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政府委員(
齋藤誠君) いま、カンショについても
ビートと同じように
生産振興対策を法制上同じように扱ったらどうかと、こういう御
質問でございますが、いま先生のお話になりましたカンショ自身についてのいろいろの
生産振興対策を講ずべきであるということについては、これはもう
農林省としてはそういう方向に進んでおりますから、問題ないところでございますが、
ただ法制上の取り扱いについて若干私は違いがあるのではないだろうか。先ほど園芸局長から申し上げましたように、まあカンショ、バレイショ、これはほとんど全国にまたがって
生産されておるわけでございまして、そういう意味から
農家経済上重要であるということで、むしろイモ作
農家の経営安定という意味におきまして、いち早くこのカンショについて農産物
価格安定法によって一般的に
価格の支持をしよう、こういうことにいたしておるわけでございます。今回の
法案は、
甘味資源の
生産振興と
砂糖類の
自給度向上ということをねらっておるわけでございますが、そういった観点から
ブドウ糖も取り上げましたのでありますけれども、
ブドウ糖を取り上げましたのは、イモの
需要市場の拡大をはかったり、あるいはイモの市場の安定を得るということによって、イモ作
農家の経営の安定にも資していきたいという
考え方をとっておるわけでございます。そこで
ブドウ糖なりを
考えました場合には、これはもうおそらく全国のでん粉
工場から集めるということになりますから、
ブドウ糖工場といきなり
生産振興地域というものを結びつけて
考えるというわけにはなかなかいき得ない。われわれも議論といたしましては、この設立の過程におきまして、
ブドウ糖工場も同じようにある
程度この設立についての抑制をはかるべきではないかというふうなことも
考えたわけでありますが、いかんせん
ブドウ糖の
原料となるでん粉は全国にまたがってある。しからば、それじゃ、でん粉
工場自身を
生産振興地域と結びつけてやったらどうかということになりますが、これまた先ほど申し上げましたようなことで、地域も相当全国にまたがっておるし、でん粉
工場自身もまあ千五百もあるというようなことで、
生産振興地域というものをきめて、そこにでん粉
工場を結びつけ、あるいはでん粉
工場と
ブドウ糖工場とを結びつけるというようなことが、
ブドウ糖に関する限りは、なかなかむずかしいという事情が一方にあるわけでございます。それに対しまして、
ビートなり甘蔗等につきましては、これを今後導入する場合には、やはり三つの私は
条件があるように思われるわけであります。
一つは、新しい
作物でもあったりしますし、これを進めていくにつきましては、やはり技術的な問題が十分なされて、そうして、まあ
適地に
生産振興をはかる必要がある。それには先ほども申し上げましたような作期であるとか、品種であるとか、栽培方法であるとか、こういうような面について技術的に十分導入し得るような方法を
考えていく必要がある。それから、かりにそういう
条件がありましても、必ずしも他の
作物と経済的に
考えてみた場合に割りが合わない。たとえば関東であるとか、あるいは
岡山地方において当初
ビートが入りましたものの、それ以上に蔬菜の収入のほうが高いというようなことがありまして、
農家は技術的には可能であっても、必ずしも喜ばないというようなこともありますが、逆に青森であるとか、あるいは
北海道であるとかいったようなところで、他の競合
作物と
ビートの現段階におきまする
反収、それから受ける粗収入と
考えてみました場合に、十分成り立ち得る、経済的に他の競合
作物よりは有利であるというようなことが、
農業経営の面から見まして、導入する際に考慮すべき
条件であるというふうに思うわけでございます。第三の
条件といたしまして、やはりこれは半製品であり、
原料農産物でありまして、それ自身が最終商品にはなり得ない性質を持っておる
関係上、どうしても
工場に
原料として販売し、そこで精製された形で最終商品になってくるということでありますので、
企業との結びつきを不可欠的に
考えざるを得ない性質を持っておるというふうに思われるわけでございます。そこで、そうなりますると、一体
工場には、必要な
原料、
処理量を確保しないことには、
企業として成り立たない。まあ、
企業が先か
生産が先かというのは、町方相並行していくということにならざるを得ないと思いますが、幾ら
生産が全国でできましても、これが
一定母にまとまらないことには、また、
工場の経済的な集荷地域というものを
想定して
考えないことには、
企業としては成り立ち得ない。
企業が成り立たなければ、
生産は部分的には可能であっても、十分継続して
生産することができない、こういう
関係があるわけでございます。そこで、
岡山の場合におきましても、
大分の場合におきましても、広く集荷地域というものなしに、その
地方から集まるものを予想した処理
計画を立てたというところに、集荷量が当初予定したより集まらないということで、
企業としては成り立たない。
企業が成り立たないから、
生産もやむを得ずやめざるを得ないという地域もできてきたわけであるわけでございます。そこで、どうしてもそういうものについては、
生産振興地域を
考える。その
生産振興地域と結び合わせて、
原料の処理をすべき
工場の合理的な配置も
考えると、こういう結びつきで、この
生産振興地域というものが
考えられておるわけでございます。したがって、若干その面におきましては、もうカンショ自身について、取り扱い上、各地にでん粉
工場がある。そのでん粉を受けて、
ブドウ糖工場が、特定の集荷区域ということを
考えることなくして
操業を行なっておるという事態にありますので、カンショ自身に対する
生産振興はこれは別に進めるといたしましても、
生産地域というものをこの法制上に取り入れてやるかやらないかということは別問題であり、われわれといたしましては、若干そこには取り扱い上、異にすべきものがあるんではないかと、こういうことで、この
法案にはカンショを
生産振興地域から特に落としておるというわけでございます。