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1964-03-17 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十七日(火曜日)    午前十時十九分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            木島 義夫君            北口 龍徳君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大河原一次君            大森 創造君            小宮市太郎君            戸叶  武君            矢山 有作君            安田 敏雄君            牛田  寛君            高山 恒雄君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    食糧庁長官   齋藤  誠君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件甘味資源特別措置法案(第四十五回  国会内閣提出、第四十六回国会衆議  院送付)(継続案件) ○沖繩産糖政府買入れに関する特別  措置法案(第四十五回国会内閣提  出、第四十六回国会衆議院送付)  (継続案件)   —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案一括議題とし、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 堀本宜実

    堀本宜実君 もう三年ないし四年くらい前だと思いますが、国内産甘味資源について国内甘味を充足しようという計画があって、そしててん菜糖ブドウ糖による生産計画がかつて立てられた、予定されたように思うのですが、あの当時の経過をひとつ概略に御説明いただけませんか。
  4. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 当時の状態、つまり三十四年当時に甘味資源自給力強化総合対策という計画を、農林省としてつくりました点についての御質問かと存ずるわけでございますが、砂糖類の当時の状況からしまして、輸入に依存している割合が九〇%程度であったわけでございます。日本は御承知のように、砂糖輸入国としては、世界でも数少ない有力な輸入国であったわけでございますが、一面、国内におきましても、ひとり、てん菜糖ばかりでなしに、ブドウ糖その他を含めますると、なお自給力向上する可能性があるのではないかというような見地に立ちまして、九〇%の輸入依存度という状況から、将来の需要量考えまして、自給度向上をはかる、あわせて国際収支の改善なり、民生の安定に資し、また畑作農業振興にも資したいという考え方で、十年後の四十三年を目標にいたしまして、一応の対策を立てたわけでございまして、当時の予測でありますると、四十三年度におきまして総需要量を百五十二万トンと想定をいたし、これに対し供給量といたしましては、国内産は七十五万トン、約半分程度を自給するという考え方に立ちまして、七十五万トンの生産目標を立て、そのうち、てん菜で四十万トン、甘蔗糖で二十万トン、それから結晶ブドウ糖で十五万トン、残り七十七万トンを輸入に仰ぐ、こういう目標を立てたわけでございます。それに応じまして、てん菜振興対策であるとか、それからてん菜振興に必要な試験研究等を進めるために、てん菜振興会を設置して試験研究を進めていくとか、そういうような施策を総合的に進めていこうということにいたしたわけでございます。
  5. 堀本宜実

    堀本宜実君 これは、その当時の消費量は百万トン前後であったと思うが、十年後に百五十二万トンと規定したのは、生活が向上して甘味砂糖消費量が上がるであろうという想定に基づいて百五十二万トンと規定したものと思いますが、そういうことでしょうか。それから満四年をたった三十九年の今日、これがてん菜糖の四十万トン、甘蔗糖の二十万トン、結晶ブドウ糖の十万トンの製造をして、約半分、半数の国内自給という計画の上に立って進めてきた今日の成績をお示しを願いたいと思います。
  6. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御指摘のとおり、需要量につきましては、当時の需要量消費最は約百二十万トンぐらいじゃなかったかと存じますが、その後の人口の増加と、所得増加を見まして、そこで百五十二万トンというふうにいたしたわけでございます。これに対しまして、すでに三十七年度におきましてお手元に先般配りました資料にありますように、百六十六万六千トンとなりまして、三十八年度におきましては、百七十万トンという需要が見込まれるわけでありまして、そういう関係からは、すでに需要量をはるかに現在突破しているという状況になっているわけであります。供給量のほうにつきましては、まず総需要量に対しまして、先般の国内生産性から見ますると四十二万五千トンでございまして、自給率は五〇%と予定しておりますが、現在では二五・二%ということになっております。もちろん当初出発年から比べれば、相当自給率は年々向上いたしてまいったわけでありますが、目標に対しては、需要量が非常に大きかったという関係もありまして、現在では二五%ということになっているわけでございます。なお、供給冠の内訳を御説明申し上げますれば、供給量てん菜について四十万トンで予定いたしておりましたのが、三十七年では十五万六千トン、三十八年度の見込みとしては十六万トン程度でございます。また、甘蔗糖については、これは沖繩生産が伸びた関係もありまして、大体甘蔗糖二十万トンに近い成績を三十七年度においては上げております。三十八年は若干、三十七年が二十二万二千トン、三十八年度は約十八万トンと若干下がっておりますが、大体甘蔗糖のほうはやっているわけでございます。それから結晶ブドウ糖は、十五万トンということになっております。これは寒暖の関係もありますので、大体テンポとしては非常に伸びておりまして、三十七年度においては六万七千トン、三十八年度においては約九万トンということになっております。しかし、これも目標数字には、これ以外に実はいま申し上げた七万トンなりあるいは九万トンなりの数字のほかに、つまり規格外のいろいろのブドウ糖生産増等考えてみますると、これもわりあいに目標に近い伸展ぶりを示しておるということが申されるかと存じます。計画実績との状況は、いま申し上げたようなことになっております。
  7. 堀本宜実

    堀本宜実君 この二五・二%というのは、当初の目標に対してか、実際消費数字に対しての二五%になりますのか、その点はどうなりますか。
  8. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは目標でなしに、現在の需要量に対する国内自給率が二五%である、こういうことでございます。
  9. 堀本宜実

    堀本宜実君 これは当初三十四年から四十三年までということで十年計画を立てていたのでありますから、年次計画というものが立てられておったと思いますが、年次計画は立てておりましたか。
  10. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 年次計画というのは特に立てておりませんですが、こういう目標のもとに、実は北海道てん菜だけにつきましては、八カ年計画という計画を立てております。これも、お手元にお配りいたしました資料の六ページの北海道におけるてん菜長期生産計画が大体これに見合うものでございますが、実績計画との対比も出ているわけであります。
  11. 堀本宜実

    堀本宜実君 私は、将来この自給力を総合的に増加していって、輸入を減していく、そうして甘味資源国内産ででき得るだけまかなうという計画に立ちますることは、わが国の経済計画の立場に立って、まことに必要なことだというふうに考えるのであります。ただ甘味資源のみならず、飼料にいたしましても、木材にいたしましてもそうでございますが、開放経済になりまして、ややもいたしますると、日本の外貨の保有高がだんだんと減少しようとする傾向をたどっておりまするときに、国内生産のできるものはなるべく国内でまかなうように努力をし、奨励をするということが、農政の重点でなければならぬというふうに考えるのでありますが、今後政府長期の需給の見通しを立てる、そしてそれを公表するということをしなければならぬと思いますが、そういうことについての用意はございますか。
  12. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お話しのとおり、先ほども申し上げましたが、日本輸入量につきましては、まあ英国に次いで自由諸国では一番輸入量が多い国でありまして、その英国でも自給率が、一九六二年でございますが、二八%というふうな状況になっておるわけでございます。したがって、できるだけ自給率向上を高めるということは、砂糖の今後の消費経済重要性から見まして、必要なことというふうに考えておるわけであります。そこで法案におきましても、自給度向上ということを第一条の目的の一つに掲げておるわけでございますが、ただ考え方といたしまして、経済的な環境としては、開放経済に対応した国内生産態勢をとるということが必要でありますので、一定目標に向かって計画を進めていくという考え方をとるにいたしましても、やはり適地において生産を進めていく、そうしてできるだけ合理的な生産を進めていくということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。そういう考え方に立ちまして、法案におきましても、第三条におきましては、甘味資源作物砂糖類長期生産需要見通しを立てるということにいたしておるわけでございますか、これはこの法案にもありますように、農業基本法に基づく長期生産及び需要見通しの中に、重要農産物には特に甘味資源作物が入るということをここで明らかにいたしておるわけでありますが、そういうことで長期見通しを立てます考えでございますが、さらにこの自給度向上の思想を具体的に生かしていくという考え方をとりまして、砂糖類甘味資源生産振興を進めていくにあたりましては、やはり目標のほかに生産計画的なものを立てまして、そうしてその計画に基づいて毎年度の予算の裏打ち資料にもあわせていたすような考え方も取り入れ、まあいわばこの計画を指針として生産奨励の各種の施策を進めていく、こういうような考え方をとっていきたいという考えでおるわけでございます。
  13. 堀本宜実

    堀本宜実君 これはもうぜひとも、私は、そういう従来見通しを立てて進んだが、百五十万トン余りのものが、はやすでに百六十六万トン、百七十万トンにも達したということならば、消費見通しはすでに十年後をオーバーする形になってきておるのであります。まことに、どこが悪いということもないのでしょうけれども、計画としては権威のない計画であるというふうに考えられるのでありますが、そういうような変化の起こってきておる今日、この目標をはっきりつかまえますることも必要でありますが、それに対しまする生産も、また計画がどのようになっていくかということについて、その生産計画年次別計画を立てて公表すべきであるというふうに考えます。どうかその点については、将来とも実施することを、何といいますか、農林省は天下に声明をして、安心してそういう生産者にも、消費者にも、あるいはそれを製造する人たちにも参考にせしめるべきではないかというふうに考えるのであります。  そこで、最近てん菜糖は、ことに寒地におけるてん菜糖は、いろいろ天候等支配等も受けて生産が停滞しておる。もうこの上伸びないのじゃないか。あるいは、思惑で精糖工場てん菜糖工場を持っていったが、その後の生産が思うように伸びないというようなことを聞くのでありますが、それはなるほど天候等原因はありましょうが、ただ天候等原因でなくして、ある程度までその生産というものが飽和状態にきておるのではないか。地域を広げていけば別でありますが、そうでない限り、なかなかそう多くの期待を持てないという人もあるようでありますが、そういう点についてのお見通しはどうかということでございます。
  14. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 特に北海道生産状況につきましては、御指摘のとおり、計画に対しましていわゆる達成率は非常に低くなっております。この原因としては、いろいろあると思いますけれども、特に現状が、反収が非常に思ったよりも低い、期待どおりいかなかったという点が、大きな原因であろうと思います。また、この反収がそう伸びなかった原因は、さらにさかのぼって考えてみますと、てん菜は、御存じのとおり、非常に労力を要する作物でございまして、しかも、これは畜産と結びつくことが、生産向上のため非常に大きな条件になっております。畜産も、御承知のとおり、非常に手がかかるということで、なかなか両方労力の要るものを合わせて経営していくということがむずかしいという点、そういった点が原因となりまして、その他にもいろいろ、新しい技術の導入についてのまだ普及が十分ではないというふうな点も、ございまして、反収は思ったように上がらない。そこで、農家にとっては、わりあい魅力のない作物で従来まであったということが、伸びなかった大きな原因であろうと思います。それでは将来はどうであろうかという問題でありますが、可能性としては、私たちはまだまだ伸びる余地は十分あると思っております。しかし、そのためには、先ほど申しましたように、労力節約的な栽培法を導入して、できるだけ畜産と結びつけていくということが必要であると思います。また他面におきまして、これは御存じのとおり、連作がききませんで、理想的に言いますと、五年なり六年なりの輪作体系でいかなきゃならない。したがいまして、適地は実際、栽培面積の五倍も六倍も要るということでございますから、そこで、土地改良等をもっと大々的に行ないまして、適地を大いに造成するということも、他面において重要な条件であろうと思います。そういうふうな、いろいろな面における対策を進めていきますならば、決してこれは悲観するにあたらない。現在の平均反収は約二・四トンでございますが、努力によりましては三トン程度までは上げることは、外国の例から見ましても、決して難事ではないのではないか、こう考えております。そういった、血で諸施策を今後推進するならば、将来の飛躍というものは十分期待し得るというものではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  15. 堀本宜実

    堀本宜実君 それは、そうすると、ただうっちゃっておいたのでは、省力栽培にしても機械化栽培にしても、あるいはビート畜産という関係にしても、なかなか、私は、伸びない。むしろ停滞ぎみである。それは、反収が伸びないというところで農家がいやになる。こういうことなのであります。大体こういうことなんですよ。固い理屈でものを考えようとするよりも、このごろの農家というものは、やっぱり農業以外に働きに出ますね。その出ることによって、自分の朝の九時から夕方の五時、六時までの労働時間、八時間なら八時間の労働時間というものが、千円なり千二百円ぐらいくれるのだという一応の労働報酬というものを、身をもって体験しているのですよね。そういうような現実の姿がありますから、だから農家も、てん菜糖つくって、生産費が償う、そういうことになるのかどうかということで、役所のほうで省力栽培をやり、あるいは畜産を結びつけて、畜産が盛んになればビートの葉が飼料になる、あるいはまたビートのかすがまた飼料になるということになって、二重に飼料化ができて、たいへんいいのだという観念的な理屈だけでは、私はてん菜糖の発展はおぼつかない、こういうふうに思うのであります。そこで、そういう観念論でなしに、現実政府は一体どうしようというのか、そういうことについての解決方法が具体的にあるのかどうかということでなければならぬと私は思う。その点どうなんですか。
  16. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) お説のとおり、単なる機械的な計算で割り切れない問題であると思います。結局、農家といたしましては、てん菜を栽培することによっての、たとえば時間当たり労働報酬あるいは反当粗収入とか、それから労働の質なんといったもの、それから他の作物との比較なり、あるいはまた農業外に出た場合の労働報酬などを総合勘案いたしまして、はたしててん菜をやる意欲が出るかどうかというふうなことだろうと思います。  しかし、これはやはりいろいろ分析してみますというと、そこに、農家はどういう点にビート魅力ある作物となり得る要素を持っておるかということにつきましては、やはり計算考えられる面もあろうかと思います。たとえば、現在、てん菜につきましての一時間当たり労働報酬は、われわれの調査によりますと約九十六円でございます。これが大豆とか小豆とかいう豆類になりますと、百四、五十円から百七、八十円というふうに高い。これがやはり農家としてビートをつくるよりも豆をつくったほうがよいということを、直感的に考えさせる要因となっているのじゃなかろうか。そこで、やはりこういうふうな問題になりますと、一時間当たり労働報酬増加とか、あるいは逆に、労働の軽減とか、そういうことをやる、また、それをやるためには、反収増加をはかっていくということをやることによって、そういうような観点からのビートに対する魅力というものはやはり出てくるのじゃなかろうか、そういうふうに私考えておるのであります。
  17. 堀本宜実

