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1964-03-26 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            岡村文四郎君            木島 義夫君            北口 龍徳君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大矢  正君            小宮市太郎君            安田 敏雄君            米田  勲君            牛田  寛君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    食糧庁長官   齋藤  誠君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件甘味資源特別措置法案(第四十五回  国会内閣提出、第四十六回国会衆議  院送付)(継続案件) ○沖繩産糖政府買入れに関する特別  措置法案(第四十五回国会内閣提  出、第四十六回国会衆議院送付)  (継続案件)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案一括議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 米田勲

    米田勲君 先日の約束に従って出された資料は、これでしょうか。
  4. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) そのとおりでございます。
  5. 米田勲

    米田勲君 私の主張し要求しておった資料が、これだとすると、この内容をひとつ概略説明していただきたいと思います。
  6. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 私から概要を申し上げまして、なお生産の具体的な点につきましては、園芸局長から御説明さしていただきます。  まず、需要量でございますが、現在需要量につきましては、さき委員会で御説明申し上げましたように、農産物につきましての農業基本法に基づく長期の需要見通しがございまして、これは四十六年まで一応見通しを立てたものがございます。それは、経済成長率を七%の場合と、七・八%の場合と、八・七%の場合につきまして、需要量を出したものでございます。これを四十三年までに——四十六年の目標が出ておりますから、途中の四十三年までに置きかえた場合には、どのような需要量になるかということで、aの場合は成長率を七%、bの場合は七・八%、cの場合は八・七%と置きまして、需要量を想定いたしたものが、ここにありますような数字になっておるわけでございまして、aの場合は百九十四万三千トン、bの場合は二百万一千トン、cの場合は二百八万四千トンという需要量が一応想定されるわけでございます。これに対しまして、国内産てん菜糖産糖量と、それから甘蔗糖産糖量、それからブドウ糖産糖量とを一応予定いたしたものでございまして、てん菜糖につきましては三ページに算定資料が載っておりますが、四十三年におきまする作付面積を六万三千六百ヘクタール、この中には北海道府県——府県の中には、東北とそれから鹿児島県の暖地ビートを包含いたしております。それの生産量を百八十四万トンと見まして、産糖量を二十四万五千トンと推定いたしておるわけでございます。甘蔗糖につきましては、鹿児島県における作付面積を一万四百四十ヘクタール、生産量といたしまして百三万トン、産糖量十一万トンという算定をいたしております。それから沖繩産糖につきましては、一応沖繩計画以外には現在のところありませんので、まあ、私のほうの生産計画をどうこうするというわけにまいりませんので、沖繩生産量をとったわけです。沖繩のほうは、実は四十二年までしか計画が立ってありませんので、四十二年をそのまま四十三年に引き写した数字をとりまして二万ヘクタール、生産量を百七十九万一千トン、産糖量二十一万八千トンと、沖繩生産計画に基づいた数字をとったものでございます。それからブドウ糖生産量二十三万九千トン、これを砂糖に換算いたしますと、六八・三%をかけまして一ページにございます十六万三千トンというふうに見込んだわけでございます。そこで国内供給が七十二万二千トンということに相なるわけでございまして、そこで1の総需要量から国内供給量を差し引きますと、精糖ベースでaの場合は百二十二万一千トンが要輸入数量である。bの場合は百二十七万九千トンが、要輸入数量である。cの場合は百三十六万二千トンとなるわけでございます。  かりに、これに基づいて自給率算定いたしますと、aの場合は三七・二%、bの場合は三六・一%、cの場合は三四・六%、これは二ページに書いてありますが、このような自給率になるというわけでございます。これはまだ、われわれの事務的な検討段階資料を取りまとめたものでございまして、なおこういう一応の目標を、さらに国内産糖量が、今後どのようになってくるか、もう少し詰めて、最終的な試案にまとめ上げたい、こう考えておるものでございます。  それからなお、三十九年の生産見通しといたしまして、四ページに書き上げてございますが、てん菜糖につきましては、五万二千七百ヘクタールの作付面積見込みまして、生産量としては百三十五万八千トン、産糖量見込みは十八万一千トン、これには北、東北鹿児島が入っております。甘蔗糖鹿児島県の作付面積が八千九百六十五ヘクタール、生産量見込みとして六十八万トン、産糖量見込みとして七万三千トン、沖繩のほうは、沖繩の三十九年の生産計画がありますので、これをそのままとって計上いたしたものでございます。それからブドウ糖は九万九千トンという推定をいたしておるわけでございます。以上簡単でございますが、概要を御説明申し上げたわけでございます。
  7. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この資料でもう少し伺いたい点はありますが、それは三十九年度生産見込みですが、これは総需要量はここにはないが、前回委員会報告をした百七十五万トンということに再確認をしていいかどうか、それをまず伺いたい。
  8. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 前の委員会で申し上げましたように、砂糖需要量見込みにつきましては、百七十五万トンという想定をいたしております。これは去る委員会におきましても申し上げましたように、需給推算として行なうものでありまして、生産計画に見合うというのではなくて、出回り量に基づいて期首在庫期末在庫等算定して輸入量を出す際の総需要量として算定したわけであります。
  9. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、どうも理解しにくい点が出てくるのですが、この前には総需要量が百七十五万トンであると、これはいまもそうおっしゃったわけですから。そして要輸入量が百三十万トンである、こういう報告をされておる。そうすると国内生産量は四十五万トンになるわけです。いいですか。出回りとか何とかいうことじゃなくて、かねて資料として出しておる砂糖類需給自給率推移、これに当てはめて私は聞いておるのですから、ランニング・ストックとかあるいはそういうことを抜きにして、総需要量が百七十五万トンである。要輸入量精糖ベースで百三十万トンである。したがって国内生産量が四十五万トンである。こういうおとといの委員会であなたは答弁をしておる。したがって、私はその国内産の四十五万トンだけではあまりにばく然とした報告であるから、さらにてん菜糖甘蔗糖ブドウ糖北海道府県それぞれの内訳資料を出してほしい、こう言ったわけです。そのときの数字からいけば、内訳はさておいて、国内生産量は四十五万トンという数字になっているわけです。しかるにきょう出された数字は、これは五十四万トンである。四十五と五十四は数字をひっくり返せばたいした違いはないが、しかしながらこれはきわめて大きな数字の相違をきたしておる。その点が一体どうかということを聞いておる。
  10. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) さきに申し上げました需給見通しにつきましては、あくまでも出回り量で計算いたしておりますので、ここにありまする五十四万トン、三十九年の生産見通しの中で三十九年に出回るものはどれだけあるか、それから三十八年産生産量の中で三十九年に出回るものがどうあるかという計算をしておりますので、その点の差が第一点。  それからいま一つ、一昨日約百三十五万トンと申し上げましたのは、粗糖ベースで申し上げましたので、精糖に直しますと約百二十六万トン、厳密には百二十五万六千トン、こういう予定をいたしておるわけであります。したがって、それを差し引きますと四十九万七千トンになりますが、一昨日あるいは四十五万トンと申し上げましたが、四十九万七千トンでございまして、これは訂正させていただきます。四十九万七千トンは、内訳といたしましては、三十八年の生産量で三十九年に出回るもの、三十九年で生産されたもので三十九年に出回るもの、こういうことで現実輸入量というものをきめていく。それからここにありまする従来の経過で連続して説明するものにつきましては、これは……
  11. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまのやつだけ、まずもう少し聞きますから。どうも聞くごとにわからなくなってくる。私は非常に簡明率直に聞いておるのは、要輸入量精糖ベースに換算したもので、従来統一して要輸入量というものを政府としては発表されておるわけです。粗糖としてどれだけ入ってくるかということならば、従来の要輸入量粗糖で出したものを示してもらいたい。これが一点です。そうしないと、いまの数字比較判断できない。自給度向上というものも測定しがたい。  それから第二点は、その年産の市場出回りと翌年度の市場出回りというものを説明の中に加えておられますけれども、それではいままでの国内生産量として、自給度資料として理解する生産量は、それぞれ持ち越し在庫、あるいは年度を越す持ち越し繰り越し分というものが従来どういうふうになっておったかということを、あわせて資料提出を願えませんければ、いまの説明による自給度向上を裏づける具体的な検討は不可能であります。そういう資料で出ますか。
  12. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 需給推算の場合とそれから自給度を出す場合とは、従来も違っておるわけでありまして、たとえば自給率を出します場合には、輸入量生産量と合計したものに対して、国内生産量がどれだけある、こういうことで自給率を出すわけであります。米についても同様であります。そういう意味から言いますと、先般甘味資源参考資料としてお配りしてありまする資料にありますように、二五・二%であるとかあるいは二五・五%であるとかというものは、需要量に対しまして当該年生産量との割合を見るということで自給度をはかっていくということになるわけでありますから、その点は毎年のつまり需給推算上の関係とは、これは当然違ってきて一向かまわないのではないか。自給率を出す場合は、むしろ需要量に対する国内生産量ということでその自給度を私ははかるべきではないか、そういう意味で、従来から需要量に対する国内生産量ということで出しておるわけであります。しかし、具体的に、たとえば米について輸入する場合には、持ち越しがどれだけある、期首にどれだけある、当年度輸入増がどうである、こういうことで出しますので、そこは需給推算上の要輸入量というものは、具体的な輸入量というものは当然違ってくる。ここにありまする資料の二五・二というような比率は、いま申し上げたような意味で、自給度を出すものとしては一番それに近いあらわし方を示しておる。ほかの農産物についても同様にやっておるわけでございます。  それから、ここに、注にも書いてありますように、要輸入量というのは、精糖ベース需要量が出ておりますから、要輸入量についても精糖ベース幾ら、こういうことになるわけであります。
  13. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、どうもいまの説明ではわからぬのです。もちろん、砂糖需給現実に押えるには、繰り越し量があって、そうしてその年産の出回り量があって、そのうち翌年に繰り越すというものもあるでしょう。そういう観点からながめたならば、それなり繰り越しを加えた要素が各年度にあって、また持ち越し数字があって、その年度内に、旧年度であろうが、同年度であろうが、市場に出回った生産の商品が供給部面に出てくるということは、これはわかる、それならば、そういう内容のものが二十八年度から各年度にわたって、それなり数字で整理されたもので出てこなければ、三十九年度自給度測定資料にはなり得ない。  それから、もう一つ伺いますと、この前の答弁では百三十万トンといったのは、これは精糖換算粗糖だと、私は追加した資料を、前の資料もそうでありますが、これはすべてですね、この政府が出した資料は、全部国内の総需要量国内生産量というものを単純にこれを合計して、いま言ったような持ち越し、その他を出して、そうして出したものだと思ったんですが、それがいま言ったように繰り越しその他を考慮するとすれば、従来のものもそういうものを考慮したもので三十九年度をながめないと、自給度測定にはならない。だからそういう資料を出していただきたい。  それからきょうは粗糖でこの前答弁した百三十万トンだと言うたんですけれども、速記録をまだ見ないからわかりませんけれども、要輸入量は百三十万トンだと政府委員答弁したのは、三十八年度の要輸入量精糖ベースで百二十七万三千トンだから、これをラウンドに見て百三十万トンだと、こういうふうに推定したものだと理解したわけです。要するに精糖換算で、従来もこの需給の要輸入量には精糖換算で発表しているのですから、粗糖で発表したというのは、きょう始めてだと思う。それならば、従来の要輸入量粗糖で一体どうなのかということで比較をしなければならぬから、それでは各年度粗糖の要輸入量というものを出してもらわぬと、従来の資料比較した三十九年度需給測定する資料にはならない、こういうことを聞いているのですよ。だから新たにそういう粗糖というもので要輸入量を出されるなら、それでけっこうです。それが現実輸入段階における形態ですから。国内に入ってからこれはクリーニングするのですから、それならそれでいいから、それならば年次別自給度向上測定する資料としては、新たに粗糖で従来のものも換算したものをいただかぬと、きょうのあなたの説明だけでは、自給度向上測定資料にはならない。
  14. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 私のどうもことばが不十分で、多少食い違っておるんじゃないかと思いますが、総需要量というのは、これは白糖、つまり精製された段階需要量でございます。それから国内生産量も、同様に精製された砂糖としての量でございます。したがって、ブドウ糖もそれに換算した、砂糖に換算した量をあげているわけです。したがって、自給率を出します場合には、通常需要量に対しまして、あるいは総供給量に対して国内生産量幾らあるかということで出しますわけでありますから、自給率には毎年度繰り越しだとか、あるいは期首在庫期末在庫がどうであるかという数字自給率を出すというのは、通常自給率を出す場合においては不適当ではないだろうか、むしろここにありますような、需要量に対する国内生産量がどれだけあるかということで自給率は出すのが正しい行き方ではないかと、こう思うわけです。  なお、粗糖輸入実績につきましては、お手元に先般お配りいたしました現実輸入実績は、二ページ目に二十八年から三十八年までについて粗糖輸入実績はございますけれども、これはいま申し上げたような意味で、需給推算上の期首期末繰り越しを見た計算で出したと、こういうものであります。だから自給率を出す場合におけるものといたしましては、生産量で出したほうがよろしい。三十九年度をもし同じようにつなぎで出すといたしますれば、百七十五万トンを需要量といたしますと、五十四万トンの生産量がどういう割合を占めているかということで、自給率というものが出てくるということになる。需給推算におきまするものは、現実期首期末関係で出すわけでありますから、それは自給率とは無関係のものである、こう思うわけであります。
  15. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 はなはだどうも要求した資料とは違った資料を出されるので混乱するわけです。それで、従来取り上げた、その資料に即応する国内内訳がわからぬから、それを出してくれと言うたわけです。三十九年度について。いいですか、そういうときに、あなたは総需要量は百七十五万トンと見込むと、三十九年度は。それから要輸入量は百三十万トンと見込むと、その差額が四十五万トンであると、こういう答弁なものだから、その四十五万トンでは国内生産量寒地ビート暖地ビート内訳もわからないし、カンショ等内訳もわからないし、結晶でブドウ糖内訳もわからないから、それを三十九年度について出してもらいたい、こういうことを言うわけです。いいですか、資料要求は。だからそれは何もむずかしいことを聞いているのじゃなくて、三十七年から三十八年の一年の推移を見れば、自給度は〇・三下がっているわけです。こういうデータで三十九年は一体どうなるかということを国内内訳でも示していただきたいというときに、百三十万トンは、これは粗糖でございます。きょうの話は。それならばこれを精糖に換算して出して、そうしてこの表に合うような、前回委員会数字粗糖に直して、精糖ベースにして、置きかえて、これは私がここでくどく言うまでもなく、そういう自給度の度合いが今度の法律で一体どういう政策目標の初年度になるかということを知るために聞いたんですから。そうすると、繰り返しますが粗糖が百三十万トンであった。精糖ベースでは違うと、精糖ベースでは幾らで、そうして国内生産量はどうか、こういう点にしぼって、この点をお示しを願いたい。
  16. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お答えいたします前に「三十九年の生産見通」というのがお配りいたしてあります。四ページでございますが、これを従来の表につなげて、かりにいただきますとするならば、三十八年が百七十万二千トン、その下が百七十五万トンという需要量になりまして、それから四十二万五千トンという国内産産糖量が五十四万トンというふうに置きかわるわけでございます。それによって、おのずから要輸入量というものは出てくるということになるわけでございます。なおついでに二五・五が二五・二に下がりましたのは、これはもっぱら沖繩産糖量が十五万二千トンが十二万一千トンに下がったことからきまして、これは昨年沖繩干ばつのために沖繩産糖量が減った。ここにございます数字を見ますと十五万二千トンが十二万一千トンに下がった関係で、前年度二十万二千トンが十七万九千トンに甘蔗糖の分が下がったわけであります。これが影響いたしまして、二五・五が二五・二になったということでありまして、主たる原因は、沖繩干ばつが影響して沖繩産糖量が減った、こういうことになるわけでございます。それからお尋ねの需給推算上はどうなっているか、これは輸入量算定するための推算でございますが、総需要量といたしましては百七十五万三千トン……
  17. 安田敏雄

    安田敏雄君 これは資料いまいただいたんですが、四十三年までの何はあるんですが、三十九年は生産見通しだけを推定してあって総需要量輸入量見通しはないんですよ、これはないですね。
  18. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 需要量見込みにつきましては、さきに申し上げましたように百七十五万三千トンというふうに見込みまして……
  19. 安田敏雄

