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1964-03-12 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十二日(木曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            岡村文四郎君            木島 義夫君            北口 龍徳君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大河原一次君            大森 創造君            小宮市太郎君            戸叶  武君            高山 恒雄君   衆議院議員    発  議  者 芳賀  貢君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    食糧庁長官   齋藤  誠君    林野庁長官   田中 重五君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁業務第二    部長      中島 清明君     —————————————   本日の会議に付した案件林業信用基金法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○甘味資源特別措置法案(第四十五回  国会内閣提出、第四十六回国会衆議  院送付)(継続案件) ○沖繩産糖政府買入れに関する特別  措置法案(第四十五回国会内閣提  出、第四十六回国会衆議院送付)  (継続案件) ○甘味資源生産振興及び砂糖類の  管理に関する法律案衆議院送付、  予備審査)     —————————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  林業信用基金法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 高山恒雄

    高山恒雄君 私は木炭の問題で御質問申し上げたいんですが、生産推移を三十四年以降見てみますと、三十五年から年次ごと減産になっておるわけですね。三十五年が九八%、三十六年が八二%、三十七年が七三%、三十八年が五九%という状態になってるんです。この報告書を見ますと、統計上から見ますと、ことしの減産暖冬のためにこうした減産になっているということが書いてあるんです。暖冬じゃなくて、いわゆるこうした需要面がどうしても暖房その他で減産せざるを得ないという状態になっていると私は思うんです。暖冬のためだけじゃなくて、そのほかの問題もあると書いてありますけれども、もっと根本的な問題だと思うんですね。こういう問題に対しては、どういう計画と将来の需要消費というようなものをお考えになって、政府としちゃ指導しようとお考えになるか、この点ひとつお聞きしたい。
  4. 田中重五

    政府委員田中重五君) 木炭生産につきましては、確かにいまお説のとおりに、減産傾向をたどっております。それで、昭和三十四年度におきまして約百五十万トン程度生産がございましたものが、昭和三十八年度の見通しといたしましては、九十万トン程度生産に落ちておるというような形でございます。それで、この減産傾向といたしましては、いまお説のその年による暖冬というようなことも、原因一つでないこともございませんが、主たる理由といたしましては、やはり木炭需要がだんだんに減ってまいっておる。つまり、ガスなりあるいはプロパンガス、石油なり、それぞれ使いやすい代替燃料が、急速な勢い木炭の領域を侵しております。特にそれも大都市のみならず、地方におきましても代替燃料進出は著しいものがございます。で、そういうことの結果といたしまして、木炭生産並びに供給が次第に減少しつつあるという状況であると考えております。  そこで、まずそういう場合の木炭原木としていままで使われておりましたものは、どういうことになっているかと申しますと、この原木につきましては、御承知のとおりパルプ産業がこれまた急速な勢いで伸びております。伸びているために、その資材の入手難に当面しているわけでございますが、そういう場合のパルプ原木として木炭原木が移りつつあるという状況でございまして、また一方、木炭生産者の方にも、そういうパルプ原木生産のほうへの転換ということも行なわれております。ただ木炭と申しますと、これは農家収入のやはり少なからざるウエートを占めているということ、したがって農家収入源として重要なものであることには、現在といえども変わりはございません。この生産者の大部分は、やはり農家であるということでございます。  そこで、そのような農家家計を安定させるというために、やはりこれを放置することができませんので、そこで農家生産する木炭事業についての助成につきまして、政府といたしましていろいろ施策を講じているわけでございます。たとえば昭和三十九年度の予算の面で申し上げますと、木炭に関する予算といたしまして、ほぼ六千七百六十万円程度予算を計上いたしておりまして、これは農家の営む製炭業で、しかもいま申し上げましたような需要の減退しつつある木炭というものに対する農家生産につきまして、できる限りその生産された木炭が安定した価格で販売されますように、また木炭生産の工程につきましてできる限り生産性向上をはかって、その所得がふえるように、そういう面で配慮いたしておりまして、いま申し上げました経費の中で、たとえば木炭生産合理化対策経費というのがございます。これはそれぞれの製炭者が一組になりまして、そしてその製炭原木を伐出いたしますチェイン・ソウであるとか、あるいは製品搬送機であるとか、それから生産された木炭を今度は一定の長さに切る炭切機であるとか、そういうような機械を活用することで生産性向上をはかっていくという事業に対する助成をいたしております。あるいはまた生産されました木炭が、先ほども申し上げましたように、でき得る限り安定した価格で取引をされるということのために木炭の出荷の調整ということを考える必要がございますので、そこで製炭者がその製品農協にこの販売を委託をいたしまして、そうして農協で最も有利な時期にこの木炭が販売されるというようなことにつきまして、その木炭委託について、その対価につきましての便宜をはかっておるというようなことを措置いたしておるわけでございます。  なお、現在、今後の考え方といたしましても、木炭生産者相互共済等についても、何らかの育成をはかっていきたいということで、三十八年あるいは三十九年度におきましても、そういう制度の具体化についての調査をいたすための経費を計上しているということで、農家の営む木炭生産について、でき得る限りそれが安定した形で、しかも生産性の上がるような方向で進められますように助成をはかっておるということでございます。
  5. 高山恒雄

    高山恒雄君 いま長官の言われるように、もう今度の予算でそういう政策を立てておられるという点についてはわかります。それは合理化流通機構改善であって、そうしてしかも価格安定をやっていこう、こういうおつもりだと思うのですが、その調査をしていくという考え方だと思うのですが、私がお聞きしておきたいのは、需要の面、どういうふうに将来減っていくのである、したがって、そういう減るものに対しては、むしろ兼農者だろうと思いますが、どういうふうなひとつ指導をしていくのか、需給バランスがほんとうにつかめないで、ただ合理化あるいは流通機構改善をやるということは、将来伸びるという可能性のあるときに必要であって、むしろ木炭は要らないようになるのだ、こういう時代に年々どのくらいずつ減っていくと、先ほどおっしゃったように三十八年は九十万トン、これは約四〇%減っておりますね、そういうふうに減っているが、ことしは暖冬があった。しかし、こんな極端な減り方でなくて、来年はどのくらい減るのだ、その次はどのくらい減る。したがって、四十二年度にはどういうふうに木炭事業というものは指導しなくちゃいかぬという、私は基本的なものがあるべきじゃないかと、こう思うのです。その点をひとつお聞かせ願いたい。
  6. 田中重五

    政府委員田中重五君) 木炭の将来の需給見通しにつきましては、これはいままでの需給推移にかんがみまして、少なくとも減少の傾向をたどるというふうに考えざるを得ないわけでございますが、また一方、木炭需要につきまして、工業用の面で、なお需要見通しも相当にあるというようなこと、それからやはり木炭という燃料日本人的な嗜好による需要も、これもなお続くというような予想を立てておりまして、当面この木炭需要につきましては、ここ十年あるいは十五年等の見通しの過程におきましては、現在をはなはだしく下回るというような考え方には立っていないわけでございます。
  7. 高山恒雄

    高山恒雄君 長官の言われる点は、どうも納得いかないのですがね。三十四年を一〇〇として、三十五年は九八%に減っております。三十六年は八二%に減っていますね。さらに三十七年は暖冬どころか、寒かったんですが、七三%になっているのです。そうしますと、ことしは、三十八年度は暖冬ということで五九%に減ったのでしょうけれども、それだけが原因でないと、こうおっしゃる。それだけが原因でないというその点の、一体木炭国内消費ですから、国内でどのくらいの一体消費があるのかという点が、四十年なり四十五年度までにどういう傾向になっていくのだと、私はその比較がないことには、合理化流通機構改善をやっても、木炭自体の将来性というものはもう考えられない。むろんそれは国内消費ですから、おっしゃるように工業方面でも需要がないとは私も言いません。けれども、それは私は微々たるもんだ、したがって、日本人として木炭を使わなくちゃならぬ場所というものは、もう限定されてくるのじゃないか、そういう意味で、やはり長期計画のもとに雇用の安定と申しますか、救済法と申しますか、そういったものがやはり出て、その上に立って政府としては指導すべきじゃないか、こういうふうに私は考えるのです。
  8. 田中重五

    政府委員田中重五君) お説ごもっともでございまして、まあ、今後の代替燃料進出とさらにその価格面等を考慮いたしましても、ある程度のなお普及予想をされますだけに、木炭生産見通しにつきましては、十分に計画的な見通しを立てまして、そしてその木炭生産者の個々のそれぞれの生産見通し、それからその生産者事業転換、そういうことをはかりまして、農家家計の支障にならないようにできる限りの措置を講じてまいりたいと、こういうふうに考えます。
  9. 高山恒雄

    高山恒雄君 その問題は、それではそういうふうにお考えになっていただいて計画を立てていただくということであれば、私はいいと思いますが、ぜひその問題は、この不安定な日々の作業をやるわけですから、もっと安定したつまり職業指導するならするというふうに政府には施策があってしかるべきだと、こういうふうに考えるわけです。この点は希望意見として申し上げておきます。  さらにもう一つの問題として、林業試験研究所及び普及事業強化ということで、今回も予算を増額されておるのです。そこで現在の林業普及指導職員が三千百八十三人ですか、これだけおるようですが、この資質の向上のために重点を置いて、今後やろうと言われる、その改善普及職員強化ですが、この山村における青年層ですね。これはもうほとんどいないような状態ではないかと思うのです。特に山村ではそう考えられます。多少都市から離れた地域ならば別でございますが、もう山村ということになれば、私は青年はいないんじゃないかというような感じを持つのです。いまここに言われる中堅青年育成事業を拡充するという考え方ですね。どういう構想を持っておられるのか、どういうクラスをまた対象にされるのか。青年といってもいろいろありましょうけれども、年齢の格差はありましょうが、青年はいないと——私が考えている二十才前後の青年はいないと、こう考えているのですが、この点はどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたい。
  10. 田中重五

    政府委員田中重五君) 最近におきます第二次、第三次産業の発展、一方におきましてそういうことに対応するところの農村、特に山村の離村の現象は、確かに有能な青壮年都市への流出の現象を色濃くしておるわけでございます。ところで一方山村を守っていくために、また中堅青壮年の存在がぜひとも必要であることは申すまでもございません。そういうようなことから、特に近来山村振興というような考え方が、相当強く意見として出されてまいりまして、そうして山村の環境の整備から始まりまして、あらゆる面での社会経済的な面の発達、改善、そういうことをはかるべきであるという考え方が出てまいっておりますが、私ども林業経営の面から申しましても、今後その施策をはかっていこうとする林業振興林業の構造の改善による林業基本対策の遂行、そういう面から言いましても、山村青年に期待するところはきわめて大きい。そこでそういう青壮年山村に踏みとどまって、そうして山村経済生活魅力のあるものに考えられるというような形に考え方を持っていってもらう必要があると存じます。それでそういうような考え方からいたしましても、いまお話のございました指導普及職員、この人たち任務が非常に大きいと、こう考えるわけでございます。で、三十九年度の林野庁におきますこの普及事業経費の中にも、山村青年の、特に山村地帯におきます林業あるいはこれに関連いたしまして農業も含みますけれども、そういう産業についてのいろいろな知識普及、それからその将来性の問題等につきましてその教育指導をかはるために研修機関というものを設けまして、そうして山村青壮年山村における将来の社会に大きな希望を持って生活をしてもらうというように指導をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  11. 高山恒雄

    高山恒雄君 現実にはいないから、結果的には魅力を持たせる、山村青年がとどまるように指導していこう、こういうことだろうと私は思うのです。それにしても昨年の造林計画政府がやられたのですが、これは人手不足で、私はその計画どおりに進まなかったということではないかと思うのです。したがって、いまそういう試験段階的なことをやって青年育成をこれからはかってやろう、こういうことではあまりにも格差の上に格差がある山村青年が、幾ら指導をやってみても、結果的にはそうした青年がとどまらないのじゃないか、こういう考え方を私は持つわけです。そのためには、皆さんからももうすでに何回かこの意見も出ておりますが、国有林公団さらに民有補助金の問題です。これらももっと優遇措置一つとして、たとえば国有が八百円ですか、公団が七百八十円、民有は四百十円の補助になっておりますが、民有といえども、これはやっぱり生活をしていかなくちゃなりません。そういう場合の補助金——青年魅力を持たすというならば、こういう面からもっと基礎的な考え方を研究すべきじゃないか。これは何回か至るところでそういう意見が出ております。そういう意見が出ておるにもかかわらず、依然として算定基礎というものを変更することなしに、昔の考え方そのままで今度も三百五十円を四百十円にした、こういう考え方は、もっと根本的に算定基礎——たとえば民有林の場合はおじいさんでもできる、あるいは内職的な仕事ででも林業はできるのじゃないか、私はこういう考え方算定基礎だと思うのです。そうじゃなくて、やっぱり植林をやって二十年後にはあるいは三十年後にはどれだけのこれが収益が上がるんだ、その間は農業でどういうふうな計画を立ててやっていくんだとか、こういう魅力ある計画青年に与えてこそ、私は政府がいわれる青年指導層育成できると思うんです。そういうことを根本的に昔のままの踏襲をして指導するといっても、これは青年魅力は私はそう出てこないと思うんです。この点はどうお考えになるのですか。
  12. 田中重五

