては、もっと能率的に農業整備拠点都市として、その地域全体に構造改善が普遍化しなければならないという大きな答申も出ておるけれども、これらは完全に無視されて、いまの構造改善事業が進められておる。そういう点に対して、大臣は、いままでの上から無理に押しつけてきた農業構造改善矛盾を反省し、ここで一時この事業の進行をストップし、端的にいいますならば、米作地帯における大型機械を駆使するところの構造改善を、農林省みずからが、これについては一年延期の指令を出さざるを得なくなっておる。そういう矛盾を次々と露呈しておるのが現状であろうかと思います。これらの区画整理をしたものに対して、大型機械がまだ試験の段階である、それを無理に土地改良事業が先行しておる。したがって、政府もそういう大型機械導入にまだ自信がないから、三年かかるところは一年延期せよという指令を出さざるを得なくなっておる幾多の矛盾を露呈しておるのでありますが、こういう点について、農民期待する内容整備する間これを中止して、抜本的に検討するという用意があるのかないのか。土地改良に関連する大きな課題一つでありますので、その点の大臣の御所信を承りたいと思います。
  12. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 構造改善をするということについての基本は、やはり基盤整備されておることが必要だと思います。でありますので、基盤整備を急いでおり、また、土地改良法等改正いたしておるわけでございますけれども、さりとて、構造改善をストップしておいて、基盤整備を待ってからというようなことは私はどうかと思います。構造改善の中にも、基盤整備ということが大きなウェートを持っておるわけでございまするから、構造改善考え方、意図するところというものを十分考慮に入れ、また、地元考え方地元の気持ちというものを取り入れまして、並行していわゆる構造改善事業というものを進めていく、こういうことが適当であると考えております。
  13. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 御異議ないものと認めます。これより採決に入ります。  土地改良法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  16. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、いませんですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  これで午後二時まで休憩いたします。   午後零時七分休憩      ——————————   午後二時十六分開会
  18. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行なうことにいたします。  質疑に先立って、この法律案議員提案でありますが、この際、農山漁村電気導入事業事情等を知るため、農林省に依頼して資料の提供を求めておりますので、まず、これから資料について、農林当局から説明を聞くことにいたします。
  19. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) ただいま委員長からお話がございましたような経緯で、私どものほうで、現在、補助対象事業、あるいは公庫資金対象として助成をいたしております農山漁村電気導入事業につきましての、従来の経過その他を御承知いただくための資料をお手元にお配りいたしましたので、御説明をいたさしていただきたいと思います。  まず最初の第一ページは、昭和二十五年以降の逐年にわたります各種目的別補助金融資の概況でございます。電気導入事業は、予算上から申しますと幾つかに分かれております。この表にございますように、離島関係、これが開拓地を除きましては一番早くから手がけられた事業でございますが、離島関係は、御承知のように、最近では、予算といたしましては経済企画庁に一括計上がせられております。で、二ページの注に書きましたように、昭和二十九年から三十二年度までの四カ年間は、これは農林省に計上されて、企画庁計上になりましたのは三十三年度以降でございますが、便宜この欄に二十九、三十、三十一、三十二の予算実行計上もここにまとめて計上いたしてございます。内地の離島関係で、今日までに施設費の補助金といたしましては四億八百万円が投入をせられたわけでございます。それから同じく離島の関係で、北海道の離島は北海道開発費に計上がせられております。この関係は、はっきり分かれて計上されましたのが三十四年度からでございまして、その中での施設費が九千二百万円ということに相なっております。それからいわゆる僻地農山漁村電気導入事業、内地の関係でございますが、この内地及び北海道を合わせまして本土と申します。離島以外でございますが、これは三十四年度から補助事業が開始をせられまして、今日までに約十億の施設費が計上されております。この中には北海道分も含んでおります。それからもう一つの種類といたしましては、これは農地局のほうがやっておられるわけでございまますが、開拓地の電気導入事業がございます。これは補助事業としては一番歴史が古いものでございまして、これが昭和二十六年度からこのような予算措置で今日までに約十四億円が投入せられたわけでございます。それらを合計いたしますと、施設費としては約三十億円の国庫補助金が従来三十九年度予算までで計上せられたわけになります。  それから次に三ページでございますが、三ページは、今度は制度金融と申しますか、公庫資金の系統の金が今日までにどれだけ計画されたかという企画、これは計画額でございます。累計をいたしまして約八十八億円の公庫融資計画せられ、この中には先ほど御説明をいたしました補助金のいわゆる補助残に当たります部分と、融資単独事業で行なわれます部分と、それらを含んだ額でございます。で、注に書きましたように、昭和二十五年度はまだ農林漁業関係の制度資金の確立を見ておりませんので、いわゆる見返り資金から出たわけでございます。それから農林漁業資金融通特別会計、現在の公庫の前身であります特別会計が扱ったものがこの二十六、二十七の両年度で、二十八年度以降がいわゆる金融公庫による貸し付けでございます。三十九年度は、一応の資金計画ワクとしては五億二千万円を予定をいたしております。  それから次に四ページでございますが、四ページは、事業実績を、ただいまの国庫補助金融資額とを合わせましてどれだけの事業が年度ごとに実行されたかということを見たものでございまして、国庫補助金は三十八年度までをとって・先ほどの三十九年度の予定を含めて約三十億でございますが、三十八年度までで二十五億、それから融資額は同じく三十八年度までで、これは計画額でなくて実績額ということになりますが、六十六億円、もっともこの実績額は、注に書きましたように、年度をまたがって行なわれました融資額については、初年度、当初の計画額が承認をせられた年にその資金額を計上するという整理方法をとっております。したがって、公庫の帳じりとは若干差がございますが、いずれにいたしましても、国庫補助金二十五億と融資額六十六億をもちまして、三十八年度までに、ここでごらんいただきますように、未点灯解消戸数が十五万九千戸、それから電力不足を解消いたしました戸数が十万八千戸、合計二十六万八千戸の電力不足あるいは未点灯の戸数が、この事業によって電灯がつくという結果になったわけであります。  それから六ページからあとは、いま申しました分類とちょっとかえまして、総体の事業成果を、今度は融単事業と、予算の、要するに種目別に実績を見たものでございますが、まず、最初の融資単独事業でございまして、融資単独事業は二十五年から発足をいたしておるわけでありますが、未点灯解消戸数が五万一千八百六十五戸、電力不足解消戸数七万七千余、合計十二万九千戸ということになります。それに、これに投入せられました補助金、これは融単事業補助金というのは異様でございますが、カッコで書きましたように、災害復旧に使いました補助金でございます。主体は融資額でありまして、五十一億円が投入せられております。  それから僻地事業は、三十四年から先ほど申しましたように始まっておりまして、これによって三十八年度までに未点灯が解消いたしました戸数が約三万戸、電力不足の解消いたしました戸数が約千七百戸、合計三万二千三百三十二戸、それに要しました国庫補助金が七億七千九百万、公庫融資が約四億ということであります。  離島の関係は、同様にいたしまして二十九年度以降やっておりまして、未点灯、電力不足合わせました受益戸数が約四万戸で、それに要しました補助金が四億、融資額が二億八千八百万ということになっております。  それから開拓地の関係は、二十六年度以降補助事業としてやっておりますが 受益戸数が六万五千五百三十九戸、これに要しました国庫補助金が十三億三千万、融資額が七億七千七百万、それらを合計いたしました数値は、先ほども申し上げました合計数字でございますが、受益農家戸数二十六万八千戸、国庫補助額が二十五億、融資額が六十六億という姿であります。  八ページは、ただいまの分類を、今度は水力、火力、共同受電施設、一般受電施設というふうに、施設の種類別に分けてみたわけでありますが、水力で申しますと、受益地区は百八十四、発電出力で二万三千六百八キロワット、受益戸数が八万七千戸、国庫補助金で六千四百万円、融資額が三十七億というような姿になっております。それから三十七億円というのは、先ほど来御説明いたしましたいわゆる制度融資以外のものも含めた金額であろうと思います。  それから火力が比較的少のうございまして、八十一地区、その受益戸数が約一万戸、共同受電施設が、地区数で四百五十地区、それから補助金で四億八千万、融資額が九億、一般受電が二千地区で、受益戸数四万九千戸、国庫補助額が五億五千万、融資額が十億、以上合計をいたしまして、国庫補助金が十二億、融資額が五十八億というのが、総体の使われました資金でございます。  