    安田敏雄君 幾ら
  20. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 百七十五万三千トン。きのう百七十五万トンと申し上げましたが、百七十五万三千トン。それから輸入量といたしましては、これは百二十五万六千トン、精糖ベースで。この百二十五万六千トンはどういうふうに出すかと申しますと、もう少し具体的に申し上げますと、粗糖で申し上げますが、期末在庫が十六万五千トン、溶糖量が百三十二万二千トン、合計いたしまして需要量は百四十八万七千トンぐらいが見込まれる。そうしますと、供給のほうとしては期首在庫が十五万七千トンございますので、そうしますと粗糖ベースでは輸入量が百三十三万トンぐらいになり、これを精糖換算いたしますと百二十五万六千トンで国内産糖類として供給を見込まれるものが差し引き四十九万七千トンになる。四十九万七千トンの内訳がどうであるかという御質問でございますので、これについてお答えいたしますと、てん菜糖としては三十八年産生産量のうち、四割が三十九年に出回るだろう。三十九年産糖の六割が三十九年産に出回るだろうと、こういうことでてん菜糖については約十七万トン、それから国内産甘蔗糖が約七万トン、それから沖繩甘蔗糖が十六万トン、それから規格ぶどう糖が九万四千トン、合計いたしまして四十九万七千トン、こういうふうに統計を見ております。
  21. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それは私の質問じゃないから簡単にして私は打ち切りますが、そうすると、あれですね、もう少し克明にわかりやすく説明してもらいたいのですよ、簡明に。そうすると、一般にわかることで、あなたがいま説明をしたことは、総需要量は三十九年は百七十五万三千トンだと、こういうことですね。それから国内生産量は、この表に基づいて生産量は四十九万七千トンだ、いいですか、この表がそう言うているでしょう、国内生産量として。
  22. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 五十四万トン……。
  23. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、この年度別の表の中で比較をする際に、私はそれに合うような資料を求めているわけですよ、いいですか。三十八年は四十二万九千トンですよ、国内生産量は。いいですか、三十八年度見込み国内生産量は四十二万九千トンですよ。それに対応する三十九年は四十九万七千トンで間違いがありませんか。
  24. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) どうも御理解願えなくて残念なんですが、四十二万九千トンに対応するものは、私先ほど申し上げましたように、本日お配りいたしました「三十九年度生産見通」の五十四万トンという数字に置きかわるわけです。これは四ページにある数字でございます。
  25. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは三十八年の四十二万九千トンに対応する国内生産量、三十九年度予定は五十四万トンだと、こういうことですね。そうしますと、要輸入量は百二十五万六千トンということでは合わぬじゃないですか。そういうことになると、要輸入量は百二十一万三千トンにならなければならない。一体どっちがほんとですか。
  26. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) その点もどうも御理解願えないのですが、どちらもそういうことでいいわけでございまして、百七十五万三千トンが需要量であり、三十九年の生産見通しは、これから作づけし生産されるものの見通しでありますから、このとおり実現されるとすれば、その年度において要輸入量は、いまお話しになりました百二十一万幾らになるわけであります。それから三十九年産需要見込みのほうは、これは流通量だけを取り上げて自給率とは別問題であり、出回りが一体幾らあって、そうして需要量に対応する輸入量幾らと、こういうことになるわけなんです。たとえば米についていいますと、自給率幾らといえば、ことしの一千二百八十一万五千トンの生産量に対して輸入量を加えたものが総需要量になり、そのうち総需要量に対して千二百八十一万トンがどういう割合いを占めるか、こういうことになるわけです。出回り量で計算する場合はこれは年度丸々を切りますから、当然そこに差が出てくる。これはわれわれの業務上の扱いとして常にそういう方法をとっております。
  27. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私が聞いたのをしり切れトンボにするとうまくないですから、もう少し聞きますが、政府が出したこの資料に基づいて説明してください。この資料によると、「砂糖類需給自給率推移」、こういう表があるわけですよ。この表に忠実に当てはまる数字を聞いているわけです。そうしますと、三十八年の総需要量見込みが百七十万二千トンである。それから三十九年は、前回では百七十五万トンという発表であったが、きょうはさらに詳細に検討されたかどうか知らぬが、百七十五万三千トン、こういうことが出ておる。それから要輸入量も、前回では百三十万トンと称したのは、これは粗糖で発表したのである、粗糖ベースにすれば百二十五万六千トンである、こういうことがきょう答弁されておる。そうすると、百七十五万三千トンから百二十五万六千トンを引けば四十九万七千トンになるわけです。国内生産量が。ところが、国内生産量は五十四万トンであると言えば、さっぱり数字が合わなくなる。従来とも総需要量に対して国内生産量と要輸入量とでそれをまかなう数字を出している、自給度割合を出しておるわけです。だから、総需要量国内生産量あるいは要輸入量を、精糖ベースでそれぞれ従来の発表された数字に基づいて出してもらいたいということを言えば、何かわかったようでわからないような数字の混乱ができておる。あなたがわからぬことはないでしょう。ここに生産見込みが五十四万トンで、これが国内生産の三十八年の四十二万九千トンに置きかえる数字だと言えば、要輸入量は百二十五万六千トンでなくて、百二十一万三千トンになるのですよ。そういう単純なことがどうして説明できないのですか。
  28. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) あるいは説明が不十分で相すみませんが、自給率をこの表について御説明いたしますと、三十八年度は百七十万二千トンが需要量として見込まれる、それから生産量が四十二万九千トンになる。そうすると、この百七十万二千で四十二万九千を割れば二五・二という自給率が出るわけです。そうすれば、需要量が百七十万二千トンですから、差し引きして、ここに要輸入量と書いてありますが、要輸入量としては百二十七万三千トンが輸入されて需要量が満たされた、こういうことをあらわしているのです。しかし、現実輸入されるものについては、あるいは、これよりもっとふやして翌年度に繰り越すものも、輸入するものもありましょうし、それから前年度から繰り越したものもありましょうから、ここでは、自給率を出す場合におきましては、生産量需要量があれば自給率というものが出てくるわけであります。それで、昨日の御質問のように、それじゃ三十九年度はどうであるかということになれば、百七十万二千トンが需要量としては百七十五万トンとなる。生産量としては、四十二万九千トンがいまの見通しとして五十四万トンになる。そうすれば、おのずからその自給率は百七十五分の五十四ということで出てくる。差し引きしたものが計算上、輸入量になるということであります。  それからもう一つ、ちょっとくどくなって恐縮でございますが、四十九万七千トンと五十四万トンとの関係はどういうふうに数字が変わってくるのかということでございますが、これはここにありますように、てん菜について言いますると、北海道では、三十八年度てん菜糖が十四万七千トンとありますが、この十四万七千トンのうち、なお三十九年度にはこれの四割のものが、三十九年の会計年度として四月以降に出回ってくるであろう、六割は三十八年度でもう消費された。それから三十九年度につきましては、十六万一千トンぐらいの産糖量のうち、六割が三十九会計年度に出回るであろう、その合計したものが先ほど申し上げましたように、東北、暖地を加えまして十七万三千トンになるということでありまして、流通面はおける出回り数量と、それから流通面における要輸入量ということで算定したものでございます。この自給率を出す場合におきましては、先ほど申し上げましたように需要量生産量があれば自給率が出てくるわけでありまして、残ったものが計算輸入量になるというわけであります。
  29. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう一つだけ。出回りとか、持ち越し在庫とか、繰り越し在庫とか、そういうことを聞いておるのじゃない。それはそれなりにそういう数字を出してもらえば、また各年度比較ができる。そうじゃなくて、もっと簡単に、いままで政府が出した需給推移という資料に基づいて出せばどうなるかと聞いておる。いままであなた方が出された自給率推移の総需要量国内生産量、要輸入量精糖ベース換算、こういうものに置きかえて三十九年を見ればどうなりますかと聞いておるんですよ。きわめて簡単なことでしょう。いままで政府がそういう資料で出しているのだから、新たにいまのランニング・ストックあるいは年度内の生産、翌年度繰り越しというような三つの要素に分けたものを別段考えていない、そういう説明なら、それなりの過去にさかのぼった説明と、それから、この前は私は単純に精糖ベースで従来発表しておったものが百三十万トンと言うから、そういうふうに解釈しておった。ところが、そうじゃない、この前言うた要輸入量粗糖で言うたものである、だから、これは精糖に直すということを各年度を通じてやらぬと、これもまた比較にはならぬ。もう一回伺いますと、これはまあ私の質問だけでどうかと思いますので、もう一回私は伺いますならば、総需要量は百七十五万三千トン、これはこれでいいですね。それから国内生産量は四十九万七千トンと見るのですか、五十四万トンと見るのですか。従来の三十八年度は四十二万九千トン、それを三十九年度に見る場合は、四十九万七千トンですか、五十四万トンというのですか、どっちですか、こういうことなんです。
  30. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) それはたびたび申し上げておりますように、五十四万トンというふうに見るわけでございます。ついでに、この五十四万トンの内訳について申し上げますと、この一ページ目をごらんになりますと、百七十万二千トンというのが百七十五万三千トンになる、四十二万九千トンが五十四万トンになる、それから、てん菜糖の十六万一千トンが十八万一千トンになる、甘蔗糖の十七万九千トンが二十六万トンになる、ブドウ糖の八万九千トンが九万九千トンになる、差し引きいたしまして婆輸入量は百二十一万三千トンになる、こういうことになるわけでございます。
  31. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、三十九年度については、総需要量百七十五万三千トン、それから国内生産量が五十四万トン、要輸入量精糖ベース換算で百二十一万三千トンと、こう理解していいのですね。——わかりました。そうしますと、この三十九年度だけについて、私は、もう少し伺いたいと思いますが、国内生産量てん菜糖の、北海道とそれから東北の二県の内訳と、暖地ビート内訳甘蔗糖鹿児島県、沖繩ブドウ糖ブドウ糖、そういう内訳を、もう一回説明してください、五十四万トンの。沖繩についてはいいです。
  32. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) それでは、まず、てん菜糖生産でございますけれども、北海道につきましては、面積が四万六千ヘクタール、生産量が百二十万トン、三十九年でございます。それから青森県が、面積が四千ヘクタール、生産量十万トン、岩手県が、面積二千ヘクタール、生産量四万四千トン、鹿児島県が、七百ヘクタール、生産量一万四千トンでございます。
  33. 米田勲

    米田勲君 私、先ほど、資料説明を求めたところで、あと、関連質問のほうに移っていきましたので、私から、ちょっと質問いたしたいと思います。  ただいま、御説明いただいた資料によりますと、これは念のためにお聞きしますが、四十三年の、いまから五年後の経済成長が七%に達した場合、百九十四万三千トンの総需要量であると、こういうことですね。総需要量説明は、五年後の経済成長が七%成長したときの場合を想定すると、百九十四万三千トンの見込みだと、こういうことですね。それでは、いまいただいた表で疑問に思うのは、前に立てた長期生産計画の場合、これは達成できたとかできないとかいうことは、いろいろ問題があるのだが、自給率をどれくらいに見込んでおりましたか、長期生産計画の場合の自給率は。
  34. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 百五十二万トンに対して七十五万トンという国内生産量を見込んでおりました。
  35. 米田勲

    米田勲君 自給率は、大体、五〇%と見込んでおったはずなのに、これからの国内甘味資源の問題を、もっと充実したものにして、国のてこ入れも十分にやろうという計画に基づいて、新しい法案まで出してきている政府が、前の長期計画がうまくいかなかったからかもしれないが、急に、あなた方の出してきた五年後の経済成長七%の場合の想定で、三七・二%という自給率に落としてしまっている。これは、相当、自給率を下回った計画になってしまっているのですが、これほど、大幅に自給率を下げなければならないという計画見込みに立ったのは、どういう理由ですか。
  36. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三十四年度に立てました場合におきましても、ある程度の生産見通しを立った結果、自給率が、おおむね半分ぐらいになるということでございまして、大きく違いましたのは、ビートの関係だけが大きく違った、こういうことでございます。それで、これは、あくまでも、まだ、部内の検討段階でございますけれども、その後におきまする生産見通し等も、現実的なものに即して見通しを立てる必要があるということで、検討いたしました現段階における見通しが、結果的に、三七・二%になるだろう、こういうことになったわけでございます。したがってこの前に立てましたときに、目標五〇ということでなしに、やはりその裏打ちとしての生産の、この程度までは伸びるだろうという計画を立てまして、そうして自給率を出したわけでございまして、さらにその後の推移を見まして検討いたして現実的なものにしょう、あるいは実現可能なものにしよう、こういう考え方を入れて検討しておる、こういうことでございます。
  37. 米田勲

    米田勲君 私は自給率をどのように政府計画をしているかということが、この法案の裏にある重大な政策の指針となるということを考えて、しつこくこれを聞き出したわけです。ところが、政府説明によると、今度は国内甘味資源を総合的にてこ入れをして、飛躍的にこれを伸ばそうと考えているのが、今度の法案のたてまえではないのですか。私はそういうふうに理解しておるわけです。今度この法案が出れば、非常に国内甘味資源生産が伸びるし、生産者も非常に経済的にも恵まれた条件になると聞かされておるわけです。その政府が、前に立てた長期生産計画の場合と比べて、五年後の自給率を三七・二%という低率に押えなければならないというこういう政策では、新法もできることによって国内甘味資源は、大きなてこ入れによって、生産が飛躍的に増大するとか、経済的にさらに大きな成長をとげるということは期待できないということになる。私は単純だからそう考えるのですよ。これは来年のことでなくて、三七・二%は五年後でしょう、あなた方の出している法案は。これではあまりに消極的だと考えるのだね。消極的だというよりは、前の長期生産計画から見て、多少の失敗があったからといっても、新しい法案を大きくうたっておる政府としては、あまりにもみじめな自給率でないですか。これは来年の自給率を一挙にいま二五%ぐらいの、もっと高いところにというならば無理があっても、これから五年後を予想して、なおかつ三七・二%というのはひどいのじゃないですか。それでは法案に期待する意味がないというふうに酷評してもあまり当たらないことはないというような感じがするのですが、これはどうももう少しわかるように説明してくれませんか。
  38. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御質問の要点はよく了解いたすわけでありますが、そういう意味で、私のほうは、これは一番初めに書いてありますように、政府としてまだきめたものでも何でもありませんで、「部内検討資料」として現段階検討しているものをお出しいたしているわけであります。ですから今後具体的な生産見通し等につきまして、計画を高く立てることは容易でありますけれども、やはり実行可能な実現性のあるものということに重点を置いて考えるべきであろうというふうに思っていますが、審議会等におきまして当然いまお話になったようないろいろな御議論が出るだろうと思います。そういうふうな御意見も入れまして、生産目標を立ててまいりたい、こう考えておるわけであります。
  39. 米田勲

    米田勲君 どうもそういう態度でこの資料を出したならば返上しますわ、私は。そういうただ事務当局の試算したようなものですという、何の責任もないようなものをここへ出してきて、それを後生大事に、中心にして検討していくというのは意味のないことですよ、何のために、やっきになってこれを出してもらったのですか。私は、やはり国内経済の中に占める日本の甘味資源生産という経済的な面からとらえて、どういう位置づけになるのかということが一番問題だと思って、それで自給率というものがその政策を打ち出すのに非常に大きなめどになると考えたわけです。その自給率をめどにしながら国内甘味資源全体の生産が、作付面績についてはこう、ヘクタール当たりの収量としては、こういうところまできたのに現状はこうだから、こういうてこ入れと計画が必要だ、そこから出てくるはずです。その自給率なるものが、何もこれは国の政策でも何でもない、事務当局のちょっとした試算であって、たいしたものでないような話であるなら、これは全然だめですよ。私はこれを中心にして、政府は今度の新法案の中でどれくらいの計画とてこ入れをしようとしているのか、日本の経済の中において、日本の甘味資源生産というものをどう位置づけしようとしているのかということをよくお聞きをして、法案に対し賛否の態度をきめようと思った。ところが、その一番よりどころにしようと思ってお聞きしたところが、いまのような答弁であるなら、あなた意味がないのじゃないですか。どういうつもりでこんなものを出してくれたのですか、お聞きします。
  40. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) たびたび申し上げておるとおりでございますが、われわれといたしましては、この法案が通りました場合におきましては、自給度向上という一つの目標を立てまして、そうしてそれを指針として強力に生産の振興をはかってまいりたい、こういうことを念願しておるわけでございます。ただ生産目標といいましても、ほかの作物との関係だとか、あるいは作付全体の割合だとか、いろいろな面で検討すべきものがあるわけでありますから、一応現段階におきまして、過去何年もこういう計画を立ってやってきました経験に徴しまして、現段階における生産のある程度の見通しを試算して、そうして検討をいたしておるものをここで差し上げたわけでございます。これを中心に今後さらに検討していくということでございます。単に事務的にぱっと出したというわけのものではもちろんございません。しかし、これはたびたび申し上げておりますように、政府案としてきめるまでにおきましては、なお検討に時間をかしていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  41. 大矢正

