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1964-05-21 第46回国会 参議院 逓信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十一日(木曜日)    午前十一時四十七分開会    ———————————   委員の異動  五月十九日   辞任      補欠選任    野坂 参三君  須藤 五郎君    ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            郡  祐一君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   説明員    日本電信電話公    社運用局長   水谷 七代君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出)    ———————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案の審査を進めます。  質疑のある方は、順次、御発言願います。
  3. 横川正市

    横川正市君 電波法審議に入る前に、一、二当局態度を聞いておきたいと思うのでありますが、これは当然郵政大臣電電公社関係についても責任ある立場でありますから、あわせてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、それは、第一は労務管理上の問題、それから第二は、賃金というものの持っております基本問題といいますか、たとえば生活とか、あるいは文化であるとか、そういったいろんなものを加味されて、相当長い歴史の上でつくり上げられてきた賃金というもののそういう立場から考えてみて、今回出された仲裁裁定について、郵政当局としてはどういう受け取り方をされておるのか。老婆心ながら私はちょっと申し上げたいと思うのでありますけれども仲裁委は最終的に労使間の紛争を解決する場所でありますので、この仲裁委に移行したときの両者の話し合いのこともありますから、それがたとえば郵政当局にとって不利であり、あるいはまた、その逆の場合であっても、仲裁に服するということは、これは当然の私は考え方だと思うのです。しかし、仲裁に服することということで問題の解決にならない点について、われわれは今度の仲裁の中に多見するわけでありまして、そういう点からお答えをいただきたいと、かように思いますので、電波法質疑に入る前に、非常に緊急な問題ですのでお伺いをいたしたいと思います。
  4. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 賃金問題について、御承知のように、仲裁委員会裁定が出たわけでございます。これはただいまも御指摘のありましたように、公労法の第三十五条によりまして、この裁定に対しましては、当事者双方とも、最終的決定としてこれに服従しなきゃならない、また政府は、この裁定実施されるようにできる限りの努力をしなきゃならない、こういうことになっておりまするので、私どももすなおにこれを受け取りまして、この裁定に対しましては、今後できる限りの努力を重ねてまいりたいと、こう考えております。
  5. 横川正市

    横川正市君 そこで、今度の仲裁は、国鉄管理者を除く適用職員に対して九・五%、郵政が七・五%、電電が六・五%と、賃金上昇率にかつて見ない大幅な格差がついたわけなんですが、国鉄とか林野等の九・五%という引き上げに対して、郵政大臣としてこれに妥当性を見つけられておるかどうか、それに対比して郵政の七・五、電電の六・五というのは、これはあなたの立場一体、妥当な仲裁だというふうにお考えでしょうか。——実施をするということと、仲裁に対して、こういう格差のついたことについての見解とは、おのずと別だと思うので、その点をお伺いしたい。
  6. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 公正な第三者機関である、また、このことを職能としておられまする仲裁委員会において、今日まで民間その他の資料を十分に検討された結果、慎重審議の上に下された裁定でございまするから、私どもとしてはこれが適当であると、こう申さざるを得ないと思います。
  7. 横川正市

    横川正市君 まあ公の席ですから、速記に残ることでもありますし、そういうふうに答えざるを得ないという答えならば、私は、おそらく、これから質問をいたしましても同じ結果になるだろうと思うのでありますが、それでは私どもはきわめて不満なんでありまして、そうすると、この委員会調停段階質問をいたしましたときに、郵政大臣大橋総裁も口をそろえて、国鉄等との間に賃金格差のつくような、そういう条件についてはこれはないと、ばかりでなしに、電電公社の場合には、国鉄を上回る賃金が必要であるというふうにさえ考える、というふうに答弁をされているわけです。私は、第三者機関が出したものだから、不満であってもこれを受けて実施努力をするというのは、これはまあ非常に常識的なことだと思う。しかし、その背後に、郵政の場合には三十万、電電の場合には二十万という多数の職員をかかえて労務管理をされているという立場から見ますと、さきに言ったいわゆる賃金についての格差見解というのが、私は、妥当な管理者見解と実は聞いて、それをそうとっておりました。だから、そういう意味では、仲裁が出されたという事実については、先ほどの郵政大臣のことばで私は妥当だと思うのでありますが、それならば、さきに答えられております、格差のつけられるそういうような条件については認めがたいし、賃金についてはかえって上回る要素を持っているのだと、こういうふうに答えられた——まあ同一人が答えたわけなんでありますが、そういう答えられた見解との関係は、どういうことになりますか、この点、お聞きいたしたいと思います。
  8. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 調停段階におきましては、公益委員も交え、また、労使双方委員がそれぞれの意見を出し合って、適当なる結論を見出そうとして努力をするわけであります。したがって、調停段階においては、それぞれ自由に意見を発表し話し合うことは当然でありまするが、しかしながら、調停が不調に終わりまして中裁段階に入り、すでに仲裁裁定が出されました以上は、これがやはり適当なる結論である、こう認めてこれに従うのは当然であろうと考えます。  先ほど申しましたように、調停段階においては、いろいろな各自の意見双方に申し合って結論を出そうという努力をするわけでありますから、そのときの論議の過程における問題と、仲裁裁定が出てからとは、事情が変わってきていると考えます。
  9. 横川正市

    横川正市君 事情というものは変わらないのじゃないですか。事情の変わったのは、仲裁の中で格差をつけられたという事情が変わったのであって、あなたのほうの事情というのは、国鉄との間に賃金格差がないという事情であって、その事情が消えたというのではないのでしょう。そこで、仲裁という非常に決定的な判定の場所で出されたものはやむを得ないけれども、しかし、さきに当委員会表明をされた賃金格差ということについての見解は、郵政電電も、これは当時表明された委員会での表明が、これはそう変わったとは言えない、こういうことになるのじゃないですか。私はそういうふうにとりますがね。先が消えてしまうということではないと思うのですがね。
  10. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この仲裁委員会におきましては、各公社あるいは各現業の事業内容について、それぞれ詳細なる資料もとり、また、民間との比較もいたしながら、公正な立場において審議決定されたものであることは、申すまでもございません。しかしながら、たとえば郵政について申せば、郵政省管理者組合との間に、あるいは団体交渉を持ち、あるいはまた、調停に訴えて双方の主張をし合うという場合は、あくまでも自分たち事業というものが主体になるべきでありまして、その際に、他の事業内容にわたる資料等については、これは第三者機関とも異なりますがゆえに、正確なる資料を収集するという権限もなければ、これらと公正な立場において第三者的な観点から比較するということもできないわけでありまして、やはりその事業を中心として労使の間で話し合うと、こういうことが本来の姿でありますから、その際に、いろいろな議論が出る、意見が出るということは、これは当然なことであり、それと、今回仲裁が出された場合の仲裁の結果というものとは、おのずから別である、こう申しても決して不自然ではないと考えます。
  11. 横川正市

