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1964-05-14 第46回国会 参議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十四日(木曜日)   午前十一時五十四分開会   ―――――――――――――   委員異動  五月十三日   辞任      補欠選任    田畑 金光君  向井 長年君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            下村  定君            林田 正治君            伊藤 顕道君            鶴園 哲夫君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            村山 道雄君            千葉  信君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君            向井 長年君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    国 務 大 臣 福田 篤泰君   政府委員    防衛庁教育局長 堀田 政孝君    防衛施設庁長官 小野  裕君    防衛施設庁総務    部会計課長   大浜 用正君    防衛施設庁施設    部長      鈴木  昇君    外務政務次官  毛利 松平君    外務大臣官房長 高野 藤吉君    外務大臣官房会    計課長     谷  盛規君    外務省条約局長 藤崎 萬里君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省港湾局長 比田  正君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君    運輸省航空局長 栃内 一彦君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    外務省アジア局    北東アジア課長 前田 利一君    外務省アジア局    賠償部長    卜部 敏男君    日本国有鉄道副    総裁      磯崎  叡君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国の防衛に関する調査  (北富士演習場に関する件)   ―――――――――――――
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、田畑金光君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。  政府側から綾部運輸大臣佐藤官房長比田港湾局長木村自動車局長栃内航空局長磯崎国鉄総裁廣瀬鉄道監督局長が出席いたしております。  御質疑のおありの力は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしますが、まず国鉄当局にお伺いをいたします。  まず、お伺いしたいのは、激増する輸送量国鉄事故、こういうことを結びつけて二、三お伺いをします。列車の脱線とかあるいは車両の故障線路故障あるいは運転障害、こう数多くある運転事故の直接の原因を検討いたしますと、いろいろ考えられるわけですが、わけて保安を伴わないところの無理な輸送力増強そして過密ダイヤ、こういう点を指摘せざるを得ないと思うのですが、この点についてはどのようにお考えですか。
  5. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄関係事故の起こりますいろいろな原因は、前回にも申し上げたのでございますが、ただいま先生指摘のいわゆる過密ダイヤの問題でありますが、戦争前と比較いたしますと、線路はそれほどふえないのに列車回数はふえておることは事実でございます。しかしながら、もちろん私どもといたしましても、列車ダイヤをつくります際には、必ず運転保安一つ規則がございまして、このルールによってダイヤをつくっておる。このルールをおかしたダイヤはございませんが、その運転保安上のルールぎりぎりまでにダイヤを入れておるというのが現状でございます。  戦前を申しますれば、そのルールから非常に楽なルールまでの限度が非常にたくさんあった。しかし、最近の事態は原則ぎりぎりまでということでございまして、たとえば一つの例で申し上げますと、私のほうではいわゆる閉塞と申しまして、一つ閉塞区間内には二個列車が絶対入ってはいけない、これは当然でございます。その閉塞区間をツー・セクション・クリヤーと申しまして二つのセクションは必ずあけておかなければならないこういう規則がございます。  たとえば現在の中央線のように二分間隔で走っておりましても、必ず前の電車あと電車はツー・セクションだけあいております。これは戦争前はもっとたくさん間隔があった。それがほとんど現在では、もう許され得る限度ぎりぎりまでに列車が走っているというのがいわゆる過密ダイヤでございます。それが普通のように正常に運行されておりますときは大体やっていけるわけでございますけれども、一たん何か、たとえば踏み切りの事故が起きるとか、あるいは一つ列車故障でとまるというようなことになりますと、非常に大きな輸送障害が連鎖反応的に出てまいるというのが結局過密ダイヤの欠陥であるというふうに考えております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 問題は、輸送需要が激増しておるにもかかわらず輸送力はこれに伴っていない、こういうことであろうと思うのですが、こういう点についてはどういうふうにお考えか、さらに今後の展望については一体どういうふうに当局としてはお考えになっておりますか。
  7. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま申し上げましたとおり、ルールぎりぎりまでに列車を入れなければならないという原因は、何と申しましても輸送の御要求が非常にふえてきたということでございまして、当然輸送輸送量がふえれば、それに伴って輸送力がふえなければならないのは当然でございますけれども、たとえば貨物にいたしましても、ここ十年間に約五割前後の貨物輸送量がふえておる。ところが、線路はほとんどふえていないというところにやはり無理な輸送をせざるを得ない原因があるというふうに考えております。  やはり根本的には何と申しましても、日本経済発展に伴ってお客さんの数も、また貨物の分量もふえてまいります。それに現在の私のほうの輸送力がやっと追いついていくことがぎりぎりでございまして、本来ならば輸送力のようなものは水のようなものであって、当然経済に先行して多少の余裕を持って輸送力というものがなければならないのに、現在は私のほうの能力が非常に弱いということがその大きな原因でございますので、今後の問題といたしましては、何とか輸送力を拡充いたしまして、少なくとも旅客貨物輸送要求に追っついていくだけの能力だけはぜひ持たなければいけない。とても現状ではゆとりを持って輸送するという段階にはなかなかなりませんので、せめてたとえば年末年始、あるいはお盆にあれほどのひどい旅客輸送をしなければいけない、あるいは秋になりますと、すぐ貨車が足りなくなる、こういうことたけはないようにしたいというふうに考えておりますが、要は、結局、車をふやすと同時に、線路をふやしていかなければいけない、あるいは電化を進めていかなければいけないということが原因でございますので、結局は必要な設備投資に必要な資金の問題に帰着せざるを得ないというふうに考えております。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 船舶とかあるいは自動車、航空機、こういう輸送が著しく伸びてきた。いわゆる海陸空一体的に激増してきたので、そういうことからいうと、国鉄輸送については、これらとの比例ですね、相対的には減ってきたと思うのです。相対的には減ってきたけれども、依然としてやはり国鉄輸送は国の根幹であるし、また国民経済の動脈である、こういう点については依然としてそういう立場を保持しておる、そういうことから考えて、やはりこの国鉄輸送についても、輸送力需要の増に見合うところのいわゆる輸送力増強ということが、繰り返し申し上げておるように、当然に必要になってくるわけです。これを要約すれば、結局、施設と人が問題になろうと思うのです。さらにこれを要約すれば予算ということになるわけですが、こういう点については今後どういうふうにお考えですか。
  9. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま先生の御指摘のとおり、国全体の旅客貨物輸送量の中の国鉄の地位というものは、相対的に減ってきておることは事実でございます。たとえば、数年前までは、旅客輸送の全体の六〇%くらいを国鉄が負担しておりましたけれども、現在は五〇%をそろそろ切り始めておりますし、貨物につきましても大体同じようなシェアになっております。しかし、国鉄自体から見ますと、やはり数量はふえております。それから、国鉄のふえるパーセンテージが、たとえば飛行機のお客さんはほとんど毎年五倍くらいずつふえております、絶対数が少ないものでございますので。数から申しますと、国鉄の一%というものはやはり何千万という数になるわけでございます。やはり輸送力がどうしても追随しなければいけないというふうに考えます。それには、いま先生の御指摘のとおり、結局、人と物の充実以外にはない。帰するところ予算の問題になるわけでございますが、現在の、過般国会で御審議いただきました三十九年度の予算におきましては、必ずしも、そういった点で満足な数字をいただいたとは実は考えておりませんのでございます。これらにつきましては、政府におかれましても非常に心配されまして、何とか国鉄輸送力不足の問題を根本的に解決しなければならないということで、大臣の御発言によりまして、政府部内でこれを本格的に検討するような場ができてまいったわけでございます。私どもはそれに非常に大きな期待をいたしておりまして、少なくとも昭和四十年度からは、いままでのような予算でなしに、もっと前向きな、先生のおっしゃったように、せめて旅客貨物輸送要請に追随できるくらいの設備をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはちょっと前のことですが、昭和三十八年の十一月十四日の朝日新聞の記事に石田総裁手記の一節が載っておる。意味はこういうことだと思うのです。国鉄当局がこの限られた施設をフルに活用するために可能な限度近くまで列車を増発しておる。そうして同時にスピードを向上をして輸送力をつけている。いわゆる細密なダイヤであって、たとえば東京駅の例をあげていますが、一日に二千四百本もの列車が発着する、こういうようなことをやっておる。これは石田総裁手記の一節ですが、これは現実に細密ダイヤのいわゆる過密ダイヤともいいますが、こういう点を如実に言いあらわしていると思うんですが、やはりこのままではいかぬと思うんですね。このままでは結局あやまちが繰り返されることになるわけですから、このところでやはり抜本的な、いわゆる施設と人の問題は考えられなければならない、こういうふうに思うわけですけれども、この点についてお考えをお伺いしたい。
  11. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま先生の御説明ございました総裁手記は、確かに鶴見事故の直後、国民にわびるという題で総裁が自分で書いた手記だというふうに私感じておりますが、私ども現状はまさにあの手記のとおりでございまして、いまのままの輸送の情勢では、とてもこれ以上の輸送の御要求に応ずることができないし、やはり応じようとすれば、勢い無理が重ならざるを得ないということで、これではとてもだめだということで、何とか今後設備資金をもう少し大幅に投入していただいて、いまおっしゃったような設備改善を根本的にやっていかなければ、安全な面からもいろいろ問題があるというふうに考えておりますし、まして一般お客さんがもう少し楽に旅行でき、もう少し楽に切符が手に入るというような状態を少しでもそれに近からしめるのが私どもの使命だというふうに考えているわけでございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 史上最大といわれた三河鳥惨事が起きて、それで二年足らず、一年有余で鶴見惨事が起こった。この惨事が起きていま御指摘になったような石田総裁手記がそのとき発表されたということでありますが、三河惨事から鶴見惨事との間にやはり何ら抜本的な改正は施策になされなかったと思うんです。そうしてこの鶴見事件が起きたあとからまた現在までを展望すると、やはりまだ抜本的な施策改善というようなところまではいっていない、こういうことになると、またこのような大惨事が繰り返されるそういう危険性は多分にあろうかと思うんですね。これはやはり事故は忘れたころ起きるといわれているくらいに、ふっと忘れたころまた大惨事が起きないことはだれにも保証はできないわけですね。これは事人命にかかわる重大な問題であるので、何をさておいても、そういう人命尊重立場からも、こういう過密ダイヤについては、抜本的な施策改善をはかって、いわゆる施設と人の問題を解決していかなければならない。それだけの決意があってしかるべきだと思うんですが、やはりあやまちを二度、三度と繰り返さないためにも非常に大事な問題だと思うんですが、そういう意味から重ねてお伺いしたい。
  13. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、全く御指摘のとおりでございまして、実は三河島のあの大事故が起こりましたあと、急遽現在進行中の第二次五カ年計画を改定いたしまして、当時全体のスケールが三百億でありました直接の事故防止対策を六百億にふやしまして、そうして三十七年度には年間六十億程度の直接の事故防止対策でございましたけれども、それを三十八年度は倍額の百二十億に増額し、また、ことし三十九年度におきましてはこれを二百十億にふやして、直接の前回先生の御質問ございました踏切の問題と直結するいわゆる平内警報という保安対策、これはほんとうに事故防止に直結する施策でございますが、この二つだけを中心にしてやってまいりました。これは大体前回申しましたとおり、昭和四十年度末には一応の安心できる段階になると思っております。しかしながら、根本的な御指摘の、いわゆる過密ダイヤ解消ということには非常にまだまだばく大な金もかかりますし、用地買収その他においても相当長期の期限がかかりますが、たとえばおかげをもちまして、ことしの秋開業いたします東海道新幹線ができますれば、現在の東海道線過密ダイヤはある程度解消できる。現在二百二、三十本走っておりますが、そのうち約三十本前後のものは新幹線に移れるということで、その分だけが東海道線過密ダイヤがすいてくるということになりますし、また、現在おかげをもって進行しております東北線あるいは北陸線あるいは日豊線等明治の末にできました単線のままの線路も徐々にいま複線化いたしておりますから、こういったことが複線ができますれば、単線区間で百三十本も走っておりました非常に過密ダイヤも多少楽になってくるということでごいまして、これには用地買収その他非常に手間がかかりますけれども、結局少なくとも明治の末のままであった主要幹線複線化だけはぜひ短期間にやってまいりたいというふうに考えております。  これができますれば、主要幹線については相当安心してお客さんも乗っていただける、また貨物輸送も無事でやれるということになります。それ以外の地方幹線になりますと、これはある程度時期がおくれてもやむを得ないと思います。せめて日本の国を縦に通っております大きな幹線だけは一刻も早く複線化いたしまして、そうして過密ダイヤ解消をいたしたいというふうに考えております。これもいままで予算で相当認めていただいておりますが、やはり全体の額として相当毎年の増加をしていただきませんと、やってまいれませんので、これも何とか四十年度から本格的にさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局施設あるいは人の問題を改善してひとつあやまちを二度繰り返さないための努力をという、国鉄当局の御意見の開陳があったわけですが、運輸大臣としては、交通行政を担当しておる官庁であり、交通行政についての指導監督立場にあるわけですから、国鉄当局がそのような決意を持っておられても、やはり運輸省にそのお考えがないと、これはなかなか実現しがたいと思うのです。  そこで、ひとつ指導監督の任にあたる運輸大臣としてのお考えをここでお聞きしておきたいと思います。
  15. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 前回伊藤さんの質問にお答え申しましたように、究極するところ、人と金の問題になることは御指摘のとおりでございます。私は国鉄当月を信頼いたしまして、国鉄当局の言うだけの予算をとるベく努力いたしております。しこうして、それが国家財政との問題におきましてなかなかむずかしいので、今度去る八日でございましたか、発足いたしました部内の基本に関する全体の問題について論議を尽くしまして、そうして来たるべき年度の予算においては、さっき伊藤委員指摘されたような面についての最大の金とそれから人について、必要な金を得るべく努力いたすつもりでおります。結論的に申しますと、この前にも申しましたように、一般大衆にその負担を幾分してもらうということ、すなわち、運賃に関する考え方、それから全部政府出資による政府の金でやるという考え方、さらにそれを両方やり、さらにまた次代の国民もこの鉄道の拡充によって利便を受くるのであるからして、鉄道債券等方法による、どれか一番よくて、どれとどれと、どの方法とどの方法を併用するのがいいかというような根本の問題につきまして、予算編成期までに結論を得るべく衆知を集めて目下作業中でございます。また一方、経済発展に伴いましていわゆる所得倍増計画のアフターケアの問題として公共先行投資が少ない。どの先行投資を優先すべきかということにつきましては、別個の見地から経済企画庁が検討して十一月までには出すと言うておりますから、その結論と相まちまして善処いたしたい、かように考えております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど来お伺いしておるわけですが、三河島とか鶴見の大惨事を二度と繰り返さないためにはどうしても施設と人の問題を解決しなければならないこれを一言にしていえば、予算ということで解決できるわけなんです。不可能ではないのです、可能なんです。しかし、国鉄当局として先ほど来御答弁のような方向に向かって努力しても、最終的にはやはり指導監督立場にある運輸大臣としてのいわゆる積極政策が、しかも、一大決意のもとに熱意をもって行なわれない限りはこういう惨事はまたいつ繰り返れるかわからない、きわめて大事なこれは問題だと思うのです。そういうような意味合いからこれに対する取り組み方についてのどの程度のひとつ御決意があるのか、この問題については特にひとつ大臣重ねてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) その問題を解決するために全般としての金が一体どれくらい要るのか、それをどういう、たとえば、かりにいろいろな保安運転線路増強厚生施設、給与の問題等々をひっくるめまして、大体幾ら金が要るのか、その金を国家財政現状においては、幾ら金だけを分かって、その金さえあればやれると申しましても国鉄だけが国の政治全般じゃないのでございますから、ほかの政治の必要な度合い等を勘案しまして、現時点において財政上これだけはやれるということはわかるし、さっき私が申しましたように、それをやる方法としては一般運賃は、世界的に見て日本国鉄運賃は安過ぎるのだ、だからこれを改訂するのだと、それから政策割引等をやっておるが、これは改築で割り引くのであるからして、その政策の犠牲になる国鉄に対して、国庫の金でやるのが当然であると、いろんな考え方がございますが、結論的にただいま申しましたように、一般大衆からによる、利用者からによる増収の財源の捻出方法、あるいは国家財政から、すなわち租税でもってやる捻出方法、それから民間資金を吸収するすなわち鉄道債その他の方法によってやるかにつきましてきまりますからして、そのきまったことをひとつ万難を排して推進していきたいというかたい決意を持ちまして私はさきに提唱いたしまして、国鉄基本の問題についてひとつ事務当局、場合によりましては財界、言論界その他の有力なる人の意見を拝聴しながら、現時点における日本経済の忍び得るすなわち負担し得る限度をきめていただいて、それが実現するように努力いたしたいと、かように考えております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に一定区間輸送力の大きさということを考えると、これは私が言うまでもなく、一列車で運べる量と、この一日の列車回数、これの積ということになるわけですが、そこで輸送力を増加するためには、一つには一列車編成する両数をふやさにゃならぬ。もしそれがだめなら列車回数をふやすか、その二者択一でなければならぬし、一番理想的な、両方併用できれば万全であろうと思うのですが、そこでまず編成車画数をふやすためにはどうしても動力車牽引力を強くしなければいかぬ、大きくしなければならぬとか、あるいは勾配とか、カーブを緩和するとか、駅の構内やプラットホームを延長するとか、いろいろ困難な問題をまずもって解決しておかなければできないと思うのです。そういうことから結局列車回数をふやすということに移行してくるわけですが、そこで線路の容量が問題になろうと思います。そこで結論的に言えば、安全性を無視した、先ほどからお伺いしている殺人的なダイヤがあるということになろうかと思うのですが、これは国鉄としてはその二つのうちどちらに重点を置いておるのか、いまお伺いしたように二つ並行してやることが一番理想ですけれども、なかなかこれは日本の場合はいろいろ困難な場合があらかじめ事前に解決されなければ実施できない。それで細川回数の増発という問題になろうかと思いますが、この点はいかがですか。