なお、いま御説明いたしましたのは、表題にもございますように、開拓地の部分は含んでおりません。  それから次に九ページでございますが、これはいわゆる小水力発電施設の建設の実績でございます。で、大きく分けまして単独発電方式と連係発電方式とあります。単独発電方式と申しますのは、その地区だけで、その施設で、一般の電力会社とは接続せずに自給自足をやっておる電力供給方式であります。それから連係式と申しますのは、一たん一般の発電に連係をいたしまして、発電いたしましたものを、電気会社を通じて供給を受けるという方式でございますが、その二つに分けてみますと、地区数にして両者合わせて百八十四のうち、単独式が百三、連係式はいままでに八十一というのが地区数の実績でございます。発電所数にいたしますと両者合わせて百九十四、そのうち連係式が八十八、単独発電方式が百六というようなことになっております。で、それらのそれぞれ発電出力、受益戸数、総事業費、ここに書きましたとおりでございますが、一発電所当たりの出力、単独式の場合に百十一キロワット、連係式の場合で百九十五、両者の加重平均では百二十一ということになります。一キロワット当たりの建設費を見ますと、単独式の場合には修正がしてあることと存じますが、一キロワット当たり建設費は、単独発電の場合で三十五万二千円、連係式の場合で二十一万一千円、で、単独発電の場合は建設費が割り高になっておりますが、この建設費の中には配電の施設も含まれておりますので、それが実際の割り高以上に建設費の中にそういうものを含んで平均がされておるようであります。なお、いまの一発電所当たりの出力というところで、単独式百十一キロワットとありますのは、まことに申しわけございません。印刷の修正がしてございませんが、五十五キロワットでございます。御訂正をいただきたいと存じます。  それから次に一〇ページに書いてありますのは、先般、昭和三十六年、三十七年の両年度にわたりまして、全国農業会議所及び関係県に委託をいたしまして、小水力発電の開発可能地域の、非常に達観的でありますが、一応の調査を、願ったことがございます。その調査を願ったことがございます。その調査結果の数値を二ページ以下にまとめてございますが、一〇ページでそれの概略を申しております。その結果によりますると、全国で約二千五百地点、六十万キロワットないし百万キロワットの小水力資源がある。もちろん経済性その他がございますから、全部が開発可能というわけではないかと思いますが、一応の可能性としては、その程度の資源があるというふうな調査結果が出ております。なお、そのことは次の一一ページ以下で、県別に集計をしたものを載せておりますが、それの締めくくりといたしましては、一四ページのところで、全国計で、地点数二千五百十二、最大出力百五万四千キロワット、それから常時出力六十二万キロワット、これが六十万ないし百万の出力資源があるというふうに御説明した数値のもとでございます。年間発電量といたしましては、八十億九千八百三十万キロワット・アワーということになるわけであります。一地区平均にいたしますと、最大出力で四苦二十キロワット、常時出力で二百五十キロワット、年間発電量にいたしまして三百二十二万キロワット・アワー——これはキロワットと書いてありますが、万キロワット・アワーでございます。三百二十二万キロワット・アワーというようなのが、この三十六、七両年度にわたっての調査の一応の結果の数値でございます。それだけの可能性があるということだと考えております。  それから一五ページ以下は、冒頭で予算総ワクあるいは融資総ワクを御説明をいたしましたけれども、これは多少年度にわたって助成の方式が変わってきております。その経過を年度を追うて書いたものでございまして、先ほど概略は御説明申し上げましたので、重ねて御説明は省略をさしていただきたいと思います。  以上が、この事業につきまして私どもが、と申しますか、政府のほうで従来手がけてまいりました助成の概要とその実績でございます。以上で終わります。
  20. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 以上をもって説明は終わりました。  これから法律案質疑に入ります。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  21. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この法案は、提出者として農林水産委員長高元三郎としておりますが、きょうは委員長お見えにならないで、代理に野原正勝衆議院議員がお見えになっておりますから、まず、野原さんに対しまして御質問を申し上げます。  この法律案を議員提出として提案いたしましたいきさつといいますか、それについてまず簡単に御説明願いたいと思います。
  22. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) お答え申し上げます。実は、農山漁村電気導入促進法改正の問題は、衆議院の農林水産委員会におきましてしばしば議案になりまして、実は、前の農林漁業金融公庫法を昨年制定の際にも、この際、小水力発電事業を、何とかして連係方式の発電をひとつ認めてやったらどうかというような意見が強くございまして、公庫法の改正の際に、附帯決議をつけたこともございます。あるいはまた、電気導入促進法の改正によって、僻地電気導入——僻地に対して特に手厚い保護をしようという問題が論議されたときにも、やはり依然として小水力の、特に連係式発電事業というものをひとつ認めてやったらどうかというような附帯決議等があったわけでございます。と申しますことは、すでにおわかりと思いますが、実は参考資料として差し上げたものの中にもございますが、小水力の発電事業というものが、すでに早いものは昭和二十八年であったと思いますが、このころからずっと農業協同組合等によって実施されまして、現在全国で約八十一カ所の事業が農協の事業・農協だけじゃございません。中には森林組合もございますし、土地改良区のやっておるのもございます。そうしたいわば農林団体の協同組合の手でもって電気を起こしておる。この事業が、本来は電気導入促進法をそのまま正しく読みますというと、実は、自分が電気が少ない地帯に発覚をしてこれを利用するというのが本旨なのでございますけれども、電気は送電線につなげばどこへでも移動ができるものでございますので、発電いたしました電気を、自分で必要なものを使って、残りを売る  もったいないから、残りは魅力会社に供給するという契約をしてやっておったわけでございますが、ところが、こういう余剰電力を売電するという方式、これは本来の小水力資源の開発のところの考え方であったわけですけれども、その後だんだん現地事情等が変わってまいりまして、できた電気は一応全部電力会社に売る、そして自分たちの必要なものはそのかわり全部貰うというような、いわゆる連係式の発電事業というものが昭和二十八年から、これはもっぱら鳥取、島根、岡山、広島、山口、熊本、大分、宮崎といったような地帯で、実は始められた。ところが、電気導入促進法をいろいろと引当に拡大して解釈いたしましても、どうもすっきりしないものがあるということで、私ども、実は、農林漁業金融公庫による制度金融の中で、農業協同組合等のもとで行なってきた事業なんですけれども、どうも、いままでせっかくこれだけの地点を発電をし、そのことが経営にもプラスになっておるという事実がありながら、法律の面ではっきりしていないということがたいへんどうも心苦しいというふうに考えられております。  それから売電をする場合において、これはもともと協同組合等は営利を目的としたものじゃございませんので、できました電気を供給する場合に、電力会社側は、おまえのところは営利を目的とした団体でもない、実費で供給せいというようなことを強く迫まられる。第一が、興っても買わなくてもこれは電力会社側の気持一つだ、君のところはもともとが電気を売るという事業法律にはっきりしていないじゃないかというようなことを言われたりいたしまして、まことにどうも、せっかく山村における経済の振興のために役立つための小水力の資源が開発されて、協同組合等の経営にプラスになっておるにもかかわらず、どうも法律の面では私生児のようなものでございます。そこでこの際、私生児のような形ではどうも好ましくない、ひとつ認知をしてもらいたい、認知をしてやろうじゃないかというような話になっておったわけでございます。  委員会でもそういう意見がしばしばあったんですが、なかなかその機を得なかったということで、先般、農林漁業金融公庫法の大幅改正が行なわれることになりましたので、本来ならば金融公庫法の改正でもこれはできぬことじゃなかろうということであったのでございますけれども、今度の金融公庫法の改正は、公庫の金融体系の大幅な整理をするとか、新しい農業基本法に関連した大きな制度の画期的な改正を含んでおるので、どうもそういう重要な公庫法の改正の際に、かねてからの懸案とはいいながら、どうも電気導入促進法の一部を、公庫法でもって中身をつけたりのようなことをすることは好ましくない、やはりやるならば、電気導入促進法という法律もあるから、それをひとつ改正しようじゃないかというようなことになりまして、いろんな法律の問題が出るたびに、連係式小水力発電事業を正式にひとつ法律の中で見てやったらどうかという意見が、委員会の中に強くあったわけでございます。  そんなことから、このたび農山漁村電気導入促進法の一部を改正する案件が、まあ非公式にでございますけれども、衆議院内の理事会、あるいはまた各派の間に寄り寄り相談しておられまして、そうして、これは事の性質から、どうも政府提案を要求する案件でもないように思うし、そうかといって、どうも一党一派で出すという性質のものでもない、この際、できるならば全部の委員に御協力をいただいたらどうかというふうな話で、だんだん話が煮詰まってまいりましたところが、まあ衆議院の中では自民党はもとより、社会党、民社党、それに共産党も実は積極的な賛成はいただかなったのでございますが、反対はしないということでございましたので、そういうことならば、ひとつこの際委員長発議という形でやろうというようなことにまとまりまして、本件が委員長提案で発議されたというような経過でございます。こうした案件がはっきり委員会としてきまるまでに、いろいろと衆議院の農林水産委員会では——実はいま青表紙のものを差し上げますが、これに実は端的にその事情等が書いてございますので、御高覧をいただきたいと思います。  以上、一応の御説明を申し上げます。