    横川正市君 私は、別だという点は認めているのです。別なんだが出ているのだから。しかし、実際にこの委員会さき質疑をかわしたときには、そうあるべきではないという非常に強い決意を表明されているわけですね。ことに大橋総裁は、あなたの列席する場所で、上回る賃金が必要だ、こういうふうにも答弁されている。ところが、それに対して、国鉄は九・五、電電は六・五と出たわけです。この数字が妥当ということは、私は言えないのじゃないかと思う、さき答弁から。おそらく、大臣が言うことで私も納得できる答弁ということになれば、これは仲裁という最終決定機関で出されたのだからやむを得ない、その目標に向かって実施をいたします、しかし、相当これは、あなたのほうの管理する三十万、電電の二十万という職員の間には問題がありますよ、こういうふうに分けられて答弁されるなら、私も納得するわけなんですけれども、この仲裁が妥当だと言われてしまうと、これは私は、さき答弁と非常な食い違いがあると思うので、お聞きをしているわけなんです。  そこで、たとえば運輸省事務次官郵政省事務次官賃金は差があっていいという人事院勧告が出たら、これはどういうことになりますか。私は、第三者機関というものは尊重すると言ってみても、そういう非常識は行なわないと思うのです。運輸省事務次官と厚生省の事務次官は、労働の質と量、能力の相違、勤務体系差異、こういうものがあるから郵政省特別級何等でいい、しかし運輸省特別級の最高級が必要だというような、そういう勧告というのは出せないと思うのです。だから、そういう勧告が出せないという問題を、実は職員体系の中でどういうふうに郵政電電はとらえたかという問題が、私は問題だと思う。  国鉄賃金要求をするときに、高等学校卒業者十年勤続で特急の運転士が三万一千円、これは低い、たばこを巻く専売の女子従業員と同一の賃金については、これは承服できないと、石田総裁予算委員会や、あるいは運輸委員会で言っております。それに対して、大橋総裁はこの委員会で、同じように、国鉄総裁意見は不当だ、電電の職場の中には国鉄と何ら差異のあるようなそういうものはない。すなわち、私は、いわゆる労働の質とか密度とか量とか責任体制とか、そういったものが、これが賃金の差になるのならば、そういう賃金の差をつけべき要素というもの、電電国鉄にはない、この差がない、それから郵政の場合にも差がない、こういうふうに私は答弁されておったものだと思うのです。  そうすると、私の質問をするのは、一体差を認めたのですか、あなたのほうでは。こういうことになってくるわけです。もし差を認めないということになれば、私は、前段であなたの言ったことは承服いたしますけれども、それは仲裁という最終決定機関だからこれはやむを得ざるものであって、労使間の問題として非常に大きな問題を残された、きわめて遺憾だ、こういうふうに答弁というのは成り立ってこなければちょっとおかしいですよ。これは正式の場所で言うと何か責任問題になるようなことでは私はないと思う、あなたは、やはり三十万の職員責任があるのでしょう、二十万の電電公社監督立場に立っているのですから。  実は、電波法の問題の審議に入る前に、緊急な問題なのでお聞きをしてきました。非常に私は困るのは、ここであなたが何かはっきりしたことを言われると、幾ら大臣の任期がもう少しだからとは言いながら、たいへんな問題になると思うのです。ことに、これから解決の方途としても、いろいろ管理者管理者なりに、組合組合なりに考えるわけですから、そういったことから影響あるような答弁をもらうのなら、これは私はもらわないほうがいいわけで、ぜひひとつこの点は、そういった点も考慮されて最後お答えをいただいておきたいと思う。審議機会はまたあるのでありますから、再度やりたいと思います。
  12. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いろいろな御質問がございましたが、かつて電電公社総裁がどういうふうな答弁をされたかということは、私もここにはっきり記憶をいたしておりません。したがって、その公社総裁の御答弁につきましては、また公社総裁のほうにお尋ねをいただきたいと、こう考えます。私は率直に申し上げて、それぞれ事業を担当し一生懸命に努力をしておる以上は、自分事業というものはとうといものである、非常に重要なものである。また、その労働もなかなかたいへんなものであるということはみな自覚して、その見地に立って言っておりまするから、私も前回お答えしたとすれば、そういうふうな立場から申したものと私は考えております。それはいまでも変わってはいないのです。いませんが、しかし、甲乙丙丁とあるそれぞれの事業が、自分事業が一番他にまさるのだということをお互いに考えることは、これは自由でありますけれども、しかし、そうであっても、やはり第三者が公正な立場からこれを勘案して審査の上きめるということに法律がきまっておる以上は、どうもこれはその第三者裁定に従わざるを得ない、こういうことを先ほど来申しておるわけでございまして、自分関係しておる事業が、他の事業に比べてつまらぬ事業であるとか、負担の低い事業であるとか、そういうことはだれも考えてはいないということを私は思っております。
  13. 久保等

    久保等君 ちょっと関連大臣のいまのきわめて抽象的な御答弁でわからぬでもないのですが、ただ、先ほど、仲裁裁定が妥当なものだと思いますというふうな御答弁があったのですが、私は、そこのところは明らかにしておいてもらいたいと思うのです。やはり大臣が、全逓との間における団交でも、本年の場合にはゼロ回答をしておられて、おそらく、そのゼロ回答をされたときには、ゼロ回答をされたことが妥当だという考え方のもとに立って回答せられたと思うのです。ところが、さらにもう一つは、格差賃金の問題があの仲裁裁定の中に出てきておる。私は、この二つの問題をめぐって、大臣のやはり所信というものはそう右に左に変わってもらっちゃ困ると思うのですよ。仲裁裁定というものの性格はどういうものであるかということは、これは大臣がいま言われたように、関係当事者を拘束するのだということになっていますから、そういう法の権威は十分認めざるを得ない。だから、したがって、そういうことに対する、出てしまったものに対してとやかくの批判をするという立場は、これは政府当局といえども私は慎むべきだと思う。そういう気持ちはわかる。しかし、それが正真正銘妥当であるかどうかという問題については、これはまた私は別個の問題であると思う。大臣立場から言えば、おそらく、私は、金額の問題についても、少なくとも大臣のあの仲裁裁定を前にしていろいろ御意見はあるだろうと思うのです。さらにまた、格差賃金の問題に至っては、特に問題があるのは、たとえば格差賃金が出たことについては、非常に強い批判一般は持っておるのです。また、大臣も非常に不満だろうと思うのです、私は率直に申し上げて。だから、そのことをも含めて、とにかく妥当だと思いますというような答弁では、これは答弁にならぬ。要するに、しっぽをつかまれないように、差しさわりのないように答弁をしたというふうにしか理解できないのです。だから、私は批判する立場にないから批判はできないけれども意見はあります、しかしながら、出たからには、これに対してとやかく言ってみたところで始まらないし、したがって、拘束されるということも、これは事実であるし、したがって、その上に立ってこの問題の処理に当たらざるを得ませんと、いう御答弁であってしかるべきだと思うのです。だから、妥当であったという答弁では、私は、大臣の真意と違うし、また、的確な答弁ではないと思うのです。その点をひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。  それからまた、全逓にしても、また電電の場合にしても、あれだけの格差賃金をつけたということに対して、私はやはり当局として責任を感ずべきと思うのです。少なくとも、それが十分に仲裁委員会にその意思を反映できたかどうかという問題、あるいは政治力が十分であったのかなかったのか、いずれにしても、出た結果から見ると、私はむしろ当局者責任を感ずべきだと思うのです。まことにけっこうな結論であったとは、これは義理にも言えないと思うのです。そこら、どういう責任を感じておられるか、そこらも含めてひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  14. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまの御意見のうちにありましたように、この仲裁裁定が出た以上は、これに対しては批判はできない、私もそのとおりに考えます。したがって、この結論が適当であるか、あるいは適当でないかということすら、極端にいえばこれは批判になると思うのですが、しかしながら、こういう法のたてまえになっておりまする以上は、やはりこの裁定に対しましては、法律上は適当なものと認めて私どもは服従せねばならない、こう言わざるを得ないのでありまして、その意味においては、先ほど私が申し上げたことも別に間違いではないと、こう考えております。しかしながら、実質的にいろいろの意見なり希望もあるであろうということについては、先ほど申し上げたように、どの事業に携わる者であっても、やはり自分事業のことは一番よく知っているわけであり、また、一番重要であると、こう考えて、その自信のもとに働いておるわけでありまするから、その点は御了承いただけるのではなかろうかと考えております。また、昨年団交開始当時と今日とは、やはり時間もたっており、その間においていろいろと労使関係一般社会情勢も変わってきておりまするから、そういうことに応じてこっちも考えを変えていくということは当然のことであろう、昨年こう言ったから、ことしもそうでなければならないというほど、りちぎなものではなかろうと私は考えます。
  15. 久保等

