○
政府委員(
松岡亮君) 次に、
食料品総合小売市場管理会法案につきまして、若干補足して御
説明申し上げます。
この
法律案は、
提案理由の
説明にありましたとおり、
大都市及び人口の集中の著しいその
周辺の地域に、
食料品総合小売り市場を
設置することにより、
生鮮食料品等の流通の
合理化を促進して適正な
小売り価格の
形成に資し、もって
国民生活の安定に寄与することを目的としております。
法律案の構成といたしましては、第一に
食料品総合小売市場管理会の
資本金等について
規定し、第二にその
業務運営の
組織として、
役員、
運営審議会等について
規定し、第三に
業務の
範囲等について
規定し、第四に財務、
会計等について
規定しておりますほか、
一般的監督規定、罰則、
設立手続等について
規定しております。
以下、その細目について若干補足させていただきます。
第一章は、この
法律の目的、
法人格、
資本金等総則に関する
規定であります。
そのうち、特に第四条は、
資本金に関する
規定であります。
管理会の
資本金は、
政府及び
地方公共団体が
出資する金額の
合計金額としております。設立当初の
資本金といたしましては、
政府が設立に際し
出資する一億二千五百万円のほか、
東京都から同額の
出資を予定しております。この
資本金は、その
運用益をもって
管理会の
業務の
運営に要する
経費の一部に充てることを予定しております。
第二章は、
役員等管理会の
組織に関する
規定であります。
まず、第九条から第十二条においては、
役員の定数、
職務権限、
任命権及び任期について定めております。
次に、第十三条から第十六条においては、
役員の
欠格条項、
解任等役員に関する制限について定めております。
第三に、第十九条及び第二十条においては、
運営審議会の権限、
委員の定数及び
構成等について定めております。
運営審議会は、
管理会の
業務の円滑適正な
運営を期するため
設置するものであります。その
委員には、
出資地方公共団体の
委員のほか、
一般消費者、
小売り商業者等関係者の
意見を代表する者を充て、これらの
意見を
十分管理会の
業務の
運営に反映させることとしております。また、特に、
管理会の
業務運営の
基本的事項である定款の変更、
業務方法書の作成及び重要な変更、予算、
事業計画及び
資金計画の作成及び重要な変更並びに
財務諸表の作成につきましては、
運営審議会の
必要的諮問事項といたしております。
第三章は、
管理会の
業務の
範囲、その
執行方法等管理会の
業務に関する
規定であります。
まず、第二十二条においては、
管理会の
業務の
範囲を定めております。
第一項の
業務は、この
法律の目的を達成するための基本的なものであり、その
範囲は各号に列記しております。
第一号は、
食料品総合小売り市場の
設置及び
管理であります。
食料品総合小売り市場は、
野菜、果実、魚類、
肉類等の
生鮮食料品その他
一般消費者が日常その用に供する
食料品を取り扱い
品目としております。また、この
小売り市場においては、近代的な
経営方式を導入して
総合的に
小売り業を
経営させることとしております。なお、これを
設置する地域は、
大都市及び人口の集中の著しいその
周辺の地域で政令で定める地域内と定めております。
第二号は、
食料品総合小売り市場において
生鮮食料品等の
小売り業を
経営する者に対する指導であります。指導の内容といたしましては、
生鮮食料品等の種類、品質、
価格その他その
購入、保管及び
販売に関する
事項といたしております。これは、この
小売り市場において
経営を行なう
小売り商業者に対し、適切な指導を行なうことにより、これを
中小小売り商業者による
経営近代化の
モデルとするとともに、適正な
小売り価格の
形成がなされるよう配慮するため設けた
規定であります。
第三号は、
食料品総合小売り市場において
生鮮食料品等の
小売り業を
経営する者に対する
生鮮食料品等の
購入のあっせん及び委託を受けて
小売り業務の一部を行なうことであります。
第二項の
業務は、
食料品総合小売り市場の用に供する土地の
効率的利用をはかり、
食料品総合小売り市場にかかる地価の負担を軽減するため行なうものであります。
業務の
範囲といたしましては、