    政府委員田中重五君) 山村における青少年の確保につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな面でこの施策を講ずる必要がございます。これは一つの社会問題でもございますし、国全体としてその対策に当たる必要がある、こういうふうに考えられますが、それで林業の面では、今後林業の基本的な対策を講ずることが、結局農山村魅力を持ってとどまるということの結果にもなるということをぜひとも期待をしたい、こう考えておる次第でありますが、そこで、今お話造林人夫賃でございますが、それで、民有林補助事業におきます補助の額の算定基礎になっております人夫賃といたしましては、確かにお説のとおり、必ずしも十分に山村青年満足をするような段階にあるとは考えられないわけでございます。それで、この算定基礎になる単価につきましては、従来ともできる限りの努力を払いまして、そうしてその向上につとめてまいったわけでございます。で、三十九年度につきましては、いまお話のございました三百五十円が四百十円になった。四百十円、決してこれで満足すべき単価ではございませんけれども、約二割弱の向上を見たわけでございます。で、今後といたしましても、でき得る限りこの人夫賃につきまして、実態に合うようこれの向上をはかるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  13. 高山恒雄

    高山恒雄君 まあ、満足をすべき数字じゃないということは、長官はみずから感じておられますから、その点を私は追及するわけじゃないですけれども、しかし、日本のこの山林所得ですね。これを見ますと、一町以下の山持ちというのが多いわけですね、日本の場合は。そうすると、それだけの山を持っておる人で、もし一町のたんぼをつくったとしますか、そうすると、一町のたんぼに何かまた他のものをやるということで、日常生活は大体下等な、一番低位の生活しかできない。これは皆さん農業基本法に基づく二町五反という数字を上げておられるんですから、できるはずはありませんね。そうしますと、林業農業はどういう関連性育成強化するかということになりますると、山は二十年先には、たとえば十八才で会社に入った、そうすると三十年の勤続をしたとしますれば、あるいは二十八年でもいいですが、最近は定年がちょっと長くなりました。そうしますと、二百五十万ぐらいの退職金をもらいます。ところが農業をやっておったのでは、その日の生活しかできないということになる。それに山を植林してそうしてその山で二百万なり二百五十万の収益が上がるとするならば、それが退職金に匹敵するものだ、そういう考え方育成強化をしてもしていいのじゃないかという考え方が私はあるのです。山林業というのは、そういう気の長い仕事だ。青年魅力を持たせるということは、山を一町歩持っておってそれが退職金に該当する、したがってそこに植林をさせる、こういう何かのアイディア的な一つの目標を私は掲げる必要があるのじゃないか。そういう意味からすれば、長官もわかっておられるように四百十円の補助金なんというものは、これは根本的に考え直す必要がある、こういうふうに私は思うのです。そういう点の格差をやっぱり是正するという方向は、お考えにならないものかどうかお聞きしたいのです。
  14. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在考えております林業の基本的な対策の中心の一つのねらいも、山村のそのような林業経営者の他の産業に比べての所得の低さ、格差の大きさ、そういうものを直していきたいという考え方も、この施策のねらいでありますだけに、私といたしましても、山村所得のもとになるところのたとえば人夫賃というようなものの造林におきますところの基礎になる単価が、これでいいとは決して考えていないわけでございます。先ほども申し上げましたように、極力向上をはかりたい、こう考えている次第でございます。それで、三十九年度に対しましては、不満足ではございますけれども、この程度単価にとどまったわけでございますが、将来に対しては、さらにこれの向上につとめたいと、こう考えておる次第でございます。
  15. 高山恒雄

    高山恒雄君 大体三百五十円を四百十円にされたという点については、おっしゃるとおりに、今回はやむを得ないと私は思いますけれども、大体三百五十円の基礎をお考えになったときの時代と、いまの時代はだいぶ変わっていると思うのですね、農村も。そこでそういう根本的なものを改革をしないで、山村林業に対する指導的な役割をさせる青年を求めようとしても、私は困難だろうと、こういうふうに考えるのですよ。全く逆コースを行くのじゃないかというような気がするのです。そういうことから考えますならば、次のやっぱり予算のときには、もっと算出した基礎を根本的に考え直してもらうという点の私の希望意見を申し上げたいと思います。  さらにもう一つお聞きしたいのですが、政府の今度の予算の中でわずかな予算ではございますけれども山村指導者に対する手当という問題を出しておられます。これはいろいろ一律の方法で手当を出されるのか、それともその人の職種によって出されるのか、これは一般人夫までそういう手当を出されるのか、職員だけなのか、こういう点ちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  16. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまお話手当でございますが、これを私どものほうでは普及手当と申しております。それでこれは森林法にいいますところの、森林法の百八十七条で、「都道府県に林業専門技術員及び林業改良指導員を置き、」ということでございますが、この林業専門技術員、それから林林改良指導員、これが普及手当を受ける対象でございます。で、この林業専門技術員といたしましては、その仕事といたしまして、「試験研究機関と密接な連絡を保ち、専門の事項について、調査研究を行い、及び林業改良指導員指導する。」こういうふうにございます。これがその仕事の内容でございますが、林業改良指導員のほうは、これは「森林所有者その他林業を行う者又は林業に従事する者に接して林業に関する技術及び知識普及すること。」と、こういうふうにございます。それでこの専門技術員、あるいは指導員、これはいまのところ全国的に申しますと、林業専門技術員が五百四十七人、林業改良指導員が二千六百三十六人、それだけあるわけでございます。この林業専門技術員のほうには、その本俸の八%、それから林業改良指導員にはその本俸の一二%を支給する、こういう予定をいたしておるわけでございます。
  17. 高山恒雄

    高山恒雄君 現地指導者ではなくて、研究所もやっぱり手当を出すと、こういう意味ですか。
  18. 田中重五

    政府委員田中重五君) いま申し上げましたように、専門技術員のほうは試験研究機関と常に接触をしまして、林業技術の新しい面を常に吸収し、掌握しながら、それを改良指導員に伝えまして、そうして結局は林業経営者にその技術普及されるように、研究機関との間に立ちまして、その技術普及をはかる、それが任務でございます。
  19. 高山恒雄

    高山恒雄君 わかりました、終わります。
  20. 木島義夫

    木島義夫君 関連質問。いま高山さんの御質問たいへんけっこうと思います。ことに木炭問題については、私も非常な関心を持っているわけですが、最近パルプ材にやはり広葉樹を使っておるようでありますが、これは針葉樹との利害の関係、また将来の見通しはどういうふうになりますか、その点を先に伺っておきたいと思います。
  21. 田中重五

    政府委員田中重五君) ちょっといま聞こえにくかったのですが……。
  22. 木島義夫

    木島義夫君 パルプ材広葉樹を使っているのですね、これらが将来どんな見通しがあるか、針葉樹と比べてどういう優劣があるか、こういう点なんです。
  23. 田中重五

    政府委員田中重五君) パルプ原木に次第に広葉樹が使われつつあるというのは、お説のとおりでございます。で、もともとパルプ産業針葉樹原木を主体に発達をしてまいったのでございましたが、御承知のとおりの針葉樹の年次的な枯渇に伴いまして、一方蓄積の非常に大きな広葉樹に着目いたしまして、そうして広葉樹の利用開発をいたしました結果、現在では広葉樹の利用は、きわめて拡大をいたしておるわけでございます。で、現在ではこの優劣と申しますとたとえば新聞用紙になるGPでございますが、GP等におきましては、やはりこの針葉樹の繊維のアルファ・セルローズの長いものを必要とするという面からいたしまして、主として針葉樹を主体にしたGPを現在も使っております。それから一方、クラフトパルプ、おもに包装用紙、これはセメント袋であるとか、その他いろいろな包装の用に供されておりますけれども、こういうものにつきましては、必ずしもそういう繊維の長いという必要がございませんし、さらす方法等も非常に進歩をいたしまして、十分に広葉樹で間に合うということで、広葉樹が多量に使用されるようになっております。それで、現在ではこの広葉樹であることのために使えないというパルプの種類というものは、まずあまりないと考えていいと思いますが、ただ新聞用紙の場合には、輪転機にかかったりするその引っぱり強度を持たせるために、繊維の長い針葉樹が主として使われるということでございます。
  24. 木島義夫

    木島義夫君 したがいまして、その経済的価値の問題ですね、針葉樹パルプ材に使った場合、広葉樹を使った場合の経済的価値ですね、利用価値の問題ですね、それを一問お聞きしたい。
  25. 田中重五

    政府委員田中重五君) 経済的価値という場合に、それを原木単価あるいはコストそういう面に直しまして申し上げますと、これは針葉樹は御承知のとおりに、需要に対して供給が足りないという面がございまして、これはパルプの原木といたしましても割高でございます。それに比べますと、広葉樹の場合には、なお相当な蓄積がございまして、それだけに価格につきましても針葉樹に比べますと相当に割安であるということになっております。で、現在といたしましては、針葉樹広葉樹、これの使用の比率が、だんだんにそういうコストの安い広葉樹に移っていくために、針葉樹の使用比率というのは非常に下がっております。で、その半面、広葉樹の使用の比率が非常にふえております。なお、チップと称しまして、廃材、くず材、これは針葉樹広葉樹もございまして、これもパルプの原料として使用されていく道が非常にふえております。全体的にいいまして、針葉樹原木として使われる比率は、この入手難ということと価格の高いということで、比率がぐっと下がってまいっております。
  26. 木島義夫

    木島義夫君 それと広葉樹ですね、近ごろ何か木材の何といいますか、科学的利用といいますか、接着剤の何を盛んにやっておりますが、広葉樹もやはりそのほうに使われておると思うのですが、その利用がますます盛んになってきつつあるが、まず針葉樹に対して、現在利用されているパーセンテージとか、そういうようなことをちょっとお聞きしたい。
  27. 田中重五

    政府委員田中重五君) 広葉樹も、いまお話しのとおり、優良な材質のものにつきましては、合板あるいは家具、そういうものに相当な利用をされておりまして、パルプに使われるものはずっと低質の、材質的価値としては低いものが利用をされておるという状況でございます。それで、国全体の需要量の中の広葉樹針葉樹の比率につきましては、いま資料をちょっと用意しておりませんので、後ほど御提出をいたしたいと思います。
  28. 木島義夫

    木島義夫君 最後にもう一つ。私は実は日本でここ十年ぐらい前から、樹種の転換ということを非常にしきりに騒がれておる。また転換できるものは非常にけっこうだと思います。しかし、日本の山の峻険さですね、そういうようなところを考えたときには、針葉樹を植えることが困難であるし、植えてもなかなか成長しないとか、また伐採も困難だとかというようなところは相当あると思う。この点はヨーロッパの山林などとよほど様子が違っていると思う。ヨーロッパでは現に広葉樹針葉樹に変えるために、薬品を散布したり、何かして広葉樹を絶滅させて、そうして針葉樹を植える、こういうことも見てきたのでありますが、日本の実情として、また最近の就業人口も非常に減っておることですね、そうして手間が高い、山村において。そういうことを考えたときには、あながち針葉樹がいいと言えないじゃないかと、こう思うのです。ですから、今後闊葉樹の利用方面をもっともっと国家的見地から研究して、炭にならないからもうだめだとか、またパルプには値段が安いからだめだとかというようなことだけでなく、日本の国家的見地から、このことをもう少し林野庁などでは研究していく必要があるのではないかと、私はこういうふうに考える次第であります。  それからなお最後に、日本針葉樹の分布状態、たとえば北がどうだとか南がどうだとか、地域的にその歩合い、パーセンテージ、針葉樹広葉樹の現状ですね、それを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  29. 田中重五

