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1964-04-21 第46回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   委員異動  四月二十日   辞任      補欠選任    山本 利壽君  石原幹市郎君    植木 光教君  重政 庸徳君    村山 道雄君  上林 忠次君  四月二十一日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  村山 道雄君   —————————————  出席者は次のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            伊藤 顕道君    委員            大谷藤之助君            栗原 祐幸君            源田  実君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            林田 正治君            村山 道雄君            松本治一郎君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君            向井 長年君   委員以外の議員    発  議  者 草葉 隆圓君   政府委員    総理府総務長官 野田 武夫君    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  小畑  忠君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○旧金鵄勲章年金受給者に関する特別  措置法案草葉隆圓君外十六名発  議) ○皇室経済法施行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより  内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告い たします。  四月二十日、山本利壽君、植木光教 君及び村山道雄君が委員辞任され、 その補欠として石原幹市郎君、重政庸 徳君及び上林忠次君が選任されまし た。  また、本日上林忠次君が委員辞任 され、その補欠として村山道雄君が選 任されました。   —————————————
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、ただいま御報告いたしましたとおり、村山理事が一たん委員辞任されましたため、理事に欠員を生じましたので、その補欠互選いたしたいと思います。互選は、先例により投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事石原幹市郎君を指名いたします。
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案議題といたします。  本案につきましては、すでに質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、反対意見を述べたいと存じます。  本案第一条に規定しているところを見ますると、「旧金鵄勲章年金受給者のかつて受けていた経済的処遇が失われ、かつ、老齢者については生活能力が低下している状況にかんがみ、その処遇改善を図るため、特別措置として一時金を給することに」云々と書いてあります。  かつてこの法案に対しまして、同僚議員なり、あるいは参考人憲法学者なり、当事者が参考意見を述べておられます。しかし、われわれといたしましては、納得のできない法律案として今日まで来ましたが、ここで明らかにわれわれとして述べたいのは、本案は、旧金鵄勲章そのもの復活ではない、すなわち年金受給者のかつて受けていた経済的処遇が失われたので、これを補償するのだ、こういう趣旨であるようであります。提案者答弁会議録で見ましても、そういう趣旨が述べられております。また、参考人としての大石教授の供述の中にもそれがうたわれております。旧金鵄勲章そのものに対する年金であれば憲法上これは違憲であるということが大石教授、いわゆる賛成立場参考人も述べられております。間違ったらいけませんので、そこで会議録をもう一回読んでおきますけれども、こういうことを言っておられます。「本案内容は、旧金鵄勲章制度復活であれば、もちろん憲法第十四条第三項に違反することになります。しかし、疑いもなく、本案内容栄典としての金鵄勲章制度そのもの復活ではなく、敗戦による経済的既得権の剥奪に対する国家補償をその本質としております。」こういうことを述べておられます。私は、賛成者立場大石教授も、こう述べられておられるところに大きな意義があると思う。したがって、問題は、金鵄勲章そのものの問題でなくして、これらの人々について経済的の失われた処遇をどう国家が補償するかという問題にかかっておると思う。そこで、もしそうでなければ金鵄勲章といういわゆる評価価値が失われております。法律語で言えば原権がもうすでにない。したがって、それに対する請求権というものはあり得べきでない。したがって本案は、新たにこういう人々のために権利創設しようという法律案だとわれわれは認識しておる。しからば国家財政支出を伴う本案がそれだけの社会的な価値があるかどうかという一点にかかっておると思います。大石教授は、それを称していわゆる国家政策上のいわゆる措置として妥当である、こう述べられております。しからばどういう意味で妥当であるかという教授意見を見てみますると、こういうことを言っておられます。  「本案における一時金の給与対象になっている人々は、国の至上命令なるがゆえに個人賛否をこえて、」。次が問題だと思います。「自分を捨てて国家悠久性維持するために特別の働きをした人々であります。」