    ○大矢正君 私は提出された資料のよしあしを議論する気持ちはいささかもありませんので、それはいずれあとの機会に譲ることにして、資料の中で不明確な点が二、三ありますので、この際お尋ねしておきたいと思います。  一つは、三十四年の自給力強化対策を打ち立てました際に、これから十年後の砂糖需要、それからそれに伴う国内産糖の生産見込み、さらにまた北海道においての中心となっておりますてん菜の作付面積見込み、こういうものを出されているわけですが、私はその内容のよしあしをお伺いしているのではなしに、それをつくられた際に何を基礎にしてつくられたのかということをお聞きいたしたいと思うのであります。
  42. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お話の点は、計画を立てる場合の何といいますか、指導理念といいますか、そういうものはどういうふうに考えておるかと、こういう御質問かと存じますが、たびたびのわれわれのその後におきまする計画は、生産見通しなりあるいは生産の具体的な進め方等につきまして、ずいぶんと検討を進めてきたわけでございます。したがって、この法案をつくります場合におきましても、新しいものにつきまして……。
  43. 大矢正

    ○大矢正君 ちょっと勘違いしておるのじゃありませんか。議論をしておるのじゃありませんよ。長官勘違いされておるようで、私、政府がどういう対策を持ったかどうかという、そういうことを聞いておるのじゃないのです。この資料に関連をして聞いておるのです。三十四年につくられた長期の需給見通しなり、国内産糖の生産計画なり、あるいは耕作面積なりというものをはじき出す場合の根拠は何であったかということを聞いておるのです。事務的に聞いておるのです。
  44. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) これはいろいろの考え方があるわけでありますけれども、現実にやった方法といたしましては、北海道を大体市町村単位に区分いたしまして、それにつきましてのいわゆる適地、あるいは将来土地を改良すればできるであろうという適地の問題をまず判定し、大体適地がどれくらい確保できるであろうかということを考えました。それに対しまして一方経営条件の観点から見まして、各農家にどの程度ビートというものが入り得るだろうかということを個々に積み上げまして、その総合計について総合的に考えて出した結論でございます。
  45. 大矢正

    ○大矢正君 私は北海道における耕作面積の伸びだけを聞いたのじゃなしに、総需要量における伸びの計算はどうしてなさったかと聞いたのです。
  46. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 総需要量の伸びに対する幾ら幾らということを、供給率を幾ら幾らということをまず頭に置いて必ずしも計算したわけではございませんで、供給量のほうから見ての供給可能量はどのくらいであろうかということを、需要量と、その両者を勘案いたしまして、大体この辺のところならいいだろうということでございます。
  47. 大矢正

    ○大矢正君 どうも話をはずされるのかどうか知りませんが、供給量があるから需要量があるなどというばかな議論はどこにありますか。これだけの需要量がある、それに対して国内生産量はこれだけだ、したがって輸入量はこれだけだというのが計画でしょう、見通しでしょう。ことばはどう使ってもけっこうですよ。その総需要量測定する場合の根本となった基礎、さらにそれを積み上げた、成長を見込んだ場合の基礎は何であったかと、こう聞いておるのです。
  48. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御質問の点をはき違えておったかと存じますが、需要量測定の方法につきましては、大体従来所得がどれだけ、一人当たりの可処分所得がどれだけ伸びれば、砂糖の消費量がどのくらいふえるであろうという、いわゆる所得弾性値と称しておりますが、そういうものが、測定値があるわけであります。さらにまた、人口増が当然四十三年まで考えられますが、その人口増を織り込みますと、一人当たりの消費量の伸びがどのような計数で伸びるだろうかということが算定されるわけでございます。その場合に所得の伸び方が、可処分所得がどのくらい伸びるだろうかということについては、成長率が七%の場合、あるいは七・八%の場合、あるいは八・七%の場合、それぞれ違ってくるわけであります。それによって消費量の伸びも変わってくるわけでありまして、いわゆる弾性値がそれだけ高くなる、そういう計数を使いまして需要量測定するという方法をとっております。これは農業基本法におきます他の需要測定につきましても、商品別にそういう弾性値の計算が一応あるわけであります。それを使いまして需要量測定する、こういう方法をとっております。
  49. 大矢正

    ○大矢正君 そこでまだお答えをいただけない部面があるのですが、私も国会に出てきて八年間、経済専門にやっておりますから、あなたのおっしゃる議論はわかるのです。そういうところに尺度を置いて言うならば、消費量、需要測定するということはわかるのです。ただそこで、三十四年の計画測定された場合に、それじゃ成長をどのようにして考えておやりになったのですか。それも実は先ほど来答弁していただきたかったのです。
  50. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは所得倍増計画を立てます場合におきまして、経済の成長率をどのように見るかということでございます。正確にはちょっと覚えておりませんが、三十三年の通常の年の基準年をとりまして、そして所得倍増を考えました場合は、計算経済成長率は七・二になるという数字が出ておるわけでありますが、それを三十四年度から三十七年にあてはめました場合に、すでにその間におきまして相当の七・二以上の成長率を示している。そこでそれに到達するカーブとして、七%と見るか、あるいは七・八と見るか、あるいは八・七で見るかという三通りの資料を実は企画庁のほうからそういう資料をもらいまして、そしてわれわれとしてはそれをもとにして算定する方法をとったわけでございます。七%あるいは七・八あるいは八・七がどういう見込みで出たかということにつきましては、私は正確にここでお答えしかねます。
  51. 大矢正

    ○大矢正君 けっこうですが、所得倍増計画というものは三十六年から実施をされたんで、自給力強化対策というのはたしか三十四年だったと記憶しておりますがね。だから三十四年と三十六年ではズレがあるわけで、所得倍増計画というのはなかったはずです。それ以前には。もちろん計画はありましたけれども、正確に所得倍増計画として打ち出されたのは三十六年ですから、三十四との間に二年間のズレがあるのですが、そのときはないはずでありましたが、どうなされたのですか。
  52. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは農業基本法ができて後に需要量を想定いたしておりましたので、基本法で需要見通しを出すときにおきましては、すでに倍増計画におけるその後の成長率資料はそろっておった、三十四年の場合はこれは成長率というものについてはまだ倍増計画がなかったわけでありますから、具体的な成長率はどうだというものは公的なものはなかったわけでございます。しかし今回の場合におきましては、そういう資料を一応前提にいたしましてそれに基づいて算定いたしたわけです。
  53. 大矢正

    ○大矢正君 そうするともう一点だけ伺っておきますが、この見込まれた総需要量百九十四万三千トン、昭和三十四年度というのは、経済成長率かりにaでまいりますと七%を織り込み、しかも人口増を織り込んだもとにおいて出された数字であるかどうかということが第一点。  それからもう一点は、総需要量の伸びはここでわかりましたが、同じ内容算定資料がありますが、この算定資料の中の、たとえばてん菜糖作付面積の六万三千ヘクタールですか、それから百八十四万トン、これらの数字は一体どういうようにして積み上げられたのかということ、もちろん産糖量も同様であります。それからまた甘蔗糖においても同様のことが言えると思うのでありますが、これをどのように測定をされたのかということも、ひとつこの際お答えしておいていた、たきたい。
  54. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) てん菜及びサトウキビの生産見込みにつきましては、毎々申し上げておりますように、各道県四十三年を目標といたしました生産計画を現在検討中でございます。だいぶ検討も煮詰まっておるわけでありますけれども、一応今日の段階においては、まだ正式に農林省の案というわけではございませけれども、この検討の結果をとりまとめまして検討しようとして出したわけであります。したがいまして、一応これらは各道県の実情ないし見通しというものを具体的に積み上げまして検討した結果の数字でございます。
  55. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 需要につきましては、もちろん人口増を見て計算しております。
  56. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 消費でそういう伸びを見たということですが、それではリヒト社等でも出しているように、国民一人当たりの消費というのが絶えずバロメーターになっておるのです。それをどういうふうに見ておるのか、それをお伺いします。この四十三年の。
  57. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 消費量につきまして四十三年のは一人当たりどうなるかは出しておりませんが、四十六年におきましての一人当たりの消費量は最近出したわけでございます。消費量をどう見るかということにつきましては、いま申し上げたような計算で総需要量を出し、そして人口で割れば一人当たり消費量というものが出るわけであります。消費量をどのくらいに頭から押えてという計算は、実はやっておりません。
  58. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 頭から押えてなんということじゃなくて、聞けばすぐわかるようなこれは問題点なわけです。非常に日本では世界各国に比べて砂糖の消費量が低い。だから政府が出している数字でも三十一年−三十五年の平均は分みつ糖では十二・八キロ、一人当たり、こういう数値が出ておる。だからこういうものを踏まえて四十三年という長期展望は一体一人当たりどれだけの消費を見ているか、含みつ糖についてはどう見ているか、及び私はあとで質問しますが、人工甘味に対してはどう見ているか、それらを総合的にすぐわかるようなことくらいは、ここで答弁してもらわぬと。
  59. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 四十六年のほうにつきましては、一人当たり十九・六キロないし二十一・九キロというふうに出しておりますが、実は途中の段階の四十三年を算定しておりませんので、これは計算上すぐ出ますから、計算してお示ししたいと思います。
  60. 米田勲

    米田勲君 またもとのところに戻って私質問します。大臣が来ないとどうも、私あなた方だけを相手にしてはこの法案の中身の審議に入りずらいのですな。おとといのときに一生懸命に私は自分の気持を訴えたのですが、この出してきた資料について、きわめて私としては、農林省全体として責任を持てるものでないらしい資料なので、これじゃ話にならぬということを先ほど申したのです。あなた方は旧法のもとにおいてさえも日本の甘味資源全体を押えてはいなかったとしても、自給率を五〇%に置いた長期生産計画に基づいてやろうという意気込みだけはあったでしょう。それはいろいろな事情でうまくいかなかった。しかし意気込みは少なくとも五〇%の自給率に達するようにがんばろうというものだった。これを少し頭においてもらいたい、そしてこの新しい法案を出してきて、冒頭に何と書いているのですか、目的のところに、これを読めば、国内甘味資源生産、それが経済的にどういう力が出てくるかということが大々的に述べてあるじゃないですか、短い文章であるけれども。そうしておいて、だんだん聞いていくと、自給率は五年後に三七・二%というありさま、これでは前の意気込みからみても問題にならぬくらい低下している、意気込みが。なぜこの新法をこれだけ訴えながら出てきて、これほどの自給率を下げたものに五年後置かなければならぬのかという、政策的なものすごい後退を示しているんじゃないかという感じがする、甘味資源というものに対して。これがまずお聞きしたい第一点。  それからこの資料によると自給率はあなた方の計算でいくと、経済成長が五年後に七%以上になればなるほど、つまり経済成長が伸びれば伸びるほど国内甘味資源による自給率は下がっていく、こういうことでしょう。大体bの場合は三六・一%、cの場合になると三四・六%、ぐんぐん下がっていくわけだ、自給率が。国内の経済成長がどんどん高い水準になっていけばいくほど、あなた方の計画では国内自給度は下がっていくのですから、甘味資源の問題は、国内の経済の成長が伸びればだんだん小さい位置におかれていく、低い位置におかれていくという政策なんです。そうなると、この法律のうたい文句は何を一体うたっているか、こう言いたくなる。この目的の第一条まさかいいかげんに書いたもんじゃないでしょうね。私としては常識的な判断ですが、これだけの新法を出して意気込みを持っているなら、前の長期生産計画のときの自給度五〇%と同じにうたいなさいとは言わぬまでも、少なくも経済成長を高度に遂げれば遂げるほど、その国内経済に占める甘味資源生産、それと経済との関係は強固な位置を占めるべき、そういう政策のもとにこの甘味資源特別法案を出しているんでないかと思うんです。ところが、この資料だとだんだん下がっていっているんですね、成長を遂げれば遂げるほど下がる。これは一体どういうことなんです。よくわかるように話してください。私あまり専門でありませんので、よくわからぬのです。こういう政策では私たちは納得できない。何をてこ入れしようとしておるのか、どういうところを目ざしているのか、ちっともわからなくなってきたわけです。この二つをまず最初に質問します。
  61. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御質問のこの生産について成長率が伸びれば伸びるほど自給率が下がるではないかということでございますが、これは需要量につきましての一応の測定でありますので、当初の三十四年度計画におきましても百五十万トン、四十三年度に百五十二万トンと予定いたしておりましたのが、すでに三十八年で百七十万トンに需要量が伸びたということでございまして、こういう量が非常に伸びた結果として、自給率というものが当然ある程度下がってくる。逆に需要量がこれよりも少なくなれば自給率はまた逆に上がってくるということになるわけでございまして、需要量を見込んでそれに応じて一定の比率で自給率を高める、自給率を維持する、こういう考え方もあろうと思いますけれども、もう一つの御質問にありました生産についての考え方といたしまして、われわれといたしましては、たびたびの計画を立てましてもなかなか実行し得なかった、実現し得なかった面もあるわけでございます。これには技術的な面もありましょうし、それから第一に農家が経営的にそれを十分こなしていくかというふうな面もありましょうし、それから第三には企業的な面からこれをどう受け入れていくかというふうな面もありましょう。そういうことで農業生産でありますので、やはり計画を立っても、それが実現できるというやっぱり裏打ちをもって着実に進めていくことが必要である。自給度向上としては、もちろん生産量が伸びるように振興をはかっていくことでありますけれども、頭から需要に対する何割というようなことで、農業生産生産計画としては、なかなか立てにくいというのは、先生よく御了承願えるところだろうというふうに考えるわけであります。そういう意味で第一条におきましても、適地における生産の振興をはかって農業経営の改善、農家所得の安定と合わせて自給度向上をはかっていこう、こういうことをうたっておるわけでございます。そういう意味でわれわれとしても、生産量はできるだけ伸ばすように今後も検討してまいりたいと思っておりますけれども、需要量がうんと伸びれば、それに応じて自給率を一定に維持する、こういうことにはなかなかなりにくいものがある、そういうふうに考えるわけでございます。
  62. 米田勲

    米田勲君 私はそういう説明を聞いてもわからぬですよ。大体あなたの説明を聞いておると、国内甘味資源というものの生産は、何か固定しておるものの考え方なんです。私は伸びなかったのには、伸びなかった重要な条件があったと思う。計画どおり伸がなかったのは、伸びなかった理由がある。明確なんです。それはあなた方が判断したって明確です。その明確な欠陥にてこ入れをすれば固定しているものではない、私はそう考える。てこ入れが行なわれれば行なわれるほど、生産というものは伸びる可能性がある。それを何かあなた方の判断でいくと、いままでの状態を見て非常に消極的に考えて、そうして国内の経済成長が高度になればなるほど自給率が下がっていく、つまり輸入糖に依存する度合いがだんだん高まるということです。あなた方の計画は。そうするとこんなことまで考えられるんですよ。日本の経済が成長を遂げれば遂げるほど、いわゆる農業全体でなくても、甘味資源関係の農業、それはだんだん消極的に縮小されていってしまう。位置が、存在価値がだんだん縮小していくというような政策なのではないか。そうでなければ、需要量が増せば——五年後の話ですからね、来年の話じゃないんですから——五年後にあなた方の政策は、経済の成長を遂げれば遂げるほど下がっていく、そういう条件を政策として見通しておる。それではせっかく意気込んで出しておる甘味資源特別措置法案内容があまり期待できない。これが期待できるものであって、あなた方のうたい文句のようであれば、農家も大いにその皆さんの呼びかけに応じて、面積も広がっていくであろうし、生産量もふえていくであろうしする。しかし、いろいろなてこ入れのしかたがまずかったり、生産農家の立場から見ると非常に不利な条件であれば、これはこの作物をつくらなくたって別にいいんですから、もう少し経済的に見合う競合作物に転換していくということになる。固定しているんではないということなんです。私の判断は。そういう条件がありながら、なおかっこういう自給率の五年後の見通しを持っておるということ自体に納得ができない。長期生産計画のときには五〇%の自給率を見込むという大きな旗じるしのもとに仕事を進めながら、いまになってこういうふうに切り下げた自給率に政策の変更をはかろうとしておる態度が、私には理解できない。これは農林大臣にこの点をよく確かめてみなくてはならぬ。そういう立場でこの法案を出したのかどうか。そういう消極的な立場でこの法案を出しているのかどうか。五年後の甘味資源国内生産というものは、そういう位置づけをしようとしてこの法案を出されたのかどうかということを、責任をもってひとつ聞いてみなくてはならぬ。それにしても第二のこの自給率を、なぜ成長率が高まれば高まるほど下げざるを得ないような長期計画、五カ年計画を立てたのかということについてどうしても納得ができない。私の納得ができないことがわかりますか、長官。私の質問のしかたがまずいのか、あなたの説明のしかたがまずいのか、私はよくわからぬですよ。しかし私はこの法案をいいものだと聞いておるんです。あなた方から。この法案によって国内甘味資源は大いにてこ入れをされて、生産も面積も農家の経済の立場も伸びていくんだと聞かされておるんです。それだったら、五年後の計画というものはもっと明るい条件になければならぬし、自給率も相当高い率を政府は政策として維持するために格段のてこ入れが必要なんじゃないか。しかるにそのもとになる自給率を、こういう低い政策をもって押えていこう、経済成長を遂げれば遂げるほど、これが自給率が高まるということでもあるならば、まだ三七・二%でも納得するのです。それが逆目になっている、こういう点もわかりません。どうかひとつよくわからないものにわかるようにしてください。私がわからんと生産農家もさっぱりわからなくなりますから。
  63. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 米田委員の御指摘の点はわかるわけでありますけれども、しかし私も長い間この農業行政に従事してきておるわけでありますが、この作物を入れる、ひとつ新しい作物を入れるというのは、非常な努力を要するものです。台湾の例をこの前も申し上げましたが、サトウキビの、私が台湾におるころの生産の増加の過程を見ましても、非常な苦労だったのです。北海道のてん菜は前々から入っておるのでありますけれども、しかし大増産をしようと思えば、非常に苦労をするということを私はわかっておるのであります。かつて満州にもてん菜を入れたことがあります。十年たっても、採種をやっててん菜糖の種が取れない。十年間苦労してようやく採種ができたという話も聞いております。新しい作物を相当な産業にまで伸ばすには、相当苦労があると私は思います。当初の見込みが、少し当時の状況から見ればそうであったのかしらんけれども、いまになって振り返ってみると、反省する点があると自分で考えているのでありますが、まず私が農林省に入ってから、このてん菜には特に注意しておるのでありますが、やはり反収量が二トン何ぼというようなものは、まことに恥ずかしいものだと私は考えております。私も外国を見て歩きましたが、オランダなんかは六トンの反収量をあげておる。土地条件その他が違うのでしょう、ですから、一がいに比較はできないと思いますが、まず反収量を上げることが急務だと思います。反収量をどうして上げるかという点は、いろいろ考えなければならんと思っておるけれども、やはりどうしてももう少し品種の改良というものが行なわれなければならんと思うのです。台湾におきましても、南京米というものが中心で、それでなければいかんというので、長年の間それをやってきましたが、大正十二年になってようやく内地米を台湾に入れることに成功した、その期間は非常な努力です。それから急速度に台湾の米の生産量がふえたという、私の経験に照らしてみて、何といっても、もう少し適品種というものを入れなければいけないのじゃないか。病気に強い品種が入れば東北地方の葉ぐされ病なんかはぐっと低下して生産を高めることができる、また生産の区域を広めることも可能だと思っております。試験期間を経てまだ日が浅いのでございますから、今後そういう点の結果を見て、いま米田委員の御指摘のように、五年後にこの調子じゃないか、ごもっともでありますけれども、そのころになれば、私はりっぱな品種ができて、急速度に増加するのじゃないか、こういうように期待しておるわけであります。そのほかいろいろな問題があります。たとえば畜産と結びついてないとか、この問題ももう少しやらなければならんし、また土地改良、それから機械化、そういうものの一連の措置が、何も金をつぎ込んだから、急激に、ことしから来年に増加するというものではなかなかないと思います。北海道にもことしはそういう意味で自由化にも対応して相当の昨年度から言えば三倍くらいの予算をつぎ込んでおるのであります。この成果が上がってくれば、私はこの計画よりもオーバーして増産が期待できるものと思っております。
  64. 米田勲

