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1964-05-21 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十一日(木曜日)    午前十一時八分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            小宮市太郎君            矢山 有作君            安田 敏雄君            高山 恒雄君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査でん粉  価格に関する件) ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  温水君から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  3. 温水三郎

    温水三郎君 農林大臣質問をいたしたいのでございますが、出席されておりませんので、農林大臣代理として次官にお尋ねいたします。  過般、政府でん粉買い上げについて二万五千トンの数字発表いたしました。これはすみやかな買い入れが行なわれると承知いたしておりますが、ところで、その発表後は、でん粉市況は約百五十円逆に暴落をいたしいたのであります。これは当初買い上げが問題になりましたときに、需給協議会において需要者の側から七、八万トン本年のでん粉は余るだろうという発表があったので、われわれは少なくとも十万トンの買い上げが行なわれるものと期待しておったのでありますが、会計法の許す限りの予算が二万五千トン分しかないので、とりあえず第一次の買い上げ発表されたものと考えておるのでございますが、さようであるかないか一応御答弁をお願いいたします。
  4. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 御指摘のとおり、予算関係上、二万五千トンというので買い上げをいたした次第であります。
  5. 温水三郎

    温水三郎君 そうすると、第二次、第三次の買い上げもなさなければ農安法の示すところの所期の効果を上げ得ない。さらに来年のイモ作については、もはやすでに農民は非常な不安にかられておるのであって、これではどうもイモ作自体農業として大問題になろうといたしておるのでありますが、政府は直ちに補正予算を組む決意をして、第二次、第三次のでん粉買い上げをする意思のあることを発表願いたいと存ずるものでございますが、これに対する所管の農林省の御見解をお尋ねいたします。
  6. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) ただいまのお話の件につきましては、この二万五千トンの買い上げと並行いたしまして、やはりブドウ糖の消費増進対策とかいろいろな方法を講ずることにいたしておるのでありまして、その状況を見て、第二次買い上げということについて検討を加えたい、こういうふうに考えております。ただいまのお話では、二万五千トンでもなお足りない。でん粉価格が下がっておる。さらに第二次買い上げをしなければいかぬというお話でございますが、いまここではっきり買い上げするということは申し上げかねますが、よく検討して善処いたしたいと思います。
  7. 温水三郎

    温水三郎君 需要者が七、八万トン余ると言っておるのでありますから、当初から二万五千トン程度買い上げでは、市況はかえって暴落することはわかっておったはずであります。したがって、補正予算を組んで十万トン近い買い上げをなすべきであることは当初からわかっておったはずでありますから、農林省としてはすみやかにそういう決意をされる必要があるのであって、そうでなければ農安法は空文にひとしいものと考えるのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、今後の市況の推移を見てというお話でございますが、市況がかような暴落を続けておる状況がある程度続くならば、補正予算を組んで買い上げを行なうということであると承知いたしますが、さように理解してさしつかえありませんか。
  8. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) どうしても市況関係上、その他の方法をとってもでん粉価格が低落しておるというような状況であるならば、これはやはり大蔵省とも交渉しなければいかぬことであります。補正予算の問題も起こると思います。十分検討を至急加えたいと考えております。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いまのでん粉問題で、二万五千トン買い上げたということは、一方から言えば、政府は二万五千トンでなくちゃ買い上げないのだから、将来は残るのだという観測のもとに私は値段が上がらない、かえって下がった、こう思うのであります。でありますから、この前のは第一次の買い上げである、市況を見て第二次、第三次と買って、それで、農安法でいう政府が予定している価格に達するまでは継続して買うのだ、そうして補正予算を組むということも一つ方法であるけれども、現在の予算の流用によって、政府農林大臣大蔵大臣が話をまとめたらば直ちに買い上げができると私は信じている。ただ、これを実行するかせないかということは、政府決意いかんにあると信ずるのでありますから、現在のでん粉価格では非常な不安な状態におって、イモ作はいままさに植えつけようとする段階でもあるのでありますから、この際、このでん粉の下落は防止せなくちゃできない、防止するためには、ある一定の数量をすみやかに買い上げるのだ、こういうふうな方針で進んでいかなくては、私は現在のでん粉暴落を防止することはできないと考えておるのでありますから、松野政務次官がよく大臣とも打ち合わせ、また大蔵大臣とも打ち合わせられて、一日も早く第二次、第三次買い上げが実現できるようにお願いしまして、私の質問を終わります。
  10. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 大臣ともすぐ協議いたしまして、すみやかにその対策を立てたいと思います。
  11. 北口龍徳

    北口龍徳君 いま温水委員から言われたことは、痛切に私どもといたしましても考えるわけでありますが、いま松野政務次官の非常に好意ある御答弁で私ども了解いたした次第であります。私この前の委員会で申し上げましたが、甘味資源も通過いたしましたけれども九州におけるイモ作というものは、これはもう九州農民の重要な問題でございまして、しかもいまお話のように、カンショ植えつけ前におけるこういうようなでん粉暴落ということになりますと、これは非常に大きな打撃でありまして、私は政府農山漁村の画期的な振興をはかるというような、そういうたてまえからいたしましても、ことに九州——南九州におけるカンショ作というものにつきましては、これはもう相当ひとつ大きなウエートを置いて考えてもらいたい。私はこれは酪農、畜産のほうとも関連する問題だと考えます。この点につきましても、水田作における稲作、畑作におけるいまのイモ作カンショというようなことは、これはもう絶対不可欠の問題でありまして、そういう点において、ひとつ十分この点におきましては、いまのでん粉の問題とも直接大きな関連を持つ問題でございますから、これはひとつ真剣に御考慮願って、いまの甘味資源の問題とも重要な関連を持つわけでございまして、御考慮願いたいと存ずるわけであります。
  12. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) お話しの点はよくわかっております。私も、この間のこの大会にも直接出ておりまして、よく実情を聞いております。すみやかに大臣と相談して善処いたしたいと思います。     —————————————
  13. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) これより土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は御発言願います。
  14. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 大臣がお見えになる前に、一昨日お尋ねをした点について資料をいただいて、さらにまた若干の説明をしていただきましたので、その点について、まず農地局長にお伺いしたいと思います。問題は非常に地域的な問題ではございますけれども一般干拓としては共通な問題もあろうかと思いますので、あわせてお尋ねをしたいと思う。  まあ、干拓には、まず計画を立てる場合に第一に問題になるのは、水の問題じゃなかろうか、かんがい水の問題だろうと思うんですが、三池の干拓の場合は、私のお尋ねした範囲では、まず、初めの計画が非常に粗雑であったといいますか、無計画でなされておったということがまず一点指摘されると思うんです。しかし、その後、いろいろ状況も変わって、資料をいただいて、その説明を聞きますところ、日鉄鉱業所坑内水をそのかんがい用水に充てると、こういう御説明でございますが、しかし、その坑内水については、ペーハー八・五、塩分濃度〇・一五%程度であると大体推定される、こういうお話でありました。私も化学には非常に弱いので、実はお聞きをしたいという考えをさらに強めたわけなんですが、ペーハーでいうと、大体中性を七とすると、八・五というのはアルカリとしてはかなり強いほうじゃないか。で、そのままでは使えないので、それで背後地域流出水、これでもって希釈をする、その背後地流出水ペーハー六・五と、こういうわけなんですから、弱酸性ということになろうかと思うんですが、それで希釈すると大体ペーハー七・五の水になると、こういうように言っているようです。  そこで、お尋ねしたいのは、私はしろうとで、さっき申し上げましたように化学に弱いんですが、大体この酸とアルカリについて、この点、いかように干拓の土壌についてはお考えになっておるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  15. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) いま先生指摘のとおり、ペーハー八・五を七・五、塩分関係は〇・一、五%を〇・〇一%に希釈する。この希釈ペーハー七・五、塩分濃度〇・〇一%であれば稲作影響はないというのが専門家の判定でございますので、私も化学に弱いのでございますが、この稲作影響のない水質として判断をいたしておる次第でございます。
  16. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうしますと、その計画によると、田畑輪換考えられているわけで、永年水田もあれば固定した畑も計画されておる。そうすると、畑灌にもこの水をそのように使うわけでございますか、その点いかがでございましょう。
  17. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先般来の御質問で、私もいろいろと現地につき調査をいたしまして、若干訂正させていただきたい点がございます。  その一点は、先生指摘のとおり、確かに総体的に水の不足の地区であることは御指摘のとおりございます。したがいまして、先般御説明いたしましたように、隈川流入水日鉄坑内水のほかに、農業機関以外に貯水池の中に水をためておく、この三本立てで水源措置を講ずる計画になっておるわけでございます。それにいたしましても、総体的に水が必ずしも十分でないという面も勘案いたしまして、先般三百数十ヘクタールという田の計画を申し上げましたが、そのうち二百四十八ヘクタールが田畑輪換として、半分はたんぼとし、半分は畑とする。で、永年水田として九十六ヘクタールを、これは低位部でございますが、水田としていく。そこで、田畑輪換に相なりますと、畑につきましても水を要する場合には、総体的に田を畑にする場合には水を要しないというような関係がございまして、田畑輪換方式でまいりますれば、この水で足りるという立場に立っておるわけでございます。で、特に畑灌を必要とするということでございますれば、先ほど来の水を使う、こういうかっこうに相なります。
  18. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 御説明を聞くと、堤防に近いところに貯水池をつくる。で、それに背後地流出水をためて、その貯水池坑内水を入れて希釈する。それをまた。ポンプアップしなければ、この低地のほうに、低いほうに貯水池があるわけなんですから、かんがい水としてはまた。ポンプアップして上のほうに揚げなければいかぬ、こういうことになろうかと思うのであります。それでも、この計画によりますと、この地域はかなりそのかんがいの場合には、川そのものが水が足りない——川そのもの流域かんがい水としては足りない、こういうこともこれにいっておるわけなのですね。説明にもそれがありました。私も現地でそういうように思っております。そうすると、結局干ばつのときには、その貯水池を唯一のたよりにしなければならない、こういうことになるわけです。そうすると、相当塩分もありますし、重ねて坑内水を使うわけですから、かんがい用水としてはまことに不安定といいますか、不適当な計画じゃないか。まあ不適当というのは少し言い過ぎかもしれませんけれどもかんがい用水としては粗雑といいますか、不安定といいますか、そういう計画じゃなかろうかと思うのですが、その点、万全を期せられているのですかどうですか。
  19. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 御指摘のとおり、当初はさく井——井戸考えたわけでございますが、井戸につきましていろいろ問題があって、現在の計画はそのように相なっているわけでございます。なお、隅川の水の問題は、こういう仕事をいたします際には、過去十年間の流量その他を参酌して所要最を計算いたしておるわけでございますので、十年間に見ないような異常な干ばつ等がございますと、御指摘のような問題はございますが、計画はすべてどこの地区でございましても、大体十年間の確率の上に水量その他の供給量を算定いたしておりますので、計画といたしましては相当安全をとっておるつもりでございますが、なお万全を期するようにということでございまして、現在水質についてもなお調査をいたしております部分もございますし、特に水源の比較的少ない地帯でございますので、考え方といたしましては、この日鉄の水と、隅川の水と、この貯水池の大きさ、この三者をもってこの地区農業用水の確保には万全を期してまいりたい、かように考えております。
  20. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 大体地理的にもよ、御存じのようでございますが、隅川というのは背後地というのは非常に狭いのですよ。しかも右岸から水田として開けているところはほとんど干拓地です。これは。その名の示すとおり、三十丁、四十丁、五十丁、六十丁というような名前がついている。立花の藩公の時代にずっと広げた、ほとんど干拓地です。ですから、隈川そのものが人造の川なんです。人間がつくった川なんですね。ですから、その川そのものが既存の、干拓地を潤すのにどうやら足りるか、まあどうかというような土地なんですね。そこへもってきて、約四百町歩になんなんとする水田をもしやるとするならば、ほとんどこれは無謀じゃないか、こういうように私は思って再三質問をいたしておるわけなんです。なぜそういうように質問をするかというと、当初から私が申し上げておりますように、これは農地として不適だと、農作物はどうもうまくいかないということになりますと、その海岸に面したところはすでに日鉄鉱業所の私有地になっている。しかもそれから引き込み線も引く。しかも新産業都市指定地域である。こういう点から、すぐにでも工場地帯といいますか、そういう地区にかわる可能性が強いから言っているわけなんで、そういう点で、さっきから何度もお尋ねしておりますけれども、絶対狂いはないのでしょうか、どうでしょうか。もうくどいようですけれども、お聞きをしておきたいと思います。
  21. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず最初の点でございますが、隈川流域は確かに御指摘のとおり旧干拓地帯でございます。そうしてこの隈川の水を流します際には、既得水利権——先生方おっしゃいましたような慣行水利権を侵すことはできないわけでございます。したがいまして、こういう計画を立てます際には、隈川の河口で水が放流されておる過去十年間の水量いうものを測定いたしまして、上流の、あるいは沿岸の水に影響なしに使える量を算定をいたしますのが土地改良におきます計画上の原則であり、ルール、でございます。したがって、隈川の水を、予定いたしておりますところの二百四十八万トンの水は、十年確率からいえば確保できる水であり、かつ上流沿岸既得水利権も侵さずに利用できる水という立場で設計、計画を立てておるわけでございます。それで御指摘のとおり、私どもも、ここの干拓地における農民に配分し、農業をいたす地帯でございますので、水がなくて配分できず、ものがつくれないということになっては絶対ならないわけです。重々の御注意でございますので、私どもいまの計画で粗漏はないと存じますが、なお今後とも干陸計画の策定その他にあたりまして、十分留意して遺憾なきを期したい、かように存じます。
  22. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 大臣見えになりましたから、こまかい点については質問を飛ばしまして、大臣お尋ねしたいと思いますが、いま農地局長お話にも出ましたように、干拓をすれば当然それに水を引かなければならない。そうすると、慣行による水利権というものとの問題が起きてくる。で、その水利に対して基本的にどういうようにお考えになっておるか。農林省として、たとえば大きな干拓をされる場合に、その慣行による水利権等の問題をどういうふうに取り扱われるのか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 水利権利といいますか、これはもうずいぶんやかましい問題でして、慣行による水利権というようなものは、一つ法律的な権利のようにまでされておるくらいでございますから、水利権につきましては十分尊重しなければならぬと思います。水資源の問題、あるいはその他につきましても、水利権を非常に尊重しておる例がございますとおり、干拓等におきましても従来の水利権は十分尊重し、また干拓等によりまして水源を必要とするという場合には、新たにまた水利権を尊重しつつ水源開発といいますか、水利開発といいますか、というようなものをはかっていかなければならないと思います。そういう意味におきまして、お尋ね水利権は十分尊重していきたいと思っております。
