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1964-03-19 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十九日(木曜日)    午前十時十四分開会   —————————————   出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            山崎  斉君            大河原一次君            小宮市太郎君            矢山 有作君   政府委員    農林政務次官  丹羽 兵助君    農林政務次官  松野 孝一君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    食糧庁長官   齋藤  誠君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁業務第二    部長      中島 清明君   —————————————   本日の会議に付した案件甘味資源特別措置法案(第四十五回  国会内閣提出、第四十六回国会衆議  院送付継続案件) ○沖繩産糖政府質入れに関する特別  措置法案(第四十五回国会内閣提  出、第四十六回国会衆議院送付)  (継続案件)   —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府質入れに関する特別措置法案一括議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 北條雋八

    北條雋八君 このたびの法案の立案にあたりましては、過去三年間のいろいろの実績あるいは経験によりまして、前の計画とはだいぶ違ってこなきゃならぬはずだと思うのです。政府案では第三条で、需要生産長期見通しを立てているだけでありまして、自給率をどの程度まで引き上げるとか、また将来の構想がだいぶ変わってきておるのでありますが、積極的な意欲というものがちっとも見られない。この際、今後の長期生産計画を示して、そして施策の目標を、この際はっきりと明らかにすべきであると考えるのでありますが、そういう点に対しまして、政府の御所信をまずもって伺いたいと思います。
  4. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいま御指摘になりましたこの法案を運用するにあたりまして、将来自給度向上という見地からの見通しを明らかにしてやるべきではないか、こういう御質問でございましたが、まことにわれわれもそのような考え方でこの法案を運用すべきであるというふうに考えております。御指摘目標につきましては、第一条に、当初政府案を策定いたしましたその後におきまして、砂糖類自給度向上という目的を第一条につけ加えましたのも、そのような意図から出ておるわけでございます。そこでその自給度向上目標を受けまして、第三条におきましては、今後の砂糖数生産及び需要長期見通しにつきまして、これを策定し、向上することに相なっておるわけでございまして、これは農業基本法ですでに砂糖類についての四十六年度におきます需要長期見通しを出しておるわけでございます。これの具体化としてここに掲げておりまする甘味資源作物につきましては、さらに生産見通しを立ててまいりたいというように考えておりますが、現段階におきましては、基本法におきましては、てん菜だけが掲げられておるわけでございます。それをさらにてん菜甘蔗等も含めまして今後の生産見通しを立ててまいりたいというふうに考えておるわけでございます。実行にあたりましては、第三条による見通しばかりでなしに、もう少し一昨日も御質問にお答えいたしたわけでございますが、おおむね五年程度の実施の見通しの立て得る状態を想定いたしまして、国内甘味資源についての生産計画を立て、これをこの法案によって新たに設けられることになっております甘味資源審議会意見を付しまして、これを指針といたしまして、今後の生産計画の遂行をはかってまいりたい、こういう考え方をしておるのでございます。
  5. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、まだその見通しというものははっきり立っていない。自給率にしましても、前の計画どおりやはりこの前の五〇%というものを目標にしておられるわけでございますか、この前の参考資料の七ページ、六ページにございますが、三十五年、三十六年、三十七年の生産実績というものがありますけれども、これで見ましても北海道てん菜長期計画、これとはだいぶそごを来たしておるのであります。作付面積の三カ年間の合計は、計画の十四万三千七百ヘクタールに対して、実績は十三万一千ヘクタールで一万二千七百ヘクタールの植え不足になっております。また生産砂糖の量、糖量、やはり三カ年間の合計計画が五十三万六千トンになっておりますが、これに対して実績は四十一万二千トンで十二万四千トンの減産になっており、非常に将来の見通しというものはあやしいような結果になっております。はたしてこの計画に近い実績をあげられる見込みがあるのかどうか、これは現在でもわかっておることと思います。その点伺いたいと思います。  なお、この前の委員会でもいろいろお話がありまして、一工場当たりてん菜所要量というものは、少なくとも十二万トン北海道では要るという話でありまして、そうすると、十二万トンのてん菜をつくるには七千ヘクタールの耕地が要る。しかもこれは輪作を四年といたしますると、一工場でもって二万八千ヘクタールの畑地が必要ということになるわけです。そうしますと、北海道では七工場を二つふやして九工場になっておりますから、結局その九倍耕地が要るわけです。そうすると、二十五万二千ヘクタールの灯地をそれぞれの工場を中心として集団的に確保しなければならないということになります。そういうことがはたしてできるかどうか、非常に私は疑問に思うのであります。生産見通しを立てるのに最も根本基盤といいますか、すなわち、耕地面積が確保できるかどうかということは、これはもう大事な前提として考えなければならないと思います。実地調査は、これはなかなか困難でありましょうが、図上の計画にしても、だいじょうぶやれるという確信は持っておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  6. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 北海道計画実績そごの点につきましては、御指摘のとおりでございます。現在北海道庁におきまして、個々の計画につきまして再検討を加えておりまして、近く道庁案が出てくるはずになっております。これは前回計画に対して相当縮小した案になってくるであろうと予想されておるわけでありまして、それでは将来一体どの程度見込みがあるかという点につきましては、実は北海道で現在つくっております計画では、四十二年に約七万二千町歩ビート作付面積にしたいというふうな計画になっておるわけであります。これはその裏づけといたしまして、これの約四倍ないし五倍の適地面積を確保したいということを前提に考えているのでございます。つまり三十万町歩前後の適地は確保したいし、またできるであろうということを前提として、長期的な見通しとしては七万町歩余りのものを考えております。しかしこれが実現されるためには、当然土地改良、それから土壌改良等土地基盤の整備の事業が伴わなければならんのでありまして、その点については、相当国費をつぎ込んで現在までそういう事業をやったわけでありますけれども、まだまだ要改良面積はたくさん残っております。これらのものの促進によって、将来の可能性としてはその程度のものは十分可能であろう、そう考えているわけであります。
  7. 北條雋八

    北條雋八君 次に伺いますが、甘味資源作物生産安定性について伺いたいと思いますが、いまのところ、てん菜の年産がだいぶ停滞しております。それに反してサトウキビの生産が伸びているように、この資料で見るのでありますが、いずれにしても、両方のものが将来安定した畑作成長農産物として、農民が安心して栽培できるようにするには、技術的にもまた経済的にも、的確な見通しなり方針を持っていなければならんと思います。特にてん菜につきましては、競合作物との関係がありますそのほかに、のみならず暖地ビートにつきましては、栽培の技術もいろいろな困難な問題がありますことは、これは従来の経験によりまして、またいままでの実績に徴して明らかであるのであります。そこでまず伺いたいのは、イモ作、それから飼料作等の、ほかの畑作物との競合関係並びに暖地ビート栽培技術的な問題の克服について、政府はどういうふうに考えられておりますか、その点を伺いたいと思います。
  8. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 暖地ビートにおきましてのそういう栽培上の問題といたしましては、これは暖地ビートは冬作として考えているわけであります。つまり秋まき春収穫、したがいまして直接の競合作物といたしましては、麦、なたね類であります。これは御存じのとおり、特に暖地におきましては気象条件等の不利なことがありまして、非常に生産性が低いわけであります。これと比べれば、相当ビートというのは農家経済にとってプラスになるであろうということが考えられまして、その点はきわめて有利な条件であろうと思っております。ただしかし、ビート秋まきであるために、かりにこれにカンショとつなごうとしました場合に、カンショ早掘りをしなければならないという問題があるわけです。カンショ早掘りをしますと、当然収量が減りまして、現在のようにカンショというものが非常に基幹的な作物になっている鹿児島県の実情では、なかなかこれは広く普及するわけにはいかない状況であります。現在のところでは、カンショあと作ではなくして、夏作の大豆飼料作物等あと作としてビートを植える。むしろビートあとカンショを植えていくというふうな作付体系を想定して、現在約六万トン程度を五年後には増産したいという計画をつくっております。さらにこれを拡大生産するためには、どうしてもカンショとの関係をもう少しうまく調整しなければならない。一面から申しますと、農家におきましてもある程度現金収入を確保したいという面から、収量は低いが早掘りカンショもある程度行なわれております。それからビート移植栽培という方法でもって、早掘りでなく、普通掘りに近いような状態でもってカンショ処理し、しかる後にビートを入れるという方法も考えられる。これは現在ある程度実現可能な解決策であります。それから将来の問題といたしましては、当然これはカンショのほうも品種改良というような点から、早掘り可能なカンショをつくり出していくというようなことも考えていかなければならないと思いますけれども、しかし、これは相当技術的な問題がありまして、今後の研究問題だろう、そう考えているわけであります。
  9. 北條雋八

    北條雋八君 参考資料の八ページ、九ページにも、競合農産物収益比較表が出ておりますが、これで見ましても、三十七年度の一時間当たり家族労働報酬、これを見てみますと、ビートが一番少ないのですね。ビートは九十六円九十四銭になっております。ところが豆あるいはアズキ大豆、これらの、一番多いのは普通の豆で二百七十二円四十銭、またアズキにしても二百九円八十九銭、非常にこれは差があります。もっとも、葉っぱ飼料に使うことにして、その葉っぱを加えた金にすればビートも百七十三円三十六銭となっておりますけれども、これで見ましても、決してビート農民にとって有利な作物だというふうには考えられないわけでございます。で、この点につきまして、これは北海道だけの問題でありますが、暖地ビートについてもこういうことが言えるのじゃないかと思いますが、暖地ビートのこういう統計がありませんからわかりませんが、そういう点は北海道についても、また暖地ビートについても何か資料があるなら、それによってこれだけ有利なんだということを説明していただきたいと思います。
  10. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 暖地状況につきましては、先ほど申しましたなたね、麦との比較でございますが、統計調査部の三十六年の調査によりますと、一日当たり家族労働報酬が、裸麦につきましては百六円、それからなたねにつきましては百九十円、それに対しましててん菜は三十六年度の試作のものにつきまして鹿児島県が調査した資料によりますと、一日当たり労働報酬三百二十二円というふうなことで、裸麦、なたね等に比べますと、てん菜収益性暖地においては非常にすぐれておるということが言えると思います。
  11. 北條雋八

    北條雋八君 いまのは一時間当たり家族労働報酬ですか。
  12. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) ちょっと現在の資料に一時間当たりのものがございませんので、ただいま申しましたのは、一日当たり家族労働報酬であります。
  13. 北條雋八

    北條雋八君 一時間当たりでやはり比較するのが至当じゃないかと思うのであります。労働力の非常に多いところなら、そうとも言えないかもしれませんけれども、最近は特に労働力が減ってきておることは御承知のとおりであります。また、てん菜糖はそのほか非常に不利な、連作ができないというような点もありますし、ほかの成長農産物に比べて非常に条件が悪いんですから、一時間当たり家族労働報酬でもって比べて判断するのが至当じゃないかというふうに思うんです。その点について政府の御意見を伺っておきたいと思います。
  14. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 一時間当たりの実は資料が現在手元にございませんので、至急調べまして後刻また御報告いたしたいと思います。
  15. 北條雋八

    北條雋八君 このビート適地を選ぶと、またビート成長農産物にするかしないかということが、非常に私は大事だと思うのです。特にいままでの経験に、また実際に照らしてみますと、そういう点を考えないで、はたして農家がこの作物をつくり所得がふえて、そうして生活水準が上がるかどうかということを確めないで、そうしてどんどん工場のほうが先にできて無理やりにこのてん菜をつくらせる。そうしてその結果は間違っていたというようことに将来なることがあるとすれば、これは非常に一つ企業の発展にとらわれて零細な農業を犠牲にするというような結果になるんじゃないかと思うので、この適地の選定ということについては、非常に慎重にやっていただく必要があるというふうに思うんです。そういう点に対しまして、政府はいままでの経験に徴して、今後一そう慎重にやられるかどうか、一応伺っておきたいと思います。
  16. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 御指摘のとおり、ビートを将来振興しようという場合に、まずいろいろな条件、経済的、自然的条件等におきまして適地であるということが絶対の条件でございます。そういう意味でこれはきわめて慎重にやらなければならないということでございまして、たとえば現在鹿児島県についてわれわれ策定しております計画は、大隅台地に限っての計画をつくっております。これは適地らしきものは鹿児島県の中では、ほかにもいろいろあるわけでございますけれども、現段階におきまして、ある程度相当集団的な栽培が可能なものは、まず第一候補として鹿児島県の大隅台地だろうということで、生産計画そのもの大隅台地だけに限った計画をもってその実現をまず期したい、その他の地域につきましては、今後十分検討した上で、可能性があることが確実になれば手を加えていきたいということで、きわめて慎重な態度で臨んでおる次第でございます。
  17. 北條雋八

    北條雋八君 次に、暖地ビートのための製糖工場がさしあたり、せんだって伺いますと岡山と、それからその後九州にできるように聞いておりますが、今度の附則の二条で特別買い入れ制度ができまして、両工場、またこれは北海道工場も正常な利潤が上げられるような状態になりますれば、それまでは買い上げを続けていく方針でございましょうが、これがいつまでその買い上げを続けていかれるのか、正常な利潤を上げられるまでということが、あまりはっきりしておらないのですが、大体どういう方針でおられますか。また、それから岡山工場は将来の見通しがあまり明るくないというようなことも聞きますが、これに対して政府は今後どういう措置をとられる方針であるか、この二点をちょっと伺っておきたいと思います。
  18. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいまお話になりましたように、暖地ビートにつきましては、当該生産県におきまして、適切な、適当な処理工場がございませんので、さしあたりは岡山既設工場処理させていきたい、こういう考え方をとっております。そこで、岡山処理いたします場合におきましても、現在の収量からみますと、ある程度通常操業度のもとにおいて形成される価格が、どうしても割高にならざるを得ないという面が出てまいりますので、政府といたしましては、この法案が通りました場合におきましては、この法案に基づいて買い上げ措置を講じたいという考え方を持っておるわけでございます。買うといたしますれば附則の第二条に基づいて買うということに相なるわけでございますが、附則第二条で予定いたしておりまする買入れの特例につきましては、ここにございますように、新しく製糖企業を新設、工場を新設したような場合において、集荷面に著しい不利を受ける。そこで、通常標準コスト買い上げ価格をきめたのでは、非常な不利になるということを考えまして、特例を認めたのでありますが、それが一つでありますが、その他政令特別の事由がある場合ということで、いまの指定地域内において工場がないというような場合に、他の工場に持っていって処理せざるを得ないというような際に、この政令で認めて、買い上げの対象にしたい、こう思っておるわけであります。その期間につきまして、さしあたり新設したものは、まあ北海道においては、寒地においては、大体いまのところ予想されませんけれども、結局具体的には第二条に基づくものは、暖地ビート処理というようなことになろうと思っております。そこでその間、どの程度期間を予定しておるかということになりますが、暖地における生産計画を、県におきましていろいろと検討し、一応の計画を立てておるわけであります。この計画が、計画どおりに一応進展するということになりまするならば、大体三年後ぐらいには、現地に工場を持っていっても採算が、成り立つのではなかろうかというように考えられますので、第二条に基づく買い入れ期間といたしましては、大体そういう期間を見合って買い上げ期間にいたしたい、こう考えております。
  19. 北條雋八

