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1964-06-11 第46回国会 参議院 逓信委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十一日(木曜日)    午前十一時九分開会   ——————————   委員の異動  六月十一日   辞任      補欠選任    白木義一郎君  二宮 文造君   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     占部 秀男君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            安井  謙君            久保  等君    委員            植竹 春彦君            小林 篤一君            郡  祐一君            白井  勇君            松平 勇雄君            最上 英子君            鈴木  強君            永岡 光治君            野上  元君            二宮 文造君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政大臣官房長 武田  功君    電気通信監理官 野口 謙也君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   説明員    郵政省電波監    理局航空海上    課長      三枝  豊君    日本電信電話    公社総裁    大橋 八郎君    日本電信電話    公社総務理事  金光  昭君    日本電信電話    公社営業局長  千代  健君    日本電信電話    公社計画局長  宮崎 政義君    日本電信電話    公社建設局長  大谷 昌次君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)    ——————————
  2. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(閣法第六七号)を議題といたします。  本案の審査を進めます。  質疑のある方は、順次、御発言をお願いいたします。
  3. 野上元

    野上元君 本案については、同僚委員から相当詳しく質疑があったわけでありますので、あるいは私の質問と重複することがあるかもわかりませんが、その点はひとつ御了解いただいておきたいと思います。  この法案が通過することによって、電電公社投資をすることができることになるわけですが、日本船舶通信株式会社設立されたのは昭和二十七年十二月ということになっておりますが、この会社をつくったのは、郵政省肝いりでつくられたのですか、電電公社のほうでつくられたのですか。
  4. 千代健

    説明員千代健君) いまの日本船舶通信株式会社設立は、公社郵政省のほうと相談をされまして、どちらが肝いりというわけではございませんで、双方一緒になってつくったという、こういういきさつでございます。
  5. 野上元

    野上元君 そのつくられたときにですね、いろいろの考え方があったと思うのですが、当初は、電電公社からは全然投資はされておらないわけですか。
  6. 千代健

    説明員千代健君) 電電公社会社のほらには投資をしておりませんで、陸上基地のほらは公社直営でやっております。ほかのほうの無線基地、これは公社が直接投資をやっております。
  7. 野上元

    野上元君 先般来から問題になっておりますが、日本船舶通信株式会社設立にあたって、株式会社にしたということは、皆さん非常に問題が残っておるのじゃないかというふうに考えておられるようなんですが、私も、株式会社とするというのには、相当の将来の見通しの上に立ってされたと思うのですが、当時は、電電公社がこのような投資をやるというようなことは予想されておらなかったのじゃないですか。十分に株式会社としてやっていけるという見通しの上に立ってやられたのではないですか。
  8. 千代健

    説明員千代健君) この会社設立されました当時も、海上との通信そのものは主として——というよりも港湾の中の船と陸上とを結んで話をする、こういうのが大体この業務内容として考えられておりました。当初は、外部から資金を集めるというような点から考えて株式会社の形態とする、こういうふうにきまったように私ども考えておりますけれども、当初から株式会社組織のはなやかな何といいますか非常に会社としていい会社ができるかどらか、こういうことについて、必ずしも確信を持っておったというようなわけではなかったようです。と申しますのは、初めてのことでございますので、委託料の支払い、いうならば固定資産事業みたいなもので、このほうの支払い等についても、当初の記録を見ますと、非常に苦労してつくり上げておりますが、そういうようなところから、十分採算がとれて、うまくいく会社というぐあいには思っていなくて、むしろ非常に利潤の少ないもの、こういうような見方でおったようでございます。
  9. 野上元

    野上元君 そうしますと、今回投資を開始したいということになったのは、この会社自体性格も変わってきた、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  10. 千代健

    説明員千代健君) 御質問お答えになるか、ちょっと疑いますけれども、今度の投資というのは、従来会社がやっておりました、先ほど申し上げました港湾だけのところから、一部の沿岸にわたっていまやっておりますが、それを、三十八年度以降三カ年で、日本周辺の全海域、こらいったところにサービス海域を広めていく、こういった計画をやりまして、それにフォローしていく海上関係仕事をこの会社が受け持つわけでございまして、従来と性格が変わったかと言われますと、はなはだまずいお答えになるかもしれませんが、性格は変わっておりませんけれども、より公共性が強くなってきた、こういったように説明したらいかがなものだろうか、こういうように考えます。
  11. 野上元

    野上元君 その会社性格が、より公共性が強くなったというのじゃなくして、強くしようという意図電電公社にあるのですか。会社自体が発展していくのにタイアップして、電電公社がこれをバックアップしようというのか、それとも、電電公社自体がこの会社性格を少し広めて、さらに公共性の高いものに育てていこうという意図があるのか、その点どちらなんです。
  12. 千代健

    説明員千代健君) いまの御質問の後者のほらが多いと思っております。
  13. 野上元

    野上元君 そうしますと、将来は湾内及び岩壁ばかりじゃなくて、日本近海航行しておる船舶が、いわゆる日本国内における公衆電話を利用できるというふうに広げていくと、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  14. 千代健

    説明員千代健君) 現在は東京から清水と、それから瀬戸内海はずっと走りながらやっております。そういった意味で、湾内だけではございませんで、一部海域をやっておりますが、将来は全海域を、うんと離れれば別ですけれども周辺を走っております際には、陸上電話と話ができるようになる、こらいったぐあいになっております。
  15. 野上元

    野上元君 湾内及び岩壁公衆通信というのは大体わかるのですが、近海といって、どれくらいの範囲近海と呼ばれ、そして、これを適用していこうとされておるのですか。
  16. 千代健

    説明員千代健君) 大体私どもが考えておりますのは、基地から百五十キロくらいのところへは大体到達できると考えております。もちろん、その基地の海抜によりましていろいろございますけれども、大体悪いところでも百二十キロあるいは百五十キロというところの船は通話ができる、こういうわけでございます。
  17. 野上元

    野上元君 電電公社としては、公衆通信の面からこの問題を考えておられるようですが、航行の安全という問題との関係は、どういうふうになってくるのですか。
  18. 千代健

    説明員千代健君) 私どもに対する質問であるかどうか、ちょっと疑問に思いますけれども、私どものほうが公衆電気通信を扱っておるという関係から、この電話を利用して保安上の問題が相当解決されるだろう、こう思っております。  なお、船舶のほうは、船舶安全法その他で、いろいろと、客船にはこう、あるいは大きな船にはどういうぐあいに、義務的に無線機器を積んで保安上の措置をとられるようでございますけれども、一応現在は、私どものほうのこの電話は、それと無関係になっておりますけれども十分保安上のことも考えて、海上保安庁等とも打ち合わせをやってきたわけでございますが、一部の付属の設備をつけることによって、将来できます保安庁海岸局からの保安通信保安指令が入るように設計しているわけでございまして、そういたしますと、保安庁専用の局が、たしか四年計画かで本年度の予算ですでに成立いたしているように聞いておりますが、それが全国に完備します際には、相当にそのほうで威力は発揮できると、かように考えております。
  19. 野上元

    野上元君 この際、将来の見通しについて聞いておきたいのですが、その前に、今回の一億円の増資によって、どういう設備改善が、あるいは増設がなされるのですか。移動無線機器をいま約二百台持っておりますが、それがふえるという姿になるだけですか。
  20. 千代健

    説明員千代健君) お話しのとおりでございまして、その無線機器の増加、これが主眼でございます。
  21. 野上元

    野上元君 そうしますと、この株式会社が十分に配当を行ない得る状態にまでなるためには、どれぐらいの無線機器を持てばやっていけるのですか。
  22. 千代健

    説明員千代健君) 現在、百九十人台の無線送受話器で、五分配当をどうにかやっておりますが、将来適当な配当、まあ一割やるには何台ぐらい持ったらいいかと、こういう御質問かと思いますが、私どものほうではいろいろと計算をしてみておりますが、大体三百台ないし四百台というものを年々増強していくならば、四年ないし五年というところで、いまのような稼働率をあげていけば大体いけるのじゃないかという一応の見当を立てておりますが、諸般の事情がいろいろ変わりますので、そのとおりいくかどうか疑問でございますけれども、第一、三百台、四百台の増備ということはたいへんなことでございますので、そういうふうにいけば、というばくとした前提を持っておりますから、非常に恐縮でございますが、大体そういうぐあいに考えております。
  23. 野上元

    野上元君 まあ、あなたもこの会社の重役でないわけですから、直接にははっきりしたお答えできないと思いますが、私どもが聞きたいのは、どの程度まで電電公社としてはめんどらを見るのかといろ一応の見通しが、私どもとしてはほしいと思うのですけれども、いま営業局長の話を聞いておりますと、年々二、三百台ずつふえていくということになれば、四、五年後には大体常識的な一割の配当はできるようになるだろうと、こういうことになるわけですが、そうすると、これは今後は、毎年この投資をされる計画と考えてよろしいですか。
  24. 千代健

    説明員千代健君) 外部からの資金を集める方法が従来はなかなかできませんのでやっておりませんが、今回公社が七千万円の投資をするというぐあいに決定します際には、またこの会社の信用というものは対外的にずいぶん変わってくるものだと思います。そういった道が幸いにして開けますれば、そういったような点はおのずから解消するわけでございますが、万が一、外部からの資金の調達ということが不可能な場合には、あるいはまたさらに投資の必要が生じようかと、こういうぐあいに考えております。
  25. 野上元

    野上元君 今回、電電公社投資をされる理由の中には、既存の株主、特に船主には、最近の事情からして出資を求めることは困難であるし、また、新たに機器を設置しようとする小型船舶所有者のほとんどが、きわめて零細企業である、したがって、この際、電電公社がこの投資については相当力を入れてやらなければ不可能だと、こういうふうに聞き及んでおるわけですが、そうしますと、理屈を言いますと、やはり金は配当の高いところへ流れてくるというのは、もう当然な話なんで、依然として、この投資をもってしても、なおかつ五分程度配当であるならば、今後においても、いま申し上げました方々からの投資を導入するということは非常に困難であるということになれば、電電公社としては、さらに援助を行なって、実質的に一割くらいの配当ができるところまで育てていきたいといろ積極的な意向を持っておられるのかどらですね、その点、お聞きしておきたいと思います。
  26. 千代健

    説明員千代健君) 電電公社としては、相当意欲的にこの問題を取り上げておりまして、従来とかくないがしろにしておりました海上との連絡の問題は、国会の運輸委員会等決議等によりまして、いろいろと私どもも考えてまいったわけでございまして、また、利用者のほらの組合、その他からもいろいろと御希望が出まして、かなり、というよりも、いままでになかったくらい真剣にこの問題と取り組んでいるつもりでございます。したがって、公社仕事を扱うこの会社というものは、これは相当に私どもも重視していくつもりでございまして、この点では従来、どちらかというと少しく無関心であったような気配がございまして、今後は積極的にいろいろ努力していきたいと、かように考えております。
  27. 野上元

    野上元君 公衆通信拡充強化という観点から、電電公社で取り上げられるということについては、われわれもよくわかるのですが、陸上においても今日、電電公社は十三カ年計画をもって電話設備拡充強化をやっておられる、それと同じ考え方で、この海上における、海上と陸地との公衆通信拡充強化という点で考えられるというのは、当然な話だと思いますが、その場合には、何といいますか、陸上と同じように、積滞数を解消するための一つの増強ということが考えられると思うのですが、現在、海上における公衆通信の積滞というのは、どのくらいあるのですか。
  28. 千代健

