○渡辺
勘吉君 いま御
答弁があった範疇では、私のこの
指摘する
土地改良事業の一貫性というものがごく部分的な取り上げにすぎないと思うのです。私たちたいへん驚きますのは、会計検査院の三十六年度決算検査報告を見ましても、国営
農業水利事業と、これに付帯する都道府県営、及び団体営補助事業の施行
計画について改善の意見を表示したものということで、三十七年の十一月二十二日付で
農林大臣あてに勧告をしておる。その点を少し具体的に取り上げて、私はこの会計検査院が勧告しておる具体的なアンバランスを一体どう均衡化をし、またどう工事期間を短縮しておるか、具体的に
お尋ねをいたしたいのであります。この勧告は次のように言うております。「
農林省で直轄施行している
農業水利事業は、昭和二十五年度から三十六年度までの間に完了したもの七十三
地区、三十六年度において既往年度に引き続き施行しているもの七十四
地区で、三十六年度までに累計七百九十四億六千八百二十八万余円に上る多額の事業費を使用し、用
水源施設、幹線水路等の基幹施設工事を施行しているものである。しかして、これら基幹施設を活用するため必要な支線水路等の付帯施設工事は都道府県または
土地改良区等が国から補助を受けて施行しているが、その進ちょく
状況をみると、国営工事に比べて著しく遅延しているものが多く、
一般的に基幹施設工事と付帯施設工事とはその進ちょくがは行
状態にあるものと認められ、なかには基幹施設工事がすでに完成し、えん堤、頭首工等により計水量全量の取水が可能となっているのに、これに付帯する支線水路等の工事が進ちょくしていないため、多量の水が使用されないまま放流されているなど基幹施設が十分な効果を発揮することができず不経済な結果をきたしているものがある。いま、これら工事の進ちょくがは行しているもののおもな事例を示すと別表のとおりである。」そう言うております。
このおもな事例の中から私は、時間の
関係からさらに代表的なものを取り出して、この実態に対して
政府は一体、具体的にどういう措置をおとりになっておるのか、その点を具体的に御
答弁を願いたいと思います。まず、北海道
開発局管内の北空知
地区の事業でありますが、国営事業は一〇〇%完成をしておるが、支線水路であるところの道営がわずか五%にすぎない。団体営は一三%にすぎない。しかも着工年度は国営と団体営はほぼ同年度であります。繰り返しますが、国営が一〇〇%基幹水路が完成しているのに、支線水路を担当する道営がわずか五%にすぎない。団体営が一三%にすぎない。これが
一つの例です。近文の
地区では国営が一〇〇%完成しておる。しかるに道営は四五%、団体営三一%、こういう実態である。東京
農地事務局管内の大井川左岸が国営では一〇〇%完成しているが、県営が五三%、団体営が三一%、龍西は国営が八一%、県営が二%、団体営がわずか四%、金沢
農地事務局管内の信濃川左岸は国営が八二%、県営が五%、これは団体営が
一〇〇%完成をしておる。九頭龍川は国営が一〇〇%、県営が三八%、団体営が一五%、名古屋
農地事務局管内の矢作川、国営九八%、県営は〇・七%、団体営五三%。濃尾用水、国営五%、県営ゼロ、団体営二四%。京都
農地事務局管内では国営五六%、県営九%、団体営一%、町洲川というのですか、これは国営が一〇〇%完成しているのに県営が七六%、団体営はわずか二二%、岡山
農地事務局管内では小坂部川国営が一〇〇%、県営四四%、団体営四五%、芦田川国営一〇〇%、県営四一%、団体営一〇〇%、間の支線水路がその半ばにも達しないという現状です。熊木
農地事務局管内、嘉瀬川国営七四%、県営、団体営とも未着工でゼロ。こういう実態が会計検査院から
農林大臣に勧告しておる。こういう具体的な跛行
状態、これが一体
法律そのものの改正とはまた別に、一体
予算措置その他によってどれだけ総合性を欠いたばらばらな水系別の
土地改良事業がその勧告を受けた以後、
農林大臣としてはいかに善処をし、それが
数字の上にいかに反映しているか、最近の時点についてひとつお答えを願いたい。