    久保等君 関連ですから、もう一言念のためにお尋ねをしておきたいと思うのです。今度の裁定が出たことによって、私は、新たなる問題が提起せられたということは、これは事実だと思うのです。特に郵政大臣という立場において、私は、そのことについてはひとつ責任を感じてもらいたいと思うのですよ。裁定に対して妥当であるとかないとかということをこの場で大臣の口から言えということは、これは無理だと思いますが、少なくとも、ああいう具体的な結論が出たことに対して、あれでとにかく満足すべきものだったということについては、金額の問題についてもそうだし、ことに格差の問題については、私は重大な問題が出てまいったと思っております。そこで、大臣としては、私は、格差問題等については、これはそれぞれその衝に当たっておる者は、自分のところの事業が重要であるということを考えることは当然であると思うのです。私は、そうあっていいと思うのです。しかし、国鉄の問題を大臣立場から言ってくれとは私は申し上げません。しかし、現実に三十万人の郵政従業員を預かる郵政大臣として、あるいは二十万人の電通従業員監督する立場にある郵政大臣としては、とにかくあの具体的な結論に対しては、新しい問題が出てきた。したがって、そのことについては、今後とも一そう給与の改善の問題について不平不満のできるだけ出ないように最善努力はしなければならないというふう考えております、というこの程度答弁については、大臣、全くそのとおりだとお答え願えると思うのですが、あまり多くを言わなくてもけっこうですが、私がいま申し上げた程度の、今後の課題として大臣の意のあるところをひとつお答え願いたいと思います。
  16. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま最後お話のありました点は、全く私も同感でありまして、事業を預かる者として当然心得てやらなければならない根本的な問題であろうと思っております。
  17. 横川正市

    横川正市君 前回委員会に引き続いて、電波法内容を御質疑いたしたいと思うのでありますが、これは一番最後にお聞きしたいと思ったのですが、最近三局長の招集が行なわれて、その席上で相当大臣からきびしい態度で伝達をされたようでありますが、新聞記事で拝見をいたしたのであります。ただ、この電波関係関連をして、本省の内部にこの電波監理局汚職事件として、相当住宅公団等その他の公務員の汚職問題としてやり玉に上がっているわけなんですが、一体、こういうような事案が起きるということは、全体の服務に対する規律といいますか、あるいはまた、日常の管理監督ないしは許可業務に従事している職員の弛緩であるとか、そういった通常のことは私は言えると思うのでありますけれども、今回のようなこういう汚職事件の起こるよってきたる原因というようなものについて、当局としては厳重調査をされたのではないか、こういうふうに思うわけであります。別の機会に、最近のたとえば特定局の、もう一件また大きいやつが出ましたけれども、それは別の機会に、全体の問題としてお聞きしたいのでありますが、さしあたって、電波そのものはいわゆる世上脚光を浴びた一つ業務でもありますし、それだけに重要なものであろうと思うのでありますが、そういう中にこういういかがわしい事件というものが、全体のこれはパーセンテージからいえばほんの微々たるものだと、こういうことになろうかと思いますけれども、そうであっても、世上不信を買う最大のものだと思うのでありまして、そういう点から、これに対してひとつ大臣見解をお聞きをいたしておきたいと思います。
  18. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 御指摘のように、昨日、地方の三局長を集めまして会議を催し、その席上において私は、綱紀の粛正、犯罪の防止ということに強く関係官の協力を求めたわけであります。最近大きな事業における犯罪、あるいはまた、監督行政における不祥事件が起こりましたということは、はなはだ遺憾にたえないところでありまして、国民から重要な責務を負わされておる私どもといたしましては、今後さらにみずから省みて、かような問題を再び起こさないように、最善努力を尽くさなければならないと、こう考えております。根本は、やはりみながそういう気持ちになって仕事に当たるにしても、緊張感を持ってやるということが第一に必要なことではないかと、こう考えて全職員の注意を喚起した次第でありまするが、また一方においては、特に事業の運営につきましては、従来の制度あるいは事務取り扱い方法というようなところにも、欠陥あるいは不備な点が存するのではあるまいかということも考えて、この点も今日再検討を進め、特に昨日、郵政審議会特別委員会が開かれた席におきましても、各委員にその点をお話をいたしまして、審議会としても、今後、そういう意味も加味して事業全体についての調査検討をお願いしたいということを要請したような次第でございます。はなはだこの点は私も遺憾に存じておることをここに表明をいたしまして、今後の戒めといたしたいと考えております。
  19. 横川正市

    横川正市君 そこで、こういうようなことは、神さまでもない限り、間々おちいりがちのことだということで、非常にルーズにされているというようなことは、私は考えないわけなんですが、しかし、許可事務等を取り扱っている、あるいは物品購入等についての要職にある場合の、まして、こういうような問題を起こすような、そういうようなところで勤務する者についての、これは何らか具体策というものがあっていいんじゃないかと思うのですが、これが起ってから、あるいは、さきにも何回かありましたが、そういうような対策というようなものはとられておるのでしょうか。実際この取り扱っておられるそういう地位の者について、何も常に監視監督するということは、これはできませんでしょうが、何らかのかっこうというものはあるのじゃないかと思うのですね。私はまあ、たとえば、こう言っては悪いんですが、係長だからゴルフをやっちゃならぬというようなことは言いませんが、実態的に言って係長でゴルフができるということは——私は、ゴルフというのはどのくらい金がかかるかわかりませんが、大体あまりそれだけの能力はないと思うのですよ。それからマージャンとかなんとかいろいろなものがありますし、飲み食いというものもありますけれども、そういった世上普通にやっていれば何でもないことだけれども、そういう職場にある者が何らかをやっているような気配というものがあったときには注意するくらいのことは、これは当然上司として私はやっていることであろうと思うのです。そうではなしに、日常こういう業務に携わる者について特別監視を怠らない、そういうことが姿勢を正したということじゃないかと思うのですね。大臣、訓辞だけじゃないと思うのですが、そういった具体的な問題について、どういう方策を立てておられるか、お聞きをいたしたいと思います。
  20. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) なかなかむずかしい問題であると思いますが、まあゴルフをやる、あるいはマージャンをやる、そういうことが犯罪を犯す場合の一つ機会をつくることになりはしないかというふうな議論もあるいはあるかもしれません。私はゴルフをみずからやりませんし、マージャンもやりませんので、そういう詳しいことはよく論ずる資格がないのでございますけれども、さればといって、職員に向かって、たとえば局長以上はゴルフをやってよろしいが、それに達せざる者はゴルフをやってはいけないとか、あるいはマージャンを禁止するとかということは、これはちょっと行き過ぎではなかろうか。まあ、お互いが自分の良識に従って自制し自粛することは、これはかまいませんけれども、上司の命令としてそういうふうなことをきめるというのは、これはいまの時勢からいっていかがなものかと、こう私は考えて、そこまではいたしておりません。やはりそれは、監督立場にある者は、そういう点にまで細心に心を配って、職員の行動等にも留意しながら監督をやっていく。また、同僚の中においても、お互いがそういう危険なところにおちいらないように注意し合うという思いやりが必要ではなかろうかと考えております。  さらに、事業の面につきましては、やはり監督者の不断の監督とともに、監察官の制度がございますので、この監察官を最も有効適切に活用いたしまして犯罪を未然に防ぐ、あるいはまた、さような事態が起こった場合には、すみやかにこれを発見して、被害の拡大を防ぐというような、各般の処置は講ずべきであると、かように考えております。
  21. 横川正市

