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1964-03-26 第46回国会 参議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            郡  祐一君            白井  勇君            野田 俊作君            最上 英子君            安井  謙君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会副    会長      前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会専    務理事     赤城 正武君    日本放送協会専    務理事     春日 由三君    日本放送協会専    務理事     栃沢 助造君    日本放送協会主    計部長     志賀 正信君    日本放送協会経    営第一部長   野村 忠夫君    日本放送協会人    事部長     加藤 俊三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件についての審査を進めます。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 横川正市

    横川正市君 ちょっと大臣に、私は、議会であなたのほうに質疑をされたものが、今度逆用されて、議会発言がそのまま今度は他の会議でもって批判をされたり、あるいはそれに対して対策を立てられるということについては、非常に迷惑ですし、それからそういうことは、一体郵政省管理上の問題として、どういうふうになっているのかという点について、まず最初に聞きたいと思うのです。  それは、前回、私が当委員会に、特定局長会幹部参考人として呼んでいただきたいということに関連をして、いろいろ質疑を行なったわけでありますけれども、最近、関東で行なわれております特定局長会内容を見ますと、まず第一は、私ども発言に対しての批判が相当活発に行なわれておる。それから第二は、すでにもう対策として、文書は出さない、口頭でもってこれは伝達をするという、いわゆる次善の策が行なわれておる。それから第三番目は、西村事務次官が次期の参議院選挙に出るための対策が論議をされておる。第四番目には、少なくとも会計経理については、どの会合でも明らかにしないという点を了解をとってあります。  私は、以上のいわゆる私ども質問関係して行なった事実について、一体管理者立場にある郵政省はどういうふうにお考えですかという点を質問し、その調査方を依頼したわけでありますけれども、そのことが即特定局長会に伝わって、そういう次善対策が立てられておるという点について、私はきわめて遺憾だと思うのでありますが、一体、いま私のほうからあげました四点について、まずもって大臣からの所感をお伺いしたいと思います。
  4. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 特定局長会というのは、私から申すまでもなく、特定局長諸君が任意に結成している団体であります。したがって、これは郵政省が認可しているものでも何でもございません。したがって、特別な監督もいたしておるわけではございません。ただいま御発言になった四項目ということにつきましては 私は具体的に存じておりません。したがって、その局長会の中でどういう話がなされたか、あるいはまた、どんな決議がなされたか、そういうようなことは私としては関知していない、こう申し上げるよりしようがないと思います。
  5. 横川正市

    横川正市君 たとえば、先般、私が局長会文書等を示してあげました内容については、局舎料値上げであるとか、八月八日の西村次官通牒によって、高度の政治工作や、あるいはばく大な資金が使われたという点について、大臣もそれがほんとうならば遺憾であるという点を表明されたわけであります。それに関連して、第一項目は、文書通知はいたさないという会議の取りきめが行なわれ、それから第二は、資金の使われている点については、これは明確にしない、これを了承してもらいたい等々のそういう前段から、私は一番心配するのは、来年の五月に予想される選挙西村次官の立候補が実現した場合、いまは仮定の問題ですからお答えできないと思いますが、実現した場合に、これはどういう結果になると大臣としてお考えになりますか。
  6. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 西村事務次官が明年立候補するとかしないとかいうような問題は、全然私は承知しておりません。
  7. 横川正市

    横川正市君 私は、経過をただしながら、結果について聞いているわけなんです。あなたのいまよき補佐役である事務関係事務次官が、私が前段指摘をいたしましたように、事実を明らかにして、行なわれておる内容を、あなたが、まあそれが事実ならばきわめて遺憾だということを言われたわけです。その遺憾な問題と今度は結びついて具体的なものとして出てくるのが、西村次官が来年の五月に参議院全国区から立候補する、こういう問題に結びついた場合、私はいよいよもって高度の政治工作、ばく大な資金が使われるというものと、これは前後して結びつくものだと思うのであります。きわめて遺憾だと思うのですよ。  この点については、私は後刻明らかにしたいと思うのですけれども、実際問題として、私どもがこの委員会で行なったら、すぐいわゆる証拠隠滅のごとくに関東全域で行なわれております。しかも、出席をしているのは、名前を言いますと、山梨県の向山という副会長です。そしてその副会長は、速記録をとらせない、あるいは会議の明細について報告をしない、金銭授受について明らかにしない——しかし、私のところには、資料として金銭授受の明確な資料が出ています。そういう事実が明確になってきておるという点について、大臣はどういうふうにお考えでしょうか、私は、管理監督者立場にある大臣から責任ある御回答をいただきたいと思うのであります。
  8. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 先ほども申し上げましたように、私の監督下にある団体というわけではなく、その団体は任意的に局長が組織しておるものであろうと存じます。したがって、その団体内部においていかなる決議をなしましょうとも、それについては私も取り調べるというふうな権限も法律的にございませんし、親睦的な団体であるというふうに聞いておりまするので、自主的にいろいろ話し合いをなされても、それは自由であろうと存じます。
  9. 横川正市

    横川正市君 私は、集まって話し合ったことについてとやかく言ってるんじゃないんです。その集まって行なわれたことが、結果的には、あなたのほうのいわゆる監督立場に立つものにとって、それはいいとか悪いとかいう判断があったから、その判断に基づいて、その後の私は経過から、あなたの所見をお聞きをいたしておるんであって、私的な団体だから知りませんということだけでは、私は責任はのがれないんではないかと思いますが、もう一度ただして自後の問題に入っていきたいと思います。
  10. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま御質問の御趣旨が私よくのみ込めないんでありますが、さような私的団体でいかなる決議をなし、いかなる話し合いをなしても、それは私の干渉すべき範囲内でないということはいま御了承になったようでございますが、その決議の結果、何か金銭でも動いたようなお話しであり、それが現役の国家公務員である私の部下が収受したとか、そういう具体的な問題になれば、これは私として十分取り調べる必要があると思うんですが、単にその団体内部話し合いというようなことについては、私は責任を持つ立場におりませんから、何らそれに対しては監督をすることはない、そういう点を申し上げたのでありまして、ただいま御質問になった趣意が、私ちょっと十分くみ取れないのでございます。
  11. 横川正市

    横川正市君 私の前段質問については、これは前回お答えになっているから、この点については、大臣が、たとえば新たな見解でのきょうの答弁だということにはならないと思うんです。前段は、そういうことがないと思うけれども、もしあったとすればきわめて遺憾なできごとである——私は、そういう前段から、あなたがこの委員会前回答弁になったそれを根拠におきながら、その後の出方というものについて質問をいたしているわけであります。その中心問題は、これは文書を出さないとか、金銭授受の出納を明らかにしないとか、こういう問題ではないのであります。それは、あなたが遺憾だと言った高度の政治工作や、それにばく大な資金を使ったという事実と、その使われた目的は何かといえば局舎料値上げと、それから昨年八月八日に出された西村次官通牒をめぐって使われたということが明らかになっているわけなんです。しかも、その金銭授受が明確に証拠として出ているわけです。その当面の責任者が来年の参議院全国区に出る、こういう結果になったときにあなたはどうしますかと、私は、仮定の問題でありますけれども、お聞きをいたしておるわけです。
  12. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私も、さようなことはもちろん想像もしていないのでありまするが、せっかく、あなたのお話もありましたので、念のために西村事務次官に、君は特定局長会から金をもらったかと尋ねましたら、そんなことはばからしい話で、全くもう事実無根であると、こう言って一笑に付しておりました。  さらに、第二のお尋ねの、来年の参議院選挙西村事務次官が立候補するかしないかということは、これは本人の自由でありまして、立候補したいと思えばするでありましょうし、したくないと思えばしないでありましょう。何ら私とは関係ありません。また、本人自由意思を私は拘束する権利もございません。
  13. 横川正市

    横川正市君 あなたの答弁は、非常に私の真意を曲解して反発されているようだけれども、私は、事実に照らして、これは後刻明らかにするつもりです。しかし、実際問題として、郵政省の中で金が動いたか、動きません、立候補しますか、そのことについてはしません、などというようなそらぞらしいことでここの答弁ができると思ったら大間違いだと思うのです。私どもは、少なくとも、きょう出た仕事が来年にどうなってあらわれてくるかということも想定しながら、事実について究明しているわけですよ。しかも、郵政省の行なった予算上の手当てとか、次官通牒とかいうものが、これが特定局長会の高度の政治工作としてばく大な資金を使って行なわれたということになれば、これはゆゆしき問題ですよ。しかも、それは私が言っているのでなく、特定局長会幹部が言っている。特定局長というのは、あなたの管理監督下にある人ですよ。そういう関連性で私は質問をしているのです。  しかも、この委員会にだれも出ておらないのに、なぜ関東特定局長会議を急遽開いて対策を立てなければいけないのですか。私は、あなたも一緒の同じ穴のムジナだとは思わないが、あなたは管理者立場だし、局長監督される立場だと思う。だから、郵政省特定局長会とツーツーでやっているなら別ですが、そうでないとすれば、監督者立場として、もっとき然たる態度をとるべきであるのに、とにかく、私のほうからどうですかと聞くと、それは私的のものだから知りませんと、のがれられる問題では私はないと思う。この点については、あとでまた具体的な内容で……。指摘されたということだけを覚えておいてください。出てきた事実について、あとから明確にしていきたいと思います。  そこで、議題に入りたいと思いますけれども、いまこの予算審議前段として、放送法改正について、これは民放連NHKも、ともどもに、現在の状態については、あきたらないというよりか、解決すべき幾多の点を持っているようであります。それから大臣は、臨時放送関係調査会に、十三項目にわたって改正についての意見というものを羅列的に並べて求めているようでありますが、当面のこのNHKから出された改正に対する意見と、民放連の出されました改正に対する要望等に対して、郵政当局、ことに古池郵政大臣として、どういうふうにお考えになっているのか、まず最初にお聞きしたいと思います。
  14. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 御承知のことと存じますが、臨時放送関係法制調査会に対しまして、郵政省昭和三十七年十月十一日に諮問をいたしております。その諮問内容についてまず御説明したほうがよかろうと思いますので、これを読んでみます。「諮問書、近年における放送国民生活に与える響影については多言を要しないところであるが、現行放送関係法令は十四年前の制定にかかるものであり、その後数次にわたる小改正は行なわれたものの、放送事業の発展と放送界の事情の変更を考慮するとき、この際、放送関係法制を根本的に再検討して、適切妥当な法制を確立する必要があると思われるので、改正案について、貴会の御意見を承りたい。」、これが諮問でございます。したがって、きわめて広範な内容諮問をいたしたのでありまして、具体的に項目をあげて諮問したというものではございませんから、その点、誤解のないようにお願いしたいと存じます。  その後、この調査会に対しましては、役所としましては、その庶務をお世話をするという関係で、事務を担当している者がお世話をいたしておりますが、その審議内容あるいは運営等については、何ら郵政大臣として干渉はいたしておりません。全く自由意思に基づいて自主的に運営されることを予想して、その結果適切な答申がなされることを期待しておるわけでございます。その間には、いろいろ参考人を呼んで意見も聴取されたように聞いております。また、郵政省に対しましては、何か意見があれば聞かしてほしいというふうな話もありましたが、私としては、それは少し順序が逆でありましょう。郵政大臣はこの調査会意見を聞いておるのであって、その調査会答申が出た暁において、これを十分尊重して初めて郵政省意見というものを確定するわけでありまするから、答申も出ない先に郵政省意見を出すということは、これは順序が間違っておる、こういうことをお話しして、意見を出すことはお断わりをいたしました。しからば、意見でなくとも何らかの問題点があるとすれば、そういう点についてひとつ参考のために聞かせてほしい、こういう御要望でございましたから、それでは、今日まで放送行政をやってまいりました上から、これこれのような個所は問題として研究の対象になるであろう、こう思われる点を若干書きまして、この調査会に提出をしたのでございます。したがって、これにつきましては、郵政省が右とか左とか意見を述べたわけではございませんので、その辺は、これまた誤解のないようにお願いをいたしたいと存じます。
  15. 横川正市

    横川正市君 一月二十四日に、臨時放送関係法制調査会松方三郎さんの会長であるこの会に、郵政省が、「放送関係法制に関する検討上の問題点とその分析」というのを掲げまして、相当具体的に、これは羅列的な方式をとったのではないかと思うのでありますけれども、具体的な内容を出されておるわけでありますが、これは法制調査会参考資料ということですか。それとも、基本的な問題については郵政省としてもある程度のものを持ちながら、この具体的な十三項目について、これは何になりますか、郵政省から提出された文書でありますけれども、この文書を一般にはどう理解したらよいのか、お伺いをいたしたい。
  16. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 調査会長のほうから、調査を進める上において参考としたいので、いかなる点を問題点として取り上げたらいいであろうか、それについての所見があれば知らせてほしいということでありましたから、私のほうでは、いろいろ問題はありましょうが、大体主要な問題点としては、かようなものが考えられるのではないでしょうかというので、あくまでも参考資料として、しかも問題点指摘したと、こういう意味においてその文書を提出したのでありまして、それは、よく読んでいただければ内容についておわかりのとおり、何らの意見を述べたものではございません。
  17. 横川正市