    北條雋八君 次に、国際糖価見通しが、甘味資源作物生産にとって非常に重要であることは申すまでもないのであります。これについての政府の見解はどういうふうに考えておられるのか。これは非常な暴落がくれば、この法案根本がくずれてしまうことでありますから、その点について、まず粗糖は昨年八月一挙に自由化されまして、国際糖価の異常な変動もございました。そういうような変動に備えて、弾力的に関税を変更できる制度をいまから設けておく必要があるんじゃないかと思います。これは農業基本法の十三条にも、こういう輸入のために非常に国内農産物打撃を受ける、または不利な状態におちいったときには、関税の操作をすることができるという、またしろというような条文がございますが、この関税をそういうときには弾力的に変更できるという制度をとることはできぬのですか、どうですか。またそういうことを、非常に悪いケースを想像して準備しておく必要があるんじゃないかというふうに考えますが、政府のそれに対する所信を伺いたいと思います。
  20. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 今後の国際糖価の推移がどのようになるであろうかという御質問が第一だと思いますが、御承知のように、昨年の下期におきまして、国際糖価が急騰いたしまして、前半期五セント、六セントというところから最高ポンド当たり十二セントまでに暴騰したというようなことでございまして、非常な最近にない高騰を見たわけでございます。これは全体的にやはり需給が相当引き締まってきたことを反映しておるわけでありまして、特に輸出国であるキューバの生産が非常に減産したといったようなことなりが、大きく影響いたしておると思われるわけでございます。今後の需給見通しにつきましては、なかなか予測が困難で、特に糖価につきましては、一そう困難なものがございますが、十二セントぐらいであったものが現在では七セント台にすでになっておるというふうなことがあります。しかし、われわれの入手し得る砂糖理事会統計委員会が本年度砂糖需給を示しておるものがございますが、それによりますると、やはり輸入必要量のほうが輸出可能量よりも多目に出て、結局不足するというふうな数字として発表されておるわけでございます。ただ、今後欧州におきまする東欧諸国におけるビート生産状況がどうなるか、あるいは共産圏購入数量がどうなるかといったようなことによって今後影響するであろうという注がついておりますけれども、大体において今年度におきましても、全体としてはまだ緊張した、引き締まった需給関係になるんじゃないかという発表をいたしておるわけでございます。具体的に申しますと、供給量としては、つまり輸出可能量としては千四百五十二万トン、輸入国需要量としては千五百四十万トン、差し引き八十八万トン不足するという数量になるということを発表いたしておるわけであります。ただ先ほど申し上げましたように、これには、東欧諸国ビートの今後の生産見込みがどのようになっていくか、あるいは共産圏需要見込み量がどのように変動するか、これが変動する要因になってくることをつけ加えておりまして、価格関係によりまして需要量も多少変動したり、供給量も多少変動したりすることになろうかと思います。そこで、本年度といたしましても、なかなか価格についての確たる見通しを立てることは、まず困難ではありますものの、いま申し上げたような数字を反映しますと、そう大きく暴落するというようなことにはならないのではなかろうかというふうにわれわれは考えております。  第二の御質問の、将来暴落した場合における関税的な措置はどう考えるかということでございますが、これは御承知のように、緊急関税制度がございまして、それによって国内生産に著しき打撃を与えるというような場合におきましては、緊急関税制度があるわけでございまするので、もちろんそういう際におきましては、それによって対処し得るということは可能であると思うわけでございます。われわれも将来そういうことに対しては、十分応ずるような研究検討をいたしておるわけであります。
  21. 北條雋八

    北條雋八君 関税につきましては、いわゆるケネディ・ラウンドによる関税一律引き下げ、また後進国産品、これは主として農産物になりますけれども、そういう後進国の産物の関税障壁緩和要請、こういうことによりまして貿易量もだんだん増大してくると思います。現在わが国もOECDに加盟しますし、また最近八条国移行が現実化しましたというようなことで、こういう立場に立ったからには、これからの動きに、いたずらにこれに対して反対することはできないと思うのです。砂糖は特殊な国際商品でありますから、あるいは特例措置が認められるかもしれませんけれども、しかし、わが国糖価は他に比べて非常に高率の関税がかかっておりますから、一がいに全然今後心配ない、悪い影響を受けないで済むとは思いません。この問題について政府はどういうふうに考えておられますか、御所信を伺いたいと思います。
  22. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいまお話になりました関税問題についての今後のあり方でございますが、御承知のように、砂糖につきましては、国際的な協定として砂糖協定というのがあるわけでございます。これによって輸出国輸入国における需要供給の調整と価格の安定をはかっていこうという内容のものができておるわけでございますが、現在、これは実質的な内容としては、条項が停止されているというふうなことになっておりますが、最近、昨年のごとき非常な不安定な状態を呈しております際でもありますので、わが国といたしましては、こういう国際協定の中におきまして、砂糖価格の安定をはかっていくということは、必要であるという考え方をとっておるわけでございます。したがって、今後におきましても、このような砂糖についての国際協定については、積極的な参加をいたし、必要な意見を述べ、わが国にとって有利な安定した価格で推移するようなことを、この協定に求めておるということでございます。こういう商品協定が一方においてできました場合におきましては、それだけ国際的にも砂糖の取引が安定化するということになるわけでございますので、その限りにおきましては、各国が関税についての特恵的な免除とかいうようなことは、それだけ比重が小さくなってしかるべきではないかというふうにも考えられます。しかし、商品協定の一方の動きと、商品協定農産物について進めるべきであるという動きと、他方において、ガットの中におきます一般的な関税面におきまするところの軽減というふうな論議がありますので、両建てで今後いろいろこの問題についても論議されることになろうかと存じます。関税問題につきましては、今後もガットの場面におきまするいろいろの討議があることと存じますけれども、昨日も申し上げましたように、わが国といたしましては、農林省といたしましては、現在のような糖価の不安定なときでもありますし、また国内甘味資源保護という建前からいいまして、現在の関税を大幅に下げるというようなことは困難であるというように考えております。
  23. 北條雋八

    北條雋八君 時間がありませんから、次に、甘味資源作物の最低生産価格について伺いたいと思うのですが、この最低生産価格がどんな水準にきめられるのかということは、非常にこれは国内生産を左右する大きい問題であります。で、法案では、二十二条にパリティ価格を基準とすることとあります。それで再生産の確保を旨とするということをうたっております。また、衆議院の附帯決議を見ますと、その第二項で、さらにこれを具体的に規定しております。しかし、実際にどの水準に落ちつくかについては、非常にあいまいに思うのです。で、衆議院の附帯決議を見ますと、三十六年の基準価格五千二百五十円、三十七年の基準価格が五千四百円、三十八年の大臣の勧告価格は六千五百円となっている。三十六年、三十七年の基準価格と三十八年の勧告価格との間に相当の開きがあります。またこの衆議院の附帯決議には、三十六年、七年の基準価格を基礎にせよというふうに書いてあります。本来パリティ価格の、昔の米価のように取引価格にパリティ指数を掛けて出すのが本来じゃないかと思うんですが、現実取引価格を基礎にしましてやるようなお考えはないんでありましょうか。この点伺いたいと思うんですが、もしわかればもうちょっとはっきり、この最低生産価格の算定を説明していただきたい。
  24. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 今回提案いたしました法案におきましても、またこの旧てん菜振興臨時措置法におきましても、最低生産価格という考え方をとっておるわけでございますが、若干今回の法案におきまするたてまえは、旧法におけるたてまえと相違があるわけでございまして、この甘味資源法におきましては、てん菜の再生産を確保するための最低月産者価格については、これは政府が最終的に支持しようと、そしてその支持する手段といたしまして、その最低生産価格以上で買ったてん菜糖企業がそれを原料としててん菜糖をつくった場合においては、その価格が著しく市場価格が下がったためにコスト割りするというような事態に対しては政府買い上げよう、こういう措置をとっておるわけでございますが、しかし、この取引価格につきましては、最低生産価格を離れて現実には市場価格変動なり、あるいは工場の操業率によって支払い能力というものについては別にまた考えられるわけでございます。そこで、その間におきましては、生産者と企業との間において現実的な取引価格というものはきまってくるだろう。で、政府が支持いたしますのは、生産者に対してビートの再生産確保のための必要な最低価格を保障する、それ以上の現実の取引価格は、むしろ生産者と、あるいは生産者の団体と政府企業間において合理的な取り決めが行なわれたほうが望ましいんではないか、その際どうしても両者の間において話がつかない、しかも、生産者の農業経営の改善、あるいは農家所得の維持という見地から、そのまま放置することは不適当であるというような際におきましては、取引価格について指示することができる。これは法律の第十八条によってできるというシステムをとっておるわけでございます。昨年度はこの法案がございませんでしたので、農林大臣の勧告価格ということで取引価格を指示いたしたわけでございます。そこで、最低生者価格と取引価格というものにつきましては、その間、取引価格が最低生産価格を下回るということはまあないと思いますが、その間において買い入れがあってもよろしいではないか、そこで最低生産価格において取引価格をいきなり基準としてパリティに伸ばすという考え方を今回もとらなかったというわけでございます。
  25. 北條雋八

    北條雋八君 再生産の確保を旨とするということに法案はなっておりますが、その意味が具体的に私は了解しにくいのですが、この意味は、たとえて言うと、「ポケット農林水産統計」、これで見ますと、農林統計の三十七年度産のてん菜のトン当たり生産費というものが出ておりますが、これで見ますと、三十七年度が五千七百十二円というようになっておりますが、こういうように一応出ているわけです。また、そのほかに考えられることは、標準的な栽培農家における生産費というものもこれは出せることは出せると思うのです。また米のような補償方式もありますし、バルクライン方式とか、いろいろ出せることは出せるのでありますけれども、どの方式を採用するかということにつきまして、何かお考えがあるなら伺いたいし、また、この旨とするという意味はどういう意味であるのか、その点もあわせて伺いたいと思います。
  26. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 第二十二条におきまする最低生産価格のきめ方の考え方でございますが、ここにございますように、基本といたしましてはパリティ価格というものを基準にいたしまして、従来政府の旧法に基づいてきめておりました最低生産価格、つまり支持価格に対して、その後のパリティ指数の変動に基づきまして、物価の上がった部分だけを修正していこうという価格を基準にいたしてまいりたい。しかも、それをできるだけ最近時におきまする状態を反映いたしたものでパリティ価格を算出し、それを基準といたしていきたい、こういう考え方をとっておりますので、原則といたしましては、前年度の支持価格に対してパリティ指数を乗じて算出した価格を基準にいたしたいという考え方でございますが、同時にそれの参酌価格といたしましては、当然パリティ指数によってやったのでは、年によって豊凶があるという際においては、これは必ずしも反映しないわけでございます。そこで少なくとも生産費についてはこれをカバーする価格であることが必要であるという考え方をとっておりまして、したがって、この生産費については統計調査部北海道におきますビート生産農家調査をいたしております。この生産費の内容を見ますと、やはり経営規模の大きいほど生産費は低いわけでありますが、考え方といたしましては、全調査農家についての生産費を取り上げまして、これが維持確保できるような価格を参酌価格にする。さらにまた、ビート農家が選択いたします場合に、やはり競合作物との有利不利という点もございますので、先ほど御質問ございましたように、他の競合農作物の粗収入が著しく不均衡にならないような価格を出すとすれば、どのような価格にすべきであるかという競合作物との価格関係を参酌価格にするというようなことで、再生産の確保ができることを考えて、総合判断しながら価格を最終的にきめていきたいという考えでございます。
  27. 北條雋八

    北條雋八君 次に、この法案を見ますと、第二十七条のブドウ糖の売り払いということがある。規定されておりますが、このブドウ糖以外の国内糖の売り払いについては、一切規定されておりません。売り払いについてはどんな方針でやられますですか。これは万一の場合を考えますと、価格が非常に上昇したような場合の措置をやはり規定しておく必要があるのではないかというふうに考えますが、その点は政府はどういうふうに考えておりますか。
  28. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 二十七条におきましては、国内産ブドウ糖の売り払いの方法といたしまして随意契約によって売り渡すことができるということを規定しておりますが、なぜそれ以外のものはないのかということでございますが、価格につきましては、これは一般的に時価で販売するということでありますから、特に他のものについて書かなかったわけでございます。ブドウ糖につきましては、政府買い入れた物品につきまして一般的に販売する場合は、御承知のように予決令に基づいて一般入札によって販売するというのが原則でございますが、ブドウ糖につきましては、御承知のように、これは長期の保管に耐えられないという特性がございまして、買って長くそれを保管して、そして価格が上がったときにこれを一般入札によって売り払うというようなことが、きわめてむずかしい性質のものであります。したがって、これを販売する場合におきましては、一般入札によっては不適当ではないか、政府が買ってすぐその生産者に市場価格で売り渡すというような方法が一番取り扱いとしては適切なものではないかということを想定いたしまして、ブドウ糖については、特に随意契約によって売り渡すことができるという規定を入れたのであります。それ以外の場合については、特に書かなくても、直売り渡しの方法として、一般入札であるということで書かなかったわけでございます。
  29. 北條雋八

    北條雋八君 そうすると、そのほかのものについては価格がきまっているから、その値段で売るから要らないのだ。法文に規定する必要がないのだということですか。
  30. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) はい。
  31. 北條雋八

    北條雋八君 次に、そうすると黒糖についてちょっと伺いたいのですが、黒糖の生産高は沖繩、奄美大島、これを合わせてどのぐらいあるのか、また黒糖の生産者、生産農民、それはどのぐらいあるのですか伺いたいと思います。
  32. 中島清明

    説明員(中島清明君) 黒糖の生産高でございますが、これは奄美と沖繩と合わせまして大体三万トン程度でございます。なお、黒糖の生産農民という御質問でございますが、これは地域によりまして、黒糖工場に売りましたり、あるいはイースト工場に売ったりいたしておりますので、農民の数といたしましては正確につかんでおりません。
  33. 北條雋八

    北條雋八君 大体でけっこうです。
  34. 中島清明

    説明員(中島清明君) 奄美と沖繩と合わせまして、キビ作農家は大体八万戸でございますので、鹿児島がそのうちで三万戸でございます。大体八万戸でございますが、この八万戸の中で実際に黒糖の原料だけをつくりますものがどの程度ございますか、必ずしも明確でございませんが、黒糖と分蜜糖の生産比率等から推定いたしますと、含蜜糖だけのキビをつくっております農家は、おおよそ三割程度以下の農家ではなかろうかというように推定をいたしております。
  35. 北條雋八

    北條雋八君 沖繩はどうですか——それでいますぐわからなければ、これは調べて書類でひとつ出していただきます。  それで、黒糖につきましてこの法案では政府買い入れ措置がとられておりません。その理由を伺いたいと思います。なおあわせて、衆議院の附帯決議は、黒糖の生産調整と黒糖の生産地帯のサトウキビをつくっている農家の保護について出ておりますけれども、その具体的の内容をもっと詳しく説明していただきたいと思います。この二点。
  36. 中島清明