  23. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 趣旨はよくわかりましたが、確かに従来の農山漁村に電気を導入して、そして農林水産業の増大と農山漁家の生活、文化の向上をはかってきた、こういう面から、確かに小水力発電事業をしていますというと、余剰電力はどうするかという問題に逢着するということは、これはよくわかるわけでございます。そうしますと、この法案の趣旨は、連係式の小水力発電事業——従来のそういう利益を考えないところの農業協同組合や森林組合、水産業協同組合、こういうようなものから、二面的にはこれらの人たちが出資して一定の法人をつくる、そうしてそういうところでもって、一つの卸電気事業という売電する電気事業として経営していこうと、こういう趣旨をねらったわけですか。
  24. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) これは実はいろいろな場合があろうかということで考え、そのために農業協同組合あるいは森林組合等が主たる出資者であるところの法人にも、この事業をやることができるという規定にしたわけでございますが、何といっても、本来は農業協同組合もしくは森林組合、土地改良区といったようなところが中心でございますけれども地域によりましては、たとえばどうしてもいろいろな団体一つになって、あるいはまた市町村等が肝いりとなって開発を進めてみようというようなお考えで、特定の電力開発の公社的なものでもつくろうというような場合もあろうかというふうに考えまして、これも農業協同組合といったようなものだけに限定しないで、それらが主たる出資者であるならば、そういう法人を電気を供給する一つ団体として認めていって、国の制度金融で見てやったらどうかというように考えたわけでございます。
  25. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私の質問のなにがまずかったかと思いますがね。結局そのねらいは、小水力発電事業が、自分の配電する区域内へ電灯及び電力を供給して、それ以上に余剰電力があった場合には、これを当該地区の電気事業者へ売電する、その際に、それに伴うところの収入があるから、それに対しての法律の裏づけをしよう、こういう意味を多分に含んでいるというところに、この法律案特徴点といいますか、そういうものがある、こういうことで理解してよろしゆうございますか。
  26. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) そのとおりでございます。
  27. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、それでは農林省のほうにちょっとお聞きいたしますが、議員提案で、この法律案が衆議院のほうでは成立して、情勢としては、参議院のほうでも成立する見通しがつきますが、私ども趣旨はけっこうでございますから賛成いたしますけれども農林省のほうでは、この法案が通過した場合に、政府当局といたしましては、このような法律案を、非常にいい特徴点があるから、さっそく今年度からの計画方針の中へ歓迎して組み込んでいくと、こういう態度があるのかどうか、そういう点をひとつ政務次官のほうからお聞きしたいと思います。
  28. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) この法案は、農山漁村における年産力の増大あるいは農山漁家の生活文化の向上ということに大きいものがありますので、さしあたり予算を伴う法律でもないのでありますから、われわれはけっこうなことだと思っております。これができますれば、農林漁業金融公庫のワクの拡大につとめていきたいと思っております。
  29. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 突然ですから、政務次官のほうとしても、いい法律だというふうに育ったのですけれども、そこで、もうすでに予算案は両院を通過しているし、それからそれに基づくところの本年度の農林漁業政策方針もすでに決定しておるようであります。それによりますと、離島振興及び僻地農山漁村電気導入事業、こういうことで、たとえば僻地農山漁村電気導入事業費としては、三十九年度ですか、まあ三億くらいの予算をきめているわけですよ。したがって、この法案が通りますというと、この法案は農林漁業金融公団の資金量を増大するほうへ依存しているようでございますが、そういう点について、それらの建設に当たるいろいろの経費、そういうものに対する補助金、あるいはまたはそれらの金融公庫のワクの増大、そういうものは一応この法案の趣旨に沿って今年度の計画を進めてそれを満たしていけると、こういうように農林省当局のほうでは考えているわけでございますか。そういう点、お伺いしたいと思います。
  30. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先ほど資料でも御説明いたしましたように、国庫補助の対象といたします事業は、資料の第一ページにございますように、離島関係、僻地関係電気導入事業と開拓地の関係でございます。で、この連係式の部分につきましては、おそらく国庫補助の対象ということにすることは、かなり困難があろうかと思います。で、これは今後の検討の問題でございますが、さしあたって、この法律改正の御趣旨にありますように、公庫の共同利用施設の一環として、対象として取り上げていくというのが、この修正の御趣旨でございますから、その点につきましては、先ほどの資料にありますように、三十九年度につきましては補助費補助合わせまして約五億二千万円を当面融資ワクとして予定をいたしております。これは御承知のように今後事業の推移を見まして、他の各種事業との進度の調整等は、例年適当な時期に行われておるわけでございますから、一応この五億二千万円というワクは、この種の新しい事業を予定して設けたワクではございませんけれども、おそらく初年度の問題としては、当面これで資金需要をまかない得るものだと思いますし、かりにさらに事業が伸びるようでございますれば、公庫全体の資金ワクの調整等の機会に善処いたしたい、さように私どもとしては検討の結果そういう方針で進むつもりでおります。
  31. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、この法案によりますと、大体八十八カ所の連係式小水力発電所があるというように、この資料には調査趣意書には出ておりますけれども調査の結果、大体本年度あたり連係式小水力発電事業、こういうようなものについての、提案のほうでは、そういう過去の情勢の中から、より以上強化して法律的な裏づけをしていこう、こういうことでございましょうが、何か局長のほうには、それに基づいた連係式小水力発電計画のいわば年次計画というようなものはあるわけですか。
  32. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先ほどの資料にございますように、三十六、三十七両年度にわたって可能性を会議所及び府県を通じて調べました結果の資源の可能性としては二千五百カ所程度あるわけでございますが、それがどの程度経済目的、あるいは経済的な関係、あるいは権利調整的な関係から実行可能なものとして具体的に出てまいるかということについては、まだ遺憾ながら私どものほうでも十分な調査が行き届いておりません。したがいまして、年次的にどうなるであろうかといったような点は、この法律案等が成立しました暁に、また現地の希望等も徴しました上で、調査検討を続けてまいりたい、さように思っております。
  33. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 野原議員にお尋ねいたしますが、この法、案は、従来の農山漁村へ電気を導入するということの以外に、すでにそういう地帯へ電気が入った村でも、それ以外に未開発の水利資源があった場合には、小水力発も所ができるんだというようになっておると、こう思われますけれども、その点はいかがでございますか。
