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1964-04-14 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十四日(火曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————   委員異動 四月十三日   辞任      補欠選任    野溝  勝君  大河原一次君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            北口 龍徳君            仲原 善一君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            小宮市太郎君            戸叶  武君            矢山 有作君            高山 恒雄君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    農林省農政局長 昌谷  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業改良資金助成法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  委員異動について御報告いたします。  四月十三日付をもって、委員野溝君が辞任され、その補欠として大河原君が選任されました。     —————————————
  3. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案一括議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は御発言を願います。
  4. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 農林漁業金融公庫の融資の内容というものは、特に政府農業政策の掲げる農業構造改善の柱が大きな軸となっておる、これとの関連があるわけでありますが、農業構造改善について少しく詳細にお伺いをいたしたいと思うのであります。  まず第一に、この農業構造改善が、三十七年の六月八日に、閣議で了解された事項、これで正式にスタートを切ったわけですが、この当時のパイロット事業及び一般事業年度別実施予定というもの、これがどうなっているか、資料でお願いしたのでありますが、出ておりませんので、簡単に、このスタートしてからおおむね十カ年以内に三千百カ町村を完了するということについての、まず年度別計画、当初の計画です。それをお聞かせを願いたい。
  5. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先般、渡辺先生から御指摘ございました構造改善事業実施状況に関します資料をとりまとめて御提出申し上げましたが、その印刷物のとじ込みましたほうの第一ページには、三十八年度までの進捗状況を記載してございまして、いまのような御趣旨のことがございましたので、別刷りで現在考えております四十二年度までの計画地域についての計画見込み地域数と、それから同じく事業実施地域についての四十三年までの着手見込み予定数資料として御提出したと存じておりますが、念のため繰り返して申し上げます。
  6. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ちょっと何ページですか、資料の。
  7. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) とじ込みました資料の中では、一ページにありますのは、三十八年度までの進捗状況、それからお手元に、それと同時に、第1表(附)と書いて、先生のお話もございましたので、一枚だけ追加をして御提出したと思っておりますのですが、もしございませんでしたら、また何か手違いがございましたら後刻お届けいたしますが……。
  8. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いただきました。それじゃいいです。これは資料がありますから。それではこの資料を見てお伺いをするということになるわけですが、事業実施地域は、これによると四十三年までで、あれですか、三千百になるのですか。
  9. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) はい。
  10. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 附表2の……。
  11. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) このとじ込みました表の第一ページに、三十八年度までの着手地域数が四百三というふうに出ておるわけでございます。それに三十九年度の予定、それから今度別刷りのほうで、三十九年度以降四十三年度までの着手見込み地域数をお示しを申し上げまして、実績が四百三に、三十九年度から四十三年度までの予定地区数二千六百九十七を加えまして、一応三千百というものをこういう年度割りで進めてまいるというのが現在の予定でございます。
  12. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうしますと、三千百というのは、当初考え市町村の数であって、しかしながら、三十九年からはこれらの既存の実施地域の中でも、さらに点から線といいますか、構造改善をその実施地域にさらに普遍的にやるために、五十を指定したと、こういう説明でありますが、そういうものが三千百という中に上積みになるのか、中になるのか、中になるとすれば、当初の目標の三千百というものの絶対数が、少なくとも三十九年度においても五十が削減されるということになるわけですが、それは一体どういうふうに考えればいいのですか、また三十九年度だけが五十ではないとすれば、さらに内ワク内容とすればそれだけの問題が出るし、外ワクとすれば三千百が一体どれだけ個所数としてふえるのか、そういうこの閣議決定の、構造改善の将来にわたる展望の必要上、その見通しまで合わせてお伺いをいたしたいと思います。
  13. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 閣議決定の、閣議了解をいただきました当時の考え方といたしましては、大体、都市化工業化の進んでまいるような地域を除いて、約三千百町村程度を当時の事情のもとに予想をしたわけでございます。そういった予想に基づきまして、逐次年々具体的な地区事業計画認定をし、着手をしてまいっておるわけでございまして、その点の大見当はさほど狂っていかないと思うのでございますが、ただ、実際には、それが三千百をどの程度上回りますものやら、あるいは逆に、都市化工業化がもっと進んで下回ってまいりますものやら、その辺のところはもう少し時日の推移を見ませんと、率直なところ、今日の段階でにわかに最終的にこうときめつける十分な材料はございません。市町村長と逐次相談を重ねていくという段階で煮詰まっていくことになろうかと思います。大見当としての三千百というものを一つめどに置いておるわけでございます。  そこで、三十九年度から一たん構造改善事業実施をいたしましたところにつきまして、パイロット地区、それから一般事業地区を問わず、その町村事業実施地域以外のところで希望があり、また態勢が整っておれば、同じ規模で、同じやり方で事業を重ねてやると申しますか、同じ市町村についても重ねてやることの道を開いたわけでございまして、その個所数の一応の予定といたしましては、三十九年度はまあ五十見当ではあるまいかというふうに見当をつけておるのが現状でございます。  そこで、今後も年々そういったことで、新規地区優先採択はいたしますけれども、それと並行して、ぜひ同一市町村内で、別のところがやりたいし、やれるというところは、第一次事業の目鼻のついたところで計画の御相談をし、事業着手をしていきたいと思っております。その個所数につきましては、さしあたって、現状ではそれがどのくらい出てくるものかわかりません。私どもが勝手にと申しますか、あまり根拠のない資料で何カ所というふうにきめてしまうのも現状ではいかがかと思いますので、その辺のところは、今後事態推移と並行して、弾力的にそういった要望にこたえていくような予算措置を取ってまいりたい。そういった弾力的に要望にこたえるような予算措置を逐次取ってまいることで、具体的な問題は処理していきたいと思います。したがいまして、何と申しますか、当初三千百の地域について立てました予定進度と申しますか、予定計画は、当時としての一つめどではございますが、第二次事業を行なう町村を加えることによって、結果において三千百をかなり大幅に上回るのか、あるいは三千百の中でそういう需要にもこたえ得るのか、その辺のところも、現状ではいずれとも決定いたしかねております。もう少し事態推移を見て、四十三年度を一応事業着手最終年度というふうに私ども考えておりますので、そういった時期に接近したときに、さらに事態推移を見て検討をしてまいりたい。そういうことで、三千百という地域数は、一応のめどとしては、現在直ちにそれを改めるだけの具体的な根拠も持ちませんし、またそういう意味で一応置いておりますけれども、必ずしもそれでおさまるとか、その中におさめ込むとか、そういうつもりでやっておるものではございません。
  14. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 非常にどうもすっきりしない御答弁ですから、政務次官にお伺いしますが、これは、いまの政府委員答弁する前に、私は重政農林大臣に直接お伺いをして明らかになった点からは、非常にその問題がぼけておる。で、重政大臣に私が尋ねた方向としては、工業都市を除く三千百カ町村をやるのだ、そうしてめどとしては四十三年までに初年度実施をして、四十六年にはその構造改善事業のワン・ラウンドを終えるのだ、こういう答弁であったわけです。ところが、いまの昌谷局長説明によりますと、三千百は一応のめどである。しかして三十九年度から新たに従来の実施地区に、さらに上積みをするような指定が五十出ておる、これが三千百の外ワクになるのか、内ワクになるのかということもさだかではない、こういう答弁でありますが、私は一年もたたないうちに、こういう閣議で申し合わせた事項が非常に焦点がぼけるという事態がやはり問題だと指摘せざるを得ないわけであります。しばしばこの問題で指摘をしておるように、この構造改善事業をやるために、単独立法をもってその向こう方向を明らかにすべきであるという主張も、そういう内容の不確定さ、そういうものから私たちは絶えず準独立法によってこれを推進すべきであるという主張をいたしておるわけです。で、三千百カ町村が、一体工業化をして、農業構造改善対象にならない場合もあるという答弁でありますが、こういう構造改善事業というものは、今後十年の将来にわたって同じベースでやるということ自体にも問題があるので、七カ年間でその実施スタートを切って、十年後には完成をするということは、最近の経済情勢進捗度合いからいって非常に長過ぎる、もっとそれを圧縮しなければ、従来考えておった予算単価も、物価高騰等によって修正せざるを得ない情勢のまた激変もある、もっと圧縮すべきであるということを申し上げたんですが、政府としてはこれが限度であるということであります。みずからその内容の不確定さを一そう深めてくる、そういう疑惑を一般国民は抱かざるを得ないわけですが、三千百という市町村の中に、新たなる要素として、従来実施地区に対してさらに構造改善指定部落等追加するということが、三千百カ町村の数の内ワクになるということでは、これはたいへんな問題です。それは他町村構造改善を無視して、さらに重点的にやるという内容にもつながるわけですが、これは政務次官として一体どういうふうにお考えになっていますか。
  15. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 渡辺委員の御指摘の点は、私もごもっともだと思っております。ただいま農政局長答弁されたように、この三十七年の閣議了解におきましては、全国約三千百町村を目途として実施するということに相なっているんで、きっかり三千百というわけでもないのでありますけれども、その後の情勢によりまして、新産都市等ができてまいりまして、どうも当初予想をしておったところが非常に工業化するというような状況も出てまいりまして、この点に関しましては、農林省といたしましても三十九年度予算において、この関係調整をはかる必要があるというので、調査費を計上して、今年度調査をすることによって、その調査の結果によって調整をするということにいたしておるのであります。そういう関係もありますと同時に、一方また、構造改善が順調に進んで、なおやりたいという地区もあるようでございますので、今回は、とりあえず五十地区をその方面に向ける予定をいたしておるのであります。で、結局は、三千百の内になるか外になるかということは、もう少しいま申し上げた検討の結果を待ってきめたいと思っておるのでありますけれども、私らの考えといたしましては、この構造改善地区に三千百やったところで十分なものじゃありませんので、まだまだこれは三千百より以上さらに多くなることと私は考えておるのであります。だから、はっきり内になるか外になるかということは、ここで決定的に申し上げかねますけれども、われわれとしては、さらにさらに多くやるという考えで進んでおるのであります。
  16. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうも納得ができないのですが、三千百カ町村の中に、新産都市という新しい事態も生まれたというのですが、このことは何もいま生まれたことじゃなくて、新産都市もこれは新しい立法によって生まれてきていて、当然のこれはコースをたどっている。しかも新産都市の実態を見れば、この地域の中には新農業地域も入っておる、具体的に。これは何ら三千百を減殺する理由にはならない。三千百というものでは解決ができないということですが、新しく取り上げた従来の指定地区に、さらに、他の指定から漏れた部落区域というものを濃密に指定していくということは、これは非常に当然なことで、それでもまだその町村行政区域の中から見れば半ばにもすぎないという状態ですから、それをさらに、希望があればということですが、これは希望があればということではなしに、もっとその地域全体に構造改善が普遍化するような取り上げ方こそが基本的に大事なことで、それをいまから修正して、そういう方向にこの事業を持っていこうということは、これは私は異論のないところであります。ただそのために、「約」と書いてあるからその「約」に重点を置いて、三千百はきわめて不安定であるというような政府の態度では、これらの予定されている町村も、これは年次別の中には、具体的に計画としてはあるわけです。そういうものが明らかになって「約」であって、これがもう削られるかどうかわからぬというようなことでは、われわれは一体どうこれを受けとめていいかわからぬということになってくる。だから、あくまでも三千百カ町村というものは長期の展望の上に立てた目標でありますから、そういうものを削減することなしに、従来の拠点式構造改善というものを千に拡大するということは、これらの市町村の数とは関係なしに上乗せをし、かさ上げをする一つの新しい措置であるということを、政府としては明らかにここで表明してもらわぬと、われわれのこの疑問というものは消えない。この点、政務次官どうですか。
  17. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) それは、もう一度申し上げますが、新産都市等事業進展によりまして、三千百に拾い上げられたものの中で、あるいはやむを得ないで修正しなければいかぬところも出てきやせぬかという考えを持っているわけでありまして、ただ、いま渡辺委員のおっしゃったように、全体として、いままで一般指定地域といいましても、これは町村全部をやるだけのものではないのでありまして、まず、パイロット地区に近いものでやると私は見ておる。これを千にし、さらにまた幅を持ち上げることは、これはもうわれわれは強力にやらなければいかぬというふうに考えておるわけであります。結局、全体を広げるというような考えでわれわれは進んでおるわけであります。ただ、当初予定した三千百の地域の中で、新産都市進展によりまして、どういうふうになるか、これはまあ今後調査することにしておりますが、その点に若干の修正があり得るかもしれない。こういう意味で、外か、内かということを申し上げたわけで、さらにこれは強力に推進しなければいかぬということにわれわれは考えておるわけでございます。
  18. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 関連。いまの渡辺さんの質問ですが、それに対する政府側の御答弁ですけれども、私も渡辺さんと同じ意見を持っておる。三千百カ所を十カ年にやるという、そういう閣議決定ではない。全国三千四百市町村のうち、約一割を除いた三千百市町村というものを対象にしてやろうと、こういう閣議決定であったはずなんです。だから、三千百カ所をやるのでなしに、三千百市町村対象にしてやろうという、そういう方向をきめたのだから、いまの、内か、外かきまっておらない、考えておらないということではなしに、これは、三千百市町村対象にしてやり、三千百市町村をやることの原則はあくまで保持して、それで、たとえば、非常に工業化して、構造改善事業をやる必要がなくなった、そういうものは、原則外としてはずすことはあるにしても、その原則というものは、あくまでも維持していくんだということでないと、考え方が、非常に混乱してくると思うので、これを、ひとつ、御答弁願いたい。
  19. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 私のお答えのしかたが、やや、技術的観点からのお答えに過ぎたかと思いますが、ただいま、櫻井委員からおっしゃったとおりのものの考え方で、私どももおります。と申しますのは、やはり三千百という、当初考えました構造改善事業実施対象を、この際、積極的に、施策として狭めるとかなんとかいうことは、毛頭考えておりません。ただ、一方で、そういった事業を進めながら、なお、その事業だけで十分でないところを補う意味で、同じ町村についても、さらに、同じ規模のものを、重ねると申しますか、同じ市町村について、他の地域で同様なことをやろうということを、新たに加えたということにとどまるわけであります。ただ、私が申しましたのは、何と申しますか、予算措置としてと申しますか、ちょうど三千百の町村の一応のめど計画が、当初のものについてとられたと同じような意味で、第二次事業についての年次計画的なものは、まだ、もう少し、時期をかしていただかないと煮詰まってまいらない、そういう問題がありますので、当面、年次計画的に、きちんとしておらぬと申しますか、年次計画的なものでなしに、当面、やれるところから手をつけるというような意味で、第二次事業のほうはスタートいたしましたから、したがって、全体の個所数は、第二次事業を加えることによって、一地区平均九千万円の事業をやる事業として見た場合に、何カ所になるかというようなことの意味では、まだ、詰めておりませんと申し上げたので、市町村数と申しますか、対象市町村として、自然に事業がやれなくなるところは別といたしまして、私どものほうで、意識的に、対象市町村数を、当初考えました考え方をあらためて変えたというわけでは毛頭ございません。その辺のことばが足らなかった点は補わしていただきます。