    説明員(中島清明君) 黒糖につきましては実はその種類、規格等が雑多でございまして、統一的な規格を作りまして買い上げの対象にするということが困難であるという事情が一つございます。それからもう一点は、非常に保管がむずかしくて、つまり変質をする可能性等がございまして、政府の設備で買い上げをいたしましても保管ができませんというような事情もございますのと、それから最近ではだんだん分蜜糖化が進んでまいりまして、いわゆるサトウキビの相場というようなものもほとんど大部分が、サトウキビが分蜜糖用に買い付けられるわけでございますので、分蜜糖の買い付けを、買い入れを通じまして、間接的に保護されるというような事情がございますので、黒糖はこれは買い入れの対象にしないという方針をとっておる次第でございます。そこで政府といたしましては、なるべく極力分蜜糖化を進めるという方向で従来から指導をいたしておるのでございますが、どうしても山間僻地あるいは離島等で地理的に非常に便利が悪いために、分蜜糖化工場までキビを運べないような地帯もあるわけでございます。そういう地帯の農家につきましては、これは分蜜糖化すると申しましても、実際問題としてできないわけでございますので、実は生産調整という附帯決議にございますのは、黒糖の固有の需要等をいろいろ調査をいたしまして、毎年琉球政府鹿児島県で、黒糖の生産につきましてどの程度数量をつくったらいいかというような調整をいたしておるのでございます。そういう調整の際には、いまの分蜜化ができないような地域の黒糖につきまして、それを優先的に、要するにその黒糖生産業の中に取り入れるというような措置を講じまして、黒糖生産農民の保護に遺憾のないように措置をいたしたいというように考えておる次第でございまして、衆議院におかれましてもいま申し上げましたような趣旨で附帯決議がなされたものと考えております。
  37. 北條雋八

    北條雋八君 この離島、あるいは僻地の黒糖の工場しかたい地域でも、サトウキビの価格を維持するという政府に自信がおありなのかどうか、それを伺いたいと思うのです。価格が下がりまして最低生産価格以下になった場合は、どういうふうになされるのかということを伺いたいと思います。そういうこともむろん考えておられると思いますが、いかがですか。
  38. 中島清明

    説明員(中島清明君) 黒糖につきましては、実は花林糖その他固有の用途がございまして、しかも生産は最近の状況では毎年減ってきておりますので、黒糖のいわゆる対上白価比におきましても、むしろきわめて有利な数字を示しておるようなことでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、生産調整等を通じまして黒糖の生産量を適当な数量に規制をしてまいりまするならば、御心配のように黒糖のキビの価格が下がって、生産農民が黒糖用にだけしかキビをつくれない、生産農民が非常に困るというような事態になることはないというぐあいに私どもは考えております。
  39. 北條雋八

    北條雋八君 ともかく人数はまだよくわからないのでありますけれども、非常に古くから伝統のある零細な農民ばかりであるのですから、そういうものに将来所得をできるだけふやしてやるようなぐあいに、との黒糖生産者に対する政府の保護措置を今後十分とっていただきたいというふうに思います。大体私の質問はこれで終わります。
  40. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をつけて。
  42. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 たいへん私荒っぽい質問ですから、お答えのほうもこまかなことは要りません。前委員会で御質問いたしたことでありまして、御答弁もありましたが、暖地ビートの将来性といいますか、どうもまだ釈然と私はいたしません。非常に暖地ビートは今後いろんな技術面あるいは病虫害の防除等、的確にやれば相当有望だというようなお話もありましたが、すでに大分県では、ああいうような工場も閉鎖するというような事情に立ち至っておりますが、その辺のところをひとつ、どういう原因でああいうふうになったかお答えを願いたい。
  43. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 大分県あるいは岡山県等で、いままで推進をしたにもかかわらず失敗に帰した大きな原因といたしましては、これは先日申し上げたわけでございますけれども、作期型と病虫害との関係の問題がございます。ビートは大体二千四百度程度の積算温度がないと、反収三トン以上というものは確保できないわけです。したがって、われわれといたしましては、今後そういう基準でもって適地を判定していくということを考えております。ところが岡山とか大分におきましては、二千四百度程度以上確保するためには、大体夏作でもっていかなければならない。冬作ではそこまで確保できない。そこで、夏作である程度推進をしたわけであります。これは当然予想されるべき問題であったわけでありますけれども、病虫害の発生ということがありまして、どうしてもやはり夏作では無理だ、冬作でないと日本の暖地ビートはどうもうまくいかない。もちろん、これは将来品種改良というものが進みまして、耐病性の品種が出てきますればまた別の問題である。その点におきまして、現状においては少なくとも冬作でもって二千四百度以上を確保できるような地帯でなければ無理だろうということがわかってきたのでありますけれども、そういう点、大分県は相当接近はしておりますけれども、やはり無理な地帯であるということがいえると思います。  それからもう一点は、これは特に岡山の問題でございますけれども、比較的零細な農家がたくさんあって、そこへ五畝とか、一反という小規模な導入をはかって、それをたくさんの農家に導入していって、そうして大きな面積をかせごうというふうに考えておったわけであります。これもやはり無理があって、結局普及度というものが、なかなかそういうふうに多数の農家に対して急速に普及するということはむずかしいと思うのです。それから個々の農家がわずかな規模の栽培をやっている関係上、どうしても力が入らないというようなことがあります。そういうことでもってどうもうまくいかないというのが現状でございます。
  44. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 当初、農林省で暖地ビートをおすすめになるということで、私どもとしては非常に、九州地帯としては期待しまして、御承知のように麦作にかわる転換作物はないかと、これは非常に私たち九州地帯の農民農業経営の改善という観点からいろいろ検討してまいりましたが、これはいいなと、しかもあれは南條徳男農林大臣の時代でありますが、非常に各地を回られて、麦作なんかするよりも暖地ビートだというような、たいへん積極的なそのころのおすすめもあったように聞いておりますが、そういうことで非常に実は期待しておったわけであります。そういうことで、ただいま申し上げました大分県がああいう結果になったということは、たいへん暖地ビートのわれわれの期待がはずれまして、非常に失望しましたわけですが、しかし農業試験場あたりで試作しております実況を見ますると、必ずしも悪くない。それは相当な技術あるいは病虫害の防除等をやればできる。しかも私承っておりますと、消毒費が相当かかる。土壌消毒費に少なくも十アール当たり五千円ぐらいの消毒費を要する。そうすると、なかなか二トンや二トン半の生産量では、ほとんど経済作物として成り立たぬ。これはやはりしかたがない、麦をつくったほうがいいぞというようなことになって、これは方々の、私のほうでも各地で栽培やりました、実際農家の話を承りましても、どうしても土壌消毒費に相当な金がかかるので、それさえなかったなら、ある程度採算が立って、これはほんとうに畜産、ことに酪農あたりの営農上からいたしましても、非常に期待が持たれている。そういうようなことで、どうしてもあまりに土壌消毒費に費用がかかりすぎる、こういうことを言って、実はおるわけでございますが、その辺の事情はいかがでございましょうか。
  45. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) サトウキビ栽培にあたりまして土壌線虫を防除するということは、きわめて重要なことであります。そこで三十九年度予算におきましては、北海道及び暖地におきまして土壌線虫防除のための予算を組んでおりますようなわけでありまして、しかし、これは御存じのとおりさしあたり鹿児島県でやっていきたい、そう思っておるわけであります。大分県等につきましても、今後そういう相当の技術面の問題とあわせまして、こういった点も検討いたしまして、もちろん将来への可能性は研究を進めたいと思っておりますが、さしあたりは鹿児島県だけに限りまして慎重に試作を進めていきたい、そう考えておるようなわけでございます。
  46. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 先ほどのお話では、積算温度の関係で、大分県がどうも都合が悪い。鹿児島ならいい、こういう話ですが、そうしますと、つまり暖地ビート適地は、鹿児島以外にはないというわけですか、九州でも。
  47. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 鹿児島県とともに宮崎県が、一応適地ではないかということを考えておるわけでございます。ただ宮崎県につきましては、県におきましても、現に試作段階だということでやっておる関係上、直ちには振興地に指定する考えはありません。また、大分県につきましては、宮崎県のちょっと北にあるわけで、だいぶ近い線にはあるということは言えると思います。
  48. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 そうしますと、私たちのほうの天草あたりの暖地、あたたかいところもありますが、ほとんど暖地ビートの将来性は見込みない、こういうわけですね。
  49. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) これは技術の進歩とかね合わせの問題でありまして、現段階においては鹿児島、宮崎というふうに考えておりますが、その他の熊木とか大分につきましても、現在試作はやっておるわけでございます。試験研究を進めまして、その進行の度合いとかね合わせまして、さらに可能なら進めていきたい、かように思っております。
  50. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 そういうことでありますならば、暖地ビートにつきましては、熊本あたりは見込みないというふうに考えますが、これも先般の委員会で、特に藤野さんあたりが熱心に主張されておりましたが、ことにサツマイモ、カンショの問題でございますが、これはいまの結晶ブドウ糖の関係からいたしましても、これは重要な作物ではないかと考えます。特にいまのように暖地ビート見込みないといたしますならば、ことに九州は、長崎を初め鹿児島、熊本、宮崎、大分あるいは四国地帯というようにカンショ適地があるわけでございまして、相当これは甘味でん粉といたしましても、いま製造いたしておりますことは御承知のとおりであります。何か少なくともこのそういうような重点経営、一万町歩以上の栽培面積のあるところに対しましては、いまのてん菜とか甘蔗というようなものと同様に、ひとつ特別のこの作物に対しまして重要作物として、この地帯の基本法でいう成長作物ですか、そういうようなことに指定されて、積極的にこの奨励される意思はありませんか。
  51. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 現在われわれも予算の編成なり、その遂行にあたりましては、イモにつきましてもあるいはその他の作物につきましても、できるだけ重点的に主産地を対象として施策を進めていくということを基本的な考え方としております。したがいまして、カンショにつきましても、カンショの重要地帯であるたとえば九州では熊木とかあるいは長崎とか、鹿児島とか、そういった県につきまして重点的な施策を進めていくということになるかと思います。これをさらに特別地域を指定していく必要があるかどうかということは、将来の検討問題であろうかと思いますけれども、いま申しましたようなことで、われわれとしましても、実質的にはそういう重点施策を講じておるので、特に支障はなかろうというふうに考えております。
  52. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 いまのてん菜の問題等につきましても、私も北海道へ行きまして、寒地ビート状況も視察してまいりましたが、なかなか私は計画どおりにもつていくということは相当骨の折れることだと思います。ことに暖地ビートの将来性に至りましては、いま聞きますとおりであるならば、これは悲観的でございます。そういうことで非常にてん菜の問題には無理がありはせぬか。それよりもサツマイモ、いわゆるカンショ等の増産につきまして、これは相当成果があがるわけでございまして、サトウキビの自給度を増していくという上からいきましても、こういう方面にある程度重点を置きかえてやっていただきたい。私たちは特にサツマイモ地帯といたしまして強く希望いたしたいわけでありますが、これは御答弁は要りません。そういうことについてひとつ御検討を願いたいというふうに思っております。終わります。
  53. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 先ほどの北條さんの質問に関連するのですけれども、暖地ビートで従来春まきでやっていたのを秋まきに切りかえるというお話でしたけれども、春まきの場合と秋まきの場合で、反当収量にどの程度の相違があるのでありますか。特に糖分の含有量が変わらないのか、ある程度の差があるのか、その点についての調査といいますか、研究といいますか、それの結果をひとつ伺いたいと思います。
  54. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 現在そのこまかい資料を持ち合わせておりませんので、具体的数字につきましては、後日提出させていただきたいと思いますけれども、一般論として申しますと、結局反収と申しましても、それは病害虫被害等の結果としてあらわれてくる反収、岡山あたりの反収でありますが、これが一応われわれとしては二トン程度確保したいということでやっておったわけでございまして、それを相当下回るような結果になってきた。それに対しまして鹿児島県の現在の実績は大体二トン程度でございます。しかし、これはまだ技術が未熟でございまして、可能性としては近い将来に二トン五百程度までもっていきたい、またそれは十分可能であろう、そういうふうなことでやっているわけでございます。歩どまりの点につきましては、私いま数字を持っておりませんので、後日出したいと思います。
  55. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私はそういう技術方面のことの知識はないのですけれども、日照の関係、特に温度の関係その他の関係が、反当収量に影響があることは、これは常識的にもわかりますけれども、糖分の含有量に相当の違いがあるのじゃないか、その点がよく究明されていないと、反当収量はなるほどあがった、しかし秋まきの分は、案外に含有量が少ないというふうな危険がありはしないかという感じが、しろうとながらするのでありますが、だいじょうぶですか。
  56. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 私も技術のほうは、どうもしろうとでございますけれども、その点につきましては、実は秋まきビートの糖分というのは、冬場の寒さというものによって糖分の蓄積が行なわれるということでありまして、その点秋まきが特に春まきに比して不利であるということはまずないんじゃなかろうかと思っております。
  57. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 お互いにしろうと議論を戦わすと、これは非常に危険だと思います。ひとつ技術面のこれまでの研究があるに違いない。私たちしろうととして聞いているのでは、春まいて、そして夏の高温を経過していってでき上がる直前にやや冷えてきて、しかも何といいますか、日照があって、短い間に糖分の含有量というものが非常に増すのだというようなことも聞かされているのであります。そういう点はわれわれしろうと論じゃはなはだあぶないのですから、専門的な検討があるに違いない。これまで鹿児島において春やっておったのを秋に切りかえると、こういうことですから、それによって、西南暖地におけるビートの将来がそこにあるのだという政策の大きな転換なんですから、それだけのひとつこれはこうなんだということを、これはぜひお出しを願わないと、またあやまちを繰り返すようなことがあっちゃ申しわけない、こう思うのであります。
  58. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) その点につきましては、てん菜振興会等におきまして十分調査研究をやっておるわけであります。データもそろっておるはずでありますから、早急に提出さしていただきます。
  59. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それからこれはちょっと離れるかもわかりませんけれども、戦争中甘味資源が窮迫をいたしまして、その窮迫した事情を基礎にしていろいろと人工甘味料が使われだしたのであります。最近各種の食料品が加工の面において非常にふえてまいりまして、それに要する甘味資源といいますか、これが多分に人工的な甘味資源が使われているようであります、ズルチンとかその他いろいろなものが使われておるようであります。中には国民の健康、保健の面から心配されるようなものもあるのだということが、しきりに最近いわれております。ヨーロッパ方面においては、そういうものの使用を法制的に禁止されておるものも、日本においては大目に見られておるということを指摘しておる人もあるようであります。一体その人工的な甘味料というものが、どの程度使われておるのか、そういう資料といいますか、調査というものを農林省でお持ちでしょうか。
  60. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お話のように砂糖不足に伴って、人工甘味料の生産もだいぶん伸びてきておることは事実であります。いいか悪いかは別といたしまして伸びてまいっております。三十七年度の人工甘味料の生産量を申し上げますと、サッカリンが千六百トン、ズルチンが六百トン、チクロが六千トン、合計して八千二百六十トンというふうになっております。三十三年当時におきましては、大体二千七百五十トンというふうになっております。これの主たる用途でございますが、アイスクリームと清涼飲料、これに使われておるものと、それから菓子に使われておるものが非常に多くありまして、一般家庭用としては、わりあい少ないような割合になって、大体加工用に使われておるということでございます。
  61. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 普通の砂糖に換算すると、お話の八千トンというのは、どういう程度に相当すると見ていいんですか。
  62. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 砂糖に換算する計算方法はよく承知いたしておりませんが、八千二百トンでありますと、砂糖に換算いたしますと大体七十二万トン、こういうことでございます。
  63. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 非常に大きなウエートだということになるわけであります。その中でズルチンは人間の保健上好ましくないというので、ヨーロッパにおいてはその使用を禁止をしておるということがいわれておるのですが、それは事実であろうか、どうであろうか、御承知でしょうか。
  64. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) その間の事情を正確に承知いたしておりませんが、よく調べましてお答え申し上げます。
  65. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 お調べを願いたいと思います。  最近の、これは厚生省の所管でしょうか、国民栄養審議会で国民の栄養の将来のあり方の答申が出ているわけであります。その中で日本の国民のカロリー計算から見て、カロリーが欧米並みに比べると相当下回っておるので、これを上げるために砂糖の消費を増加すべきであるという趣旨の数字があったように、私は記憶しておるのであります。あるいは間違っておるかもわかりませんけれども、カロリーが欧米に比べて下回っておる、これは事実でありましょう。それを増していく一つ方法として砂糖を食わすのだという趣旨だとしますと、若干これは個人的の見解になるかもわかりませんけれども、疑問を抱かざるを得ないのであります。ああいう国民栄養のあり方を検討していく上において、その生産の面を担当する農林省として、どの程度そういう面に、行政面に参加さしておるのであろうか。言いかえますると、ああいうところでいろいろ示されて、砂糖はもっとカロリーを厚くするために必要だ。その計算をまとめていきますると、どの程度になりますか、私は相当の必要量が総量としては出てくるであろうと思います。はたしてそういうことが国内における生産及び輸入と両々相まってまかない得るのかどうかという懸念もあるのでありますけれども、そういう点についての農林省としての考え方がありましたら、ひとつこの機会にお示しを願いたいと思います。
  66. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 私も、いまお話しになりました栄養改善の将来のカロリーの目標につきましては、詳細を承知いたしておりませんので、いまにわかにお答えできないと存じますが、カロリー量の平均的な摂取量が年々伸びてきたことは、先生御承知のとおりであろうと思います。一昨日先生の御質問の中にありました昭和四十六年度砂糖需要見通しにつきまして、約二百万トンないし二百三十万トンという数字を申し上げたわけであります。これは一人当たりの所得の伸びに伴う、需要の増加、消費量の増加、人口の増加という点を見込んだ見通しでございまして、三十四年当時においては砂糖需要量が一人当たり一年間十三・二キログラムということであったのでありますが、それが一番高い需要量の場合におきましては、二十一・九キロという一人当たりの消費量の伸びを見ておるわけでございます。すでに現在におきましても、大体日本は十八キログラムぐらいに一人当たりいっておると思いますが、これを欧米諸国の一人当たり消費量、たとえば米国でありますと、一人当たりが四十七キログラム、英国が五十五キログラム、それから西独が三十二キログラム、フランスが三十四キログラム、イタリアが十九・八キログラムというふうな、多少これは年次によって違いますが、そういう消費量を比べてみますると、なお日本はまだ低いということになっております。いろいろ砂糖の消費量というものは、その労働態様によりましてだんだん変わっていくと、たとえば非常に肉体労働から精神労働に移るに従って、砂糖の消費量がふえるというようなこともいわれておりますが、いずれにしましても、日本におきましても一人当たり消費量はまだまだ伸びる方向にあると思うわけであります。
  67. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 これも先ほど北條さんの御質問に関連するのですが、大島の振興計画の上で、大島の糖業というものが大島産業の中心をなすものだと思うのですけれども、あれは五年計画でしたか、やってきたと思いますけれども、現在のところ、大島の糖業にどの程度の行政上の奨励といいますか、保護といいますか、の施策が行なわれているかお伺いしたいと思います。
  68. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 現在のところ大島等におきまする、つまり西南暖地におきまする甘蔗の生産面におきましては、いろいろの助成なり指導なりが行なわれておるわけでございます。糖業自身につきましては、従来主としてこれに必要な設備資金の融資のあっせんであるとかいうようなことを中心といたしておりまして、そこで、まあ今回甘味資源法が通りました際におきましては、この法案によって制度的な援助措置というか、行政指導というものが行なわれることになるわけであります。従来は多少行政指導の面におきまして含蜜糖から分蜜糖工場への転換であるとか、あるいは企業の合理化であるとかいったような面の行政的な指導と、あわせていま申し上げましたような融資のあっせん等の措置を講じておったわけでございますが、内地のビート糖と比べてみれば、企業自身についての直接的な指導というものはおくれておったのではないか、こう思っております。
  69. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 最後にお聞きしたいのは、これまで行なわれてきた、例の精糖会社でできた超過利潤といいますか、その積み立てが、現在までのところどの程度に積み立てられ、どういうふうにそれが運営されてきたか。将来この法案が実施されるといたしまして、あの制度がどういうふうに相なるのか、その大体のお考えなり現況等をお伺いしたいと思います。
  70. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 簡単にお答えいたしたいと存じますが、御承知のような経過で、精糖企業に生じました超過価格差益金につきまして管理会で積み立てを行なうということになっております。で、この価格差益の徴収の対象の期間といたしましては、三十四年度と三十五年度分に発生した超過価格差益金と、それから三十七年度の上期分と三十七年度下期分の価格差益金を徴収するということに相なっております。三十四年度、三十五年度の拠出予定額は十七億二千二百万円となっておりまして、現在までに徴収済みのものが四億三千万円というふうになっております。それから、三十七年度の上期が七億五千五百万円、それから三十七年度の下期が六億五千七百万円の徴収予定を見込んでおりまして、この分は大体現在までのところほぼ納入を見ておるわけでございます。若干、中小メーカー等につきましては、延納の措置をとるとか、あるいは一部支払い能力がないために、事実上免除された結果になったところもありますが、それ以外のものにつきましては、おおむね徴収されておるのが現今の情勢でございます。で、これの支出につきましては、甘味資源振興資金管理会におきまして運営委員をあげまして、これについて国内甘味資源生産振興に必要な助成を行なうということにいたしておりまして、三十七年度におきまする収入は、十億に対しまして支出が七億、その主要な用途を申し上げますと、てん菜の増産奨励関係で六億四千万円の支出、それから甘蔗糖関係の増産奨励関係で二千五百万円、そのほか試験研究機関に対する研究費の助成等が千四百万円という支出に相なっております。三十八年度におきましては、収入を前年度の繰り越しを含めまして十億と見込んでおります。支出につきましては、現在のところ一億八千二百万円、そのうち、てん菜糖関係で五千九百万円、甘蔗糖関係で一億六百万円、それからそのほかの試験研究機関に対して三百万円という支出をいたしております。今後におきましても、残る価格差益金の徴収未済のものにつきまして、納入の促進をはかるようにいたしたいと考えております一方、支出につきましても、国内甘味資源の、国によって援助し得ないような分野にわたるもので、しかも甘味資源の保護育成のために、適切なものにつきましては、試験研究を含めまして、この管理会から助成する。この運用につきましては、このメンバーで、管理会に、先ほど申し上げました運用審議会が設けられおりますので、そこにはかりまして、いま申し上げた用途にいたしてまいる、こういうように考えております。
  71. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 三十四年、三十五年ですか、そのときの当初の予定の金額と集まった金とは、相当の開きがあるようですけれども、それはどういう事情によるのか、今後その差額というものは出し得る見通しなのかどうか、その点を伺いたい。
  72. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 実は三十四、三十五年度の管理会の納入予定額につきましては、その後六回にわたって納めるということでありますが、三十七年度の上期、下期分の納入をまず先に納めるということにいたしましたことと、最近自由化後におきます精糖企業の採算が必ずしも思わしくないというようなことで、業界方面からは、これについては納めにくいという申し出もあるわけでございます。しかし、これは過去に生じた差益でありますので、よく関係業界と相談いたしまして、われわれとしては納入してもらうようにさらに努力をいたしたいという考え方で、現在対処いたしておるわけでございます。
  73. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 いずれにしても、過去において、日本の精糖事業は著しい利潤が出て、それをめぐってどうこれを処理するかは相当論議をされた問題です。したがって、どうなるかにいたしましても、その間の経緯がはっきりしておって、その措置も、また国民全体から見て明確になることも大事であるわけです。こう思うわけです。十分ひとつ御留意をお願いしたいと思います。それから、その使途について詳しいことを聞くつもりはありませんけれども、試験研究等に出ておる金額はきわめて少ないのであります。今回までの経過を見ましても、またこの委員会のいろいろ論議を見ましても、西南暖地におけるビートの問題も、結局は時間の関係もあったでありましょうけれども、全然新しいところに、相当規模の新しい作物を導入することであって、その基礎をなす試験研究というものがきわめて不十分である、現在でも不十分だと思えるのであります。そこにいろいろの問題が出てくる原因があるように思うのです。いまの超過利潤を基礎にしたファンドからどうこうというわけではありませんけれども、国自体としても、こういう新しい政策を打ち出していく上において、もっと十分な予算を用意をして、試験研究に相当の熱意を持ってかかる必要があるのじゃないかと思います。この点は、ひとつ十分お考えをいただきたいと思います。御答弁は要りません。  それから、最後に一つ伺いたいのですけれども、甘味資源の点で、日本の自給度向上していくということは、これは非常に大事なことだと思います。ところで西南暖地の場合に、秋まきに切りかえることによって、たとえば、従来のなたね作がそれに転換するということに相当なるという御説明であります。おそらく、鹿児島にしても全然遊んでいる土地にやるわけじゃなくて、従来やっておるなたねをてん菜に切りかえるということに相当なお考え、一面、農産物の自由化に関連して、油脂、原料自体も、その立場から見ますと、相当今後も問題があるわけでありまして、なたねも日本の農産物として、特に油脂原料としては非常に重要な役割りを持つものだ、こう思うのであります。その大事な油脂原料を、てん菜に振りかえる、それによって砂糖自給度が増す、それは確かにそうだ、反面、しかし油脂原料としての自給度といいますか、これが減少して、それだけまた海外から輸入をしなければいけないということに結果はなってくるように思えるのですね。そうすれば、一体自給度向上という点から言えば、いずれが有利かどうかというひとつの比較検討をしなければならないかとも思えるのであります。そういう点は、たとえば西南暖地において、なたねをそっちに切りかえたほうが、日本の農業なり、あるいは自由化の問題に対処していく上においても、そのほうがいいのかというふうに検討をされたのか、そういう点は検討はされていないのか、という点をひとつお伺いをしたいのであります。
  74. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 大体鹿児島ビートが入るとしますれば、御指摘のとおり、なたねとか、麦にかわってビートが入ってくるということになると思われるのでありますが、なたねよりもビートのほうが有利であるという考え方の基礎は、先ほど申し上げましたように、農家の立場から見ての労働報酬という点からビートのほうがはるかによい。また将来、さらによくなる可能性があるということを基礎にしております。一体、ビートができて、その結果、海外からの砂糖輸入が減り、逆に、なたねが減って油脂原料の輸入が多くなる。その差引勘定を外貨面から見たらどうかということにつきましては、確かに重要な問題であると思います。実はまだ現在そこまで計算はいたしておりません。
  75. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ほかに発言されませんか。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 これは少し変な質問になりますがね。この法律の目的は、国内甘味資源を開発していくということがねらいなのか、国際収支の問題を考えることが重点なのか、どっちに一体その重点があるのか。その重点の考え方によって、法律に規定されておる諸般の施策を推進していく場合の気持が変わってくる。それによって、具体的な対策というものは、いろいろ変わる姿が出てくるように思うのですがね。かね合いの問題ですから、どっちが重点だということを言うのは非常にむずかしいと思いますが、一体気持はどっちのほうがウエートが高いのかということです。
  77. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは、第一条の目的を読んでいただきますと、その思想は出ておると思うのでありますが、この目的は、やはり国内における、適地における甘味資源の開発をはかっていく。それによって農業経営の改善、農家所得の安定ももちろん引き上げる、向上するだろう。同時に、自給度向上目標にして進めていきたいという考え方であります。したがって現在、外貨の、砂糖に期待する外貨所要量が幾らある、それを幾らに抑えていくというようなことでは必ずしもないというふうに、第一条では目的といたしておるというふうにお考え願いたいと思います。
  78. 森八三一