    説明員千代健君) この需要のほうでございますが、ちょっと陸上の場合と異なりますのは、船に積み込んで何カ月もこうやっている近海貨物船というような場合と、あるいはニューヨークから横浜へ帰ってきて、荷役に一週間使う——短期、長期とわれわれ呼んでおりますが、そういう関係でちょっと数がとりにくうございますが、大体四百近くものがあるようでございます。この点では、さしあたっての増備計画という観点から、船主等に具体的に会社のほらで当たったようでございますが、その報告によりますと、大体四百というのが需要のようでございます。それがコンクリートのものであるかどうかということは、少し疑問でございます。まあ三、四百というものは現に積滞としてあるというふうに言って差しつかえないと思います。
  29. 野上元

    野上元君 その積滞を解消するのには、今回の増資だけでは解消できないのですか。
  30. 千代健

    説明員千代健君) 全部を一挙に解決するということになりますと、今回の増資だけでは足りないのじゃないかと思っております。
  31. 野上元

    野上元君 この際聞いておきたいのですが、一億の増資をすることによって、無線機器が約百三十ないし二百ぐらい持ってる、こういうふうに聞いておるのですが、一機六十五、六万円という勘定になると思うのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  32. 千代健

    説明員千代健君) 現在のところ、一つの何といいますか、価格の問題で会社のほうでメーカーとネゴシエーションをやっておりまして、この価格が幾らに落ちつくか、まだきまっておりませんが、五十万円ないし六十万円程度、その間のところというようなぐあいに、私どもは、当初試作の品物をつくった場合に期待しておったわけでございますが、その期待期待どおりにいけば、五十万円余りに落ちつくのじゃなかろうかという気もいたしますが、何しろ、何千台という大量生産をやるものでございますので、そこのところはもう少し待って、会社メーカーの折衝を見なければはっきりしないのじゃないかと思います。
  33. 野上元

    野上元君 メーカーはどういうところなんですか、概略でいいです。
  34. 千代健

    説明員千代健君) 現在やっております古いほうのこれは、日本電気がやっておるようでございますが、今度機器を少し合理化しまして、先ほど申し上げますような保安専用チャンネルが入るというような新しい型の軽いものにかえておるわけでございます。このほらは現在試作をやっておりますのが、安立電機と、それから日本無線、この二つ会社試作をやっておるようでございます。どちらをとるかというような問題は、どうなるかということは今後の問題かと存じます。
  35. 野上元

    野上元君 そうしますと、一社ないし二社でつくっておるということになると、いわゆる大量生産というわけにはいかぬですね。全部つくっても百四、五十から二百ということになれば、これを二つ会社に分けるということになれば、百機ずつということになれば、たいして大きなマスプロというわけにはいかないと思うのですが、そういうことを考えると、そんなに安くなるといろ見通しはありますか。
  36. 千代健

    説明員千代健君) 私ども見通しを申し上げても、どうなるかまだきまらない問題でございまして、何とも申しようがありませんけれども、私ども最初試作品をつくった場合の大体の考え方から申しますと、まあ五十万か六十万だろう、こういうことで設計をやっております。大体そこいらに落ちつくのじゃなかろうかと思っております。  それからマスプロは、もちろん、私、先ほど申し上げ議したように、ラジオやテレビのようにコンベヤー・システムでやるというようなものにはほど遠いようでございます。したがって、いわゆるマスプロにはのらないかと思いますが、大体従来、無線の機械というものは、多くの場合、そう何万台もこしらえるというようなことはなかったようでございまして、多ければ多いほどコストが安くなるというのは常識でございましょうけれども、そう大きなマスプロによる価格の差異ということはちょっと無理じゃないか、ころ考えております。
  37. 野上元

    野上元君 船舶安全法によりますと、船に乗る無線通信士というものが大体きまっておるわけですね。どういう船には一級無線通信士を何名乗せる、あるいは、どういう船には二級無線通信士でよろしい、こういうふうになっておると思うのですが、この船舶通信会社拡充強化することによって、近海を走っておる船は全部電話にしてしまうということに将来なりかねないと思うのですが、その場合には、船主側とすれば、無線通信士を雇っておるよりは、無線電話でやったほうが楽だというようなことになると、漸次、無線電信から無線電話に切りかえられてしまうという懸念もあると思うのですが、そういう二級無線通信士の行きどころがなくなってしまうというようなことについては、考慮を払われておりますか。
  38. 三枝豊

    説明員三枝豊君) お答えいたします。  ただいま先生の御質問船舶安全法には、いかなる船に無線設備を持たなければならぬということが規定してございまして、その無線電信局に勤務させる通信士のことは、船舶職員法に規定してございますけれども、ただいまの御質問の、船舶安全法によって義務的に無線設備をつけているものにつきましては、ただいま話題になっておりまする無線電話はその対象になりませんので、船舶安全法によって義務的に無線設備をつけているものは、五百KC無線電信を装備しなければならないもので、無線通信士は二級以上の者を必要とするわけでございます。  で、先生の御質問は、船舶安全法第四条で強制しない、非強制船舶の現在無線電信がついておるものが無線電話に移行していくのではないか、こういう御質問だと存じますけれども、やはりこれは時代の趨勢といたしまして、無線電信より、近距離の通信無線電話のほうが便利でございますので、ブリッジ等ですぐに連絡ができるということで便利でございますので、今後、無線電信から無線電話に移行するものも、そういう非強制船舶につきましてはあろうかと考えます。  で、この場合、現在そういう非強制船舶に乗っております二級無線通信士はどうなるかということになりますけれども、この数は、私は概数をいまちょっとはっきりいたしておりませんけれども、そんなに多数というものではなく、また、強制船舶の中にも二級の無線通信士職場がありますし、それから今回操作範囲令改正等によりまして、漁船のほうで二級通信士職場が広がりましたので、そのほうへの移行も考えられることになると思います。あまり心配はないかと存じます。
  39. 野上元

    野上元君 船舶安全法第四条に一号、二号、三号、四号として、それぞれ無線電信を施設することを要する船舶種類が出ておるわけですね。その次の項には「前項ノ無線電信ハ同項第四号ニ掲グル船舶ニシテ旅客船ニ非ザルモノニ付テハ電波法ニ依ル無線電話以テニ代フルコト」ができる、こういうことになっておるわけです。そうすると、ここでいう「電波法ニ依ル無線電話以テ之ニ代フル」というのは、今回のこの法案とはどういう関係になりますか。
  40. 三枝豊

    説明員三枝豊君) お答えいたします。  船舶安全法第四条第四号の船舶は、国際航海に従事する五百トン以上千六百トン未満の船舶で、今回これが電波法改正案を出しておりますが、船舶安全法のほらではすでに改正になって、三百トンまで下限が下がりまして、安全条約発効の日からこれが発効することになっておりますが、これは条約メガ帯の二一八二KCという国際遭難周波数設備しなければならぬことになっておりますので、いま話題になっております沿岸電話は、その対象になりません。
  41. 野上元

    野上元君 そうしますと、一言で言えば、この船舶通信会社拡充強化し、そして公衆電気通信業務を強化していくことは、いま私が心配しているような無線通信士職場を狭くするという心配は全くないというふうに理解してよろしいのですか。
  42. 三枝豊

    説明員三枝豊君) 全くないとは断言いたしませんけれども、その範囲が、先ほど申し上げますように、非強制船舶に限られますので、非常にレア・ケースである、かように考えます。
  43. 野上元

    野上元君 現在この会社サービスを行なっておる個所は、どこどこですか。
  44. 千代健

    説明員千代健君) 現在会社サービスを行なっておりますところは、海域で申しますと、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門海峡、洞海湾、それから長崎−五島間、この地域でございます。
  45. 野上元

    野上元君 将来はそれを日本沿岸全域にわたってサービスができるように考えておられるのですか。
  46. 千代健

    説明員千代健君) さようでございます。
  47. 野上元

    野上元君 現在サービスされておる公衆電気通信内容というのは、どういうものが一番多いのですか。旅客による公衆通信ですか、船員による公衆通信ですか、どちらが多いのですか。
  48. 千代健

    説明員千代健君) 通話内容について私ども調査するわけにもいきませんので、非常にむずかしい問題でございますが、先般、船主関係と話し合いました際に聞きましたところでは、大体、船の種類によっても違いますけれども、商売上の荷役の問題とか、積み荷の問題とか、あるいは給水の問題とか、そういった航行上及び取引上の通話というのが非常にウエートが高いようでございます。と同時に、外国航路等の船が横浜なら横浜に入りまして、その場合につけております場合の通話の中には、中に乗り組んでおります船員の皆さんからの家族とか同僚とか、そういった私用の通話相当のウェートを占めております。
  49. 野上元

    野上元君 この業務内容は、いわゆる岩壁電話船舶電話と、この二つに分かれておるようですが、従来は岩壁電話が多かったのですが、最近の傾向を見ると、船舶電話のほうがふえてきておるというふうに見られるのですが、将来もそういう傾向になるわけですか。
  50. 千代健

    説明員千代健君) 非常にむずかしい御質問でございますが、岩壁電話も私どものほうとしては拡充をしていきたいと思います。それから船舶電話も、先ほどから申し上げておりますように、拡充していきたい。両方相まってやっていきたいと思うのであります。私どもも知識がごく乏しいのでございますが、特に貨物船というような場合に、沖で荷役をしておったものが、岩壁があいたからさあこっちに移れというような場合が、絶えずとは申し上げませんが、相当ひんぱんに出てくるようでございまして、そういった場合に、双方をやはり並行してやっていきませんと……。沖取りでやっておったものが岩壁についたという場合に、無線機器を使っていただくよりも、岩壁電話を使っていただくほうが、こちらとしてもよろしいのでございます。他の船に無線機器を回すということのほうが、より効果的であろうと思います。そういったふうにやっていきたいと思いますが、お答えにならないようなことで恐縮でございますが、両方相まって拡充していきたい、こう考えます。
  51. 野上元

    野上元君 岩壁電話というのは、これは全部有線でやるわけですね。その場合、港に会社はどういう設備を持っておるのですか。
  52. 千代健

    説明員千代健君) 岩壁電話と申しますと、岩壁につまりこちらの市内電話の端末がついております。コンセントと申しますか、それをつけまして、会社の持っておる電話機を船内に持ち込む。それで通話が始まる。こういうかっこうであります。なおその場合に、横浜と神戸はおい立ちが少し早かったために、会社側が設備いたしました交換台、それを通じてやっております。その他のところでは全部、一般の電話のように直接電話局につながっておる、こういうかっこうになっております。
  53. 野上元

    野上元君 横浜、神戸では、依然としてその会社の交換台を使っておるのですか。
  54. 千代健

    説明員千代健君) 横浜、神戸でございますね。失礼いたしました。会社がつくったのではなくて、公社がつくった岩壁電話用の交換台を会社が利用しておるのであります。
  55. 野上元

    野上元君 そうしますと、会社が持っておる設備というのは、移動無線電話機のみであって、その他の設備は何にも持っておらないということですか。
  56. 千代健

    説明員千代健君) 無線電話送受話器と、それに岩壁電話の場合に電話機、これを持っておる。それから、そのほかに——私も先般行ってみましたが、保守用の機器というのがやはり相当ございます。測定器その他相当高価な保守用の機器を持っております。
  57. 野上元

