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矢山有作君 これは
あとでひとつ資料がほしいのですが、いま言われた家畜の改良増殖
計画、これと対比する飼料の需給
計画というものは、大まかなものはあるのだろうと思いますが、これをひとつ
あとで資料として出してください。
それからひとつお尋ねしたいと思います。こちらの意見という形になるかもしれませんが、
土地改良の
長期計画を立てられる際の御説明で、地元の意見等も尊重して
土地の利用についてはそうした
計画を立てるのだ、こういうお話があったわけです。ところが、畜産の振興ということを今後相当強力にやっておいでになるのだろうと思いますが、そういう中で、飼料の問題を解決しなければ、日本の畜産というのは経営採算上も有利にならぬし、また、畜産
自体としての安定ということははかれぬと思います。そういう
立場から
考えたときに、これは飼料についての国内自給度というものをどれだけ潤めるかということは、非常に重大な問題だと思います。というのは、現在までの
状況を見ておって、昨年だってトウモロコシ、マイロは一年間にトン当たり三千円かそれ以上輸入したものは値上がりしているわけです。ところが、日本の畜産というのは、完全に飼料については買い手市場になってしまったわけですね。したがって、こういう調子でいっていると、私は将来安いえさを獲得するということすらなかなかむずかしい
状態になってくるのじゃないか。それを
考えた場合には、やはり畜産の安定的な
発展をはかっていこうというなら、国内で自給をする態勢をとっていくということが、私は必要なんじゃないかと思います。それは当面たとえば麦の場合を取り上げていいますと、確かに輸入したものよりは高くつきます。しかし、それは現在の
農業の生産構造といいますか、それ
自体に問題があるわけですから、したがって、自給度を育めていくという
立場に立ったら、そういった現在はなるほど輸入したものよりも麦の比較でいえば、麦は国内産のほうが高い。しかしそれは生産政策が展開されることにより、合理的な経営に移されることによって、どこまでこれが国際的な
価格と比較してもっていくことができるのか、これもひとつ
検討しなければならぬ問題でしょうし、それから草地の
造成をやることによって飼料を自給していくということが、どういうふうになっていくのかというようなことも、やはり慎重に
検討していかなければならないと思うのです。ところが、そういうようなこまかい
検討がいまの話を聞くと出ていないというわけですね。だから畜産局というのは、とにかく改良増殖
計画を立てて牛を飼え、豚を飼えということだけはやってきた。ところが、
肝心かなめのえさのほうはあまり本気でやっていないじゃないか。そのことが、いまぼろが出てきたわけです。だから、やはりこれは畜産を選択的拡大の柱に立ててやろうというなら、もう畜産局としては早急に飼料の
基本的な
対策というものを持つべきじゃないかと思うのです。そういう点から現在持っておられる構想というものがあるならば、それをひとつまとめて私
どもに資料にして示してほしいと思うのです。それからでないと、この飼料問題の論議というのは、私はできないだろうと思う。というのは、私は飼料の問題を調べておって、非常に不可解千万に感じたのは、飼料の輸入の面を取り上げて申しますと、日本飼料協会というのが三十六年にできた。同じころタイ・メーズの輸入協議会ができた。さらにそのころ飼料の設計
基準も
転換をした。こういう問題があるわけです。そうして値段からすればかえって安いタイあたりのメーズの輸入量が減っていって、一時急激な減少を見せた。アメリカからのトウモロコシがばく大な量入ってくるようになった。マイロはこの一月までは自由化されておらないで、一月から自由化されたわけですが、マイロあたりにしても、自由化されないままで四十万トンからのものがどんどん入れられてきた。こういうところを
考えてみると、全く日本の畜産というのは、畜産を百姓にやらすことによって、外国の余剰農産物をはいてやることばかりに本気になってきたのじゃないか、極端な言い方をすれば、そういう感じがするわけで、それではどうも困ると思うのです。だから、畜産の振興をやられる上においては、やはりえさの問題について
基本的な姿勢というものを確立してほしい。これは早急にやらなければならないと思いますし、さらに
土地改良法の
改正の問題に関連しては、草地
造成というものについて、畜産局が今後どういうふうな取り組み方をするのか、特に先ほどのお話で五十万ヘクタール程度の草地改良を
考えておられるということですが、実際に草地改良をやるとしたら、草地改良をやれる
土地がどの程度あるのか。これも
調査しておられるか、
調査しておられないのか知りませんが、その点も私
