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説明員(
大橋八郎君) たいへんむずかしい御質問をいただいたのでありますが、これはやはり一時的の原因と、構造的といいますか、構造的原因と、両方あると思います。私
どもの見たところでは、一般的の問題といたしましては、ちょうど
公社ができましてからもう十数年たっているわけでありますが、御
承知の、
公社ができました翌年の二十八年でありますか、約二割の電信電話料金値上げを実はお願いいたしまして御
決定をいただいたわけであります。そのときは、一部は減価償却の
原資がどうも従来の
収入状況ではまかなえない、したがって、
事業の基礎を確立するためには、ぜひ減価償却を十分にこれはやらなければならぬ、その
原資に充てることが
一つと、いま
一つは、将来の改良拡張の
原資も不足しているから、この
増収によって、一部はそのほうへ充てる、この二つの目的で、結局、二割の引き上げをしていただいたのであります。その後ずっと今日まで十二年間、一度も、そのかわり、何といいますか、料金の引き上げはやっておりません。ほかの公共企業体につきましては、相当その間に、二回もしくは三回にわたって、物価騰貴等の原因でやられたのでありますが、私
どものほうでは、
企業努力並びに技術の発達筆によりまして、その間、特に値上げをせずに、一般の物価の値上がりなり、あるいは連年の
ベースアップ等に対処して、値上げせずに今日までやってきたのであります。
ところが、御
承知の、三十七
年度に至りまして、実は
予算予定よりも相当の
減収になった。
先ほど申し上げましたように、百三十億以上の
減収になった、そのときの原因がどこにあろうかということを当時いろいろ論議いたしたのであります。
一つは、その当時の一般経済界の不況ということが原因、これは一時の、私は
一つの現象だと思います。それからいま
一つは、当時料金の合理化といいますか、合理化をやったのでありますが、この合理化については、私
どもは相当の
減収を覚悟して実は初めから
予定してやったのであります。ただ、あらわれたところでは、当時私の
予定したよりも以上の実は
減収があった。これは
一つの、一方の不景気といいますか、景気と両方がからみ合ったために、
予定以上の
減収になったと思います。
そのほかに、もう
一つ比較的恒久的と思われるのは、近ごろのような電話に対する一般公衆の需要というものが非常に
増加してきた。そうなりますと、従来は、どちらかというと、事務所の電話が非常に多かった。個人の住宅電話よりも、むしろ事務所の電話が多かった。事務所の電話は相当これは取り扱いが多いんでありますが、住宅電話となりますと、一日の何と申しますか、電話数量というものが非常に少ない。したがいまして、住宅電話が増すに従って、全体の平均の一個当たりの
収入というものが
減収の
傾向、これはいわゆる恒久的といいますか、恒常的といいますか、そういう恒常的の原因も多少加わっておるんじゃないかと、かように
考えておるわけですが、そこで、最近の三十八年も、なお
先ほど申し上げましたような相当の
減収があった。これも前の不景気の尾も引いておりましょうし、それから多少の一般的現象もそこに加わっているんじゃなかろうかと、かように
考えますが、さらに将来を
考えてみますと、第三次五カ年
計画、第四次五カ年
計画において、さらに多数の電話をつけるということになりますと、この大部分が事務所よりも住宅電話になる、
収入の少ない住宅電話になる、こういうことを
考えなければなりませんので、将来の長期
計画といたしましては、
収入をそうよけい見込むということはむずかしいんじゃなかろうか。その上に、もうそろそろ加入者の引き受けた
公社債券というものの償還期がやってまいります。ことに、ここ数年のうちには相当多額の償還をしなきゃならぬ。これらの原因をあわせて
考えますと、将来の拡張
財源というものについては、決して楽観は許さない、相当十分検討してかまえをしていかなければならぬじゃないだろうか。こういうようなことが、この間実は新聞記者との雑談の間に出たのでありまして、いますぐ引き上げるとか引き上げないとか言ったわけじゃありません。ただ将来の問題として私
どもは考究しなければならぬ、かような当時の話でございました。こういうことでございます。