    横川正市君 私も、そのマージャンをやるなとかゴルフをやるなというふうに上から伝達しろなんということは考えていないんです。ただ、そういう、間々誘惑のある場所に勤務する者が、誘惑のきっかけになるわけですね、あなた、マージャンできますか、できます、それでは今晩どうですか、ということになるわけですよ。それからゴルフはどうですか、できます、と言えば、今度はひとつ日曜日にどうですか、ということになるわけです。だから、そういうきっかけに使われるような、そういう誘惑のある場所の勤務者に対して、これはどういう規律があればいいとかなんとかじゃないですよ。やはり上の者が常にそういう誘惑のかからないようにしてやるという、そういう具体的な何かが私はあってしかるべきだと思うのですわ。それは日常何か内務規則か何かできめられた、そういったものではないと思うのですが、こうやっておりますというような、そういう何か、事前にそういった事態に至らないための策というものがあっていいんじゃないかと、こういうふうに思っているわけです。これはまあ具体的にやっておらないならば、ひとつ考えていただきたいと思うのですが、同時に、私は、金をくれと言う人はいないと思うのですよ、実際は。あるいはマージャンをやるから賞品を出せとか、ゴルフをやるから車を貸せとか、こう言う人はいないと思うのです。逆に業者側からかかってくる誘いというものが大半じゃないかと思うのですが、たとえば、今度の場合には、発注する電波測定器とか検査器などの納入に際しての落札予想価額等の情報を流したという、こういうことなんですが、これはやはりきっかけがあって情報がほしいというので、まあ、にっちもさっちも動けなくて情報を流したということになったのだと思うのですが、逆に、いまの世田谷の長野日本無線会社ですか、こういう業者と郵政との関係というものは、どういうふうになっておりますか。
  22. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 詳細な点は事務当局からお答えをいたさせますが、ただいまの御質問の中にありました最初の部分の御意見は、先ほど私がお答え申し上げましたことと全く同様でございまして、まあ上からマージャンあるいはゴルフをしてはならないというような禁止命令をすべきものでないということは、私も全くそう考えております。  しからば、その監督の方法としてどういうようなことを考えるかということでありますが、これも具体的な場合に至らないと、なかなか申し上げにくいと思いますが、たとえて申せば、ある重要なことを決定するのに、ただ一人だけが決定権を持って、その裁量によってどうでもなるというふうなことは、なるべくこれは避けて、やはり二人以上の人が目を通さなければきめられないというようにしておくということも、これはチェックの一方法であろうと思います。ただ、しかし、これもまた、あまりに極端になりますと、繁文縟礼で、役所の仕事はまことに非能率的だ、こういう非難も招くということになりまするので、その辺のほどほどのところが非常に大事なところじゃなかろうかと考えます。  それから、局長以下直接職員監督立場にある人は、よい意味において、常に家庭の問題についても相談を受けられるような態勢をとっておく。どの職員の家庭についても一応事情を知っておって、かりに家庭で経済的に困るような問題が起これば、課長なり局長に相談をして、よい知恵を貸してもらうとか、あるいは、その他の、家庭に何かむずかしい問題でも起こった場合には、すぐ監督者のほうが相談に応じて親切にほんとうに身内の者と同じような態度で相談に乗ってやるというくらいにまで打ち解けてくれれば、私は、犯罪を犯すというようなことは非常に少なくなるのではなかろうか、こんなふうに考えておりますけれども、これは具体的には、やはり監督者の人柄にもよりましょうし、なかなか一律に、こうやれと言ってできるものでもありませんけれども、そのくらいの心持ちで当たってもられば非常にけっこうじゃないか、こういうようなことを希望している次第であります。
  23. 横川正市

    横川正市君 いまちょっと質問をいたした点で、長野日本無線株式会社、それから東京電波株式会社、こういうような会社との関係をどういうふうになっておりますか、事後処置ですね。それから電波測定器あるいは検査器というのは、納入されたものはそのままになって、収賄事実だけで逮捕または捜査ということになっておりますか、どういうことになっておりますか。
  24. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) このたび、私も責任を持っております電波監理局におきまして世上の疑惑を招くような事件が起きましたことは、私以下、全電波監理局職員、非常に痛切に責任を感じておる次第でございます。非常に重要な電波の許可、免許というような仕事に携わっておりますので、特に世上の疑惑を招くようなことのないように、常に行動を清潔にしなければならないことは申すまでもないことでございまして、私、着任以来も、そのように全力をあげてつとめておる次第でございます。  今回の事件につきましては、なお取り調べ中でもございますので、詳しいことは、私、まだ知り得ないのでございます。ただ、ただいまの御質問の会社につきましては、こういう会社は、電波関係におきましての監督上必要な測定器というものを納入しておる会社でございまして、こういう会社は、ただいま御指摘の会社のみならず、なお会社といたしましては数は多いのでございます。大体、機器関係といたしまして、毎年七、八千万円程度のものを購入をいたしておりますが、それは広く十指に余る会社に分けて購入しておるのでございます。また、そのやり方といたしましては、指名競争入札という形をとっておりまして、その手続その他につきましても、十分部内的には相互牽制の処置がとり得るような形になってやっておる次第でございます。ただ、電波の測定器というものは、購入件数も非常に少ないものでございますし、また、市販しているというようなものでもございませんので、それをつくり得る技術を持っておる会社にどうしても集中する形にならざるを得ないのでありまして、こういう点につきましては、特に気をつけて仕事をしていかなければならないかと思っております。ただいま御指摘の会社につきましては、一般の測定器納入会社としての指名競争入札にたえ得る会社である、そう申し上げる以外に、別に本省といたしましては関係はございまん。
  25. 横川正市

    横川正市君 十ぐらいあるという会社は、従業員は大体何人くらいの規模のものなんでしょうか。
  26. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 非常に大きな会社も小さな会社もございまして、大きな会社といたしましては、いわゆる弱電気メーカーとしての一流会社に属しまする会社もございますし、それから市販品を出しておりません特殊な計器だけを販売しておりますような会社もございまして、一がいには申せないのでございます。協立電機研究所と申します会社を一例にとりますと、この会社の従業員は約百名に余るものかと考えております。
  27. 横川正市