  24. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 先ほどからお尋ねをしておる干拓にいたしましても、相当広大な土地を造成するというんだけれども、水については当初計画が不十分であった、こういうように言わざるを得ないわけです。結局干拓は、水は天からもらい水、そういうかっこうになっているのが一般実情で、まあおっしゃるとおり上のほうからずっと余った水が流れてくるわけですから、最後に水が水田にわたってくる、田植えも最後になるというようにいままでなっている。そこで尊重されるんですけれども、最近水利権についての考え方が、政府のほうに若干変わった見方があるのじゃないかというふうに私聞き及んでおりますけれども、そういう点で、政府で何かそういう干拓、あるいは構造改善事業等が行なわれる、そういうものと関連して、何か考えがございますか。
  25. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 水あるいは水利権に対する考え方というか、方針として、別に従来と変わっておることはございません。ただ御承知のように、多目的に使うとか、あるいは干拓地等土地改良をしたところ等におきまして、農業用ばかりでなく、ほかの用途に使うような事態も、環境の変化等によって生ずる場合がありますけれども水利権あるいは水の問題等に、変わった考え方といいますか、別にそういうものは持っておりませんで、従来どおりの考え方で進めておるわけであります。
  26. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 これ以上はそれについてお尋ねしませんが、次に、おとといも高山委員から関連質問として出ておったようでありますが、私も農林大臣お尋ねをしました食糧自給の問題です。食糧自給については再三、まあ誤解といえば誤解かもしれませんが、われわれはまあそうじゃないかというように思うことは、だんだん食糧自給度を、産業全体から考えてあまり重んじていないのじゃないかというように思うわけなんです。と申しますのは、先だって新聞に発表されたのですが、貿易が完全に自由化した場合に、一体農業はどういう状態になるだろうかということを、経済審議会の小委員会発表されたことがございます。それを私は見ましたのですが、それによると、数字がいろいろ書いてございました。その数字によると、だんだんその自給度が下がるようになっているわけですね。そこで、そのどれをとっても、大臣がおっしゃるように、自給度を高める高めるとおっしゃるけれども、実際は自給度がだんだん下がっていく、こういう発表をしているわけです。この間、観測を見ても、どれを見ても、そう上昇するという、結果も上昇するというようには受け取れないような面が多いわけです。そこで、私は農林大臣にお聞きをしたいのですけれども食糧自給について、どうもはっきりした方針といいますか、そういうものが農林省にないのじゃないかというような、ないのかというと誤弊がありますけれども、ほかの高度成長政策の圧力といいますか、そういうしわ寄せといいますか、そういうものが農業にずっと強くやってきているのじゃないかというように痛感するわけなんですが、そういうことについて農林大臣どうお考えでしょうか。
  27. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま御指摘の、倍増計画中間検討等におきましての調査ばかりでございませんが、全体的に見まするというと、甘木ばかりでなく、世界的に自給度というものはだんだん減ってくるという趨勢にはあると思います。日本においてもそういう趨勢にはございます。しかしながら、全体としては減るといたしましても、物によってはこれを逐次増していくようにしていかなければならぬものがあると思います。食糧自給度でありますから、捨てておきますれば、たとえば砂糖などにつきましては自給度がずいぶん少ないわけでございます。この点等につきましても、てん菜糖につきまして、この間法律の御審議を願っておりましたように、自給度を増すということでございます。そういう方針で進めておりますが、特に日本の場合におきましては、米等につきましては八〇数%、九〇%近い自給度じゃないかと思います。こういうものは決して計、画的に自給度を増していくことを捨てておるわけではございませんで、たとえば所得倍増並等におきましても、面積において、あるいは収獲面におきまして、急激ではございませんが、逐次増していくように計画の上にもなっておるわけでございます。でございますので、食糧というもの全体といたしましては、これは自給度は減るような傾向にあると思います。しかし、物によりましては逐次増していかなければならぬ、特に米等につきましてはそういうように考えられるわけでございます。
  28. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 米については、相当戦前よりも増産されて、自給度はずいぶん高まったと思う。ところが、最近だんだん米が足りないと、こういうことが言われておる。どれだけ数字的に足りないのかは明瞭でありませんけれども、不足すると言われておりますが、しかし、それはいろいろ原因があって結果が出てきたと思いますけれども、確かに新産業都市の進出といいますか、そういうものがだんだん本格化していく、工場が具体的になっていくというようなことになれば、当然水田がつぶされる、農地がつぶされることは当然でありますし、そういう面からもだんだん生産も少なくなりましょうが、しかし、何度も言われますように、零細農家では米つくりに熱中するというそういう従来の意気込みがなくなって、農業外に収入を求めるというので、結局、技術的にも落ちておる。そういう点からも減産になってくるのじゃなかろうかと思いますが、しかし、そういう足りないというような、不足するというようなことが起きてきて、最近、足りないからとおっしゃったんではないでしょうけれども赤城農林大臣は、消費者米価生産者米価にスライドさせる方式を確立させたいというようなことを最近おっしゃっておるようですが、この前の私の質問に対して、ことしはやらないということをおっしゃったし、公共料金が上がっても、公共料金とはたてまえが違うからというようなお話もございましたが、ところが、スライド方式をとるということを検討するとおっしゃることは、私は消費者米価を何らかの形で上げるということを公表されたと同じようなものじゃないかというふうに私は思うのです。一般もそういうふうに思っておるのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょう。
  29. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 結論的に言いますならば、消費者米価はことしは上げないという方針は堅持いたしております。それからスライド方式ということを申し上げたのは、生産者米価消費者米価との関連を持たせるような考え方で、生産者米価あるいは消費者米価を決定することが私は合理的じゃないか、こういうふうに考えております。ですから、たとえば生産者米価が千円上がったから消費者米価も千円上げるというような、そういうスライドでなく、米価が上がった場合に、政府も負担するけれども、消費者もある程度負担するというような一つの要素があるのじゃないか、そういうところの検討をしてみたらどうか、こういうふうに考えて、まあスライドということばが適当かどうか知りませんが、関連して考えてみたらどうかということを私自身考えておるわけであります。この影響は、いま申し上げたように、影響といいますか、それについて二つの見方があると思います。一つは、生産者米価が上がったときに消費者米価も、そのままじゃありませんが、ある程度上げる。上げるつもりでやるのかと、こういう政治的な判断、見方があると思います。それから、もう一つは、生産者米価を上げていくということにつきまして、も、いろいろ支障が財政的その他の支障がないわけじゃございません。したがいまして、消費者米価も上がる。すなわち底上げになってくる。底上げになってくれば、生産者米価の上げ方もより以上、上げられるワクといいますか、可能性も出てくるのじゃないか。全部が全部政府で持てという考え方に立てば、これは別でございますけれども政府と消費者と、一部分は生産者米価の値上がり等についても負担すべきものであるという考え方からすれば、いまのスライド的な考え方は、二面においては消費者米価生産者米価にある程度スライドして上げるということは、その次の段階においては、まだ生産者米価をもっと上げ得るワクが出てくるという見方もあると思います。あるいはまた、逆に、消費者米価を上げるために生産者米価をあまり上げないで、引きずりおろすというわけじゃございませんが、押えるという結果になりはしないか、こういう見方も私はあると思います。そういう二つの政治的な見方があると思います。私は、まあ理論的といいますか、そういう点から、生産者米価消費者米価との関連をつけた、もっと関係の深い形で両方の価格がきまることのほうが私としては望ましいのじゃないか、こういう立場から申し上げておるのでございまして、もしそういう検討をして、結論が出たからといって、すぐに消費者米価の値上げのためにこれを利用しよう、こういう考え方じゃありません。
  30. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 いよいよ米価のシーズンといいますか、そういうシーズンになってくるわけですが、消費者米価生産者米価にスライドして考えるということになると、私はちょうど牛乳と同じようなかっこうになりはせぬかと思うのです。と申しますのは、生産者の乳価を上げてくれという……。そうすると、結局乳業メーカー、あるいは小売業者、こういうものも、いま入費が多いのだから、あるいは経費が高くなるのだから、だからそっちのほうは頭打ちになっているので、これを上げてくれれば生産者乳価を上げましょう、これも一つのスライドといえばスライドという感じだと思うのですが、実際スライド制をとっているところはあるのです。スライド制といいますか、それに似たような、それは福岡県の地方酪連があります。地方酪連は雪印乳業と販売会社をつくっている。販売会社と、両方がフィフティー、フィフティーでやる。そうすると、この生産者乳価を上げる場合は、消費者乳価を上げたとき、そのときにスライドしてやることという取りきめを大体しているわけですよ。そういうような形になってくると、結局生産者から突き上げられてくると、消費者の乳価を上げていくということになると思う。で、今度の乳価の問題も、私は北九州からまず問題が起きたと思う。で、十四円だったが、東京、大阪並みに十六円にしてくれということで、二円上げた。それが一般的にずっと全国的な乳価の値上げということになり、そういう波がきたようにも思うわけなんです。そうすると、いまの大臣、米のいスライド制というものに、何かそこらに似たような状況が見られるわけなんですが、そうすると、米価というものをますます刺激して上げていくのじゃないかというような、あるいは一般的な物価の値上がりに関係が非常に多いので、これはたいへんなことだというように私は思うのです。その米価のスライド制というのは、一体大臣考えているスライド制というのはどういうことなんでしょうか。
  31. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  32. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) じゃ速記つけて。
  33. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は乳価の場合とは違うと思います。乳価はもうたてまえから言えば、自由取引ですから、乳価においては、売るほう、買うほう、これは自由取引の問題でございます。そういう場合に、これはスライド的な考え方でやっていくということは、私はこれまた適当だろうと思います。しかし、この米の場合は、国が直接統制しておるのでございますから、買い上げて売る、その足らない分を国が負担している、こういう形でございますが、消費者米価だけは永久に上げてはいけない、こういうことは私はあり得ないと思うのです。そこで、いままでのやり方では、思い出したように、赤字がたまってくるというと、三十一年——前に私も農林大臣をやっているとき一回と、それから、三十七年おととしですか——一回、消費者米価を上げた。こういうように、思い出したようなときに上げている。こういう形では、私はあまり合理的じゃないと思います。それからまた、消費者米価を上げちゃいぬか、生産者米価はどんどん上げてもいいが、消費者米価は絶対に上げちゃいかぬ、政府が全部その差額は持て、こういう考え方も私は適当でないと思います。したがいまして、消費者米価も、あるときにはこれは上げなくちゃならぬということは、これは考えざるを得ません。賃金は絶対に上げちゃいかぬというのと同じように、そういうような考え方では私はいけないと思います。ということならば、やはり生産者から買って消費者に売り渡しているという、この政府が統制をしておる米でございますから、生産者米価が上がる場合において、消費者もその上がったものの何分の一か、当然負担してもいいものはこれは負担する。そうでないと、いまの食管制度で見ましても、見方によりましては、人によっては、これは社会保障的な制度だと——保障的と言えば私は的だと思いますが、裕福な人にも、金持にも、同じように生産者から見れば相当もっと高く売れてもいいような米を、安く裕福な人にも配給しているというような形になっておりますが、全部が全部、政府で見るということは、私はどうかと思います。  さりとて、今度は、家計の面ということでときどき上げるというようなことよりも、やはり関連をつけておいて、その関連の面において、毎年——毎年ではございませんけれども、ある一定の限度というようなものがきたときには、これは相伴って上げていく、こういうような形のほうが私は合理的ではないか。これはいろいろ方法がありましょうから、研究の結果を見ませんと、いろいろ数値をあてはめてみたりしませんと、はたしてそれがよくいくかよくいかないかということは、いま断言しかねますけれども、私はたてまえとしては、そういうような考えでも決して悪い考え方ではない、こういうふうに思っております。
  34. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 委員長からちょっと注意もありましたが、この問題はあとで聞くことにいたしまして、今度の土地改良事業の改正は、かなり二十四年のときの考え方とは、相当農業基本法、あるいは今日の構造改善事業等を取り入れた、大幅のものだと私は思っているので、そういう点もお聞きしたわけですが、今度、特に選択的拡大ということを取り入れて、草地についての改善事業を重く見てあるようですが、酪農の問題で、まず自給飼料の問題が当然重要であることは申すに及ばぬと思いますが、それでは大体自給飼料は、農林省としてはどのくらいの。パーセンテージまで自給飼料を上げていこうという御計画なんですか。
  35. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いろいろな酪農関係、それから畜産関係委員会等におきまして、いまお尋ねのようなことに対しましての参考書類なども出してあると思います。私ここでその程度数字をいま持っておりませんので、もし、次の機会にでも、事務当局から御説明をいたさせたいと思います。
  36. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 実はそれをお聞きしたのは、干拓計画書によりますと、入植、効果というところに、飼料作物作付面積が百九十二ヘクタール一七、そこで乳牛六百四十頭、こうここに出されているわけです。こういうのはどういう試算で出してあるか。これは農林大臣でなくて、ほかのところからでけっこうですから。
  37. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) この三池干拓地区の当初の計画考えます際に、米作オンリーでなく、乳牛を導入したらどうかという構想が一部あったことは事実でございます。したがいまして、この計画の中には、別途、先ほど申し上げましたような畑の計画が入っておるわけであります。それで、当初の計画では、乳牛に一頭当たり四キロの飼料作物を供給するとして、六百四十頭という計画をこの当初計画では立てております。現在の段階におきましては、これから干陸計画で具体的な計画を立てるわけでございます。で、その際に、先ほど申しました二百四十八ヘクタールの田畑輪換、したがって、これは半分が畑地に相なります。そのほかに畑地が三十五ヘクタールあるわけであります。そこで、この地帯の営農の形としては、酪農を加えるという案と、その地帯もだいぶ発達いたしますので、蔬菜作をやったらいいのではないか、この二案を策定いたしまして、現在、干陸計画調査の問題として、福岡県及び九州農政局で検討中の問題でございます。酪農乳牛六百四十頭ここに入れるというふうにきめておるわけじゃございません。  それからなお、先ほど大臣の御答弁におきまして、先般お配りいたしました飼料の自給率の関係の問題でございますが、お配りしました資料の備考にも出ておりますように、粗飼料と、国内産濃厚飼料の合計に対します国ベースの自給率は七〇%、それから草食性の家畜に対しましては七〇ないし七五程度のものを、これは自給という意味の考え方でございますが、牧草並びに飼料作物で、濃厚購入飼料というものでなく供給したいということを、昭和四十六年度の試算では一応想定いたしておる次第でございます。
  38. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうすると、この三池干拓については、まだ営農のなんといいますか、計画はもちろんであるが、どういう農家をそこへつくり上げようか、どういう農業部落をつくろうかというような、そういう構想がまるっきりできていないのじゃないですか。
  39. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先般来申し上げておりますとおり、だんだん工事が進みまして、干陸いたす時点の経済情勢下で具体的な形をつくり上げることが一番理想的であるとわれわれは判断をいたしております。したがいまして、四十一年ないし二年に完成いたします地域でございますので、三十八年と三十九年で調査費を組みまして、現地の実態、それから流通の状態等を考えて、現地で一番いい営農対策というものをその時点においてつくり上げる、こういう考え方をほかの地区でもとっております。
  40. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうすると、干陸ができてしまって、干拓ができてしまって、いよいよ入植するとき、いろいろな経済状況を見たり、いろいろ見てそのときに策定しなければならぬという、全くわれわれから見ると行きあたりばったりといいますか、場あたり農業と言わざるを得ない。特に干拓地では、既耕地ではなかなか困難であるところの大規模のモデル経営農家が考えられると、私はこう思うのです。いま既耕地、既存の農家を移動したり、あるいは交換分合をやったり、いろいろなめんどうなことをやってパイロット地区を指定してやっているのですけれども、こういう土地こそもっと計画を綿密に立てて、そうしてこういう農業、農家をつくるのだということをお示しになるのが農林省計画じゃないでしょうかね、どうでしょう。
