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国務大臣(
赤澤正道君) さっきから御議論承っておるわけですが、この問題は財政
局長も少し言い過ぎじゃないかと思うのですが、いまの、ない知恵をしぼってみたところで、これをこのままで黒字に転換するという
方法を述べてみろと言われたって、具体的には言えないはずなんですよ。ですから、われわれのほうでは広く一般の御意見を聞こうというので、今度は
調査会をつくるわけでありまして、ですから、私をして言わしむれば、ここまで落ち込んで、いまごろ
調査会を
考えるなんというのはおそかったというのですけれ
ども、おそかったといってほうっておけないわけですから、そこでいま急いで
審議をお願いをしておるわけでございますが、この
調査会の構成には、いうまでもなく
民間のこういう問題の経営のベテランもいれば、また
大蔵省あるいは自治省等で多年この問題について苦労した方、それからまた、公営関係にいろいろ
資金面を心配しておる金融
機関の方、学識経験者、それから労働
問題等についても深い認識と手腕を持っていらっしゃる方、それぞれ網羅いたしまして、
一つの方向を見つけたい。二年とは申しますけれ
ども、もっと早くやりたいと実は
考えておる次第であります。
そこで都市
交通がいまのような状態に落ち込んでしまっておりますが、私はこれをあらゆる角度から
根本的に
検討しなければいかぬ。たとえば
調査会の中に有力な
民間の手腕のある経営者がおってけっこうです。現在の状態のままでは私
どもがやってみましょうという勇気のある者があればあるいはこういうものをかかえて何も汗かいて地方団体困らねばならぬわけはありませんから、それはまた、そういう
民間でこれを経営させるということになるかもしれませんが、おそらくは手を出すものがないと思う、いまの状態では。こんなものをしょい込みになったらたいへんですから。しかし、私はこの
調査会でいろいろ議論をすれば、将来赤字でこういうばかな負担を残さないような
方法は何があるか。極端にいえば、もうとにかくそれほど公共性の高いものなら、ぎりぎりここまでやったらあとは補助金で見なさいとかということになるかもしれません。それは結果がどういう方向にいくかわかりませんけれ
ども、しかし私は、公営企業の中でその企業努力というものが十分行なわれておるとは
考えないわけでございます。そういうことにからみまして、やっぱりいま犠牲路線の開発の
方法であるとか、あるいは
従業員の
賃金などのことについても、いろいろ当然
議題にのぼってくるわけでございますが、私はそれはほんの一部であると
考えておる。大体独立採算、独立採算なんて公営企業を盛んにいいますけれ
ども、独立採算の計算のしかたというものが
民間でわれわれがやっておりますものよりか、よほど常識が違っておりまして、たとえば地下鉄が一番いい例ですけれ
ども、ああいう大きな投資いたしました場合に、金利の負担だけで、とてもじゃないが、電車賃だけでおさまりがつくわけのものではないわけです。独立採算で
民間ではやっております。赤字が出たって人がしょってくれる道がないわけですから、そういう際には資本勘定というものを明白に立てまして、そうしていろいろこれを経営する上において経費をできるだけ縮めて利潤をあげるということが常識でございますけれ
ども、
一体日本の公営企業は
国鉄あるいは電電なんかにいたしましても、資本勘定は
一体どうなっておるのか、その資本勘定から生まれてくる金利だとか減価償却はどうなってくるのかということになると、減価償却の計算の立て方で
国鉄は赤字になったり黒字になったり、そういうような状態ですから、こういう問題にしても、真剣に独立採算なんということをけっこううたうからには、やっぱり経営に熟練した人がこんなばかな計算の立て方をしておる。そうして投資したかのごとく見えるものにはみんなばく大な金利がついておるなんというようなことで経営ができるものですかという
質問も、おそらく強い意見も出るのじゃなかろうか、そういった意見をいろいろ聞いてやれば、何とかやれる形でとにかく企業努力によって現行のものが黒字というか、もうける性質のものではないと
考える。ですから収支がバランスがとれるような形にもっていく
方法がないか、それからまた、私鉄のほうは、私営
交通のほうは御案内のとおりにもうけさえすればいいわけですから、だから電車会社なんというのはすぐにターミナルビルにデパートを思いつく。付近の土地の開発をやって宅地をつくるとかいろいろなことをして、あわせて企業効果をあげておるのですけれ
ども、じゃ、こういう公営企業に、そういうもうけ口があったからといって、それがやれるわけのものでもありませんし、実際だれがやってもむずかしいと思う。ですから
調査会をつくりましても、とてもない頭をしぼったって適切な案は私は浮かんでこないと思います。しかし、
調査の過程を通じてもっと賢いことが
考えられるのじゃないか。質的にも優秀な事務当局がおりますけれ
ども、まだまだ企業なんかに至っては私はそう十分な知恵はないということを自白しておるのがこの
調査会をつくって意見を求めるということになっておるわけでございまして、私
どもといたしまして、いまおっしゃる議論というものは、まともに受けまして、すべてもっともだと思うわけでございます。ただ
一体どうするかどうするかと仰せられましても、実際私
どもとしても、名案がここにありましてこうすれば的確にやれるはずだということが申し上げられない状態でございますので、――私は個人としては腹案めいたものはなくもありませんが、そういうことを
発表する限りでありませんし、いましばらく時間をかしていただいて、こんなことを毎年繰り返すようなことはしないようにいたしたいと、かように
考えておる次第でございます。