  20. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 非常に乏しい時間で、こういうことに、私は時間を空費したくないのですが、三千百カ町村というものを、閣議了解の中にきめた内容は、三百の工業都市を除いた市町村対象にしておるので、その三百という中に新産都市地域が入っておるわけです。低開発地域工業開発促進法指定地域も、おそらく、この三百の中に入っておるので、三千百カ町村が、当初、三十七年に閣議で申し合わせたことと違った様相というものが出てこないということですね。  そこで、政府として明らかにしてもらいたいのは、新しく、従来の指定地域に、さらに秘密的な構造改善事業追加指定をするということは、これは、まさに、けっこうな施策ですから、これは、あくまでも、レア・ケースとして、三千百から除かれるところはあるにしても、それは、例外的なことであって、通常、常識的に考えれば、三千百カ町村というものは、これは、対象に、年次別に進めていくことでなければならぬと思うのです。  そこでいただいた表は、すでに三十九年は三千百の中に五十というものを食い込まして統計に出しておるところに、私は問題を指摘するわけです。だから、これがまあ、最初第二次の新しい施策として取り上げたのだから、将来の年次別展望はまださだかではないということもわかりますが、一応それを平均的に五十ずつ見ていっても、二百五十というものがさらに出てくる。これが三千百の市町村事業実施計画予定地から減らされるということになると、全体で二百五十も、三千百の中から落とされるというような、不安のあるような答弁では困る。そこで、一応見通しはつかないにしても、新しい施策として盛り上げたこういう要素は、従来の閣議了解を得た三千百カ町村の、さらに外ワクとしてスタートを切っておるのだということの御答弁がなければ、国民不安感は払拭できない。その点、政務次官どうですか。
  21. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 私は端的に言えば、そういうふうに考えております。結局、確定的なことは言えないにしても、それは外ワクのように、その方向で進まなければならぬと私は考えております。
  22. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、これからこういう資料を出すときに、外ワクのようなひとつ考慮をされた資料に訂正をしてもらいたい。いまの出された資料の範囲では、内ワク内容としてしか受け取れない。そういう誤解を生みますから、念のため、これは注意を申し上げておきます。  そこで、次にお伺いしたいのは、これから本論なわけですが、これは年次別補助率をきめて、三カ年計画でその実施を完了するということでスタートを切っておるのでありますが、今後も、三年でスタートをしてから、構造改善事業が完成すると、こう考えていいんですか、どうですか。
  23. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 原則的には、私どもも今後も三カ年間で事業が完了いたしますよう努力をいたしたいと思っております。ただ、三十七年度から事業着手いたしました地域は、パイロットを含めまして、初年度のことで、御承知のように第一年度目の事業着手はかなりおくれて発足をいたしました。三十八年度に繰り越さざるを得なくなった地域が相当多数ございます。また一方、国有林の活用の問題でございますとか、あるいは収穫乾燥施設の研究の問題でございますとか、そういった無理に三年内に急いで完了することがむしろいかがかと思われるような状態を呈しておりますので、三十七年度着手地域につきましては、三十九年度予算措置におきまして、若干、三十九年度からさらに一年延ばしまして、四十年度に事業を持ち越すことを予定いたしましたと申しますか、無理に三年内に事業をしない場合に補助を打ち切るというような、そういう一方的なことを避けたわけでございます。したがいまして、そういったいま申し述べましたような事情で、三年内に無理に補助事業を完遂することが、現地の事情から見ていかにも無理があるところにつきましては、計画変更等の手続によりまして、若干第四年度目になってもかまわない、無理をしないでやっていただくというふうに考えております。将来につきましては、できるだけ三十八年度以降は、初年度事業認定年度全般にはおおむね終わっておりますので、今後はおおむね三カ年内に無理なく事業が終えられるものと期待をいたしております。なお地域々々の実情によりまして、その辺のところは画一的でなく判断いたしたい、さように考えております。
  24. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ところで、一応問題と思われるのは、あなたのいまの答弁の中にもあったのですが、パイロット地区というものの果たす役割りが現実には一般地区と何ら変わりのないようなスタートを切っておるということがまた問題なわけです。少なくとも、われわれが素朴に考えて、パイロット地域というものは、そこであらゆる施策をまず投入して、いろいろな問題が出てくるわけです。そういう点を十分勘案して、一つの誤りなき構造改善方向づけが出た上で、一般地区にこれを普遍化するというのが、われわれ国民パイロット地域に対する期待である、そういうことを申し上げたのでありますが、どうもパイロットというものが、そういう形ではなしに、ほとんど一般地域と変わりのないスタートを切っておる。だから、パイロットだけで問題が、その範囲の狭いところで矛盾が整理さるべきはずのものが拡大し、一般地域の中において普遍し、内在し、矛盾が表面化をしてきておるということについても、パイロット地域という名ばかりの政策が一般的なものに溶け込んだという行政上の責任は免れない問題だと思うのです。そういう点を一体どう考えるかということですが、もうすでに、これはそういうことで。パイロットというものは名ばかりで、ほとんどそれとくびすを接するように、一般地区計画実施指定が行なわれておる。こういう中で、共通的に見られる問題は、いま言ったように、たとえば構造改善事業の中で、水田作経営、近代化施設、共同管理栽培、あるいは大規模穀類乾燥調整施設、こういうところに問題が非常に鋭く出てきているわけです。結論的に言えば、コンバインなり、大型トラクターなりというものを駆使して、生産技術体系が整備されるということが確立されない前に、大規模圃場の区画整理が先行しておる、農道の拡張が進められ、せっかくの投資がある期間は遊休化せざるを得ない、そういう事態が、政府指定したパイロット地域なりあるいは一般地域の中に、矛盾が出てきておる。だから、構造改善事業を進める前提としては、そういう農業技術の体系が整備された上で、この事態が大規模の区画整理というものが行なわれなければならぬのに、技術の体系というものが確立しない、そういう矛盾が、あなたがいま言ったように、三年で事業を完成さすべきものが一年延期するという、農林省としてはまことに不名誉な、面目も何もないような通達を出さざるを得なくなった、そういう点があると思う。これは抽象的に言ったのでは、なかなか具体的な御答弁は得られないので、私は以下、具体的な問題についてお尋ねをいたしたい。  それは、特にこの構造改善の中の水田の経営の近代化施設についてでありますが、たとえばコンバインの問題にしても、いま言ったように、具体的な技術の体系というものがまだ確立していない、そういうことが明らかに出ているわけです。これは私が指摘するばかりではなくて、農業機械化審議会の答申にも出ておる。この会長は、かつて農林省の事務次官をやった小倉さんがこの会長をしておる。そういう政府みずからの農業機械化審議会が、そういう水稲作の栽培の共同経営というものに対する技術の未熟さを、各項目にわたって指摘をし、政府に答申をしておる。これが私はこの問題が解決されないままに、水田地帯における構造改善一つの大きなデッドロックに乗り上げている大きな問題だと思うのです。その点を具体的に、この審議会の答申の内容に沿うて私の伺うのは、三年間でやるべきものを一年くらい延ばすことによって完全にこれらが解決されないと思うから、私はその具体的な内容にわたって、ここで政府の見解を明らかにしなければならないということになるわけです。  非常に多彩な内容にわたっておりますが、私のお伺いする問題をしぼって、その審議会の答申を拾って指摘をいたしますと、「コンバイン導入の条件」という一つの項目がある。それには、「普通型コンバイン」というものが「農業構造改善事業実施地区において、効率的に稼動し得るためには、その前提として、コンバインの稼動予定地区が次のような条件を持ち得るものであることが必要である」、構造改善事業実施地区において、前提として次のようなことがまず整備されなければならないということをうたっているのですよ。そういう前提条件に何を掲げておるかと言えば、「土地基盤の整備」ということを考えており、その「土地基盤の整備」というものは、各項目に分類して整理をされておりますが、「当該地区内の農道、連絡道、水路及び橋梁が、コンバインの走行に支障のないよう整備されていること」がまず第一の問題である。第二は、「農道から水田への出入りが容易であること」、第三点としては、「圃場区画が大きいこと、また少なくも畦畔の高さ及び幅が畦畔作業にさしつかえないものであること」、これはもう先行して区画再整理の中で解決している問題だろうと思います。第四点は、「排水が良く、特に地表水の排水を急速に行なうことが出来ること」、こういうことを「土地基盤の整備」の条件として出しており、こういう「土地基盤の整備」というものの次に、前提として構造改善事業を進める要件なり、「栽培条件」というものを指摘している。  この「栽培条件」としては、「極力収穫期の幅を大きくするような品種の組み合せや栽培法が行なわれるとともに、各品種について同一熟期のものが集団的に栽培され、少なくとも水稲で二百時間程度コンバインを稼動させることができること。」、こういう一つの品種の改良、そういうものが一体一年の中に解決されるとは考えられない。これは一体、政府はどう考えて一年延長ということを言うておるのか、これは技術的に御回答を願いたい。  それから、第三点としては、「施設条件」ということをあげておる。前提条件として、これはみんな政府一つの機関が答申していることですよ。「施設条件」としては、第一は「コンバインの能力に見合う乾燥調整施設があること」が前提条件として必要である。第二点は、「収穫後の圃場の跡作業を行ないうる大型のトラクターを確保できること」、こういうことを「施設条件」としてあげておる。  それから、第四点としては、「社会条件」というものをあげております。これは第一に「コンバインの利用により従来雇用労務者に支払っていた費用が節約され、また浮き出した労働を他に転用することができる地区であること。」、第二点としては、「品種の調整や集団的な栽培のほか、もみの共同処理等協業体制ができる地区であること」、これを社会条件の第二点にあげておる。「その他」としてあげておるのは、「優秀な運転調整技術者が確保できること」、また「その他」の二点としては、「アフター・サービスや修理の便がいい地区であること」、こういう技術者の習得ということが、一体政府では一年の間に解決できるとお考えになっておるか、これも具体的な内容に触れて御答弁を願いたい。  そういう一つの前提条件がなければ、この水稲作の共同経営というものは踏み出すべきものじゃないということを答申しておる。  そこで、次は、「農業構造改善事業におけるコンバイン導入計画地区について再検討を加え、さしあたり以上の条件を具備し、または早急に整備し得る可能性がある地区に限り導入を認めるべきであって」云々と言っておる。そういう十分な、それぞれのまじめに政府の振る旗に応じてやった地域地域の実態に応じて、可能な条件というものをどこまで一体詰めておるのか。その結果、一年延長ということが可能であるかどうか、そういうことも伺っておかなければならない。  この審議会が答申をしておる——私は時間の節約上全部問題だけを提起して、総括して答弁をまず求めますが、「コンビンの管理運営形態」について言うておるこれについても、「今後導入の具体的な実情に即して慎重に検討を進めるべきものと考える」というようなことで、これを「当分の間は、原則として農家または営農集団に直接導入することはさし控え、公共的機関に管理運営させることが妥当と考える」とある。この管理形態を政府は一体どういうふうに考えておるか。  また「コンバイン導入に伴う乾燥方法」について指摘をしております。「コンバインを導入した場合、その能力に応じた生もみの乾燥調整施設が必要となるが、この場合、次に掲げる乾燥方法のうちいずれかによる施設を当該地区の条件に従い設置することが有利であると考えられる。ただしこれらの方法には、実用化するに当り、さらに解明すべき点があるので、その検討を早急に進めることが必要である」と。まあさしあたり当面をしのぐということもやむを得ないということでありますが、これは受益者である立場から見れば、そういう無責任な態度はこれは許すわけにはいかない。そういう大型乾燥機とコンバインの大型刈り取りの作業と関連して、一体経済効率的にどう現在の乾燥共同施設に対して政府考えておるのか。  第六は、「農業構造改善事業実施地区以外の地域における収穫の機械化」でありますが、これはきょうの問題には直接関連がありませんから省略をします。  第七点としては、「コンバイン導入にあたりとるべき施策」として、「コンバインの運転調整技術者の養成」という問題を提起しておる。また「コンバイン導入のための実物教育」ということを指摘しておる。  そうして最後に第八点として、「コンバイン導入に伴い研究、検討すべき事項」として、「機械化収穫に関連する試験研究の重点的実施」というものをあげて、大体次の五項目を指摘しておる。第一点は「収穫適品種の選定と育成」、第二点は「機械化収穫に適応する作物の栽培法」、第三点は「コンバインによる収穫後の圃場におけるわら処理」、第四点は「耕起後作物の作付等の諸作業」、第五点としては「コンバイン収穫に伴う損傷粒、來雑物、枝梗等処理等についての試験研究を強力に推進すべきである」ということを試験研究の重点的実施事項として指摘をしております。そうして「国産機械の開発改良の促進」、いまだその技術が十分ではないというようなこと。それから最後に、「コンバイン導入に伴う米の流通形態の検討」ということをあげておる。それは農林省がすでに内部で検討しておると思うのですが、コンバインによる収穫の進展というものが普遍化することによって、もみ貯蔵バラ扱い、バラもみの政府の受検買い入れ、そういうものが当然政府施策としても対応するものが確立しなければならない。一体そういうバラもみ扱いというものを政府では従来の扱いの中でどういうふうな措置をとろうとしておるのか、そういう点について、まず総括的な問題を、私は、農業機械化審議会の答申の中にひとしく問題意識を考えるわけです。こういういろいろな体系だてられた農業技術というものが確立されないままに、いたずらに、それらの大機械を駆使するところの前提条件である土地基盤の整備を、農民の負担を強要しながら進行してきた現在において、これらの技術的に取り上げられた問題、幾つかの困難な問題を、一体今後一年の間に完全に解決するという見通しの上に立って、一年延長ということを出されたのかどうか。その審議会の問題について、いろいろ成案を得た上で、一年たてば全部解決ができるということで通知をされたのであるか。でないとすれば、一体それはどういう対応をして、われわれが納得するような、そういう近代化された農業技術というものの十分経済効率的な受け入れが可能であるか、そういう点をまず総括的に御答弁を願いたい。
  25. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 収穫乾燥段階の大型機械化と申しますか、効率化の問題は、構造改善事業を大型機械化という高能率の体系で進める上で、ぜひ乗り越えなければならないと申しますか、ぜひ解決しなければならない一つの重要な課題であろうと思います。  構造改善事業初年度計画を伺ってまいりました過程で、相当地域について米麦の、特に米の大型機械化、耕うん精機については比較的に問題が少ないわけでございますが、そういったことを完成してまいります過程で、収穫の問題、乾燥の問題をどうするかということで、当時といたしましては、まだ十分にコンバインについてのめどが立っていなかった状況であろうかと思いますが、将来の技術の完成を期待して、コンバインの導入ということを計画した市町村がかなりございます。  そこで、先生指摘のように、コンバインの実用化という点につきましては、いろいろ問題がございましたので、私どもといたしましては、昭和三十八年の七月十九日に、いまお話しの、農業機械化審議会に対しまして、米麦の機械化収穫方式及びこれに伴う乾燥方式についての意見を求めたわけであります。その諮問の説明の中でも、いま申しましたような点、特に実用段階に移るについて特に早急にめどをつけるべき点についての御注意をいただきたいという諮問をいたしたわけでございます。それに対しまして機械化審議会のほうでも、専門の部会等をおつくりいただきまして慎重御審議をいただいた結果、昨年の暮、三十八年の十二月十四日に、いま御引用なさいましたような趣旨の答申をいただいております。私どもとしては、今後すでに計画認定を終わっております地域につきましても、それぞれの当該年度の事業計画の実行過程で、この答申の御注意の点を、十分もう一回現地に即して諸条件の整備状況を見きわめた上で、この問題を扱いたい、性急に条件の整わないうちに、こういった機械をただ入れるというだけのことであってはならぬということで、目下、第三年度目の事業地域につきましては、事業計画を聞き取り中でございますが、その聞き取りの過程におきまして、この審議会の御答申の線を十分個々の現地に即して検討をし、その条件の進捗状況を見た上で入れるようにということでやっておりますが、先ほども申しましたように、まだこの三年度目にコンバインの導入をするというところまで条件の熟しておりますところはきわめて少ないようでございます。北海道等に多少あるようでございますが、水田地帯の一般的のところでは、まだまだ第三年度目に入れるというのは時期が早過ぎないかということで、とりあえず第四年度目に見送ることに踏み切ったわけでございます。その点、順序として、初めからすべての事柄が明瞭になった上で進めるべきではないかという御注意につきましては、私どももそういった点が若干あって、反省を必要とするかと思いますが、しかし、こういった新しい技術でございますので、なかなか完成を待ってといいますか、すべてのことが解明された上でというふうにかまえますことも、これまたこういった機運を必要とするものについて、やむを得ない事情が当時としてはあったかというふうに考えるわけでございます。今後の指導としては、この機械化審議会の御注意を十分生かして現地に即した計画の指得をいたしたいと思います。そういう意味合いで、無理に入れ急がないで、条件の整うのを待って入れるというのが私どもの現在の基本的な方針でございます。  