  19. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は実は全く御指摘のとおりでございまして、現在私どもといたしまして、たとえばこの付近通勤電車で申し上げますと、中央線は現在十両でやっておりますが、これがもう一ぱいでございまして、これ以上ふやしますと、駅の両端にございます踏切をどうしてもやめなければならない。踏切をやめるということは非常に問題になりますが、今回中央線高架になります。昭和四十年度、ことしの秋から一部高架になります。こういった際には踏切は除去されますけれども、やはりこまかいことになりますが、東京駅の折り返し設備その他の関係上現在以上に、十両以上にふやすということは非常にむずかしいということが現状でございます。いま京浜東北線のごときものはまだこれは駅によりましては多少余裕もございますので、これは列車回数でなしに、もう少し客車をふやしまして、なるべく早く十両運転にしていく。現在八両ないし九両運転にしております。総武線常磐線につきましても編成を長くするということについては、できるだけプラットホーム関係等考えながらやっていきますけれども、やはりこれは間もなく限度がきてしまいます。どうしてもいま御指摘のとおり、列車回数をふやすより方法はない。ふやすには現在の線路ではこれ以上とてもふやせられないということで、線路の数をふやすこと以外に方法がないわけでございます。中央線おかげさまで昭和四十二年になりますれば、複々線が完成いたしますれば、そうなればずっと輸送は確実に楽になっていくと思います。そういった線路をふやす方法と、それからもう一つは別なルートに線路をつくる。たとえば現在非常に総武線千葉から参ります総武線が困っております。これはできれば両国付近から地下に入りまして、一部東京駅にじかに持っていく。秋葉原の混雑が非常におそろしいほど混雑いたしておりますので、それを緩和するために別線を引いて両国からこちらに入ってくる。あるいは現在私鉄と地下鉄が相互乗り入れをやっております。それと同じように私どもも地下鉄と相互乗り入れをいたしまして、現在具体的にやっておりますのは、中央線電車であのままいわゆる五号線と申します中野から高田馬場、大手町まで持ってくることによりまして、現在の中央線の混雑を緩和する。そういった線路をふやすこととほかの線路をつくること、あるいはほかの線路を利用することなどによりまして、列車回数をふやしてまいりたい。やはりおっしゃったとおり、一列平の長さを長くすることと、列車回数をふやすことと、この二本立てで現在やっておりますが、むしろ列車の長さを長くすることのほうが間もなく限度がきてしまいまして、今後はなるべく列車回数をふやす。そのふやす根本的な方法として線路の数をふやすということに帰着せざるを得ないのではないかと考えております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁があったように、線路の増設、さらには不良なところは改良工事をむろんやられるでしょうし、そうして安全性を見込んだ輸送力増強、こういうことが考えられておるし、また着々進んでおるということでございます。が、ここで問題なのは、この輸送力増強のためのこの計画が例の東海道新幹線の犠牲となっておるという事実があるのではなかろうかと考えられる。この点はいかがですか。
  21. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実はその点につきまして、ちょうど昨年のいまごろでございましたか、前総裁の最後のときに予算が非常に足りなくなったことは御記憶に新ただと思います。そのために昨年度年度当初に二百五十億だけ一般改良費から新幹線のほうに流用いたしました。これはちょうど昨年のいまごろでございます。その後おかげさまで秋の臨時国会におきましてその分のめんどうを見ていただきました。百五十億とそれから過般の通常国会の劈頭の補正予算で百億、二度にわたってめんどうを見ていただきまして、一応二百五十億流用した分だけはこちらから返してもらったわけでございますが、御指摘のとおり、若干その間半年くらいの、予算の成立までのズレがございました。その分だけは影響があったというふうに申し上げますが、金額全体といたしましてはいまなお二百五十億を流用しただけでございまして、そう大きな影響はなかったと思います。ただ時期的に半年ばかり工事がずれていることは事実でございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御答弁ではあまり大きな犠牲にはなっていないという御意味の御答弁ですが、昭和三十二年から三十六年にわたる第一次の五カ年計画では、東京-大船間、これは線路の増設が総工費百九十億で計画されていた、これは事実であったと思うのですが、その理由は、線路の容量が極限に達したためであった、こういうふうに明確になっておりますが、それとこのほかにも平塚-小田原間ですね、この線路増設を約六百五十八億の総工費で予定されていたと伺っておるわけですが、こういうものがすでに着工されていたわけですが、にもかかわらず、この線路の増設は三十四年度以降いわゆる東海道新幹線の工事が始まったと同時に立ち消えとなってしまった、これは事実とすれば、先ほど副総裁から御説明のありましたように、あまりたいした影響はなかったのだということとはどうも相いれないと思うのですが、もしこれが事実とすれば相当大きな犠牲であったと思うのですが、この点はいかがですか。
  23. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、私が御答弁申し上げましたのは、新幹線工事が始まってからのことを実は申し上げました。いまの先生の御質問ははたして東海道新幹線をやるべきかどうかという際の問題でございまして、私は御答弁を落としましたけれども、それは結局昭和三十二年ごろ東海道線の行き詰まりをどこの面でどういう方法で打開したらいいかということか一番問題になりまして、当時運輸大臣の諮問機関といたしまして、学識経験者を集めました幹線調査会をつくりまして、そこで全面的に東海道の今後の問題を検討したわけでございます。その際にすでに御指摘東京-大船間をいまの線路にくっつけてもう複線をつくるという案と、それから平塚と小田原の間、これはほとんど実は路盤を持っておりますが、複々線化をやる、この二つの問題と並行いたしまして、東京-大阪間全般的な輸送力の隘路打開をどうするかということを検討したわけでございます。実は東京付近に限らず、名古屋付近、ことにひどいのは滋賀県の京都-草津間でございます。これも非常にむしろ東海道以上にあそこは北陸線が入ってまいっておりますので、非常に輸送密度が高いということで、結局それは東海道全般輸送力を緩和するという意味でその計画自体を東海道新幹線に移し変えたわけでございます。ただ物理的には現在工事いたしております東京と品川の間、一応当時考えておりました東京-大船間の複々線で使うべき土地を新幹線に使っておりますので、その意味におきましては新幹線をあそこに入れましたので、いわゆる現在線を東京-大船間、東京-品川間のいまの線路と並べて入れる余地はなくなってまいっております。これは影響と申しますれば明らかに影響でございますが、むしろこの問題につきましては、昭和四十年度以降の問題といたしまして、ことに最近の神奈川県の平塚、茅ケ崎付近の団地の造成が実は目ざましいものでございまして、私どもは一体あのお客様をどうやって運ぼうかと困っておるくらいでございますが、これらにつきましてはもうやむを得ないから、もう一本通勤専用の線路をつくると申しますか、実は貨物線をもう一本つくりまして、現在の御承知の貨物線をそのまま旅客線に使うというようないろいろ具体的な案を考えております。とりあえず東海道全線の問題が新幹線で一応解決いたしますので、今度は東京首都圏あるいは大阪付近の問題として解決してまいりたい、そういう意味でさきの先生指摘になった二つの問題は実は新幹線のほうに問題をとり変えたということになっております。しかし、必要性が消えたわけではございませんので、今後の計画の中にぜひこれを織り込んでまいりたいというふうに考えております。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 三十四年の八月の国鉄の監査報告書をちょっと拝見したわけですが、それにこういうことがあるのです。新幹線の竣工に至るまでの現在線の行き詰まりに対する処置について検討しておく必要がある、まあ国鉄の監査の方からこういうような指摘があったと思うのですが、こういうことはもちろん考慮に入れられたと思うのですが、この辺はどうなんですか。
  25. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ちょうど実は昭和三十四年ごろに新幹線が具体化いたしまして、そうして工事にかかったわけでございますか、同時に、たとえ新幹線ができても、新幹線で通勤輸送をやるわけにまいりませんので、結局、横須賀線のいわゆる鎌倉、逗子付近の人口の増加の問題、それから、先ほど申しました神奈川県の相模湾沿いの人口増加の問題、こういった問題を考えますと、新幹線ができても通勤輸送はどこまでカバーできるかという問題などを検討いたしまして、さしあたり、実はもう間もなく、五月十九日に開業いたしますが、横浜・桜木町から根岸までの線路を延ばしまして、これを根岸線と申しておりますが、これによりまして、ある一部の横浜付近に行く人を救済する、あるいは、それによって東海道のほうが少し減ってくるというようなことも計画の一環に取り上げますし、それからもう一つは、武蔵野線と申しまして、いまの山手線の外側に大環状線をつくる。これも実はやはり新線建設の計画に入っておりまして、これらを具体的に今後実施していく段取りになっております。その他東海道線を救済する方法といたしまして、いろいろ間接ではございますが、南部線と申しまして、川崎から参る線路、これを複線化する。あるいは、相模線と申しますが、茅ケ崎から参る線を強化する。こういった補助的な手段でもって現在までは一応やってきておりますが、しかし、御指摘のとおり、私どもの実は推定よりもずっと東京圏に集まります人口の増加が激しゅうございまして、多少私のほうの年率の伸びの見方が低かったとも思っておりますか、これらはもう少し現実をつかまえました上で、これほど人口が東京付近に集まるならば、私のほうはその足としてどうしてもやはり相当な根本的な強化をしなければいけないというふうに考えております。ただ、非常にやはりこれも金が伴いまして、先ほどちょっと申し上げました平塚付近から東京までもう一本通勤専用の線路をつくるにいたしましても、やはり千数百億の金がどうしても要るということになり、ちょうど現在第三京浜国道を建設省でやっておられますが、これとそれは並行したものになると思いますが、それにしても相当ばく大な金が要りますし、これらを全部含めまして昭和四十年度以降の長期の計画の中に織り込んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、引き続いて国鉄当局にお伺いしたい問題があるわけですけれども、時間の関係もございますから本日はこれで国鉄当局に対しては質疑を打ち切りします。あと運輸大臣を中心にして、交通行政一般について、前回に引き続いた御質問を申し上げたいと思います。  まずお伺いしたいのは、交通難の解消という問題を中心にして二、三お伺いしたいと思いますが、最近、大都市の交通状態は言うまでもなくきわめて混乱しておる。そうして能率は阻害されておるし、悪質な交通事故は頻発しておる。こういう事態はいなめない事実であろうと思います。まあ古い統計ですが、一九六一年の交通混雑でなくなった方は、よく例に出される問題ですが、日清戦争で戦死した数、いわゆる二万二千人に及んでおる。しかし、現在はまだまだ激増しておると、こういう情勢の中で、いわゆるこういう交通事故が繰り返されておるのは、まず自動車が増大したということをあげなければいかぬ。それと、道路その他の施設がそれにそぐわないできわめて不十分である。まあいろいろほかにも原因はありましょうけれども、おもだった点はこういうような点ではなかろうかと思うのですが、こういう点については、指導監督の任にある運輸大臣はどういうふうにお考えですか。
  27. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 都市交通の実情は御指摘のとおりでございまして、今後もまだまだ私は都市集中が激しくなるものと予想しております。ただ、現在非常に交通が乱雑になっておる一つ原因は、御承知のように、オリンピックまでにやらねばならぬという仕事がたくさんございまして、その工事の進行途中にあるために混乱しておるという場合が大東京圏内においてたくさんあることは御承知のとおりでございます。そこで、そういう工事は終局いたしましても、なかなか都市周辺の交通は緩和させることは困難でございますか、これはさきに国鉄総裁からも申されたように、いろいろな方途を国鉄に命じてやらし、また、私鉄にもやらしておるのでございますか、なかなか思うようにいかない。さらに根本的に申しますならば、この東京都内にある、あえて東京都内に置かなければならないということのない施設を、たとえば学校であるとか、たとえば各省における調査機関だとかいうようなものを周辺に移転をして、新たな町づくりをやることも根本的な解決の策の一つじゃないだろうかというように考えまして、そっちの方面から内閣におきましても検討しておるのでございますが、私どもといたしましても、そういう見地から根本的な緩和策を考えねばならぬ、かように考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 交通行政を行なう官庁についてみますると、言うまでもなく運輸省指導監督して、それで建設省は道路建設、運営管理をやっているわけですけれども、それで警察庁が取り締まりというふうに、個々別々に行なわれておろうかと思うのです。その上に実際の運営ではさらに複雑になって、地方自治体とか、あるいはいまお伺いした国鉄、私鉄、こういうふうにそれぞれなわ張りがあって、非常に混乱状態になっておるのが現状ではなかろうかと思うのですけれども、この点はいかがですか。これを私がお伺いする本旨は、こういうふうに交通行政か統一されないままに各個ばらばらに行なわれておると、こういう問題があるのではなかろうかと考えられるのですが、その点はいかかですか。
  29. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) もちろん全部を統合して一元化のもとにやることが一番理想的でございますが、いろいろな歴史、財政の事情等々がございまして、なかなか統一してやるということは困難でございます。が、しかし、なるべく便宜そういうばらばらにならないように、各種の委員会、協議会を通じまして連絡をしてやって御不便のないように努力いたしておるというのが現状でございます。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御答弁では、やはり一元的に交通運営をやるのは、いまおっしゃったような隘路があって困難だということでございますけれども、こういう原因は、根本的に探究してみると、いわゆる政府に総合交通政策というものがなかったからではなかろうかと、まあいままでの慣例があるとか、予算関係、これはもうあちこち各個ばらばらにあるより、一つに総合したほうが予算的にはよけい経費節減もできるかと思うのですね。だからそういうことは理由にならぬと思うのです。いままでの慣例もあるし、これは今後総合交通政策を打ち立てて解決する問題だと思うのですね。だから、いろいろ厚い壁もあろうかと思いますが、やはり根本的には総合交通政策をしっかり打ち立てて各個ばらばらな行政を排除していかなければいかぬ、まああしたからすぐというわけにはもちろんまいりませんけれども、そういう総合交通政策をまず打ち立てて、その線に沿うて年次計画改善していくと、こういう方向に向かって前向きに努力をしてしかるべきだと思うのですが、この点についてはお考えはどうですか。
  31. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 全く御指摘のとおりでございまして、その基本をどうするがいいかというので、交通基本問題調査会というのかございまして、過般一部の報告が出ましたが、それに従いまして、先生指摘のような方向へ、その壁を破りながら、ばらばら行政を一本化するように努力いたしたいと考えております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 やはりいまの特に大都市については、いろいろ問題が多いわけですね。いわゆるそういう観点から、産業とか文化とか人口、こういうものをにらみ合わせて、やはり再配置計画を立てる、これは運輸省だけでできる問題じゃもちろんないわけでございますけれども、こういう計画の上に立ったお考えはいかがですか。別にこういうことは考えておりませんか。こういう点についてのお考えをお伺いしたい。
  33. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) それがただいま申しましたように、運輸省といたしましてもいろいろな考え方がございますが、全部交通基本問題調査会の答申を待ちまして、その一番いい案に向かって統一するように努力いたしたい、かように考えております。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあほかの問題でも、道路とか橋梁を改善するとか、いま都内で盛んに急いでおる地下鉄の建設とか、高速自動車道路の建設とか、そういういろいろな問題が多角的に計画、実現されて、だんだん改善されておると思うのですが、都内の道路交通もだいぶん進んでおりますし、地下鉄も高速道路も着々予定のように進んでおるようでありますけれども、やはりこういう点に一そうの努力を払わない限りは、なかなかいまの都市交通問題も、単に東京だけの問題じゃないと思うのですが、全国的に見て大都市はいずれも同じような状態を繰り返している。ただ名古屋だけは、あそこはああいう焼け野原になって、あとから大道路――道路の率も欧米のその比率に比較してあまり劣っていないと思う。名古屋――おそらく日本国内で名古屋の道路の比率は相当高いと思う、日本では。そういう方向に努力してしかるべきだと思うのですが、そういうことについての御計画は別にお考えはないですか。
  35. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 道路については、おそらくは建設省がそういうような計画を持っておると思いますが、その道路に走らすバスについて、あるいは路面電車について、あるいは地下鉄についてというような個々の問題につきましては、私どもの省といたしましても研究いたしておりますが、それよりも先生が御指摘になったように、ばらばらにやらずに統一して最もいい方法でやるということが一倍大事かと思います。どうすることが一番能率的であり、一番いいことかということは、交通基本問題調査会の結論が出ることを待ちまして、その結論を尊重して、それがいいと思うことは、政府でできることは政府でやるし、民間でやらせることは指導してやらせるようにいたしたいと考えております。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 法規の上でも、道路交通法とか、いろいろ道路交通関係法案があるわけですけれども、こういうものは、やはり時代に即応した根本的な修正を行なって、いわゆる道路運送事業の近代化というような問題、交通事故の処分についても合理的な制度をここで確立する時期に来ていると思うのですが、こういう点についてはいかがお考えですか。
