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1964-07-31 第46回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月三十一日(金曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     温水 三郎君    理事            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            北口 龍徳君            櫻井 志郎君            田中 啓一君            仲原 善一君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            森部 隆輔君            八木 一郎君            山崎  斉君            大河原一次君            北村  暢君            小宮市太郎君            高山 恒雄君   事務局側    常任委員会専門    員       宮出 秀雄君   説明員    農林政務次官  舘林三喜男君    農林政務次官  谷口 慶吉君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君     —————————————   本日の会議に付した案件農林水産政策に関する調査  (山口湾淡水化に関する件)  (園芸農産物流通に関する件)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  この際、農林政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。館林農林政務次官
  3. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 一言ごあいさつ申し上げます。  先般の異動におきまして、私、農林政務次官を拝命いたしました舘林三喜男でございます。  今日、日本農政が文字どおり重大な転換期に面しておりますおりから、農政を担当いたします者といたしまして、責任の重大なるを身にしみて痛感している次第であります。ただ、何ぶん、農政につきましては未熟の者でございますので、同僚谷口次官同様、御懇切なる御指導を心からお願い申し上げる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  4. 温水三郎

  5. 谷口慶吉

    説明員谷口慶吉君) ただいま舘林政務次官からお話ございましたとおり、このたびの内閣改造に伴います政務次官異動に、不肖な者でございますが、この二十四日拝命いたしました。当委員会には私の存じあげておるたくさんの農政の先輩の方々ばかりでございます。もちろん私が未熟なことは十分御承知皆さま方でございますので、与野党問わずよろしく御指導、御援助のほどを心からお願い申し上げます。  簡単でございますが、お礼とごあいさつにいたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  6. 温水三郎

    委員長温水三郎君) これより山口湾淡水湖に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は、御発言願います。  なお、山中水産庁次長丹羽農地局長出席しております。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になった山口湾総合開発の問題でありますが、本件につきましては、先刻地元の代表でありまする益富君から陳情のあったことでありまして、この際二、三お伺いいたしておきたいと思います。  おそらく水産庁におきましては、国費でこの案件に関する調査費も計上され、具体的にその進行がなされておることでありまするので、すでに御承知と思いますが、私ども沿洋漁業振興法を制定いたしまして、非常にその経営が困難に逢着をしておる零細漁民を立ち上がらせるために、各般の施策を進めつつあるのでありますが、そのやさきに、もちろん国全体の経済の発展を考えなきゃならぬことは申すまでもございませんけれども、直接にこの種事業振興によりまして、漁民諸君がその生計の基盤である漁場を失うというような問題が随所に起きつつあることでありまして、特にいまここに取り上げられます山口湾の問題につきましては、この地域漁場が非常に優秀な地点であるということで、陳情の要旨によりましても明らかでありまするように、県営の種苗センターまでも設置されまして、県としても非常に努力を払っておる地域であり、おそらくこれに関連して、政府といたしましても援助を与えられておることであろうと想像いたします。そういうような地点総合開発関係からして、漁場が壊滅するということになりましては非常に大きな問題になると思うのでありまするが、この計画がどういう状態進行しておるのか、またその進行によってどういうような影響が零細漁民諸君に与えられるのか、その辺の見通しについて、最初にまずお伺いをいたしたいと思います。