    横川正市君 郵政態度としては意見ではないと言われましても、これは意見ではないかと思うのでありますが、たとえば、NHK民放の二本立てに対して、それを基本であると、あくまでも基本であるという考え方でと、こう出ているわけですから、この郵政省から調査会に出された文書というのは、私はある意味での郵政省見解というものがあって、書かれたのではないかと思うのですけれども、そういうことではなしに、当面の問題を羅列しただけで、郵政省としての考え方はこの中には入れていない、こういうことでしょうか。
  18. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) そのとおりでございます。
  19. 横川正市

    横川正市君 それでは、郵政考え方をお聞きいたしたいと思うのでありますが、民放関係から出されている意見というものも、いろいろお聞きなっておられると思うのですが、まず、NHK協会側が昨年の十一月に出しました文書によりますと、相当広範な内容を持っておると私は思うのであります。  そこで、新しい法制については、郵政省としては、どういう日程といいますか、どういう経過を経て、いつごろまでに最終的な結論をつける、こういうお考え事務を進められておるのか、この点をまず第一点としてお聞きします。
  20. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これは、先ほど御説明いたしましたように、放送関係法制を根本的に再検討して適切な、妥当な法制を確立したい、したがって、これに対しての意見調査会にお聞きしているわけであります。その答申が、いまの段階において考えられますところでは、大体六月ごろには出るであろう、こう期待されます。その答申内容いかんにも非常によると思うのです。その内容が非常に大きな根本的な大改正であるとすれば、事務的にも、それに要する立法の準備というものには相当日数がかかると思います。また、さほどでないということになれば、自然、事務的な日数も少なくて済む、こういうわけでありまするから、その答申を見ないことには、私もはっきりしたお答えは今日はいたしにくいと思います。しかしながら、さような答申が出た場合には、できるだけ努力をして、すみやかにその趣旨を尊重しながら法制の原案をつくるということが必要であると思いますので、できるだけ早くやりたいとは考えております。それが次の通常国会に間に合うかどうかということになりますると、いまの場合、それをはっきり断言することは、私としてもできないと考えております。
  21. 横川正市

    横川正市君 この法制必要性については、それではどうお考えになっておるのですか。
  22. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) かような諮問をいたしておりまするので、これに対して答申がございますれば、その答申の線になるべく沿って法制改正をやるということは、これは当然考えねばならない問題であると存じております。
  23. 横川正市

    横川正市君 そうすると、いいものをつくるために、時間はかかってもしかたがないというお考え方ですか。それとも、緊急性があるので、その努力をして早期結論をまとめたいという考え方ですか、どちらですか。
  24. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) できるだけ早期にまとめたいと考えております。しかしながら、私は必ずしも拙速主義というようなことはとらないのであって、十分この答申趣旨を生かしながら、しかも時間的になるべく早く結論を出していきたい、こう考えております。
  25. 横川正市

    横川正市君 この法制の、何と言いますか、聞くにあたって、私のほうでも明確な答弁が得られないような状況じゃないかと思いますが、概略考え方を聞いておきたいと思うのは、現行法制の中に放送の持っております任務の観点からすれば、NHK指摘の事項の中には、放送社会的文化的意義に即した適切な配慮が払われていないうらみがある、こういうふうにNHK指摘をいたしております。それから民放考え方を見ますと、これらの点については、きわめて商業的な意味での改正意見というものは持っておるようです。  これらに対して、基本問題でありますから、NHKは、第一に、これは放送用にどれだけの電波を分配するかの問題で、単に電波監理立場から決定するのではなくて、放送社会的文化的意義における正しい認識が必要なんだ、だから、放送法制電波法制とは、これは分離をしてもらいたい、こういう考え方が第一に出ているわけでありますけれども、その分離をして、なおかつ運営については、将来は——いまこれは郵政大臣閣議でこの報告をするような処置をとっておられるようでありますけれども、新たに放送委員会というようなものをつくって、委員長閣議出席をして意見を申し述べられるというように、放送全体に対して委員会責任性というようなものも明かにしたいし、独自性あるいは自主性自律性というようなものも明確にしたい、こういう考え方を持っておるようです。私も概略これには賛成でありますけれども大臣としてはどうでしょうか。諮問中であるからというその諮問の中には、この点についてあまり明確でないように思いますし、この際ですから、郵政としての考え方をお聞きしたいと思います。
  26. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまの御発言も非常に重要な問題であると考えます。それらの重要な問題は、すべて含めて放送関係法制の再検討の中に含まれるわけでありまするから、調査会答申を待って、十分私も慎重に考究していきたい、かように考えております。
  27. 横川正市

    横川正市君 何といいますか、前段は、いろいろな必要性があって、こうしたほうがいいのではないかという意見なんです。私も大体その方向がいいのではないかと思うのですが、大臣としては、大臣の席からお答えするということは、この際ですから差し控えるということでしょうか。それとも、郵政としては、この点について何らかの具体的な案をお持ちになっておるのですか。もう一度お聞きしたいと思います。
  28. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 郵政省の案をつくるための重要なる資料として調査会意見を問うておるのでありまするから、調査会がせっかくいま勉強して調査していただいておりまするので、その答申を見た上で、郵政省のはっきりした意見をまとめてまいりたいと考えておりますので、その点は十分に御了承いただきたいと存じます。
  29. 横川正市

    横川正市君 これは局長でいいですが、管理上、いままでの管理者立場意見をお持ちならば、この際お聞きしたいと思います。
  30. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) われわれといたしましては、現在あります放送法制電波法制に対しまして、それを公正に解釈しながら、それに忠実に従っていくという形で仕事をしていくような次第でございまして、いまここで、あり方につきまして意見を申し述べよとおっしゃられましても、私としてそういう意見を申し上げられない立場にございます。
  31. 横川正市

    横川正市君 私は、放送法ができて国会に出て、そのときにとやかくと、いいとか悪いとかいうことを論議しても、政府案がそのまままかり通る、こういうことでは、一体この委員会は、郵政関係やその他そういう関係の法律を審議する場合に、非常に添えもののようなかっこうになるわけですね。いま、新しい法制が必要で、緊急に、しかも慎重にやりたいということならば、これは大臣が言えなければ、局長からもう少し具体的に、こういう点、こういう点がありますと、郵政省としては、この調査会答申を待たなければなおこの結論というものは出ないけれども、という程度ぐらいのものは、私はあっていいんじゃないかと思うのですが、あなたは、実際に仕事をしておってどうなんですか、いまのような問題、プライベートなら話ができるのですか。それとも、答申が出るまでは絶対口をつぐんで何も言わないのですか、どっちですか。
  32. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 現在の行政をしております間におきまして、いろいろ処理の上につきまして、われわれがある一つの考え方を持つ、あるいは意見を持つということはあり得ると思うのでございますけれども、それはこういうふうにしたほうがよろしかろうというふうに、はっきりしたものを現在持っているわけではございません。しかし、考え方としては、こういう点はこういうふうな考え方、こういうふうな考え方というふうに分かれてくるであろうというような考え方は持っているわけでございまして、それらを分析いたしまして、問題点といたしまして列挙いたしまして、調査会の御要望によりまして、それをまとめてお出ししたような次第でございます。
  33. 横川正市

    横川正市君 日本放送協会という、その放送関係をやる軸になっている協会に対しては、郵政省としてはどうお考えになっておりますか。
  34. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) NHKは、成立の歴史から見ましても、日本における放送事業の草分けでございますし、また今日、法律上の立場からいいましても、中心になって公共的な使命を達成していかなければならない機関でございまするので、将来とも、やはり日本放送協会というものは、あくまで日本の放送事業の中心的な存在となっていくべきであろうと、私はさように考えております。
  35. 横川正市

    横川正市君 古池さん、あなたの答弁を聞いていると、そういう抽象的な答弁なら、なにも、ここに文章書いてあるとおりですから、私のほうじゃ事あらためて聞く必要はないのです。ただ、いろいろ改正意見民放連からも出ておりますし、一般国民からもたくさん世論が出ているわけです。そこで、改正しようという意思を郵政省は持っておられるわけです。その場合に、一体日本放送協会に対して郵政省はどうお考えですかといったら、もう少し性格論議とかなんとか、具体的内容というものがあるのじゃないですか。たとえばNHKでは、明確に性格問題を改正の中で要望していますからね。こういったものに対して、郵政省としてはどういう考え方かというぐらいなことは、私は言ってもいいじゃないかと思いますが、言わなければしかたがありませんけれども、もう一度ひとつお聞きしたい。
  36. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) さような具体的な問題になりますれば、これは、先ほど来申し上げておりますように、現在調査会のほうで検討が加えられておりますから、その調査会答申を見た上で郵政省としての考え方をまとめて確立していきたい、こういうわけでありますから、この答申の出ない前に、こうだああだということを申し上げるということは、少なくともこの調査会に対しましても、はなはだ敬意を失したやり方であり、そういうことは筋の通らぬことであると考えまするので、ただいままで率直に私の考えを申し上げている次第でございます。
  37. 横川正市

    横川正市君 ひがむわけじゃないですけれども調査会には筋は通るけれども議会には筋が通らなくてもいいということではないでしょう。私が聞いているのは、あなたのほうでは一応羅列的なものは出しておりますね。しかし、いま国会審議の場に配られている資料の中に、明確にこういう意見というものが幾つか出ているわけです。民放からは陳情書が来ているわけです。NHKからは、国会資料の中に明確に配られているわけです。それに基づいて聞いているものが、調査会には筋が通るけれどもという話だけれども、そういう答弁のやりとりならば、私は聞いてみても初めから終わりまで、いや調査会が出してくるまで答えられませんとか、あるいは失礼だとかいって、ここでは何にも明らかにされないという結果になりませんか。私の聞いているのは無理でしょうか。その点、もう少し具体的な話をしてもらいたいと思うのですがね。
  38. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私は、調査会に対してでも、国会に対してでも、もちろんこれは筋の通ったやり方をしていかなければならぬということは考えております。国会委員会においていろいろな有益なる御意見を伺わせていただければ、その御意見を十分念頭に置き、重要なる参考資料として考えながら、今後の方針の確立、あるいは法制の原案の作成、かような際に、それをもとにして考えてまいりたい、こういうことを申しておるのでございまして、いまこの場で私の意見がこうだ、ああだというふうな個人的な見解を申し上げることを差し控えましたことが、あなたのおっしゃる筋の通らないことであるということにはならないと私は考えております。十分委員の皆さんの御意見はここでよく伺いまして、議事録にも載ることでありますから、これらも十分に考慮をした上で、行政当局としての案を立ててまいりたい、こういうわけでございます。その点は御理解をいただきたいと存じます。
  39. 横川正市

    横川正市君 おこってみてもしかたないのですからね。はっきり意見がもらえなければ私のほうで質問をしてみてもしかたがないからといっても、やめるわけにいかないから、このまま質問を続けますがね。放送自主性自律性というようなことがいろいろ言われておる中に、国家権力による干渉介入は、これはさせないのだ、こういうことは、いろいろな面で厳と明らかにされているわけです。ところが、民放改正意見の中に、ちょっと私もふに落ちかねる意見が一つあるわけですが、それは、政府の方針が具現されるようにというのですから、おそらく政府の方針というものは、教養とか、あるいは教育とか、あるいは健全娯楽とか、そういう面で文化的な情操的なものをやるための一翼、こういうふうに解釈すべきだと実は私は思っているわけです。それからまた、NHKから出された協会側意見にも不偏不党性というものがあるわけです。  そこで、まず会長にちょっとお聞きしますけれども一体あなたのほうで放送をし番組を組んだものは、一般国民でもよろしゅうございますし、あるいは代議士でもよろしゅうございますが、そういうところからは、全くよくなったという話しかありませんか。それとも、あれは不偏不党性からは欠けているとか、行き過ぎだとか、思想的にうまくないとか、いろいろな問題が私はあるのじゃないかと思いますが、その点は具体的なひとつ事例をあげて御説明をいただきたいと思います。
  40. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) いまちょっとさしあたって具体的な事例を思い出せませんが、しかし、御質問のような各方面からの苦情はときどき聞いております。おほめも聞いておりますが。しかしながら、私どもは、それを聞きっぱなしにしているわけではなしに、そのたびごとに反省もし、あるいは反省して、そういうことがないように常につとめているということが実情なんであります。
  41. 横川正市

    横川正市君 苦情も一つの参考ですが、そういった、あからさまにどういう苦情があったということは言えますか、どうですか。それとも、資料ででも出されますかね。おもしろい資料になると思うのですがね。
  42. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) そういう苦情とか批評のようなものは、毎日の新聞の投書なんか見てもあることでございまして、あれと同じようなことが手紙やもしくは電話でもって、もう場合によると、放送がされたその直後に、よかったとか悪かったとかというような批評とかなんとかというようなことがやってくる場合がよくあることなんでありまして、もし具体的に御承知願いたいならば、当事者からお答えすることにいたします。
  43. 横川正市