    野上元君 私はここに、この会社昭和三十七年十月一日から三十八年三月三十一日までの、いわゆる下半期の損益計算書を持っておるのですが、その事業収入の面を見てみますると、受託手数料が全部で六千二百三十九万円あるわけで、そのらち、船舶電話収入は四千八百二十四万円、岩壁電話収入が千四百十五万円、こうあるわけです。それを当期中の取り扱い電話料の中でどれだけこの手数料が払われておるかというパーセンテージを見たのですが、船舶電話収入の場合には七二・六%の手数料となっておるわけです。岩壁電話収入のほうは四九・六%の手数料となっております。こういう大きな差があるのは、何か特別の理由があるのですか。
  58. 千代健

    説明員千代健君) ただいま御指摘の、つまり、船舶電話に対する公社の収入金との比較、これは必ずしもバランスがとれなくてもいいのではないかという議論も実はあったわけでございますが、私どものほうの検討の際に、やはりバランスがとれておるほらが正しい姿じゃないかということでございまして、実は、いま御指摘の昭和三十七年度の下半期と三十八年度のものについてこれをどうするかというので、昨年の八月一日に、十年間の委託業務契約が一応期限があったのですが、その期限の延長をやりますと同時に、取り扱い費等の手直しをやったわけでございます。その結果、三十八年度の営業収入は、ごく最近、株主総会で採択されたのでございますが、それをいまのこのやり方で実はやってみたわけでございます。ちょうど八月ですから、四カ月が古いほうの手数料、八カ月間が新しいほうの手数料、こういった幾らか年間で変わっておりますけれども、大体それを直してみますと、船舶については偶然でしょうが七二・六%、岸壁のほうでは大体七〇%という数字が出ておりまして、先生御説のように、この差があるのはないほうがいい、バランスがとれたほうがよろしいというような観点から、昨年委託費の手数料を改定いたしました際に直したのでございますが、ようやくそういった姿に帰ってきている、こういうぐあいに思います。私どももある意味ではほっとしておるようなわけでございます。
  59. 野上元

    野上元君 ちょっといま聞き漏らしたのですが、三十八年度の決算によると、船舶電話収入のパーセンテージはどれくらいになっておるのですか。
  60. 千代健

    説明員千代健君) 七二・六%、偶然の一致でございましょうが……。それから岸壁のほうは、これが約七〇%でございます。途中で四カ月間古いあれがあるものですから、そこのところ、詳細な数字が出ませんが、月々でやってみますと、月数だけでやってみますと、大体七〇%です。
  61. 野上元

    野上元君 私はしろうとでよくわからないのですが、岸壁電話のほらが会社のほうとしては何か手続がめんどうなような気がするのですね。船舶電話のほらはとにかく無線機を貸しておけばそれでいいでしょう。あとは無線によって基地に送り、基地から有線で送っていくということになれば、もうほとんど会社は何もしなくてもいい、電電公社が全部やってしまうのだということになるような気がするのですが、岸壁電話の場合は、何か少し労働力も加わるのではないかというような気がいたしますね。この岸壁電話のほらが手数料のパーセンテージがうんと低いというのはおかしいんじゃないかというような気がいたしますが、いまお話を聞いておりますと、大体いまはそのパーセンテージを統一されたということになるわけですが、従来何か、そういう私の疑問ですね、疑問に対しては何ら問題はないというようなあなた方の理屈づけはあるのですか。
  62. 千代健

    説明員千代健君) 岸壁電話のほうは、あらかじめ埠頭に設置された端子函から船の中に電話機を取りつける、あと神戸と横浜では、通話のオペレーションがございますけれども、この取りつけ取りはずし作業というものは、船舶の場合に比して非常に容易でございます。船舶のほうは、まず、はしけを雇い上げまして、それからまた、従来のものを見ますと、特に六十六、七キロございます、本体だけで。それを三、四人でこれをリュックサックみたいなものでかついでいく。そして船にあがって、つまり、アンテナから取りつける。相当な難事業でございます。私どもが見て相当重いものを持っている。特にしけているときなどは、相当な荒仕事でございまして、そういった点から見ても、相当にこの船舶のほらは大きくてもいいというようなぐあいに実は考えておったわけです。  それから機器そのものの値段が、電話機ですと五千円か六千円、それに線条が幾らかついている。このものは、現在使っております機器は七十五、六万円もするものでございまして、それの資産価格相当違っております。大体船舶電話のほうに少しはよけいいってもおかしくないと、こういうぐあいに思っておったわけでございますが、従来のやり方を変えます場合に、いろいろ内部的に検討した結果、やはりバランスがとれたほうがいいということで手直しをしたわけでございます。その結果は先ほど申し上げたとおりでございます。
  63. 野上元

    野上元君 そうしますと、バランスをとるためには、このレベルアップをしたということになるわけですね。大体いままでの船舶電話収入は七二・六%、現在も大体その程度、岸壁のほうは五〇%ぐらいだったやつを七〇%に引き上げたということになれば、それだけでも会社はだいぶ収入がふえると思うのですが、大体どのくらいふえるのですかな。
  64. 千代健

    説明員千代健君) ちょっといま計算をいたしまして、後ほど御回答申し上げます。
  65. 野上元

    野上元君 ふえるだけは間違いないのですね。
  66. 千代健

    説明員千代健君) ふえることは間違いございません。
  67. 野上元

    野上元君 貸借対照表をちょっと見てもらいたいと見てもらいたいと思うのですが、昭和三十八年三月三十一日現在のやつですが、営業未収入金というのが千八百万円あるのですが、これは全体の流動資産から見て非常に大きなパーセンテージを占めていると思うのですが、営業未収入金というのは、これは何ですか。あなたのほうから払っておらないということになるのですか。
  68. 千代健

    説明員千代健君) ちょっとはっきりはいたしませんが、これはおそらく、期末の締め切った場合に、請求だけを出して公社からまだ金を支払っておらないもの、こういうものじゃないかと思います。期末には当然出てまいるものでございまして、例年ずっと千五、六百万円、三十八年度末もやはり千八百万円出ております。非常にこれは流動的なものでございまして、おそらく、それじゃないかと、こう思っております。
  69. 野上元

    野上元君 この会社の事業収入というのは、営業外収入を除けば全部公社から支払われるものだと思いますが、そう認識してよろしいのですか。
  70. 千代健

    説明員千代健君) さようでございます。
  71. 野上元

    野上元君 同じく貸借対照表に、長期貸付金というのが二百七十六万二千円出ておるのですが、この長期貸付金というのは何ですか。これはどこに貸したのですか。
  72. 千代健

    説明員千代健君) 私、これよくわかりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  73. 野上元

    野上元君 同じく貸借対照表に、試験研究費が九十三万何がし、開発費というのが百十六万何がしあるのですが、このような小さい会社で、自前でこれだけの小さな金を投じて研究をするというのは、無理なんじゃないでししょうか。特別に研究費あるいは開発費等を持ってやっておられるようですが、どの程度のことができるのですか。
  74. 千代健

    説明員千代健君) 先ほどの御質問とあわせて、問い合わせました上で、御回答申し上げます。
  75. 野上元

    野上元君 その他聞きたいことはたくさんあるのですが、最後に一つだけ聞いておきますが、株主の中で船主が三十五名おられるのですが、この株主の内容がわかれば教えていただきたいと思うのです。どういう大きな会社がどれだけ含まれておるのか、それが知りたいのです。
  76. 千代健

    説明員千代健君) 株主の構成でございますが、大体地方公共団体というのが全体の株の三一%、それから船会社あるいは損保会社あるいは倉庫業といったところが六一%、それから個人が八%でございます。  それで、大きな株主といたしましては、東京都、神奈川県、神戸市、名古屋港管理組合、兵庫県、横浜市、北九州市。それから船会社のほうでは、大阪商船三井船舶というのですか、これ、それから日本郵船。倉庫会社として住友倉庫。こういったところが大きいところでございます。
  77. 野上元

    野上元君 私の聞きたかったのは、船主ですが、いま営業局長お答えになったのを見ますると、こちらにある資料を見ましても、相当大きな商船会社が株主としてたくさん入っておるのですから、この人たちに一億円やそこらの株をまた持ってもらうということはたやすいように思うのですが、どうしてそれをやってくれないのですか。
  78. 千代健

    説明員千代健君) 私直接当たったわけではございませんので申し上げにくい問題でございますが、現在、海運業というものは、いわゆる再建整備の時期にあたっております。あるいは能率化のために、経営能率をあげるために、先ほど申し上げましたように、大阪商船と三井船舶が合併するというようなことでいろいろやっておられまして、そのほらで海運業の整備のために非常に問題が山積しておりまして、どうもそちらのほらには今回はがまんしてもらいたいというようなことが非常に多いようでございます。
  79. 野上元