食料品総合小売り市場の用に供する
建物を立体化する等、これと一体となる施設を建設、
管理及び処分することとしております。なお、立体化するにあたっては、できるだけ
日本住宅公団等と提携して行なうことといたしたい考えであります。
次に、第二十三条から第二十五条においては、
管理会の
業務の執行の
方法等について定め、
管理会の
業務の
運営の適正を期することとしております。
まず、第二十三条では、第一項において、
管理会は、
食料品総合小売り市場の
設置及び
管理については、
農林省令で定める基準に従って行なわなければならないものとしております。
また、第二項では、
農林大臣は
生鮮食料品等の流通の
合理化を促進して適正な
小売り価格の
形成に資するため特に必要があると認めるときは、
管理会に対し
食料品総合小売り市場の
設置に関し必要な指示をすることができることとしております。
さらに、第二十四条では、
管理会は
業務開始の際
農林省令で定める
事項について
業務方法書を作成し、
農林大臣の認可を受けなければならないこととしております。
なお、第二十五条では、
管理会は、
食料品総合小売り市場の
設置及び
管理にあたり、地元の
出資地方公共団体の長の
意見を反映させるため、その
計画の概要について、これを
設置しようとする場所をその区域に含む
出資地方公共団体の
意見を聞かなければならないこととしております。
第四章は、
管理会の財務及び会計に関する
監督規定であります。
まず、第二十七条及び第二十八条においては、
管理会の予算、
事業計画及び
資金計画並びに
財務諸表について、
農林大臣の認可または承認を受けなければならないこととしております。
また、第二十九条から第三十二条におきましては、
管理会の毎
事業年度の損益の
処理方法、長期または短期の
借入金をする場合の制限、
余裕金の
運用方法等について定めております。
第五章は、
管理会に対する
農林大臣の一般的な監督に関する
規定であります。
第六章は、雑則に関する
規定であります。
そのうち、特に第三十八条においては、
管理会は、その
業務の
運営について
地方公共団体と密接に連絡するとともに、
地方公共団体は
管理会に対し、その
業務の
運営について協力するよう定めております。
第七章は、罰則に関する
規定であります。
附則におきましては、
管理会の
設立手続等について定めております。
なお、最後に、
提案理由の
説明にありました昭和三十九年度における事業の
実施方針について一若干補足して御
説明申し上げます。
昭和三十九年度におきましては、さしあたり、
東京都の区域に二十カ所の
食料品総合小売り市場を
設置することを予定しております。一
市場当たりの
平均規模は、用地千百五十五平方メートル(三百五十坪)、
建物、六百六十平方メートル(二百坪)を予定しております。また、この売場には、冷凍一
商品ケース、
冷暖房設備、レジスター等近代的な
経営を行なうに必要な基幹的諸
設備を設けることを予定しております。
これに要する
資金は、
土地取得資金並びに
建物及び諸
設備の
建設資金として、一
市場当たり一億円弱で、
合計二十億円弱であります。
建物及び諸
設備の建設に要する
資金のうち、
生鮮食料品の
販売の用に供する部分につきましては、その二分の一に当たる
合計二億九千七百六十万円を国と
東京都が折半して、それぞれ一億四千八百八十万円ずつ補助することとしております。
建物及び諸
設備の
補助残並びに
土地取得資金につきましては、国は
東京都を通じて四億円の
資金の融通を行なうとともに、
東京都も
一般起債により四億円の
資金の融通を行なうこととし、残余につきましては、
一般金融機関等から調達するよう考えております。
また、
食料品総合小売り市場の
設置及び
管理にあたりましては、適正な
価格形成を確保するとともに、
周辺の
中小小売り商業者を活用して営業を行なわせ、これを
中小小売り商業者の
経営近代化の
モデルといたしたいと考えております。
以上をもちまして、本
法律案及びこれに関連する主要な問題についての
補足説明を終わります。
次に、お配りしておりまする資料につきまして御
説明申し上げます。お手元に
食料品総合小売市場管理会法案関係資料という横とじの資料がございますが、これについて御