    横川正市君 していただければこの際……。
  44. 春日由三

    参考人(春日由三君) 公的に、過去において、苦情と申しますか、訴えられたことは、新聞などにも出たわけでございますが、共産党から総選挙の際に、公職選挙法及び放送法に違反しているではないかという訴えが出たことはございます。これはしかし不起訴になって、起訴処分になっておりません。起訴になっておりませんが、そういう実例がございます。  それからいま会長から申されましたように、内部的にも、意識的に、世論調査のほかに、全国数百人のモニターというものを委嘱いたしまして、個々の番組を一定時間聞いてもらって批評を受けるというふうなものを組織的にやっておりますから、モニターの個々の番組に対する批判、こういったものは、集計いたしまして部内の参考資料にいたしております。  それから、毎日ラジオ、テレビジョンについて相当の投書を受けるわけでございますが、この投書につきましては、部内で事前事後に番組を考査しております考査室という機構がございます。ここで全部取りまとめておりまして、その中で返事を要するものには一一御返事を差し上げるというような形、同時に、それを取りまとめましたものを、番組編成の際の有力な参考資料として取り扱わしていただいております。  それから、先ほど会長から申されましたように、毎日の日刊紙あるいは週刊誌に出るような番組の批評、そういうものについても全部記録をとりまして、これを番組の参考にいたしているわけであります。  そういった意味で、そのほかに、たびたび申し上げておりますように、年間百回以上、受信者の各層、各職業、あるいは各年齢の方々から無作為に抽出いたしました受信者の懇談会というものを全国的に開催いたしております。そのおもなものには、私ども会長以下手分けをして出席いたしまして、御意見を承り、それを記録にとりまして、番組の作成の有力な参考資料にさしていただいております。  そういった意味で、こういう日々茶の間に入る、家庭に入ってくるラジオ、テレビジョンの番組でありますから、あらゆる方々の御意見や御批評や、そういったものに対しては、できるだけ忠実に尊重しながら番組をつくっていくというのが実情であります。
  45. 横川正市

    横川正市君 たまたま共産党からの訴えは、裁判所であなたのほうが正しかったことになったようですが、そういうような裁判の場所とかなんとかでないところで、あなたのほうの放送の姿勢に対して、苦情とかあるいはおしかりが出て、それで、き然としてあなたのほうの自主性というものを守っていこう、こういう努力が全然ないとは私は思わないのでありますけれども、心配するのは、そういうおしかりに対してよろめくのが一番心配されるのですがね。そういうことはないのですか。き然として自主性を持っておるわけですかな。どうですかな。
  46. 春日由三

    参考人(春日由三君) き然として自主性を保ちつつ仕事をしていると信じております。
  47. 横川正市

    横川正市君 私は、公共放送のあり方について、先ほどもちょっと大臣にこの点はどうかと聞いたのは、少なくとも、この非常にむずかしい性格の放送協会というものを、しかも国民大多数から要望されるのにこたえて、不偏不党、自主自律性をもって、しかも文化水準を高めるための努力をしていくということはうんとむずかしいことだと思うのです。古池郵政大臣は、おそらくその点どうだろう——私も実は考えてみたのです。しかし、結論として非常にあいまいもこになってしまって、どういう性格のものがいいのか、あるいはどうしたらいいのかという点については、非常に大きな疑問点を幾つか持つような状態に立ち至らざるを得ないのです。  そこで、私は教えてもらいたいという意味でも、郵政当局は、一体どういうふうにすればいいかという点について、高度な意味で私は真剣に考えておられるんじゃないか。そういう点で、先ほど、日本放送協会と、こう言えば、薄謝協会がすぐ目に浮びますが、最近はだいぶ金が潤沢になって、おしかりをこうむっておるようですが、ずいぶん苦労していままで財政的な確立をし、それから一生懸命要望にこたえて努力をされた。しかし、民放がこういうかっこうでどんどん許可になって営業を開始するということになると、これまたその点の功績の大きい点も認めざるを得ませんから、両々まって、いわゆる二頭立て論というものが私は郵政省の中に出てきたんじゃないか。そうすれば、かつて協会だけのときと違って、いかにあるべきかという点については、ますますもって私はむずかしい問題になってくるんじゃないか。この性格の問題を先ほどお聞きしたのですが、的確なお答えがありませんでしたが、この運営の面では、一体NHKというような委員会を設けて、その委員会委員長閣議にまでも出席できるような、そういうことを望まれているようですが、これはむずかしいとして、いま郵政大臣閣議に出て代理を行なうわけでありますけれども、そういう立場に立ってみての運営としては、いまのままでいいのか、あるいは委員会委員長出席するようにしてほしいというNHK要望等も含めて、郵政大臣としては何らかこの改善意見というものを持たれるのか、この点はどうでしょうか。
  48. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 非常に重大な問題でありますが、また一面、むずかしい問題であると考えます。現実の姿として、一方に公共放送をやっておられるNHKがあり、また一方には民間放送事業ありと、こういう現実の姿は否定することはできません。したがって、この姿においてどうすれば一そうよりよいものになっていくかということが、やはり真剣に考えられねばならない問題であろうと存じます。特に、放送内容等については、あくまで不偏不党で、公正な報道をする、また、教育等につきましても、一般の国民の文化を向上し、あるいはまた、青少年の教育をよりよいものにしていくという方向に向かってますます努力をしていただきたいという考えを強く私は持っておるわけでございます。  さらに、行政的な立場から考えて、放送行政の主管を、現在のごとく、ある省の監督下に置いて、政治的にはその主管大臣が重要問題について閣議放送関係の事項の発言をするというたてまえがよいのか、あるいは別個に行政委員会のごときものを設けて、その行政委員長閣議に席を持って発言をするような方法がよいのか、これはなかなか大きい問題であり、日本の行政機構のあり方という点とあわせて、十分に考究していかなくちゃならない問題であると私は考えております。例としてぴったり沿うものかどうかわかりませんが、たとえてみれば、日本の原子力行政について考えますと、これは原子力委員会がございまして、御承知のように、その委員長は科学技術庁長官がやられることになっております。したがって、原子力委員会の意向というものは、科学技術庁長官がその委員長を兼ねておるという意味において閣議において発言はでき得る関係になっております。また、国家公安委員会にしましても、国家公安委員長は閣僚、すなわち国務大臣がこれに当たることになっておりまするので、その立場から発言もし得るわけでございます。放送行政についてさような機構を立てることがよいか悪いかという問題は、非常にむずかしい問題でありまするので、私がここで即座によい悪いということの判断について申し上げるということは、これは非常にむずかしい問題であろうと、こう存じております。かような問題についての意見にしましても、やはり先ほど申しましたような調査会においても十分検討がなされるであろうというふうに私は考えておるようなわけでございまして、いずれにしても、日本の放送行政をさらにより一そうりっぱなものにしていくために最もよい行政の方法がとらるべきであるという御趣旨については、私も全く御同感に存じております。
  49. 横川正市

    横川正市君 たまたまいまの項が出たのですが、昨年の九月十日に、放送番組懇談会というようなものがつくられておるわけですが、これは、運営はどうされておりますか。
  50. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 近年になりまして、特に世論の上においてテレビ、ラジオ等が宵少年の非行の一つの原因になっておるのではないかという意見がしばしば出てまいっております。私どもも、最近の青少年の非行の原因が必ずしもラジオやテレビにのみあるとは考えません。そのほか、あるいは文書なり、あるいは映画なり、いろいろな社会的な雰囲気の中においてかような悲しむべき事態が出てくるのであって、大きくいえば、社会の責任とも申されるかとも思います。あるいは家庭におけるしつけその他の教育がその原因の一つをなしておるということもいわれております。これらが相まって、いまだ判断の熟しない若い人たちに悪い影響を与えておるのであろうということは考えられることでございますが、その影響力の中に、特にテレビの場面の中に、あるいは非常に殺伐な場面が出たり、あるいは扇情的な場面が出る、これが若い人たちにきわめて強烈な刺激を与えて、その結果、非行少年を生むというふうな話も出てまいっておりまするので、私ども、たいへんその点を心配をいたしておるのであります。しかしながら、今日、放送の番組につきましては、あくまでその自主性を尊重していくべきである、そういう建前になっておりまするので、行政官庁として権力的に番組について干渉するということは、これは避けなければならないと存じます。しかしながら、一方ただいま申し上げましたような点の懸念もありますので、昨年、きわめて自由な立場において、NHK並びに東京のテレビ四社の番組審議機関の方方、主として委員長、副委員長の方でありますが、そういう方にお集まりを願い、また放送連合、民間放送連盟というふうな放送関係団体の役員の方にもお集まりを願いまして、きわめてフリーに、懇談的に、この番組の問題の御意見をお聞きしたのでございます。二、三回さような懇談を重ねておりますうちに、その皆さんの中から、何かこれは共通した問題として、番組を向上し、世間が心配しておられるような悪影響のないように、りっぱな番組をそろえていくという線に沿って努力をすべきではなかろうか、こういうふうにおのずから意見がまとまってまいりまして、そこで、一応委員会のような形のものをつくっていこうではないかということになって、いま、具体的にさような委員会的なものの組織あるいは運営等について協議が重ねられておるように承知しております。私も初め二、三回は出席いたしましたが、それ以後は出席することを差し控えまして、純粋に当事者の方々だけに集まっていただいて、いろいろと御相談を願っておるようなわけでございます。こういうふうに自主的に、おのずから番組向上という面についての努力の空気が盛り上がってきておるということは、私としましては好ましいことである、ぜひそれによってよい結果が早く生まれることを期待をいたしておるわけでございます。
  51. 横川正市

    横川正市君 協会のほうで、マスコミと青少年に関する懇談会というので、総理府の中央青少年問題協議会が持たれて、その中に放送部会というのが設けられて、大体同種の問題ではないかと思うのですけれども、これらの運営に参加をされておりますか、協会で。
  52. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この総理府の懇談会には、委員として三名が委嘱されております。それは、経営委員長と私と春日放送局長でございます。この運営につきまして、私はいろいろな環境から出席がなかなかむずかしかったのでございますが、春日放送局長は終始出席いたしておりますので、春日総局長からお答え申し上げさしていただきたいと思います。
  53. 横川正市

    横川正市君 このいまの大臣の私的機関と、それから総理府の協議会の中の放送部会と、これはどうでしょうか、NHKが両側に入ってということですし、また両側に、おそらくこれは民放も新聞関係も入っておるのじゃないかと思うけれども、機構はどうなっているのでしょうか、両側の機構。
  54. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 総理府の中に設けられておりまする委員会は、これは広くマスコミ全般についての問題を取り扱うことになっておりまして、ラジオ、テレビも、マスコミとしての、その一部分として参加されておるものと考えております。もう一つの懇談会のほうは、ただいま大臣の私的機関というふうなお話がございましたが、別にこれは私の私的諮問機関でも何でもないのでございまして、ただ、そういうような皆さんの関係者の御意見を伺って懇談をするという機会を最初に設けたのは私でありまするけれども、それ以後の進め方は、すべて自主的におやりになっておるのでありまして、全くこれは関係者間における自由な自主的な機関である、かように御承知を願いたいと存じます。
  55. 横川正市

    横川正市君 こういうことが行なわれておるならば、もう少し積極な、何かよい結論については実行に移されるべきだと思うのでありますが、いままでに、具体的な問題で結論が出て、具体的に実行に移されたものというのは、これはどういうことでしょうか。大体何か隔月ごとに会合を持っておられるようですが。
  56. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私も最近の会合には出席しておりませんので、具体的にどの程度進んでおるかということをはっきり申し上げる資料を有しておりませんが、私が出席しておりました当時、皆さんの御意見では、よく例に引かれますのが、映画に関する映倫と申しましょうか、ああいう委員会がございまして、テレビは映画とは趣が違いまするので、あのとおりの自主規制は困難かとも思うが、あれに準じたような意味で何らかの目的を達する委員会をつくりたい、たとえて言えば、放送倫理委員会、これは仮りの名称ですが、そういうようなものをつくって、関係者がみんなそれに入って協力して自主的に番組を向上していこう、こういうお話のようでございます。これは、本来の番組編成の自主権という立場から見ましても、はなはだ好ましいことであろうと存じております。そんなわけで、最近どの程度まで進んでおるかということは、まだ私もはっきりした資料を持っておりませんので、この席で御説明を申し上げるまでには至っておりません。その点も御了承いただきたいと思います。
  57. 横川正市

