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森部隆輔君 時間の制約がありますので、当面の重要問題の二、三の問題についてお伺いいたしたいと思います。
大臣が非常に農村事情に明るいので答弁が非常に御丁寧であることはけっこうですが、私は簡明に要旨だけ、要点だけを、お
考えの
中心だけをお答え願えればけっこうでございます。御
所信を伺いたいと思います。
例の野菜が全国的に非常にことしは気象
関係で、暖冬の
関係で反収が多くて暴落しておる。いま一番騒いでおるのは福岡県ですが、福岡県では非常にいろいろな
意味で騒いでおります。わかりやすい例で申しますと、白菜は去年のまきつけはほとんど反別は変わりません。大根は四割ぐらい反別はふえております。しかしながら、値段は一月の上旬の
価格は、白菜の場合においては、前五カ年間の平均は一キロ十一円三十三銭が、ことしは二円六十一銭で七割七分ぐらいの下落ということになっております。つまり二割何分しか
農家は従来よりとれない。これは極端な……日によって多少違うのですけれども、こういう数字があらわれております。大根は大体半分です。前年の
価格の。そこで農協なり、あるいは他の
農業団体としましては、
消費者に非常な御迷惑をかけてはいけないというので、自主規制ということで、いま福岡市内の野菜は隔日に出荷する。一日一荷。その他の一日は市外から持ってくる。もっとも福岡市内に広範囲な野菜灯があるのでそういう
関係をやっておる。北九州市は先般、農休日と称して一日出荷を停止したことがある。しかし全体の量が非常にふえたので、結局白菜、
蔬菜あるいは大根等においては、少なくとも千トン以上ずつおのおの全然廃棄処分にしなければならぬ。廃棄処分というのは、大根とか白菜というものは焼かれるものでもないし……また消費
拡大をするために加工するとか、あるいは農協の婦人部が白菜をつくっていない方に直接売るとか、あるいは市の婦人会に働らきかけるとか、そういうようないろいろな消費
拡大はやっておるのですが、もうしかし、こういうような機運でありますと、だんだん大根あるいは白菜、春菊だとか、あるいはホウレンソウ、チシャというような非常な鮮度をとうとぶ
蔬菜類のごときは、商品価値がほとんどなくなってしまう。ことしの間には私はなかなか合いかねると思います。しかし全国を見てみると、全国のうちで、県で
生産団体あるいは
農家、あるいは場合によっては市場が多少の金を出しておるところもありますが、白菜については
価格維持、つまり前年何カ年間の三分の二以下に下がった場合にはどれだけの補償をするというようなことをやっておるのは御
承知だと思いますが、白菜では七県あります。キャベツは十三県あるようであります。国としてもやはり重要なおもなる
蔬菜については、やはりそういうような
価格補償制度というようなものを、これはお
考えになることが当然だと私は
考えております。時間がありませんから要点だけ申し上げますので、この点をひとつなるべく早い機会にそういうようなおもなる
蔬菜について、しかも主要な都市に対して、集まってくる集散地に対しては、
共同出荷した分は明確でありますから、そういう措置をとられることが適当じゃないか。それが第一点。時間をなるべく短縮していろいろなことをお伺いする
関係上、続けてなおお尋ねいたしたいと思いますが、いまの市場制度というと、御存じのとおり、全国の市制施行地がいま五百七十幾つか、五百七十七ですか、市制施行地がありますが、そのうち
人口十五万以上の都会が六十八ですか、現在あるようですね。中央市場法によっていわゆる
政府の補助を受けて、中央市場を現にやっているのが二十二あると私は思っている。中央市場は補助金の
関係上、日々の出荷量、種目、種類、品目、時期等あらゆる出荷、取引された条件を一々報告することになっております。ところが、それは全国二十二の中央市場、県によっては条例でそういうような報告の義務を持たしているところもないではない。しかし全国的に見ると五百七十七の市制施行地のうち、少なくとも
人口十五万以上ぐらいの、一応中央市場の設置基準である都市の大