説明申し上げます。
最初に、
生鮮食料品の
消費者価格と
消費の動向に関する資料でございますが、まず一
ページの
消費者物価指数の推移につきまして、これは全都市の
消費者物価指数の推移を示したものでございます。その中で特徴的なことを申し上げますと、
総合指数で、三十五年を一〇〇といたしまして三十八年は一二一と、つまり三カ年間に二割一分の
消費者物価の騰貴が見られたわけでございます。そのうち特に目立ちますのは、まず、一番左にあります
食料でございます。これが一二五・五、それから雑費一二〇・六、この中には
教育費とか、そういうものがございます。そういうものが特に目立っておるわけでありますが、しからば
食料の中でどういうものが特に上がっているかということになるわけでありますが、まん中に二本太い線が引いてある右のほうでございます。そこにまず
穀類から各種の類別で
指数を上げてあります。
穀類は比較的安定しておりまして、三十八年の
指数は一一四・一でございます。
穀類以外のその他の
食料が一三〇・五、こういうふうに
穀類以外で
値上がりが目立っておるわけでございます。その他の
食料の中でどんなものが特に目立っているかと申しますと、
野菜がまず大きく二八六・三となっております。その次に
くだもの一五七・九、それから
生鮮魚介の一四四、それから一番右の
加工食品となっておりまして、肉類は比較的
値上がりの程度が高くて、乳卵は
穀類並みである、こう申し上げられるのであります。
その次の欄は、これは前年に対する
値上がり率でございますが、
総合で、三十六年は前年に対して五・三、三十七年は六・八、三十八年は七・六となっておりますが、
食料はそれを上回って毎年
値上がりしております。これは同様に内訳で見ましても、
野菜、果実あるいは
加工食品等の年々の
値上がり率が目立っておるわけでございます。こういった
消費者物価の騰貴に対する各
項目別の
値上がりに対する
寄与率というのが一番下の欄にございます。これで
ごらんいただきましても、
消費者物価の
値上がりに対する影響が強かったのは
食料であります。その中でも、その他の
食料というのは大きな部分を占めておる、さらに、その内訳では、
野菜、
くだものあるいは
生鮮魚介、
加工食品、こういうものの影響が大きかった、こう申し上げられるわけであります。
その次の
ページは、
東京の
指数でございますが、これは一
ページで申し上げました全都市の
指数と大体同じでございますから一々申し上げません。
その次の表、三
ページでございますが、
消費者物価指数の推移、これを数別で
グラフにいたしました。これで見ますと、その他の
食料が上がっておるということが目立っておるわけであります。で、参考のために、下のほうに、日銀の
卸売り物価指数の
食料と、
総合で見た
指数を
グラフにいたしてございます。
総合では、それほど
卸売り物価の
値上がりがないわけでありますが、
食料の
卸売り物価の
値上がりは
消費者物価と同様、かなり顕著なものがございます。
次の
グラフは、これをやはりこまかく
グラフにいたしたものでございます。さっき申し上げました傾向がそのまま出ておるわけでありますが、
くだものなどは季節的な変動がかなりございます。
野菜についてもございます。
加工食品、それから
生鮮魚介、
肉類等はそれほどの大きな幅の変動を示さないで、しかしながら、ずっといずれも上がる傾向でございます。
五
ページは、
生鮮食料品を今度は
品目別に
小売価格で見た場合でございますが、
野菜は白菜が
生産が非常にふえて比較的
値上がりが少ない、むしろやや下がりぎみであるということを除きまして、ほかの
品目はいずれも相当上がっております。特にネギ、タマネギ、キュウリなどは著しく上がっておるわけです。果物では
ミカンがかなり上がっております。リンゴも上がっておりますが、
ミカンのほうが著しく上がっております。魚も同様でございますが、特にマグロなどが著しく上がっておるわけでございます。
それから、その次の
ページでございます。いままでは
消費者価格、
値段を分析したわけでございますが、今度は家計の
消費構造の変化を分析したのでございます。これは総理府の家計調査によったものでありますが、これは
価格の動きとはやや別でございます。つまり、