    横川正市君 放送倫理委員会という仮称ですか、そういうものがかりにつくられるとして、問題点になるのは、たとえば映倫の場合には、フィルムが市場に出る前に事前審査をするわけです。しかしながら、この事前審査も、私、最近具体的な例を見れば、あれはどこの映画ですかね、イギリス映画かアメリカ映画かわかりませんが、キンゼイ報告を主体にした「痴情」ですか、というような映画とか、それからそのほか、これに類するもので、文芸的に非常に高いものでは、たとえば「にごりえ」あたりで、日本のある歓楽街が一部出てきますけれども、こういうものとは国民性も違うせいか、まるっきり表現の内容なんか違った形で出されておりましても、私は、これは問題点というのは一つも究明されてきておらないんじゃないかと思うんですよ。映倫の実際のやっておる実績というものは。そこで、それほどに私は、いま自主規制とか、それから憲法上からいわれる検閲制度に対する禁止とかいうようないろいろな問題がきついんじゃないかと思うんです。もっと何か必要だという面も私感じますが、反面、向上対策その他でもって、自主的にあるいは国民が水準を高めて、見ないということで、規制を持たせないというようなかっこうで解決していただきたいと思うのでありますけれども、おそらく、この放送懇談会の中心議題というのは、このいま大臣の言った映倫と同じようなもので、放送倫理委員会のようなものをつくったらどうかとこういうことになったのではないかと思うのですが、その審議の中で、いま言ったようなむずかしい取り扱いについて、どういう話が出——差し迫っていま必要とされている問題だと私は思うのですが、具体的にどうしようとされるのか。結論が出なければ仮定だけでもいいので、この際明らかにしていただきたいと思います。
  58. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 行政官庁の立場として、かようなものはいけない、かようなものは大いに進めるべきだということは、抽象的には言えるだろうと思いますけれども、具体的の問題になってくると、なかなかこれはむずかしいのではなかろうかと存じます。したがって、これは専門的に番組の審査をされます方々が、十分にあらゆる角度から検討を加えられて結論を出されてしかるべきものではなかろうか。それにしましても、映画のほうは、フィルムを事前に取捨して検討するということができますが、テレビの場合は、まあフィルムで放送されるものは、もちろん映画と同様な取捨ができると思いますけれども、そうでないものは、瞬間的に画像が出て瞬間的に消えるという特殊性からいいまして、非常に自主規制のやり方そのものもむずかしいのではないか、こういうことを懸念しております。と同時に、また、そのストーリーなり、あるいは画面の表現の方法を一つとってみましても、観点によって考え方が非常に違ってくるだろうと。すばらしく気品の高い芸術的な作品であると一方において考えられる人もある場合において、また一方においては、それが若い人には非常に挑発的な影響を与えるというふうに考えられる場合もあると存じます。したがって、芸術品なりやいなや、あるいはそれが単なる扇情的なものであるかどうかというふうな判断は、具体的の場合に遭遇した際は非常にむずかしいこととは私も存じます。しかしながら、極端な殺し合いの場面であるとか、そういうふうなことが直ちに、ストーリーの内容にかかわらず、少年たちを強く刺激するであろうということは私どもも想像できるのでございます。たとえば、町のぐれん隊がピストルを撃ち合うというようなことは、長いストーリーを見れば、そういう場面もあるいは出てこなければならない場合もあるのかもしれませんけれども、その場面場面をとって見た場合には好ましくないというような点もたくさんあるのじゃなかろうかと思いますので、その辺の選択取捨というものは非常にむずかしいと思います。しかしながら、全然さようなことを放置しておるわけではなく、今日でも、各放送事業には番組審議機関というものがあって、それぞれりっぱな方々が委員となって審議しておられるたてまえでございまするが、それでもなお、それに漏れたもあがあるというふうに考えておりまするので、やはり、いろいろ網の目をつくって、しかもこれを自主的に規制していただこうというわけでありまするから、非常にむずかしいということは重々わかるのでありまするが、ぜひひとつ、そういう方面で努力されるということを私は強く希望しておる次第でございます。
  59. 横川正市

    横川正市君 この懇談会、先ほど私的機関と言ったら修正されましたが、性格は、これは行政組織法第八条によるいわゆる成規の法律の手続をもって承認を受けた懇談会とか、あるいは審議会調査会ではない、これは明確ですね。そこで、それがいいか悪いか、これは別にいたしまして、そういう懇談会が結論を出した場合、テレビあたりのフィルムの事前検査というようなことまで考えておられますか、どうでしょうか。
  60. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) その委員会において、これを構成されておりまする事業者の方々が、総意をもってそういうようなやり方がよいと、こう考えて自主的に自分たちの手でおやりになるならば、これは私別に不当なことでも何でもない、こう考えております。
  61. 横川正市

    横川正市君 まあ、この問題は、どういう結論が出ても、私個人としては、よい悪いの判断がついて、これはひどいじゃないか、これは禁止すればいいというような私見はありますけれども、影響というものは非常に大ですから、この点はひとつ関係者と十分論議をしていただいて、間違いのないようにやっていただきたいと思う。  それと関連をして、民放の一般放送されておる内容について、きわめて評判があまりよくないと言ったほうが適切じゃないかと思われるぐらい低俗だという一般の市中の声があるわけです。これは、民放側に言わせますと、第一には、NHKのいわゆる資本力による攻勢といいますか、これを受けて立つ財政力、こういう問題で一つ大きな問題があるように、まあそう言っております。この点について、私の考え方は、三十八年度の広告費の内容を電通調査局のものをいただいておりますが、それを見ますと、民放の場合には、相当有利な配当をいたしておるようです。もっともこれは、しなければ企業を経営できないのかもわかりませんが、まあ当面は相当高い配当率を維持しておるようであります。それから広告のエリアは、これもまんざらでない状態じゃないかと思うのですが、この資料によれば、二千九百八十二億という膨大な広告費用が使われているようですし、それに対して、三十八年度では八百八十九億、三十七年度六百九十億、これらがテレビに使用されているということです。ですから、やりようによっては、協会の持っております特殊な公共性というものと競争をしながら、資本力の面でも十分に採算の合うような経営というものがあるのじゃないかと、こう思うわけなんです。  そこで、古池郵政大臣になってからチャンネルの割り当てをしたわけではないのですけれども、チャンネルの割り当てとあわせて、一体いまのような経営的には弱小といいますか、ひよわといいますか、そういう民放が、もっと、商業放送とはいいながら、使命を持っておるわけですから、そういう使命を完遂させるだけのバックを、これは私は、当然、政治的な行政指導とあわせてやるべきではないかという考え方を私は持っているのです。その一つの方法としては、たとえば非常に弱小エリアのところにチャンネル割り当てを行なう——まあ争奪戦もあるだろうからやむを得ないとしても、言ってみれば、資本総合のような形で、経営の健全化、合理化でこういった競争力をつける、そういうその方向というものが好ましいのではないか。これは私企業ですから、そこまで私どもが介入することはどうかと思いますが、あり方としては、そういうあり方が必要ではないかと思うのです。たとえば、三年に一回チャンネル割り当ての再割り当てが行なわれるような場合等も有効に利用しながら、いわゆるいま言っている、民放連から出されている、いろいろな理屈をつけておりますが、勝手とは言いませんが、理屈をつけておりますが、みずから協会と対等に国民の前に放送のできる、そういう姿勢というものをつくるべきじゃないかと思うのでありますけれども、この点ひとつ、郵政大臣、まあ監督官庁ですから、そういう意味での意見がどうか、お聞きしておきたい。
  62. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまお話しのように、民間放送は大部分が株式会社の形態をとっておりまして、いわゆる私企業でございます。したがって、これに対して、政府として経営についての深い干渉は困難であると考えます。しかしながら、そのやっています事業そのものは、公益性、公共性の高い事業でもあり、また、基本になっておりまする周波数については、政府が割り当てをしておるというような観点から、その内容については、できる限り公共の目的に合致するようなふうに運営されるということを強く希望しておった次第でございます。したがって、ここで経営が非常に不利であるように思われるから合併したらどうかというようなことを行政的に指図することは、これは行き過ぎであると考えております。しかしながら、事業者のほうで十分に考えられて、やはり今後は時代の進運に沿うように、あくまで事業を合理化して、そうして有利確実なものにしていって、そのベースの上に立って、あくまで公共的な目的を達成されると同時に、その私企業としての目的も達成されるということが非常に望ましいと考えております。三年目ごとに再免許をする制度になっておりまするので、さような際には十分いまの御意見等も頭に置きまして、できるだけわれわれとして許される範囲において指導はもちろんやってまいりたいと、こう考えております。
  63. 横川正市

    横川正市君 協会にちょっとお伺いしますが、この協会のいまの財政状態は、まあ、端的に言って、十分な計画遂行に不足しているというふうにお考えですか。それとも、もう大体計画にのっとって現状の水準を維持していけば、協会としての使命というものを遂行していくことができると、こういうふうにお考えでしょうか。これは非常に抽象的な質問ですが、真意は、私は受信料の性格づけというものをもう少しはっきりすべきじゃないかと思っているわけですが、それに関連して、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  64. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKの法律上の使命、もしくは法律を離れても、公共放送としての使命というものを考えまして、同時に、現実の問題として聴視料と加入世帯の増加傾向、あるいは放送事業全体の中でのNHKの財政的な地位というものを考えますと、たとえば、いま御審議を願っております三十九年度予算の数字そのものをお考えいただく場合、われわれ自身もそのように考えるのでありますが、放送協会の財政はかなり豊かであるかのごとく見えると思います。しかし、ただいま申し上げましたような私どもの法律上、社会上のあらゆる使命をできるだけ聴視者あるいは国民全体の要望に沿うてこれからも実行していくという建前から考えますと、私どもの財政状態というものは、必ずしも確信をもってこれでいいのだという気持ちは持てないという気持ちでおります。
  65. 横川正市

    横川正市君 郵政大臣に、この受信料というものも、これは今度の答申の中には幾つか内容を分けて調査会へ出しているようですが、この受信料というものの性格というのは、どういうふうに考えることが適当だとお考えになっておられるでしょうか。
  66. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 受信料の性格はどうかというお尋ねでありますが、これは、私は正直に申し上げて、非常にむずかしい問題だと思っております。今日までのところは、受信料は、日本放送協会が波を出しまして一つのサービスをいたしておるわけであります。そのサービスを受けておるものが、これに対する対価として支払っておるという考え方が通説と考えております。しかし、一方においては、むしろこれは公共負担的な性格を持っているものではないかというふうな一部の学者の説もあるようでございまして、今後、時代の推移に伴って、かような問題は十分にやはり検討していくべきじゃないか。かように思っております。
  67. 横川正市

    横川正市君 私は、まあ受信料問題はひとつ明確に、しかも的確に結論をつけていただくようにお願いをいたしたいと思います。  そこで、協会側にお聞きをいたしますが、郵政大臣の年次的な意見書というのがあるわけです。この意見書を見ますと、大体毎年度の意見書の中に「収入が予算額に比し増加したときは、その増加額は、極力長期負債の返還にあてるとともに、テレビジョン放送の難視聴地域の解消をはかるよう置局の促進のための建設資金にふりむけることとすること」というものがあるわけで、その中の長期資金の返還には、余裕金と申しますか、その金の振り向けられているのは、どのくらい振り向けられているのですか。それとも、私は、まあ長期資金というのは、これは債券にしましても、借り入れ金にしましても、計画で借りていて、毎年計画で支払っていけばいいから、何も促進させなくても実はいいのじゃないかというふうにも考えるわけですけれども、具体的には、この郵政大臣の年ごとに指摘をされる収入の増加したときの処置はどうされておるのでしょうか。
  68. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 郵政大臣の御意見に対しましては、これを尊重いたしまして、できるだけそういった御意見趣旨に沿うような運営をいたしておるわけであります。  他方、そのような増収がありました場合には、そういう御意見に沿いますと同時に、予算総則の関係条項の規定によりまして処置いたしておるわけでありますが、お尋ねの長期負債の関係の返還の問題につきましては、一定の計画がございます。長期の負債も、放送債券という債券の形において負担をいたしておりますものと、銀行等からの長期借入金の形によって処置いたしておるものとの二通りがあるわけでございますが、前者のほう、すなわち放送債券の償還の関係につきましては、これは、法律の上では政令に償還の計画はゆだねられておるのでございます。政令では、具体的にこれを規定してありません。大蔵大臣との協議によりましてきめるようになっておりまして、大蔵省との間に、債券を発行いたします場合の発行条件とか、返還の規定のルールをきめております。そのルールは、七ヵ年で全部を償還するわけでございますけれども、二カ年間は据え置きでございます。二ヵ年を経過いたしますと、半年ごとに負債額の三%ずつ償還をいたします。そうしますと、一年間に六%を償還するわけでございますので、据え置き期間を除きまして、残余五ヵ年間に均等にそれを償還をいたしますと、三割の額はそういう年々の所定のパーセンテージによる返還の計画によって償還をするわけでございます。残余の七〇%のものにつきましては、期限の到来いたします七年の末期におきまして一括これを償還するというような返還計画になっております。銀行等からの借り入れ金の問題につきましては、銀行から借り入れをいたします場合に所定の期限がついておりまして、その期限の到来によってこれを返還するということになっておるわけでございます。  長期負債の償還は、そのような計画に基づいてやっておりますわけでございますが、それでは、そのよう計画に基づいていけば財政上一向支障ないではないか、それ以上にさらに返還をつとめる必要はどうだろうか、こういう御趣旨と解するわけでございますが、郵政大臣の御意見は、まさにそのような面で、剰余金等がありました場合には、できるだけそのような負債の負担の軽減につとめろというような御趣旨と解するわけでございますが、先ほど申し上げましたような所定の計画に基づきまして償還をいたすとは申しますものの、年々建設関係で負担いたします外部負債の額は逐年増加をいたしてまいっております。そのような関係から申しますと、現在持っております返還の計画によって負債の償却をいたしましても、たとえば放送債券について見ましても、最後の年には負債額の七割を一ぺんに返さなければならぬというようなことになっております。しかも、その負債の返還のためには、一面、法律の規定によりまして、毎年放送債券の残額の十分の一ずつ当該年度の受信料の中から債券償却のために積み立てなければならぬ、こういう規定がございます。しかしながら、これは十分の一ずつでございますので、放送債券の返還の期限であります七年の範囲内で全額を積み立てるわけではございません。積み立て額をこえました分が相当ございます。この額は、一定のそういう積み立ての用意を持ちませんで、将来の受信料収入の中から返還しなければなりません。その限度で申しますと、計画をこえて、やはり財政状態によっては、そういう時点におきまして非常に負担になるわけでございます。  そういうような面もかみ合わせまして、増収のあるような非常に財政状態のいい時期において、将来のそういった負担の軽減をはかっておこう、こういう御趣旨と解するわけで、ごもっともと考えております。そういうような面で、できるだけ御趣旨に沿うような意味合いにおきまして措置をいたしておりますのが実情でございます。
  69. 横川正市