    堀本宜実君 私はまだいまのお話では満足をいたしませんが、ともあれ、もう少しきめのこまかい、単なる観念論じゃなしに、手厚い、あたたかい指導をしてやって、そうして引き合う農業というあり方、昔のような形での家業という業ではなくなって、企業という業に最近変わっておる。企業価値というものを認めなければ、農業だってもうやらないと私は思う。天地とともに行ずるというような農本主義的な労働というものは、私はもうこれからは、やらない時代が来ているのではないかという考え方を持っている。しかたなしに、地方に散在するゆえんをもって生産性の低い、所得の低い農業でもやむなく従事をしておる。これはやむなくしておる。やがてそういう時代からだんだんと脱却し逃避していく時代になってくると、やはり引き合いにかからない農業はやらないという傾向が、ますます強くなるのではないかというふうに考えるのであります。ですから、やはりそこに、もっと割り切った人は、国際分業でなければなるまいなんというふうな議論さえ起こってくるのではないかと思う。しいてそれにつなぎとめておこうという姿勢ではだめなので、そういうことをするためにば、やはりひとつのあたたかい、何といいますか、いわゆる政府支持価格あるいは政府買い入れ措置をやってやるとかなんとかいう、こまかいことがつきまとわないと、同じ買い入れても低い価格で買い入れるというのじゃ、これはどうにもなりますまいが、そこがやはり私は問題だと思うのですよ。それはここでけんかしたってどうにもなりませんから、どうかひとつそういうことを特に私は考えるべきじゃなかろうか、こう思います。  そこでもう一面、そういうことが生産者にも言える反面、てん菜糖工業者にも言えるのじゃないかと思う。何か私らよくわかりませんけれども、てん菜糖工業というようなものがいち早く、まだてん菜糖生産予定地へこれから伸びるであろうということを想像してそうして工場を持っていく。まだ十分てん菜糖のほうが生産されない。そこで十分にその材料を満度に必要とするほど吸収することができないということで、この工場原価計算の上からいっても満度に動かない。したがって、やはりそこにコスト高というものが起こってくるというようなことは免れないと私は思うのですが、それはある程度のものは犠牲に何年かはやっていくのでしょうが、永久的にそういうことは続かないと私は思うのですが、これは人の話だからわからぬ。人の話をまともに受けてこういうところで言うことは不謹慎だとは思いますが、やはりてん菜糖工業、つまり砂糖工場のほうの合理化というようなもの、そういうものについてお考えになったことがございますか。
  18. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お話しのとおり、てん菜生産の面における引き合うような合理的な価格を設けて、これを中軸として生産を進めるということが必要であると同時に、企業の面におきましてもそういう配慮というものが必要ではないか、こういう御質問のようでございます。お話しのとおりでございまして、企業としても原料の少ない中に工場の数が非常に多い。その結果、操業率が非常に低いということから、非常にコスト高になりその結果、価格としても高くもなれば逆に生産者に対する支払い能力も低くなるというようなことがないようにすることは、お説のとおり必要なことだというふうには考えるわけでございます。そこでただ現実問題としては、しからばどうであるかということになろうかと存ずるわけでございますが、いまの生産テンポ、あるいは将来の生産見通しというものを考えまして、現在ある北海道工場の数が適正であるかどうであるか、さらに適正でないとすれば、合理化考える必要があるかどうか、こういう御質問であるといたしますならば、現在われわれとして考えておりますのは、大体北海道における今後の生産の伸びから見まするならば、現在ありまする九工場におきます今後の処理量が現在におきまして十二万トン、将来におきまして十五万トン程度処理可能量というものにはいき縛るのではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、従来工場のできた経緯、あるいはまた工場をつくることによって逆に生産を刺激し、生産の増大をはかり得るという、こういう面等考えて、現在の工場が設置されたというふうに思うわけでございますが、それらを考えてみますると、現在の生産処理量、将来の見込み処理量等をあわせ考えまして、現在の九工場におきましては大体適正な操業率を実現することができるのではないだろうかというように考えておりまして、この企業自身につきまして、いま直ちに合理化をはかり、合併をすすめるというようなことは、必ずしも考えておらないわけでございます。
  19. 堀本宜実

    堀本宜実君 そこで暖地ビートの問題でありますが、まあ暖地ビート東北並び西日本等でも各所で、試作が行なわれ、また試作程度から少し安定生産へと向かってきて、それがために確かに西日本にも二、三カ所工場というものではないかとは存じますが、集術をし砂糖工場を設けたところもございます。そういうようなところのその後の状況は、一体、どういうふうになっておりますか。
  20. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 暖地ビートを直接対象にいたします工場として設立され、現に操業いたしたものは二工場でござ、いまして、一つ大分県に設置されました新光甜菜糖会社、それからいま一つは、岡山県に設置されました横浜精糖会社工場、これが暖地ビートの精製を直接対象にいたしましてできたものでございます。大分県のほうの工場につきましては、実は九州一円の暖地ビートを処理するという計画でできたわけでございますけれども、操業に必要な原料が集荷できない、生産が確保できないというようなことで、創立当初におきましては、当然ある程度の創業的な赤字というものが予定されるわけでございますけれども、意外に原料生産面におきまして増加が期待できなかったというようなこともございまして、その間におきまして大分県の工場一定の量までにいくまでにおきまして、会社としてそれ以上存続することが経営上不可能だというようなことで、三十七年に一応操業を停止したままに至っておりまして、その後のその地方にできまするてん菜岡山横浜精糖工場に輸送して処理させるということにいたしたわけでございます。岡山工場につきましては、これは中国地方あるいは四国地方てん菜対象として設けられたものでございますが、この中国並びに四国地方におきまするてん菜も、当初予定いたしましたような生産の伸展も見得なかったという関係で、これまた原料処理場としては当初の計画的な見込み数量よりもはるかに下回るというふうなことになっておりまして、現在相当の赤字が出ておりますものの、なお操業としては続けてまいっておるような状況になっております。  ただ、その後各地方におきまするてん菜生産の具体的な指導のやり方、あるいは算入のしかた、それに必要な技術的ないろいろな諸問題もだんだん明らかになってまいりまして、暖地ビートにつきましても、特に南九州については、今後なお相当期待をかけていい見通しにあるのではないだろうかというような関係もございます。  そこで、岡山にありまする横浜精糖工場分につきましては、なお引き続き暖地ビートの処理に充てるということで現在精糖工場としても操業を続けており、また今後も続けるであろう、こう期待しておるわけでございます。
  21. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 関連。  いまの暖地ビートの問題でありますが、これはいま長官の御説明にあったのですが、実は西南暖地、ことに九州で数年前、お話しのとおり暖地ビート畜産等と結びつけて、また甘味資源としてもかなり県当局なんかでも勧奨した事実があるのです。御存じのとおり、大分県では県費で多少の助成までしていることは御存じのとおりであります。ただ、他の府県では、ことに私の県なんかでは、これに対しては経済上どの程度の収益が得られるか、そういうような見通しもよくつきませんのと、暖地ビートに対する栽培上の経験等もない関係で、農業団体としても県当局としても、かなり慎重な態度で、あまりすすめなかったのです。でも幸いにしていま、その結果、農家にはあまり迷惑をかけなかったのですが、いまのその暖地ビートに対する将来のほんとうの見通し、どうなんですか。やはり相当奨励し得る、農家の経営、栽培作物としてのその栽培が、かなり収支償って、他の作物よりも収益が劣らぬ、むしろ多いというような自信があるのでしょうか。その点をひとつ、将来の見通しですね。もう少しはっきりお尋ねしたいと思うのですが……。
  22. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 現在までに岡山大分等で奨励いたしました暖地ビートにつきましても、失敗の最も大きな原因は、春まきで秋に収穫する栽培方法をとったのです。これは、ビートは、御存じのとおり栽培期間中の積算温度というものが非常に生育の上に大きな要件でございまして、したがいまして夏場に栽培すれば、それだけ積算温度が高くなるという有利性があるわけであります。反面、その期間が高温多湿である関係上、病害虫が非常に発生いたします。結局病害虫のために生産ががた落ちになったというふうなことで失敗したわけでございます。そこで、現在考えております鹿児島等に対する奨励の方策といたしましては、ビートは春まきではなくて秋まきでやっていこう、秋まきの春収穫という栽培法でやっていこう、こう考えているわけでございます。これならば病害虫の心配はほとんどございません。同時に、鹿児島等は暖地でございまして、秋まき春収穫でもその積算温度は最低限必要な二千四百度をオーバーする、そういう意味で反収も、栽培法さえうまくいけば、三トン以上はとれる可能性があるという技術的な見通しがあると思います。そういう栽培技術上の見通しを立て、しかも経営形態から見まして、現在は鹿児島県は御承知のとおりイモを非常につくっておりますが、冬作といたしましては、なたね、麦等は比較的生産性の低いものでございまして、その冬作のなたね、麦にかえてビートを入れるということが、農家経営上あるいは経済上から見ましても、相当効果的な面があるのではないかというような考え方で、イモとうまくかみ合わせてビートを入れるということを現在考えているのであります。
  23. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 大体、新しい作物を初めての土地に、ことに農家奨励する場合には、試験場あるいは県内の数カ所の異なった土質、あるいはいろいろな農地の条件の違っている数カ所に試作を一、二年やって、しこうして後これをすすめるというようなことを考えていないのですか。それを暖地ビートの場合にもやったのですか。
  24. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) これは予算にも出ておりますけれども、適地検定法というものをやりまして、そうしてそこで、その地帯のビートに対する適性の試験は普及段階に入る前にやっております。
  25. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 いまの、私は局長の御答弁には、実際上の問題においては満足しないのですが、大分県は私の隣県であり、われわれも、県の当局とも話し合ってかなり意欲を持って初めて暖地ビートの栽培を農家に勧奨してみようかということを考えたのです。いろいろ話し合ってみたけれども、お話しのような材料がない。そういう試験は、あなたのおっしゃるような試験はない。で、あなたの言う試験はどこでやられたのか知らないが、私はついでに、やはりそういう試験に関係のあることでしたら、ここに政務次官もいられるから、特に希望を述べておき、また、そういう考えがあるか——私の申し上げておきたいと思いますのは、新しい作物あるいは新しい農薬というようなものを農家にすすめる場合に、少なくともポット試験であるとか、ごく狭い圃場試験であるとかあるいは一県に一カ所だけというのではなくて、異なった土質あるいは農家にしても数カ所の農家を選んでやはり試作してみる。しかも、暖地ビートのような場合は、農薬の場合とまた違って、経済上はたして有利であるかどうか、そういうような経済的な見地からも、ただ単に増収であるとか、単に反当たり幾らとれるのだとかいうような、あるいはどういう栽培方法がいいとか、栽培方法によって多少違うのですから、そういうような試験あるいは試作というような面をあらゆる角度からやって、そうして後一般の農家にすすめないと、いまのような九州における暖地の、ことに大分付近の暖地栽培が決して初めの予想どおり成功していない。現状は、工場は閉鎖している、こういうような状態になっており、隣県の者なんかでも非常に迷っている。慎重な態度をとっているところは、何の被害もなかった。農薬の場合でも、御承知のとおりPCPは魚介類に被害があるということで、マピカを代用薬として政府はすすめたところが、九大の農学部の教授は新聞に堂々とマピカは被害がないということを新聞に書いておる。これはどちらか真偽はにわかに断定はできません。一学者が言うたから必ずしもそれを全面的に肯定するわけにはいかぬでしょうが、いやしくも大学の教授が新聞という公の機関に、大衆に接する機関にマピカは被害がないのだ、こういうことを発表しておる。しかし、実際の農家は被害があるといって、関係の県からはどんどん陳情して何とか政府でその被害を検査してもらいたいと言っておる。これらの場合もやはり作物の場合と同じで、新しい品種、新しい作物、また新しい農薬、その他ありますが、一、二の例だけを申し上げますが、そういう場合はもう少し慎重な態度であらゆる角度から試作というようなものを、技術的にもあるいは経済的にもやって、しこうして後これを一般の農家にすすめる、あるいはとめる、こういうような態度に出ることが、私は親切なやり方じゃないかと思うのですが、そういうことはどうなんですか。そういうお考えはないのですか。
  26. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お話の点は私はまことにごもっともと思います。暖地のてん菜糖奨励につきましては、むしろ私の記憶しておる限りでは、どっちかと言えば、暖地に限らないのでありますけれども、もう業者のほうが先行したような趣きもあるじゃないかとも思っております。そして暖地のてん菜糖は全く初めての奨励作物でもあるので、慎重を期さなければいかぬというわけで、九州にその試験機関を設置し、これが試験研究に従事しておる。暖地に適する品種あるいは耕種法のやり方、あるいは病害虫の程度及び駆除方法とか、それから暖地においても適地がどういうふうになっているかというふうなことを、基本的なものをよく研究していかなければいかぬのでありまして、そういう方法で進んでおるのですけれども、業者のほうが幾らか先行したようなうらみもないではないと思うのであります。今後におきましては、ただいま園芸局長のお話のように西南、鹿児島地方におけるその栽培方法によっては適地であるというふうに認められる点がありますので、各方面の指導をやって、いまやっていないようなお話もありましたけれども、てん菜適地試験というのは、予算をとって検定法の設定はやっておるのでありますが、あるいはまた十分でないとも言えるかもしれません。今後そういうことも熱心に、また広くやりましてその適地の確保を十分確認し、またみんなにそれを知らせるようにし、そうして無理をせずに着実に進んでいきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  27. 堀本宜実