  34. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) 御指摘のとおりでありまして、実は小水力の発電資源の多い地帯を調査の結果、全国で二千五百数十カ所わかったわけでございますが、この地点の中で特に電気がたくさん出る地帯というものをいろいろと調べてみますというと、例外なしにいわゆる山村地帯でございます。相当の森林資源、山林等があって、豊富な水資源が得られる、相当な落差がある、そういう地帯の水が、今日までその地域の住民のために必ずしも十分利用されていないところに問題がある。で極端に申すならば、小水力の発電資源というものは、その地域における非常に貴重なその地域住民のために活用されるべき資源であると考えておるわけで、その資源を維持し、培養して今日りっぱな水資源があるということは、その地元住民の努力によって、その地帯の山林の経営なり保護がなされてきたということもあわせ考えてみるならば、その資源というものは、つとめてその地域の住民の経済の発展のために役立つようにしてやりたいもんだと。ところが一方において、御承知のとおり、山村地帯というものは耕すべき耕地も非常に狭い、また農業あるいは林業の経営の面においても交通に恵まれないとか、自然的経済的社会的に不利な状況下にございますので、農業基末法を制定した当時から、そういう山村地帯の住民の生活の安定向上は何によってはかるかということをいろいろ考えておったやさきに、たまたまその地帯にある小水力発電が可能な地帯については、これを積極的に開発することによって、地域の住民のために役立つんではないかということで、その道が十分でないけれども、今日までもうすでに与えられておった、これをひとつレールに乗せたらどうかという  ことで考えられたわけでございますし、あくまでもその水資源を農業の面に利用する、あるいはまた小水力として落差を十分に利用して良質の電気を発電して経営にプラスをするということが可能であるならば、それをぜひひとつ推進してまいりたいというふうに考えておるわけで、全国調査の結果二千五百カ所もあることに出ておりますけれども、その中から、ほんとうに地元の農協なりあるいは各関係者が、ほんとうにこの地帯の水資源を積極的に開発をしてやっていこうというような意欲を持った地帯、またしかもその経営を計画して、十分採算がとれて安定した収入の財源になり得るというようなものがあったならば、それに対して今回この法律改正によって国の農林漁業金融公庫の融資ワクをひとつそれに十分こたえ得るように逐次増額をすることによって大きな山村の振興に役立つのではないか。現在、山村は非常な窮乏状態にある。ほうっておけば山村というものはますます悲惨な状態になるだろうというふうに考えておりますので、山村振興という問題を考えながら、今後の特に山村地帯の住民の生活の安定向上のために、あるいはその人たちが共同して営んでおる協同組合なり、あるいはまた出資者である法人なりに対して、その事業を積極的にやらせるようにしたらどうかというのがこの法律改正をお願いしょうとした根本でございます。大いにひとつ役立たせたいと考えております。
  35. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 まことに趣旨としてはけっこうなことでございますが、そうしますと、こういうように理解してよろしゅうございますね。すでに当該地域の電気供給事業者から電力等の供給を受けておる地帯においても、そういうような山村地帯におきましても、その開発する水利資源があったならば、それを小水力発電所として事業を開始するということができるのだと、そういうように理解してよろしゅうございますね。
  36. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) そのとおりでございます。
  37. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、通産省来ておりますか——。どなたですか。
  38. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 施設課長の藤波でございます。
  39. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 では通産省のほうにお伺いいたしますが、ただいまの私の理解では、ちょうど戦前のころにおける公営発電事業、公営電気事業というようなものがありましたが、それに似たような形のその事業を行なうのだと——こういうことになるわけですね。この点は、通産省のほうはそういう点で了解するわけですか。
  40. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) いまの点は、先生のお話しのとおり今度の法律でねらっておられるところは、発電された電気を全部地域の電力会社に卸売りをするということでございますので、卸売り電気事業者という取り扱いになろうかと思います。その点でいわゆる公営の電気事業というものと似ておる。ただ規模が若干小さいものを考えておられるのじゃないか、こういうことでございます。したがいまして、通産省といたしましては、電気事業に対する関係法令に基づきまして、当然その計画内容が卸売りする相手の電気事業者の事業に適合するものであるかどうかとか、あるいは資金的能力、技術的能力といったような観点から審査いたしまして許認可するということになろうと思います。具体的にはケース・バイ・ケースで農林省当局ともよく緊密に連絡をいたしまして、運用に遺憾なきを期さなければいかぬと、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  41. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、実は今度この新噴気事業法案が国会へ提案されているようでありますが、いままでの電気事業昭和六年制定された旧電気事業法と、それから戦後における進駐軍の命令といいますか、指令によるところの公益事業令によって運営されておるわけですね。今度は、新電気事業法案が出るについては、ただいまこの説明のありましたこの法案との関連は、十分にその新しい電気事業法案の中には考には考えてうたってある個所があるわけですか。そういう点についてお伺いします。
  42. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) このような小規模の水力の卸売り電気事業も、今度のいま提案しております新電気事業法の中に盛られております卸売り電気事業という範疇に入ると考えております。ただ、若干つけ加えて申し上げますと、従来の農山漁村電気導入事業法に基づきましてきわめて小規模の水力発電を、主として協同組合の会員の人たちの需用に消費するという目的をもってつくられましたものにつきましては、たとえそれが連係式で相当な部分を電力会社に卸売りしておりますものにつきましても、運用上いわゆる自家用電気工作物という範疇に考えて、電気事業者としてではなく、自家用電気工作物施設規則という取り締まり規則で取り扱っているものもございますことを、ちょっとつけ加えて申し上げます。
  43. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この法案が通過しますと、いまの府県でもってダム発電あるいはその他のいろいろの水力式発電、いろいろ公営発電をやっておりますね。それを各地域の電気事業者に売電しております。そういう形を、今度は地方の山村の市町村にいわば財源的なものを与えて、それをもとに振興させるという意味でこの法案がつくられたわけでございますから、そういう点になりますというと、今度は市町村公営といわないまでも、町村公営といわないまでも、これらの農業協同組合等のものが出資した法人格が準公営事業になりますというと、やはり県営と同じようなぐあいにこれは電気事業者が買電をするのだとこういう問題が必然的に出てきますね。それらの点を明確に今度の新しい電気事業法案の中では取り扱っておるかどうかということをお伺いします。
  44. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 規模が違うことはございますけれども、形としてはお話しのように公営電気事業者と同じ形になります。
  45. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは実は未開発地帯におきましても、もう大体、水力の包蔵電力、水資源というものはかなり開発されておるように見受けられます。あとはこの支流にあるところのこういうような小水力規模の水資源というもの、やはり電力会社の水利権設定の中に相当多数網羅して含まれていると思います。そうしますと、今度はその小水力発電を準公営というような形で行なう場合に、それらの水利の調整という問題が正大な問題になってくるわけですよ。そういう場合に、それらに対するところの配慮は、これはどういうようにするのか。たとえば自分のところでは、落差もあるし水量もあるから、それだから今度は村の財源を豊かにするために発電事業をやろうということで市町村で申請し、市町村長の意見を聞いて知事がその発電計画を立てます。それを今度は通産省並びに農林省に申請した場合に、今度は電力会社のほうから、おれのほうではあそこの水利権をも確保してあるのだから、そういうようなことはまかりならぬ、こういう問題が出てくると思いますよ。それらの調整の問題をいかような形で考えているのか。これは特に、せっかくこの法案が通りましても、その水利権の問題でこれは抑えられてしまいますとどうにもならなくなってしまう、こういう場合が出てくるわけですね。したがって、法案が、結局議員提案で出したけれども、ただまあ何といいますか、表向きだけのことでもって、実効があがらないと、こういうような場合のことを考えましたときに、やはり今度の新電気事業法案の中で、それらの問題の解決を合理的に表現して、あるいは処理していくということがなければならないと思いますけれども、その点についての御意見をお伺いしておきます。
  46. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) その点は、確かに本問題の問題点の一でございますが、新冠気事業法案の中の電気事業者に対する許可基準の中に、水力発電につきましては 水の有効利用上適切なものであるべきことが載っておりまして、法律上はこの小水力の開発問題につきましても、その観点から検討することになるわけでございます。で、具体的に申しますれば、ある地点をもう少し大規模に開発したほうが水の有効利用上、国家経済的に利益であると、こういうような場合でありまして、電力会社等で具体的計画を持っておるというような場合には、その辺の調整を行なわなければならぬわけでございまして、これらにつきましてはケース・バイ・ケースに、計画が出てまいりました場合に調整をしていきたいと考えておるわけでございます。