    横川正市君 いまの問題とも関連をするわけですが、NHKの受信料の最近の剰余金の内容を見ますと、三十五年度が三十九億、三十六年度が五十一億、三十七年度が七十一億、このうち実際上使用されたものが相当な額あって、この全部が正式にいう剰余金であるかどうかわかりませんけれども、この剰余金が予算から——傾向としては、聴視者が増加したということでしょうが、出た場合、NHKとしては、それの基本的な使い方、これは、いままで使った内容でもよろしゅうございますが、どういうものに使われておるのか。それは、私はやはり受信料というのが上がれば、税金の自然増じゃありませんけれども、極力これは聴視者に還元をしていく方式というものが必要なんじゃないか。だから、サービスが行き届いてもこれは苦情の出ることじゃありませんから、そういう意味で、剰余金の額は、これは正当かどうかわかりませんから、結局、その額と、その実際使用された内容について御報告願いたいと思います。
  70. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) その前に、ただいま読み上げられました資料の中で、それはもちろんこれが全部剰余金であるかどうかわからないと、こう前提を置かれましたわけでございますが、この点につきましていささか御説明を申し上げますと、決算諸表の上に出ております剰余金の額は、ただいま御指摘になりましたとおりの数字でございます。しかしながら、NHKの決算諸表作成、あるいは予算編成も、これの前提の問題としてあるわけでございますが、この作成の約束ごとが、純然たる剰余金の姿において当然なし得るような形になっておりません。その関係から申しますと、きわめて不備であるということが申せようと思うわけでありまして、いろいろ事業の通常の運営の面もございますほか、ばく大な建設の面の関係があるのでありますけれども、その辺の建設と、その他の事業運営の面をせつ然と切っておりません。厳密な会計組織をとれば、建設は建設勘定、その他の関係は損益勘定あるいは業務勘定、このように分かれて、その関連も明確にいたしながら決算諸表をつくるのが通常でございますが、NHKの場合は、これが全部一本になっております。そういう形で剰余金として出ますものの中には、実は純然たる剰余金ではなく、資本関係に属するもの、あるいは建設関係に属するものが混入されておるわけでございます。あるいは次年度に建設工事を繰り越す繰り越し額も入っております。そういうようなことで、純然たる剰余金として出ておりますものは、それよりははるかに内輪なものでありまして、最近の年度で見ましても、五十億、七十億というように決算諸表では出ておりますが、現実は十五、六億くらいの程度でございます。  そういうような状況でございますが、受信料のこういった少なくとも剰余金と申しますか、あるいはそれを増収と言いかえましても、そういうものが出ます主たる原因は、御指摘のとおり、予算で予想いたしました受信契約の伸び、それから入ってくる受信料、この関係基本になります契約の伸びの状況において、予想より上回って契約の普及が促進をいたしたというようなことから出てまいるわけでございますが、そういう関係から出てまいりました予算をこえた増収額は、三十五年度におきまして二十五億でございます。三十六年度におきましては三十五億でございます。三十七年度におきましては二十九億でございますが、これをどのように使っておるかという御指摘でございますが、これには予算総則の規定がございます。第七条にございまして、設備の新設、改善、あるいは借り入れ金の返還というようなこと、並びにそういう増収ができますのには増収のできる一つの原因がございまして、当然に事業の、取り扱い量の膨大化につながるわけであります。そういうわけで、所定の基本予算においては予想をいたしておりませんでした事務費が要るわけでございますので、そういう方面に直接関係のある経費に使い得るということになっておりまして、そういう面に準拠をいたしまして使用をいたしておりますほか、先ほど申されました郵政大臣意見書をも十分に参酌をいたしまして使用をいたしておるわけでございます。  そういうような状況で、具体的にどういう方面に使っておるかという御質問お答えを申し上げたいと思いますが……。
  71. 横川正市

    横川正市君 こまかなのはいいから、大きいやつでいい。金額のでっかいやつだけ。
  72. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 昭和三十五年度におきましては、二十五億の増収の中で、年度内に使いましたものと、それを将来の財政に弾力を持たせますために次年度へ持ち越しましたものがございます。次年度へこの年に持ち越しましたものは六億三千万円でございまして、残余の額を総則に基づいて使っておるわけでございますが、この中には、いわゆる契約の増加に伴って、当然にその契約所要費並びに収納費にこれは自動的に必要なものがございます。これが約四億でございます。そのほか、建設の関係につきまして、これこそNHKの本来の使命でございますが、予算におきましても、かなりこの面には注意を注いでまいっておるわけでございますけれども、こういう増収がありました場合には、やはりそういった面に主力を注ぎまして、できるだけ全国普及を早めたいというようなことで措置をいたしております。そういった意味合いの方面の関係に約十億ばかりの経費を投入をいたしております。そのほか、借り入れ金の返還の関係につきましても、所定の計画に基づいて返還をいたしますもののほか、一億円の返還をこの年にやっておるわけでございます。なお、従業員の待遇の改善のためにもこの中から使っておりまして、その額は約二億五千万円見当になっております。  あと、三十六年度、三十七年度も、おおよそ、方向といたしましては、ただいま申し上げましたような考え方を起点といたしまして使用をいたしておるわけでございまして、こういう増収がありましたときに、まず何よりも私ども考えますことは、先ほどもお尋ねになりましたNHKの持っている、また持たなければならない事業計画、現在の非常に多い財政の現状との間の関連はどうか、こういうお話もございましたが、三十九年度の膨大だと言われる予算を実行をいたしましても、テレビジョンにつきましてはまだカバレージは八九%にしかなりません。まだ相当の難視地域が残るわけでございます。これは、まだまだ将来相当な数の置局をいたさなければなりませんので、かりに九五%のカバレージを得ますための置局をいたしましても、四十年度以降におきまして二百三十局ばかりの局を、総合、教育、それぞれつくらなければならないような計画が残ります。この関係も非常な膨大な経費を要するわけでございます。他面、受信料の関係につきましては、非常にここ数年の間に飛躍的な増大を来たしましたが、おおよそもうのぼり詰めの点に近づいていて、これ以上の将来の伸びの点は漸次鈍化をし、年を経るに従って非常に鈍化の傾向が激しくなるというようなことに相なるわけでありますので、予算額はここ数年の間に非常な増加をいたしましたが、将来について申しますと、必ずしもこれは潤沢ではないわけでございまして、道は非常に遠いわけでございますが、なかなか財政的には予断を許さない、こういうような現状にあるのではないかと思います。そういうような関係から、予想外の増収があれば、まず主力をそのような将来計画の促進、繰り上げ、こういう面に重点を置いて使っておりますと、こういうことを補足いたしましてお答えにかえます。
  73. 横川正市

    横川正市君 これは郵政省にちょっとお聞きしますが、このNHK予算総則五条によって継続予算で処置をされている水戸、宇都宮、前橋、岐阜、津の免許関係はどうなっておりますか。
  74. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま御指摘の点は、中波の県域放送のことかと存じますが、三十八年度のNHK予算に水戸、宇都宮、前橋というような五地区に標準放送局を設置する計画があったのでございまして、この問題につきましては、郵政省といたしまして、こういう広域圏というものの中の県域放送というもののあり方、そういうようなものを、単に中波の放送だけでなく、FM放送等も含めまして根本的に検討をしてきめていくのがいいのではなかろうか、それで、今年度中にはFM放送の免許方針というものも策定いたしたいと考えておりますし、また、来年六月には一斉再免許ということもございますので、そういうふうな全体の考えの中におきましてこういう問題を考えていきたい、こういうことで、現在まだこれを免許しておらないわけでございます。
  75. 横川正市

    横川正市君 小野さん、五条の取り扱いは、私はこれちょっと疑問なんですが、継続費か、それとも予算の繰り越しか、取り扱いとしては、五条はどういうふうに理解されておりましょうか。
  76. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) この第五条は継続費といったような筋合いのものではございません。どこまでも予算に年度内に施行すべく計上いたしました計画が、いろいろな事情で実施に至らなかったという場合に、予算が残ります。その予算は翌年度に繰り越しをいたします。自動的にこれは残れば繰り越しになりまして、その予定をしておった事項に限って使用ができるという筋合いのものでございまして、五条の第一項はそれを繰り越しをいたす際の根拠でございます。第二項は、そうして繰り越された経費を、繰り越しを受けた年度におきましてどのように使い得るかということを規定したものでございまして、これは、その経費を計上する基本になりました計画事項以外には使えないという規定でございます。
  77. 横川正市

    横川正市君 これは、郵政なんかの場合は、国庫債務負担行為で年次計画を立てて、その一端として予算が次年度送り、あるいは次年度予算を立てる、こういう方法は国庫債務負担行為でありますね。年次計画の場合に。今度の場合は、これは免許がおりておらないわけですよ。承認事項であっても、免許がおりておらぬということは、五条のいわゆる繰り越し額ですか——としての計画に使用できるか、どうかという点は残るんじゃないでしょうか。
  78. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 政府予算の場合におきましては、いろんなその場合の取りきめがございます。現在、旧会計法でなく、新憲法に基づきます新しい会計制度では、継続費なるものの観念は否定されております。そのかわりに、いわゆる事前に、もう当然に年度内には終わらない、数年かかるものにつきましては、明許繰り越しとして、明らかに事項を指定して予算を計上するというような措置があるわけでございますが、NHKにつきましてはそのような面はございません。継続の関係につきましても、年々、その年その年予算を組んでいくわけでございます。そのようにして組みました予算が、ある事情によりまして実行できなかったという場合、具体的に申しますと、現実の水戸、宇都宮その他の関係の面につきましては、免許がいただけなかったということによって、この予算を実行するに至らなくなるわけでございます。そういう関係のものにつきましては、次年度におきまして免許を期待をいたしまして、そのまま繰り越して、免許があれば三十九年度において実行可能である、こういう配意を下す根拠規定と解しております。
  79. 横川正市

    横川正市君 これは、郵政省はいつごろ免許するつもりですか。
  80. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまも御説明申し上げましたように、法制調査会答申が出ましたあと、いろいろ法制の体制というものの審議もございまするが、同時に、われわれといたしましても、将来のビジョンというようなものを固めていかなければならないと思います。先ほど申しましたように、FM放送の免許方針というようなものも、この年末までにはきめたいと思っておりますし、その場合に、当然全体のUHFあるいは音声放送というようなものの総合的なあるべき姿というものをきめていかなければならないかというふうに考えておりますので、そういう構想の中におきましてこの問題を取り上げていこうというふうに考えておりまして、できるだけ早くはやりたいと思っておりますが、そういうような事情でございますので、いま、いつ免許するかということをちょっと申し上げられない実情でございます。
  81. 横川正市

    横川正市君 これは承認しているわけでしょう。承認は、これは郵政省の事項じゃないですか。
  82. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 三十八年度の予算に付しました意見書がございまして、その中に、三十八年度の予算につきましては、全体のNHKの事業計画はおおむねは妥当と認める、しかし、ラジオ放送網の建設計画については、周波数の割り当て方針との関連において変更の必要が生ずる場合があると考えるということを明記いたしまして、そういう意見書を付した次第でございまして、それを付した形において御承認をいただいた、こういうふうに考えております。
  83. 横川正市

    横川正市君 予算ということもあるし、この県域放送局の免許という問題でも、やはり郵政省では早く始末つけなければならない問題じゃないですか。ただ予算が、何年も、承認を受けたからといって、繰り越し処置をして送るということも、そういうこともおかしなことですけれども、免許がからんでおりますから、あなたのほうにも、おのずと、始末としては早期という問題になるんじゃないかと思うのですが。
  84. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生のお説のとおりであろうと思います。
  85. 横川正市

    横川正市君 それから、四月一日ごろから、風のたよりか、実際にはまだ私、私が見ていないのかもわかりませんが、NHK放送番組について時間帯の変更をするという計画だということを聞いておりますが、おおむね四月一日からの放送の心組みというのは、どういう時間帯でやられるつもりですか。
  86. 春日由三

