○国務大臣(古池信三君) ただいま御指摘のように、やはりこの問題は、根本論としましては、私有財産権と公共福祉によるこれが制限というものをどの
程度に調整するかということに問題はあろうと思っております。
そこで、
建築基準法は、私も非常に詳しくは通じておりませんが、昭和二十五年に制定され、自来何回かの部分的な修正があったようでございますが、従来三十一メートルという一応の基準が置かれて、これによって
建築基準法による国の監督あるいは保護がなされてきたわけでございます。その間において
電波の
通信も非常な躍進を遂げてきたのでありまするけれども、今日までのところでは、もちろん
支障は皆無とは申しませんけれども、著しい
支障があって非常に困ったという
事例は比較的少なかったように承知をしております。そこで、従来
建築基準法によって認められておったこの三十一メートルという高さを一応の目安として私どもも考えていくということは、これはやはり行政上の観点から自然の行き方であろうと思っておるのであります。しかしながら、今回
建築基準法の
改正によりまして、さらに
容積地区が設けられて、ここにおいては三十一メートル以上の高層の
建築が可能になってきたと、こうなりますると、
電波通信の上においての
支障が非常に増大をするであろうということは当然予測されるわけでありまするので、この
機会に今回御
提案しておりまするような
改正をはかったわけであります。
〔
委員長退席、
理事松平
勇雄君着席〕
しかしながら、この
改正ではたして十分であるかどうか、手ぬるいではないか、こういう御
意見も私は確かにごもっともな点があると思うのであります。もっと強い制限を加えて、あるいは
建築自体も、この
電波伝搬上の
障害になるものは
建築を禁止するくらいの
規定をしてもいいのではないかという所論も一応私はできるかと思います。しかしながら、それはあくまでこの
電波による
通信ということを主眼に置いて、その立場からの立論でございまして、今日の社会生活の全般から考えまして、はたしてそれが妥当であるかどうかという問題が非常にむずかしい問題でありますけれども、立法論として十分に考えていかなくちゃならない問題であろうとこう思っております。それにはやはり、社会的な
一般の通念と申しましょうか、あるいは
法律思想における公共の福祉というものの重要性がさらに一段と進んでいく場合の考え方というようなものもここで十分考慮に入れていかなければならないのではなかろうかと、こう思っておりまするので、現時点においては、まず、不満足ではありまするけれども、この
程度の調整しかできないのではなかろうか、こんなふうに考えております。
将来にわたりましては、私は、全体の趨勢としては、個人の財産権というものは公共の福祉のためにますます制限されるという趨勢にありまするから、したがって、このマイクロ
通信等の重要性もいよいよ増大していくにつれて、
建築基準法等における、それによる制限ももっと強化されてよいのではないだろうか、こんなように考えております。
お答えになったかどうか知りませんけれども、いまの時点においてはまずこの
程度でがまんするよりしかたがなかろうと思っております。