  8. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 初めに、農地局長から御説明いたします。  この計画は、山口湾を締めまして、干拓地としては四百八十ヘクタール、それから五百四十ヘクタールの淡水湖をつくりまして、その背後にございます既農地が水が不足でございまするので、二千七百五十ヘクタールほどに淡水湖から水を引こうという構想計画でございます。  そこで、まず申し上げたい点は、こういう事業発想地元等から出てまいります場合に、私どものほうの仕事のやりくりを申し上げますと、現実に工事に入ります前に、いわゆる着工でございます、事業所をつくりまして着工いたします前に、二年ないし三年実施設計、実際の工事設計段階がございます。それからその前に、さらに二年ないし三年地区計画を立てる意味地区計段階という段階がございます。で、問題のないところは、地区計からスタートいたすわけでございますが、いろいろ問題のあるところは、その地区計に入ります前に予備調査という時期をさらに二年三年を置き、そしてこの予備調査を通じましていろいろ問題点を浮かび上がらせまして、地区計に入るべきかどうか、さらに全計に入るべきかどうか、着工に踏み切るべきかどうか、こういうステップを踏んでおる次第であります。そこで、椹野川に関しましてはそういう意味で非常に問題もございますので、予備調査段階という段階を経てこの問題を考えたいという立場基本的にとっておる次第でございます。三十八年に予備調査地区として採択いたし、大体四十年まで予備調査をいたしまして、いまお話の出ておりますいろいろの問題点につきまして解明をいたしたい、こういう段階でございます。三十八年の調査の実態は、水面に関しましては、いま申しましたような非常にいろいろの問題もございまして、大事をとりまして、もともと背後地が水が足らぬということからも発生いたしております問題で、三十八年の二百万円の調査費は、もっぱら背後地の水が足りない、排水をどうするかという問題として調査費を使用いたし、三十九年は五百万円の調査費でございますが、これはまだ水面段階のほうには入っておりません。いずれにいたしましても、四十年までそういう意味予備調査、土質あるいはこの土地利用問題等を含めまして調査をいたしまして、しかる後に、ここを地区計地区としてさらに精度の高い調査に入るか入らないかということをきめる段階でございます。
  9. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、そういう調査が現に行なわれておるということは、この総合開発計画実施の日を迎えるという前提が私はあると思うのです。その結果として、いま陳情をお聞きになっておりますとおり、また私ども文書をもらっておりまするところに徴しましても、非常に零細な漁民諸君が長年の間開拓をしてきた優秀な漁場を失うという結果になるわけですね。そのことを一体農林省全体を通じてどういうように見ていらっしゃるのか、ただ、総合開発ということで、工場地帯の水の問題が解決すれば、零細漁民諸君の行くえというものはどうなってもいいというのじゃ、これは政治にならぬ。そういう関係調整はどうお考えになっておるのか、漁場は失なわれぬというのか、その辺はどうなんですか。
  10. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 一定地区開発いたします場合に、利害がいろいろ対立錯綜いたします。いま申しましたとおり、背後地二千七百の農民が水がほしいという問題、あるいはさらに農地がほしいという問題、そういう立場の問題、それからこの事業をやります場合に、干拓をいたしますればノリ場なり何なりが要するに干上がり、陸地になって漁業が営めない、こういう利害関係があるわけであります。そこで、私ども予備調査を通じまして、そのやろうとする事業の価値、発生いたしますマイナス面との彼此勘案の上に、先ほど申しました着工すべきかどうかという判断を立てることになるわけでございます。この判断を立てますにあたっては、農林省自身判断をいたし考えなければならぬと同時に、県知事、関係市町村、あるいは関係農民、そういう方々がどういうふうに全体を判断するかというところが、この事業のするしないをきめる決定的な問題に相なります。そして、やはりこの事業を行なうべきであるということが大方の御意見でございまして、技術的にも可能であるということに相なりますれば、その事業を行ないまして、その結果発生いたします問題は補償問題として解決してまいる、これが在来におきます干拓地の行政の基本的な処理ぶりであります。