    ○森八三一君 法律には、お話しのように規定はされておりますが、実際の腹の中ですよ、腹の中が、国内の資源を開発していくということが優先して志向されるとすれば、そのことの目的のために増産に関する施策について、ある程度は経済的なベースを離れても強力に推進されなければならぬ。そのことは、ビート価格決定なり、あるいはブトウ糖の原料であるイモの価格の決定なりに具体的にあらわれてくると思うのですがね。そういうような具体的な問題になると、諸般の経済事情が参酌せられると、必ずしも国内自給度を高めていくというねらいだけではなくなってくるというにおいが出てくるようになる場合があると思うのですがね。その辺ははっきりそう法律の一条に明記されておることを端的にすなおに受け取って進めていくのだということに割り切って農林省としてはお進みいただけると、こう期待していいかどうか。
  79. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 大体そういうふうに理解いたしておりますが、先生の御議論でありますと、逆に外貨収支の改善をはかるために、ともかくも一定の目標自給率を上げるというふうなむしろ御意見のように承るわけでありますが、その点はむしろ国内甘味資源の開発といろことによって自給度向上をはかるという考え方は、いま一つの目的としてありますように、その地方における従来の作物では十分農業経営としては割りに合わないと、もっとビートが適切なものであるというような考え方で導入をはかり、導入をはかるについては一応の生産目標というものを掲げて指導の指針にすると、こういう考え方でおるわけであります。それがまあ自給皮の向上というふうにわれわれは理解しておるわけであります。ですから、逆に外貨面でいって幾らを節減するということから一定量を国内で必ず確保するというようなことには、むしろこの法案の第一の目的はなっていないのではないかというふうに思うわけであります。まあ自給度向上と外貨の節約、これはうらはらでありますから、若干重なる面もありますけれども、気持はいま申し上げたようなことにいたしております。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 まあ気持がそういう気持で進んでいただくということであれば、この法律の運営上出てくる具体的な対策については、あとからお尋ねいたしまするようなことが強く志向されていくというように考える。  そこでお伺いいたしたいことは、先刻、甘味料の需要は、十年計画を立てたときには百五十万トン程度を見込んだと、それがその期間を満了しない今日すでに百六十六万六千トンの実需がある。さらに先刻の御答弁では、将来需要量はさらに増加の傾向にあるでありましょうというお話があったのです。そこでですね、甘味料として一応考えられまするものは、先刻来お尋ねのあった人工甘味剤がありますね。それから輸入に期待する蔗糖とビート糖がありますが、ビート糖は現在輸入しておらぬかもしれませんが、そういうものが考えられる。それから国内の産糖として蔗糖もありますればビート糖もある。それからブドウ糖があるわけです。大体分けてみると、大まかにして五種類くらいになるかと思うのですね。その五種類くらいのものを、この増加していく傾向に合わせてどの程度にまでそれぞれのものを伸ばしていこうとする計画があるかということです。甘味剤としていま申し上げましたようなことを、また漏れたものがあるかもしれませんけれども、一応大まかに言えば、まさか人工甘味料を輸入するということはなかろうと思います。国内のそのもの、それから輸入に期待する砂糖国内の蔗糖とビート糖、国内のブドウ糖というものが大まかにすればあげられると思うのです。それぞれを将来需要の増加を見きわめて、どの程度にまで伸ばしていこうという計画——総体では五〇%ですか、までもっていこうというのですね。が、それぞれについてどの程度までもっていこうという計画であるのかということです。
  81. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いまお話しになりました総体としての自給目標を五〇%というようなことは、現段階においてはまだ検討しておるところでありまして考えておりません。これはさきの十カ年総合計画において、百五十万トンの需要量を予定してその約五〇%を輸入するという計画になっておったわけであります。今回まだ自給度五〇ということで生産計画を立てるというようなことには、まだ現段階ではなっておりません。たびたび先生からも御質問がありまして、今後の需要の伸びに対して国内生産をどのように考えていくかということでございますが、これはこの法案が通りました暁におきまして、甘味資源審議会意見を聞きまして計画を立てたいというふうに考えておりますので、いまおのおのについてどのような生産計画を考えておるかということにつきましては、まだお答えするだけの用意を遺憾ながらいたしておりません。ただ申し上げられますことは、ビートにつきましてはそれぞれ北海道あるいは暖地におきまして、それぞれの関係県で一応の生産計画を立てておるわけであります。また甘蔗糖につきましても、そういう計画を県が独自でいろいろの計画を持っておいでになります。三年ないし五カ年計画という計画を立てておられるようであります。われわれとしてはそういう計画を今後検討いたしまして、国としての一つ目標を立ててまいりたいというふうに考えるわけでございます。またブドウ糖につきましては、これは最近のでん粉の用途別消費量の中では非常に大きなウエートを占め、また、だんだんこれが伸びるだろうというふうに思っておりますが、二毛作農家の安定ということと関連いたしまして、市場の確保をはかる見地から、ブドウ糖の育成は今後も伸ばしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。人工甘味料は実は農林省の所管でございませんので、これを甘味資源の自給強化という見地から取り上げることについては、私はいささかどうかというふうな意見を持っておりますが、これを除いたそれ以外の部分、つまりビート糖、甘蔗糖、それからブドウ糖につきましては、いま申し上げましたような考え方で、これから具体的な計画を立ててまいりたい、こういうことでございます。
  82. 森八三一