    米田勲君 政務次官の話を聞いていると、ビートの栽培というものはめんどうだ、長年月を要すると、私もそれはわかりますよ。これはあなたがいまいろいろ述べられたその条件を徹底的にやるなら、これはヨーロッパにおけるヘクタール当たりの収量を上げるだけの品種改良は可能なのです。私はそう思う。そういう品種改良について国が徹底的にいままでやりましたか。やっていないです。土地改良についてもどうですか、ある程度はやりましたが、やらぬとは言わんですよ。しかし、あなたがビートはこういう条件のむずかしいところがあるのだという、その条件に見合うような国のてこ入れを徹底的にやったら、あなたの期待するような生産は上がってくるのですよ。価格についてもそうです。農家がほかの作物をつくるよりもビートをつくるほうが経済的にいいとなれば、つくるなと言ってもつくるのですよ。そういうむずかしい条件にてこ入れをする腹がないから、五年後の自給率は三七%しか見込めませんということに裏返すとなるのです。あなた方がほんとうにビートの生産を上げることはむずかしいのだ、そのむずかしい条件はかくかくですというところになぜ力を入れないのですか。なぜ力を入れると約束しないのですか。そういうふうに力を入れれば、自給率を三七%じゃなくて四七%にも伸ばすことが可能なんです。しかしそれは約束しない、それが低くしている。五年後にはそれをこえるかもしれぬと夢みたいな話をしてもだめです。私の言いたいのは、国内の経済、日本経済全体の立場から見て、大きく輸入糖に依存する五年後ではなく、これだけの張り切った甘味資源特別法案を出す政府であれば、もっと自給率の高いものを目標にして、ここまで到達させなければならぬ、そのために何が必要か。ビート生産は非常にめんどうだ、めんどうだがしかし、その隘路に向かって国が徹底的にてこ入れをすれば可能なんです。可能でないならば可能でないと言ってください。農家の犠牲に大きく依存をしておるようでは、だめにきまっています。ヨーロッパを見てこられた政務次官が、品種の改良に国が徹底的にてこ入れをすれば、そういう品種の改良はできるのだ、日本においても。それをやるのだとなぜ言わぬのですか。そうすれば生産収量が上がり、ヘクタール当たりの価格についてもわれわれはこういうふうに考えているのだと、そうすれば農家が率先して作付面積もふやすに間違いがない、そうすると生産量は上がる。そうするとわれわれが立てておるこの自給率のここまでは優に到達するのだ、という将来の展望に立ってこの法案をぜひ通してもらいたい、こう言うならば大賛成なんです。法案の中には大々的なことをうたってあるが、よくだんだん確かめてみると、悪口を言うと、私に言わすとこうです。これからの国内砂糖に対する需要量は大きく輸入糖に依存をする、そういうものの考え方、しかし国内では甘味資源生産をしておる者がいるから、これもほどほどにしておいて価格でまずくなってくれば、精糖業者は政府がおかかえでピンチは切り抜けさせるような、そういう仕かけをしておいて、実際は輸入糖に大きく日本の砂糖需要については依存をしたり、精糖業者に依存をする、こういう悪口を言いたくなってくるのです。ほんとうに甘味資源生産に画期的な決意をもってこの法案を出しているということが、だんだん私は理解ができなくなってくる。私がおとといもしきりに、この自給率を示してくれ、それが一つの政策目標になるのだから、と言ったのもそういう意味なんですよ。一つの高い自給率を示せば、それに到達するための条件整備が必要なんだ、その条件整備は農民にまかしておいたって、なかなかそこまではいかないから、国のてこ入れを必然的に要するようになる。その国のてこ入れは、この法案のどこに盛られているんですか。私、法案の中身を最後にはお聞きしょうと、こういう順序で私はおるんです。その自給率のはじき方がきわめて消極的な三七・二%、しかもその五年後に経済成長が予定よりも、七%よりもこえていればますます自給率を下げていくんだという計画、こういうものでは納得はできない。あまりにも消極的だという批評をせざるを得なくなるわけです。何かぼくら法案の趣旨説明の中を読ませてもらったときも、一つ一つ確かめていってあなた方の政策のほんとうの腹を聞いたときはまるっきり違った感じであって、そういう感じを私たちに持たせているわけです。私は故意にそういうことを言うんじゃないんですよ。答弁を聞いておってどうしても消極的だなと、将来はたいしたものを考えておらぬなと、しかし甘味資源というものは実際あるんだから、あれは投げるわけにいかぬからしかたなしにやっていこうと、それぐらいの程度の法案なんではないのかということを私はいま思った。そうでないならないと、しっかりした答弁をひとつしてもらわなきゃならぬが、農林大臣も政務次官もそろっておるところではっきりしたことを聞かしてくれませんか。そうでないと安心してわれわれは賛成できないんですよ。あなた方のいまの立場だとやみくもです。行き当たりばったりで、この自給率をはるかにオーバーするかもしれない、五年後には。そんな夢のようなことを聞かされたってだめですよ。やっぱり責任ある政策的なものをぴっと示して、これに向かってわれわれはやるんだという、責任あるものを見せてもらわなきゃ……。そうすれば安心してわれわれも政府の提案してみる態度を理解できるわけです。それをまたビートを作付しておる農民の方たちにも大いに啓蒙宣伝をできる。しかし、いまのような疑問をわれわれが持って、ビート生産者と一緒に話をしたら、これは明るい展望に立つものではないということしか話ができないんですよ、どうですか。
  65. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) きょう、まあ大臣がおいでになってからお聞きすれば、大臣はどういうふうにおっしゃるかわかりませんけれども、私農林省としても、それはいま米田先生が指摘されたような消極的な考えはちっともありません。もっと積極的な態度でこの法案を出して御審議をいただいておるのであります。第一条にもありますとおり、自給度向上、そういうことも考えておる。そのほか農家所得の増進とか、農業経営の改善とかいうことも考えておる。そしてまた国際競争力のことも考えておる、大きな項目をうたっておるのでありまして、その線に進んでいこうと、こういう考えでおるのでありますが、ただ計画と申しますか、見通しと申しますか、それをいままでの経験にかんがみまして、あまり大きく書いたところで、実績に沿わないとおかしなものになります。そういう点を考慮して、見通しの立つところをやっておるのでありますし、私は、これは農業生産というものはそういうものだと私は思っているのですが、なかなかこれはある時点に立てば、米の生産でも同じこと、ある時点に立って品種改良とか、栽培方法の改善とか、耕地拡張とかいう種類のもの、価格政策もむろん入りますが、ある点でいいものができれば、これは急速に伸びます。私は、過去の経験によってそれはよく知っておるのであります。
  66. 米田勲

    米田勲君 方式はないのですか。
  67. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) いやそれは予算をただ導入しただけでは、作物ですから、やはり何回か経験してみなければ、そういうものがそうすぐあらわれるものとは私は思いません。
  68. 安田敏雄

    安田敏雄君 研究機関を充実すればいい。
  69. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 研究機関の充実も、いまのお話のとおりで、予算におきましても、すでにお調べになっておることと思いますが、北海道だけでも昨年、三十八年度比較すれば三倍以上の経費を出しておるような状況であります。まだ足りないといえばそうかもしれませんが、今後ますますこの点について努力していきたいというふうに考えております。
  70. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  71. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をつけて。  それでは、ここでしばらく休憩いたしまして、午後一時三十分から再開いたします。    午後零時二十七分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  72. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案一括議題とし、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  73. 米田勲

    米田勲君 午前中に引き続いての話になってきますが、私としては、あと話をこれ以上進めるために、実はもっとしっかりした、将来に見通しのある甘味資源対策の政策といいますか、そういうものを大臣から聞いた上で、それに即応したいろいろな条件についてお聞きをしたいので、ぜひ大臣の出席を求めてもらいたい。そうすれば早く話が運びますから。それでいつごろ来てもらえる予定ですか。
  74. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をとめて。   〔午後一時四十七分速記中止〕   〔午後二時四十三分速記開始〕
  75. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めてください。
  76. 米田勲

    米田勲君 先ほども私申し上げましたように、実は、自給率の問題について、もっと積極的な農林大臣の意見を聞いた上でそれに見合うその他の計画見通しなどもお聞きしたがったんですが、大臣は、きょうはどうしても都合が悪くて出席ができないということですので、あすの出席をされたときに、多少繰り返しみたいなことになって恐縮ですが、そういう質問を大臣にさしてもらうことを約束していただいて、実は未確定なものであるという私自身の判断に基づいて、以下質問いたします。  最初にお聞きいたしますことは、このいただいた「砂糖類需給の長期目標」のうち、五年後の昭和四十三年には総需要量が百九十四万三千トンであるという試算を出しているわけですが、この需要量の百九十四万三千トンは、五年後の見込み数でありまするから、三十九年度以降の年次別の総需要量の増大していく経過の計画をまず承りたいと思います。
  77. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先ほど申し上げましたように、この計画を四十六年度に出ておりますのを四十三年度に書き直したのと同じ方法で逐年のやつを申し上げますと、三十九年度は百七十五万三千トン、四十年は百八十万一千トン、四十一年は百八十四万六千トン、四十二年は百八十九万四千トン、四十三年は百九十四万三千トン、こういう計算になるわけであります。
  78. 米田勲

    米田勲君 この場合、これは経済成長七%上昇した場合ですね。同じようなものが、この七・八%の場合と八・七%の場合と、そのほかに二通りあるのですが、これと並べてひとつ……。
  79. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 七・八%の場合におきましては、三十九年が百七十七万一千トン、四十年が百八十二万六千トン、四十一年百八十万三千トン、四十二年が百九十四万一千トン、四十三年が二百万一千トン、それから八・七%の場合を申し上げますと、三十九年が百七十九万四千トン、四十年が百八十六万三千トン、四十一年が百九十三万四千トン、四十二年が二百万八千トン、四十三年が二百八万四千トンという計算になります。
  80. 米田勲

    米田勲君 それでは次に三ページにある「算定資料」ですが、この「算定資料」は先ほど、たしか聞いたと思いますが、四十三年の場合の作付面積その他の計数だというふうに記憶しておりますが、それでいいですか。
  81. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) そのとおりでございます。
  82. 米田勲

    米田勲君 それでは、この場合は、自給率何%の場合の三通りあるのですが、そのどれの場合に当てはまるのですか。
  83. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは、生産量はここにありますように、七十二万二千トンという数字に押えておりますから、三通りの場合によって、それぞれ生産量が違うという試算はしておりますが、一つであります。
  84. 米田勲

    米田勲君 そうすると、三ページのこの「算定資料」はどの場合ですか。
  85. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三ページのここにありまする産糖量は、一枚目の供給量の中に国内産というのがございますが、それはてん菜糖二十四万五千トン、甘蔗糖三十一万四千トン、ブドウ糖十六万三千トン、合計七十二万二千トン、この数字に対応するものが三ページの資料でございます。
  86. 米田勲

    米田勲君 私の判断がまずいのかもしれませんが、総需要量は経済成長の伸びに基づいて三通りに予想しておるわけですね。ところが、それに対する供給量のほうは、国内産の場合は、一通りしか出ていないわけですね。ですから、その経済成長の場合に三とおりの総需要量の計数が載っておるのに対応する、そのうちのどれなのかちょっと判断がつかないので聞いたのですが、これはどう判断するのが正しいですか。
  87. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 生産量は共通でありますから、総需要量のaから七十二万二千トン引くと輸入糖aの百二十二万一千トンになります。bの二百万一千トンから七十二万二千トン引くと輸入糖のbの百二十七万九千トンになります。cの二百八万四千トンから七十二万二千トン引けばcの百三十六万二千トンという数字になる、こういうことでございます。
  88. 米田勲

    米田勲君 それではこの資料の三ページについて四十三年に予想されるてん菜糖作付面積六万三千六百ヘクタールですか、その作付面積北海道東北鹿児島を含めた総数ですか。
  89. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) そうでございます。
  90. 米田勲

    米田勲君 そうすると、この作付面積というのは五年後の問題ですから、それ以前に昭和三十九年以降作付面積の伸びをどういうふうに想定をして四十三年のときに六万三千六百ヘクタールですか、これに到達するのか、その計数をひとつ聞かしてもらいたい。
  91. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 三十九年は、北海道が四万六千ヘクタール、内地が六千七百ヘクタール、合計五万二千七百ヘクタール……。
  92. 米田勲

    米田勲君 数字をもらってないから、早く言われたんでは開き取れないのですよ。
  93. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) もう一度申します。三十九年は北海道が四万六千ヘクタール、内地が六千七百ヘクタール、合計五万二千七百ヘクタール、それから四十年が、北海道が四万七千五百ヘクタール、内地が七千七百五十ヘクタール、合計五万五千二百五十ヘクタール、四十一年が、北海道が四万九千ヘクタール、内地が八千八百ヘクタール、合計五万七千八百ヘクタール、四十二年が、北海道が五万五百ヘクタール、内地が一万百五十ヘクタール、合計六万六百五十ヘクタール、四十三年が、北海道が五万二千ヘクタール、内地が一万一千六百ヘクタール、合計六万三千六百ヘクタール、そうなっております。
  94. 米田勲

    米田勲君 恐縮ですが、最後の四十三年のところをもう一度お願いします。
  95. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 北海道が五万二千ヘクタール、内地が一万一千六百ヘクタール、合計六万三千六百ヘクタール。
  96. 米田勲

    米田勲君 この計数の伸びについては、相当自信を持っておられますか、条件について。
  97. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 自信と申しますか、相当慎重に練ったつもりでございます。
  98. 米田勲

    米田勲君 あとからもう少し聞きたいんですが、その前に何といっても、てん菜糖の場合は北海道に比重が相当大きくかかっていますが、北海道のこの作付面積の伸びは、北海道といっても根釧地方があったりいろいろあるわけです。そのうちでどういうふうに期待しているのか、この北海道の伸びを。というのは、現在までの趨勢を見ると、根釧原野におけるてん菜糖の伸びというのは、従来やってきて非常に問題が多いわけです。伸びないわけです。ですからそういうところに相当大きな伸びを見込んだりしていると、非常に不安定な数字になると思うのですが、北海道の場合は大体大まかにいって、その伸び率の一番大きい地帯をどこの方面に置いておりますか。
  99. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 仰せのとおり、根釧、北網走方面は非常に土壌条件が悪うございまして、これはなかなか入りにくいと思います。そこでやはり主力は十勝とか南釧路方面にならざるを得ないということで、大体従来からそういう主要地帯につきまして、約九十四町村が主要普及地帯だというふうに考えております。やはりそういうところが主体にならざるを得ないと思っております。
  100. 米田勲