なお御指摘の個所についてやや立ち入って申し上げますと、この「コンバインの導入の条件」のところでも書いてございますように、「効率的に稼働しうるためには」云々とこう書いてございますが、この答申に、「国は農業構造改善事業におけるコンバイン導入計画地区について再検討を加え、さしあたり以上の条件を具備し、または早急に整備し得る可能性がある地区に限り導入を認めるべきであって、その他の地区」、つまり条件の具備していないか、あるいは早急に整備し得る可能性が乏しいようなところでは、いまのようなそういう条件が整備された後に入れるべきであるということで、助成措置をむしろ延期すべきだというのが、この答申の締めくくり的基本態度で、私どももただいま申しましたように、そういった方向で進めたいと思います。「土地基盤の整備」につきましては、ここの答申に御指摘の点は、耕うん、整地等、大型トラクターの導入に必要な現在行なわれつつあります構造改善事業の土地基盤整備事業が進みますれば、おおむねこういった条件は整え得るものというふうに考えます。なお、細部について、たとえば水路、橋梁の幅の問題でございますとか、農道から水田への出入りの高さの問題でございますとか、あるいはうねの高さの問題、そういう何と申しますか、比較的に注意をしませんとうっかりしがちなことをここでは特に御注意いただいておりますが、基本線としましては、土地基盤整備につきましては、現在構造改善事業で進めておりますあの基本的な設計をそう別に変更しなくてはできないというものではない。その意味で、土地基盤整備が若干年先行して行なわれますことは、これはこういった御指摘の点からいっても当然と申しますか、やむを得ないと申しますか、そういうふうに相なってくるべき筋合いのものであろうと思います。  それから「栽培条件」のところで、収穫期の幅を大きくいたしますために、あるいは一日の活動の面積を広くいたしますための品種の組み合わせや栽培法のことが書いてございますが、これは特に新しい品種を、審議会として必要とするという御趣旨の御指摘ではないわけでございます。つまり在来品種であっても、それが在来のように各筆ごとに品種が違っておるというような状況でなしに、相当範囲まとまったいわゆる品種協定と申しますか、栽培協定と申しますか、いろいろありましょうが、そういったことで申し合わせて、コンバインの活動面積と見合って、同一品種なり、熟期を共通にするものを組み合わせていくという趣旨の御注意でございます。これらは作付あるいは品種選定の際の普及関係、あるいは指導関係の留意事項としては非常に重要なことだと思っておりますが、必ずしも、このために品種の改良といいますか、現在あります品種以外の品種を必要とするというふうな御指摘とは心得ておりませんので、そういった点は、早急に、指導と申しますか、農家の方々の御理解を得て、そういう条件を整えてまいりたいと思います。  それから第三の「施設条件」のところで、コンバインの能力に見合う乾燥調製施設の問題、これとそれからコンバインで収穫いたしましたあとの、刈りあとの処理が、かなり大型のトラクターがありませんと処理ができない問題でございます。この点につきましての、前段の、乾燥調製施設の点は、現在各地でコンバインに先行して試みられております大型の乾燥処理施設がございます。あれを、場所によってはコンバインの能力と合わせて、それに補助的な置き場、倉庫を持つとか、あるいは貯蔵施設を付加するとか、そういったような配慮が必要であろうかと思います。それらの点の詳細につきましては、第五番目の「コンバイン導入に伴う乾燥方法」のところで、在来の乾燥施設の組み合わせ、あるいは運転のしかた、あるいは半乾燥しておいて、もう一回仕上げ乾燥をやる、一挙に仕上げ乾燥まで持っていくことがあるいは理想的かもしれませんが、場合によっては、第一段で半乾燥をやって、第二段で仕上げ乾燥をやるといったようなやり方、その他、通常の通風乾燥のやり方等をこの第五のところで御指摘を受けておりますといいますか、御注意をいただいておりますので、そういった方法の組み合わせで問題が処理できるように思います。大型トラクターの問題は、おおむねコンバインに先んじて、構造改善地区では大型トラクターが導入されておりますので、まず問題がなかろうかと思います。  それからこの「社会的条件」として、省力化された労働力がむだにならないこと、あるいはこれはロスの問題とも関連すると思いますが、生ずべきロスと、節約された労働の価値との比較検討ができるようなところでございませんと、労働力が非常に価値の低い評価を受けておりますようなところへ、こういう非常に進んだ機械を入れますと、やはりその機械で処理することによって生ずるロスと、節約される労働力の関係の経済計算が、農家の勘定としてしっくり頭に入りません。その辺のところは技術的な問題以前の問題であるかもしれませんが、非常に重要な問題として、私どもも指導に心がけておる次第でございます。  その他、技術者の問題でございますが、技術者の問題は、御承知のように国といたしましても、機械化研修室を持ちまして、早急にコンバインの運転調整技術者の養成をはかっております。これは、各構造改善地区の方々あるいは府県のその担当の方々と、何回かにわたって茨城県の研修室で早急に訓練をいたしております。なお、三十九年度からは、構造改善事業地区に対するコンバインの導入と並行してと申しますか、やや先んじまして各府県で、あとのほうに出てまいります実物教育なり、運転調整技術者の確保ということに関連をして、県にコンバインを持っていただいて、その県有コンバインを、ある程度そういった訓練と、実物教育と、試験段階の現場作業の応援と、そういう趣旨で、本年度からそういった導入を考えておりますが、そういったことによる運転調整技術者の養成、あわせて各県にあります機械化研修センター、あるいはそこへ新しく入れますコンバインといったようなものとの結びつきによって、運転技術者の早期訓練を心がけておる次第であります。この点は、同じ機械でありましても、運転技術者の習熟しているいないによって、非常に機械の効率も違う、精密な機械でありますので、私どもも早急にそれをやらなければならぬと思っております。  それから管理形態の問題につきましては、当初の構造改善事業地区計画の中には、そういった点が十分こなれておらないために、漫然と、農家集団と申しますか、部落単位の任意組合等でコンバインを持つというふうな計画に当初なっておったところがございます。しかし、これはこういった御指摘を待つまでもないことでございますが、なかなかそういったことでは、機械の効率的な運転という点からいっても問題がございます。  そこで、私どもの当面の方針といたしましては、少なくとも市町村段階の農業協同組合あるいは市町村そのもの、あるいはもう少し広域の連合会等、それから先ほど申しましたように、別の目的を持っておりますが、県によるコンバインの導入、そういったものをかみ合わせることで、構造改善地区のそういった大型の機械化体系に即しての収穫体制の整備を、そういった角度からはかってまいりたいと思います。そういった方向で、現在の構造改善事業計画認定にあたっての計画の変更等の御指導を申し上げておる次第でございます。  いずれにいたしましても、いろいろ問題が次々と具体的な形で明確になってまいりますので、私どももそれに応じまして、既往の認定いたしました計画にとらわれて、そういったことの、何と申しますか、一たん認定した計画だからということで、そういったことにとらわれて、いささかも無理なことが現地で行なわれてはいけないということで、新しい角度から、各地のすでに一応でき上がっております計画を、第三年度目の今年度、もう一回詳細にわたって現地の実情とにらみ合わせながら再検討いたしているのが現状でございます。その結果、計画の変更を必要とする、あるいは導入の年次をかなり繰り延べる必要があるといったような問題が、個所によっては幾つか出てこようかと思います。そういった点、いまの地区ごとの検討の結果を待ちまして、無理のないような対処のしかたを考えてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  26. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まあ、長々と答弁やったんですが、さっぱり私には納得ができないわけです。まず基本的には、私が言うたように、ほんとうにパイロット地区パイロット的にやって、その中で、技術的に未熟な問題があればそれをさらに解決し、いろいろなまた関連する問題があればやって、しかる後に一般の事業実施に入ればこういう問題が起こらなかった、それをきわめて選挙向きに、早かろう悪かろうという内容を打ち出したところに、池田内閣の農業構造改善事業に対する大きな問題があろうと思う。たとえばあなたは品種の選定、収穫適品種の選定の方式というものを、これは品種改良までさかのぼるものではないと思うと、答弁されますけれども、たとえば、いま鈴江式のコンバインを使った場合に、三十七年度の実績は、これは地方のトータルから私は言うわけでありますが、もみの脱粒あるいは砕け米というようなロスが実に一五%もあがっているのです。これは、麦の場合はロスは三%ないし五%、多くてもそういう脱粒あるいは砕けというようなことがない。大体このコンバインというのは、機械の立場からいえば、そういう麦の刈り取りに適する機械でこれはスタートしている。これを水稲に当てはめる場合には、それらの砕け米なりあるいは脱粒というものをいかに防ぐかという技術の工夫がまだ成果があがっていない。そういう一五%も圃場でロスが出るということ、こういうことが、一体近い機会に技術的に解決が可能であるか、また、品種の上からいってもそういうコンバインに適する脱粒を最小限にとどめる水稲の品種の改良もこれは進めなければならない、そういう問題を現地では現実にはだで感じているのです。それを、あなたはこの審議会の答申を曲げて解釈して、そういう必要でこれは出したものではないというけれども、なければそういう問題を一体どういうふうにあなたは理解しているか、そういうそらぞらしい答弁をされてはかなわぬです。  それから、第一こういう政策をとって、技術的に未熟であって、その間の農民が負担しているそういうロスというもの、金利なりあるいは経済的な負担というもの、そういうのは一体政府はどういう責任をもって善処されようとするのですか。単に三年なり四年に延びて、現地で納得してやればいいのではないかといったところで、不必要な借金をより長くしょわされておる責任が、これは構造改善を上から下に押しつけておる政府の責任としてこれは帰属すべきものである。そういうものも一体政府としてはどう考えるのですか。そこまで明らかにしなければ、この構造改善の現実の矛盾というのは解決されない。また、こういう問題を実際現地において考えれば、コンバインのロスがなお多いということと、コンバインで刈り取り、脱穀をして、その米を、大体軟質米としては水分の含有が二四%ないし二五%です。これは御存じでしょう。その二四ないし二五%の水分の含有率を、乾燥機にかけた場合、いまの大型乾燥機で一体どれだけの能力をあなたは考えておられますか。これは細川式はじめ、各メーカーのものを、現地で実際にやった結果、一時間で大体一%の水分が乾燥されておる。現在の検査基準である一五%の水分というものまで、これを乾燥するためには、少なくとも九時間ないし十時間の乾燥時間を要するわけです。そういう点からみれば、これは非常に経費がばく大にかかり、必ずしもこれは経営の合理化には、経済効率的に解決になっていないということです。具体的な例を取り上げていえば、農林省の東北試験場で、去年直播のコンバイン収穫方式によるこれらのコンバインの刈り取り乾燥というものをやったのだけれども、これは熟度の関係もありますけれども、水分三〇%をこえる水稲が大部分であって、十数時間にわたる乾燥作業の結果、食用米としてのこれは適格性を失ったという結果が出ておる。そういう一体コンバインから一連の合理的な乾燥というものが体系的に確立されておるのかどうか。そういうことを解決するには、私はかなり農林省としてはこれらの大型機械を一連に駆使するところの技術体系というものに、もっと積極的に重点を注いでその解明を急がなきゃならない、そういう点についてはきわめて日暮れて道遠き試験の態勢の現状であると言わざるを得ない。そういう点から乾燥機の問題にしぼってさらに取り上げれば、最も効率の高い細川式を具体的な例にとれば、かりに十トンの能力のあるものを八基備えつけたとしても、一回の処理量は八十トンで、千五百二十五万六千円の設備費その他の所要経費がかかる。二四%の水分のそのもみを乾燥していくというためには、これは先ほども言うたように大体九時間の乾燥時間を要するわけです。かりに一日九時間の稼働で六十日この乾燥作業をやるとすると、約四千八百トンのもみしか処理ができない。これは大型コンバインの二百時間をコンスタントな稼働とするものとの、これはかみ合わせがつかないわけです。一体こういう点をコンバインから、これを乾燥機に入れて、そうしてもみの選別をして、ばらもみで貯蔵して、それを乾燥して、これを政府がもみで検査をして買い上げる、あるいは現地で精米にしてこれを消費市場へ直結するような措置を講ずる、いずれにしてもこれらも行政的にもかなりの問題がある。そういう一連の関連がこの審議会の答申のこれは背景をなしておるわけです。具体的に言えばライスセンターと称するこの構造改善事業を一県で、東北地方では三、あるいは五カ市町村がそれに着手をしておる。しかしながら、これを実際運営の担当に当たっている事業実施主体である農業協同組合は、こういう技術の問題にはたと行き詰まって混迷しておるというのが実態ですよ。そういうものに対していま言ったようなあなたの答弁では、これは全然抽象的であって納得ができない。私があげたこういう具体的な計数を踏まえて、あなたは一体どういうふうにこれを前向きに解決できるという自信を持って対処しておるんですか。
  27. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 答申にもございますように、より基本的にはやはり脱粒の容易な品種でありますとか、倒伏の危険の少ない品種でありますとかいうものが、もっと育てられることの必要性は、答申も試験研究の個所では触れておりますけれども、私どももそういったことの必要性を別に評価しないわけではございませんですが、ただ先ほど栽培条件のところで答申が触れた点は、必ずしもいまある品種以外の品種を必須の要件として、あの栽培方法のところの答申個所が書かれておりませんということを申し上げたわけでございます。その点はことばを補わさしていただきたいと思います。  なお、御指摘のような幾つかの困難な問題が、この過程に内在しておりますことは、私どももよく承知をし、何とか現地の御希望に即して、私どもの試験研究なり、あるいは機械の開発がそれに即していきますよう、広い範囲の共同研究を必要とする問題でありますだけに、私どもとしても一そう早急に全力をあげて取り組まなければ相済まぬ問題だと思っております。ただそういうことで、いろいろと、次々と問題が解決されていくことを期待しておるわけでございますが、大型乾燥施設の問題一つ取り上げてみましても、現在逐次普及しつつあります大型乾燥施設は、必ずしもコンバインを前提とし、コンバインとの不可分の関係で入っていったものばかりではございません。もっと淵源は古く、早場米奨励金の際におけるところの関係における供出時期と労働力との調整の問題とか、いろいろそういったもっと別の事情から大型乾燥施設についての研究なり導入というものが見られておるわけで、そういった既設置の大型乾燥施設につきましても、御指摘のように、なおその施設の能力をフルに活用しますためには、個人別の乾燥調製といったようなことから、共同の乾燥調製といったようなことに移ることによって、機械の何と申しますか、連続的な運転を可能にする方法を考えますとか、あるいは利用の時間なり、農家戸数をふやしますとか、いろいろ現地に即してごくふうが行なわれ、また、私どももそういった方向で御指導申し上げておる。そういった既存の乾燥調製施設とコンバインとが、さらにロスなく結びつくかどうかという問題につきましては、これまた新しい別の困難な問題があります。しかし、せっかく設置されておる乾燥施設でもあります。したがってそれに多少のくふうを加えることによって、コンバイン導入に伴う当面の乾燥の課題の解決ができようではないかというのが、この答申にあります。具体的に申せば一、二、三という三つのひとつの御提示であります。こういったことで既存の設備をなるべく十分に活用しながら、コンバインの入っていった場合の措置に備えるというのが、一つ方向ではないかというふうに思います。なお、初めから大型の処理体系が、作付の段階から商品過程あるいは検査収納の段階まで、一貫して非常に完璧に整っておりますことが、理想としては、そうあるべきでありますけれども、現実の問題としてはやはり技術の進展に多少のでこぼこがあります。そういった点でいますぐ利用できます耕うん、整地等の段階での大型省力化の技術の採用というものを、全部の過程がむだなく整うまで、何と申しますか、見合わせるか、それともできるところから、逐次現地で実施しながら適用を考えていただくか、いろいろ御議論のあろうところかと思いますが、私ども構造改善事業に、現地のお気持等から判断をいたしまして、必ずしも全部の過程がそういった理想的な姿で貫けていかない現状におきましても、できるところからそういった方向を導入するのも、やはり地元のお気持ちがそこにあれば、私どもとしてもそういった方向でも構造改善事業を進めていくことが、次のステップをより早めるというような意味もありまして、一つ方向ではないだろうかというふうに考え、そういった地域計画についても、必ずしもそれを全部一律にまとめるということでなしに、できるところから新しい技術を取り入れていくというようなことを併用して、相ともに今後の完成を期してやってまいりたいと思っておるわけであります。そういう意味合いでコンバインのロスの問題に触れてお話がございましたけれども、ロスの問題につきましては地域によって、その圃場の性格によって、また運転技術者の能力によって、その日の圃場条件、天候等によって、さらに成績はまだ、ふれが多いようでございます。しかし、三十八年の収穫期に大量観察をいたしました結果では、かなりの好成績で、初年度三十七年度ごろ伝えられましたような大きなロスは生じない。私どもが、当面、目標といたしておりますのは、大型でも小型でも、五%以内にロスをとどめられることができれば、農家におすすめができないかということを、一つめどにしておりますけれども、三十八年度あたりの実験結果では、まだ、そういったふれは、かなりありますけれども、大かた専門家の見解としては、かなりその目標に接近をしておるように聞いております。そこで、なお、時間を重ねることによって、その問題は機械そのものの進歩もございましょうし、また調製運転の方法の習熟ということ、その両面から見て、かなり満足すべき段階にいき得るであろうというのが、この機械が審議会の答申の出ました前提として、そういったことがありますことも、私どもとしては今後についての希望を持ち得るところではなかろうかというふうに考えております。