    横川正市君 私は、大臣検討していただきたい、こういうふうに思うのですが、年七、八千万円程度というのは、何もこれが全部が企業の競争によって獲得すべきものではなくて、他にいろいろなものをつくられたとか、あるいは他からも発注を受けて会社としては成り立っていると思うんですが実際に、この弱電気等の非常に競争の激しい市場ですね、そういう競争の激しい市場の中で生き抜いていくための、まあ、いわば非常手段みたいなかっこうでこういうことも起こり得るということは、私はやはり考えるわけなんですよ。ですから、この会社全体の質とか、あるいは内容とかいうものは十分検討しなければなりませんが、しかも、入札等のでき得る、そういう計器に対する自信のある会社ということになれば、私は、これは電波機器とか、測定器というのは特殊なものですから、電波研究所あたりで研究されたものについての発注については、指名入札というかっこうのものがいいのじゃないかと思うんです。もちろん、研究の結果の内容にそぐわないようなものであるならば、これは当然つくり直させるということもあると思いますが、何かこういうものは、形ができたからこれはひとつ競争でというようなかっこうになれば、おのずと競争の中で生き抜いていこうという弱小企業というものは、無理に無理を重ねる結果になって、両損になるのじゃないかと思うんです、やり方としては。  もう一つやはり私は気をつけなければならぬのは、いわゆる一流の大メーカーがそれならば全部取るのかという問題が出てくるわけです。能力その他からいって、それらについては、私はやはり適正ないわば配分によるところの作製を依頼をするということも必要なんじゃないか、そういう配慮も必要なんじゃないか、こんなことは一体どうだろうかと私は思うのですが、これは検討していただきたいと思うんです、どうでしょうね。  私は、こういう事実を行なった会社との関係ということについては、実は、これは非常に必罰主義になるかもわかりませんけれども、その者をそのままに置くということは、これはみせしめという意味ではありませんけれども、よくないのではないかと思うんであります、もちろん、こういうふうにやり玉にあがった、逮捕されているような人たちは、会社からは相当の処分というものはあるだろうと思う。論功行賞にはならぬと思うんですが、非常に気の毒だとは思いますけれども、実際に会社と、それから購入先である郵政省との関係というものは、それくらいのきびしさがあって私はいいのではないかと思うんですが、大臣としてどういう御見解でしょうか。
  28. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お話のように、これは一弱電機器メーカーばかりではないと思います。今日の日本におきましては、商売のほうにおける生存競争が非常に激しいのでありますが、その激しさのためにも、間々不心得な人があって、お得意先に対しまして不法な持っていき方をする。これがつい人の弱点をつかんで誘惑に引っぱり込んでいく、こういう事例は、はなはだ残念ながら、今日の社会においては各方面に相当にあるように聞いております。根本的には、各業者が自粛して、そうして、つまらぬばかなことをしないようにすることが一番でありまするけれども、しかしながら、みんながみんな聖人のような人ばかりでもないのでありまするから、そういうことも起こる。そこで、これを防ぐにはどうしたらよいかということになると思いますが、やはり相当大量に物資を購入する立場から申せば、やはりある程度指名入札というものを原則としてこれを徹底していくということが大事なことではあるまいか、こう考えております。現に役所においては、各省とも、そういう方法がとられておると考えておりますが、ただ問題は、品物がよくて、しかも廉価で納入をしてもらうということが大切でありまするけれども、あまりに値段ばかりに注目しますと、品物の質が落ちる、こういうことが世間に間々あるわけであります。したがって、指名入札のその資格を与えるについては、やはりその業者の今日までの歴史なり、あるいは現在の工場の設備の模様なり、あるいは、そこにおられる経営者あるいは技術陣等の内容等も詳細に調査をして、この会社、この工場ならば、決して信用のできないような物はつくらないであろう、また、取引についても不正な行為はしないであろう、こういう確信を得た上で、指名入札の中に加えていくべきである、かように私は考えております。  さらに大企業も中小企業もありまするが、弱電の関係にいたしましても、必ずしも大企業の製作する物がどの面からいっても最上の物であるとは、一がいには言えない場合があるのではなかろうか。中小企業でありましても、専門的に扱っております業者であれば、決して大企業に劣らず、むしろ大企業にまさる品物をつくっておる会社もたくさんあるように承知しておりまするから、そういう場合には、資本の多寡ということも一がいに標準にはならぬ場合が多いというふうに考えておる次第であります。  そこで、特約で物を納めさせるということは、これはあくまでも例外中の例外であるべきであって、特に仕様書等について、役所が詳細なるプランをつくり、あるいはまた、新規の構想に基づく新しい機器であるというような場合には、これは、多数の会社がこれを同時につくるということは実際不可能でありまするから、特に信用の置ける業者に命じて、その注文に合った物をつくらせるというような場合もあります。こういうような例外の場合は、やはり指名入札というわけにはまいりませんから、特約で購買するということもあり得るのでありまして、やはりその場その場に応じて適切なる措置を講じていくということが必要でなかろうかと考えております。  それから最後に、さような不正行為のあった業者に対しましては、引き続き取引をすることはいかがなものであろうかというお尋ね、私もその御趣旨はごもっともだと思います。これについては、さらに事務当局をして詳細にその間の事情調査させました上、たとえば一定の期間、その会社との取引を中止するとか、あるいは、その他の方法によりまして適切なる措置を講じて将来の反省の材料にさせていきたい、こう考えております。
  29. 横川正市

    横川正市君 この種の問題は、まあ最近こういうかっこうで出ましたけれども、他の機会にひとつ、郵政当局の姿勢の問題について質問いたしたいと思いますが、十分、いま答弁をされたようなことが、一時的なことでなしに、恒久的に具体策となって、再びこういう問題が起きないような対策をぜひ立てていただきたいと思うのです。  そこで、先般、電波法の、海上人命安全条約発効後の問題で、船舶的の検査制度課長に私のほうから質問をいたしましたところ、大体この電波法による無線電信施設を要するものについては、一として、沿海区域を航行する総トン数千六百トン以上の船舶、二つに、沿海区域を航行する総トン数五百トン以上の旅客船、それから三つとして、総トン数百トン以上五百トン未満の旅客船は、電波法による無線電信電話の設備を要するものとする、ただし、無線電信の施設を有するものはこの限りにあらずと、こういう法改正についてどうかという質問に対して、ぜひそういうふうに改正に踏み切るように検討したいと、こういう答弁があって、一応この運輸省との間の質疑を終わっておるわけなんでありますが、そこで、電波法改正の場合の三十三条の三項、たとえば船舶安全法第四条第一項第三号、旧に加えて新たに四号が加えられた点ですね、それから三十五条の、同じように船舶安全法の第四条第一項第三号に対して四号を加えられた点、そうして、そのいずれもが、他にもあるわけでありますが、郵政省省令でこれを定める、こういうふうに言っておるわけなんです。その精神というのは、私は確聞したところでは、六〇年の安全条約によりますと、安全のための機器の設備については、非常に厳格な一つの規定が出されてきたが、その規定の中で、たとえば三百トン以上五百トン未満の船舶については、その厳重な規定とは別個に、いわば従来五百トン以上と規定をされたもので三百トン以上に適用されておったような内容のものが、郵政省省令できめられてくるのではないか。この四号というのは、その意味を持っているのではないかというふうに言われるわけであります。そういたしますと、先般、運輸当局に聞いて、改正をしたいという考え方を持っておったのとは、事実の取り扱いについては、少し私は電波法のたてまえからいくと、法のワクを、これを非常にいわば安全のためには不向きな方向に拡大をされているのではないかと、こういうふうに思われるわけでありますが、この点の四号を入れた点と、省令できめられる点について、御説明をいただきたいと思います。
  30. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 無線通信設備を持たすべきか持たすべきでないかという問題につきましては、船舶安全法によりまして、船の安全性、あるいは、その船の実際の航行の状態、あるいは無線設備をすることによります経済性等の問題も考慮いたしましてきめるべきことであろうと思います。それによりまして、船舶安全法の規定が、法律が変わりますならば、電波の関係もそれに応じていかなければならないことは当然のことと考えております。  ただいま御指摘の、第三十三条の、船舶安全法の四条第一項第四号のことで御質問がございましたが、お答えいたしたいと思いますが、これは連絡設備の条件とか補助設備の備えつけに関する問題でございます。そういうようなものは、今度の船舶安全法の改正によりまして、強制船舶の範囲が五百トンから三百トンに拡大されることになりまして、新たに、いままで義務船舶局でなかったものが義務船舶局になった船舶が出てまいったわけでございます。つまり、三百トンから五百トンまでのものがそれに該当いたしますが、それにつきましては、そういう連絡設備、補助設備等につきましては、条約の中に緩和規定がありますので、これを除外例を設けることを適当と考えた次第でございます。郵政省令におきましては、省令によりまして、新たに義務船舶局になる総トン数三百トン以上五百トン未満の貨物船というものに対しまして、船舶無線電信局を除外する予定にいたしております。
  31. 横川正市

    横川正市君 現状、六三年に電波法が改正をされてからの船主側の無線電信の設備に対するいわゆる熱意といいますか、そういったものは逐次減少していって、いわば、その無線電信をつけるということは、これは最善だけれども、大体無線電話程度にしておけばいいのではないかという、そういう考え方が非常に強くなってきた、こう言われております。いま、この三百トン以上の旅客船、貨物船と別にいたしまして、無線のついているものは、旅客船の場合には八六・六%、貨物船の場合には五八・七%、こういうふうに現状なっているようでありますが、これが船主側の熱意の減少に伴って、どんどん電話等に切りかえられていくということになりますと、私は、電話の実際上の効力については明確にいたしておりませんので、どういう被害が起こってくるかについては即断をいたしかねますけれども、実際改正をされる立場に立って、現況、こういうような趨勢というものをたどってきたのに、船主側が無線電話に切りかえていくという、こういう姿勢というものについて、実際上いろいろとお考えになっているかどうかですね。それが一つ。  それから第二は、この無線電話というものの効力について、これはどうか。短波で赤電話並みに、公衆通信面では一応サービス面の改善というものはできましても、海難の安全というようなものは、赤電話ということから度外視されるのではないか。それから海上保安庁の設備というものは、たいへんこれはまだ十分ではなくて、対策はできておらぬという問題もある。それから沿岸航路の事故に対する通信上の保安設備もあまり完全ではない。こういうような点から勘案してみますと、無線電話の効力という点から、基本は、これは海上の安全航行という問題、あるいは遭難にあった場合の救助問題ということが基本なんでありますが、そういう点から考えてみて、どういうふうにお考えになりますか。これをひとつお聞きしたい。
  32. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 無線電信の備えつけは、これは船舶安全法によりまして、必要なものは当然船主としてつけておかなければならないものでございまして、必要がなくても、現に必要以外な場合におきましても、船主側においてつけているのが実情でございます。  ただいまの御指摘の電話のことにつきましては、内航船の電話の問題かと承るわけでありますが、沿岸を航行いたしますところの貨物船等につきましては、前から公社のほうにおきまして沿岸電話制度というものを考えて、それによりまして電話ができるように、いま計画を練っておられまして、すでに一部実施されておりますものをさらに大きくする予定であるわけでありまして、この無線電信と無線電話というものは、当然その内容が違うものというふうに考えております。もちろん、この沿岸電話に切りかえました場合におきます切りかえと申しますか、沿岸電話制度によるところの電話を備えつけた船に対しますところの安全性の問題につきましては、超短波を使用いたします関係上、その超短波の周波数によりますところの安全信号の問題ということが当然あるわけでございまして、これらにつきましては、海上保安庁がこれの関係の設備を整備いたすようにも聞いておりますし、また、それが整備されない間におきましても、特別な通話扱いといたしまして安全を期するというような考え方で進めているのでございまして、一般の公衆通信、電報は、従来どおりの無線電信によりまして、特に遠くに出てまいりますところの漁船その他につきましては、当然この超短波というものが使えないわけでございまして、そういうものにつきましては、いままでどおりの二メがあるいは二十七メが、そういうような電信によりまして疎通をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  33. 横川正市