    ○森八三一君 計画が、これから審議会が設置されて、そこで十分検討してつくられるという足どりになるということでありますれば、いまここでその数字を抑えるわけにいきませんけれども、そういうことを策定していくために方針としては一体蔗糖を供給していくことが是であるのか、ビート糖を供給することが是であるのか、ブドウ糖を供給することが国民の栄養その他の観点から好ましいか。増産自給計画を立てる際に、国民の栄養その他を考えて取り組んでいかなきゃならぬと思うのですね。ただ国民が希望するからその希望の線に沿って迎合をしていくのでは、いかにも策がなさ過ぎると思うのです。いわゆる国民の保健衛生を考えながら取り組んでいかなければいけない。そういう場合に、重点的には一体何を指向したらいいかということになると、私はブドウ糖が私の承知しておる限りの知識では、保健衛生その他から考えて一番妥当な甘味剤だと、ただその甘味度が薄いということで味覚の点で劣るものがある、あるいは貯蔵性について蔗糖に比べて劣るものがあるという弱点を持っておる。けれども栄養・保健の点からいけば、一番優位に立つというふうに聞いておりますが、そうだとすれば、そのマイナス面を補完するようなことを考えながら、やはり国民の保健衛生のことを考える方向というものをとるべきではないかというふうに考えますが、そんなふうの気持ちがあるのかないのか、その辺はどうなんですか。
  83. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 甘蔗糖、ビート糖、ブドウ糖それぞれ砂糖類としましての特色があるわけでありまして、またその特色に応じまして一般家庭用あるいは加工用というように、用途も多少濃淡が出ておるわけであります。健康上ブドウ糖が非常によろしいということについては、これはもう明らかなことでありますが、どうもやはりこういうものについては嗜好性がありますので、甘味度なり、あるいはそれ以外の嗜好性から見まして、特にこういうものがよろしいのだというようなことによって指導いたしましても、なかなか実際には需要量がそれとは違った形で伸びるという場合がありますので、やはり伸びる需要の測定というものは測定として考え、それに対応する生産はどのようにあるべきかということは、これはまた別の見地で指導奨励すべきであろうというふうに考えております。そこで、お尋ねのブドウ糖でありますが、先ほども申し上げましたように、これは今後においてまだまだ伸びるべきものであるというふうに考えております。特にブドウ糖の資源が広く二毛作農家に影響するイモでとれるわけでございますので、ブドウ糖の今後の育成推奨措置ということで、実はブドウ糖の甘味度の劣る点を補いつつ、ブドウ糖の性能の特色を生かしていこうという意味で、ブドウ糖と蔗糖との混糖による混合液等についてはまあ新しい用途も考えられるというようなことで、税法上これらにつきましては、特別の保護措置まで今回とりまして伸ばしてまいりたいという考えを持っておるわけでございます。したがいまして総体的にどれがどうなるかはこれからの検討によりますけれども、われわれとしては、ブドウ糖の今後の需要の拡大ということにつきましては、さらに金融の面、税制の面、消費の面におきまして伸びるように努力してまいりたい、こう考えておるわけであります。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 いまのお話で大体了解いたしますがね、ただ甘味剤というものが、国民の希望の線でそれぞれ漸次伸びていく、その伸びていく方向に沿いつつそれぞれのものの生産計画を立てていくということでは、お話がありましたし私も申し上げましたように、国民の保健衛生、栄養の点から考えると、ブドウ糖が他の甘味剤に比して優位にあるということを確認した限りにおいては、適切な対策ではないと思うのですね。政府の施策としては一番好ましいものを伸ばしていくように考えなければならぬと思うのですよ。後段のほうのお話では、そういう意図がいろいろな税制その他の面であらわれてきておるということでありますから、それを強力に推進さるべきであると思いますが、同時に甘味度が薄いとか、あるいはその貯蔵性が比較的劣悪であるということなんかのために、必ずしもブドウ糖が栄養保健の点から優位だということの考えと相殺してみた場合に、むしろ前者のほうが優先してしまって、後者のほうが考えられておらぬというのが実情じゃないかと思うのです。ですから、そういう優位性のあるブドウ糖であるとすれば、それの消費宣伝について政府がもっと本腰をいれべきではないかという感じを私は持つのですよ。ただ伸びていくものに合わせて生産計画を立てるとか、あるいはコストを下げるための税制の面その他をやるということも、もちろんやってもらわなければなりませんが、もっと前にブドウ糖の消費宣伝というものについては、当然業界がやるべきだといえばそれまでですけれども、自給度を高めていこうということであれば、国内資源によって生産せられるブドウ糖についても消費宣伝についてもう少し本腰をいれべきではないか、そういう施策はどうお考えになっていますか。
  85. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ごもっともでございまして、当初ブドウ糖の育成につきまして、食糧庁として本腰をいれるようになりましたのは、御承知のように非常なでん粉の過剰在庫をかかえまして、これに対する消化という観点からブドウ糖企業の育成と、さらにブドウ糖の消費の拡大、それに必要な宣伝ということを取り組んでやったわけでございます。現在におきましては、過剰在庫というふうな事態は変わりましたけれども、だんだんにブドウ糖自身が地についた消費を見るようにたりまして、今後これを健全に育成するという考え方をとっておりますので、消費面についても、役所として協力できるものがあります点は、今後とも進めてまいりたい、予算におきましても若干そのような消費宣伝の予算を計上いたしておるような次第でございます。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 消費宣伝については協力のできるものであれば協力しよう、若干予算的にも措置してあるというのですが、その措置がむしろきわめて微温的であって、国内資源によって自給度を高めていこうということがねらいである、そのねらいを達成するためには、やはり国民の栄養保健ということを忘れてはならぬはずなんですから、それをからみ合わせて考えていくと——もちろんビートをやめろというのではありませんよ、もともと百七十万トンからさらに伸びていこうとする傾向にあるときに、国内資源としてまかなうとすれば、これは容易ならぬことだと思うのです。そこでブドウ糖の生産については一応ぼくは技術が進んできたと思うんですね。ただ消費がそれに伴ってこないというところに問題があると思うのです。ですから、その消費を伸ばしていくための取り組み方に、まだまだ非常に微温的なものがありはせぬか、もう少しその点に力を入れないというと、生産のほうに力を入れても売れないものをつくるわけにいきませんから、売れるという状態のものをやはり行政的に伸ばしていくということをもっと考えるべきではないか、そこで三十九年度の予算でおやりになろうとしている消費宣伝の具体的内容は、一体何ですか。
  87. 中島清明