。いわゆる金鵄勲章というものは、それはもう阻却されておる。そういう国家悠久性維持するために身を捨てて働いたということが、この権利創設一つの大きい要素だと言われております。私は質問の機会がなかったので、提案者から聞いておりませんけれども、おそらく提案者もそういう気持ちでこの権利創設法律案を出されたと思うのですが、そこに一つの大きい問題がある。しからば、金鵄勲章というものは全然それはもう問題でない。旧金鵄勲章を受給する、その権利を失われた人々について特別に一時金をここに与える権利創設が妥当であるかどうか。これは私は一にかかってここに問題があると思う。少なくともわれわれが国民の委託を受けて国家財政支出を伴うところの法律案を考えるときには、社会性といたしましても、また、価値評価の認定にいたしましても厳格に考えなければいかぬと思います。  もうすでに憲法論議はされておりますので、私はあえて申しませんけれども、憲法論から言っては、これは両者おのおの意見が違います。大石教授憲法第十四条第一項並びに第三項に違反しない。そのゆえは、いま申しましたように、旧金鵄勲章復活でないからいいのだ、一にかかって国家政策だと言っておられますが、他の二人の鈴木、中村教授は、憲法そのものに違反するのだ、こう言われておりますから、ここで憲法論議をいたしませんが、賛成せられておる大石教授の、いま申しましたように、新しい権利創設に値する価値があるかどうか、これはわれわれの反対一つ論議の焦点になると思う。これすらも価値がないとなれば、この法律案はわれわれ国民の前にこれを成立させることはできない。そこでこの点につきまして若干意見を述べておきたいと思うのです。  そもそも国家財政支出ということは、これはもう厳格にやらなくちゃいけません。第一の国家財政支出要点といたしましては、いわゆる合社会性社会性に合っているということが第一の要点だとわれわれは認識しております。また、それは憲法学者もそう言っておると思うのです。それを大石教授は、先ほど申しましたように、国家悠久性維持のために身を捨ててやったということで合社会性を言われておると思う。しかし、それだけでは決して私は国家財政支出をわれわれが認めるわけにいかない。合社会性があるからといって、そこにやはり全部が一合社会性があるからといって、すべて国家財政支出をするということは、限界ある国の財政ではできません。そこでわれわれの判断基準になるのは、その合社会性価値判断基準をどこに置くかということであります。もうすでに金鵄勲章ということは問題でない。この人が過去にとられた行動そのもの合社会性であるというならば、それの次に価値判断基準をどこに置いたかということです。私はあえて言いますけれども、いわゆる至上命令として戦争に行かれたということ自体はわれわれとしてはきわめて敬意を表することであったでありましょう。私はちょうど明治三十九年の一月二十五日生まれであります。日露戦争が済んだその直後に生まれたのです。小学校を通じまして、その当時学校の教育はすべて戦争につながった、いわゆる日露戦争のいろいろの物語が教えられ、唱歌は全部軍歌で教えられた人間であります。その当時私の母が、一つの例でありますが、紡績女工をしておりました。私がいつも——その当時は、御存じのように、昼夜二交代です。深夜の業務をやらされております。そのとき母がどう言いましたか。いま自分らがつむいでおるこの織物で、あの満州の零下何度という寒い所で働いておる兵隊さんに着てもらうためにやっておるのだということであります。その人は決して誇りもなければ、自分の使命として働いておったと思います。これは私の母だけではありません。その当時の紡績女工は全部そうである。それがために肺病で胸をわずらって死ぬ人を日々われわれは目の前に見せられた。その当時の母は、夜勤で非常に疲れて、あの人もなくなった。こういうことで、その当時の日露戦争の戦いの中でいろいろと国民全体——紡績女工だけではない、軍需産業労働者も農民もすべて、先ほど大石教授の例を引きましたけれども、日本の国の悠久性維持のために私は働いたと思う。そういう人々に対して一体何を与えられたか。戦争が済んだ後に、いわゆる操短によって首切りだけです。悠久性維持のために働いた価値評価は私は決してこの人たちだけではないと思う。もちろん戦地におもむいていろいろ苦労された方々、そういう方々に対しては、もちろんそういう価値評価をしてもいいでしょうけれども、これだけのことで、限られたこの人だけに特別経済的の措置をするということはわれわれとしては納得のできない第一点であります。  次に、旧金鵄勲章のこれが阻却されて、これが全然問題でないと言われるけれども、どうも提案者答弁なんか聞いておりますと、やはり旧金鵄勲章を持っておった人ということが一つのもとになっておるようであります。  そこで私は第二点として、これに対して納得できないのは、いまの国会、また、いまの政治形態民主主義の政体であります。旧金鵄勲章年金令は勅命第百七十三号、明治二十三年だと思いますが、制定されました。私は民主主義原則からいきまして、旧金鵄勲章年金令そのものが、はたして、国民全体とはいわないけれども、国民意思が入った勅令であるかどうかということを一つの問題としたいのであります。勅令御存じのように、天皇の命令でつくられた一つ法律形態であります。これと同じような関係にあるようでありますが、本質的に違うのは恩給法であります。恩給法軍人に対して昭和二十八年にこれが復活いたしました。恩給法復活については、われわれはそのやり方について反対であったけれども、本質的に反対はしておらない。そこにこの金鵄勲章年金令との間に問題がある、本質的にいって。恩給法におきましては、戦前法律でありますけれども、一応立憲的な立場で、衆議院の議論の後につくられたいわゆる法律であります。恩給法であります。