  28. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 限られた時間ですから、もう少し、答弁を簡略に、私の具体的に計数に沿って、どういった一体現実に思量しているかという質問に、依然として抽象的なすれ違いの答弁に終始をしておる。私は現実のデータを言っている。だから、こういう試験台に上っておる地区の農業構造改善事業の負担というものは、はかりしれないものがあるのですね。そういったものを、政府は一体、期限延長をすることで、その責任が免れるというわけにはまいらぬ。これは政務次官に聞きますが、いろいろ審議会の答申の中で、かなり良心的と思われるような問題点を指摘しておる。こういうものが完成されないままに、一方、構造改善事業というものは、現地に押しつけられて進められておる。しかしながら、完全なる技術体系があと追いをしておる。そこで農林省は待ったをかける。待ったをかけられなくても、現地はこれは一体どうなることかということで、全く戸惑いをしておる。その間の農民なり農業協同組合事業主体がこうむるところの具体的な経済的な不当な負担というものを、政府はまず償うことから、これは姿勢を正さなければならない。これは、政務次官、一体どう考えますか。  なお、それのお答えの前に、もう一つ、私は政府委員に尋ねるのですが、この水田の構造改善の中に、大きな柱として、経営近代化施設という柱を立てておる。この経営近代化施設のまた大きな項目としては、水田作経営近代化施設というものを掲げておる。この中に、刈り取り作業の大型機械、あるいは共同処理加工施設というものは、一連の科学的な結びつきで取り上げられておる。それを現実は、確かに昌谷局長も言うように、この構造改善地域の中では、大型乾燥共同処理加工というものだけを取り上げておるところもあります。あるいは圃場の整備をして、また、まずこの圃場における大型機械の合理化というものに取っ組んでおるところもある。しかしながら、そういう現実は現実として、少なくともこの経営近代化施設という構造改善の大きな旗じるしの中には、もっと一貫性ある経営の合理化、構造改善方向というものを打ち出さなければならない。それは当然水稲作の場合においても、これは集団栽培ということが、また前提になる。これはあるいは自民党の方はきらいかもしれないけれども、現実に私が各地方の農協で見たデータによっても、まあ岩手だけを例にとっては何ですから、私は福島の例をとりますが、福島県の杉内農協では、三十七年には各農家が個々で栽培をしておるものと、集団栽培をしておるものとのその収穫を比較したデータを見ますと、各農家平均を一〇〇とすると集団栽培は二割七分の増収を来たしておる。翌三十八年はやはり農家個々の収量と集団栽培を比較すると、二割五分の増収を来たしておる。また油井農協においては、農家個々の栽培というものと集団栽培と比較すれば、一八%の収穫増をあげている。しかも、この油井の場合は、上等級の占める割合が二割二分も上がっておる、こういう集団栽培における経営の生産性の向上といいますか、そういうものが出てきておる。これを可能にするものがさらにこれに大型機械が完全に融合するという政府が書かれた経営近代化施設になるわけです。そういう一環的なものが、まだその技術的な問題が幾多山積しておる。私は一年でこの問題は解決ができないと思う。しかし、あなた方は一年延長したという通牒の手前上、第四年にはこれをやらせるでしょう。しかしそれによって出てくる技術の経済的合理性というものが、はっきりデータが出ないままにこれをやる、さらに将来にわたるロスというものを、これをわれわれは見のがすわけにはいかない。そういう従来の取り上げた無理じいの構造改善の農民の負担、事業主体の負担と将来それらの体系立てた技術というものが確立されないままに、もしもさらにこれを四年目に押しつけた場合、将来にわたるそういう経済的なロスというものは、これはかかって政府の責任に属するものだと思うのです。そういう点を一体政務次官はどう対処されるおつもりでありますか、まずその点をお伺いをいたしたいわけです。
  29. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 水田地帯における構造改善に関しまして、長々と御指摘がありましたが、大体私も渡辺委員の立場と同感でございます。当初において行なわれた構造改善指定地区におきましては、あるいは一部においてコンバインを導入するとかいう計画もあったようでございますけれども、御承知のように、コンバイン導入に対する諸般の準備がまだできてないと私は思います。目下しきりに関係方面において検討をいたしておるのでありますけれども、相当進んではおりますけれども、まだ自信を持って奨励するという段階にはまだ至っていないというふうに思っています。したがって、先ほど農政局長答弁せられたように、当初そういう計画のものについては、つとめてそれをしばらく保留するようにということをもって指導をしてきたというのが現状であります。それによって非常な負担がかかるということであると思いますので、それについては十分検討を加えてわれわれは善処をしていきたいと、こういうふうに考えておるものでございます。
  30. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの答弁ちょっと聞き漏らしたのですが、とにかく本来ならば土地基盤整備というのは、私はこれは全額政府で負担すべきであるという主張に立つものです。これは午後大臣に質問する中に触れますから、これ以上言いませんけれども、それらが農民の負担に属するものが出てきておる。補助残融資とか、あるいは単独融資であるとかいうものの負担、これは単に金利だけではなくて、元金そのものも私たちから見れば不当な負担というものがある。ほかにさらにそのかかった経済性が、政府のいろいろな施策が総合的に確立されないために出てくる大きな負担がさらにそれに乗しかかるという問題。それに対してはこれはもっとまじめにこの地域住民に不当なる負担を与えておるということを解除するための努力というものがなされないと、ますますもってこの構造改善に対する不満というものが、具体的な問題を導火線としていま発火点に達しようとしておる、そういう実態です。たとえばコンバインだけを取り上げて、もうこれだけの問題がある。  なお、国有林野の活用にかかわる土地基盤整備事業あるいはこれに関連して経営近代化施設あるいは国営なり県営なりの土地改良事業等、公共事業関連するところの土地基盤整備事業、あるいは経営近代化施設、これもまだその確たる見通しがつかない。これも三年の地区では一年延ばす、こういうような実態が、どれだけの迷惑を地域住民に与えておるか、はかり知れないものがあるわけです。構造改善を急ぐあまり、こういう矛盾が具体的に出てきておる。こういうものに対してはもっと政府はその矛盾の実態というものを理解して、それを是正するという総合的な施策がなければ、農業金融公庫の貸し付けとも関連してこれは非常な問題に発展することは、これは当然な状態に置かれておるということであります。一体この国有林野を活用して土地基盤整備をする、あるいはそれに関連する経営近代化施設をやる、これも一年延長というのは、一体どういうところからきておるのですか。
  31. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 国有林の活用によって構造改善事業計画を組んでおりますところはいろいろございますが、たとえば畜産の基盤としての、飼料基盤としての草地としての利用あるいは果樹、桑園その他そういった農業基盤としての国有林の活用等、そういった事例はたくさん出ております。それらのところにつきまして、昨年御承知のような行政方針を打ち出しまして、現地について調査を行ない、その必要なものについては必要な売り払いまたは貸し付け等の、それぞれ現地の御希望に沿った措置をとるということで実行してきてまいっておるわけでございますが、その場合に国有林野の具体的な個所についての活用の方針がきまりますまでに、関係者間の協議に時間を要した。あるいは昨年の行政方針を打ち出されてから、さらに積極的に活用の地区の拡張が計画された。その結果、まず国有林野についての立木の伐採が終わり、活用個所が具体的にきまり、それからその上にはえております立木の伐採が終わり、その上でないと畜産にいたしましても、林地造成等にいたしましても、基盤整備事業が具体的にやれないわけであります。そこの点で予定年度内、つまり三年内にそういった国有林活用に伴います準備の諸般の事業が完全に行なわれる場合ももちろんございます。たとえばすでに三十八年度から国有林野活用のことが構造改善事業の中で行なわれております面績は、約三十八年度で千三百町歩、それから三十九年度におきましてはそれが約六千町歩というふうに見込まれておりますけれども、いま申しましたような事情で、ここのところとしては直ちに基盤整備事業なり林地造成事業に取りかかるだけの準備ができない。また取りかかりましても、三年内にそれが完了するということがいささかむずかしい事情のところもございます。それらのところについては、国有林の活用に伴う必要手続のおくれがあるわけでございますから、そこのところは三年内に完了と申しましても無理でありますので、そういう場合には四年目以降に事業がずれてもやむを得ないということ、そういうような具体的な問題でございます。
  32. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どの問題を聞いてもさっぱりまともな答弁が得られない。一般的な角度から農業構造改善の矛盾をついてもすれ違いの答弁しかない。しかし、現実の問題は具体的な大きなデッドロックに乗り上げておる。もう少し受益者と稱する農民の立場に立ち、構造改善における内部の矛盾というものを積極的に前向きに解決しなければ、これはおそろしいことになりますよ。私はこれを警告を発しておきます。そういうその場限りの答弁でこの委員会は済ませるでしょうけれども、実態の矛盾というものは、現地の農民がきわめて深刻にこれをはだで感じておる。そういうものを私は引っ下げて政府の政策の具体的な方向というものを尋ねておる。私はもうこれ以上この問題については触れるつもりはございませんが、最後に政務次官にお尋ねをしたいのは、こういう本来政府としてはなすべきことがなされずに、この構造改善事業というものが実施されてきておる。それによって不当に重圧を受けておる事業主体なりあるいは農民なりの、そういうものを政府は財政的に一体どうこれをカバーする意思があるのか、あるとすれば具体的にはどういう内容なのか、そういう点をまずお伺いをしたい。
  33. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) ただいま御質問の点、この構造改善事業がみなそろっていってないために非常に困っておる点があると思います。そういうような点につきましては、今後において十分それをカバーするように努力はしておりますが、財政上の問題については個々のケースについて十分検討して、そうしてできるだけそういうことのないように善処していきたい、こういうように考えます。
  34. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まあ、これは個々の事情検討して、その問題が残らないように善処するということですから、私は政務次官のその御答弁でこの質問は終わるのでありますが、たとえば大型乾燥機の問題一つ取り上げて見ても、日本としては現行食管制度の中では、初めての問題の提起なわけです。それを現実に全国に先がけてやっておる農協がある。そういうものが、政府の試験研究の立場でやるべきものを事業主体である農協がみずからの責任と財政負担でやっておる、そういう具体的なケースがあります。ここに食糧庁の田中部長も来ておりますが、これはもう十分承知しておる。そういうものに対して、当然政府が負担すべきそういう試験研究の費用を、これは要求しておるのにまだ何ら回答がない。こういう点は政務次官のいまの答弁の具体的な内容において善処してもらいたい。これはもう具体的にはこれ以上は言いませんけれども、いろいろなそういう問題があるわけです。それを政府がやれなければやれないで、事業主体がやった場合に、その政府の肩がわりでやっておるという立場で、それはケース・バイ・ケースで実態に即応して、その責めの一端を持つというようなことがなければ、正直者がばかを見るというのが構造改善のこれは現実の答えなんです。これ以上は政務次官答弁がありますから、構造改善については触れませんけれども、基本的な問題は、さらに大きい問題がある。これは前回の委員会で矢山同僚委員が質問したことに対して、まるでちぐはぐな答弁で、全く血の通わない、われわれの期待する方向とは全く逆な方向答弁がある。私はこういう基本的な問題は、重複を避けてきょうはやめまして、具体的な問題にしぼっても、これだけの問題があるわけです。まだまだ具体的な問題はありますけれども、時間の関係上それには触れませんが、少なくとも政府の一枚看板であるはずの農業構造改善をこれからやるには、もっと行政の責任というものを明らかにして進まなければ、私はたいへんな問題になるという警告だけを発して、午前の質問を終わります。
  35. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いろいろと各方面から質問があって答弁があっているのでありますから、私は重複を避けて当面の問題を質問いたしますから、答弁は簡単にそういたします。よろしゅうございます。こういうふうに答弁していただきたいと思うのであります。  まず最初は、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案なんです。この法律案で私などが多年要求しておいた農家の生活改善資金を出していくように法律を改めるということは、まことに機宜に適したことであると考えるのであります。でありますから、この点についてお尋ねするのでありますが、まず現在のところで農村の住宅を改善するためには、住宅金融公庫から金が出ている。これによって農村の住宅を現在改善しつつあるのであります。しかるに、この住宅金融公庫から借りる場合に、必ずこれは火災保険を付せなければできない。しかるに現在、住宅金融公庫から農民が借りる場合の火災保険は、一体どうなっているか。別なことばで言ったらば、こういうふうな方面では農業災害補償法あるいは農協法によって共済の制度があって火災保険はつけている。これを現在認めていない。認めていないから、これは行政措置でできるのだから、将来においては、この法律改正を機会に、農災法及び農協法の共済事業も保険の対象にするかしないか。これは行政措置でできるのだから、御返答をお願いいたします。
  36. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先生のいまの御指摘の点は行政措置でできるというふうに断定しての御質問でございますが、私どものほうも研究さしていただきますが、住宅金融公庫のほうでは、法律上担保に供する場合、火災保険の契約の締結、保険法による保険の業務の処理に関する準則といったことを業務方法書の内容といたしますことを、法律事項として、書いております。住宅金融公庫法のたてまえ上、御説のように運用で直ちにできるかどうか、さらに検討を続けさしていただきますが、現在のたてまえでは、保険と共済の間に一線を引いてそういった御指摘のような遺憾の状態でございます。法律上法律の改正が伴う場合でありましても、またおっしゃるように、運用でできます場合でありますれば、なおさら早急に関係当局との折衝を煮詰めてまいりたいと思います。
  37. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 三月三十一日制定せられた税法によってでも、火災保険は農協がやろうが、農業共済でやろうが、会社でやろうが、同じ取り扱いに免税はなるのです。そういうふうな点まで三月三十一日法律を改正した以上は、この点も改めることができないというはずはないと思っている。なせばなるのです。なさないからならないということを考えておりますから、どうぞその点できるように御尽力をお願いしたいと思うのであります。  次は、住宅利用の改善でありますが、別表によって見まするというと五万円になっている。それから自家労力で施工する場合は、これは時価はわからぬが、十万円になっているのでありますが、この点なんです。現在農村において行年が自分の村から出ていくということは、一方のほうにおいては住宅問題がある。その住宅問題は従来の家だったらば新夫婦が休む場所、ほんとうに新夫婦的生活のできるような住宅の構造じゃない。であるから農村から青年が出ていかないようにりっぱな嫁さんをもらって、そうしてほんとうに二人が仲よく生活することができるようにしむけるのが、農村政策の肝心なところなんです。言うに言われないところに、ここに微妙な点がある。であるから、もしもそういうふうな方面に住宅を改善するというようなことだったらば、今回の農家の生活改善資金として住宅利用改善に貸し出すべきであると思うのでありますが、この点いかがであるか。そうしてそういうふうな場合において五万円で五カ年でいいと考えているか、この点お尋ねしたいと思うのであります。
  38. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 私どもも農家の後継者確保、あるいは配偶者の確保難というものの原因の一つが、農家の現在の住居の構造に関係するところが大きいという点に着眼をいたしまして、住居の改善関係についての貸し付け金制度として開いたわけでございます。したがいまして、本格的なと申しますか、本格的な増改築、新築は、これはやはり住宅金融公庫のほうでお取り扱いをいただくことがむしろよろしいかと思いますが、そういった手続を踏むことなく、もっと手軽にやれる方法ということで、住宅金融公庫の手の及ばないむしろ小回りのと申しますか、というようなつもりで農家の現在の住宅の修繕による合理化を考えたのであります。したがいまして、このことによって期待をいたしておりますのは、たとえば後継者夫妻の居室の問題でありますとか、寝室の問題でありますとか、あるいはさらには子供の勉学のための施設でありますとか、あるいは炊事場の施設でありますとか、あるいは食事をする場所の整備の問題、例示的に申しますと、おおむねそのようなものをこの施設の対象として考え、それの最小限度必要といたします主として資材関係の費用を見積もりました結果、おおむね一件当たり五万円あれば、まず最小限度のそういった手直しはできようではないかというふうに考えたわけであります。額がもっと多ければ多いにこしたことはないと思いますが、その辺のところは住宅金融公庫の農家のための特別なワクとしての修築ワクが現在のところ五万円以上のものを貸し付け対象としております。それとの交通整理も必要かと思います。将来は場合によりましては、こちらでワクを広げて住宅金融公庫のほうの修繕の貸し付けの最低金額をもっと上げるというような積極的な提案もあってしかるべきかと、今後の検討に待ちたいと思います。五年というのも、これも必ずしも十分とは思いませんけれども、まあ御承知のように、この資金が県の特別会計を通ずる、専門の金融機関でない、いわば行政当局の扱います資金でもございます。そのような関係を考慮いたしまして、そういう機構でまかない得る最長という意味で中小企業の近代化施設資金、あるいは中小企業関係の無利子金融がおおむね五年が限度でありますから、一応それを現状でのやむを得ざる限度と心得ております。これも今後の実績の検討と相まって検討をはかってまいりたいと思います。