    政府委員田中重五君) 最初の御質問広葉樹の価値も、もっと重視すべきではないかというお説に対しましては、私もその点ごもっともだと存じます。いずれにいたしましても、造林の場合には、これは生きもののことでございますから、やはりその自然的な立地条件に一番合い、そこに植えたら必ず健全に育つであろうというような樹種、あるいは品種を選びまして、そしてその造林を奨励していくということが一番得策ではなかろうかと、こう考える次第でございます。そこでこの広葉樹がきわめて有望である、健全に育っていく可能性も十分あるという場合には、それが広葉樹であっても一向差しつかえはないわけでございまして、広葉樹育成をはかっていくことがよろしかろうと、こう考える次第でございます。  それからなおあとの針葉樹広葉樹の全国的な分布その他につきましては、後ほど資料として御提出をいたしたいと思いますが、全体の蓄積としては、大体針葉樹広葉樹はやや蓄積の面では半々より広葉樹が多いという状態でございます。
  30. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 委員長、速記をとめてください。
  31. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記つけて。
  33. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 問題をしぼってお伺いをいたします。今度の改正案は、提案の理由にもありましたように、第一には基金に対する政府の追加出資の規定をもうけるということで、いままで詳細に説明がありましたことによって明らかなのは、昨年に引き続いてさらに三億五千万を政府が出資をするということが、改正の第一の柱なわけです。そこで予算折衝には最高責任者として当たられた大臣のかわりの政務次官にお伺いをいたすのでありますが、この政府出資の三億五千万というのは、もちろん一般会計から出資をするわけでありますけれども、しかし、そのよってきたる一般会計から出すその裏づけというものは、私が資料要求をいたしました中にもありますように、林業振興費林原一般会計繰り入れ、この中から一般会計に入れられて政府出資をしておる、こういうふうに会計法からいってもなっておるわけですね。そこでお伺いをいたしますのは、この三十九年度の特別会計のいわゆる林政協力という林業振興費財源一般会計繰り入れの五十億というものでありますけれども、そこに至る経過としては、結局当局の原案は三十九億であったわけです。この三十九億が五十億に増額されたことは、その金額の総額からいけば好ましいとでも言えるかもしれませんけれども、時間の関係上、私は要約して伺いますが、当初の三十九億というのは、森林開発公団二十億、その他十九億という内訳で内容が出ておったはずでありますが、それが国会へ提案されました五十億というのが、森林開発公団二十七億、農林漁業金融公庫十五億、今度の審議の法案に関係あるものは三億、その他五億と、こういうものが計上されて、予算等でも審議に付されておるわけでありますが、その増額変更した経緯をまず政務次官からお伺いをいたしたいと思います。
  34. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) いま御質問の林野の特別会計からの一般会計への繰り入れに関しまして、当初三十九億だったのが五十億になったという理由についての御質問でございますけれども、私はその点をひとつ林野庁長官お話しさせたいと思います。
  35. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 林野庁長官から詳しく伺うことは私は要求しないのです。ただ、いかに国有林事業特別会計というものが、政府の中で正確なる内容が理解されておるかということに触れる問題であるがゆえに、それらの経過をお伺いいたしたわけであります。さらに、長官数字にわたることでありますから、御答弁になるということであれば、関連してもう少し質問の要旨をふえんしますと、これは特別積立金引当資金勘定から受け入れておる相対勘定なわけであります。その林政協力費の相対勘定であるこの積立金の引き当て資金というものは、これも林野庁の当初の予算としては五十九億五千九百万であったわけです。それが今国会に提案されました金額は五十億。これは支出の五十億と見合うことでありますから、この五十九億五千九百万が五十億になったことも、総額としては非常にしろうと的にわかるのでありますけれども、しかし当初の農林省自体が考えておった五十九億五千九百万というのは、森林開発公団二十億と、農林漁業公庫十五億、林業信用基金に三億、それから民有保安林の買い入れに二十億五千九百万が予定されておったわけです。それが政府の最終的な国会に出されたものでは五十億となっておる。したがって、この変動から出てくる私は質問は、民有保安林の買い入れというものの収入予算がなくなっておるということが、一体三十九年度の国有林事業特別会計の中でやる場合において、支出に一体どういうふうにこれらが勘案されるのか、また、されることによって、既存の支出の予算というものが圧縮されるということにならないのか、そういう点をお伺いをいたしたいのであります。また、そうしたような問題は、いずれもっと直接な法律の提案も予想されるようでありますから、その際にまた全体の中から、これらの政府特別会計の内容に触れてお尋ねをする機会もあろうかと思いますが、きょうのところは、そういう関連が糸をたぐるによって、逐次問題点が出てくるわけで、そういう点が一体どうなるのかということをお尋ねをいたしたいわけであります。それから収入の部を見ますと、これらの当初農林当局が考えられたものが削減をしたことと、また別に国有林事業収入というものが約二十億、詳しく言えば二十億七千七百万が増加して国会に提案をされております。当初の原案は、国有林事業収入が九百十七億四千七百万であったものが、国会に出されたという原案は九百三十八億二千四百万、二十億七千七百万が増加を見ておる。これは三十七年度の木材価格の見積もりに対して、当初九・八%アップを見込んでおったものが、二十億七千七百万を増加するために一一・二%増に価格見積もりをして、その間に一・四%のアップを見込んでおる、こういうふうに読み取るわけであります。これはちょうどまた、当初の原案は、持ち越し現金二十億を全額削除をした金額とほぼ見合うことになってくるということになってまいりますと、そのほかのこまかい要素でも林野売り払い代金も、農業構造改善事業によって売り払う土地の立木九十八万一千立方メーターというものが評価がえによって約二億円の増加が見込まれておる。これはまた農業構造改善にも関連のしてくる問題点であります。また雑収入にいたしましても、内訳は不明でありますが、約三億円が増加しておる。こういう一連の関連から、私は政務次官にお尋ねをいたしたいのでありますが、この国有林特別会計というものの性格は、三十五年にこの法律改正がなされてから、非常にその性格が、利潤積極化の原則というものが、木材産出量の極大化の方向を指向しておる生産力原則と並ぶ指導的な経理面というものに貫かれた予算の編成方針になっておると理解をせざるを得ない。また利益管理という理念が特別会計の中に導入されて、各地方の営林局長においてもノルマとしての性格を持つ利益目標が示される従来の産業合理化を、非常に寄生地主化的な方向に、現実は、傾向としては指向しておる、国有林に内在化した利潤追及の衝動によって、これらの傾向が一そう強化されるのではないかということは、本来あるべき国有林事業としては、私は非常に問題ではないかというふうに思うのであります。したがって、農林省の最高責任者である政務次官は、そういう利潤追求という至上命令の中にこれらが指向され、これらの事業の中から、ノルマ的な生み出される利潤の二分の一を積み立てをし、その積み立ての中から林政協力費を支出するというような方向が今後も強化されるということであれば、それは非常に問題ではないかというふうに思うのでありますが、これらの予算編成における経過を踏まえて、政務次官は一体この点についてどういうふうにお考えになるかを、まずお伺いしたいのであります。
  36. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 数字的なことは、後ほど林野庁長官にお答えいたさせますが、ただいまだんだんのお話でよくわかりましたが、この林野の特別会計の問題でありますが、この利潤追求主義であるとかというお話もありましたけれども、まあ必ずしもそういうわけでもないのでありまして、ただ最近の経過から見ますと、私どもも林野の特別会計については、相当考えていかなければならないというふうに思っているわけでありまして、というのは、相当林野の伐採計画、それから造林その他の事業をやっておりますが、支出面では相当どんどん年を追うて増加する。ところが収入面においては林産物の価格が御承知のとおりの状況で、そう思ったほど上がらないという点がありますので、順次積立金を取りくずすというような状況にもなっております。このまま推移するときは、どういうふうになってくるかという点も考慮しなければいかぬので、私どもといたしましては、これを将来どう持っていくかということで検討を加えるべく、特別のそういう経験者を御委嘱いたしまして、検討を加えておるような次第でございます。あと具体的な諸点に関しましては、林野庁長官に説明していただきますが、それかと言って、特別会計が林野の事業そのものばかりやるというわけにもいかぬと思いますので、いまのお話のように林政協力とかいう点で相当一般的なものにも出しておるようなわけでありますので、それらの点をかみ合わせて、今後十分検討していきたい。また、いずれ国会で御審議願うことになると思いますが、林業基本案の問題もありますので、その際にも国有林という問題を、どういうふうに位置づけていくかという問題も、御審議願わなければならないというふうに考えている次第であります。
  37. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 確かに支出も必要経費もふえることは当然である。これらがきわめて圧縮されておるというところに、私は問題を感ずるわけであります。まあそういう詳細はきょうは一切触れません。いずれ他の機会に十分時間をとってお尋ねをいたしたい所存であります。まあ、こういう予算編成を見ますと、林政協力費というものを優先的に確保するという至上命令があるように考えられるわけです。ただこの林政協力費も、たとえば森林公団に対する出資なり農林漁業金融公庫に対する出資なり、今回の休業信用基金法に対する出資なり、それらはこの協力費から出すことにたてまえはなって積み立てられておるのですから、そのことをいまどうというように性格を変えるわけにはまいらぬわけでありますが、いま次官が御答弁になったように、そういうあり方を十分検討するという御答弁ですが、私はそれを単なる国会の質疑の答弁を、その場限りのものではなしに、もっと国有林本来のあり方にその重点を置いたならば、一体本来育林費にもっと政府投資をすべきものが、十分にされない問題であるとか、そういう各般の部門において、十分それらの機能が果たし得るような前向きの姿勢で、これらの予算というものに、大所高所から農林の最高責任者は当たらなければならない、私がしろうと的にお伺いしたことも、なかなか数字的にもおわかりにならぬというようなことではなしに、このことは数字ではなしに、その数字が示すその政府特別会計に対する姿勢というものにつながるがゆえに、私は一、二の数字をあげて、お尋ねをしているつもりであります。本来そういうものは一般会計でこれはまかなうべきではないか、農林漁業金融公庫に対して政府が出資をする、森林公団政府が出資する、林業基金に対して政府が出資する、何もこれは協力費から吐き出させなくても、一般会計そのものが、ストレートで出してしかるべきではないかとさへ思うのであります。そうしてそれらの正当に蓄積された資本というものは、国有林の本来のあるべき方向に、もっと積極的に投下をするということが、私は基本的な今後の方向でなければならぬじゃないかということでお伺いをいたしているわけであります。いずれこれは午後も時間があったら、大胆にも重ねてお伺いをいたしたいと思います。  それからこの支出に関係があるわけでありますが、国有林の所在町村に対して交付金を、予算でも出しているわけでありますが、それは三十九年度では六億二千八百五十三万というものが計上されております。昨年よりは多少上回っておりますが、これが御承知のように民有林の場合の固定資産説の収入に比べて、いまムード的に盛り上がっている国有林開放運動を提唱している各町村の中には、民有林の固定資産税の収入に比べて、約二分の一ないし四分の一というようなデータで、運動の一つの問題にしているわけであります。そこでことし、こういう計上した国有林所在市町村へ出す交付金というものが、一体そうした民間の保安林は、これは免税措置になっているのでありますけれども、そういうものと勘案して、まさるとも劣らないような交付がなされることが、大きなまた国有林特別会計の任務一つだろうと思うのであります。その点が一体どう配慮されてこういう予算になっているか、そういう点をお伺いいたしたい。で、お伺いをいたすその経過は、三十七年の三月二十三日に、この参議院の予算委員会で同じような問題を、同僚議員が取り上げているのであります。それに対して政府委員からは、その問題については、調査をいたす準備をしている。いかにそれらを勘案して交付することが適正であるかということを、調査をいたす準備をしているという答弁を、三十七年三月二十三日にしているのであります。それが一体どういう調査をいたす準備を完了し、調査をし、その調査に基づいて計上したものか、これはまあ事務的なことにわたりますので、長官からお答えを願いたいと思います。
  38. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまの御質問の点につきましては、昭和三十七年度に固定資産の実態の調査をしたわけでございます。それで御承知のとおりに、国有林野に関係しましては、昭和二十九年度に再評価をいたしまして、その後いまお話のございました国会における御質疑等もあったと思いますが、それぞれ課税標準価額の基礎になる近傍類似の固定資産等を調査をいたしました結果、その三十七年の三月三十一日現在の国有林野の台帳価格、これに対しましてほぼ五〇%強の結果を得たわけでございます。それで国有林野といたしましては、民有林の場合には、固定資産税の対象とならないところの保安林に対しても交付金を交付する、その他また国有林野の所在する地元との相互の有形無形の協力関係もあるというようなことを勘案しつつ、この交付金は固定資産税そのものでもないわけでございまして、これは御承知のとおりの国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律に基づいているわけでございます。で、三十七年のそのような調査、その結果に基づきまして、ほぼその時点の台帳価格の五割増ということで計算をいたしたのでございましたが、いまの規定で三十七年度の結果を採用して交付金を算定いたしますのは、三十九年度において実施をするわけでございますので、そこでその評価が五割になりました。五割になりました市町村を拾いますと、全体の九百二十六市町村、そうしてその台帳価格としましては百五十二億六千九百万円、でその当時の交付金額二億一千三百七十六万円で、いま申し上げましたようにそれぞれ五判を増しまして、この台帳の価格といたしましては二百二十九億三百万円、交付金額が三億二千万円こうなっております。そこでいま新しく計算をされました交付金額三億二千万円と、それから前の交付金額二億一千万円との差額一億六百万円でございますが、それを三十八年度の実績、この予算額五億一千八百万円相当額に加えまして、そのほか新たに国有林野として取得いたしました保安林なり、苗畑その他の追加をいたしました結果、先ほどお活の六億二千八百五十三万円、こうなったのでございます。
  39. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その信用基金の出資に関連して調べていると、いろいろな問題が関連して出てくるわけです。その明らかにしていただきたい問題は、非常に多いのでありますが、この法律にはあまり関係がありませんから、私は問題をこれ以上提起してお尋ねをするのをやめますけれども、たとえば予備費の計上のしかたであります。これは去年の予備費よりは約十八億以上も減っておる。仲裁裁定で現実に当初の原案よりも人件費は三十億以上も支出増をしておる。三十九年度はしたがってせめて去年並みの四十三、四億ぐらいの予備費を最初から計上しておきませんければ、当然その予備費を食いつぶしても不足になる。もとより三十九年度の仲裁はどうなるかは、これは推定でありますけれども、少なくとも前年度と同じような仲裁が出てまいりますならば、少なくともそれらだけでも当初原案よりも三十億の人件費増が要るわけです。それが数学的に具体化した場合には、私のおそれるのは、この支出がきわめて窮屈過ぎるように編成された中で、さらにそれが事業費に食い込むことをおそれるのであります。したがって、当然そういうものは、なぜ二十億近くも予備費を低く見ておるかという問題と関連して、当然育林事業等にはもっと特別会計の機能としては重点を指向しなければならない問題に対し、きわめて従来のマンネリズムの方向しか出ていないということが問題として考えられるわけでありますが、その点は一体、想定のことでありますけれども、そういう仲裁が現実化した場合に、三十八年度と同じだと仮定したならば、一体それらの措置をこれらの財政ではどう処理をされるのか、そういう点をお伺いをいたしておきたいのであります。