  37. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 時代の必要に応じましてそのつど改正してまいりまして、順次改善されつつあると考えております。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時代に即応して順次改善していくということならば、みんなその中に含まれてしまうのでありますか、具体的には、別にお考えはないですか。いまのお答えは決して間違いだとは申しませんけれども、あまりばくとしておって、具体的には、別にお考えはございませんか。
  39. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) これはなかなか具体的にここでどういうことという考え方を申し上げるものを持っておらぬことははなはだ残念に思いますか、どうしても日常必要に応じてやるという以外に、なかなかないのですよ。伊藤さんも賢明でありますから、そういうことはおわかりだろうと思いますが、なかなか壁かいろいろなところにありまして、これが一番いいと考えても、いやもう権利じゃ義務じゃというような問題になって、なかなか所有権をどうするとか、土地、道路の一坪取るのにもなかなかできぬというような実情、いわんや抜本的な……。名古屋のようにさら地になったところへやるならいいけれども、なかなかめんどうな問題があるということは、御賢察を願いたいと思います。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お答えは決して間違いとは思いません。困難性もよくわかりますから、一応了解いたします。  いろいろ総合対策が運輸省を中心に進められていると思うのですが、ここで特に申し上げたいのは、安全性強化ということに開運して、いわゆる交通労働者の労働条件の改善ということは一つの大きな問題だと思うのです。こういう点については、大臣として、いかがお考えですか。
  41. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は常々考えておりますが、どんないい機械、どんな精巧な機械ができましても、全部ひとりで動くということはないのです。みんな人間の方によるのですから、その問題については、私はどうしても人間の問題ということを同時に考えなければいかぬということを考えておりまして、それには労務者が労働しやすくなるように、いわゆる環境の改善、あるいは勤務といいますか、作業時間の短縮、いろいろな面で、労働力を保全する等のことも考えてやるべきであると考えまして、私は常々その点に意を用いまして、運輸行政をやっているつもりでございます。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 よく都内のタクシーなんかに乗って、いろいろ運転手さんに実情を、運転してもらいながら話を聞くわけですけれども、この間メーター制が変わって料金が上がったわけですが、そういうことが少しも労働者を潤してないわけです。それで労働時間など聞いても、ずいぶん、私たちの想像以上な、いわゆる過重労働をやっておって、ずいぶん危険な仕事であるにもかかわらず、かなりの労働で、しかも料金も安い、こういうことで、ここで大臣にお伺いしてどうこうというのじゃないですけれども、これは交通労働者の労働条件がいわゆる交通安全とは切っても切れない緊密な関係にあるということを、大国もよくかみしめていただいて、今後こういう点をひとつ十分重点的に対策としてお考えおきいただきたいということで、いまお伺いしたわけです。  なお、都市交通を円滑にするためには、いろいろ問題があるわけです。たとえば大衆輸送を優先的に考えるとか、あるいは公共の輸送を優先的に考える、これは当然であろうと思うのですが、そういうことに関連して、いわゆる通勤とか通学の輸送の問題があるわけです。あるいは日常生活必需物資の優先輸送、こういうものは十分考えられていると思うのですけれども、それから必要に応じて交通調整機関を設置する。先ほども申し上げたわけですが、なかなか一躍総合交通行政というわけには参りませんけれども、一歩々々近づける意味で、なるべく総合的な行政を行ない得るよう近づけていく、そういう努力は必要ではなかろうかと思うのですが、この点はいかがですか。
  43. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 全く御趣旨のとおりの方針でやっておりまして、急速にその理想の域に達せぬことを残念に思っております。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それと、交通安全の問題ですぐ頭に浮かぶのは踏切改善ですね。これは率からいっても踏切事故が圧倒的に多い。こういう現実から見ても、この踏切改善促進は緊急の要務であろうと思うんです。まあいろいろ方法はありますけれども、立体交差にすれば理想的ですし、これも大臣立場からは、なかなか予算があって、思うように意にまかせないという御答弁であろうかと思うんですが、それにしても、いわゆる保安施設を充実する――全国を旅行しても、こんなところになんにも保安施設もない、これは危険だなというような感じを持つところが、国鉄に限らず私鉄、あらゆる面に総合的に考えられるわけです。こういう点については、もちろん年次計画でそれぞれ計画を進めておられると思いますが、その展望についてはいかがですか。少なくも、踏切交通事故が多い現状から見て、ここに一つの重点を置いて、この年次計面で、いずれは全国にそういう危険な踏切はなくなすと、こういう方向はきわめて大事な施策一つであろうと思う。あえてお伺いしたい。
  45. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) それはこの前のこの内閣委員会国鉄総裁がお答え申したと思いますか、私も、いまこの数字を、何年というのをさだかに記憶いたしておりませんが、年次計画によりまして、少なくとも事故の多いような踏切から順次直していきまして、何年後と申したかちょっと覚えておりませんが、一定の計画をつけて、何年間の間には少なくとも全国の交通ひんぱんの個所の踏切はなくするように努力いたしたいと思います。また、施設につきましては、踏切改良促進に対する補助金等も出しまして、できるだけ私鉄についてもそういう方針に従ってやっていきたいと思っております。
  46. 廣瀬眞一

    政府委員廣瀬眞一君) いま大臣が大綱について御答弁申し上げましたが、若干補足いたしますと、踏切道改良促進法によりまして、国鉄、私鉄を問わず、一定の計画のもとに重点的に踏切道の改良を計画しておりまして、年次計画によりましてきちんと進めております。国鉄につきましては、先ほど国鉄当局からも説明がございましたように、昭和三十九年度におきましても、踏切改良を含めました保安対策費というものは、政府といたしましては国鉄要求どおり認めておりまして、着々と、立体交差であるとか、あるいは踏切道の防護の関係、遮断機を設ける、あるいは警報機を設けるというようなことを進めております。なお、この計画は、当初国鉄考えておりましたよりも、種々のいきさつにかんがみまして非常にスピードアップをして実施をしておりまして、大体計画どおりいまのところは進めておるつもりでございます。なお、私鉄につきましては、いま大臣から答弁申し上げましたように、比較的経営内容の悪い会社に対しましては一定の補助をしております。なお、立体交差等につきましては、これは大きな私鉄でも、個所によりましては非常に金額がかさむものでございますから、開発銀行の融資等も極力あっせんして、これもほぼ計画に近いかっこうで進めております。なお、今後、国鉄、私鉄を問わず、事故の半数以上はやはり踏切に基づくものでございますから、運輸省といたしましては、立体交差を含めまして、踏切の改良というものには従来以上に努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 約束の時間がたちましたので、時間厳守でまいります。そこで、あと最後に一点だけお伺いしますが、これはもう建設省に関係のある問題ですが、さりとて、やはり交通行政の一環として運輸省と緊密な連携が必要であろうと思ってあえてお伺いするのですが、ヒルとかデパートあるいはホテルとか劇場、こういう大きな建物の建設にあたっては、必ずある一定の駐車場の設置を義務制にするとか、既存のデパートとかホテル、こういうのを見ても、都内のそれを見ても、駐車場の完備しているのはあまり見受けないわけですね。デパートで特に駐車場の完備しているのは、新宿の伊勢丹などは模範的だと思うのですが、ああいう施設はあまりほかのデパートには見受けられぬわけですが、これは建物ですから建設省の所管になろうかと思うのですが、そういうような問題。それから、それと開運して、自家用車の所有者についても駐車場とか常置場所の設置、こういうものを義務制にする。依然として道路に車が駐車されておる現状考えたときに、これは義務制にせぬとなかなかはかどらぬと思うのですね。それと、公有地があった場合には、これは優先的に公衆のいわゆる駐車場として、大体、都市に近い道路にはもう一切駐車を禁止する、そういう駐車禁止地域の拡大、こういうことをあわせて行なって、交通安全という目標に向かって具体的な努力を払うべき時点に来ておろうかと思うのです。この点を最後にお伺いして、時間が参りましたから……。
  48. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) ビル等新築の場合の駐車場設備の問題は、お話のように、建設省の所管でございますが、最近の新しいビルにつきましては、建設省のほうもその指導をいたしまして、御承知のように、ほとんど地下に駐車場設備を持たすようにいたしております。それから自家用車について車庫を確保さす件につきましては、前々通常国会におきまして自動車の車庫の確保に関する法律を御承認いただきまして法律化できたわけです。それによりまして車の所有者は常に車庫を持たなければならないと義務づけまして、その適用地域を逐次ふやしてまいりまして、現在まで六大都市等にそれを広めてまいっております。今後さらに実情に合うようにこれを拡充していく考えでございます。それから国有地等公共の用地につきまして、大都市において駐車場等に優先的に使うべきであるという御意見でありますが、これもすでに二年以上以前の話になりますが、国有地等公共用地の使用につきまして、駐車場あるいはターミナル、そういう施設に優先的にこれを使うようにという閣議了解もございまして、その線に従いまして運輸省なりあるいは建設省のほうでその計画を進めてまいります。今後こういう問題につきましては、さらに一そう充実した施策を講じていきたい、かように考えております。
  49. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後は二時に再開し、質疑を続行することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十九分休憩    ――――・――――    午後二時十五分開会
  50. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、午前に引き続き、これより質疑を行ないます。政府側から、ただいま綾部運輸大臣佐藤官房長木村自動車局長栃内航空局長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  51. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 運輸省の設置法につきましていろいろお尋ねをいたしたいわけなんですけれども、きょうはあと外務省設置法の問題が控えておりますから、二つの点についてお尋ねをいたします。  一つ自動車局の問題なんですが、これは去年の運輸省設置法の一部改正法律案を審議いたします場合におきましてもお尋ねをいたしたものであります。しかしながら、本年もやはりなかで、重ねてお尋ねをして問題を指摘をして、要望をしなければならぬ点は要望いたしておきたいと思います。御承知のように、自動車数の増加が非常に激しくなっておるわけですが、所得倍増政策どころの騒ぎじゃなくて、たいへんな増加をしてまいっております。さらに旅客自動車運送業者、貨物自動車運送業者、こういうものもたいへんな勢いで発展をしてまいっておるわけです。自動車の数でいいますと、この十二年くらいの間に十三倍ぐらいにふえていますし、貨物自動車の運送業者の数にいたしましても十倍程度、これは依然として三十七、三十八、三十九と、 これからも非常な勢いでまだまだ発展をするわけなんですが、ところが、行政体制がそれに即応していないという問題なんです。当委員会は、こういう問題に関心を持っておる委員会でございまして、とにかく行政需要量というのは非常な勢いでふえるけれども、行政に従事する公務員の数というのは、はなはだしくふえない。ウサギとカメどころの騒ぎじゃないのですね。ですから、こういう点から来る実際公務員の――陸運事務所なり、あるいは陸運局なり、あるいは自動車局等におけるこの執務の状況というのをどういうふうに見ておられるのか。これは自動車局長でよろしゅうございますが、お尋ねをしたいと存じます。
  52. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 自動車行政は、ただいま御指摘のように、自動車両数の急激な増加に伴いまして、行政事務が非常にふえてまいっております。一例を申し上げますと、昭和三十年と現在とを比較いたしましても、車の両数が四倍半くらいにふえてまいっております。それに対しまして、自動車行政をあずかる要員は、昭和三十年に比へまして、本省、陸運局、陸運事務所を含めまして約四割の増加にしかなっていません。したがいまして、車のふえたのに比較いたしますと、一割程度しか増員ができなかったということで、非常に職員一人々々の業務屋の負担はふえております。ただその間、われわれといたしましても、一方において、できるだけ業務の簡素化、合理化をはかって業務母の負担の軽減にも努力をしてまいっておりますが、比較される数字が、ただいま申し上げましたような各段の開きがあるものでございますので、業務の負担は相当なものでございます。毎年われわれは業務量に応じて必要な人員の確保に努力をしてまいってきてはおりますけれども、単に業務量の増加を理由にして政府公務員の人員をふやすということは避けるということが政府の方針でもございますので、なかなかその辺が事務的な折衝も困難でございまして、ただいま申し上げましたような結果で、業務量の増大に比較いたしまして人員の確保はきわめて貧弱であるという実情は、率直に申し上げざるを得ないと思います。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま、局長は三十年の基準で申されましたが、私、去年も問題にいたしまして、本年もまた問題にいたしたいのですが、昭和二十五、六年というころから比べますというと、十四倍くらいになっておるわけですね。  それで人員はその昭和二十六年の人員よりまた少ないわけですよ。で、二十八年に、このときは政府全体としての人員の引き締めがありまして、減ったわけですが、しかしながら、逐年少しずつではありますけれども、ふえてはきているけれども、なお、昭和二十六年の人員の段階にまだ達しない。本年八十名程度ふえて、何とか昭和二十六年当時の数字に返るという状況です。これは、私どもとしましては、はなはだ遺憾に思っておりますが、大臣はどういうふうに考えておられますか。これははなはだおかしいですよ。これを大臣ひとつ。
  54. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御趣旨のとおりでございまして、私どもといたしましては、少なくとも事務屋に匹敵するような人員の要求を毎年いたしておるのでございますが、国家財政の都合その他によってその希望を達せ得られないために、自動車局各部の職員には非常に過重な業務負担になっておることについては、まことに遺憾にたえないと思います。今後もその増員について努力いたすと同時に、事務の簡素化をはかることによって、なるべくその負担を軽減するように努力いたしたいと思います。まことに鶴園委員指摘のとおりでありまして、ほんとうに気の毒なんでございます。ところが、なかなか行政管理庁はじめ大蔵省等におきましてその予算を認めていただけないのでございまして、まあ、努力いたしておるというのが現状でございます。
  55. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、こういうふうに、いまの日本政府の行政需要の中では非常な特殊な増加を示している部面なんですね。その部面に対しまして配慮がきわめて足りない。こういうおかしな話では、これは一体陸運行政というもの、あるいは自動車行政というものが、全く軽視されておる、あるいは無視されておる――と言うと幾らか言い過ぎかもしれませんですか、そういう感じを強く持つわけですかね。私の委員会は、御承知のように、こういう定員関係あるいは行政組織、こういうものを取り扱っておりますから、したがいまして、毎年こういう設置法が出ましたときに、こういう行政需要量というとのと人員関係というものについては論議するわけでありますが、これほど極端なところはほかにないのです。ちょっとひどいところがございますけれども、それは通産省の特許庁、これもひどいですが、しかし、これほどじゃないですね。まあ、正確に行政需要量がどれだけふえるということは言いにくいかもしれませんが、しかし、ほぼ推定はつく。とにかく、こういうふうに自動車数というようなものが十五倍になってくるというその間に、人間は昭和二十六年の段階にまだ達しないというのでは、いかほどこの陸運行政、自動車行政というものが軽視されているというのか、あるいは無視されているというのか、しかも、いまこの自動車行政が非常に大きな社会問題になっておることは御承知のとおりですね。どうも私はこれは合点がいかないのですね。いろいろ努力されておると言うのですが、少なくとも私ども行政組織、定員の関係を見ておる者から言わせますと、こういうひどいところは少ないのですね。少ないと言うよりも、ないじゃないか。だから、政府がやっております、できるだけ人員の増加することを押えていきたいという点をあまり画一的にとられますと、こういう非常に奇妙なところが出てくるという印象を受けるわけですかね。大蔵省に来ておいてもらうとよかったですね。どうもこういうのは合点がいかない。自動車局長、何かありますですか。私はどうも各省の問題を見ておって、これは自動車局長なりあるいは運輸省としては、自分のところは見ておられるかもしれない。しかし、私どものところには各省も来ますから、はっきりわかるわけです、定員のふえるやつは毎年出ますし、減らすにも全部出ますから。私も五年おってこの問題を審議しておりますけれども、こんなひどいところはないのですね。どういうところに問題があるのか。実際タッチしておられる局長のお考えを承りたいと思います。