  39. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、今回政府が農林漁業金融制度に画期的の改善措置を講ぜられて、資金量の拡充であるとか、金利の引き下げであるとか、あるいはその簡素化であるとか、償還期限及び据え置き期間の改善、簡素化であるとか、そういうふうなことを断行せられたことは、私は農林漁業発展のためにまことに喜ばしいことと思うのであります。しかしながら、どれだけ画期的の措置を講じましてでも、実際に農家にその金が入手できなかったれば絵にかいたもちであって、何の役にも立たないのであります。しかし一方、債権者から考えてくるというと、必ず完全に取り立てなくちゃいけないということになってくるのであります。それでありますから、そういうふうな点から考えるというと、債務者の信用程度がどういうふうなことになるか、こういうふうなことになってくるのであります。  そこで私は実際現在困っているところのものを具体的に申し上げてみたいと思うのです。金を貸す場合においては、無条件で貸す場合と保証人を立てる場合と担保をとる場合との三つの場合がある。であるから、まず保証人のほうから言ったれば、保証人を立てようと思っても、保証人がなかったれば借りることができない。今度ぼくがこれだけの金を借りるから君保証人になってくれとこう頼んだれば、今度は向こうもそんならぼくの保証人になってくれと、こういうふうな相互保証になってくる。農村では相互保証ということは一番きらいなんです。一番きらいだったれば、そのときにはぼくは担保を持っているからということでやる。そこで私の考えるのを申し上げてみますると、金を借りる場合においては、土地建物というようなものの不動産を担保にする。これは登記しなくちゃできない。しかるに金を借りる場合においては年末か年度末なんです。しかるに年末であったれば、役所が二十八日から先は休みなんです。登記所は登記できない。であるから、そこまで金がきているけれども、農民の手にははいらない。そういうふうな場合に、一体二十八日後の金融をどうするか。登記所はどういうふうに取り扱いを将来させようとするか。これが一つ。しかし、そういうふうな登記所の心配も要らないところのものは保険の担保なり、共済の担保なりなんです。それであるから、不動産担保で登記しようとした場合においては、不動産担保の登記料が要る。年末は困る。こういうふうなものをなくするためには、どうしたって私はここにおいては生命共済と建物共済、厚生共済を担保にしていったほうが一番安全確実だと思うのです。一体今後金を貸す場合において、そういうふうな制度をとられる考えであるかどうか、不動産担保がいいとお考えであるか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  40. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 不動産担保につきましての融資につきましては、昨年から特に土地の評価額を引き上げることにいたしまして、その担保価値を十分に見るようにいたしたわけでございます。いまお話のありました建物共済を担保として受け入れるかということでございますが、建物共済を担保と認めることは、建物自体の担保価値を認めるかどうか。建物が消失した場合にその損保価値が十分残るようにするための保険ないし共済でございますから、本筋としては建物自身の担保価値を認め、それを担保として受け入れることになろうと思います。これにつきましては、担保価値のあるものにつきましては、できるだけ担保にとるように指導してまいりたいと思います。
  41. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでその次には農協の転貸の場合、これも大体改善されたという話であるが、普通の場合においては理事・監事が個人保証をしておる。理事・監事が改選になった場合には、さらに新たになったところの理事・監事に対しては追加保証をさせられる。こういうふうなことで非常に理事・監事は自分の職をやめた後でも責任の負担をさせられる。こういうふうな不合理の点があるのであるが、現在どういうふうに政府は指導しようと思っておられるのであるか、 これです。
  42. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 農協の転貸の場合、たとえば構造改善推進資金の場合におきましては、農協の理事・監事の保証は必要としないということに現在いたしております。それからいまお話のありましたその他の場合でも理事・監事が変わった場合に追加保証を求めておるという御指摘でございますが、これは追加ではなくて、理事・監事が変わった場合は前の理事・監事の保証はやめて新しい理事・監事が保証人として交代できるというようにいたしております。
  43. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いまの答弁は、これは農協の理事・監事に市大影響を及ぼしておって、そうしていま局長答弁されたようになっていないところが相当数あるのだから、農林省はそういうふうな指導方針を立てられて、いまの御方針のようなことを、ひとつ最末端にまで流してもらいたいと思っております。  次は農業改善資金の場合は、これも農林大臣にも質問をしておいたのでありますが、こういうふうな金は農協の理事・監事が個人保証するというようなことではなくて、町村が債務保証の責任を持って債務を保証したらば担保があるいは保証人が足らないということで下に流れていかないようなことはないのであるから、ぜひ市町村が債務保証の決議を議会でするように指導してもらいたいと思っておるのであるが、いかがです。
  44. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 構造改善推進資金の保証でございますが、これは農協の保証を求めておりません。役員の個人保証を必要としないということにいたしております。いま市町村の保証にすべきではないかというお話でございますが、私どもとしてはできるだけ市町村の保証も要らないようにいたしたいと思います。それで特に市町村につきましては、これは地方財政再建整備法でございましたか、政府に対する債務について市町村が保証することについての制限をつけてございます。これはちょっと記憶が正確でございませんが、そういった関係がございますので、できるだけ内々で済ませるものはないようにいたしたい、こう考えております。
  45. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これも構造改善のところで間違ってそういうふうなことをしておるところがあるのだから、そんなようなことはないのだということをきょうの委員会で速記をつけて証明してもらいたいと思って、いま質問しておるところです。  次に、構造改善の問題がいろいろと出たのでありますが、構造改善で最も困っているところのものは、地区内の、構造改善関係がない人の土地なんです。これをいかにして買収するかということなんです。ですから、構造改善をやるところの人は、全部それは検討している。そうして話がまとまった。話がまとまったならば、直ちに金は出さなければいけない。話がまとまって直ちに金を出さなかったならば、契約は破棄される。であるから、直ちに金を出さなくちゃいけない。その金は、現在、農協が立てかえている。農協の金利は高い。ですから、私が知っているところの数カ所の例によってでも、この政府からくるところの金がくるまでの間に、立てかえた金利が、相当の金額になって、一人当たりの金額が十万円、十何万円になっている。こういうふうな実情なんです。一方、政府は、この金は予算に組んでいる。農家の手に入るまでの金は、どこにか預けている。預けているというと、それには金利がついているのです。一方は、金がこないから高い金利を払っている。一方、政府のほうには、どこにか金はある。金利がついている。こういうふうな金であったなら、私は政府の手元にあるときの金利だけは、こういうふうな場合において、補給金として出していいじゃないか。調整費として六億円か準備してあるという官房長の話だけれども、これはそういうふうなことでやるのであるかどうか、これも農林大臣に質問した場合においては、金利の補給ということはできないけれども、何とかある方法でそれをカバーするという答弁を得ているのであるが、その後だいぶ長くなったが、具体的にはどういうふうなことをやっているのであるか。
  46. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) いまのお話は、最初の部分では、たしか構造改善地区のほうで地区内の人から土地を買った場合というお話に伺ったのでございますが、これは構造改善地区につきましては、特にことしから構造改善地区外でも同じでありますが、三分五厘の低利にいたしたわけでございます。できるだけ早く貸し付けなければいけない。どうも先般来、たびたび申し上げておりますように、計画なり事業実施の決定がありましてから、いろいろな手続があって、貸し付けがおくれるということのために、そういうことが起こりがちでございます。むしろ決定があったときには、融資態勢も整うように、できるだけそういうような方向での解決をはかるのが本筋ではないか、私はそう考えております。これは補助事業につきましても、補助金がいくまでの間に、農協が立てかえて事業を始めるという例が、構造改善事業に限らず、土地改良等においても多いわけでございますから、そういったことについて、行政事務のほうのやり方と、実際の事業の進め方との間にあまりそごがないようにうまく調整し、話し合いながら解決していくということが必要かと思っております。
  47. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから、構造改善の場合においては、計画を立てて完了するまでに三年か四年かかる。そうすると、その間に物価が上がっていく。もらうところの金は同一だということであれば、完了する場合においては、少なくとも二割か三割の事業削減をやらなくちゃいかぬ。そういうふうなことをやらないために、あるいは調整費という六億円の金があるのかどうかわかりませんけれども、こういうふうな場合には、事業の削減はせずして予定どおりに、あるいは予定以上の仕事でも、そのときの事情に応じてはやらなくちゃできないのだから、それをやることができるように金融的措置を講じてもらいたい、あるいは助成的措置を講じてもらいたいと思うのでありますが、いかがですか。
  48. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは、私から便宜お答えいたしますが、いまお話のありました構造改善事業調整費というような経費は、そういった場合に対処するための経費でございます。そういうものを活用いたしまして、事業量に圧縮したり、あるいは変更しなければならぬというようなことのないようにいたしたい、こう考えております。
  49. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次には、監事の問題です。今度の監事はどうであるかというと、必要があると認めたときは、大臣であるとかあるいは総裁に意見を述べる、僕の考えから言えば、監事というものは、監査の結果は、監査についての意見書を必ず出さなくちゃいけない、監査の意見を書いたならば、総裁に出さなくちゃいけないのであるが、従来は出していたのですから、わざわざこういうようなことをあらためて書く必要はない。それからもう一つは、監事の監査は、経理の監査と経営監査と両方あるはずなんです。経理の監査であるならば、計理士を雇ってくればいい。ほんとうの監査というものは、経営監査をやらなくちゃできない。今度の法律改正の意味は、経営監査を十分にやって、監事の意見を徹底的に推進させようという意思であるかどうか、その点お伺いいたしたいと思うのであります。
  50. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) まことにごもっともなお話でございまして、監事は、もちろんその経営を改善し、また法律の定めている目的の方向に進めるように監査をしてもらわなければなりません。その結果、監査の結果を達成するためには、これは必ず執行機関であります総裁に意見を出さなくちゃいかぬ。これは従来ともそうであったわけであります。法律の規定は、それを禁じておったわけでも、制限しておったわけでもございません。ただ行政管理庁の勧告がありましたのは、監事の機能をさらに一そう十分発揮させるためには、そういう今回のような改正規定を設けて、監事がほんとうにそういう役割を持っているのだということを法律上も明らかにして、それでもっと張り切って仕事をやってもらいたい、こういう趣旨だと思いまして、そういう改正規定を入れたわけでございます。
  51. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それで、今度、金融公庫というものは、非常に資金量においてでも、すべての方面で多いのと同時に、重大責任を持つのです。重大責任を持つのだから、今後、政府が監事を任命される場合においては、経理監査であったならば、さっき言ったように計理士に頼めばいい。ですから、ほんとうに将来の農林漁業金融のあり方は、いかにすべきか、日本の農林漁業金融はいかにすべきかという観点に立って、人選をせなくちゃいけないと思っているのです。現在でもそういうような点で人選されておると思いますけれども、法律改正を機会に、さらに一段とその点について力を入れていただくということを要望して私の質問を終わります。
  52. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ここでしばらく休憩します。午後二時三十分より再開いたします。    午後零時五十九分休憩      —————・—————    午後三時開会
  53. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  農業改良資金助成法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案一括議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  54. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まず、大臣にお尋ねをいたしますことは、農業金融を農業政策の中にどう位置づけるかということについてであります。農業金融を政策として対応する場合に、その前提条件があるわけでありまして、その前提条件として、農業政策の各般にわたる総合的な科学的な体系性というものが確立される必要が当然あるわけであります。その総合的な農業政策の実現の手段の一つとして、具体的に農業金融政策があるはずであります。各般の法案に示されました金利の段階制の整備なり、あるいは据え置きを含めた償還期限の方向なりというものが、一体現実に対応してどう合理的であるかという測定は、現行のその対象になっておる農産物についての不安定であり、かつばらばらである価格制度の中では、きわめてこれを科学的に客観的に適否を判断することは困難であります。また、より客観的な問題としては、開放経済の体制に突入した段階において、さらに自由化品目の農産物における拡大と、また既自由化品目の中の現実の自由化の大きな推進というもの、この先行き不安も、その将来の動向というものは、従来の経過をふまえて考えますと、なかなか測定しがたいものがあるわけです。したがって、繰り返しますが、この作目別の期限の設定なり金利の設定というものが、農業政策そのものの不安定な対象の中では合理的な判断がなかなかつきにくいわけであります。農業金融に価格政策の矛盾とか、あるいは土地政策の矛盾というものがしわ寄せしておるように読み取らざるを得ないわけです。本来なら価格政策なり、あるいは土地政策の中で処理すべきものが、現実には金利を安くしたり、あるいは期限を延長したりするという中で金融手段に訴えておる。これは本末転倒の施策と言わざるを得ないわけです。そこで、大臣に申し上げるまでもなく、金融には金融の原理原則があるわけで、その原則を守らずに、本来あるべき政策のしわ寄せを金融政策に持ってくるということは、これはかえって農業、農民をスポイルをしてしまうというふうに考えるわけです。いまのようなこういう法律の改正案にあらわれた長期低利という金融政策では、農業の近代化はこれは無理な内容であるというふうに考えるのでありますが、大臣は、一体今度の法律を改正案として提案されるにあたって、総合的な今後あるべき農業政策というものを踏まえて、どういう測定によってこれらの具体的な改正案を提案されたのか、その基本的な態度についてまずお伺いをいたします。
  55. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) まず農業、これは漁業も同じでございますが、先ころ農業白書あるいは漁業の白書等にも指摘いたしましたが、指摘するまでもなく、農業が他産業と比較いたしまして脆弱なものであるということは御承知のとおりと思います。でありますので、全くの自由放任といいますか、自由競争裡に投げ出されているといたしますならば、農業というものが没落するような方向にいくことも、これまた当然でございます。でありますので、日本ばかりではございません、世界のどこの国でも、農業に対しては一つの保護政策というものを基調として政策を行なっていることと承知しています。ことに日本のように経営が零細である、こういう農業面におきましては、非常に他産業と歩調をそろえていくというわけにはまいりません。そういう意味におきまして、国の助成というものが相当必要である、こういうふうに考えています。しかし同時に、農業でも全体主義的な統制経済のもとで制度が進んでいるわけではございませんから、一面において国の保護というものが必要であると同時に、一面において農民の自立的な盛り上がりといいますか、そういうものを引き出すといいますか、導くということも必要だと思います。そういう意味におきましては、国の助成等によって全額を助成するというような形は、私は当を得てない。相当程度助成をしなくちゃなりませんが、自分からもやっていくという気が支えが必要だ。そういう面から、いわゆる一つの金融政策といいますか、農業金融政策として低利長期の金融を豊富にして、これは農民その他農業団体等が借りるものでございますから、自分の金で仕事をするということと同じような意味合いがあると思います。そういう意味におきまして、農業金融というものを低利長期に放出する、融資するということによって、助成と相まって農業の立ち直りということを誘導するといいますか、そういうことが必要だと思います。そういう意味におきまして、私は農業金融というものがだんだん農業政策における大きな役割を演じてくる、こういうふうに考えます。もう一つは、現実の問題といたしまして、予算面における農林予算の面でございますが、これは全体の国の予算面から考えて、その比率を大きくしていくということに、私どもも努力をいたしてきておるのでございますけれども、ある程度の限度がございます。国民の税金によってまかなわれておりまするところの予算でございますから、ある程度の総体としての限度があると思います。そういう点から考えましても、農業政策を行なっていく上において、予算面だけで十分でない面を農業金融面においてこれを補強していくといいますか、補完していくといいますか、こういうことが必要でございまして、いま渡辺さんの言われているように、農民をスポイルするというような意味ではなく、むしろ立て直りと、また、助成面で十分でない面を金融面から補強、補完していく、こういう役割りが、農業金融としての私は役割りであろうと思う。しかも、いまの現実面から見まして、予算で十分まかない得ない面がありますので、金融面においてやっていくという分野が相当ふえてくると、こういうふうに考えます。また、農業金融それ自体の面におきまして、御承知のように、いろいろな農林漁業金融公庫の金融、あるいは農協関係の系統金融等、その他もございます。これはやはりそのおのおのの役割りといいますか、長期の、あるいは土地基盤の整備に必要なる資金だとか、あるいは構造改善に要する資金だとか、こういう面、助成による面が大部分でございますけれども、そのほかこういうものは長期を要する事業でございますから、そういう長期のものに対しましては、低利な公庫の金融、あるいはそうでないものには農協系統資金と、あるいはまた、開拓資金等もございます。開拓のために必要なる資金、あるいは近代化資金のように、零細補助にかわるものとして改良普及の事業の裏腹であるところの技術の導入、その他このたび生活資金、あるいは後継者対策資金等にも回すことにいたしましたが、そういう資金によるいろいろな資金の役割りといいますか、機能といいますか、そういう面がそれぞれあるわけでございますが、それらの面を適当に活用して、国の助成によって十分にまかない得ない面を金融によってまかなって、農業の再建あるいは強化を期していきたいと、こういう位置づけといいますか役割りを持っておるものだと、こういうふうに考えております。