    野上元君 私の質問は終わります。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 私はまず郵政大臣にお尋ねをしたいのでありますが、今回、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を御提案なさいましたが、その内容を見ますと、われわれの意に反する、公社が本来行なわなければならない公衆電気通信業務の一部をさらに民間会社に委託をしてやる、そのために資金的な措置をするという内容でございまして、まことに私は、電気通信事業の一元化、公衆電気通信法あるいは電電公社法のねらっております電電公社公衆電気通信事業を一元的にやっていく、こういう大方針に反するような御提案でありまして、まことに遺憾に思います。  そこで、お尋ねしたいのは、われわれが、年来、現在の電電公社法は、昭和二十七年制定せられまして、十二年間たっておりますが、この間において、電電公社経営に対する幾多の不備、欠陥が出ております。これは大臣御存じかどうかわかりませんが、昭和二十九年の十一月四日、臨時公共企業体合理化審議会長原安三郎氏から当時の内閣総理大臣吉田茂氏にあてて、臨時公共企業体合理化審議会は、各公共企業体に対して改善すべきであるという提案をしております。さらにまた、昭和三十二年の十二月二十五日、公共企業体審議会会長石坂泰三氏より同じく当時の内閣総理大臣岸信介氏に対して、同様、公共企業体審議会の答申を出しております。さらにまた、最近におきましては、御承知のように、公社制度全般を含む臨時行政調査会も、いま政府の答申に対する検討を加えられておる。すでに公社に関する部門の一応の案が出ているわけであります。こういう最も根幹になる、しかも、一日も早く改革をして電電公社本来の姿に経営を持っていくという、そういう大改革をないがしろにして、公社本来の目的にそぐわないような、私流に言うならば、何か目薬の一滴にも足りないような、こういう法案を先に出してくるということは、一体どういうことでございますか。  私は昭和三十一年以来、予算委員会におきましても、この委員会におきましても、口をすっぱくして現在の公社制度の改革を叫んでまいりました。そのつど、検討をして、できるだけ早く御趣旨に沿うようにします、内閣総理大臣以下そういう答弁をして私に答えてきた。今日私は、八年たちますが、いまだに一番根幹になる法律改正のないことについて、非常に不満を持っております。大臣は、こういう基本になる改正をおやりにならなくて、なぜ、こそく的なこういう改正をしてきたか、これをまず伺いたい。
  81. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 公衆電気通信につきましては、御指摘のとおり、これはあくまで一本化して一企業体で実行することが原則であり、また理想であると考えます。しかしながら、現実の問題といたしましては、特殊な場合におきましては、あるいは特殊な地域的な関係におきましては、公社自身がやることが非常に困難であるか、あるいはまた、公社がやるよりも、適当なる機関に委託をして、かわりに行なわしめるほうが、能率その他の点からきわめて経済的である、かように見ているわけでございまして、したがって、原則はもちろんはっきりいたしておりまするけれども、例外的な措置として特殊な場合がある。したがって、そこに若干の委託業務というものが存在するということは、すでに御指摘のとおりと考えます。  今般、この公社法の一部を改正する法律案を提案して御審議をわずらわしておりますゆえんも、その委託業務に関しまして、これをきわめて早急に整備改善する必要に迫られましたがゆえに、当面ぜひともこれだけは早く措置を講じたい、かような意図から、一部だけの改正案を提案した次第であります。それによって、もとより、本来の原則である公衆電気通信の一本化、その趣旨を改めるものでは決してないということを御了承いただきたいと存じます。  次に、日本電信電話公社の制度のあり方等に関する問題でございますが、これは民間企業といわず、すべての企業体に言い得ることだと存じますが、社会経済情勢の進展に伴いまして、常に時代に即した制度をとり機構にいたしましても、あるいはまた、運営の方法、マネージメントの点につきましても、時代におくれないように考えていくということは必要なことであると存じております。現実の問題といたしまして、この公社のあり方について、今日までいろいろと御意見があったということは、私も承知をいたしております。現に、臨時行政調査会におきましても、公社制度というものに対して、慎重なる検討が加えられておるということも御承知のとおりでございまするが、これは何といたしましても日本の電気通信事業を一手に引き受けておる大きな機関であり、かつまた、公社制度というものについて考えまするときには、ひとり電信電話公社のみならず、他の国有鉄道の公社にいたしましても、あるいは専売公社にいたしましても、それぞれ大きな機関であり、これの国民生活に及ぼす影響というものは、きわめて少なからぬものがあることは、これまた論ずるまでもないと考えます。さような次第でありまするから、公社問題については、今日まで政府も慎重なる検討を加えてきた次第でございまするが、ただいま御意見の次第もあり、私どもも、ぜひこれはすみやかに改善をいたすべきであると、かように考えております。  しからば、どういう点について改正をするかというような問題は、今日まだ、ここで申し上げる段階には達しておりませんが、われわれとしては、誠意を持ってこの問題に取り組んでまいりたい、こう考えております。先ほども申し上げましたように、ただ、電信電話公社だけの問題でなく、共通的な公社制度というものについての検討が必要でありまするので、それらと参照し、勘案いたしながら、検討を進めてまいるべきである、こう存じております。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 大臣の御説明で、今回出した改正意図はわかりました。しかし、後段の点について、私はちょっとわかりませんから、もう少し質問したいのですが、あなたの答弁は——きょうは寺尾元郵政大臣も、植竹元郵政大臣も、幸いここにおられるが、私は、十年前にその話を聞いた、慎重審議をして、すみやかに公社制度の欠陥を是正すると、昭和二十九年に答申が出て、もう十年たっておるのですね。そういう国会答弁だけで当面を糊塗しておるから、私はあえて、しつこく聞くわけです。それは、あなたは、他の関係もあると。それはそうです。電電公社制度だけでなしに、専売公社なり国鉄公社なりも、それぞれあるでしょう。総合的に検討していただくことはけっこうです。しかし、電電公社に関する限りは、郵政大臣が、一体どことどこに問題点があって、これをどういうふうに改善していったら答申に合い、電電公社の過去十年間の経営にかんがみて、従業員も勤労意欲を持ち、ほんとうにわが国の電気通信事業の発展のためになるのだと、そういう問題点を掘り下げておられないのじゃないでしょうか。大臣も、御就任以来、もう一年近くなるわけですから、就任一カ月や二カ月では、私は、こういうことは申し上げません。少なくとも前の大臣からも引き継ぎがあったわけだと思う。したがって、きょう私は、ここで抽象論を聞こうとは思いません。一体、いまここで申し上げる段階じゃないということは、研究をしてないということじゃないですか。一体、公社制度のですね、公共企業体審議会の答申の内容をお読みになりましたのでしょうか。一体、大臣としては、どういうところを改善したらいいとお考えになっていますか。これをひとつお答えいただきたい。
  83. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 公社法に対しての検討を要すべき問題点として、大小いろいろあると存じます。そのうちの二、三を取り上げてみましても、たとえば公社の予算制度、これは事業運営の基本になる制度でありまするから、やはり根本的な、最も重大な問題の一つであると考えます。この予算制度の取り扱いというものをいかにすべきかという問題は、非常に重大であると同時に、また、慎重に検討を加えなくちゃならない問題であると考えております。この予算制度に伴いまして、その他いろいろな、たとえば給与問題であるとか、その他各般の問題が出てくるのではなかろうかと存じております。あるいは、先般の組合の春期闘争の際に問題になりましたような、公社としての、団体交渉の相手としての当事者能力の問題こういうことも今後十分に考えていかなくちゃならない問題であろうかと存じます。さらに、現在の経営の最高首脳部であるところの経営委員会のあり方、こういうような問題も、当然考えていかなければならない重要問題であると存じます。また、事業の収支関係について考えますると、これは年来の懸案であり、かつ難問題でありますが、電信事業についての赤字の処理の問題、こういうような問題は、やはり公社のかかえておる大きな問題の一つであろうと存じます。ざらにまた、膨大な資金を擁し、これによって出てきまする現金あるいは余裕金というものも、決して軽く見ることができないものと考えますが、これらについての将来、運用はいかにしていったほうが最もよろしいかというような問題も、その一つであろうかと思います。まあ数えればいろいろございまするけれども、いま気のついたことを申し上げても、そんなことがあるかと思います。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん勉強をされておることがわかりました。でその問題点はわかりましたが、一体、こういう問題点に対して、郵政大臣は、どういう手段、方法をもって制度改正をしていく御所存でありまするか。たとえば、衆議院段階で、わが党の栗原委員質問の中で、公社法の一部改正として船舶通信の問題のみが出てきたわけだが、郵政当局として、こういう事態において、電電公社公社法に手をつけるのに、こういう程度で事足れりと考えるか、こういう質問をして、金丸郵政政務次官は、今後この問題は、公社全般の機構の上に立って十分再検討をして、今後その上に立ちまして、あなたのおっしゃるような線にできるだけ早く持っていくようなことを考えなければならぬ、そのためには、また来たるべき国会に法案も出して、国民の要望にこたえるような方途を講じなければならぬ、こう答弁しておる。これの御答弁とあわせて私は大臣に承りたいのでありますが、いま大臣のおっしゃったような問題点を国会あたりに、これは全部とは言いません、やれるものからやらなければいかぬと思います。そういう意味において、逐次改革をしていくという方針でけっこうでございますからね、そういう御決意がおありでございますかどうですか。この政務次官の御答弁との関連もありますから、お尋ねしておきたい。
  85. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 政務次官の衆議院の委員会における答弁は、おそらく、この公社に対する改正問題というものはきわめて重大問題であって、当然改正のためには法律を改めることが必要である、したがって、できるだけ早い機会に、法律の改正案というものを立案をして国会の御審議を得るようにお願いをしたいと、こういう希望を述べられたものと承知をいたします。私は、その委員会の席には同席いたしませんでしたから、その雰囲気はどういうことであったかはわかりませんけれども、おそらく、さような次官としての抱負希望を述べられたものであると、かように承知いたします。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 抱負希望を述べたということであれば、これは金丸政務次官はいま渡米中でいないのでありますが、もう少し御本人から伺いたいと思いますが、大臣としては、やはりこの政務次官の御発言のように、これは何が出てくるかわからぬと思います、出てくるかわからぬが、一応いまのような問題点を含めて、公社法の改正というものを次期国会あたりにおいてはぜひ御審議をしてもらいたいのだと、こういう御決意を持っておられますかどうかということを明確にしておいていただきたい。
  87. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) いま当面の問題としましては、臨時行政調査会の審議がだんだんと結論に近づいておるようでございます。正式にその答申が出ました暁には、これを十分当省といたしましても検討をいたしまして、すみやかに、改正の運びの手続がとり得るものは早く、切り離してでも立案を考えまして、そうして逐次法律改正案として提案をしたい、こう私は考えております。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 できるだけ早くということですが、政務次官は次期国会、次の国会、これはどうなんですか。
  89. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) その問題の結論がまだ出ておりませんので、ここではっきり次期国会ということは、私としては、良心的に申し上げて、断言することははばかりたいと思いますけれども、しかしながら、幾多の内容を含んだ結論が出ると思いますが、その内容次第によりまして、早く立法手続ができ得る可能性のあるものについては、一部だけでも取り上げて、相なるべくは次回の通常国会あたりに一部改正案としてでも提案をしたいと、こういう考えを持っております。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 その点はわかりました。  それから、昭和三十六年の二月十六日の参議院逓信委員会におきまして私は同様な質問を当時いたしておりますが、小金義照当時の郵政大臣は——総合電気通信政策というものですね、これは有線、無線を含め、さらにまた郵政事業全体を含めまして、そういう日本の総合通信政策というものに対して検討する意図はないかと、こういう質問をしたのであります。これは当然公社制度もからめて質問したのでありますが、そのときに、当時の政府委員荒巻伊勢雄君が、「内部的な組織でございまするので、総合政策委員会というような名前のもとに、内部に組織ができましたものでございます。そうしまして、官房長を中心にいたしまして、電波局、電気通信監理官室、関係部局の次長、審議官、」その他必要な者が人入って、専門家も入れて、その委員会で検討する、こういうふうに答えておられますが、一体、この総合政策委員会というものは、どういう結論を出しましたのですか、これをお聞かせ願いたい。
  91. 武田功

    政府委員(武田功君) 当時のいま記録からの御質問でございますけれども、私ども、その後におきましては、その委員会は現在ございませんので、ただいま承知しておりません。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 おかしいじゃないですか、国会でわれわれの質問に答えて、そういうものをつくってやるんだと言っておきながら、それがないというのは、何を出したか知らぬというのは。あなたは、いますぐだからわからないから、調査をして適当な時期にお答えしますというならわかるんですよ。そういう答弁はないでしょう、あんた。
  93. 武田功