  56. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 自動車行政の責任を負っております私といたしましては、この問題は常に苦心をし、頭を悩ましておる問題でございますか、過去十何年の間努力を続けてまいりながら、こういう増員の状況でございまして、容易に急角度に思い切って増員ができるかどうかということは非常に問題でございます。そこで、昨年来何らかの方向転換をして、増員の面のみならず、施設等につきましても少しでも拡充ができる方途を考えたいということで、特に自動車の両数の増加と全く比例して業務がふえますのが、自動車行政の業務の中での車両の登録業務とそれから車両の検査の業務であります。これにつきましては、それぞれ手数料というものをもらっておるわけでありますので、この手数料を収入といたしまして特別会計制度を確立いたしたい、こういうことで国会の御審議をいただきまして、今年度から車両の登録と検査業務につきましては特別会計制度を実施することになったわけでございます。もちろん、特別会計制度でございましても、定員の面につきましては一般会計と同じ扱いを受けるわけではございますけれども、人件費はやはり特別会計の中で負担するという関係にございますので、ことしは特別会計設置の初年度でございましたから、いろいろ困難な事情がございましたが、第二年目の来年度からは、この特別会計制度のもとにおきまして、一般会計制度のときよりも、ある程度、人員につきましても従来よりもよりよい人員確保の道が開けるであろうことを実は期待もし、ある程度そういう気持ちでおるわけであります。また、そういう気持ちで来年度の予算折衝等もいたしたいと考えております。さしあたっては、昨年もそうでございましたが、業務の処理上どうしても必要の場合には、臨時に労務賃でもってアルバイトのようにして人を雇って手伝いをやらしておったわけであります。ことしも年度当初からそういうふうなことを方針として打ち立てるということは、この制度の趣旨から困難とは思いますけれども、どうせ仕事をやってまいる途中におきまして、陸運局によりましても事情は異なりますが、そういう必要が出てくるであろうことはほぼ察知できるわけであります。そういうふうな場合に対処いたしまして、昨年とりましたと同じような方法をことしも年度の経過によってとらざるを得ないであろうというような心づもりはいたしておるわけであります。ただ、非常にびぼう策ではございますが、そういうふうな苦しい中から知恵をしぼり出して、できるだけ業務の遂行の円滑と職員の業務の負担軽減ということに、狭いながらもできる限りの範囲内において努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、定員の関係それから行政組織、こういうものをずっとここで審議する中で思うのですけれども、行政管理庁なりあるいは大蔵省が人員を抑制をしていくという中で、三年、四年たつ中で、それぞれ行政需要量というものに応じて定員の配置を考えるのかという気持ちも持っておったわけですが、いつまでたっても同じような方向で押えつけることしかやらないのですね、いつまでたっても。これは行政管理庁が怠慢だといえば怠慢だということになりましょうが、行政管理庁自身がどうも人員が足りないということもあるかもしれませんけれども、どうも行政需要に応じて人員というものは合理的に配置するというそういう心がまえというものが、運輸省のみならず、行政管理庁あるいは大蔵省にないというふうに思うのですね。これは、だから、行政管理庁の問題にもなりますしいたしますが、ただ、いま局長のお話しになりました、こういう非常に困った実情の中で三十九年から車検、登録の特別会計ができる、そういう中で定員の関係についてもある程度合理性を持ち得るのではないかという期待なりそういう希望を持っておられるようですけれども、これは大臣、具体的に前進するものでしょうか。確かに、特別会計になりますれば、人件費等の問題について便利にはなりますね。その意味で前進するのではないかという期待を持つわけですし、局長もそういう答弁をなさっておられるのですが、どうも局長の答弁ははなはだしく内輪のように考えられますが、前進するというふうに見てよろしゅうございますか。
  58. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 人員増加につきまして一番問題は、負担が国庫によけいかかるということが一番問題でございますので、その点においてはその隘路を自分で切り開くようなことになりますので、私は担当のその面における人員の増加は可能になるものと確信いたしております。と申しますのは、車検の手数料は集めましてみな国家の雑収入の中に入れちゃって、そして行政費は大蔵省が割り当ててくれるものですから、実に、いままで行政管理庁もさることながら、大蔵省が一番難点であったのでございますが、その経費の面における難点がこれによって若干緩和されると思います。年を追うに従って、自動車行政が自動車がふえるに従いましてその手数料は漸増してまいりますから、その漸増する手数料に応じまして人員の問題も解決できるのじゃないかと考えております。
  59. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣局長も、車検、登録の特別会計ができることによって人員の問題についても明るいお話でありますし、確信を持っておられるという話でありますが、なおこの問題は、御承知のとおり、やはり非常に努力をしていただかなければなかなか問題は残るわけでございますから、私もその意味局長なりあるいは運輸大臣の今後の努力を期待して、明年を――また明年もどうせ出てくるのですから、いいかげんな努力ではなりませんから、明年を待つことにいたしましょう。  それから、先ほど局長がお述べになりました、昨年この運輸省設置法の一部改正を審議しますときに、急場しのぎに人夫賃名儀の――人夫賃と申しますか、賃金支弁の職員を置く、アルバイトを置くということたったのですよ。その数字が二十八名と、こうなっておるわけですね。ことしも、先ほどの局長のお話ですと、当然こういう人たちを置いてやっていかなければならないというお話のようですが、これはどういうふうになっておりますか、この二十八名は。もっと私はたくさん要るのじゃないかと思って、六十名くらいは雇われるのじゃないかと思ったら、たった二十八名になっちゃっておるのですが、これはどういうふうになりますか、三十九年、本年は。
  60. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 昨年賃金支弁で二十八名のアルバイトを使ったわけでございますが、これも昨年の年度の経過の途中におきまして、各陸運局でその必要の人員をそうすることによって手伝いとして確保してまいった。ことしも定員の増加がわれわれの希望するところよりはるかに下回っておりますので、おそらくこういう必要が出てくるであろうことを考えております。ただ、昨年は定員といたしまして五十名の増員でございましたが、今年度はそれより三十名ふえまして八十名というかっこうになっております。したがって、昨年に比べまして三十名はとにかく定員の面でふえたわけでございますので、こういう三十名の定員増をあわせ考えまして、今後賃金支弁によってやむを得ず人員をまかなうという問題につきましても、この点を考慮をしておるわけでございますが、これはいずれも陸運局の実情によってそれぞれ異なるわけであります。したがいまして、最終的には陸運局長の責任と判断におきまして、自局の事務処理上こういう賃金支弁によってやむを得ず人を補充するという措置を講じて業務をやることでございまして、当初から幾らということを指定することはいろいろ問題もございますし、また、性質上そういうことに向かない問題でもございますが、一応先般実行予算の各陸運局の配賦の際に、ごく事務的ではございますけれども、万一そういうふうな必要が起きた場合にはというふうな前提でもって、昨年の実績から見まして、また、本年の定員の増加の人数も考慮いたしまして、昨年の半分程度のものを頭に入れてそういう場合には対処するようにというふうなことは連絡はいたしておりますが、しかし、先ほども申し上げましたように、そのときの陸運局の実情に応じまして必ずしもこれにこだわる必要はないので、非常識なことがあってはもちろんいけませんけれども、常識の範囲内におきましては、陸運局においてどうしても必要だという場合には、これによらないで、適当に賃金支弁で仕事をやっていくということもやむを得ないこととして、われわれは陸運局長にも話をしておるわけであります。
  61. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この人員の行政需要量といいますか、あるいは別なことばではっきり言えば、自動車数の増加なり、こういう問題と定員のふえ方を過去七、八年見ておりますと、三十三年、三十四年、三十五年、三十六年ごろまでは、まあスズメの涙みたいですけれども、とにかくよかった。ふえ方かよいのですが、三十七年ごろから落ち始めまして、ふえ方があまり思わしくないですね。逆に減っておるわけですね、このふえ方が。三十九年は八十名ということですが、三十五年で見ますと、百十一名という数字ですね。三十三年は百三十五とふえておるわけですが、落ちちゃって、去年は五十名、本年は八十名、その前の年は七十二名というふうに落ちておるわけですが、本年はどの程度の人員を要求されたわけですか、行政管理庁並びに大蔵省に対しては。
  62. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 当初の要求の場合と、逐次折衝を重ねてまいって変化をいたしておりますが、大体二百五十名前後の要求をいたしておったわけでございます。
  63. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は正確なことはこれは申し上げにくいのでありますけれども、二百五十名という数字は非常に内輪に見積まれた数字ではないかと思うのです。北海道開発庁はこの間千三百名程度要求をしておりましたが、それから法務省の中の法務局というのがありますが、ここが非常に忙しいところです。登記などで非常に忙しいところで、ここがやはり千三百名くらい要求いたしまして、二百名くらいの定員増になっておりますが、この二百五十名という数字ははなはだしく内輪の要求のように思うのです。で、先ほども一つの例で申し上げました通産省の特許庁、これも非常に需要量がふえておるわけです。その要求なんか見ている場合に、この自動車局の二百五十名程度というものは、私ははなはだしく内輪な数字のように思います。それは一応おきましょう。おきまして、二百五十名程度の御要求をなさったわけですが、実際は八十名、それでアルバイトが必要であるということは、その想定に立っておられる。したがって、今後必要に応じて陸運局長の判断によってその数字がまたきわめて少なくなっちまう。三十八年は二十八名であったけれども、本年は半分程度、その他については、陸運局長の判断によって常識をはずれない限りにおいてはやってもいいということでありますけれども、これは、どうもつじつまがはっきり合わない。そこら辺をはっきりしていただかないと、来年の人員増の場合にまた困るわけです。ですから、いま局長のおっしゃった半分程度にへずったということについては、もう少し局長のほうの考慮を願いたいと思います。いかがでございますか。考慮はしておられるようでありますが、一そうの考慮が要るのじゃないかと私は思います。
  64. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 先ほども申し上げましたように、年度当初のことでもございますので、先ほどのような考えで指示をいたしておるわけでございますが、もちろん、お話しのように、年度が進んでまいりまして、実際に陸運局長が、これだけの人夫賃を使わなければ仕事がやっていけないというふうな判断が立ちました場合には、十分それは聞いてやってやりたいと、かように考えております。
  65. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長に重ねて、その問題についてはひとつ今後の人員の増加の問題もありますし、また、現実に自動車行政推進の必要もございましょうから、さらに一そうのひとつ配慮をしてもらうように要望しておきたいと思います。  そこで、次に、こういうことで自動車行政についての、車検あるいは登録、こういう関係につきましては特別会計という制度もできまして、大臣も御答弁のように、これからの人員の確保の問題についても推進できるのではないか、推進できるというふうに思われますが、それ以外の問題にしわが寄るのではないかという心配をするのですけれども輸送系統の問題はどうでしょう。私の手元東京陸運事務所の街頭監査の資料が出ておりますか、これを見ても、この街頭監査というようなものは、これは短時間――一時間程度やられるわけですか。どうですか。実情を知っておられる方いられますか。街頭監査というのは毎月一回程度やられるのですけれども、一時間くらいやられるのではないでしょうか。
  66. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 街頭監査も、監査の内容によりまして違いますが、半日やることもございますし、数時間やる場合もございます。
  67. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この監査を見ますと、この検査台数が非常に少ないのですね、車両数が。ですから、おそらく非常に短い時間、一時間かあるいは二時間程度のものじゃなかろうか。あるいは通っていくやつはそのまましちゃって、とめ得る限りのものをやっておられるのかもしれません。しかしながら、違反件数が非常に多いのですね。会計検査院もいろいろやっておるようですが、それらの違反件数というようなものと比べてみますと、はなはだこの街頭監査の結果が違反件数が多いのです。場合によりますと、半数がいけない。つかまえますものの半数がいけない。これはやはりどうも私は問題があるのではないかと思うのですがね。輸送系統についても、これは免許はしっぱなしということになりがちなようですし、あとの監査とか監督とかというのはできがたいような状況ですし、街頭監査もはなはだ不十分な状態に置かれておるのではないか。さて、いま申し上げたように、月に一回やってみると、とめ得る限りの車をとめてやってみると、半数は違反だというような件数が出てくる。これでは、またこれも問題じゃないかと私は思うのです。ただ、私の心配しますのは、どうも、いままでもそうですが、輸送系統はなかなか人員かふえなかった。ほとんどふえない。そこで車検とか登録とかという関係でふえたものをそっちに幾らかずつ回しておったという傾向があるわけでありますけれども、この輸送系統についての人員の問題について、局長どういうふうに考えておられますかお尋ねします。
  68. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 車検、登録につきましては、申し上げましたように、少数ではありますが、とにかく毎年何がしかつけて現在に至っておるわけでございます。ところが、管理行政といいますか、輸送行政につきましては、これはかつて、ごく少量でございますが、増員を認められたこともございますが、ほとんど認められない年が多いのでございます。その点につきましても一番われわれが苦慮いたしておる点でございまして、先ほどの街頭監査の点について申し上げましても、ほんとうはパトロール要員を十分に持ちまして、そうして十分な街頭監査をすることによりまして、輸送の秩序も運行の安全も期せられるわけでございますが、遺憾ながらそれに十分振り当てるだけの要員も持ち合わしていません。そのほうに力を注ぎますと、その間は陸運局なり陸運事務所が留守になりまして、普通の業務ができないというふうな関係でございます。そこで非常に乏しい陣容ではございますが、いろいろとやりくりをいたしまして、最大限度に能率を発揮して、最小限度の人員でもってできるだけの効果をあげる方法を立てるためにいま苦慮いたしておるわけでございます。いままでは車両検査、登録に絶えず少数の要員がついておりましたのを、便法としてそのほうへ使用しておった事実もございます。そういうふうなことで、実は輸送行政事務も非常にふえてまいっておりますので、これにつきましてはそのしわ寄せがどこに来るかと申しますと、許可なりあるいは認可なりに非常な日数かかかって、そうして国民の非難を受けておったわけでございます。これを少しでも解消したいために、最も効果的な方法は増員でございますが、これが意にまかせないということで、やむを得ず、極力業務の簡素化なりあるいは手続の簡素化、合理化ということを毎年研究してまいりまして、そのほうでもって事務処理の促進あるいは事務処理の遅延を防止するという努力をし続けて今日にまいっておるような状況でございまして、今回の特別会計制度ができましても、輸送行政のほうは従来と同じ悩みがあるようでございます。これにつきましては、毎年相当な人員の要求をしながら確保できておりませんが、今後ともさらに一そうの努力をいたしまして、少しでも人員をふやしてまいる、また仕事のやり方もさらにさらに検討いたしまして、やりやすいように簡素化、合理化をはかっていきたい。こういうことでこの急場をしのいでいく以外には実は現在のところ方法がないわけであります。
  69. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま局長の御答弁になったとおりだと思うのですけれども、しかし、ほんとうに残念に思います。まあ、街頭監査いたしましても、こういうふうに違反が多いということになりますと、これはやはり問題になります。それから、許可をするが、あとの監査、こういうものはほとんどできないという状況になっております。ですから、いまや輸送系統は天井行政――手をこまねいて天井向いてうまくいっておるだろうということにならざるを得なくなる。ですから、いま局長のおっしゃるように、一そうこの面についてのひとつ御努力を要望いたしておきたいと思います。  次に、時間がだいぶたってまいりましたが、陸運事務所の公務員は地方上自治法の附則によりまして御承知のとおりですね、で、最近臨時行政調査会のいろいろの調査その他も出ておりまして、この際これを地方公務員に移したらどうかという感じもあるやに聞いておるのですが、運輸省の見解はどうなっているのか。これは昨年もお尋ねいたしました。昨年の御答弁は、運輸省としては国家公務員としておくというお話でありましたが、本年は少しばかり臨時行政調査会で出ておりますから、重ねてお尋ねしたいと思います。
  70. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私どもといたしましては、’自動車行政の一貫を期する意味において、従前と変わらない方針をとっていきたいと考えております。
  71. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、航空局の問題について、自動車はこれで終わりまして、航空局の問題についてお尋ねしたいと思います。  この航空局も自動車行政と全く同じような情勢ですね。これは国内定期航空の運航キロ、この数からいいましても、これは異常なふえ方ですね。それから路線にいたしましても、たいへんな激増ふりであるわけですが、喜ばしいことですけれども、しかしながら、行政の要員の面になりますと、はなはだしく人員がふえないわけですね。過去五、六年の定員のふえ方を見てみましても、どうもウサギとカメさんで、一方は昼寝をしないウサギさんですから、非常にこれも私はおかしいように思うのですけれどもね、どうですか。
  72. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) ただいま御質問のございましたように、航空の伸びというものは、非常に目まぐるしいばかりでございます。これに反しまして、航空関係の行政をやっている人員は、本局、地方を通じまして、毎年きわめてわずかしか増加しておりませんが、年とともにこの差が大きくなるということは、まことに残念なことでございます。もちろん運航キロの増加というものに比例して、人員が必要になるということは、正比例はもちろんいたさないわけでございますが、しかし、運航キロが著しく伸びているにかかわらず、人かこれに伴わないということは、いわば航空事業の伸びという非常な強いプレッシュアを、これの行政を行なう側において十分これを受けとめていけないというような状況になっている。毎年予算要求に際しましては、行政管理庁あるいは大蔵省に対して人員の増加要求を強くいたしておるわけでございますが、結果におきましては、期待するほどの増員ができないということでございまして、この本局におきましても、地方におきましても、非常に忙しい、忙し過ぎるというような職務状態になっているのはまことに遺憾でございます。今後さらに予算の面で努力をいたしたいと、かように考えております。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題も、やはり先ほどの自動車行政と同じように、政府として人員を抑制され、そうして、そういう画一的な方針で締められる。しかしながら、そういう中で、行政運営としては、事務量として非常にふえる面があるわけなんですけれども、その面について私は配慮心が足らない、これは大臣の問題として、閣議等においてはっきりそういう話を出してもらって努力していただかないと、これはどうも事人命の問題でありますし、航空機の問題等については、ですからどうも困りますですね。検査や試験業務、これについてもひどいですね、これ。とにかく、三十年ごろから登録機数にしましても三・五倍とか、あるいは技能証明申請件数にしても四・五倍になっているのたが、人員は全然ふえたい。ほとんど全く同じです。今度少しふえるようですね。これでは困るんですね。困るのじゃなくて、お話しのように運営をしておられる航空局長にしてもたいへんだろうと思うんですけれども、ひとつ一そうの御努力を要望しておきたいと思います。  外務大臣が見えまして予定の時間にだんだん近づいてまいりましたが、もう一点程度お尋ねをしておきたいんですが、二種空港、三種空港というのがあるんですね。この二種空港、三種空港の人員の配置ですね。航空局で定員がふえていきますと、ふえた分は既設の空港に配置されるというよりも、むしろやはり地方――ローカル空港に配置される。ですから、二種、三種と配置されるわけです。これはどんどんできるものですから、しようがなくてそういうところへ行くんですが、ところが、実際問題として、第二種空港、第三種空港というところに行ってみますと、これまた非常なものですね。私はいまここで小松の空港をお尋ねしますが、小松は三月末までは六便しかなかった。この四月から一挙にふえまして十便になったわけですが、人員は全然ふえない。中身を見ますと、これはひどいですね。こういう形で運営できるのかどうか。できないと私は思うんですけれども、しようがないから無理やりに、とにかく非常な無理をしてやっておられるというように思うんです。ですから、もっと思い切ってこの空港関係あるいは航空局関係の人員確保については努力を願いたいと思いますが、大臣ひとつ御答弁をいただきましょう。