    米田勲君 これはどうですか、資料を要求すれば。いまこの三十九年以降五カ年間の作付面積の伸びを予想した数字が出ておりますが、特に北海道の場合に、各関係町村の作付面積の伸びをどういうふうに割り当てて見ておるのかという資料をいただけますか。
  101. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 実を申しますと、この点相当まだ北海道は問題がございますので、われわれといたしましてもなお検討しなければならぬと実は思っておるわけです。しかしながら、当然この数字の基礎になるものがあるわけです。御必要ならば提出させていただきます。
  102. 米田勲

    米田勲君 それでは、できればあすの委員会までに、どういうふうな見方をしておるのか、一応当たってみたいので資料をお願いします。
  103. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 いま資料北海道を申されたんですが、内地の分は約二倍近くになっておる。だからこれもひとつ資料としていただきたいんです。
  104. 米田勲

    米田勲君 恐縮でした。私北海道のことだけ聞いたのは申しわけないんですが、本州の府県関係も一緒に資料として出してください。
  105. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 提出いたします。
  106. 米田勲

    米田勲君 御承知だと思いますが、北海道の場合、根釧原野、それから北網走方面の重粘土地帯、これは相当に徹底的な国のてこ入れでもない限り可能性がなかなか出てこない。こういう相当な、土地改良にしてもその他のてこ入れを必要とする根釧、北網走地帯の今後の対策については、この計数をはじき出すときにどの程度のことを一応想定しながら出しましたか。
  107. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 根釧、北網走方面につきましては、実は三十九年度予算におきましても、主力をむしろ大型トラクターを導入いたしまして土壌改良をやっていくということに置いております。今後もこれはどうしてもやらなければいかぬと思います。そうして土壌改良のあとの効果の発揮というのはやはり数年かかるわけでございます。そういう意味で、決して導入をあきらめておるわけじゃございませんけれども、その導入の速度はきわめておそいというふうなことで計数をはじいておるわけでございます。
  108. 米田勲

    米田勲君 この大型トラクターの導入の問題は、具体的にはどういうふうにしてこれを導入し、土地改良に当たるような、そういう計画でも具体的にありますか。
  109. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) これは要するに、国庫補助を二分の一出しまして、大体現在のところ北網走と根釧につきましては、まず第一期計画として少なくともまず一カ町村一台は入れていきたいということで予算を組んでおります。
  110. 米田勲

    米田勲君 根釧原野のほうはどうですか。
  111. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 同様でございます。
  112. 米田勲

    米田勲君 同様……。
  113. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) はい。
  114. 米田勲

    米田勲君 今度はここの資料に、いまお聞きした作付面積のことは、あとで資料をいただけるので相当確実な伸びを見込んでいるのかどうかはっきりするんですが、二番目に生産量が載っております。この生産量はヘクタール当たりの収量というものが問題になってくるわけですね。そこで、この四十三年の生産量の計数はヘクタール当たりの収量をどういうふうに見込んだ数字なんですか。
  115. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 北海道の四十二年の反収は三トンでございます。
  116. 米田勲

    米田勲君 これは平均ですか、北海道全体の。
  117. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) そうでございます。
  118. 米田勲

    米田勲君 そうすると、根釧原野と鋼走方面については、大体切り離して言えば、どの程度まで収量を見込んでおりますか。
  119. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 私現在手元にその資料を持っておりませんので、大体記憶で申し上げるわけでございますけれども、やはり低いところでは二トン五百、これが精一ぱいだと思います。
  120. 米田勲

    米田勲君 これは空知方面、あるいは十勝方面、釧路方面と比べて、相当にいまお答えのあったような大型トラクターを導入するといったような相当徹底したやり方で土地改良をやらないと、とても追いつかないわけです。だからそういうところには国のてこ入れが相当必要だから、それをためらうことによって、この地方におけるてん菜糖の伸びというものはもうとまってしまうのですから、だからこの点はこの計画の中でも相当重視して、ヘクタール当たりの反収を見込まれるときに重視してこの程度になる。相当のてこ入れをやってこの程度になるというふうに当然考えられていると思いますが、そう判断していいですね。
  121. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) そのとおり考えております。
  122. 米田勲

    米田勲君 甘蔗糖、それから沖繩産糖ブドウ糖のほうは他の委員予定しておりますので、てん菜糖のほうだけ私この資料については質問して次に移ります。私の手元には三十八年度資料がないのですが、日本の三十七年度における輸入量は私の調べで間違いがなければそうだと思うのですが、キューバから四十一万七千トン、台湾から四十六万三千トン、豪州から二十八万八千トン、ナタールから十万七千トンを入れているということなんですが、その次の三十八年度の計数はここに出てますか——資料をもらいましたので、その点は資料を見て……。それではここでひとつお聞きしておきたいのは、インドネシアとの関係で、原糖の見返りで約二百億円の精糖プラント及び関連設備の輸出計画がいま進んでいるわけです。これは御承知でしょうか。
  123. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先般アジア研究所が中心となりまして、精糖企業それから農林、通産の担当官が調査団を編成して、インドネシアに、いまお話しになりましたような精糖プラントを向こうで設けることができるかどうかというようなことについてての調査に参ったということは承知しておりますが、その後の進展は、まだ明らかになっておりません。
  124. 米田勲

    米田勲君 私も最近東南アジアに行ったときに、インドネシアの政府が、シンガポールからばかり買ってわれわれから買ってくれないと言って、まあ貿易大臣あたりがずいぶん小言を並べるわけですね。それでいろいろ双方お互いの輸入輸出の関係において日本と取引のできるような条件をつくらなければ、一方的にそういう非難をされても困るじゃないかという話からやはりこういう話が出ておるんですが、ところで現在までに輸入しておるキューバ、台湾、豪州、ナタールと並んで、このインドネシアがやがて日本の輸入国に見返りでなっていく場合、農林省としてはそういう計画には国内産糖の関係で十分にタッチしていけるチャンスはあるのですか。
  125. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 従来とも輸入糖の原料確保について、タイであるとかいうところに企業が進出をしている例がありまして、その際におきましては農林省、食糧庁として十分いろいろと連絡協議して進めておりますので、もちろんタッチする機会はあると思います。
  126. 米田勲

    米田勲君 いままで輸入をしている各国の糖価ですね。単価は各国別に資料の中に載っておりますか。
  127. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三ページに、キューバ、台湾、オーストラリアのCIF価格が載っております。
  128. 米田勲

    米田勲君 これは、台湾の場合ですね、非常に価格が高いわけですが、これは何かの理由によるのですか。
  129. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御質問の点は、台湾の三十八年の価格が高いということじゃないかと思いますが、実は台湾につきましては、日本の精糖工業会と台湾との間に年間取りきめを、一定数量についての取りきめをやりまして、その際価額の値ぎめをいたしておりますが、正確なことはまた調べましてお答えいたしますが、日本に積み出す前の、たしか前一カ月、各積み月ごとの輸入粗糖の値ぎめを行なっておるわけでありますが、それによりますと、各積み月の前々月の十一日から前月の十日まで、国際砂糖理事会発表によるキューバのFASの価格が出ておるわけでありますが、これの単純平均価格を基準としてきめる、こういうことになったわけです。したがいまして、当時の状況から見ますと、非常に国際糖価が高い。しかも、それは自動的に積み月の前々月から平均価格をとってそれによるということにした関係で、三十八年については特に高い、こういうことになっているわけです。
  130. 米田勲

    米田勲君 この台湾の価格というものは、今後下がっていく見込みはあるのですか、ないのですか、ここ二、三年の問に。
  131. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お答えしにくいのでありますが、やはり台湾糖につきましても、大きくは国際価格によって取引きされておるわけでありますから、糖価としてはやはり国際糖価に準じて取引されると、こういうことになろうかと思います。
  132. 米田勲

    米田勲君 日本の場合は、この関税を五〇%かけているわけです。これは各主要国に比べて、日本の関税は高いほうではありませんか。
  133. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お手元の甘味資源特別措置案の参考資料の十五ページに載っておりますが、関税といたしましては、日本は四十一円五十銭ということで、率といたしましては、ほかの国に比べまして非常に高いわけでありまして、まあ日本に次いでイタリアが高く、あとは非常に率としては低くなっております。
  134. 米田勲

    米田勲君 日本に次いでイタリアやフランスが相当に商い。しかし、それにしても、日本の関税は非常に高いのですが、この関税の五〇%というのは、今後もこのまま維持されていくという見通しですか。
  135. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) われわれとしては、国内産糖の保護のために影響するところが非常に多いわけでありますから、現在のところにおきましては、この関税は維持していきたい、こう考えております。
  136. 米田勲

    米田勲君 これは国内産糖との関係という純粋な理由によって、関税の現在の率をずっと固定していく見通しだという意味ですか。
  137. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) もちろん関税については、関税収入という面もありますけれども、いまの関税の四十一円五十銭ということにつきましては、にわかにこれを引き下げるということについて、国内産糖の保護の見地から、われわれは維持していきたいと、こう思っているわけであります。
  138. 米田勲

    米田勲君 これは第一日目のときにも触れたのですが、国内産糖の保護政策を十分に考えないで開放経済体制に入っていったうらみがあるのですが、今後、国際的な砂糖の価格の変動が起こった場合、国内における需給の一定したバランスがくずれる場合が非常に考えられるわけですね。その場合には、緊急関税をかけるというような話もありましたが、それはまたこと容易でない、それをやるのには。これはそういう国際価格との間にバランスが狂ってきた場合、国内需給態勢を一定の水準に維持させるために、何らかの操作があるのですか、自信が。
  139. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいまお話しがありましたように、非常な暴落するというような場合におきましては、緊急関税の道もあり得るということでありますが、通常の状態の場合におきましては、この法案にありますように、政府の買い入れによって維持していきたいという考え方で対処しております。
  140. 米田勲

    米田勲君 前年までいまと違って国際糖価が非常に低落をしていた時期に、国内糖価水準の維持によってわれわれから判断させると、糖業資本が非常にばく大な超過利潤を上げたと見ておるのですよ。そのときにもなおずっとビートの原料価格が長期にわたって五千二百五十円に据え置かれた。これはわれわれしろうとで考えると、非常に不当だったのじゃないかというふうに判断をされますが、その問の事情について簡単に説明していただけませんか。
  141. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 過去四、五年の国内糖価につきましては、御承知のように三十七年が三セント六十八、国内価格が百二十七円、また三十六年は二セント六十五、国内の標準価格は百二十円というようなことで推移してまいりました。われわれといたしまして、てん菜糖の価格をきめます場合におきましては、生産者に対する再生産を保障する、こういう考え方でパリティ価格を基準として、そうして生産費なり競合農作物の収入等を勘案してきめたわけであります。したがいまして、その問におきましてそれらの事情を考え合わした結果、三十五年から三十六年まで五千二百五十円ということで据え置かれた。三十七年におきましては、五千四百円というふうに上げたわけであります。
  142. 米田勲

    米田勲君 私はこの問の行政指導に国内甘味資源というか、てん菜栽培について指導を誤ったのではないかという感じがするのですが、私の言うような判断は、間違いでしょうか。精糖資本には、ばく大なこの間に利潤をあげさしたが、てん菜の産業を発達させるためにとっては役に立たなかった、そのことが据え置かれたことは。そういうふうに端的に判断しているのですが、このときに行政指導を誤らなければ、もっとてん菜糖生産は、作付面積における生産においても伸び得たのではないか。その点に行政指導の誤りがあったのではないかという判断をするのですが、いかがですか。
  143. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 私は必ずしもそう考えませんで、まあ、精糖部門の中で輸入糖にもっぱら依存しておったものにつきまして、当時は外貨割当制度をやっておりましたので、ときによって超過利潤が生じたということは、事実でございます。したがって、それに対する差益徴収の措置も国会等におきましていろいろ論議されました結果、納めさせるという措置をとったわけであります。しかし、その際ビートを扱う部門における精糖企業がばく大な超過利益をあげたかどうかということになりますと、むしろ政府で買い上げておったような時代でもありますので、ビー卜部門について一方においてばく大な利益を与えた、他方においててん菜価格が非常に低く押えられたというようなことはないと考えております。
  144. 米田勲

    米田勲君 これはこういう批判があるのですがね。現在国際糖価が非常に高騰しておる、原糖が価上がりしておる。そこで輸入糖業の採算割れが起こってきているから、そこでビート糖業の採算を規制して、結局生産者価格を極力抑制する措置がとられたのだと、結局しわ寄せがそこへきたんだと、こういうふうに批判を強く持っているのですがね。この批判は私はある程度当たっているんじゃないかという感じがしますが、見解はどうですか。
  145. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いま申し上げましたように、輸入糖のみを扱っている企業と、それからビートのみを扱っている企業、あるいはビートと精糖とを兼ねてやっている企業とあるわけでございますが、その際輸入糖のしわ寄せをビート部門に負担させるということではなくて、むしろビート企業としてはできるだけ処理量をふやしていきたいということによって、より強く操業率をあげてコストを下げる、こういう努力をして、早く新工場といえども独立採算ができるような道に持っていきたいというのが、むしろ現状における企業のほうの考え方ではなかろうかと私は思うわけであります。しかしまあ、一つの企業で両部門を担当している中におきまして、どういうふうなことに操作されておるのか、ビートはビート部門ということに一応なっているんじゃないかと私は思います。
  146. 米田勲

    米田勲君 私らの見解とその点は違っています。私は北海道をとって言えば、北海道てん菜糖は、計画よりも作付面積においても収量においても非常に伸びなかった、はるかにズレが生じている。というのには、土地改良だとか、品種の改良だとかいろいろな問題はあるのだけれども、いま申したような問題がからんで、結局生産者価格にしわ寄せが行なわれて、その結果、生産意欲といいますか、そういうものに影響をしている。そして、これじゃかなわぬということで競合作物のほうに力が入らざるを得なくなったために、計画がずれてしまったという結果になったんではないかと見ておるんですよ。ところがそうでないといういまの長官の答弁ですが、私が過去の問題をこうやって取り上げている意味は、今後やはり開放経済になっていく、そして国内自給率が、先ほど、私にとっては非常に不満な消極的な数字だと思うが、一応ああいうふうに押えられた。関税も、お聞きするところ、現在のまま押えていこう、それやこれやを考えると、やっぱりこういうことが、今後も生産者価格にしわ寄せられるようなことが絶えず繰り返されるのではないか、この国際的な糖価の変動のしわ寄せが、精糖業者を経て絶えずしわ寄せられるのではないか、こういうふうな不安を持つわけですね。その点は、生産農家にそういう不安を与えないだけの行政指導をし、措置をしていくという方針がなければならぬと思う、今後。それをひとつ明確にここでお伺いをしたい。
  147. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) そういう趣旨でわれわれも今後対処してまいりたいと考えておるわけでありまして、したがってかりに関税率等におきましても、これを急速に下げるというようなことになれば、それだけ国際糖がじかに国内生産に影響を及ぼすということになりますので、まあ高い関税率といいましても、やはりある程度国内産生産の維持のためには必要な率を、関税をかけるということが必要であるという考え方を持っておりますし、それから先ほど企業のしわ寄せが生産者価格に来るのではないかというお話でありますが、生産者の最低生産者価格については、企業の関係とは無関係政府がきめるわけでございますから、その上に取引価格が設けられるような場合におきましては、これは企業の支払い能力なり、あるいは市価等との関係で取引価格がきまるという場合もありましょうけれども、生産者価格の最低支持価格につきましては、政府が再生産が行なわれるように支持価格としてきめて保護してまいりたいと、こう思っておるわけであります。
  148. 米田勲