旧金鵄勲章年金令というものは、そういう過程を経ておらない、国民の知らない中にそれがつくられたものであって、それを国家財政支出で出そうということは、今日の憲法下にある民主主義国民を代表したこの国会で、その国民意思の入ってない旧金鵄勲章年金令に対して、われわれは国家財政支出をすることは第二点として許されないところであります。  以上、いろいろまだありますけれども、もうすでに討論採決の場になっておりますから、ただ大きい点だけを申し上げましたが、最後に私は、この年金受給者関係する対象者立場方々に一言言っておきたいと思う。なるほど私は、おのおのその人々個人感情からいうと耐え切れないものがあると思う。しかし、私は、先ほど大石教授のことばでありましょうが、いわゆる国家のために、国家悠久性維持のためにやられた。けれどもその功績というものは、金鵄勲章や、または七万円程度のお金をもらったからといって納得されるものではないと思う。もし経済的な問題で困っておるというならば、別に国家として救済する方法があります。厳然として憲法第二十五条というものがありますから、私は単に七万円の金をほしいというだけでそれほどきゅうきゅうとしてこの法律案を熱望されておると思わない。かって自分のなしてきたところの功績というものを、老後であるけれども、ただそれを表徴してもらいたいというきわめて強いそういう熱望があると思う私はそういう方々に対しましては、単に金鵄勲章があるから、七万円の金をもらったからといってこれが済むものじゃありません。島本参考人だと思いますけれども、切々としてこの委員会参考人として述べられております。廣瀬中佐の例も述べられております。なるほど、私はこの当時教育を受けた者として、廣瀬中佐のあの態度に対してはいまもなお印象深く残っております。しかし、廣瀬中佐が偉いということは、旅順港の封鎖作戦に参加して、みずからの鑑を沈めて、そうしてやったという戦功もありましょうけれども、あの人が須田町の銅像になったという原因は、もうすでに鑑が沈まんとしている、弾丸は風雨のごとく飛んでくる、その中に一人部下の杉野兵博長がおらないのでさがしたこの人間愛が私はあの人の大きい光った人間価値であると判断いたしております。したがって、私は、そういうみずからやられたことについては、そういう一時金をもらったからどうだとかということでなくて、みずからやったというところに、歴史的に残るそういうものを私は十分持っていただきたいと思う。それは軍人だけではありません。これは軍人ということよりも、日本人として過去にやったその自分功績というものに対し、金鵄勲章や一時金、年金であがなえるものではありません。そういうことから見ると、きわめて政治的性質の強い法案を出して、しかもこれは議員立法として出されている。私はそれほど日本国家悠久性維持のために尽くされたそういう功績があるならば、政府提案として、そのときの価値評価する金鵄勲章復活にひとしいものを、堂々として私はいまの民主国会に出してもいいのじゃないかと思う。それは出さない。恩給法とは本質的に違う。そういうところに私はこの旧金鵄勲章年金受給者に対する特別措置法案に対しまして党をあげて反対している理由であります。七万円の金がほしいということじゃないのであります。民主国会における、少なくとも国家財政支出を伴うところの法律案を軽々としてここで通すことは、将来民主国家としての大きな私は危殆に瀕する問題がやがて起こってくる。こういうことからわが党は反対しているのでありまして、この点はこの法律案対象者も十分理解していただきたいと思います。  以上で私の反対討論を終わります。
  7. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 私は、自由民主党を代表して本法案に対し賛成意見を申し述べたいと存じます。  先ほど山本さんの御討論もございましたが、本法案憲法問題につきましては、いろいろ論議もございましたが、慎重審議された結果、本法案憲法に違反するものではないことはすでに明らかになったと私は存じます。すなわち本法案趣旨は、その第一条にも規定しておりますように、旧金鵄勲章年金受給者がかって受けていた経済的処遇を喪失し、精神的、経済的に不遇のうちに老残の日を送っている方々が多い現状にかんがみ、その処遇改善をはかるため特別措置とし一時金を支給しようとするの、でありまして、決して金鵄勲章そのもの栄典復活しようとするものではありません。したがって、本法案栄典復活でない以上、憲法第十四条第三項の規定に違反しないことは明らかでございます。また、憲法第十四条第一項のいわゆる国民平等の原則との関係につきましても、そもそも国民平等の原則は単に物理的な、あるいは幾械的な平等を意味するのじゃなくて、合理性を持たない差別を認めないというのがこの条項の趣旨でございます。このことは別な立場から見ますというと、文化功労者に対し年金の支給が認められていることから見ましても明らかでございます。  軍人恩給もすでに復活しているのでございまして、本法案措置合理性を持たない差別とはとうてい考えられないと思います。わが国の経済が最近ますます発展し、国民生活も向上の一途をたどってまいりました今日、戦後処理の一環としてかかる措置がとられますことは、むしろおそきに失したとすら私は存じております。特に本法案は、旧金鵄勲章年金受給者のみを対象としておるのでありますけれども、旧一時賜金金鵄勲章保持者につきましても、その事情は同一だと考えております。なるべくすみやかに、これにも適用する措置を講ずべきであると考えるのでありまして、私はこのことを強く重ねて要望いたしまして、賛成討論を終わります。
  8. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。
