○国務
大臣(大橋武夫君) 労働省といたしましては、すでに数年前に労働災害を減少させなければならぬという
考えのもとに、災害防止五カ年
計画というものを樹立いたしまして、これによって仕事を進めてまいったのでございます。この
計画の実施はかなりの成果をあげまして、事故発生率におきましては相当なる減少を見ることができたのでございますが、ただ最近数
年間における産業の発展に伴いまして、労働人員、人口が非常に増加いたしてまいっておりまするために、労働者千人当たりの事故発生率は減少したにもかかわらず、災害の絶対数はかえって増加するというような実情であったわけでございます。そこで、昨年、労働省としましては、この五カ年
計画を再検討いたしまして、あらためて五カ年
計画を樹立し、災害率の、発生ばかりでなく、絶対数においても五カ
年間に半減させたいという意気込みを持って進んでまいったわけでございます。特にそのために災害防止に関する特別立法を行ないまして、使用者の災害防止のための団体をつくり、使用者の自発的な災害防止努力を組織化していく、あわせて特に事故の多い建設業等におきまする、何段にもなっておりまする請負制度、これにつきまして災害に対する
責任の所在を明確にし、そうして取り締まりを厳重にすると同時に、災害防止の実効をあげよう、こういう趣旨で、昨年の通常
国会に法案を提出いたしておったのでございますが、昨年これが昨年
審議未了と相なったのであります。で本年もその法案をこの通常
国会に提案いたしておったのでございますが、これに対する総評その他労働組合の方面からの
要望といたしまして、災害防止の対策はこの法案だけでは不十分ではないか、ことに昨年の三池並びに鶴見の災害等が国民に与えた衝撃というものは非常に大きなものであり、これを契機として産業災害に対する国民の関心も非常に深くなってきておる、こうした新たな事態に対処する
政府の新たな施策が必要ではないかという批判が出てまいったのでございます。私
どもも、昨年の二大事故というものは日本の産業発展の上からぜひともこれに対して対策を講ずる必要がある問題だと思っておりました際でございますので、組合側の
要望はまことにごもっともだと存じまして、つきましては、災害対策の実施については労使の協力が必要でございまするので、至急この新しい事態を
基礎といたしまして、今後努力すべき災害防止対策について労働省としての
考え方を取りまとめ、そうしてこれを労使双方に提示し、その
意見を徴し、協力を得られるという確信の出た上でこれを具体化していこう、こういうふうに
考えまして、先般、労働省の労働基準
審議会に対しまして災害防止対策についての全般的な根本的な再検討、その結果労働省としての
考え方を一応取りまとめましたものをお示しして御検討を願ったわけでございます。
審議会におきましてはこれを検討されまして、大部分の点についてはさらに具体化の際に再検討するとして、一応現
段階における根本対策についての
考え方としてはこの
程度でよろしいじゃないか、これで労働省が中心になって今後の取り運びを進めてもらいたいという趣旨の御
答申がございました。労働省といたしましてはこの
答申の趣旨に従いまして、今後各般の事項にわたりましてあらゆる角度から災害対策を根本的に掘り下げ、実施してまいりたいと思っておるのであります。もとより、これが具体化につきましては、
予算措置はもちろん、立法措置も必要でございます。これらにつきましてはさらに一そう検討を進め、
審議会においても各問題ごとに労使間の話し合いを進めて御協力をいただきたい。こう思っておるのでございますが、この線に沿うて今後努力をいたしたい。そうして今
国会に提案いたしておりまする災害防止に関する法案の取り扱いにつきましても、その全般的な新しい災害防止
計画の一部分としてこれを御検討いただきたい、こういうふうに
考えておる次第であります。