    横川正市君 私は、この安全法に基づいて、このいわば緩和規定というようなものがあるから、緩和をしてもいいという、そういうおざなりな関係ではなしに、現実の内航あたりの形の、たとえば旅客船とか、あるいは貨物船とかの場合であっても、その安全というものが保障されるという、そういう基礎に立ってものを考えた場合に、大体無線電信を備えつけるということが最善だと思うのですね。そうでなくても、電話を備えつけるということについて、いまはたとえば電話の場合は、申し込みがあれば電電公社がこれに対して設備をするということで、申し込みがなかった場合には、その設備が行なわれておらないわけですから、そういう意味では、いわば強制という意味でこれを備えつけさせるようにしたらどうか。それについては、この間、運輸省ではひとつ検討しましょう、こう言っているわけなんです。まあ、それに合わして電波法のたてまえからすれば、当然この四号追加による緩和を行なうのではなくて、強制をすべきではないか、こういうことを私のほうでは強調いたしておるんでありまして、実際上、担当者としてこの点についてどうお考えになっておられるか、これをお聞きをいたしておるわけなんです。もう一回答弁を願います。
  34. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) この問題につきましては、先ほども御説明いたしましたように、無線電信そのものの設備につきましては、当然義務船舶局としてこれをつけなければならないわけでございまして、このただし書きに書いてございますのは、連絡設備——無線電信に必要なしといいますか、無線電信そのものではございませんで、無線電信を運用いたします場合の連絡設備あるいは補助設備のことにつきましての緩和規定が条約にございますので、それを取り入れた次第でございます。もちろん、われわれといたしましては、電波の許す限りにおきまして、各船が無線電信を設備するということが望ましいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 横川正市

    横川正市君 急ぐわけじゃありませんが、私は全体として、たとえば非常灯とか送話管の設備の場合であっても、安全法四条一項三号までに対して、四号の改正が追加され、国際航行にも拡大いたしている点、こういった点でも、これは細部については省令がきめることにはなっているわけですが、こういうような面とか、それから補助設備の場合ですね、いわゆる安全の度合いその他からいってみて、こういう緩和規定なるものについてそれぞれ省令が規定を最終的に決定をするようになっておるわけですが、こういったものについてぜひひとつ具体的な対策というものを現状に照らして考えていただきたいと思います。それをひとつ要望いたしておきます。  そこで、最後にこの問題と関連してお聞きいたしますが、漁船というものの定義について、実は条約でいきますと、「「漁船」とは、魚類、鯨類、あざらし、せいうちその他の海洋生物資源を採捕するために使用する船舶」、こういうふうにばく然ときめられているわけなんです。私はさきに海上保安庁にもただしましたけれども、海難の大部分が実は漁船という規定の中でも非常に弱い立場に立っているもの。ですから、たとえばマグロなんかの場合に、母船なんというものとそれから三十九トン型の漁船というようなものとの関係は、これはもっと実は厳密な一つの規定、定義というものがあっていいのじゃないか。それがあまりないために、たとえば除外規定なんかが母船とかあるいは捕鯨船なんかの場合に取り入れられておって、そして魚をとる小さな船との関係について非常に不明確な点が出てきていると、こういうふうに思うのでありますが、こういう漁船というものの定義なんかについて、まあ電波法を執行する役所として、もう少し細部について規定をすると、こういう必要ありと考えておらないかどうか。これはまあ運輸省が事実上の担当だと思うのですけれども、しかし電波法によって設備を強制する立場である郵政当局としては一体どうお考えになりますか、お聞きしておきたいと思います。
  36. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 前段の御質問の、電信等の備えつけの問題につきましては、われわれといたしましても、できるだけ安い無線通信設備というようなものができますように業者を指導するとともに、電波のあります限りにおきましてこれが普及をしてまいりたいという考え方につきましては、全く先生のおっしゃるとおりでございます。  なお、この漁船というものの定義がはっきりしていないではないかというような御質問だったと思うのでございまするが、本文に書いてございます漁船と申しますものは、いわゆる漁労をするための船をいっているわけでございまして、非常に沿岸を航行する船と違いまして遠くに行くわけでございます。そういうような船に対しましては、特に沿岸を航行する船よりも無線の設備につきましては必要性があるというふうにわれわれは考えているのでございます。なお、大きな、漁船のうちでも母船、それから実際に三十九トン型ぐらいで遠洋に乗り出してまいりますところの船というものとの間におきましてはおのずから相違があるということにつきましては、そのとおりでありまして、そういうような点につきましては、運輸省とも十分連絡の上、その船の実態に即したような無線設備をつけるということで今後善処してまいりたいというふうに考えております。
  37. 横川正市

    横川正市君 これは実際問題として、この間も、全体のたしか四割近いものが、あっという間に船もろとも波にのまれていく、いわゆる海難の大部分がこういうところで損傷していくという事実があるわけですが、何といいますか、こういう面では、もっと設備とか、それからそれに対する対策というのは真剣に考えていいのではないかと思うのに、実はこの漁船というものに対する対策というのはおろそかにされがちで、いろいろ統計から見ると、こういうひどい事実があったのかと思われるような事態が招来しているわけですから、これはひとつ郵政当局にも厳重に検討した上で対策を立てていただきたいと思うのであります。  最後に、聴聞会での運用の問題で聞いておきたいと思うのでありますが、資料として出された聴聞会の内容検討してみますと、一つ疑義に思うのは、郵政当局考え方というものが一本あって、それから船主協会、それから海員組合、それから船舶通信士協会というような人たちの意見もずっと聞いているわけなんですけれども、やはり郵政当局考え方というものを、実は聴聞会の結果からこうしたというようなことがちょっと見当たらないわけなんですが、実際の運用の内容でどういう運用をされ、意見というのはどういうふうにしていれられているのか、この点だけお聞きをいたしておきたいと思いますし、希望としては、現実に船主協会というのは、これは利害者の利の立場に立っておりますし、いまの場合、通信士協によれば、船通協会のいわゆる職員側は、きわめてこれは被害者の立場に立っておるわけでありまして、確かに意見の相違というものは聴聞会にもあらわれておりますけれども、そういう場合の郵政一体取り扱い方としてはどう取り扱っているのか、それをひとつはっきりしてお答えいただきたいと思います。
  38. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 昨年の電波法の一部を改正いたしました後におきまして、その省令に関しましての聴聞を昨年の七月十一日とそれから昨年の十二月の二十日に行なっております。この省令の問題につきましては、当然国会で御審議になり採決になりましたこの法律内容に即した、法律の範囲内におきましての問題を取り扱う問題でございまして、まあおのずから相当こまかい問題になってくるわけでございまして、また同時に、このこまかい問題が実際の問題につきましてはいろいろ疑義を持ってくる場合等もございますので、慎重に関係の者の意見を求めて聴聞会をやっているわけでございます。十分にその意見を取り入れまして、たとえば昨年の十二月の聴聞におきまして、オート・アラームの修理不能の故障を生じたような場合における問題、あるいは既設のオート・アラームに関しまして、受信装置の改正規程に経過期間を置くというようなことにつきましても一、二問題が出たのでございまして、これらにつきましても十分この聴聞会におきまして検討されたわけでございますが、電波監理審議会のほうにおきまして十分そういう意見を取り入れた上、答申書におきまして原案を適当と認めるというようなことが出ておるわけであります。省といたしましては、そのように措置をいたしたわけでございますが、お話のように、こういう実際に担当しております実際の利害関係者の方々から出ました意見等につきましては、聴聞会がそのためにあるものでございますので、十分に考慮の上、それが答申書に出ました場合におきましては、省といたしましてこういうような省令の改正方向にいきたい、こういうふうに考えております。
  39. 横川正市