  11. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  政府側出席の方は、野田総務長官瓜生宮内庁次長小畑皇室経済主管でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本法律案に関連して、二、三お伺いしたいと思いますが、大体総務長官にお伺いしたい予定でございましたが、やむを得ぬ用がございますようですから、お済み次第、御出席方委員長から要求していただきたい。  まずお伺いしたいのは、内廷費に関連してお伺いしますが、皇室経済法第三条を見ますると、「予算に計上する皇室の費用は、これを内廷費宮廷費及び皇族費」といういうふうに順序があるわけです。そこで、その順序に従って、まずもって内廷費に関連してお伺いしたいわけです。で、これを歴史的に見ますると、戦前には国庫から四百五十万円が支出されておったようです、過去においてはですね。その国庫から支出された四百五十万のほかに、御料林木の払い下げ、牧場、養漁場収入とか、学習院使用料、こういうようないわゆる不動産収入が相当額あったようです。そこでまずお伺いしたいのは、これら不動産収入は時価に見積もって大体どの程度の額であるのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
  14. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 戦前関係についての御質問でございましたけれども、御承知のとおり、旧皇室関係におきましては、現在のたてまえと全然違っておりまして、御資会計通常会計その他特別会計関係がいろいろ入っておりまして、いまお話がございましたとおり、帝室林野局特別会計とかあるいは学習院その他の会計とかいろいろなものが入っておりました。それで今日たてまえが変わりまして、現在の宮廷費内廷費皇族費関係戦前関係と大体合わして考えてみますと、昭和十一年ごろが大体安定しておりました時代かと思うのでありますけれども、その時代に約千五百万円というふうな程度皇室経済の大体規模でございました。政府のほうから四百五十万円の定額が毎年入ったわけでございますけれども、おもなものといたしましてはただいまお話がございましたとおり、帝室林野局特別会計収入が相当大きなものでございまして、これは年々やはりその時代の木材の価格その他におきまして変わっておりましたけれども、大体千二、三百万くらいの程度のものが収入としてあげられた、ちょっといまここではっきりした計数を持ち合わせておりませんけれども、大体その程度であったかと存ずる次第でございます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和二十二年の評価で三十七億三千万円という数字が出ておりますが、これはそのとおり理解してよろしいかどうかお伺いしたいと思います。
  16. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 昭和二十二年度のただいまの三十七億程度と仰せられましたのは、当時の皇室財産の総額でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の内廷費定額は六千万円になっておるわけですが、これを本法律案によって八百万円増をして六千八百万円、こういうことであるわけです。この八百万円の増を計画しておるわけですけれども、それにはそれ相応の根拠があってしかるべきだと思うのですけれども、那辺にその根拠があるのか、これをまず御説明いただきたい。これはせっかく瓜生次長がおられるから、そういう大綱のことは次長から……。
  18. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 中心の問題でございますから……。この基礎は、これは内廷費の中に人件費部分がございます。その人件費部分につきましてこの一年間に、ちょうど昨年の十月に公務員給与ベースアップになりましたその前の年から一年でそのベースアップのパーセンテージは六・七%というふうになっております。この人件費のほうへこの六・七%をかけましてその増額を出し、それからその他の経費、物件費的なものが多いわけでありますが、そういうものにつきましては、過去二年間の物価指数の上がったものをかけたわけであります。と申しますのは、昨年に一昨年から比較いたしますと二百万円の増額がございましたが、しかし、この二百万円の増額の際は人件費増額部分だけを見まして、物件費というようなものは一応見送ってあったわけであります。そこで、その前の年からずっと二年間の物件費関係を考えまして物価指数の値上がり、それが一四・五%、一割四分五厘上がっております。それをかけましたそのかけたもの、その両方を合わせますとその金額が約八百万円になりますので、八百万円の増額を適当と考えまして案をつくったわけでございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、人件費物件費というところに問題があるような気がします。これは内廷職員給与は従来公務員に準じて支給してきた。こういうことから公務員給与が上がってきたのにそれに見合う給与の引き上げ、それと過去二カ年間における物価指数の上昇、そういうものを勘案してそれを数字的に計算すると八百万円になる、こういうふうに理解していいわけですか。
  20. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしますが、大体、三十二、三万坪もあるといわれている皇居、あるいはかつて先ほども申し上げた皇室財産ドル箱ともいうべき御料林とか、こういうものがすべて国有化したということ。お住まいも葉山とか那須の御用邸も、これも国有化して政府からお借りになっておる。あるいは乗用車に至るまで宮内庁の所有であって、こういうことになりますと、現在の陛下の財産にはどんなものがあるわけですか。
