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1964-05-19 第46回国会 参議院 逓信委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)    午前十時二十八分開会    ———————————   委員の異動  五月十八日   辞任      補欠選任    須藤 五郎君  野坂 参三君    ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            郡  祐一君            白井  勇君            野田 俊作君            最上 英子君            安井  謙君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房    長       武田  功君    郵政省電波監    理局長     宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   法制局側    第 四 部 長 村田 育二君   説明員    郵政省電波監理    局無線通信部長 藤木  栄君    郵政省電波監理    局法規課長   高田 希一君    日本電信電話公    社総務理事   平山  温君    日本電信電話公    社施設局長   橋本 一郎君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出)    ———————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案の審査を進めます。  質疑のある方は、順次、御発言願います。
  3. 永岡光治

    永岡光治君 電波法の一部を改正する法律案条文内容について、質問をいたしたいと思いますが、そのまず前提になるわけでありますが、これは結局、理由を見ますと、国際条約発効するので、それに対する準備をしなければならぬという意味での提案のようでございますが、これはいつ発効になるのでございますか。  それからもう一つは、この国際条約批准したわけでありますが、その国際条約のねらいと申しますか、それはどういうところにあるわけでありますか。
  4. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 新しい条約発効はいつごろかという御質問に対して初めにお答えいたしますと、新しい条約発効の期日は、その条約の十一条に規定がございまして、それぞれ百万総トン以上の船舶を有します国七カ国を含む十五カ国以上の国が新条約の受諾を寄託した日の後十二カ月を経過した時からという定めになっておりまして、少し前の日付でおそれ入りますが、三月二十七日現在、百万総トン以上の船舶を有する国六カ国を含む十五カ国が受諾しております。百万総トン以上の船舶を有する国があと一カ国追加されれば、その発効要件は満足することになります。現在もこの状態がなお続いております。したがいまして、新条約発効は、明年の春以後——十二カ月という期間がございますので、明年の春以後、いまではもう夏以後と申しますか、明年度四、五月以後になるものと考えてよろしいかと思います。  それから第二の御質問の、新しい条約改正の要旨ということでございますが、この点についてお答えいたしますと、もともと、この海上人命安全条約と申しますものは、海上におきましての人命の安全を確保するということを目的といたしまして、船の構造であるとか、積み荷であるとか、無線局条件、そういうこと、あるいは船が危険に瀕した場合におけるところの措置というようなものを定めてあるわけでございますが、そのうちで、従前の条約と異なります点を申し上げますと、無線設備備えつけを要する貨物船範囲が拡大されまして、その下の限界が五百トンから三百トンに変更されたことでございます。これが第一点でございます。  それから二といたしまして、無線設備備えつけを要する船舶局は、千六百トン未満貨物船においても常時聴守を必要とするということになった点が第二点でございます。  それから第三点といたしまして、無線電信室条件といたしまして、新たに十分な大きさがあるということ、かつ適当な通風を必要とするということがつけ加えられております。  それから四といたしまして、無線設備は水や温度の影響から保護された場所に設けなければならないということが規定されております。  それから警急自動受信機技術的条件が若干強化されたこと。  以上が新条約改正点でございます。
  5. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、総トン数百万トン以上の国が十五カ国以上といいますと、日本批准をして初めて十五カ国になるわけですか。いままでは十四カ国ですか。もうすでに条件はあるわけですか。
  6. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 百万総トン以上の船舶を有する国七カ国を含む十五カ国ということになっておりまして、六カ国を含む十五カ国が受諾しておりますが、その条件としての七カ国にまだ一国足りないわけでございます。その六カ国といいますのは、ノルウェー、フランス、米国、スペイン、ギリシア、日本ということになっております。
  7. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、日本批准をすると、一応その条件が満たされることになるわけですね。
  8. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 日本は三十八年の四月二十三日に批准書寄託を完了いたしておりますが、もう一国、これはイギリスでございますが、イギリス寄託を完了すれば効力が発生する、それから一カ年ということであります。
  9. 永岡光治

    永岡光治君 わかりました。そうすると、イギリスですかね、予定されておる国は。それが批准をして初めて満たされる。それから寄託をして十二九月ということですから、少なくとも来年の五月までには発効しない、こういうことですと、まだ一年の余裕はあると、こういうことですね。条件はわかりました。  そこで、いまの制定された、こういうふうにしなければならぬということはわかったのですが、なぜそういうように改正されたといいますか、その条約がおそらく改正されたのじゃないかと思いますけれども、実際上こういう弊害があった、こういうことがあった、たとえば五百トンを三百トンにしなければならぬという具体的な例があって、そういう支障のいくようなものがあってそういうことになったのかどうか、その点、わかっておれば、ひとつ知らしていただきたいと思います。つまり、なぜそういう条約改正するに至ったか。その必要に迫られた事実ですね。どういう支障があってこういう条約になったのか。いま御説明になったのは、条約内容を御説明になったわけだけれども、その内容に至った経過ですね。たとえば五百トンを四百トンでいけなかったのかどうか。そういうなにがあったのじゃないかと思うのですけれども、そういうものはなかったのですか。
  10. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 無線設備備えつけを要する船の範囲と申しますものは、要するに、船の安全性を保障する意味合いにおきまして、無線設備があればもちろんいいわけでございますけれども、それの経済性の問題もございますので、安全性経済性というようなことを両者勘案いたしまして考えられるべきものと思っております。現実に、この五百トンが三百トンに変更されましたときに、どういう具体例があったか私つまびらかにしておりませんけれども、ただいま申し上げましたようなことから、無線設備並びにこれに要しますいろいろな条件というようなことが経済的に引き合ってくる、同時に安全性を高めなければならない、こういうようなことから、五百トンが三百トンに変わったということに考えております。
  11. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、日本は、この会議には批准をした以上加盟をしておるはずだと思うのですけれども、日本としてそれに参加しておったときの経緯はわかりませんか。
  12. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この問題につきましては、運輸省所管船舶安全法によりますもので、運輸省のほうが主管庁といたしまして国際会議に出ているわけでございまして、私のほうも関係官をその一員といたしまして派遣いたしておりまするが、国際会議におきましては、具体的なこういう事例とか、そういうようなことはなかったように聞いております。
  13. 永岡光治

    永岡光治君 それじゃ、その点については、これ以上追及いたしましても、資料がなければ——適当な機会でもけっこうでございますので、あとでわかったら教えていただきたいと思います。  それから、その法文の冒頭ですか、「第三十三条第三項ただし書中」云々のその中で——条文をお読みでしたら四行目のところですね。四行目のところに「(以上の各規定を同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)」ということになっておりますが、これはどういう意味ですか。——わからなければ、私の質問がちょっとばく然としてわからないとすれば、「政令において準用する場合」——どういうことを考えておいでになるのか。それはたしかあるはずだったと思うのですが。
  14. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 船舶安全法の第十四条に「日本船舶ニザル船舶ニシテ左ニ掲グルモノニハ政令以テ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用ス」ということに相なっておりまして、それは「本法施行地ノ各港間又ハ湖川港湾ノミ航行スル船舶」、それから「日本船舶所有シ得ル者借入レタル船舶ニシテ本法施行地ト其ノ他ノ地トノ間ノ航行ニ従事スルモノ」、三といたしまして、「前各号ノ外本法施行地ニル船舶」ということに相なっているわけでございまして、それらをさすものでございます。
  15. 永岡光治

    永岡光治君 次に、「(聴守義務)」のところ、第六十五条、非常にむずかしく書いてあるわけですが、平たく言うと、どういうことになるわけですか。
  16. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまの御質問は、第六十五条の改正の趣旨と、それから現行規定との差異についての御質問であろうと存じまするが、この点につきましてお答えいたしますると、国際航海に従事しております船舶義務船舶局は、漁船の船舶局を除きまして、新条約によりまして、国際遭難周波数で常時聴守を要することと相なりまするので、これを規定しようとするものでございます。  これに伴いまして、現在あります、現行の第一項、第二項、第五項及び第六項を整理いたしまして改正案の第一項といたしたのでございます。現行規定との間の実質的な差異は、新たに三百トン以上千六百トン未満貨物船船舶局聴守義務を常時とすることでございまして、先ほど私の御説明いたしましたように、三百トンまで低減されたことと、千六百トン未満聴守義務を常時必要とするということとあわせまして整備いたしたわけでございます。  第二の点は、聴守義務免除等につきまして、郵政省令で定める——郵政省令が定めたものは聴守義務を一部免除される、そういうことに定めたのでございます。  条文は読みにくくなっておりますが、要点はそういうことでございます。
  17. 永岡光治

    永岡光治君 いまの御説明では、具体的によくわからないのですが、これを見ますと、「次の表の上欄に掲げる無線局でそれぞれ同表の下欄に掲げる周波数の指定を受けているものは、同表の一の項に掲げる無線局にあっては常時、同表の二の項及び四の項に掲げる無線局にあってはその運用義務時間(無線局運用しなければならない時間をいう。)」、ですから、「その運用義務時間中、同表の三の項に掲げる無線局にあっては二時間をこえない範囲内において郵政省令で定める時間中、その無線局に係る同表の下欄に掲げる周波数聴守しなければならない。」——えらくむずかしくなっているけれども、これはどういうことなんですかね。常時聞かなければならぬ。それから次の、「二時間をこえない範囲内」のものとあるのですね。そういうことですか。その二つに分かれるわけですかね、これは。それはあまりよくわからないので、えらく何を言っているのだろうかと思って——しろうとですから、わかりやすくものを言ってくれないかと、こういうことでございます。
  18. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 運用義務時間と申しますものは、無線局運用しなければならない時間でございますが、その中に聴守をしていなければならない義務の時間があるわけでございます。それで、この六十五条の条文の以下に書いてございます、無線局とその周波数というのがございまするが、それの第一の項に属しまするものが二十四時間でございまして、その次の二のものが義務時間、それから第三は二時間、それから第四は義務時間、そういう時間、その周波数でもって聞かなければならない、こういうことが規定してあるわけでございます。
  19. 永岡光治

    永岡光治君 わかりました。  同じく六十五条の二項に「第一沈黙時間及び第二沈黙時間」と書いてあるのですが、この「沈黙時間」とはどういうことなんですか。これは法律のどこに書いてありますか。
  20. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波法の第六十四条にこの規定がございます。
  21. 永岡光治

    永岡光治君 「第一沈黙時間」、「第二沈黙時間」とはどういうことですか。法文を持っておりませんのであれですが、六十四条の規定の「第一沈黙時間」、「第二沈黙時間」というのはどういうことをいうのですか。
  22. 藤木栄

    説明員藤木栄君) お答え申し上げます。  第六十四条に「沈黙時間」ということがございまして、「海岸局及び船舶局は、中央標準時による毎時の十五分過ぎから十八分過ぎまで及び四十五分過ぎから四十八分過ぎまで」、これを「第一沈黙時間」ということでございますけれども、それは、いわゆる「四百八十五キロサイクルから五百十五キロサイクルまで」——普通五百キロサイクルと申しておりますが、この「周波数電波を発射してはならない。」、これが一つでございます。「但し、遭難通信若しくは緊急通信を行う場合又は第一沈黙時間の最後の二十秒間に安全信号送信する場合は、この限りでない。」ということでございます。  それから「第二沈黙時間」と申しますのは、第二項に書かれてありますが、「海岸局及び船舶局は、毎時六分をこえない範囲内で郵政省令で定める時間」、これが「第二沈黙時間」でございますけれども、これは「前項の周波数以外の電波であって郵政省令で定めるものを発射してはならない。」ということになっております。
  23. 永岡光治

    永岡光治君 それでは次に、第百二条の二ですか、これを読みますと、ちょっとしろうとわかりのしにくい字句があるわけですが、平たく言えばどういうことになるかということをお尋ねするわけですが、「郵政大臣は、八百九十メガサイクル以上の周波数電波による特定固定地点間の無線通信で次の各号の一に該当するものの電波伝搬路における当該電波伝搬障害を防止して、重要無線通信確保を図るため必要があるときは、その必要の範囲内において、当該電波伝搬路地上投影面に沿い、その中心線と認められる線の両側それぞれ百メートル以内の区域伝搬障害防止区域として指定することができる。」、非常にむずかしいと思うのですね。これは図面でかくとどういうことになるのか。これはおそらく告示しなければならないと思います。しろうとわかりのするように、これは説明していただきたいと思うのですが。
  24. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) これはまず「八百九十メガサイクル以上の周波数電波」というものを第一に書いてございまするが、これは、この程度周波数以上の電波になりまするというと、電波が大体直進をいたすようになりまして、それに立ちはだかる建設物工作物等によりまして電波伝搬が妨害を受けることになりまして、通信の疎通を十分ならしめないようなおそれがあるわけでございます。それで八百九十という数字をとりましたのは、そこに一つ国際条約によりますところの電波の使い方が限られておりますので、そこをとりまして八百九十という数字にいたしたのでございます。そういうような電波特定地点間、いわゆる放送でございませんで、A点B点間という特定地点間に固定通信をしております通信のうち、左の各号に掲げますような重要通信だけに限りまして——ということは、これでない一般電波自分の業務の用に供する目的をもって免許を受けている一般事業体をさすわけでございますので、そういうものを除きました重要通信だけに限りまして、この電波伝搬路におきましての「電波伝搬障害を防止して、重要無線通信確保を図るため必要があるときは、」いま申しましたように、そういう伝搬路の間に建築物もしくは工作物等が建ちまして、それが電波伝搬障害を与えることを防止する目的をもちまして、このところは電波が通っているぞということをよくはっきりとあらかじめ限定して示しておかなければならないわけでございます。その地域を指定しようということでございます。「その必要の範囲内において、」といいますものは、この電波伝搬路が非常に山間僻地等を通過していて、まずそういうところにそういう伝搬障害を起こすような建物が建つようなおそれがないようなところは除きまして、そういうおそれのある、どうしても障害を防止する必要のある、そういう範囲内におきまして「当該電波伝搬路地上投影面に沿い、」ということは、送信アンテナから受信アンテナを連ねます線、その線を地上投影いたしまして、そうすると一つの線ができまするけれども、その線に沿いまして、その線を中心線と考えまして、その中心線両側にそれぞれ最大百メートル、これは電波伝搬が、ある幅を持ちますので、その幅を持たせなければならないわけでございますが、さりといって、あまりに大きな幅を持たせるということも、無用に建築物を押えるということに相なりますので、百メートル以内ということにいたしまするならば、大体その目的を達しまするので、百メートル以内の区域地図上に、一万分の一ないし二万五千分の一程度地図を考えてございまするが、そういう地図の上に、中心線とその両側百メートル以内の区域をはっきりとかきまして、これを伝搬障害防止区域といたしまして郵政大臣が指定するということに相なるわけでございます。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、このマイクロウェーブ二つありまして、その線が出るわけですね、その電波が。それが実態になるわけですね、この形の上では。その中の中心から百メートル、それをずっとおろしたところまでと、こういう意味ですね。
  26. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 送信アンテナまん中受信アンテナまん中を連ねます線を地上投影いたしまして、そうすると、線ができますが、線の両側に百メートルを地図上にかくということでございます。
  27. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、一本の直線ですね。直線というか、直線でいけば一つの線ですね。幾何学上でいう線ですか。その線の投影から百メートルと、こういうのですね。  あと質問するとだんだんわかってくると思うのですが、そこで、その第一項の第一号からずっと六号まで規定をいたしております。この通信だけは確保したいということだろうと思うのですが、その三の「人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線通信」、これは警察通信ということですか。何か、警察通信以外に該当するものがありますか。
  28. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 警察庁、それから防衛庁、それから消防用無線というようなものを考えております。
  29. 永岡光治

    永岡光治君 その第百二条の二の第二項のここに告示義務があるわけですね、郵政省にも。これは具体的にどういうように手続をされるわけですか。建築する人、あるいは、これを見ますと、通信設備を持つ人、両方にこれは関係あると思うのですが、どういうような方法で周知徹底をはかるのか。それには、あとずっと書いてあるようですが、これを端的に言って、建築業者がすぐわかりやすいように説明していただきたいと思います。
  30. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 伝搬障害防止区域が指定されまして、それの告示をする。その告示によりまして、このところには建築物を建てなければならないという場合、建築物を建てる場合には、この法令に定めるいろいろの届け出をしなければならないということに相なるわけでございまして、その告示につきましては、建設省のほうとも連絡の上、少なくともその伝搬路の、伝搬障害防止区域の中の人たちがこれを十分知っているようにしなければならないものと思うわけでございまして、地図上において、先ほども申しました一万分の一もしくは二万五千分の一の地図の上にこれを明記いたしまして、そうして、これを郵政省関係の各地方関係機関事務所あるいは地方公共団体等事務所というようなところにもこれを備えつけまして、そうして一般の従覧に供することによりまして周知徹底をはかる、そういうふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
  31. 永岡光治

    永岡光治君 第百二条の三の第一項の第一号、「その最南部の地表からの高さが三十一メートルをこえる建築物その他の工作物——工作物についてずっと注が書いてあります、「の新築」、こういうことになっているわけですが、工作物の注釈がずっと書いてありますね。要するに、とにかく地上からはかって三十一メートル以上あれば一応警戒しなければならぬと、こういうことに理解していいわけですか。
  32. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 工作物の上に工作物がまた建築されるような場合まで考えまして、要するに、その一番上の高さが三十一メートルをこえる場合——先生の御理解のとおりでございます。
  33. 永岡光治