    参考人(春日由三君) 毎年四月の第一週から、ラジオ及びテレビジョンの番組を、この時点に即応して改定をいたしてきているのでございますので、三十九年度におきましては、テレビジョンの普及率がいわゆる全国民の世帯の七割五分程度に至ったというふうなこと、それからサービス・エリアにおきましても、国の大半というふうな事態が設置局の進展に伴って出てきたというようなこともありまして、主としてテレビジョンの問題でございますが、NHKらしい番組、しかもテレビジョンの特性を生かした番組で、それが国民の福祉に役立ち、文化の向上に寄与するといったふうな番組を編成すべきであるというふうな根本方針を立てまして、具体的に申し上げますと、問題の一番大きな変化は午後七時から八時までの間——従来七時から七時半まで総合ニュースを出したあと、七時半から一家そろって楽しめるような、いわゆるクイズ的な娯楽番組を並べていたわけでございますので、今度の改正にあたりましては、ここ数年来施行いたして非常に好評を博し、しかも、もっと一家そろって利用できる時間に移してくれという強い全国的な意見がありました海外の取材番組とか、「生活の知恵」とか、あるいは海外の各総支局の特派員の報告とか、そういった一連の報道に直結した報道教養的な番組を、ニュースのあと七時半から八時までに並べる。そうして、夜一般家庭対象の娯楽は八時からスタートして九時まで一時間やる。この番組は、性格的には主として親子一緒に家庭で楽しめるような健全明朗な番組を並べる。それから、再び九時から、七時の総合的なニュースと違った意味のやはり総合編集のニュースをもう一度出して、それに続いて、「ニュースの焦点」と申しておりますニュース解説をやって、九時四十分からあと五十分ないし一時間のいわゆる長時間、いわゆる大型と申しますか、そういったふうのどっしりした、落ち着いて見てそれが楽しめるといったふうな慰安番組を並べ——テレビジョンの番組はずっと世界的に見てみましても、かなり短いものの連続から長時間のものに移りつつあるのは世界的な傾向でございますし、私の経験からいいましても、かつて、実例を申し上げますと、「事件記者」といったような番組が二週間連続で一つの結末をつける。それに対して、各地の先ほど申し上げました受信者の方々との懇談の席上、必ずしもわれわれの生活が毎週木曜なら木曜、水曜なら水曜、同じ時間にその同じ結末を見得るという態勢にないから、むしろ一時間にして、一回で結末をつけてもらったほうが楽しいんじゃないかというような御意見がしばしばございました。現実に、昨年度からそれをやってみましたら、聴視率もかなり著しい上昇をいたしましたので、世界的趨勢から見ても、それから聴視者の要望にこたえるためにも、むしろニュースとかシリアスな番組が終わったあとでゆっくりとこくのある慰安番組を楽しむという形に置きかえたほうがいいんじゃないかという結論に達しまして、NHKらしい姿勢を正すと同時に、聴視者の要望にこたえて、さような編成を考えたわけであります。その結果、夜間の慰安番組につきましては、一日平均三十分一本が減少で、報道、教育、教養のほうに移ったということが申せると思いますが、私どもといたしましては、今度の編成が必ずや現在やっておりますよりもさらに聴視者に好感をもって迎えられるだろうというふうな確信を持っておるわけであります。
  87. 横川正市

    横川正市君 そういう確信を持っておられるようですが、映画演劇評論家の飯沢さんは、四月一日からテレビは前にも増して手のつけられないものになるだろうという予想記事を出しております。私は、これはここでどうこうあれするわけじゃないのですけれども民放連から意見が出、またそれを支持する政治家からもいろいろの働きかけがあって四月一日から番組が変えられたとは実際には思わぬですが、結果的にそういうふうになったら、NHKはまたもとに戻しますか。
  88. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御指摘のような新聞批評は、私どもも読んでおります。しかし、私どもの今回の決定は、全然特別の力によって左右された結果ではございません。ただいま春日放送局長からも御説明申し上げましたように、いままで三年間にわたる全国聴視者とおよそ四百回をこえる懇談会の結果として、このような編成が全国聴視者に要望されているという結果から三十九年度の編成を決定いたしましたわけでございますから、私どもとしては、これをまた直ちに変えるという考え方は毛頭持っておりません。  さらに一つつけ加えさせていただきますと、ただいま総局長から御説明申し上げた、七時半から八時までの時間帯に並べる番組は、従来は非常に悪い時間——早いものであっても十時以降のものがほとんど全部でございましたが、それにもかかわらず、この番組などの聴視率は、ごく最近の世論調査の結果を見ましても、およそ二〇%に達しております。このことは、この番組が家庭全体からいかに要望されている番組かということを実証するものと私どもは解釈いたしまして、三十九年度以降の編成方針をきめたわけでございます。したがいまして、私ども自身から考えますと、これは社会の要望に沿うものであって、要望が全く変わるならば別でございますが、少なくとも過去三年の調査の結果として積み上げられた要望が依然今日も非常に激しい強いものがあるという見地からは、私どもとしては、これを変える方針はございません。
  89. 横川正市

    横川正市君 自信のほどを示されたわけですが、この放送時間を、報道、教育、教養、娯楽、スポーツと、こう分けていきますと、娯楽は一五・五%で、必ずしも娯楽時間に多くとっているというふうには思わないのですが、それでもなおかつ今度は三十分間短縮するわけですね、娯楽時間というのは。この娯楽の問題になってくると、民放が、娯楽はもう全部協会としてはやめろという意見を持っておる。娯楽を抜いたその他で十分やれるだろう、こう言っておるようでありますが、それにはやはりそれなりの要求する側の意見というものがあるので、私はそれを読んでみましたら、これはいま攻撃を受けているテレビ番組のいわゆる攻撃にこたえたものじゃないと思うのですよ。やっぱり迎合したものだと思うのです。だから、攻撃にこたえたものということになれば——飯沢さんも言っているように、「赤穂浪士」が十時半に終わるということになれば、翌日の日本人の能力はたいへん低下するだろうと心配しているくらいに夜ふかしが多くなるだろう。それから子供たちの時間なんかも、おそくなればなるほど、いましつけのきびしい親はテレビを消してしまって勉強させるというふうになっております。それまでしなくても、何時間かくらいは頭の洗濯だから見せてやろうというような番組の編成があっていいんじゃないか。私どもは、時間が、きょうは、あるようでないようで、何ぼでもやっていればいられそうですけれども、私も遠慮してなるべく早く切り上げたいと思っておりますが、これは、前田副会長意見では、きわめて自信があるようですが、一般世論としては、私どもが言っているような世論というものは相当強いです。だから、そういう一般世論というものも、もう少し正確に——正確にと言ったら、いまのは正確だと言われるかもわかりませんが、私どもが受けているのも何もへんぱじゃありませんが、いろいろな意味で、この点は番組編成に生かすように、私はやはりこの編成という問題はやっていただきたい。それがゆえに、先ほどのように、私は、民放については、いわゆる経営面その他でも対抗のできるだけの経営内部機構というものをやはりつくるべきだと思うのです。いまのような乱発式で、小エリアできゅうきゅうとしないで、ちょっとでももうかれば、そこへ割り込んでいくというような、そういうかっこうでの申請というのは、私はどんどん却下していって、健全化すべきだというふうに思っているわけですが、郵政省民放と協会と両々相まっていくというのは、そういう意味じゃないかと思うのです、実際においては。ところが、NHKのほうが、番組の編成に堂々と新聞や週刊誌で意見を言われるようになるということは、これは一歩後退だと思うのですよ、現実からは。そういった意味で、番組の編成についてはもう少し検討していただきたいということを、きょうは強く要望いたしておきたいと思います。  それから、もうこれで私はやめたいと思いますが、あと、この経営その他の問題で、商業放送と協会との関係についてもう少し郵政省意見をただしたいと思いましたが、調査会での、あなたのほうの、意見書ではなくて、考え方といいますか、あるいは羅列式ないわゆる内容の発表をいたしましたが、これをめぐって、どういうものが出てくるかということで、それを待つ態勢に私どもを置かないでいただきたい。結果が出てしまって、そうしてそれに対して、ここでとやかく言ってみても、おそらくあなたのほうは、部分修正するとかなんとかということには応じないはずです。だから、ここでは注文をつけませんけれども、そういう態勢にならないような状況に置いてもらうように、ぜひ努力していただきたいと思います。私どもも、この点については、おそらく短い期間で出てくると思いますので、注意をいたしておきたいと思いますけれども、そういう点について御協力をお願いをいたしたいと思います。  そういうことで、私の質問は、きょうは終わります。
  90. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記をつけて。  午前中の質疑はこの程度にいたし、午後は一時五十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十分休憩    ————————    午後二時四十分開会
  92. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  午前中に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 久保等

    ○久保等君 私、それでは、きのうに引き続いて、特にNHKを中心にしてお尋ねをいたしたいと思いますが、来年度予算が、固定資産の減価償却費として六十六億三千三百万円計上せられておるのですが、だんだんと固定資産も増加をしていくに従って、減価償却の経費もかさんでまいることは当然ですが、この固定資産について一体どういう算定方法で減価償却をはじき出しておるのか、そういったことについて、NHK当局のほうから御説明を若干承りたいと思います。
  94. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 固定資産の減価償却につきましては、建物、機械器具のそれぞれの種別、また建物につきましては、その構造の鉄筋あるいは木造の種別に従いまして所定の寿命を想定いたしまして、その寿命の範囲内に償却をはかるということで、一定の率で年々償却をいたしておるわけでございます。そのパーセンテージあるいはそのいろいろな段階に応じてのおおよその点につきましては、主計部長からお答え申し上げます。
  95. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) NHKの減価償却のやり方につきまして御説明申し上げます。  定率法と定額法と両方ございますが、協会がやっておりますのは定率法の方式でございまして、建物につきましては、鉄筋コンクリートづくり及びレンガづくり、石づくりの場合には、事務所につきましては六十年の耐用年数でやっております。したがいまして、年に三・八%の償却率でございます。それから演奏場の場合には若干建物が込み入ってまいりますので、それだけ損耗も早いということで、これは四十五年に見てございます。償却率は五%になります。それから鉄骨づくりの場合には、演奏場の場合は三十年、事務所、社宅、寮のような場合には四十年で計算をいたしておるのでございます。三十年は七・四%、四十年は五・六%に当たります。それから木造のものにつきましては、演奏場、放送場、倉庫等につきましては二十年でございます。一〇・九%の年間償却率でございます。それから事務所、社宅、寮の木造につきましては二十五年でございます。八・八%。それから建物の付帯設備、たとえばエレベーターのようなものにつきまして、あるいは冷暖房装置につきましては十五年で計算をいたしてございます。償却率は一四・二%でございます。それから構築物と称しておりますが、空中線、アンテナ等でございますが、円管鉄柱につきましては二十年で償却をいたしております。一〇・九%の年間償却率でございます。それから鉄塔につきましては同じく二十年でございます。それから木柱がございますが、木柱の空中線につきましては七年で償却をいたしております。これは二八%の償却率になります。  機械類につきましては、通信関係及び電源、回路その他の機械類につきましては八年でございます。それから同じ機械の中で、特に音響機械、光学器械、測定機械につきましては、特殊電子関係につきましては、消耗が激しい点もございまして、四年で計算をいたしてございます。これは償却率が四三・八%になります。車両、自動車等につきましては、特殊車がございますので、三年で計算をいたしてございます。これは五三・六%に当たります。そのほか、一般の器具、什器につきましては、八年で計算をいたしてございます。二五%に当たります。  三十九年度の償却総額は、ただいまの予定では、予算に計上いたしましたものは六十六億三千三百万円でございまして、この六十六億の内訳といたしましては、建物が十一億三千八百万円でございます。それから構築物につきましては四億九千万円、機械につきましては四十九億六千二百万円、それから器具、什器につきましては四千百万円というような内訳になっております。  以上でございます。
  96. 久保等

    ○久保等君 車両関係、もう一ぺん言ってください。
  97. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 車両関係につきましては三年でございます。五三・六%の償却率でございます。
  98. 久保等

    ○久保等君 償却率は、何か最近改定されたのですか。現在のこの償却率というものは、いつごろ定められたのですか。
  99. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十六年に改定をいたしてございます。
  100. 久保等

    ○久保等君 いまのお話で、車両にもいろいろあるだろうと思うのですが、一体車両はどのくらい台数はあるのですか。種別も若干あるでしょうが。
  101. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十八年度末の予定が五百十台でございまして、そのうちで、テレビの中継車が二十七台でございます。それから電源車が二十七台、VTR車が八台、それからラジオ・カー及びニュース・カーが七十四台、一般乗用車が百五十六台、それから積雪地におきます雪上車と称しておりますが、それが七台でございます。それからそのほかの特殊車が二百十一台でございます。合わせまして五百十台の車両を有しております。
  102. 久保等

    ○久保等君 この車両は、ほとんど全部和製ですか。和製というか、日本製ですか。
  103. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 乗用車の一部に外車がございますが、そのほかは全部和製でございます。
  104. 久保等

    ○久保等君 特に中継関係に使う自動車だとか、電源あるいはラジオ・カー、そういったようなものも全部国産品のようなお話ですが、乗用車はどのくらい外国品があるのですか、何台ぐらい。
  105. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) いま、そこまで詳しい資料を持っておりませんが。ちょっと失礼でございますが。
  106. 久保等

    ○久保等君 それは、それじゃ後ほどでもお知らせを願いたいと思うのですが、せっかく、そういう専門といいますか、精密機器等を納めた車両等が国産品で済ませられるくらいならば、乗用車なんかの場合は、なおさら私は国産品で間に合わせられるのじゃないかと思いますが、台数等のお話がないからわかりませんけれども、そういった点について、やはり検討せられる必要もあるのじゃないかという気がしますが、それは、たまたま前からの経緯というものがあって——前からの経緯というのは、それは相当前から購入せられたということでお使いになっておるということなら別ですが、最近お買いになった車はあるのですか。
  107. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十八年度におきましては、六三年式の国産車を十三台購入いたしてございます。
  108. 久保等