ども聞きたいところです。われわれの聞いておるのでは、開拓可能地の面積というのは五百万町歩からまだあるんだというような話も聞いておるわけです。そうすれば見地として改良していける面というのは、もっとあってもいいんじゃないかという感じがするわけです。だから、乳牛のような草食性のものについて現在の生産コストを下げようというならば、草による乳牛の飼育ということにかなり、ウエートを置いて
考えていかなければならない問題だろうと思う。それだけに草地の
造成という問題は、いままでの五十万ヘクタールというような
検討されたことが、それで十分なのかどうかという
反省も、この段階でしていただかなければならぬと思います。まあそれらの問題をも含めて、次の機会に畜産
局長にもう一ぺんお伺いしたいと思いますので、きょうは私の飼料の問題に関連する
質問はひとっこれだけで打ち切っておきます。
それから最後に、せっかくの機会ですので、
一つだけ畜産局に伺っておきたい。というのは何かといいますと、この間、渡辺
委員長からも話が出た市乳の値上げの問題なんです。これは二円値上げというところもあるし、高いところでは四円からの値上げだというところもある。
地域によっては、実際に値上げをやったところもあるわけです。これは
大臣もおっしゃっておったように、私的取引ですので、行政的にどうして抑えていくというようなきめ手はない、こうおっしゃるのです。それはおっしゃるとおりだろうと思う。ところが現在御
承知のように、市乳の消費が伸びないということ、乳製品にたくさんの乳が回されるということ、したがって乳製品の滞貨がふえるということが、原乳の生産者
価格を引き下げるための
一つの口実にされてきたわけです。そういう
状況の中で、その市乳の値上げが行なわれるということは市乳消費が伸びるということに害はあっても益ではないはずなんです。それが
一つです。はたしてそれは労賃が上がったとかいろいろな理由から、あるいは原料乳の
基準価格が上がったとか、そういうような理由から市乳
価格を引き上げていかなければやれないのだということをおっしゃる、しかし畜産局としては、ほんとうにメーカーがどれだけ経費がかかっておるのかということ、メーカーの経営の実態というものを把握して問題を処理されようとしておられるのか、しておられぬのかということは、私は疑問だと思う。これは市議会のときにも私はちょっと触れた問題ですが、乳製品等について、いわゆる生産費
調査を出してもらったわけです。そうしたところが、大手を中小企業と比べて、大手のほうの製造コスト、販売経費等が中小よりも上回っておる。われわれの常識からすれば、中小メーカーというのは設備も非常に
近代化されていない。あまりいい設備を持っていないわけです。まあ能率の悪い製造をやっておる。で、大メーカーのほうは農林漁業
関係等の融資を受けて、設備の
近代化も大々的にやって相当生産性も上がっておるはずです。そういう中で大手のほうの製造コストが中小よりも高くつくというようなことは、私
どもとしては全くふしぎな気がするわけです。それらから
考えてみて、私は十分に現在のメーカーの実態を把握しておられないままに、畜産局は振り回されておるのじゃないか、農林省は振り回されておるのじゃないか、こういう感じがするわけなんです。ですから、ただ市乳の値上げをするのだとか、あるいは生乳の、原料乳の
価格をどれだけにするのだとか、せんのだとかいうことも、もちろん大切なことで、特に生産者の
立場からすれば、原料乳価を、少なくとも生産費だけは償うものにしろということは当然の要求ですし、またそうしてもらわなければならぬ。ところが、なかなかそこまではいかない。ところが
肝心かなめの原料乳価をきめる場合でも、あるいは市乳の
価格をきめる場合でも、一番に問題になってくとるいうか、大きなウエートを持ってくるメーカーのほうの製造経費が一体どれぐらいついておるかということは、全く向こうの言いなりほうだいで、農林省のほうはようつかんでおられないだろうと思うのです。そういうことでは、実際の行政というものは、私はやれぬと思うのです。そういう点から、どうして私は農林省がもっと前向きになって酪振法を活用し、あるいは畜安法を活用して、メーカーの生産の実態ということまでつかもうとする努力をしないのかということが、私はふしぎなんです。そういう点で畜産
局長はもっと曲向きに
考えてもらわなければならぬと思うのです。こりいう点についてのお
考え方をひとつ承りたいのと、それから、一体市乳値上げをやらした場合に、一体どういう形で市乳の値上げというものが実現されてくるのか。つまり二月上げたとした場合に、メーカーとそれから、販売人とそれから生産者とそれらの、取り分というようなものが、どういうふうに
話し合いが進んでおるのか。そういった点もあわせてひとつ聞かせていただきたいと思います。