  40. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林野業業の収支の状態が、必ずしも非常にゆとりがあるということでないのはお説のとおりでございます。と申しますのは、従来国有林野小業といたしましては、まずその財源を主として木材の売り払い収入にその源泉を求めているわけでございますが、御承知のとおりの木材の需要と供給の関係から、木材価格のきわめて急激な伸びを招来をいたしまして、これまではその財源におきましては、まず特に窮屈であるという状態はなかったのでございましたが、先般来もこの国会でもいろいろ御審議いただいておりますように、木材価格の急激な値上がりに対応するところの外材の進出なり、あるいはそのためにまた木材代替資材の進出ということもございまして、また経済上の政策の面もございましょうが、他の物価の推移と同様に木材の価格につきましても伸びはございますけれども、そのテンポはきわめてゆるやかになってきているという状態がございます。そこで、そのような木材価格推移に十分に着目しながら、今後の国有林事業特別会計の経理を考えていく必要があると思っておりますけれども、今後の事業の発展、そうして内容の、あるいは資産の改善充実、そういう面につきましては、事業合理化あるいは近代化、それをはかりまして、でき得る限り生産性を高めていく、そういう努力をいたしますことによってこの収入と支出の均衡をとり、しかも、その均衡の中で必要な経費ができ得る限り満足すべき状態でまかなわれるというような経営をしていく必要があると、こう考えておる次第でございます。なお、現在の植林計画が将来進んでまいりまして、その成長量の大に期待し得る時期が参りますれば、代採量の面でも、相当の拡大が予想をされますので、収支の均衡については、それほど憂慮することはないというように考えておる次第でございます。
  41. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 前段にも触れましたように、農林当局とされて、当初考えておられた持ち越し現金の二十億の収入繰り入れなり、あるいは積み立ての受け入れの中に民有保安林の買い入れ二十億なんというものが、収入財源からは削除されておる。もとよりこれは資産の食いつぶしではありますけれども国有林事業を健全に遂行していくためには、当然支出に見合う収入としてこれは取りくずしを必要とするものであったはずであります。それが政府の原案には立ち消えになっていることは、それが水増しの農林案であれば何をか言わんやでありますけれども、少なくとも専門的な立場からいってそういうことが当然必要であるという原案を、政府が最終的な案として出さなかったところに、農林大臣以下の最高首脳部の善処を促さなければならぬ問題点があると思うのであります。したがって、これ以上長官にお尋ねをいたす問題ではございませんので、午後大臣が見えた際に、関連してまたお伺いをいたしたいと思います。
  42. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) これで暫時休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  43. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  林業信用基金法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  44. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今回の提案されました法案の柱の一つに、理事一名の増員がある。従来、理事長と理事、二人で常勤をされておるわけでありますが、そのほかに常勤の監事一名、こういう体制に加えて、理事一名増員が内容の一つになっておるわけですけれども、それに関連してお伺いをいたしたいのでありますが、この仕事を完全に遂行していくためには、その手足となって仕事を担当する職員の増員もまた必要であって、今回また、それが従来に対して十人増を見込んでおる。そういう実態を承ったのであります。そうしますと、今回の改正の内容から見ますと、予算等の点から、さらに推測をいたしますと、職員が三十八人。で、従来、保証業務を遂行するためには、一部四課の機構が組まれております。したがって、これがさらに機構が複雑にならないといたしましても、少なくとも管理職が五人配置されておるわけです。十名増員によって三十八名のうち、管理職員が五名に達しておる。その上に常勤理事が一名に理事長、常勤という中に、さらに一名を追加するということは、これは執行体が頭が重過ぎる、実際の仕事をやる上においては、という感じがするわけです。これは素朴な感じですが。そういうことに対して、いや、そうじゃないんだ、内容はかくかくのとおりだから、どうしても理事長一名、常勤する理事一名のほかに、さらにもう一名必要なんだということを国民の納得のいく、ひとつ大臣の御答弁を願いたいのであります。  繰り返しますが、それらを担当する職員が、総数中名増で三十八名。その三十八名のうちに部長が一名、総務以下各課長が四名、そういう管理職がおる。私は、おそらく昨年発足して以来の新しい組織に採用になった職員は、平均年齢三十四才ということでありますから、有能な達人がそろっておると思う。それらの中から、さらにすぐれた管理職に部長以下五名がある。そのほかに、なおかつ、理事長のほかに常勤理事を一名ふやして、常勤理事二名という体制でなければ、この保証事務が円滑にいかないということの内容をひとつ伺いたいのであります。  で、要約して、さらに希望といいますか、あるべき方向として、こういうことはどうだろうかということについての大臣の御回答をいただきたいのは、むしろそうしたような頭でっかちな執行体に多く求めるよりは、出先にもっと職員を配置して、この仕事の機能が、もっと十全に発揮するような体制強化のほうが先行すべきじゃないかという考え方に対しても、あわせて今回の法案の内容に触れる点でありますから、お答え願いたいわけであります。
  45. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 少し長くなるかと思いますが、もう御承知のはずでございますが、昨年信用基金の設立をいたしましたところ、そしてまだ基金が七億くらいを予定しておったんでございますが、民間の出資を勧誘いたしましたところ、非常に大幅に上回ることになりまして、四億五千万円に達すると、こういう状況であったのでございます。でありますので、政府においても債務保証の基金となる出資を増加して、林業経営の改善に必要な資金の融通の一そうの円滑化をはかりたいと、こういうことで、本年度に引き続きまして、さらに三億五千万の追加出資を行なうということに関して御審議を願っておるわけでございます。  そういう関係で、基金の総ワクも七億円から三十九年度に約十六億円になっておる、こういうふうに業務量の増大が予想されて、その結果、最初の定数として常任理事一人でありますが、これをふやしていこうと、こういうことでございます。いまお話のように、管理職も相当おりますので、理事といたしましても、やはりふやしていったほうが業務執行体制を一段と整備する上において必要であるということで、一人を増員して業務を分担、執行させると、こういうことがいまの資金総ワク等の増加等から見て適当でないか、こういうことで法案として提出して御審議を願っておるわけでございます。  第二の、出先——業務関係から見ましても、出先を強化したらいいんじゃないか、これはごもっともでございます。しかし、出先を強化する前に、やはり中央をしっかりしたものにしてありませんというと、これまた業務執行上、万全を期し得ないと、こういうことで、中央をまず強化いたしまして、引き続いて出先のほうは整備していくと、整備はしてあるはずですが、なお一そうよく整備していくということが順序として考えられると思いますので、出先の機関につきましては、第二段階として、さらに検討していきたいと、こういうように考えております。
  46. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ちょっと御答弁がすれ違ったようですから、もう一回だけこの点を伺いますと、まあその順序は、大臣のお考えのとおりなので、原案がそう出ておると思いますが、これを現地の実態に触れた範囲では、まだ十分この機能が一般に理解されていない節があるわけです。だから私は、この機能が発揮されるためには、まあPRもかねて、この出先というものがより必要ではないかという意見を申し上げたわけでありますが、前に戻って、この執行体制の点を申し上げますと、管理職以外の職員は、今度の増員を見越しても、三十三人なわけです。管理職員以外の一般の職員が三十三人、その三十三人に対して、常勤理事長、理事二名、常勤監事及び部長及び課長四名というもので、これらを合計いたしますと、九名という、いろいろな責任者がおるわけです。そういうことで、どうもなかなかこの運営からいっても、理事長の最高責任で、すかっとこの仕事を処理していくためには、とにかく事務が、むしろ渋滞する心配もあるのじゃないかということで、どうしても二名は必要なんだということをお伺いいたしたかったわけですが、その点についても、もう一度ひとつ、どうしても平職員が三十三名だけれども職員の中の管理者が五名ある。そのほかに理事長も常勤、常勤理事が、あと一人ふやして二人いる。こういうことの納得いく、ひとつ御説明を願いたいのであります。それから常勤監事でも、これは日勤をされておるわけでありましょうけれども、ややもすると、この常勤監事というのは、執行者との間で、その執行と監査的職制との混淆が起きやすいのが実態でありますが、その点も現実に常勤しながら、その監事の責務を完遂するという困難な機能は、執行体と混濁するところなくやっていくことは、もとより当然でありますけれども、そのことがまた、常勤監事からのいろいろな命によって職員が動かなければならないということであれば、なかなかこれは、どうも理事長、理事二名、常勤執行者が三名というのは、三十三名の一般職員にとっては、むしろ頭でっかちではなかろうかという一般の素朴な感じに対して、もっとわかりやすいような御回答を願いたいのであります。
  47. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 一般職員の割合に、理事等が比率的に多くて、頭でっかちの感じがしやせんかということでございますが、先ほど申しましたように、基金の総ワクが非常にふえてきております。でありますので、この信用基金の業務も将来ふえていく、でございますから、いまお話のありましたように、出先機関等を持たなければならないという将来性も検討し、あるいは中央のほうでも、人はできるだけふやすというような考えもあるかと思います。そういう意味におきましては、人をふやすというようなことについては、法律事項ではございませんが、こういう理事等につきましては、法律事項として御審議を願っておかなければなりませんので、将来をも考えて、常務理事一名を、この際増加していくことに御同調を願っておきたい、こういう意味でございます。  なお、将来でなくても、現在の担当の割り振りからいいましても、いま考えられることは、常勤理事一名が、人事とか経理担当あるいは基金運営の総括というようなことを担当し、もう一人の常勤理事一名については、補償業務の審査というような担当をしていくことが適当でないか、こういう案もありますが、そういう意味におきまして、将来も考え、現在も考えて、一名の増員というものが、適当ではないか、こういうふうに考えましたので、御審議を願っておるわけでございます。  監事についてでございますが、監事の仕事と理事の仕事を混淆されては、これはまことに困るわけでございます。監事は監事としてやっていただかなければならぬということでございますが、そういう意味におきまして、混淆しないように、監事は監事としての常勤監事としてもやっていくように、これは指導といいますか、話し合いといいますか、そういうことには、御意見のとおりに十分注意してやっていきたいと思います。
  48. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 去年の十月発足して、一年もたたないうちに、そういう措置がとられなければならないということば、資金のボリュームについての民間出資の見通しも辛かった結果でもあろうと思います。できれば、もっと見通しをはっきりしてスタートを切るのが、それが甘かったから、民間が予想以上に出て、政府も出資をする、また執行体制も強化するということになったと思います。これからのことでありますが、これだけのわずかな期間で、こういう執行体制がさらに倍する拡大の体制をとらなければいかぬということであれば、この傾向から察すると、また、そういうことも考えかねないでもないが、そういうことはいまの大臣の御答弁で、将来も見通して、こういう万全の措置を講ずるのだ、というふうに理解して、それで差しつかえないでしょうか。
  49. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私は、そういうつもりでおります。
  50. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、その問題は了解をいたしましたので、次にお伺いをいたします。いまも大臣の御答弁の中にもありましたように、三億五千万の相当の地方の出資によって設立される予定が、予想以上に上回って、新たにそれに対応する政府出資で三億五千万を投下するという原案でございますが、これが一般会計そのものから、何らのバックのひもつきなしに、この三億五千万の政府出資が出されてしかるべきじゃないかと考えるわけです。たとえば農業関係の農林漁業金融公庫に対する出資も、何らそれらの政府出資をする一般予算の支出の財政的な背景なしに、これは一般予算から、あるいは財政投融資から投下をされるという中に、なぜこの林業関係だけは、いわゆる林政協力費と称するものが、これを特別会計から一般会計へ繰り入れて、それをバックにして信用基金に政府が出資をしなければならないか、こういうことについての根本的な考え方を、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  51. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これも渡辺さんも、すでに御承知だと思いますが、三十三年の二十八国会で、衆議院の農林水産委員会の附帯決議があります。そういう意味で一般会計へ繰り入れると、こういうことにいたしまして、三十四年度から国有林の組織と資金を活用して、民有林業の振興に寄与しておるという意味で、一般会計に繰り入れるというような制度が開けたわけであります。その当時は、御承知のように、国有林野の経営等も非常によかったので、また、一般の民間林業等にも寄与する、こういう意味で、そういう決議もあった次第でもございまするし、国有林野の経理上からも非常によかったので、一般会計に繰り入れた制度が、そのときから行なわれておるのでございます。  こういう意味で、まあ森林の、一般国有林ばかりでなく、生産力を増大していこうということ、それに寄与するという意味におきまして繰り入れをしているという状況でございます。まあ公庫資金等に、なるべく関係ない、ひもつきでないものでいくべきじゃないかというような考え方も、現状におきましては、一面考えられる線でもございますけれども、いままでのいきさつと、一般の林政協力という意味におきまして、こういう形を踏襲しているということに御了解を願っておければ幸いだと思います。
  52. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もとより、私は、三十五年の十二月のこの特別会計法改正の経過を踏まえてお尋ねをいたしておるわけでありまして、そのことを根本的に否定する立場で伺っているのではありませんけれども、本来、この国有林事業特別会計の性格というものが、三十五年十二月の法改正によって、かなり性格的に大幅に変わってきておる。非常に収益性を追求されるような性格に、この特別会計が出ておるわけであります。で、優先的に、こういう林政協力費がまず組まれるということの前に、本来特別会計の事業でやるべきものが、そのために圧縮されるという傾向に問題を感じるわけであります。  たとえば、現在、国会に出されております特別会計の政府予算を見ましても、農林当局が原案として見たこの見返り財源であるところの特別積立金引き当て資金よりの受け入れの五十九億が、農林大臣としては、原案であったわけであります。その原案が、政府案として決定して国会に出る経過の中には、当初農林大臣が農林省として決定された内容では、この特別積立金引き当て資金よりの受け入れが五十九億五千九百万円あって、その中に、民有保安林の買い入れが二十億五千九百万受け入れ財源としてあって、そのことが、見返りとして支出で計画をされておったと思うのであります。それが引き当て勘定の繰り込れに、民有保安林の買い入れが全部削除されておるということ、そういう方向の中で、私は、基本的な政府の、こういう民有保安林の買い入れ業務に支障を来たすという実態の中で、一応、こういう林政協力費が、優先的に支出の中に君臨するという、そのことが、順序は多少逆ではなかろうか。  そこでお尋ねいたしますのは、大臣が御確認になって、政府原案として、われわれも期待しておったはずの民有保安林の買い入れ予算の収入の減少が、一体事業の上に、どうさらに組まれて政府案の中に出、それがまた他の支出に、どういう影響を与えて予算の中に考えられておるかということを大臣からお伺いしたい。