  41. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先般、大臣も御答弁申し上げましたように、八郎潟のような所におきましては、そういう考えでぜひ進みたい。それから内地の沿岸におきます周辺の、うしろに背後地を控えまして、そこで非常に零細的な経営が現に営まれております地帯干拓地の利用の方法といたしましては、そこにおります方々に増地をいたしまして、在来持っておる土地と、新たに手に入れます土地とを総合いたしまして、できるだけ基本法の線に沿った経営体にしてまいりたいと、こういう考え方を基本法に持っております。そこで、先般大臣も申し上げましたとおり、現在一町歩で仕事をしておるそういう方に、もう一町歩分けまして、二町歩の経営体としてそこがりっぱにいく、こういうことを主として、周辺におきます比較的小規模の干拓におきましてはやっておるわけであります。したがって、この地区におきまして、背後地におきますところの営農の実態、増地を受けます方々の現在の営農の実態というものの調査、それからそういう調査の上に、干陸地において配分いたします土地をからみ合わせまして、一つの経営体としてりっぱに生きていくという方法考えたい、こういう立場考えておる次第でございます。したがいまして、もちろん当初におきましては、ある構想を持ちますが、先般来お話しもございますとおり、二十七年に着工いたしまして、相当の情勢の変化を受けておりますので、配分の時点以前におきまして、調査費をつけまして、二年間かかりまして慎重な設計をするということを行なっておる次第でございます。
  42. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は大臣にお聞きしたいと思うのですが、八郎潟のような大きいところなら計画を立ててやると、自治法も一部改正になって、新しい村をつくるというふうなこともおきめになったので、これはよくわかります。じゃ、小さいといっても、二百戸の入植を計画考えられている。だから増反が二百戸なんですよ。入植二百戸の、増反二百戸ですよ。そういうところなんですから、しかもそのすぐ近所には三瀦地区という大機械農場パイロット地区を指定してもうすでにやっているのです。だからここを、八郎潟のような大きいのじゃないから、いや、それは背後地がどうのこうのといまおっしゃるけれども、これはもうわかり切った話です。どこだって。そこで、大臣にお聞きしたいのは、こういうわかり切った計画が立ってあるのを、いつまでももたもたまだそういう御説明を聞かなければならぬのでしょうかね、どうですか。
  43. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま御指摘のように、私もこれを調べてみると、お話しのように、ここの地区に入植戸数が二百戸、それから増反戸数は二百四十二戸を当てた当初の計画があるようでございます。しかし、これは当初の計画でございまして、土地が造成され、完成するに従いまして、これは当然調査をして変えていかなくちゃならぬ問題が含まれておると思います。干陸の計画地でございますから。それに伴いまして、この割合等もどういうふうにしたらいいかということにつきましては、さらに一そうの検討を加えていく必要があろうと思います。またこれは検討をしつつあるわけでございますが、当初計画どおりでいくというわけじゃございません。
  44. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は、ここにパンフレットがあるが、このとおりにおやりになるかどうかということを聞いているのじゃないのです。農林省としてはこういう干拓地をどういうイメージを持った農業地域にされるかということをお聞きしているわけなんです。そういう計画を持っておるかどうかということをお聞きしているわけなんです。特に構造改善事業、あるいは基本法でもおっしゃっているように、自立経営農家をつくるとおっしゃるのでしょう。だからそういう問題をまず描かれて、ここはこうなるのだということをお示しにならないと、何かあいまいにされていると、どうも水が不安定だ、あるいは干陸計画が終わらないと背後地の問題もいろいろあるからと、こういうようなことをおっしゃると、では新産業都市になるから、そのうちに工場地帯になるのだからというようなことになって、なかなか複雑な問題が起きてくる。そうすれば当初の目的からそれは幾らか変わるでしょう。変わるでしょうけれども農業用地とすること、農地とすることについては、これは当初のとおりだと私は思うのです。だからそういう点をどういうようにお考えであり、どういうような計画を立てて、いつどういうようにされるかということを念を押して聞いているわけです。
  45. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは小官さんにこの間私答弁したはずでございますが、農業として自立経営ができるようなことを、基本法においても目途としておりますし、現在においてもそういう点でありまするが、かりに二町五反なら三町五反が適当であるということならば、この土地に入植していく場合には二町五反で入植ができるような形、また増反をしなくちゃならぬ近くの農家におきまして、先ほど農地局長からもちょっと例を引きましたが、一町歩で、あと一町五反だけこの土地で耕作ができるような土地を得られるならば、これは自立経営として非常に適当な形だ、こういうことであるならば、一町五反を増反の形でここで配分するというようなことを行なう、こういうことで、農業として前向きに進んでいけるような、経営ができるような形において、あるいは入植あるいは増反、この土地は増反を主とするような形になると思いますけれども、そういう形でいくということでございますから、一つの型、イメージというわけではございませんけれども一つの型をもって進めておるわけでございますが、それがいつごろにそういう計画ができるかということでございますが、これは三十九年度中には大体そういう目安がといいますか、めどをつけていきたい、こういうことで鋭意検討を進めておるような次第でございます。
  46. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 大体これは長く聞こうと思いませんが、聞いているうちに、これに計画を立てたのは、酪農を当初考えたのだ。ところが、野菜にしようか何にしょうかというように考えているというようなこともおっしゃるし、だが、野菜というのはもう去年で試験済みなんですよ。筑後地帯において野菜というのは。だからこれについても野菜なら野菜ということをきめられるなら、一体どういう計画の蔬菜地にするか、酪農なら酪農をどうするかという点をはっきりしたものをつくっていただかないと、その場その場で、こう聞かれればこうなんだ、こう言えば、いや、まだ検討中だなんて言われたんでは困ると、こういうことを私は申し上げているわけです。  それでは、次にお聞きしたいのは、干拓はわりに肥料も要りませんし、わずかの年数がたてばりっぱな田畑になりますし、そういう点ではかなり農家としても定着がいいと思います。しかし、一般の開拓は、都市近郊の開拓地というのはなかなか定着しておりません。そういうわけで、しかもあまり適当でなかった土地などは入植の成功率が悪いというように思うので、これまた今度の開拓については、いろいろな政府考え方があるようでありますが、旧入植地の営農不振の状況というのは、これはいつも言われることでありますが、どういうところに原因しておるのか、また今度四十五万円を、離農のために離農手当てというものをおやりになるようですが、それで一体離農したものがどういう方向に定着し、どういう方向にこれを定着させようとお考えであるのか。お聞きしたい。
  47. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 開拓地の状況はいまお話のとおりでございます。開拓地の立地条件が非常に悪かったところ、あるいは開拓に入植した人が農業にあまりなれておらなかった人が多いのでございますが、そういう面でよくいっているところは非常によくいっていますし、よくいっていないところも相当出ておるわけであります。そこで離農の資金を四十五万円ですかにいたしまして、農業をやめたい、他の職業につきたいという場合におきましては、その道を選ぶのが適当と思う者にはそういうふうにしてもらうことにいたしておりますが、これはどこに定着するのかということでございますが、これは職業でございますから、いろいろ一定の職業ということにはちょっと答弁しにくい思います。いろいろな職業だと思います。ただ新しい職業につく場合におきまして、せっかくの離農資金が役立たぬようでは困る、すなわち返済や何かでそれを取られてしまうというか、そのほうに回されたんではせっかくの離農の目的が達せられないので、そういうものについてはいろいろな指導していきたい、使えるような形に指導をしていきたい、こう考えております。
  48. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 大体、成功しないで、離農しなければならぬというような開拓者というのは、ほとんど借金といいますか、そういうもののできる範囲のものをしょい込んでしまって結局どうにもならぬ、こういう人が大多数じゃなかろうかと私は思う。そこで、四十五万円というのを離農手当てとして出していただくことはいいと思いますけれども、しかし、それでは借金を返すのに一ぱいになって、すでに離農といっても、ちょうど炭鉱の炭鉱夫が廃山になって職を変えると同じような取り扱いをして そういうようなことでもやらない限り開拓農民というのは救えないのではないか、こういうように私は思うのです。そういう点について、炭鉱とは違いますけれども、やはりその当時は引き揚げ者その他の人方が、政府から開拓地を与えられるというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども食糧増産のためにそこへ落ちついてやった、しかし、土地があまりよくなくてついに成功しなかった、そこを出ていかなければならぬということでございますから、そういう何か離農手当てとともに、職業訓練をするとか、あるいは職業のあっせんを積極的にやって、次の生活を確保していく、こういうようにしてやっていかなければいかぬのじゃないかと思うのですが、この点について農林大臣いかがでしょうか。
  49. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまのお話のような方向でやるように、下部のほうにも私は指導しておりますが、特にこれは労働省関係の協力を求めていかなくちゃならぬと思います。そういう意味におきましては、労働省方面にもいまのお話のような線で協力を頼んでおります。ただ、いまのお話で、訓練中の費用を出すとか、こういう方面にまでまだ話をしておりませんが、いままでの機構を十分生かして、いまお話の目的のようなことに協力してもらうというようなことにつきましては、労働省ともよく相談をいたしておる次第でございます。
  50. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうすると、農林省内部でできる問題としては、いまの干拓地あたりの入植ですね、こういうも第八部——農林水産委員会会議録第一のを優先的にやるようようなお気持ちはございますか。
  51. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 離農するのは開拓地で失敗したのでございますから、干拓地では成功するかもわからないから、失敗したから干拓地ではだめだという断定は下せないとは思いますけれども、大体におきまして離農する人は農業外にいこうということではないかと思います。しかし、干拓地に入ってほんとうにまた出直すんだ、こういう希望と能力が相当あるというようなことでありますならば、こういう干拓地に入植してもらうということも考えられる方法でございます。
  52. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は、開拓地を離農しなければならぬというような人は、結局生産性が非常に低いので、だから収入を農業外に求めるというよりほかに手がないものですから、したがって、出かせぎに出る、結局それと相呼応して開拓のほうがおくれてきた、両方関係し合ってそういう結果になったというふうにも思うんです。ですから、まず意欲はあっていろいろな方法を講じた、あるいは酪農をやろうといえば、一腹しぼりの乳牛買ってやるとか、あるいはいろいろなものをやってきたけれども生産性が低いから結局農業外に手をつけてどうにもならなかった、こうなったんです。そういう点から考えると、一がいに大臣がおっしゃるようなことばかりにもいかぬと思う。その人の意欲によっては成績をあげるということにもなろうと思います。そういう点考慮していただきたい、こういうふうに思います。
  53. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私の申し上げたのもいまのお話と別に違っておらないわけであります。大体は離農ですから農業を離れるかもしれませんが、しかし、その立地の条件といいますか、土地によってまずくいった人もあるのでございますから、干拓に入ればまたよくいく人もあるかもしれません。能力的、あるいは土地関係等によりまして、干拓では熱意を持ってやれるというような場合もその人によりましてあろうと思います。そういうものを阻害する必要はございません。そういう適当な人がございますならば、やはり干拓地への入植ということも考えられるべき問題でございます。
  54. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 だんだん時間もまいりましたけれども、これで終わりたいと思いますが、最後に、新産都市あるいは工業進出によって公害、これが起こる可能性が多分にあると思うんです。そこで、土地改良とは直接関係はございませんけれども、やはりばい煙等の害がある、あるいは海水が汚染すれば漁業に対して被害を及ぼす、こういういろいろな問題が起きてくると思うんです。そこで、新産業都市その他工業地においての公害問題については考慮するということを言ってあるようでありますが、農林大臣としては今後どういうような施策をなさるお考えなのか、これがまず第一点。  それからいまの三池の干拓にまた関係いたしますけれども、有明海はノリの主産地といいますか生産地として、かなり成績をあげておるわけでございます。そういうものを考えると、相当公害という問題は今後トラブルを起こしてくると思いますが、そういう点をどういうようにお考えなのか。また、最近、ノリを輸入する、韓国から輸入するということを、前はやらぬとおっしゃっていたのですが、最近は、どういう時期にやるかわからぬけれども、とにかくノリは不足しているのだから輸入をしなければならぬというようなことをおっしゃったようにも新聞に出ておったようでありますが、もし輸入されるとするならば、どのくらいを考えておるのか。あるいは、その時期をどういうように考えておるのか。これは直接は関係ございませんけれども農林大臣なかなかお目にかかる機会がないので、この際聞いておきたいと思うのです。
  55. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 水質の汚濁等は、海におきましても、あるいは河川等におきましても、あるいは、新産都市等が大体におきまして工業都市でございますから、公害というような問題が、だんだん強く起きてくると思います。現在は、御承知のように、水質汚濁に関する二法律がありますけれども、十分な適用をしておらぬように私も感じております。こういう法律の適用、なおその他、公害が農業への影響がどういうふうにあるか。ことに新産都市については、いまの御指摘のように、相当これはあると思います。農林省といたしましても、官房総務課などを中心といたしまして検討を進めさせております。そういう意味におきまして、あすこは農薬の問題もありましたが、いろいろな公害等につきましての検討を進め、ことに新産都市などの場合には、あらかじめそういうことが起きないような措置を計画の中にも入れるように、農林省としても注意を喚起いたしたいと思います。  ノリの問題でございますが、ノリは、衆参の委員会等におきまして——毎年一億枚でございますか、これは通常の形で輸入するということになっておりまして、ところが、ことしはノリが不作でございまして、ノリの生産も急いでおったわけでございます。そうしてノリの被害地に対しまして、天災融資法を適用いたしました。でありますので、天災融資法を適用して、生産体制が立ち上がれるという形のときに輸入しようということで、通常の輸入の分が一億枚ですか、これを輸入することに決定をいたしているわけでございます。でございますから、緊急輸入と称するやつを先にやるというわけじゃございませんで、通常のものを繰り上げて輸入する。なおノリが不足しておりまするし、価格の面におきましても、消費者物価対策として考えなきゃならぬということでございまするので、あと一億枚くらいを緊急輸入として輸入すべきではなかろうかというようなことで、いま検討いたしております。大体その程度のものについての見当でございます。これはまだ生産体制、あるいは消費者物価の関係の、ノリの関係考えてきめていくということで、いまのところでは、一億枚の通常のやつを輸入することにいたしたわけでございます。
  56. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 いまのに関しまして、そうすると、通常一億枚韓国から輸入するということも、毎年ございますね、それのほかに一億枚やろうというお考え、それで一億通常のやつを輸入したあとで、そのあとに一億枚を輸入するということなんですか。それともことしのうちに、一億枚は通常きめている、それにプラス一億枚をことし輸入するのか、こういうことなのか。その点ひとつ。
  57. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 通常一億枚を入れるという大体の一つのルールといいますか、きめがありましたので、それはきめました一億枚を入れる、そのほかに緊急輸入と称して入れたいという状況になっておりますので、これは本年中に——この量もきまってはおりませんが、私は大体目安を申し上げたのでありましたが、大体一億枚くらいと思っております。本年中に輸入するということになろうかと——これはまだきまっておりません。前の一億枚はきまって、これは輸入することにいたしました。あとの一億枚はまだきまっておりませんが、まあそういう目安でございます。一億枚くらいを本年中緊急輸入として入れることに相なろうかと、こういうふうに考えております。
  58. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ここで午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時五十六分開会