部分というものは野放しなんです。これは市場の設置は、御存じのとおり、認可も許可も要るわけじゃない。そこで何月にどういう
蔬菜が何県から入ってきて、どこから入ってきたんだ、数量は
幾ら、
価格は
幾らということを何も握ったものがない。で、私はかねていろんな機会に進言をいたしておったんですが、今回多少そういうような方面に対して調査されるような予算があるように私は
考えております。それは非常にけっこうなことでありますが、その金額といい……主要都市というものも至って数が少ないようですから、もう少し手を広げなきゃいけない。それからもう
一つは、少なくとも全国の二十かあるいは三十ぐらいの大都市には、農林省から直接専門の駐在官を年間常置させておいて、
生産団体というか、荷受け機関である市場あるいは
消費者というようなものと常に話い合いをいたして、そして前年のまきつけ、収穫高というようなものの実績をちゃんと握って、いまの本年に備えるということをやれば、これがいわゆる需給のもとになる、いわゆる
生産と消費との計画性を持つゆえんです。今回の場合でも、福岡が一日出荷を停止をしても、あるいは福岡が出荷を自主的に規制をいたしましても、隣県からどんどん入ってくれば何にもならない。昨年でしたか、福岡の園芸連がキュウリやナスの計画出荷をやって、きょうは北九州に
幾ら、あすは飯塚に
幾ら、こういうふうに計画出荷を定めたのですが、私は園芸連の当局にそう言ったのですが、他県が無計画に持ってくりゃ何にもならない。そこでそういうような数県にまたがることは、一県の知事とか、あるいは全販連の支所というだけでは、管轄の区域も違うし、これはできない。そこでいまの少なくとも全国の二十ないし三十ぐらいの——
戦争中は八大府県に統制会社ができたんですが、少なくとも二、三十の都市には、いまの職員を常置せしめて、常にそういう数字を把握し、過去の数字も把握し、今年の作柄等も見て、また日々のそういう腐れやすいもの、あるいは鮮度を非常にたっとぶような
蔬菜に対しては、
関係の
生産地と常に出荷を調整していくことが非常に望ましいことなんですね。そういうことに対して当然お
考えになっておると思いますが、そのことも第二の質問としてひとつお尋ねをいたしたい。
それから第三は、中央市場は大体
人口十五万以上の都市に、中央市場のいまの基準にいたされておるようでありますが、その他のいわゆる都市というものが、御存じのとおり五百何十とある。そこで中央市場法というようなものを制定して、いまの市場において取引する
蔬菜、くだものの種類、品目、時期、
価格というようなもの、あるいは出荷地というようなものを常に
政府が把握して、少なくとも昨年から冬ブロックに農政局もできたんですから、そういうものから資金を出せばわけはないことなんです。それから、のみならずそういうような中央市場以外の都市にはただ報告の義務だけならば、必ずしも豊富な金を補助せぬでも、わずかの人件費か事務費を補助すれば報告はじきできる。そのくらいのことは農林省、やろうと思えばわけがない。金額でもごくわずかの金でできる。そこで必ずしも建設費の補助をやらぬでも、そういうような中央市場設置法により補助金を出してやる。主要市場はわずかに全国で二十二くらい、九洲では五つしかない。で、その他の都市に対しては、少なくともいま申したような事務費の補助でもやって、そういう市場における取引の種類、すべての問題を通じて常に数字を握っておく。そして
生産者と荷受け機関、
消費者、その動向を常に握って、
関係者府県との間の調整をされる。そういうことが非常に必要なことなので、そういうことに対して格段の御配慮をお願いしたい。これに対する
大臣の所見。
それともう
一つ、青果物の問題に
関係がありますのは、北九州市が
人口百万以上になったのでありますが、これはまあ、聞くところによると、三十九年度は京阪あるいは名古屋両地区のようでありますが、北九州はただいま申しましたような福岡県の特異な現象、福岡県が特に今度騒いでおるのは、福岡県内における
蔬菜の消費量の約七、八割というものは県内
生産なんです。でありますから、しかもその園芸農協というのは非常に強力で、それで今度非常な盛り上がりがあって、ああいうような大騒ぎをして自主規制をやっている。そういう特殊性をよくお