    堀本宜実君 これはいま森部さんからお話になったように、奨励したのか、奨励しないのかわからないが、ともあれ業者のほうから先にいったのか、奨励したのかよくわからぬが、かなり各県きそって試作をし、また指導をしたことは事実です。そうして、これは元来寒冷地のものだから、暖地ではできないだろうという想像があったのですね。その想像どおりできないのですね。それへもってきて岡山大分工場ができた、まだ、できようとしたのだ。まだしかし、秋田か山形かにも何かできているはずだと思う。これは暖地とは言えないかもしれないが、このあたりは一体どうなっているのか。これは輸送料をつけて東北の分は北海道へ持っていくということになっておるから、かなりな集荷量があるのかとも思いますが、このことは別にお伺いはいたしません。  ただ、私思いますのに、同じ日本、わが国における甘味資源自給力をつけるという立場で、てん菜、サトウキビ、それから甘藷による結晶ブドウ糖、この三つがあげられておるのであります。ところが、おのおの適地適産でなきゃならぬと言われますが、適地適産なんていうことは、これはあたりまえなことなんですよ。適地でないところへ物をつくろうなんていったってできるはずがないし、適地適産なんていうものを鬼の首をとったようなことを言って金科玉条に振り回していて、それでなければ作物はできません、そういうことをやりますなんて、そういうことあたりまえなことなんだ。適地でなければできないことはわかりきったことなんだ。私は、それをいかさま新発見のごとき言い方をいたしまするところに、きわめて不合理なところがある。そこでかりに、ここにも書いてある。説明の第三のところに、適地においててん菜糖をやる。これは適地西日本はないという意味も含んでおるのであろうと思うが、とにかくそういうところで失敗をしておる。そのことは勝手にやったのだからして、切り捨てれば切り捨ててもいい。そのことはやむを得ないが、そこで、てん菜糖やサトウキビというようなところで、「甘味資源作物生産計画的に振興することが特に必要と認められる」というふうに述べておられるのであります。計画的に生産をすることが必要である。それはそうでしょう。工場を持っていてかまえているのだから、計画的に生産されなければ工場は手持ちになるのだから、それは計画的に生産をされなきゃなりますまい。その計画的に振興することが特に必要と認められる一定の区域には、てん菜糖振興地域またはサトウキビ生産振興地域として農林大臣が指定をするということにしておられるようであります。ブドウ糖原料であるサツマ、つまりカンショについてもこういうふうな指定地域を設けられますか。
  28. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) カンショはこれは日本全国とは申しませんけれども、非常に広い範囲に栽培されておりまして、これはある程度加工する場合に、必ずしもその産地と直結しなくても輸送がある程度ききますので、距離があってもいいというような問題もございまして、特にカンショについて特別な指定地域を設ける考えはございません。
  29. 堀本宜実

    堀本宜実君 これには「必要な助成を行なう」となっているが、同じ甘味資源について、てん菜糖とサトウキビには指定地域を設け、そうして国が助成を行なうというのに、カンショはどこへでもできるから、日本じゅうできるから指定をしないというけれども、そういうものではないのであります。それはちょっと机の上でお考えになったカンショづくりの考え方であって、愛媛県なんかにきてごらんなさい。四百メートルの頂に至るまで山をはいで段々畑で、畑の面積よりも石がきの面積のほうが長い、いかに貧なるかを知るということばがございますが、いかに貧乏であるかをあれでよく証明をしておる。幾らカンショが下落しても、そういうアドバルーンを上げても、カンショ以外につくるものがございません。そんなところでは、たとえば九州の長崎県の五島列島、あるいは鹿児島の一部、あるいは熊本、宮崎の一部のごときはカンショ以外にはできないところがある。そういうところはやはり、てん菜糖あるいは砂糖キビと同じような取り扱いをすべきものであって、それはなるほど静岡であるとか、あるいは一部の平野でカンショをつくっているところで、他の作物に転換し得るところはそうでしょう。そういうところは指定しなければいい。そういう急坂なところで、しかもたいへん地味の悪いところでイモをつくっている。ブドウ糖原料にするためにイモをつくっている。そういうところは指定して国が助成をすべきである。私はこれは片手落ちだと思う。自給力で総合的な対策を立てるということなら、ひとりブドウ糖だけを片手落ちにして、つくりたければつくれという筋合いのものではない、こういうふうに私は思うんですが、どうです。
  30. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) ビートは、先ほどから御説明いたしておりますように、非常に適地条件がむずかしゅうございまして、その条件に合う地域を特に選びまして、そこで新しく導入を促進するために、今回法律をつくりまして振興地域ということを設けたわけでございます。カンショにつきましても、政策的あるいは理論的に、振興地域というもののごときものを設けることがどうだということになりますと、決しておかしくもなければ不可能でもないのであります。これはむしろ政策論の問題だと思います。ただ、現在われわれといたしましては、ビートにつきましては、そういうふうにむずかしい作物であり、特に力を入れて丁寧な指導をやらなければならない、あるいは助成をしなければならないということで、ここに振興地域というものをビートについてのみ設けたわけでございます。
  31. 堀本宜実

    堀本宜実君 ビートだけではございますまい。砂糖キビもそうなんでしょう。
  32. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 砂糖キビにつきましても、もちろん非常に限定された地域しかこれはできません。それについて特に指定を設けてやるということでございます。
  33. 堀本宜実

    堀本宜実君 私は、そこが少しものの考え方が違いはせぬかと思うんだ。それはカンショ以外にはできない。私はかつて長崎の萱岐、対馬その他五島列島、あるいは愛媛の高知の境にありまする段々畑、あるいは熊本、あるいは鹿児島等のカンショしかできないところの、いわゆる他のものをもって耕作することのできない畑作地帯のカンショは、特別価格で買い上げる必要があるのではないかということを申し述べたことがあるんですが、また、農林省においては、かつて、そういうものは何らか特別の取り扱いをすべきではないかということで研究されたときもかつてはあるんです、古い時代に。これはほんとうにそういうところがあるわけなんです。それでてん菜糖砂糖キビは土地がむずかしいんだとか、特別に指導せなければならぬというけれども、イモというものは、ばかなものだからほかっておいたらできるように思うたら間違いますよ。あれだって肥料も要れば、うね寄せも要るし、やはり苗を持っていって立てなければ、あれは自然にできるものでも何でもない。みんなそれぞれ手が要ってちゃんと栽培するわけなんです。私は、こういうものははずしておいていいという理由は、一つも認めないのであります。そういう観点から考えるならば、やはりこの甘味資源としては一定に、ブドウ糖資源であるカンショについても地域指定を行ない、国の助成を行なって、そうして奨励をする、そうして奨励をされたその地域指定からできたものは、甘味資源原料として供給する、こういう形にもっていったほうが原料確保の意味からいっても、あるいは自給確保の意味からいっても正当ではないか、こういうふうに考えるのであります。  これは、いまのは、どうしてそんならビートだとか甘蔗だとかいうものが土地がむずかしいとおっしゃるのですか。何がむずかしいのですか。どういうところがむずかしいか。指定するのがむずかしいのか。土地がむずかしいという意味は、どういうところにむずかしさがあるのですか。
  34. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いま、カンショについてもビートと同じように生産振興対策を法制上同じように扱ったらどうかと、こういう御質問でございますが、いま先生のお話になりましたカンショ自身についてのいろいろの生産振興対策を講ずべきであるということについては、これはもう農林省としてはそういう方向に進んでおりますから、問題ないところでございますが、ただ法制上の取り扱いについて若干私は違いがあるのではないだろうか。先ほど園芸局長から申し上げましたように、まあカンショ、バレイショ、これはほとんど全国にまたがって生産されておるわけでございまして、そういう意味から農家経済上重要であるということで、むしろイモ作農家の経営安定という意味におきまして、いち早くこのカンショについて農産物価格安定法によって一般的に価格の支持をしよう、こういうことにいたしておるわけでございます。今回の法案は、甘味資源生産振興砂糖類自給度向上ということをねらっておるわけでございますが、そういった観点からブドウ糖も取り上げましたのでありますけれども、ブドウ糖を取り上げましたのは、イモの需要市場の拡大をはかったり、あるいはイモの市場の安定を得るということによって、イモ作農家の経営の安定にも資していきたいという考え方をとっておるわけでございます。そこでブドウ糖なりを考えました場合には、これはもうおそらく全国のでん粉工場から集めるということになりますから、ブドウ糖工場といきなり生産振興地域というものを結びつけて考えるというわけにはなかなかいき得ない。われわれも議論といたしましては、この設立の過程におきまして、ブドウ糖工場も同じようにある程度この設立についての抑制をはかるべきではないかというふうなことも考えたわけでありますが、いかんせんブドウ糖原料となるでん粉は全国にまたがってある。しからば、それじゃ、でん粉工場自身を生産振興地域と結びつけてやったらどうかということになりますが、これまた先ほど申し上げましたようなことで、地域も相当全国にまたがっておるし、でん粉工場自身もまあ千五百もあるというようなことで、生産振興地域というものをきめて、そこにでん粉工場を結びつけ、あるいはでん粉工場ブドウ糖工場とを結びつけるというようなことが、ブドウ糖に関する限りは、なかなかむずかしいという事情が一方にあるわけでございます。それに対しまして、ビートなり甘蔗等につきましては、これを今後導入する場合には、やはり三つの私は条件があるように思われるわけであります。一つは、新しい作物でもあったりしますし、これを進めていくにつきましては、やはり技術的な問題が十分なされて、そうして、まあ適地生産振興をはかる必要がある。それには先ほども申し上げましたような作期であるとか、品種であるとか、栽培方法であるとか、こういうような面について技術的に十分導入し得るような方法を考えていく必要がある。それから、かりにそういう条件がありましても、必ずしも他の作物と経済的に考えてみた場合に割りが合わない。たとえば関東であるとか、あるいは岡山地方において当初ビートが入りましたものの、それ以上に蔬菜の収入のほうが高いというようなことがありまして、農家は技術的には可能であっても、必ずしも喜ばないというようなこともありますが、逆に青森であるとか、あるいは北海道であるとかいったようなところで、他の競合作物ビートの現段階におきまする反収、それから受ける粗収入と考えてみました場合に、十分成り立ち得る、経済的に他の競合作物よりは有利であるというようなことが、農業経営の面から見まして、導入する際に考慮すべき条件であるというふうに思うわけでございます。第三の条件といたしまして、やはりこれは半製品であり、原料農産物でありまして、それ自身が最終商品にはなり得ない性質を持っておる関係上、どうしても工場原料として販売し、そこで精製された形で最終商品になってくるということでありますので、企業との結びつきを不可欠的に考えざるを得ない性質を持っておるというふうに思われるわけでございます。そこで、そうなりますると、一体工場には、必要な原料処理量を確保しないことには、企業として成り立たない。まあ、企業が先か生産が先かというのは、町方相並行していくということにならざるを得ないと思いますが、幾ら生産が全国でできましても、これが一定母にまとまらないことには、また、工場の経済的な集荷地域というものを想定して考えないことには、企業としては成り立ち得ない。企業が成り立たなければ、生産は部分的には可能であっても、十分継続して生産することができない、こういう関係があるわけでございます。そこで、岡山の場合におきましても、大分の場合におきましても、広く集荷地域というものなしに、その地方から集まるものを予想した処理計画を立てたというところに、集荷量が当初予定したより集まらないということで、企業としては成り立たない。企業が成り立たないから、生産もやむを得ずやめざるを得ないという地域もできてきたわけであるわけでございます。そこで、どうしてもそういうものについては、生産振興地域を考える。その生産振興地域と結び合わせて、原料の処理をすべき工場の合理的な配置も考えると、こういう結びつきで、この生産振興地域というものが考えられておるわけでございます。したがって、若干その面におきましては、もうカンショ自身について、取り扱い上、各地にでん粉工場がある。そのでん粉を受けて、ブドウ糖工場が、特定の集荷区域ということを考えることなくして操業を行なっておるという事態にありますので、カンショ自身に対する生産振興はこれは別に進めるといたしましても、生産地域というものをこの法制上に取り入れてやるかやらないかということは別問題であり、われわれといたしましては、若干そこには取り扱い上、異にすべきものがあるんではないかと、こういうことで、この法案にはカンショを生産振興地域から特に落としておるというわけでございます。
  35. 木島義夫