    米田勲君 そういうお話ですがね、農民の立場から言うと、ずいぶん早くから、原料てん菜の価格の設定のしかたについて農民側は異議があるわけですね。私よくわかりませんけれども、ここでひとつよくわかるように説明してもらいたいのですが、生産費所得補償方式の採用を農民が強く長い間要求しているにもかかわらず、パリティ方式でやるという方針は変わらない。なぜこの農民の要求を取り入れられないのか。この農民の要求をかりに取り入れた場合には、どういう支障が起こってくるのか。その点をひとつわかるように説明してくれませんか。
  149. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 私ではたして十分納得いくような御説明ができるかどうか自信はございませんが、まあ価格論といたしまして、一応再生産を保障するという考え方に立ちました場合におきましは、これは価格論の分野において考えられるべきものではなかろうか。さらにそれに対して所得を付与するということにつきましては、あるいはこれは農政の立場から付与するということもありましょうし、さらにまた取引の形態におきまして、たとえば米のように、政府以外には一切売れない、また政府以外からは一切買えないと、こういった準専売に近いようなものにつきましては、これは一般の市場流通とは違った価格をきめましても、何ら、一般の市場に対する影響といいますか、あるいはそれから来る撹乱というものはないわけであります。しかし、ビートのようなものにつきましては、あるいはでん粉でもそうでありますけれども、通常の場合におきましては、市場において自由な取引が行なわれるということが前提であるわけであります。で、ビートは糖業会社以外に売っちゃいけない、糖業会社は政府以外に売っちゃいけない、また一般消費者は政府以外からは砂糖を買ってはいけないと、こういうふうに砂糖の取引が全然自由市場と隔絶された形において行なわれる場合におきましては、これはまた価格論としてもいろいろの見方があろうと思います。しかし、いま申し上げましたように、自由流通を前提とした砂糖市場におきまして、価格論以外の要素をそこに入れまして生産費所得補償方式をとるというようなことにつきましては、にわかにこれがよろしいというわけには、われわれはまいらないということを申し上げておるわけであります。
  150. 米田勲

    米田勲君 しかしね、このてん菜の場合、農民の側から言わすと、これはもうどこへでも自由に流通させられるものじゃないのじゃないですか。農民の立場から言えば、製糖業者を対象とする以外にはどうにもならないじゃないですか。よそでどこか買ってくれるのですか。
  151. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 精糖会社がそれを買いました場合においては、通常の場合においては、自分の自主的な責任において市場に砂糖を販売するということになっておりまして、企業が自主的に成り立つということを前提とした取引形態ということを考えておるわけであります。精糖会社が政府以外に売ってはいけないというようなこと、あるいはさらに流通段階においては、政府以外から買ってはいけないというようなことになれば、いまの点は違ってまいりますけれども、最終の承認としては自由の形態をとっておりますから、生産者と企業との関係におきましては、これは原料費になりますから、いずれどこかの会社に売るということにはなりましょうけれども、たてまえとして、これはやはり一定の会社以外に売ってはいけないという強制的なものではなくて、あくまでも自由企業というものを前提とした取引形態を想定しているわけであります。
  152. 米田勲

    米田勲君 私よくわからないのですが、今度この新法ができれば、生産農民から買い上げるビートの原料価格というものは、どういう手続できめられますか。
  153. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 最低生産者価格につきましては、政府が決定し、告示するということになります。さらに精糖会社が取引する場合の価格につきましては、生産者団体と糖業者との間において協議してきめるということになっております。その際、精糖会社が原料を受け入れまして、精糖にいたしました価格が市場価格によって十分はき切れない、つまりコスト割れするといったような事態が生じました場合には、政府のきめました最低生産者価格に標準コストを加えた価格で政府が買いささえてやる、それによって最低生産者価格を支持したい、こういう考えでおります。
  154. 米田勲

    米田勲君 この最低生産者価格というのは、農林省独自の判断できめるんですか。
  155. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 農林大臣がきめることになります。
  156. 米田勲

    米田勲君 諮問機関にはかるんですか。
  157. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いまのところ諮問機関はございませんので、農林大臣がきめることになります。
  158. 米田勲

    米田勲君 そういたしますと、最低生産者価格が、ことばは悪いが、一方的に政府にきめられてしまう。それが、やはり精糖企業と生産者の間の価格の設定にこの最低生産者価格というものは影響を非常に大きく与えますね、与える。その影響を強く与える最低生産者価格が、政府の悪く言えば独断で——悪く言えばの話ですよ、独断できめられるということについては、これは問題がありませんか。
  159. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは従来のこの種の価格につきましては、たとえばでん粉でありましても、大豆でありましても、なたねでありましても農林大臣、つまり行政機関がきめる、ただし、そのきめ方の基準は法律に書いてありますので、その基準に従って算定してきめるということで差しつかえないと、こう思っております。
  160. 米田勲

    米田勲君 私は、このビート栽培が計画的に伸びなかった理由というのは、いまあらためて申し上げるまでもなく、いろいろな条件がそろわなかったという中で、生産農民の立場から言わせると、価格問題がやっぱり一番魅力を失わせたという点が大きいと思うのですよ。しかも、企業と生産者との間の話し合いによる価格の設定に対して、再低生産者価格が重大な影響を与えることと考えると、従来そういう行政権限によって定めてきたんだと、ほかのものもそうなんだと、こういうことで一がいにそのとおりでよろしいんだというふうに納得のできがたいところがある。その辺にもう少し合理的な、生産者の立場を組み入れるような合理的な機会を与えることをすることによって、生産意欲というものが——決定される最低生産者価格というものに対する理解といいますか、それ以前にそういう生産農民が参加し、理解する機会が数多くあるとすればそういうことが考えられるので、従来こうやっていたんだからこうやるのは当然なんだということでなく、もっと積極的に今後の国内の自給態勢を高めようということを考えている政府の立場としては、この最低生産者価格の設定についても新たな方式といいますか、そういうものを打ち出すことによって、このビート栽培、ビート産業というものを飛躍的に拡大させるという道を考えられるのではないか。従来のとおりやってきたんだから、従来のとおりやっていくんだということでこの問題を取り上げないという態度でなく、もっとこれは考える余地はございませんか。
  161. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 私が申し上げましたのは、たてまえを申し上げたわけでございまして、たてまえとしては、法律にもありますように、最低生産者価格のきめ方はこうあるべきであるということが、法律の二十二条に書いてあるわけであります。これに基づいて算定した価格を最終的にどうやるかという事実上の取りきめにあたりましては、もちろん関係省なり、あるいは与党なり、あるいは生産者団体の意見を十分くみ入れてやるということになるわけでございます。
  162. 米田勲

    米田勲君 その基準の設定はどこでしたのですか。最低生産者価格をはじき出すための基準をどこできめたのですか。
  163. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 二十二条におきましては、最低生産者価格は、農業パリティ指数に基づいて算定される価格を基準として、そうして物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定めるということになっておるわけであります。したがって、考え方といたしましては、前年の政府の買い入れ価格がきまりますれば、それにパリティ指数を乗じた価格を基準としてきめる、パリティ指数自身はきわめて技術的にニュートラルな計数として出るわけでありますから、それによって基準価格がきまるということになるわけであります。
  164. 米田勲

    米田勲君 私は、その最低生産者価格をはじき出すための基準のうち、あるものは動く指数、あるものは動かない指数がありますね。これはそういうものがあるのだから、機械的にあとは算出するのだと、そういうことだけでは私はうまくないのじゃないか。もっとほんとうに国内の自給態勢を高めるという腹があるなら、そこへ一度メスを加える余地はないか、もっと。これは最低生産者価格を高くすればするほど、政府の持ち出しは多くなるという危険性はありますが、日本の国内の経済全体の立場から考えて、自給態勢をある一定の水準維持しようとすれば、そういうことに危険性が高まるから、まあできるだけ犠牲を負わないためには、低く定めるほうが政府としては都合いいのですね。しかし、そういうことにすれば、生産者側の意欲は少なくも高まらない。ですから、従来、きちっとした方式があって、そうしてあとは機械的に算出されるので、それによって最低生産者価格はきまるのだから、いろいろ生産者の意見を聞くとか、そういう余地はないのだ、こういう農林省の見解でしょう。しかし、そこにもう一度考え直してみる余地はないのか。特に新しい法律を出して、積極的に前向きにこの問題と取り組もうとしているやさきでもあるのだから、従来のその方式に新しいシステムを加えて、この産業の前進のために努力する考えはないのかということをお聞きしたいわけであります。
  165. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御趣旨のところは全くごもっともでございまして、先ほど申し上げましたように、そういう基準価格を出しますけれども、ビート生産につきまして十分魅力があるように、少なくとも再生産が確保できるような価格をきめたい、それには基準価格のほかに生産費であるとか、あるいは他の競合作物との選択にあたりまして、収益を比較してきめるというような考慮はもちろん払ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。なおまた御質問の中に、動くものと動かないものがあるというお話でありますが、動かないというのはパリティをかけるべきもとの価格はどうか、こういうことであろうかと思いますが、これは衆議院におきましてもいろいろ附帯決議も出まして、単純に前年度の価格をとるばかりでなしに、特に数年据え置かれた事情もありますので、もっと基準価格につきましては、つまりもとになるべき価格のとり方につきましては、幅広い年次を基準にしてとるべきではないかということで、原則といたしましては、われわれは今後は前年の価格にパリティをかけた価格を基準にする、そうして他の事情も考えて最終的にきめるという考えでありますが、この初年度に当たりましては、前年の価格というものはこれからきめるわけでございますので、十分いまお話しになりましたような点も含めて、また附帯決議も衆議院で出ておりますので、そういう思想も入れまして考えてまいりたい、こう思っております。
  166. 米田勲

    米田勲君 これは諮問機関を設ける考えは全くありませんか。
  167. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) この法律ができますれば、甘味資源審議会というのがかかるわけでありますから、価格論議につきましての一般的な考え方といったようなことについては、当然ここでもいろいろ御意見を承れる、こう思っております。
  168. 米田勲

    米田勲君 そこへ最低生産者価格を諮問する腹はありませんか。
  169. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 審議会におきましては、主として生産振興に関する重要な事項を審議するといことになっておりますが、それに関連いたしまして、価格についての事項も当然御意見が出ることになろうと思います。最低生産者価格をいきなりここへ諮問するかどうかということにつきましては、個別の価格をそこの審議会にかけるということについてはまだきめておりません。
  170. 米田勲

    米田勲君 政府の今後決定するところの最低生産者価格は客観的に見て妥当なものであるという自信があれば、ぼくは大胆に諮問してもいいんじゃないかと思う。それによってむしろ積極的にその審議会に参加をしておる各層の人々の理解を深めることにもなるし、また政府の考えの足らないところが万一あるとすれば、そこからまたそういう考え方を受け入れる用意ができるので、私は最低生産者価格というものを全く客観的にきめられる自信があるならば、この審議会にそういう問題についても諮問すると、そういうほうがむしろ前向きの姿勢で、この産業を伸ばすことになるのではないかと思う。非常に慎重なかまえで、そのことについては一応意見は聞くが、価格の問題については直接的にはかるつもりはないというふうに用心する必要はないと思うんですが、どうですか。
  171. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) そういう御議論もあろうかと存じますけれども、まあ審議会をそのつど開くといっても、このおそらく価格をきめます場合に、ビートあり、カンショ糖あり、ブドウ糖あり、また原料をきめるときと精糖をきめるときと、おそらくこの法律によりますと、一年に数回価格をきめることになろうと思いますが、そのつどそのつどやることがうまくいくかどうか、この辺はもう少し研究する問題じゃないかと、こう考えております。
  172. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの答弁に関連して二、三伺いますが、ごく最近の最低生産者価格を基本価格にして、それにパリティをかけ経済事情その他の要素を考える、そういう政策的とぼくは見るんです。経済事情その他をしんしゃくすると。これが従来法律に欠けているばかりに、非常に立法の趣旨から離れた現実の価格が出てきておる。そこで、そういうあいまいもこたる要素を考えて三十八年の最低生産者価格は六千五百円ですね、それにパリティをかけて出せば一体どのくらいの金額に告示価格はなる予定ですか。需給事情等を勘案する前に計数だけにしぼって算出すれば、二十二条の最低生産者価格はどういう金額になりますか。
  173. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 実は三十八年の生産者価格というのはいまきまっておらないのであります。六千五百円というお尋ねの価格は、これは取引価格として農林大臣が勧告いたしたものでございます。六千五百円を基準にして精糖価格が幾らになるかという御質問であれば、これは計算上出ると思います。計算上これは出ますから、後ほど申し上げてもけっこうと思います。最低生産者価格は六千五百円というふうには考えておりません。これは取引価格とこう考えております。
  174. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると経過措置として附則の第五条にうたっております最低生産者価格の措置が、三十八年はこれはもう過ぎたことだから、現実の取引価格がもうすでに経過的にあるし、まあなくても支障ないでしょう。現実にこの法律が施行された場合に、いま言ったようにいろいろな抽象的な文言が法律にあるが、はじき出せる具体的な計数で出せばどうなるかということは出してもらえますね、最低生産者価格。
  175. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) それは三十八年ですか。
  176. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 三十九年。出さなければいかぬでしょう、それをひとつ示してもらいたい。
  177. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 計算の理屈からいいますと、まず三十八年をきめまして、そうして三十八年にパリティ価格をかけて三十九年が出る、こういうことになるわけでありますが、実は三十八年の最低生産者価格はまだきめておりません。これからきめるということになるわけであります。衆議院の附帯決議によりますと、その最低生産者価格は発足年であるから、三十八年の最低生産者価格は三十六年と七年の旧法に基づく告示価格を基準にして、そうして三十八年をパリティ指数で伸ばしたパリティ価格と、それからいまお話のありました六千五百円の勧告価格を参酌してきめるようにしろと、こういう附帯決議が出ておりますので、こういう附帯決議をもとにいたしまして、三十八年についていま検討いたしておるところであります。したがって、これが出て三十九年が出るということになるわけであります。三十九年をいま計算上出すというわけにはまいりかねます。
  178. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 だから三十六年と三十七年の最低生産者価格は五千三百二十五円でしょう、それがあると。それからパリティの動きがある。三十八年度はできる。それから三十八年度の最低生産者価格を算出して、なおその後のパリティで三十九年度も出るでしょう。そのごく単純な算術計算だけの数字を出してもらいたい。これはできませんか。
  179. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三十八年は計算上これは当然出るわけです。三十六年、三十七年がきまっておりますから、それにパリティ指数の三十八年の生産がありますから、これは出るわけです。ただ三十九年につきましては、できるだけ従来は三月パリティをとっておったのです。ところがまだ実は二月のパリティも出ておりませんので、一月のパリティ指数をかけたらどうかというようなことで、計算上の問題としては出るわけでございます。
  180. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その計算上、最近押え得るパリティの数字を使って一応試算すればどうなるかというのを参考に見せてもらいたい。それは生産者価格の告示価格でやれということは言っていない、ということは、あすでもこれは出ますね。で、私はそれを見てからまた具体的に意見を言いますが、きょうは関連だからその程度でとどめますが、そのことは、現実に取引が成立した価格が、将来最低価格に引き下げるブレーキ的な役割を大きく果たすことを非常にこれは問題にするわけです。現実は、政府から提出した資料を見ても明かなように、北海道では数次の団体交渉を経て六千八百円に反当一千円の奨励金、二トン半以上あがったものにさらに奨励金で、最低に見ても七千二百円の取引価格が決定しているわけです。政府の勧奨等を経て。そういうものは生産費所得補償方式による当然農家が期待する価格よりは下回っておるわけです。大体八千百円程度を生産費所得補償方式として期待しておる。それが政府では単なるまあ勧奨という範疇の中で努力をして、力関係で七千二百円程度に押しつけられた、こういう実態がある。それにさらに第二十二条による最低価格、まあ試算を集めれば数字的にはっきりわかるが、かなりそれよりは大幅に下回ったものが最低価格として想像されるので、私はこれは大臣に聞かなければならぬと思うのですが、衆議院でもこの問題では、絶えずすれ違いの論争をして平行線に終わっておる。将来こういうあるべき勧告価格、法律で定められた最低価格というその二つの価格、わが国の法律によって考えられた場合は、せっかく自主的な団体交渉等によって望む線まではいかないにしても、ややまあお互いに団体交渉をして納得した価格、将来こういうものが法制化して、政府の補償するものが最低価格であるということですね。市況の暴落等によって、政府はここを補償の限度としておるわけです。そのことは非常に期待する方向にブレーキをかける役割を果たす、こういうふうに感じるわけですよ。それであなたにお伺いしたいのは、法律にうたっているその他の要素の再生産を確保するということは、これは縮小再生産も再生産でしょう、単純再生産も再生産でしょう。拡大再生産も再生産でしょう。われわれは当然これを企業として成り立つものとして、拡大再生産と解釈をする。その場合には、当然生産費所得補償方式によるもの以上に適正利潤を含まなければこれは拡大再生産とはならない。そういう再生産と法律にうたっておるのは、あなた方事務的にはどう理解しますか。
  181. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) まあ再生産ということばにつきましては、これは社会的に見まして十分再生産が行なえるようなコストを償うことが必要だろうというふうに考えますが、具体的に、それではいかなる生産費をもって再生産の基準として考えるべきかということにつきましては、いまお話がありましたように、縮小再生産、単純再生産、拡大再生産、いろいろの見方もあろうと思います。われわれといたしましては、この法律に基づきまして、自給度向上ができるような再生産が確保できるような考え方でおります。
  182. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そういうことであれば、その最低価格というものは、現実に農家が単純再生産の線で要求しておる線をさらに下回ったものよりもこれは上回る内容にならなければならないと思うのですよ。適正利潤を価格の中に構成する、資本の蓄積によって拡大再生産の方向にいくとなれば。農民、農業団体が要求しておるのは、そういう適正利潤を除いて投下された労働時間を、他の製造工業に支払われておる労働時間にこれを評価がえをしたにすぎない。これも農林省の説明ではそれもなかなかとり得ない。自由流通だからということですが、私はそこで資料の要求をしたのです。各国の糖業経済と政策。イギリスを見ても、フランスを見ても、イタリアあるいはアメリカを見ても、農家が再生産を確保する価格を政府が決定している。いいですか。あえて社会主義建設途上にある国は私は除いておりますよ。資本主義経済の体制の国でも、おもな国はことごとく政府では砂糖については取引価格を指示しておる。告示をしておる。この糖業政策の各国をごらんになったでしょう。イギリスは二五%しか自給度がない。それはどういう理由ですか。イギリスは国内自給度が絶えず二五%に定着をしておる。これはどういう理由ですか。
  183. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 英国が二五%に維持されておるというのは、私もちょっと説明できないのでありますが、英国におきましても、当初非常に低かった時代もあり、高かった時代もありまして、むしろ一定量を維持するというよりも、むしろ連邦諸国からの輸入量をある程度割り当ててきめておるというようなこともあるだろうと思います。なぜ二五%を維持されておるかということについては、十分私も勉強いたしておりません。
  184. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それはこの本にも書いてあるように、私も現地で学びとったように、生産者は、英国政府砂糖政策について、非常に生産意欲をわきたてて、もっと作付反別の増加を希望しておる。しかしながら二五%以上に自給度を高めることは、あなたがおっしゃったように、英連邦から輸入総量の六割を、英連邦の砂糖政策を援助する政策と相いれないので、国内の作付を制限しており、それだけ価格に手厚い保護政策をとって、政府の告示価格で生産者は取引をしておる。また業者は、政府で定められた適正マージンでその製造をやっておる。こういうことをなぜ日本でできないかということなんです。社会党が提案しておる法律の趣旨はそこにある。私はこういう国内甘味資源をほんとうに積極的に考えるならば、こういう先進国の糖業政策の足らざる点に思いをいたして、日本でもおくればせながら、価格政策についても、流通の政策についても、あるいは私が冒頭に質問したように、この前の法律の提案には消費者価格の安定ということをうたっておったが、今度は、そういう提案からは除いておる。世界一高い砂糖をなめさせられている国民の立場からいっても、また、自給度を高めなければならない点からいっても、そういう努力によってとにもかくにも実取引をしている価格にブレーキをかけるような最低価格を新たにもうけるということは、国内自給度に対する政府の熱意が財政的にもない。おそらくこれは大蔵当局のかなりの牽制もあるでしょう。そういうことでは、いまのような、法律の第二十二条のようなことでは、国内自給度は私は進まないと断定さぜるを得ない。なぜそういう最低価格などというものに固執をするか。なぜ英国なりイタリアなりフランスなり、あるいは政府の一辺倒になっておるアメリカなりのとっておる砂糖政策を、この際とるという意思がないか。米田委員が取り上げたように、いろいろな自給度向上が進まない理由の中に、この価格について政府が積極的な施策を講じないところに、大きな理由の一つがあると思うのです。生産費所得補償方式がとれないというけれども、とる気がないということだけのことで、私らは砂糖大根をつくっている農民も人間だと思う。人間として尊重するならば、投下した労働を正当に評価するということを価格の中に織り込むべきだと思う。それがなぜできないか。それができなければ、砂糖大根をつくっておる農家を人間扱いにしないという政策になる。これはあなたに聞いてもしようがないから大臣に聞きます。もう少し各国の現実にやっておる砂糖政策というものに対するすぐれた事例というものを、甘味資源のわが国の法律の中にもこれは取り入れるだけの積極性がない法律である。何といったってどうも最低価格というものは、私はブレーキになる。いずれは資料見てから質問します。
  185. 米田勲