    永岡光治君 そうですか。そこで、これを見ますと、この電波法の一部改正法律案提案理由説明資料、その刷りものの第二点、「第二点といたしましては、昨年の建築基準法の一部改正によりまして、新たに容積地区の制度が設けられ、この地区内では、三十一メートルという従来の高さの制限を受けない高層建築物建築が予想されますので、この機会に、高層建築物その他の工作物によるマイクロ」云々と、こう書いてあるわけですね。そこで、この前の建設委員会との合同審査のときに、郵政省は、こういう建築基準法があるのを知らずしてこういうものを出したのか——従来あったのにですね。いまあらためてそれに気がついてこういうものを出したのかと、こういうようなおしかりをたしか受けたはずだと思うんですね。もっと注意していれば、前からそういう準備はできておったはずなのに、ということだったと思うんですが、逆に、今度はこれを見ますと、お話によると、電波というものはずっと前からあるわけでございます、マイクロウエーブですね。にもかかわらず、建設関係のほうは、こういう法規改正をする以上は、当然郵政大臣意見を聞いて私は改正しなきゃならぬと思うんですね。そういう意見を聞かれたことがあるのかないのか。これによりますと、昨年建築基準法の一部が改正になったと、こうある。昨年の基準法改正のときに、郵政大臣郵政省か、いずれにしても、郵政当局にやっぱり建設関係としては相談あってしかるべきだと私は思うんですね。自分のほうはかってにやっておいて、今度は郵政省がやろうとすると、省令ではいかぬから政令にしてくれということになると、問題になると思うんですが、その辺の事情はどうなっているんですか。
  34. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この点につきましては、建設省でこの改正をいたしますときに、まあ電波というようなものは目にも見えませんし、そういうような事例を生ずるであろう、こういう高い建築物をつくるようになりましたならば、それによりまして電波障害がひんぴんと起こるであろうというようなことを、建設省といたしましては予想しなかったのではなかろうかと思います。それによりまして、法律提案されるまでに十分な連絡がとれなかったというような経緯があったやに聞いております。しかしながら、国会の審議の過程におきまして、そういうような場合につきましては、今後、建設省郵政省と十分に連絡をとってこれが防止措置を講じていきたい、こういうようなことが、前国会か、その前の国会におきまして御論議があったように聞いております。
  35. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、一応郵政には、正規であるかどうか知りませんが、正規にはもとより御相談はなかったようないまの御説明であるわけですね。ところで今度は、電波のほうは電波関係で、建築の状況を知らなかった。両方知らないままに二つの問題がいま起きているわけですな。一方は、かってに建築基準法改正したために、電波障害が起きてくる。電波のほうは、それを今度は制限しようとすると、建築のほうは、なぜ基準法があったのを知らないかと、こう切り返されてくる。閣内で何を審議しているのか、私は少し疑問を持つわけです。せっかく関係閣僚会議あり、事務当局の連絡会議等があるはずだと思うんですが、それがないままに、この前の建設委員会との合同委員会のごとく、郵政省はなぜ建築基準法があることを知らなかったのか、そういうことを百も承知で、なぜこういう、しかも省令でやろうとするのかと、たいへん文句を言われる。郵政相は平身低頭して、いやまことに申しわけなかった——。どうも私は、そういうことになると、この委員会がぶざまなかっこうになってしまっておると思うんですけれども、これはひとつ大いに改めてもらわなければいけないと思うのですけれども、その意味では、今度は逓信委員会のほうから建設委員会合同審査の申し入れをして、おまえのほうはしからぬじゃないかといって文句を言わなければならぬ筋合いじゃないかと思うのですが、これは大臣、どういうふうにお考えですか。ちょっとこれはおかしいと思うのですが、この前の委員会であなたえらいしかられて……。これを見ると、逆に向こうが、電波障害があることを承知の上で、電波は目に見えないものだから支障がないということでなしに、十分そのときに郵政省に聞かなければならなかったと思うんですね。昨年の四月でしたから、古池郵政大臣のときでなかったと言われればそれまでですが、これは閣内の意思統一の問題としてやはり問題があると思うのですが。
  36. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ただいま御質問がありましたから、私は率直に申し上げたいと存じます。もとより法律を制定するということは、これは何省というその主管省だけの責任ではなく、その提案につきましては、政府全体の責任でございます。したがって、その立案に際しましては、関係各省は十分に事務的に連絡をとりまして、万遺漏のない措置を講ずべきであることは、申し上げるまでもないと存じます。昨年、建築基準法の一部改正の行なわれました際に、あとから伺ってみますと、建設省の事務当局から当方の事務当局に対しまして十分な連絡があったとは思えない節がございます。しかしながら、その法律は事務次官会議において審議をし、さらに閣議に付議して決定を見るわけでございまするから、郵政省は全然その法律の立案については知らなかったと申し上げることはできないわけでございます。この辺は率直に申し上げました次第でございまするが、さように御了承をいただきたいと存じます。なお、今後とも、十分に関係各省の間は連絡を密にいたすことは絶対に必要であると考えております。  さらに、今回、電波法の一部改正の立案に際しましては、さようなことのないようにという考えから、当省の事務当局はあらかじめ建設省の事務当局に、この内容について十分相談をいたしまして立案をいたした次第でございまして、この内容建設省事務当局は了承をし、さらに事務次官会議あるいは閣議を通過した、こういう次第でございまするので、今回の措置については手落ちはないものと、私どもとして考えておる次第でございます。
  37. 永岡光治

    永岡光治君 将来十分連絡をとっていただきた幅と思うのでございますが、そこで、これには、いろいろ協議しろとか、そういう障害のある場合は、建築主あるいは請負業者と協議しろとなっておりますが、そうして違反の場合の措置等も考えておりますけれども、言うことを聞かなかった場合には、結局、二年間ないし三年間の猶予期間があるだけですね。それであっても、なおかつ聞かない、その場合にはどうなるのですか。私はやっぱり、ここが一番問題だと思うんです。スムースに聞く場合はそう問題ないと思うんです。聞かなかった場合に、これは刑罰規定というものは何もないわけですね。どうされるわけですか。
  38. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 建築主と免許人との間におきまして協議をいたしまして、その協議の過程におきまして、免許人のほうが無線伝搬路を変更する措置その他をする場合もございましょうし、場合によりましては、建築主のほうがその建築を変更いたしまして伝搬路障害を来たさないようにする措置を講ずることもあろうかと思うのでございます。しかし、いずれにいたしましても、一般の場合二年、公衆通信の場合の三年の期間を経過いたしましたときには、その障害となる部分の建築を続けることができることに相なっておりますので、そのときは、建築は進むわけでございます。したがいまして、免許人のほうといたしましては、この二年あるいは三年という期間のうちに必要な措置を講じなければならない、こういうような法律のたてまえになっております。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 あまり勉強していないので申しわけないのですが、期間を経てもおれは絶対言うことを聞かぬ、郵政省がそう言っても予定どおりやるんだといった場合にはどうなるんですか。
  40. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのときは建ててよろしいわけでございます。
  41. 永岡光治

    永岡光治君 その期間内に強引に建てる——若干の罰金か何かあるわけですか。
  42. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その期間のうちに建てる場合におきましては、工事の中止命令を出すことができます。
  43. 永岡光治

    永岡光治君 私の場合は、言うことを聞かないで、どんどん建ててしまう、その場合に刑罰があるわけでしょう、若干の罰があるわけですね。そんなものは平気だ、そんなものはたいした金額じゃないということでどんどん建ててしまったら、したがって、それは刑罰が少し軽いのじゃないかということにもなりかねないのですね。その場合はどうするのですか。
  44. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先ほどの説明がちょっと違っていたかと思いますので、訂正しながら申し上げますが、この場合、二年もしくは三年以内に協議整わないうちに建築をいたしましたような場合には、罰金を科することに相なるわけでございます。届け出をしないで建築をした場合におきまして、建築の中止命令を出すことができるのでございます。ただいまのお尋ねの、そういうような罰金程度でありました場合には、罰金を払っても建てたほうが得じゃないかというような御質問であったかと思うのでございますけれども、建築主のほうにも十分電波の公共性も理解してもらいまして、免許人との間におきまして十分な打ち合わせ、協議をしてもらう、まあ、こういうふうにいたさざるを得ないわけでございます。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 私は、条文でどの規定に違反した場合にはどの程度の金額になるということがよく具体的にわかりませんけれども、これは罰則規定をずっと見ますと、一年の懲役または五万円というのが最高だと思うのですね。五万円くらいならば平気で、私は建築業者は払うと思うのですね、よろしゅうございます、五万円くらいでかんべんしてくれるならばけっこうですと。結局、実効があがらないおそれがありはしないか。それが一つ。  もう一つは、この前の合同審査の場合でしたかね、結局、経路を変える設備をするのだ、三年後には。それはどうなるんですか。その場合は、電波を出す施設を持っているほうの負担になるんですか、建物を持っている人のほうの負担になるんですか、どっちの負担になるんですか。
  46. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 初めの前段の御質問でございますが、罰金が少ないというようなお話でございましたけれども、まあ罰金は何度でもかけられるわけでございまして、必ずしも一度だけではないんで、そこら辺は法の適用かと思っております。  それから二年ないし三年の間に、少なくとも、それが経過いたしますと、建物が建って、伝搬障害になるわけですから、免許人といたしましては、通路の変更をいたさなければならないわけでございますが、そういう場合におきましての費用の負担の点でございますが、最終的には、と申しますか、一般的には免許人のほうが負担しなければならないということに相なるかと存じますけれども、たとえば二年間は建築主のほうで待てない、もっと早く一年もしくは半年くらいで伝搬路のほうを変えてもらいたい、こういうような要求がもし建築主の側にありました場合には、建築主のほうからその費用を逆に免許人のほうへ出そう、こういうような協議の整い方もあろうかと思います。一般的に申しまして、どちらか片方というようなふうにならない、そこにやはり協議の幅というものがあるかと思うのでございます。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 私はあまり経路のことをよく知らないんですけれども、何回もやはり罰金を取るんですか、命令のつど。大体そういう解釈ですか。
  48. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  49. 永岡光治

    永岡光治君 一応私の質問はこの程度で終わります。
  50. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) いまの御質問に関連をいたしまして、ちょっと私の考えを申し上げて御参考に供したいと思うんですが、確かに罰則が軽いような印象を受けるのでありますけれども、この罰則という問題は、やはり他の各法律に違反した場合の罰則との間の均衡というものをはからなければならない、こういう一つの原則がありますので、この電波法のみにあまり重い罰則をつけるということも非常に困難な事情にあるということは御了承をいただけると思います。したがって、やはり私どもとしては、罰則による、たとえば罰金の額の多寡というようなことよりも、むしろ、法に違反する、違法行為をするということがやはり良心に非常によくないことではないか、こういうふうな気持ちでひとつ処してもらいたいというのが希望でございます。確かに、五万円程度の罰金であれば、むしろ罰金を払ってでも工事を早くしたほうが得であるということは、まさにそのとおりでありまするけれども、それだからといって、罰金を非常に高くきめるということは、現在の法制のもとにおいては非常に困難であるということを申し上げたいと思います。  それからもう一点でありまするが、要するに、これは基本的に立法論として一番大切な問題ではなかろうかと考えておるのは、所有権の効力と公共の福祉による使用権との間の調整をいかにしてはかるかという問題、これが根本的に一番重要な問題であろうかと思います。今日の一般法律思想から申しますと、大体公共の福祉によって制限をし得る程度はこの程度であろう、ということが一般の定説であるように伺っております。あるいは、もっと強く公共の福祉というものを打ち出して、所有権の制限を一そう重くして、一定の制限区域においては高層の建築をできないようにすべきであるというような強い意見もないことはありませんけれども、この段階においては、それは少しひど過ぎはしないかと、こういうような考えがあるようでありまして、政府部内におきましても、法制局その他と協議をいたしました結果、まずこの程度にということで落ちついたわけでありまして、この問題は、やはり今後いろいろな問題について起こり得ることであると考えまするが、将来はまた将来の社会通念なり、あるいは法律観念の発展に伴って、法の改正というものを打ち出していくべきではなかろうかと、こう考えております。
  51. 久保等

    ○久保等君 建築基準法改正に伴っての電波法改正問題について、若干質問をいたしたいと思いますが、第百二条の二のところで「重要無線通信」というものを指定をして、この問題に限って法定化しようという内容になっておるようですが、八百九十メガサイクル以上の周波数電波による特定固定地点間の無線通信重要通信にあらざるもの、こういったものは、現実にはどういったものがございますか。
  52. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 固定通信でございますが、たとえば一般事業体固定通信をするという場合でございまして、私鉄の無線設備であるとか、そういうようなものが該当いたすわけでございます。
  53. 久保等

    ○久保等君 現在、何局くらいそういった無線局がありますか。
  54. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 東京都内のマイクロ回線の一覧表を手元に持っておるわけでございますが、それらのものは電電公社、警察庁、防衛庁、気象庁、建設省、放送協会、各民放、それから東京電力、東北電力、電源開発、国有鉄道、そういうような大体一、二、三、四、五、六に該当いたしますものがほとんど大半でございます。いま申しました私鉄のものは、これは二回線ございます。
  55. 久保等

    ○久保等君 それは東京についての話で、地方あたりにはありませんか、東京以外の地方に。
  56. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 地方におきましても、大体これに準じたものかと考えるのでございますが、と申しますのは、この固定通信路のマイクロ回線の免許というものにあたりましては、やはり公衆通信であるとか、こういうような公共通信というようなものを率先して免許しておりますので、やはりこういうようなものが非常に多くなってくるわけでございますが、公衆通信ではできないような場合に、一般のこれらに該当いたしません事業体に免許するということが起こりますけれども、そういうようなわけで、非常にそういうものは数が少なくなってまいるのでございますが、大体地方もこれに準ずるものと考えます。
  57. 久保等

    ○久保等君 私は、ただ現在の事実をはっきりしてもらいたいと思うのです。ここの百二条の二のところで言っておる重要通信以外の、一体、それならば、通信というものは、現実にあるのかないのか、無線局はあるのかないのかということをお尋ねしておるわけです。それについて、あるならあるで具体的にひとつ御説明を願いたいし、なければないで御説明願いたいのですが、いまの、もちろんマイクロウエーブの無線局の中に民放もあるだろうし、あるいはNHKもあるだろうし、公衆通信もあるだろうしというような使い方をしているのだろうと思うのですが、特にお聞きしたいと思うのは、そういった、ここで言っておる重要通信以外の無線通信をやっておる単独局があるのかないのかということをお聞きしておるわけです。ということは、要するに、そういった問題がもしあるとすれば、そういうものに対する何らかの保護措置というか、やはり今度のこの立法化された経緯が、建物の、四十三メートル以上も高層化されるような時代になってきておるのですから、そのことによる電波障害をひとつできるだけ保護しようという立場から、この立法がなされておるのですから、重要通信についてはなるほどこの立法で考えておるのだが、それ以外のことについては考えていないのですか。しかし、考えなくてもいいのかどうなのかという問題は、これは立法上の立場から大いに考えなければならぬ問題があると思うのです。そこで、実は現在の状況についてお尋ねしておるのですから、あるかないか、はっきりお答え願いたいと思います。
  58. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先ほど御説明いたしましたように、そういうものはございます。
  59. 久保等

    ○久保等君 だから、具体的にどこに何局あるか。
  60. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 東京の場合におきましては、小田急と東武鉄道、私鉄が二回線、それぞれ一回線ずつ持っておりまして、そのほか、ガスであるとか、その他の事業体におきまして、どうしても公衆通信によってまかなうことのできない場合に、一部免許を持っているごく少数のものがあるわけでございます。
  61. 久保等

    ○久保等君 ごく一部のものがあると言うのですが、それは具体的にわかりませんか。
  62. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま手元に資料がございませんので、後刻、資料を差し上げたいと思います。
  63. 久保等

    ○久保等君 それならば、いずれにしても具体的な局を、しかも、区間等についても資料でひとつお出しを願いたいと思うのです。  それから、いまの小田急あるいは東京瓦斯ですか、これは、ガスの関係の何か、ここで言う「重要無線通信」には該当しないけれども、民間のマイクロ通信をやっているところがあるというお話なんですが、これは単独で——たとえば東京瓦斯なら東京瓦斯、あるいは小田急なら小田急が、単独にどこか屋上にマイクロウエーブを設けておる無線通信ですか。
  64. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  65. 久保等

    ○久保等君 そうすると、これらのところについてのやはりマイクロウエーブを保護するという問題について、どういうようにお考えになっていますか。
  66. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 今回の立法の精神は、やはり公共の福祉を守ると申しますか、このような重要通信の疎通が途絶することによりまして社会公共上非常に憂うべき事態が起こるということを防止するのがたてまえでございまして、そういう範囲内におきまして電波を保護いたしまして、そうして、いわゆる私権でございますところの地上に建物を建てるというその権利を一部時間的に制限すると、こういうことに相なっているのでございまして、やはりそういう重要な私権を時間的に電波で制限するということになりますと、やはり重要な無線通信ということを取り上げて限定的にこれをすることのほうがいいというふうに考えて、このように「重要無線通信」というものを限定して指定したような次第でございます。  それ以外の無線通信の場合におきましては、この法律によりませんけれども、両者の間におきまして、と申しますのは、免許人とそういうような建築をする側とにおきまして、事前に情報を交換いたしまして、これは建設省郵政省との間の覚え書きによってもそういう措置をしているわけでございますが、そういうようなことによってよく連絡をいたしまして、そういうことの起こらないようにしていくこと、これによりまして、実際にそういう問題が起こってこないように指導してまいりたい、そういうふうに考えております。
  67. 久保等

    ○久保等君 私の質問に対してもう少しピントを合わしてひとつ御答弁願いたいと思うのですが、郵政省電波監理局としては、電波法の定める趣旨によってやはり電波行政を担当しておられると思うのです。ところで、電波法の第一条にも書いてあるように、電波法というのは、「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」、この目的からいっても、重要通信にあらざるものについても、郵政当局として、認可をした電波というものが能率的に公平に運用せられているかどうかということについては、これは直接重要な責任のある私は問題だと思うのです。だから、重要通信の問題については、私は、いまのところは対象にしておらないのです。私の質問の対象は、そのこと以外の、この立法措置外に置かれている民間のいわばマイクロウエーブの問題について、一体、電波行政を預かる電波理局長はどう考えておるか。ほっておけばいいのだ、それはとにかく免許して、あと建築基準法上との問題でいろいろトラブルが起こっても、そんなことは重要通信には関係ないし、公共福祉にそうたいして影響はなさそうだから、この際は目をつむっているという御理解なのかどうか。電波法の第一条からいっても、それは、公共の通信であろうと、あるいは民間の通信であろうと、電波を利用する問題については、この電波法第一条からいっても、何らかの形で措置をし保護をしていかなければならぬ。要するに、効率的な、しかも公平な運用ができるような措置を、電波監理局としては当然とっていかなければならぬ責任があるだろうと思うのですが、したがって、そのことに対して一体どういうお考えなのか。今回の立法上の措置から除外した意味は、一体どういう意味かという点をお尋ねしているのです。
  68. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま先生の御指摘になりました点、まことに、私たち同感でございまして、いまの電波法の精神から申しますと、公共の福祉のために電波を与えるという、むしろ電波があればこれを与えなければならないというような形にもなっております。それによりまして電波の便益を享受しているものにつきましては、あくまでもこの便益は、それが阻害されないようにしていくのが、われわれ電波監理当局としては行政の態度であろうと思うのであります。しかしながら、今回の問題につきましては、十分それらのことを考えたのでございますけれども、やはり先ほど申しましたような私権の制限ということに相なりますので、この重要通信ということだけに限ったのでございまして、それ以外の通信につきましても、先ほども申しましたように、建設の確認申請その他が出ましたときに、その情報を免許人のほうに通知する等によりまして、免許人側において障害にならないような措置をいたすことができるように援助指導するというようなことによりまして、一般通信におきましても、できるだけ不利益をこうむらないようにいたしたい、そういう気持ちでございます。
  69. 久保等

    ○久保等君 少し基本的な問題でも少しお尋ねしないと、それではよくわからないのです。先ほど例にあげられた会社等は、これは会社とはいっても、相当公共事業的な会社だと思うのですね。ガス会社だとか、あるいは私鉄の会社等は、相当重要な公共事業的な会社だと思うのです。そういうところでマイクロを使って通信をやるという問題は、公共的な立場からいっても私は問題があると思うのですが、そのことはさておくとして、財産権という問題から考えても、やはり電波を利用するということは一つの財産権ではありませんか。どういう権利ですか。
  70. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波の免許と申しますものは、その周波数を使い得る権利でございまして、それが、たまたまその通路が現在地上の所有権の及んでいる範囲内に通過いたしておりますけれども、これがその地上の所有権に対しまして無害であるということのために、そこに通路があることが認められているのでございまして、通路があるということによりまして、地役権、そういったようなものがあるとは現在考えておらないわけでございます。
  71. 久保等