    ○木島義夫君 ちょっと関連質問。私は二つの点について、主として堀本さんの質問に関連してお伺いしたいと思います。いま政府委員の御答弁だと、農産物の価格安定法によってカンショの価格は保証されているということを言われましたが、われわれから言えば、これははなはだなまぬるいやり方と言わざるを得ないんです。で、これは事実、でん粉の価格は保証しています。しかし、直接カンショの値段は少しも保証されていないです。ですから、政府はでん粉屋には直結している。しかしながら、生産農民には少しも直結していない。こういうことはわかりますか。わからないでしょう、日本農林省は。わかりますか、質問が。御答弁願います。
  36. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御趣旨の要点が、私の理解が不十分でよくわかりませんが、バレイショの買い上げというのは、イモ価格の支持の単なる技術的な手段にすぎないのでございまして、イモの値段が非常に高く、予定された支持価格以上にイモの値段が高いというふうな場合におきましては、いかにでん粉が下がっても、私は本来、でん粉価格についての支持をするという考え方ではないと思っております。つまりでん粉の救済ということで、農産物価格安定法はできていないわけでございます。したがって逆に言えば、一定支持価格で買ったでん粉だけにつきまして、そのでん粉の価格が下がるというような場合においては、これはイモ作の今後の取引に影響するという意味において買い上げるというたてまえに現在なっておるわけでございます。したがって、いまお話しになりましたでん粉を買い上げにしているということによって、イモの価格とは無関係な運営をしているのではないかというような御質問でありますならば、われわれとしてはそうではないということを一番念頭に置いて運営しておる、こう申し上げざるを得ないと思います。
  37. 木島義夫

    ○木島義夫君 われわれの経験によれば、政府がでん粉価格をきめるということが、年によって一月ごろになることがあるのです。そうすれば、イモの価格に対してほとんど影響はない。それからもう一つは、それをきめる場合において、日本の国というものは、寒帯から亜熱帯まで及んでいる。つまり関東や九州では生産時期が年々時間の差異がある。だから、われわれ長く、東日本と九州地方とは二段に価格の発表やなんかすべきである、こういうことを言っておるのですが、いつも、われわれの経験によれば、規定は十月の初めとなっておるかしれませんが、それが十月の半ばごろ大体きまるのです。畑にはもうイモはないです。また、その価格のきまるのを待つために、畑にイモを置くことができないのです、冬作の関係上。実際にちっとも適合していないのです。なぜああいうふうにおくれて、イモの生産者を事実上保護できないようなことをやっているかということですね、このことを私どもは非常に心配しておるのです。このことについて御答弁願います。
  38. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お話のように、できるだけイモの出回り前におきましてイモの支持価格を発表するということが望ましいことは、われわれも同様に考えておるわけでございます。ただ、現在の農安法におきますイモの価格の算定の考え方というものにつきましては、先生御承知のように、当該年における需給というものを反映させて価格をきめるということになっておりますので、そうなりますと、われわれの事務的なことになりますが、イモの当該年における生産見通しを把握するための統計資料というものが、どうしても九月一ぱいにできないということで、十月にまたがらざるを得ないということに現在なっておるわけでございます。法案はそういうことを考えまして、十月末までにつくるということになっておりますが、十月末を待たないで、できるだけ早くしたいというふうにわれわれも考えておりますが、そういう資料の制約で、だんだんおくれおくれになっておるということを御了解願いたいと思います。
  39. 木島義夫

    ○木島義夫君 ただいまのこれは事実です。法規上そういうことになっておることは私は認めます。しかし、これはお祭りを過ぎてからちょうちんを届けるようなもので、何ら価値ない。ですからちょうちんがお祭りに間に合うようにやらなければいかぬと思う。ですからこの法案がそれでいけないならば、すべからくこの甘味資源は最も重大な問題ですから、できるかできぬか当てにならない、集まるか集まらぬか当てにならないてん菜糖のほうをひねくっているよりも、このことを先に法令をきめなければならぬ。いま堀本委員からの御質問のように、日本のイモの値段というものは、大海に漂っておるような感がある、生産地からいえば。この堀本委員の地域的石がきのお話などは、全く何といいますか、そういう地域もあるということで、いまさらながらわれわれ農村問題を考える者は感に打たれるのでありますが、わが千葉県においても、香取郡にまたがる地域は夏作としてはサツマイモ以外には土地が悪くてほとんどできないですから、あの地方はみんなイモをつくっておる。ところがイモの値段が大海にゆすぶられておる小舟のようなかっこうであるから、あすこから出ておる人で寺島という代議士がおります。この人はいつもイモの問題で出ております。二、三年前も、赤城さんが政調会長の時代だったと思いますが、陳情に行ったら、やあ、寺島イモ将軍が来たからイモ将軍の言うことは聞かなければならぬということで、寺島さんはイモ将軍によって票を集めておるようでありまして、この法律がいまの状態にあるならば、寺島さんは永久に代議士に当選するでありましょう。しかしながら、その生産農民の苦痛たるや、これはいつも貧困な状態に暮らさなければならぬので、この問題をもっと直接的に、イモの生産者を保護するということに政府がするならば、甘味資源の問題は需要量の七五%を予定しておるということであるが、それくらいのところへはむろんいっておるわけですが、いままである肝心の長男を大事にしないで、二郎、三郎のほう、しかもこれははなはだあやしいものであるにもかかわらず、これに力を入れておるというところに、甘味資源の解決の方法がつかぬと思う。私は、過去における日本のこの甘味資源の方策というものは、ここで考え直して一新しなければいかぬと思う。  その次にもう一つ申し上げる。これは強く私は要望しておきますから、強く頭に印象しておいていただきたい。依然としてこうしておるならば、私は、この問題については、わが自民党としても一大対策を講じなければならぬと考えております。  その次にもう一つ私の申し上げておきたいのは、ビートの問題です。ビートの問題は、一体どのくらいの原料が集まったならば、一つ工場が経済的経営が現在の状態においてできるかということを先に答弁していただきたい。
  40. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは、北海道の例について言いますと、現在大体十二万トンくらいの処理量になると思いますが、十五万トンくらいの処理量になりますれば、もっと合理的な経営になっていくのではないかということで、その程度目標に向かって生産と見合いながら企業においても考えていこう、こういうことにいたしております。  暖地ビートにつきましては、まだそういう操業をあげているという工場はないわけでありまして、これからつくってまいるわけでありますが、いままで出ました岡山なり大分なりにおきまする一応工場から見ました採算ベースとしましては、六万トンないし九万トンぐらいという見込みを立てておられるようでありましたが、今後におきましても暖地につきましては、だんだんにはやはり大きくなることが望ましいというふうに考えておりますけれども、事業を進めていきます過程におきましては、どれでなければならないというように、必ずしも厳格に考えなくてもいいんではないかというように考えております。
  41. 木島義夫

    ○木島義夫君 暖地ビートと、それからして寒地ビート砂糖の含有量ですね、そうしてその比率ですね、どういうぐあいになりますか。
  42. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 寒地のほうは大体一三%半から一四%ぐらいの歩どまりになっております。それから暖地のほうは寒地の歩どまりより一割ぐらい下になっておるそうであります。
  43. 木島義夫

    ○木島義夫君 そうしますと、この十二万トンの原料生産する耕地面積ですね、耕地面積はどのくらい要するんですか。
  44. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いまの含糖率で十二万トンであれば、反収にしますと約七千町歩ぐらいになるそうであります。
  45. 木島義夫

    ○木島義夫君 これは、北海道の場合において、私は北海道へ昭和十七年北海道農業の視察に行ったんですが、北海道においては四千町歩要るというんです。なぜかというと、——これはいま御答弁は七千町歩ですね、ちょっとおかしいですよ。
  46. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いまちょっと計算が違っておりますそうで、反当三トンであれば、十二万トンでございますから、四千町歩ということになりますし、それから二トン半であれば、約五千町歩ですか、くらいになると思います。
  47. 木島義夫

    ○木島義夫君 これは私北海道へ行って聞いたんですが、四千町歩を要する。ところが北海道では輪作をする、四年に一ぺんずつぐるぐる回る輪作をしますから、その四倍ですね、結局四倍の畑についてこうやる。そうすると四千町歩としてもその四倍の面積がなければ、そこに一つ工場が経済的に経営することはできない、こういうことに相なると思うのであります。で、ビートの問題は私はそこにあると思うんです。で私の聞いたところでは、北海道においてもビートをつくって間尺に合わぬというんです、当時においても間尺に合わぬ。しかしわれわれは輪作をする、輪作をする場合において、ビートというものは、耕地の肥沃なところとやせているところがビートをつくれば一番よくわかる。そういうような輪作の関係上、われわれはつくっておるのであるが、どうも値段の上から間尺に合わない。それからもう一つは、ビートというのは大部分水である。そこでたとえば四千町歩なら四千町歩、もしくは三、四、一万二千町歩の中央に工場を設けて、運搬の費用を最も少なくすることによって、この経営が成り立つ、こういうことをいっておるのであります。しからば、暖地ビートにおいてはまたその含有量が一%も下でありますから、それ以上の面積を要するのでありまして、つまり一万町歩ぐらいの面積の中央へ工場を設けなければならぬ、こういうことに相なると私は思うのでありまして、そうすると、せっかく法律でいつまで保護しても、これははずれっ子に東京へ遊学させたようなもので、親は経費を送っているから、学校を卒業できると思ったって、いつまでたっても卒業はできない。だから私はこの法案はよほど考えなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、当局の御答弁をお伺いします。
  48. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いまの前段の北海道におきまする四千町歩で、しかもそれは輪作であるから、その四倍ないし五倍要ると、これは当然そういうことになるわけでございまして、北海道における生産計画につきましては、もちろんそういう輪作の状況も加味して生産目標を立てておるわけでございます。それに応じて一定の集荷区域を想定して、そして工場が設立され、またそれに応ずるように工場の集荷が可能であるというような指導が行なわれておりますし、また今後もそういうことでいくべきであるというふうに考えておるわけでございます。お話の点は、暖地についてのお話かと存じますが、まあ含糖率が低くて、しかも生産地は南の果てである、しかも工場は非常に遠くに離れておるというようなことで、うまくいくかいかないかというようなお話かと存じますが、これは確かにお話のように生産現地におきまして工場が設けられ、そこで処理するということが経済的にいいことは当然でございます。で、今後におきまして、将来鹿児島、南九州に生産一定量増大いたしますならば、当然その地域に工場が設置されて、そしてそこで処理するようにすると、こういう考え方でわれわれも今後指導してまいりたいと、こう思っております。
  49. 堀本宜実