  53. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 非常に経理面の専門的な問題でございますので、林野庁長官から簡単に申し上げさせていただきます。
  54. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林事業事業に充てらるべき原資は、その生産されるところの木材の販売収入に主として依存しておりますだけに、その木材の価格推移は、これは事業の支出とは非常に重要な関係に立って、いるわけでございます。そこで近来のきわめて活発な木材価格の値上がりなど、その値上がりのゆえに外材の輸入、あるいは木材代替資材の活発な進出を誘発いたしまして、そうして木材価格あるいはまた、他の物価の程度に騰勢は示しながらも、安定した足どりを示してまいっておったという情勢をここで迎えますと、それなりの国有林事業の将来の投資の規模というものも考えていかなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、そのような外的要因の相当にあります価格推移というものに相応じたその事業の支出との計画考えていくべき場合には、やはり事業の内容といたしまして、でき得る限り生産性向上するような努力を極力払いまして、そうして今後、当然行なわれるであろう給与の改善その他を吸収し得るような形で経営がなされなければならない、こう考えるわけでございます。  そうして、そういうような生産性向上の結果が是正され、処遇の改善の原資にもなり、また、さらに将来に向かっての国有林事業の開発、改善、資産内容の充実、そういう面に積極的に投資されることによって、さらに再生産方向へ進んでまいるというふうに考えなければならないと思いますが、そこでいま御質問の中にございました買い入れ、治山の買い入れ費、あるいはまた買い入れた治山の治山事業質、そういうものが、当初の計画より減っている。そうして当初の計画では、それが持ち越し現金の充当でまかなわれるという案があったのに、どういうわけで、それがそうでなくなったのか、こういう御質問であったと思いますが、この買い入れ治山に対する治山事業費の面につきましては、当初治山、治水十カ年計画の第五年目にあたる三十九年度で新しく計画改訂が行なわれる、そうしてその改訂された計画に基づいた、このような伸びを示すところの資金計画をする、資金の投入を計画するというような調整を建設省と行なってまいっておったのが、その計画の改訂が今後の所得倍増の計画のアフターケヤーの結果を見てからということになりまして、そうしてその資金の投入が、少し当初計画より減ったものでございますから、そこで、当年度収入でまかない得るということになった次第でございます。
  55. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあ計数的に伺うと切りがなくなりますので、私はもう最後に、全体を踏まえて、この基金を出したもとの、特別会計なるがゆえに、多少特別会計について大臣にお尋ねをしたいのでありますが、農林省原案から見ると、この国有林事業の収入が、大臣が御確認になったものよりも二十億収入を増したものが原案に変わって出ている。それから持ち越し現金二十億をここに入れるはずのものが、これが全部削除になっておる。それらの収入の減あるいは収入の増という操作の中で支出が非常に切り詰められておる。昨年四十三億であった予備費も十八億以上もこれが削減を見ておる。こういう一連の三十九年度の農林省原案が、政府原案に変わった経緯を見ますについても、この特別会計の予算編成にあらわれた内容として、どうも利潤を拡大していくという原則というものが、木材産出量を拡大するということにつながる予算方向を読み取らざるを得ないわけであります。また、これらの利益が、特別会計の中に投入されて、地方の営林局署に対しても、その予算のワクの中で、ノルマが強行されていくという利益目標が明らかに出てきておると理解をするわけであります。それから、従来かくあるべしという方向が、実は逆行してきておる。地元の既成地主の依存というものが、請け負いの割合が増大する傾向の中で、非常に逆行をする方向が出てきておるということから見ますと、今度のこの特別会計の予算というものは、われわれが期待した国有林事業がかくあるべしということには、なかなか十分なる財政支出が組み込まれない。たとえば育林事業等のごときは、もっと積極的に特別会計の中で取り組まなきゃならないものが、十分出ていないというようなことでは、私は国有林事業の今後の方向というものが心配されるわけであります。  そこでそういう当初の予算の編成をされた大臣としては、こういう利益拡大の方向、それに従って木材の産出量の極大化の方向なり、あまりに利潤追求というものが、予算のワクの中で締めつけられるために、本来あるべき方向が規制されるという傾向、こういうものを本来の姿に返す。そういう措置が、私は今後農林大臣に特に期待いたしたい点でありますが、そういう点についての大臣のひとつ御所信を承りたいと思います。
  56. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 特別組み立て引き当て資金から二十億円を取りくずすことをやめた点など、その他お話がありました。これはいま林野庁長官から説明したとおりであります。そういう結果、この特別会計におきまして、特別会計の運営、あるいは国有林野として利益を生み出す方法として、正常の方法よりも伐採を多くして、その量でカバーしていくということになりはしないか。そういうことでノルマをふやしたりするというのは正常な形でないのじゃないかと、ごもっともだと思います。  予算面から見て、そういうふうにお取りになられる面は、御批判としてお聞きいたしたいと思いますが、私どもといたしましては、本来の姿において国有林の利益を生み出すということが、やっぱり何としても本来の姿でございますから、そういう御心配やら御懸念があるような予算に見られることは、まことに残念でございますけれども、私は、そういうふうに持っていくつもりじゃございません。やっぱり本来の姿として、造林の点におきましても、国有林の資源をふやしていく、また伐採等におきましても、伐採されたものから利益を持っていくので、量をうんと出せばというような形でやるということは、本来の姿じゃないと思います。でありますので、よく林野当局にも指示いたしまして、本来の姿をやっぱり遂行していくようにいたしたい、こう考えております。
  57. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 林野庁当局に示達をするのじゃなくて、大臣が表に立って、これをひとつ国の政策の中に、大臣の所信をそのまま一〇〇%生かすような——三十九年度はもう過ぎましたけれども、四十年には、そうひとつ御決意のほど願いたいと思います。
  58. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) もちろんそういう沈思で当たっていきたい、こう思います。
  59. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 御異議ないものと認めまして、これより採決に入ります。  林業信用基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  64. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 次に、甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案を一括議題とし、両案の提案理由の説明、補足説明並びに関係資料の説明を順次聴取することにいたします。  なお、甘味資源特別指貫法案の衆議院の修正案については補足説明に引き続き、便宜政府当局に説明を願うことにいたします。松野農林政務次官
  65. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ただいま議題になりました甘味資源特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  甘味資源生産振興につきましては、昭和二十八年以来、てん菜生産振興臨時措置法に基づき、寒地におけるてん菜の生産振興のための措置を講じてきたところであり、また昭和三十四年には、甘味資源自給力強化総合対策として、国内産糖製造事業の自立基盤を確立するため、砂糖の関税及び消費税の振りかえを行なうとともに、日本てん菜振興会を設立して、試験研究の拡充強化をはかる等の諸般の措置を講じてきたところであります。  寒地てん菜については、近年天候その他の理由によって若干停滞の気味にあるものの、今後の伸長を期待し得るものがあり、西南諸島における甘蔗及び甘蔗糖、でん粉を原料とするブドウ糖についても急速な生産の伸長があり、さらに暖地においても、てん菜作の導入の試みがなされてきているところであります。  この間にあって甘味資源作物の導入が、その農業経営の改善農家所得の安定に果たした役割は、寒地てん菜にあっては、その耐寒性作物であることと畜産との有機的結合による輪作体系の合理化によって、また、サトウキビにあっては、他に対比すべきものがない主要な商品作物として、それぞれまことに大なるものがあったと考えられるのであります。  したがって、今後におきましても、農業経営の改善農家所得の安定のために、自然的条件、農家経営条件等から見て適地とされる地域におきまして、これら甘味資源作物の生産振興してまいることが必要であり、また、これとあわせてその甘味資源作物を原料とする砂糖類製造事業につきましても、その健全な発展をはかるべきことは言うをまたないところであります。  以上の諸点を十分配慮し、今後における甘味資源対策の基本として、適地におけるてん菜及びサトウキビの生産振興するとともに、てん菜糖工業、甘蔗糖工業及びブドウ糖工業の健全な発展をはかるため、所要の生産奨励、政府買い入れ等の措置を講ずることにより、農業経営の改善農家所得の安定、砂糖類の自給度の向上及び国内甘味資源の国際競争力の強化に資するとの方針のもとに、この法案を提出することとした次第であります。  かねて政府は、国内甘味資源を保護するという確たる方針を立てている次第でありますが、さきに内外諸情勢の推移を慎重に考慮し、昭和三十八年八月三十一日粗糖輸入の自由化を実施したところでありますので、これに対処する上からも、特に国内甘味資源の保護育成のための措置を早急に実施に移す必要を一そう痛感している次第であります。  なお、この法案は、先般の第四十三回通常国会に提出し、衆議院で一部修正の上町決されました法案並びに第四十四回臨時国会に提出しました法案の内容と同じものでございます。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。まず第一に、この法律は、適地におけるてん菜及びサトウキビの生産振興並びにてん菜糖工業、甘蔗糖工業及びブドウ糖工業の健全な発展をはかるために必要な措置を講ずることにより、農業経営の改善農家所得の安定、砂糖類の自給度の向上及び甘味資源にかかる国際競争力の強化に資することを目的といたしております。  第二に、政府は、砂糖類並びにてん菜及びサトウキビについて、農業基本法第八条の重要な農産物として、同条の規定により、その需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表することといたしております。  第三に、適地においててん菜及びサトウキビの重点的な生産振興をはかることとし、その区域内の農業経営の改善をはかるため、甘味資源作物の生産計画的に振興することが特に必要と認められる一定の区域をてん菜生産振興地域またはサトウキビ生産振興地域として農林大臣が指定し、指定を受けた地域を管轄する都道府県知事は、毎年、生産振興計画を立て、農林大臣の承認を受けなければならないものとし、国は、その計画の実施に要する経費等につき必要な助成を行なうこととしております。なお、農林大臣が生産振興地域の指定を行なうにあたっては、関係都道府県知事の意見を聞き、また、都道府県知事からも、指定の申し出をすることができることといたしております。  第四に、生産振興地域の区域内における甘味資源作物の生産振興とてん菜糖工業及び甘庶糖工業の健全な発展を確保するため、その地域内における製造施設の設置及び変更につき、農林大臣の承認制をとることとしております。  第五に、政府は、砂糖の価格がてん菜糖等の政府買い入れ価格より低落した場合において必要があるときは、てん菜糖製造事業者及び甘庶糖製造事業者から、農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格生産者から買い入れたてん菜またはサトウキビを原料として製造されたてん菜糖または甘蔗糖を買い入れることができる制度を設けております。なお、当分の間は、糖価の低落以外の特別の事由がある場合にあっても、特に必要があると認めるときは、所要の政府買い入れを行なうことができることといたしております。  第六に、カンショ及びバレイショの需要の確保をはかるため、砂糖の価格が著しく低落した場合において必要があるときば、ブドウ糖製造事業者からブドウ糖の政府買い入れを行なう制度を設けております。ブドウ糖の政府買い入れにつきましても、当分の間は、糖価の低落以外の場合においても、ブドウ糖工業の合理化を促進するため特に必要があるときは、所要の政府買い入れを行なうことができることといたします。  第七に、甘味資源に関する重要事項を調査審議するため、農林省に甘味資源審議会を設置することといたしております。  第八に、本法の附則によりまして、食糧管理特別会計法の一部を改正し、同会計に砂糖類勘定を設けて損益の明確化をはかることといたしております。  以上が、この法律案の主要な内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第でございます。     —————————————  次に沖繩産糖政府買い入れに関する特別措置法案につきましてその提案理由を御説明申し上げます。  沖繩は、御承知のとおり、約三百年のサトウキビ栽培の歴史を持つ日本糖業発祥の地であり、戦前の昭和十四年には約十二万トンの砂糖を生産した記録を有しておりますが、戦後は激甚な戦災のためほとんど壊滅に近い状態となっていたのであります。しかし、琉球政府、サトウキビ生産者及び製糖業者の努力によって、焦土の中から徐々に復興が進み、昭和二十七年に関税免除の特恵措置を受け、次いで昭和二十八年、沖繩からの輸入が自動承認制となるに及んで、沖繩糖業は目ざましい復興を遂げ、さらに昭和三十四年、国内産糖保護のための関税・消費税の大幅振りかえによる利益を享受して、その生産量は飛躍的な増大をみせたのであります。その結果、昭和三十八年においては、史上最高の十七万トン余の生産をあげ、そのほとんどが本土に輸出されて、沖繩経済の最大の支柱となるとともに、わが国の砂糖の重要な供給源の一つとなっているのであります。  今日までの経過から申しますと、沖縄の自然条件の優位性等から、沖繩産糖のコストは、現在でも奄美諸島等に比し、かなり低廉であり、コスト引き下げの余地がある実情であると考えられるのでありますが、御承知のとおり国際糖価の動向には予断を許さないものがあり、糖価の著しい低落が生じた場合には、沖繩におけるサトウキビ生産農家の受ける影響には著しいものがあると考えられるのであります。このような事態が生じた場合には、サトウキビ及び砂糖が、沖繩における農業及び経済に占める高い地位とその自然的条件による制約等を考慮しますとき、看過し得ないものがあると考えられるのであります。  そこで、政府といたしましては、沖縄に対する援助措置の一部として、そのような場合に対処して、サトウキビの生産者農業経営の改善農家所得の安定に資するため、沖繩産糖につき、国内産糖に準じ、政府が買い入れる道を開いておくこととした次第であります。なお、この法律案は、先般の第四十三回通常国会に提出し、衆議院で可決されました法案並びに第四十四回臨時国会に提出しました法案の内容と同じものでございます。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。第一に、政府は、当分の間、砂糖の価格が著しく低落した場合において、必要があるときは、沖繩産糖の製造事業者またはその者からの委託を受けて、その者が製造した沖繩産糖を本邦に輸入した者から、その者が製造した沖繩産糖で本邦に輸入されたものの買入れをすることができるものとしております。  第二に、その場合の沖繩産糖政府買い入れの価格は、甘味資源特別措置法本則の規定により定められている国内産甘蔗糖の政府買い入れの価格及び沖繩産のサトウキビの生産事情、沖繩産糖の製造事情その他の経済事情を参酌して農林大臣が定めることとしております。  第三に、沖繩産糖政府買い入れは、食糧管理特別会計において行なうことといたしております。  以上が、この法律案の主要な内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第でございます。
  66. 青田源太郎