    政府委員(武田功君) お示しのとおり、調査の上、御答弁申し上げます。——御指摘のように、調査の上、後ほど御回答申し上げます。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。ひとつ、よく調べてみて——よろしくお願いいたします。  それから電電公社にお尋ねしますがね、電電公社昭和二十七年発足以来十二年間に、一体、何個電話をふやして、その建設資金というものは幾らかかって、そのうち自己資金が幾らで、外部資金——これは設備負担法による加入者負担金が幾らで、政府が出した金は幾らか、これをひとつ。それから電話の増設、加入電話の増設個数、市外電話線の延長キロ程、これわかりますか、わかりましたらひとつ、いま教えていただきたい。もし、わからなければ、ほかの質問をしている間に調査をして、ひとつ回答してもらいたい。
  95. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) いま一応調査しまして、あとでまとめて御報告いたします。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 あとで、いま調べているようですから。  そこで大臣に、私は、たいへん御勉強なさっておられまして、その当事者能力の問題等についてもお述べになりました。これは非常に私はありがたいと思います。特に今次の公労協の春闘というのは、団体交渉権が与えられておっても、給与総額というものに縛られて、電電公社総裁と全電通労働組合の間に当事者能力がないわけですね。それが紛争の種ですから、それをひとつ、この機会にぜひ解決するということは、私は、非常に政府としても、いいところに目をつけてくれたと思います。というのは、私がもう八年近くこの問題については、予算制度の問題とからめてお願いをしておったわけです。ところが、なかなかそこまでいかなかったのでありますが、今回の春闘を契機に、当事者能力の問題についての研究が進められていることは、非常に私は重大な意義があると思います。  そこで、聞くところによりますと、政務次官クラスにおいて、何かその検討を二、三回やられたように聞くのでありますが、大臣としては、一体、どういう方針を政務次官に示されて、関係政務次官が集まって、いまどこまで作業がいっているものですか、将来の見通しについて、ぜひこの際、大臣の御所見を承りたいと私は思うのであります。
  97. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) これは政務次官の間でも、もちろん話はあると存じますけれども、事務的な問題が非常に多いものでありまするから、事務次官の関係者の間で協議を進めております。これについては、政府全体としての立場から、意見を統一してやらねばならない問題でありまして、当事者能力の問題につきましても、ただ郵政省だけがこれを考えるからと言っても、そのとおりに必ずしもまいるとは限らぬ場合があると思います。  それから今度の事務次官の会議においては、当事者能力という問題のみならず、これも含めまして、やはり公社のかような労使問題に対する考え方なり、あるいは態度というふうなことについての検討を進めておるわけでございまして、特に私から事務次官にこれこれと言って、具体的にはまだ申しておりません。いまのところは、各省集まって、いろいろ意見を、お互いにフリートーキングをしておる、こういう段階でございまして、それらの報告を聞きながら、私としては適切なる指示を与えてまいりたいと、こう考えております。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 まだこれはどうも明確な御方針もなさそうでございますね。そうしますと、また再びその問題が回ってまいりますから、せっかくの機会でありますから、積極的に急いで作業を進めていただきたい。これには予算制度の問題が関連しますので、公労法上あるいは公社法上の改正も出てくるでありましょうし、予算総則上の改正の問題も出てくるでありましょうから、相なるべくは、ひとつ次期国会あたりまでに間に合うように、これこそ、大臣、精魂込めて御検討いただくように、強く私は要望したいのです。その点どうでございますか。
  99. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 御趣旨はよくわかりましたから、私としては、このためにはあらゆる努力を払いたいと考えます。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 よくわかりました。そこで、私は、それまでの暫定措置として、大臣に伺いたいのは、現行公社法第四十三条によりますと、予算総則というものが定められることになっております。その予算総則を受けて、毎年政府関係機関予算として電電公社も出てまいるのでありますが、その予算総則の第二十五条に給与総額制度というのがあるわけであります。これは大臣御承知のとおり、昭和二十七年に公社が発足いたしましたときには、この給与総額が問題になったのであります。団体交渉権を与えても、給与総額で縛ったのでは問題があるではないかという意見もあったのであります。私は議事録を見たのでありますが、それならば、給与予備費的なものを組んでおいて、物価の変動その他の情勢によって労使間で賃金の引き上げの必要があるときには、その範囲において引き上げるということをまずやっておくというようなこともどうだろうかという意見もあったのでありますが、結局、究極的には、給与総額できまってしまった。ただ一つ妙味があったのは、基準内と基準外との流用が電電公社総裁の権限にまかされておったのであります。ところが、昭和三十二年の四月に、突如として政府は、予算総則第二十五条の改正を出してまいりまして、基準内外の流用を禁止してしまった。これはここにもありますように、郵政大臣が大蔵大臣と協議をして、あなたの承認を得た場合には、これは流用できるのでありますが、公社総裁の権限からはずされてしまった。これは私は、何と言おうと、一度与えた公社に対する自主権というものを政府みずからが奪いあげたということです。こういうことになるわけです。これは大臣、公社法変えなくてもいいんですよ、予算総則第二十五条でそのことを、あなたが腹をきめてくれれば、来年からもできるのです。これ一番私は手っとり早いと思うのですよ、とりあえずですよ、とりあえず。そして、今度の臨時行政調査会の中にも出ておりますような、給与総額の撤廃ということは当然だ、そうしなければ当事者能力はできないのでありますから。だから、それまでのつなぎとして、私は、法律を出しても通常国会でまたごたごたしていれば、来年度の予算の実施に間に合うかどうかわからぬのでありますから、できるなら、この給与総額の改正を大臣がおやりになったらどうかなあと、こう私は思うのですがね。大臣もふしぎに思われないですか。一たん政府が公社に与えた権限を中途において取り上げてしまって、基準内外の流用も総裁には認めないということは、これはちょっと公社をつくった趣旨からいって相反すると思うのですが、この点、大臣も同感と思うのですが、どうですか。
  101. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 最初に規定されておりましたものを、途中で改正をして、いわば自主性というものが減ってきたではないか、こういうふうな問題でございまするが、改正されたについては、やはりその当時改正がやむを得なかったという事情もあったことと存じます。それらについては、十分私も調査をいたし、また、当面の問題等につきましても、ただいまの御意見の趣旨を十分頭に置きまして、検討をいたしてみたいと存じます。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 そういうことがあったことを、それじゃあ御存じなかったわけですか。
  103. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 大体は存じておりまするけれども、なお、つまびらかにこれを調査をいたし、また、今後の問題、すなわち、これを前に戻すかどうかというようなことにつきましても、重要なる事項でありまするから、検討の時間を与えていただきたい、こういう次第でございます。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 まあ検討の時間を当然——これは大臣にやっていただかなければならぬわけですから、少なくとも、次の通常国会に向けて、これは一番手っとり早いから私は申し上げるので、これでは根本的な解決には相なりませんね。一応多少なりともその自主性というものに対して開放してやる、そういうことになりはしないかということを私は年来思っておりますから、そう大臣にお願いしたわけですが、これはぜひ……。これは私は全くけしからぬことだと思っているのです。もとに戻していただくようにお願いしたいと思います。  公社のほうは、わかりましたか。
  105. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) お答えいたします。  第一次五カ年計画、第二次五カ年計画、年度ごとにずっと申し上げてみたいと思いますが。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 合計でいいです。
  107. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) 合計だけでよろしうございますか。  第一次五カ年計画の加入電話の実績は百人万八千でございます。それから第二次五カ年計画の加入電話の合計は二百十四万三千でございますから、この三百二十……ちょっと合計あとで出しますから。そういうことでございます。  それから建設当初の支出額は、第一次五カ年計画三千二十一億円、それから第二次五カ年計画につきましては七千二百五十七億円でございます。  それから資金の調達額——内部資金で申しますと、第一次五カ年計画は一千八百九十億円、外部資金は一千四十五億円。第二次五カ年計画におきましては、調達額は七千四百六十億円、内部資金は四千六百八十六億円、外部資金は二千七百七十四億円でございます。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 第二次の内訳をもう一回言って下さい。
  109. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) 第二次五カ年計画の調達額の内訳として、内部資金が四千六百八十六億円です。それから外部資金は二千七百七十四億でございます。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 あと、市外回線の延長ですね、これわかっていますか。
  111. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) わかっております。  市外電話のキロ程回線でございますが、第一次五カ年計画は、市外公衆電話の回線のキロ程は二百十七万八千キロでございます。それから第二次五カ年計画では、七百八十八万五千キロでございます。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、これは第一次、第二次、十年間のトータルでございますけれども、これは第三次の二年度に入っているわけですが、いずれにしても三百七十万——四百万ですね、公社発足以来架設した電話の数というのは。そして使った建設資金も一兆億をこえているんですが、この内訳を見るとわかりますように、自己資金というものは、場合によったら三分の二に近いですね、半分から三分の二のパーセンテージを占めているわけです。わくのごとく、十年間に電電公社の業績というものは、いかにも私は、長足の進歩をしていると思うのです。非常に諸外国に比べてもめずらしいと思うのです。ですから、そういう業績をあげた職員に対する——いまの話に戻るのですけれども、待遇を見たって、今度の仲裁を見ると三%の差をつけられた。これはだれが見たっておかしいですよ。これは大臣がそのことをやったわけじゃないから、大臣を責めようとは思いませんけれども、理屈としてそうなるじゃありませんか。ですから、やはり一生懸命に事業のために取っ組んで、元日から弁当を持って仕事をして、日曜も祭日もないわけですね。そういうふうに苦労をされて実績をあげられた職員に対する努力に見合う待遇というものを、私はどんどんやるべきだと思うのです。ところが、それが、いま言ったいろんな制度上の問題にはばまれて、みずから汗水たらして働いた中から、自己資金として第一次、第二次だけでも六千億以上の自己資金を出して、そして事業の合理化、再建のために努力をされておる。この姿というものは、数字を見ても明らかなんですね。私は、これに報いる道というものは、現在の公社法では、これはごまかしであって、昭和二十七年当時に公社に移行のときは、一生懸命働いてくれよ、公社になったら必ず待遇がよくなる、こういうことをわれわれは当時の佐藤榮作さんからも聞いた。また、国会においても高能率、高賃金——能率をあげてくれれば賃金は上がっていくんだ、これは提案理由の説明の中にも書いてある。そうして、ここに十年間たって、どうもこの約束というものはうそじゃなかったか、こんなにやられたんじゃ、私たちも一生懸命仕事をする気持ちはなくなる、これは人間ですから当然であります。そういう勤労意欲を喪失するような給与制度をしいているということは、非常に残念であるし、間違っていると私は思う。そういう点を是正する道は、何といっても制度の改革につながってくるわけであって、あらゆる角度から考えて、私が大臣に決意を促がすところはそこにあるんです。大臣もこういう数字をごらんになりまして、ひとしお感ずるものはないでしょうか。御心中をひとつ承りたいい。
  113. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 日本の電信電話事業は、日本電信電話公社設立されまして以来、画期的な飛躍的な発展を遂げたことは、ただいま数字をもってお示しのとおりであると考えます。従来多年にわたって架設をいたしました加入者数に比べ、最近十年間における加入者数の増加というものは、全く目をみはるものがあると考えます。これは何と申しましても、純然たる国営事業というものから公社制度に切りかえまして、そこに事業的な妙味の発揮できるような制度にした、さらに、経営者が非常な若心をされて、その計画指導よろしきを得たこと、また、国民の電信電話事業に対する熱烈なる協力、また政府の援助、さらに、一般公社の従業員諸君の非常な勤勉努力の積み上げがかような結果をもたらしたということは、何人も私は疑うことのできない厳然たる事業であると存じます。したがって、さような勤勉なる職員諸君の待遇については、十分にこれは報ゆべきであるということも申すまでもないことと考えます。  ただ、やはり国営事業ではないといたしましても、公社仕事は国営事業に準じた形をとられておる。また、他にも国鉄、専売というふうな類似の公社もありまするので、それらとの均衡ということも十分考えねばなりませんし、また、さらに、これを広く言えば、一般国家公務員の待遇というものとの関連は全く無視はできないと存じます。さようなことをかれこれ勘案いたしました上で、できる限り待遇の改善をはかる。そのためには、公社法をしいて、事業運営の形態として妙味あらしめるという、その意味におきましては、さらに自主性というものを認める必要があるのではないか。こういう点は、おそらく、ただいまの御質問の中に含まれた御意見であろうと思います。そういう点については、私も十分考えておりまするので、今後、制度の運営につきましても、さような点は、政府側としてできる限り考慮してまいりたい、こう存じております。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 時間もあまりないようですから、私、きょうは、そう広範な質問もできませんので、もう一、二点、これに関連して大臣に承っておきたいのでありますが、たとえば、さっき触れました預託金制度ですね。公社の、これはもちろん長い間の懸案でございまして、いま日歩八厘、年二分九厘二毛という低利によって公社の預託金というものは運用されているわけですね。最近はどうも公社の経営が悪いものですから、その点は私どうかわかりませんけれども、制度としては問題がやはり残っておりますので私は申し上げておるのです。いま三十億無利子で、そのほか、日歩八厘という利息は、これは大臣ちょっとおかしいじゃないですか。何かこれを効率的な資金の運用をするような方向に  後ほど私は、国際の株式を公社が持っておられますから、そのことについても伺いたいと思っておりますけれども、何とかもう少し、いま電話一つでもほしい、金もほしいんですから、そういう意味における資金の効率的な運用を考えるのは当然だと思われるのですね。これは大蔵当局などとも私はかなり突っ込んだ話をしたことがあるんです。だから、われわれの正しい理論というのはわかるんだが、なかなか踏み切れないような点もありまして、それは何としても、やはり郵政大臣が決断を持って大蔵当局をねじ伏せないとだめなんです。かつて佐藤さんが大蔵大臣当時にも、非常に理解をしてくれまして下までおろしたのでございますけれども、ついに国債の取得だけが可能性として出てまいりまして、国鉄はその趣旨に沿って改正をした。私は、今日、公社公社法上まだ国債取得というのが改正になっておらぬというのは、もっと高い次元のものを求めていると思うのです、資金の効率的運用に対して。これらについては、大臣ひとつ、緊急の問題であると思うので、これは前の大臣からも引き継ぎがあったと思うのですが、どうでございましょう、その点に対して見解は。
  115. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この問題は、先ほども私からも申し上げておいたのでございまするが、まさに事業の運営の衝に当たる者としては非常に大切な問題であることは間違いございません。これに対して今日までなかなか希望どおり実現をすることができなかったというのは、やはりいまも御指摘になりましたような大蔵当局の反対というものが非常に強いものでありまするから、難航してまいったのでありますが、これはもとより政府部内における関係でございまするから、今後、大蔵当局とも十分お話をして、賛成をしてもらうように努力していきたいと思います。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 まだいろいろとありますが、ひとつどうぞ、せっかく御勉強のようでもありますし、大臣が池田三選で留任してくれれば、そのことがまたうまくいくのでありますが、大臣がかわると、今度は引き継ぎがうまくいかないで、また私が質問すると、八年も六年も前に答えたようなことを言って、検討しますと言って、われわれに対する答弁をするのですね。そういうことは、私は五回も六回もやられておりますから、古池郵政大臣は部内の出身でもあるし、池田総理大臣の信望もありましょうから、そんなことはないと思いますが、もしもかわった場合は——あなたが留任されれば非常にけっこうでございますけれども、しかし、そうでない場合もあると思いますから、その場合には、ひとつしかと引き継ぎをしていただいて、われわれは——私は当時組合の委員長をしておりましたが、前だれがけ精神に戻れといって、組合みずからがありがとうございますというふうに姿勢をかえて窓口に帰ることを組合員によく説明して私どもはやってきた。ところが、十年たったら、何かだらだらして、一生懸命働け働け。働いたところが、何のことはない、三%も差をつけられてしまったというようなことでは、これはちょっと妙味を失ってしまっておりますから、ぜひひとつ大臣、心にしかととめていただいて、何とかひとつ当時者の能力も表面に出てきたので御検討いただいて、できるものから随時すみやかに法律改正をして、これはほんとうに電電公社法はよくなった、これでこそひとついける、経営者も労働者も一体になって、わが国の電話事業、電信事業発展のために通産できるような、ひとつ措置をしていただくことを、あなたに強く要望いたします。これに対して、大臣のひとつ御決意を伺いたいと思います。
  117. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) お話しのように、私がいつまでも郵政大臣をつとめておるわけではございませんから、ここでお約束いたしましても、私の時代に実現するものもあれば、しないものもあると考えます。したがって、私は、ただいまの問題ももとよりでありますが、今日まで衆参両院におきまして、委員会において御質問なりあるいは御意見の御開陳があって、これに対して検討をお約束した問題は、必ずこれを記録にとどめまして、あとあとまで引き継いで研究を進めてもらう、そういう用意をいたしまして、議事録は直ちに私のほうの秘書課において整理をいたしまして、どういう質問があったか、これに対して大臣並びに政府委員はどういう答弁をしたかということを整理をいたして、どの大臣になろうと、直ちにそれが理解できるようなふうに処理をいたしております。御了承を願いたいと思います。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 これは明快に大臣の御決意を御披瀝いただきましたが、ぜひひとつよろしくお願いいたします。  そこで、なぜ基本的なものを改正せずして一部だけやったかということに対する私の質疑は、一応これで打ち切りまして、他の同僚議員からも何回か質問があったと思います。私は議事録を読んでいる程度ですから、多少重複する点もあると思いますけれども、重複する点は前に答弁したと言っていただけばいいのですから、若干の時間をいただきたいと思います。  そこで、この今回の改正要綱を見ますと、「現行規定には国際電信電話株式会社の株式の一部を保有する規定があるに過ぎないので、新たに投資の規定を設ける必要がある。」、こういうふうになっておりますが、いま国際電信電話株式会社の持ち株は何株でございますか。そして配当は何ぼ出ておりますか。
  119. 金光昭