全体の利害の上から総合的に判断をいたし、発生いたします損害に対しては補償をいたしていく、これが公共事業の全体的な処理基本原則でございます。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 筋道としてはお話のようになると思いますが、基本的な予備調査をやって、その上で総合的な経済関係判断をして、大方の御意見開発に踏み切るべきであるということに決した場合には、そういう方向をたどろうというお話でありますが、そういうような調査が行なわれるということは、もうすでに大方意見はやるべきであるということに方向づけられると思うのですね。これからやってみてどうなるかわからぬというような、全然海のものとも山のものともわからぬところに、貴重な国費を使ってやるというわけには、これはならぬと思うのです。大方意見というものはもうすでにその方向を示しておると思うのです。そういうときに、非常に不安におののいておる漁民諸君に、やってみた上でどうだかわからぬというごまかし的なことで進めるというのは、私はよくないと思うのです。そういう点どうお考えになりますか。これは必ずしもこの種の事件ばかりではありませんよ。やってみた上でなければわからぬということでどんどん進めていく。そのときにはすでにやるのだという決心がついておる。そして最後の段階へいって、ただ補償の問題で、と申しましても、その補償ということが、これは非常にむずかしい問題なんです。ごく少数の漁民諸君利益が永久に葬り去られるのと、多数の人々の利益が将来に守られるのと、数の関係でどうしても沿岸における小数漁民諸君は泣き寝入りしなきゃならぬところに追い込まれるのが、これは通例なんですね。そういう点をあたたかい目で見ていかなきゃならぬと思うのです。だから農地局長お話しのように、調査をした上で、やるかやらぬかわからぬというようなことでなしに、もうすでに総合調査を始めておるとすれば、それはある方向を示しておるというように理解すべきではないか。だとすれば、そういう漁民諸君の反対に対しても、どこまでも納得のできる順序を尽くしての話し合いをするということが、この段階でもうすでに必要ではないかと思うのですが、それはどうなんですか。
  12. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 先ほど申し上げましたとおり、するときまっております問題は、実はもう地区計画段階から入ってしまっても一向差しつかえないわけでございます。しかし、どうも地元からは非常にこの地区総合開発したいという御陳情があり、御意思の表明があって、それは強い御表明があるので、検討してみよう、それはそこでお断わりするというには、地元のやるべしという立場の御要請も非常に強い、しかし、問題がある、他産業との関係あるいは工事面でどうも問題が非常にありそうだと考えられますものを予備調査として、大事をとりまして二年ないし三年をやっておるわけであります。問題を浮かび上がらせまして、そこに発生いたします問題いかんによりましては、同じやるにいたしましても、やり方をどうするかという問題も出てまいるわけであります。この広さをどうするか、どの部分をどういうふうにやってやればこういう考えも出るという余地が十分あり得ると考えますので、その一応の着想としての、この四百八十の干拓とか、五百四十の淡水というのは構想でございます。その構想のままに進んだならば、どういう問題が出るということを調べるのが予備調査でございまして、私どももこれを着工にきめて、予備調査をやっているというふうほど割り切ってはもちろん考えておらない。そういう地区でございますので、予備調査地区として扱いを別にいたしておるのでございまして、その点は、何かやることをきめて、既成事実を積み上げておるというふうに、毛頭私どもはそういうつもりでやっているわけではございません。あくまで予備調査を四十年まで続けて、問題点を浮かび上がらせたい、かような段階でございます。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 陳情書にもありますが、この目的を達成するために、椹野川上流に多目的ダムをつくってやれば、漁場壊滅等を伴わずに、結果的には同じ効果が発生できるというようなことが言われておりますが、私は技術者でございませんから、それらの点について十分意見を述べるわけにはまいりませんが、そういう意見があるとすれば、そういうことをもあわせて調査するのが親切な行き方ではないか、こう思うのです。そのことはどうなんですか。