  67. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) ただいま提案理由の説明のありました甘味二法案につきまして、補足説明をさせていただきたいと存じます。  第一に、甘味資源特別措置法案につきまして、補足御説明を申し上げたいと存じます。  第一章は、総則に関する規定でありまして、その第一条では、この法律の目的として、適地におけるてん菜及びサトウキビの生産振興するとともに、てん菜糖工業、甘蔗糖工業及びブドウ糖工業の健全な発展をはかるために必要な措置を講ずることにより、農業経営の改善農家所得の安定、砂糖類の自給度の向上及び国内甘味資源の国際競争力の強化に資することを目的とすることを定めております。  第二章は、てん菜及びサトウキビの生産振興に関する規定であります。まず、第三条では、砂糖類及び甘味資源作物の需要及び生産の長期見通しの策定について定めております。農業基本法第八条第一項によりますと、政府は、重要な農産物につき、需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表することとなっておりますが、この甘味資源特別措置法第三条におきましては、政府は、砂糖類並びにてん菜及びサトウキビを農業基本法第八条第一項に言う重要な農産物として、これらにつき、農業基本法の規定により需要及び生産の長期見通しを立て、これを公表すべき旨を定めているのであります。  次に、第四条から第十二条までにおいては、適地において、てん菜及びサトウキビの重点的な生産振興をはかるための生産振興地域の指定並びに生産振興計画の策定及び実施に関する制度を定めております。第四条では、農林大臣は、一定の要件に該当する区域であって農業経営の改善をはかるためてん菜またはサトウキビの生産計画的に振興することが特に必要であると認められるものを、てん菜生産振興地域またはサトウキビ生産振興地域として指定することができることとし、その要件は第四条第一項の各号に列記しております。  第一号は、栽培に適する自然的条件が備わっているかどうかの点であります。第二号は、その地域における農業経営の諸条件からみて、その生産が安定的に増大する見込みが確実であるかどうかの点でありまして、その判定にあたっては、その地域内の農作物の作付の体系、競合農作物の状況農業労働条件その他の諸条件を勘案することとしております。これは、甘味資源作物の生産の着実な伸長のためには、単に自然的条件のみならず農業経営上の諸条件が備わっていることが特に必要と考えられるからであります。  第三号は、その地域におけるてん菜またはサトウキビの生産数量が、てん菜糖または甘庶糖の製造事業が安定的に成立するために必要な数量に達する見込みが確実であるかどうかの点でありまして、てん菜及びサトウキビが砂糖原料作物であることから、これを原料とする製造事業との結びつきを考慮しなければならないこと、また、第一条の目的に規定してあります国内甘味資源の国際競争力の強化という観点等から、その製造事業も合理的な経営が可能となるものでなければならないこと等の理由により必要とされる要件であります。  なお、第四条第二項におきまして、農林大臣は、生産振興地域の指定をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聞くこととしており、さらに、第五条では、都道府県知事は、生産振興地域の指定をすべき旨を農林大臣に申し出ることができることとしまして、生産振興地域の指定につき都道府県知事の意向も反映され得るように配慮しております。  次に、第九条では、生産振興地域の指定を受けた区域を管轄する都道府県知事は、毎年、関係市町村及び農業団体等の意見を聞いて、てん菜またはサトウキビの生産振興計画をたて、農林大臣の承認を受けるとともに、その承認を受けたときは、その概要を公示することといたし、第十一条及び第十二条では、生産振興計画の円滑な実施とその計画の達成をはかるため、政府は、生産振興地域のある都道府県に対し、生産振興計画の実施に要する経費の一部を補助することができることとするとともに、てん菜またはサトウキビの生産者またはその団体に対して、助言、指導、融資のあっせん等の援助を行なうよう努めることとしております。  第三章は、生産振興地域におけるてん菜糖または甘蔗糖の製造事業に関する規定であります。第十三条では、てん菜またはサトウキビを原料として砂糖を製造する施設、すなわちてん菜糖工場または甘蔗糖工場を生産振興地域の区域内において新たに設置するには、農林大臣の承認を要することとしております。この承認を必要とする製造施設の範囲は、政令で定めることとなっています。  この生産振興地域におけるてん菜糖または甘蔗糖の製造施設の設置の承認制を採用いたしましたのは、原料生産の伸びに見合った秩序ある工場設置をはかり、その地域における生産振興農家の利益の保護並びに製造事業の健全な発展を確保する必要があるからであります。  したがって、承認の基準も、この必要性に即して設定しており、その主要点は、第十三条第二項第一号でありまして、その生産振興地域におけるてん菜またはサトウキビの生産の見込みと既設、新設をあわせた製造施設の原料処理能力との全体としてのバランスを見ようとするもので、その原料処理能力が、先ほど御説明しました長期見通し等から推定されますその地域における生産の長期の見通しに照らして著しく過大にならないことを要件としております。  なお、以上御説明しました第十三条第一項の承認は、生産振興地域が定められた後に、新たに設置する製造施設についてのみ必要とされておりまして、既存製造施設については設置の承認を必要としないので、第十四条では、生産振興地域の指定等があった際には、既存製造施設の設置者から必要な事項を届け出させることとしております。  第十五条では、第十三条の指定製造施設の新設についての承認を見合って、指定製造施設の変更についても農林大臣の承認を要することとしています。  次に、第十八条では、製造施設の承認制を採用したこととも関連いたして、生産振興地域内における農業経営の改善農家所得の安定をはかるため、農林大臣は、地域内の製造事業者に対し、てん菜またはサトウキビの買い入れの価格その他生産者との取引の条件及び方法、原料集荷区域等に関し必要な指示をすることができることといたしておりまして、これによる製造事業の適正な運営の確保と、あとで御説明しますてん菜及びサトウキビの価格支持制度の運用と相まって、農家の利益保護に遺憾なきを期することといたしております。なお、この指示をしたときは、これを公表するものといたしております。  また、第十九条では、第一条の目的にも規定してあります国内甘味資源の国際競争力の強化という観点等から、地域内の製造事業合理化を促進するため必要があるときは、農林大臣は、地域内製造事業者に対し、経営の改善事業の休止、経営の共同化等の措置をとるべき旨の勧告をすることができることとし、その勧告に従い所要措置をとる者に対しては、融資のあっせん等、必要な援助を行なうようつとめることといたしております。  次に、第四章は、生産振興地域内におけるてん菜及びサトウキビの生産者価格の支持とてん菜糖及び甘蔗糖の製造事業の健全な発展を確保するためのてん菜糖及び甘蔗糖の政府買い入れの制度を定めております。御承知のとおり、政府は、従来より、てん菜生産振興臨時措置法に基づくてん菜の価格支持及びてん菜糖の政府買い入れの制度を実施してまいりましたが、この法律におきましても、同様の制度を取り入れますとともに、あわせて、サトウキビの価格支持及び甘蔗糖の政府買い入れについても同様の制度を採用することとし、これら甘味資源作物の生産振興国内産糖製造事業の健全な発展に遺憾なきを期することといたしたのであります。  第二十条では、てん菜糖又は甘蔗糖の政府買い入れは、砂糖の価格が第二十三条第一項により定められているてん菜糖または甘蔗糖の政府買い入れ価格より低落した場合において必要があるときに行なう旨を定めております。これが政府買い入れを行なう場合の原則でありますが、当面の諸事情を考慮し、附則第二条第一項において、当分の間、本則第二十条による政府買い入れのほか、地域内製造施設の新設の当初において、その事業者が原料集荷等の面で受ける著しい不利を補正する必要がある場合その他政令で定める特別の事由がある場合において特に必要があるときにも、政府買い入れを行なうことができることといたしております。  次に、第二十一条では、これらの政府買い入れの対象となるてん菜糖又は甘蔗糖の範囲を定めており、政府買い入れの対象は、生産振興地域内において生産されたてん菜またはサトウキビを原料としていること、これらの原料は、最低生産者価格を下らない価格生産者から買い入れられたものであること、これらの原料から地域内製造施設により製造されたてん菜糖又は甘蔗糖であって、一定の種類、規格及び生産年のものであることとされております。なお、先に御説明いたしました附則第二条第一項の政府買い入れを行なう際の買い入れの対象につきましては、同条第四項において、生産振興地域外の農林大臣の指定する区域内において生産された原料から製造されたもの及び地域内製造施設以外の農林大臣の指定する製造施設により製造されたものをも買い入れることができることといたしております。  第二十二条では、てん菜及びサトウキビについての最低生産者価格の制度を定めております。すなわち、農林大臣は、てん菜及びサトウキビごとに、その出産者販売価格の最低基準となるものとして最低生産者価格を定めることとし、この最低生産者価格は、農業パリティ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、てん菜及びサトウキビの再生産を確保することを旨として定めるものといたしております。  第二十三条では、第二十条によるてん菜糖又は甘蔗糖の政府買い入れの価格を定めており、その価格は、最低生産者価格に標準的な製造、販売の費用を加えて得た額を基準とし、第十八条により生産者取引価格につき指示した場合には、その指示事項を参酌して、農林大臣が定めることとしております。なお、附則第二条第一項による政府買い入れの際の価格は、同条第二項により、最低生産者価格に標準的な製造・販売の費用を加えて得た額を基準とし、その原料たるてん菜またはサトウキビの生産事情、集荷事情その他の経済事情を参酌して定めることといたしております。  次に、第五章は、国内産ブドウ糖の政府買い入れの制度及びブドウ糖製造事業者に対する勧告に関する規定であります。  御承知のように、政府は、従来より、農産物価格安定法によるイモでん粉の政府買い入れを通じて、カンショ及びバレイショの生産者所得の安定をはかるとともに、イモでん粉の新規用途としての結晶及び精製ブドウ糖の製造事業育成するための諸施策を講じてまいったところでありますが、今後におきましても、農産物価格安定法の適切な運用をはかることにより、イモ作農家所得の安定に遺憾なきを期してまいることは言うまでもないところでありますが、この際、糖価の変動に対処してブドウ糖の生産を維持することにより、でん粉の原料となる国内産のカンショ及びバレイショの長期的な需要の確保をはかるとともに、あわせてブドウ糖工業の合理化を促進するため、国内産ブドウ糖の政府買い入れの制度を設けることとしたのであります。  第二十四条では、国内産ブドウ糖の政府買い入れは、砂糖の価格が著しく低落した場合において国内産ブドウ糖の生産を維持して、その原料でん粉の原料となる国内産のカンショ及びバレイショの需要の確保をはかるため必要があるときに行なう旨を定めております。これが政府買い入れを行なう場合の原則でありますが、附則第三条第一項において、当分の間、本則第二十四条による政府買い入れのほか、国内産ブドウ糖の製造事業合理化を促進するため特に必要があるときにも、政府買い入れを行なうことができることといたしております。  第二十六条では、第二十四条による国内産ブドウ糖の政府買い入れの価格を定めており、その価格は、農産物価格安正法のカンショでん粉の買い入れ基準価格及び運賃その他の諸掛かりに標準的なブドウ糖製造・販売費用を加えて得た額を基準として、農林大臣が定めることといたしております。ただし、附則第三条第一項による政府買い入れの際の価格は、同条第二項により、カンショでん粉の買い入れ基準価格及び運賃その他の諸掛かりに標準的なブドウ糖製造、販売費用を加えて得た額を基準とし、でん粉の需給事情その他の経済事情を参酌して定めることといたしております。  第二十七条では、政府が買い入れた国内産ブドウ糖は、随意契約により売り渡すことができる旨を定めております。政府が買い入れた物資は競争入札により売り渡すのが会計法の原則でありますが、ブドウ糖はその保管の可能な期間が短い等の事情があり、買い入れ後すみやかに売り渡す必要がありますので、随意契約による売り渡しの規定を設けたわけでございます。  また、第二十八条では、第一条の目的にも規定してあります国内甘味資源の国際競争力の強化という観点等から、国内産ブドウ糖の製造事業合理化を促進するため特に必要があるときは、農林大臣は、ブドウ糖製造事業者に対し、経営の改善、経営の共同化等の措置をとるべき旨の勧告をすることができることといたし、その勧告に従い所要の措置をとる者に対しては、融資のあっせん等必要な援助を行なうようつとめることといたしております。  第六章は、甘味資源審議会に関する規定であります。この法律の制定を機会に、広く学識経験者の御意見、御協力を得て、甘味資源に関する行政の適正を期するため、農林省に、甘味資源審議会を設置することといたしております。  甘味資源審議会は、農林大臣の諮問機関として、てん菜及びサトウキビの生産振興、てん菜糖工業、甘蔗糖工業、ブドウ糖工業及び精糖工業の合理化その他この法律の実施にあたっての重要事項を調査審議するとともに、これらの事項に関して、農林大臣及び関係各大臣に建議することができることとなっております。  第七章及び第八章では、報告徴取等及び罰則に関し所要の規定を設けております。終わりに附則でありますが、重要な規定もございますので、その主要点を御説明いたします。さきに御説明しましたてん菜糖及び甘蔗糖の政府買い入れの特例とブドウ糖の政府買い入れの特例につきましては、それぞれ附則の第二条と第三条で、政府買い入れをすることができる場合と、その際の買い入れ価格を定めております。  次に、この法律によるてん菜糖、甘蔗糖及びブドウ糖の買い入れ及び売り渡しの会計処理につきましては、附則第六条で、食糧管理特別会計法の一部を改正し、同会計に砂糖類勘定を設け、これら砂糖類の買い入れ売り渡しは砂糖類勘定において行なうこととして、砂糖類の買い入れ売り渡しによる損益を明確にすることといたしております。