  22. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 陛下の所有になっておりますのは、結局、お身回りのいろいろの品というもの。それから皇室に由緒あるもの。これに準ずるものとして伝わってきているようなもの。それから内廷費定額毎年いただかれまするが、その内廷費として入ってまいりますると、これはお手元金になるので、宮内庁の経理する公金とはしないということが皇室経済法にあります。お手元金になりますが、その内廷費として受けられるものが御所有ものになるわけであります。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 内廷費の使途について具体的にお伺いしたいのですが。
  24. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 内廷費皇室経済法にもありまするように、内廷におられる天皇及び皇后、それから皇族の方の日常の費用、その他の諸費に充てるものと、こうございまして、その内容の概略を申しますると、いろいろ御交際に必要な経費ですとか、それから平素のいろいろな御服装に必要な経費とか、お身回り品の経費とか、それからお食事に必要な経費、御旅行、それから備品とか、消粍品、そういうような経費、なお、そのほかに神事に関する経費がございます。この賢所等の神事に関する経費、それから内廷におりまする職員に対する給与の経費、そういうふうなものがございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この内廷費につきましては、いま御指摘があったように、皇室経済法第四条に要点が記載してあるわけですが、いま具体的にお伺いしておるわけですが、そうしますと、衣食住とかそういう一切の日常経費それと生物学の研究をやっておられるので、それの費用とかあるいは所得税、この所得税についてお伺いしたいのですが、これは調べてみると、所得税法の第六条によって、内廷費には税を課さないというふうに明記してあるわけです。そこで、ここでいう所得税というのは、その内廷費に対する所得税ではない、内廷費以外の所得に対する所得税、こういうふうに解釈せざるを得ないわけですが、かつてお伺いしたことがあるのですが、これは年額数十万円であるというお答えが当内閣委員会でなされたことがあるわけです。まず、そういう問題をも含めてお答えいただきたいのですが。  それと、陛下の私的な国内の旅行とかあるいは相撲、観劇、こういうことも内廷費に入るというふうに解釈してよろしいのか、その辺について明確にしていただきたい。
  26. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまお尋ねのように、いろいろ、生物学の御研究の経費、これも私的な御趣味でなさっておりますから、そういうものも入りまするし、あるいはいまおっしゃった、相撲においでになるとか、それから観劇という、おもに慈善興行の場合ですけれども、そういう場合においでになって、そこへ相当、金一封をお出しになるというふうな経費もこういう中に入っておるわけであります。  それから所得税法との関係は、内廷費そのものにはかからないことになっております。しかし、たとえば御本をお出しになった印税が入りますと、そういうものに対しては税がございます。それから、まあ内廷費で一部債券でも買っておられますと、そういうものの配当でもありますとそれに対しての税金があったりするということでございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで先ほどの理由とも関連するわけですが、人件費物件費の問題から八百万円増、そこで、人件費は、陛下個人に現在はたしか二十五名ぐらい置かれておりますが、そういう仕事の内容はどういうものか。それから人員とか、たとえば内掌典、これは一体どういうようなことをなさって、そのために川名予定されておる、そういうことを具体的にお聞かせいたたきたい。
  28. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在の内廷の職員は、やはり二十五名でございまして、そのおもな部分は神事に携わる職員でございます。その中には、男の職員は掌典と言っておりますが、それから、女の職員は内掌典、なおその下にその下働きをするお手伝いふうな人もおられまするが、いまお尋ねの内掌典と申しますのは、賢所それから皇霊殿の宮中のそういう三殿のお祭りの、婦人としての参与する部分をやっておられるのですけれども、この中心は賢所でございまするが、常にあそこの場所に住まわれて、昼夜いろいろ奉仕をきれておるということでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 内掌典、掌典、これはどういう違いがあるのですか。掌典というのは神官のようにいままで理解しておったのですが、その内掌典と、内掌典も祭りのことに関係する、それなら掌典が神官だから祭りに関することは一切掌典にということでいいわけだと思うのですけれども、そこのところをひとつ。
  30. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この掌典は祭りのそのものの奉仕をしておりますが、内掌典のほうはごく奥のほうのその神殿のところを清めましたり、それからいろいろお供えの準備をしましたり、あるいはおあかりをつける場合にそれをつけたり、掌典よりももっと幾らか奥まった、まあ祭りそのものというより祭りのいろいろな基礎になることをやっておられるということで、そこに違いがあるのでございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 皇室経済法の附則の2に「この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている従前の皇室財産で、国有財産法の国有助産となったものは、第一条第二項の規定にかかわらず、皇室経済会議の議を経ることなく、これを皇室用財産とする。」こういうふに明記されておるわけです。  そこでお伺いしたいのですが、従前の皇室財産で国有財産法の国有財産とならなかったものはあるのかないのか、もしあるとすればどういうふうなものがあるのか、この点を明確にしていただきたい。