    横川正市君 電電公社から資料をいただきまして、この条約で、通信士の勤務時間というのは、一人の場合八時間勤務で四段階に断続的に勤務をいたしておりますが、九時から十一時、それから十三時から十五時、十七時から十九時、二十一時から二十三時の、この資料によるところの、現在海岸局の電報の疎通可能数に比べて非常に積滞数が多いわけなんですが、これの対策をどうされているか、お聞きをいたしたい。
  40. 水谷七代

    説明員(水谷七代君) お答え申し上げます。  御提出申し上げました資料の中で、いまお話しのように、時間別の私のほうの短波海岸局の疎通能力、御指摘の時間につきまして見ますと、その一番下が疎通可能数でございまして、一番上にやはり同じ時間別の実際の取り扱い通数状況がございますが、現状におきましては、まだ時間別に見ましても若干の余裕を残しておるような状況でございます。
  41. 横川正市

    横川正市君 現在の取り扱い通数分布、昭和三十九年三月現在で、九時から十時までが二百二十九、実際の疎通が二百九十六で、現状はこういうふうになっておりますが、改正法案どおり執務をされた場合に、取り扱い通数分布というのは、この数字でいきますと、九時から十時までが五百六十七に対して海岸局の疎通可能数は二百九十六、十三時からの分については四百八十六に対して二百九十六、十七時からの分は四百五十一に対して二百九十六、それから二十一時は二百六十一に対して二百九十六ですから、幾らかこれは時間に余裕がありますが、この改正法案どおりに執務をされた場合にこういう結滞を来たすという予測をされておるわけなんですが、この予測に対してどういうふうに対策を立てていらっしゃいますか。
  42. 水谷七代

    説明員(水谷七代君) お答え申し上げます。  前回御説明申し上げました点と若干重複いたしますが、四年後に新しい電波法が全面実施されるまでの通数予測がいまここにあるわけでございまして、これをもとにいたしまして、本年度予算で、銚子、長崎の両無線局の局舎及び設備の増強を進めておりますが、なお要員面につきましても、本年度採用を増員いたしまして、逐次増員していくように国家試験に合格するような訓練を進めております。それからなお、今後四年間のうちに、これらの設備の増強なり要員の増強のほかに、先般この電波法審議をしたときにもうこれは話題にのぼったと思いますが、八時間運用の船の中で、一部の船につきまして、いわゆる喪時間の運用を設定してもらうように電波監理局のほうに上申いたしまして、御措置を願う。あるいは、関係の海運業者のほうにおきましても、事業用通信のでき得る限りの規制をいただいておる。要すればまた外国の無線海岸局を御利用願うというようなこと、あるいは私のほうにおきましても、運用方法を、一括呼び出し方法とかその他の通信方法の改善等を逐次実施してまいりまして、これらの過程におきましての通数の時間別分布状況をよく勘案しながら、なお要すれば設備増強その他の措置を講じまして、この新しい電波法が完全実施された場合におきまして、いまの数字に予測いたしております数字の電報が円滑に疎通するように、いろいろな計画を進めていくように検討を進めているわけでございます。
  43. 横川正市

    横川正市君 いま言ったような状況なので、電波法第五十条三項の適用について、資格別定数というものについて、一級が二名、二級が一名というように、最低基準というようなものが定めらるべきではないか。ことに主要な定期航路に就航する外国航路の船の中の船舶局、あるいは国際航行に従事する船舶局のうちで多量に無線通信を行なうもの、それから気象観測等を行なうための特定な船舶局、それから先ほどちょっと言いました漁業の母船、こういったものは、これはさきに船舶協会、海員組合と船主協会との間で団体交渉の結果協約も結ばれておりますが、法律があるからその法律に従えというのが強いか、それとも現状に即して、あれは最低の基準だから、その最低の基準をある程度上回っておっても、それが適正ならば、妥当な解決方策としてそれをとるか、私はいずれにしてもこれは公社の問題でなければならぬというふうに思うわけでありますが、いろいろ質問をする角度から、非常に単純な質問をいたしましたが、この日本の海外からの通信量というのは、数からいいますと、外国の通信量と比べてみて非常に多いようで、それだけ日本の船がすべての海で仕事をしているということにもなろうかと思いますけれども、そういうような特殊性を勘案して、これらの船舶についての通信士の資格別員数のいわゆる割り当てについては、ここではおそらくそうしますと御回答いただけないと思いますが、検討する価値があると思うのでありますけれども、ひとつこの点のお答えをいただきたいと思います。
  44. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 無線従事者の、特に船舶に乗り組みさすべき通信士の数のことの御質問だと思うのでございますが、ただいまの御質問の中にもございましたように、船舶職員法におきまして、電波法の運用の義務時間、それから無線従事者の操作範囲を定めております操作範囲令に基づく操作範囲等を勘案いたしまして、電波法で定めている資格別にそれぞれその定数を定めておるのでございまして、われわれ電波関係といたしましても、これらの必要性その他につきましては十分船舶局のほうへ連絡はいたしまして、その間に了解の違いのないようにいたす所存ではございまするけれども、これを電波法において規定すべきものでなく、やはり船舶職員法において電波法の精神を入れながらきめるべきものと考えております。
  45. 横川正市