  56. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 限られた予算措置でそれを補完する機能としての農業金融という御答弁でありますけれども、その点に多少触れてさらにお伺いをいたしますならば、特に池田内閣の高度経済成長政策というものが、大企業の躍進にはきわめて貢献するところ大であったのですけれども、二重構造の底辺におかれている。私はこれから農業というのは、農林漁業を総括して申し上げるのですが、念のためにつけ加えておきます。この二重構造の底辺に放置されている農業、あるいは零細な中小企業者も同列でありますが、そういう政策の日の目を見ないものに、従来のそういう政策の反省の上に立って第二ラウンドということで農業の近代化、あるいは中小企業の近代化に対しては革新的な施策を、財政金融の総力をあげるということを、池田総理が国会で所信を表明している。したがって、その革新的な施策を財政金融の総力をあげるという選挙前の公約というものが、あらわれた三十九年度の予算の中における農業政策というものは、きわめて期待はずれの感がするわけです。そういうものが、公約とはかなり隔たったところで予算措置がとられて、それを金融で補完するとなれば、補完する機能もきわめてこれは独走せざるを得ないという方向が、今度の農林漁業金融公庫法の改正なり、あるいは一連の農業改良資金助成法なりに出ている部分もあると考えられるのです。だから問題は、こういう高度経済成長政策の中の省みられなかった農業というものに対応する予算措置が十分とられないままに、いろいろな政策がばらばらに独走しているというところに、金融政策の内的矛盾を指摘せざるを得ないわけです。たとえば、その政策の中でわれわれが待望しておったものは、それは十指にとどまらないのであります。少なくとも農業基本法が制定されて、かなりの歳月を経た今日、選択的拡大と称するものは、一体三十八年度までの予算措置を踏まえて、どれだけ革新的な措置を講じたかといえば、これはもうきわめてその内容たるや貧困をきわめている。そのうちの一部分をとってみても、たとえば価格政策が一体どうその選択的拡大に対して政策として対応されているのか、果樹についてはどうでありますか、あるいは酪農についてはどういう措置をとっておられますか。そういうことが何ら三十八年度と変りのないような措置の中で、この制度金融というものが独走するという形を、私は問題として指摘せざるを得ないのであります。また、全体の、単に選択的拡大の品目に限らず、総合的な、科学的な価格支持体系というものが、政府によって確立されなければならないという問題、あるいは流通の前近代的な現状に対して、これを近代化する勇断をもつひとつの措置を講ずるというようなこと、狭く問題をしぼっても、そういうことについては、われわれとすれば、国民の期待するようなものが三十九年度の施策の中には、非常に乏しいように受け取らざるを得ないわけであります。一方、この四月からいわゆる開放経済というものに突入している。私は、そういう中でも特に日本農業の立場からいって、農業というものは、開放経済というムードの中でも諸外国を説得せしめて、農業だけはそのらち外に置いて、政府の手厚い保護育成の政策をとるべき姿勢を堅持してほしいと思うのでありますが、それも前段に申し上げましたように、非自由化品目でありながら、現実には自由化がきわめて早いテンポで進行している、こういうような先行き不安というものが、そのままで、金融だけが独走しているということについて、この制度金融を通じてまた矛盾点を痛感せざるを得ないのであります。そういう点について、一体大臣はどういうふうに受け取っておられるかを、関連してまずお伺いをいたしたいと思います。
  57. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 予算措置が思うようでないことは、私も認めますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、ことしの予算ばかりでなく、農林予算というものが世界的に見ましても、あるいは日本の国を見ましても、なかなか予算面だけでは思うようにいかない、こういうふうに申し上げたわけでありますが、ことしの予算は私は相当程度いっていると思います。初めの予期に比較いたしましては相当いっておる。池田総理が財政金融の総力をあげてと、こういうことはここでもたびたび申し上げましたような一つ目標でございまして、高度成長によってたくわえたところの富といいますか、そういう財力をその方向へ向けようと、こういう一つの姿勢を示したものと思います。その姿勢どおりにことしいかないといいましても、そういう方向へ持っていくというこの態度というものは、私はことし一つ踏み出したと、こういうふうに見て、その芽をなお助長していくのが、私どものつとめだとこういうふうに思っております。そういう意味におきまして、私は予算編成時期前から考えますならば、予算の編成過程において、編成後において、私は相当な予算に対しての努力というものを認めてもらってもよかろうと私は思っております。しかし、これは立場の相違で、いろいろそう認められないと言われればそれまででございますが、私はそのように考えております。ただ、いま御指摘のように選択的拡大とかそういう方面、あるいは価格政策等において十分ではないじゃないか、これは十分とは私も思っておりません。でありますから、酪農の面等につきましても、次の国会までには、私は相当対策を講じなくてはならぬということを痛感いたしておるのでありますけれども、しかし、決して選択的拡大が引っ込んでおるというのではなくて、この間の白書等にもありますように、相当進んではおるのであります。ただ、選択的拡大といいますか、酪農とかあるいは畜産が、最近農業基本法を起点といたしまして、躍進的な方向へ来たものですから、それに伴うだけの十分な対策がまだ確立しておるというわけにはまいらぬ、こういうことは率直に私も認めます。しかし、何らこういう方面に手を打ってないというわけではございませんで、ことしの予算の冒頭にも申し上げましたように、あるいは土地基盤の整備、これも農業基本法に沿うたような近代化、あるいは選択的拡大の線に沿うた土地改良の基盤というような方向へ、相当予算の裏づけもし、進めていく。あるいは構造改善の問題、あるいは価格流通対策の問題、価格流通対策の問題がすべて政府がこれを管理するという体制ではございませんから、全部管理するというようなそういう価格対策はとれませんけれども、これを支持していくという一つの体制はあるわけであります。その体制を十分やっていない、また私ども自体といたしましても十分でないということは、これは率直に私も見ておりますけれども、そういう方面もやる。そうしてそういう予算面におけるところの措置をやはり補完するという意味におきまして、やはりその役割りが重大化したところの金融方面、この方面を相当強化しようということで、再々申し上げておりまするように、ワクの拡大におきましても、あるいは金利を低下しました面におきましても、あるいは繁雑な手続を整理簡素化する意味におきましても、私はいままでよりは、これは躍進したと言って差しつかえないと思います。そういう面におきまして、この金融の演ずる農政に対する役割りというものが、相当大きく光を当てるといいますか、前進するといいますか、そういう段階に相当入ってきておると、こういうふうに考えて、この面はなお一そう、農業金融等の面につきましては、いつかもこの委員会でお話し申し上げましたが、なおさらに審議会というようなものを設けるか何かいたしましてこれを前進する、あるいは制度を相当改めていくと、こういう措置をとっていきたいと、こういうふうに考えておるのでございますので、いろいろ御不満、あるいは御批判があると思いますけれども、私どもはことしの段階におきましては、御提案申し上げているような方向で進めていくことが、相当これは農村農民に寄与すると、こういうふうにも考えているわけであります。
  58. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 先ほどの答弁の中に、土地改良、基盤整備も相当精力的にやったという具体的な課題を踏まえての答弁がありましたので、私は抽象論争をもっと具体的な問題にしぼって、それでは伺いたいのであります。  金融ベースに乗らないようなものまで制度金融が独走しておるという内容は、具体的に言えば土地改良に象徴される基盤整備の金融であります。で、御承知のように、本来この土地改良というのは、水系を中心として国がその基幹工事をまあ担当しておる。それは本来、高度の国土計画というもの、国土の高度利用というたてまえから、その緻密な計画に基づいて実施さるべきものであると思うのでありますが、実態はそういう点もかなりラフに進行しておることは見のがすわけにはまいらぬわけです。国営で幹川工事をやる、規模の小さい部分は県営でやる、末端工事は土地改良区等の組織を通じてこれをやらせるというのが実態でありますけれども、これが非常に全体として土地改良が進むのではなしに、幹川水路はできたけれども、あるいは土地改良区の工事は進んでおるけれども、そのパイプである県営の支川工事がこれに合致しないとか、いろいろこの一つの水系を中心とする土地改良についても、ばらばらな進行が現地では共通的に見られるわけです。その場合に、地元の一番小さい部分について、これは地元負担で土地改良区がやっておるわけでありますが、その地元負担部分を公庫融資がこれを融資として補完をするという形をとっておる。これが三段階非常にそれぞれがばらばらであるために、非常に能率が悪いということのようであります。そういう上に、大臣がいま取り上げられた一枚看板である農業構造改善、こういうものがその土地改良区の中にまた突入をしておる。この農業構造改善は、われわれはそれについて出発した当初は、政府は基盤整備に対しては五割しかやらない、当時の重政大臣に私がお尋ねをしても、五割以上はどうにも考えようがないというけんもほろろのあいさつが、経過的にはあった。しかしながらこのことは単にわれわれ社会党が問題として提起しているだけではなしに、全国関係地方の議会なりあるいは首長なりというものが、全額政府で負担すべきであるという世論の前に、普通交付税等を通じて二割のかさ上げをしておる現状は、あわせて七割の国あるいは地方庁の負担になっておる。ところが従来の土地改良区の国の負担は、おおむね四割の負担である。あとの六割は融資その他で農家のこれは負担にかかっておる、そういうアンバランスが土地改良事業そのものの中に構造改善の基盤整備がこれに介入することによって、現地の混乱がまた一そう激しくなっておる実態があるわけであります。そういう構造改善関連との問題ということが、私は金融が独走するというのはそういうことであります。そうじゃなくて土地改良というものを、もっと大所高所から客観的に取り上げて、総合的な国土の高度利用という点から政策として筋を通していくならば、もっとこれは農業金融に期待する要素は、政府そのもののこれは財政の投与の責任においてやるべきで、方向というものが出てくるはずのものであります。そういう政策の前進というものは足踏み状態のままに、むしろ現状を混乱させるような政策の混乱の中に制度金融がさらに融資のワクを拡大するということは、本来あるべきものを一そう混乱に陥れるということを具体的な問題を通じてお伺いをいたしておるのであります。一歩譲って、現行のこの制度金融で対応したといたしましても、これは他の委員からの質問にもあったんでありますが、全国一万数千の土地改良区の中で、償還期限が来て一年以上たっても返せないというものが、その中で二百五十という政府の報告であります。これは何を物語るかということは、その土地改良によって、抽象的には受益者が生産性の向上にこれが役立って、そうして借金を返す能力が出たはずである。だけども現実は専業、兼業全農家が地域対象になっておるために、その土地改良事業に対する評価もこれは農家によって区々であります。不本意ながら、その土地改良区に賛同しておるという零細企業農家も数多くある、そういうものが返すべき約定が守れないという実態が、この延滞の中にかなりの要素を占めておるわけであります。そういう評価でありますから、経済力もこの土地改良によって必ずしも同一ではないという問題がまあ出てくるわけでありまして、基本的に申しますならば、こういう土地改良のような生産基盤の整備というものは、これは全額政府で負担するという政策が確立さるべきであるのに、そういう問題はなかなか勇気を持っておやりにならないで、補完的ないまのそういう政策に対する農業金融が対応するがゆえに、農業金融としてはなかなかその償還というような問題には困難な事態にしばしば逢着しておるという、そういう現実を大臣は直視した上で、私が申し上げる点をどう理解されるかということが前段の私の質問の真意なわけであります。その点についてもう一ぺんお伺いをいたしておきたいと思います。
  59. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 例をとってのお話でございますが、土地改良をしておると、そのあとへまた構造改善で土地改良をして、土地改良——いままでの分は西側あるいは半分ぐらいなのに、構造改善のほうですと七割くらいの助成を出す。かえって混乱に導くのじゃないか。それで前の土地改良の足らん分は金融でまかなっている。非常に混乱してくる、こういうことでございますが、私は逆な見方で、土地改良も一つ構造改善事業だ。そこへさらにもっと高度の、より進めていくための構造改善というような規定をして、地方の助成も含めて七割の助成をしていく、こういうことでございますから、私は混乱でなくてやはり一つの、機関車で言えば牽引車といいますか、そういう形で、全国構造改善の先べんをつける意味におきましても、私は必要にして非常にいい事業である。混乱ということには考えられないんじゃないかというふうな気がいたします。ことに先ほどから私申し上げておりますように、全額国庫負担ということは、ちょっと考えれば理想的でみな喜ぶかもしれませんが、やはり土地も生産手段でございますから、ことに日本では土地の所有も私有でございます。共産国家のように国有にもいたしますならばこれは全額国庫負担であり、農民というものはなくて、農業労働者はありましょうけれども、自立の農民というものはなくなるわけであります。農業労働者だけ——そういう制度が違いますから、やはり私は全額国庫負担というようなことにいたしますると、これは災害でもありますならば別でございますが、考えものである。ほかの産業と比使いたしましても、じゃ鉄の生産はみんな全額国庫負担するか、あるいは鉱山の仕事は全額国庫負担するかというようなことになると、これは制度の問題になるのじゃないかと思います。そういう意味におきましては、できる限り多くの助成をするということは、農業の基盤が弱いのでございますから、これは必要だと思います。全額国庫負担していくということまでいくのは、私はどうかと考えるわけでございます。でございますから、多くの助成ができるだけ得られるように、そしてまた一面において、みずからもこの金融によって立ち上がるといいますか、そういう制度が必要だ、こういうふうに再々申し上げておるわけでございますが、その金融面におきまして、いろいろ改めるべき点、よく前進せしむるべき点があるという御意見には、私はこれは当然同意いたすわけでございますが、何か金融というものが、かえっていろいろな制度の混乱の要素にもなるように、ちょっと私誤解かもしれませんが、そういう御指摘であるといたしまするならば、ちょっと私も理解しかねる点があるのでございます。そういう意味におきまして助成面と金融血と車の両輪のごとくそういう調和を、調整をとりながら農政を進めていきたい。こういう考えでございます。
  60. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうも大臣が逆に考えておるという考え方が、逆だと私は思うのです。私の言うているのは、イデオロギーの上から言うているのじゃない。これは念のために申し上げておきます。というのは、まだ現在に至るも農業構造改善に関心のある各種の自主的な団体は、全額生産基盤の整備について国庫負担を要求しているじゃないですか。これがあたかも問題をすりかえて、土地の国有ならばいざ知らずなどというのは、問題をすりかえるもはなはだしきものであります。そういうことを私が言うているのではない。こういう公共的な社会資本が責任を持つべきものを、農民に借金をさせてやることは、これは政策としては貧弱であるということを指摘しておる。それを土地国有ならばいざ知らずなんというのは、これは全くどうもピントをはずした、大臣特有の答弁と受け取らざるを得ぬ。また製鉄とか、そういうものでも全額国庫負担をしていない、それは当然であります。なぜ私が農業に対してそういうことを要求しているかということは、政府が制定した農業基本法にもいっているじゃないですか、第一条の目的にも。農業というものは何もわれわれば農民の立場から政府に哀訴歎願して、幾多の保護政策をお願いしているのじゃない。国として当然保護すべき特殊なこれは立場に置かれている産業だということで、権利の立場からこれを主張しているにすぎない。それを政府がやらないから問題がある。そういう点をあまり十分やらないで、金融に依存するという点が、ウエートがかかり過ぎては、これは農民の負担がたえられなくなるし、金融の交通整理の上からいっても混乱が起きる、助成のバランスの上からいっても問題が起きるということを指摘しておるのであります。こういうことをこれ以上申し上げても、平行線でありましょうから、私はもう言いませんが、ただ国民のひとしく期待した方向というものを、できるだけ金融政策だけによらずに、基本的な政策の中に打ち立てていかなければ、これは農業というのは将来は——非常にもう憂うべき段階に現存もう来ておるわけであります。そういう点から私はまあ前段として、この農業政策と金融制度というものが、いかに科学的に相互関連をもって確立されておるかという点をお伺いをいたしたつもりであります。  で、具体的な問題に入ってまいりますけれども、たとえばこの制度金融というものをながめた場合に、一体旧債というものの整理をする基本方針が立っていないのじゃないかということを申し上げたいのであります。それは特に開拓者等に集中されておる旧債の問題にしても、経過的にはこれは前の自創資金で、これを三十億肩がわりした経過もございます。しかしながら、今度の法改正の中に見られたように、土地収得資金は三分五厘であって、土地の維持資金、自作農維持資金は依然として従来の五分ですか、というもの、そういうもので今後も旧債が出た場合に肩がわりをするということでは、この返し得ない農家の努力をもってしてもいかんともしがたい、返還のできない負債に対する措置とはこれは言えないわけです。これは単独立法で、これは農林漁家相互であります。農林省自体でも特に水産の関係の負債については、具体的なデータも出ておる。その負債のうちで全体の借金のうちの一二%は、もう返すあてがないという資料を、農林省みずからのデータの中に発表しておる。あるいは償還期限が来ても返せない、いずれは返すことは可能だという範疇に属するものが四七%ある。そういうものをそのまま目をおうて制度金融が先行するということでは、制度金融もこれは生きた方向に機能されないのではないかということを問題とせざるを得ないわけであります。  そこで大臣に伺いますが、これらの農家の旧債の中で、どうしても返せないというものが、もう確実に出てきておる開拓農家については、第三類農家の負債はその代表的なものでございましょう。そういうものを経過的には今度の制度金融の手直しの際に、経過的には無利息資金を充てるという話があったり、二分資金をもってこの旧債の償還の資金にしようという経過があった。ところが残念ながらこれが実現しない。そういう現在において、その焦げつきの返し得ない旧債を一体どうされるのか。これは制度金融の対象外の問題でありますが、そういう点についての政府の明確なる見解がなければ、この制度金融自体に対する問題というものが、やはり私としてはすなおに理解できない点があるわけです。そういう点を一体大臣はどういうふうに対応されようとしておられるのか、その点をお伺いいたします。