考えになって、北九州都市等も
人口百万をこえておりますから、これに対してもやはり京阪神あるいは名古屋等のようにお
考えくださることが、僕は適切だと
考えるのであります。これに対する
大臣の御所見も拝聴いたしたい。
以上が青果物の問題、まだこまかいことはたくさんありますが、さらに他日を期して御見解をお尋ねいたしたいと思います。
それから次に、これも時期が迫っておるのでお尋ねいたしたいのですが、これまたわれわれがかねて御進言申し上げ、また
政府も今度は思い切って
農業金融に対しては、ことに制度金融に対しては、公庫を経由していくところの金に対しては、金利の段階もいま
大臣お話になりましたように階段をずっと減らし、事務の簡素化がされておることは非常に私は喜ぶべきけっこうなことだとわれわれは非常に感謝いたしております。しかしながら、私もこの間から間接に体験したり、また過去においてもそういう経験を持っておりますが、いろいろ
政府関係の公庫がいま御存じのとおり六つか七つかありますが、他の公庫はほとんど金融機関の責任において貸し付けを決定する。行政庁の意見を参考に聞くことはもちろんであります。それからまた、国民金融公庫の貸し付け対象が九つかあるようですが、その中の幾つかは行政庁の承認と申しますか、認定が必要のようですが、
農業金融に対しては公庫を経由していくいわゆる制度金融全体、それから
近代化資金というものも、これは制度金融じゃありませんが、国が利子の補給をし、県が利子を補給するために、やはり事前に一件々々ごとに県の承認を経なければ、信連も単連も金を出さない。これはこっちで聞いてみると出すと言っておりますが、現地ではわれわれは実際に出していない。これが
現状なんです。こういうために非常に日数がかかり、三カ月も四カ月も、半年もかかるというような実情なんです。で、私がこまかいことを数字は申し上げないでも、当局であられる
政府のほうで十分御存じであると思いますが、おそらく三十八年度の公庫の資金ワクというものも、あとわずか一カ月か一カ月半ぐらいの間に少なくとも三割か四割は、いま貸し付けの決定しておる金額は、おそらくワクの五割か六割じゃないかと私は想像しているのですが、おそらくあと一カ月半ぐらいでは全部残りの四割というものは消化し切れないのじゃないか。われわれは昨年来いわゆる
近代化資金といい、あるいは
農業の
経営構造改善の資金といい、そのワクの増大を強く迫った。迫ってもいままでのようなやり方では、いまの実際において、
農家が借りるのをめんどうくさがり、こんなめんどうくさいわずかな金であればもう借りない、こういうのが
現状です。金を貸すほうの役人の方は、多くの場合において、金融の実際の責任者になられたことはない。また金をかつて借りられたこともないでしょう。だから、ほんとうに借りる人の身になってお
考えになってやらなければいかぬと思う。ことに、先ほど申し上げましたように、
農業金融に限っていろいろな制約をしている。ただいまも申しますように、一件ごとにこれは承認をとる。
農業というものがその
土地によって、また地方によって非常に違うから、あるいはまた果実にしましても、いろいろな種類があって、技術者の意見も軒重しなければならない点があることは、私は十分わかる。そのことに対しては私は決して異議を申し上げません。これは必要だと思います。しかしながら、決定権はあくまでも債権者にある。制度金融の場合は公庫が債権者である。ひっかかったときには、公庫がひっかかる。それから
近代化資金の場合においては、債権者は農協なんです。何も県が回収不能の場合に金を払うわけではない。したがって、回収そのものの責任を負う債権者にいわゆる貸し付けの決定権を与えることは、当然のことなんです。こういうことで、
農業金融の問題については、私はなお多くの改善をしなければならぬ点があると思う。
なお、まだもう少し時間がありますから、もう
一つ金融の問題について触れますが、
農業金融は、戦後においては戦前と変わって、公的な性格を持っている金は、いわゆる公庫を通じて全部