    横川正市君 終わります。
  46. 野上元

    ○野上元君 ちょっと関連質問さしてもらいたいんですが、電波法の改正の場合に、あなたのほうの立場としてはやむを得ないかもしれません。これは船員局といいますか、そちらのほうの所管に属することかもしれませんが、ややないがしろにされておる点があるのは、無線通信士の教育、確保、そういう点について、非常に、何といいますか、無関心ではないかというようなことが言われておるわけです。私が集めた資料によりますと、さき電波法改正案によれば、昭和四十二年八月以降は特定のものを除いては全部一名となってしまうということになるために、船主としては、先を見越して、船舶無線通信士の採用を一切停止してしまっておるというような状況であります。で、本年度は学卒の新人を採用したのはゼロなんです。ところが、昨年四月から本年三月までの間に船舶通信士を離職した者は二百五十数名に達しておるわけです。ほとんどが三十歳未満の青年層で、定員削減による職場不安と労働強化のために海上より去っていく傾向にあるわけでありまして、そういう傾向がここ数年来続いて起っておるわけであります。このために、一部の外航船舶は青年層通信士の払底を来たしてしまっておるという現状であります。船主のほうでは、これは法律ができたんだからということを口実にいたしまして、定員削減や欠員航行をさえも強行しようとしておる、こういう状況にあるわけであります。無線通信士の側から見れば、運輸省の船員行政、そして郵政省の電波行政というものの谷間にはさまってしまって、船舶通信士の需給対策であるとかあるいはまた養成であるとかいう問題についてはどこにもめんどうを見てもらえない、もうみずからがみずからの将来をきめていかなきゃならぬというような、非常にさびしい状態にあるんですが、電波法の改正あるいはまたその他のことは、国際的な比較から見て、逐次今後もやっていかなきゃならぬと思いまするが、そういう面についての配慮がほとんどないのでありますが、それはどこでやるべきなんですか。そういう不安を船舶通信士に与えて、一方どんどん法を改正していくということについては、将来大きな問題が起こるんではないか。したがって、あなた方がねらわれておるような航行の安全を確保することにむしろ障害が起こるような状態になるんではないかというような心配さえもされるのでありまするけれども、そういう問題については、一体どこが主管をし、どこが真剣に考え、無線通信士の問題を考慮してやることになるんですか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  47. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 無線通信士の養成の問題につきましては、電波当局といたしましては、通信士の資格検定を行なっておりますので、十分重大な関心を持っております。昨年の電波法の改正が行なわれまして、通信士がむしろ余るんではないかというふうに予想されたのが、実際におきまして、ただいま御指摘のように、先を見越してと申しますか、一部離職者が出たというようなことは、一部そういうことがあったということを私どもも聞いております。それから、最近無線通信士の学校を卒業した者も、電波機器等のメーカーのほうにも就職をするというようなことから、若干そういうようなものについて不足してくるというようなことも聞いております。われわれといたしましては、もちろんこういうような問題に関しまして無関心ではおられないんでありまして、電波法で定めてございますところの無線通信士の円満なる需給が行なわれるように、運輸省その他と連絡をとり、また文部省等のほうとも連絡をとりながら進めていかなければならない問題と考えております。電波当局といたしましては、直接には資格の検定という問題におきまして、臨時試験その他を行なうというようなことで、資格の級別の問題に対して対処をするということを考えております。  全体的に労務上の問題をどこが主管するかというお尋ねにつきましては、電波の事務当局としてはちょっと申し上げかねるんでございますが、船舶職員法によりまして船舶局がこれを所管しておりますので、その辺が中心になってやるべきことと思います。
  48. 野上元

    ○野上元君 私はあなたの答弁はわからぬことはありませんが、しかし、かくあらねばならぬということは、これはだれでも答弁するんですね。問題は、どうやったかということが問題なんです。あなたのほうでは、電波法を改正すれば当然船員法のほうも改正されてくるということになるわけですね。この前のオート・アラームの問題について電波法改正をした場合には、当然船舶職員法が改正になって、そうして無線通信士の定員が削減されるという条件をつくり上げられたわけなんです。したがって、大問題になって、非常にこの国会でもめたことは、御承知のとおりなんです。今回の問題についても、やはりそういう問題も若干は含まれつつあるというような気がするんです。たとえば、いままで無線電信でやっておったものを無線電話に切りかえてもよろしいということになるとするならば、無線通信士じゃなくて、今度は電話のほうの要員に切りかわってくるというようなことが十分考えられるわけですね。したがって、あなたのほうで法を改正されることは、直接無線通信士の生活に大きな影響を持っておると私は思うんです。したがって、運輸省と折衝したりあるいは気象庁と折衝したりということはわかりますよ。わかりますが、はたしてそういうことをやられておりますか。その通信士のいわゆる確保、需給対策あるいは養成等、その他この法案を改正することによってどれだけの通信士が減り、あるいはふえ、そうしてそれをどう確保していくかというような問題について考慮されたことがありますか。
  49. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) この問題につきましては、関係者の間におきまして海上無線懇談会というようなものも組織されておりまして、この問題について意見の交換を行なっております。この懇談会には、運輸省、海上保安庁、気象庁、そのほか、郵政省はもちろんでございますが、電信電話公社、あるいは船主協会、海員組合、あるいは無線通信士協会というような関係の者が集まっておりまして、船舶通信士の需給という問題につきまして特に懇談を重ねておるわけでございます。また、私たちのほうは、そういうような中から出てまいりますところの問題につきまして、先ほども申しましたように、検定等につきましては、臨時試験等を行ないまして、直ちにこれの処置をしております。それから操作範囲令その他につきましても、これはわれわれのほうの所管でございますので、こういうものにつきましても、十分に考慮を加えながら検討を加えてまいりたいというふうに考えております。それから、私たちといたしましては、この無線通信士の認定に必要な学科試験等の問題につきましては、これを学校の教科内容によって認定いたしまして、一部の試験を免除するということがわれわれの仕事になっておりますので、そういう関係につきましても、需給状態を見ながら、それに対しての認定の拡大というようなことを行なっております。私たちの関係しております点につきましては、以上のようなことで、全体の需給の大きな問題を議論するかたわら、それに沿うようにいろいろの処置をしているわけでございます。
  50. 野上元

    ○野上元君 あなたのほうでは、需給関係を考慮しながら試験問題等についても考慮しているのだと言われるけれども、私が聞いております資料によりますと、本年度においては採用がゼロだというのですね、実際には。船主協会のほうで採用した者はゼロだという、こういう数字が出ている。これは私は私なりのルートでこの資料を集めたのですから、これが正確であるかどうかはわかりませんが、ゼロだということになると、あなたのほうでいくら養成してみても、採用しなければどこにも行くところがないわけですね。そういうことがあるわけで、したがって、私は、あなたがここで形式的に答弁をされても、納得できないわけです。そういう事実があるのです。だから、その事実をもとにして、あなた方のほうとしては無線通信士の生活まで——これはやはり非常に重要な問題なんですね。航行の安全が重要と同様に、人の一生の問題ですから、これは重要な問題なので、今後あなたのほうとしては十分にひとつ具体的に検討してもらい、無線通信士協会の言い分もよく聞いてやってもらって、法改正にあたっては特別の考慮を払ってもらいたいと思うんです。  最後に具体的に聞きますが、この法案の正改要点のほうは、私から申し上げるまでもなく、無線施設の強制範囲の拡大であるとか、あるいは船舶無線電信局の聴守義務の強化であるとかいうことがこの内容なんですが、これによって無線通信士の具体的な増員というのは、どれくらい必要なんですか。
  51. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) この関係につきましては、これに該当する船種が非常に少ない関係がございまして、ほとんど増員を必要としないというふうに考えております。
  52. 野上元

    ○野上元君 これ以上きょうはやりません。やりませんが、その問題についても、ほとんど必要としないという程度お答えなんですが、これは詳細に私がお聞きしていけば、その点は明らかになると思いますが、そういうものの考え方自体が、私はあなた方が具体的に無線通信士のことを考えておらないのだという一つの心配になるわけで、将来そういう点については十分に考慮して、無線通信士の諸君の不安を取り除いてやることによって、優秀な人たちがどんどん海上に就職できるような道を考慮してもらいたいと考えます。これは私の特に希望ですが、答弁は必ずしも必要ありませんけれども、あなたのほうの何か御意見があれば、聞かしてもらいたいと思います。
  53. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) われわれといたしましては、この電波法の改正等の問題におきましても、またこれに関します省令その他の問題につきましても、無線通信士というものの生活上の問題、労務上の問題というようなものにつきましては十分な配慮の上、円滑なる措置——たとえば、この法律によりましても経過規定その他がございますが、そういうようなことを十分考えまして今後処置してまいりたいと、かように考えております。
  54. 白木義一郎

    白木義一郎君 一点だけ確かめておきたいと思います。これは前に質疑が行なわれて明らかになっていることかとも思いますが、建築主のほうの立場として、無線通信障害の原因となるような建築物を建てたいという場合に、三十一メートルまではそのまま建てていいわけですね。
  55. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  56. 白木義一郎

    白木義一郎君 ところが、その場合に、二年ないし三年間の規定があるわけですが、その期間が過ぎた場合は、協議がととのわなくても、そのまま建築を続けていいわけですか、この点だけはっきりしておきたいと思います。
  57. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 御指摘のとおり、二年ないし三年の経過規定の期間が過ぎましたならば、協議がととのわなくても、その障害となる部分の建築は差しつかえございません。
  58. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。  暫時休憩いたします。    午後一時三十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