  61. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 開拓者の焦げつき債権につきましては、自作農創設資金でございますか、その方面から借りかえをする等解決をはかっていきたいと、こういうふうに考えております。
  62. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 自作農創設維持資金というものが去年の法律改正まではあったんだが、あのうちから取得部分は分離されて制度金融に入っていますから、自作農維持資金というものは、いまも言うたように、金利が高いのです。これは衆議院の附帯決議でも三分五厘で長期に見ろということが出ておる。土地の取得資金は三分五厘ですから、せめて三分五厘ならまだしもでありますが、五分の自作農維持資金をもって旧債の肩がわりの対象にするということでは、政策のアンバランスが明らかにうかがわれる。その点を一体どうするのかということをお伺いしたい。
  63. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 私から、農地局の関係にもなりますが、私から申し上げますと、まず、開拓者の負債につきましては、災害等によって借りたものが相当ございます。たとえば天災融資法等で借りたものでございますが、そういったものにつきましては、必要によってはそれぞれの法律にあります損失補償の措置をとることを検討いたしたいと、こういうような考えを持っております。それから現在、開拓営農振興臨時措置法によりまして第二次の振興計画を樹立いたしておりますけれども、その際に、そういった農家につきましては、認定を保留いたしまして、あらためてその措置をあわせて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。それに自作農維持資金につきましても実は三分五厘にせよという御要望がございますが、当面といたしましては、すでに自作農維持資金につきまして三十万円の限度まで借り受けておる人が若干出てまいっておりますので、その限度を相当大幅に引き上げたい、こういうように考えておるのでございます。
  64. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 天災融資法についての借りかえということもいま延滞分だけを現行は認めておる、援用、それが問題なわけですね。延滞でなくて、この中に返せない者があるわけです。それをもっといまの自作農維持資金というものでやるにしてもなぜ今度の金利合理化というんですか、金利の段階を整理する場合にそれを三分五厘にしないかということなんです。取得資金だけは三分五厘にして、維持資金は五分に据え置くというその思想がどこにあるかということを伺っておるのです。これは大臣に政策として伺っておるのです。
  65. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ちょっといま打ち合わせで聞き漏らしたのですが、失礼ですけれども……。
  66. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 土地の取得については、三分五厘資金というものが設定されておるわけですね、これはこれとして、自作農維持資金というものが単独法として残っておるものは、これが従来どおり金利が五分に据え置かれておる。この五分の旧債の整理の資金としては高きに失する自作農維持資金を、なぜせめて三分五厘まで合理化をはからなかったかという政策の基本がどこにあるかを伺っているわけです。
  67. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) そうしたいとは思ったのでございますが、ほかとの何といいますか、均衡上ここでとどめたと、こういうことでございます。
  68. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ほかとの均衡だから、私が言うておる土地取得資金というほかの最も類似した、従来は同じ法律の中に扱っておった資金を分離して、その分離したものが三分五厘で、残されたものが五分であるということは、ほかとの均衡が、これは明らかにとれないという結果じゃないですか。
  69. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ここにありますように林業経営等と、あるいは沿岸漁業経営安定、こういう維持の方面との均衡からでございまして、土地取得のほうは積極的に規模拡大というような新たに借りるほうでございます。そういう意味におきまして、現状におきましてはこういう考え方から五分にしておいたと、こういうことでございます。
  70. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これもこれ以上伺っても平行線なことだと思いますが、私はもう少し国会で答弁するにしても、国民が納得するような答弁であれば先へ進みますが、いまのような答弁では、先へ進みようがないじゃないですか。与党の理事の諸君は、きょうじゅうに上げるようにしてくれと、私たちも努力をしておる。しかしそういう納得のできないような答弁では、次に進めようがないわけですよ。繰り返しますけれども、土地取得資金が三分五厘で、なぜ維持資金は五分かということです。
  71. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、土地取得資金のほうは積極的、維持のほうは消極的といいますか、そういう点の差異がございます。そういう意味におきまして、こういう違いを納得するかしないかは、これはどうも私ども無理に納得していただくわけにはまいりませんから、これは困りますけれども、私は私として納得してこういうことにしたのであります。
  72. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 しかたないからもう一つ伺いますが、取得資金は積極性を制度金融に期待しておる、維持資金は消極的な機能にこれをとどめておく、そういう思想は、私がかつてこの委員会で大臣に伺ったように、自立経営可能な農家の育成の方向を制度金融としてバック・アップするという思想につながるものである、こう受け取らざるを得ない。しかしながら、現実にはなかなかもってそうもいかない、そういう実態。二町五反歩農家が現在では九万戸しかない。四十五年度の目標年次まであと六年しかないのに、あと九十一万戸を達成できようはずがない。できないと言えば、これは政府の重大なる責任だからできないとは言わない。しかし、現実にはそういう政策を加味した制度金融ですら解決ができない。そういう矛盾が現実にはもう露呈しておるわけです。私は、消極的だというこの考え方がきわめて遺憾だと思う、これは意見になりますが。というのは、旧債をしょった農林漁家に対して、その旧債を条件緩和するのに、なぜ五分という消極的な対応策しかとれないのか。これは少なくとも血の通った政治とは言えないんじゃないですか。もっと、せめて三分五厘くらいの、この消極性を積極性ですか、に切りかえることが私はこの農林漁家に対する制度金融のあり方ではないか、どうもこれに対して消極的である。別のことばで言えば、旧債償還というものにも消極的であるという内容につながる思想だと受け取ります。このことはやがてこれが拡大される矛盾として、大臣はこれは覚悟しておかなければならない。いずれ早晩、私がいま取り上げた問題は好むと好まざるとにかかわらず、政府としては重大なる政策の問題として取り上げざるを得ない時期がひたひたと迫っていることだけをこれは警告を申し上げて、この問題の質問を打ち切ります。  次に、この法律の具体的な内容に入って伺うのでありますが、第一に今度提案されました法律の第四条であります。この第四条の二項、第三項を新たに挿入をして提案されておりますけれども、これは従来とは違って、「政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公庫に追加して出資することができる。」という改正条項であります。第三項は、「公庫は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。」とあります。この点は非常に大きな内容の改正案であるとわれわれは受け取らざるを得ない。予算で定める金額の範囲内において公庫に出資することができるというこの法律が制定された場合には、この制度金融自体に対する十分なる審議をする機会もこれはきわめて困難であるということであります。それは国会の運用をごらんになっても、先輩の赤城大臣はとくと御存じのはずであります。一括して予算で上程された中に、全体にとってはケシ粒のようなこういう問題は、なかなか——こういう現行法律であればこそ、改定の機会に毎年毎年この制度金融なり、関連する組合金融なりという問題の審議が十分行なわれて、かなりそれらの意見も取り入れられて前向きに進んできているのであります。それが一たんこの法律の改正のごとくであるならば、もう予算で定める金額において公庫の出資が自動的に決定するということでは、国会におけるこの種の問題の審議をきわめて軽視するという措置に出たものと言わざるを得ない。政府にとっては便利でありましょう。しかし、その便利は、国民の声を聞く機会をそれだけ失うということは、大衆から逸脱した方向を独走する危険も出てくる。だからこの法律改正はこれはまさに改悪の法律案であります。その点について、大臣はどういうお考えでこういう改正案を提案されたのか、この点にしぼって詳細な御回答を求めます。
  73. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 追加出資につきましては、法律改正を要しないで予算面で御審議を願うという趣旨についての見解をただされたわけでございますが、確かに御指摘のように、改正案では追加出資に関する法律改正を要しないということになっております。できるだけ国会の場においていろいろな御審議を、あるいは批判をしていただくことが、これは民主政治として好ましいことでございます。でありますが、単なる出資の追加ということでありますので、これは法律改正を要しないことにしていいんじゃないか。ただ、重要な資金、たとえば農林漁業経営構造改善資金というものの貸し付け条件を改めるとか、あるいは業務範囲を拡大する、こういう問題は当然法律事項でございますので、法律案の改正というようなことでこういう問題が出てきました場合には御審議を願う、こういうことに相なっておりますけれども追加出資の点は、もう予算の面で御審議願ったならば、また予算の面で御審議を願うと同時に、それに関連してこういう当委員会等におきましても議論は相当あることと思いますので、法律事項としてしなくてもいいんじゃないかというたてまえから、この第四条ですか、の原案になっているわけであります。御承知のように、日本輸出入銀行あるいは公営企業金融公庫、北海道東北開発公庫、医療金融公庫、中小企業信用保険公庫等につきましても、こういう改正案ですのに衆参両院を通過していることでもありますので、追加出資のことだけの場合には、法律改正の手続というようなことでなくて、予算関連して御審議を願ってけっこうじゃないかと、こういう趣旨でありますので、御不満でございましょうが、そういう意味におきまする改正でございます。
  74. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大臣は単なる出資の追加ということでありますけれども、これは私から申し上げるまでもなく、この農林漁業金融公庫法が出てから、毎回の衆議院あるいは参議院の審議の結論としての附帯決議に、原資の確保ということが毎年のように強く附帯決議として取り上げられておる。そこで、単なる政府出資の増額といいますけれども、それに基づく公庫の出資というものでありますが、長期低利にこれをさらに機能を拡大していくには、何としても政府出資というものがどれだけ対応するかということによって内容検討が出てくるわけで、手段としては政府出資増額ということでありましょうけれども、その及ぼす影響は、この制度金融の死命を制する、大きな、原資の構成にかかわる問題であります。そういうことを、予算に定める範囲ということで軽く処理するということでは、審議権をこれは回避するという態度に、これはいまあげられた他の制度金融にこれも共通する問題になりますが、私は政府の態度であるといわざるを得ないのであります。真剣にこの問題を討議するためには、従来の法律が何が悪いかということであります。私は従来のそのつど法律改正をすることに、どこにその不都合があるかということを逆にお聞きをしたいわけです。そこに不都合がないはずであります。ないのを突如戦線を統一して、この政府が干渉するものに対しては、すべて予算の範囲内ということで、大かたの常任委員会の審議権を回避し、これを回避する方向に出たということは、何としても国会の審議の立場からいって私は納得できません。予算の範囲内ということでありますが、ここへ出てくるたとえば十五億の原資にしても、これは国有林事業特別会計から、財政法を合法的に処理するために一般会計に出して、それから公庫にこれが投下されておる。こういうことも国有林野の事業特別会計の中で十分審議をしなければならぬのに、そういうものを取り扱う場がないということであれば、いつそれを十分審議するかということも容易じゃない問題もあるわけです。この前本院を一番先に通過した林業信用基金法の一部改正の問題にしても、あれに政府が出資する三億五千万というものも、林野特別勘定からこれが一般会計に出て、一般会計から農林漁業信用基金にこれが投下されておる。そうすると、その一つ二つの例をとっても、国有林事業特別会計そのものを十分納得する審議が必要になってくるわけです。なかなかそれも法律の改正ということになっていないために審議をする機会がない。これが政府が提案したようにまかり通れば、従来この制度金融に対して審議をしたその機会というものが失われる。もっと具体的な手直しをするときは、大臣言うたとおり、当然これは法改正として出るでしょう。毎年毎年、この公庫の死命を制する原資の大きな部分を期待している政府出資がどうあるかということが、この内容の審議の中心であるわけでありますが、そういう点から言えば、この予算の定める範囲において、幾らでも、いかようにでも措置できるということは、これは繰り返すようでありますが、国会においてわれわれが国民の負託を受けて審議をするという権利を、不当にこれはそらすものであるというふうに思うのですが、いままでの法律で、どこか不便があったかをお伺いします。
  75. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 別に不便はなかったと思います。予算の中に、あるいは財政投融資の中に出ていますから、法律事項としなくても当然審議権を持っており、国民の負託にこたえる皆さん方から委員会において御審議を願えるものだ、こういうふうに考えて、法律事項とはせず、予算に計上いたしておりますから、それについての御審議が願えるものというふうに考えましたので、法律事項からはずしたわけだ、こういうふうに御了承を願う以外にないのでございます。
  76. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これもこれ以上伺っても、どうも原案が悪いとは、いかに大臣でも言えないでしょうから、ただあなたの御答弁に、いままでの法律でも不便がない、それを手直しをしたというのは、非常に国会審議権を軽視した措置として、これは絶対に承服のできない問題点であります。そのことだけを申し上げて、次の質問に入ります。  次に、私大臣に伺いたいのは、最近問題になっておる農業金融の交通整理についてであります。これも国会が持たれてこのかた、しばしば常任委員会等で取り上げられておる問題でありますが、ごく最近の取り上げられた問題を見ましても、三十三年の四月十八日、この参議院の農林水産委員会の附帯決議に、第一項目に次のようにあげております。「すみやかに現行農林漁業金融制度に根本的な検討を加え、これが整備拡充をはかり、もって農林漁業金融の円滑を期し、特に制度金融と系統金融との調整をはかり、両者関係機関の業務及び機構等についてもいたずらに紛乱摩擦等を引き起すことのないよう留意すること。」これが三十三年四月の参議院の附帯決議であります。それからさらに、最近に至っては、三十七年の三月二日の衆議院の農林水産委員会の附帯決議でありますが、これも第一項にあげております。「農林漁業の近代化を強力に推進する上において、金融の果たす役割はきわめて重要である。しかして、最近制度金融及び系統金融を中心とする各種金融制度はようやく充実してきたが、真に農林漁業の近代化を図るためには、現状をもってしては未だ十分とはいいがたい。よって、政府は、すみやかに農林漁業金融全般にわたり総合的な検討を加え、もって、新事態に即応する農林漁業金融体制の確立を図るべきである。」まあこれ以上引用はやめますが、去年の三月二十六日にも附帯決議で同様の金融機関の交通整理について取り上げておる。おそらくこの金融機関の交通整理の問題については、大臣はこの法律の改正案に示しているように、金利も四段階に整理をした、いろいろな合理化をはかったということをお答えになると思いますが、私はその公庫融資の中の合理化を一歩も二歩も前進をされたことを認めるにやぶさかではございません。しかしながら、これを今回の農林漁業金融公庫法の改正の内容をまず前提に置いても、そのほかに従来から実施されておる近代化資金という一つの柱がある。あるいはそれらを包括したことでありますが、系統組合金融というものがある。あるいは農業改良資金のような県に特別会計を置いた特殊な制度金融と称すべきものがある。あるいは各県独自に県の行政的な補助措置を講じてひもつき融資を組合金融にやらしておる制度がある。こういう非常に複雑な制度の中に農業は困惑をしておるということです。これを困惑をしておると言えば、大臣は逆だという説をなすかもしれません。これはまさに農民としては困惑をしておる。一定の資金ワクが足りなくなって他の資金を導入するということによって非常にアンバランスが出ておる。これは実態ですよ。同じ農家の中でも農家同士の差異が出ておる。末端においてはこのクモの巣のように張られたいろいろな農業金融の中に困惑をしておるという実態があるわけです。これを一体三十三年から、もっと前からもあったと思うのでありますが、各衆議院、参議院で審議の過程で問題を提起して、やむを得ず附帯決議までつけておるのです。そういう農業金融の交通整理というものについて、これは現状かくのごとくでありますから、それを一体どういう方向に整理をどういう時期におやりになるのか。従来の数々の国会の決議を一体どう尊重していままで対処されてきたのか。これからそれを実現するために、大臣はどういう重大な構想をもってこの交通整理に当たろうとされるのか、その大綱と、大臣の抱く構想の具体的な内容をお聞かせ願いたい。