    堀本宜実君 それでは、もうだいぶ質問者もあるようでありますので、最初質問者がきょうはないということでございましたので、私に何か言わないかということで御質問申し上げておりましたところが、やり出すとなかなか関連関連と関連に名をかって発言者が多いようでございますので、私はあとただ一点御質問申し上げて質問を打ち切りたいと思います。  それは、つづめて申し上げますが、暖地ビートについて、将来暖地ビートに適した品種を改良して、今後暖地ビート奨励するというのか。暖地ビート工場は倒れたという御報告がございましたが、暖地ビートを将来どうしようという御計画についての農林省としての御決意、御表明がございません。これは、暖地におけるビート生産者がおそらく聞きたいことであろうと存じますので、腹をきめてひとつ単なるつけ焼き刃でなしに、将来性のある御答弁をお願いを申し上げて、一応きょうお聞きをしておきたい。それについての質疑は後日に譲りたいと思います。  もう一点、砂糖価格が著しく低下をした場合に、必要のあるときにはカンショ、バレイショによってできたブドウ糖というものを政府が買い入れる、こういうことにしておられる、そういう制度を設ける、設けておるということでございますが、当分の間は糖価の低落以外の場合といえども、ブドウ糖工業の合理化を促進するため、特に必要があるときは所要の政府買い入れを行なうこととする。つまり、これはブドウ糖工業の合理化といいますか一面保護の立場にも立つと思いますが、当分の間というその考え方というものは、どういうことなんでしょうか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  50. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 暖地ビートの今後の見通しでございますけれども、これは過去におきまして暖地ビートにつきましては、われわれも苦い経験を持っておりまして、今後鹿児島なり宮崎なりにこれを普及するにつきましては、相当慎重な検討とそれから決意とをもちまして進めていきたいと、そう考えておるわけでございます。  で、御指摘のとおり、農家がやはりビートに対する生産の意欲を持っていくということが基本であろうと思いまして、その点についての可能性がはたしてありゃなしやということ、同時にまた、非常に意欲がありましても、品種の問題とか、技術の問題につきまして十分なものがなければ、結局努力がむだになる。そういう点についての現状なり将来性がどうかといった点を総合的に勘案いたしまして、われわれといたしましても、今後大いに推進いたしたいということを考えているわけであります。しかしながら、推進もこれはなかなか容易にはいかないのでありまして、三年や五年先にすぐさま十数万トン生産ができるということは、われわれも考えておりません。先ほど食糧庁長官から申し上げましたように、当分の、さしあたりの見通しといたしましては、六、七万トン程度生産を確保したいということでもって、着実な生産対策を実施していきたいと、そういうように考えております。
  51. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いま園芸局長から申し上げましたが、暖地ビートにおける生産見通しに即応いたしまして、これを処理すべき工場をどうしても今後考えていく必要がある。経済的には、現地に工場を設置することが望ましいわけであります。そこで、一定生産量に達するまでの間におきましては、既存の工場で処理させることが、一番採算的に経済的に有利であるという見地で、これは一定量に達するまでの間、現在の岡山工場で処理させるという考え方でおりますが、計画が達成し、それと見合って現地に工場を設けて、そこで処理させようという考え方に立ちまして、関係府県あるいは関係企業との間において話を進めて参りたいと、考え方としては、いま申し上げた方向に実現してまいりたいとこう思うわけでございます。  それから第二点の御質問ブドウ糖の買い入れについては、一般に本則で買い入れるほかにブドウ糖合理化考えて、当分の間買い上げるということについての考え方はどうであるか、こういう御質問でございます。本来ならば、お尋ねのとおり、ブドウ糖原料価格であるでん粉価格を基準にいたしまして、ブドウ糖価格を算定いたしましたその価格よりも市価が下がった場合のみ政府が買い上げる、こういう制度を考えているわけでございますが、でん粉、ブドウ糖企業につきましては、実は今日まで急速に伸びた過程におきましては、期間がまだ短かいわけでございまして、農林省といたしましては、今後一そうブドウ糖甘味資源としての重要性から見まして伸ばしてまいりたいという考え方を持っておりまして、したがって、その間ブドウ糖企業の健全化をはかるために、いろいろ合理化を進めておるわけでございます。大体合理化の期間といたしましては、三年程度を目途といたしまして進めておるわけでございますので、その間に、でん粉のいまの本則の買い入れ価格以下に市場価格が下がった場合以外におきましても、原料が非常に高くなる、あるいは砂糖価格が非常に暴落するといったようなことによって、ブドウ糖企業自身が非常に健全化を阻害される、あるいは合理化を進めていく過程において欄乱されるということがないようにということで附則買い入れを考えておりますので、大体合理化期間というふうに当分の間を考えておる次第でございます。
  52. 堀本宜実

    堀本宜実君 もう申し上げる必要はないのでありますが、先の前段の問題で暖地ビートの問題は両局長からお聞きをいたしましたが、これでは生産者があのおことばを聞きましてもわからなかったと思います、何をおっしゃったのか。今後大いに推進したい、慎重に意欲のあるものには……そういうことを聞こうとしたのではないのであります。やるのかやらぬのか、もうすでにだんだんと少なくなってきて、数量も減ってきているでしょう、現在。私よく知っているのです。そこでこれではだめだからもう推進しないのだというのか、推進するということなら、現在やっているものに、あるいは暖地ビートとしての特有な指導奨励、あるいは東北にありますような運賃の工場まで持ち込みの助成をするとか、あるいは県と相談をして、特殊な指定地を設けてそれに対する手厚い指導をしてみるとか、そういうことでいけなければ、打ち切る以外にないというのか、何かでなければ慎重に推進——推進ということはやらすということにもとれる。慎重というのは、たいへん慎重にということでしょう。それはよくわかる。慎重にやらなければ、これは困るでしょう。ただ慎重に考慮すると言うたんでは、これは答にならぬと思うのです。ほんとうは百姓は。
  53. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) いま堀本委員その他の方からのお話が出ておりますが、暖地ビートにつきましては、まだ研究不十分な点がありますので、御心配の点も多い。われわれもうちにおっては常にこれを考えておるのであります。しかし、先ほど園芸局長からもお話がありましたとおり、今日までの研究、それから現地における適地の指導研究、適地の試験等から見まして、鹿児島地方におきましては奨励地域に入れ得るというふうな考えのもとに、しかしただ現地に工場がいまないようでありますから、それまでの間におきましては岡山工場に持ってくるというふうに予算においても御審議願っているとおり、運送費の助成を計上しておるような次第でありまして、ここ三、四年の間それをやってみて、そうしてそれからその工場を設置するというような考えのもとに奨励地域という方針で進めておる次第であります。
  54. 木島義夫