    ○久保等君 その電波伝搬路そのものが一つの何らかの権利であるとかいう質問ではなくて、当然これを発射をする、あるいは受ける、無線電波の送受信設備があるわけであります。これは明らかに、私は財産権だと思うんです。このことについては御異議がありますかね、いかがですか。
  72. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波使用ということのこの免許が、それによって権利を持つか持たないかというお尋ねかと思うんでありますが、私たちといたしましては、それだけでは権利にならないと考えております。
  73. 久保等

    ○久保等君 私のお尋ねしているのは、現実にどこかの屋上に無線局がある。マイクロウエーブのパラボラがある。そこで電波を発射しているという場合に、一体、もちろん、その固定の無線設備あるいはその他の付属設備が、これが財産であることは間違いない。しかし、現実にやっている無線局という形で通信をしている場合には、現在その通信をしていること全部を含めての一つの財産権であるというふうに私は考えられるのじゃないかと思うんですが、そういう財産権というか、何権というか知らぬが、そういうものの権利というものは全然ないのだという考え方ですか。
  74. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その施設そのものは、これはもちろん一つの財産権でございますけれども、それによって発射されておりますところの電波伝搬路というものがすなわち権利であるとは考えられないのでございまして、これは電波法の百八条の二にございまして、百八条の二にこういう観念があるわけでございます。「公衆通信業務又は放送の業務の用に供する無線局無線設備又は人命若しくは財産の保護、治安の維持若しくは気象業務の用に供する無線設備を損壊し、又はこれは物品を接触し、その他その無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者は、」云々ということがございまして、この電波法の精神によりますというと、そういうような公共通信範囲は、若干今回拡大されておりますけれども、そういうような無線設備を損壊した者に対して罰則を規定しておりまして、伝搬路そのものに対しての権利というようなものを認めていないと、この百八条の二を解釈しているのでございます。今回の精神も、それをそのまま延ばしたのでございます。
  75. 久保等

    ○久保等君 第百八条の二は、もちろんそういう固定といいますか、一つの有形の設備をこわした場合も入りますが、しかし、第百八条の二の後段のほうのところに、「その他その無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者」、この中に入りませんか。たとえば電波伝搬路の途中に大きな障壁をつくって、かってに、それは明らかに電波の発射を妨害しようという意図のもとに電波の妨害をした場合は、それは何も、空気中に壁をつくっただけなんだから、第百八条の二に該当しないのだということになりますか。
  76. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この百八条の二の後段は、あくまでも、その無線設備そのものの機能というものに障害を与えて無線設備からの電波の発射を妨げた、あるいは電波の質を悪くした、そういうことをさすものと解釈をしております。
  77. 久保等

    ○久保等君 それは一応狭義に解釈をすれば、そういうことになるかもしれないけれども、無線設備のあるところのほんのもう五メートルか十メートルのところに、なるほど無線機械そのものに特別の妨害を物理的には加えないけれども、明らかにこれはもう機能を完全に、少なくとも麻痺さしたような措置がとられても、ここで言う第百八条の二には該当しないのだ、そういう解釈をおとりになるのですか。
  78. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) いまのお尋ねの御趣旨は、こういうふうに解釈したらいいのではないかと思うのです。電波による通信を免許するということは、これは国が特定の人に対して適当なりと認めてその権利を特に許すわけでありまして、これはあくまでも公法上の権利義務の関係になるわけでございます。その電波を発射するために必要なる設備を置く、あるいは土地を取得するというような場合になりますると、その土地並びに設備は、これはその設備をした人の所有の対象になるわけですから、これは所有権として私法上の権利であることは間違いはないと思います。したがって、その設備の一部を無断で持ち去るというようなことになれば、これはあるいは窃盗罪になることもありましょうし、また、この法律によって、その機能に障害を与えるということになれば、これはやはり公法上与えられたその免許による権利を侵害したものとして、この法律による違反に該当する、こういうふうに私は考えたらいいのではないかと思います。
  79. 久保等

    ○久保等君 私は、いまのような説明を聞くと、これは電波というものに対する保護がきわめて何か無法律状態で、将来問題を起こしていくのじゃないかと思うのです。私は、こう平明に第百八条の二を読んだ場合に、後段に言われる無線設備の機能に障害を与えるという、その機能に障害を与えるということは、単に機械そのものに何らかの物理的な力を加えてこわすとか故障させるとかいうようなことだけしか含まれないのだという解釈では、電波そのものに対する保護というものは何らなされていない。重要通信の場合には、これは比較的特にいろいろ立法措置を、今度の場合も考えておるところは、そこにあるのですから、一応保護せられる考え方にあるようですが、そうでない一般の場合には、電波法に定める第一条の目的そのものが何かきわめて不安定な状態じゃないかと思うのですがね。したがって、第百八条の二の場合でも、機能に障害を与えるという場合には、電波をとにかくストップかけて故意にやった場合でも、いまのような解釈からいけば、それはもう罰する法律は何もないのだという解釈になるのですね。これは、しかし重要な問題だと思うのですよ。それは、ほんとうにいろいろ研究をせられた上での解釈ですか。
  80. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この点につきましては、今回の法律改正の問題もございますので、法制局等とも十分打ち合わせをいたしました。この電波設備の機能に障害を与えるというのは、やはり設備から電波が出るということに障害を与えるということでございまして、先ほどから御答弁申し上げておりますように、その電波を出す設備としての機能に障害を与えるということに統一して解釈しております。
  81. 久保等

    ○久保等君 まあ非常に私は重要な問題を、ただいまの御答弁からすると感ずるんですが、しかし、そういう解釈以上の解釈に、この場でどういう言ってみたところで出ないとすれば、まあ、このことについての質問は打ち切りたいと思うのですが、ただ、しかし、そういうことでは、何かきわめて立法上の保護措置に欠けるんじゃないかという気がいたします。まあ私は少なくとも、民間あたりで電波を発射しているという、その発射しているということに対する何らかのやはり権利というものを認め、また、それに対するでき得る限りの保護措置も考えていかなければ、これから電波万能の時代になっていこうという時代に、非常に問題を起こすのではないか。もちろん私は、所有権とそういう何らかの権利というものとのウェートがどうかということになってくると、いろいろと問題があると思うのです。それから、その間の権利関係の調整問題については、これから考えなければならないし、そのことは、私は、立法上の措置として考える必要があるんじゃないかということを言いたいんです。いまの御説明を聞くと、故意にそういう電波に妨害を加えようという意図があってやられた場合でも、何らのこれに対する処罰規定はもちろんのこと、これに対してストップをかける措置を講ずることはできないのだ。何らの立法上の措置は講ぜられないということをお聞きすると、これはきわめて意外に思うくらいなんです。私は、そのことについては非常に大きな何か立法上早急に考えなければならない、現行電波法に欠陥があるような気がするのですが、郵政大臣、どんなふうにお考えになりますか。
  82. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 先ほどのお尋ねの中で、この電波による通信は、国が特定の人に免許によって与えた権利であると、こう申し上げましたが、それが財産権ではないかというお尋ねもございましたけれども、それは財産権ではない。あくまでも公法上の免許による権利である、こういうことを申し上げたのでございます。したがって、これの機能が害された場合には、いかなる措置が講じられるかということでありますが、やはり現在の法令のもとにおきましては、この百八条の二によりまして、「その他その無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者は、」という条項の運用によって、故意にこの通信を妨害した場合には罰則を科する、こういうふうに解釈して、この運用によって扱っていくものと、こう考えております。
  83. 久保等

    ○久保等君 大臣に、いまの最後のところをお尋ねしたいと思うのですが、私は、先ほど事例をあげてお尋ねしておるように、電波を妨害する意図をもって、特別な措置をその特定な機械そのものには加えないけれども、電波の通路に当たるもう直前のところに何か壁を設けた、したがって、電波の利用はもう全然できなくなった、もちろん、機械そのものが機能を喪失しているわけではありませんが、とにかく電波そのものが使えなくなった、位置を移すか何らかしなければ、本来の無線設備の機能を発揮できなくなったというような場合における妨害行為というものは、第百八条の二のこの後段に該当するのかしないのか。大臣はどんなふうに御理解になりますか。
  84. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) これらの問題は、私は、やはり裁判上の問題として裁判官が最終的に判断するものと考えますが、私は、法の精神としましては、あくまで故意にその機能を妨害しようとして何らかの工作をした場合には、やはりこの条項によって措置すべきものと、こう考えております。
  85. 久保等

    ○久保等君 ですから、私の言っている場合は、大臣の言うその機能を妨害したものと郵政大臣はお認めになりますか、なりませんか。
  86. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 私は、故意である場合には、この中に入ると存じております。
  87. 久保等

    ○久保等君 私は、一応その程度の解釈はすべきだと思っております。そうしなければ、無線の機械というものは、何も無線の機械そのものだけで、機械の内部だけで、サーキットだけで機能を発揮するんじゃなくて、やはり空気中の、空気中というか、空間を利用して初めて無線の機械の機能というものは発揮できるんですから、いわば大きな意味での一つのサーキットですね。そのサーキットの途中に、障害する意図をもって妨害行為を行なったんだが、これはとにかく機械そのものに妨害行為を加えてないし、機能を麻痺させてないから、この百八条の二には該当しないんだという解釈は、これはきわめて何か、私に言わせれば、何といいますか、現実に合わない解釈だと思うんです。だから、せめて、大臣の言われる程度の解釈は、これは私はとるべきだと思います。このことは、大臣の御答弁で明らかになったから、そのことはそのことで私も了解いたします。  大臣は、免許を与えたものだから、それは財産権ではないんだと言われるけれども、それならば、一体、マイクロの免許を与えて無線通信をやる——電話の加入権の問題ですね、これも一時、やはり財産権であるかないかということは明治時代にだいぶ論争があって、今日では財産権だということについて、これは異論のないところとなっておる。私は、そういう点についても、やはり無線設備によって行なう通信というものが、一つの何らかの、財産権と言い切れるかどうか知りませんが、権利であることには間違いないです。権利であることには間違いないし、さらに突き詰めて言えば、やはり一種の財産権という解釈も成り立つんじゃないか。要するに、有線であろうと無線であろうと、電話の加入権の場合と比較した場合に、一体、どこに財産権として認められない本質的な差異があるか。大臣、何かここで財産権ではないんだと言い切ろうとすると、一体、その差異というものをここで明確にお答え願えますか。
  88. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) これは非常にむずかしいわけですが、電話の加入権にしましても、最初は、これは財産権ではないという解釈がとられておったわけです。そのうちに、電話の架設が非常に普及いたしまして、一般の公衆が一定の架設料を支払えば当然の権利として架設されるということになりましたから、これは今日ではまず財産権の一種として扱われておる状態でございます。ところが、無線通信につきましては、架設料を出したといたしましても、必ず許可されるというものではなく、特別な事情がある場合に、特定の人に国が必要ありと認めて免許するわけでありまするから、電話の加入権とはよほど法律上の性質が違っておるものだ、こう私は考えておりますので、これはいわゆる財産権の中には入らないと、こう存じております。
  89. 久保等

    ○久保等君 財産権であるかないかという議論は、これは私は、やはり将来の問題としては一つの研究課題であろうと思うし、やはりいろいろ紛争等を起こした場合に問題になると思うんですよ。したがって、この問題は研究課題として私は提起する程度にしたいと思うんですが、ただ、マイクロの電波伝搬路障害物が出てきた、建物等によって。その場合に、少なくとも被害を受けることは間違いないわけですね。言いかえれば、財産的な打撃を受けることは、これは間違いないと思うんです。したがって、それに対する何らかの補償をしてもらいたいという問題は、これは出てくると思うんです。本来の権利が財産権であるかないかは別として、現実に起きてきた問題として、損害を受けた、したがって、その損害を補償してくれぬかという問題は、これはもう出てくると思うんです。したがって、私は、民間会社の場合に、ただいま申し上げたような事例が起きた場合に、損害を補償してもらいたいという問題は、これはもう現実に出てくると思うんですが、これに対する保護は、一体どういう方法で行なうべきですか。
  90. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この補償の問題につきましては、今日、電波に関して法律の明定はございません。したがって、一般の訴訟によって裁判所が決定するものと考えますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、その機械そのものを損壊したとか、こういう場合には、所有権に対する損壊ということで損害賠償の請求は十分できると思いますけれども、国から免許された電波を妨害したことによって何がしかの金額を補償せよという問題は、これは簡単にここで斯定を下すことはできないのじゃなかろうか、こう私は考えております。
  91. 久保等

    ○久保等君 ここで断定を下すことは、確かに、具体的な事情をよく検討しなければ、はっきりしたことは言えないと思うのですが、ただ、一般論として私の申し上げておるのをお聞きしておるのですから、そういう点で、大臣なり電波理局長の見解をお示し願いたいと思うのですが、この改正案の対象にはなっていないんですけれどもね、なっていないんですが、一般民間会社等におけるマイクロが、途中に建物等ができたために従来の機能が発揮できなくなった、したがって、その機械が使えなくなった、したがって、何らかの技術的な措置を講じなければ用をなさなくなったというような事態ができた場合には、当然被害を受けた会社側の立場からいえば、これに対する財産上のいわば損害を受けたわけなんですから、これをひとつ補償してもらいたいというような問題が、これはもう十分起こり得ると思うんですね。ところが、この改正の中では、全然そういったことを対象にしていない、一体どうしてくれるのだ、電波監理局なり郵政省は一体どう考えておるのだ、こういう問題について、法律上の何らの措置を講じていないのじゃないか。私は、重要通信の場合についてもきわめて不備であり、きわめて不完全だと思っておるのですが、まあ、その問題は先ほど来一応私は除外してお尋ねしておるのですが、民間会社の場合のマイクロ通信をどう能率的に確保してやるかという立場は、本法改正の中にやっぱりなければならぬのじゃないかと思うんですがね。その点はいろいろむずかしい問題ではありますけれどもね。片手落ちじゃないかと言われる意見が私は出ると思うのです。だから、私の結論的なことを私申し上げますと、何らかやっぱりそういう権利の、両者における競合というか、紛争というか、そういう問題が出た場合に、やっぱり話し合いをして解決するぐらいの若干の猶予期間ぐらいは、この法律の中で最小限きめるべきじゃないかという感じがするのです。どっちに軍配を上げるとかいうことは別としても、せめて若干の話し合いをなさい、一年なり二年ぐらいの間で話し合いなさいよという程度のことは、この法律措置の中で考えてやるべきじゃないか。これはもう電波行政を預かる立場からいって、当然そのぐらいのことは考えるべきじゃないか。先ほどお尋ねしたように、本来そういうものが財産権であるのかないのかという議論も、私は、将来の問題として大いに出てくると思うのです。いろいろ権利と権利がぶつかって、そこでトラブルを起こした場合、いかなる権利か——免許をもらってマイクロでもって放送する権利は、一体何の権利だ。それは全然財産権ではございませんと言うことはできないと思う。これは現実に非常に財産的な、何というか、生産を生み出すのですから、現実に。また、これが妨害されれば財産的な大きな被害を受けるのですから、そういう本体は一体何であるかと言ったら、実は、権利は権利であって、経済的な価値とは無関係ですとは言い切れないと思う。そういう点については、将来の問題として早急に検討願いたいと思うのですが、そこまで、これは法文の中で、どうしてくれ、こうしてくれとは、私は申し上げないけれども、さしあたって、問題の起きた場合の、若干の猶予期間を置いて、その中でひとつ話し合って解決しなさいよということの措置くらいのことは、民間の会社のマイクロなんかの場合においても、郵政当局としては考えるべきではなかったかと私は思うのですがね、そのことについて検討せられたのかせられないのか、ひとつ郵政大臣のほうから御答弁願いたいと思うのです。
  92. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 電波を発射して無線通信を行なうこと自体は、先ほどから申し上げましたように、国が特定の人に免許する権利でありますから、財産権とは考えておりません。したがって、これを妨害した場合におきましても、それは財産権の侵害として損害賠償を請求するということは、現在の法制のたてまえからいいまして困難であろうと思います。しかしながら、そのことがこの法律に違反した不法行為であるということは明らかであろうと思います。したがって、その不法行為に基づく損失の補償というようなことは、別途において考うべき問題ではなかろうか、一般原則に基づくものであろうと存じております。さらに、今回の改正におきまして、先ほど例をあげましたような、他の無線通信に対する建築基準法との間のことが考えられていないが、こういう問題はどう思うかというお尋ねでありますが、これらにつきましては、将来の問題として十分に研究もいたしたい、その上で関係各省ともさらに協議もいたし、将来さような必要がありと認めた場合には、またこの法の改正ということも考えていかなければならぬ、こう考えております。
  93. 久保等

    ○久保等君 ですから、私が最後の後段でお尋ねした点の大臣の答弁がちょっとはっきり聞き取れなかったのですが、ちょうどこの百二条の二に規定する「重要無線通信」と同じような事態が民間の無線通信に起きた場合に、これは何らの措置を講じてないのですから、これは要するに、放任しておこうというお考えなんですか。それでは片手落ちにはなりませんかという、私はお尋ねをしておるわけなんです。
  94. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 今回の改正は、公共的な性質による通信のために所有権を一定期間制限しようというわけでありまするから、これは憲法に基づいて当然法律によればやり得るわけでございます。したがって、その場合に、私的な、いわば公共の利益、福祉に直接関係のない通信の妨害排除のためにも、一般の所有権が制限され得るかどうか、こういう問題に関連してくると思うのです。そうなりますと、事態は、ただいまの改正とはよほど趣を異にしてまいりますので、将来の問題として十分考究したいというお答えをしたわけでございます。
  95. 久保等