  47. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 たとえばこの本流に大発電所をつくるという一たとえは出力が一千キロワットであるとか五千キロワット以上というような大きなものを開発するときには、あるいはその流域の変更をしなければならぬ場合もあるでしょうと思います。しかしながら、小水力発電所をつくる場合におきまして、流域の変更をしない——落差があるところの地点へ持っていって流域の変更をしないという場合には、これは優先的に認めていいじゃないか。ところが、電力会社のほうでは、流域変更はしないけれども、水路を設けることによって漏水等の変化が心配されるとこれは全然承知しないという場合があり得るのですよね。ですから、そういうような場合をあらかじめ考慮しないと、せっかくこの法案が通っても、これは何にもならないことになってしまうわけですよね。ですから、これを。こういう事業をやる人を、今度の新電気事業法案で、いままで県営でやっていたような、公営と同じような卸売り電気事業者として認めていこういう意欲があるならば、当然にこの小水力発電所に、流域の変更をしないという場合には、水の調整云々にかかわらず、それが下流の発電所にたいした支障がないという場合には、これを優先化するということくらいは、電気事業法の中で取りきめをしないと、ケースバイ・ケースではやはり電力会社のほうに押されてしまうというそういう結果が出てくるわけです。で、なお押されて電力会社の意図のままに開発ができなかった場合においては、その小水力発電事業を営むことができなかった場合においては、今度はみすみすその部落なり村なりの財源収入を葬ってしまうという結果になってしまうと思う。これらの水の調整というものは、電力会社との間の水の調整というものは、非常に重要な問題として考慮されていかなければならないというように私は考えます。こういう点についてもう一度済みませんが、お伺いいたします。
  48. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 現在考えられております小水力地点は、比較的流量の少ない小さい河川を対象にしているのが多いのでございますので、すべてが電力会社の計画する地点と競合するということではないと思います。が、しかし、競合いたしました場合には、やはりその両者の計画の時期的関係もございましょうし、あるいは水量の関係、いま先生のおっしゃる流域変更であるかいなかというような関係、やはり地点ごとにいろいろ千差万別であろうと思うのです。その場合には、具体的にはやはり地元の県知事が水利権のあれを持っているわけでございますが、関係官庁としての通産省、農林省、建設省等も、場合によりますれば中に入りまして、いろいろ調整をする、ということになろうかと思います。しかし、実際問題としまして、従来の小水力の発電の開発の経緯を見てみますと、水利権の調整問題でそれほどむずかしい問題になったという例はあまり聞いておりませんので、その点はケース・バイ・ケースで解決するということで、それほど差しつかえないのではないかと私どもは考えておる次第でございます。
  49. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私もそういうように理解しておりますが、問題は従来の農村電気導入というのは、これは終戦以来非常に、農村に電気が、未点灯部落も多いし、特に電力はきわめて導入されておらなかった実態があるわけですね。で、さらに電力といっても、三相電力はほとんど入っておらないということで、これを供給するために、これらの点を補うために、自家用電気工作施設として営利を目的としないでやったわけなんです。ところが、今度状況が一変して変わるわけです。この法案が通ると、従来電気を導入してあっても、今度はその水力が、発電水力地点があったならば、可能な地点があったならば、今度は申請するというと、小水力の発電事業ができ得るようになるわけですよね、なるわけです。そうすると、この二千五百カ所の地点は、従来のような形の自家用電気をまかなうためのその発電所とは趣を変えてたくさん出てくるわけですよ。当然そういうことになりますと、水利の調整ということは重大な問題になってくる。従来とは状況が一変して変わってくるわけです。この小水力電気事業をやることによって、五百キロワットなら五百キロワット出力の電気事業をやることによって、それを売電することによって収入をあげようというわけですから、場合によれば、今度は自分のほうが事業をやることによって、供給のほうは一般の村民が個人的に電力会社に電気料を払いなさい、おれのほうは電気をやるというといっても、これは配電事業はできませんから、卸売り電気ならできますから、こっちのほうは収入をあげましょうということになり、村のそういうような状況が変わってくるわけです。ですから、そういう点について問題が出てくるのではないかということを、私は指摘して聞いておるわけなんです。ですから、そういう点については、水利調整については優先するとか何とかじゃなくて、やはり電気事業者と協議するというような条項か、あるいは知事があっせんするとかいうようなこと、そういうようなことを入れておかないと、必ず問題が出てくる、こういうふうに私は考えます。この点はいかがでございましょうかね。
  50. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 具体的に開発計画を立てまする場合に、当然、将来の卸売り相手である電力会社といろいろな面において協議をした上で計画を立てられることになると思います。卸売り、要するに、まず、その発電された電気を電力会社に買ってもらうわけですから、それのまず事前交渉もございましょうし、それから当然いまのお話の水利の調整もあらかじめ話し合いをつけてやることになると思います。
  51. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは、たとえばその地域の電気事業者が確保しておる水利権の流域というものは、ほとんどこれは他に利用ができないのですね、電気事業者の承認がなければ。ところが、この承認をするというのは、なかなか容易なものじゃないのです。たとえばその流域においてその水の揚水して、山村僻地ですから平野はありませんからね、三反歩、四反歩を開田しょうという場合においても、なかなかそれは用水を川からは、水域から上げることを許さないのですね。そういうような状況の中で、今度この法案が出たときに、一般の村民、村は、電気事業者から供給を受けておる、自分のほうは水利があるから、今度は開発しようとするときに問題が出てくるわけです。だから、これらの問題のそういう調整あり方を、やはり、それはどういうその結果になるかは別にいたしまして、開発できるような結果になるか、あるいは、話し合いがととのわないで、そのままに終わるかしらないけれども、やはり新電気事業法案の中へ、この際そういうようなものを一項考慮しておく必要があるのではないかというふうに私は考えるわけです。この点は課長さんではなんですから、委員長の御見解を聞きたいと思います。
  52. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) ただいま安田先生の御指摘は、まことにごもっともなことなんでございますが、私どもはこの小水力発電としてどういうところがやれるかと、結局、良質で低廉な経済的に、開発して絶対安全にやれるというような地点を考えておるわけなんですが、ただ私ども、特に地域住民のために行なうわけでございますので、予想される問題としまして、たとえば、電力会社などが地域住民の意向を無視して、というと語弊があるかもしれませんが、開発をするというようなことになりまするというと、たとえば補償問題など、なかなか最近の傾向としては相当うるさいことがあると思います。ところがその地域の協同組合なり、とにかく、できたものが全部その地帯の方々の手で開発されるわけでございますし、もし利益があれば、それはことごとく地域住民に還元されるという形の性質のものであるならば、おそらくは開発のコストというか、建設費なども非常に膨大な補償などは必要としない場合が多かろうと思う。同時にまた、現在たまたま農業水利などで水路が現にあるといたしますると、その水路をできるだけ利用するといったようなことも可能でございましょうし、まああらゆる面をそういった具体的な開発のしやすいような地点というものを選んで、しかもその計画の際には、農林大臣にばかりでなしに、実は通産省側にも十分な連係をはかって、あらかじめこういう計画でここでやる。一体何ぼで買ってくれるんだというような実は話をした上で、十分な了解ができ、あるいはまた仮契約ぐらいはしておいてからまあ工事にかかる、こういうようなことを考えておりますので、相手が買うのか買わないのか、話がどこまで、どの程度のコストでできるのかというような、全然無計画なものをやることは考えておりませんので、まあこれはあくまでもその地域の農協なり、各種団体なり、住田の生活の安定向上に役立つ、所得の増大に役立つというような地点だけを選んでやっている。しかも、そのことによって国の重要なエネルギー資源の開発ができて、国の経済の高度成長に大きな役割りを果たし得るということならば、今後その奥地の水資源地帯の山林の維持管理、造成等についても地域住民が積極的に努力するという利点もあわせ考えて、ひとつこの小水力発電事業というものを今後できるだけ着実に進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  53. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 いまの安田委員の質問ね、これは流れ込み式で考えれば、事実問題として、流れ込み式の発電所で考えれば、上からくる水がそのままその発電所を通って直接大会社の発電所のほうへ入っていくからこれはもう全然支障はない。それからかりにダムでもつくって、その流域の洪水を若干貯留して発電する場合考えても、下流の発電所に対して、益こそあれマイナスは私はない。マイナスが出てくる場合は考えられないのじゃないか、そういう意味でいま安田委員が御質問になったようなことはそうじゃないというふうに考えるのですが、もう一ぺんその点野原先生から。