    説明員(中島清明君) 三十九年度の予算におきましては、ブドウ糖の消費普及のための展示会をいたしまして、それで消費の宣伝をいたしたい、かように考えております。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 私は展示会程度では、一般大衆にブドウ糖というものを、甘味度が薄いやつを、味覚で甘いことを要求している国民に甘くないやつを食べさせるというんですから、展示会程度のことでは、とても私は問題にならないと思うんです。これはいまここで具体的にかくすべしということを一々列挙して申し上げる気持ちはございませんけれども、もう少しブドウ糖自体の消費宣伝に具体的に取り組む、もちろんこれには業界を協力さしていいと思うんです。そういう点に新しい御研究を願いまして進んでいただきたいという希望を申し上げます。そのことは、結局イモ作農家の経営安定につながってくるということなんだし、さらにことばをかえて言えば、食糧全体の需給安定のためにも関連して、非常に大きな私は貢献をもたらすものと思うんです。  そこでお伺いいたしたいことは、今度の法律でブドウ糖を一定の条件の場合に買い上げをするという措置が行なわれるわけですが、その原料となるでん粉については、農産物価格安定法によって、一定の条件のときには政府買い上げをするということになるわけですね。そこで、でん粉の買い上げのほうが優先するのか、ブドウ糖の買い上げのほうが優先するのか、ことばをかえて言えば、ブドウ糖が砂糖との関連において下がったときに買い上げてやる、農産物価格安定法では原料のでん粉が一定の支持水準を割った場合予算の範囲内で買う、これはどっちを優先していくかという問題が一つあると思うんですがね。
  89. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 今回の法律第二十四条の規定によりまして、ブドウ糖を買い上げる場合を想定いたしておるわけでございます。二十四条のブドウ糖の買い入れ考え方といたしましては、二十六条で規定いたしておりますが、これは農産物価格安定法に基づきまして定めますカンショでん粉の買い入れ基準価格に標準経費を加えました価格を基準として定めることにいたしておるわけでございます。したがって、農安法によりまして、でん粉の価格がこの基準価格から非常に下がればでん粉価格はでん粉価格として支持する。それから政府カンショでん粉の買い入れ基準価格に経費を加えたブドウ糖のいわばコスト価格と申しますか、このコスト価格を割るような市場価格が出てきたといった場合においては、この法律に基づいて買い入れを行なうということでありまして、これはどちらを優先するということでなしに、それぞれの価格変動が、でん粉ということについては共通の場合もありますけれども、変動自体は違いますので、実際においては、でん粉なりあるいはブドウ糖なり、買い上げるときによってどちらを優先する、どちらをあとにするという事態は、この法案としては問題にならないのではないかというふうに思います。大体におきまして、むしろ問題になりますのは、でん粉の価格買い上げるような事態になりますれば、おおむねブドウ糖の買い上げ自体が少ないということは想定されます。しかし逆にでん粉の価格が基準価格よりも上回っておるような事態におきましても、ブドウ糖の価格につきましては、特に糖価との関係があるというようなことで、糖価が下がったために非常に下がってくるというような事態がむしろ予想されるわけでございます。そこでこの法律におきましては、附則の第三条によりまして、当分の間はでん粉の買い入れ価格に基づいた価格だけでは支持が不十分な場合が想定される。むしろ原料価格が非常に上がって砂糖価格が下がってくるというようなことが予想されますので、附則第三条におきましては、本則の買い入れ以外に、当分の間別途買い入れの道を設けているわけであります。したがって、でん粉それからブドウ糖との買い入れの発動をする場面というものは、それぞれ若干違ってくるであろう。それに対応する措置として、この法律に基づいて買い入れを行なうわけでありますから、いまの先後の関係という問題はないのじゃないか、こう思っております。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 大臣の関係があるそうですから、私の質問は中断しておきます。
  91. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 大臣の出席が遺憾ながら午前中は不可能であったようでありますので、暫時ここで休憩いたします。    午前零時五十三分休憩    ————・————    午後一時四十五分開会
  92. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再会いたします。  甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案一括議題とし、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑、のおありの方は、御発言を願います。
  93. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は前に農林大臣並びに政府委員の方に、沖繩における生産事情あるいは製造事情について、その一端をお尋ねいたしたのでありますが、特に、きょうは南西諸島関係並びに沖繩を中心に、若干御質問を申し上げたいと思います。  その前に、すでにたくさんの方から御質問がありました暖地ビートの問題でございますが、どうも私は、質疑の要点を聞いておりまして、納得のいかないことが非常に多いわけでございます。そこで、まず初めに暖地ビートの将来について、若干お尋ねをしたいと思います。特に九州は、この風水害の常襲地帯でございまして、二十八年の災害以来、農業の疲弊というものが、かなり深刻になっておりましたが、その後ようやく立ち直るという状態がありました。しかし、またそういう風水害の点でなく、経済的な問題が、今度は風水害に次いで重要な課題になってきたわけですが、特に二十七年、二十八年、三十年と、てん菜の導入によって、何か新しい麦作転換ができるのではないか、そういう転換期を迎えまして、デビューしてまいったのはビートでなかったかというふうに思うのですが、したがって当時は、かなりビート栽培については希望を持ったわけです。希望を持ってやりましたけれども、その指導が十分でなかったと、私は率直に異議を持っているわけですが、九州には農林省のりっぱな試験場もございますが、一体、農林省は画期的な農業の新しい形態を導入するにあたって、どういう試験をやったか、この点をもう少し承っておきたいと思います。
  94. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) ビート生産振興のための基礎的な問題といたしましては、試験研究だと思いますが、これにつきましては、現在、国の試験場においては、いわゆる基礎的な肥培管理とか、病害虫防除に関する基礎的な研究をやっておりまして、それから特殊法人といたしまして、てん菜振興会というものを三十四年につくっております。ここで品種の育成、品種改良、あるいは実用的な栽培方法についての試験研究、これをやっておるような状況でございます。  ただ、この振興会の事業の内容につきましては、資金は国からの補助で大体やっておるわけでありますけれども、この資金、必ずしも現在において十分ではないわけでございまして、その意味におきまして施設、機械、器具等の整備も、若干予定よりおくれているという実情でありますけれども、関係者は非常に熱心に事業を担当いたしまして、最近新しい品種といたしましてE6という、これはかりの名前でございますが、E6という品種がほとんど完成に近づきまして、来年ないし再来年あたりから普及というところに持っていきたいということで、逐次成果は上がってきておる、こう考えられます。  試験研究は、御存じのとおり、非常に長年月を要する問題でございますので、いまの段階においては、特にこれという成果もなかったわけでありますけれども、今後、いままでの蓄積が漸次効果としてあらわれてくるべきものであろうと、そう考えております。
  95. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 昭和二十七年に、てん菜生産振興臨時措置法が制定されて、特に政府としては適地適産という建前、さらにまた、国内自給度を高めるというような点から、今日展開されております農業基本法前提としても考えられる選択的拡大、こういうような一つの対象物として奨励されたというように考えるわけです。  ところが、その後昭和三十四年に、御存じのように甘味資源自給力総合対策を決定されて、十年後の四十三年には、大体総需要量が百五十二万トン程度になる。その半分、五〇%は国内で自給体制ができるようにしよう、こういう御計画であったと思うのですが、しかし、私が知っている範囲内では、二十七年から十年たった三十七年ですね、わりあいに熱を入れて農林省も各県に施策をやられたように思うのですが、ところが、その研究は実にお粗末で、何かちょっとそこらで展示圃みたいなものをやってみろ、それについて農林省も若干の補助金を出してやろう、できるかどうかやってみろというような、まことにお粗末な施策じゃなかったかと、こういうように思うのです。どうも私には、その点が、どの程度力を入れてあったのか疑問に思うのです。かえって業者のほうに興味を持たして、業者のほうが、これはひとつやろうというように、業者のほうが農林省よりも先に飛び出して行って、業者の指導のほうが、農林省よりも強かったのじゃないかというような、こういう感じさえ起こるのですが、いかがですか。
  96. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) いままでの国のてん菜振興に対して出資した資金につきましては、三十五年から三十八年度までの分について計算いたしますと、道の立てました計画に対して約九〇%を充足しておるというふうな数字が出ております。具体的に申しますと、道の振興計画では、この三十五年から三十八年の間に、特殊のものを除いて、直接てん菜生産関係ある所要資金として、七十二億を予定しておったわけであります。  それに対しまして、国の補助によって行なった事業が、実績といたしまして六十四億という事業が行なわれておるわけであります。これは九一%になるわけでございますが、そういうことでありますので、特に国の熱意なり、それに伴う予算的措置が不十分であったということでは必ずしもないのじゃないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  97. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 どうも死んだ子の年を数えるようなことをお尋ねしているわけなんですが、私は非常にその点は、将来に対して重要な問題だと思いますから聞いているわけです。まあてん菜といえば、大体寒いところの産物だというように、これはもう常識的に考えるわけですね。ヨーロッパに行きましても、ドイツその他、これはもうてん菜を中心に、三分の一はてん菜だと言っていいくらいに栽培しております。ところが、暖地てん菜栽培するということは、いままであまり——あまりというよりも、かつて考えたことのない作物なんです、農民としては。それが導入されるという、しかも、当時は酪農との調整——まあ調整というよりも、酪農とコンビネーションでやっていく、そうすれば、てん菜のほうでもうかるじゃないか、そうすると、そのヘッドや、パルプでもって酪農は振興させていく、一挙両得なんだから、こいつをやったら、今後農民は、農家経営は確実だというようなふれ込みで、夢をかなり農民にも持たしたのであります。ところが、なかなかそういう具体的な指導には非常に欠けていたのじゃないかというように思うのです。  ただ、さっき私が申し上げましたように、契約その他は製糖会社のほうが積極的でございます。契約をして、こういういい契約だからつくりなさい、こういう工場を建てますから、将来、大丈夫だからやんなさい、こういう点が強くて、具体的な農業の本質についての指導、試験というものがお留守になったかと私はいまでも思っているわけですが、どうもその点、まだ納得いかない点が多いわけですが、その計画ですね、十年間の計画、あるいは三十四年に総合対策を立てられるまでの具体的な計画というのは、一体、どういうように立てられたわけなんですか。その点ひとつお尋ねをしたいと思います。
  98. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三十四年に十カ年の総合対策というものを立てましたことにつきましては、さきの委員会で御説明申し上げたわけでございますが、当時の需要見込み百五十万トン程度に対しまして、今後、国内自給度を、どのように高めることが可能であるか。その際、一面北海道におきましては、ビートのすでに八カ年計画、五カ年計画が一部進行しておりまして、それに今後、この十カ年計画にあわせて八カ年計画とすれば、どのような計画になるかということを、引き続き計画を立てるというふうに、北海道のほうにおいては進められておったわけであります。  また国内におきましては、当時でん粉の過剰在庫というような問題もありまして、これが甘味資源の育成をはかることが必要であろうということで、おおむねその五割を国内において自給する。その内訳といたしまして、てん菜糖は四十万トン、そのうち北海道が三十万、府県ビートが十万、それから甘庶糖が沖繩を含めまして二十万トン、それから結晶ブドウ糖を十五万トンということに計画いたした次第であります。
  99. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 計画は、生産計画としては、そういうふうに立てられたと思う。しかし三十七年度には、立てられましたこの生産目標を完全には達していない。その他の地方においての生産目標も達せられておらぬと、そういうわけで、ほとんどこの政府計画というものは失敗に終わったと、こういうふうに私は思うのです。失敗は失敗としてお認めになって決して悪くないと思うのですよ。  そこで、なぜ失敗したかという点が問題なんです。それはいろいろあると思いますが、農林省としては、どういうようにお考えでありますか。それを伺いたい。
  100. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先生よく御承知のことだと思いますが、農業につきましては、企業と違いまして、なかなか各農家、零細な個々の農家において生産計画を立てても、なかなか農業につきましては、その計画どおり行き得ないという一般的な性格を持っていると思いますが、それぞれのビートについて、あるいは甘蔗糖について、ブドウ糖につきましても、そういうようなことで、政府の十カ年ぐらいの長期見通しというものにつきましては、なかなか計画どおりに行き得ないという性格を持っていると思うのです。すでに、需要量自身が、十カ年の百五十万トンをすでにはるかにオーバーしておりますというふうなことにもなっておりまして、なかなか計画どおりには行き得ない性格を持っていると思います。  しかし、そのうちでも、非常に進度のおそいもの、それから大体計画どおりいったものもあるわけでありまして、甘蔗糖のようなものにつきましては、大体、計画どおり進展を見ているし、ブドウ糖についても、大体このようなテンポでいくのではなかろうかというふうに思われます。問題は、いま御指摘になりました暖地ビートの問題であったと思いますが、府県の、この中で内地の北部の青森、岩手等につきましては、今後、大体順調に伸びていくのではないかというふうに思いますけれども、暖地におきましては、新しい作物であり、また試験研究につきましても、試験場等を通じて、その間行なっておりましたものも、十分これを農家段階までにおろして、指導し、普及し、奨励するというようなところまでは、なかなか当時としては行き得なかったわけでございます。しかし、機運といたしましては、各地に、そういう施策の試みが行なわれ、また企業側におきましても、これに即応して、各県にそれぞれ将来、自分の会社が入っていきたいというようなことで、各県との契約を取りかわされておるというような状況にありましたのであります。  そこで、各地に散発的に入って来ましたものの、先ほど来、園芸局長から話がありましたように、十分品種なり、あるいは作期なり、あるいは栽培方法なり、農家段階において、奨励すべき技術的な確立という面についての不十分な点があったとか、あるいは他の競合作物との関係において、比較的収益の高い他の競合作物のほうに押されて、ビートが伸び得なかったとか、それから企業といたしましても、実は農林省からは言いにくいわけでありますけれども、ある意味においては、企業が自主的に進出したという関係で、暖地ビートについては、実は政府がそれに対する買い入れの保証措置というものは講じておらないというようなこともありまして、全体としては、生産面においては、慎重な導入を政府としては考えていく、企業は自主的に、これに対応するというようなこともありまして、暖地ビートについては、総合的に自立計画どおりにいかなかった、こういうことになっておるわけでございます。
  101. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 おっしゃることはよくわかります。ここへ、私は三十七年度に会社との覚え書きというものを前に持っているのです。それによりますと、新光てん菜糖株式会社と町長との覚え書きです。いわゆる取り引きの覚え書きですね。こういうものは、私は福岡県ですけれども、福岡県内で、相当広範囲に、そういう契約が町長あるいは農協の組合長と取りかわされてやったわけです。  ところが、その中途にして、新光てん菜工業というものが、どうも工業としては成り立たないというので契約がえといいますか、そういうものをやっているわけですね。それには農林省の九州地区てん菜処理要綱というのが当時ございましたね。それに従って、岡山市の横浜製糖岡山事務所に出荷をするという、そういう契約がえみたいなものをやっているわけです。したがって、お説にありましたように、自主的に製糖会社がやったんだ、それとの連携はまだ不十分だったということはよくわかります。  ところが農民は、せっかくこれから意欲を燃やそうという出ばなをくじかれた感がある。それで、もうこれをやっていたのでは、先ゆきたいへんだ、まただまされる、これは極端な言い方かもしれぬけれども、まただまされる、こういう不信感が満ち満ちている、それが伸びない一つの大きな原因ではなかろうか、精神的に、そういうふうに私は思います。これはいかがでしょうか。
  102. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 福岡県におきます例をおあげになったわけでございますが、ちょうど三十七年——六年当時、私は振興局で担当いたしておったわけでございますが、農林省としましては、農家の導入までにつきましては、積極的な奨励はしないで、実は、きわめて慎重な態度をとっておったわけであります。しかし会社側が自主的に、どんどん進められるということにつきましては、われわれとしても十分、試験研究、技術の面においては指導していくべきであるということでおったわけでございます。  そこで各地に、ビートについての関心が高まりましたものの、先ほど申し上げましたように、会社の企業的な面から見ますると、自主的な運営にまかせるほどの基盤が確立し得ない、原料の処理場も少ないというようなことで、農家としては、非常に先行きに対して不安感を持っておったであろうということは、私も、いま先生がお話しになったような気持ちを持っておるわけであります。  そこで今回におきましては、制度的な裏打ちをもって、暖地ビートについても、奨励措置を講ずる、つまり従前の場合におきましては、政府は、どちらかといえば、受け身の立場において生産指導に当たっておったわけでありますけれども、こういう措置を講ずることによって、全体として保護措置に万全を期するならば、農家のいままでの不安感というものは、私はなくなってくると思います。ただ、その際におきましても、いずれの地域におきましても、どんどん農家が導入するということではなしに、やはり特定の生産振興地域に限定いたしまして普及奨励を進めていくという態度でいこう、こういうことにいたしておるわけであります。
  103. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 まあ率直に言われたので、よくわかりましたのですが、ちょうど二十七年、このてん菜生産振興臨時措置法ですか、これを出されたころから、二十八年災害と、その後引き続いて世界的な経済状況から、日本だけでなく、特に日本では農業の曲がりかどということばが、そのころから出てきたわけですね。したがいまして、特に麦作においては、これの転換をやらなければいかぬと、あるいはまた、なたねにいたしましても、いつまでもなたねを九州でつくっても、気候的に損害事故率が非常に多いというようなこともあって、年々歳々なたねの値えつけ等も少なくなっております。かてて加えて、農業の曲がりかどという農民の感情というものが、何かまあ、簡単に申し上げますと、変わったものでひとつやっていこうと、そういうときに、ちょうどこのビートというものがきたわけですね。しかも、これと酪農というものが結びついてきたわけです。また結びつけられて指導された節があるんです。これは、もう確かに、酪農とビートと結びつければ一石二鳥で、農業の経営が落ちついてくる、確かにそうだったと私は思うんです。いまもなお、私は、ある一面、そういう考えでいられると思うのですが、この暖地ビートについて、将来、どういうように農林省としては指導なさり、計画を立てていかれるつもりであるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  104. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) てん菜が、畜産と結びつくことが非常に必要であるし、また有利であるということは、御指摘のとおりだと思うのです。ただ、畜産は、比較的労力の要る産業でございますし、ビートもまた、非常に労力が要るということで、両者を兼ねて経営するためには、労力調整の問題、したがって、また機械化の問題というものを非常に考えなければうまくいかないと思います。暖地ビートにつきまして、特に現在考えております鹿児島におきましては、御存じのとおり豚なども相当たくさん飼育されておるわけであります。これとビート栽培とが結びついていくという方向が、一つの大きな筋であると、そう考えておるわけであります。  ただ、いま申し上げましたようなことで、労力関係において、十分調整されなければならないということがありますので、現在の指導なり普及の方法といたしまして、絶対に畜産と結びつかなければいかないとまでは、実は言っておらないわけです。ただ、地帯として、そういう家畜の多く飼育されている地帯に、ビートを入れていくことによって、両者をかみ合わせていこうという方向を考えておる次第でございます。
  105. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 お説のとおり、酪農とビート栽培が結びつかなければ、経営上成り立たぬとか、あるいはそうしなければいけないと、こういう断定は下すべきじゃないと思うのです。酪農は酪農で立っていくように考えなければならぬし、ビートビートで立っていくという考え、これは原則だと思うのです。  ただ、その経営の有機的な結合をはかる上において、あるいは飼料の点で、経済的な飼料を考える場合に、その一番効率的で、しかも収入を増していくという点で、ビートと酪農を結びつけていく、こういうところに有利な点がある、これは私どもよくわかるのです。  そこで、私は、いままでいろんな方のお話なども聞いたのですが、私は筑後の水田地帯に住んで、酪農をやっております。水田酪農をやらないと、農民というものは——果樹なんといったって、そうできるところじゃないですから、地理的に限定されておる。そうすると、飼料を一体、どうするのかということにぶち当たるわけです。そういう場合に、暖地ビートを水田にどういうふうに持ってくるかというような研究あるいは水田だけじゃなくて、ビートをどういうふうに導入すればいいのかという、もっと地についた研究をひとつやっていただきたい、こういうふうに思います。暖地ビートはだめだというように判を押してもらうと……、これはイタリアにおいても、相当な成績をあげておるというふうに私ら聞いております。それから、農林省も、もう少し重点を置いて、本気になって考えてもらわぬと、農民は失望するばかりだと思いますが、将来のために、農林省の暖地ビートに対するかまえといいますか、決意のほどを最後に政務次官に、ひとつ承っておきたいと思います。
  106. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 小宮委員の御指摘の点、私はまことにごもっともだと考えております。実をいうと、寒地ビートは長い経験を持っておりますけれども、暖地のほうは初めての経験で、直ちに寒地ビートをそのまま暖地に移していいかという問題が、これは大きな問題でありまして、そうはいかぬだろうと私は思います。  したがって、これを急速にやるというには、まずその指導する人が少ないということも大きな欠陥であると思います。いままで大根を植えておったとか、あるいはまた、イモをやっておったと同じような指導というわけにはいかぬだろうと思います。そういう点も非常に不十分な点があったと思います。また、根本的な試験研究というものが、これはまだ始めたばかりでありまして、ただいま適品種がみつかったというお話もございましたけれども、まだまだ不十分だと思います。  個人の話を申し上げて相済みませんけれども、台湾に長くおりまして砂糖の仕事をやっておったんでありますが、長い間の研究でようやくジャワの大茎種というのが導入されて非常に生産が上がったのであります。そういう経験を持っておりますので、それはわずかばかりの経験では、とても断定できないと私は考えています。それは小宮委員のおっしゃるとおりだと思いまして、昨年の八月の末に自由化に切りかえた際にも、閣議決定におきまして、このビートに積極的に乗り出すという決定もとっておるのでありまして、今年度の予算も相当金額増加の上、予算科目の増加等も考えたのでありますけれども、まだまだ十分ではないと思います。根本的には、試験研究をもっと強化する必要があるというふうに私は考えています。  そういうふうにいたしますれば、これも学問的と申しますか、基本的には暖地ビートは確立するとは言い得られるのでありますけれども、これは実際に、農民のローテーションの関係もありますが、前にどういう作物を植え、その次にビートをどういうふうにする、それから家畜との関係、やはりただ単に学問的にできるからといって、直ちにうまくできるとは思わないのであります。それに工場が結びつかなければならない関係がある、それが経営の一環としてなじむまでは、相当時間がかかると思います。それを農業経営の一環として取り入れるまでの指導というものが非常に大事だというふうに思います。それがまだ、十分でないというように考えますので、私は暖地ビートに対しては、いまうまくいってないからといって、決して悲観もしていません。また、実際に作物ができなければ、農民に大きな負担もかける、財政負担もあるのでありますから、そういいかげんなこともできない、研究と相まって、それから指導陣を大いに確立して、そうして農民が納得して、経営の一環としてローテーションの一つに取り入れられるような体制に持っていきたい、だから、無理してはいかぬと私は考えております。ややもすれば、県知事が自分の成績をあげるために、無理をするかのように聞いておりますが、無理をしないで、ステディにいって、適当な時期に相当の生産が上がる見込みがあれば、製糖工場をつくるとか、あるいは設備などの措置を講じて一貫作業をしていく、こういうふうに私考えております。
  107. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 この点について、長らくお尋ねしたいとは思いませんが、さっきの長官のお話のように、どうも農林省は暖地ビートについては、そう深く考えていなかった、ところが業者や土地の農民が、少し行き過ぎてやってしまった、そういう点があるというようなお話だったが、そんなんじゃ、農林省に対して農民はおこりますよ、そんなことを言えば。やっていれば、一体確実になるのかならぬのかという指導、そういうものを前もってやる、農民を保護していくというのが農林省のつとめじゃないですか。だから、私はそういうようなお言葉を聞くと、どうも農林省は、うまくやったところは、おれがやったんだと言って、うまくいかないところは、これはそっちでかってにやったんだ、こういうふうに農民に責任を押しつけられる、業者に押しつけられるということになれば、農林省はあまり必要ございませんよ。農民自体がやっていきますよ。そういうことでなくて、取り上げていくところに政治があるわけなんですから、私はいままでの責任をどうしてくれということは申しませんけれども、もう少しあたたかい農民に手を施してもらわないと失望します。  というのは、もう再三申し上げますけれども、農林省は曲がりかどだ、いや農業基本法をつくって、こうやるんだ、ああやるんだと、こうおっしゃるけれども、やってみたら、おまえたちがあまりつくり過ぎたものだから、値段が下がってだめじゃないか、現に福岡はそうでしょう、野菜をつくり過ぎて、どうも捨てなければならぬ、みぞを掘って泣く泣く白菜を埋めているじゃないですか。こういうのを農林省が見て、何だおまえら、かってに白菜をやり過ぎた、天候がよ過ぎてでき過ぎたんだから、おまえらのせいだ、天のせいだなんて言われたんじゃ、これじゃ話になりません。そういう点はひとつ、わかっていらっしゃる農林省のことでございますから、もっとこまかにあれをやっていただきたい。  そこで私は聞きたいんですけれども、大分県の杵築市に三十六年度に構造改善事業として指定された中に、てん菜がございますね。どういうような御指導なさっておるのか、おわかりになっておれば、お答えを願いたいと思います。
  108. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) そのこまかい点、私よく存じませんけれども、そういう計画は提出されたようでありますけれども、農林省のほうで指定はやっておらないというふうに承知しております。
  109. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 指定はやってありませんか。
  110. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) そういうふうに記憶しております。
  111. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 ここに資料を持ってきておりませんが、農業改善事業とか何とかいう小さい色のついた雑誌が出ておるんですね、それに載っております。農林省の関係のところから出した刊行物だと思います。
  112. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) さっそく資料を調べまして、後刻また、お答えいたしたいと思います。
  113. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 それでは、ビートについては、あとでまたお聞きになる方もございますから、この辺でやめます。  次に、沖繩産糖政府買い入れに関する特別措置法案についてお尋ねいたしたいのですが、法律用語でたいていのものについておりますが、「当分の間」というのは、大体、いつごろまでを考えたんですか。
  114. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 沖繩産糖買い入れにつきまして、「当分の間」というふうに扱いをいたしておるわけでありますが、これはいずれにいたしましても、本措置につきましては経過的な措置であるという建前をとっておるわけでございます。沖繩におきましては、現在沖繩糖業の合理化が、いろいろ計画的に進められておるように聞いておるわけでございまして、その間、政府が、日本政府におきまして、自由化の措置をとったと、そこからくる国際価格変動の影響を沖繩産糖が受けるということに対して保護措置をとってもらいたいということから、この法案を制定したわけでございますので、十分沖繩産糖につきましては、関税の面におきましては、内国扱いをし有利な条件にもなっておりますので、十分国際価格に対応しまして、合理化が進展し、国際価格変動にたえ得るような条件が整うまでの間、こういう経過的な措置をとった、こういう趣旨をあらわす意味で「当分の間」ということにいたしたわけでございます。
  115. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうすると、それに関連をいたしますけれども、次の「砂糖価格が苦しく低落した場合」、こういうことになるわけですね。その「著しく」というのは、これは非常にその「当分の間」ということに関係があるわけなんです。非常に関係があるわけですが、そうすると、「著しく」というのは、どのくらい「著しく」という程度なのか。それをひとつ、お答えを願いたいと思います。
  116. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) この「当分の間」というのは、先ほど申し上げたような趣旨をあらわしておりまして、実体的には、先ほど申し上げましたように内国扱いで、関税はなしに入ってくるわけでありますから、実際問題としては、著しい国際糖価変動、暴落によりまして、国内糖価が下がってくるということによって、沖繩の産糖自身も影響を受けるというふうな事態が予想されるわけでありますが、まあほとんどそういう事態に対しては、買う必要がないだろうと、また買う可能性もほとんどなくなっておるという場合においては、もうこの法案の目的を達しているというふうに考えております。したがって、その間に至る間を「当分の間」といっておるわけであります。  したがって、沖繩については、国内の会社等に比べまして非常に有利な条件があります。したがって、直接沖繩の糖業自身に影響があるような著しい変動があった場合において買い上げるという考え方をとっております。具体的には、国内におきまする甘蔗糖の買い上げ価格というものをきめるわけであります。これは西南諸島を対象としてきめるわけでありますが、そういう価格よりは沖繩のほうは、若干有利な条件にありますので、そういう価格を参考としまして、買い入れ価格をきめることとなるわけでありますが、そういう価格ともにらみ合わせまして、市場価格が非常に下がるといった、場合には、具体的には買い入れを発動すると、こういうように考えております。
  117. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいま丹羽政務次官が出席になっております。
  118. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 なかなか抽象的なことになりまして、わかったようなわからぬようなかっこうになりましたが、おっしゃろうとする大体のところはわかりました。  そこで、私は次にお尋ねしたいのは、この法律に、「沖繩産糖を製造する事業を行なう者」、それから「沖繩産糖製造事業者からの委託を受けて当該沖繩産糖製造事業者が製造した沖繩産糖を本邦に輸入した者から、当該沖繩産糖製造事業者が製造した沖繩産糖で本邦に輸入されたものの買入れをすることができる。」こういうように法律用語ですから、なかなかわかりにくい言葉でございますが、要するに沖繩産糖を製造する事業者と、それからその事業者から委託を受けていわゆる本邦——北海道、中国、収州、四国、九州ですか、そういうところに、本邦に輸入した者から、沖繩の砂糖を製造する者から、その製造した砂糖を本邦に輸入されたものを買い入れる、こういうように非常にややこしく書いてあるのですが、私がお聞きしたいのは、沖繩産糖を製造する事業者ですね、そういう事業者は、どのぐらいいるものか、どういう会社なのか、これが第一点。  第二点は、委託を受けて本邦に輸入したもの、輸入するもの、そういうものがどのぐらいいるものか、またいなければ、現在までやっていたものは、どういうのがあったか、それをひとつお答え願いたいと思います。
  119. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 沖繩におきます分蜜糖工場といたしましては、十三工場ございます。名前をあげましょうか。
  120. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 ええ。
  121. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 沖繩本島にあるものといたしまして、北部製糖、農連第一工場、第二工場、西原製糖、琉球製糖、第一製糖、それから南大東島に大東糖業、宮古島に宮古製糖、沖繩製糖、伊良部島に伊良部製糖、石垣島に八重山製糖、石垣島製糖、久米島に久米島製糖として合計十三工場がございます。  それから本邦に輸入する際に委託を受けて輸入するというのが、ほとんど通例の形でございまして、法文にあります沖繩産糖の製造者が直接輸入する場合は、沖繩産糖の業者の中で、日本に出張所を設けて、直接輸入しておるというのが一部あるわけでございます。これは宮古製糖と大東糖業が日本に出張所を設けて、それで直接販売しておる、こういうケースがございます。大部分は委託を受けて輸入するという形になっております。
  122. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 前に私は、この点については資料を要求しておったわけですが、ついにつくっていただけなかった。そこでいま出していただいたわけですが、大体、この工場の規模といいますか、キャパシティーといいますか、日産、それぞれどのくらいあるのかわかりますか。
  123. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 資料の御要求につきましては存じ上げませんで、はなはだ失礼いたしましたが、もし御入用であれば、すぐ取り寄せまして後日差し上げたいと思います。  いまわかっております御質問の点を申し上げますと、北部製糖が一日当たり原料処理能力一千トン、農連の第一、第二ともに七百五十トン、西原製糖七百五十トン、琉球製糖千二百五十トン、第一製糖五百トン、大東糖業六百トン、宮古製糖一千トン、沖繩製糖一千トン、伊良部三百トン、八重山五百トン、石垣島五百トン、久米島三百トンということになっております。
  124. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 前にお尋ねをいたしたことは、いまお述べになりました農連で経営しておる第一、第二の工場ですね、この工場を西原工場と合併せよというような話があったということを御存じでしょうか。
  125. 中島清明