  59. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  60. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 従来土地改良事業については予算の配分が総花的であるとか、分散的であるとか、計画と実施には重点性もなければ総合性もない、特に同一事業にかかわるところの国営、県営、団体常というものの間において著しいアンバランスがある。その結果、事業効果なりあるいは経済効果が十分発揮されない、国家投資が効率が上がらない、工事費用がかさむ一方である、地方公共団体や自営農民の負担が高まる一方であるということが、批判的に共通して言われておったことであります。かなりそういうきびしい批判にこたえて政府では今回の土地改良法の改正をして出されたものだとは思うわけです。内容的にはいまの百四十五条のうちで九十条近くを改正しておる。二十条近くを新たに織り込んでおる。その改正案のボリュームの点においては、農林省が今度の国会に出したあらゆる法案の総体にも匹敵するような大幅の改正をしておるわけです。したがってこの改正案には、国民としては冒頭に言うたような従来の土地改良法に対する批判というものを完全に克服した内容であるべきだと思うのでありますけれども、しかし、だんだん審議を重ねてまいりますにつれて、この点については期待と必ずしもそぐわないような手直しに堕しておるというふうに理解をせざるを得ないのは、きわめて残念であります。私はまず限られたきょうの委員会で制約をしてお伺いをいたしたい第一点は、土地改良法に従来寄せられておった批判というものの中で、土地改良事業に一貫性が欠除しておるということにまず質問の第一点をしぼってお伺いをいたしたいわけであります。一体、これらの国営なり県営なり団体営の間のはなはだしいアンバランスというものが、一体どういう程度に直されているか、まずこの点からお伺いをいたします。
  61. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) お答え申し上げます。いま先生の御指摘になりました国営、県営とのアンバランスのほうの問題でございますが、まずその前に、土地改良法は、御承知のとおり、土地改良事業の手続法でございまして、この運営にあたりまして、国営、県営のバランスをとって執行するという問題は、法の問題以前の問題といたしまして、一つには、予算制度あるいは予算執行の問題にかかわる部分が非常に多うございます。確かに戦後土地改良事業の要請が非常に強く、一方必ずしも国の財政面の裏づけが十分でない。そういう情勢下で、先ほどお話もございましたように、総花的に横に広がっていく、そして全体の進度がおくれ、一貫性にいろいろ支障があったということは御指摘のとおりでございまして、われわれも深く反省をいたした次第でございます。そういう事情にかんがみまして、三十七年度から、それより先に国営、県営事業の本数を制限をいたしました。新規の本数を制限をいたしまして、国の予算で横に広がらないで一走数をあげるという立場で、新規の県営本数を制限してまいるという措置がとられたわけでございますが、三十七年からは制限されただけでは農林省として因りますので、制限されたほかに国営付帯県営事業という制度を新たに設けまして、当初は一本か二本でございましたが、ごく最近におきましては、十数本に広がりまして、これは別に国営の進度に合わせて付帯県営事業として採択をする、そういう仕組みをとりまして、国営と県営、国営と関係のない県営は一般県営として本数を制限していっておりますが、外数で付帯県営制度を設けましてこれをとってまいる。それから団体営につきましては、地方農政局もできました関係もございまして、構造改善事業との関連、それから国営及び県営関連に重点的に予算を執行するようにという立場で指導をいたしまして、予算の執行面におきまして進度の調整をとるということにいたしておる次第でございます。
  62. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いま御答弁があった範疇では、私のこの指摘する土地改良事業の一貫性というものがごく部分的な取り上げにすぎないと思うのです。私たちたいへん驚きますのは、会計検査院の三十六年度決算検査報告を見ましても、国営農業水利事業と、これに付帯する都道府県営、及び団体営補助事業の施行計画について改善の意見を表示したものということで、三十七年の十一月二十二日付で農林大臣あてに勧告をしておる。その点を少し具体的に取り上げて、私はこの会計検査院が勧告しておる具体的なアンバランスを一体どう均衡化をし、またどう工事期間を短縮しておるか、具体的にお尋ねをいたしたいのであります。この勧告は次のように言うております。「農林省で直轄施行している農業水利事業は、昭和二十五年度から三十六年度までの間に完了したもの七十三地区、三十六年度において既往年度に引き続き施行しているもの七十四地区で、三十六年度までに累計七百九十四億六千八百二十八万余円に上る多額の事業費を使用し、用水源施設、幹線水路等の基幹施設工事を施行しているものである。しかして、これら基幹施設を活用するため必要な支線水路等の付帯施設工事は都道府県または土地改良区等が国から補助を受けて施行しているが、その進ちょく状況をみると、国営工事に比べて著しく遅延しているものが多く、一般的に基幹施設工事と付帯施設工事とはその進ちょくがは行状態にあるものと認められ、なかには基幹施設工事がすでに完成し、えん堤、頭首工等により計水量全量の取水が可能となっているのに、これに付帯する支線水路等の工事が進ちょくしていないため、多量の水が使用されないまま放流されているなど基幹施設が十分な効果を発揮することができず不経済な結果をきたしているものがある。いま、これら工事の進ちょくがは行しているもののおもな事例を示すと別表のとおりである。」そう言うております。  このおもな事例の中から私は、時間の関係からさらに代表的なものを取り出して、この実態に対して政府は一体、具体的にどういう措置をおとりになっておるのか、その点を具体的に御答弁を願いたいと思います。まず、北海道開発局管内の北空知地区の事業でありますが、国営事業は一〇〇%完成をしておるが、支線水路であるところの道営がわずか五%にすぎない。団体営は一三%にすぎない。しかも着工年度は国営と団体営はほぼ同年度であります。繰り返しますが、国営が一〇〇%基幹水路が完成しているのに、支線水路を担当する道営がわずか五%にすぎない。団体営が一三%にすぎない。これが一つの例です。近文の地区では国営が一〇〇%完成しておる。しかるに道営は四五%、団体営三一%、こういう実態である。東京農地事務局管内の大井川左岸が国営では一〇〇%完成しているが、県営が五三%、団体営が三一%、龍西は国営が八一%、県営が二%、団体営がわずか四%、金沢農地事務局管内の信濃川左岸は国営が八二%、県営が五%、これは団体営が  一〇〇%完成をしておる。九頭龍川は国営が一〇〇%、県営が三八%、団体営が一五%、名古屋農地事務局管内の矢作川、国営九八%、県営は〇・七%、団体営五三%。濃尾用水、国営五%、県営ゼロ、団体営二四%。京都農地事務局管内では国営五六%、県営九%、団体営一%、町洲川というのですか、これは国営が一〇〇%完成しているのに県営が七六%、団体営はわずか二二%、岡山農地事務局管内では小坂部川国営が一〇〇%、県営四四%、団体営四五%、芦田川国営一〇〇%、県営四一%、団体営一〇〇%、間の支線水路がその半ばにも達しないという現状です。熊木農地事務局管内、嘉瀬川国営七四%、県営、団体営とも未着工でゼロ。こういう実態が会計検査院から農林大臣に勧告しておる。こういう具体的な跛行状態、これが一体法律そのものの改正とはまた別に、一体予算措置その他によってどれだけ総合性を欠いたばらばらな水系別の土地改良事業がその勧告を受けた以後、農林大臣としてはいかに善処をし、それが数字の上にいかに反映しているか、最近の時点についてひとつお答えを願いたい。
  63. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) だんだんの御指摘でございますが、実は三十六年度会計検査院の検査報告でいま御指摘になりましたような指摘を受けたわけでございます。そこで、三十七年度の予算編成以来先ほど申上げましたような措置を精力的に行なうという措置をとりまして、いまここに手元にある資料で御指摘になりました地区につきまして例示的に申し上げますと、北海道の神龍でございますが、九十八、未着工という状態——
  64. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私が引用したやつは北空知です。
  65. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まことにおそれ入りますが、北海道はちょっと神龍を引用しましたので、北空知。……
  66. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私が言うたやつを聞いている。
  67. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先生が御指摘になりましたものにつきまして、まず関東の龍西でございますが、指摘は国営、県営、団体営の順でございますが、八一、二、四という状態ではないかという指摘でございます。これに対しまして、三十九年度末の予算をつけた状態から進捗率を相はじきますと、一五〇、三三、国営は三十八年度完了でございますが、一五〇、三三という状態に相なっております。信濃川左岸、これが八二、五、一〇〇、こういう指摘を受けております。これを一〇〇、三五、一〇〇、それから濃尾が五〇、ゼロ、二四という状態でございましたが八六、それから県営は三十八年度に採択、それから団体営は二七。それから芦田川でございます。一〇〇、四一、一〇〇という指摘でございますが、一〇〇、五五、一〇〇。それから嘉瀬川が七四、ゼロ、ゼロと未採択の状態でありましたが、八八、三十八年度採択、それから団体営は着工予定。全部御指摘のものにつきまして資料として用意いたしておりませんのは恐縮でございますが、こういうふうにその状態を列記いたしまして、会計検査院に、三十九年度末の状態はこの程度に是正に相なっておりますという趣旨の御報告をいたし、また、同時に今後も先ほど申しましたような趣旨におきまして、跛行の是正に予算の配分にあたりまして最大の留意をいたしてつけておる実情でございます。
  68. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただいま事例をあげたその後の進捗は、あまり跛行の是正というものには、結果的には精力的に取っ組んだようには受け取れないわけです。たとえば芦田川のごときも、国営、団体営がどちらも完成しておるのに、その中間の支線水路を担当しておる県営については、四一%の指摘がわずか五五%、これでは国営と団体営が非常に不経済な状態に置かれておる。その不経済性も、これは経済測定ができるはずであります。こういう点が、従来の土地改良事業に対する批判の中心であったわけで、いまの現況報告から言えば、会計検査院の勧告に対してどうも積極的に跛行を是正するという努力が重点的になされたとはなかなか受け取れないと思います。で、それには予算の配分を考慮したといいますから、予算の配分その他でも、これは内容に立ち入ってお伺いをしなければならぬのでありますが、その前に、私はこの国営、県営、団体営の一貫性の欠除ということの内容の一部として、早期完成ということがしきりにまた取りしげられておる重要課題であったわけです。早期に着工し、早期に完成しなきゃならない、これが土地改良事業に与えられた至上課題であったわけです。その長年にわたる世論というものに、今度の土地改良法が一体どう対処しているか、早期着工、早期完成ということをこの土地改良法の大幅な改正は一体どういう点に触れて法の改正をしておられるか、私は、いずれ農林大臣にお伺いをいたしますが、いまの農業基本法の中に埋没した形で土地改良法が改正されるということではいけないのであって、土地改良法の改正というものは、農基法の埋没から脱して、農基法の問題点を先行して土地改良法の中に積極的な役割りを見出すというものが、政府のとるべき土地改良法の改正に対する態度でなければならぬ。だとすれば、いろいろな問題があるわけですが、事務的な具体的な問題の一つとして、早期完成というものがどれだけの改正案で解決されるのだろうか、これが国民のひとしく期待し、かつ問題点としておるところでありますが、その点はどの程度にお取り上げになっておりますか。
  69. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほど申し上げましたように、土地改良法は基本的に土地改良の手続に関する法律でございます。そこでこの手続に関する法律そのものにおきまして、直ちに早期完成のことを法文化する、法律化するという仕組みに相なっておらないのでございます。しかしながら、四条の二で、先般来たびたび御審議をいただいております土地改良法に長期計画の条文が入りましたゆえんのものは、土地改良事業が毎年の予算で、場当たりと言うと語弊がありますが、要求をして、折衝の結果きまりまして、そのきまったものを、先ほど来のような心がけで地区別配分をやっておるのでございますが、これをやはり組織化する必要がどうしてもある。で、土地改良事業は、国営にいたしましても相当長い、それから国営に関連いたしまして、県営、団体営がそれぞれ入るわけでございます。したがって、この土地改良長期計画におきましては、継続地区をどのように仕上げていくか、それを国営としてどういうように仕上げていくか、県営としてこれと脈絡を持ってどう仕上げていくか、それから最末端としての圃場の整備にかかります団体営、それとの関係はどのように組織的、計画的にやってまいるかという立場で、この長期計画は実務的な立場から申しますと、一つはつくり上げなければならないものであります。私どもといたしましては、既着工地区の合理的な工事の進捗というものは、この法の四条の二の長期計画の問題として、かつそれが決定いたしました場合におきます必要な措置の問題として、本件を法律との関連では取り上げておる次第でございます。
  70. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もう少し具体的に伺えば、たとえば過般発表された農地白書によればですよ。国営の場合は十五年要する。それから全事業を調査をした報告を見ると、県営は十四年要する、団体営は二年ないし四年要する、こう言っておるが、現に三十九年度の予算を見ると、国営一般かん排事業の内地分として十四地区が、着工年度から三十九年度予算の残りの年量というものを加えると、平均二十一年以上になる、こういう予算の組み方で、一体早期完成というものが行なわれておるとは、努力が前向きになされいるとは言えない。そこでですね。この問題については二十六国会で、国会で論議をして、政府の責任ある答弁は、七年完成ということが当時の国会の審議で国民の前に明らかに約束されておる。七年完成ということが約束されておる。特別会計設置要綱の方針の中に、事業の施行はこれを経済速度をもって行ない、工期七カ年で完成せしめる方針のもとに予算を計上すると明記してある。二十六国会でそのことを公約し、特別会計の要綱の中で明文化しておる。しかるに三十九年度の予算の内容を見ると、平均して二十一年もかかる、こういう実態、特に極端な例でしょうけれども、新潟県の阿賀野川地区では二七・八年を要する、秋田県の雄物川地区では三十年かかるという指数が出ておる。こういうことで、一体国の農政の基盤である土地改良というものが、その目的に到達し得るかどうか。国会で七カ年で完成するということを公約しておりながら、実際は二十一年も平均してかかるという実態、私はこれは古い事例を引き出すまでもなく、大きな国民に対する公約の裏切りだと思う。それに対する現実の施策というものは、具体的な会計検査院の指摘されたそれぞれの国営、県営、団体営の進捗率のアンバランスに対しても、日暮れて道遠しの感がある実態である。これでわれわれ国民が期待するような土地改良の合理的な、合目的な前進というものが、期待した者にとっては、これは大きな失望になり、そのことがまた国家経済の上からいっても大きなマイナスになり、農民の受益者の負担が増高し、国費がまたむだに巨額が投下される。こういう実態に対して、一体政府はどう対処されようとするのですか。政務次官どうですか。
  71. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) お話の点にまことにごもっともな点があるわけで、われわれも反省いたしましてこの早期完成には努力いたしておるのでありますが、いまお話の特別会計の問題ですが、もともと特別会計は早期完成を目途として設けられたものでありまして、お話しのようにまあ七カ年完成を予定してやったのでありますが、おくれておるのもあるのでありますけれども、それはあるいは事業計画の変更とか、あるいは用地買収のおくれておるのとかによりましておくれておるのもありますけれども、三十九年度予算をベースとして特別会計の工期を制定すると、平均八年程度となっており、本格的工事のための準備期間を考慮すればおおむね予定どおり確保しておるというようにわれわれは思っておるわけでありますけれども、なおしかし、今後経済効果の早期発揮を目的として極力事業の促進をはかるようにしてまいりたいというように考えております。
  72. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私がいま伺ったのは、特別会計の対象事業とは別に、国営の一般かん排事業の内地分十四地区について、これが三十九年度の予算の残年量から見ると、平均して着工から完成まで二十一年かかるという計数が出ておるということを指摘しておるのですよ。それからその特別会計事業は、かん排事業について見ますと、三十二年に四地区が取り上げられておる、特別会計の所属事業、かん排事業——。それが四地区が三十二年に採用されておるが、これが七カ年という公約とは反するということで、その点の具体的な事例は、鬼怒川中部の地区の予定は四十一年になっておる。そうじゃなければ否定してください、四十一年になっておる。宮川用水は四十年度の完成になっておる、こういうふうに国会でも公約し、あるいは特別会計の設置要綱でも予算は七カ年で完成するようにつけると、そう要綱にうたっていながら、三十九年度予算における残年量をもって計算すると、いずれも三年程度の延長が必至である、こういう状態でしょう。私はそういう点で、問題が早期着工、早期完成ということとはほど遠い現実に予算の措置がなされておるということを、いままではそうでありましょう、否定をしなければ、その完成年度の政府調査室の資料を私は持って伺っておるのですから、違えば別として、そういう実態でしょう。ならば、これから一体どうするのか。土地改良法法律には、そういうことはまあもちろんうたっていない。うたっていないが、行政措置として一体そういう公約されたことを、いままで三年も延長しておる実態にかんがみて、どういうふうにこれから善処されようとするのかを政務次官に伺っておるわけです。もちろん理由としては、準備期間が必要だったとか、あるいは付帯施設も同時にやるのだから云々という弁解、答弁はあるでしょう。そういうことは七カ年を公約したときの内容にもこれは入っていると思う。準備期間も含めて七年でしょう。そうしてそれが三年以上も延びるというような事態に、今後の国土の高度利用の観点から、一体こういう事態をどういうふうにされるかを、これを政務次官に伺っておる。