    ○久保等君 単なる民間という概念的なことでいまお尋ねしているのですから、そういう大臣の答弁でも、あるいは理解できるかもしれぬと思うのですが、ただ、先ほどあげられた、やはり私鉄だとかガスだとかということになってくると、これまた単なる形式的な民間だとか、あるいはその他の公共的なものだとかという区別ができない実体的な問題があろうと思うのですね。したがって、私が主としてここでお尋ねしているのは、一般的な概念論としてお尋ねしているのですが、しかし、それにしても、公共の福祉という名目だから、所有権その他の関係については、ある程度制限することもできるのだと言うが、私は、だから制限とかなんとかということじゃなくて、土地その他の問題も、これは私権ですわね、私権ですが、しかし、片方もやはり私は、何らかの一つの権利だと思うのですね。先ほど大臣は、財産権だとは言っておられないが、しかし、私は何らかの権利だと思う。したがって、それとその他の私権とぶつかり合う問題、これを調整するということぐらいは——どちらが優先するとかなんとかいう考え方ではなしに、両者の権利の競合し合ったことに対して、何らかの調整をするという措置、こういったものは何らか法律的にやはり考えて、ある程度のものを保護してやらなければ、切り捨てごめんでだめになっても、それはやむを得ないんだ、君たちの使っている電波というのは、公共性というものは全然ないんだからということでは、私は解決できない問題があると思う。特に、先ほど申し上げたような事業関係の問題がもし問題になっきた場合には、それじゃ、公共事業とは一体何だ、公共通信とは一体何だという議論にまでなってくると思う。だから、その問題には私は触れないにしても、一般的にも何らかやはり話し合う場くらいは——半年がいいのか、一年がいいのか知りませんが、若干の期間を置いて話し合うぐらいの立法措置は講ずるということを考えぬと、全然いまのような状態のままで、それはもう突然変異のような形で何か建物ができても、これは天災地変としてあきらめろというんじゃ、私はあきらめられぬと思うんです。そういう問題は、ここではこれ以上あまりお尋ねしても、明確なお答えを得られないかもしれませんから、やめておきますけれども、しかし、これはやはり一つの大きな問題だと思いますから、十分にひとつ研究を願っておきたいと思うんです。  それで今度は、電電公社のほうに少しお尋ねいたしたいと思うんですが、この間、電波理局長からのお話だと、何か電電公社でマイクロが、建物の高層化に伴って障害を受けたような事例が二カ所ばかりあったというお話なんですが、それは一体、昨年の建築基準法改正せられた以前か以降か。それからさらに、それらの事例について、二つばかりの例ですから、少し状況を御説明願いたいと思うんですがね、具体的に。
  96. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) お答え申し上げます。手元に用意しております二つばかりの具体例につきまして御説明申し上げます。  一つは、富山統制無線中継所についてでございますが、相手方は第一生命でございまして、富山支社の新築をやる。この場合、昭和三十八年の三月ごろに、この相手方がすでに基礎工事に着手しておりまして、この計画を聞いてみますと、これは私どものちょうど富山から新潟を回って東京に参ります重要基幹通信路でございます。これを遮蔽するこのビルの位置は、ちょうど中継所の筋向かいのまっ正面に当たっておるのでございます。それで、これはたいへんなことだというわけで、話し合いをいたしました。県のほうも中に入って、結論は、私どもは約一年半ぐらいでこれを別のところに移設いたしまして、それによって障害を避ける。その間、相手方はわれわれの既設の通信路に妨害を与えないようにしてもらうという了解も立ちました。私どもは、移転費用は自前でやりました。向こうがおそくなるための損害等につきましては、もちろん何にも支払わないということで、円満に話し合いをつけた次第でございます。  もう一例を申し上げますと、これは長野の統制無線中継所の例でございます。相手方は第八十二銀行でございます。中継所の建設地のまっ正面に当たりますところに建てるわけでございます。昭和三十八年の十月、この新築計画のあることを聞きまして、折衝を行ないました。この場合も県が間に入る。この場合は、別に建物を建てて移設することになりましたので、工期は約二年半かかります。その二年半待ってもらうことで話がつきました。この通信路は長野から横手のほうに向かって出ておりまして東京へ来るわけです。それで、やはり移転に要する経費は、私どもが自前といたしまして、受けますことによる相手方の損害はもちろん支払わないということで、これも円満に話し合いがついたような次第でございます。  一応その二例を申し上げます。
  97. 久保等

    ○久保等君 富山の場合は、従来のマイクロの高さはどのくらいで、今度はどの程度の高さのものにしたのですか。それから相手方の建物は、どのくらいの高さのものを建てることになっているのですか。それから同じことを長野の場合についても……。
  98. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 私どもの富山の場合は、私どものアンテナの高さは、ちょうどパラボラの中心点が三十七・五メートルのところにあります。相手方は、本体が三十五メートルで、それに塔屋が十二メートル場所によってはつけ足されますので四十七メートルになります。  それから長野の場合には、私どものアンテナ高は三十七・九五メートル、これがパラボラの中心点になります。相手方のほうは、本体三十一メートル、塔屋十二メートル、合計四十三メートル、こういうようなことでございます。
  99. 久保等

    ○久保等君 それで、どの程度の高さのものになるのですか。建て直したのですか。
  100. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 失礼いたしました。いずれも位置をずらしまして相手方の建物を避ける、こういうことで処置をいたしたのであります。
  101. 久保等

    ○久保等君 位置をずらしただけなんですか。高さはあまり変わっていないのですか。
  102. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 高さについては、いま承知しておりませんけれども、特別に高さを高くしたような記憶は、いまございませんのでございますが、詳しくは後ほど調べさしていただきます。
  103. 久保等

    ○久保等君 それはしかし、高さも何とか高くしないと、またそんな問題が出てこないとは限らないのじゃないですか。  それから建築基準法上の問題ですが、改正以前の問題としても、富山の場合だったら、従来の建築基準法よりは若干高いかもしれぬのですが、わずか高い程度。それから長野の場合には、ほとんど従来からの建築基準法の最高限度程度の建物ですが、いずれにしても、近所に高い建物が建ったら、またどこか場所を移さなければならぬということになるしするから、位置を若干変えたというお話なんですが、そんな程度じゃ、問題の将来における解決にはあまりならぬのじゃないかと思うのですが、高さをあまり高くしなかったわけなんですね。
  104. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 富山の場合は、たいへん急ぎましたので、同じ屋上でも、相手方が建てても見通しのきくところに移そうと、こういうことになっております。長野の場合には、庁舎を別の位置につくりまして、これによってやっております。これはお説のように、次々に建ってくれば確かに問題かと思いますが、いなかのことでございますし、にわかにそうたくさんのものは建つまいと思って、ひとまず急いでこういう措置をしたような次第でございます。
  105. 久保等

    ○久保等君 費用は、これはそれぞれどのくらい、おおよそについて、大ざっぱな概算でけっこうですが、どのくらいかかりましたか。
  106. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) いまちょっと手元に用意してございませんが、いま御説明しましたようなことでございますので、富山の場合は数千万円のものになると思いますし、長野の場合は数億になると思います。
  107. 久保等

    ○久保等君 数千万円と数億円と、それぞれ数字がちっともわからないのですが、ひとつ、あとでもけっこうですから、具体的な数字を、若干内訳をひとつ加えてお知らせ願いたいと思うのです。特に長野の場合、数億というと、これはたいへんな実は変更をしたことになると思いますが。しかも、この二つの事例の場合、富山の場合は、新建築基準法にも若干該当するかと思うのですが、長野の場合には、従来の建築基準に基づいて、相手方の八十二銀行は、それを新建築基準法に基づいて建てられるほど高い建物ではないので、将来全国的に高い建物が建つのですが、私は、どういう当時の状況調査に基づいてやっておられるのか知りませんが、電電公社関係でマイクロを屋上に上げておる局、あるいは屋上じゃない、単独にアンテナをつくって、そこにパラボラを載っけておるというようなところがあるだろうと思うのですが、そういったところは、全国で何局ぐらいありますか。したがって、山の上にあるマイクロの中継所、こういうものは除外してもらってけっこうなんですが、市街地における屋上ないしはこれに準ずるものは、どの程度あるのですかね、全国的に見て。
  108. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) いまの御質問のようなぐあいの庁舎ではございませんが、私ども、この高層建築物によって将来支障を受けるおそれのある無線局というものをちょっと勘定してみたのでございますが、それによりますと、二十五局という数字を持っております。いまの富山、長野のほかに金沢、それから東京は宮村町あるいは渋谷にございます。大阪にもございます。等々、大体そういったことを、先の先のことまで考えまして心配をしておるのでございます。
  109. 久保等

    ○久保等君 しかも、いまの全国にどの程度あるか、いま即答できかねるようですから、それはまたひとつ、後ほどでも調べてお知らせ願いたいと思うのですがね。  大体おそれがあると目されるものが二十五局ぐらいあるというお話なんですが、これらは、いずれもその高さは、先ほどの長野の場合のように新しく四十三メートル以上の高層の建物が建つ場合に問題になるというのじゃなくて、もちろん、その場合にはなおさら問題になるだろうと思うが、従来からあった建築基準法に基づく四十三メートル以内の高さの建築が途中で建っても問題になる可能性がある局がむしろ多いくらいですか。  また、違ったお尋ねのしかたをしてみると、費用その他の関係があるから、できればそれは建築基準法の許容量より高い高さにしておけば問題ないのだけれども、しかし、当分高い建物は建たないだろう、隣あるいはそれからざっと先を見渡して、三階か四階くらいがせいぜいだろうというようなところは、二、三十メートルくらいの高さでパラボラを置いてある。そのほうが経済的だからというのが、むしろ現状じゃないかという気もするのですが、そういった状況はどうですか。
  110. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) いま仰せのように、私ども、必ずしも四十三メートルというような数字を考えずに、場合によっては、住宅街のところだと二十メートルですか、制限が、そういったようなこともございますので、いまのような四十三メートルという数字をとってみますと、むしろ問題になる局も相当あるのじゃないかと思います。大体三十メートル前後くらいのものができているのじゃないかと思います。
  111. 久保等

    ○久保等君 どうも少しはっきりした御答弁がないので理解がしにくいのですが、二十五局くらいの、将来場所を変えたり、あるいは高さを高くしなければならぬと考えられるところがあるというお話なんですが、これらの局はいずれも、そうすると、新建築基準法でなくても、従来の建築基準法からいっても、一ぱい一ぱいに建てられると、やはり問題がある局になる可能性がほとんどだという現状ですか。
  112. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 調べてみませんとわからないのでありますが、そのほうが相当多いのじゃないかと思います。  それからなお、先ほどちょっと間違えましたが、富山の場合は、六十メートルの架線塔をつくりました。長野の場合は、七十五メートルに用意しております。間違えました。失礼いたしました。
  113. 久保等

    ○久保等君 その高さをきめるときには、いろいろと、これからは将来の市街地等における建物がどう伸びてまいるか、そういったようなことをよほど精細に事前に調査をする必要があると思うのです。そういった方面の配慮は、今日まではどういう一体考慮のもとにお調べになったのですか。何らか基準でもあるのですか。おおよその見当で、その調査をしたときに、電波がとにかくうまく受かればいいという程度の目の子程度でやっておったのですか。何か基準でもあるのですか。そのマイクロのパラボラ等を、アンテナ等を置く基準というのは、地域地域において何らかの基準というのはあるのですか、どうなんですか。どういう状況ですか。
  114. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) やるときにはひどくでたらめにやったわけでもありませんけれども、大体調査をいたしまして、将来の大体の予測はつけまして、この程度で当分いけるだろうという考えでやっております。なお、こういうことが起こりましたので、新しいものについては、この点を十分配慮してやらなければならぬかと思っております。
  115. 久保等

    ○久保等君 そこらの調査は、いままでのところ、施設局長の話では、何か適当といえばなんですが、あまりそう十分に調査をするというような話もないようですから、これからいろいろ問題が起きてくると思いますし、現に二十五局ぐらいそういうおそれがあると言われているんですが、あるいは、これ以上あるかもしれないのですが、ところによっては、一カ所に数億の金を投じなければその設備の変更ができないというような、ばく大な費用をかけることを考えると、よほど事前に精密に調査を私はする必要があると思います。単にまたそういう予算だけの問題じゃなくて、これはたいへんないろいろなロスを来たすのですから、そういった点について、少し計画的に現在のもの自体についてもお調べになる必要があるだろうと思いますし、将来の計画等については、でき得る限り、せっかくできたが途中でまた変更しなければならぬというようなことのないように、これは私、十分にひとつ対策をお考え願いたいと思いますが、どうもいままでのマイクロにおけるアンテナの設置場所の問題については、技術的にその当時支障がなければ適当に高さをきめておったというような御説明ですが、もう少しそういう建築基準法等の関係ともにらみ合わせて、町の将来の発展の推移等も想定をしながら考えられる必要があるのじゃないかと思うんです。この点は、ひとつ御注意を申し上げておきたいと思います。  それから郵政省のほうにお尋ねしますが、伝搬障害防止区域の指定をこれはすることになっているが、これはもう具体的に何か成案を持っておられるのですか。
  116. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) まず、一番問題が起こるかと考えられます東京の中央地区につきましては、具体的に図面の上にそれをあらわしたものがございます。
  117. 久保等

    ○久保等君 それからいまの、なんですか、東京の場合だけですか。いま全部について、もう作業を終わって、いつでも告示のできるような状態に、そういったものができているんですか。
  118. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 目下準備中でございまして、いずれ、この法律が制定施行されましてから、できるだけ早い機会にこれができるように準備は進めております。
  119. 久保等

    ○久保等君 政令案については、どういう準備状況ですか。この電波法一部改正に伴って必要とする関連政令
  120. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) これが施行に伴います省令、政令等については、それぞれ目下準備中でございまして、一部のものにつきましては、文案ができているものもございます。
  121. 久保等

    ○久保等君 その政令、いつごろまでにできるのですか。
  122. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この法律が通りましてから二カ月以内——この附則にございますが、施行の期日といたしましては、この法律は、公布の日から起算しまして六十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する、ということに相なっておりますので、法律が制定になりましたときには、それに間に合うように準備いたしたいと思います。
  123. 久保等

    ○久保等君 間に合うようにつくられるのは当然だと思うんですが、だから、いつごろですかとお尋ねしているんですが、いつごろまでにできるのですか。
  124. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この二カ月以内には十分につくり得る自信を持っております。
  125. 久保等

    ○久保等君 二カ月以内。法律を公布してから六十日をこえない範囲内において政令において定める日から施行するというのですよ。これは施行するのが、おそらく、まあ法律制定後、公布のほうは、もう日ならずして公布されると思うのですが、そうなると、施行されるのが、法律制定後六十日から六十日ちょっと出たくらいで施行せられることになると思うのです、現実的には、したがって、政令のほうがずっと早くにできていなければ——政令でいつの日かということを具体的に定めるのでしょう、施行する日を。ですから、その政令そのものが二カ月以内には成立しますと言っておったんでは、そういう抽象的な、きわめて非現実的な何か御答弁じゃ、少しおかしいのじゃないですか。
  126. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その点につきまして、法規課長のほうから御説明さしていただきます。
  127. 高田希一

    説明員(高田希一君) 改正案の附則によりまして、六十日以内で政令で定める日から施行するということに相なっておりますので、その間に政令をできるだけ早く準備いたしまして、電波法改正案によります手続などに関する政令をできるだけ早く準備いたしまして、それと相応じまして施行の政令を定めていきたいものと思っております。二カ月以内には十分準備できるものと考えております。
  128. 久保等

    ○久保等君 いまの御答弁だと、だいぶ政令をつくるのに相当な日数を要するようなお答えなんですけれども、何か特別むずかしいことがあるのですか、政令をつくられる上に。
  129. 高田希一

    説明員(高田希一君) 格別むずかしいことはございませんが、政令が三つばかりでございます。その他、省令が若干ございますので、若干の日数は要すると思います。
  130. 久保等

    ○久保等君 それじゃお尋ねしますが、第百二条の六の中の最後の三というところに、郵政省の省令で定める場合があるのですが、この郵政省令で定める場合というのは、どういう内容のものが考えられますか。
  131. 高田希一

    説明員(高田希一君) ただいまのところでは、具体的に予定しているものはございません。でございますが、施行の状況によりまして、あるいは除外すべき場合が出てまいろうかと存じます。その場合に、これを除外し得るように、弾力的な規定として設けさしていただきたいと思うのでございます。
  132. 久保等

    ○久保等君 大臣もそうお考えになっていますか。
  133. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 大体ただいまの法規課長が御答弁申し上げましたようなふうに解しております。
  134. 久保等

    ○久保等君 この間、連合審査会で問題になった問題は、一体どこで規定をする予定でおられるのですか。
  135. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 百二条の三に「郵政省令で定めるところにより、」云々というのがございまして、法律条文のほうには、高さが三十一メートルをこえる部分ということがございますけれども、郵政省令によりまして、軽微なものはこれから届け出の義務を除くというふうに省令でもって定めるというふうに考えております。
  136. 久保等

    ○久保等君 だから、それは第何条のどの省令ですか。
  137. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 百二条の三でございます。
  138. 久保等

    ○久保等君 三の……。
  139. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 三の本文の中に、それを読みますと、「前条第二項の告示に係る伝搬障害防止区域内(その区域とその他の区域とにわたる場合を含む。)においてする次の各号の一に該当する行為(以下「指定行為」という。)に係る工事の請負契約の注文者又はその工事を請負契約によらないで自ら行なう者(以下単に「建築主」という。)は、郵政省令で定めるところにより、」云々とございますが、その郵政省令によって定めるところによりまして、軽微なものは除きたい、こういうふうに考えます。
  140. 久保等

    ○久保等君 それでは、結論的には、この百二条の六の省令というのは、いまのところ、具体的には予定していないというふうに理解していいわけですね。
  141. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  142. 久保等

    ○久保等君 先ほどお尋ねした質問の問題なんですが、第百条の二のいわゆる「重要無線通信確保」なんですが、これはいわゆる通信ですから、民間放送等の放送そのものは含まれないでしょうね。どういうこと……。
  143. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 特定固定通信でございますので、放送は含まれません。
  144. 久保等

    ○久保等君 だから、私は、そういったことも考え合わせると、先ほど言ったような、影響するところは、この法が対象としていない分野についての問題でも非常に問題になる点が多いと思うのですね。一般の民間放送なんかの場合には、全然保護対象になっておらぬわけですから、だから、そういう問題の起きた場合に調整をするか、何かの方法を立法上考えておかなければ混乱するんじゃないかという気がするのですがね。だから、ここにもやはり「放送の業務の用に供する無線局無線設備」ということは言っておって、通信関係のことについては確保しているんだが、放送そのものについては、もちろん公共放送ではないし、と同時に、また、公共放送というよりも公共通信じゃないのだから、という考え方で、そこのところはっきり割り切っておるわけですが、影響というか、非常に大きな問題を引き起こす可能性は、これは多分にあるし、その場合に、法的な措置は、立法上の何らの根拠はないのですか。それに対する何らの法的な配慮はしていないのだということについては、やはり放送問題を考え合わせてみても非常に問題だと思うのですから、先ほどは、民間の通信の場合を申し上げたんですが、そういったことについても、電波監理局のほうではどんなふうにお考えになりますか。
  145. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 現在放送に使っております電波は、マイクロウエーブでございませんで、これは直進してまいるという性質のものよりも、はるかに低い性質でございまして、このたびの法律によりまして保護をいたそうと考えておりますものは、百二条の二にもございますように、八百九十メガサイクル以上の電波でございまして、これは放送には含まれておらないわけでございます。ここに書いてございます二のほうの「業務の用に供する無線局」と申しますのは、スタジオと放送局の送信所との間を結びますところの固定マイクロ、こういうようなものがございます。これらがやはり妨害を受けますというと、放送がとまりますので、それを保護するという形でこれをしておるのでございます。したがいまして、放送はより低い周波数帯でございまして、これは広く伝搬する性質を持ったものでもって放送しているわけでございまして、この法律とは違う性質のものと思っております。ただ、先生の御指摘の、固定通信のマイクロウェーブでも一般の問題というものがあるではないかというお話でございまして、これにつきましては、先ほどからいろいろな貴重な御意見をいただいておるわけでございますが、われわれといたしましても、公共通信重要通信の範疇に一応入れていない一般通信におきましても、その通信というものはできるだけ保護したいと、こういう立場に立ちながら、今後の行政指導等をしてまいりたいし、また、建設省方面とも十分にその点には連絡をとって、不意に通信障害を受けるというようなことのないようにしてまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  146. 久保等