    ○久保等君 三十八年度の場合には、そうすると、外車は一台もないということですか。
  109. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 外車といたしましては、取りかえでございますが、七台購入いたしてございます。
  110. 久保等

    ○久保等君 そうすると、国産車十三台、外車七台。現在、外車は全部でどのぐらいあるかわからないという話なんですけれども、今年度予算だけを見てみると、どうも外車の購入が多いんじゃないかという気がいたすんですが、そこらあたりは、どういう事情があったんですか。
  111. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 六三年式につきましては、ただいま八十四台購入いたしまして、いろいろ特殊車がございまして、そのうちで乗用車の形をしておりますものが国産で十三台、外車で七台という意味で申し上げたわけでございますが、外車につきましては、報道関係の一員になっておりますので、特に割り当てがございます。スピード等の関係もございまして割り当てがございまして、購入いたしておるものでございます。
  112. 久保等

    ○久保等君 割り当てがあるから買うということでは、何か戦後の特殊な事情があった当時ならば別ですが、最近のように国産車も非常に性能がよくなってきておる時代にはいかがかと考えます。NHK自体が非常にいろんな面でだんだん充実をしてまいっておりますが、充実することはけっこうなんですが、同時に、やはり経費の使い方の問題については十分に自戒自粛をすることが必要だと思いますし、もちろん、必要なところに使われることは当然ですけれども、こういったことについては、あまり大きな問題じゃないかもしれませんけれども、やはり私は相当お考えになる必要があるんじゃないかと思うんですがね。いまの御説明だと、割り当てがあるとかないとかいうようなことは、これは答弁にならぬと思うんですよ。もちろん、全部一台も外車を入れちゃいかぬとまでは私は申し上げないけれども、しかし、二十台乗用車を購入する場合、七台、三分の一程度外車でまかなうというような考え方は、これはいかがかと実は思います。この点については、そういった点について十分国産車を使って節約をしていくということでなけりゃならぬと思うんですが、外車は一体どれくらいの値段なんですか、その七台。
  113. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) いま、こまかい資料を持ち合わせておりませんが、おおよそ百四、五十万かと思います。
  114. 久保等

    ○久保等君 百四、五十万円というと、どんな種類の車なんですか。
  115. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 普通の大型の乗用車で、運転手を入れまして六人乗りの程度だと思います。
  116. 久保等

    ○久保等君 それも確かな資料によって、また後ほどでもお答え願いたいと思うんですが、私、あまり一々小さい問題で申し上げようと思っておりませんが、ただいまのお話ですが、乗用車だけに限らないと思うんです。一般の機器類その他の問題にしても、できるだけやはり国産で間に合わしていくということは、これは言わなくても当然のことだと思います。特に乗用車等の問題を一つの例にあげてみても、これは対外的にだれしもすぐ目につくことだし、したがってまた、批判の対象にも十分なることは問題だと思うんですが、このことについて、経費の使い方にも関連する問題ですが、できるだけ国産車なりあるいは国産品等を使っていくという態度をとっていくべきだと思うんですが、会長一体このことについてどうお考えになりますか。
  117. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) なるべく御期待に沿うようにいきたいと思っております。
  118. 久保等

    ○久保等君 なるべく私の申し上げておることに沿いたいと言うんですが、ただいまの車の三十八年度の二十台のうちに七台外車を使っておられるという問題について、どんなふうにお考えになりますか。
  119. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 実は、私はそういうこまかいことは存じませんでした。いま初めて知ったくらいのものでございます。
  120. 久保等

    ○久保等君 だから、いままでは御存じなくとも、ここでお聞きになった範囲内で、会長として御意見があればひとつ承りたいのです。
  121. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) だから、これからなるべく、そういう御意見に沿うようにやっていきたい、かように存じております。
  122. 久保等

    ○久保等君 これは、私たまたま御答弁を聞いている中で、お聞きしてもう少し考える余地があるんじゃないかという気持ちがたまたましたものですからお尋ねしているのですが、一々こまかいことについて調べれば、また問題があるかもしれませんが、こういった点についても、十分ひとつ反省をされる点については、御反省を願って、一般の批判を受けないように、NHK予算の支出のしかたについて、十分なお考えを願いたいというふうに考えます。  それで、いま機械あるいはその他の問題についても、特におもな先ほど来お話があった種別の中で、国産品では間に合わないといったようなことが、NHKの場合もおありですか、どうですか。
  123. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) お答え申し上げます。  御質問の御趣旨は、いろいろの放送に使います機械類だと思います。そういう範囲内で申し上げますと、私どもは前々から国産品の開発その他を研究所などを中心に仕事をやってまいりまして、現在放送用機械で国産品でないものはほとんどございません。ごくきわめて一部のものに若干まだありますが、ほとんど九九%くらいは国産品であると申し上げていいと思います。
  124. 久保等

    ○久保等君 最近、事務近代化をはかる上に機械化がされているというような御報告も、この書類等にも書かれているのですが、そういった場合の計算機で、何か外国製の計算機その他をお使いになっているもの、事務近代化関係の機械類でそういったものはございませんか。
  125. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 先ほどお話を申し上げました放送関係の機械が中心でございまして、現在EDPS、すなわち機械化関係の中心となっている機械は外国品を使っております。これを使いました理由は、それだけの性能の機械が国産品ではございませんので、はるかに性能が違うものでございますから、いまの時点といたしましては、やむを得ず外国品を採用した次第でございます。
  126. 久保等

    ○久保等君 固定資産の減価償却の話とちょっと違ってきますが、事務近代化問題を中心にお尋ねしたいと思うのです。特に、最近合理化とかあるいは機械化とかが一般的に推進せられている状態になってまいっております。またNHKでも、そういう点について、相当力を入れておやりになっているように拝見するのですが、事務機械化と申しますか、事務近代化と申しますか、そういったことについて、最近どういう計画をお持ちになっておやりになっているのか、御説明願います。
  127. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答えいたします。  この計画は、昭和三十七年度予算の基礎としての第二次六ヵ年計画の中枢的な問題の一つでございまして、昭和三十七年度の予算の御審議の際にも、六ヵ年計画の全貌の中で、事務の機械化がかなり大きな部分を占めていることを御説明申し上げたと記憶いたしておりますが、簡単に申しまして、第二次六ヵ年計画の全体を通じて、事務の合理化に伴う機械化の方向は、大体六ヵ年計画では、総合計六十億の金を投じて、少なくとも事務的処理に関する基本的な問題は、すべて機械を駆使することによって、これを合理化していくという考え方でございます。ただいま御審議をいただいております昭和三十九年度予算の中にも、この部分についての一部の予算が盛られておるわけでございますが、現在のところ、これはかなり整ってまいりまして、明年度四月一日以降、この機械化の基礎的稼働が全国的に可能になってまいってくる現状にございます。この機械のメインは、簡単に申しまして、IBM方式のEDPS形式でございまして、これはすべて電子計算機を中心とする全国的なシステムでございます。これに付属するたとえばリコピーであるとか、あるいはテレタイプであるとか、あるいは簡単な計算機はすべて国産でございます。しかし、主体となすEDPSは、まだ、日本の技術の現状では、外国のものと比較しまして非常に機能が未熟でございまして、この日本の生産では、とうてい年次計画における事務の機械化というものはめどが立ちません。したがいまして、いま申し上げましたように、この機械化のメインの電子計算機の主体である部分はすべてアメリカ品によるわけでございますが、これは購入するのではなくて、毎年一定の使用料を払って借りるという形になっております。この使用料は月に二千八百万円でございます。したがいまして、これは、もともとこの会社の形式は、どの国にも、あるいはアメリカの中でも売らないというのがたてまえでございますので、その面からも、これを借用するという形になるわけでございますが、しかし、ただいま御質問の減価償却の問題と関連いたしましても、この全国的な電子計算システムが月二千数百万円で借りられるということは、むしろ経済的であるという考え方を私どもは持っているわけでございます。この電子計算機で、御審議いただいておる明年度事業計画の中で機械化される部分は、まず経理関係、職員関係、加入関係が、発展的に全国機械化される予定でおります。これによりまして、昭和三十七年度に第二次六ヵ年計画をいたしました当時の想定から考えますというと、機械化の施設が四十二年度までに総額六十億を必要とすることに対しまして、昭和四十三年度以降すなわち第二次六ヵ年計画完成後においては、現在の方法で処理する事務のやり方と比較いたしまして、昭和四十三年度以降は、おおよそ見積もって年間四十億円前後の節約ができるという基礎的計算をいたしております。  問題は、要するに、この御審議いただいている新予算の中の事業計画としてのこの機械化が、どのような期待するほどの成果をあげるかどうかということが問題でございますので、私どもといたしましては、これに携わる全員について、また、うちの、NHKの総員が、この機械の意義と価値と、及び運営と作業に熟達することが必要であると考えまして、すでに前年度末から、今年度はもちろん、明年度におきましても、組織的な訓練を実施してまいるという考え方でございます。
  128. 久保等

    ○久保等君 概要はわかりました。機械化に伴って、あるいはただいまお話があったように、電子計算機等を使って事務近代化をやってまいるということになると、ただいまお話があったように、経済的な面から見ると、だいぶ節約になるようなお話なんですが、要員面で、やはりいろいろ問題が出てくるのじゃないかと思います。そういったことについても、逐年こまかい計画等をお立てになって、要員の配置転換等も一部やられなければならぬと思うのですが、そういったことについても、十分に、特にまあ組合あたりと相談もせられ、またいろいろ協定等もせられていかなければならぬ問題があると思うのですが、そういったことについても、どういうお取り運び状態なのか、御説明願いたいと思います。
  129. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 詳細につきましては、労務担当の栃沢専務理事からお答え申し上げたいと思いますが、方針といたしましては、私ども基本的な考え方は、これによって人員を縮少するという考え方は、基本的にはございません。ただ、従来の、前時代的な経営方式でまいりますと、少なくとも第二次六ヵ年計画の最終期、昭和四十二年度末の非常にラフな要員の総数は一万八千をこえることは明らかでございます。これに対して、少なくとも、事務の合理的な機械化によって、一体最終人員が、事業計画とも関連して、どの程度になり得るかという問題を中心に、第二次六ヵ年計画の機械化、これに伴う経営の合理化につきましては、その当初、すでに私どもは、組合の幹部との最高経営協議会というのを毎年一度ないし二度開いておりまして、これにはかりながら、組合の要望も十分考慮しながら、この計画を進めているわけでございます。ただいま御審議いただいておりますこの予算の中身の人員計画の中でも、先ほど申し上げましたように、この合理化は四月一日からいよいよ稼動状態になりますので、明年度全体を通じて何人の配置転換の必要があるか、新規の採用との関連で、それはどのようなふうに処置されなければならないかという問題については、これまた密接に組合との話し合いを続けながら、一つの方向を出しているわけでございます。現実の詳細な運営のし方については、栃沢専務から答えさせていただきたいと思います。
  130. 久保等

    ○久保等君 この機械化による合理化計画というものは、第二次六ヵ年計画では完了しない、第三次にもわたるのですか。
  131. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 大体基礎的には、第二次六ヵ年計画、繰り返して申し上げますが、昭和四十二年度末には、基礎的な合理化は一応でき上がるという計算のもとに進めております。
  132. 久保等

    ○久保等君 それじゃ、まあ第二次の四十二年度末ですか、それに至る間の要員計画、合理化に伴う要員計画、こういったことを数字的に御説明願いたいと思います。
  133. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) ただいま副会長から、あらましのお話がございましたが、要員計画の面からお答え申し上げたいと思います。  ただいまお話しになりました六ヵ年計画でいきますと、相当事業が拡張してまいりますし、放送時間が相当ふえてまいりますが、この新規事業を従来の積算でやってまいりますと、先ほどお話が出ましたように、一万八千三百五十という数が想定されるわけであります。そういたしますと、ただいまの人員が一万五千五百程度でございますから、二千五百名程度の新規事業に対する増員が必要になってくるわけでございます。この二千五百名の増員を、機械化によって増員せずに、現有の数でこなしていこうというのが考え方でございます。大体、いままでの準備期間を経、また相当この実績から見まして、大体この二千五百名は増員せずに無理なくやっていけるのじゃないかという見通しでございます。そういたしまして、当年度の問題になりますと、このEDPSが、大体三期に分けて四月から十月の間に軌道に乗るわけでございますが、これによって生じます配転の対象者というものが、大体二百五十名程度かと思います。この二百五十名程度の人員につきましていろいろ問題を生ずるおそれがございますから、先般組合と、EDPSの配転計画の基本協定を結びまして、その段階段階に応じて実施計画を十分組合と話し合いをする、また、このEDPSによって労働条件が低下するようなことのないようにという基本協定結んで、EDPSの移行が円滑に行なわれるように組合の協力も得ておるわけでございます。
  134. 久保等