  73. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) この宮川とかあるいはその他の個々の問題については、農地局長に詳しく答弁していただきますが、この七カ年というようなものを公約しておきながら、そんなにおくれるのはいかぬというのは、ごもっともでありまして、私ども非常に残念に思っておりまして、これは主としていろいろな事情があると思います。思いますけれども、最も大きなのは、やはり国費をそれだけつけるかつけないかという予算の問題だというふうに思うのであります。今後においては、先ほど農地局長からもお話がありましたとおり、この土地改良法審議して成立にいたれば、土地改良の長期計画も四十年度に立てることにいたしております。それを閣議決定に持っていくことにしております。それと同時に、予算面においても私は相当増額をしてもらえるものと考えております。それによって要するに予算を多くつけて、そして早く完成するほかはなかろうと思いますので、今後において最大の努力をいたしたいというように思っております。
  74. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 最大の努力はいいのですが、三十九年度という年度は、池田総理が——私はどうも同じことを、ばかの一つ覚えのように繰り返して言わざるを得ないのだが、農業の近代化には革新的な施策をやるのだ、財政金融の総力をあげてやるのだ、しからば何に総力を農業近代化についてあげるか。私はこういう生産基盤の整備、土地改良、そういうものに総力を結集すべきだと、一つの柱としては期待しておるのですね。その期待した初年度がこの状態では、これは非常にどうもこれまた池田総理の公約が完全に裏切られたと言わざるを得ない。だから、きょうは答弁でできるだけ努力すると言えば、時間的に過ぎてしまうだけのことですが、ほんとうにそういうものが三十九年度予算に出ておれば、私は納得がいくのだけれども、従来のマンネリズムの計数的な計上にすぎない、こういうふうに思うのです。これはひとつほんとうに長期展望にたって予算の積極的な裏づけというものをやらなければ、いまのようなままで、土地改良というものがちぐはぐに進んでいったのでは、土地改良の大きな破綻が来るのじゃないか。農民怨嗟の的になっておる従来の土地改良というものが、思い切ってここで抜本的な施策をもって政府が臨まなかったならば、将来問題が惹起されることをおそれるわけです。  関連して伺いますが、団体営の中にもいろいろなものが、たとえば、いまはやりの農業構造改善の基盤整備がある、土地改良法に対していろいろな土地改良がある、あるいは各種特殊立法による振興計画に基づくいろいろな団体営の土地改良がある、これは一体総合的にどういうふうにこれを進めていかれる所存です。いろいろなものが、きびすを接するようにこの土地改良というものに集中している。よって立つところの法律あるいは行政措置——農業構造改善はわれわれは本来これは単独立法によって明確に対処すべきものだという主張をしておるが、それもやらない。それで一片の行政措置によって構造改善というものの中に基盤整備というものがやられている。従来の土地改良法による土地改良が行なわれている、各種特殊立法による振興計画の雪寒地帯なり、急傾斜なり、特殊土壊なり、湿田なり、海岸砂地なり、畑地なり、一般なりというものが、それぞれてんでんばらばらにやられている。一体これはどういうふうに理解したらいいのです。
  75. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いま渡辺委員の御指摘のように思える点もあるように思いますけれども、これはまず最初にお話しの国営、県営あるいは団体営と、これが関連あるものでありますれば、一貫性をもってやらなければいかぬ。その点はわれわれも非常に注意をしておるのでありまして、開拓パイロット事業とか、あるいは総合開発事業とかというのは、その点に留意をしてできたものでございます。また国営の付帯事業としての県営も特に取り上げたのもそれを考えるからであります。それから特別団体営というのができたのもそういう関係からであります。それからまた相並んだ事業がある場合において、これを関連あるように施行させるという点においては、今度御審議願っておる、いわゆる県営のいわゆる圃場整備事業なんかもその一例であります。そうしてまた、そこにおいてあるいは換地処分なり、あるいは交換分合なりして土地の集団化をはかるというのも規定して、みんな脈絡ある、一貫あるむだのない有機的な関連のもとにやっていきたいために、そういうふうに考えて今度の法規にも載せたような次第であります。それにやはり根本的には、この利益別と申しますか、地帯別におきまして、根本的な長期の土地改良計画というものをまず立てて、そうして順序よくそれをやっていくということが必要だというふうに考えまして、長期土地改良計画という一章を設けて、ぜひともこの線に沿うてわれわれはやっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  76. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 一般的にはわかりますがね。わかりますが、私も農村に何十年となく住んで、はだでこの矛盾を感じるのは、従来団体営で土地改良をやったまだその借金も返せないうちに、構造改善でまた三反歩区画整理をやらせる、農道を通される。ほんとうにこれは困るわけですね。まああまり詳しく言わなくてもいいでしょう。総合的な施策というものが、この土地改良法の中にうたわれているのですか。そういう構造改善なり、あるいは特殊立法による振興計画による各土地改良事業なり、それを総括して計画的に今後はそういう重複混淆を来たさない一本の体系でやるのだということが、今度の法律改正の主眼になっているのですか。
  77. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 主眼は土地改良法の条文にもありますが、やはりこれは長期の土地改良計画というものを立てて、それに従って順序よくやっていくということが、いま渡辺委員の御質問に答えるものであると私は思っております。
  78. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は土地改良の長期計画は、同僚委員質問しましたので、重複を避けまして、きょうは一切触れないつもりです。それまでやると、どうも何時間あったって、これは問題が山積して次に進みませんからやめますけれども、長期計画が立たないうちはいままでのそういう国営と県営とで二〇%のダブりがある、県営と団体営の間でおおよそ四〇%の重複部分がある、あるいはいま言ったように構造改善というものと従来の土地改良というものとの手直しがある、特殊立法によるいろいろな土地改良事業がある。全くこれは受益者であるところの農民にとっては混迷まかりあるという実態ですね。それまではしようないわけですか。
  79. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 私から先にお答えいたします。先ほど来非常に、長くかかっているお話でございます。団体等の調査物の中に二十一年というような数字が出ておりますので、私どものほうでいろいろ検討をいたしてみました。確かに古い地区は毎年の予算のつき方が少なくて、個々の地区をとらえますと、いろいろ問題がございますが、三十八年度の予算ベースにおいて過去を見直し、三十九年度予算ベースにおいて将来を見直しますと、一般国営は大体十五年でいける、それから特別会計は八・六年程度でいける予算規模に相なっております。しかしながら、今度は個々の地区を見ますと、なかなか非常にむずかしい問題がございまして、特別会計地区等でも手をつけてみたのですが、なかなか地元が着工に至らない。その結果着工年度から計算をすると延びてしまうというケース、それからあるところまで水を引っぱる計画になっておったのが、もう終わるという時期にもう少し先まで計画を変更して延ばしてくれないかというようなお話が出て、ごもっともだということで、私どもも努力して計画変更をしてさらに仕事を続ける、そういう結果によりまして、形式上着工年次と竣工年次が延びてまいる、こういうケースが個々の地区に出てまいります。問題は地元の問題、あるいは計画の変更による部分を除きまして、予算ベースの問題としては、十五年ではまだ長いという議論もあるかと存じますが、近時予算の充実を見まして、予算面からは相当スピードアップできる。ただ地元の計画の変更の御要望等で延びるというケースは、今後ともあり得ることと存ずるわけであります。なおわが国の土地改良事業は全然新規のところに水を引くというような事業よりも、私どもが更新事業と申しておりまして、既存の施設を利用する関係が非常に多いわけであります。そこでたとえば、先ほどおことばに出ました阿賀野川等も確かに完了年次の予定は先でございますが、たとえば二十九年にはポンプは終わってポンプはすでに稼動しておる、こういういろいろの関係がございます。したがって完了しないと全部効果が出ないという形でなく、たとえば雄物川のダムは三十四年にできた。その結果、水は一部既存の水路を使って使えると、こういうようないろいろの事情がございます。しかし御指摘のとおり、早く効果を発生させる、できれば当初どおり全部一貫してやるということはぜひ必要なものでございますので、長期計画においてはそういう形で組んでまいりたい。それから先ほど来特殊立法等について団体営のお話、構造改善事業による基盤整備事業等のお話が出てございますが、それらはいずれも法手続としては土地改良法の手続でやるわけです。特殊立法による部分は、特殊立法地帯にどの程度の団体営の事業をおろすかというトータルの問題でございます。で、それらのトータルが県にまいりまして、雪寒地帯におきましては、そのトータルの予算の中で土地改良事業をそれぞれに荒手するということでございますので、特殊立法と土地改良団体事業の関係は、末端ではこれが特殊立法による事業であるという形には分かれておらず、特性の事情にあるところに重点的に予算を配分しよという立場での特殊立法でございますので、最末端ではそれが具体的に差として出てくる形には相なっておらない次第でございます。ただし構造改善事業は、御承知のとおり村が立てますので、別のそういう構造改善事業の予算の中で立てますので、これは別個に、手続は土地改良法でいきますが、動いてまいる。で、一般土地改良事業との調整ということは、先ほど申したとおりそれと脈絡をもってやるよに考えてまいりたいということでございまして、長期計画を作成いたします際に、各種の特殊立法による計画を取り込むか、あるいはその内訳はつくるかどうかということは、なお今後の検討課題でございますが、いろいろの御計画を参酌いたしまして長期計画のほうではつくってまいりたい。末端の現実は先ほど申し述べたとおりでございます。
  80. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次に伺いたいのは、いまのやり方では非常に地元負担金の点とそれから補助金の点、そういうものの体系が大体混乱しておる、そうして終局的には農民の負担というものが過重になっておる、こういうふうに思うのです。一体この土地改良事業に対して国営の場合は、どういう事業に対してどういう補助率があるのか、都道府県営についてはどうなのか、団体営はどうなのか、資料要求しましたが、なかなか思うような資料も出てこない。それで土地改良事業だけにしぼってみましても、種類別規模とその補助率というものがいろいろあるわけですね。かんがい排水事業について、事業主体が国であるものについても、総合かんがい排水については内地の場合は一般会計が六割補助、特別会計が五割八分、北海道の場合はダムが九割、田が八割、畑が八割五分、それから一般かんがい排水については、内地は一般会計では六割、特別会計では五割八分、北海道ではダムが九割、田が八割、畑が八割、五分、こういうふうになっておる。それからこの同じかんがい排水で都道府県に対しては、内地については、一般が五割、離島が五割五分、北海道が五割五分、畑地かんがいについては内地の一般が五割、離島が五割五分、北海道五割五分、道営客土が五割五分、こういうふうにある。団体営の場合は、特別団体営かんがい排水については五割、かんがい排水に対しては四割から五割五分、いろいろなこまかい内訳に分かれておる。畑地かんがいについては、一般が四割から四割五分、樹園地が三分の一、離島が五割、かんがい排水を一つの例にあげてもこれだけの国の負担率または補助率というものに千差万別がある。これはそれぞれの理由がございましょう。しかしながら、われわれとすれば社会党が対案をもって内外に発表している点からいっても、国営のものについては事業主体が国であるものについては、これは全額国が持つべきである、都道府県営及び団体営については国が八割を持ち、二割は特別会計低利資金でこれを補うということで交通整理をすべきである。これこそが池田総理の言う財政金融の総力をあげる具体的な課題でなければならない、こういうことが全然今度の土地改良法を改正するにあたっての背景の中に生きていない。三十九年度予算に生きていない。これは単に社会党がそういう問題を提起しているんじゃなくて、全国町村会の決議もそういうことをうたっておる。そういう世論の方向から背を向けて、この複雑多岐な無秩序なとでも言える混乱した体系の中で、それを何ら合理化しようとせず、補助率の引き上げもやろうとせず、負担金の徴収方法の手直しをしておる。しかし、この手直しはだんだん政府説明を聞きましても、地方自治体に対する財政圧迫をこれは来たすものである。全国町村会ではことしの二月に、そういうことは事業主体が責任を持ってやるべきであって、町村がそういう財政圧迫をこうむるべきではないという意味の意思表示をしておる。従来は県が受益者から負担金を取っておったのを、今度は市町村に負担させ、市町村が受益者から取る、こういうことでしょう。これも本院の委員会で繰り返し同僚委員からも取り上げた問題ですから、これ以上私は触れません。この法律が実施されたことによって地方自治団体への財政圧迫はこれは必至である。それに対する地方交付税制度というようなものは、これは所管は違うけれども、一体政府としてどれだけの裏づけをはっきりと約束できますか、その点……。
  81. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まずその御質問の初めの部分に関連いたしまして、現在の制度ではいま御指摘になりましたかん排事業、国営六割で、かん排事業は国の事業であると同時に、農民の受益であると同時に、また県の受益でもあるという面がございまして、その六割の残りの四割の半分を県が持つことが常例に相なっております。それで毎年の基準財政需要額、交付金を算定の基礎に、これは自治省におきまして算定をいたしまして、基準財政収入で足りない場合に交付金で交付する、こういう形に相なっておりますので、国営専業の一般会計部分につきましては、八〇が国または公共団体で持っている、こういう実態に相なっております。府県営に関しましても、府県営の部分の問題が同様に考えられているわけであります。そこで、いま御質問最後の点は、今回の土地改良法の改正で国営及び県税事業につきまして、従来先ほど最後の二割は、これは国は農民から取るたてまえになっておりますが、県が払って、県は農民から取るたてまえになっておりますが、農民にかえて土地改良区から取れる。で、今回の改正では、市町村の議会が議決した場合は、市町村が土地改良区にかわって農民から取ることができる道を開いたのでございます。御質問の趣旨といたしまして、本旨として、その際に市町村が負担をするかしないかという、法律上は全部または一部を市町村が受益者から取るたてまえになっております。そこで市町村が一部を下にかけます場合、ことばを変えますと、市町村が自己負担をする場合と、しない場合がございます。自己負担をしない場合においては、これは財政的裏づけの問題は起こらないわけであります。市町村が自己負担をする事例の問題でございますが、先般も本委員会で御議論が出ましたように、非農業受益が非常に大きい事例、たとえば排水の結果、農民以外の住宅地等が非常に受益している、こういう事態におきまして、非農民自体が受益があるのだから、町村財政で一部かぶって、一部農民にかける、このような場合の市町村の負担につきましては、自治省と裏づけを講ずることで話し合いが進行中でございます。
  82. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 九十条、九十一条について、全国町村会は次のように言っているわけです。国営、都道府県営事業の費用の全部または一部を市町村に負担させようという改正案が出ておるが、事業費の始末は、当然事業主体が一貫して責任を持つべきもので、市町村に負担の転稼や費用徴収の義務を負わせるべきではない。もし市町村にこのような責任を負わせるとするならば、これと並行して所要の財政的措置を講ずる必要があると言っておりますが、私は地方自治体として、まあとにかく自治省では基準財政需要額にそれを盛り込む、こういうようなことをだんだん欄み重ねていくことは、一体地方自治体の立場から言って望ましい方向であるかどうか、これは問題だと思う。だからもちろん国の補助事業に対して、さらに出させている補助率と合わせて、まあ八割という場合でも、それは直接国が八割を持つ、方向としては十割を国が事業主体の場合は持つべきだ、こういう主張は、もう絶対譲られない主張なわけです。たとえば農業構造改善にしても、繰り返し言うているのですが、これ自体は公共的な性格を持つ事業であるから、これは全額国が持つべきである、何回も私も申し上げている。ところが、大臣は国営ならばいざ知らずとか非常に問題を曲げて答弁したりしておりますけれども、そんなことではなしに、もうこういうことは、当然金額国庫負担をせよということは、単にわれわれ社会党が主張しているだけじゃないのですよ、ことしの二月二十四日の全国町村会もそういうことをはっきりと意思表示をしておる。何回もやっておるけれども土地基盤整備の全額国庫負担化について農家の革新的政策の根幹として、上記の土地利用区分の法制化と並行して、早急に土地基盤整備事業の全額国庫負担化を実現することを考慮すべきである。これは世論ですよ、いいですか。そういう背景の中に構造改善事業に限らず、国が事業主体である土地改良事業については、これは全額国の費用でやるのが当然です。県営なり団体営の場合は、これは八割国が持って、一側は他の低利資金等でこれは補助残融資をする、そういうふうにこれを交通整理をしなければならぬと思うんですね。構造改善を契機として、農林漁業金融公庫の従来の十三段階の貸し出し金利を、とにもかくにもごまかしはあるが四段階に整理をしておる、実体は五段階です。そういう交通整理の気がまえで、なぜこの土地改良についてそういう前向きな姿勢がとれなかったか、これは金がかかるからでしょう。それだけの国家資金を投下する、これは当然の前提に立たなければ、日本農業というものは、世界農業に比肩して、開放経済の中でも対抗できる体質が確立されない。だから先ほど質問に戻りますが、そういう全部または一部を市町村が議決によって負担をした場合、それは自治省と約束済みであるということでありますから、さしあたりその問題はまあいいと思いますけれども、肝心の補助金なり負掛金というものの混乱しておる体系というものを前向きにしない。今後事業量は一そう増大するでしょう、決して縮小しない。土地改良事業は、これは年を追うて増大しておる。したがって、これは大規模化が必至でありましょう。そうなってくると、それによって費用はふえる一方、費用がふえることによって負担がふえる一方、負担がふえることによって市町村政財政の圧迫が一そう加重されてくる。こういう傾向の中で、私はその点は内閣がはっきりとその市町村財政の圧迫にならないような措置をとるということでありますから、そのことに異論はないわけであります。もっと基本をなぜやらないかということであります。これはまあとにかくその点をお伺いしても、満足する答弁はないでしょうから、答弁は要りませんが、そういう基本をもう少し積極的にこれは考えていかぬと、この土地改良というものは国民怨嗟の的になってくるということだけは、これは警告しておかなければならぬ。  それで私は次に局長に伺いますが、この土地改良区が非常に経済的に不振の状態におちいっている傾向が最近顕著になってきておる。一体その原因はどこにあるかむ農林省ではその原因をどういうふうに分析しておられますか。