  54. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) その点櫻井委員の御指摘のとおりでございまして、私どもも実は電力会社が水利権をたてにして、こうした農山村の実態に対して、少しでも役立ててやるというような、この小水力の発電の開発事業を頭ごなしに抑えつけるようなことは、万一にもなかろうというふうに考えております。まあ独占企業といわれている九電力、あるいはまた電源開発というような仕事は、大きな流域の大きな発電を考えていらっしゃる。実は独占企業ですから、どんな沢でもそこにエネルギーとして開発すべきものがあれば、急速にこれを開発しなければならぬ段階であろうと思うんですが、最近においては、電力のコストのことも考えて、ややともすると、貴重な水資源を発電として利用するようなことにあまり必ずしも積極的でない。むしろ火力発電、日本にない石油などを外国から輸入をして、これを燃料として発電をしておる。なるほどコストは安いかもしれないけれども、ばく大なわが国の大事な外貨を外国に払っておる。それで安い安いと言われたんじゃ一体どうなるのか、私どもから言わしむれば、これはその地帯にある山村の開発でき得べき資源があるならば、しかもこれが山村の現実に困っておる地域住民のしあわせになるならば、これは電力会社側ではもう全面的にそれに対して協力をするくらいな腹がまえになってもらいたい。これがほんとうの電力会社のあり方であろうというふうに私ども考えておるわけでございまして、そういうような紛争などというものは断じてなかろうと思います。またむしろ奥地の資源の開発によって下流の大発電所を計画されておる電力会社等に対しても全然御迷惑を及ぼすようなことはなかろうかと考えておりますので、その点はもし今後そう言った紛争の問題等が起こりましたときにおきましては、われわれも十分検討してみたいと思いますが、これはそうした大きな企業としての発電事業というものの向こうをはってやろうというような意味では毛頭ないわけでございます。出発点からして大事な資源を開発して、山村の経済のために役立てようというようささやかな願望にすぎない、さように考えておりますので、その点もあわせて御了承願いたいと思います。
  55. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 趣旨はよくわかっているのですが、まことにけっこうなことですが、そこで、これはその次にお伺いしたいのは、従来のこういう小水力発電事業に対する建設単価の基準というようなものは、きっとおありだったと思うのですよ。総工事費に対して年間の可能発生電力量、こういうふうなものの比ですね、比を大体キロワット・アワー当たりいままでどのくらいに押えておられましたか。建設単価です。
  56. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 私もあまり詳しくございませんので、答えが的はずれかもしれませんが、一応先ほど御説明さしていただきました資料の九ページを見ていただきますと、従前のいわゆる自家用の切り離しました単独発電方式の場合と連係式の場合とでそれぞれ若干事情を異にしておりますが、この表にございますような、いままであります発電所数百九十四につきましは、一応一発電所当たりの平均出力が単独式の場合で五十五キロワット、連係式の場合約二百ちょっと足らず、一キロワット当たりの建設費は単独式で二三十五万円、連係式で二十一万円というようなことになります。これを何と申しますか、一キロワット時当たりの単価に直してみますと、大体従来の小水力は二十五円見当というふうになっておるように聞いております。大体以上がコスト関係の従来の実績からくるものでございまして、基準としてはむしろ補助をいたします場合に、たとえば一個当たりの事業費が先生御承知のように九万円までを助成の対象にするといったようなことで、受益農家の負担が過重にならないということを一つの助成の際のめどにしているということでございます。
  57. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) ちょっと関連して、安田先生の御質問のあれは、小水利発電事業の一キロワット・アワーに対する建設費の単価のことだと思うのでございますが、実は青い表紙の差し上げましたのの十ページをごらんいただきたいと思うのでございますが、これに書いてございますけれども、これはほんとうに各農協についてのあれでございます。これでいきますと高いものは二十八万円というものもございますが、安いのになりますと十一万円、まあ二十何万円というのは極端な例でございまして、大体十一万、十二万、十五万、二十一万、十七万というような、十二、三万から二十二万ぐらいが最高のところでございまして、安いのになりますと、これはどういう関係ですか、たいへん安いものもございます。六万円ぐらいのものもございます。まあ平均いたしまして、十六、七万円というところであるようでございます。そういう単価でできておりますし、年間の発電の総量と、小水力の発電の分は比較内発電時間が一般よりも長い、多いというふう言われておりますので、売電の単価等も大体三円、一番高いのが三円六十五銭という程度で、安いのになりますと二円九十銭という程度もございます。平均いたしまして三円三十銭程度になっておるわけで、これで十分いろんな償却をしたあとが、ある程度経営にプラスになっておるという状況でございます。
  58. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 従来は建設単価を、何か小水力発電の建設単価をキロワット・アワー当たり二十三円ぐらいに押えていたようですね。ですから、これはこの法案が通りますと、この基準をもう少し上げていかないと、キロワット・アワー当たり二十三円を固執していきますと、そうすると器材・人件費その他の上昇というようなことでいきますというと、基準を、これ以下のものは許可していたらしいのですが、これ以上になると許可しないということになるといけないから、こういう点もあわせて修正していく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、農政局長どうです。
  59. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 一キロワット時当たりの建設単価は先ほど申しましたように、従前の実績ではまず比較的小さいものでは二十三円ないし二十五円程度、それから小水力の中でも比較的大きいもので、二十二、三円というのが基準であったようでございます。融資をする場合の一つのめどとして、その辺のところを原則として考えてきたのが従来の実績であります。今後も多少物価その他の関係がございますから、一律に二十三円とか、二十五円とかいうことで、絶対額でそういった指導をすることは、いささか弾力的でないと思いますが、大体やはり売る場合の、売れる値段が大かた一つのめどにもなろうかと思いますので、その辺のところから考えますと、そう大きな変更は今後も必要でないのではないかというふうに考えられます。
  60. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、従来の許可基準といいますか、何といいますか——にはとらわれない、こういうことになるわけですね。
  61. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 従前も別にやかましい許可基準というようなことではなしに、公庫が融資をなさるときの一つのめどとしてその辺が常識的な単価だということで御指導をいたしておったわけです。したがいまして、必ずしも硬直的なものではございません。今後も水位に応じて無理のないところで、と申し上げますのは、あまり電力の売れる値段と無関係なものでも困ります。それはもう当然事業をお始めになるほうでもお考えいただいておるわけでございますから、その辺のところは、無理のない指導をいたしたいと思います。
  62. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで通産局の方にお伺いしますがね。この小水力発電が今後は相当ふえるだろうと思います。また場合によれば、電力会社の手の届かないところでは、電力会社でも自分で電源開発するよりも安い電気が配電できるということになれば、多少好意的になる面もあろうかと思います。流量変更をしないところにおいては。そういうような問題を考えましたときに、戦前の公営電気事業やっていたところありますね。公営電気事業、小水力発電で、これらが配電統制でみんな吸収合併されました。そういうところが今度は新しく小水力発電をやっておる個所でもって、まあ起債だとかあるいは農林漁業金融公庫の融資だとか またはそういう借金を払ってなお維持できて村の財源にも多少役立つというような場合を見たときに一昔の配電統制令で捨て値で合併されたところの救済問題が出てくると思います。そういうものとの間の関係ね。これらに対する問題の処理はもう考えていかないという方針ですか。多少はそれは霊力会社と電気事業会社ですか、と話し合ってそういうものについての救済策は多少講じるという気持ちはおありですか。
  63. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) いまのお話の点は、いわゆる国家総動員法関係法令でできました日本発送電株式会社等への電力設備の強制出資に関連するいわゆる復元問題のことをおっしゃられたと思うのでございますが、この問題は、本件とはまた別個の観点から取り扱うべきものだろうと私は考えております。