生活水準の向上につれて
住居費とか、それから
光熱費、
被服費などの
支出がふえてまいっております。
食料品は
値上がりしながらも、
支出の中で、
支出は絶対額ではふえておりますが、
構成比ではだんだん落ちてきております。
構成比の欄で
ごらんをいただきますと、
食料品という中にあります
構成比は、これは大体
エンゲル係数を示すものでございますが、三十七年はついに四〇を割りまして三八・九というようになってまいります。つまり
食料の
値段の
値上がりにもかかわらず、
エンゲル係数としては低下しておる。
生活水準は依然として向上しているということを示しておるわけでございます。
その次の表でございますが、これは都市の一
世帯当たりの年間の
生鮮食料品の
支出額と、
購入量と、
平均価格を示したものでありますが、まあ
価格は先ほど申し上げましたような傾向でございますが、
購入量としては多少の変化がございます。右のほうの
指数で
ごらんをいただきますと、
野菜につきましては、
購入量は量的には減っておりますが、
値段が上がっている。それから
くだものは量もふえ、
値段も上がっている。牛乳も量もふえ、
値段も上がっておる。鶏卵は
購入量がふえて、
値段は下がっておる。それから
生鮮魚介は量もふえまして、
値段も上がっておる。肉は量もふえ、
値段も上がっておる。まあ
品目によって若干の相違がありますが、量と
単価ともにふえるというのが多いようであります。
野菜、卵を除きまして大体そういうことでございます。
それから八
ページでございますが、これは
品目別に、一
世帯当たりの
野菜と
生鮮魚介類の
支出を見たわけでございますが、
野菜で見ますと、カンショの
支出が減っておるほかは、かなりふえております。それから魚のほうではアジ、
イワシ等、これがまあやや減る、あるいは相当減るということで、あとはカツオ、カレイ、サケ、サバなどが相当ふえ、タラ、タイ、イカその他鮮魚、そういうところがふえておる、こういうことでございます。
それからその次は、
卸売り価格と、入荷の動向でございますが、これも簡潔に申し上げますと、九
ページは左のほうが
卸売り価格であり、右が
入荷数量であります。まあ
入荷数量がふえれば
値段が下がり、逆に
入荷数量が減れば
値段が上がるというのが通常の状態でございますが、必ずしもそういってない。豚肉の場合は、
入荷数量がかなりふえて、やはり
値段は下がっておるわけでございますが、そのほかの場合は、
入荷量もふえ、
値段も上がる、こういう状態でございます。
その次の一〇
ページは
主要品目別に見ました
主要卸売り価格でございます。これは年によって若干の動きはございますけれども、やはり
消費者価格と同じように、一般にいずれも上がっております。ただ、牛肉だけが必ずしもそうでない。三十六年、三十七年に低下している。こういう現象を呈しております。
その次は、いままで申し上げましたことをずっと
グラフにして、
入荷数量と
消費者物価指数、
卸売り価格指数を対照したものでございます。これは重複いたしますから長い表は省略いたします。
三二
ページにまいりまして、いままでは
消費者物価と
卸売り物価、それから
入荷量等見てまいりましたが、その次は、
生産と
生産者価格でございます。これは大体
生産もふえ、
生産者物価も上がっておる。こういうのが実態でございます。ただ肉だけ、これは
屠殺数から出た数字でございますけれども、肉の関係は
生産がふえて、
生産者価格が下がっている。こういうことになっております。
三三
ページは、今度は
品目別にみた
生産者価格の動きでございますが、これも大体において相当な
値上がりをいたしております。ここでも肉豚がちょっと違っております。これは御承知のような値下がりのときがあったわけでございますが、ほかのものにつきましては一般に相当
値上がりしている。こういうことになっております。
その次の表、三四
ページ以下は流通機構でございます。青果物、水産物、肉に分けて表に示したわけでございますが、青果物の場合は、これはいろいろなルートがございます。農協を通じて
消費地の卸売り市場に行くものと、任意組合、あるいは商人系の集荷業者というものを通ずる場合がある。農協の場合にも
総合農協を通る場合と、専門農協−特殊農協を通ずる場合とあって、