  83. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 土地改良区につきまして、不振ということをまあ言われるわけでございます。で、不振というものをどういう角度から抑えるかということで、実は三十七年以来第八部——農林水産委員会会議録第二一つの押え方といたしまして、公庫から借りております金が延滞に入っているというところを一つのメルクマールといたしまして、その場合に、そういう場合につきまして、個別に金融機関、県庁及び学識経験者によりまして内容分析をして、再建方策を立てているわけでございます。三十七年にその対象になりましたものが二百十六地区、それから三十八年で百八十でございます。一万三千の中で、その程度がそういう意味におきまして不振でございます。これにつきまして相当数が解決を見ているわけでございますが、その原因、この分析事業を通じまして、あるいは再建指導事業を通じまして出てまいりました形といたしましては、組織運営上の問題が非常に事態の紛糾をきたしているというのが、二百十六の中で九十三を占めております。事業上の原因によるものというのが九十六、それから災害が重なりまして、なかなか農民からの負担金が集まらないといった形のものが二十五、それからどうも組合をつくったが組合員との間が形式的な関係で、意思の疎通を欠きまして、賦課金を取りにいっても払えないというものが九十二、こういう実態が出ております。したがいまして、一つにはその組織の問題につきましては、やはり役員の交代、解任、そういう形によりまして解決する以外には、事態を解決し得ない。また、組合と組合員との関係の間の問題につきましては、組合の事業の趣旨徹底ということが解決策である。事業の執行上の問題としてはいろいろ複雑な事情がございます。それぞれのケースによって事業面からの解決をはかっていく、そういう必要がある、こういう立場に立っている次第でございます。
  84. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いろいろいま不振の分析を説明を伺いましたが、私は技術には全くのしろうとでありますが、それでも私は次のようにその不振の原因を、私なりに大きな原因の一つ考えております。それは経済的なまあ状態をもって不振を判断するわけですが、そういう土地改良区が経済的な不振におちいったという原因の一つは、団体営の土地改良事業という末端段階の施工の多くが共通して見受けられることは、非常に工事が粗末だ。非常に技術的に粗末な工事が進められているということであります。そのために受益者である農民の負担を拒否されたり、負担の軽減の問題が絶えずつきまとったり、工事を再びやり直すというようなことから、経済的不振の原因が発生している、私はこういうふうに不振の原因をまあ究明して、一つの結論を持っているわけです。土地改良事業というのは、たとえば農業水利事業に例をとって見ても、幹線水利は国営である、支線水利は県営である、それから末端の小水利や区画水利は団体営という責任分担があるわけですね。末端の団体に、熟練した優秀な土地改良技術者がきわめて少ないということです。また経済的な条件があって、末端の団体も人手も足りない。しかしながら私から見ますと、土地改良事業の成否を決定する大きなかなめをなすものは、末端事業がうまくいくかどうかに、これはかかっておると思います。こうしたような事業の推進体制がいかに土地改良事業の効果を低めているかということは、これははかりしれないものがあると思うのです。こうした現状を前提といたしますと、現在のそういう末端に成否の重点がかかっておるそういう土地改良事業の矛盾、弱点ということを克服することのために、末端の土地改良事業こそは国が保有しておる優秀な技術者、県が持っておる優秀な技術者、そういう技術体系を系統的にフルに活用する、そういうことが私は土地改良法の改正のまた中心にならなければならないと期待をしておった。そういう点には全然触れていない。最も大事なところには全く貧弱な技術者で工事が進められ、幾多の再工事という事態が惹起しておる。そういう最も大事な点に目をおおうて、国、県が持っておる自治体系を系統的にフルに活用するというものが、なぜわれわれが期待するように今回の土地改良法の中に位置づけられなかったか、非常に残念でならないのであります。いうてみるならば、国が果たすべき責任を、末端の土地改良区にこれを押しつけて、国はあぐらをかいているとも言いたくなる。そういう点は、一体今後政府としてはどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  85. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず法律論の問題といたしましては、団体営の事業を土地改良区が計画をいたしまして、土地改良区をつくって設立の認可を出してまいりますと、第八条で知事がそれを審査して適否の決定をいたします。七条四項で、申請をしようとする者は、土地改良事業計画を定めるため、「都道府県に農用地の改良、開発、保全」今回の改正で「集団化」を入れましたが、「に関し専門的知識を有する技術吏員の援助を求めることができる。」五項で、知事はこれを拒んではならない。それから知事が審査、公告する場合に、審査にあたっては、「専門的知識を有する技術者が調査して提出する報告に基づかなければならない。」ということで法制的には相当強く抑え込んであるわけでございますが、先生の御指摘のような実態があることは、私ども重々承知をいたし、考えねばならぬ問題だと存じておる次第であります。そこで別途予算の問題といたしまして、団体営の調査設計の補助という制度を数年前からつくりまして、昨年までは六千万円程度でございましたが、本年も八千万円程度に増額をいたしまして、団体営をやろうとする方が調査設計について援助を得ようと思う場合に、本来は県がやれるように県に対し地方事務費等で見ておるわけでございますが、土地改良区の連合会、あるいは非常に古くからある先輩技術者をかかえております土地改良区等に頼んだ場合に補助をしてやる、こういう制度を拡充いたしつつあるわけでございます。御指摘の点につきましては、法律の励行の問題と予算的なそういう面におきます拡充をもちまして、先生の御指摘のような事態をできるだけ少なくしていくということに、今後とも特段の努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  86. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次は、排水事業について若干お尋ねしますが、三十七年に全国排水対策事業促進協議会が実態調査をしており、そうしてその結果を発表しておりますが、その中に幾多の問題を提起しているはずです。私から詳しくその実態調査に基づく排水事業に対する問題の提起を、あらためてここに言う必要はないと思うのですが、その排水対策業業促進協議会の結びとして出しておる問題点、たとえば土地改良区が施設の維持管理をするのだけれども、その費用に対しては、国なり県なり市町村において全額負担あるいは補助をせよとか、排水施設の新設なり改修には、大幅な国庫補助をせよとか、国、県または市町村が施設の維持管理に当たれとか、経費の負担割合を、排水量に応じすべての土地に賦課できるようにせよとかいう問題を提起しておるのですが、これは一体どういうふうに措置されておるのですか。
  87. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) この全国排水対策促進協議会の分析には、若干私どもいろいろ意見があるわけでございますが、少なからずごもっともな点もあるということで今回の改正にあたりまして、いろいろと問題点として考えた重点事項でございます。まず排水施設の維持管理の問題ですね、維持管理に対する補助なり国の援助の問題でございますが、排水が純粋な農業利益以外に著しくあることが自明であるというような問題として、実は蒲原の地帯の大規模な排水事業につきましては三十六年以来県営で行なうことにいたしまして、国が補助を出しておるわけであります。それはただ全般的にはそういう形での姿というものはまだ出ておりません。それから伊勢湾台風を契機といたしまして、ああいう輪中地帯等で湛水防除事業というのは非常に最近ふえてまいりました。これは常事水がたまっている地帯でポンプではいておいて、いざという場合の災害に備える、災害時に備えてはいておくという湛水防除事業、この事業は国と県と市町村が負担することを原則として事業を採択すると同時に、維持管理は市町村が受け持つというものをとっております。  それから一般的には、排水につきましては以上でございますが、今回の改正で先ほどお話が出ました問題にからむわけでございますが、市町村が土地改良事業の負担金の徴収にあたり道を開きました一つの大きなねらいは、実は排水問題にあるわけであります。排水事業は御承知のとおり農民だけが負担すべきかどうか非常に問題があるわけであります。その実態が、このポンプで排水しておる実態が、市町村の受益の状態がポンプを動かす負担を農民だけにかけるのはおかしい、不当であると、こういう事態におきましては、市町村議会の御判断によって、市町村が維持管理の主体、申し出によりまして、維持管理の主体になり得ると同時に、自分が負担を持つか、あるいは受益者に特別に負担金を課せるという法制をしいたわけでございます。先般、それを強制できないかという御意見もございましたが、非農民の受益なりや、農民の受益なりやという問題は、認定問題として非常に問題の存ずるところがございますので、市町村の議会がそれをのんだ場合、認めた場合に、そういう道が開かれる、そういう形に整理をいたした次第でございます。大体この協議会の問題に関しましての今回の改正案については、以上でございます。
  88. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 農業水利についてお尋ねをいたしますが、申し上げるまでもなく、土地改良専業と水の関係というものは、これはもとより切っても切れない密接不可分の関係にあるわけですね。最近特に治水利水の問題が、高度経済成長政策というものの進展に伴って、いよいよ重要視されてきておる。特に農業水利から見れば、他の種類の水利との関係においては、これは競合関係に立っておる。また、農業用水内部の合理化の問題等も出ておる。いろいろ対外的、対内的にこの水利関係は問題山積という中で、土地改良が進められておる。こういう点を、農業水利という立場から見たならば、むしろこっちのほうが受け身に立たされておる。その受け身に立たされておる農業水利というものを、権益を守るとともに、農業水利制度の改善対策というものが、国の利水治水の観点から総合的に確立されなければならない。こういうわれわれは受け身に立つだけに、その問題意識はきわめてまた緊要不可欠の問題であると思うのです。  そこでお伺いをいたしますのは、昨年の三月に行政管理庁から、農業水利に関する行政監察結果に基づく勧告が出されておる。これは農林省にとっても、いま言ったように、農業水利という立場から見れば、高度経済成長政策の発展に伴って守勢に立たされておるだけに、きわめて切実な課題が提起されたものとして、この勧告をどう対処しておるか。期待するものがあると思うのでお伺いをするのですが、土地改良と水とは切っても切れない関係にあるから、特にこの土地改良法の、審議の中に入れてお尋ねをいたしたいわけです。  で、勧告の第一点は、特に農林省と建設省の所管についてうたっておる。水利権の現状把握についてということを言うておる。で現状分析は、いろいろ説明がありますが、それを省略して、水利権の現状把握について、勧告は次のようにうたっております。  「利水行政の根本をなす水利権の現況は握が不十分であり、とくに農業水利権については、その大部分を占める慣行水利権および「みなし水利権」の取水量が不明確であるので、関係名君は協力して、これら水利権の明確化のための措置(台帳制度を含む)」と言うておりますが、これを進める必要がある。こういう勧告をしておりますが、守勢に立たされている農林省は、この勧告を受けて、いかなる措置を講じておられますか、その点をまずお伺いします。
  89. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 河川法の御審議が、いずれ建設委員会等で始まると存じますが、いまの問題点に関しまして、台帳整備ということが建設省で、新河川法に入ります。当初は、その届け出をして、整備をして、その一定期間に届け出がなければ、慣行水利権は消滅するというような立場におきましての原案でございました。農林省といたしましては、慣行水利権というものは、そういう性格のものではないということで、その消滅に関します規定は、交渉の結果消えまして、届け出によって台帳に記載をしていくという形に相なりまして、その台帳につきましては、農林、建設で、両方でこれを持っておるという形に話し合いが進んでいるわけでございます。それで農林省立場といいましては、慣行水利権を保護する立場に立っておりまするので、農民なり、あるいは農民の代表の方が、非常に不正確に書いて、そのことによって台帳に書かれてあるからどうだということに相なることをむしろ懸念するものでございまして、この台帳は単なる記録であって、それの効力要件ではないということを明確にいたしているわけであります。  別途、農林省といたしましては、数年前から五十七河川につきまして、水利動態調査をやってまいっておりますが、三十九年度におきましても、その水利の動態調査も行ないまして、問題のありそうな地区につきましては、これはよそへの相談ではなく、自分自身の手持ち資料として、その水利権を把握しておこうということにつきましては考えている次第でございますが、御質問の台帳制度におきましては、新河川法におきまして一応整備されるということにつきまして、私どもも同調をいたしている次第でございます。
  90. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いずれ具体的には河川法案がまた本院に上程されているようでありますから、その連合審査の機会等で、もう少し突っ込んでお尋ねをいたすことにいたしまして、水利権の許可と管理について、一体どういう農林省としては考慮を払っているかを、勧告を引用してお尋ねをいたしたい。  勧告は、水利権の許可と管理について、次のように勧告をしております。  「水利権の許可および管理事務は、水利秩序の確立のため重大なことであるが、各都道府県における取扱いは区々であり、必ずしも十分とはいえないところがあるので、次の事項について改善指導の余地が認められる。とくに農業用水については、合理化促進の見地からしても、適切な措置が望まれる。一、「ア」として、「水利権許可申請にあたり、関係既得水利権者の同意書添付を絶対的条件としている場合は、そのため不当な補償要求に応ずる等の弊害もあるので、許可権者は合理的資料に基づいて、関係者を納得させ自主的に許可処分をもできるような体制を逐次推進すること。」、まずこう言うておりますが、この措置は一体どういうふうにとられているのですか。
  91. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 現行河川法は、十八条で「河川ノ流水ヲ占用セムトスル者ハ地方行政庁ノ許可ヲ受クヘシ」という、まことに明治スタイルの法律でございまして、行政庁がオールマイティ。そこでこの運営にあたりまして、問題の紛糾を避けるために、上下の関係者の同意を取ってこいということが河川行政の面で行なわれておりまして、行管のいまお読み上げになりました指摘に相なっております。この問題の対策は、これまた新河川法でひとつ新しく法文化されておる次第でございます。ここでの考え方は、いずれまた御審議を願うわけでございますが、簡単に申しますと、河川管理者は、新しい出願に対しまして関係権利者に通知をいたしまして、そして、たてまえとして関係権利者の同意を確認した上で許可をする。それから同意が成り立たない場合については、一定の場合に許可をする。その場合には河川審議会にはかって許可をする。こういう法制に整備をされて、そういう形におきまして行管の指摘にこたえております。農林省といたしましては、河川管理者がそういう許可をする場合に、当然利水の一方の代表である農林大臣に協議をしてもらう、こういう法制になっておる次第でございます。
  92. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次に、「農業水利権の許可に際しては、時期別取水量を明示して、合理化の促進に資すること。」となっておりますが、その点はいかが取り扱われていますか。
  93. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 農業用水の水制権は、申すまでもなく非常に古い時代、いまほど利水が競合しておりませんので、非常におおらかな権利として慣行的にでき上がっております。それがいろいろ紛糾の種になりますので、許可にあたっては、時期別の関係を、取水量をはっきりすべきであるというのが行管の指摘でございます。これは現行河川法の十八条、先ほど朗読いたしましたが、これまた法律面では非常におおらかなと申しますか、簡単に許可を受くべしという規定でございますので、今回の河川法におきましては明文はございませんが、河川の許可にあたっては、その関係は当然明白になってまいるということに相なると思います。
  94. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次に、農業水利の合理化をはかる場合、旧水利権の措置について明確な条件を付して新しい水利権を許可するよう考えろというておりますが、その条件提示等はなされておるのですか。