  14. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 先ほど三十八年度の調査費を、背後地のほうに振り向けて調査をして、干拓とか淡水化締め切り部分のほうにまだ調査に入っておらないという意味は、ここで水が入らない、排水を必要とする二千七百五十町歩に代表される農民方々の問題についての調査から手をつけておるわけです。で、事の起こりは、堪野川の、いわゆる——普通の方式におきまして、上流ダムをつくって、この二千七百五十町歩の水を確保するということがどうしてもむずかしいという立場から、河口に淡水湖をつくりたいという発想になっているわけでございます。したがって、その発想に沿いまして予備調査をやっておるわけであります。一応、上のほうで水源を求めるということはむずかしいという立場からこの話は発足いたしておるものでございます。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 上流に、二千七百町歩排水関係上、ダムをつくるということがむずかしいということは、それは調査の結果そういう断定ができたのか、ただ概念的にそういうことだろうという程度のものか、それはどうなんですか。
  16. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 調査の結果、この二千七百町歩につきましては、用水を確保するのには淡水湖を必要とするという立場からスタートしておるわけであります。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 いずれにいたしましても、この件については陳情を聞いただけでございますので、さらに詳細は調査して、他日に譲りたいと思いますが、いずれにいたしましても、沿岸零細漁民諸君がその行き場を失う、生計を失うということがあってはならぬはずでありますので、その点は十分注意して善処をしていただきたいと思うのです。いずれまた、他日機会をあらためまして、十分私も調査の上で質問をいたします。きょうはこの辺でこの問題は打ち切っておきます。
  18. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 他に御発言が一なければ、この件はこの程度にいたします。     —————————————
  19. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 次に、園芸農産物流通に関する件を議題といたします。  質疑のおありのお方は、御発言を願います。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 園芸局長が御出席でありますので御質問いたしますが、昨年の冬からことしの春にからて、白菜、カンランが非常に豊作暴落をいたしまして、さまざまの問題を巻き起こしたことは、この委員会でも同僚委員から再三御質問等もあったことであります。それに関連して、いろいろ園芸生産物について対策をお考えになっているようでありますが、最近になりますと、タマネギがまた大豊作で、私も一昨日ですか、兵庫県へちょっとまいったのですが、地元諸君お話を聞きますと、淡路島だけでも、ことしの生産は二千五百万貫程度になっている。そのうち、現在政府施策による措置を講じましても、なおかつ五百万貫程度は過剰になる。これはもう捨てなければならぬ、処置なしということを承ったのであります。たいへんな問題なので、一面には、台湾からタマネギ輸入するという話も進行をしておるのか、進行させようとしておるのかという話もあるのです。春には、レモンの抜き打ち自由化で非常に問題を起こしておるということで、外国産の園芸生産物輸入という問題と、国産の関連をどうするかという問題は、きわめて慎重に扱わなければならぬと思います。そこで、昨年行なわれましたように、台湾産その他の外国産のタマネギ輸入する計画があるのかないのか、それが一点。それから、現にそういう状態になっておる内地産のタマネギに対する対策を一体どうお考えになっておるのか。もしこの対策を誤るとすれば、来年はまた減産して、昨年のように暴騰をして、悪循環を繰り返すという結果が出ると思うのです。それの問題については、園芸局としては慎重に取り運んでいらっしゃると思いますので、それの構想について、この際承っておきます。
  21. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) まず、第一点のタマネギ輸入の問題でございますが、これはすでに自由化されておりまして、政府輸入をするとかしないとかというふうな企画を立てるような問題ではないような状態になっております。実態的に申し上げますと、大体一−三月ごろの、いわば日本タマネギの端境期に台湾アメリカあたりから入ってきております。本年の輸入の実績を調べてみますと、約三万トンぐらいあります。昨年は二万トンでありましたけれども、いずれにいたしましても、輸入の実情が、非常に輸入業者の過当競争的な輸入が行なわれておるということで、国内価格にも悪影響があるというわけで、輸入組合を実はつくっておるわけでありますが、まだ十分にこれが活動していないという状況であります。