    ○久保等君 それから重要通信確保という観点からも、この前、白井委員のほうからもお話があったんですが、二年ないし三年間の猶予期間を置いて、その間にできるだけ何とか調整して、どうしても話がつかなければ、無線設備のほうを動かして、何とかその障害を受けないような措置を講ずるんだと。大臣のことばをかりて言えば、無線のほうを、逃げてそつのないようにするんだというような御説明なんです。これも何か、まだまだ私は、重要無線通信確保措置としては、少しもの足りないんじゃないかという気がするんですね。だから、いずれ遠からず、もう少しこの重要無線通信というものの確保の立場から、その立場を強くしてもいいんじゃないかというふうに考えるんです。わずか二年ないし三年程度の猶予期間だけじゃ、さっきも話があったように、極端なことを言えば、いやもう、そんな話は問答無用式にとにかくどんどん工事は進めていく、最悪の場合には、罰金なら五万円−五万円払わないにしても、現実に障害を及ぼす部分だけを少なくとも二年なり三年なりつくらなきゃいいんですから、基礎工事なり何なりはどんどんやっていく。おそらく、大きな建物だったら、やはり二年前後の期間がかかるだろうと思うんですが、したがって、下のほうはどんどんやっていく。四十三メートルなら四十三メートルあたりくらいまではどんどんやっていくというような形でやっていく分には、ほとんど実情は支障なく、まあ法律上にはいかめしく、何かストップをかける、工事をやっちゃいかぬというふうになっているが、事実上は工事をどんどんやっていく。ただ、障害を及ぼす部分だけの本体のところへいくと、若干そのときには、一カ月か二カ月か、せいぜい長くて半年ぐらい実際は待ってりゃいいんだというような形でいく程度ですから、そういう意味からいくと、たいしたそう支障を及ぼさなくても、私は運用の面でやっていけるんじゃないかと思うんです。だから、必ずしもそう二年、三年といったら二年、三年全然基礎工事も何もやっちゃいけないというんじゃないだろうと思うんです。したがって、事実上は、半年あるいは数カ月ぐらいの若干猶予を置いて話し合ったというくらいの結果しか、被害というか、迷惑をかけなくて済むんじゃないかと思うんです。もちろん私は、そういう所有権なり、そういう建物を建てることについて、できるだけ制限なりあるいは支障を及ぼさないように配慮すべきだと思うんです。これはもう最大限の努力をすべきだと思うんです。しかし、どうしても話がつかない場合は、しかも、相当の経費を使わなければ、片や公共通信の場合といえども新しい設備ができないのだという場合だとすると、これはひとつ、何か所有権なり建築することについての制限をもう少し強める場合もあってもやむを得ないのじゃないかというように考えるのです。要するに、言いかえれば、重要通信確保のためには、もう少し私権の制限といったようなこともやむを得ない場合があるんじゃないか。したがって、そういう場合にも、立法上の措置としてやっぱり考慮して立法しておくべきじゃないかというように思うのですがね。まあ要するに、最高をもう少し強いものにして、何も常にそういったことで制限するなんということに実際はなりっこないし、実際は、そういった法の運用はありっこない。最高二年ないし三年程度の猶予期間を置くだけだという程度では、無線重要通信確保が十分じゃないじゃないかというふうに考えるのですが、これは将来もう少し時期を見てそういったことも考えようということを考えておられるのかどうか。
  147. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま先生の御指摘のように、重要な通信はこれだけによって完全に保護されるものではないという御見解でございまするが、確かに、この法律では、二年ないし三年という猶予期間を置くだけでございまして、それ以上に試験その他の措置をする期間が長ければ問題が出てくることは確かでございます。こういうような重要な通信を今後どういう形でもって保護いたしまして万全を期していくかということは、当然今後、電波を預かるわれわれといたしまして、十分に考えていかなければならない問題だと思います。それらにつきましては、たとえば適当な高さ、建築物としてまず常識的に所有権として考えられる、これが百メートルになりますか、八十メートルになりますか、そこら辺のところは存じませんけれども、そういうようなところ以上に設置されたマイクロウェーブ等については、これはあくまでマイクロウェーブというものが妨害されない地帯であるということをはっきり打ち出すとか、あるいは特別に、ある地帯を設定いたしまして、その地帯において免許されたところの無線通信は、まあ電波障害を受けることがない、言いかえれば、その下には所有権が著しく制限されて、電波障害を与えるような所有権の行使ができないというような地帯を設定するとか、そういうようないろいろな立法の例が諸外国等にもございますので、そういうようなものなども今後十分に勘案しながら、今後の推移によりましてさらにいろいろ検討して、場合によりましては立法措置も講じていきたいというふうに考えております。
  148. 久保等

    ○久保等君 郵政省のほうからでもいいし、電電公社のほうからでもいいと思うのですが、ひとつ技術的な問題について、こういった事態の発生といいますか、こういう時代になってきて、技術上、そういった高層建築物ができても、そうたいしてあまり費用をかけなくても、無線設備の本体そのものを動かすとかなんとかいうことまでしなくても、もう少し簡易に、それこそ、電波をサテライト方式かなんか、そういったことで方向転換をする、したがって、通信支障をあまり来たさないようなことのために、何か技術的な研究でもおやりになっておるのですか、どうなんですか。
  149. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波の通路に障害物ができました場合には、その送信受信アンテナを動かしまして、その通路からその障害物がないようにする。逆に申せば、障害物以外のところに通路を設定するということが一番簡単な方法ではございまするけれども、どうしてもそれができないというような場合におきましては、その障害物の上にたとえば電波を反射する反射板等を設置いたしまして、それを受けまして若干方向を屈折せしめて、電波の新しい伝搬路をつくるとか、あるいは場合によりましては、そこに一たんマイクロウェーブの受信装置を置きまして、それをここで受けまして、さらに新しい波で送信するというような方法もあるかと思うのでございます。それらにつきましては、今後の技術の発展に伴いまして、より効果的な反射板、あるいは、より経済的な中継器といったものの技術が進むにつれまして、そういうようなことの可能性が——いまでも多少現実性はございますが、そういうことがますます経済的に可能になってくるというふうに考えております。
  150. 久保等

    ○久保等君 それじゃ、私は、きょうのところはこの程度にしておきます。
  151. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと関連して。反射板を備えつけるという場合に当然問題になってくるのは、その備えつける場所である屋上の使用権ということが問題になってくるだろうと思いますが、だから私は、建築物の高さとか、あるいは付属物の高さを制限をする法律をつくるのとあわせて、高層建築物の屋上使用権について、これは当然使用料を払うのですが、その使用権というようなものを、ある程度消極的にでも相手方と話し合って認めさせるか、あるいは強権で認めさせるということでなしに、そういう法律改正をつけ加えておく必要があるのじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
  152. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そういうことによらなければならない場合が非常に多いというようなことになりました場合には、あるいは立法措置も必要かと思いまするけれども、そういうような事例がそうたくさんあるものでもございませんし、また、そういう数少ない事例につきましては、両当事者間の話し合いということによっても、それが可能かと考えている次第でございます。
  153. 横川正市

    ○横川正市君 これは数少ないから、当事者間の話でいいということも当然考えられるわけですけれども、この間の建設委との合同審査のときにも話があったんですが、東京の場合には、中央とか副都心であるとか、それに付随して三カ所ばかり電波障害の当然起こり得るような高層建築計画というものを建設省で持っているわけでしょう。同時に、電波の通路について公示するなり、建築その他の者に、常に明確にするように事前に連絡をしておくとか、そういう方式をとられるんだけれども、実のところをいうと、東京なんかの場合に、高層建築を、電波の通路だからといって制限をする、そういう行き方が妥当か。その通路に向かって高層建築を建てて、その高層建築の屋上を使用するということのほうが妥当なのか。私は、これはこれからの建築の高層化ということを考えると、東京とか大阪とかいうような大都市の場合には、屋上使用ということのほうが合理的で妥当でないかというように思われるんですが、検討してなければ、答弁は要りませんけれども、検討する価値はあるんじゃないかと思うんですがね、どうでしょうか。
  154. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 検討すべき問題かと思いますけれども、他人の屋上を使うことだけでなく、自分みずからやはり屋上に、より高いものをつくるということを、率先して免許人側においてもやっていかなければならないかと思いますので、今後の問題としまして考えてみたいと思います。
  155. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩    ————————    午後二時二十五分開会
  156. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は、順次、御発言願います。
  157. 野上元

    ○野上元君 今回の電波法の一部改正内容は、申し上げるまでもありませんが、いま一番大きな問題になっておるのは、先ほど来の質疑で明らかになっておりますように、所有権と公共物の使用権の調整というところが一番のポイントになっておるようでありますから、その点にできるだけ集中をして質問をしてみたいと思います。  まず最初に、現実にあるマイクロ設備の高さの種類、それを教えていただきたいと思います。
  158. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) いままでに免許されました電波の実際の高さの御質問と考えますが、全国的な統計をちょっと手元に持っておりませんが、東京都内におきますマイクロ回線約五、六十ございますが、その中におきまして、現実に三十一メートルよりも低い高さにありますものは十を出ない程度のものになっておりまして、それ以外のものは三十一メートルをはるかにこえた高さになっております。平均といたしましては、大体四十五メーターぐらいの高さということが言えるかと思います。
  159. 野上元

    ○野上元君 現実に、すでに障害を見つつあるという設備というのはありますか。
  160. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 現在障害が起こっているものはございません。過去におきましては、障害が起こりまして、その障害が起ってからそれを取り除いた——取り除いたといいますか、処置をした例、まあ障害が起こりそうで、このために処置をした例というのは、そういうものは過去においてございます。
  161. 野上元

    ○野上元君 三十一メートルという高さですね、これは最初は百尺という表現を使っておる。それが昭和二十五年ぐらいに三十一メートルという表現に変わったということを聞いておるのですが、この三十一メートルないしは百尺という高さをきめたときの基準というのは何ですか。これはあなたに聞いてもわからぬかもしれぬが、少なくとも電波の関係から見れば、その基準をきめたときに、一応の相談があったのじゃないかと思うので聞いておきたいと思います。
  162. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 百尺というものを建築の基準といたしました理由は、おそらくこれは建築そのものの構造物の特性とか、耐震性とか、危険の度合いとか、そういうようなことから来たものと思っております。この建築基準法というのが一番初めに施行されまして百尺がきまりましたときは、もちろんマイクロウエーブもございませんでしたけれども、昭和二十五年に建築基準法ができましたときにおきましても、なお、マイクロウェーブの利用というものはほとんどわずかしかございませんでしたので、郵政省といたしまして、それに対して特別の考え方がなかったと思います。
  163. 野上元

    ○野上元君 こちらで聞きたいのは、その三十一メートルという基準をつくったときに、いろいろな理由があると思いますね、安全性だとか防火の関係だとか、あるいは今日の建築技術の水準とか、そういういろいろなものがあると思いますが、少なくとも電波の関係については、その当時は全然心配がなくて、郵政省とは何らその問題については話し合いが行なわれておらないのですか。
  164. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 郵政省との間にはございません。
  165. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、現実にマイクロウェーブというものができてからにわかに郵政省と、というよりも電波法建築基準法との関係が論ぜられるようになった、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  166. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  167. 野上元

    ○野上元君 マイクロウエーブというものができたのはいつですか。
  168. 藤木栄

    説明員藤木栄君) お答え申し上げます。マイクロウエーブは、日本でできましたのは昭和二十七、八年ごろからだんだんできてまいりまして、最近はずいぶん発達しているわけでございます。
  169. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、建築基準法のほうはもう早くからあって、三十一メートルというのがあったわけですね。その後マイクロウェーブというものができた、したがって、マイクロウエーブのほうが、いままでは、現にある三十一メートルの高さに達しておるものは電波のほうで逃げるか、あるいはそれより高いものを建てて通信を行なっておった、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
  170. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりだと思います。三十一メートルまでの高さよりも高いものを建てなければならないとかいうこともございませんでしたし、あるいは、もちろんそれよりも低くてもよろしいわけでございますが、電波のほうで高さを高くとるということは、経済的にも非常に急激に負担がかかることになりますので、従来の三十一メートル、こういう高さの制限がございましたので、免許人のほうといたしましては、まず、その三十一メートルというものを一応の目安といたしまして、場合によっては、自己の危険負担によってそれよりも低いものをつくる、そうでない場合は、若干それよりも高くしたものをやる、こういうことで従来やってきたわけでございます。
  171. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、現実にはいまのところ障害はないわけですか。
  172. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 現実に障害になっているところはございません。
  173. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この電波法改正目的は、建築基準法の一部改正によって、三十一メートル以上であっても建て得るという法律ができたので、それに対応して一部を改正する、こういうことになったわけですか。
  174. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 今度の法律改正は、建築基準法改正になりまして、容積地区内には非常に高い建物が建つという可能性が出てまいりましたので、それらを機会に考えたものでございます。その場合におきまして、従来にもおそれのあったような、特別に許可を要するような建物等につきましては、今回の法律でも制限をすることに当然なってくるわけでございますし、同時にまた、従来の尊重されておりました既得権益というようなものも十分考慮しながらこの法律ができておりまして、この建築基準法改正によりまして、高い建物ができる、で、その問題だけをつかまえてできている法律ではない、こういうふうに言えるわけでございます。
  175. 野上元

    ○野上元君 三十一メートル以上の高い建物が可能になった法律というのは、いつできたんですか。
  176. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 従来の建築基準法でも、三十一メートルをこえる場合におきましては、申請があってそれを確認すれば——確認のための申請が出れば、そうしてそれによって確認されれば建てられたわけでございまして、従来におきましても、防火上あるいはその他いろいろな観点から見て差しつかえがない場合には、特別に許可があれば、従来でも高さ三十一メートルをこえる建築物工作物は建てられたわけでございます。
  177. 野上元

    ○野上元君 かりにそうしますと、その許可というのは建設大臣の許可であって——その当時には、この電波法改正はないんですから、建設大臣だけの許可で三十一メートル以上のものが建てられる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  178. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  179. 野上元

    ○野上元君 そういう障害が起きたので今度は電波法の一部を改正して、それに対応する、こういう体制をつくった、こういうことになりますか。
  180. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 建築基準法改正機会に、今後予想されるそういう建物も含め、従来も許されておりました、許可されておりました三十一メートル以上の建物を含めまして、両方勘案してこの法律ができております。
  181. 野上元

    ○野上元君 電波法の一部を改正する法律案提案理由説明資料によりますと、「昨年の建築基準法の一部改正によりまして、新たに容積地区の制度が設けられ、」云々、こういうことが書いてあるわけですが、この建築基準法の一部改正というのは、正確には昨年の何月ですか。
  182. 高田希一

    説明員(高田希一君) 昨年の七月と記憶いたしております。施行されましたのが本年の一月でございます。
  183. 野上元

    ○野上元君 本年の一月から施行されたということになりますと、現実にはマイクロ伝搬路障害は起こっておらないですね。
  184. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この体制によりまして、容積地区が指定されることによりまして、従来以上の非常に高い建物が建つということによります障害は、まだ容積地区が指定されておりませんので、まだそういう実例はございません。
  185. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、その容積地区というのは、いつ指定される見通しなんですか。
  186. 高田希一

    説明員(高田希一君) 容積地区の指定につきましては、先般の合同委員会におきましての田中先生の御質問、それに対する建設省の回答によりますれば、いまのところ、まだ具体的な指定案ができていないそうでございますが、ほぼ予想されますところは、都内数カ所ということでございました。このように聞いております。
  187. 野上元

    ○野上元君 かりにそれが指定されると、基準法改正によって、最高どのくらいの建物が建てられることになるのですか。
  188. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 指定される地域に等級といいますか、階段がございまして、その床面積の総和がその地域の何倍になるかということが指定されるわけでございまして、最高は十倍であると聞いております。
  189. 野上元

    ○野上元君 土地面積の十分の百ということになると、面積の十倍の建物は建てられるということになるわけですね。ところが、その面積を全部使わないで半分に使って建てる場合には、十分の二百というようになるわけですね。四分の一を使うということになれば十分の四百ということになれば、そういうように計算していけば、まあ四十倍でも八十倍でも百倍でも建てられるという理屈になるんですがね。大体どの程度まで予想しているんですか。
  190. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 一階高が四メーターといたしまして、大体まあ三分の一の高さに建てまして、三十倍ということになれば、約百二十メーターぐらいができることに相なります。その場合にも、現実には、そういうよほど広い土地がなければ、建築学的にも、そう細いものは建てられませんし、また、地下の設備も当然必要になってまいりまして、地下のフロアも勘定に入りますので、実際には、それより低い建物に相なるかと思います。
  191. 野上元

    ○野上元君 この電波法によって目的を達したいというのは、郵政省としてみれば、いわゆる電波の無障害の疎通といいますか、をねらっておると思うんですが、三十一メートルまでは今日はよろしいということになり、その三十一メートルをこえる部分については、あなたのほうでは、届け出てもらいたい、こういうことになっておるわけですが、建設省との話し合いによって、その届け出はしなくてもよろしいと、付属部分についてはある一定の面積については、届けしなくてもよろしい、こういうふうに話し合いがついておるわけなんですが、若干矛盾があるような気がするんですね。あなたのほうで、電波障害になるものは、高さだけではなくして、その建造物の材料というようなもののほうが、むしろ電波障害になるんじゃないかという気がするんですね、それが小さいとか大きいとか高いとかいうだけじゃなくて。そういうような気がするんですが、三十一メートルの上に突出部があるやつは、かりに電波を通さなくても、それは届け出なくてもいいんだというような考え方というのは、若干矛盾しているんじゃないですか。
  192. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その点につきましては、確かに御指摘のとおり、三十一メートルといいますもの自体に、若干問題があろうかと思うのでございまして、電波の通路というものを現実に空間的に指定いたしまして、地表何メーターということでなくて、言うならば、海抜何メーターという形に電波の実際のあるところを指定しておけば、それにぶつかるとかぶつからないとかいうことをそれによって判断することができることに相なりますけれども、それが非常に技術的にむずかしい、こういうことから、地表面から三十一メートルというところを一応の目安といたしまして、そこに高さの制限を置きまして、それから、それは建築基準法で認められております三十一メートルであると同時に、従来もアンテナのほうがそれを目安にして設定されておりましたその高さでございます。その高さでございます三十一メートルを制限といたしまして、それよりも、場合によってはじゃまになるかもしれない非常にわずかな部分というものは、状況によってこれを取り除きたいという考え方でこの法律ができておるわけでございます。
  193. 野上元

    ○野上元君 私が聞きたいのは、とにかく三十一メートルの本建築がありますね、これまではいいわけですね。さらにその上に継ぎ足そうとする場合、あるいは新しく三十一メートル以上のものを建てようとする場合には、あなたのほうに届け出なければならぬ、郵政省に届けなければならぬ、こういうことになるわけですね。ところが、その三十一メートルまでは本体があるのだが、その上にわずかな突出物がありますね、総面積の建築面積の八分の一以内というものの突出部分については、十二メートルまでは届け出なくてもいい、こういうことになるわけですね。その考え方は、その十二メートルの高さが問題なのか、そうじゃなくて、そのつくってあるものが問題なのかということを聞きたいのですよ。たとえば電波を通さないものであったら、いかに八分の一の面積しかなくても、これは障害になるのじゃないですか。これは届け出なくてもいいという考え方はどういうところに根拠があるのですか。
  194. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 厳密に申しますと、場合によりましては、アンテナの直前等に、その八分の一で高さ十二メートルというものが出てまいりますれば、これは妨害になるおそれはあるのでございまするけれども、従来、建築基準法によりまして、その三十一メートルの上のその程度のものは、政令によりまして、これは三十一メートルの中に算入しないということによって、いわゆる確認申請によって建てられていたという経緯等も考えまして、実際にその場合の少ない場合、その少ないことも考えまして、また、そういうような場合におきまして、行政指導等によってその措置ができるというようなことも考えまして、それらを全部考えまして、それらを省令によって除きたい、こういうことでございます。
  195. 野上元