    説明員(金光昭君) お答えいたします。  ただいま公社が保有いたしております株数は、百三十二万株、額面にいたしまして六億六千万円でございます。それから現在の国際電電の配当は一割だというふうに考えております。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 これは国際電信電話株式会社が発足いたしましたのは昭和二十八年の四月一日からでございましたか、その前からでございましたか、当時から配当金は幾らになりますか、合計して。
  121. 金光昭

    説明員(金光昭君) 国際電信電話株式会社設立されましたのは昭和二十八年四月一日であります。その当時における配当は、私の記憶では八分であったと思います。それからずっと八分配当を数年間続けまして、四、五年前から一割配当に変わったんではないかと思います。ちょっとその配当金その他の点については、手元に資料を持ち合わせておりませんので、たいへん申しわけございませんが、お答え申し上げかねます。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん申しわけないということでなくて、それはあとで知らせていただけますか。
  123. 金光昭

    説明員(金光昭君) 後刻お知らせ申し上げます。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 この株式の取得については、当時、国際電信電話事業は、電電公社の中で昭和二十七年八月から一緒にやっておったのですが、そして四月に分離したのですね。そういう関係で当時の国際電信電話株式会社の資本金の一部を電電公社が持たざるを得なかかったという立場に立って、この株式保有ということが認められていると思うのでございますがね。一体、これはいつまでこういうふうにしておくのか。これはどうなるのか。その点は、今後見通しはどうなりますか。
  125. 金光昭

    説明員(金光昭君) 国際通信事業と国内通信事業というものは、今後ますます密接な関係になってまいると存じますので、現在公社が約五%の国際電電の株式を持っておりますが、この株の所有というものは今後もやはり続けていくということが、両事業の円満な連携という点から適当じゃないかと思っております。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 これは国際電信電話株式会社法によって、一個人の場合でもそうですが、法人の場合とかあると思いますが、最高の保有額というものは、規定がありましたですか。
  127. 金光昭

    説明員(金光昭君) お答えいたします。  公社法の三条の二で、「公社は、国際電信電話株式会社の株式を保有することができる。但し、発行済株式総数の五分の一をこえてはならない。」ということで、五分の一が最高限度とこなっております。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 私の質問をしておるのはそうではなくて、国際電電株式会社の法律の中に、国際の株の取得、保有について、何かそういう制限規定がございますかということです。
  129. 金光昭

    説明員(金光昭君) 国際電信電話株式会社法の四条に、「会社の株式は、記名式とし、政府、地方公共団体、日本国民又は日本国法人であって社員、株主若しくは業務を執行する役員の半数以上、資本若しくは出資の半額以上若しくは議決権の過半数が外国人若しくは外国法人に属さないものに限り、所有することができる。」という規定がございますので、外国人あるいは外国の支配下にあるもの以外は、何ら制限がないと思います。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 この株主総会というものは、一年に何回あるのですか、たいてい定期は一回だと思いますが。それに公社はだれが出ておられますか。出られないのですか。出ておれば、だれが出ておりますか。
  131. 金光昭

    説明員(金光昭君) 会社の決算は年に二回だと承知しております。その際には、経理局長が公社から出席しております。
  132. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、経理局長は来ておりますか。
  133. 金光昭

    説明員(金光昭君) ちょっと来ておりませんが……。
  134. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、わかっておったら教えてください。国際電信電話株式会社設立された唯一の目的は、当時ですね、公共企業体あるいは国有で経営するよりもいいサービスができる。RCA、マッケー、ジーメンスですか、すべてこれは民間である。したがって、外国の立場からしても、国際電信電話株式会社というのは民間経営でやらなければならぬというのが、唯一の会社設立の目的だったと思うのです。一体、電電公社は百三十二万株、六億六千万円という資本を持っているのです。その株主総会に出て、一体、いまの国際電信電話事業というものは発足の目的に沿って順調に進んでいるかどらか、そういう成果の測定、経営の分析をして、もし悪いところがあれば、株主総会において、こういう点はこうしたほうがしかるべきだというようなひとつ意見を出してやったことがありますか。これ、ひとつ、いい機会ですから承りたいですね。
  135. 金光昭

    説明員(金光昭君) ここに、出席いたしました経理局長がおりませんので、現実にどういう発言をしたかということは存じませんが、国際電信電話株式会社昭和二十八年に発足いたしまして後の国際通信に対します施設の整備及び国際通信におきます電信及び電話の量の増加というものは、飛躍的な増加をしているわけでございまして、その面におきましては、国際電信電話株式会社が民営形態をとりまして、諸外国の通信会社と相携えて国際通信施設の整備拡充に当たっていく、それによって利用者の便をはかりたいという目的は達成されつつあるようだと考えております。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 大体貸借対照表や収支決算書を私見ておらぬからわからぬのですが、ことし−昭和三十八年でもいいですが、三十八年はどのくらい利益がありましたか。そして、そういう利益を配当のほうに回しているのか、サービスのほうに回しているのか。あるいは利益があったとすれば、これを利回り、利潤というものに使っているのか。たとえば従業員の待遇の面もあるでしょう。そういうことはつかんでおられますか。
  137. 金光昭

    説明員(金光昭君) ただいま国際電電の決算書類等をこちらに持ち合わせておりませんので、必要があれば後刻資料として提出いたします。
  138. 鈴木強

    鈴木強君 必要とか必要でないとかいうことでなくて、そういう株主総会に出て帰ってきた経理局長が、たとえば公社の中にどういう組織があるか私は知りませんよ、総務会というのですか、あるいは局長皆さんが集まる会議か知りませんけれども、そういうところに、責任を持ってわれわれは六億六千万円の金を出して、これは国内、国際相協調して本来の目的に参画しているのだが、こういう金はここへきております、とうなっておりますというような報告は、必ずその総会があったあとにおやりになっておりますか。総裁とか副総裁とか理事の方もおられるわけですからね、そういうところに最低限報告しておられますか。
  139. 金光昭

    説明員(金光昭君) 総務会の席上においては、そういうことが報告されたことはございません。当然これは経理局長が上司の方面には、個別的に報告をしていると思います。
  140. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、どういう方法でも私は報告してあればいいのですがね、総務会でもってやらなければいかぬということじゃないのですから。これは総裁どうでございますか、そういうのは。あなたが総裁になられてもう三年か四年になるわけですが、報告を受けておられますか、そういうのは。
  141. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) あまり確かな記憶はございませんけれども、時々報告は受けたような気がいたします。
  142. 鈴木強