  74. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御指摘のように、もし人員不足等により航空の事故が起こるとすれば、非常に人命に重大な影響があるわけでございますから、私は予算均衝の場合におきまして強くそれを要望いたしまして、やや大蔵省の認識を得まして、ことに一番むずかしい業務であり、同時に、心身を非常に使う管制業務の従事員につきましては、手当の面でも人員の面でも若干ふえておるんですが、地方の新設される航空局の人員の足らぬということは、全く御指摘のとおりでございまして、今後とも御趣旨に従いまして予算要求に強く要望いたしたいと、かように考えております。とにかく、航空機はもう事故が起こりますというと、全く申しわけのない人命に関することでございますから、今後とも努力いたしてみたいと、かように考えております。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一問だけ伺っておきますが、二種空港まで消防車が配属されております。去年配属されたわけですね、二種には。そこで羽田の空港の消防車を見てみますと、これは動かないですね。私ちょっと検討してみましたが、羽田の空港には大型の化学消防車が三台ある。それに伴う給水車が三台、それに司令車というジープが一台、破壊車が一台、救急車一台、その九台あるんですが、これに対する人員の配置を見てみますと、まことにお粗末ですね。一たん問題が起こった場合に、赤恥をかきますよ。どうやりくりやってみても、動かないのです。せいぜい動くのは司令車――ジープですから、司令とか運転手が乗ればいい。ところが、あとは化学消防車一台しか動かないのです。どうしたってそこへ給水車が一台、それしか動かない。あと動かない。人員の配置を見ますと、それで国際空港でせっかくこういう近代的な車を九台もそろえておるのですが、これは年じゅうあるというわけじゃないからということもあるのでしょうけれども、一たび問題が起こったときには、これはたいへんなことになるのじゃないかと私は思います。それから、去年大分の空港で惨事がございましたですね。大分の空港は二種空港ですから、消防車があった。たまたまそれは修理で自動車工場に入っておったからよかったようなものですが、あれを実際あの空港に消防車があったらあの惨事のときに出ないということになってしまったら、これはたいへんなことで、助かったようなものですが、やはり去年の宮崎の航空大学校で一機落ちましたね。このときも消防車が出動できない、三名焼け死んだということになるのですが、こういう点はもっと配慮をしてもらわないと、日本の面目の問題になりますからね。何とかやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  76. 栃内一彦

    政府委員栃内一彦君) 消防の問題につきましては、私自身も非常に頭を痛めておる問題でございます。消防車自体につきましては、及ばすながら逐次整備してまいっておりますが、人員につきましては、羽田また大阪あるいはローカルを通じまして、御指摘のとおり、不十分な点か多々ございます。この点はもちろん火災ということはいつ起こるかわからぬことでございますので、常時からこれが円滑にいくような態勢をとらなければならない。人員の増加につきましても、毎年努力はいたしておりますが、なかなか認められないという点は非常に残念でございます。今後もできるだけその充実につとめてまいりたいという線で努力をいたしてまいりたいと考えております。
  77. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間が来ておりますそうですが、ただかっこうだけは一応整った、消防車を二種空港まで全部置きましてかっこう整ったけれども、動かないということになりますと、それから、羽田の空港におきましても、いま申し上げたように万一の場合における出動というのができないのですね、これでは。で、二種空港においては一般の職員をどうこうということを言っておられますが、ああいうようなことでは危険きわまりないのですよ。ですから、大臣、この問題については格段の努力が要ると思いますが、どうでございましょうか。
  78. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 非常な強い御要望に対しまして、今後一そう努力をいたしたいと思います。全くお説のとおりでございまして、それを、幾ら大蔵省へ言っても、なかなか、この間管制官をようやくふやしたぐらいでありまして、漸次、御期待に沿うというのみならず、航空の消防の業務が完全に行なわれるよう努力いたしてまいりたいと、かように考えております。
  79. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  他に御質疑は、ございませんか。――別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  81. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますが、衆議院において修正議決されておりますので、まず、衆議院における修正点について、便宜政府から説明を聴取いたします。
  82. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) 外務省設置法は、外務省といたしましては、当初四月一日から施行する予定でございましたが、御審議の模様でおくれましたので、御審議、御採決があってから、内閣で公布後発効するようにいたしたいというのがこの修正の大体の趣旨でございます。ただし十四条と十五条は、移住あっせん所の件でございまして、これは最初から予定どおり十月一日から施行する。それからまた定員関係につきましては、人事管理の関係上、これは遡及さしていただきまして、四月一日から適用さしていただきたい。これが修正のおもな内容でございます。
  83. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) それでは、これより質疑に入ります。政府側より大平外務大臣、高野官房長、藤崎条約局長、谷会計課長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本法案の内容それ自体について、まず大臣にお伺いしたいと思いますが、たまたま昨日の午後、韓国側による例の巡視船の「ちくご」のいわゆる捕獲事件がございましたので、これは緊急性がございますので、まずもってこの点から二、三お伺いしたいと思います。新聞の報道によりますと、昨日の午後特別警戒中の巡視船「ちくご」、これは二百七十トンくらいだそうですが、領海侵犯の理由で韓国警察警備艇、これは二十トンくらいだそうですが、これに強制連行された。強制連行ですから、捕獲と同様であろうと思います。まあ、この問題はきわめて重大な問題であると考えられますので、まずもって、この問題についての真相を御説明いただきたいと思います。
  85. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 五月十三日の午後三時ごろ、海上保安庁より外務省に対しまして、同日午後零時五十五分ごろ、御指摘の「ちくご」が大黒山島東方の公海上におきまして、韓国警察警備艇「ハンサン号」の横づけを受けて、大黒山島方面への連行を求められている旨の報告がありました。そこで外務省より韓国代表部に対しまして、本件に関する事情調査を要請いたしますとともに、日本国の公船たる「ちくご」に対し、もしも強制連行のごとき措置がとられることとならば、重大なる結果を招くおそれがあると、とりあえず警告をいたしました。同日夕刻に至りまして、海上保安庁より、その後「ちくご」――が「ちくご」自体から入った報告によれば、午後三時四十分「ちくご」は韓国側の要請により、大黒山島の鎮里という港に入港し、「ちくご」には韓国武装警官二名が乗船している模様であるとの通報を受けましたので、再度韓国代表部に対しまして外務省から、その後の報告によれば、「ちくご」は鎮里港に強制的に連行された模様であるが、これが事実とすれば、「ちくご」が主張しているように、領海三海里の外にいたのであればもちろん、たとえ韓国側が主張いたしておりますように三海里の中にいたとかりに仮定しても、日本国公船に対する重大なる国際法の違反行為であり、そのもたらすべき影響は深刻であると指摘いたしまして、韓国代表部より直ちに本国政府に連絡して、今夜中に釈放する措置をとられたいと申し入れました。その後、アジア局長よりも代表部に対しまして同趣旨の申し入れを行なうとともに、「ちくこ」が今夜中に釈放されないようなことになれば、事態は非常に重大になるという同様の警告を発したのでございます。しかるところ、午後十時半過ぎ、韓国代表部より外務省に対しまして、「ちくご」が釈放されることになった旨通報があり、また、「ちくご」からは海上保安庁に対して、午後十時四十分釈放されたとの報告がございました。「ちくご」は十五日の朝門司港に帰港の予定でございます。  経過は、以上申し上げたとおりでございます。
  86. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、二、三順次お伺いしたいと思いますが、事実領海侵犯であったのか、それとも公海上であったのか、事実からひとつお聞きしたいのですが。
  87. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 「ちくご」はまだ門司に帰っておりませんし、われわれのほうから韓国側に依頼いたしました事情調査が届いておりませんので、そこははっきりいたさないわけでございますけれども、領海侵犯について双方にやりとりがあったらしい様子でございます。これは、いずれ「ちくご」自体からの報告を聞き、韓国側の調査も聴取して確かめたいと思っております。
  88. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まだその点は明確でないということでございますけれども、その拿捕された際に、「ちくご」としては領海三海里を主張されたということ、この点韓国側は李ライン内は領海であるという主張を続けたこと、両者の対立はどこまでも並行してお互いに譲らなかった、こういうような意味の新聞報道であるのです。そこで、公海上であったかどうかということは、「ちくご」自体はこれは明確にわかるはずだと思うのですが、こういう点はどうなんですか。どうもその点があいまいであったということですが、「ちくご」自体は、いま公海上にあるのか、それとも三海里以内に入っているかということは明確にわかるのではなかろうかと思うのですが、その点はどうですか。
  89. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私は、「ちくご」自体がその時点においてどこに位しておったかということはよくわかっているはずだと思うのでございます。それは門司に帰港次第聴取したいと思っております。
  90. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは「ちくご」は言うまでもなく巡視船ですから、これは漁船とは明確に区別せられる。一目瞭然わかるであろうと思うのですが一目瞭然わかる情勢にあったにもかかわらず、なおあえてこれを強制連行した。これは何と考えても国際法上の違反になる問題だと思うんですが、この点はどうなんですか。
  91. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 領海三海里侵犯の事実があったかどうかということよりも、問題は公船であるということが重大だと思うのでございます。公船は国際条約上特別な地位を持っておりまするし、国際慣列上も特別の取り扱いを受けておるわけでございますので、この点は公船を強制連行するということは、これは穏やかでないことでございまして、私どもといたしましては、十分の事情調査はもちろんいたしますけれども、公船であるということ、そのことに対して先方がとった措置に対しまして、適正な日本政府としての措置をとらなければならぬと考えております。
  92. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この事件に対して外務省はさっそく韓国側に抗議を申し入れたということについての大臣からの御説明、ただいまお聞きしたわけですが、ただ、今朝の新聞報道によると、五月十四日に、きょう予定されている日韓非公式会談の席上で、杉首席代表から裵韓国大使に、今後はこのようなことを起こさないように要望することにしておるとの報道があったわけですけれども、この点はどうなんですか。
  93. 前田利一

    説明員(前田利一君) 御説明申し上げます。  本日、午後二時に予定されておりまする日本側の日韓会談首席代表杉首席代表と韓国側の首席代表のペ義煥大使、このお二人の間に大体一週間に一度非公式会談ということで会合が持たれておりますので、ただいま大臣から御説明のありましたような実情の認識の上に立ちまして、ちょうどいい機会でございますので、杉首席代表からもこの点について遺憾の意を表明し、今後こういう不祥事態の起こることのないようにということを裵首席代表に申し入れるこういうことになっておりまして、ただいま三時からその会合が開かれております。
  94. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで私はお伺いしたいのは、そういう手段は当然のことだと思うのですが、ただ新聞報道によると、「要望することになっておる」というような意味の報道であります。それで、大臣の先ほどの御説明では、抗議を申し入れた。同じ事柄のようで、うっかり聞いているとわかりませんが、これは厳重に区別されなければならぬ。このような大事件でございますから、要望どころの騒ぎでなく、厳重な抗議を申し入れてしかるべきだと思うのですが、おそらくそういうことであったと思うのです。まずこのことは大事な点であるので、大臣からいま一度この点はどうであったのか、要望の程度であったのか、それとも、厳重な抗議であったのか、おそらく後者であろうとは思いますが、念のためお伺いしておきます。
  95. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ただいままでは、起こりました事態の収捨で、早く釈放の措置をとるようにということでございましたが、私が申し上げておりますことは、実情の正確な調査ができますと、私どもといたしましては、今度の不法連行事件に対しましては、所定の手続をとって、いま仰せのように、厳重な抗議をしなければならぬと私は考えております。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外務省の見解と――これは新聞報道によるわけですが、特にいま大臣から御説明があったように、たとえその地点が領海侵犯の域に入る問題であっても、公船である場合は、国際法上抗議されることはあっても、立ち入り検査や捕獲されるようなことはない、こういう意味の御説明であったわけです。このことについては、「ちくご」自体が公海上であったということを主張しておるのですから、これは当然公海上であったろうと思うのです。しかも、かつ、公船である、巡視船というりっぱな公船であるわけです。そういうことから考えて、これを捕獲したというようなことは、あまり前例もないであろうと思うのです、前に。これは後ほど伺いますが、新潟の海上保安本部ですか、一回あったようですが、これは絶えてなかった問題のようですが、そういう意味合いからも重大な問題だと思うのですが、この点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  97. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 国際法上の観点から申しますと、公船、特に非商業的な目的に使われる公船は、特別のステータスを持っておるものだと、そういうところから、公海におる場合には他国の管轄権から全面的に免除される、旗国以外の管轄権には服さないということが、ジュネーヴで海洋法会議というのがございまして、そこでいろいろな条約ができましたが、その公海に関する条約の中にも明記してございます。領海内の取り扱いにつきましてはいろいろ実は意見が分れておりましたために、この領海に関する条約には規定はございませんが、国際慣例としましては、やはりこの種の公船に対しては手出しをしないというのですか、強制力を行使しないのが一般の慣行であると言って差しつかえないだろうと思います。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、重ねてお伺いしますが、立ち入り検査や捕獲はしないことになっておる、国際慣例上。ところが、そのいわゆる立ち入り検査、その域を脱して、これを強制連行したというようなことに大きな問題があろうと思うのです。かりに臨検であっても、これは問題は、そういう御説明に基づくと、問題が残るわけですけれども、この点で問題の重要性はあろうかと思うのですが、この点はいかがですか。
  99. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 御指摘のとおり、先方の官憲が行使した権力の重さに従って、それだけわがほうの権利の侵害の程度も大きいわけでございます。連行というようなことは、最も重大なことであると思います。
  100. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、時間の関係もございますから、重点的にお伺いするわけですが、そこで大臣に特にお伺いしたいのは、韓国側がこのような不法行為をあえて強行したその理由は那辺にあるかということをお考えですか。何か目的がなければ、無意味にそういうことはやらぬと思う。きわめて意図的です、巡視船であるということをはっきり確認できるわけですから。これは、漁船を公海上で云々の問題でも問題は残るわけですけれども、ましてや、国際法上認められておる公船を、そういう不法に捕獲する。何かそこに意図かなければならぬと思うのですが、これはむろん、いまのところまだその集約的ななにはないから判断できぬと言えばそれまでですが、大臣としては、どうお考えですか。
  101. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) どういう意図でそういうことになったのかということにつきましては、実は私も解しかねるところでございます。先方かどのように説明してまいりますか、伺った上で判断したいと思っておりますが、いまの段階では、私には、全然解しかねておる状況です。
  102. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 せっかくお伺いしましたけれども大臣わかっておるのでしょうけれども、まだ国際法上の問題だから慎重を期してということで、それもわかりますので、また機会を見てあらためてお伺いすることにして、そこで、この問題については最後に一点だけお伺いしておきますが、いままでの捕獲事件は一体どうであったか。私が記憶しておるのは、二十九年であったと思いますが、新潟の海上保安部の巡視船の「さど」が済州島付近で韓国警備艇から捕獲された事件があったと思うのですが、これは、今回よりさらに悪質であったと思うのは、銃撃後に捕獲されている。今度は、発砲は、どの記事からも見当たらなかったのですが、そういう事実があったとかないとかということも合わせてお答えいただきたいのですが、このほかに、いま指摘した新潟海上保安部の「さど」以外にもあったのかどうか、そういうことをひとつお聞かせいただきたいんです。
  103. 前田利一

    説明員(前田利一君) ただいま先生指摘のとおり、最も今回の事件に類似しました、あるいはそれ以上の程度にひどかった事件といたしましては、二十九年の二月に海上保安庁の巡視船「さど」が、先方から銃撃を受けた後に連行されて、相当長時間でございましたが、たしか済州島に連行されました後に釈放されたという事件がございまして、それ以外に、李承晩ラインの問題に関連しまして、日本漁船の保護、指導に当たっております海上保安庁の巡視船に、威嚇射撃を加えたり、あるいは停船を強制したりという不祥事件が、これまでに、私の記憶によりますと、今度の事件を加えて八件くらい生じていたように記憶しております。