なお、この食糧管理特別会計制度の改正は、予算の編成及び執行との関係もありますので、附則第七条で、砂糖類勘定の設置は、昭和三十九年度分の予算から適用することとし、三十八年度分は、農産物安定勘定で処理することといたしております。  最後に、附則第八条の農林省設置法の一部改正は、甘味資源審議会の設置に関連しての規定であります。  以上をもちまして甘味資源特別措置法案の補足説明といたします。  なお、以上の補足説明に関連いたしまして甘味資源特別措置法案に対します衆議院における通過の際、一部修正が行なわれましたので、便宜私から御説明いたしたいと存じます。  衆議院におかれては、甘味資源作物の生産振興に関する施策の推進に資する趣旨のもとに、法案に都道府県甘味資源作物生産振興審議会に関する規定を追加修正され、生産振興地域のある都道府県は、都道府県知事の諮問に応じ、甘味資源作物の生産振興に関する重要事項を調査審議させるための機関として、条例の定めるところにより、都道府県甘味資源作物生産振興審議会を置くことができることとされたのであります。  以上が、衆議院修正の趣旨内容でございます。  次に、沖繩産糖政府買い入れに関する特別措置法案につきまして若干補足して御説明申し上げます。  現在国会において御審議を願っております甘味資源特別措置法案におきましては、糖価が低落した場合において必要があるときは、国内産糖保護のため所要の政府買い入れを行なうことができることといたしておりますが、御承知のとおり、沖繩については、現在わが国に施政権が存しないため、同法案が成立いたしましても、これを沖繩に適用することはできないわけであります。そこで、今後における著しい糖価低落が沖繩のサトウキビ生産者に及ぼす影響に対処して、その農業経営の改善農家所得の安定に資するため、沖繩産糖につき甘味資源特別措置法案による国内産糖の政府買い入れの措置に準じ、政府が買い入れる道を開くため、特別立法を行なうこととした次第であります。  この法案の第一項におきまして、沖縄産糖が輸入された後において、その製造事業者またはその者からの委託を受けて、その沖繩産糖を本邦に輸入した者から買い入れることといたしておりますのは、右のような施政権の問題を考慮して、このような方式をとったものであります。  現存沖繩におきましては、昭和三十四年に制定されました糖業振興法により、サトウキビの生産振興、製糖業及び製糖施設の規制、サトウキビの最低生産者価格の決定等の措置が講じられておりますので、この法案による政府買い入れ措置と沖繩におけるこれらの制度の適正な運用と相まって、サトウキビ生産者の保護に遺憾なきを期することができると存じます。  また、第三項におきましては、沖繩産糖政府買い入れ価格は、甘味資源特別措置法本則の規定により定められている国内産甘蔗糖の政府買入いれ価格および沖繩におけるサトウキビの生産事情、沖繩産糖の製造事情等を参酌して定めることといたしております。沖繩におきましては、その自然条件が奄美諸島等に比しサトウキビの栽培に有利であるところから、昭和三十七−三十八年におきまして、サトウキビの平均反収は、奄美諸島等が六・一トンであるのに対し、沖繩は七・八トンであり、分蜜糖一工場当たりの原料処理量は、奄美諸島等が約二万六千トンであるのに対し、沖繩は約九万七千トンとなっている等、沖繩産糖のコストは国内産糖に比し著しく低廉であると認められますので、国内産糖に対する保護との均衡の点をも考慮して、これらの諸事情をも参酌して政府買い入れ価格を定めることとしているわけであります。  なお、附則第二項及び第三項におきましては、沖繩産糖政府買い入れは、甘味資源特別措置法案による砂糖類政府買い入れと同様、昭和三十八年度においては食糧管理特別会計農産物安定勘定において、昭和三十九年度以降は、同会計砂糖類勘定において行なうことと規定しております。  以上をもちまして、沖繩産糖政府買い入れに関する特別措置法案の補足説明といたしたいと思います。     —————————————
  68. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 次に、甘味資源生産振興及び砂糖類の管理に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたします。衆議院議員芳賀貢君。
  69. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題となりました芳賀貢外二十五名提出、甘味資源生産振興及び砂糖類の管理に関する法律案につき提出者を代表して、その提案の理由を御説明申し上げます。  わが国における甘味資源としましては、てん菜を原料として製造したてん菜糖、甘蔗を原料として製造した甘蔗糖、及びカンショ、バレイショを原料とするでん粉から製造したブドウ糖等でありますが、その生産量は、昭和三十八年度において、てん菜糖十六万トン、甘蔗糖十八万トン、ブドウ糖九万トンで合計四十三万トンとなっており、国内需要量百七十万トンの四分の一に過ぎず、毎年百三十万トン以上を輸入に依存している状況であります。  これら甘味資源のうち、てん菜については、北海道における寒地農業の重要作物として、昭和初年から奨励せられ、砂糖の自給化政策と相まって昭和二十七年には、てん菜生産振興臨時措置法が制定され今日に至ったのであります。  次に、甘蔗の生産につきましても、奄美及び沖繩における重要な作物であり、その農家所得の中に占める比重は極めて大きいものがあります。さらにブドウ糖の生産につきましては、カンショ、バレイショ生産農家所得の安定のため、でん粉需要の確保の見地からも、大いに振興する必要があることば論をまたないところであります。  政府昭和三十四年、甘味資源自給力綜合対策を決定し、十年後の昭和四十三年度における砂糖類の総需要量を百五十二万トンと推定し、てん菜糖については四十万トン、甘蔗糖二十万トン、ブドウ糖十五万トン、合計七十五万トンの生産目標を立て、自給度五〇%の達成を指向したのであります。  しかるに、その後この長期計画の推捗状況は不振をきわめ、すなわち北海道のてん菜については、三十八年度の計画面積五万八千ヘクタールに対し、作付面積は七五%の四万三千ヘクタールであり、砂糖の生産目標二十三万トンに対し六〇%の十四万トンと大きく下回っている実情であります。また、府県のてん菜については、三十八年度の砂糖の生産目標十万トンに対し一四%の一万四千トンという状況であります。さらにその後の需要の増加は著しく、三十八年度において百七十万トンに達し、長期計画による四十三年度百五十二万トンの需要見込みをはるかに上回っている現状であります。  このような甘味資源生産の不振につきましては、政府施策に積極性を欠き、ことに畑地改良等の生産基盤の整備の立ちおくれ、てん菜生産者価格の低価格、さらには国内糖業対策の不徹底等、政府の無為無策に起因するところが多いのであります。現に北海道においては、原料の生産と確保を度外視して、政治的な工場の過剰誘置が行なわれ、結果的には製造業者は、原料不足による製品のコスト高で経営難におちいり、生産農民は原料の低価格により増産意欲を減殺している実情であります。また府県においても、政府の呼びかけにこたえて、てん菜糖生産に乗り出した民間製糖会社も、原料不足により、一部の工場は操業中止のやむなきに至り、暖地てん菜生産の前途に暗影を投じている状態であります。しかるに、最近における政府甘味資源対策を見ると、輸入砂糖については、従来の外貨割当制を廃して、昨年八月末に無謀にも自由化の実施を行なったのであります。砂糖の輸入自由化についての政府の方針には、明確な根拠がなく、単に自由化率九〇%達成のために、国内甘味資源の保護対策を犠牲にしたものであります。  ひるがえって、欧米諸国における砂糖政策の状況を見ると、砂糖の輸入が完全に自由化されている実例は皆無であり、あるいは政府輸入の方式をとり、あるいは輸入割当制、高率関税の採用、国内甘味資源に対する補助金制度等、いづれも強力な保護政策を講じ、国内自給度の向上につとめている実情であります。  ことに、イタリアにおいては、第二次世界大戦直後の一九四六年に、てん菜糖生産量二十九万トンであったのを、十年後の一九五四年には百四十万トンの生産量に躍進させ、砂糖の自給化を完成した事績に徴しても、その国における政府の政策実行に臨む熱意こそが、生産発展の成否を制することが実証されるのであります。これに反して、池田首相初め政府の態度は、甘味資源生産振興についての具体的対策もなく、国内態勢未整備のままで、いたずらに自由化だけを強行したことは、全く、理解に苦しむところであります。  わが党としては、甘味資源生産振興と糖業の発展を国の施策として積極的に進めるためには、砂糖の自由化は行なうべきでない旨を、ここに明らかにしておくものであります。  以上、申し述べた現状と観点に立ち、今後の甘味資源対策を強力に進めるために、すなわち、てん菜及甘蔗の生産振興するために必要な措置を講ずるとともに、砂糖類需給及び価格を安定させるために、政府砂糖類を管理することとし、もって、農業経営の改善農家所得の安定をはかり、あわせて、砂糖の自給度の向上と糖業経営の健全化及び国民の食生活の安定に資するために、この法案を提出することとした次第であります。  次に、この法案の内容について、概要を御説明申し上げます。第一は、砂糖類需給計画の策定でありますが、農林大臣は、砂糖審議会にはかり、砂糖類需給見通し砂糖類生産目標、てん菜、甘蔗及びブドウ糖原料のでん粉の生産目標、砂糖類の輸入見通し等の重要事項について、毎五カ年を一期とする長期需給計画を定め、これに基づく毎年度の需給計画を具体的に定めて、施策方向を明らかにして、これを公表することといたしております。  第二は、てん菜及び甘蔗の生産振興についてでありますが、生産条件が、てん菜または甘蔗の栽培に適しており、農業経営の改善により生産が増大する見込みが確実であり、さらに製糖企業を成立せしめるだけの生産量を確保し得る見込みのあること等を考慮し、農林大臣は、都道府県の区域につき生産振興地域の指圧を行なうものであります。次に、生産振興地域の指定を受けた邪道府県知事は、甘味資源生産振興審議会にはかり、生産振興計画を定め、農林大臣の承認を求めることとしております。  第三は、砂糖類製造施設の承認制でありますが、現在の製糖工場は、原料不足等の理由から、不安定な経営におちいっている現状であり、これ等製造施設の合理化はもちろんでありますが、設備が過剰とならないよう、原料の生産に即応し、施設の設置または変更につき、農林大臣の承認を要することといたしております。なお、ブドウ糖の製造施設についても同様の承認を要することといたしたのであります。  第四は、生産振興地域内において生産された、てん菜または甘蔗の集荷及び販売については、生産者団体を通じて一元的に行なわれるように、また生産者団体及び製造業者は、これらの事項につき、契約を締結するようにいたしたのであります。  第五は、砂糖類政府買い入れの措置について、国内産てん菜糖及び甘蔗糖にあっては、砂糖製造業者の申し込みに応じて、政府買い入れを行なうことといたしております。またブドウ糖については、市価が低落して、ブドウ糖の生産の確保と価格安定のため必要と認める場合は、政府買い入れを行なうこととしております。  第六は、生産者価格及び買い入れ価格についてでありますが、まづ、てん菜及び甘蔗の生産者価格については、選択的拡大の重要作物とみなして、生産者米価の算定と同様に、生産費、所得補償方式に基づき生産者価格を定めて告示することといたしました。  次に、てん菜糖及び甘蔗糖の政府買い入れ価格については、てん菜または甘蔗の生産者価格に砂糖の製造及び政府への売り渡しに要する経費を加えた額を基準として定めることとしております。なお、ブドウ糖の買い入れ価格については、農産物価格安定法に基づく、カンショ、バレイショでん粉の政府買い入れ基準価格に所要の経費を加えた額を基準として定めることとしております。  第七は、砂糖の政府輸入についてでありますが、政府需給計画に基づき、必要量の砂糖を輸入することとし、政府以外の輸入は認めないことにいたし、また関税については、政府輸入の立場から、これを免除することといたしてあります。  第八は、砂糖類の標準販売価格についてでありますが、砂糖の販売価格が、国民食生活に及ぼす影響等を配慮して、標準販売価格算定については、国産砂糖の生産費、家計費、物価事情等を参酌して価格を定め、告示することといたしました。なお、農林大臣は糖価安定のために必要な勧告を行なうこととしております。  第九は、砂糖類政府売り渡しについてでありますが、政府需給計画に基づき、その所有する砂糖類を売り渡すものとし、売り渡し予定価格については、標準販売価格を基準として、それぞれ定めることといたしております。  第十は、助成措置についてでありますが、国は予算の範囲内で、生産振興地域の都道府県に対し、生産振興計画の実施に要する経費助成を行なうこととし、及び砂糖類の製造施設の設置につき必要な資金の融通のあっせんを行なうものといたしました。  第十一は、砂糖審議会等の組織についてでありますが、甘味資源生産振興及び砂糖類需給計画に関し、てん菜等の生産者価格砂糖類政府買い入れ価格及び砂糖の標準価格の決定に関する重要事項を調査審議するため、農林省に砂糖審議会を設置することといたしております。  また、甘味資源生産振興対策及び原料の集荷、販売等に関する重要事項について調査審議するため、生産振興地域の都道府県に甘味資源生産振興審議会を設置することといたしました。  第十二は、行政機構等についてでありますが、本法案の円滑な運用をはかるため、食糧庁に、砂糖所管部の新設及び、これに伴う定員の確保を行なうための農林省設置法の改正、砂糖類政府管理に伴い「砂糖類管理勘定」を設けるための、食糧管理特別会計法の改正、政府が砂糖の輸入を行なうため、関税免除のための、関税定率法の改正、その他諸規定の整備を行なうことといたしております。  第十三に、この法律は、昭和三十九年四月一日から施行することといたしております。  以上、本法律案の提案理由及びその内容の概略を申し述べました。なお、本法案については、昨年三月、第四十三国会に提出いたし、御審議をいただき審議未了となったものでありますが、今国会に再度提出したわけであります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。     —————————————
  70. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 次に、ここで食糧庁から提出資料の説明を求めます。
  71. 中島清明