農業者に出しておる。それから民間金融は農協の系統を通じて金を出す。この二本立てなんです。ところが、農協は臨時金利調整法によって、御存じのとうり、普通の金融機関よりは高く預かって、よろしいということなんです。単協の場合においては日歩一厘、年一分は高く預かってもよろしい。しかし、単協の余った金を信連に持っていって、信連の余った金を農林中金に持っていく。この三段制がいいか悪いかについてはきょう申し上げませんが、まず三段制があるものとして、その場合に、おいて、積み上げた金というものは、一番貯金の少ないのは米の代金のまだ入る前ですから、そのころの去年の九月三十日現在を見ると、その数字をあなた方はお調べになったろうと思いますが、去年の九月三十日現在を見ると、農林中金が預かっておる貯金の八割六分というものは、系統農協の貯金です。系統農協から持ってきた貯金なんです。しかも、農林中金が農協に貸し付けている金というものは、そのうちの一〇・七%なんです。一割しかない。そうして七割以上というものは関連
産業と称して大企業に金を貸している。私は、肥料会社であるとか、乳業会社であるとか、あるいはその他
農業に
関係ある会社に金を貸すことを、必ずしも悪いとは申し上げません。しかし本来普通銀行、地方銀行、相互銀行というものは、国民から金を預かって必要なものに金を貸す。その場合に何ら
法律上の制限がない。銀行の頭取が炭鉱に金を貸そうと、株式を取得しようと、いまの現行法では何も制限はありません。ただ行政
指導としてはいろいろ大蔵省やってますが、これ以上の制限はありません。ただ農協の場合におきましては、いわゆる財務基準令というものを設けて、信連の場合においては、その貯金に対して貸し付けた残りのいわゆる余裕金というものの運用は、証券を買う場合には、一割以上の配当を持つところの会社の社債ということに限定して、株式の取得は一切認めぬということになっている。あるいはまたその保有高も定期貯金の十五分の一でありましたか、そういうような、こまかい制限等がある。いわゆる国民の大事な金を預かっておる金融機関というものは、たとえそれが銀行であろうと、あるいは農協であろうと、信用金庫、信用組合であろうと、非常に違った制約をするということに対しては、私は多少何と申しますか、理解に苦しむ。もっとも、単協は総合農協でありますから、雑貨屋と銀行をデパート的にやっているものですから、やむを得ない。しかし信連以上になると、県の信連は金融のみを扱う独立法人なんです。ただ問題は、全国の各府県の信連を見ますと、非常に余裕金を持っておるところと、そうでないところとあって、一本の線で切ることはむずかしいでしょう。一本の命令とか、あるいは行政筋でやることはむずかしいのですが、これらに対しても、あるいは非常に多くの余裕金をかかえておるというようなところには、特に
農林大臣が認めた場合にはその制限を、財務基準令による制限を多少緩和して、その信連の財政力というものをうんと強める、豊かにする。そうすると、もう安い金利で、あるいは国から利子補給せんでも低利で還元できる。いま利子補給をやられておりますが、利子補給というものは、なるべくできれば単協で利子補給したほうが、農村に還元したほうが一番利子が少なくていい。上に行けば行くほど金利が高くなる。そこで利子補給をうんとしなければ、実際の下部
農民は、非常に低い金利では借り得ないという実情なんです。こういう点で、きょう時間がありませんから多くを申し上げませんが、少なくとも
農業金融制度というものに対しては、いろいろな点から改善と申しますか、大いに
考えなければならぬ点が、検討しなければならぬ点があるものと信じておりますが、
政府において、ことに
農林大臣においては、
農業金融に対して何らかいわゆる前向きの姿勢をもって検討される御意思があるかどうか。あるいは、民間のそういうことに経験を持つ人あるいは学者をも加え、そうして適切なる調査検討をして、最も
わが国のいわゆる実情に沿うような、しかも
農業者から預った金をなるべく低利に農村に還元する、この原則をあくまでもいま貫くというような方針のもとに御検討なさる御意思があるかどうか、その点もあわせてお尋ねを申し上げたいと思います。いろいろまた足らざる点は、これは他日の機会にさらにお尋ねをいたしたいと思いますが、以上の点についてまずひとつお答えを願いたいと思います。