  104. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、この問題は本日のところはその程度にとどめておいて、先ほど申し上げたように、法案そのものに関連して二、三お伺いしたいと思います。ただし、大臣は四時ごろまでだそうですから、その間、時間の許す限りお伺いをしたいと思いますが。  まず、この提案理由の説明を承りますと、賠償部を廃止する。アジア局の賠償部を廃止するということがございますので、順序として、まずこの問題からお伺いしますが、この賠償部の廃止の理由については、提案理由にも述べられているようですが、外務省の機構は、他の官庁とも違って、単に内部組織上の変更であっても、これはやはり対外的に影響を与えるという点で、いわゆる他の官庁とは別途の意味の考慮が必要であろうと思うのですね。と申しますのは、いま申し上げたように、対外的に影響があるという観点から、当然これは、まあこういうことは考慮に置いて廃止したと思うのですが、この点はいかがですか。
  105. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 賠償は、御承知のように、すでに約半分履行をいたしまして、ベトナム、ビルマ等はもうほとんど終わりに近づいたわけでございます。いま、賠償関係の企画、立案という段階を越えまして、もう既定の、きまった手続によりまして、この履行を進め、履行をしてまいるという、ルーティンの仕事になったわけでございます。そのことは賠償受償国のほうも事態をよく承知されていると思うのでございまして、このことによって対外的に影響があるというように私は考えておりません。
  106. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題については、日本がやはり何と言っても戦争責任の一つとして負った平和条約上のいわゆる義務であるわけです。したがって、相手国であるいわゆる賠償を受ける国において、まあ以前よりは対日感情がだいぶ好転してきたということは、そういう事実を認めながらも、やはり日本人が考えるものとまた違った感情を持っていることも事実であろうと思うのですね。こういう中で、いま賠償の実施が非常に軌道に乗ってきたのだということで、もう必要ないんだと言えばそれまでですが、こういう軌道に乗ってきた、その実施のさなかにあってこの賠償部を廃止する。こういうことについては、関係各国に与える影響は相当大きいんではないかと、特に賠償のキープ・オン、一九六九年、そういうことも聞いているわけです。こういう情勢の中で賠償部をあえて廃止するということには、いわゆる相手国の感情ということを十分考えた場合、やはり一考を要する問題ではなかろうかと考えられるわけです。この点いかがですか。
  107. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま私は、前段のお答えで、まあ消極的な面を申し上げたので、賠償はきまった軌道の上に乗って履行を促進するという段階になり、あらかた半分済んできたということを申し上げたのでございますが、積極面を申しますと、受償国は現在すでに約束済みの賠償それ自体よりも、賠償協定との関連で経済協力の条項がございまして、ほとんどまだ動いていない。この条項をどう動かしていくかということに関心と興味をむしろ示しつつあるという段階でございます。したがって、賠償部を廃止いたしまして経済協力局にその仕事を移す、そして経済協力一般の問題としてそれと総合的に見てまいるということは、むしろ受償国側から見まして、そういう体制で日本が臨むということに対して感触をよくされるに違いないと、私はそう考えておるわけでございます。
  108. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、現在までの賠償と、並びにこれに伴う経済協力についての実績ですか、こういうものについて概要を御説明いただきたいと思います。
  109. 卜部敏男

    説明員(卜部敏男君) 御説明申し上げます。  まず賠償関係でございますが、ビルマは二億ドルの賠償を約束したわけでございますが、四月末までの履行状況は八九・七%になっております。それから、フィリピンは五億五千万ドルの約束をしたのでありますが、これが四月末現在で二六・三%、これは若干おくれております。それから、インドネシアでございますが、これが三億二千三百八万ドルの約束をいたしまして、履行率が五一・二%になっております。それからベトナムが三千九百万ドルの約束をいたしまして、履行率が八八・三%になっております。これを総計いたしますというと、全体として四六・七%の履行率になっております。  それから、経済協力の関係につきましては、いろいろなものがございますので、区分けして申し上げますと、まず第一に、無償の経済協力を約束したのがラオスとカンボジアでございまして、ラオスに対しましては十億円、これの履行率は九八・九%になっております。それからカンボジアの関係が、十五億円約束いたしまして、これの履行率が七四・七%になっております。この両方を合わせまして、履行率は二十五億円のものが八四・四%になっておるわけでございます。  このほかに、先ほど大臣が御説明申し上げました、賠償協定に伴うところの経済開発借款とかあるいは経済技術協力とかがございますが、この関係は必ずしもうまく順調には進んでおらないわけでございます。これは御承知のごとく、商業ベースでの話し合いに対して、政府がこれを容易にしそれを促進するという約束になっておりますので、商業ベースの話ができませんとなかなか進まないという、そういうようなこともございまして、これはあまり進んでおらないわけでございます。  そのほかに、今度は一般経済協力局のほうでやっております関係経済協力の仕事がございますが、これは私のところでは詳しい数字を持っておりません。また、これは純然たる商業ベースのものでありますので、政府のほうが完全にすみからすみまで把握しているというわけにもまいらない事情もございます。  以上でございます。
  110. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 平和条約上、日本が背負った賠償義務の実施に関連して、将来起こり得ると予想もしくは予測される問題としてはどのようなものがあるか、お聞かせいただきたい。
  111. 卜部敏男

    説明員(卜部敏男君) 平和条約関係日本が賠償を支払わなければいけないというようなものは、すでに全部解決しております。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は特にお伺いしたいのは、中国に対してあるいは朝鮮等に対するこういう問題、それから既存条約の改定問題、こういうようなものについては、何も今後云々という問題はないわけですか。
  113. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ビルマにつきましては、賠償協定自体に再検討条項がございまして、この賠償協定がほかの求償国よりも先行して妥結を見た関係もございまして、全部の協定が終わりましたところで再検討をするという約束かございまして、先方から持ち出されましたので、先般その交渉をやりました結果、一億四千万ドルの無償経済協力を、この既往の賠償終了後、正確には明年の四月十六日からになるわけでございますが、それを進めるということになっております。  それから、韓国の問題は、御案内のように、平和条約に基づいて韓国の対日請求権についての取りきめをやらなければならんことになっておりまして、日韓交渉を進めているわけでございますが、まだこれは妥結に至っておりません。  それから、中国に対しての問題といたしましては、日本政府の一貫した見解といたしましては、日華平和条約におきまして賠償の処理は済んだ、こういう見解をとっております。中共政府がそれをどのように受け取られるかはこれはまた別問題でございますけれども日本政府の見解としては、そういう見解でいるわけです。
  114. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、中共とか南北朝鮮の問題については非常に重大な問題であるし、時間もありませんから今後に譲るとして、次にこの説明を見ますと、情報文化局に新らたに文化事業部を設置し、その所掌事務を定める、こういうことがありますので、順を追ってこの問題で二、三お伺いしますが、この情報文化局の所掌について、必要な情報の収集を行なうこと、この問題で衆議院の内閣委員会の審議状況をちょっと聞きますと、こういう政府側から御答弁があるわけです、この問題について。御心配になるようないわゆる情報活動の意味におきます情報でない、こういう意味の答弁があるわけですが、そこで現在外務省ではどこの部局でいわゆる情報活動の面を担当しておられるのか、この点をお伺いしたい。
  115. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) 情報文化局に今度文化事業部を置きまして、これは情報関係でございますので、主として文化関係の外国との交流とかいろいろな面の交流がありまして、情報部プロパーと申しますか、これは日本が文化関係以外においていろいろ知らせる、及び外国のいろいろな情報を集めるというのが情報文化局の本来の職務で、それ以外に外務省で何かやっておるかという御質問でございますが、これは官房に国際資料部というものがございまして、これは情報文化局が一般の刊行物を主としてやる、それといわゆる新聞社指導というような関係でございまして、国際資料部というのはそれ以外の刊行物とか本とかそういうようなほうのもっと基礎的な関係を調査している、そういう関係に相なっておる次第であります。
  116. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 インフォーメーションとかあるいはインテリジェンス、こういうことばがあるわけですけれども、こういうことばについては諸外国でいかなる通念となっておるのか。日本のことばでいう情報というのは、この二つ意味を兼ねておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点を明らかにしてください。
  117. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) いわゆるインフォーメーションというのは情報でございます。それから、インテリジェンスというのは、これは日本語に訳すれば諜報というようなことじゃないかと思います。それで、外国におきましてはそれぞれ諜報関係というのがもちろんあるわけで、アメリカにおきましてはCIA、それからソ連、各国、それぞれの歴史と機構によって一応の諜報関係というのがあるように存じております。
  118. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでお伺いしますが、いわゆる情報活動について日本の実施状況は一体、どうなっておりますか。その点を概要だけお聞かせ願いたい。
  119. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) 日本の情報――海外関係の情報活動は、情報文化局で新聞関係のほうをやる。それから、日本の実情を海外に新聞関係で、報道関係のほうで知らせる。それから、先ほど申し上げました国際資料部におきまして、より基礎的な調査を刊行物等によってやる、そういうことになっております。
  120. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  121. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  他に御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  122. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、北富士演習場に関する件について調査を行ないます。政府側から小野防衛施設庁長官、鈴木施設部長、大浜会計課長が出席いたしております。間もなく福田防衛庁長官も出席いたします。  御質疑のおありの方は、御発言を願います。
  123. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう大臣来るんでしょう。ちょっとそれまで待ってください。
  124. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  福田防衛庁長官、堀田教育局長が出席されましたので、御質疑をお願いいたします。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、時間もたいぶおそくなりましたので、要点だけひとつ聞いておきたいのですが、問題は、北富士演習場の入会権に関係する林野雑産物補償の問題についてです。この問題、私が本委員会で取り上げてすでに足かけ四年以上になると思うのです。そこで、その間いろいろな紆余曲折がありまして、昨年ですか本年ですか、地元ではこれが訴訟問題として裁判にかけられたということも聞きました。しかし、それはそれとして、この前の志賀防衛庁長官ともこれは約束もしたのですが、早急にこの補償問題を解決するということで今日に来ているのですが、たまたま福田長官にかわられてからも一回この委員会で質問したことがあると思うのですが、昔のことは一応きょうは時間の関係で省略していただいてけっこうですが、この前福田長官も、早急に補償の話し合いをされて誠意を持ってこれを解決するという御答弁がありましたので、その後今日までの経過をまず概略ひとつ御答弁願いたい。
  127. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 御指摘の北富士の問題につきましては、先般山本委員からお尋ねがございましたが、そのときに、私どもとしましては一日も早く解決するのが当然で、最善を尽くすということをお答え申し上げました。しかも、その際私は、裁判の係争中の問題ではあるが、話し合いさえつけば何も裁判にこだわる必要はない、そういうこともまた申し上げたと記憶いたしております。で、現在まで、お答えしました後も、事務当局を督励いたしまして、一日も早く大いに努力をさしておるわけでございまして、大体いままでの経過をごく簡単に御報告申し上げたいと思います。  御案内のとおり、大体五つの組合がいろいろと関係がございまして、北富士の入会組合と新屋組合、この二つおかげさまで組合と話し合いかつきまして、円満に解決つきました。あと二つの問題も、いま具体的な話し合いに、何と申しますか、最後的な煮詰めの段階に入りまして、いま話し合いを最終的にまとめる方向で努力をしているわけでございます。また、山本委員のいろいろ御心配しておられる忍草の問題は、先ほど申すとおり、依然としてまだ裁判の係争中で、一応忍草組合の方としては防衛施設庁の内示いたしました金額は、これはいま裁判中だからちょっと受け取りにくい、一応内金としてならかまわないというふうな御返事があったようでございます。もしかりに、われわれの立場からいいますと、率直に言いますと、これもよく御案内のとおりだと思いますが、公平な第三者と申しますか、学者の人々の一応数字というものもはじいたものもございまして、その点かなかなかちょっと折り合いかつかないわけでございます。しかし、この前お答えしたとおりの基本線は変えておりません。一日も早く、ほかの組合と同じように、金額で何とか折り合いをつけることができないものだろうか。歩み寄って話し合いさえつけは裁判にこだわる必要もない、またむだに時間をかけることも意味がない、裁判にかかわらず話し合いをしたいという基本線のもとに、二つはすでに済み、もう二つは何とかこれも同じように円満な妥結をわれわれ期待し努力いたしておる最中でございます。
  128. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は、私どももこれは新聞で、また忍草の組合ですか、北富士で問題があるということを見まして、九日の日に実は私行ってきた。地元で聞きますと、忍草の問題は一応あとで申しますが、新屋にいたしましても、山中にいたしましても、円満に解決したということは考えておらない、あとからそれがわかったときにはだまされた、こう言っております。というのは、これはこまかいことを言うと時間がかかりますが、今度防衛庁でやられた基礎というのはわれわれ理解できないのです。いわゆる学者の客観的な調査、こういうものの基礎でやっておられると思うが、そういうことではないらしい。したがって、これは私冒頭にお願いしておきますが、忍草のやつはまだ問題解決つきませんが、新屋と山中に対して、それから富士吉田に出されたあの額の計算の基礎、それをひとつあとから、きょうなかったらいいですが、出していただきたい。私は納得できない。これは私も、福田防衛庁長官御存じたと思いますが、ずっとこれに関係しておりますから、学者の人々とも何回も会っておりますし、したがって、私はそれに納得しておらない。で、その話し合いを個々にされたときには納得されたようでありますが、全貌が明らかになってきわめて不満の意を表されております。これは私はそれだけ言っておきますが、福田長官言われますが、私の聞いておるのはだいぶ違うんです。で、実はこれは経過を申し上げますと長いのでございますが、藤枝長官のときに覚書を出しておられるんです。その前の江崎さんのときも出しておられるんですが、私も藤枝さんもいろいろ会って、結局そうしようじゃないかということだったんですが、それから学者の調査。ところが、その当時までは、これはわれわれ社会党としても、あの基地返還の戦いを補償問題にすりかえることはいけないということで、私も相当言っておったんです。ところが、当時地元では、やはり農民の方々は、そういう政治的な抗争よりもやはり実質的に早くしてもらいたいというきわめて強い希望があったので、私はまげて、それならば条件闘争というか、補償問題でもやむを得ぬだろうというので実は私は中に入った。ところが、そういう経過を知っておる藤枝長官がやめてしまって、問題が補償の問題に入ってくると、が然防衛庁が強くなってきた。池田総理は、私が予算委員会で尋ねたときには、議事録を見てもらったらいいんですが、早急に約束を実施するように私は努力しますという答弁をしておった。それから二年たっておる。そうして志賀さんはその事情をよく知っているから、第四十三通常国会のときだと思うが、この前の通常国会のときに池田さんがだましたんじゃないか、もう一ぺん私がやるというときに、これは聞いてもらったらわかると思いますが、とにかくわしにまかしておけと腹をたたいて、そうして予算委員会の質問をやめてもらいたい、そういうことがあったので、私は、志賀さん、男だからあなたにまかす、こういうことであの通常国会が過ぎてしまった。そのとたんにあの人はやめられて、そうしてあなたが出てこられた。一体だれを信用してこの問題を解決するか。私はそういう経過がなければここで執拗に言わないですよ。あの大闘争を、地元民に、われわれはそれではどうも不安であるけれども、それでは補償問題で解決しましょうと言って中に入ったぼくらの立場は何もない。そのときは調達庁長官もかわって施設庁長官にかわっておられますが、その経緯を知っておられる者が全部やめてしまった。福田長官の言われることばは信じます。誠意を持ってやられると思います。しかし、長い経過を見ると、そうなっておらない。私が九日の日に行ったときには、忍草の人々ははち巻きをして怒り、だまされたと、こういう経過でいま地元でも相当強固な態度で自衛隊の演習すら認めないという態度をとっているようであります。私がこの間行ったときに、もう少し待ってくれ、このことについてはその後福田長官に一回も質問していないのに、それを手荒いことをやると全部結果が悪くなるかもしれないから待ってもらいたいということで、ああいう赤旗を立ててやっておられることは、手荒いことは避けてもらいたいということを、私としては頼むように言って実は帰ってきた。それで実は、きょうあなたにぜひひとつはっきりしたことを聞きたいと思う。そこで、いま私はくどくど言いませんが、そういう経過をたどっているんですか、地元の人が一番おこっておるのは、これは施設庁長官とこの席じゃなくて個人的に会いました、はっきり言いますが。地元は昨年間一文ももらっておらない。前の基準からいって一千万円ほど年にあるようですが、一銭ももらっておらない。それでわれわれとしても聞きましたので気の毒だと思ったので、新しいこの補償額の基準の改訂もあるでしょうけれども、前の基準でひとつ何とか内払いできんだろうか、訴訟はしているけれども一般の民間の訴訟ではない、政府との間での政治的な問題があるんだから、政府側の訴訟があるからどうとかいうんじゃなくして、やはり農民の困っておることを政府がこれを助けるのが政府施策一つであるから、何とかひとつ内払いは前の価格でやったらどうかといって私は長官に言ったのです。あるいは頼んだ態度であるかわからぬ、私はそのときは。施設庁長官も、誠意をもってそれはやりましょう、それは気の毒です、裁判は裁判で別ですからやりましょうということで、私もそのときはできるものだと思っていた。その後どうですか、一方的に防衛庁の出したこれでもうすべては終わりだという、そういう条文を入れなきゃ一文も出さない。全くこれは何事ですか。しかもこれははっきり言ってもらいたいのですが、庁議を開いたときに、これはだれか知りませんよ、これは私が聞いたんですから、間違いがあれば私は訂正しますけれども、忍草というところにいまさら内払いのような金を渡すともっと強くなるから、困らせればどうせ頭を下げてくるんだから、そういうものをやるべきでない、というような庁議で発言をして反対した人もあるというのです。これは私は直接聞いたことでないのですが、結果は私はそうなってきておると思う。施設庁長官と私がお話をしたときには、相当私は誠意のある農民の立場いわゆる国民立場に立った防衛庁の一長官としての私は態度であったというので、私は非常に信頼をしておったんです。その後の結果を見ると、やはり防衛庁でかってにきめたこの試算によるやつで、あとはしまいだ、こういうことで、それをきかなければ一文もやらない、こういう結果になっておるようでございますが、その点についてはっきりとしたひとつ答弁をきょう聞きたいと思うのです。