  64. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 参考までにそれではお聞きいたしますがね。あの当時配置統制令で合併されました全国の公営事業の復元進行状況はどういうようになっていますか。農村の小さい発電所、相当あると思うのですよ。これはあとでもいいですがね。それは今度の新電気事業法案契機にして全部二百キロワットくらいのものから小水力発艦事業ですね、そういうものから全部、復元の問題については、ここで何らかの解決していかなければうまくないというようなことが言われておりますが、そういう問題について、少しでもいいから知っているところがあったら、この際お聞かせ願いたいと思います。
  65. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) いまの復元の問題は、私の承知しているところでは、全国的に見ますと大体解決していると、二、三のところが問題を残しているようでございますが、大体解決していると思います。残っておる点につきましても、着々とその解決の方向に進んでおるというぐあいに了解いたします。
  66. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、なお農政局長にお聞きしたいのですがね。この従来の自家用式な小水力発電事業であったのですからね。自家用式なといいますか、それは従来は大体その規模としてはこれは平均単独発電方式が五十五キロワット、それから連係式が百九十五キロワットというんですがね、いままで最高大体どのくらいに押えておったんですか。認可出力というか、そういうものです。
  67. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) これも一律的にやっておるわけではございませんが、一応原則的なものの考え方としては、五日キロ程度を、まあ最高と申しますか五百キロ程度までというようなところをめどにいたして、従来やっておったわけでございます。
  68. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと今度はそういうような問題は、小水力には違いないのですが、多少千キロ近くになってもそれは認可していくと、そういう方針をとっていくお考えですか。
  69. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 連係式でも従来の平均で申しますと、ここにありますようなことで、そう大規模なものでないわけでございます。この修正が衆議院のほうで御議論になりました際、私ども関係各省とも今後の方針をいろいろ研究してみておるわけでございます。この法律によりますれば、省令で一応の規模を予定しておるようでございます。まあ千キロと申しますか、二千キロまでが限度ではなかろうか。いわゆる小水力として調整のつく、また必要な能力という点から考えますと、まず二千キロをこえるものはまずあるまい。さように一応予測して、そのような準備を関係各省といたしたいと思っております。
  70. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 農政局長にお尋ねしますがね、まあこの種のとにかく発電地点が二千五百カ所もあるというわけですから、この法案が通りますと、来年は飛躍的に発電計画が増加すると思うのですよ。そういうような点につきましては、この法案に私ども賛成する以上は、特に要望しておきますが、来年は相当農林漁業金融公庫の資金量も飛躍的に増加させないと、その事業の遂行にはならんと、で問題の趣旨には電源開発という国内資源の十分な活用といいますか、そういうような点には役立たない、こういうふうに思うわけですよ。したがって来年度におきましては、今度農林漁業金融公庫の資金量をふやす場合には、法改正をしなくてもよくなったわけですね。だからそこをほおっかぶりをしないように、相当来年は資金並の増加をしなければいかんと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  71. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 調査時点は数多くございますが、権利関係の問題でございますとか、あるいは売電単価の問題等、事前に関係者の間で十分指導なり御協議を願いまして、施設ができたあとでトラブルの起こらないように、十分注意はいたしていかなければならんと思います。そういう意味で本法律が成立いたしますれば、各県のこういった事業についての御希望を十分に伺いまして、その御期待に沿うよう資金措置をとるべきことは、これはもう御指摘のとおり私どもとしても着実な育成をはかりたいということでございますので、必要な資金量につきましては、公庫資金の中でまあ何と申しましても、現在ことしで五億二千万円、補助残を含めて五億ちょっとこえた程度の資金ワク、まあどの程度になりますか、おそらく新たに出資を必要とするほどのものでもない、これがそういった事情になるような撹乱要素でもないと思います。資金ワクの確保につきましては十分御期待に沿いたいと思います。
  72. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それから、小水力発電事業とは関係がないわけでございますけれども、まだまだ農山村へ行きますと相当未点灯、あるいは山村電力の導入しておらない村落がたくさんあるわけですね。たとえば、電灯は入っておっても動力が入っておらぬ、山村電力も入っておらぬというために、その地域に山林があっても村の人たちは素材だけで出してしまって、そこでその加工ができないために、当然村に落ちるたきぎに相当する部分、その他の日当寺がそれは山村の部落に残らないでみんな出かけちゃうわけなんですね。そのもとをよく尋ねてみますというと、電力会社へ山村電力の導入を申し入れても、工事負担金がかかるということでもって、結局それは未解決のままになってしまっているわけですね。ですから、その小水力電力のほうに相当の力を入れるというお気持ちがあるならば、そういう電力会社から供給を受けるような地点におきましても、特にその農山村の生産を飛躍的に向上させるという趣旨からいきましても、この工事負担金に対する考え方を改めていかなければならないというように私は考えるわけです。したがって、電気事業者が一定の工事負担金を出さなければ導入しないんだというような従来の行き行はこれは一てきして、むしろ、電気供給事業者に相当の——公益事業でございますから一面は、独占とはいいながら——ですから、これにもある程度の、これは相当のがまんをしてもらうというようなことを考え、いままで十年の配電線の維持費がどうのこうの、その補償費がどうのということを考えないで、十年をさらに延長して十五年というふうなことを考えてもらうとか、あるいはまた、政府としても積極的にそういう地域に対しましては工事負担金の一部の補助をより増額していくんだ、こういう前向きの姿勢が必要ではないかというふうに考えるわけでございますが、これらの点についての通産省並びに農政局長のほうの御意見をひとつ聞きたいと思うわけです。
  73. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 私どもも、今後の問題としていま御指摘のような点に力を入れてまいらなければいかぬと思っております。関係各省ともそういった線でさらに積極的に話を進めてまいりたいと思っております。で、いま御指摘の山村地区の動力の導入は、現在でも実は公庫資金融資単独事業対象としては、そういう施設も対象とすることになっておるようでございますし、また、今度この法律の成立に伴って出てまいります連係式ということになりますれば、おそらくはそういった山村化を含んだものというふうに思います。しかし、それだけでは御指摘のように十分な方法ではございませんので、積極的な電力会社の御協力を得る方法でさらに問題の解決を促進してまいりたい、さように考えております。
  74. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 御指摘工事負担金の問題は、単に農山村の電気のみならず、一般に通ずる大きな問題でございまして、実は制度としては御承知のように電気供給規程によりまして認められている道であるわけでございますが、お話のような要望は各方面から常にあるわけでございます。われわれといたしましても、供給規程の改定等の機会があるごとに、合理化と申しますか、できるだけ御要望に沿うような方向検討してまいっておるわけでございますが、今後も御趣旨の点についても考慮に入れまして検討してまりたいと思っております。
  75. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この工事負担金というのは、通産大臣の認可になっておりますね、基準をつくるときには。
  76. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) さようでございまして、ただいま申し上げました電気の供給規程が通産大臣の認可にかかっておると思います。