    ○木島義夫君 いま堀本委員からたしなめられましたから、長く質問しないことにします。  でん粉の最近十年間の生産量とそうして需給量を、これはいますぐでなくていいです。あとで御報告願いたい。私の知る範囲においては、数年前においては、一年もしくは一年半ぐらいの生産量が倉庫にストックされている。ところが最近はあべこべに不足を感じてきているというようなことを私は伺っている。しからば、その原因がどこにあるかということもお調べ願いたいと思うのです。私の考え方によりますと、従来の硫酸法でいきますと、ブドウ糖のあがりの率が七五%、ところが最近できた酵素法によると九十何%、約一〇〇%にブドウ糖ができておる。そういうような関係で酵素法が発展した結果ではないかと私は思いますが、そうすると、そういう酵素法の発達によって日本甘味資源においては百万の味方を得た感がありますし、今後も甘味資源の増進というかの意味からいっても、でん粉にもっと私は重点を置き、かつこれらについて助成とか、あらゆる方法を講じたならば、先がわからぬ、はっきりしないてん菜よりも確実で、しかも、国の経費をむだに使わない結果になる、生産に効果あるように使えることになるのであろうかと思います。  それから、なお、でん粉の日本国内生産甘味資源において、てん菜糖が過去十年間どういう量とパーセンテージを出しているか。またブドウ糖がどういう成果をあげておるか。このブドウ糖のうちにもバレイショのブドウ糖もあるし、カンショのブドウ糖もあるし、その種類は各区別してわかるならば、その数量を承りたい。これもこの席で承らなくてもよろしいので、資料としていただきたいと思います。要するに私の結論とすれば、当てのわからぬふやふやなビート、ことにふやふやな暖地ビート、おそらくここ三年や五年のうちには、日本甘味資源状態をよくする結果にはならぬ。ここに一生懸命金かけてもならぬと思う。むしろカンショに対する根本対策、バレイショに対する根本対策を講じたほうが早道ではないか。こういうことに考えますので、このカンショの価格支持について本年から直ちに改正して、日本の東北地方、それからして暖地、いわゆる西南地方との価格支持の時期を変えて、いまのように南のほうからの報告がおそいためにできないと、比較的おくれているためにできない。そういうことのないように植えつけ面積その他の上からして、春のうちから、夏の始まり春のうちに大体の想定はつくわけでありますから、少しぐらい正確でなくても、いわゆる拙速主義で、そうして、カンショの生産農民を早く救って、そうして日本甘味資源の達成のためにひとつ御考慮あられんことを希望して、私の質問を打ち切ります。
  55. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ここでしばらく休憩いたします。    午後零時八分休憩    ————・————    午後二時七分開会
  56. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案について、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、順次発言を願います。
  57. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 まずお断わり申し上げておきますが、私、歯を抜いたんで非常に歯切れが悪くて聞きにくいと思いますけれども、ひとつお許しを願いたい。それから前議員の御質問になった同じことをもし言いましたら、委員長から注意してください。ごく簡単なことをお伺いいたします。たとえば西欧各国のビート生産ですか、フランスが自給をちょっと越えておる。それからイタリア、西ドイツあたりが、ほとんど七、八〇%程度までの自給度にこぎつけておる、たしかそういう表だったと思います。特にイタリアは、戦後非常にビートが伸びた、一方農林省では何度かイタリアのビート生産等を調査に行かれた、私覚えておる一つの事例は、衆議院の中馬氏が政務次官をしておったときに、確かにイタリアに調査に行ったことを記憶いたしております。そういうような諸般の点から見て、午前中堀本さんの御質問にもあったが、日本のまあ農林省計画が、計画どおり伸びてないという問題については、それは一応の解明はありましたが、西欧諸国において、どうしてそういうふうに、まあ急激にと言いましょうか、伸びていったか、どういう要素が、われわれの日本の要素と、どういう点が違うか。どうもイタリアあたりで非常に伸びたけれども、日本ではなかなか伸びない、そういう点の率直な分析というもの、それからその分析に対して、どういう考えを持っておられるか、それをひとつお聞かせ願いたい。
  58. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) イタリアのビートにつきましては、二度ばかり調査に参りまして、それを今後の特に暖地てん菜の推進策の参考といいますか、材料といたしまして、よく検討しておるわけであります。  で、御指摘の点でございますけれども、これはいろいろ見方があると思います。私の感じでは、一番大きな問題は、やはりビートは堆厩肥が非常にたくさん要る作物なんです。結局それが不十分でありますと、たとえ一時的には生産性が上がりましても、またすぐ下がってくるということは、もう各国の例でも明らかに出ておるわけであります。そういった意味におきまして、午前にも申し上げましたけれども、家畜との結びつきという点において、日本が非常におくれておるという点が一つの問題だと思います。それからこれは日本の伝統的な農業生産状況にも基因しておる問題だと思いますが、特に暖地等におきましては、先ほど話が出ましたカンショ生産を主体にして考えてみますと、比較的労働力の要らない作物というものに従来なれておったわけでございます。そういう点、てん菜は非常に労働力が要る、したがって、また機械化をしなければならない。  ところが、日本の経営の形態は、きわめて零細であるといったようなことで、労働力が足らないということと、それから機械化が非常に困難であるという両面が相まちまして、その面の導入が困難である、また生産性が上がらない、そういったような点が、今後改善しなければならない大きな問題だろうと考えておるわけでございます。
  59. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 先ほど堀本さんの質問だったか、だれか関連質問者の質問だったか、ちょっと私忘れたのですが、暖地てん菜糖の将来に関しての問題について、まず農民の意欲ということを強調され、それに対して、若干の敷衍があったのですが、農民の意欲が起こるということは、何が何でも第一番に所得が、その労働に対して見合うという、少なくとも十分な可能性というものがあってこそ、意欲が啓発されるということが前提だと思うんですが、いま局長の御答弁だと、たとえば、それはもちろん日本は零細経営ということが一つの決定的なマイナスの要素であるということは、よくこれはわかります。それはそのとおり。  そこで、それでは機械化が云々という問題にも触れられましたが、そうした問題をどういうふうに克服して、暖地てん菜糖に対する十分意欲を啓発する可能性というものがあるというふうに考えられるのですか。
  60. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 御質問の、たとえば機械化の問題でございますけれども、現在鹿児島ではてん菜業をする場合に、かりにカンショのあと地に入れられるとすれば、相当集団的に導入が可能である、したがって、また機械化といったようなものも共同化を促進することによって可能性があるわけです。  ところが、正直申しまして、残念ながら現在の段階におきましては、イモのあとにビートを入れるのには、イモを早掘りをしなければならない、そこでイモの収量が減ってくるということがございまして、実は、経営全体から見まするならば、たとえばイモを早掘りしてもビートを導入し、家畜を導入してやっていったほうが、総合的には有利であるという計算もできるわけでありますが、なかなか理屈どおりにいかないわけでありまして、そういう意味で、われわれ現段階においては、イモのあとよりも、夏作大豆、夏作飼料というもののあとに導入することによって増産していきたいと考えておるわけであります。  そういうふうな観点から、鹿児島の将来性を見た場合に、これはおのずから限度がございます。そこで将来の問題といたしましては、何といたしましても、イモとの結びつきのための早掘り奨励、あるいはまた逆に、ビートの移植栽培、あるいはまたビートの品種改良、そういった面で、うまくカンショと結びついたような作付体系を考えていきたい、それによって、初めてそういう大集団の作付が可能であり、また機械化も可能であるというふうな点で、今後の研究問題になると、そう考えております。そういう意味におきましても、御質問の点、なかなか現段階においては、南九州において、多量のビートをつくるというふうな見通しを立てるまでに、まだ達しておらないわけでありまして、したがって、比較的着実な六万トン程度というのを現在考えておるというのが現状でございます。
  61. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 たとえば資料の六ページを見ますと、単位面積ヘクタール当たりの収量が毎年三十五年、三十六年、三十七年−三十七年までしかありませんが、一応の計画をお持ちになっておる。ところが、その実績というものは、これを常に下回っておる。それから歩どまりについても、それぞれ計画をお持ちになっておるけれども、同じく実績は常に計画歩どまりを下回っておる。こういうようなところが、一体どういうところに原因があるのか、いま私は、イタリアの例を引きましたけれども、それじゃイタリアの例をかりに捨てて、西独とかフランスとか——フランスがすでに一〇一%ですか、大体自給を若干こえておる程度にまで伸びてきておる。もちろんフランスの一戸当たりの経営面積というものは、私もはっきり覚えておりませんが、十四町歩ぐらいでありましたか、平均耕作面積は、そんな程度だったかと思います。しかし、西ドイツに行けば多分その半分ぐらいだったかと思います。あなたのほうに統計があるから何でしょうが、私は、いまちょっと記憶しておりませんが、そうだったように私は記憶しておる。経営面積が広いということからいえば、それは一つの大きな向こうにおけるプラス面であるけれども、日本北海道という存在を取り上げてみた場合に、これは内地と比べれば相当大きいし、そう面積による決定的な要素がないのであります。にもかかわらず、西欧において、こういうふうに伸びつつあり、しかも国民所得の点から見れば、一人当たりの国民所得はフランスにしろ西ドイツにしろ日本の倍をちょっとこえておる、そういう国民所得の中において、しかもてん菜糖農業というものが、そういうふうに伸びていっておるというところに、いまあなたがおっしゃったような問題点だけでなしに、もっと正確に分析して、向こうでは、こういう要因があるから伸びる、こちらはこういう要因が欠けておるから、なかなか政府計画どおりに伸びていかない、そういう点もう少し掘り下げた解明がないでしょうか。
  62. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 北海道平均反収は、現在約二トン四百でございますけれども、これは地帯別に、また農家別に見ますと、相当な差があるわけでございます。大体の傾向といたしまして、やはり作付規模の大きい農家は大体反収もよろしい。これは反収がよいから、まあ作付規模を大きくするという面もありますが、同時にまた、作付規模の大きいところは、それだけにビートに対して力を入れておる。ところが、反面におきまして、五畝とか、一反とか、その辺のわずかな作付規模の農家も相当あるわけでございまして、これは一面から言うと、いわゆる初期導入段階の農家であるということも言い得るかと思います。また一部には、いわばおつき合い農家、みんながやれやれと言うので、自分もまた、おつき合いでやるというふうな農家もある。そこで、そういう小規模経営の農家というものが、比較的生産性が低いということは、やはり新しい技術導入なりの点において困難性がある、あるいは機械化の点において困難がある。と同時に、また農家自体のビートに対する考え方そのものが単に飼料つくり的な考え方でやっておるという面も多分にあると思います。  それからもう一点は、土地基盤と申しますか、地力と申しますか、そういった点でございまして、やはり先ほど申し上げましたように、土地の条件というものが基本的にビートに必要なものでございまして、そういう意味において、いわゆる土地改良というようなものが十分行なわれていない。あるいはまた、堆厩肥の投下が十分行なわれていない、こういう面があることが、やはり基本的な日本ビートの伸びない原因であろうと、そう考えております。
  63. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 分析に対する解決の方向は。
  64. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 現在、特に畜産とのつながりの面において、農林省内部でもいろいろ検討しておるわけでございますけれども、現在の畜産等とのつながりの状況を見ますと、約半分のビート耕作農家が、畜産も経営しておるという現状でございます。これをもう少し高めることが必要であろうということでありますが、現実的には、労力関係でなかなかこれがうまく進まない。そこで現在の段階では、直接個々の農家畜産ビートを兼営する、両方ともやるということも望ましいことであろうと思いますけれども、そこまでいかない場合においても、畜産地帯に対して、ビート普及をはかる。たとえ個々の農家においては別々であろうとも、地帯として畜産と結び付いているということを考えたいと思います。  それから土地基盤の整備という問題につきましてはこれは申すまでもなく、それに関する国の事業というものに拡大する、その基本でありまして、これにつきましては、予算上も相当な増額をいたしております。
  65. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 あなたのほうからいただいたこの資料を見ますと、三十七年に反収が二トン四五〇、これは資料の七ページにありますが、そんな程度ですね。一方、一時間当たり労働報酬という点から見ると約百円、飼料価値評価額を加えれば百七十三円、飼料価値評価額を加えた労働生産性から見ると、そう低くもない。相当のところにいっておるが、そういう点から見れば、そうなっているけれども、それを加えなければ大体百円。そうしてみると、ここに競合作物として並べてあるものからみると、相当低いわけですね。  そこで、農林省は、いろいろ試験もやっておられるでしょうし、メーカーもやっているでしょうが、たとえば北海道あたりで、現在の技術がよく普及すれば、平均反収として、どの程度までいけるはずなんだ、はずなのに、それがどういういろいろな悪要因で、この程度にとどまってしかいないのだ、あるいはその反収と歩どまりの問題もありますね。そういう点について、いまの農林省考え方
  66. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 反収の点につきましては、道のすでにとっております計画で見ますと、三十八年には、町当り二七・八トンというようなことになっております。これはわれわれとしましても、比較的穏当な数字として当初考えて、これを推進してきたわけでありますけれども、現実には二十四トンそこそこということであります。現段階において、さらにどの程度を一応目標として考えるかという点につきましては、北海道とも相談しているわけでありますけれども、大体平均的に見まして、三トンまでは取ってもらわなければ困る。また取れるはずだということで、一応平均的には三トンを目標に、今後生産改善対策を講じていこうというふうな話し合いを実はやっているのでございます。