野菜は
総合農協が相当扱っておりますが、
くだもののほうは専門農協が多い。こういうような大体の傾向でございます。中央団体としては、専門農協のほうに日園連があり、
総合農協は全販連、それから卸売り人としましては、
大都市では中央卸売り市場、それ以外ではいろいろな形の卸売り市場が、いわゆる地方市場の形でございますが、その卸売り人から仲買人を通じて小売り店に行く場合と、直接小売り店に行く場合と二つに分かれておるのでございます。水産物の場合はやや趣を異にしまして産地市場がございます。産地市場を通るルートが大きいわけでございますが、この中に卸売り人と産地仲買人、すなわち出荷業者がおります。漁協というルートを通ずるものもあるのでございますが、産地市場を通じてから、
消費地卸売り市場に向かうというのが多いわけであります。それから
消費地の卸売り市場は中央卸売り市場が多いわけでありますが、卸売り人から仲買い人を通じて直接小売り店にいく場合は比較的少ないのでございます。それから肉の場合は、これはまた非常に変わっております。単協、県連を通じて全販連、全蓄連、それから卸売り人にいく場合、家畜市場を通じて家畜繭から卸売り人にいきます場合、また家畜市場を通じないで、商から卸売り人にいく場合、いろいろさまざまでございます。で、卸売り人から小売り店に売られる、こういう関係が普通でございます。で、食肉につきましては一中央卸売り市場がまだ数が少なくて、卸売り人といいましても、屠場に付設された取引場における卸売り人であるというような形をとっております。これが一般の流通機構でありますが、次に、中央卸売り市場だけを取り上げましたものが三五
ページでございます。
中央卸売り市場は人口十五万人以上の都市で、六
大都市を初め、二十幾つかの中央卸売り市場がございますが、この中は卸売り人、卸売り業者、つまり荷受け機関等が中核にありまして、これが産地から、産地仲買い人、あるいは
生産者団体から委託
販売を受けるのでございます。その卸売り機関で委託を受けて、せりで売られるのが通常の姿でございます。卸売り業者が
生産地から買い付けて売る場合もございますが、それは青果のほうでは比較的少なくて、水産のほうではやや大きい、こう言えるのでございます。それからいずれもせりで仲買い人に売られるのが通常でございます。これは青果の場合も、鮮魚の場合もそうでございますが、しかし、青果の場合、たとえば神田市場におきましては、小売り商も直接せりに参加をしております。ところが、築地の本場におきましては、魚の関係では、小売り商は参加いたしておりません。必ず仲買い人を通じて小売り商に売られる、こういうことになっておるのであります。中央卸売り市場における取引機構はいま申し上げたとおりでございます。
三六
ページは、中央卸売り市場の
組織が非常に問題がございますので、その一端を示したわけでございますが、関係の業者でございます。これは青果と水産、食肉に分けまして、卸売り人と仲直い人、それからその他の売買参加者、さっき申し上げましたように、大口需要者とか、小売り商がせりに参加する場合がございます。そういうのを表にしてあるのであります。
東京で
ごらんいただきますと、青果の場合、本場の仲買い人は百四十四人でございますが、水産の仲買い人は約千五百人おります。で、水産の仲買い人に対しまして小売り店は五千ぐらいでございます。したがって、三つの小売り店に対して一つの仲買い人というようなわけで、その結果としては、仲買い人は取り扱い量が平均的に少ない、マージンが高くならざるを得ない、こういうことで、昨年来、特に築地本場の水産の関係については、仲買い人の統合による大型化を勧奨いたしておるのであります。神田のほうにおきましては、これは青果ばかりでございます。青果は、仲買い人はそれほど多くございません。しかし、これでもまだ多い感じがいたしまして、神田においても、できれば仲買い人の統合をやってもらいたいということで進めておるわけでございます。ほかの都市に比べまして、いかに築地の本場の水産の仲買い人が数が多いかということが
ごらんいただくとおわかりかと存じます。それからここで見ていただきますと、横浜には青果には仲買い人というものがございません。これは一つの特徴でございます。仲買い人を必ず置くべきかどうかという問題がございますが、その辺のことになると、横浜の問題が解答を示しているかどうか、これはかなり問題がございますけれども、現在の仲買いの実態はとにかく改善を要するものがあると考えられます。