    ○野上元君 それくらいの何といいますか、突出物ですね、突出物を届け出ることを除外して、あなたのほうの電波伝搬路障害は起きないという判断に立っているわけですか。
  196. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生の御指摘のように、また、ただいま私も御説明いたしましたように、場合によりまして、電波のちょうどまつ正面に、そういう大きなものができれば確かに障害になりますが、そういうようなことは非常にまれであろうということを考えまして、ペントハウスのようなあの程度の小さなものでございますと、大体障害にならないということがございますのと、従来そういうものが認められていたという経緯等も考えまして、さらに、行政指導でもって、それに対する法律的な拘束でないことによりましても、指導し得るのではなかろうかと考えて、それを省令で除くということでございまして、先生の御指摘のように、全然それではそういうものは障害にならないかという御質問に対しましては、やはり場合によっては、そういうケースも起こり得ると、まあこういうふうに申し上げなければならないかと思います。しかし、その点につきましては、先ほども申し上げましたように、三十一メートルということ自体が、地表からということに相なっておりますので、電波伝搬路の途中におきまして非常に地表面が高い場合、そういうようなところでは、まあ二十メートルのものが建っても妨害が出るというようなおそれもございますので、それらを考えまして、法律技術的に三十一メートルということを一応の線としておいて条文にそれをうたっておいて、あとでこまかい点を除こうと、こういうような考え方でこの法律はできておる次第でございます。
  197. 野上元

    ○野上元君 いままでは、あなたが言われているように、建築基準法施行令によって、三十一メートル以上にある突出物であっても、それは一定の面積以下のものは、建物の高さに算入しない、こういうことになっているわけですね。それは建築基準法から見れば、あるいはそういうことを言ってもいいと思うのです。しかし電波のほうから考えると、それはかりに八分の一であっても、本体と同じように強い建物、電波障害するような材料を使った建物であった場合には、ただ面積が小さいというだけであって、やはり障害になるのじゃないか、それをなぜその届け出を免除したのかという考え方を聞いているのですがね。私の申していることがわかりますか。
  198. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) よくわかるのです。確かに屋上八分の一の面積で高さ十二メートルのものが、屋上の面積も最近非常に大きくなっておりますので、そういうようなものが電波の通路にまともにぶつかってくる場合には、そういうことが起こってくるのでございまするが、階段室とか、昇降機塔とか、装飾塔、物見塔、屋窓、ここに書いてございますようなものでございますというと、現実には、面積も非常に小さいし、また、そういうものは設計によりまして動かすこともできるというようなことがございますので、まずそういうものを考えまして、若干のそのおそれのある場合も含んではおるわけでございますが、一応それは省令によって、届け出をしないようにしたのがこの法律でございます。
  199. 野上元

    ○野上元君 屋上の面積の大きさにもよりますが、たとえば大きい話をして恐縮ですが、八百坪あるとすれば、その八分の一というと百坪になるわけですね。その百坪の分は突出部分になるわけですね。それが本体と同じものでつくられておる場合には、明らかに大きな障害になるのじゃないかという気がするのです。そうじゃなくて、百坪じゃなくて、突出部はわずかに三坪とか五坪とか十坪というようなものであれば、そう大きな障害にはならないかもしれないけれども、理屈をいえば、そういう場合もあるのじゃないかということが考えられるとするならば、一般的に考えてみて、突出物だからといって、届け出を除外するというのは、考え方としては、基準法電波法とがこんがらかっているのじゃないかというような気がするのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  200. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただ、その点につきましては、先ほどの高さの問題と同じように、若干そこに正確に割り切れない点があるかと思いますが、ただいまおっしゃいました非常に屋上面積の広いところの八分の一以内にものが建つということはございますけれども、これはやはりそこが住居の用に供するという、本来の建築の用に供するためにつくる場合は、それに入っておりませんので、どうしても機械室とかあるいは階段室とか、そういったようなたぐいになりますので、現実的には、そういうような大きなものは出てこない、そういうふうに考えております。
  201. 野上元

    ○野上元君 そうすると、具体的に聞きますが、この建築基準法施行令第二条第一項第五号に掲げておる「建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートルまでは、当該建築物の高さに算入しない。」となっておるわけですが、これはどれくらいの広さを予想しているのですか。
  202. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その幅が幾らということについてちょっとお答えいたしかねるのは申しわけありませんが、やはり電波の通路との関係において考えなければならないことでございまして、電波の通路のごく端のほうにあるか、そのまん中にあるかということは、電波アンテナのごく近くにあるか、それとも相当遠く離れているかというようなこともありまして、一がいにちょっと申し上げかねるような次第でございます。
  203. 野上元

    ○野上元君 あなたも建設省の人でないから、その点ははっきりわからないと思いますが、あなた方と建設省がお互いに話し合った中には、そういう事項が入っているので、ちょっと聞いてみたのですが、もう一つのほうの、建築基準法第六条第一項ただし書きに規定する増築、改築または移転にかかわる建造物というのは、どういうことをさしているのですか。たとえば建築基準法第六条第一項ただし書きには、いまのような文句があって、最後のところに、「床面積の合計が十平方メートル以内のものについては、この限りでない。」といって、一応広さが明示されているわけですが、こういう程度の広さを考えているわけですか。
  204. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この十平方メートルと申しますと、三坪でございますが、しかもこれは、各フロアの面積の合計をいうそうでございまして、現実には、その三坪の広さで非常に高い、その間には何のフロアもないようなものができます場合におきまして、何と申しますか、高い記念塔みたいなもので、途中に何にもなくて、床面積が一番上だけにある。そうしてそれが三十一メートルというようなものであることはあり得るのでありますけれども、現実の問題としましては、この十平方メートルというものが、そういう床面積の総計でございますと、これがこの程度のもので三十一メートルをはるかにこえて立つというようなことは、そうあり得るケースではないと思いますので、それで今度の軽微なものとして、やはり届け出の義務を除外するほうにこれも含めたような次第でございます。
  205. 野上元

    ○野上元君 いま私が申し上げました建築基準法第六条第一項ただし書きの場合には、「十平方メートル」と書いてあるわけですが、先ほど御質問申し上げました建築基準法施行令第二条第一項第五号には、「八分の一」と書いてあるだけであって、その面積がどれくらいであるかは書いてないわけですが、大体この両者の関係はどういうふうにお考えですか。
  206. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この第六条のただし書きのほうの「十平方メートル」というのは、これは、ただいま御説明しましたように、床面積の合計でございますので、これにつきましては、ほとんどこれが電波障害を与えることはまずないものというふうに考えてもいいかと思っております。それから施行令のほうの問題でございますが、これは屋上面積が大きくなれば、確かに、八分の一でございますから、非常に大きくなるのでございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように、これが機械室であるとか物置きであるとかいうようなことでございまして、そういうようなもののうちには、あるいは非常に大きなもので障害を与えるおそれのあるものもあるかとも思いまするけれども、届け出の義務を課さないでも、行政指導その他によりまして、個々の問題に対処し得るというふうに考えて除いたのでございます。
  207. 野上元

    ○野上元君 いずれにしても、突出物といえども、大きなものが建てられたら困るのはわかり切ったことなんです。一応八分の一という程度のものであるならば、郵政当局は、まあまあ妥協してもよろしいという程度の考え方なんですか。本来ならば、郵政当局としては、これも実際に届け出をしてもらって、その建築物の材料が何でつくられるのか、あるいは電波を通すのに障害になるかならないかというような問題についても、当然私は、郵政当局としては関心があるはずだと思うんですが、全然そういうことはもう無関心で、何をつくられてもけっこうだ、とにかく八分の一以内であるならば、それは届け出なくてもよろしいという気持ちですか、どちらですか。本来はやはり届け出てもらいたいというのが本心ですか。
  208. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 非常にむずかしいことでございまして、障害のおそれのあるということ、いやしくもおそれのあるものは、全部届け出てもらったほうがいいのでございますけれども、しかし、それが非常にまれなケースであると予想される場合、それと、先ほど申しましたように、行政指導によって可能であろうと考えられるもの、特に従来も、そういうものは確認申請だけでできていたというようなことを考えまして、総合的に判断いたしまして、省令において除くと、こういう考え方に立った次第でございます。
  209. 野上元

    ○野上元君 まあそれ以上追及してもしかたがないと思うんですがね、行政指導でうまくいくということはどういうことなんですか。
  210. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) いずれにいたしましても、確認申請を出さなければ建築はできないわけでございますので、必ずその確認が出てくるわけでございます。この今回の法律といたしましては、確認が出る前の、設計ができましたときから、非常にそれが妨害になるかならないかということを判定いたしまして処置いたしたいということで法律はできておりますけれども、しかし、それが届け出がない場合におきましても、確認という段階で、いずれにいたしましてもそれが出てくるわけでございます。そういうような段階でこれがわかりましても、この程度の三十数メートルというようなものになりますと、やはり相当の建築の期間というものはかかるわけでございまして、それらの間におきまして、建設省のほうも、建築主のほうに、電波の公共性について説得をいたしまして、いろいろ電波の免許人との間の話し合いを進めるように指導いたしますし、郵政省といたしましても、電波の免許人に、建設主との間で話し合いをするように進めまして、また、こういうような大きな建築物でございますと、その建築主というようなものは、当然、十分に公共性を考えて処置をしてもらえると期待ができるものだと考えておりますので、そういうような段階において行政指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  211. 野上元

    ○野上元君 行政指導と盛んに言われておるんですが、そういう建物を建てないように行政指導をするということなんですか。
  212. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 最終的にはそういうふうになろうかと思いまするけれども、その建築物の妨害となる部分は、電波側が処置をするまで残すとか、建物を建てるのを一番最後にするとか。若干の設計変更をするとか、そういうような指導も当然含まれると思います。
  213. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、郵政当局としては、設計にまでやはりタッチするわけですか。
  214. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 本法によりまして届け出をしましたものにつきましては、もちろんその設計の図面を見まして、それが電波伝搬路障害になるかならないかを判定するわけでございます。もちろん設計と申しましても、その建築物の外廓の線ということに相なるかと思います。その中身の、内部設計までにはもちろん立ち入れないわけでございます。電波障害を判定し得る範囲の高さとか幅とか、そういったような外廓の線の問題、これは当然その設計の点には触れることになろうと思います。
  215. 野上元

    ○野上元君 もう常識的に考えましてね、三十一メートル以上の建物は届け出なければならないわけですから、この三十一メートル以上の建物になるということになれば、設計を見ようが見まいが、大体電波というものは通らないのじゃないですか。
  216. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 二十数メートルのところにアンテナがございまして、それのまつ正面に三十数メートル、四十メートルというようなものができるという場合におきましては、これはお説のとおり、まず電波は通らないと考えるわけでございます。現在ありますものは、先ほども申しましたように、平均四十五メートルぐらいの高さであるということでございまして、その四十五メートルぐらいの高さにある電波伝搬路にまともにその大きなものが入れば——一部が入るとか突出物が入るとか、そういうようなことが、やはりそういう実際の設計図面を見て、場合によりましては、電波のほうの見通しの試験というようなことをしてからでないと判断ができないかと、そういうふうに考えます。
  217. 野上元

    ○野上元君 しかし、そういう話を始めても、あなたのほうの答弁を聞いておりますと、その協議中であっても建物はどんどん建ててよろしい、結局、最終的にはその協議がととのわなくても、建物が建ってもしかたがない。その期間はおおむね二年、三年かかるだろう、そういう大きな建物は。その間に郵政当局のほうで電波のほうを逃げることを考えれば何ら問題はないじゃないかということを言っておられたわけであります。そういうことになれば、届け出というのは、あんまり……、どうでもいいことじゃないですか。
  218. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生の御質問意味がちょっとわかりかねますが、現実に妨害になるおそれがあると判断いたしましたときには、その妨害を与えるおそれのあると予想される部分の建築につきましては、建築してはならないことに相なりますので、その期間が二年ないし三年、協議がととのうまで。協議がととのいますれば、二年ないし三年の間でも建つことはできるわけでございますけれども、協議がととのわなければ、二年ないし三年は妨害を与える部分は建ててはならない、こういうことになっておりますので、十分その間に電波のほうは措置をする余裕が出てくるわけであります。この法律の効果はあるものと考えております。
  219. 野上元

    ○野上元君 それじゃ、具体的に聞きますがね、現在、電波伝搬路まん中に三十一メートルの建物があって、現実には障害が起きておらない、しかし、この上に建てるということを建物の持ち主のほうで決定した場合に、あなたのほうに届け出なければならない。三十一メートル以上伸ばす場合には、もう基礎ができておるのですから、わりあい早くできるんじゃないですか、二年も三年もかからなくても あと十五メーターか二十メーター伸ばすのに二年も三年もかからぬで建てられるんじゃないですか、現実には。
  220. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そういうものが建てられてしまいますと、気がつかないうちに電波障害になるおそれがありますので、そういうことを防止する意味におきまして、その届け出をしてもらうことに相なるわけでございます。
  221. 野上元

    ○野上元君 それはわかるんですが、現実に三十一メートルの建物があって、その上に今度は建てたいという場合に、あなたのほうに届けを出をする、そうするとあなたのほうで見て、そこはだめだと、そこへつくっちゃいかぬと言われた場合には、つくっちゃいかぬのですか、それともつくっていいんですか。
  222. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) それはつくってはいけないことになっております。
  223. 野上元

    ○野上元君 相手がつくったらどうなんです。
  224. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 届け出をしないで建てた場合には、中止の命令をすることができます。それから、届け出がありまして、それが妨害になると判断いたしましたのにかかわらず建築をいたしました場合におきましては、罰金を科することができます。
  225. 野上元

    ○野上元君 それがさつき問題になっておった永岡さんとの話し合いなんですね。——それで、その罰金はわずかだから建てちゃえといって建てられた場合には、郵政当局お手あげだと、そういうことですか。
  226. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その点につきましては、先ほど大臣からも御答弁があったと思いますが、事務当局といたしましては、そういう場合に告発をいたしまして罰金を科したと、その段階よりさらに続けてまた建築を続行するということになりましたならば、その時点におきましてまた新しく告発をして罰金を科する、こういうことができるかと思います。
  227. 野上元

    ○野上元君 私が申し上げているのは、セクショナリズムではないけれども、建設委員会のほうからは、やはり建物を主として所有権を強く訴えて、これの侵害であるという考え方にどうしても立つわけです。しかし逓信委員会から見れば、むしろ電波障害になるものはこれを制限をするというのは当然じゃないかというような意見になるんですね。そこがまあ食い違うわけです。したがって、先ほど来聞いておりますように、突出部分の問題についても、どうもその点の郵政当局の割り切り方が、建設省に対してある程度の妥協したんじゃないかというような気がするんです。その点はどうですか。建設省としても、やはり突出部分については届け出だけは免除してくれと、十二メートルまでの突出物は。こういう意向なんですか、建設省も。
  228. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その点については建設省と話し合いの上、建設省のほうもそういうことを希望しておりますし、われわれといたしましてもそれを了承した次第でございます。
  229. 野上元

    ○野上元君 この重要通信の中に、これは六つに分かれておりますが、第二の「放送の業務の用に供する無線局無線設備による無線通信」というのは、これはどういう内容なんですか。
  230. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 放送そのものの電波はマイクロウエーブではございませんで、これは広く各方面に伝搬していくものでございますが、ここに書いてございますものは、放送の業務の用に供するマイクロウエーブの無線局のことでございまして、放送局の送信所とアンテナとの間を結んでいる固定通信、それから遠隔の地に放送局があります場合に、その放送をするために、そこまで電波固定通信をもって中継して、放送局まで放送内容を運ぶ電波を届けている、そういうものを含むわけでございます。
  231. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、内容の問題ではなくして、いわゆるマイクロウエーブであるものは全部と、こういうことですか。マイクロウエーブを使っているものは全部という意味ですか。
  232. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この放送業務の用に供しているということでございますので、厳密に申しますれば、その放送会社の別の用途というようなことになりますれば、まあマイクロウエーブといたしましても、それは観念といたしては含まないわけでございます。現実には、ただいま申し上げましたような固定通信が、もっぱらこの放送事業体に使われておりまして、それをさしたわけでございます。
  233. 野上元

    ○野上元君 そうするとその放送の内容は、普通の劇映画であっても、あるいは単なる娯楽放送であっても、固定された地点通信はすべてこれに入るわけですか。
  234. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  235. 野上元

    ○野上元君 そうすると、これは重要通信という考え方とちょっとまた違うのですね。その考え方は、重要通信という場合には、通信内容が緊急であるとか、これは公共のために特別にやっているのだというようなことが、一般にわれわれの概念からいう重要通信だと思うのですが、いま私が聞いたところによると、とにかく劇映画の放送であっても、この第二号に入ると、こういうことになるのですか。
  236. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 番組の内容を問いませんで、いやしくもそれが放送に乗るべきためのものでございますれば、この範疇に入ることに相なります。
  237. 野上元

    ○野上元君 そうすると、「重要無線通信確保」という表現とはちょっと何か食い違うような気がするのですが、その点はどうなんですかね。その線を使わなければ、一般の方々がその放送を聞けない、見れないということが、いわゆる公共のために重要であるという考え方になっているわけですか。
  238. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま申し上げましたような固定通信が、もし障害が起きますと、それによりまして、一定地域の放送がとまることに相なるわけでございます。場合によりますならば、たとえば東京のキー局から出しておりますところがもしそういうことになれば、日本じゅうその系列の放送がとまるということにも相なるわけであります。その及ぼす影響が非常に大きいということから、重要通信と考えたのであります。
  239. 野上元

    ○野上元君 どうもちょっとよくわからないのですよね、この一から六まであげていますね。これは一はわかります。三も四も五も六もわかるのですが、こういうものを称して、一般的には、常識的には重要通信といっているのじゃないでしょうか。
  240. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) まあ、厳密に申しますならば、公衆通信の業務ということも、これは使い方の内容としましては、百回線、千回線とありますので、どういう業務のために使っているかわからないわけでございますけれども、そういうことを問わないで、一括した公衆通信業務というものは、やはりこれの疎通がとまったときにはやはり公共の福祉を阻害するであろう、こういうふうに考えたのでございます。放送というものも、一定の地域あるいは相当大きな地域にわたりまして放送を多くの人が聞いたり見たりしているわけでございますので、そういうような業務がとまるということはやはりその地域の人たちにとりましては重要なことだと考えまして、そういうように重要通信ということに規定してあるわけでございまして、番組の内容によりまして、劇映画ではその必要がないとかというような観点からこの重要とか重要でないということをきめたわけではないのでございます。
  241. 野上元