  32. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この従前の皇室財産でちょうどこの法律が施行の際にはあったものとしては、ここにありますように国有財産になっておりますが、戦後この法律が出るまでの間に、憲法皇室財産はすべて国有とすというので国有になったもの、それからその憲法のまだその前にいろいろ御用邸などで普通の公共団体のほうにお渡しになったものが相当あります。たとえば東京ですと浜離宮のようなところですとか、あるいは関東では日光の御用邸とかあるいはずっと遠く兵庫のほうの離宮というのもございましたり、そういうふうな離宮の相当の部分はお渡しになったものが相当ございます。  それから財産税として混納されたものも相当ございまして、ちょうど皇室経済法が施行になります際にはおおむね現在の皇室用財産としての国有財産というふうなものになっていたわけでございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いした皇室経済法の附則の2と、憲法八十八条との関係はどうか、その点を明らかにしていただきたい。その憲法八十八条は言うまでもなく「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」憲法八十八条はこう明記しておるわけです。附則の2では「従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となったものは」以下省略しますが、「皇室用財産とする。」こういうふうになっておりますね、その二者の関係について明らかにしていただきたい。
  34. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この憲法のほうではすべて皇室財産は国有とするとありますので、憲法によりましてその憲法の施行の当時に皇室財産であったものはすべて国有になった、この附則の第二項は「現に皇室の用に供せられている従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となったものは、」とありまして、ここに書いてありますものは、その当時皇室財産であったものではないので、前に皇室財産で現在は「国有財産法の国有財産となったものというふうにございまして、その当時はもう国有財産なのでございます。ただそれを皇室の用に供するものは皇室用財産とすることにつきましては、前の皇室経済法の第一条第二項には皇室経済会議の議を経るようになっておりましたが、現在の法律ではそれが削除になっておりますけれども、そういう条文があって、これは皇室経済会議の議を経なくても、これは皇室用財産としての国有財産とするということをここに書いたものでございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この皇室用財産は憲法八十八条によって国に属する、そうして国有財産として大蔵省へ返還されて宮内庁がこれを所管する、こういうことであろうと思うんです。そこで宮内庁にお伺いするわけですが、皇室用財産のおもなものにどのようなものがあるのかお伺いしたい。ここではそのおもなものについて御説明いただいて、なお項目名とか、土地、数量、建物、坪数、所在地、こうした詳細については、次期当内閣委員会に資料として御提出いただきたい。それでおもだったものだけをひとつここで口頭でお答えいただきたい。
  36. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) おもだったものを申しますると、皇居の地域並びに施設、これがございます。それから御用邸、御用地というのは赤坂のほうに御用地があります。それから常盤松のほうに御用邸があります。それから葉山のほうにも御用邸がある。那須のほうにも御用邸、沼津にも御用邸、そういうような御用地、御用邸というのがございます。それから下総の御料牧場、それからカモ場が新浜とそれから越谷にございます。それから京都御所、それから修学院離宮、桂離宮、それから正倉院、それから御祖先のお墓である陵墓、これがございまして、そうしたものが国有財産としての皇室用財産でありまして、全体を土地で言いますると全部合わせまして約七百八十七万坪くらいになります。その部分にいろいろ建物がございますが、建物の部分は東京から地方に散らばっている全部を合わせまして五万一千坪になります。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この皇室用財産を時価にすると一体どのくらいになるのか、また、全国有財産に対する比率はどのくらいになるのか、ここでは概要だけ承って、その詳細については次回資料として御提出いただきたいと思います。
  38. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 計数にわたりますから私から申させていただきたいと思いますが、土地及び建物の評価につきましては、大蔵省のほうで評価いたしておるのでございますが、ただいま次長から申し上げました土地建物につきまして、総額で、土地につきましては二百四十一億八千四百万円程度でございまして、建物につきましては八億五千百万円程度に相なっております。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 皇室経済法の第五条を見ますろと、宮廷費の面についての条項があるわけですが、そこで以下宮廷費についてお伺いしたいと思いますが、この宮廷費は、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てるものとし、宮内庁で、これを経理する。」、こうあるわけです。そこで、まずお伺いしたいのは、三十八年度は八億三千三百二十一万で、三十九年度すなわち新年度は二十二億四千七百六十四万六千円、結局十四億一千四百四十三万六千円の増となっておるわけです。そこでお伺いしたいのは、この十四億一千四百四十三万六千円の増のうち新宮殿の建設費、これはたしか五カ年計画ぐらいでやられる予定になっておるので、三十九年度分はどれくらいか、また、人件費についてはどのぐらいになっておるのか、その大綱をひとつ御説明いただきたいと思います。
