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政府委員(
昌谷孝君) 三十九年度の
資金ワクは、先生のおっしゃるようにかなり拡大をしております。で、実を申しますと、確かに
農業のほうの無利子の
貸し付けは、新しい
技術の導入というようなものに限定して実行しておりました
関係上、それほど多額の金を必要としなかったというような事情もございまして、今度やっと四十五億円の
貸し付け規模、それを直に比較してごらんになりますと、いかにも中小企業のほうが行き届いているかのごとくお
考えになるかと思うのでありますけれども、この点はちょっと注釈を入れて御理解いただきたい。つまり中小企業のほうでは、これらの施設と申しますかは、すべて無利子の
貸し付け金になっておりますが、
農業の面では非常に相似たものが、まだいまの段階では補助の対象になっている。で、補助金が
農業のほうではこれにかわると申しますか、これに先行する
一つの有力な助成手段、より
程度の高い助成手段として補助金という制度が使われております。構造
改善事業で、たとえば大型の集荷施設でありますとか、農産物の加工貯蔵施設等、すべてこれ補助の対象として取り扱っております。それに反しまして、中心企業のほうでは、それらのものはすでにもう補助の段階を過ぎて、本来ならば融資の段階であるべきでありましょう。それを完全な金利のつく融資の段階に切りかえる過渡期の問題として、この出
資金が年々、最近急速に拡充されてきたのが現状であろうかと思います。そういう意味で、この無利子の
資金のワクそのものだけで、
農業の施策と中小企業との施策とを直にお比較いただくことについては、いまのような観点をまじえて御判断いただきたいと思います。それから実際問題として、御
指摘のように、
農業協同組合の食糧品等の加工施設になりますと、中小企業の個別企業あるいは中小企業の協同組合が共同施設として持ちます共同施設と、外形的にはまた機能的にもなかなか区分のしにくいものがだんだん出てまいると思います。その場合、私どものほうは、いまのところまだ
農業協同組合がこの中小企業の無利子の
資金を利用して施設をしたというような事例は接してもおりません。また、特別の奨励もしておりません。このことは、
農業協同組合の本来のねらいといたします使命と、中小企業協同組合なり、あるいは中小企業の
資金が本来のねらいとしておりますところとに若干機能的な差があるということと、それからやはり現地におきましては、中小企業と
農業協同組合との間には、歴史的な
一つのまあみぞと申しますか、何か相いれないものが感情的にもある。そういったようなことが、中小企業の法制の整備等のつどまあ出てまいるわけでございまして、制度のたてまえ上は、中小企業の団体に
農業協同組合が入って入れないわけではないのでありますけれども、入ろうとする
農業協同組合もございませんし、また、積極的に加入を呼びかける中小企業も現在のところはあまりない。ただ、いわゆる何と申しますか、販売規制といいますか、最近あります中小企業のいわゆるカルテル的行為をやります場合に、
農業協同組合もそういった中小企業の規制の中に含めて規制いたしたいということは、中小企業の関連立法が議論されるつど、その方面から持ち出される議論でございます。私どもは、むしろそういった際には、
農業協同組合は、いわゆる中小企業とは異って、零細農家の利益擁護のために特に
設立された団体で、特殊の機能と使命を持っているのであるから、中小企業の
一般的な規制の対象とすべきでないということで、むしろ対象外とするべきであり、そういった場合のつど、施策をそういう方向でかじをとり、主張いたしてきております。したがって、そういった契機から申しまして、なかなか
農業協同組合がこの
資金を使うということは、なじみにくい問題のように私は思うのでありますけれども、御
指摘の点は、ある意味では私どもの盲点でもあります。
農業協同組合の皆さま方のものの
考え方の盲点でもあります。また、私どもの
農政担当者の盲点でもあったようであります。十分反省いたしまして、利用できるものなら、そういうことも十分
検討いたしていきたいというふうに私は思っております。