まあできるだけ輸入組合の活動を強化して、適正な輸入が行なわれるように指導していきたい、そう考えております。  次に、国内産タマネギ全般の問題でございますが、御指摘のとおり、非常に価格は下がっております。で、本年に入りまして、ある程度価格補てん金を支出をいたしましたし、また今後も相当程度のものを支出しなければならぬだろうというふうに考えております。今後この安定制度をどうしていくのかという問題につきましては、御承知のとおり、キャベツにつきまして、昨年の秋以来非常に暴落いたしまして、いわゆる寒玉キャベツという部類の資金につきましては、すでに資金はゼロになっております。そこで、現在急遽カンランにつきましての価格安定制度再建策を検討し、大蔵省と折衝しておるわけであります。でき得れば、必要な分につきましては予備費で確保したいということで現在折衝しておるわけでありますが、考え方の基本といたしましては、従来のカンランに関する安定事業というものが、最初生産者、県、国三者が三分の一ずつの基金を出し合って、一億五千万円の資金をつくりまして、これでもって、当分回していこうという、何といいますか、きわめて先の見通しのついてないような制度だったわけであります。ところが、不幸にして、第一年度に大暴落が起こって、その中の寒玉資金八千万円がゼロになったということでありまして、こういうことをやっておったのでは、どうも生産者にとってもきわめて不安定制度でありまして、今後ひとつこの制度は、安定的に将来ころがっていくような仕組みにしなければならぬというような考えでもって、安定制度改善策を現在検討しております。で、タマネギにつきましては、現在の状態では、まだ破産という状態には必ずしもなっておらないわけであります。しかしながら、これを種類別に見ますと、相当問題があるわけでありまして、愛知白という種類、これは大体三月、五月出荷のものでありますが、そのものにつきましては、今年度約六百万円の金を出しまして、残は百万足らずということになってしまっております。したがいまして、全体のタマネギ基金全体はまだだいじょうぶにいたしましても、愛知白については、基金はすでに危険な状態になっている。これはすべて種類によって区分経理をいたしておりますので、他の資金から、たとえば札幌黄資金から流用をするというふうなことができないという仕組みになっております。直ちに問題になるのは、来年の愛知白資金が足りないのじゃないかというふうな事態にあります。そういうふうな事態になってまいりましたが、われわれといたしましては、実は、当初はまず、カンランについての安定制度の建て直しをやって、タマネギについては、もうしばらくまだ基金は安全であろうから、もう少し現在の仕組みを続けてみようかというふうな考えできておったわけでありますけれども、最近の情勢から見ると、そうのんきなことも言っておれない。タマネギについても、今後恒久的にこの制度が運営されていくための制度の建て直しなり、必要な資金の繰り入れというものを、急遽検討しなきゃならない、そういうふうに考えておるわけであります。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 今後急遽検討すると言っておりましても、現に淡路島だけでも、私は一昨日聞いたところでは、その貯蔵数量を全部やったとして、その上に、なおかつ五百万貫の廃棄処分にしなきゃならぬものが現存しておるということなんですね。それに対応することを考えてやらなければ、必ず悪循環が来年発生すると思うのです。だから、その恒久的なことを考えると言って、じんぜん日を送っておるということでは、対案にならないので、いますぐ右から左へどうするということに踏み切らざるを得ないと思うのですがね。それに、現在の制度は不十分であるにいたしましても、その予算を確保することによって、貯蔵数量をふやすとか、何かやらなければ、需要がぐっとそれは伸びていけば問題にはならぬのですけれども、そう簡単に需要を伸ばすというわけにはいかぬと思うのですね。その辺、一体どうなさるのですか。成長部門だとか何とか言って、太鼓たたいてつくらして、おてんとうさまがよけいつくってくれたのだから仕方がないというのじゃ、これは問題にならぬと思うのですね。恒久的対策をこれから考えるというのじゃ、現に発生している問題の対案にはならないのですね。
