○
矢山有作君
漁場荒廃の問題については、私は早急に措置をされぬというと、いまのように非常に急速な速度で工業化が進み
都市化が進んでおる
状態の中では、それからくる圧力のほうが強くて、水質を保全しようというそういう力のほうが弱い。したがって押し切られてしまって、
漁場荒廃の度がますます増大するというおそれがあると思うのです。この問題については、去年の
沿振法の審議のときにも重政
農林大臣に強く要望したんですが、その際重政さんも
大臣がおっしゃると同じように御
答弁なさった。ところが御
答弁なさって、じゃ真剣に取り組んでそれをやろうという姿勢が出ておるのかと具体的にそれを
考えてみると、私は具体的にそれが出ておると思えないのです。たとえば、これは通産省からもらった
資料ですが、工場排水
対策についてというのがあるのですが、水質保全の問題に触れておりますが、その内容を見ますと、
昭和三十六年七月七日付で
調査基本
計画を公表し、
昭和四十五年度末までの
調査水域百二十一を示した、この百二十一水域の中から
昭和三十九年度まで四十二水域が選定され、水質
調査を実施または実施することになっている、こういう
状態なんです。そしていままでやったのは、先ほど言ったように四水域にしかすぎない、こういうテンポでいっておったんでは、とても
漁場荒廃を防止しようということにならない。しかももう
一つ、「三十九年度において
沿岸漁業等について講じようとする
施策」、この中で、「生産
対策」のところで、ちょっと水質保全のことを触れております。それを見ましても、全く軽く触れておるだけなんです。「工業化、
都市化の進展に伴う水質汚濁を防止するため、「公共用水域の水質の保全に関する法律」および「工場排水等の規制に関する法律」により、水質基準設定のための
調査をひきつづき七水域について実施するとともに、水質基準の設定を
調査済水域のうち八水域について行ない、これにもとづいて水質保全の措置を講じ、工場排水等による
沿岸および内水面における魚類の繁殖環境の悪化の防止に資する。」と、たったこれだけなんですね。そういうテンポののろいことでは、今日のような工業化の進展の速度の早い
状態の中で、とても対処していくことはできない。したがって、昨年重政さんもそのことは十分認識されて、各機関と連携をとって、その点については万全を期する
努力をすると、こうおっしゃった。その結果が「講じようとする
施策」になって、たったこれだけで出てきた。これじゃ
大臣がここで御
答弁になったことが、一々
施策の面に出てきておらぬということになるわけです。その点では赤城
農林大臣は非常に力もおありになるし、また農林水産関係の人々からも非常な嘱望を受けておるのですから、やはりいまおっしゃったことが前の重政
大臣のように言いっぱなしにならぬように、今年度から真剣にこの問題に取り組んでいただきたいと思う。そうしなきゃ、とても水質汚濁の防止なんといってもできるものじゃないと思います。そこで、私
どものほうで
考えております問題があるので、それをやっていただける気持があるかどうかということを、具体的にひとつ申し上げてみたいと思います。
その第一は、水質汚濁の防止をやるために、当面水質二法を強化してもらって、
一つは水質
調査着手前でも、
漁場にとって重要な水域は指定水域にして、水質基準設定までの間
漁場の水質を悪化させぬようにしてはどうか、こういう措置をとっていかれるおつもりがあるかどうか。
それから二番目は、そのために関係工場に排水処理施設を完備させる。特に新設工場については排水施設を完備してないものは許可しないという
方針をとる。
それから三番目は、紛争のあっせん、調停、仲裁に関する規定を加えていって、弱い漁民が泣き寝入りにならぬようにひとつしてもらわなければいかぬと思う。そのことについてはこの問の衆議院の
質問で見ますと、四千二百三件も被害件数があるのに、そのうちで仲介に付されたものは、わずかに十八件だということを赤路議員が
指摘しております。したがって私
どもはそういうようなことではこれは困るわけなんです。だから三番目としてそういう
施策を
考えられるかどうか。
それからもう
一つ大切なことは、被害漁民というのは非常に零細なんですからね、したがっていわゆる無過失賠償の規定というものを加えてほしいと思うのです。現実に水質をよごして損害を漁民に与えたときには、その賠償をたとえ無過失であってもやらせる。そこまでいけば、私は水質保全というものはかなりの
効果をあげられると思う。
まず、水質関係の問題について、その四点をどういうふうにお
考えになるかひとつお伺いしたいと思うのです。