    米田勲君 私も違った角度から、最低生産者価格というものが問題だから、これが設定するにあたっては、積極的に生産者も理解のできるような、協力のできるような、そういう態勢をシステムの上でとるべきだと強く考えるのです。政府がこういう最低生産者価格をどうしても設定しようとするなら、それぐらいの積極的な配慮があって初めて私は国内甘味資源の将来の前進が期待できるのじゃないかと思うのだが、この点については、あまりはっきりしたことをいま農林大臣もいないときにあっさり長官は答えられないと思いますが、それくらいの積極さはあってしかるべきじゃないですか。特に、私は不敏にしてわかりませんでしたが、いま渡辺委員の話では、諸外国などでは、先進諸国では相当積極的な価格対策を持っている。それと比べて、あまりにも新しい法案を出してがんばろうという政府としては、何ごともすべて消極的だ、こういう感じがするのですが、その点は再検討する余地はもうないでしょうかね。
  186. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) われわれも先生のお説のとおり、ビートが魅力のあるものとなり、生産が増強されることについては念願いたしておるものであります。いま渡辺先生のお話がありましたが、私も各国の糖業政策状況を見まして、やはりそれぞれの国によってのいき方が若干違っておる。一本価格で政府がきめて、それによってすべて取引させるというふうなところもありますれば、価格自身については両者話し合いできめさせるというやり方もありますし、またきめる生産者価格につきましても、ビートとカンショにつきましては若干、一方が国内的な生産であり、他方が比較的国際性を持っておるという意味で、国際糖価にスライドして原料価格をきめる、したがって、国際糖価が安くなればそれに応じて、公正な分け前としては、生産者と企業者の分け前をきめておりますけれども、同時にスライドして生産者の価格も下がるというようなやり方をとっておるわけでありますが、まあこの法案におきましては、少なくとも生産者価格について最低生産支持価格をきめようと、そうして取引価格は必ずしもそれによらないで、工場の、企業の支払い能力があり、あるいは市場価格というものがそれよりも高いというような場合においては、それに応じて具体的に取引価格をきめていかせる。その取引価格について十分両者の間において話し合いが一致しないと、集荷上も非常に困難するという場合においては、農林大臣が勧告すると、こういうまあたてまえをとっておるわけでありまして、一面におきまして相当量の輸入をいたしておる日本といたしましては、すべて一本価格で取引価格をきめると、それをもって政府の指示価格にするという考え方もあり得ると思いますけれども、それにはいろいろの、そういうことを可能ならしめるまた条件も考えていかなきゃいかぬというようなことを考えますと、むしろ生産者価格については支持価格を与えて、いかに糖価が下がってもそれ以下には農家に影響を与えないように下ざさえをすると同時に、それ以上の取引価格については業者間において話をする。話がきまらないような場合においては、農林大臣が勧告する、こういう考え方もあり得ると思うのです。で、本案はそういう考え方に立ちまして、いろいろの面から検討いたしました結果、こういう考え方が一番現状においては日本に適しているのじゃないかということで、こういう考え方をとったわけでございます。
  187. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はどうもいまのその答弁は非常に問題だと思うのですね。それは、百五カ国もある国の中で、ケースを分類すればあるでしょう。政府はまあ全く責任から逃れて、業者間協定をやらしておるという国もありますよ。あるいは私が言うたように、政府が強力に価格支持政策を一本でとって、そうして自給度を高めるという政策努力をしておる国も多い。その国のうちで社会主義建設途上の国はこれはまあさておいて、日本のような政治経済体制の中でも、たとえば先進国、砂糖政策では先進国であるイタリーも、政府がもうそのものを価格で支持しているわけですよ。自給度一〇〇%をこえておるフランスが価格支持をしているわけですよ。取引価格は取引だと、政府は落ちた場合の最低価格を保証するのだなんというそんなへっぴり腰の政策はとっていきません。アメリカだって、はっきりとっているのですよ、価格を。そうしてさらに奨励金を出しているのですよ。時期別奨励金を出していますよ。これだけの手厚い保護をこれらの国でとっておって、なぜ日本がとれないか、とる気がないからとれないと、だから、価格政策に農民は失望し、最低価格が政府の支持する価格であるということが、またせっかく努力した上積みの価格を今後下げるブレーキになる。いまの乳価でこんなに世間が騒いでいるのは何です。きわめて不合理な最低価格の告示によって奨励金を取っ払われても、それ以下にならなければ農林省の責任じゃないなどというような最低価格が現実の取引価格を規制しておる大きなブレーキになっておる。したがって私は、この砂糖価格の二十二条によって最低価格などというものを出されることは、はなはだ迷惑しごくなんです。生産者の立場から。フランスなり、イタリーなり、デンマークなり、スエーデンなり、アメリカなり、そういう国では直接政府が関与して基準価格をきめてそれを取引さしておる。精糖業者には適正利潤、マージンというものを規制している。ただしいろいろな要素で、規制したマージンの変動を許している。消費者価格も、国際価格に影響を受けた場合には、それから遮断されるような措置をイギリスではとっておるのは御承知でしょう。それは付加税によってとっておる。イギリスの場合は砂糖の付加税がそのまま砂糖庁、政府のほうへ財源が移されて、それが国際価格の変動を遮断する役割りを果たしておる。日本は何ですか、ただ国民から世界一高い砂糖の関税なり消費税を収奪したまま、国内甘味資源振興にどれだけ一体予算的に使っているか。何分の一でしょう。イギリスの例をひとつ見ならったらどうですか。それらの砂糖の税金は、イギリスにおいても消費者の負担ですよ。消費者の負担だが、それが国内の価格を国際的な変動から守ることにも役立っておるし、生産者擁護にも役立っておる。そうして生産者はむしろ増反を希望しているが、さっき言ったように英連邦との関係で二五%に押えておる。それだけ価格的に非常に手厚い保護をかけているのですよ、イギリスでは。日本はそれに比べて、こういう最低価格というものはどう見てもブレーキをかける以外の何ものでもないと感ぜざるを得ない。だからマイナスなことをやっている国の例をあげることもいいですけれども、先進国を見ならったらどうですか、前向きにやるなら。この法律はうしろ向きの法律じゃないはずです。もう少しこれはまじめに考えてもらいたいですね。
  188. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 渡辺委員の御意見についても、そういう考え方ももちろんあろうと思います。私もそれは決してどうこうということを申し上げる意思はありませんが、まあ英国のような場合におきましては、御承知のように小売り価格の段階はすべて国際価格並みになっております。そしてビートにつきましては公社が買い入れるわけでございますが、そこにおいて生ずる財政負担、これはもう全部糖業者に負担をさせるというようなことでバランスをとっておるわけなんでございます。また英国の農業生産につきましては、日本の場合と違いまして、直接価格の面に対する国の助成というものが非常に高い。先進国は大体そういうふうな傾向が強いようであります。日本の場合におきまして価格だけでなかなか生産が伸びない。むしろ直接的な生産面に対する投資というようなものが、生産にいろいろの面において影響が大きい。零細農であったり、あるいは価格だけでどんどん面積がふえるというような生産条件にある先進国と、その辺は若干日本はまだおくれた面がありまして、価格とそれから生産に対する直接的な投資によって生産を誘導していく、こういう面が日本の農政の一つの特色になっておるわけなんですが、そういうことも考えて見ますると、やはりビートにつきましても試験研究なり、あるいは直接生産面における助成によって誘導していくというような面と合わせてこれらの問題を考えていかなければいけないのではないかというふうに、これは私の私見で、はなはだなまいきなことを申し上げるようでありまが、英国がそうであるからといって、すぐさま取り入れるべきものは取り入れるといたしましても、そのままあの方式が日本に当てはまるかどうかについては、なお研究すべきことがあるのではないかというふうに考えております。
  189. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう一つ。私がイギリスをひとつ参考にしてほしいというのは、生産の問題ももちろんありますよ。いま価格の関連だから価格を言うておるので、生産にしてもこれはもっと生産基盤の整備に一けたはね上げたものを投下しなければだめだ。それには財源が要るでしょう。その財源にはイギリスでは付加税というものを砂糖庁に回す。砂糖庁はその付加税によっていろいろな保護政策をやっておるのですよ。だから八百億にものぼるわが国の砂糖の税収を、全額とは言わぬけれども、甘味資源生産増強なり、価格補償なり、そういうものに積極的に投入するだけの前向きの政治姿勢がなければ、甘味資源自給度向上も絵にかいたもちに終わる。そういう点を学びとって実際やる腹がまえがないかということです。
  190. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 途中中座しまして、多少食い違ったお答えになるかもしれませんが、いま渡辺委員のおっしゃるのはごもっともでありまして、私どもも、これはことに昨年の八月、砂糖が自由化になりましたので、この閣議決定もありまして、生産の増強には全力をあげるつもりで、われわれも私自身も考えてきたのであります。しかし、結果的においては相当増額はいたしましたけれども、まあ満足でないことはおっしゃるとおりでありまして、今後においては土地——中心は土地、生産基盤ですね、生産基盤の増強、土地改良にもっと力を注ぎたい。そうしてできるだけ御要望に応ずるようにしたいと思います。  それからなお私が常に考えておるのは、やはり品種の改良、この方面においても、今回のやり方では不十分であろうと思うのでありますけれども、今後において全力をあげてやっていきたいというふうに思っております。
  191. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの政務次官の答弁だから、それにまた関連してひとつなにしておきます。
  192. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 関連はひとつ簡単にやってもらいたい。実際質問のピントがはずれてしまうから。
  193. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 答弁もはずれるから、こっちだってしょうがないですよ。予算を積極的に取ったというけれども、——それじゃやめますかな。
  194. 米田勲

    米田勲君 急に飛び込んでこられて、先ほどからのお互いの話し合いとかけ離れたことを言っておる。いま私は長官の答弁を聞いておって、やはりいま問題を価格政策の問題について集中して話をしておるわけなんです。あなたの話は、生産を伸ばすのには価格だけでなくほかの問題が大事だ、問題をそらそうとしておるのだ。そうなんだ、あなたの答弁からはそんなふうに見える。いまは価格政策を論じておるのだから、そこに集中しなくちゃならぬ。ほかの条件ももちろん私は大切だと思うが、大体この価格政策が今度の甘味資源の産業が伸び得るかどうかを決定する上において、ぼくは最大のポイントにもなるのだろうと思う。だからこれを重大視していろいろ話をしておるのだが、原案を出しておるあなた方の立場として、われわれの言うことはごもっともと思っていながら、口先だけ合わせて、そういう再検討をするとか、あるいは諮問機関みたいなものを考えたらどうかと言っても、それに色よい返事がないというようなことで原案を固執しておりますが、何といってもこの生産者最低価格が、政府の一方的な判断できめられて、それが取引価格に重大な影響を及ぼす、それは決して農民の生産意欲を増すような働きにはならないということを感ずるから、いろいろな角度から話をしておるわけです。私はここで一つお話をしたいのは、政府が最低生産者価格はきめる、そのきめられるものは、およそ農民の納得できるものでないというふうに感ずる。そこで企業と生産者の間で価格の話し合いをする。この話し合いは私はいつでも生産者側が弱いと見ている、生産者側が弱い。それはビートを買わなければ精糖業者は全く立ちいかない、こういう条件でないのだ。ないから、そればかりに依存しなくてもやっていけるという他の条件があるから、やはり相当強気だ。結局きめられる取引価格というものは、泣き寝入りをさせられる度合いが多い。そこで話が合わぬなら、今度は農林大臣の勧告だ、こう言う。その農林大臣の勧告も、あなた方、生産農民の納得するような価格を勧告する自信があるのですか、常に。私はむしろ生産農民は常に納得のできないような価格が勧告されるということを思っていると思います。ですから農民が要求している中にこういうことが一つあるのですが、原料てん菜の供給については、生産者の自主集荷販売権を認めてくれ、こう言っておるのです。私はこの要求も何から来ているかというと、この取引価格の設定の問題から来ている。せめてこのくらいあれば、農民の側はやや強い立場で交渉ができるからといって主張しているのですが、こういうことを、農民の要求をいれることができますか。
  195. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ビートの生産形態というのが、最終の製品でなしに原料形態をとっておるわけでありますから、どうしても工場に売りつながなければいかぬ、工場の場合におきましても、どうしても操業の関係がありますから、一定の区域をきめなければならぬということになるわけでありまして、これはほとんど世界各国同じような会社別の集荷区域というのをきめるようなことになっておると思います。問題はどちらが有利かというふうなことになると思いますけれども、これは私の私見でありますけれども、欧州やなんかでは、農民のほうが、よけいつくりたい、割り当て以上に出たものについては、価格を下げるというようなことのほうがむしろ可能性がある、日本の場合においては、私はむしろ売り手市場でありまして、企業としては早く十五万トンなりあるいはそれに近い数字を確保したいと、こういうことで、生産者側のほうがむしろ強い立場に置かれるんじゃないかというふうに思われるわけであります。
  196. 米田勲

    米田勲君 あんた、そういうことを言われるが、生産者の気持ちを聞いたことがありますか、直接に。価格問題で生産者は何と言っていますか、長官は直接聞かれたですか。
  197. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) しょっちゅう北海道生産者団体と意見を交換しております。
  198. 米田勲