    鈴木強君 どうも気がするようなことでは困りますね。六億六千万円もこれは金を出している株主でございますから、ひつと本来の目的に沿って有効適切にその金が使われているかどうか、しかと確かめていただけませんかね。一割の配当というのは、これは平均して高いのですか、安いのですか。もっと高いほうがいいと思うのですがね。八分から一割になったのですがね。さっきの預託じゃないが日歩八厘よりもいいですがね、どうですかね、これは。
  143. 金光昭

    説明員(金光昭君) 現在のその他の公益事業を営んでおります会社配当等と比べて、おおむね妥当な配当であるというふうに存じております。
  144. 鈴木強

    鈴木強君 それは一般こういう類似の産業と比べた場合、類似というか、他産業とですね、比べた場合の、全日本の公共事業の利益率とか、いろいろとそういうものがあるでしょうが、そういうものからはじいてみて——あなたの言われるのは一般論としてはわかりますが、ただ、そういうものから見て、国際電信電話株式会社が現在の経営の中から一割やるか、八分やるか、九分やるか、そういう似たものが寄り集まって平均利率というものが出てくるんでしょうからね。あなたの言われる答弁は一般答弁であって、まあ何だかよくわからないから、そういう答弁になるのだと思うのですけれども、もう少し私は、内容を分析して、はたして一割の株主配当というものが適当なものかどうか、これはもう少し厳密に検討してもらいたいと思う。一方では領託金としてやっておられる。ことばをかえれば、多少こういうところで利息として入ってくるのだから、それを活用するということも大事だと思いますが、そういうことでなく、私は、どうかもう少し会社の収支状況をごらんくださいまして、この一割というものが適切かどうかという御判定をしていただくようにお願いしておきます。  それから、先ほど野上委員からもお話しがありましたが、今度改正をして日本船舶通信株式会社投資をするのでございますが、これはすでに過去のいきさつもございます。ただ、投資をしなくて、向こうの自主的運営の中で公衆電話通信事業を委託しておった、電話をね。これはまあいきさつがありますから、そこは私はいいと思いますが、やっぱり今度、船舶向けの電話というものを強化する。これは長い間の懸案でした。もっともっとこの問題についても早く郵政監理官とも話し合いをして、とっくの昔にやるべきだった。これは私に言わせれば、十年おくれている。これはもったりもたもたしていて、ちっとも進まなかった、やっと出てきたんだから。海上通信は非常に陸上と比べてサービスが落ちておった。特に海上における通信というのは必要です。これはたまたま、「さくら」ですか、「つばめ」ですか、乗りますと、いま地域は限定しますけれども、列車の中から電話がかかりますね。あれは非常に便利ですよ。特に海上航行中の船舶からそういう通信ができるということは、長い間の待望だった。私はこの制度がさらに拡充していったということは、大いに敬意を表していいと思いますね。ただ、そういうものをあわせて、それでは仕事がふえるから、ひとつ七千万円の金を出そうじゃないか、公社がですよ。これはぼくは非常に安易なような気がするんですね。ですから、どうしても、これこれこれこれこういう理由によって、民間からこれ以上の資本のかき集めはできないというような明確な根拠というものを示してもらえませんと、どうしてもそこに引っかかるわけですね、引っかかるわけだ。この点はもう同僚議員がやっておりますから、私はくどくなるようですから、どうしてもだめかどうかということだけ、ちょっとお聞きしたい。あなた方いろいろ検討してみたけれどもだめだというんですかね。その結論だけでいいです、いきさつはまたあとで聞きますから。
  145. 金光昭

    説明員(金光昭君) ただいま先生のおっしゃいましたことにつきましては、現在の株主、及び今後サービス拡充されますところの、これによって利益を受けます船会社というような会社のほうにも内々はかりまして、現在御承知のように、大型の船舶会社においても、もちろん非常に最近は会社の業績が下向きになっております。ことにまた、今後サービス拡充されますような中型、小型の船舶会社等の経営状況も非常に苦しいわけでございますから、そういう方面に、民間だけでこの株式を引き受けさせるということがとうてい困難であるということを判定いたしまして、公社のほうで七千万円の、増資分のうちから株式を持つということにいたしたのであります。
  146. 鈴木強

    鈴木強君 それから、私が特に不満に思うのは、改正内容でございますが、「公社は、その業務の運営上必要がある場合には、郵政大臣の認可を受けて、予算で定めるところにより、公社の委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業及び公社公衆電気通信業務の運営に特に密接に関連する業務を行なうことを主たる目的とする事業に投資することができる。」、なお、「投資することができる事業の範囲は、政令で定める。」ものとする。私は、この最後のこれが非常に問題だと思うのですよ。というのは、前段における、じゃあ予算の定めるところによって、どこにあるかということになりますと、「公社の委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業」、これは解釈によってはずいぶんこう出てくると思う。もう一つ、「公社公衆電気通信業務の運営に特に密接に関連する業務」ということになりますると、いずれも幅が相当広いのです。ばく然としている。そういうものを郵政大臣が政令によってきめることは、これは私は、本法制定に対して大きな問題があると思う。なぜ、あなた方はこういうふうにぼかして、将来どんなふうにでも拡大解釈ができるようなものを出したのですか。法律というものは、そういう政令事項にゆだねることもけっこうですよ。要するに、これは必要がある場合は、それでいかなければならぬことですから、政令にゆだねることをいかぬと言うのじゃないですけれども、今回の場合は、あまりにもばく然としておって——いま線材、機材、それから土木建設ですね、こういうものに関係する電電公社会社はどのくらいありますか。線材、機材、それから土木建設、これは相当なものです、全国で幾つありますか。
  147. 大谷昌次

    説明員(大谷昌次君) お答えいたします。  線材、機材のメーカー関係と、それから工事をやっております建設会社の数が幾つかという御質問だと思いますが、前段の線材のメーカーは、線材、機材合わせまして、私、所管でございませんので、正確な数字については申し上げかねますが、おもなものは約六百社と記憶しております。それから工事のほうは百社以内、正確に申しますと現在九十二社ございます。
  148. 鈴木強

    鈴木強君 相当にこれは多いと思う。線材、機材の中で、公社に納入するのがその会社の製品の九〇%以上というのがあるはずですよ。たとえば藤倉電線のようなところは、ほとんど電電公社に納入している。だから、九〇%以上依存しているというところがあるかどうか、ひとつ聞きましょう。
  149. 大谷昌次

    説明員(大谷昌次君) 機材のメーカーでは九〇%以上というのは、むしろ少ないほうでございます。九〇%以上も公社で物を買っておる会社の数は、そう多くはない。大体において大きなメーカーでは、多いところで四〇%ぐらいだというふうに考えております。
  150. 鈴木強

    鈴木強君 だから、あまり多くないと言うのですけれども、それはそうでしょう。九〇%というのは、そう多いはずはないと思うのですけれども、あるわけですよね、あることは認めるでしょう。ですから、その九〇%から四〇%、これはもういずれも「公衆電気通信業務の運営に特に密接に関連する業務」というものに——「特に密接」ということの解釈は、どういう解釈になるかわかりませんが、いずれにしても、引っかかってくるわけですね。それから、たとえ三〇%であっても、五%であっても、それはいいんだ、それは前段のほうはいいんですけれども通信業務ですからこれはいいとして、後段のほうが相当引っかかってくると思いますから、そこらの解釈は明確にしていただいているのですか。どういうものとどういうものを将来投資する見込みだとか、そういうようなおおよそのもくろみはないのですか、これは大臣、どうですか。
  151. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ただいまの御意見も確かにごもっともな点もあると思いますが、しかしながら、原則として法律が委任をして政令によって定めるという場合は、やはり法の趣旨に沿ってできる限り厳格に規定すべきもんである、こう考えております。政令で定めることになっておるからといって、むやみに常識にはずれたようなことを広い範囲にきめるということはできないものと考えております。  そこで、この第三条の三は、ただいまごらんになったように、まず第一には、投資をするということが業務全般の運営上どうしても必要であると、こういうことがまず条件になっております。特に投資しなくとも十分やっていける事業に対しましては、もとより投資をする必要はございません。それから第二段には、必ずこれは郵政大臣の認可にかからしめて十分詮議をするということ。それから第三段には、この投資の金額等についても、予算であらかじめ定めますから、その際に国会において御審議をいただく機会も十分あると、かように考えております。  さらに、その投資対象とする事業としましては、二つの項目に分けておりますが、第一の分類は、公衆電気通信業務そのものを委託するというわけでありますから、これは相当制限されておるということが明瞭であると思います。それから第二段の「公衆電気通信業務の運営に特に密接に関運する業務」、しかも、それを行なうことがその事業者としては主たる目的であるということでありますから、非常に厳格に解し得るものではなかろうかと、こう存じております。  そこで、さしむき、政令で定めるものは何かといいますると、いまの日本船舶通信株式会社でございます。  しからば、将来何か考えられるかというお尋ねがあれば、いまのところ、まださような事業の開発が確定しておるわけではございませんけれども、たとえば自動車電話サービスをやるとか、あるいは無線呼び出しサービス、いわゆるベル・ボーイというような事業が興るといたしまして、その際にこの法律の規定に該当するような場合は、あるいは政令で定めることになるかもしれない、かように考えております。したがって、先ほど御引例になりましたような機械等のメーカー、こういうものは含まない考えでおります。
  152. 鈴木強

    鈴木強君 かなり明確になりましたが、そうすると、工事業者ですね、これはどうですか。
  153. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 工事業者にもいろいろあると思いまするけれども、ほとんど専門に電気通信の工事を行ない、また、その業態からして資金の手当てに非常に困る、したがって、それがひいては公社業務の運営に支障を生ずるおそれがあるというような場合は、あるいは入れなければならない場合も生ずるかと、こう考えております。
  154. 鈴木強

    鈴木強君 そこは少し明確を欠くのですけれども、まあ、しかし、やや範囲はわかってきました。  そこで一つ、ちょっと疑問になってくるのですが、いま大臣のおっしゃった、たとえば東京都内のタクシー業者に対して、タクシーと営業所との間の常時連絡に必要なタクシー無線というものを一元的に提供できるような業務目的を持った機関というものをお考えになっておるようですね。これは郵政省のほうかどこかでそういう設立の準備をして、準備委員会を持っておるところまでもうきておるのです。これはどんな見通しになりますか。
  155. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) これは少し問題が別になりますけれども、電波監理局の主管の事項になるわけですが、御承知のように、非常に東京都内における自動車無線の申請がふくそうしておるわけであります。そこで、これを合理化するためには、どういう方法がよかろうかというので、いろいろ検討いたしておったのでありますが、最近になりまして、民間において一つの統一した機関をつくって、ここからこれが媒体となって自動車無線業務を行なうということが最も能率的であり、また、電波の割り当て等からいいましても、特に好ましいという結論に達したようでありまして、今日、その団体の設立事務が進められておる、かように承知をいたしております。なお、これはただいま御審議を願っておりまする公社法の一部を改正する法律案とは、直接の関係はございません。
  156. 鈴木強