  95. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) たいへんむずかしい問題なんでございますが、たとえばある川から三つの取り入れ口がある、それを合口いたしまして一つの取り入れ口でやる、そのときに、いままででは、新しくできました合口の水利権は許可を受ける、その際に、過去のものが死んでいるのか生きているのかわからないで、後々紛糾になっている場合がある。農業立場から申しますと、これは非常にデリケートな問題なのでございますが、勧告は、古いやつは消せということで、理論的にはまあそのとおりだと私存ずるわけであります。たとえば三つの取り入れ口の土地改良区がそれぞれ違っておって、A、B、Cの土地改良区のものの水利権が、合口事業をやった。たとえば形式的には国営でやれば国の水利権、県営でやれば県の水利権として出てまいります。それを、前のものを行政法としての河川法では当然消すわけであります。行政法としての河川法で消すことは、これは当然励行すべきである。残る問題としては、慣行水利権の問題としてはどうかということに相なる。これは非常にデリケートな問題を含んでいるとは存じますが、いま私どもの行政では、その当然こちらが水利権——こちらといいますか、新しく建設主体が水利権をとるわけでございますから、前の水利権者との間に、水利権としてのお約束ではなく、水の供給の形におきましてやはり約束をはっきりつけていく、こういう形で指導しております。
  96. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 実は許可と管理で次の三つをあげております。そのことは、実態を調査して必要な措置をはかれというているのですが、それをやっているかどうか。遊休水利権とか過大水利権の実態を調査し、必要な合理化をはかれ。実際こういう事態があるわけですね。それから期限切れ水利権については必要な契約更新をやれ、こういう勧告をしている。それから無許可の取り水については、実態を調べて必要な措置を講じろ。こういう三つの勧告をしているのですが、この実態調査をまずしたのか、したとすれば、そういう実態についてどういう措置を講じたのか。
  97. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 行管の勧告の底流といいますか、というものは、利水が非常にふえておりますので、農業にどうもむだがあるのではないか。したがって、その関係をはっきりさせて、浮かすものは浮かして有効に使えという考えでございます。基本的な問題といたしまして、慣行水利権を守るという農林省立場から、直ちにこれにそのまま進んでよろしいかどうか。たとえば先般の河川法におきましても、届け出によって明確化して、明確化されたその外のものは権利のないものであるという形に相なるわけであります。したがって、考え方といたしましては、過大のもの、遊休のものはもっと縮めろという考え方そのものには、農林省としては反対はいたしませんが、具体的に慣行水利権等がある地区につきまして、おまえの水利権は大き過ぎるからこれはもっと、十トンは多いから三トンでいいはずだという具体的な事例については、私ども農業立場に立って、ほんとうに要るものは確保するという立場で取り組みたいということで、積極的にこの過大、遊休の整理には農林省としては現在人っておりません。
  98. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次に、基本的調査について勧告しているのですが、これは主管庁は経済企画庁であるわけですけれども、当然、農林省としても農業水利立場からこの基本的調査には大きな責任を分担しているわけで、わかっている範囲でお伺いしたいのですが、「水位、流量を主体とする水理調査は、各省、各機関で相互の連けいなく実施され、その資料の交換利用等も十分行なわれていない。各調査機関は、地域的に調査計画の調整を図るとともに、全国的には経済企画庁を中心とする調査結果の利活用措置を講ずる必要がある。」こう言うているわけです。できればこれは経済企画庁も出てもらって伺いたかったのですが、手続の関係でとれませんでしたので、農林省にも関係のあることですからお伺いをいたすのですが、これは私からくどくど申し上げるまでもなく、国土調査法で水調査ということが出ておる。水に関する理想的構想が国土調査法に出ておるのだが、それがさっぱり実施されていない。わずかに調査のデータの統一というようなことでお茶を濁しているのですが、各省ばらばらでその調査をやられ、資料の交換も十分でないといっておる。こういうことでは、農業水利立場からいっても、これは非常に問題だと思うのです。この勧告を受けて政府全体がどういうふうにこれを総合的に基本的な調査に取っ組んでおるかですね。国土調査法にも関連して、その方向というものをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  99. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 私が全部お答えすることが適当であるかどうかあれでございますが、私どもの理解する限りにおきましては、経済企画庁としましては、水資源開発促進法によりまして水系を指定しましたその水系につきましては、責任を持って調査を総合し、また利水、治水関係各省の調査結果によりまして、対立等も調整をしていくことになるわけでございますが、一般河川につきまして、企画庁してそういう調査にまだ手が伸びる段階にあるとは承知いたしておりません。しかし建設省といたしましては、治水行政上、河川の調査ということは必要でございまするので 建設省もやっております。私のほうといたしましては、他の利水側からの農業水利へのいろいろのお話に対しまして、防禦というと語弊がございますが、やはり一つの主張を持つべきであるという立場で、先ほど申しましたように、水系につきまして調査をやっております。本年度もやるつもりでございます。現在のところ行監にありますように、統一官庁によって調査しろということには、まだ相談を持ちかけられてもおりませんし、やはり独自の調査というものを、もちろんその調査の交換の要望等もあって、交換等については今後大いにやるべきであるという形でものを考えております。
  100. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 関連ですが、先ほど局長の説明の中に、農業用慣行水利権が、具体的に数字に触れて説明しておるわけです。たとえば十トンあった農業用の必要な水ですね、それが実際には七トンくらいでもって三トンだけがさい先必要だ、そういう場合に慣行水利権の尊重せられるのは三トンだけですか。十トンは尊重されないのですか。そういう点が明確になっておらないと、これは紛争が起きますよ。
  101. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 非常にむずかしい問題なんでございますが、いま私の設例として申しましたのは、トンは慣行水利権であるかないかということで、差額の三トンを申しておるわけではございません。そこで問題は非常にむずかしいことに相なりまして、農業の実態とからむと存ずるわけでございます。というのは、慣行水利権が十トンありましょうとも、実際農業の使う実態が極端に言いますと、たんぼがなくなった場合、しかもなお慣行水利権ありということが言えるかどうかということでございます。したがって、たんぼがあってそこに水が幾ら要るかという問題といたしましては、節約すれば七トンで済むからお前の慣行水利権を単純に七トンでいいというふうに行政庁が考えましても、慣行水利権うというのは別の法制でございます。直ちにそれを七トンにできるかどうかということは非常に問題でございます。したがって、いまの実態におきましては、農業関係におきましては、この場合には実際面では十トンとして尊重してやっておるわけでございます。七トンだからあと三トン持っていくぞということを強行していることはないわけでございます。しかし、だんだん水が窮屈に相なりますというと、そういう問題が起こるわけでございまして、これは新河川法におきまして慣行水利権の整理の問題としてではなく、まず水利調整の問題として法制面では整理をしておるわけであります。
  102. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 たとえば発電所用の、発電所のために非常に水が必要だという場合がある。ところが、農業用水道というのは、その他工業用の水道だとか何とかといって水がほしい場合に、農業川の水利というのは季節的に変動があるわけですね。たとえば田植えどきにおきましてはたくさん要るわけなんです。そういうものがかりに十トン要る。その他の季節のときにはこれが半分でもいいわけなんですよね。そういうような場合に、これはあと一般のあるいは防火用水とも並行してそういうようなものがいつ要るかわからないという場合に、発電所その他の工業用の水利のために水を取られたということになりますと、そこに何らかの、十トンは水は要らないのだというならば、それに対する差額の補償というものが確立していないわけですよ。その補償をどういうように生かしていくかというところに、私は問題の重点をしぼっていかなければならぬと思う。農民だって確かにこの水は余分の水だということは知っておる。よけいだということは知っておる。しかし、これは古くから祖先伝来の水利権というものを固守しているわけですね。だから、それをある部分をほかのほうに利用するなら、これは当然補償という形で支払われるという基本的な優先権というものが確立していなければならぬとこう思うのですが、そういう点の考え方はどうなっていますか。
  103. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 非常にむずかしい問題なんでございますが、いま御指摘の田植えから始まって稲刈りにかりに九十日間で、ピークにどのくらいの水が要るというのが、やはり農業水利権である。そこで先ほど行監もただ農業水利権が十トンあるというようなばく然たることでなくて、いつからいつまではどのくらい要る。最高どのくらい要るという、そういう関係をはっきりすべきであるというのが行管の勧告でございます。その場合に慣行水利権としてたとえばヒータに十五トン要るというときに、どなたかが常時使う工業用水としてその十トンに食い込むような、毎日何トンか取ることによって十五トン出せなくなる。農業側にとりましては、これは慣行水利権は、みなし水利権に相なっておりますから、みなし水利権に対する侵害ということは言えると思います。ところが、今度農業のほうがそれだけの水は実態として要らないのである。たんぼが減って要らないのであるというときに、権利として三トンあげるから賠償をよこせということが、法律理論として言えるかどうかということについては、非常に疑義がございます。ただ社会的実態として、お話し合いでそこにいろいろの関係が動いておることは事実でございますが、法律論として、それが権利であるかどうかということにつきましては、これは非常にむずかしい問題で、にわかに申し上げかねる点でございます。
  104. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実は農業用水というのは、同時にいまでは衛生川水であり、防火用水であるわけですね。ですから田植えどきばかりじゃなくて、いまでは常時必要となってきているわけです。年間常時。そうフルになくてもいいのですが。ところがそれをかりに電力会社がその水をほしくて、下流の発電所に水を取って回す、水利を取って回す場合に当然電力会社はそれだけの水を、水利を使えば立方当たり何キロか起きるわけですね。収入が上がるわけですよね。あるいはまた工業用の水道に使ったとしても、水道用水として料金が上がるわけですよ。そういう料金の一部を、それだけのものを、農民のとにかく要る。要らないにかかわらず、古くあった慣行水利権に対して、とった以上は、何かそれに対するバック・ペイがあってしかるべきだと思うのです。その水を使わなかったら収入が出ないのですから、そういうようなものが農村に還元される。その場合またさらに下流の田地、田畑土地改良したならばもっと水が少なくなるかもわからない。そうなればもっと発電用水に使えるのです。そういう場合の土地改良は、これは農村の負担でやってはいけない、そういう電力会社に負担させていくとか、その水を使って収益のあがる公共団体にある程度負担させるとか、そういうことをしないで、土地改良するほうは農民の負担である。水はもう要らないから召し上げた、何らのバック・ペイがない。こういうのがいまの実態じゃないですか。そういうのを、やはり農業用水として古くから農民に尊重されておるという権利は、やはり何らかの形で利用した当事者が受益者として、会社なり、公共団体なりが当然その権利に対するバック・ペイはすべきだと思う。そういうものは確立しっておらぬのですか。
  105. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 流水は私権の対象にならないという法律の前提がございます。一方、長い間にわたってある水の使用を行なっておりまして、それが慣習として社会的に容認せられたものが法令上の慣行権、したがって農業に使っております限りにおきまして、それはまさしく慣行水利権でございまして、これは侵害できない。しかし自分が徳川時代以来使っている水だから、この水は自分の水であるから売水ができるかという議論になりますと、現在は法制上は売水はできないという解釈になるわけであります。そこで先ほど法律上の権利として自分はいままで十トン使っておったのだけれども、もう農業として十トン要らないというときに、二トンを分けてやるから金をよこせということが、法律上の権利としては言えないことになる。しかし、社会慣行、実態の問題としては、いろいろのお話し合いが行なわれておることも事実であることも承知しております。法律論としては、私先ほど来申し上げておるとおりに考えておる次第でございます。
  106. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 いまの問題をちょっと、問題を少ししぼってお伺いしたいのですが、たとえば先ほど局長が例をあげた合口事業をやった場合に、当然国なり県なりが、たとえば国営でやったにしても、県営でやったにしても、相当の負担をする。しかし若干農民負担がある。合口事業をやったことによって農民負担をかけた。そこで水が余ってきた。こうした場合に農民がある程度の負担をして余剰水をつくった、この場合にはどうですか。
  107. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) その場合はどうかという御質問の趣旨が、対価を法律上の権利として要求できるかという意味でございますれば、水は私権の対象でございませんから、流水は私権の対象でございませんから困難だ。ただ合口によって浮いた水を工場なり、発電なりが同時に使うという場合には、その合口施設というものは共用施設に相なります。共用という限りにおきまして、その合口の豊川のある程度のアロケートの問題が発生いたします。そういう関係考えております。
  108. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それは局長のおっしゃるとおりです。法律上は、その余剰水を確かに利用した側に対して農民の側から要求はできないでしょう。しかしながら、それだけの水を電力会社なり、あるいはその他の公共団体が利用して利益をあげた以上は、利益があがっているのですから、そういうようなものについて、会社から自主的に、権利の補償じゃなくて、何らかの形でその水利に対して、やはりその部落なり、そういうものに対して報償というか、協力費というか、そういうような形でするような処置は、行政的にこれは優先的に考えるべきじゃないか。そういうことを考えてないから、いつも紛争が起きやすいのですよ。しかもしまいには、法律がないからということで泣き寝入りで、ずっと慣行になってしまって、黙って利用している。しかし社会的な情勢が熟してきますと、昔の農業用水というのは、だんだん衛生用水になり、今日では防火用水ということで重要視されている。しかしながら、いままで利用されてきたものだから、つい泣き寝入りという形で押し切られてしまうのが、これが現状でございます。電力会社はそういう点については全然払っていない。だからそういうようなことは、やはり河川法の変わる際には、そういう土地改良法の変わる際には、何かそういうふうな優遇的な、優先的な措置を講じないと、また当分これは河川法でも、土地改良法でもコンクリート化されてしまうと、農民権利というものは、いつの間にかなくなってしまうということにならざるを得ないと思うわけでございます。
  109. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 純粋の法律論として申し上げておったわけでありますが、農民が十トンの水を在来使っているという場合には、施設なしでは使えないはずなんであります。行管の指摘である農業取り入れぜき及び水路がある、土地改良区がそれを水を売っているがごとくして取っているのはおかしいという指摘がある、私どもはそうは考えないわけであります。その水門をつくったのは農民であり、その水路をつくったのは農民であるわけであります。したがって水を売るということではなく、その施設にかかった金、あるいはその水路を利用する以上、利用料を払うということはあたりまえではないかということで、農民がつくった施設の利用費あるいは建設費の負担の分担、あるいは水路の利用料として要求することは十分あり得るし、またあってしかるべきだ。ところが、川の本流を流れている水を、あの水はおれの本来なら使えたものだから、その水をおまえのところに流すから、その水の金をよこせという御主張は、法律論としては、流水は私権の対象にはなっておりませんので、せっかくのお話でございますが、法律の世界にあげるということは困難かと思います。ただ、施設の使用料、利用料の負担を持てということは、それを便宜水の何トンに換算するということはこれはできるかもしれません。
  110. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 行管の勧告まだまだあるのですが、これはたとえば利水計画の問題ですね、あるいは水利調整の状況等制度機構について、こういうのは少しく具体的にまた伺いたいけれども、これは河川法の関係が中心ですから、適当な機会に連合調査で突っ込んで伺いたいわけであります。行管の勧告を引用してのお尋ねは、農業用水についてはこの程度にとどめたいと思います。ただ農業用水内部の問題が一つあるわけであります。従来の慣行上流部分では優先権を確保している、ものによっては河川法の許可を得ているものもあればないのもある、それから水の量についても利用の時期についてもさだかならざる慣行の中でやられている。だからいろいろ占用権なり鉱業権なりあるいは用水権なりというものが非常に錯綜しているわけですね。これが合理的に秩序立てられなければ、これはたとえばいろいろな営農技術の導入をやろうとした場合に、直ちに農業用水の内部関係の前近代的な慣行の中では、それが実際進まないというネックになっておる。そういう点を一体どういうふうに合理的にこれを措置されておるのか、また将来されようとされるのか、そういう点をひとつお伺いしておきたい。