    ○野上元君 いや、そういう言い方もわかりますがね、この六つのあげ方から見ると、何か重要通信というのははっきりと書かれているわけであって、おおむねわれわれも理解できるのだが、いまあなたの言われているのを聞いておりますと、重要通信というものには何でもみな入るのじゃないですか。
  242. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この第五号にございます「電気事業に係る電気の供給の業務の用に供する無線設備による無線通信」、これも電気の供給の業務の用に供するということでございまして、やはり給電、配電等の電気の供給ということに直結いたしまする通信というものが、これがやはり途絶いたしました場合には公共の福祉に重大なる関係があるということで、こういうようなものが重要通信に入っておるわけでございます。  六号の「日本国有鉄道の列車の運行の業務の用に供する無線設備」ということがうたわれておりますが、日本国有鉄道の列車の運行の業務——列車を指定いたしまして、いまどこどこでどういう列車を仕立ててどういうところに持っていかなければならない、そういうような、もしその通信が途絶するならば非常に大衆の利害に直接関係する、場合によっては治安の問題にも関係するような、もちろん公共の福祉に関係するような、そういうような通信ということをうたってここへ並べておるような次第でございます。でございますので、すべてのとらえ方でございまするが、実際問題といたしましては若干その区別ができにくいものもございますけれども、観念といたしましてはそういうような形でとらえておるわけでございます。
  243. 野上元

    ○野上元君 あまりよくわからないのですけれども、この第二号にある放送の業務の用に供する無線通信というものが重要通信であるということであるならば、何かそこに一つ通信内容というものがはっきりしなければならぬように思うのですが、あなたの説明によると、番組とは関係ないのだということを言っておられる。ところが、一から二を除いて、全部これは番組と言えるのじゃないですかね。具体的に、こういうものは重要通信だ、こういうものは重要通信だというように、一つ一つあげているわけですからね。ところが、二号のほうにくるとばく然としておるわけだし、聞いてみると、その中には劇映画の放送もあるいは一般の放送も全部入っておるのだということであるならば、重要通信というものの概念というものは何でもかんでもみな入るのじゃないかというふうな気がするのですけれども。
  244. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 二の放送の業務の用に供するというのは、番組を送る、そのための設備でございまして、それが、その番組の中に、劇映画も入るかもしれませんし、あるいは総理大臣の演説が入るかもわかりませんし、現実にはスタジオから放送局の間を結ぶものでございまして、これは放送に不可欠のものでございます。スタジオで電波をつくりまして、これを送信する場合に、たとえば東京タワーの上にこの送信機があるという場合には、東京タワーまでその電波を届けなければならないわけでございまして、そういう間は固定通信でございますので、その固定通信を取り上げたような次第でございます。
  245. 野上元

    ○野上元君 あとでまた聞きましょう。
  246. 久保等

    ○久保等君 関連してお尋ねしたいと思うんですが、この百二条の二の規定なり、それから建築法の改正に伴って今回のこの法律案を出してきたという提案趣旨の説明からいって、出された契機というものは、建築基準法改正に伴って出されたということになっておりますが、現実にいろいろ問題が起きているのは、建築基準法改正されようと、されまいと、従来ある建築基準法にのっとって建築が建てられていっても、いろいろ随所に問題が出つつあると思うんですね。そのほうの問題については、要するに三十メートルか四十二メートルか知らないけれども、それまでの建物については全然この対象にならぬわけですね、この法律では。
  247. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 建築基準法改正されまして、容積地区ができますれば、非常に高い建物ができるわけですが、現在容積地区が指定になっておりませんから、そういう事例はいまの段階においてはございません。しかしながら、容積地区が指定にならなくても、従来でも、確認申請によらないで、許可によりまして、治安上とか、観光上とか、交通上とか、そういうようなことで許されるならば、高い建物もできたわけでございます。今後容積地区の指定によりまして非常に高い建物がたくさん建ってくるおそれができてまいりましたので、それに対処しなければならない、こういう事態が出ましたので、この機会に、いままでありましたものも含めまして、この公共福祉と所有権との調整ということの法律案を出したわけでございます。
  248. 久保等

    ○久保等君 具体的にお尋ねしますが、かりに現在アンテナが二十メートルくらいなところにある、ところが三十メートルくらいの建物が建ち始めたというような場合に、この法で規制できますか。
  249. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) それはできません。
  250. 久保等

    ○久保等君 だから、私がお尋ねしているのは、そういう問題が現実に起きてきているわけですね。たとえば早い話が、さっき説明のあった長野なんかの場合もこの一つの例だと思うんですよ。それから二十五局くらい将来問題になるんじゃないかというような話もあったんですが、これもおそらく、建築基準法改正なろうが、なるまいが、従来の建築基準法のもとにおいても問題になるであろう——問題になるであろうというよりも、妨害を及ぼすような建物が建つ可能性が予想されるという説明だったと思うんですがね。だから、なるほど建物がこれから従来より以上に高くなるから、そういったことによって受ける妨害を何とかできるだけ緩和するように立法をされたと思うんですがね。問題は、だから、私は、最も疑義のない問題で申し上げますと、三十一メートル以下の建物であっても、現実に電波障害になるような建物が出てくる問題、それをも含めた立法の提案をなされる必要があったんじゃないかと思うんですがね。その点はこの立法措置の中に含まれておらないわけですわね、だからそれは問題じゃないかというんですがね。
  251. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 従来でも、三十一メートルと、それと建築基準法の施行令によって定めております範囲内の、それにつけ足された部分の高さのものが建つ——確認だけによって建つわけだったわけでございまして、したがいまして、当然二十メートル程度アンテナというものは、そういうようなものが建った場合においては当然障害になるということを予想し得るはずだったわけでございまして、そういうようなものにつきまして、先ほど申しましたように、電波が財産権である、あるいは地役権であるということならば別問題でございますが、そういう方式をとっておりませんで、そういうようなものにつきましては、自己の負担においてやはりやらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  252. 久保等

    ○久保等君 重要通信確保していこうという立場から考えますと、私は一番当面むしろ、電波の立場から言えば、電波行政の立場からいけば、現実に非常に緊急性のある問題は、将来どんどん三十階、四十階という建物の——昨年建築基準法改正になったのに伴っての高層建築物によって将来問題が出てくるかもしらぬが、それより当面問題なのは、従来の建築基準法のもとにおいても、重要通信確保するためには、何らかの立法上の措置を講じなければならぬ今日情勢に置かれているのじゃないか。ところが、その問題については、相も変わらず何らの立法上の措置を講じない。したがって、重要通信の妨害を受ける可能性が現実にあるわけです、この法程度では。まあ早い話が、先ほど御説明のあった長野の問題なんかにしても、いや従来からの建築基準法から言ったって、私のところは建物はせいぜい三十一メートルなんですよ。だから、別にそんなことには応じませんと言ってやられた場合にはどうなる。これは直ちに重要通信がストップしてしまいます。そういう問題を規制することは全然できないのですね、この改正程度では。そういう重要な問題どうなりますか。
  253. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 確かに、その法律によりましては、そういうものはできないわけでございますが、やはりそういう建物が建ちますにつきましては、相当の期間要しますのでございまして、建物が建つという情報を入手したときに、直ちにそれに対しての対策を立てるというようなことになりますならば、また特別にそれが重要通信であるならば、直ちにそのときから別のところに通信所を措置するというようなことも考えられるでございましょうし、やはり相当の期間がそこにございますので、急に降ってわいたようなわけではございませんので、そこら辺はよく免許人のほうといたしましても、ことに重要通信を持っております無線免許人といたしましては、そういう面についてもよく考慮に入れられまして、早目早目に手を打っていただくということにならざるを得ないと思います。
  254. 久保等

    ○久保等君 いまのような議論は、立法論上から説明にならぬと思う、答弁にならぬと思うのですよ。だから、将来高い建物が、三十一メートルなり四十三メートル以上の建物が建つ問題よりも、当面そういう問題が一番重要な問題としてあるんじゃないですか。その問題については、この法律は全然何の効果もないということになると、何かこの法律案はきわめてざる法みたいな法案ですね。何でしょう、相手の善意、相手が待ってくれるであろうという期待しかないので、法律上そういう場合に、それこそ二年なり三年なり待たせるということも、これはできないのですね、この法のたてまえから言って。ところが、実際問題として今後相次いで起こるであろうと思われる問題は何か。私はそういう問題がむしろ多いのじゃないかと思うのですが、それが、県が中に入って、相手方が良識をもって、じゃしばらく待ちましょうということで待てば、比較的問題は何とか解決しようものの、法律上どうこうすることもできないのですから、相手方が、何を言ってるのです、私のほうでは今度この計画を立てて許されている範囲内の建物を建てるのですからそういう話し合いには応ずるわけにいきませんと出られたら、どうにもならない。しかし、実際問題としては、重要通信がストップしてしまう。かりにそれが一日、二日でもたいへんな問題でしょうが、ましてや二カ月、三カ月になればゆゆしい問題になる。そういうことに対して、何らかの立法措置が講じられないということは、たいへんな問題じゃないですか。
  255. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 確かに、いまおっしゃるような事態が出てまいりました場合には非常にゆゆしい問題と考えますが、先ほども御説明いたしましたように、東京都内で六十回線ばかりのマイクロ回線がございますが、三十一メートル以下のアンテナは、そのうちに現実に申しますと四つくらいしか三十一メートル以下のアンテナはないわけでございまして、そういうようなアンテナにつきましては、免許人側におきまして、もしそういう事態が起こって困るということを考えられるならば、直ちに措置もしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  256. 久保等

    ○久保等君 例はいま東京の場合をあげられたのですが、東京の場合は普通常識的に言っても比較的高い建物が建つのだ、ましてや三十一メートル程度の建物はこれはむしろ常識と言ってもいいくらいの私は都市だと思うのです。ところが、特に問題なのは、先ほど電電公社の場合における二十五局程度というものは、おそらく地方の県庁所在地ないしはそこまでいかないような都市ですね、こういったようなところにはおそらく二十メートルか三十メートルくらいあたりの高さのマイクロが必要じゃないかと思うのです。そういうようなところでは、おそらく問題になることが十分に考えられるでしょう。ところが、その場合に、あくまでも相手方の善意と良識に訴えていくという問題の解決しか実はないわけですね。法律上これをどうこうすることは全然できない。話し合いをする余裕そのものが十分なくて、何らかの、それこそ重要通信であるから保護せられなければならないのに、保護する立法上の措置がとられておらないということになると、私は、高い五十メートル、六十メートルの建物が将来建つであろうから、その問題に対する立法措置を講じておかなければならぬということでこの法律提案せられておる、そのことはもちろんけっこうだし、必要だと思うのです。しかし、それより以上に、当面それまでの低いところについて問題になった場合に、それはもう昔から建築基準法上許されておった程度のことについてはやむを得ないのだ、だから電波が逃げるだけなんだなんといったって、やはり若干の逃げる余裕期間がなかったら逃げられませんからね。その間に現有の通信線がとまる事態が起こる。それについて、当面緊急の問題として何かのそれをも含めた措置を講じなければいけないのじゃないですか。
  257. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生の御指摘の点はよくわかるわけでございますが、都内の場合におきましても、いま申しましたように、大体三十一メートル以下のアンテナというのは非常に少なくて、大体三十一メートルをこえて、平均として四十五メートルというようなことでございまして、従来も三十一メートルまでは建築基準法で確認だけで建てられるということがございましたので、免許人のほうといたしましても、特別に経済的な負担がどうこうという場合を除きましては、やはり三十一メートルをこえる程度の高さのアンテナは建てているということが言えるかと思います。電電公社の実際上の二十五局ということにつきましてのその高さは、おそらくそういうことは十分に考慮された高さであろうかというふうに考えるわけでございます。
  258. 久保等

    ○久保等君 いまの答弁も推測の程度を出ない御答弁ですが、いなかなんかで低い建物がほとんど見渡す限り建っているというようなところで、なおかつ四十メートルか五十メートルなりの高さで全部建てておるというふうには思えないのです。それから、これはひとり電電公社のみならず、その他のマイクロもあるわけですから、要するに現在支障がなければいいじゃないかというような程度の判断のもとに高さをきめてお建てになっている。さっきの電電公社の施設局長のお話を聞いても、大体そういう程度の判断で建てられたようなお話だったと思うのです。いま電波理局長の言われるように、必ず最低は何メートル以下のものは建てちゃいけないという方針のもとでやっておるという御答弁じゃないでしょう。私もおそらくそうだろうと思うのです。いままでのところは、高くすればするほど金がよけいかかりますからね、何と言ったって。だから、技術的に支障さえなければこのあたりでというようなところで建てられているので、それが何メートル以上でなければならぬというような判断でおそらくやられていない。ここで先ほどお尋ねしても、具体的な局のアンテナの高さの御答弁は願えなかったのですが、また後ほどそういったことについては資料をお出し願うことになっていますけれども、そういう資料をおそらく私は検討せられれば、従来の建築基準法のもとにおいて問題がある点が非常に大きいと思うのです。それからまた、これが非常に緊急な問題だと思うのです。主として存在するのじゃないかと思うのです。だから、そのところをも含めた何か重要通信に対する立法措置でなければ——ないよりはあったほうが、この程度法律案でも、将来できる問題に対して若干の緩和剤になりますから、ないよりはましだと思うのだけれども、重要なのは、それより以上に当面の問題、すでにあるマイクロのアンテナ重要通信をいかにして確保するかという問題として、これは将来陸続として出てくるような気がしますがね。電波理局長の少し認識が私は足りないと思うのですが、どうですか。  もう一ぺん施設局長にお尋ねしますが、どうでしょうか、私のいまお尋ねしておる点、そういう心配はありませんか。
  259. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 私のいま大事な資料を手元に持ち合わせないのですけれども、事前にちょっと調査したところによりますと、きわめて近い将来に五十局ばかりは……。
  260. 久保等

    ○久保等君 五十局ですか。
  261. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 問題になるのは、札幌、新潟、大阪、東京の渋谷、宮村町といったようなところはきわめて近い将来に問題が起こるのじゃないかという心配をしております。
  262. 久保等

    ○久保等君 先ほど御答弁になった二十五局くらいはそのおそれがあるというお話だったが、二十五局くらいという見当をつけられるくらいだから、二十五局くらいについてはアンテナの高さはわかるでしょう。いまここで手元になければ、ちょっとお調べになればわかるでしょう。どうなんですか。
  263. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) いま調べさしておりますので……。
  264. 久保等

    ○久保等君 できれば、そういった事実をもとにして答弁を願いたいと思うのですが、ないだろうと思いますとか何とかいうことじゃなくて。
  265. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先ほど東京につきましては、六十局ばかりの間に四局ばかり三十一メートル以下のアンテナがあると申し上げたのでございますが、大阪市内のマイクロ回線につきましての手元の資料によりますと、電電公社の建物は全部五十メートル以上のアンテナでございまして、それから警察庁のほうが六回線ばかりございますが、これも全部最高は四十五メートル、最低三十七メートルでございます。建設省のほうも大阪市内におきましては三十五メートル以上、関西電力は非常に高くて六十八メートルから七十三メートルくらい、全部で二十四回線——日本国有鉄道に二十九メートルという程度のものと二十五メートル程度のものがありまして、このうち二回線ほどが大阪におきましては三十一メートル以下のアンテナでございます。  それから、名古屋市内の例によりまするというと、電電公社のマイクロウェーブの空中線の高さは、回線といたしまして六回線——六回線といいますのは六ルートのことでございまして、回線数は非常に多いのでございますが、六ルートが全部五十メートル以上のアンテナでございます。警察庁は三回線でございますが、これも四十五メートルないし五十一メートル、それから建設省関係が三ルートのうち二ルートが二十メートル程度のものがございます。  それから関西電力及び中部電力は、関西電力が二回線、中部電力が約十回線ございますが、これは全部三十一メートル以上、大体七十メートル以上の非常に高いものになっておるような次第でございまして、従来からも三十一メートルというのは建築基準法の制限でございましたので、やはりいまの三都市の例によりますと、その程度の、まあ一割くらいの程度のものがそのように三十一メートル以下のアンテナを建てているというような現状かと考えるのでございます。
  266. 久保等

    ○久保等君 だから、私のことにお尋ねしようとするのは、地方のそういう大都市の——三大都市あたりはまあどちらかといえば比較的アンテナも高くしておるのでしょうが、しかし、問題なのは、やっぱり中小都市へ行けば行くほど——あまり小都市というのはどうかと思いますが、中都市くらい、県庁所在地ないしはそれに準ずるくらいのところ、そういったところを具体的にお答え願いたいのですが、まあデータがないから、そういったことであまり議論をしても始まらないのですが、いずれにしても、いまの問題にしても、一割くらいの問題についての立法上の保護措置をどうするのだといえば、それは当然電波のほうで何とか逃げるように措置しなさいという程度の話にしかならぬのですわね。事それこそ重要通信に関することなんだから、そういったものに対する、逃げるにしても、逃げる程度の余裕期間を置けるような立法上の措置は、当然これは考えなければならぬ問題じゃないですかね。だから、そこに立法上の、立案上の不備が当面の問題としてあるのじゃないかという点を私は指摘しているのですがね。関連質問ですから、その問題は保留をしておきます。  なお、どうもだんだんお尋ねしておればおるほど、どうも大事なところが抜けた法律のような気がするのですがね。
  267. 野上元

    ○野上元君 いま久保委員も執拗にその問題で質問されておるのですが、私どももどうもその点がひっかかってしょうがないのですがね。いままで建築基準法というものがあって、そうして三十一メーターという制限があって、当時マイクロウェーブはなかった。そうして二十七、八年ごろにできた。したがって、マイクロウエーブは、これは逃げていくというのはあたりまえのことだと思うのです、向こうのほうが先にあるから。今度はこれができるわけでしょう。できた場合には、それを適用するということになるわけですね、一般に。その重要通信の走っておる回線はどこどこだというふうに一応の適用をするということになれば、これは一応法律ですから、当然これを避けなければならぬのだけれども、しかしながら、先ほど来のお話のように、協議はするけれども、最終的に建てられた場合にはこれはどうしようもない、罰金だという程度なんですね。そうすると、現実に建つということになれば、それはあるかないかわかりませんが、強引に建てられた場合には、久保委員が言うように、重要通信がとまるわけですよ。その場合には、その建物を取りこわすということはできないと思うのですね。そういう強制はしていないわけですね。でなくて、やはり電波は、これは逃げなければならぬ。現実の問題として、けんかして負ける。そうすると、この電波が逃げる場合には、電電公社なら電電公社なりに命令を出して電波を逃げさせなければならないわけですね。この場合、電電公社は、こういう法律があるにもかかわらず、向こうは強引に建てられて、そうして電電公社のほうに逃げろという命令が出た場合には、電電公社の先ほどのお話じゃないけれども、数千万円から数億の設備投資をして逃げなければならぬというのが、どうもおかしい、割り切れぬような気がしてしようがないのですが、その点を一体厚生省はどう考えられておられますか。
  268. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波を守るべき立場にあるわれわれといたしましては、両先生の御指摘はまことに胸の熱くなる思いがするわけでございますが、そういうことに対して実際上この法律といたしましてどういうことをいたす、法文化するときにどうするかと申しますと、そういう障害になるおそれのある建物を、協議がととのわないうちに建築した場合において、これに除却命令が出せるか出せないか、これに帰着するかと思うのでございます。そのことにつきましても、この立法の経過におきましては、われわれ事務当局といたしましては検討をいたしたのでございますが、現在の憲法の私権の制限という条項、公共の福祉によって制限ができるという条項から考えてみまして、この法文にありますように、時間的に制限をするということが——片方が所有権である、片方が先ほどから申し上げておりますように単に周波数というものを使わしてもらっているというそういう立場にある、そういうようなことから考えまして、やはり私権というものが非常に強いのでございます。現在の法律上の解釈におきましてはそういう除却命令を出すことができないというように、法制局等とも相談の結果こういうことになった次第でございまして、決して心持ちにおきまして全然そういうことを放てきしたわけではございませんので、尽くすべき、できるべき方途につきましてはいろいろ考えたのでございますが、結論的にこういうことになっておる次第でございます。
  269. 野上元