    説明員(中島清明君) いまの合併の問題につきましては、その概要を承知いたしております。
  126. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 それでは、実際にその合併というのは、どういうように行なわれ、どういうふうに進行したか。それともう一点は、こういうケースが、ほかのところにもあるのかないのか、その点をひとつ、わかっておればお答え願いたいと思います。
  127. 中島清明

    説明員(中島清明君) 私どもが琉球政府の東京機関等に聞きまして、一応調べました経緯は、以下申し上げるとおりでございます。  琉球の農連——農協の連合会でございますが、これが昭和三十七年の四月に第二工場、当時日産能力三百トンでございます。それにつきまして、増設をしたいという申請を琉球政府に出したわけでございます。これは能力は四百トン増設をするという申請でございました。そこで琉球政府といたしましては、この増設に必要な資金、百八万ドルと聞いておりますが、これを琉球の開発金融公社から融資をさせることにいたしたのでございます。そこで、その融資をいたします際に、糖業合理化の一環といたしまして、農連がいまの農連の第一工場と、それから西原製糖、これは立地的に至近距離にございますので、合併を付帯条件にいたしまして、両工場の統合の勧告を行なったように聞いております。  そこで農連は、実は三十八年の一月になりまして、合併については、開発金融公社の融資を返済をいたしまして、これは自主的にやるという宣言をいたしまして、いまの第二工場の増設のための必要資金につきましては、単協からの出資あるいは他からの借り入れ金によりまして、これを実施をするという方針をきめまして、この資金で増設を完了したように聞いております。  そこで琉球の政府におきましては、従来から糖業合理化計画ということで、製糖工場の合併という問題につきまして、種々検討をいたしておったようでございますが、昭和三十七年に、先ほど申し上げました合併の勧告をいたしました趣旨に沿いまして、三十八年の十一月に、農連の第一工場と西原製糖との合併の推進方をあらためて農連に勧告をいたしたようでございます。  そこで農連におきましては、以上の経緯にかんがみまして、去年の十二月に臨時総会を開催いたしまして、農連の第一工場と西原製糖との合併をすることに方針をきめ、そうしてことしの二月、両工場の統合契約書につきまして、西原製糖、琉球農連の間に、調印が行なわれたというぐあいに聞いております。  以上が、私どもが現在までに聞いております合併問題の経緯でございます。
  128. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 ほかにはございませんか。それだけですか。
  129. 中島清明

    説明員(中島清明君) ほかには、実は直接、具体的な合理化の計画の内容につきましては承知いたしておりませんが、琉球政府におきまして、いろいろ米国から参りました糖業調査団の現地調査結果等を参考にいたしまして、合理化計画を立てているように聞いております。これは現在の十三工場を統合いたしまして、五工場程度に減らしたいというような方向で検討が進められているようでございますが、その具体的な中身につきましては、まだ詳細を承知しておらない実情でございます。
  130. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 農連の第一工場、第二工場で、両方合わせて日産七百五十トン。ところで、いまの御報告では、第二工場のほうが西原製糖工場に近いということで、合併したらどうかというようなお話があったと、そこで、そういうものを条件に、開発金融公社から金を借りたというように確認してよろしゅうございますか。
  131. 中島清明

    説明員(中島清明君) 第一工場と第二工場とございまして、第二工場の増設に要する資金を琉球の開発金融公社から借りたわけでございますが、その際の融資の条件として、第一工場と西原製糖を合併するということが条件につけられたというように聞いております。
  132. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そういたしますと、当初農連で考えたのは、日産二百トン程度工場であったものを日産七百五十トン程度にしたいというので、新たに第二工場をつくりたい、そういう趣旨のもとに、開発金融公社から百八万ドルの融資を要請した、こういうことでございますね。
  133. 中島清明

    説明員(中島清明君) ちょっとことばが足りませんようでございましたが、当時、第二工場の能力が日産三百トンであったわけでございます。それを増設、つまり、能力を増加いたしまして七百五十トンにするために資金が要るということで、その必要な資金百八万ドルの融資を開発金融公社に求めたというのが実情のようでございます。
  134. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そういたしますと、農連の第一工場は、すでに別途に生産をしておるわけですね、その生産しておるトン数というのは、どのくらいですか。
  135. 中島清明

    説明員(中島清明君) これは日産処理能力七百五十トン。
  136. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 どうも私は、全体からながめまして、十三工場があるが、生産トン数から言うと、一千トンというのが二工場、千二百五十トンというのが一工場ですか、大体千トン以下というのが、かなりの数を占めているわけです。しかも、農連第一が、すでに七百五十トンの生産工場であり、第二工場が三百トンの工場であるということになりますと、合計いたしますと、農連の能力というものは一千五十トンの能力を持っておる。それに四百五十トンの能力を増設しようと、こういうときに、西原製糖工場とだけ合併しなけりゃならぬというのが、どうもふに落ちないわけですが、一体、どういうようにお調べになった方はお感じになったのか、その点ひとつお願いしたいと思います。
  137. 中島清明