  23. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) その点につきましては、現在市場に出向っておりますのは、いわゆる泉州の黄、岐阜の黄という種類でございます。これは兵庫県とか、大阪とか、そういうところへ出ておるわけでありますけれども、このための基金は現在二億一千万円ぐらい程度で、安定制度の定めるところによって、一定価格以下に相場が下がった場合に、それに補てんするわけでありますが、七月の価格から見ますと、大体七、八月の間で千五、六百万円程度補てん金を出さなければならぬだろう、そういう推算をいたしております。したがって、その点においては基金不足が直ちに起こるというものではないわけでございます。ただ、御指摘の問題は、その前提として、いわゆる出荷調整をやっておるわけであります。出荷調整をやっておる結果といたしまして、産地によりましては相当多量のものを出したいというのが、関係者の相談の結果、もう少し減じてもらいたい。これはあとに延ばしてもらいたいというふうな問題が起こっておる。そういうわけでありまして、確かにそこで、たとえ出荷を延ばしたものが将来一体どうなるのかということについては、今後また北海道もの生産状況等も関連いたしまして、はたしてそれで将来採算のとれる価格になるかどうかということの問題はあるわけでありますが、しかし、あくまでもこの安定制度はこういう出荷調整前提としてできるだけ市価を安定していく。しかも、なおかつ起こった市価の低落について、基金から値下がり補てん金を出すという仕組みになっております。その点はある程度がまんしていただかなければならないと思います。また半面におきまして、そういう仕組みでありますので、いま森先生から申された問題が出てくるわけでありまして、こういう野菜の価格安定制度実施する場合に、出荷されたものの値下がり部分について価格補てんをするということ自体に、実は本質的な問題があるわけでありまして、出荷されなかった、あるいは捨てられた部分について価格補てんをするべきではないかということは、理論的に当然考えられるわけであります。しかし、このことは、われわれ技術的にいろいろ検討いたしておるわけでございますが、現段階におきましては、まだなかなか確認方法といったものにつきまして十分な自信を持ち得ませんので、検討段階であるということしかまだ申し上げることはできないと思います。
  24. 森八三一

    ○森八三一君 まあ予算の関係もありますので、非常にむずかしい問題であると思います。同時に、生産物が工産品のように計画的に一定数量ができるということでもございませんので、この対策は非常にむずかしいことではあると思います。現にそそういう事態が発生しておる。そこで、出荷調節をするが、あとで出てくる他の生産品との競合でまたそれが問題になる、こういう悪循環を繰り返していきますから、それが今度は来年の生産につながって、来年はまた相当減産をして、暴騰というような結果が起きる危険は考えなければならぬと思うのですね。ですから、当面対策について、恒久的なことにつきましては十分御研究を願うことは大切と思いますけれども、応急的な対案考えて、悪循環の発生しないようにひとつ善処をしていただきたいという希望を申し上げておきます。  同時に、もう一つお伺いしたいのは、トマトの加工品の輸入問題なんかが巻き起こっておるように聞きますが、そういう事実があるのかないのか。またそれがもし実施されるとすれば、これも非常に政府が奨励されているトマトの生産が壊滅するということにもつながってくるのですが、その辺のいきさつはどうなっておりましょうか。
  25. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) トマト加工品の輸入の問題は、私は聞いてもおりませんし、考えてもおりません。これは御承知のとおり、われわれといたしましては、将来のことを考えまして、現在加工業の合理化推進ということはやっております。いつ自由化するということは、そういうことについてはまだ全然考えておりません。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、一部の業界で、あるいは生産者団体のほうで言っておりますように、加工品の輸入については、いま政府考えておらない。もちろんそれは国内生産を合理化しつつ、加工品の生産コストを低下するように合理化するということは大切ですから、これは一生懸命やらなければならぬと思いますが、そういう過程に輸入が行なわれるということで、それをつむことになるとたいへんだと思うのです。ですからお話しのように、当面トマト加工品の輸入については考えておらないということを、まじめに承っておいていいのですね。抜き打ちでやられてしまうと、済んでしまってから文句を言ってみてもそれは処置なしですから、そういうことはないということは確言できますね。
  27. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) どうも信用がないようでございますけれども、まじめに申し上げております。
  28. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 別に御発言がなければ、この件はこの程度にいたしておきます。  これで散会いたします。    午前十一時十五分散会