  111. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 水争い、かつては農業内部に深刻でございました。で、だんだん農業と非農業、他種利水との問題が深刻化してまいりまして、水資源開発促進法、多目的、ダム法あるいは今回の河川法、いずれも農業利水と地種利水、あるいは治水との調整に関します法制の整備が、利水、治水、各省間の協議を通じて前進をしていこうという法制で進みつつあるわけであります。で農業内部の問題につきましても、いろいろ今回の改正の際にも考えたわけでございますが、単純なる法律論としましては、たとえば知事のあっせん、調停、裁定というような法制を考えることも可能なわけでございますが、私ども現在行政を担当いたしておりまして、そういう形での解決ではなかなかうまくいかないということが、土地改良事業が非常に遊んでまいった動機であるという歴史的事実、つまり水が足らなければ、乏しきを分け合うというのではなくて、水源を造成する、むだに流れる水をためるという形におきまして解決をはかるということが、現実的な解決でもあり、また歴史的にもそういう経過をたどっておりますので、むしろ土地改良事業の推進、法制の整備という形を通じて農業関係水利を調整するという立場に立ちまして、農業内部の農業水利に関します部分は、今回はその制度化をいかしませんでしたし、またその必要はないのではないか、こういう判断に立った次第でございます。
  112. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 先ほどからこの水利権の問題、これは一番重要な問題だと私は思うのですがね。そこでどうもなかなか御説明をするのが私にはわかりにくいのだが、これは農民にとっては死活の問題でございますので、一言聞いておきたいと思うのですが、かりに井ぜきがあって、その井ぜきがA、B、Cと河川には分かれてある。その場合にそれぞれ古い井ぜきで漏水があって、その漏水によってAの漏水は次のBが受け、あるいは他から出てきた排水によってBの井ぜきが受ける、Cの井ぜきの漏水がまたCが受けるというような、それぞれあるいは循環する場合もあるでしょうし、新しく起きる場合もあると思うのですが、かりにAの井ぜきが災害で痛んだ、あるいは漏水があまりに多くなったということで、従来使用しなかったコンクリートのがんじょうな最近の工法でその井ぜきを改修するということになる。そうするとBの井ぜきは同意を求めなければその工事はやらせないであろうと思う。その同意を上の、つまり上流の井ぜきが、固いがんじょうな健全な井ぜきになることによって漏水が少なくなるということがありますが、土地改良等によってそれが改修されると、次のBにくる水が少なくなる。それがためにその井ぜきを改修し、改築する場合にはB、Cの下流にある井ぜきの、つまり耕作者の同意を求めなければならぬと思うが、それは同意を求めるということは間違いないと思いますが、そういうふうに考えておられますか。
  113. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 一本の河川で上流に河川工作物をつくって、そこで流水を引くというときに、下流への水利権に全然影響がない場合には、法律論としては関係ないわけでございますが、先ほど行管もありましたように、あとであちらこちらから抗議がくるのが問題なもので、河川行政者は、下流の人の同意書を持ってこいということが行なわれておることは、行管も指摘するとおりでございます。で、今回の改正で、この場合Aが新たに水利権をふやしていこうという場合には、改正の場合におきましても、当然B、Cに通知をしてB、Cの意見を聞いて、B、Cがけっこうだと言えば、Aの水利権は許可する。B、Cとの話し合いがつかなければ河川審議会でそのAの必要性を判定して、許可にする場合もあるし、不許可にする場合もあり得る、こういう法制に相なっております。  なお、先ほど来のお話関連いたしまして、私ども考えなければならぬ問題は、いまお話の中には農業を頭に置いておっしゃっておるわけでありますが、農業内部の土地改良事業におきましては、何といいますか上流で水を浮かして下流の水のないところに回すという事業は、従来ずいぶん行なわれております。もちろん、上流の同意も納得の上で行なっておるわけであります。そういうわけでございますが、その際にそれがみんな対価の対象であるということに相なりますと、これまたなかなか非常に厄介な問題もあるわけでありまして、少なくとも話し合いの上でやっておることは事実でございます。慣行水利権先ほどのようにかたく解釈いたしますと、農業行政そのものもいろいろ問題が発生してくるだろう、かように存じます。
  114. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これはかたく解釈する、やわく解釈するというのではなくて、これは重大なことなんで、これはかたかろうがやわかろうが、百姓は水がなければどうにもならぬ。それでえてして、いずれのたんぼでも、実態は水路尻といいますか、まずその水路の末端はえてして干ばつの受けやすい状況にあることは間違いございません。そこで、せっかく井ぜきを直すのならば、たとえば六十町あればAの井ぜきにAの用水というものは確保しよう、こういう考え方になることは、これは常識だと私は思う。そこでそれはいけぬ、たとえばその六十町をまかなうのに五個の水が要ったということになれば五個以上を取ってはならぬとB、Cが言うならば、五個以上の水は取れない、こういうことになるのだろうと私は常識上思う。しかし、せっかく土地改良をやるのだから、そこのところは相談でまるめてやりたいと思うが、しかしまるめたいといっても、やわい、かたいの問題で、なかなかそう簡単にはいかぬ、こういうことになるわけですが、その場合にB、Cが取っておった水の量がどのくらい常時流れておったのか、三個でよいのか、あるいは五個を流さなければならないのかということの判定は、その井ぜきが持っておる耕作反別の面積に比例をして算定をするのか。それは従来習慣によるものだから、水の量を幾ら流すということは、だれも判定つかぬと私は思う。そうするとBの井ぜきが五十町持っておったら五十町は養い得る水の量が、農林省ではどのくらい、一トン半なら一トン半、あるいは二トンなら二トンということが規定されて指導をされるのか、そこをもうちょっと伺っておきたい。
  115. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 国営土地改良事業のように、上下の関係が非常に問題であり、量的に非常に大きいというような場合に、いかなる流量を前提にして、これだけ取ったら下に影響があるかないかということは、実に非常に大問題で、ございまして、先ほどお話も出た十年間の過去の統計等を使いまして、低水位なり渇水位なりというものを使いまして非常に科学的にやっておるわけでございます。それと同時に、水の所要量も数年かかって減水深と申しますか、たんぼでどのくらい水が漏るかという滅水量調査等を積み重ねまして所要量を出しておる。したがって、国営、県営等の高度の技術の上に行なわれておりますものは、そういう意味の調査を続けまして、上下の関係もお互いにこまかいデータの上に説明し合い、納得し合いしてやっておるわけでございます。いま先生の御説例の問題が、もしかりに国営、県営の規模の問題でございますれば、そういうプロセスを経てA、B間の量というものの調整が行なわれておるわけでございます。農業内部でございますれば土地改良事業の面においてそれが行なわれておるわけでございます。それからBなりCなりがたとえば工場川水であるというような場合には、先ほどの河川審議会等の議論を通じて科学的に議論をされ、求められていくわけであります。それがだんだん団体営等になってまいりますと、そこまでのスタッフと期間と準備がないという意味におきまして、やはり腰だめでいろいろなことが行なわれておる実態はあるかと思います。方法論としては、先ほどの過去の十年間の毎日の流量調査あるいは長い間の減水量調査を行ないましてやっておるというのが実情でございます。
  116. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 渡辺委員質問中拝借したので、あとは私はまた河川法と水利の問題について若干お尋ねしたい。
  117. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私まだどうしても三つばかりあるのですが、たとえば区画整理、交換分合等を踏まえた農地の集団化、これに入るとどうしても二時間くらい納得するまで聞かなければいかぬが、それはちょっともう時間の関係で割愛することにします。私の質問はきょうはこれで終わります。
  118. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて。
  120. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そこで、いまの渡辺さんにえらい気の毒をしましたが、若干伺いたいと思いますのは、おおむね団体営より国営、県営のほうがいま言う合理的なものが働きますから、私は解決がしやすいんじゃないかと思う。ところが、団体営等になりますと、いま局長の言われるような議論ではなかなかむずかしいと思うのですが、しかしそれは別としまして、私がむずかしいと言っても、いずれにしてもできますと言われれば、それまでだから私は議論にならぬと思う。そこで、かりにいろいろ何によりますと、たとえば新しい利水とも関係が起こって、従来使っておる水の量でなしに、その水の量以外に農業用水以外の利水を要求し、またそれが起こってきた場合に、その量の区分をどういう方法で立てていくかということになるわけですね。そうすると、そこで若干衝突が起こる。そうすると河川法というものの、河川の水に関する差配というものは建設大臣が持っておるのではないかと思うのですが、建設大臣が持っておって、その建設大臣と協議をするというふうに私は考えておるのですが、どうでしょうか、農林省と建設省とで協議をしてやるということに考えて間違いないのでしょうか。
  121. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 河川法十七条……先ほど申したとおり、建設大臣が河川の使用、利水の使用の許可は在来はたった一条で河川管理者、これを許可する。河川管理者というのは知事であるという法制でございます。今回の改正は、御審議を願うわけでございますが、一級と二級に分けて、一級は建設大臣、二級は知事でございますが、一級について建設大臣が許可する場合に、建設大臣は、前提がございますが、関係大臣と協議をするという法制に相なっております。
  122. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 その協議というのが、たいへんあいまいなことだと私は思うのですが、あいまいでないと言えばないのだが、意外に、協議がこっちの言うとおりにできればいいのだが、それはそうはいきませんというようなことになってくると困るのですが、これからできる新しい利水というものは、従来その水を優先的に使っておる農業者のほうが先べんをつけ、新しいもののほうがあとからできるわけだから、それだけに農業利水というものにおいては優先権があると私は理解をいたしております。そういう場合に、その理解を持っておるほうが河川法で建設大臣に相談をする、協議をするということは、何か弱くなったような感じを一応受けるのであります。そこで、私はこれは少なくとも単独立法か何かでちゃんと規定をして、相談によってやるなんと言わないで、交通整理がぴしゃっとできるようなふうにやっておきたいものだと思うのですが、そういうお考えはなかったのですか。
  123. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず初めに、建設大臣が許可にあたって協議をするということは、許可行政の運用の問題でございます。そうして法律にはそれしがなかったのですが、今度の法律では、第二款に水利調整という規定を設けております。いまぶつかる問題でございます。すでに使っておる人間と新しい利用との競合の問題の水利調整の規定が別にあるわけでございます。それの際には、原則としてその関係者の間の同意が整わないものは、考え方としては原則として許可しないので、許可する場合は特別にその被害を受ける人に対する防除措置ができた場合に許可する。それから、どうしても著しく公益性が高いものである場合には許可する。ただしその許可は「河川審議会の意見をきかなければならない。」とか、知事の意見を聞かなければならないとか、いろいろ入っておるわけであります。ですから災害の、何と申しますか、権利の競合関係に関しましては、何もなかった法律に新しく法律に入ったというのが今回の法制でございます。  そこで、第二段の利水者が許可するということは考えられぬかという問題でございます。これは先ほども申しましたとおり、河川の利水と治水の衝突をいたしまして、二十七年以来非常にもめた問題でございます。そうして河川に関するいろいろの水制度部会等でございますか、経企等におかれましていろいろ審議が続けられました結果、三十年以来、その許可行政は河川の建設大臣が行なうのだが、関係機関の協議の上に利水と治水の調整をはかっていこうという法制が多目的ダム法、水資源開発促進法、今回の河川法というふうに協議方式でこの問題を進めていこうというふうに歩んでおりますので今回の改正の際に考えなかったかどうかといえば、過去の経過いろいろ考えまして、何も河川を使用しているのは農民だけでございませんから、河川の新しい許可は農林大臣が許可するのだという主張はいたしておらないわけでございます。
  124. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは私は少なくとも河川における知事が管理をする場合もありましょう、河川によれば。あるいは建設大臣が管理をする場合もありましょうが、少なくとも水管理というようなものについては、一つの単独の法律で規定をしてもよいのではないかというふうに感じるわけです。しかし、将来はひとつそういう方向でものを考えるということが必要だと思うのであります。  それからもう一つ具体的なことで伺いたいと思いますが、伏流水というものは、いわゆる同じ水といいましてもたいへん種類があるのじゃないかと思うんですが、伏流水のことで何か規定をこさえておられますか。
  125. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 特に今回の河川法で伏流水ということを取り出して規定をいたしておりません。ただ河川の区域というものが規定されておりますので、その河川の流水が継続して流れる状態につきましてはいろいろ書いてございますが、伏流水という立場で特に規定はございません。
  126. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それじゃもう一つ伺いますが、これもやがて——これは最後になったんでしょうから機会がないと思いますが、農地局でおやりになるのかどうかわかりませんが、かりにこの土地改良を行ないまする者は、その負担者は地主か耕作者かいろいろな場合に私は違ってくると思うのですが、地主にしてもあるいは耕作者にいたしましても、その分をそれぞれ法律で規定するということはなかなか困難かとも思いますが、この問題はどういうふうに取り扱っておられるのですか。それは組合内部のそれぞれの申し合わせできめればそれでいいわけですか。
  127. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 法律の三条に「土地改良事業に参加する資格」というものを規定いたしております。それで第一に、農用地の場合、既耕地の場合、考え方といたしましては既耕地の場合には、耕作者優先の思想をとっております。ただし農業委員会が承認した場合に地主でもいいと、こういうかっこうになっております。それから未墾地の場合は、考え方としては参加者は所有者優先の思想をとって、逆に特別に承認、同意があった場合には利用者でよろしい、こういうことであります。
  128. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 その場合に、土地改良等その他いろいろ土地に変化のある場合もありましょうが、そういう場合の小作料の改定という問題が起こってくるかとも思いますが、将来小作料という、いまの統制小作料といいますか、その統制小作料というものを改定する用意がありますか。
  129. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 大きな問題で、私からお答えするのは適当ではございませんが、小作料千百円程度でございますかは、農地の流動化との関係であまりに問題ではないかという御意見も各方面に強いわけでございます。と同時に小作料の問題は、農地の地価、資本還元と農地価格の問題がからみますので、農地法をめぐりましてあるいは農地制度をめぐりましての検討課題といたしまして、いま鋭意取っ組んでおる次第でございますから、結論はまだ得ておりません。
  130. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そういうことでございましたら、この際つき詰めてお伺いしょうとは思いませんが、近く農地の流動化等も規定をされるよしでございますので、十分にその場合には請け負い小作料というようなものについても問題がいま出ておりますので、お忘れなくひとつ、やはりそれぞれのけじめをつけていただくように要望をいたして私の質問を終わりたいと存じます。
  131. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 先ほど渡辺委員質問に対して関連質問をしたのですが、局長の答弁は私の期待しておる方向とは違った答弁をなさったんですが、そのことはわかっておったけれども、あまり渡辺委員質問にじゃまになっちゃいけないと思って私は再質問をしなかったのですけれども、その同じ施設で余剰水を他の事業に利用した場合、これはあるべき姿であたりまえのこと、そんなこと私は聞いたんじゃない。ある施設をやって余剰水が出た場合に、若干の時間がずれてその余剰水を利用するものが起こった場合に、その余剰水をつくったのは農民も負担して余剰水をつくったんだ。それを、ある時期がずれて考えてもいいですが、他のものがこれを利用した場合は、その農民負担による余剰水の発生ということに対して何ら考える余地はないかどうか、そういう意味合いでお尋ねしたのです。答弁されてもされなくてもいいんですが、質問の趣旨をちょっと取り違えて答弁されたようですから、答えられれば答えてもいいし、でなければ答えられなくてもいいのです。
  132. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 確かに検討課題と前から存じておる次第でございますが、直ちに各方面から研究をしてみないと、制度化に非常にむずかしい問題であるということを、実は前々から考えておる問題であります。
  133. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後四時二十九分散会