  129. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 前段で御指摘のありました、新屋と北富士の件は、私の受けた報告では合意を得てまとまったという報告を得ております。しかし、地元に非常に御精通のお立場でありますから、いろんな意味で私ども慎重に御発言については検討させていただきたいと思いますが、基本的な考えは先ほどお答えしたとおりでございます。裁判といっても時間がかかりますし、荒立てていろいろ争うというよりも、むしろ話し合いがつけばいい、それについては私どももできるだけ弾力性のある立場で当然対処すべきものであり、この前の御質疑あと、実は小野長官をはじめ関係方面にも一日も早く何とかまとまらないか、山本委員に対する御質問の答弁に対しまして私としましても、ずいぶん長い懸案である、この際、何とかしてどんな骨を折っても話し合いをまとめるように実は強く指示したことも事実であります。いろいろ御指摘の点もありますが、なおこまかい点は実際に事務的に当たりました小野長官から答弁させていただきたいと思います。
  130. 小野裕

    政府委員(小野裕君) この問題の大体の輪郭は、いま大臣から申し上げたとおりでありますが、私に関係のありますお尋ねの部分につきまして、山本先生にもお目にかかりまして、いろいろこの収拾策について御相談したこともございます。その席におきまして、私内払いをしてあげると、そういうことで御返事を申し上げたという記憶はないのでございますが、ただ私どもとしては、できることなら、そういうことも考えられないものかというような意味におきまして地元の方々の御要望に沿うような道はないか研究はしてみるということは申し上げたかと思うのでございますが、その問題につきましていろいろ検討いたしました結果、やはり財政法、会計法の関係におきまして内払いというわけにはいかないということになりまして、いまお話のように、一応庁といたしまして至急にお払いをするとすれば、こちらとして考えました改定の基準ということでお払いをしたい、こういうことで地元と折衝を続けてまいったと、こういうわけでございます。
  131. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それが一貫しないのですよ。昭和三十五年にも一度払われておるんです。これは御存じでしょう。そのときにはそういうことが言われておらない。御存じのように、これはあなたのときでないけれども昭和三十七年十二月に一応両者の合意ができて、契約書まで取りかわされておるんですよ。それがあと運送賃に異議があるとかなんとかいっていて、それでごてたから裁判問題になったんですから、だからわれわれの言っているのは、一応そういう合意に達したものを一方的に異議があるというのでいま裁判になっておるんだから、一応前のような状態で払うのが私は政府の責任じゃなかろうかということは私はこの前言ったところなんです。内払いは会計法とかそういう問題でいけないというならば、そういう措置がとれるんじゃないかという話もしたんです。そういうこともしない。一体防衛庁としてこの補償の問題は、補償しておるという事実は、農民側は北岳士の演習における林野、雑産物によって生計を立てておるのです。これは一日も欠かすことのできないものであったから補償をやっておるのですよ。それを三年間一文もやらない。裁判しておるからと一文もやらない。会計法上、それはできてないのだ。こういうことでは一体農民はどうするのですか。政府政治をとっている人の立場から見てそれでいいのですか。それでなければおれの言うことをきかなければ払わないのだ、こういうふうに言うでしょう。あなたはおとなしいことばで説明されておりますけれども、そういうことなんでしょう。一体――その地元の農民の立場考えてやりなさい。これは一般の民間同士の権利の争いであればこれは私は何も言わない。一方は政治の責任ある政府じゃないですか。それが法律、会計法でどうにもならないからやれない――三十五年にやっておりますよ。それがいまなぜやれない。したがって、一応の基準を出してもうこれで一切あと文句を言わないというような一文をつけること自体が問題だと思う。裁判をやっておるのですか、裁判か出れば――あなたも言われたでしょう、裁判が出ればこれは政府といえども日本国民全部裁判の決定に服すべきである。そのときにはそれによって、あなたがたの出された額よりも裁判のほうが低いものが出ればそれは返すと言っているのですよ。これだけ意味のわかった話をしているのに、政府はそれでも、これで一応終わりだということを承諾しなければ一文もやらないのだ。こういう悪法がありますか。私はそういうのは運用上の問題でやっておったと思う。それをあなたの場合、福田長官になってから、それはできない、おれの言うことをきかなければ一文も出さない。これは農民の立場から言ったら最後はくたびれますよ。裁判をするには費用も要るし、一文も入らぬ。そういうものを見越してそういうことを言うことに、誠意というものが一体どこにあるか。私はそれを言っている。それを防衛庁長官もあなたも考えられない。おれの言うことをきき、裁判を取り下げるまではこれは解決しないのだ。こういうことはこれはそこらの巷間無頼漢言うことですよ。政府の要路の人はそんなこと言いませんよ。どう思いますか。
  132. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 私ども関係の農民の方々にお手当てをするということについてはそういう方針で参っておることは御承知のとおりでございまして、そのためにさらに補償の適正化という問題も出てまいったわけでございます。そういう意味で、できるだけ好都合のようにお取り計らいをしてあげたいという方向で努力してまいったことも御承知のとおりでございます。ただこの問題につきましては、いまお話の三十五年度分が内払いであり、六年、七年がまだ出ていない。三年も待たされておるというお話でございました。そのとおりでございます。この点はまことに相すまぬと思うのでございますが、この点につきましては、先生よく御承知のように、はっきり申してはいかがかと思うのでございまするが、この入会の補償問題につきましていろいろむずかしい論議がございまして、特に地元である山梨県あるいは大蔵省その他におきましていろいろ異論がございまして、私どもは事務を進めるためにも非常な支障があったわけでございます。こうしたようなことでお払いをするという段取りがなかなかつかずに過ぎてまいりました。その点をようやく本年に入りましてからそうした関係当局の納得を得ることに成功いたしまして、お支払いをすればできるという段階まで参ったわけでございます。この辺の事情は先年もよくおわかりいただけると思うのでございます。そういうようなことで私どもといたしましては、関係各機関と連絡等もございまして、一つの原案を出しまして、これによって地元と御相談申し上げたわけであります。この点につきまして、この金額が少ないというような、結局結論といいますか、そういう考えのもとにいろいろほかにも問題が残っておるわけでございますが、この点につきましては適正化と申しましてもその客観的な基準というものをどこに置くか、はなはだむずかしい問題でございまして、私どもといたしましては、第三者たる学者の調査意見というものを参考にいたしまして、ただいま地元に提示いたしましたものが適正な一つの新基準であろうかと、このように確信をいたしまして御相談を申し上げてまいった、こういう次第でございます。一日も早くお払いをしたいという気持ちは私どもも同様でございまして、せっかく努力をいたしておるところであります。
  133. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われたことを、私も承知のようなことでしたが、私は一つも承知しておりませんよ。そういうことは。わからぬですかね、三十五年のような方式で、いま問題になっているのは、いわゆる基準が正しいかどうかということでなくして、いわゆるいまあなたのほうの基準を示して、これで受け取れ、前の合意したものは全部これはキャンセルだ、それで受け取れ、こういうことはそれはできない裁判にかかっておるのだから。いま私があなたに提起しておったのは、長引いておるから、前のたとえば三十五年のように、農民の立場からだったら上げてもらいたいけれども、一文でも金がほしいということが実態なんですよ。わかるでしょう。それをなぜ今度は三年も黙っておるやつを、以後一切文句は言わないという一条文を入れなければ内金でなくても一文も払わない。こういうことがなぜ、あなたの方針が変わってそうされるのかと、こう言うのですよ。今度出されたものが、この裁判の結果、先ほど言ったように下回っておればまた返しますというのです。その一札を入れてもいいというのですよ。その基準は別に問題ない。三十五年にもらった基準でよろしい。また、あなたのかってにやった基準でもいいけれども、裁判が出たときには裁判に従うという、この方法がとれないのかと、こういうのですよ。この理屈のわかったことを、あなたのほうはこちらの言うことを聞かなければ一文もやらない、とにかく裁判しなさい、待ちましょう、こういう態度です。それでは一方的に農民を苦しめる以外何もない。政府の言うことを聞かなければ裁判しなさい、こういうと以外に何もない。しかもその前にやっておらなければ私は言わない。三十五年に政府かやっておるのです、現に。それも違法だと言うのですか。
  134. 小野裕

    政府委員(小野裕君) いままでお話のように、適正化ということが宿題になりまして、いろいろ検討してまいったわけでございます。その過程におきまして、先ほどお話のような覚え書き交換というようなこともございまして、しかし、これも折衝の過程でございまして、最終的には最近お示しいたしましたものが私どもといたしましては適正化としての一つの私どもの得た結論であるという確信がございますので、ぜひともそれを御了承いただきたい。その内容につきましても、地元にとりまして、決して不利な取り扱いを申し上げているわけではないということから、私どもとしては御納得をいただきたい。そういうことで五組合に御相談いたしましたところ、その線に沿いまして御納得をいただいた組合もあるわけでございまして、他の組合にも御了承いただきたい。なお、今後の三十八年度以降の問題につきましては、また別途にあらためて御相談申し上げるということで、お話し合いを続けておる次第でございまして、まず御了承いただきたいものと念願いたしております。
  135. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 小野長官はものわかりのいい人だと思ったのですが、問題をそらしては困る。これは先ほど言いましたように、昭和三十七年十二月に両者の合意を得て一つの契約書ができた。それを実施されたら裁判も何も、それはオーケーです。それができないためにあなたのほうから異議を言って、これはもう運搬賃からそういうものの計算の間違いがあったとかなんとか言って、せっかく合意のできたものを実行しないものですから、一方では当事者は訴訟に持っていったのですよ、なぜこんなことをやるのですか、そのときに、あなたのときでない。私は裁判官にも弁護士にも会いました。こういうものを出すから、国民の前に。しかもそれは契約でないのだということを裁判で言っておるらしい。しかも聞いたら施設庁長官ですか、判を押しておるというのです。そういうように出しておいて、あとからこれは計算の間違いであるといって、しかもそれは学者の客観的な調査の結果によってやられたというのがこれなんです。それがいかない。――それはいいでしょう、そこまでは。あなたの異議申し立ての裁判になってもいいが、そこで問題は、そういうふうになったが、地元では三年間というものは補償というものを一文ももらっておらない。ここをきょう問題にしているのです。裁判にしたけれども、やはり農民というものはそんなに裕福なものはありません。あなたはどう考えておるか知りませんが、したがって、私はあなたに個人的に何とか内払いとは言わないけれども、三十五年度の前の基準でいいから、ひとつ金を払ってあげたらどうですかと言ったのです。そのときあなたは、何もやりましょうということは言わなかった。それはあたりまえだと思います。それであとで聞きますと、いまあなたの言っておるように、防衛庁が一方的にきめた基準でなければ一文も払えません。そういうことを言っておるのです。しかもこれを払った後は一切文句を言わないこと、という一条をつけると、こういうことです、これは。これほど過酷な政治がありますか、政府は前に合意の契約書のようなものを出しておきながら、あとで異議を言って、しかも私が言ったように、何とか前の三十五年に出したような基準で出せるのにそれも出さない。だれが聞いても腹を立てないものはないと思う。そういう過酷な理由がどうして通りますか、きょうの防衛庁長官なり施設庁長官の答弁によっては、私は総理にも会います、約束したんだから。そういうことを政府がやるならばよろしい。私は地元での自衛隊の演習は一切とめてしまう、党は承知しません。契約すら履行しないという政府であれば、政府政治を遂行するのに対してその地元の人かどれほど――かりにこれは合法であるか、非合法であるか知りませんが、やられたって政府は一体どこに文句を言いますか、防衛庁長官もう一ぺん答弁してください。
  136. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 私どもとしては、地元の農民の方の立場を十分考えておるつもりであります。現に五つの組合のうち二つはすでに話し合いも合意に達し、さらにまた二つももうじき合意に達する見込みだそうでございます。そういうように誠意をもって一日も早く話し合いをまとめて支払いをしたい、これは鉄則でございます。不幸にして一組合が非常にまだこじれておるようでございますが、先ほど申したとおり、裁判その他に私はこだわっておりません。一日も早く、これはお互いに互譲の精神がなければむだだと思います。お互いに歩み寄って何とかここに妥結を見出して一日も早く御納得をいただく、この線はいまでも決して変えていないわけでございますが、何かこちらに手落ちがあり、あるいはやり方に悪いことがあれば、遠慮なく御指摘を願って、一日も早く地元の当事者とわれわれの間に合意を得て成立せしめたいという考えは少しも変わっておりません。
  137. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはさっきの答弁と変わりはない、あなたの誠意は認めている。認めていないとは言わないが、いま言っているのは、あなたのほうが今度金を払う場合に、今後一切文句を言わないということになって、訴訟をする理由があいまいであれば私はこういうことは言わない。先ほど言ったように、一つの契約書を出してこれでいきましょうといったやつが、あなた方のほうで異議があると、こう言った。そういうことですから地元でそれを取り下げるといってもそれは下げられませんよ。前からずっとそのままきておるやつであって今日にきたのなら、私もそれは言い方もあると思うのです。そして訴訟をしているのですから――私の言うことはわからないのですか、訴訟の結果を見れば、政府の言うのは、低ければこちらはまた追加でいただく、また政府の言うのは、出したものが高ければこちらのほうから返しましょう、それまでは内金というのがいけなければ、一応あなたのほうの基準で出しておいて、一切今後そういう文句は言わないというようなことを、私から言えば、いわゆる脅迫的なことを一項も入れなくていいんじゃないか、そうして裁判が終われば結果は見るし、この前小野さんに言ったように、私はここでそういうことも今日の段階ではっきり言いますが、そういう政府が誠意を示せば地元の方もそう、農民の方々は純真な人ですから、政府はここまで見てくれるならばというので、今後の交渉は、いま長官が言われたように、譲るものは譲ろうじゃないかという気持ちになると、こういうのです。これは小野長官に私はそのときこう言った、こういうことを言うと地元の人におこられるかもしれませんが、ここまで誠意を尽くしてやったらどうですかと言った、考えましょう、結果はどうなんですか。そういう私は過酷なやり方がそれで通ると思われるなら、長官、私は誠意を持ってやるのだと言ったってそれは通らない。三十五年に言われたような基準で、一応の基準でおさまれば、それでいいんですよ。ただこれで一切文句は言わないというような脅迫的なこの一条をはずしてやればそれでいいじゃないか、これを言っているのですよ、どうですか。
  138. 小野裕

    政府委員(小野裕君) ただいまのお尋ねの前に契約書のお話がございましたのですか、先生が御指摘になった契約書というのはどの分をさしておられるのかはっきりいたしませんけれども、いま現地と私のほうの横浜局のほうで話をいたしました書類が二つあるわけでございます。一つは三十六年の十二月二十七日、そのときのは契約書という名前でございますが、この条項の第四条については、補償の適正化につき協議がととのった場合においては両者間においてこの契約を更改する、協議がととのった場合には内容を改めるということが契約書として一札出ております。それからその次の分は、これはその一年あとでございますが、昭和三十七年の十二月二十日でございます。これも横浜の防衛施設局長と忍草の組合長さんの間のこれは覚え書きという形だろうと思います。これは別に何ということはございません。双方下記のとおりの合意をしたという合意書でございます。合意書というのはございます。しかし、これはこの補償を適正化することについて特に学者調査、学者意見というものを取り入れて、どういうふうに改めようかという相談をいたしまして、その段階におきまして、そのあとに書いてありますような内容の話し合いをしたという確認書でございますが、これが最終決定であるとは私ども考えておらないのでございます。この辺のところが今回の裁判の中心になっている、だろうと思うのでございます。私どもといたしましては、このときには、ある段階におきましてそのような話し合いがとにかくあったということが記録に残っておるわけでございます。その後さらにまたいろいろと話し合いを続けているうちに訴訟になった、さらに最近になりまして、また私のほうから新しい補償基準というものについて御相談を申し上げた、こういうことでございまして、これが約束があったかなかったかという問題が今日の裁判の中心点であろうと思うのでございますが、これは私といたしまして、さらに内金を払ったらどうか、私もできればそうしてあげたいということも腹にございまして、よく考えてみましょうということは申し上げたのでございますが、いろいろと検討をいたしまして、また関係方面とも相談をいたしました結果、やはり内金という形のものはこういう性質の補償金にはは支払いがたいものであるということが一つと、それからさらに、いま先生が御指摘の、これをこの際調印したならば、あとは異議がないのだという一カ条がよけいだというお話でございますが、何と申しましても、現在裁判にかかっております案件でございますので、私のほうとして、これは内金です、あと追加を上げることもあれば、あるいは一部返してもらうこともあるというような形の、私どもとしては取り扱いの補償契約と申しますか、補償協定と申しますか、そうしたものを取りまとめるということは非常に困難である、やはりその点は私ども立場をはっきりさせておきたい、こういうようなことに最終的な意見が一致いたしまして、その一カ条をこれは挿入したというよりも、この種の契約書には常にある条項でございますが、それを削ることをあえてしなかった、この点が先生、あるいは地元の方の御期待に、御要望に沿えなかった点だろうと思うのでございますが、私どもといたしましては、何といっても裁判にかかっておる係争の中心点がその辺にあるということを考えましたときに、やはり一方の当事者として慎重にならざるを得なかった、こういう事情でございます。
  139. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃあ聞きますが、きょうは徹底的に聞かなければおさまらぬ。いろいろぼくは防衛庁自体が反対、防衛庁がそれはできないというのか、あるいはその他の関係と言われるが、一体どことどこか、それをはっきり言ってください。