  77. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、まあ私らは末端にいますからわかりますが、これはランプが電灯になっただけでは、文化的とは言えないのですよね、今日の状態では。やはり電気を導入するということは、電灯も電力もあわせて入るということでなければ、農山村の文化的水準の向上にはならぬわけですね。また収入も少ないわけですよ。さっき私事例をあげたのですけれども、素材だけで出してしまって、製材関係はほとんど町のほうにいってしまって、山奥ではただ人夫賃を取るだけだ、こういう状態は山村に行けば幾らでもあるわけですよね。ですから、そういう問題を解消するためには、どうしても工事負担金をもう少し大幅に安くしていかなければならぬ。そういう事情のところはそれは電力会社に私は協力する体制をつくり出せばいいと思うのですよ、通産省自体が。こういう都市のところに供給する工事負担金と農山村の僻地に供給する工事負担金とは、おのずからその性格を異にすべきだろうと思うのですね。その点はやはり強力に推し進めていくべきであろう、こういうように考えるわけです。特にことしあたりの法人の所得を見ますと、電気事業者の所得というのはよくなっているわけですね。松下さんよりか上になっているところがあるわけですよ。二位、四位、九位三十傑に四社も入っているような始末ですからね。ですから、そういうような状態の中で相当収益を上げておるというならば、公共性を発揮している、しかもその農山村の山奥のほうでは、一番水利のもとは、この何というのですか、供給している一番源なんですよね。植林もするだろうし、山の管理もするだろうし、そういう目に見えない苦労をしておる。自分のそばを電気の高圧線が通っておっても、自分のところは電気が入っておらぬのだという、こういう状態はたくさんあるわけです。ですから、そういうところに対しましては、やはり工事負担金というものは、格別の低廉な方式を採用していくべきであろう、こういうように考えますが、ひとつ通産当局の、特に今度新電気事業法案がつくり出されるときでございますから、そういう点につきましても特にひとつ配慮願いたい、このように考えますけれども、いかがでございましょうか。
  78. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 御意見の点、十分考慮して検討してまいりたいと思います。
  79. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。私は、質問のときは通産省が呼んでおらない予定ですから、関連して伺います。それではもっと具体的に、この工事負担金についてこれを拘束しておる現行の電気供給規程をどういう程度に、前向きに改定をされる方針で検討しておるというおことばですが、それを一体どういう程度までこの規程を改定されようとしておるか、その方向をもう少し具体的にお聞かせを願いたいと思います。
  80. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 先ほど申し上げましたのは、従来も供給規程の改定のおりに、工事負担金を取る設備の対象範囲とか、あるいは電力会社が負担すべき金額の水準等を引き上げると、こういうことをやっております。今後具体的にどういうふうにするかということにつきましては、いま私から申し上げる立場にもございませんし、段階にもございませんので、あしからず御了承いただきたいと思います。
  81. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この点は私は電気事業法案審議のときにでも譲ります。ここでは、したがってこの農山村の実態の中から考えますと、農山村に対する電気導入工事負担金というものは相当基準を下げて、一般の工場とかその他のところへ供給するものとは画一的にしないような方策を講ずべきである、こういうように私は要望しておく次第であります。まだありますけれども大体以上で、時間の事情がありますから……。
  82. 仲原善一

    ○仲原善一君 一言だけちょっとお伺いしたいのですが、実は私の県、この小水力をずいぶん初めからやっておりまして、いまでも二十数カ所できておりますが、今回の改正で何かこうすっきりしたような気持ちがして、非常に衆議院の農林水産の方方に敬意を表するわけでありますが、ただ、従来運営してみた場合で連隊上の問題になろうかと思いますが、何と申しますか、売電の場合の問題です。これが実は非常にどの場合でも簡単にはいっておりませんので、この問題でだいぶ私も手がけたわけでございますけれども、なかなかむずかしい問題が介在しておりまして、どういう値段で売ったらいいか、あるいはどういう値段でなければ買わぬという、いわゆる何と申しますか、電力会社のほうの側との交渉に非常に手間をとります。一単協の組合長が行ってなかなか交渉しても、らちがあかない問題がたくさんありますが、これはこのコストが安ければ安いなりにたたかれます。それからあまり高いとこれは、もちろん買わぬということになりまして、非常な隘路になっております従来の経緯がありますので、この売電計画に、通産省あるいは農林省が中に入って多少あっせんするような形が好ましいのではないかという気持ちがいたしましたり、またコストの計算の場合でも、何かほんとうの協同組合、農業協同組合は営利が中心じゃありませんけれども、だからといってたたけばいいというわけでもありませんので、その点、経営上の適正な利潤と申しますか、そういうものが含まれるような形で指導してほしいというような気持ちもいたしますので、そういう点について、通産省なりあるいは農林省はどういうお考えを持っておられるのか、特にこの法案が通って運用される場合に、売電がうまくいかなければ、すべてこの事業がストップいたします。これがうまくいって農協あるいはその事業者の方が多少でも適正な利潤が得られるという形になれば、うんと伸びていくんじゃないか、そういう気がいたしますので、従来そういう点で非常に苦労しましたので、どういうお考えを持っていらっしゃるのか、その点だけをちょっとお伺いいたしておきます。
  83. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 今後この事業が円満に伸びてまいりますためには、いま御指摘の点の調整と申しますか、あっせんが円滑にいくことが非常に大切なことかと思います。私どももそういった方向関係者とも今後十分提携をして、御趣旨に沿いたいということで、せんだってからいろいろ準備、話し合いをしておるわけであります。やはりこういった小規模の施設でございますから、おそらくは一般の原則的な原価主義ではじかれました単価との間には、かなりのゆとりが出てくるものと思います。従前もそういう意味合いで一割ないし一割五分程度のゆとりが見られてきたようであります。今後もそういったことが形式的な原価主義に流れないで維持できますよう、その辺の法改正の御趣旨も十分体しまして、関係各省の御理解のもとに指導してまいりたい、かように考えております。
  84. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 最後にもう一つちょっと通産省にお尋ねしますが、いまの流れ込み式または準流れ込み式のような発電で、建設単価キロワットアワー当たりどのくらい、電力会社が引き取る場合に、三円とか三円五十銭とかいう場合がありますが、その場合に現在の機材の値上がり状態の中で、いま現在どのくらいなら引き合いますか。二十五円とか二十三円とかあるでしょう。
  85. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 現状を申し上げますと、電力会社におきましては、水力はほとんど貯水池式とか用水式の大規模なものをつくっておりまして、それを昼間あるいは初夜におきます電気の需用がきわめて旺盛な時間に発電をする、いわゆるわれわれこれをピーク発電と称しておりますがピーク発電用として運用しております。一方ベースに発電する電源といたしましては、御承知のように火力発電を主に開発してございまして、いわば昔流れ込み式水力がベースになっておりました時代の水力が、いまは火力発電に置きかわっている、こういう形になっております。その意味から申しますと、この小水力から出ます電気は、むしろ火力発電の発電原価と対比さるべきものかとも思いますが、そういたしました場合に、現在の新しい火力発電の発電原価は、大ざっぱに申し上げますと三円程度でございます。だんだん重油発電等が盛んになってまいりまして、二円五十銭近いものも出てまいっておりますが、概括的に申しまして三円弱、キロワットアワー当たりでございますが、そういう状況でございます。
  86. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは発電原価ですね。
  87. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) そうでございます。
  88. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 建設単価でなくて……。
  89. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) はあ。売電単価に相当するものでございます。
  90. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 大体まだありますが、時間の関係がありますから……。いずれまた渡辺さんがあさってするようでございますから、そのときに一、二関連しますけれども、最後に御要望申し上げておきますが、まことに時宜を得たいい提案だと思います。提案した責任者として、どうかひとつこの政府側のほうへできるだけの資金量は特に御配慮願いたいということを要望申し上げまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
  91. 野原正勝

    衆議院議員(野原正勝君) いろいろと建設的な御意見ありがたく承わりました。何といっても、私どもは山村の経済を大きく振興するために、眠れる資源を活用するという点で、これは小水力発電事業農山漁村電気導入即進法の改正は非常に画期的な意義があることだと思っております。したがって、明年度の予算要求にはひとつ大いにまあやるつもりでおりますので、よろしくひとつ御鞭撻等お願いを申し上げたいと思います。
  92. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十分散会      ——————————