    米田勲君 不満を持っているでしょう、端的に言って。それはね、よけいもらえればよけいもらうほどいいのだという欲にかかって言っていることばと違う立場なんです。常に不満を持っている。それがもうもっていき場所がないから、結局作付反別を減らしてほかのものをつくるか、あるいはもう少し力を入れて土地改良をやったりすればいいのに、その力を抜いたりする、労働力もこれは非常に集中してたくさん要りますが、最近はその労働力に対する雇用賃金も非常に高くなってきた、それでどうしてもそっちのほうにも手抜かりが出る、そういうことが集まって計画のように伸びていかないという結論が出ているのですよ。ですから、私はあんたの言うように、企業者側より生産者側が強いのだ、そういう強い条件にあるなら、農民とほんとうに腹を割って話をすれば、取引価格については満足しているはずだ。しかし、どこの耕作者に話を聞いても同じですよ、不満ですよ、価格の設定については。これではやり切れぬということばしか聞かない。これは一体農民の言い分が無理なんでしょうか、長官はどう考えますか。
  199. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 生産者から見れば、できるだけ高いほうがいいということになると思いますが、私が申し上げたのは、現状において工場の能力が十五万トンもある。にもかかわらず実際の処理量としては十一万トンないし十二万トンである、したがって早く操業率を高めるように処理量をできるだけふやしたいと、これはどの企業においても一様に望んでいるところじゃないかと思うのです。オーバー・プロダクションで、もう生産量としてはけっこうだというふうな条件には、およそ現在はなってないじゃないかということを申し上げたわけです。生産者については、もちろん取引価格格について不満足もあるだろう、これは私もそう思いますけれども、しかしそれでは一般的にオーバー・プロダクションの状態である、あるいはつくればどんどん処理し得る条件にあるかといえば、私は現状においてはむしろ後者のほうである、したがって売り手市場である、強いとか弱いとかいうことでなしに、集まった量についてみればそういう条件になっておる、こう思っておるわけであります。
  200. 米田勲

    米田勲君 ぼくは長官と違う。あくまでも違う見解を持っている。この法案は、生産農民の立場よりもむしろぼくは精糖業者の資本家の立場に立って法律が考えられているんじゃないかとさえ疑われる節がある。これがもし長官の言うような価格が設定されておるなら、私は価格だけでこの問題がすべて片づくものではないということはわかっていますけれども、もっと計画のとおり伸びるはずですよ。もしこの価格が、最低生産者価格についても農民の理解のいかないような価格、取引価格もしっかり、まとまらない場合に勧告される価格、これも農民の納得しない価格になるということになれば、結論はどこへいくかというと、自給率はますます下がってきます。そこへ落ちつきますよ。だから私はその自給率をもう少し高く日本の場合は置くべきでないか。かつては高い水準に置いて検討を試みた、それを今度はぐっと低く押えているのも、こういう価格政策にも一つの難点があって、高くは見込めないんじゃないですか、自給率を高く見込むことは、こういう価格政策では見込みがない、私はそういうことを一つ感ずる。そこで価格政策に難点があるなら、他の部面でもって、農民負担のよりかからない方法で生産を拡大していく方法が政府の力によってとられるかどうか、その部面の検討が今度は必要なわけです。それで、他の委員からまた価格政策の問題は話があると思いますが、時間の関係で、私農林大臣にまたお聞きをすることにして、一つの問題をここへ提起したいと思う。  最近、この三十二年以降の統計を見ると、てん菜のヘクタール当たりの収量は三十四年までは順調に伸びてきている、順調と言えるかどうか、計画から見ると順調と言えないまでも、とにかく伸びてきている。ところが三十五年、三十六年とぐんとヘクタール当たりの収量が減っておるわけだ、これは一体何が原因だと思いますか。
  201. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) いろいろの原因が考えられますが、おもなものとして私考えておることは、一つはだんだん面積が広まってきますと、いわゆる低位生産地帯に栽培が導入されてくる、そういう問題があろうと思います。それからもう一点、これは長い間かかってあらわれてくる問題だと思いますが、しばしば言われておりますように、有機質肥料の不足ということによる地力の低下ということも若干あるということであります。それから最近の情勢としては、労力不足ということも一つの要因であると思います。そういうことが考えられます。
  202. 米田勲

    米田勲君 ビート生産は農民の側から見れば、このヘクタール当たりの収量がより高いほうがいいわけです。何もサボって、十分な栽培をやらないで、そうして収量を落とすなんということは、農民は意識的に考えないはずです。ところが、生産基盤の整備にしても、肥料の問題にしても、管理の問題にしても、病虫害の防除にしても、これはもう全般から見て、最近の収量が落ちてきた以後の状況を見ると、非常に粗放化してしまったのではないか、その粗放化の原因は、低品位の土地にまでビートの栽培が拡大したからという見方はどうかと思うのです。これはやはりビート栽培の経済性の低さから、そういう問題が起こっているのではないかと見ているのですが、どうですか。
  203. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) これは私の所管しております。特に特産物関係で非常に大きな問題でございます。たとえば大豆などにつきましても、従来いろいろな施策を講じてきたわけでございますけれども、どうしても収量があがらない。試験場技術というものと現実の農家の技術というものは非常に格段の差がございます。そこで、試験場技術というものは単なる試験場で行なわれるだけであって、実用には適しないものであろうかというと、必ずしもそうではない、たとえば特別の指導圃を設置いたしまして、そこで十分な指導をすれば相当な収量があがる、しかし、それは一般には普及しない。この原因は何であろうかということをいろいろ考えてみたわけでございますけれども、やはり、大豆でいえば一戸当たりの大豆栽培面積は非常に小さい、それは結局労働調整的な作物として、農家として全体的な経営をどうもっていくか、労力をどうもっていくかということをいろいろ考えて、その結果として、大豆についてはこの程度の労力しか使わない、この程度の金しか使わない、こういうことで基準的なものに対して非常に低い労力なり資金の投資しかやらないということが、大きな原因だ。ビートについても若干それに似たような問題がございます。やはり、大きな栽培規模の農家は相当収量をあげておる。これは収量をあげたから大きくなっておると同時に、大きいからそれに力を入れて収量があがる。わずか一反あるいは五畝程度の農家では収量が低い、これはやはり経営内容におけるウェートが低いということも一つの原因であろうと思います。そういうことで、われわれといたしましては、今後ビート栽培を普及するにあたりまして、どうしても一戸当たりの栽培面積を大きくすることにかからなければならない。その点につきましては、毎々いっておりますように、そのためにはビートに魅力を持たなければならない、魅力ある作物であって、それによって初めて力を入れるということで従来の悪循環をいかによい循環に変えていくかということが問題だと思います。おっしゃる点よくわかるのでありまして、そういうことにするためには、適正な価格政策も必要であります。ただ、われわれ生産を担当する者といたしまして、単に価格政策のみに依存するだけではだめだ、やはり生産体制を増強しなければならないということは当然考えております。
  204. 米田勲

    米田勲君 それでは価格問題を除いてお聞きしたい。先ほど昭和四十三年までの五カ年計画について、作付面積の伸び、それから収量の伸びをずっと簡単にお聞きして、あした資料をもらうことになっておりますが、さて、その五カ年計画の伸びに対して、価格政策を抜きにしてどんなてこ入れを年次的に農林省は考えているか、この五年間を見通して、予算が出ているのはことしだけですね。三十九年度の予算がいまかかっているのですが、私の聞きたいのは、今後五年を見通して、先ほど読み上げてもらったような計数に到達するためにどういう、国が積極的なてこ入れをどういう部門にするのか、それの五カ年の計画はどういうふうに立てているかということをひとつ説明してくれませんか。
  205. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 当然この計画を完成することを考えました場合には、この計画の裏づけといたしまして、これに対する財政投融資はどうであるか、また、地元の負担はどうなるのであるかということの資金面の計画はつくはずでございます。ところが、現在は、それはまだできておりません。そこまで至っておりません。でございますので、われわれとしては、実は出したくなかったのであります。
  206. 米田勲

    米田勲君 できておらぬなら話をする材料はないでしょう。私はそこで疑問が起こってくるのです。あなた方は四十三年のときの自給度は何ぼ、そのときの作付面積幾ら、収量は幾らといって五カ年の計数をいっているのです。それは手放しでおってなるものではない。そこで裏打ちがなくてはならぬことでしょう。第一に問題にしたのは価格政策なんです。価格政策はあなた方腹の中ではどういうふうに理解しているか知らぬが、われわれが先ほどから主張しているように、ちっとも修正する腹はない。これではやはり耕作農民の意欲を盛り立てることにはほど遠いという感じです。さて、その価格政策を抜きにしてそれだけの伸びを期待するための、そのためのてこ入れについて、五カ年間の投入する経費の見通しはどうかといったら、それば立っていない。そうすればあなた方の出している数字というものは、あくまでも架空な、極端にいうと架空な数字ですよ。そういわれてもやむを得ないのじゃないですか、これまた計画の失敗です。
  207. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) これは投入する金のほうの計算を先にするのか、一応生産目標を立ててそれに必要な金を、最終的には同時にきまるべきだと思いますが、その計算を先にするのか、これはやり方はいろいろあると思います。われわれといたしましては、現在の段階において考えられる技術、これをどうやって導入していくかということを、現実の可能性を見ながらこの数字を出しましたわけで、あとからこれに対する必要な経費をどのくらいかかるか、その経費との見合いでもってまたいろいろ検討しなければならないと思っております。そういう意味では中間の計算でございます。
  208. 米田勲

    米田勲君 結局行き当たりばったりですということしか、ほんとうは答弁のできない程度のものじゃないですか、三十九年度の予算では、一応これだけ獲得して見積もった。しかし、四十年度はどうなるかは、やみくもだ、四十一年度、四十二年度はさらにそうだ。投入する経費のやみくもなときに、生産の伸びや作付面積の伸びだけあなた方がはじき出しているところに、計画と実際の失敗が起こってくる、そうではありませんか。あなた方は専門家だから、そんなことは百も承知でしょう。どうもあなた方の答弁はわからないのです。それでは計画がないのだ。
  209. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連して。私が一昨日大臣に聞いたときに、貿易自由化でやった大臣談話に続いて、この自由化をやるに伴って農林省として試算した所要額は百三十七億という金額が出る。これを現実に実現するのは、これからの大蔵当局との折衝に重点がかかるという記事が出ているのです。これは記事です。だから、少なくとも国内体制の整備を待たずに自由化をやった罪滅ぼしに、少なくとも納得のいくような予算を伴う方向というものはあったと思うのです。それが今日に至っても何だかかんだかわからぬようなことでは、ますますもって、これはいただけないでしょう。
  210. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 先ほど来申しますように、そういう裏づけ数字がまだ確定してないという意味におきましては、これはまさしく中間の資料にすぎないのでございますけれども、政府の最終案ではございませんけれども、ただ当然最終案ができる段階におきましては、これに対する必要な経費というものはどれぐらい必要かということも計算されなければならないと思います。
  211. 米田勲

    米田勲君 農林省はこの甘味資源対策について消極的だということばで、何べんでもぼくは批評しているんだがね。建設省を見なさい、五カ年計画とかなんとか先の見通しをぐんぐん立てて引きずっている。ぼくは、ほんとうにこの甘味資源対策を本気になって農林省が考えるなら、大蔵省との折衝は後に残っているとしても、農林省の立場としてはこの五カ年にこれだけの部門にこれだけの経費を投入しなければこういう数字に達しないんだと、そうしなければ国内経済の中で甘味資源の占める経済的位置は保てないのだということを大胆に計画を持って、そして第一年次の折衝を大蔵省とやるぐらいの積極性があって初めて期待できる。来年はどうなるかわからぬといったようなことでどういたしますか。大体、先ほどのあなたの説明だって、この貧困な悪い土地にも作付けしなければならなくなったから、それで急に三十五年から落ちたという説明だが、あなたのほうの計画で言えば、もっといままで植えていない土地にも広げて植え付けていかなければならない。そうすると、適地でないと思われるところまで伸ばさなければならない。そうなれば、一定の水準の収益をあげさせるためには、てこ入れは当然必要でしょう。そのてこ入れはどうなんですかと言うと、わからない、まだそれは立ててない。それでは将来の見通しとか自給率をどうするとかと言っても答えられないはずですよ。あす出す計数だって、何を根拠にして出すのですか。ぼくはこの出す根拠はそんな大胆不敵な出し方はできないと思う。第一次年度は地元負担はこれだけ、その反別について土地改良を行なうとか、第二次年度はこうなる、品種の改良についてはこういう金を出して研究所をこういうふうに拡充してやるという、すべての計画が基礎にあって、それに投入される農林省自体の積極的な計画と予算が見込まれて初めて五年後の作付面積がこれだけの確保ができるという自信と、収量はこれだけあがるという、そういう計画が具体的に生まれてくるものじゃないですか。それなしに言っているところに、先日来どうもあなた方言っているのは消極的でやみくもで、行き当たりばったりだという酷評をするのは申しわけないが、感じがするんですよ。それは発表しないまでも、持っているんじゃないですか。
  212. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) われわれといたしましては、この法律が成立しましたならば、あらためてこの法律の遂行のために新しい五カ年の計画をつくって、それでやっていきたいということで鋭意検討を進めておるわけでございます。これは毎々御説明したとおり、もしも現在までの問の空白の期間なり、あるいは自由化後におきましての何らの計画も立てなかった、従来の実績と計画をそのままにして今日に至ったということに対して手落ちがあったとすれば、まさしくわれわれの責任であります。われわれといたしましては、将来この法律に基づきまして計画を確実に実行していきたい、こう考えておるわけでございます。
  213. 米田勲

    米田勲君 この法律がきまりましたら、計画をそれに基づいて立てますというのも、一つの理屈かもしれません。しかし、あなた方がこ法律案を提案しながらいろいろの計画をわれわれに知らしたでしょう。ですから、その計画を裏づけするところの条件はどうなっているということを答える義務がある。法律案だけ出しているんじゃないでしょう。先日来いろいろの計数もその見通しについても、われわれに発表したんだから、あれは一応いいかげんなものですとは答えられないでしょう。そうなれば裏づけをする条件を持っておるんじゃないですか。発表ができないならできないとはっきり言って下さい。
  214. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) きょう提出いたしましたこの資料は、ここに書いてありますように、内部の検討資料であります。で、時間的なそごはあるかもしれませんが、最終的に計画ができ上がる段階におきましては、そういう財政投融資計画生産計画とそれを両方合わせて一本になるわけです。
  215. 米田勲

    米田勲君 この法案を裏づけする計画と、その計画を達成させるための諸条件についてはいまのところ計画がないと、こういうふうに判断していいんですか。
  216. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 既定の計画をまだ修正いたしておりませんので、いまの段階では新しい計画はないと申し上げるよりしかたがないと思います。
  217. 米田勲

    米田勲君 これは私は重大だと思うんですよ。われわれに見せられた数字というものは架空な数字としか考られなくなってきた。ですから、今晩八時ごろになると日韓会談が終わるそうですから、そのあとひとつあなた方相談をして、あす、示す資料を、あす資料を出すことになっておるんですから、作付面積の五カ年計画、収量の五カ年計画とか出すんですから、それを達成させるためのいろいろな条件とそれを裏打ちする経費はどれくらい見込む必要があるかというものを大臣と相談をして、あす大臣からそのことをここで説明させるようにしてもらいたい。そうでなければ、われわれは安心してこの法案に賛成いたしますと、これはたいへんにけっこうな法律案でしたということにはならないですよ。衆議院で社会党は賛成してきたかもしれないけれども、われわれはそういう審議の最中にまるで当てにならないようなことを言われたんではだめですよ。委員長、これは今晩中にもう少し責任のある、もちろん大蔵省がおるんですから、そう一方的な話はないとしても、農林省側で少なくともこの目的を達成するためには、これだけの五年間に経費を投入する必要があるということだけでも出さなければならぬでしょう。それは土地改良についてはどう、研究に対してはどう、品種改良についてはどう、いろいろな部門があるでしょう。そういうものに対しておおよその見通しを持ってこういう農林省としては今後の努力目標を持っておるんだ、したがって、こういう作付面積計画については、実現できる可能性が非常にあるんだというふうに納得さしてもらわなければならぬ。われわれの立場になってひとつ長官考えて下さい。何だかやみくもで、のれんに腕押しで、一応わかりかけたところでぐるっとわけのわからぬことになってしまう。委員長、たいぶ疲れておるようですから、そこをまとめて、すかっと農林大臣から話してもらって、そのときには需給計画自給率の問題ももちろん込みになってまいりますから、ひとつそこのところから農林大臣にすぱっとした話をしてもらって、そういう納得の上で一瀉千里に審議を進めるということのほうがいいんじゃないか。
  218. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) そういうことになってまいりますな。━━━━━━━━━━。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  219. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後四時五十五分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