  40. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 三十九年度の宮廷費の中の宮殿の関係でございますけれども、これは御承知のとおり、四十一年を目標として完成するように進めておりますけれども、一応予算単年の関係で、各年ごとに経費を上げておると、こういうふうな状況でございます。で、宮殿の関係といたしましては、宮殿そのものの関係と関連的な施設とございますけれども、三十九年度におきましては、十五億二千六百万円というふうな計数をお願いいたしまして、可決になった次第でございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 新宮殿建設費の三十九年度分、それから人件費の総額についてはどれくらいかもお伺いしたわけです。
  42. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 人件費関係は、皇室費の関係でございませんで、宮内庁費のほうにその総額があがっておる次第でございますけれども、宮内庁費といたしましては、三十九年度におきまして総額約九億一千万円程度の予算をお願いいたしております。そのうち純粋の人件費に当たります部分は八億三千三百万円と、こういうふうな数字に相なっております。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、関連あるからお伺いいたしますが、宮内庁の現在の定員は同名になっておって、なお、その充足状況はどのようになっておるのか。
  44. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 現在の定員は、特別職の関係で二十八名、それから一般職の関係で千百九十二名というふうになっております。なお、三十九年度に一般職の定員を二名ふやしていただこうというのを総理府設置法等改正の中にお願いしておりまして、国会で審議をいただいております。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 充足状況もあわせて御説明願いたいと思います。
  46. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 充足状況でございますが、特別職の関係で一名欠員があります。これは東宮職の関係ですね、一名だけ目下選考中です。それから一般職の関係で見ますと、私の手元にありますこの資料によりますと、千百六十八が現員ですが、定員が千百九十二ですから、千百六十八を引きますと二十四名欠員があるという状態です。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 国家もしくは社会に貢献された方がなくなられた際に民間でいう香典、また、宮中でいわれている祭祀料を出されると思いますが、これは宮廷費の中から出されるのだと思いますけれども、その点について……。
  48. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは宮廷費の中の報償費から出しております。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 天皇及び内廷皇族の賜与の総額三百七十万を今回六百五十万に改めようとしておるわけですが、この賜与の内容をまず承りたいと思います。
  50. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 賜与の概要でございますが、まず考えられておりまするのは、天災地変等に際しましての見舞い金をお出しになっております、こういうもの。それから各種の社会事業団体等に対して奨励金のようなものをお出しになっております。特に天皇誕生日の前に相当まとまって、厚生省関係とか法務省の関係文部省の関係、それから運輸省の関係、そういうようなところでの社会事業団体に対して奨励の意味で金一封をお出しになっております。それから学士院ですとか芸術院とか発明協会、そういうようなところに対しても金一封をお出しになっております。そのお出しになった金一封が、そういう会のほうで恩賜賞ということで、優秀な業績をあげられた方にそれをお渡しになっております。そのほか、皇室と特に関係の深いような、たとえば蹴鞠の保存会ですとか、あるいは八瀬の童子会とか、京都時代からいろいろ御縁故のあったところにそういう事業の奨励の意味で金一封をお出しになっております。そういうようなものがございます。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 賜与についてさらにお伺いしたいのですが、昨年度の賜与と献上の実績はどのくらいになっておるのか、まずお伺いいたします。