    鈴木強君 関係がないと言うけれども、大臣、これは関連が出てくるのですよ。あとで申しますが、大体設立準備委員会というのが動き出しておる。そうなりますと、ベル・ボーイの問題とあわせて、いずれにしても、第三条の改正しようとする「公衆電気通信事務の一部を行なうことを主たる目的とする」というのに該当すると思いますが、設立準備委員会がいつ発足するかにもかかっておりますが、たとえば十一月に発足するということになるでしょう。その資金は一体どうするか。しかし、予算の定めるところによってやるわけですから、七千万円は予算通っておりますからいいんでしょう。しかし、十一月に発足したら、これに対して、必要があってこの改正法案を適用するということになる場合があり得るでしょう。そのときに一体、金がどうなってくるかということで関連が出てくるのですよ。準備は済んだけれども金は出ない。一体これはどうなる、あとから出してやるのですか。
  157. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ただいま御説明いたしました、将来生まれんとしておる団体に対しては、公社から投資をするという考えはございません。
  158. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりました。ベル・ボーイと無線電話の両方とも、……。
  159. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ベル・ボーイ、それから自動車の中にいる人が加入電話を利用するという問題は、これに対しては、将来、投資対象となることがあり得ると思いますけれども、いまのタクシー無線の場合は、一般公衆無線とは別なものとわれわれは考えておりますから、自然、投資対象にはならない、かように考えております。
  160. 鈴木強

    鈴木強君 聞くところによると、設立準備委員会のほうから電電公社に対して、協力の要請があるやに私どもは聞くのでございますが、これはどこで担当されておりますか、千代営業局長のところですか、宮崎さんのところか知りませんが、そういう依頼を受けたことはございますかな。
  161. 金光昭

    説明員(金光昭君) いまお話しのような協力の依頼を受けたことはございません。
  162. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常に公衆電気通信事業との関連があるわけでございますから、公社が、いうならばもしやってもらうということになると、業務の一部を委託するというか、そういうようなものでは全然ないのですか。いま私が問題にしておる点は、全然別個でで、PBXみたいなものですね、自分の会社の中の仕事しかやらない、こういうことですか。そこのところがちょっとわからないですよ。
  163. 金光昭

    説明員(金光昭君) 公社のほうで協力の依頼を受けているのは、近くできます団体が保有いたしますところの鉄塔だとか建物というものを、公社が将来、自動車電話公衆通信でございますが、公衆通信の事業に対しては、あるいは無線呼び出しサービス等を開始いたします際に、そういう鉄塔等が利用できることも考えられる、そういうことで協力の依頼というものがあったわけでございまして、ただいま大臣のお話しになりましたような、タクシー会社の営業所と自分の持っておりますタクシーとの間の通信、これはもう純然たるいわゆる私設無線でございます。この点につきましては、公社は無関係だということでございます。
  164. 鈴木強

    鈴木強君 それ、よくわかりました。そこのところはわかりましたが、いま金光総務理事のおっしゃった、自動車の中から公衆電話でどこかへかけられるようなことは、これは夢でないのですか、いつやるのですか。
  165. 金光昭

    説明員(金光昭君) 自動車電話につきましては、本年早々、郵政省から試験電波の発射の免許をいただきまして、目下東京都内で試験中でございます。その試験の結果を見まして、それによりまして、いつから自動車に電話サービスを開始するかということを決定いたしたいというふうに存じております。
  166. 鈴木強

    鈴木強君 私は、久しぶりで質問をし始めたもので、たくさんあるのですよ。これは一時半とはちょっと私も気がつきませんでした。だから、これは委員長、私は質問があるのですが、もう一時半ですから、これは食事をやらぬと、生理的現象があるのだから、食事をしてもう少し続けてもらいたいと私は希望しますけれども、これは議事進行ですからひとつ、私わがまま言うわけにいきませんから、皆さんのほうでひとつ御相談いただけませんか。
  167. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  168. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 速記を起こして。
  169. 鈴木強

    鈴木強君 じゃ、もう、そういうことですから、非常に私は残念ですけれども、また他の機会にひとつ譲ります。  一つ伺っておきたいのは、通信の秘密のことでございますけれども海上船舶に据えつけられた無線電話機の扱う人ですね、普通はもう無線電話局と名がつくと、電波法上の規定によって、そこには電話級か何か知らぬが、資格を持った人を置かなければならぬことになるのだが、これはこちらで電波法上認められておりますから、それはいいのです。しかし、私は、赤電話の問題なんかとも関連をするけれども、一体、これは不特定多数の乗り組み員がそのつどやるのか、たとえば電報を打ちたいというときに、乗り組み員が持ってくる電報を周辺無線局へ依頼するということもあるでしょう。それから手動式でやるという場合もあるでしょう。そういう人については、一体、通信の秘密についてはどういうふうになっておりますか。確保しなければならぬ公衆電気通信法上の義務は依然として負わされるのですね、それはどうなるのですか、不特定多数の、あるいは乗り組み員のだれかを、特定の人をしてやらせるのか、その点はどうでございましょうか。
  170. 千代健

    説明員千代健君) 御質問の点でございますが、船に載っております電話機から話をする場合、ちょうど一般の船では、自宅で電話で話をするようなものでございまして、その船舶の乗り組み員が話すわけでございます。それから特別な場合に、たとえば客船で定期の連絡船等に、瀬戸内海を走っております別府行きの航路というようなときにこれを使われます場合には、これの利用の契約に重ねて委託公衆電話の契約が、その場合には船のボーイさんなり何なりが扱い者になっております。それで各お客さんといいますか、乗客から依頼があった場合に電報を打つとか、あるいは電話を取り次ぐようにしております。その場合の契約については、通信の秘密について契約条項がございますが、これを犯した場合には、公衆電気通信法何条のなにを受ける、こういった場合の電報の書いたものの扱いをどうする、こういう契約内容になっております。その点では相当厳重にやっておるつもりでございます。これは一般公衆電話と申しますか、町の赤電話からいろいろやられる場合、この場合等も、やはり赤電話の契約をやります際に、契約条項に厳格に入れておりますが、それを守ってやっていただいております。
  171. 鈴木強

    鈴木強君 これで終わります。
  172. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  174. 久保等

    ○久保等君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっています日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の意見を簡潔に表明いたしたいと存じます。  まず、反対する理由の第一点は、本改正案は、その緊要性がない反面、当面する緊急に改正を要すべき重要課題は、これを無視しているということであります。今回投資条項を新しく設ける点のみについて、公社法の一部改正案を提案してきているのでありまするが、かねてから公社法の根本的改正の必要が強く叫ばれているのであります。すなわち、公共企業体たる公社には経営の自主性がなく、したがって、従業員の経済的要求に対してすら、何らの責任ある回答をなし得ず、学働問題についても当事者能力を全く欠く現状は、何としても放置し得ないものがあります。わが党はすでに数年前から、また今国会においても、公社法の一部改正を提案しているのであります。経営委員会の機能を拡充強化し、経営の民主的にして自主的な運営を確立すること、また、事業の現行予算制度を根本的に改正することなどを中心にしているものであります。しかるに、本改正案には、こうした点に何ら触れることなく、きわめて局部的な一部改正にとどまっておりますることは、全く遺憾でありまして、根本的改正を早急に行なうべきことを強く主張してやみません。  次に、反対の第二の理由は、本案投資条項が乱用のおそれを持つという点であります。すなわち、日本電信電話公社投資をすることができる事業の範囲は政令で定めるという規定が新たに設けられることによって、当面は、船舶通信株式会社だけに投資を行なう予定のようでありますが、将来のことを考えますると、その投資対象が一に政令によってきめられるのでありまするから、必要以上に事業の範囲が拡大され、乱用されるおそれがあると思うのであります。本来、電信電話事業は、国の内外を問わず、有機一元的に運用せらるべき性格のものでありますとともに、きわめて公共性の強い重要な事業でありまするから、これがかりそめにも、私的な利害打算によって分離され、あるいは委託されるがごときことは、断じて許されないところであります。したがって、従来電信電話事業はもちろん、公共的な立場から将来新しく開拓せられるべき電信電話事業の分野についても、当然公社が一元的に運営すべきものであって、安易にこれを委託運営すべきではありません。ましてや、こうした委託事業に公社が貴重な資金を投ずるがごときことについては、全国民的な立場において巌重に検討されなければなりません。かような点から考えますると、単に政令のみによって、投資すべき委託事業の範囲について認定がなされることにつきましては、強く反対せざるを得ないのであります。  以上、反対の理由を、簡単でございましたが申し述べて、私の反対討論を終わります。
  175. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。  日本電信電話公社の行なう公衆電気通信業務の一部は、公衆電気通信法の規定によって、必要があるときは他に委託することができるのでありますが、大臣の御説明にもありましたとおり、その委託業務公社と一体となって運営されねばならないことは申すまでもありません。また同様に、公社公衆電気通信業務と密接な事業についても、そう言えると思うのであります。今回の改正は、かかる事業に対して公社投資の道を開こうとするものであります。かかる規定は、すでに国有鉄道、日本専売公社にもあるのでありまして、これらの例にまつまでもなく、公社の運営に資するものと考えます。ただ、この運営にあたっては、乱に乱れることのないようにせねばなりません。予算の定めるところにより、また、その範囲は政令で定め、郵政大臣の認可を要することになっております。妥当なことと存じます。  なお今回は、すでに成立しております予算七千万円があるのでありますが、このたび、沿岸無線電話、すなわち、日本沿岸航行する船と陸地とを無線電話で全面的に結ぶ公衆通信網の策定に基づき、その一部を委託させるにつき、従来港湾無線や、岸壁電話や、沿岸の一部について、その業務の一部を委託していた日本船舶通信株式会社にこれを投資しようとするものとのことであります。沿岸無線電話拡充は、今日まで通信量の予測等も困難な事情もあり、公社として、ここまで手が回らなかったと思うのですが、ここにその拡充整備に踏み切られたことは、公衆通信の一元化の上からも必要なことであります。本件は必ずしも採算上有利とは考えられませんが、海上無線は人命の安全とも直接関係するのでありまして、この運営にあたっては、合理的に、かつ会社の採算をも考慮せられ、その使命を遺憾なく発揮せられるよう念願して、私の賛成討論を終わります。
  176. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論をいたしたいと存じます。  私は、さきの委員会の質疑の際に、わが党の考え方を述べておきましたので、簡単に一言だけ申し述べます。  まず第一に、改正しなければならない理由が見つからぬということです。本改正案は、投資条項を新設して、さしあたり、日本船舶通信株式会社に七千万円を投資しようとするものでありますが、日本船舶通信株式会社という一企業に、国民大衆から取り立てた料金収入を投資する、電電公社の従業員の労働によってつくられた資金を、労働条件の改善のために使うのでなく、このような会社投資するといったようなやり方には、絶対賛成することができません。  第二に、本来電電公社がやるべき事業を、便利だとか、能率がいいとかの理由で、公社の事業を日本船舶通信株式会社に肩がわりさせてやらしておりますが、こういった公益事業は公社みずからがやるべきが至当であると考えます。しかも、こういったやり方で投資をするなどということには、賛成できません。  第三に、このようなやり方は、現在、日本国有鉄道などでやっている企業の民間委託、これは国鉄労働者の犠牲の上に経営の合理化が行なわれておりますが、こういったやり方と一脈相通ずるものがあると考えます。  このようなやり方で投資の道を一たび開くならば、今後この対象がさらに拡大されることは明らかであり、電電公社を将来民間企業に持っていく、そういった方向を一そう強めようとしているのが、この法律改正案のねらいであると考えます。  以上の点から、本改正案に反対をいたすものであります。
  177. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 御異議ないと認めます。    ——————————
  179. 占部秀男

    委員長占部秀男君) この際、委員の異動についてお知らせをいたします。  本日、白木義一郎君が委員を辞任せられ、その補欠として二宮文造君が選任されました。    ——————————
  180. 占部秀男

    委員長占部秀男君) それでは、これより採決に入ります。  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  181. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  暫時休憩いたします。   午後一時四十一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