  77. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 金融それぞれの何といいますか、政策的な要請とか、資金の性格とか、あるいは借り受け者の資格が異なるとか、制度上は融資分野が調整されるようになっておりますが、いま御指摘のように借り受け者の便宜、あるいはどこからの金を借りればいいのかというふうな、なかなかわからぬ面があると思います。それがないという答弁だろうと言いますが、そうでなく私も認めます。私もそういう点があろうと思います。そういう面におきまして、この間も御答弁申し上げたのでございますが、私は農業金融という問題が非常に大きく取り上げられるようになっている現状でありますけれども、いろいろその目的といいますか、それぞれの資金、それぞれの目的等があると思いますけれども、そういう面で交通整理をしなくてはならないというふうに考えております。決議の点も承知しておりますし、あるいはここで再々そういう質問も受けております。でありますので、どういう審議会にはかるか別といたしましても、農政審議会にはかるか、あるいは新たに農村関係の金融制度についてより深く突込んで検討をして整理をしていく必要があろうかと思いますので、そういう審議会か委員会か、まだきめておりませんが、ことし中にそういうものにはかって交通整理をしていきたい、こう考えております。
  78. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その点をもう少し突っ込んで伺いますが、こちらの順序を少し変えまして、もっと具体的な問題をお伺いをいたしたいのであります。それは今度の改正金利の中に、経営拡大改善という大ワクの中に、果樹園経営改善と、畜産経営拡大と、沿岸漁村整備促進と、沿岸漁業協業化促進というものを、六分五厘というものを当分の間五分五厘とするという説明があったわけであります。これは当然経営拡大改善をするためには、六分五厘では負担が重過ぎるということから、当分の間五分五厘という暫定措置をとられたと、従来の説明では理解するのでありますが、この当分の間とは、一体何年を目途とするのか、それからその目途とする当分の間が経過された後には、当然合理化の方向として、これはいまの四系列の金利にこれを帰属させると思いますが、一般の期待は、当然これは五分に整理をされると思うのですが、この点の当分の間という期間を想定された年数、それから当分の間が経過した後には、一体、五分にするのかどうかということの二点を大臣からお伺いをします。
  79. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 当分の間という法律用語がよくありますが、大体常識的に三、四年というのが当分の間と思いますが、当分の間で長く続いちゃっているのもあります。実際問題として。しかし、そう長く当分の間という意味ではなく使っておるわけでございます。でありますので、四段階にいたしましたが、これは六分から五分五厘にしたのでございますけれども、ちょうど四段階ワクに入りませんでした。そういう意味におきまして、六分五厘のワクの中で当分の間五分五厘と、こうしておりますけれども、当分の間が済みますならば、当然六分五厘にするのじゃなくて、五分のほうへ持っていく、こういう意味での当分の間の五分五厘であります。そういうことなら、これは五分のほうへ入れておいたらいいじゃないかという議論もあるかと思いますけれども、まあ五分のほうより六分五厘のほうへ入れて、五分のほうへ上げていこうという意味であります。
  80. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大臣におことばを返すようでありますが、当分の間という解釈からもう少し突っ込んで伺うのは、当分の間というのは、まあいま三、四年とおっしゃったのですが、これをもう少しはっきり伺わぬと、とんだことになる。というのは、これには経過がある。私が三月三十一日のこの委員会で、原料乳は現行の五十三円からどれだけ大臣はこれを改正する腹があるのかと繰り返し、繰り返し伺った結果、大臣は数円を上積みにする、こういう答弁をいただいたのであります。その数円ということは、私は常識的にまあ五、六円ということが数円だと思って、そのまま納得もしませんでしたが、それを突っ込んでさらに確かめなかった。私のこれはミスでありますが、その翌日になると、これに加算されたのはわずか二円、大臣からいえば二円も数円の中であるなどと言われちゃ、これはたまったものじゃないので、前段の質問にこりて、この際、当分の間とは三、四年と言わずに、もっとはっきり大臣としては何年というようなことをもう少しお答え願えればと思うのであります。  それから第二点は、現行六分五厘のワクに入れたが、当分の間は、五分五厘にした。当分の間——これは後ほどお答えをいただいて、何年ぐらいというふうに、もう少しはっきり理解できると思いますが、その期間が経過すれば、これは五分に整理をする、こういう御回答でありますが、従来のその経過から見て、当分という取り上げ方をした解釈から言えば、大臣の御答弁のようにはなりにくいので、私はそのなりにくい点を大臣は客観的に判断をされて、当分の間が過ぎればもとに戻るという常識じゃないかと、これは思いやりがあって五分に整理をするんだ、こういう御答弁でありますが、そばで松岡局長もむずむずしておりますが、これは政府委員もはっきり大臣の答弁をあとで妙ないびり方をしないで、そういう客観的な大臣の姿勢というものを大いにサポートするということで、あわせて松岡局長からもお答えを願いたい。
  81. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 先ほど大臣からお話がありましたように、農林省としては、できるだけ早い機会にこれを五分に整理したいという考えでございます。なお、補足いたしますと、「当分の間」と言いますのは、法律上は別に期限の定めがないわけでございますが、それと六分五厘に当然上がるのではないかという御疑念ですが、これは附則を改正しない限り、つまり国会の御了承を得ない限り、六分五厘に上がることはございません。
  82. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと……。いま御答弁をいただいたのですが、この法文全体の体裁から見ると、別表には六分五厘となっているわけですから、それを当分の間五分五厘でいくということになると、法律解釈としては、当分の間の五分五厘が済んで、五分五厘にしておく必要がなくなったら別表の六分五厘に戻る。これは、法律の解釈としては、正当な解釈ですね。ところが、それに対して大臣は、そうはいたしません、五分のほうに入れます。とこうおっしゃっているわけです。あなたもそうおっしゃっているわけですね。そうしたら、この際、私どもは、そこまで言い切られるんでしたら、何も別表六分五厘のままで置いておく必要はないと思う。むしろ、この際、はっきりと五分に改められるほうがいいじゃないですか。そうしたほうが大臣の趣旨も通るし、また、その農林金融にひとつの重点を置いておられる赤城農政としても筋が通るはずなんで、私はこの際、むしろそこまで言い切られるんでしたら、六分五厘を五分に別表の中で改めていく。そうして附則の第3というものを生かしておく。こういう正当な手順を踏んでいただきたいと思うのです。実際。
  83. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 先ほども申し上げましたように、附則を改正しない限りは、この金利はいつまでも五分五厘でございますが、実は五分にいたしまして当分の間五分五厘といたしますと、いかにも通常は低いほうに当分の間にするのが常識でございます。当分の間高い金利を適用するというのは、畜産とか果樹とか、成長部門につきまして、そういう段取りをとるというのはちょっとおかしいのではないか。私どもとしましては、たとえば果樹園の資金でございますが、これは一昨年は七分であったわけです。それを昨年六分にいたしまして、さらに今回五分五厘に下げたわけであります。そういうステップを踏んでおりますので、その点は御了承をいただきたいと思います。
  84. 矢山有作

    ○矢山有作君 私もいまの御答弁をほしかったわけです。全くおっしゃるとおりなんです。そうしたら、この際、附則の第3は削ってほしいのです。そうして、むしろ別表の五分というもので今年度から入っていただいて、もしそれができないなら「当分の間」というようなあいまいな附則にしないで、予算に影響があるということでできないとおっしゃるなら、附則の3を三十九年度限りにしていただきたい。そうして別表の六分五厘を五分にする、そうすればあなた方の考えておられる線というものがこの際明確になっていくと思います。やはり法律というものは、できるだけ明確にしておいたほうがいいと思いますので、そういうふうに私は思うのですが。
  85. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かにそういう点もございます。ただ、私どもとしましても、ここには非常に苦心を払ったところでございます。そういうことを申し上げると失礼ですけれども予算措置をやはり伴って低率にきめてしまう、こういうことならば私ども五分でもいたすわけでございます。しかし、これはひとつ将来のペンディングという意味で、やはり一応は同種の性格の資金が六分五厘でございますから、それらとあわせて整理して、今後の問題といたしたい、こういう考え方でございます。
  86. 矢山有作

    ○矢山有作君 しかし、私はいままでよりも利率が上がっておるという点に一つの問題点があると思うのです。あなたのおっしゃることもよくわかるわけですけれども、畜産だとか果樹だとか、そういったものの経営拡大をやるということで、少なくともできるだけの長期低利の資金を出そうという考え方でこの公庫法の改正も手がけられたと思うので、そうすればやはり将来大蔵省と折衝していって、大臣がいまおっしゃったように五分の線に持っていくためにも、この際、私は別表を五分にしておいて、そうして附則のほうを今年度なら今年度限りということにしておいたほうが、将来大蔵省と折衝をして、あなた方が目途としておられる長期低利の方向に持っていくのにかえってそのほうが有効じゃないか、そういうふうに私は思う。だからこの際せっかく熱意を持ってこの公庫法の改正を手がけておられるのですから、そこまで足を一歩踏み出したらどうですか、一歩じゃなく半歩ほどですよ。
  87. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) おことばをたびたび取り上げて言いわけを申し上げるのは遺憾でございますけれども、先ほど来渡辺委員の御質問に対し大臣がしばしばお答えになっておりますように、実は今年この農業金融につきまして、金利はもちろんいろいろな制度面について再検討をするように御指示をいただいたのでございます。現在この関係の資金は、近代化資金にも同種のこれに近い性質のものがございます。それが六分五厘になっているわけです。それから同じく農林公庫の中でも、同種のものが六分五厘にちゃんとバランスをとっておるのでございます。そこで私どもとしては、そういった基本的な問題の金利につきましても、再検討した上で確定的な結論を出すほうがこの際はよろしいのではないか、こう考えておるのでございます。
  88. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 悪いほうといいますか、高率の近代化資金の利子等の関連もあってと言うのですが、大臣が言いますように牽引車的な機能として、まずこっちが一歩前進した政策を出して、近代化資金にもそれに相応するような指導的な立場を私らは期待するわけで、いま矢山委員関連質問をしたと思うのです。もう一つ金利の問題でいろいろなものが農民の負担に、あるいは団体が負担にかからないようにできるだけ軽減するようにという整理の中で若干目ざわりのものがあるわけです。たとえば電気導入の施設について従来六分であったものが、六分五厘になっている。これは惜しいところで画龍点睛をも欠くわけですから、これも老婆心でありますが、こういう経営拡大の一環の手段として、特にこの期待は御承知のようにきわめて社会環境が劣悪な条件に置かれている地帯のこれは施設でありますので、これを上げるということは、政府としては相当検討し、原価計算をし、十分これだけの償還能力があると見てのことでありましょうが、そういうことはさておいて、まあ素朴に考えても、従来六分であったものを六分五厘にするなどということは、これは赤城農政としても非常にけちのつくところじゃないかというふうに考えるので、これは少なくとも従来の六分に、六分五厘というものを修正するということをわれわれは強く要請申し上げる点なんでありますが、これは客観的な立場から、次元の高いところで、大臣一体これをひとつ、従来六分であったものを、このほかの電気導入施設の非補助については五分でありますからこれに、この六分五厘の資金を全部五分に入れる、非補助だけを五分にするということでなしに、この電気導入資金そのものを五分にこれを直すという、前向きにこれを修正する御意図をひとつここではっきりと伺っておきたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 修正するとまでまだ申し上げなくて、はっきり言えとは無理でございますが、御承知で質問されるのは弱るのですが、御承知のように、電気導入施設一般が前は六分であったわけでございます。それで非補助の分を一分下げて五分にしたものですから、それで非補助でないのが五厘だけ上げていったという、まことに不手ぎわではございますけれども、実際にこの補助の資金の量といいますか、六分五厘の量は少ないものですから、少しつき合ってこれくらいやっておかないと、ほかのものはなかなか下げられないものですから、つき合ったようなかっこうで、手ぎわいいとは申し上げられないのですが、そういう事情は御了承くださりたいと思います。
  90. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 わずかな金額だとおっしゃいますけれども、わずかだから、これは直せるんじゃないかと思うのです。非常に財政負担がこれによって増高するということになれば、政府としても予算の大幅な変更を伴う修正には応じられないけれども、ささやかな手直しによって、せっかくここに大きく赤城農政の大黒柱としての制度金融の前進というキャッチフレーズが、この一つの点で汚点を印するということは、私は忍びないと思うのです。だからひとつ私も大臣のその前向きの措置ということを大いに高く評価をして、ぜひこの原案にとらわれないで、大臣の立場から、これを非補助あるいは補助を問わず、山間僻地の施設である、くどいようでありますが、それが五分でもこれは問題があるわけでありますが、そういう抜本的な手直しをここで申し上げる意図はないわけでありますから、非補助に入れたものをこの六分五厘からまた五分に入れて、電気導入施設一般を五分に金利を整理をするということくらいは、これはひとつ大臣ここで明らかにしていただけば、うしろ向きの金利の改正というものがなくなる。こういうことになって、われわれもたいへんけっこうだとおほめ申し上げることができるわけでありますから、何とかひとつもう一回、金額も少ないから上げるということじゃなしに、金額もわずかであるから、それじゃひとつ五分にやってやろうという御答弁をいただいて、次の質問に入りたいと思います。
  91. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) わずかであるから改めてもよかろうという意見もありましょうし、わずかであるから改めないでもよかろう、このままでもよかろう、こういう見方もあろうかと思いますが、せっかくかっこうをつけたところでございますから、ひとつこういうことで御了承願っておきたいと思います。
  92. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いずれこれはここで、それ以上の御答弁ができなければ、せめてそういう問題だけは考えて善処しようということくらいの御答弁をいただかぬと、これから大きい問題を次々と伺うのに前へ進まぬわけであります。不合理なんでしょう、実際内容は。不合理ならば、これから各理事の間で相談するときに、その相談がまとまったなら、大臣としてはよろしい、ブレーキはかけない、前向きのことは何でも取り上げるということで、ひとつ対応していただきたい。そういう意味の、そういう経過的な内容を含めた善処ということをひとつおっしゃっていただきたいのでありますが……。
  93. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 合理的には合理的なんです。この原案が。だけれども、実際それをやってやればやったほうがいいには違いないのですけれども、合理的にいろいろそろえて、均衡をとってやったものですから、これでがまんしていただくよりしょうがないと思うのですが、しかし考慮するということを言えというならば、先ほどから申し上げておりますように、金融全般についていろいろ検討しなくっちゃならぬと私思っておりますから、そういう際には検討対象にはいたしますけれども、今国会において、いま数日のうちにこれを考慮して何か改めろと言われても、原案として出したものをいまちょっと改めるというわけにはまいらぬのじゃないかと思います。
  94. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  95. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を起こして。  それじゃ、暫時休憩いたします。    午後四時三十九分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————