  52. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 賜与の実績は、これは制限額が三百七十万、それを上回らないようになされております。それから、いわゆる献上、譲り受けの関係は、これは内廷を通じて百二十万というのが規定でございまして、その範囲でされておるわけでございます。この詳細な点は、これもこの皇室の私経済に属する部分のものですから、つまびらかに申し上げることは御遠慮さしていただきたいと思います。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 宮内庁憲法調査会に出された資料を拝見いたすと、こういうことがあるわけです。そのときに意見が具してあるわけですが、「昭和三三年度の実績は、賜与は三一八万七〇〇〇円、献上は一〇八万九九四〇円となっている。賜与は災害に対する見舞金・社会事業・学術団体に対する奨励金等であるが、不測の災害の場合などに備えて控え目に処理しており、献上は宣伝売名の弊害も伴いやすいため極力厳格に処理している。特に献上の制限額については引き上げる必要があるとの意見もあるが、宮内庁当局としてはその必要を感じていない」こういうふうな意見が述べられておるわけです。そこでお伺いしたいのですが、その宮内庁意見をお伺いするわけですが、その御意見には現在も変わりがあるのかないのか。この点を明確にしていただきたい。
  54. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) それは憲法調査会に高尾主管が出て参考人として申し上げたことであると思います。この賜与の関係につきましては、これはやはりだんだん物価なんかも上がってまいりまするから、そういう関係でやはり金一封の内容も、やはり社会情勢に応じてある程度上げなければいけないというので、やはり増額の必要を感じております。そこで今度のこの法律の改正をお願いする際にもその賜与額の増額の点が実は主なんでございます。  譲り受けのほうの百二十万、このほうは従ではございますが、譲り受けの関係はちょうど賜与額の金額を三百七十万を六百五十万にしましたのは、この前の三百七十万がきまりましたのが昭和二十四年で、それから三十八年の十一月の物価指数を見ますと六割八分も上がっている。そういうものをかけてそれに端数を繰り上げて六百五十万というふうにしておりますが、譲り受けのほうは、この金額がきまりましたのは昭和二十二年でございまして、これを一としますと三十八年の十一月は四・〇四。この二十二年を基礎にすると非常に物価指数がずっと四倍以上になっておるわけです。そうしますとこれは百二十万に四・〇四をかけますと、約五百万になるわけでございますけれども、譲り受けのほうの関係はそう上げることも、そう深く考える必要もないということでございまして、しかしながら、やはり情勢によりまして物価指数等も上がっているしある程度勘案しておいたほうがいいということで、現在の賜与の額の三百七十万に対して譲り受けが百七十万その割合がちょうど三対一くらいになっておりますので三対一くらいの比率にしてこの二百二十万というのを出しましたわけでございます。いわゆる物価指数的な観念から見ると、ずっと低くはなっております。この点は譲り受けの点は特に増額ということを強く痛感をする点はないのでございますけれども、しかしながら、世間の物価指数等をやはりある程度勘案して少しは考えていただいたほうがよかろうと、そういうことで増額をお願いいたしましたが、しかしながら、実際の運用にあたっては、これは最高額でございますけれども、やはり現在、献上につきましては、これは特別の場合以外はこれをお受けにならないというたてまえで進んでおりまして、やはり従前の御方針で陛下はなさることと思いますので、譲り受けのほうは、制限は上がりますけれども、実際は相当下回って、いままでと大体似たようなもの、金額のものをお受けになる範囲にとどまるだろうと思っております。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、本日は、最後にいま一点だけお伺いして本日の私の質問を終わりたいと思いますが、先ほどの御説明で、特に賜与については、天災地変の場合のお見舞い金とか、社会事業に対する奨励金、学術、芸術、こういう方面に対するいわゆる恩賜賞、要約すれば、主として公的な場合であろうと思います。  そこで最初にお伺いをした内廷費の使途についてお伺いしたいわけでございます。これの問題というものを深く考えますと、内廷費については、そういう公的なものでなく、私的な場合には、内廷費から、公的な場合は宮廷費から、こういうふうに理解してよろしいのかどうか、この点を明らかにしておいていただきたい。
  56. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いままで賜与の、天災等に対するお見舞いですとか、それから社会事業とか、学術、芸術の奨励というようなこと、これはやはり内廷費のほうでなさっておるわけです。やはり陛下の私的なおぼしめしでなさるということで、これは内廷費でされているわけでございます。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、いまの賜与の内容を承りたいということに対していろいろ説明があったわけですが、これは一切内廷費から支出されるわけですか。いま賜与の説明はありましたけれども、いろいろ天災地変に対する見舞い金とか、あるいは社会事業に対する賜金とか、あるいは学術、芸術に対する恩賜賞等、賜与という内容は、そうである、この使途の財源は内廷費から、こういうことですか。
  58. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  59. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  60. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案質疑は、本日はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。   午後零時七分散会    ————————