  67. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 そういう三トン程度は、わけないんだという話は、私どもは二、三年前に、もう三年ほど前ですかな、聞いたことがあるんですよ。ところが、常に計画はそれよりも小さいし、実績はなおそれよりも小さい。そのわけないということを言い出してから、もう何年かたつ、だのに実績、実際というのは、非常な食い違いが出てきているというところに、もっと、こう現実的に突っ込んだ問題があるはずなんだと思うのだ。たとえば、試験場あたりで、こうやれば、いまここまでいっている、何も、米作りで六石幾ら上取ったとか、どうだという問題を私は言っているんじゃない。十分な技術を、通常の能力で、十分な技術を駆使していけば、三石五斗がいま四石程度まではいける程度にまで、稲作というものは進歩している。そういうレベルで物事を見ました場合、てん菜はどの程度までいけるはずなんだ、だけれども、こういう要因で、なかなかそこまでいかないのだ、そういう問題点についてはどうですか。
  68. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) これは必ずしも的を射た御回答にはならないかと思いますけれども、実は一つの問題といたしましては、普及指導体制の不統一ということが、実は大きな問題だろうと考えているわけであります。  と申しますのは、道としても、もちろん生産奨励対策、方針というものを立っているわけでありますが、末端普及所なり、普及員の段階にいきますと、個人的な考え方等によりまして、必ずしもたの地帯においてビートを導入していいという考え方と、いや必ずしもビートはよくないのだという考え方とがありまして、その点、農民が非常に迷っているというふうなケースもしばしばあるようでございます。そういった点で、今後はそういう生産の方向なり、今後の方向なり、指導体制の統一性を保持するということについて、特に力を入れていきたいと、そう考えているわけであります。
  69. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 どうも、あまり局長に対して無理な注文なら、それは課長なり、どなたかからお答え願ってもけっこうです。  それと、いま一つは、また西欧のことに戻って恐縮なんだが、イタリア、フランス、ドイツあたりの反収、それから歩どまりというものは、大体、どの程度の歩どまりになっているか、反収はどの程度までいっているのか。もし、きょう資料がなければ、この次でもけっこうです。
  70. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 現在、手持ちがございませんので、後日お答えしたいと思います。
  71. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 簡単に二、三点伺いたいのでありますが、当初甘味資源の総合計画を検討しておった時分には、先ほどお話のあったように、大体、十年先の需給を百五十万トン見当に押えた。ところが、これも先ほど来、質疑応答があったように、すでに昨年百七十万トンの需要現実にあったわけであります。  それでこの甘味資源の新しい法律が実施されるとすれば、その時点において、長期的な観点の見通しをどういうふうに見ておられるのであろうか。これは国民所得倍増計画の最終年度の四十五年でいいのですが、四十五年見当で、一体、需要はどの程度ふえるのか、それに対して、供給はどういうふうな数字考えておられるのか。そしてその段階における国内自給度というものは、どういう程度に見ておられるのか。いずれこれは、新しく審議会ですか等で検討されるものでしょうけれども、いまのところ、こういう時点で、政府はどういうふうに考えておられるのか伺いたい。政府委員齋藤誠君) 先ほど、三十四年当時におきまして、十カ年後における自給体制を立てたわけでございます。総合的な甘味の自給計画といたしましては、あれが唯一のものであったわけでございます。その後、いま御指摘になりましたように、すでに需要量においては、相当の変動が生じておるわけでございます。その後におきまする将来の見通しの公的な見解として出したものにつきましては、農業基本法に基づいて、昭和四十六年度の砂糖需要見通しを立てたものがあるわけでございまして、これも人口の伸び、それから所得の弾性値等を使って測定いたしました単純な見通しでございまして、このとおりになるかならぬか、計画的なものではございませんが、それによりますると、四十六年度におきましては、一番少ない場合、つまり経済成長率で所得の伸びを見ておるわけでありますが、成長率が一番低い場合には、四十六年におきまして二百万トン、これは成長率七%と見ております。七・八%の場合は二百十九万八千トン、約二百二十万トンと見ておるわけであります。当時一番高い成長率として八・七というその当時の趨勢から見たものがありますが、そういたしますと二百三十二万四千トンという需要量が出ておるわけでございます。  これに見合う生産が、どうなるかということにつきましては、実はなかなか生産見通しにつきましては、当時いろいろの議論がありまして、なかなか確たるものが得られなかった。そこで、てん菜だけにつきまして北海道見通しを、生産計画をそのまま織り込んで、生産量として、先ほど申し上げた計画を織り込んだだけでございまして、さらに国内ビートがどうなるか、あるいは甘蔗糖がどうなるか、あるいはブドウ糖がどうなるかということまでの生産見通しにつきまして、需要と供給がどうなるかということまでは、実はその当時において出してなかったわけでございます。  今後におきまして、この法律が通りました暁におきましては、さらに四十六年度の長期見通しの具体的な内容として、甘味資源あるいは砂糖類生産見通しで、どのようになるか。さらにまた、先ほど堀本先生から御質問があった際にお答えしたのでありますが、十年先というふうな、あまり長期見通しでありますると、農業生産面については、なかなか計画経済でもありませんし、個々の農家について、計画を実現するということについては、計画性を持つということについては困難な要素があるわけでございますので、もう少し実行可能なといいますか、あるいは政策のひとつの運営の指針となるべき中期ぐらいの計画というものを立てて、これを目安に生産を進めていく必要があるのじゃないかという考え方をとっております。  したがって、これらの計画につきましては、この法案甘味資源審議会にはかりまして、いまお話のありましたものにつきましての計画を今後立ててまいりたいというのが、現段階でございます。
  72. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 長官の言われるように、長期見通しを策定することは、それ自体、農産物については非常に困難な作業であろうと思います。そのことは中期についても、ある意味においては同様かと思います。新しくてん菜糖振興をはかっていくとすれば、これは別な意味でといいますか、どうしても、ある意味においては相当見通しをつけた計画が基礎にないというと、よくなかろうということが当然考えられることであります。そういう意味で、不十分であっても一つ計画を基礎にして出発したことと思います。昨年の秋に、いろいろ議論がありましたけれども、砂糖の自由化、貿易の自由化の長年の懸案が踏み切られたわけであります。おそらくそのときは、やはり少なくとも国内の今後のてん菜糖、その他の国内資源の開発の計画というものは、何といいますか、正式な政府計画という意味でなくても、生産を指導していく立場の農林省とされては、一応の計画があったのだろう、こう思うわけです。しかし、それも外に出すほど、まだ固まっていないとすれば、これまた、やむを得ないことであります。  ただ、この法案北海道は別として、北海道は長年にわたって、てん菜については試練を経てきているわけで、困難はあるにしても、指導なり助成なり、いろいろな工夫をしていけば、おのずから計画も立つと思う。ただ府県の、ことに暖地のほうのてん菜糖の問題が、なかなか容易なことではない。この法案が実施されますというと振興地域ですか、これが指定されるわけであります。いま確定はしていないのでしょうが、いま農林当局で想定されている振興地帯ですね、どこどこを一応想定されているのか、これをひとつ、お伺いしたいと思います。
  73. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 振興地域といたしましては、北海道一円と北東北の青森、岩手、それから暖地では、当面鹿児島県だけを考えております。なお、候補地としては、別に宮崎県がございますが、宮崎県は、現在の段階、県の方針といたしましても、試作段階であるというふうなことでございますので、これは、この試作の情勢を見た上で、近い将来に方向を決定したいと思います。
  74. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 さっきのぼくの質問の残ったのを、あなた思い出されたでしょうから……。
  75. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) 先ほど櫻井委員の御質問の中で抜けておった点を申し上げたいと思うのでありますが、試験場においての成績現実とは、相当差があるわけでございますけれども、試験場技術というものじゃなくて、一般に適用される可能性のある技術をもって試験的に栽培いたしましても、現実北海道生産状況生産力を比べてみますと、相当格差があると思います。試験場で見れば、やはり三トンぐらい、先ほど申しましたようにとれてしかるべきだというふうなことになっておるわけでありますが、それが、どうしてそうならないんだという問題でございますけれども、その点につきましては、栽培技術面の問題で見ますと、いろいろございまして、たとえば技術の不消化という問題があると思います。ペーパー・ポットは、生産性を上げるために非常に有効な手段でありますけれども、昨年の例からいいますと、ペーパー・ポットの使用方法について誤まりがありまして、相当失敗した例もございます。しかし、これがうまくいけば一割ないし二割の増産、それからもう一つ大きな問題といたしまして、欠株の問題がございまして、欠株をなくすると、これはやはり一割程度の増産が可能である、これは必ずしもむずかしい問題ではなく、ていねいにやれば、できるはずであります。これはやってないという問題がある。それからもう一つ労力不足のために、どうということはございませんけれども、いろいろ手を抜くという問題がある。そういうふうなことで、現在農家が導入の可能な技術を十分に使い切ってないという面が非常に多いと思います。  それから他面におきましては、これは必ずしも農家の責任ではないと思うのでありますけれども、計画どおりには増産はできなかったと申しましても、やはり過去数年間栽培面積増加した、増加していくにつれまして、いわゆる生産性の低いところへ、だんだん普及していっておるのが実態でございます。反面におきまして、生産性の高い地帯におきましては、たとえば田に変わってしまう、水田に変わってしまうということでやめてしまう、また場合によっては、畜産と従来結びついておったのが、畜産のほうの労力がたいへんだから、そのためにビートをやめてしまう、そういうようなことで生産性の高い地帯が減反していくという面もある。そこでわれわれといたしまして、既導入地帯について、そういう既存の技術を十分に普及徹底させるとともに、新しい地帯については、まず土地条件なり土壌条件の改善をやらなければならないというふうなことをもって、施策なり予算の重点的な項目としておるようなわけであります。
  76. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうしますと、中国方面は、振興地帯には考えられておらないわけですね。先ほどお話の南九州、生として鹿児島で、六、七万トン目標で再出発といいますか、出発することに考えられたわけですね。これはなかなか容易ならざる私は事業であろうと思うのです。  そうして、これも先ほど、朝お話のあったように、そこで生産されたものは、陸路か海路か知りませんが、岡山工場において処理される、こういう計画になると思われるが、相当多額の輸送費がかかるわけで、これはとうてい、経済ベースの常識では考え得ない。したがって、国がそれを助成するということになる。これも朝の御説明で、六万トン程度に達すれば、南九州にそれを製造する設備を設けることになる。そうするというと、岡山における六万トンまで製造してきた工場設備というものは、その段階では、六万トンの操業を失うことに当然になるような勘定になるわけですけれども、それは、そういうふうに考えていいんですか。それとも、その間また中国方面で、てん菜生産奨励していくような考え方をとっていられるのか、その間の消息といいますか、考え方は、どういうふうになるんでしょう。
  77. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いま園芸局長から御説明申し上げたように、生産振興地域として南九州を考え、その南九州だけで、大体一企業単位としての操業をあげる、こういういま考え方をとっておるわけでございます。  で、中国地方におきまする処理量といたしましても、現段階においては、もうほとんど南九州の原料処理量が圧倒的なものでございまして、あと岡山の現地におきまして、若干の生産量はありましょうけれども、これも大体は、試作の段階の程度の域を出ないんではなかろうかというように考えられます。そこで、それでは初めから鹿児島に持っていってつくるべきではないかという御議論があろうかと思います。筋から見れば、そういう考え方考えられるわけでございますが、これは先ほど来申し上げましたように、どうもやはり企業を前提としてビート生産が行なわれるし、ビート生産は、また同時に、企業考えなければ生産も伸びない、こういう相互関係にあるわけでございますので、そこで新しく岡山から鹿児島に企業を移してやるということになりますと、非常に建設投資が高くつく。ところが現在ある岡山の施設を利用するということになりますと、もうすでに相当の償却もしておるということで、既存の施設を利用したほうがはるかに有利である。そこでその施設を利用する間におきまして、南九州のほうがどんどんふえれば、そのときにおいては、新しく企業をつくることによっても成り立ち得るような条件が与えられる、こういうふうに考えておるわけであります。  それですから、岡山における生産量はどうするんだといえば、これはいま申し上げましたように、中国地方だけにおける原料処理量としては、きわめて微々たるものであるし、これが将来、ぐっと伸びるということになりますれば、また、その事態において、どう対処するかということは別の問題として考えられなければならぬかと思いますけれども、現段階においては、いま申し上げたような考え方でやることにして、何らの不都合はなかろうと思っております。
  78. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 現在の段階において、お話のように、何ら不都合があろうとは私も思いません。ただ、そのためには国が多額の運賃を負担するということによって、何らの不都合がないということになる筋合いであろうと思うのです。これはもちろん国の保護助成というものは、てん菜糖の問題については、基本的にはあるわけですけれども、しかし、できる限りその製造との関連においては、一面経済的な、公正なベースというものは、これは私は必要であろうと思う。それをしばらくの間、ノーマルではないけれども、国が補てんすることによって、何らの不都合はない、こういうことになるんだろうと思う。ただ北海道を別にして、将来の日本てん菜糖は、南九州と青森、岩手にあって、中国地帯にもなければ、東北の大部分のところにも、それは考えられないという実態なのか、これはその考え方なりによっては、そういう地帯にも、相当程度生産というものが期待できるのか、もう期待できないのか、その点を、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。数年前においては、長野においても、相当、農民も努力したことも御承知のようにある。岡山地帯においてもある、四国においてもある。大分においては、これまた、御承知のような経過をたどってきた。そういう方面におけるこれまでのいろいろの動き、努力、芽ばえといいますか、そういうものは、国としてはもう考慮を払う必要はないのだ、それはもうだめなんだと、こういうふうに考えておられるのかどうかという点をひとつ伺いたい。
  79. 酒折武弘