    説明員(中島清明君) お手元にお配りしてございます参考資料につきまして、数字にわたりますので、私から御説明をさせていただきます。  「甘味資源特別措置法案参考資料」という印刷物がございますが、これは砂糖類需給価格等のほかに、砂糖類と密接な関係のございますイモ、でん粉関係の生産事情、あるいは需給事情等について収録をしてございます。  まず砂糖類の関係でございますが、二ページから三ページにわたりまして、砂糖の国内需給の動向がしるしてございます。最近の昭和三十七年度におきましては、総需要量は百六十六万六千トンでございまして、国内産の生産量は、てん菜、甘蔗ブドウ糖を合わせますと、四十二万五千トンに達しまして、自給率は二五・五%、要輸入量は百二十四万一千トンということになてっおりまして、自給率は、昭和三十三年から逐年向上いたしております。  次に、四ページに砂糖の輸入実績を、含みつ糖、粗糖、精糖に分けまして、年度別に入れてございますが、これは沖繩の輸入は、この中には含まれておりません。それから、その下のほうに、三十七年度における主要輸入国、輸入量でございまして、わが国の主要輸入国と、その輸入量並びに総輸入量に対する比率をここに掲げてございます。  六ページでございますが、六ページには、北海道並びに府県のてん菜の生産実績を掲げてございます。北海道のてん菜の生産実績は、三十五年が総収量百十五万五千トンの計画に対しまして、実績は百万五千トンでございます。三十六年は百四万一千トン、三十七年は百八万三千トンとなっております。なお、産糖蜜を見ますと、三十五年が十三万六千トン、三十六年が十三万トン、三十七年が十四万六千トンでございまして、計画との対比の数字がそれぞれ掲げられております。府県のてん菜でございますが、これは下のほうの、六ページの下にございますように、三十七年で産糖量が一万一千トン。かように相なっております。  それから八ページから九ページにかけまして、てん菜とてん菜の主要競合農産物との収益の比較をしてございます。反当粗収入で見てまいりますと、三十四年、三十五年、三十七年、いずれもてん菜が一番反当収入では高いというふうに相なっております。ただ三十六年は、アズキが反当一万三千八百五十円で、てん菜はこれに次ぐ、こういう結果が出ております。なお、カッコしてございますのは、これはてん菜頸葉部の飼料価値を評価いたしまして、これを収入として計算をいたしますと、カッコのような数字になりまして、この場合には、てん菜がもちろん一番高いということになっております。  それから十ページ、十一ページに甘蔗及び甘蔗糖の生産実績を掲げております。まず、鹿児島県の西南諸島でございますが、甘蔗の生産量は昭和三十一年では、全体で二十万トンでございますが、三十七年には倍以上の四十五万三千トンに達しております。これは作付面積も伸びておりますが、特に反収が非常に、ごらんいただきますように伸びております。反当収量につきましては、含蜜糖の数量が漸減をいたしまして、分蜜糖が最近急激にふえるという傾向を示しております。  次に、沖繩でございますが、沖繩につきましても、作付面積が三十一年と三十七年を比較しますと、ほぼ倍になります。反当収量も約倍、生産量は三十一年が三十七万二千トン、三十七年の生産量が百四十三万四千トン、こういう工合になっております。なお、反当収量につきましても、西南諸島と同じように含蜜糖が非常な生産減でございまして、分蜜糖が非常に増加をいたしております。  次の十二ページには、日本農林規格の検査に合格したブドウ糖の生産数量をあげてございます。三十四年はわずか九千トンでございますが、その後漸次増加をいたしております。  それから十三ページ以下に国際糖価と国内糖価の一覧表を掲げております。上のほうに年度の平均がございまして、三十一年度から三十五年度までの平均を掲げておりまして、三十六年の四月以降の月別の数字をその下に掲げておりますが、国際糖価につきましては、おおむね二セント、三セント、四セント、こういう数字推移をし、卸売り価格は官二十円というような水準で、ずっと推移をいたしてきておりますが、次のページをおあけいただきますと、三十八年の一月におきまして、国際糖価が五セント二二、需給の逼迫状況等を反映いたしまして上がりまして、それ以後、国際糖価は漸次上がり、三十八年の八月には、やや反落をいたしましたけれども、その後、また上がりまして、この表の最後の月でございますが、十一月には十一セント六一というような水準を示し、国内糖価もそれに応じまして、卸、小売りともに、国際糖価の上昇を反映して、やや上昇をみておるという結果を示しております。  それから次に、折り込みの表がございます。この折り込みの表は、砂糖の小売り価格中に占める税負担の国際比較でございます。それでいろいろ表が書いてございますが、ちょうど折りましたやや下のほうに、小売価格に占める税負担率というのがございまして、わが国の場合は、輸入糖の場合は関税と消費税で四四・六%、国産糖の場合は一四・五%、平均約四一・三%という割合になっております。なおイタリーはややわが国に近くて三八・六という割合でございますは、以下西独、オランダ、米国、フランス、イギリス、デンマーク、いずれもわが国よりも低くなっております。  それから次に、主要国におきます砂糖の需給関係をその次のページに9として掲げております。自給度は米国は五四%、わが国は二五・五でございますが、輸入量を見ますと米国が一番多く、ソ連がそれに次ぎ、わが国はイギリスに次いで非常に大きな輸入量を示しておるということでございます。  それから十七ページから十八ページにかけまして、まず第一に国内の糖価の比較を国別にいたしておりまして、右のほうにございますブラジル、ユーゴ、ハンガリー等を除きましては、わが国の価格は一番高い。イタリーがわが国よりもやや安いというようなことでございます。  それから次は、てん菜の生産者価格、それからその下に甘蔗の生産者価格をそれぞれ外国の資料によりまして国際比較をいたしましたものを(2)と(3)に掲げてございます。  それから十九ページ、二十ページに移らしていただきますと、ここでカンショ、バレイショの生産高を掲げてございます。カンショにつきましてはやや減少ぎみでございますが、バレイショは三十二年百五十万トン程度でございましたけれども、その辺に比べますと、ややふえて、百七十万トン程度生産にいっております。これは北海道でございます。なお全国的に見ましても大体同様の傾向を追っております。  次の二十一ページから二十二ページにかけましては、イモの需給の動向でございますが、これをごらんいただきますと、カンショにつきましては農家自家食糧、これが非常に減りまして、飼料用が相当な勢いでふえております。なお市場販売用は減っております。でん粉用につきましては、やはり増加の傾向を示しております。バレイショにつきましても、やはり自家食糧の減、それから飼料用の増というような傾向が見られるところでございます。  それから二十三ページ、二十四ページにでん粉の需給を掲げておりますが、まず、カンショでん粉につきましては、消費というところに毎年の消費量の計を掲げておりますが、三十四年が四十七万五千トンでございますけれども、三十七年は六十三万トンという工合に、相当消費が伸びております。この消費の伸びましたものの中で、おもなるものは、この消費の上から水あめ、ブドウ糖、粉あめ、結晶ブドウ糖、精製ブドウ糖、いわゆる糖化製品に対する需要が相当伸びておりまして、たとえばいまの五つの品目に対する需要の三十四年は四十三万二千トンでございますが、それが三十七年が五十一万一千トンということで、約八万トン、こういう糖化製品の面で伸びがございます。そのほかには、ビール、あるいはグルタミン酸ソーダが伸びまして、カンショでん粉の消費が相当の伸びを示しているという表を示しております。  なお、バレイショでん粉につきましても、水あめブドウ糖用の消費が三十四年の一万五千トンから三十七年は六万トンというような数字になっておりますほか、化工でん粉の需要におきましても、最近伸びを示しまして、全体としてでん粉の消費が伸長しているということに相なっております。  それから、二十五ページと二十六ページには、農産物価格安定法によるでん粉なり、カンショ、バレイショ、あるいは切干の政府の買い入れ基準価格を掲げております。  それから、二十七ページと二十八ページがでん粉の価格でございまして、カンショでん粉が三七・五キロあたり、去年の十二月で二千八十五円、前年よりも約八十円高というような水準になっておりますし、バレイショでん粉につきましては、前年の暮れに、十二月で二千百六十円、これはやはり前年に比べますと、約四十五円高いという水準を示しております。  以上が甘味資源特別措置法案の参考資料の内容でございます。  次に、もう一つ沖繩産糖政府買い入れに関する特別措置法案の資料がございますので、これにつきまして要点を御説明申し上げます。  まず、第一ページには、沖繩の農業経営の概況をしるしておりますが、全沖繩で耕地面積は約四万九千町歩、一戸当たり平均の耕地面積は約六反、こういう琉球政府の統計がございます。  そこで、二ページにまいりまして、その沖繩の農業経営におきます主要農作物の生産高でございますが、作付面積はサトウキビがトップでございまして、一番多くございます。一万八千三百六十九ヘクタール、それに次ぎまして水稲、それからカンショ、こういう順序になっております。  それから、三ページに農家の品目別の農業収入でございますが、一月平均と年間のものの一農家当たりの数字を掲げておりますが、これもやはりサトウキビが主位でございまして、一月平均では四千四百五十七円、年間では五万三千四百八十四円、こうなっておりまして、これに畜産収入、それから、カンショ、蔬菜、こういうものが続いております。  次に、四ページから五ページにかけまして、沖繩の砂糖の生産実績が掲げてございます。  先ほど申し上げましたところと、一部重複するかとも存じますが、全体でサトウキビの生産量は、最近非常な勢いで、伸びておりまして、特に分みつ糖、含みつ糖の対比をごらんいただきますと、分みつ糖の生産が伸びて、含みつ糖はむしろ漸次減少しており、生産量は、最近では六三−六四、一番最近の予想では、産糖量十三万六百二トン、こういう予想でございます。ただ、この最後の年が減っておりますのは、干ばつと台風の影響があるというように聞いております。  それから、六ページに沖繩のキビ作農家の一戸当たりの収穫面積がございます。沖繩全島では、三反一畝であって、特に宮古、八重山、こういうところにおきましては五反六畝、あるいは五反一畝というように相当に大きくございますが、沖繩全島では平均三反一畝ということになっております。なおキビ作農家の割合は、ここにございますように、いずれも六割以上、六割、七割というような高い割合を示しております。  それから七ページに原料サトウキビ基準生産費というのがございますが、これは琉球政府調査によりますところの六二年−六三年のサトウキビの最低生産者価格算定基礎になった数字でございまして、トン当たり生産費で四千九百九十七円、約五千円という数字が出ております。  なお次の八ページに砂糖の標準製造販売経費、これもやはり琉球政府の六二−六三年期のサトウキビの最低生産者価格算定基礎資料でございますが、これはサトウキビ一トン当たり三千二百九十円という数字に相なっております。  それから十ページと十一ページにかけまして、これは先ほどの表と、どうも重複をいたしまして恐縮でございますが、沖繩産糖を含めましててん菜糖、甘蔗糖の年々の生産量、それからブドウ糖の生産量を掲げ、さらに総需要量に占める沖繩産糖の割合を年別に見ております。三十三年では三・二%、三十八年の見込みでは七・一%に相なるとのことでございます。  十二ページから十三ページにかけまして、これは三十一年から三十七年までの、なお三十八年の一月から十一月までの暦年で見ました沖繩産糖の輸入の実績を掲げてございます。これをごらんいただきますと、粗糖で入ってまいりますもの、あるいは精糖で入ってまいりますもの、両方ございますが、三十八年の一−十一月では、粗糖で入りますものが六万四千、精糖で入りますものが七万七千ということで、精糖で入りますものが、最近わりあいに多くなっておるような状況でございます。含みつ糖は、以前は三万七千トン入った当時もございますが、三十八年の一−十一月では二万二千トンにとどまっております。  それから十四ページから十五ページにかけまして、沖繩の糖業振興法の要点だけを抜粋をしてございます。要点だけを申し上げますと、沖繩の糖業振興法では、十四ページの下に、第八条にございますように、市町村で生産計画をつくる。そして第九条で、沖繩の行政主席は政府生産計画をきめるというように規定がされております。十一条には経費補助の規定がございます。  それから十六ページにまいりまして、第十二条では製糖業あるいは砂糖輸出業を営もうとする者に対する行政主席の許可規定が、許可制度になっておりまして、その許可の規定がございます。  あとは許可の基準等の規定でございます。  十七ページの第五章に、最低価格基準の決定という条文がございまして、原料の生産者価格生産費でございますとか、あるいは販売費用、海外の糖価等を参酌して、原料の最低価格をきめるというものがございます。  それからあとは、第六章は、融資等の助成の規定でございます。  第七章に、製糖場の統合整理助成の規定がございまして、これは製糖業者の自主的な調整、あるいは行政主席はあっせんができる、あるいは二十九条にございますように、統合整理の命令ができるような規定がございまして、それらの場合に、それぞれ補助金を出すとか、あるいは損失を補償しようという趣旨の規定が設けてございます。あとは罰則、その他でございます。  なお、二十一ページに、先ほどの規定にございました原料売買価格の基準といたしまして、非常に複雑な表がございますが、これはいわゆる甘蔗の中のブリックスの固形分の率と、東京の精製上白の相場にスライドいたしまして、現状の取引価格を沖繩ではこういうような方式でもって定めております。この表を御参考までに掲げたものでございます。  以上で御説明を終わります。
  72. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) この際、ほかに資料の御要求がありますれば御要求をお願いいたします。
  73. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 共産圏の主要なる国の糖価についての資料はありませんか。——なければしようがないですが、あればぜひひとつ。
  74. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 共産圏の資料は、必ずしもまとまったものはありませんけれども、提出できるものがありましたら、そろえまして御提出いたしたいと思います。
  75. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十六分散会