    ○野上元君 郵政大臣にちょっとお聞きしたいのですが、こういう疑問がみんなあるのですよ、逓信委員のメンバーにはね。それで、郵政大臣の見解をお聞きしておきたいんですが、今朝あなたもおっしゃっていましたが、まあ公共の福祉と私有権の調整をどの程度にするか、この問題だと。そして、この程度でやむを得ないというふうに考えられておるようですがね。いま私が申し上げましたように、従来建築基準法が先行しておる場合には、これはもう当然こちらが逃げていかなければならぬというふうに考えますが、この法律ができた以後においては、明らかにこれはこの法律に国民は従がわなければならないわけです。ということになれば、当然あなたのほうの建築中止の命令があった場合には、これは中止しなければならぬと思いますね。ところが、強引に建てた場合には、もう罰金しか科すことができなくて、こちらが結局泣き寝入りをして、電波が逃げていかなければならぬ。そして電波の施設を持っておる人には数千万ないし数億の損害を与えなければならないということになるんですが、そういう程度でもやむを得ないというようにお考えになっておりますかね。
  270. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ただいま御指摘のように、やはりこの問題は、根本論としましては、私有財産権と公共福祉によるこれが制限というものをどの程度に調整するかということに問題はあろうと思っております。  そこで、建築基準法は、私も非常に詳しくは通じておりませんが、昭和二十五年に制定され、自来何回かの部分的な修正があったようでございますが、従来三十一メートルという一応の基準が置かれて、これによって建築基準法による国の監督あるいは保護がなされてきたわけでございます。その間において電波通信も非常な躍進を遂げてきたのでありまするけれども、今日までのところでは、もちろん支障は皆無とは申しませんけれども、著しい支障があって非常に困ったという事例は比較的少なかったように承知をしております。そこで、従来建築基準法によって認められておったこの三十一メートルという高さを一応の目安として私どもも考えていくということは、これはやはり行政上の観点から自然の行き方であろうと思っておるのであります。しかしながら、今回建築基準法改正によりまして、さらに容積地区が設けられて、ここにおいては三十一メートル以上の高層の建築が可能になってきたと、こうなりますると、電波通信の上においての支障が非常に増大をするであろうということは当然予測されるわけでありまするので、この機会に今回御提案しておりまするような改正をはかったわけであります。   〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕 しかしながら、この改正ではたして十分であるかどうか、手ぬるいではないか、こういう御意見も私は確かにごもっともな点があると思うのであります。もっと強い制限を加えて、あるいは建築自体も、この電波伝搬上の障害になるものは建築を禁止するくらいの規定をしてもいいのではないかという所論も一応私はできるかと思います。しかしながら、それはあくまでこの電波による通信ということを主眼に置いて、その立場からの立論でございまして、今日の社会生活の全般から考えまして、はたしてそれが妥当であるかどうかという問題が非常にむずかしい問題でありますけれども、立法論として十分に考えていかなくちゃならない問題であろうとこう思っております。それにはやはり、社会的な一般の通念と申しましょうか、あるいは法律思想における公共の福祉というものの重要性がさらに一段と進んでいく場合の考え方というようなものもここで十分考慮に入れていかなければならないのではなかろうかと、こう思っておりまするので、現時点においては、まず、不満足ではありまするけれども、この程度の調整しかできないのではなかろうか、こんなふうに考えております。  将来にわたりましては、私は、全体の趨勢としては、個人の財産権というものは公共の福祉のためにますます制限されるという趨勢にありまするから、したがって、このマイクロ通信等の重要性もいよいよ増大していくにつれて、建築基準法等における、それによる制限ももっと強化されてよいのではないだろうか、こんなように考えております。  お答えになったかどうか知りませんけれども、いまの時点においてはまずこの程度でがまんするよりしかたがなかろうと思っております。
  271. 野上元

    ○野上元君 私も電波の側にのみ立って論じてはやはり行き過ぎがあると思います。これは私有権の問題等とのからみ合いの問題も十分考慮しなければならないと思いますが、それにしても、何らか若干の電波のほうに少し大きな弱みがあるというような気がするわけです。特に、今後高層建築が建てられるようになりましたし、近代社会が発達すれば、いよいよ建物は高層化されてくるということも当然考えられるわけです。その場合に、この重要通信がストップしてしまうということがかりにあっては、これも重要な問題になるのではないかという気がするわけなんです。したがって、少なくとも、どうしても建てるというなら、こちらが設備をつくるまで、重要通信確保できるという見通しが立つまでは、その部分については実際に建てることをやめるとか、あるいはまたどうしても建てたいのだという場合には、通信施設の改善の費用の一端を負担しても建てるというようなことがあってもいいのではないかというような気がするのですが、きょうこれでいくらこれをやっても、結局あなたのほうでは、将来の問題としてはそういう点についても考えられるけれども、いまの段階において憲法上の権利義務から見てこの程度でやむを得ない、こう言われておるのですから、議論が発展しないと思います。発展しないと思いますが、将来の問題として十分に考えていただきたいと思うのです。かつて連合審査をやったときに、建設委員会のほうから強い発言があって、私有権の侵害まかりならぬということで、非常に強い発言があったのです。そのときに、郵政大臣としても、建設委員会の考え方については十分考慮していくということも言われておるわけです。しかし、それと同時に、この重要通信確保という点についても、これまた国民の生活にとって重要な問題なんですから、この点についてもやはり同様に、将来重要通信が阻害されることの絶対にないように、十分に注意をしてもらいたいと思うのですが、それらについては行政指導によって万全を期することができないとも言えないですね——完全にできるとも言えないが、できないとも言えないと思うのです。したがって、行政指導によって万全を期するという以外にいまのところ方法がないと思うのですが、その点についてひとつ見解を聞かしていただきたい。
  272. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この機会に、他の事案を例にあげるということは恐縮でありまするけれども、ごく卑近な例を申しますと、たとえば道路等を新設するような場合に、じゃまになる建物をどかさなければならぬ。そこで、昔から土地収用法がありますけれども、なかなか土地収用法の執行ということがいろいろなネックにぶつかって迅速にできないというようなことになって、一軒か二軒の家ががんばっておるために、道路の開通が非常におくれておるというようなことは、最近よく耳にするところでありまするが、そのためにまた特に緊急措置というようなことを講じた例もあるように聞いております。やはり現実にそういう場にぶつかってみますると、やはりこれでは法は不備である、もっとこれを強化しなければならないという社会的な空気が盛り上がってきまして、相当強い立法をいたしても国民が納得するようなことになるのではないか。現に、今度の場合におきましても、まだ幸いにして、高い建物が建築されたために重要通信が非常に妨害されたという事例があまりないのでございまするが、しかし、将来こういうふうな事例がもしそのおそれがあるとすれば、その際に、国民にも訴え、また社会的な世論というものも盛り上げていきまして、この電波法をさらに強く改正するということも、必ずしも私は不可能でない、こう考えております。そこで、とりあえずは、その間の措置として、行政措置をもってなるべく趣旨を生かそう、こういう考えなんですが、そのために、今回の改正において、第百二条の十という一条を入れまして、「郵政大臣及び建設大臣は、第百二条の二から第百二条の八までの規定の施行に関し相互に協力するものとする。」、こういう一項目を入れました。今日までかような例は他の法律におきましてもきわめてまれであると思いますが、かような規定を入れましたのも、その趣旨はただいま申し上げましたところに存するのでありまして、建設省とも十分に実施の面においては協力し合って、そうしてあくまでもそういう不当な無理の通らないようにしてまいりたいと、こう考えておるわけであります。やはり私どもといたしましては、あくまで、国民は法を守るものである、また良識をもってかような場合の措置には協力をしてお互いに話し合いをしてもらえるものである、こういうことを一つの前提にして考えておるのでございまして、非常に甘過ぎるという考えもあるかとも思いまするけれども、私どもとしては一応そういうふうに考えてかような改正を企てた次第でございますから、その辺のところを御了承いただきたいと思います。
  273. 野上元

    ○野上元君 これは電波理局長でも、電電公社でもいいのですが、お聞きしておきたいのですが、将来建物が高層化してくるということは当然予見できるわけです。そうすると、いまの設備では当然、重要通信確保するということは、一〇〇%は不可能になる可能性があるわけです。したがって、そういう将来が見通せるならば、いまのうちに設備を改善をして、そうしていままで三十一メートルではやっていけたというように、将来八十メートルなら八十メートルというものを見越して設備を逐次切りかえていくといいますか、改善といいますか、そういうことを考えておられるかどうか、また郵政当局としてはそういうことを各設備を持っている機関に準備命令を出されるか、その点を聞いておきたい。
  274. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまの御指摘のとおり、二年ないし三年というものがございまして、その間に措置をいたすという猶予期間はございますけれども、まあ非常に極端な例かもわかりませんけれども、そのまわりを全部非常に高い建物が取り巻いてしまうというような事態が起こったときには、確かに逃げようもない事態が出てくるかもわかりません。また場合によりましては、公衆通信の用に非常に多重な回線、通信路を非常にたくさん持っておりますような回線につきましては、三年という期間においてそれでもなお必ずしも十分でないということもあるかもわかりません。そういうようなことにつきましては、十分に重要通信の疎通をとめないというそれぞれの免許人の公共の責務があると思うのでございまして、それに従いまして事前の対策はしていくようにわれわれとしては指導していくべきものだと思います。また、今後できますところのマイクロウエーブ、今後免許いたしますマイクロウエーブにつきましてはそういうような危険を十分考慮したかどうか——そういうような点も十分考慮の上免許をいたす。特に省令にそういうような点もうたいまして、今後の重要通信の疎通については万全を期していきたい、かように考えております。
  275. 平山温

    説明員(平山温君) 電電公社からお答えいたします。  高層建築物によって電波が妨害を受けることを考慮して、既設のアンテナあるいは今後つくる場合にどういうふうに考えているか、こういうお尋ねだと思いますが、まず今後の問題につきましては、いろいろ御審議の経過もずっと拝聴さしていただいておりますけれども、三十一メーターの上に、先般来お話のありました八分の一の高さでございますが、十二メーターのところは、従来の建築基準でもって建てられたこの分については届け出の対象から一応除外していいと思う、こういうお話もありますので、今後つくるものにつきましては、特に大都市等におきましては、三十一メーターにプラス十二メーター、したがいまして四十三メーターになりますが、一応その高さのもの、それまでのものに対しては妨害を受けないようなものにつくってまいりたいと思っております。  それから、それ以上どのくらい高くするかにつきましては、容積地区のものにつきましても、御承知のように、全部がそういうふうになるわけでございませんので、特定の指定されたところだけかと存じますので、四十三メーター以上につきましては、これは経済問題もございますので、やはり高ければ高いほど経費もかさむことでございますので、一応四十三メーターまでの建物によっては——四十三メーターと申しますか、三十一メーター、プラスその八分の一の十二メーター、要するに従来の建築基準法で認めている建物によっては妨害が起こらないように、今後つくるものについてはやってまいりたいと考えております。  それから、既設のものについてはどうかと申しますと、やはりこれも、先ほど来お話のありますように、在来の建築基準法で認められた建物においても妨害を受けるおそれのあるものが確かにございますけれども、これを一気に全部四十三メーターまで上げてしまいますことも、やはり、金さえかければできることでございますが、ほかのほうの電話架設のほうも考えなければなりませんので、私どもといたしましては、その地況に応じまして、そのおそれが近い将来にあるかないかということをよく勘案いたしまして、それを移設しますときに、手を入れますときには、やはり新設と同じように、どうせ手を入れるときには、何べんも手を入れるということはむだでございますから、四十三メーターまでのものについては妨害が起きないようにいたしたい。ですから、既設のものにつきましては、状況に応じて整備をする機会に新設と同じ考え方でやらしていきたい、かように思うわけでございます。  それからちょっと、お尋ねがなかったのでございますが、既設のものについて届け出から除外された場合に公社としてどうかというようなことにつきましては、もちろん電電公社としても、電波を守っていただきまして、届け出の対象にしていただければ一番けっこうでございますけれども、しかし在来のいろんな経緯もあることでございますので、それを全部届け出にしなければ、どうしてもやっていけないかといいますと、いままでも法律なしで話し合いでやってまいりましたから、届け出の対象にしていただいたほうがけっこうではございますけれども、いま郵政省でお考えになっているように、省令の対象として、これを省令によってその届け出の対象から一応除外されるようなふうに指定されましても、私どもとしましては、その建物を建てた方といままでのように十分話し合って、電波の疎通に支障のないように運用によってやってまいりたい、かように思います。
  276. 野上元

    ○野上元君 最後にお聞きしておきたいのでありますが、御承知のように、さきの逓信、建設連合委員会におきまして、建設委員である田中委員のほうから、本法の一部を改正する法律案に対する修正の意見が出されたのは、御承知のとおりでありますが、これについて逓信委員会の中で論議をし、結論を出す、こういうことにきまっておるわけでありますが、郵政当局としてはこの修正意見につきましてどういうふうにお考えでしょうか。
  277. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 先般の逓信、建設連合審査の際に、建設委員会のほうの田中委員から御発言があり、修正の御意見が出たことは、承知をいたしております。田中委員の御意見では、政令をもって高さについての制限に関する事項を規定すべきであるという御意見であったように承っておりますが、私どもの立場といたしましては、これらの問題については、比較的軽微な問題であり、また私どもとしてはあえて建築主に対して不当な不利益を与えようというような考えはもちろんないのでございまして、あくまで重要電気通信を守っていきたい、こういう考えで改正を考えておるわけでございまするので、その辺のところは、建設省意見も十分に取り入れながら、郵政省令によって定めていけば十分である、かように考えております。
  278. 野上元

    ○野上元君 田中委員からは、特に政令にしてほしいという理由は、建築基準法施行令というのが政令であって、それによっていろんな問題がきまっておるのだから、それに若干でも制限を加えるような考え方をするならば、当然この政令でやってもらいたい、こういう意見でありましたが、省令によって十分その点はやっていける、こういうふうにお考えですか。
  279. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 田中委員政令によるべしという御意見も、私は意見としては確かにそういう意見もあり得ると思います。決してこれを否定するものではございませんが、われわれの考えでまいりましても十分にその趣旨は通すことができる。郵政省令によりましてはっきりと田中委員の心配されておるようなことを規定いたしまして、十分その心配のないようにしていくことができる、こう考えております。
  280. 野上元

    ○野上元君 田中氏もおそらく私有権の保護について考えておられるのだと思うのです。したがって、問題は形式よりも内容だと思うのです。したがって、建設委員会の各委員が考えておられるような目的が達せられるならば、省令でやられるということについてもそう大きな異論はないというふうにも考えられまするけれども、特に非常に強く要望しておりましたので、この際お聞きしておきたいのでありまするが、郵政当局建設省との間に届け出の除外例について一応の話し合いがなされておるということが言われておるわけでありまするが、それを一応私持っておりまするけれども、一応の説明を願いたいと思うのです。
  281. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先ほどの参議院におきまする逓信、建設の連合審査会のときにも御説明したことと同じことに相なるかと思うのでございますが、この届け出の除外に関する省令といたしましては、建築基準法の施行令の第二条第一項第五号ロまたはハに規定してございます屋上部分または屋上突出部、そのようなものがあることによって高さが三十一メートルをこえることとなる建築物、これを省令によって除外いたしたいと、届け出の義務から除外することにいたしたいと考えております。  第二に、建築基準法の第六条第一項ただし書きに規定してございます増築、改築または移転にかかわる建築物、先ほど御議論がございました十平方メートルの問題でございますが、その部分につきましても届け出の除外をいたしたいと、そういうふうに省令で定めたいと、このことを郵政省建設省との間において十分打ち合わせの上、確実に合意してございます。
  282. 野上元

    ○野上元君 法制局の方見えておりますか。ちょっとお伺いいたしますが、いまのような届け出の除外を規定するのに、こういう省令によってもやり得るのですか。
  283. 村田育二

    ○法制局参事(村田育二君) いまお話しのような事項を、第百二条の三第一項で書いてあります「郵政省令で定めるところにより」という文言によって規定し得るかどうかという問題に限定してお答えいたしますと、この「郵政省令で定めるところにより」という文言がそれ以下のいろいろ書いております字句に広くかかっております関係上、それから普通たとえば「郵政省令で定める手続に従い」というふうな文言でかりにあるといたしますと、それは純然たる手続事項だけが委任されているということになりますけれども、「郵政省令で定めるところにより」というような書き方でございますと、内容的な要件についても書き得るというのがわれわれの一般に理解しているところでございますが、そういう意味合いにおきまして、届け出を要する範囲、逆に言いますれば、届け出を要しない範囲も「郵政省令で定むるところにより」という表現で書くことは可能であると思います。   〔理事松平勇雄君退席、委員長着   席〕
  284. 野上元

    ○野上元君 要するに、省令でやる場合には、建設関係の方々がこれに関与できなくて、郵政省が独断で一方的にやり得るという立法論からする心配があるわけであります。これはもっともなことだと思うのです。私どもも、電波を保護するに急にして、他の権限を侵すというようなことはやはり考えたくないと思うので、その点は十分に私たちも了解できるわけです。政令でやるということになれば、閣議の中でいろいろと議論が出てきて、そこできまるのですから、より心配がない、こういうことだと思いますが、いま法制局のほうの見解を聞いても、省令でこの程度のものをきめることは可能であるということでありますし、ということになれば、ここで一々この法を改正して修正をしてというようなことはやらなくてもできるということになるわけですが、先ほど言ったような心配がありますので、どうかひとつ、今後私有権に若干でも触れるような問題がある場合には、かりに省令で定めるとしても、十分建設関係意見を徴して協議をしておやりになるように、特に私のほうから希望をしておきたいと思うのですが、その点についてひとつ大臣から御所見を伺いたいと思います。
  285. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この点につきましては、私どももきわめて慎重に今後取り扱ってまいりたいと思います。すなわち、この省令におきましては、むしろ建築主の届け出義務を緩和することになるわけでありますから、決して法律の趣旨に反するものではございませんし、また第百二条の十に特別に郵政大臣と建設大臣の協力という事項も規定されておりまするので、その精神から申しましても、この省令の立案にあたりましては、十分に建設大臣と協議をいたしまして、実質的にその意見を取り入れまして、この省令を定めてまいりたいと、こう考えております。
  286. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本日はこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会    ————————