  140. 小野裕

    政府委員(小野裕君) だれが反対をしたか、あるいはどこでぐあい悪かったかということは、申し上げることを控えさせていただきたいと存じますが、この支払いの問題につきまして、最終的に相談をいたしましたのは、やはり大蔵省の主計局と内閣の審議室、こういう両官庁でございます。
  141. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体政府部内の様子も聞いておりますか、私はあなたの言うことは幾ら言ってもわからないのです。困らしてやろうという以外にそういうことを考えておらないという法はない。というのは、一ぺんそういうことでやっているものが今度はできない。――福田長官は、訴訟されておるが、どうであろうとも政治的に早く解決したいと言っている。先ほどあなたは合意書は御存じないと言われましたけれども、そもそもそういう問題を、合意書として、これこれ、これこれとついておれば……、合意といったら一体どういうことなんですか、両者の意見が一致したということじゃないですか。合意書だから、これは最終決定でないというようなことは、これは裁判上の問題でいろいろ判例が出るかもしれませんけれども政府が民間と合意をしておいて、それをあとからこれはいけないのだということは、行政府として一般国民にとる態度ですか、だれが、局長がやったらそれは権限ないかどうか知りませんけれども、少なくとも政府の一支分部局が合意書を出しておいて、その合意は間違いであるからそれはいかぬ、それは契約書でありません。――それは一つの言いわけですよ。問題の間違いはそこから起こっておるんですよ。問題の間違いはそこから起こっている。これでいきましょうといって、お互いの意見の一致したことを合意というのじゃないですか。日本語をひとつ教えてください。意見の一致したのを合意と私は思っているんですが、そうでないと思っているんですか。
  142. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 学者調査の結果、意見でございますが、これをどういうふうに参考に取り上げてまとめていくかという作業は、はなはだむずかしい作業でございまして、何と申しましても、この内容につきましては、先生が一番よく御承知でございますが、いろいろとこの補償体系をつくり上げるために、いろいろな工夫が入っておるわけでございます。そういうようなところから学者意見がそういうことを中心に組み立てられておるわけでございますが、それを実際に適用するにあたりまして、いろいろと複雑な考慮といいますか、要素といいますか、いろいろな問題がございます。そういう意味におきまして、ある段階においていろいろお話し合いをして、こういうことかなというようなお話し合いをした段階はあるわけでございます。そのお話し合いの内容といいますか、要点を一応メモにしておこうというのが、この場合の書類であろうと私ども考えておるのでございます。これが最終的に新契約としてそういうふうに確定をするという意味の効力のある合意ということではなく、このようなことについておよそ意見の一致が見られたという一つのメモであろう、私どもはそのように考えておるのでございますが、といいますことは、この仕事は先ほど申し上げましたように、各方面からいろいろと注目を受け、また批判もあったわけでございます。ただ私どもとしては、一意この補償の適正化ということに責任を感じまして、先ほど申し上げましたように、まあ孤立したといいますか、孤軍奮闘と申しますか、当時の調達庁、今日の施設庁が非常に苦しい立場で、何とか地元の方々のお役に立ちたいという努力をしてまいったわけでございますが、それは結局施設庁あるいは調達庁だけで片づかない問題が多々あるわけでございまして、まあそういうような意味において横浜局の責任者と地元の責任者といろいろ話し合いをしたその記録が一つの、ここでは合意ということばを使っておりますけれども、メモとして残っておると私どもはそう思っておるのでございますが、ただその点が非常に契約的な効力が絶対であるという御主張をなさる地元はこれを訴訟としていま争いになっておる、私どもはそれほどの意味のあるものではないと、このように考えておるわけでございまして、これは見解の相違であるかあるいはまあ私ども決して無理をするつもりはございませんけれども考えが違うところあるいは立場の違うところ、こうしたところからそうしたトラブルが大きくなっておるのではないかと思う次第でございます。
  143. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 福田長官よくお聞きになっておると思いますが、あなたに質問しないのですが、小野長官はメモだ、私は政府があの横浜調達局ですか、局長の判を押しておられますよ、ぼくが見たら、判を。政府は軽卒に、何ですか判を押して、これはメモだ、そんなものはあまり価値はないものだという、これはこの問題を離れても、内閣委会員として行政府の各行政機関のとっておられるそれ自体を私は追及したくなりますよ。そう軽卒に、何ですか、メモ程度のものに、支分部局であろうとも、局長の判を押して、合意しますというようなことで、それがメモということで通りますか。日本の行政はそんなものですか。私は別の問題でこれは取り上げなくちゃいけませんよ、そういうようないまの答弁を聞きますと。一体それならわれわれが支分部局のどこかへ行って判をもらう、これはメモだ、こんなものは価値ないものだと言われたら、それで一体日本の行政はどうなる、政治はどうなる、私はそういうことを軽々に言われることは、私は単にこの補償の問題だけでないでしょう。きょうはその議事録をはっきりとっておきますけれども、そういうメモたということで、今後あなた、これはもう防衛庁だけでなくとも、どこの省でもいいですよ、そういうことが言えるということがここにはっきり言えますか。
  144. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 私はまあことばが足りなかったかと思いますが、単なるメモというのは少し言い過ぎでございます。もしそのように申し上げておったならば訂正させていただきますが、一つの前進する前向きの一つの話し合いのある段階における結論であるということについては、私もそのように思います。ただ実際問題といたしまして、はなはだ申しにくいことでございますが、何ふんにもみな非常に詰めましたいろいろなお話し合いの中で、そのお話し合いのうちに、あるいは錯誤とか勘違いとかというような問題も、あるいはあるかもしれないということも考えるのでございます。こうした点につきまして、ほんとうに最終的なこれが契約書でなかったことは、これをすぐ契約にするというお話し合いでなかったというところで、さらに再考の余地もあるというようなことに考えたのではないかと私はいまそう想像するのでございまして、役所の文書、役所の官印を押しました文書が軽々に出されるものではないという点につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。
  145. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは取り消されたほうがいいと思いますが、私が言っておきたいのは、それ自体をどうこうといま言っておるのではないのですよ。そういうものを取り上げておるのではないのです。その契約書が正しいもの、そういうことを言ってはおらない。そういう一つの契約書ではなくても、合意書を出して、これでいこうじゃないかというので、一応その段階では合意をしておることは事実です。それを異議を申し出られたことは知っておる。これはこの前の志賀防衛庁長官のときに、それではいかぬからというので、地元もだいぶん譲ったらしい。その合意書が無理であればそれはもう少し考えてもいいということで、譲って話はほとんどまとまりかけた。そのとき、大蔵省のいま言われた主計局の連中が、地元の代議士の何か水を入れられたと申しますか、大蔵省かそれはだめたということでそれはおじゃんになった。そこで志賀大臣もおこって、出るとき、ここでですよ、そんなことではきかぬ、わしが一ぺん大蔵省に行くと言って、別れた。そういうことを言っていいかどうかわかりませんか、そういう一幕もあった。そこで全く志賀前長官に全部まかしたという形におったのです。それはそうですよ。一国の長官がわしにまかしておけといって、大蔵省がどう言おうともわしが解決するんだと言われた。しかし、それが不幸にしてこの委員会の席上でなかったから議事録も何もない。ないけれどもうそではない。証人に呼んでもよい。ところが、それになってもそれが話がいかないので、それでせっぱ詰まって、地元では訴訟する以外にないでしょう。合意書のそれもだめだ、もう少し譲って、下の線でもどうですかと言ってもだめ、ためだと言われる。あなたもはしなくも言われたけれども、大蔵省がどう、いや、こうということでなかなか話し合いがまとまらぬ。これはしびれをきらして訴訟するのは当然ですよ。それで訴訟した結果、今日まできておる。ところが、私は、それでは訴訟になっておるけれども、地元の農民の方々の苦衷を考えて、これは全く個人的であった。あなたに会って何とか三十五年程度のような基準でもいいから、困っている人を救うのか政治ではないか、何とか考えないか、それでは考えましょうということであったのだが、ごく最近聞くと、私も地方に出張しておったのですが、帰ってくると、これをもらったらあとは一切文句を言いません、こう言いなさいと、まるで赤子の手をねじるような、ばかにしておるのですよ。が然地元が憤慨するのは当然です。私のみならず、満堂のここにおられる諸君もそう思っておる。弱みにつけ込んで赤子の手をねじるようなことをするのが政府の態度であるか。演習は停止するといいますが、それはやるのが当然であって、それはいかぬという人こそ間違っておると思う。こういう経過を知っておれば、私は今後この問題がどう発展するか、これは地元のやられることでありますけれども。福田長官に最後に言っておきますが、私が言っておるのは、何とか最初から円滑におさめるという方法以外にない。ほっておけば基地反対闘争ですよ。砂川程度以上になるものであったものを、地元の人が、とにかくそこまでやられると農民の人が現実に困っておるのだからという切実な願いもあったので、その当時われわれとしては不満であったけれども、それならば、ひとつ、補償の問題で話をしましょうということから、前の藤枝長官とこの委員会で話をしかけたのが初めであった。それがだんだん進んできて、藤枝長官も覚え書きを出し、学者の調査をやったと、こういう経過になっておるのですから、きょうも大体五時がきましたから、私は、幾ら言っても同じだと思いますが、大蔵省が反対しているということも聞きます。また、防衛庁内部でもやはり意見の違いがあるということを聞いておるけれども、この問題を農民のためにどう解決してやるか、裁判で勝ち負けをやったらいいじゃないかという民間人同士の争いではないんだ。もとの起こりは、政府原因しているんだ。その政府政治から発した問題であるということで、もう一度その点を、次回まで防衛庁長官に考慮していただく時間を、与えるというとおかしいですが、待ってもよいと思うのです。そうでなければ、地元でどうなっても、政府が責任をとらなくちゃならぬ事態になるかもしれない。私はおどすんじゃない。私はおどしたりなんかするような人間じゃないです。理が通っておれば、私は少々なぐられてもいいか、理屈の通らぬことを押されるならば、それは、地元の人はどうなるかわかりませんよ。この点は、十分考えていただきたいと思うのですが、最後に、防衛庁長官の答弁を聞きたいと思う。
  146. 福田篤泰

    国務大臣(福田篤泰君) 再三お答えいたしておりますとおりでございまして、大体いままでの政府を相手どった訴訟というものを見ておりますと、民間側と申しますか、国民立場と申しますか、非常に不利な立場が多いのであります。できればそういう訴訟の争いというのじゃなくて、何とか一日も早く話し合いで、合理的な、そして、言っている線も私ども守らなければなりませんが、そうかといって、御指摘のとおり、相手方に何か圧迫したとか、あるいは押し切ったとか、そういうような無理を与える感じは、あくまで避くべきであると想います。他の組合の例もございますが、誠心誠意さらにきょうまた、新しく伺った点もございますので、事務当局で何とか話し合いできないかという点を、一そう努力するように、直ちに実行させたいと思います。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、防衛庁長官と二回ぐらいしかやっておりませんので……、各長官、藤枝さんも、私は、相当誠意のある人であったと、いまでも思っております。志賀さんもそうだと思っております。あなたもそうだと思っております。しかし、事、ここまでくると、全部を疑わざるを得なくなってきておる段階です。したがって、地元では相当強固な態度でおられるようですが、率直に言って、けさも私のところに電話がかかりました。きょうは宇都害のほうから演習に来るのだけれども、承知しないという電話がかかりました。率直に申し上げますけれども、それはあまり手荒なことをしないようにやっておかなければ、きょう私は防衛庁長官に、公式の場でいろいろただすから、その上で、どうしても聞かぬというならば、これはしかたがない。地元よりも党が承知しないというようなことで電話を打ち切ったような状態ですが、この点を、ひとつ、防衛庁長官考えて、無理を言っているなら、私は引き下がります。合意書が出ている。合意書はキャンセルしても……、いま、小町さん、メモと言われるけれども、そんなことはだめた、それはそれでもよろしい。そういうものは別として、農民の苦しい立場を救うために、よし、裁判の結果がどうなっても、払い戻しするなら払い戻しをすると、そういう謙虚な気持ちでおるんだ。ですから、それすらもだめだと、おまえやるならかってにやれ、最後には苦しくなって手を上げるだろう、こう言ったか言わぬか知らぬが、そういうことたけはやめてもらいたい。誠意がない。もしそれをやるならば、国民政府施策に対して、違法とは言いませんけれども、少し合法を逸脱したような形で抵抗されても、これを私は押えるわけにいかないと思いますので、この点はひとつ、防衛庁長官に、これ以上申しませんから、お願いしておきたいと思うのです。お願いですよ、お願いをしておきたいと思います。  それから小野長官に、いまちょっと最後に聞いておきますが、内部の問題も間接にいろいろ聞いておりますが、そういうことはこういう公式の場所では言いません。言いませんけれども、やはり防衛庁は防衛庁という信念を持って、施設庁は施設庁という一つの信念を持ってしなければ防衛行政はできないのだ、施設庁の行政はできないのだという、そういう立場で私は問題を解決する方向へ進んでもらいたい。誠意があれば、こんなものは、政府は誠意を示せば、国民はやっぱり納得しますよ。満足はしなくても納得はしますよ。そういう点を十分考え関係各省といろいろ折衝していると言われておりますが、この点の理解をさしてもらいたい。もしきかない人があれば正式にだれだということ、この次のときに言ってください。そうすればあなたはもう解決処理能力がないと、私結局大蔵省なら大蔵省でそういうことでがんばるなら、大蔵省が相手方になりますから、その際にははっきりとどこが反対しているのだ、防衛庁であれはだれかということを、はっきりと、それは私今度質問するするのは、防衛庁長官の誠意ある行動を見た上でやりますから、必ずしも次の委員会でやるとは言っておりませんけれども、そういう点をひとつはっきり言ってもらいたいと思いますので、その点をちょっと聞いておきたい。
  148. 小野裕

    政府委員(小野裕君) ただいまお尋ねがありました関係各省の問題でございますが、ただいま御指摘のありました大蔵省のほうは、今回の措置につきましては、私どもに非常に協力をしてくれております。御承知のように、今年の初めまでは非常にむずかしい事態かございましたが、本年に入りましてから、それが山梨県並びに大蔵省の関係は、私どものほうの言い分といいますか、考え方について理解をしてくれまして、むしろ今度の結論を出し、交渉をいたしましたのは、すべて私の責任でございます。私のほうで新基準を出しまして、これに伴う予算というものを出しまして、大蔵省の了解を得たと、いろいろ難航はございましたりいたしましたけれども、その新基準の内容並びにこれから出てくる金額というものについては大蔵省納得してくれたのでございまして、ただ、いまお尋ねの、先ほどから御追及の、これの支払いについて、今後これを受け取ったならば、あるいはこの契約を結んだならば、あとは異議は言わないという、その一項目の問題、これは従来、この種の契約交渉にはいずれもある条項でございますが、それをあえて削らなかったというところに一つ先生方あるいは地元の御不満があると思うのでございますが、その処置につきましては、これは私どもの役所だけの判断、決断でございまして、この点については他の方に御迷惑はおかけすることはないと思います。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の前のは、誤解か知りませんが、それじゃ防衛庁自体が、そういう判断をされるということになると、この前三十五年に……、その点はわかったのですが、前にやっておる例があるのに、今度だけは何でやれないのだ、これは私にはわからないのですよ。そういうことが、そのときそのときの法律といいますか、準拠法というものは、あなたのほうの考え方で変えてもいいんですか。私はそういう点で、ほかのほうで異議があるということで、防衛庁もある程度やむを得ない、それに従わざるを得なかったという解釈で、私はきわめて好意的に考えておったのですが、防衛庁自体が、前にそういうふうにやっていたのが今度やれない、そういうこと、私考えられないのですがね。
  150. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 少し理屈っぼくなるのでございますが、先ほど申し上げました昭和三十六年十二月二十七日林野関係雑補償契約書というものを交換しておるわけでございます。この条項の中に、これは先ほども申し上げましたように、三十六年の九月に、これは藤枝長官の時代でございますが、長官の覚え書きとして補償の適正化をやるということについての約束があったわけでございます。それを受け継ぎまして、地元と当時の調達庁と契約した交換書でございますが、この第四条、先ほど申し上げましたように、大臣がお出しになりました覚え書きの第三項、本文にいう補償の適正化について協議がととのった場合は、甲乙両者、この両関係者の間でこの契約を更改するものとするということがございました。三十五年の分について、内払いをしたということでございますが、三十五年も最初お払いしたときは内払いというわけではなくって、普通にお払いしたわけでございます。それがその後いろいろなことがございまして、契約書を結ぶことになりまして、適正化をするということになりました。同じ三十五年度分について適正化をするということになりましたので、その分がもしお話かまとまるならば追加払いになると、こういうことでございまして、三十五年度分の最初の分はこれは内払いということじゃなくって、初めはそれが一括払い、完全払いというつもりでお払いしたものであったと、こういう事情がございます。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それを初めから言ってるんですよ。いまのやつを、裁判か覚え書きか別として、きまったらそれでやろうということになっておるんだから、問題が最後に解決したらその覚え書きのように追払いなら追払いをする、多く払っておればその結果によってはこちらが返そうということであるから、これで一切終わりだというようなことを言わなくってもいいじゃないか。あなたが理屈ぼくと言いますけれども、そういう措置がとれるということになれば、かりに三十五年と年度きめなくてもいいですよ。これがもっと早く解決すれば、三十六年にそういう措置をやって、あとは譲ってもいいということになっておるんだから、あなたのほうがもう解決する、もう解決するというような、ほんとうに問題を引き延ばすような方法で引きずってくるから、三年たっちゃった。そして訴訟になっちゃった。原因はあなたのほうにあるんで、いまとなれば、その年度のものであれば何とかという、そういうかってなことを言っておって、これは理解できません。しかし、この問題は、先ほど言ったように、もう一回防衛庁長官にお預けをいたしましょう。それでいけなければ、私は事態はもうどうにもならぬ。これはもう私はそのままにならざるを得ないと思います。ただ、防衛庁長官にこういう話をしたのは二回目ですが、納得のいけるような方法でこの問題を政府という立場考えてもらいたいということで、きょうはこれで終わりたいと思います。
  152. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、本件の質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十四分散会