それから三八
ページにまいりまして、中央卸売り市場の取り扱い高の推移でございます。大体六
大都市が多いわけでございますが、ウェートを
ごらんいただきますと、青果物では、大体中央卸売り市場のうちで六
大都市が八割以上になっております。水産物でもほぼ八割が中央卸売り市場を通じております。数量においても、金額においても同様でございます。特に金額においては六
大都市が圧倒的に多い、こういうことでございます。
それかういまのは中央卸売り市場の中における六
大都市の比重でございますが、三九
ページは全体の
生鮮食料品の流通童において中央卸売り市場がどういう地位を占めているかということでございます。まず、一番上の欄が
生産高でございますが、そのうち流通されるものは、これは推定の数字でございますが、これを一〇〇といたしまして、六
大都市の中央卸売り市場が扱っているのは、
野菜の場合は三四%、果物で二七%、青果物の平均で三一%、三割ちょっとこえるところが六
大都市でございます。中都市を含めた中央卸売り市場全体の扱い量は、一番下の欄にありますように
野菜で四割、果物で三割二分、それから青果として三割七分。水産物では、六
大都市だけで三七%、中央卸売り市場全体で四三%。この青果物と水産物を
合計いたしまして、六
大都市が三三%、それから中央卸売り市場全体で三九%、約四割が中央卸売り市場を通じておると、こういう実情でございます。
最後に、四〇
ページ、四一
ページは小売り商の実態でございます。これは
生鮮食料品につきまして、青果、鮮魚、食肉に分けて、全国と、六
大都市と、
東京都にどのくらいの小売り商がいるかというのが一番左でございます。青果でいいますと、全国で五万六千。六
大都市で一万三千。
東京都で七千六百でございます。鮮魚はこれよりやや少ない。全国で五万、六
大都市で六千八百、
東京都で三千七百、そういうことでございます。
右のほうに年間の
販売額と、一店当たりの平均扱い高を示しておりますが、常時従業者数というのは、これは二十六でなくて、二・六人、三・六人でございます。それで、年間の
販売額が三百五十九万円、青果の場合。したがって、従業者一人当たりの年間の
販売額は百三十七万円、非常に少ない額でございます。売り場面積も狭くて、売り場の坪当たりの
販売額が四十二万円、粗利益率、まあ大ざっぱにいってマージンでございますが、二一・五%、魚の場合が、従業者一人当たり百十七万円、坪当たり五十二万円、粗利益率二〇・六%、食肉は、これもまあ似たようなことでございます。
これに対しまして、四一
ページの、新しい
販売店方式でありますスーパーマーケット、あるいはこれに類したいわゆるマーケット方式のものの状態でございますが、マーケットは、スーパー店数は、これは化繊協会の調査資料ですが、年々非常にふえてまいっております。上のほうの表の累計欄を
ごらんいただきますと、三十八年で七百四十一という数になっておりますが、この中にはいろんな形のものがあります。スーパーマーケットが三百八十二、スーパーストア及びその類似店が三百五十七でございますが、マーケットとストアはどう違うかというと、あまり厳密なことは申し上げられませんが、スーパーマーケットは
食料品が中心で、それからスーパーストアというのは衣料品とか、そういうものが中心になっている、こういわれております。その
経営の概況が下のほうの表でございますが、これは資料による調査でございますけれども、スーパーマーケットの場合は従業者数が六十二・三人、売り場面積が、これは平均で二百一坪、坪当たりの売り上げが百三十一万、従業者一人当たりの売り上げが四百二十七万、小売店の三倍をこえております。粗利益率は、つまりマージンが一四・七、前の小売商の場合は二二くらいでございます。こういうふうに低いわけでございます。それからスーパーレットというのは、これの小規模のもので、やや売り上げ額は小さいようですが、やはり粗利益率は低くなっています。衣料スーパー、日用雑貨スーパー、こういうように
生鮮食料品の小売り商に比べてずっとマージンは低くなっております。
御参考のために、一応このような数字を申し上げた次第でございます。