    説明員(中島清明君) これは、実は沖繩政府が指導いたしましてやりましたことでございますから、いかなる事情で、特に農連と西原製糖の合併を融資の条件というような形でやりましたのか、その辺は、私どもも実は、事情の詳細はわからないのでございますが、いずれにいたしましても、沖繩の糖業振興法等の規定を見てみますと、合併の勧告あるいは指示というような規定がございまして、いわゆる沖繩糖業の合理化のために、琉球政府が相当力を入れておるという事情が一つございます。  それからいま一つは、これもはたしてそのとおりであるかどうか、はっきり確信を持って申し上げかねるのでございますが、琉球におきましては、農連の事業につきまして、いわゆる加工事業というようなものを積極的に農連の事業として、特に伸ばしていこうというような方針がないようでございます。むしろ、それよりも、そのほかの経済事業あるいは指導事業等のほうに、農協を持っていきたいというような考え方があるやに聞いておりますが、大体、いまのような事情で、このような合併の勧告がなされたのではないかというぐあいに推測をしております。
  138. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 いまお答えを聞いておりますと、琉球政府のやったことであるから、どうも詳細についてはわからぬけれども、農連の経営方針について、こういう生産までをやるということは好ましくない。指導面に力を入れるべきであって、生産から製品までという農民組合の事業というものは、いわば、極端にいえば気に食わぬ。だから、そういう点はひとつ、ここで普通の民間工場に移していこうというようにも、いまのお答えからは、われわれは聞くわけなんです。  そうするなら、もっと資本主義的なものの考え方からいくならば、十三もあって、かなり生産の低い三百トン程度工場もあるし、五百トン程度工場もざらにある。そうすると、そういう民間の工場こそ、合併をして経営を合理化していくというのが、これが先なんだろうと私は思うんですが、何で農協の、こういう事業に対して手をつけるのかというのがわからぬわけです。おっしゃるとおり、琉球政府のやることだからとおっしゃることは、これは日本の及ぶところは潜在主権であって、琉球政府、アメリカの高等弁務官が、これを握っておるといえば、はあ、はあといって、引き下がらざるを得ぬかもしれぬけれども、しかし、そのできた沖繩の砂糖は買うわけなんでしょう。しかも、日本でそれを税金で保護をして買うというわけですから、これは何といっても見のがすわけにまいりません。しかも、民間で自主的に合理化するということについては、これはやむを得ないといたしましても、農協が商品価値を上げるためにやっておる事業に対して、そういう矢が向けられるということについては、日本の農民も、のほほんとして黙っておられませんが、一体、どういうようにお考えなのか、私は政務次官にお尋ねしたいと思います。
  139. 丹羽兵助

    政府委員(丹羽兵助君) やはりただいま先生の御意見のありましたように、民間の生産規模の小さい、しかも製品がきわめてコストが高くなるような懸念のあるものを合同さしていくとか、適当な規模に持っていくという指導のほうが、私はごもっともだと思うのです。それにもかかわらず、農協団体、そうしたものに対して、逆に企業の合理化等が指導されておるということは、ふに落ちぬではないか、こういう御指摘でございまするが、御意見の中にもありましたように、現在のところ、政府としての力の及ばぬ支配下にございまするので、お説はごもっともでございますが、もっと那辺に、そうした考えがあって、そうした指導が行なわれておるかということは、研究してみる必要があると思います。お説は、ごもっともでございますので、大いに誠意を持って考え、どうした考えで、そういう措置がとられておるかということを研究し、究明してまいりたい、当然、そういう方向にもっていくべきであると私は考えております。
  140. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 沖繩は、いまアメリカの高等弁務官のもとにおいて琉球政府が行政をやっておるのですけれども、これは日本の領土であることは間違いありません。ですから、私らは、一日も早く日本に復帰してもらいたいし、復帰させなければならぬと思う。しかも沖繩は地理的にいって、実に戦争のときには、ひどい目に会いましたし、風水害においては常に被害をこうむっておる。中でも、やっと生活の足しになるというのはサトウキビですね。製糖というのは、これは沖繩住民にとっては命なんです。砂糖というものは沖繩住民をつないでいる血であると私は思っておるのです。サトウキビをつくっておる農民というのは、本邦における農民よりも、もっときびしいものがあると私は考えております。そういう農民が商業的農業をやるために、苦労して生産から製品までということを考えてやっておると私は思うのです。  その農民工場を民間の会社に合併せよという考え方、これは何としてもわれわれから考えると、海の向こうではありますけれども、ふに落ちないことなんです。納得いかぬことなんです。しかも、私の聞いておるところでは、キャラウエー高等弁務官が開銀に対してくちばしを入れたというようなことを聞いております。事実のほどは明らかでありませんが、そういたしますと、いままでは、私の聞いたところでは、沖繩においては金融機関等に、アメリカの高等弁務官等がくちばしを入れたというようなことを聞いておりませんけれども、最近は非常に、そういう点が強いということも聞いております。そういう事実があるとするならば、これは非常に沖繩農民にとっては容易ならざることと、こういうふうに私は思うわけであります。  したがって、いま次官のお答えのように、もっと調査をひとつやっていただきまして、沖繩農民を救ってもらいたい、こういうふうに思うのです。私の聞いたところでは、キビトン当たり二十三ドルと、こう、言っておりますが、自分でつくったサトウキビを自分で砂糖にして売り出すということになると、そこに励みがありますけれども、それを取り上げられてしまったら、今度は商業資本に、ほんとうにたたかれるという事態が必ず私はくると思う。そういう点は、われわれは沖繩産糖買い入れるという措置をとっていただくわけなんでありますから、そういう先の点も、ひとつ十分考慮に入れてやっていただくよう切望するわけです。そういうことについて農林省の御見解を承って私は終わりたいと思います。
  141. 丹羽兵助

    政府委員(丹羽兵助君) ただ、沖繩産糖政府買い入れるということ、それ自体から考えましても、先生のような御意見になると思います。同胞でございます沖繩島民、そしてまた、一日も早く日本へ復帰を願っております兄弟、同胞の方々、その中の農民と申しますか、農業に従事する者にとって、特にサトウキビをつくるということは、沖繩農民の非常に大きなウエートをなしている、というより唯一の農業である。そういう立場から考えまして、御意見のありましたように、みずからが生産したものを、またみずからの手によって加工を加え、そして、そのものをみずからの手によって販売するという形に持っていくということが、農民をいたわるというか、農民の生活を安定させ、より以上によくしていくということは、先生の御意見のとおりだと思います。  よって私どもは、現在、高等弁務官の支配下にございますが、でき得る努力をいたしまして、そうして、先ほどの御意見のようなことになるかということを究明し、なお、将来に向かっては、御指摘のような、また、私が述べましたような感覚で、大いに農民の保護にあたっていく、こういう前向きの姿勢をとっていく、御了承願います。
  142. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 資料要求。これからの審議に必要な最小限の資料の御提出をお願いしますから、委員長、一々確認して、その提出をひとつお約束をしていただきたい。それは全委員に配ってもらいたいと思います。  第一は、この提出された参考資料につけ加えてもらいたいのから申し上げます。資料の二ページの砂糖類関係需給数ですが、これを二十八年から三十二年をひとつ入れていただきたい。この表は、三十三年からになっておりますから。それから三十八年は、まだ年度の途中でございますが、二月までは一応押えられると思いますので、それを押えて、三月分の見込みを入れた三十八年の見込みを、ずっと要素別に入れていただきたい、そういう資料はできますか。
  143. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) できると思います。
  144. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それから四ページの輸入実績でございますが、これも三十一年から三十七年までをいただきましたが、これも二十八年から三十年をつけ足してもらって、三十八年も同様に見込みとして含密糖、粗糖、精糖別に、なければゼロでけっこうですから、その内訳、こういうものをいただきたい。  それから下欄の国別の輸入量の数字を三十七年度でいただいたのですが、これもやはり二十八年度以降年次別に——ここには三十七年には、主要輸入国で全体の数字とは合わぬわけですが、これでけっこうですから、この主要輸入国だけでいいですから、キューバ、台湾、オーストラリア、ナタール、これが従来の主要国であれば、それでいいが、それも二十八年以降、年次別、国別の——ここでは輸入量は一本になっておりますが、粗糖を見たいのです。粗糖の輸入数量輸入価格、一年間のその国から入れたトン当たりの平均価格でけっこうですから、それを年次別の主要輸入国別の粗糖別の平均価格をひとつ御明示を願いたい。三十八年度は同様に見込みを入れたものを出していただきたい。  それから、六ページのてん菜及びてん菜糖生産実績ですが、北海道と内地に分かれておりますが、これにつけ加えて取引価格ですね、これは基準価格と奨励金等の内訳をつけたもので、北海道、府県別のそれぞれの要素に、これをつけ足していただきたい。実を言えば、府県もヘクタール当たり収量、総収量等がほしいのですが、それはけっこうです、要りませんから、いまの取引価格、奨励金あるいは均一分、不均一分、追加分、いろいろな要素が出てきているわけですから、それの内訳をつけた明細をこれにつけ加えていただきたい。  それから一四ページですが、これも三十九年の二月までを入れていただきたい。国際価格国内価格、三月はまだ途中ですから、三十九年二月までを入れていただきたい。  それから、次の折り込みの表ですけれども、これはりヒト社の一九六一年十月調査の小売り価格ですけれども、これもりヒト社の調査は、もっと最近の時点のものがあるはずです。これは去年の国会に出したものと同じ古い資料で、非常に死んだ資料だと私たちは受け取らざるを得ない。もっと勉強した資料をここにつけ足していただきたい。この表では、そういうものをつけ足していただきたいということです。  あと、全体で、またお願いしますが、それから次は、実はいまおりませんけれども、櫻井委員から共産圏砂糖のいわゆる実態ということを伺った際に、食糧庁長官はないという返事ですが、あるのですね、りっぱなものが。私は別段、共産圏そのものを必要とするのじゃなくて、国際砂糖理事会調査をして、一九六三年十月末までに各国の政府の責任あるいろいろな調査、照合した各国の責任を持った、きわめて砂糖の実態を知る上において、参考に資する点大なるものがあるわけですね。これは御承知のように百五カ国の調査実態が報告されている。それは生産と消費と貿易と糖業政策、この四つの柱にわたって、この百五カ国のそれぞれの実態がきわめて要を得た報告が出ているわけです。これは少なくとも、これからの審議にはきわめて重要な資料であります。この国際砂糖理事会が編集した各国の糖業経済と政策ですね、これをひとつ、三井物産の砂糖部で出しているのですね、これをどうですか、各委員に配るだけ集めてもらえませんか。糖業政策の点では、特に今度の甘味資源の法律に関係のある部分に、各国ともそれぞれ触れているわけです。もちろんその中には日本も、皆さん報告したものが出ているわけです。そういうものを比較検討して、はたしていまの政府法案が那辺にあるかということを理解するために、これはぜひほしい。まあ、全員に配ることができなければ、少なくとも社会党にだけは、これはぜひいただいて勉強したい。——前書を取り消します、全員にひとつこれは配ってもらいたい。いいですね。
  145. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いままでのお話しにありましたのは、大体できると思いますので、至急取りそろえます。それから最後の印刷物のほうは、三井物産のものでございますから、さっそく連絡して、どの程度用意がありますか、できるだけ御便宜をはかるべく努力いたしたいと思います。  先ほど折り込みの中に、リヒト社の小光り価格が六十一年になっておるんですが、その後のやつについては、リヒト社の分についてだけ、その分はないそうでありますので、何かほかのものがあれば、小売り価格だけについては、そういうものがあれば用意いたします。こういう形のものは、いまないそうでありますから。
  146. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それじゃくり返しますが、ぜひ全員にひとつ、政府で調達して出していただきたい。  それからあとは、こんな膨大なものではないですから、ずっと聞いていただきたいですが、てん菜の基準価格協定、追加、奨励不均一分を入れたものの三十五年から三十八年までの推移ですね。それから三十九年は、北海道では団体交渉をして、先月の金曜日に協定しましたね。三十九年度の取引価格、あれのひとつ写しを三十九年度分については出してもらいたい。それと三十八年度ですか、てん菜糖政府買い入れ価格、実行したあの買い入れ価格ですね、それを出していただきたい。三十八年に三十七年産について、大日本製糖本別工場と北連清水工場富士製糖から買っておりますね。それの資料を出していただきたい。それから同じような形で、原料甘蔗の協定価格。大島関係と熊本関係を出していただきたい。これはあるのに、なかなか要求しないと出さないから要求するので、黙っていても出せば、時間を取らなくてもいいと思いますが、一々言わないと、政府は出さないから言う。  それから次は、北海道と内地の工場別のてん菜引き取り月別数量について、これを出していただきたい。月別の数量、これを三十五年から三十七年の三年にかかっての月別数量。三十八年はいままでわかったところを出していただきたい。それから工場別の製造コストを出していただきたい。それから北海道と内地のてん菜生産費調べを出していただきたい。生産調査。  それから次は、二十八年から三十八年までの甘味資源関係政府の実行予算支出ですね。それからてん菜糖についての食管会計の実行額、特にこれは買い入れ、売り渡しと管理費、これは非常に管理費については増減があるわけですが、管理費の明細をつけて、これを傾向値を見るわけですから資料を出していただきたい。それから超過利潤では、二人の委員から質問があったんですが、これの算出の経過を明らかにする資料を出していただきたい、それから、それを納入するために食糧庁長官と業者との間で申し入れをしておりますね。あれらの資料をひとつ出していただきたい。それから三十七年度については、キロ当たり一円二十五銭を納入させる約束ができているが、これもどういう計算の基礎で、キロ当たり一円二十五銭、政府と業者と話をつけたのか、それの算出の基礎資料と確約束をした資料というものをあわせてお出しを願いたい。それから、これが吸収された利潤の使途の説明がありましたが、口頭では、なかなか理解しにくいので、それを金額別に、その支出先別の明細表を出していただきたい。それから超過利潤については、三十八年度見込みについてもお出しを願いたい。  それからイタリア暖地ビートについては、二回行っておるが、それの報告というものを私たちはまだ見ていないわけですから、これは暖地ビートの今後の審議のために、二回行った資料報告書、それをお出しを願いたい。それから二十八年度以降年次別の砂糖関税の収入額と消費税の収入額を年次別に整理して簡単なものを出していただきたい。  それから工場新増設についての大臣が認可をしている、その基準が、一体どういうもので認可をされたか、そういうものをひとつお出しを願いたい。それから、これらを扱う団体として社団法人甘味資源振興資金管理会の組織が、超過利潤のまとめをやっておるのですが、それの定款と、いままでやってきた事業の経過をお調べ願いたい、その資料。  それからてん菜振興会へもお金を出しているのですが、その事業内容。  それから最後に、人工甘味料の三十二年度以降の生産高、これは砂糖換算です。七十万トンないし八十万トンとわれわれは承知しておりますが、それのもっと正確な生産高と、これに、どう対応してきたか、政府のいままでとってきた措置をあわせて資料としてお出しを願いたい。これを全委員に配っていただきたいんですが、いつまでにできるか、その点をひとつ、御答弁を願います。
  147. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) だいぶいろいろ膨大な資料でございますので、あるものは用意したものもありますので、できるものから、逐次出していくということで、一括ということよりも早いかと思いますので、できたものをどんどんお出しするということにいたしたいと思います。  なお、御質問の中で、二、三のものにつきましては、できかねないものもあろうかと思います。
  148. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 できかねないということはできるということですか。
  149. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) できかねるものがあると思います。これは御了承を願いたいと思いますが、たとえば各会社別のコスト計算というものは、実は買い入れる会社についての算定の場合には、いろいろ資料を要求しておりますけれども、現在売られておる製糖会社の会社別のコストというものは、実は調べようもないわけでございますので、そういう点は、あるいはできかねるというふうに御了解願いたいと思います。
  150. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 あとはみんないいですね。
  151. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 大体、あとはできるかと思いますが、とにかくやってみます。やってみて、できるものからどんどん出します。
  152. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ずっと火曜まで間があるわけですから、それまでにそろえてください。
  153. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) できるだけ、そういうふうにいたします。
  154. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) それでは、ただいま渡辺委員の要求がありましたものは、おそくとも火曜日までに、ひとつ当局において、必ずそろえていただくようにお願いいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時二十四分散会