    政府委員酒折武弘君) その問題は、これは非常に将来については、いろいろ考えられる余地がある問題だと思います。と申しますのは、現在の段階で、特に鹿児島に、奨励するのが適地であるということを考えましたのは、先ほども申しましたのですけれども、夏まき、秋まき栽培で、冬を越して春収穫するという経営形態、作付形態が成り立つから、鹿児島が適地であるということを判断した大きな一つの要因であったと思います。  これはいいかえますと、春まきの夏季栽培を行ないますと、病虫害にやられるということが非常に大きな問題でございます。そこで品種の問題でございますけれども、耐病性の品種が今後研究の結果出てまいりますと、結局春まきが可能になる。そうすれば、日本適地は非常に大幅に広がってくる。少なくとも栽培の適地は、大幅に広がってくる。その他、もちろんいろいろな大きな問題があろうと思いますけれども、簡単に、それだけでは決定されないと思いますが、いま南九州以外の内地、東北を除く内地につきまして、どうも工合が悪いというふうに判断しておりますのは、そういう点が、最も大きな原因でございますから、その点さえ、改善されれば、またいろいろに考え方があろうと思います。
  80. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 てん菜について、病害虫の問題があるということは、これはもう出発前からの問題であって、相当、それに対する研究といいますか、これは行なわれておると思うのです。しかし、問題が問題だけに、有効な措置が見つからぬといいますか、でき上がるまでには、やはりいろいろの時間がかかるだろうと思う。そういうことも勘定に入れながら、やはり私は、ほかの地帯においても、相当の努力というか、これは払われるべきものであろう、こう思うのであります。  と同時に、鹿児島自体にしても、春まきにしても、全然あいているところをやるわけじゃなくて、現にやっているものを転換していくわけであります。しかも、全部転換するのでなくて、やはり農家としても、一部をてん菜に向けていくわけであります。それにしても一つの地帯に、北海道と違って鹿児島に六万トンを集中するということ自体については、これまた、別の意味で私は、いろいろ検討を要する問題があろうかと思います。これは検討を要する問題と、鹿児島県の農民諸君も考えられるところでありましょうけれども、私自身は、やや不安を感ずるのであります。関東地帯の、また東北の青森、岩手以外の地方において、将来、私はてん菜考えていく地帯というものは、当然あるように思います。ただ、今後五年くらいの間に、もう総需要量が二百二十万トンをこすような情勢になってきておりますね。自給度というけれども、国内でできるのはせいぜい六、七万トンだ、これを精製すれば五、六千トンだということになれば、大局的に見て、いかほど向上に——北海道以外に、貢献し得るのだというような見方をしていけば、別の意味で、相当の批判が私はあり得るかと思います。いずれにしても、ほかの地帯についても、御検討をされる必要があるだろうと思います。  それからそれに関連して、ひとつ、これは農林省考え方を伺いたいと思いますけれども、農林省は、本来の仕事として砂糖大根の生産のほうをやっておられる、これを製造する製造工業の過程についての研究というものは、あまりやってはおられないであろうと、これは想像するので、これは農林行政の範囲外だということで、何といいますか、技術面における研究等も十分でなかろうと、したがって、経営規模の問題にしても、先ほどお話があったのでありますが、最小六万トンあるいは十二万トン、十五万トンが理想である。なるほど採算からいえば十五万トン、多いほうがいいかもしれません。しかし、そういうような比較的大きな規模、それを対象にする耕作面積が六千町歩、八千町歩、一万町歩というものを対象にしなければ、一つのユニットといいますか、これができ上がらないということに勘定はなるのですけれども、それは、そういう大きな設備を投ずるのだという前提において、そうなるのです。はたして、それがいかなる場合においても最善であって、第二次的に、もう少し小さい設備でも、ある程度やっていき得るようなことがないのか、そういう研究というものが、農林省で行なわれておるのかどうか。すぐにヨーロッパ式のでっかいやつを持ってこなければだめなんだときめてかかるところに、一つの問題がありはしないかという感じをかねがね私は持つものであります。日本のように狭い地帯、いろいろの作物があって、零細である、そういう地帯を対象にしててん菜工業、てん菜糖というものを考えていく場合においては、おのずからそれに合ったような考え方が検討されていいのではなかろうか、北海道は別でありますが、という感じを、かねがね持つのであります。そういう点で、これは意見があれば伺いますけれども、ぜひひとつ、この製造工業面の研究というものを農林省においても、真剣に御配慮を願いたい、こう思うのであります。
  81. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいまのお話は、企業面におきましても、一律のユニットを考えないで、もう少し小規模のものをやることを考えたらどうかと、こういうお話でございます。われわれも暖地ビートを導入するに際しまして、なかなか北海道のように、一定の集荷地域がまとまってあるというというふうな形で、企業がそこに入っていくということが困難な状態にある、その間、何かもう少し実情に合ったような規模で考えられないかということは、前々からずいぶん検討いたしたものでございます。  一つ考え方といたしましては、現地におきまして、ビートを乾燥してカゼットというふうなものにいたしまして、それを精製工場に持っていくというような方法をとれば、現地においても、そう大きな処理工場がなくてもいいじゃないかというふうな構想もありまして、これらにつきましても、いろいろ専門家を入れまして研究したのでありますが、どうも日本の場合におきまして、暖地の暖かいところにおきましては、雨量あるいは温度の関係で、非常に歩どまりが下がってくるというような面がありましたし、それからいまお話がありましたように小規模単位で採算が合うようにというふうなことの検討もしましたけれども、これには相当の設備資金がユニットとしてどうしてもかかってくる、そうするとそれに応じて処理量一定量以上なければ非常に高いものにつくというようなことで、どうもこれはなかなか成り立たないのではないかというのが——日本におきまする導入の方法としては現段階として一応困難ではないかと、こういうことになっておるわけでございます。百トン工場、二百トン工場といったようなものができる形態であればよろしいのでありますが、イタリア等におきまする調査の結果を見ましても、だんだんそれが大規模化しつつあるという実情でございまして、今後におきましても、やはり国際競争力というふうな面を考えてみますと、あるいは企業の健全化ということを考えてみますると、やはりある程度の規模が必要である。そこで、ちょっと横にそれますが、国内地方においてかつて一部分生産が行なわれたについては今後どうしていくのだと、こういうお話がありましたが、先ほどほかの委員の方にお答えしましたように、どうしても導入の条件として一定のやはり企業が存立する集荷量を、一定の経済単位において必要であるということもあわせて考えていかなければ健全なビート経営、ビート生産というものはどうも困難ではないか。私も、長野県あるいは茨城県、千葉県等におきまして、三トン、五トンという生産量をあげているところを承知しておりますが、三町歩、五町歩といったように散在してあるわけでありまして、しからばそれがその地域におきましてぐっと伸びるかということになりますると、そこには技術的ないろいろな問題がある。園芸局長から先ほどお話がありましたように、寒地における栽培技術とそれから暖地における栽培技術、これは大体現段階においては、技術的に確定し得る。寒地と暖地の間におけるいろいろな中間地帯におけるいまの栽培技術なりあるいは技術水準としては、まだまだ研究すべき段階で、必ずしも確立されたというふうにはなっていないという面とあわせて、この企業一定の経済単位というものを考えると、急にそういうところにおいて、企業が成立するということも、現段階においては困難ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。検討はいたしたのでありますが、現段階においては、ある程度の規模が必要であるというふうに、いまの段階では考えております。
  82. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 いまの長官のお考え方、私は決して間違っているとも、無理だとも思いません。しかし、英国にしてもヨーロッパ——フランスにしても、ドイツにしても、北海道自体もそうですけれども、今日のてん菜工業が、今日に至るまでには、百年からのやはり経過をたどっていて、その間、生産面においても、製造工業面においても、いろいろの試練を経、いろいろの経験を重ねて、苦労して今日にきているわけなんです。北海道自体においてもそうだと思います。ところが内地においては、ごくごく最近この問題が登場して、指導者も農民諸君も政府自体も、この問題にぶつかってから、ごくわずかな期間きりかかっていないと思います。したがって、生産面における先ほどの病虫害の問題にしても、それから品種自体の問題にしても、それに関連する製造工業自体の問題にしても、ほとんど私はその一応観念的な何といいますか合理性というものはでき上がるでしょうけれども、現実的には多くの問題が残されていると私は思います。もし現在のように、非常に苦労をして、内地における生産が約六万トン程度まで持っていけるのだということであれば、これは北海道以外の本土におけるてん菜糖で、甘味資源自給度をどうこうとかいうこと自体が言い過ぎだということで、先ほど来お話しのあったイモ等にもっと力を入れる、あるいは甘蔗のほうにもっと力を入れるというのが、本筋かもわかりません。しかし私はやる以上は問題が多く残されているので、あまりこの際何といいますか、これでなくちゃいけないのだ、ここは指定地区なんだ、そのほかは手をつけないのだ、そのほかで考えることはこれは不合理であるというふうな、画一的な指導方針を立てて、動きがつかないようなものにされることはいかがであろうか、こういう感じがします。したがって、振興地帯の設け方等についても、相当弾力的な考慮を持ちながら、何とか日本甘味資源自給度向上さしてゆく、その間政府が多額の輸送賃を負担すると同じような意味合いで、しばらくの間国が協力をし助成してゆくということも、当然考えられてしかるべきじゃなかろうか、こう思うのでありますが、この点、私の意見になるので、ひとつお考えおきいただけば幸いだと思います。
  83. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) いま御審議願っているこの甘味資源の法律案でございますが、これはいま食糧庁長官やらあるいは園芸局長からお話があったごとく、今日の研究段階等におきましては、北海道を別としまして、あとは青森とか岩手とか、あるいは暖地のほうにおきましては鹿児島あるいはひょっとすれば宮崎県というお話でありまして、そのとおりに考えていますけれども、しかしこれだけではあとその他の地域はどうなるかというブランクの地域が多いし、砂糖類自給度向上という点からみましても、あるいはまた外貨の節約という点から考えてみましても、われわれはもっと積極的にやっていきたいというふうに考えている次第であります。ただ現在の段階では、そういうふうな大規模の工場、一工場十五万トンを目標とした工場単位とし、それにマッチするような生産地帯をつくってゆくような考え方のもとに出発しているようでありますけれども、しかしながら、私はもう少しこれは研究の余地があろうかと思います。食糧庁長官がちょっと言われたように、たとえばこれを収穫して後保存する方法もありましょう。そういうのを私は研究する余地がなおあろうと思います。私どももあえて聞いておりますが、ある大学の教授のごときも、それを研究して発表している例も聞いております。しかしながら、不完全な点もあろうと思いますけれども、そういう点も考えなければいかぬと思うのであります。私は台湾に長年おったのでありますが、台湾においても二千トン工場あり、五百トン工場があるのです。それはコストからいえば違うかもしれないけれども、それが今日までやってきた例があります。地帯別にそういうものが入り得れば、私は各地において相当てん菜糖が伸び、てん菜工業ができるのだというふうに思っているのであります。それから栽培方法におきましても、いまだこれは内地においてはほんとうに初期の段階、幼稚園程度のものでありまして、研究も不十分であります。台湾のごときは、非常に投資をして、膨大な研究機関をつくって、今日に至っているのであります。そういう状況から考えてみますれば、まだまだ不十分で、病害虫の駆除にしてもどういうふうにするか、品種の改良にしても、私どもの聞いているのは、ちょっといい品種ができたと聞いております。それを植えつければ、一割ないし二割の増産ができるという例も聞いております。しかし、どこまで実際的になっているかどうかわかりませんし、私どももまだほんの初期の段階なんです。まだまだこれを研究、努力すれば、相当私は、必ずしも寒地地帯でなくてもやり得る余地があるのじゃないかというように考えておりますので、私どもといたしまして、一応の段階では、こういうふうになっておりますけれども、今後いま梶原委員のおっしゃった線に沿って、一段の努力を払っていきたいというふうに考えております。
  84. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ぜひ政務次官のお考えのように努力をお願いしたいと思います。  それから、これは国内ではありませんけれども、ときどき新聞等で報ぜられるのですが、フィリピンその他東南アジア地帯において、経済協力との関連がありましょうか、砂糖生産特別計画を立てるとか、振興さすとかいう記事が出るのですけれども、何か具体的な計画といいますか、構想があるのですか。
  85. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 最近におきまして、各精糖会社におきまして原料部門を安定的に供給を確保したいというようなことも一面ありまして、すでに三社タイにおきまして砂糖原料を確保するための進出が行なわれておるわけでございます。大体におきましては、民間の主導性においていま申しましたような原料面における確保措置がとられつつありまして、政府がそれに対して協力するというふうなかっこうに現段階においてはなっております。先般新聞にもありましたが、インドネシア等に対する今後の開発協力という意味におきまして、調査団が派遣されたわけであります。これも民間の人とそれから官庁関係、官庁の職員と構成して調査に行ったわけでございますが、そういう民間の活動に対しましては、政府計画を持ってこういうふうにやるという段階にはなっておりません。それに対して適切な協力と助言を与えるということで進められているのが現段階でございます。
  86. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 砂糖消費税が関税とも合わして非常に高く、多くの国々と比べてみて、日本砂糖が非常に高いということが、これまたしばしば言われておるのであります。砂糖消費税は沿革的にいろいろ問題はあったのだろうと私は思いますけれども、最近消費者あるいは需要者の立場から、こういう問題が相当論議の的になっていることは御承知のとおりであります。もちろん国内甘味資源生産を保護していく、これはもう至上の命令といいますか、大事なことであって、そのために国としても最善を尽くしてこれを保護助長しなければならぬ。同時に別の観点から消費税のごとく合理的な線に直していく。そしてそうほかに比べて著しく高い砂糖であるというふうなことをなくしていくことも消費者の立場からは私は必要ではないかと、こう思うのであります。また砂糖自体の国際的な価格の変動というものが、いろいろの農産物の中でも特にこれは激しいことは御承知のとおりであります。したがって、貿易の自由化に関連してやはり関税政策のあり方等についても、格段のくふうをする必要があるのではなかろうか。農林当局として、これは大臣にお伺いする問題であろうと思いますけれども、関税に対する考え方消費税に対する考え方、どういうふうに考えておられるのか。この機会に政務次官なり、長官の考えを伺いたいのです。
  87. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 関税と消費税につきまして、お手元にお配りしました資料から見ましても、イタリアと並んで日本は非常に高い税率で賦課をいたしておるわけでございます。それでこれを消費者価格の引き下げという見地から、税制面におきましてもこれの軽減をはかるべきであるという御意見でございますが、これはわれわれとしてもできるだけ下げるということが望ましいというふうに考えておりますが、率直に申しまして、まず関税については、やはり現段階におきまして国内てん菜糖と粗糖との関係におきましては、なおてん菜糖生産振興をはかるという見地に立ちまして関税を考えてみますると、さきに需給対策総合十カ年の自給度強化対策考えました場合には、消費税をむしろ関税に振りかえたというようなきらいがありますが、やはり関税によってある程度国内生産を維持するという立場は、これは食糧庁といたしましてはここ当分その考え方を変えるという考えはございません。ただ最近のように非常に、最近といいますか、昨年の後半期におけるように非常に高い時代がありましたので、それに対する関税の調整を講ずべきであるという考えもありまして、先般の特別国会に、先般も出しました甘味資源法案と関連して関税につきましても若干調整をし得る道を開いたのでありますが、本年度の糖価の推移を見ますると、まことに乱高下といいますか、予測しがたい変動をいたしておりますので、にわかにいま国際糖価がどうであるかということを測定いたしまして関税を検討するには、あまりにも時期として不適であるというような考え方を持ちまして、これは大体、大蔵、農林とも一致した意見で、今回は関税を見送ろうということにいたしたわけでございます。  そこで、糖価高に対応する措置といたしまして、しからば消費税を引き下げたらどうかということでございましたが、これは去る特別国会におきまして消費税の五円の引き下げを見たわけでございます。これをさらに十円引き下げたらどうかというような意見もありましたが、これもまた国内におきまする甘味資源作物生産に対する影響等を考えてみますると、やはり消費税によってある程度価格が維持されているという面もございますので、具体的にはブドウ糖であるとか、あるいは甘蔗であるとか、あるいは黒糖であるとかいうような面におきまして、税法上のいろいろの恩典が、消費税を引き下げることによってだんだん失われてくるという面がありますので、現段階におきましては、これらの面における合理化というものを考えながら将来消費税の軽減をはかるべきである。したがって現状においてはまず五円程度で一応対処いたしてまいりたいと、こういうことに関係省間においてきまったわけでございます。
  88. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 最後にお伺いしたいのは、砂糖の自由化の問題であります。砂糖の自由化は、農産物の自由化に関連してその中できわめて重要な一つの課題として、ここのところ数年間検討されてきた問題であります。昨年、砂糖の自由化が踏み切られたわけでありまして、それに関連して私伺いたいのは、農産物の貿易の自由化については、各国それぞれやはりその国内生産なり、国内特別の事情によってそれぞれ対策を持っているわけでありますが、特に砂糖につきましては、国内てん菜糖関係等あってどの国でも、自由圏においてはこれを自由にはしていないのが普通だと思うのです。それぞれ輸入については、国によって違いましょうけれども、ある意味で統制的なあるいは割り当て的なといいますか、輸入を統制する措置をとっておるのであります。わが国におきましては、相当に問題があるにもかかわらず、しかも国内自給度向上する諸般の施策というものが、現にこの法案で審議されておるように、必ずしも確立されておらない。確立する段階において自由化の転換が行なわれてきたわけであります。私の聞きたいのは、他のヨーロッパの諸国にしても、あるいは、アメリカ、カナダにしても、彼らはあのままで砂糖については輸入の制限をやっていっても別段支障はなくて、日本は全体の自由化リストの関係から、どうしてもやらなければおさまらなかったのでありますか、その点であります。ちょっと私もその間の、何といいますか、消息といいますか、事情を詳しく知らないので、この機会に、そういう経過と申しますか、実態ですね、それをひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  89. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) いまお話がありましたように、日本砂糖輸入について大部分をこれにかけているような国でございまして、英国日本よりも多いわけでございますが、大体、英国日本というのが砂糖輸入国としてはおもな国であるわけであります。英国も、英連邦の中におきます砂糖輸入については割り当てみたいなことでやっておりますけれども、それ以外の国からの輸入は自由になっておる。こういう経緯になっております。日本の場合におきまして、将来の糖価の安定ということを考えてみました場合に、外割りによって人為的な操作を行なうことによって、いろいろその間不明朗な事態が起こる。またそれによって価格の変動も必ずしも十分抑制できない。他方におきまして、輸入率の非常に高い物資である上に、開放経済という方向に日本の経済全体が進みつつある際におきまして、長期的にはかえって自由化することによって、価格の安定が期せられるのではないかということが自由化の基調になっているというふうにわれわれは了解しているわけでございます。ただその際に、そういうことによって国内生産が影響を受けるとか、あるいは自給率がどんどん低下するとか、あるいはこれに関連した企業についての不当の悪影響が及ぶというようなことについて十分なる保護措置をとるということが必要である。逆に言えば、これらに対する万全の策をとるならば、かえって輸入率の高いわが国としては、長期的に見ると、自由化によって価格の安定が期せられるのではないだろうかということになろうと考えるわけでございます。そこで実施の時期につきましては、この前の法案を出します際におきましては、この法案を実施することによって、国内の保護対策をとり、その上において自由化を行なう、こういうことになっておったわけでありますが、そういう背景のもとに自由化をいつするかということになりますると、まあタイミングの関係がある。そうすれば一番その自由化によって影響の少ないときを選んでやることが望ましいのではないかという判断のもとに、昨年の八月三十一日に自由化したその当時におきましては、国際糖価が騰勢の方向に高騰の方向に向かいつつある状況でありまして、自由化によって国内生産が非常に打撃を受けるということには一番なりにくい適当な時期ではないか、こういう判断のもとにタイミングを選んで八月三十一日に自由化に踏み切った、こういうふうに了解しているわけでございます。
  90. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ほかにお尋ねはございませんか。別にないようでありましたら、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十七分散会    ————・————