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国務大臣(古
池信三君)
お話のように、これは一弱電機器メーカーばかりではないと思います。今日の日本におきましては、商売のほうにおける生存競争が非常に激しいのでありますが、その激しさのためにも、間々不心得な人があって、お得意先に対しまして不法な持っていき方をする。これがつい人の弱点をつかんで誘惑に引っぱり込んでいく、こういう事例は、はなはだ残念ながら、今日の社会においては各方面に相当にあるように聞いております。根本的には、各業者が自粛して、そうして、つまらぬばかなことをしないようにすることが一番でありまするけれ
ども、しかしながら、みんながみんな聖人のような人ばかりでもないのでありまするから、そういうことも起こる。そこで、これを防ぐにはどうしたらよいかということになると思いますが、やはり相当大量に物資を購入する
立場から申せば、やはりある
程度指名入札というものを原則としてこれを徹底していくということが大事なことではあるまいか、こう
考えております。現に役所においては、各省とも、そういう方法がとられておると
考えておりますが、ただ問題は、品物がよくて、しかも廉価で納入をしてもらうということが大切でありまするけれ
ども、あまりに値段ばかりに注目しますと、品物の質が落ちる、こういうことが世間に間々あるわけであります。したがって、指名入札のその資格を与えるについては、やはりその業者の今日までの歴史なり、あるいは現在の工場の設備の模様なり、あるいは、そこにおられる経営者あるいは技術陣等の
内容等も詳細に
調査をして、この会社、この工場ならば、決して信用のできないような物はつくらないであろう、また、取引についても不正な行為はしないであろう、こういう確信を得た上で、指名入札の中に加えていくべきである、かように私は
考えております。
さらに大企業も中小企業もありまするが、弱電の
関係にいたしましても、必ずしも大企業の製作する物がどの面からいっても最上の物であるとは、一がいには言えない場合があるのではなかろうか。中小企業でありましても、専門的に扱っております業者であれば、決して大企業に劣らず、むしろ大企業にまさる品物をつくっておる会社もたくさんあるように承知しておりまするから、そういう場合には、資本の多寡ということも一がいに標準にはならぬ場合が多いというふうに
考えておる次第であります。
そこで、特約で物を納めさせるということは、これはあくまでも例外中の例外であるべきであって、特に仕様書等について、役所が詳細なるプランをつくり、あるいはまた、新規の構想に基づく新しい機器であるというような場合には、これは、多数の会社がこれを同時につくるということは実際不可能でありまするから、特に信用の置ける業者に命じて、その注文に合った物をつくらせるというような場合もあります。こういうような例外の場合は、やはり指名入札というわけにはまいりませんから、特約で購買するということもあり得るのでありまして、やはりその場その場に応じて適切なる措置を講じていくということが必要でなかろうかと
考えております。
それから
最後に、さような不正行為のあった業者に対しましては、引き続き取引をすることはいかがなものであろうかという
お尋ね、私もその御趣旨はごもっともだと思います。これについては、さらに
事務当局をして詳細にその間の
事情を
調査させました上、たとえば一定の期間、その会社との取引を中止するとか、あるいは、その他の方法によりまして適切なる措置を講じて将来の反省の材料にさせていきたい、こう
考えております。