    ○久保等君 二百五十名というのは本年度の話ですか。第二次六ヵ年計画の−終了するまで、すなわち四十二年度までの計画があれば……。
  135. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 大体二百五十名程度と申しますのは、三十九年度じゅうに配転を要する数でございます。
  136. 久保等

    ○久保等君 したがって、四十年、四十一年あたりのところの概数は、どんなふうな見通しですか。
  137. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 四十年、四十一年、四十二年、それぞれ配転の対象になるものがございますけれども、先ほど申し上げましたように、機械化によって、いまいる人間が配転を必要とするということではございませんで、増員を必要とする部分を、これを抑制するという考え方でございますから、大量に配転があるというふうには考えておりません。
  138. 久保等

    ○久保等君 そうすると、ただいまお話があったように、初年度二百五十名程度の配転が考えられるが、次年度からは、新規増員を要すべき部門が増員をしなくて済む。したがって、ほとんど配転はなくて済むというふうに理解してよろしいですか。
  139. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) そのようなわけではございませんけれども、配転の数が五百とか千とかいう大量に出るわけではございませんで、少なくとも二百五十名なり三百名なりというものが配転の対象になるのじゃないかと考えておりまして、あとはEDPSの関係がございませんでも、各部門の交流をやっておりますから、それによっての配転であるか、直接的にEDPSによる配転であるか、このけじめのつかないものも生じますけれども、EDPSに直接影響があっての配転は、そうたくさんは出ないのじゃないかと思っております。
  140. 久保等

    ○久保等君 どうも説明がだんだんぼけてきたような感じがするんですが、いまお聞きしているのは、単にEDPSだけじゃなくて、機械化なり、事務近代化に伴っての配転のお話をお聞きしているのです。したがって、今後の第二次六ヵ年計画を進めるにあたって、配置転換等は合理化の問題としてでもいろいろお考えになっているのならば、要するにそういう要員の配転関係としてひとつ御説明願いたいと思うのです。何か、あるような、ないような、機械化に伴っては、初年度二百五十名程度で済んで、翌年度からはあまりなくても済むようなお話でもあるように承っておったのですが、いまのお話を聞くと、何千名というのはないけれども、やはり二百名、三百名くらいはあるようなお話にも聞くんだけれども、何か、そこらのところをもう少しはっきり御答合弁願いたいと思うのです。
  141. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 先ほど申し上げましたように、EDPSによって直接影響のありますのは、加入部門が一番これに該当するわけでございます。その影響の一番大きな加入部門が三十九年度において移行が完了いたしますから、その配転対象になる者が二百五十名ないし三百名程度の状態でございまして、それから四十年以降になりますと、技術の方面にいきますし、番組の方面にもいきますが、その影響する範囲というものが相当狭まってまいりますから、相当大量に出るというふうには考えておりません。
  142. 久保等

    ○久保等君 先ほど、それはしかし二百名か三百名のようなお話だったのです。だから、数字がわからなければわからぬでけっこうなんですが、さっきのお話だと、二百名ないし三百名くらい四十年度以降もあるようなお話だったのですが、それは数字的にはどうなんですか。
  143. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) その辺のところは、なかなか微妙でございまして、EDPSの直接この部門が要らなくなるということですと、それはEDPSの直接の配転ということになりますけれども、幾つかのクッションを経ての配転関係になりますから、EDPSによるところの直接の配転ということは、なかなか数字的につかみにくいわけでございますが、一番配転の対象になります加入部門が三十九年度において大体完了いたしますから、それ以降の問題は、一般配転との関連においての配転のほうが重点になるかと思います。
  144. 久保等

    ○久保等君 だから私は、その一般的な分についての計画があれば、ひとつお答え願いたいと言っているので、何も、電子計算機だけの関係の問題としてのお尋ねをしているのじゃないのですから、一般的な問題についても、二百名なり三百名の程度はあるのかないのか。そこまでまだ数字的なものは言えぬけれども、ある程度のものはあるというのなら、あるとお答え願ってけっこうですが、微妙に言っているのを、あまり根掘り葉掘り聞こうと思ってはいないのです。御説明の範囲内で見通しを伺っているのですから、しろうとにもわかるようにひとつ御説明願いたい。
  145. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 同じようなことを申し上げて恐縮だと思いますが、EDPSの直接の配転というものと、EDPSに関連しての配転というもの、それからまた、そういうEDPS関係抜きの各部門の交流というものが幾つも重なってまいりますから、いわゆるEDPSによるところの配転というものが、第一年度において一番対象の大きいところが完了いたしますから、次年度以降においての影響というものは、相当範囲が広くなりますけれども、対象になる数は、初年度の数を相当上回るというようなことはないのではないかというように思っております。
  146. 久保等

    ○久保等君 わかりました。要するに、機械化に伴って、初年度はある程度まとまった配転をやらざるを得ぬ、後年度には、その影響によって連鎖的な職務分担等の問題から、やはり若干の配転をやらざるを得ないだろうというようなお話だと思うのですが、いずれにいたしましても、できるだけ事前に話をされ、また、それがスムーズな配転のできるような配慮を十二分にひとつお考えを願いたいと思います。もちろん、御異議がないと思うのですが、いかがですか、その点。
  147. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 御指摘の点につきましては、組合と十分話し合いをしておりまして、これによっていろいろのトラブルがあまり起こらないのではないかというふうに考えております。
  148. 久保等

    ○久保等君 私、各種別について従来からよく申しておるのですが、こういった加入事務等なんかの場合には、やはり機械化されていけばいくに従って、キーパンチャー等をお使いになっておやりになっていることと思うのですけれども、現在、キーパンチャーが相当数おられるのですか。それから特に三十九年度の場合には、そういった方ができますか。何名ぐらいになりますか。
  149. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) お答えいたします。  NHKのEDPSはパンチ・システムをとりまして、鑚孔タイプを採用しておりますので、ほとんど全員の職員が自由に打てるように訓練しておりますので、半数以上の者が自由に打てるようになっております。
  150. 久保等

    ○久保等君 人数はどの程度になりますか。
  151. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 職員の大体六割近くは、もう鑚孔タイプを打てるわけです。
  152. 久保等

    ○久保等君 六割というのは、一体どういうような人数になるのですか。
  153. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 全員で一万五千おりますが、そのうちで、事務職も、放送職も、技術職も、全部一応鑚孔タイプを打てるように訓練いたしておりますので、労務職を除きまして約一万一千の六割でございますから、五、六千名近くは鑚孔タイプを打てるという現状でございます。
  154. 久保等

    ○久保等君 そういう訓練は、もうすでにおやりになっているのでありますか。
  155. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) さようでございます。
  156. 久保等

    ○久保等君 一人どのくらいの期間をかければ、一応一人前というか、打てるようになりますか。
  157. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 研修所に集めまして、大体二週間ないし三週間指導いたしまして、そしてまた現地に帰りまして現場での指導を続けて行なうという制度を行なっております。
  158. 久保等

    ○久保等君 それは、いつごろからおやりになって、いつごろ完了する予定になっておりますか。
  159. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) もう、始めまして二年ぐらいになりますか、先ほど申し上げましたように、本格的にEDPSが活動いたしますのは、加入事務につきましても本年の九月以降でございますので、その時分には、モットーといたしましては、全員が鑚孔タイプを打てるように、「全員タイピスト」をモットーに、いま指導をいたしております。
  160. 久保等

    ○久保等君 そうすると、ことしの九月ごろには全員打てるという、全員といいますか、六割程度の方は打てるということになるわけですか。
  161. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) さようでございます。
  162. 久保等

    ○久保等君 それでは次の質問をいたしたいと思いますが、そういう事務機械化に伴って、反面考えてまいらなければならぬ問題は、現在の従業員の方たちに対する勤務時間の問題、これも相関連して当然考えていくべきだと思うのです。もう少し具体的に言えば、勤務時間の短縮、時短の問題等についても、これは当然お考えになっていると思うのですが、それについての考え方をひとつ承わりたいと思います。
  163. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。  私どもの理想図といたしましては、この事務の機械化がどの程度に私どもの期待する成果をあげ得るかどうか。先ほども簡単にお答え申し上げましたことばの中で、これがもしわれわれの最低期待に沿い得る事態になれば、昭和四十三年以降は、そうでない場合を想定した場合の、少なくとも費用のうちで三十億ないし四十億の節約が可能になるという見通しを申し上げたわけでありますが、したがいまして、昭和四十三年以降、この形が安定して、かつ期待に近い効果をあげ得るとするならば、私どもの理想図の最後の到達点は、労働条件の改善ということも重大な柱としております。
  164. 久保等

    ○久保等君 いまの御説明で、理想図のところまではわかったのですが、その理想図を実際実施に移すもう少し熱意のほどが何か御説明願えないかどうか、お尋ねしたいと思うのです。ということは、要するに、四十三年度あたりからは、ぜひひとつ何らかの形で時短の問題等についても考えていきたいということくらいは、これは言えるのじゃないかと思うのですが、さらにまた、四十三年度から初めてやるというのじゃなくて、また一挙に——どれくらいのことをお考えになっているのかしらぬけれども、一挙にこれは二時間なり三時間なり時間を短縮するということもできにくいとすれば、三十分でも一時間でも徐々に時間短縮を考えていく、実施していくということが、むしろやるほうとしては当然の道順だと思うのですが、いまのお話だと、四十三年度以降の一つの理想図をお話しになったのですが、それまでにでも、おそらく四十億ぽっかり四十三年度から節約になるというのじゃなくて、本年三十九年度から計画を実施されていくわけですから、だんだんに要員面でも節約をしていく。したがって、経済的になっていくし、また機械化に伴って、財政的な面でもやろうと思えばやっていけるという余地も出てまいると思うのですが、したがって、四十三年度以降じゃなくて、それまでの間に徐々にやっていくという御熱意はあるのですか、ないのですか。
  165. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。  もちろん、一般的には、別に機械化がなくても、その方針であるべきことは当然でございまして、したがいまして、毎年私どもとしましては労働条件の改善ということに主力を注いでおります。ことに、NHKのような事業は人間にたよる事業でございまして、番組の製作そのことを考えてみても、技術の革新ということを考えましても、人間の頭に依存する点が大部分でございますので、労働条件の改善には従来も意を用いてまいっております。したがいまして、こういう意味での努力は、機械化がかりになくても当然続けられる問題だと考えますが、たとえば世俗的にいわれている一週五日制とかいうような問題になりますと、これはやはりそれが実現可能な素地をすべて開拓しておいて、そうしてその時期における社会情勢がどうであるとか、あるいはNHK自体の財政がどのような状態になるか、これを具体的に見きわめない限り、軽々にそのようなスローガン的な方法でこれを実施するということは、私ども実際に組織の運営に携わっている者としては、やはり慎重な態度をとらなければならないと思っております。しかし、少なくとも、会長以下私ども考えておりますことは、理想図と申し上げましたが、できれば、できるだけ早い機会にそのような方向を打ち出してまいりたいということを考えております。ただ一つ、NHKの場合は各職種が全く別の関連で組織されている。ことばをかえて申し上げますと、番組製作面の人、あるいは純然たる事務系統の人、あるいは技術系統、技術系統の中でも、基礎技術の問題を処理する人、現業技術を処理する人、いろいろな条件と、したがってその環境も異なっておりますので、まず、この種類の異なる環境と、その労働時間の問題を、とにかくできるだけ早く共通の立場に立てるような状態に持ってまいりたいということを考えております。
  166. 久保等

    ○久保等君 最近の状況は、ただいま副会長の御説明がございましたが、むしろ逆に、超過勤務あたりを相当長時間にわたってやらなければいかぬというような状態にむしろあるのじゃないですか。あるいはまた、むしろ、部門にもよるのでしょうけれども、超過勤務時間が長くなってまいるというような傾向にあるところが相当あるのじゃないですか。超過勤務時間が一体長いところではどのくらいになっておるのか。一週間でけっこうですが、一ヵ月でもけっこうですが、どのくらいの時間になるか。最も長いところあたりはどの程度になっているか、実情をちょっと御説明願いたい。
  167. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 組合のほうと三六協定を結んでおりますが、放送部門の一ヵ月の超過勤務の最長の時間が七十時間でございます。それから事務部門が一ヵ月六十時間でございますから、大体平均いたしますと、月四十時間が時間外の勤務時間でございます。
  168. 久保等

    ○久保等君 それから勤務の内容等も、逆に最近変化をしておる点があるのじゃないかと思ってお尋ねしたいと思うのですが、要するに、従来、アナウンスならアナウンスだけやっておったアナウンサーが、若干それに付属したような事務的な仕事までやらなければいかぬといったような、職務内容の変化が最近むしろ出てまいっておるのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  169. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) ただいまの御指摘のアナウンサーにつきましては、アナウンサーはアナウンサー本来の仕事と、自分が担当しております番組のプロデュースもあわせてやるような方向で、この一年ほど前から実施しておりますが、そのことによって勤務時間が長くなったというわけではございません。
  170. 久保等

    ○久保等君 私の言っておるのは、そのことによって勤務時間が長くなったとかいう意味ではなくて、だから、勤務の内容仕事内容が、従来より以上に、その密度といいますか、種類といいますか、そういった点で、複雑ないしは密度が高くなってまいっておるというような面があるのじゃないかということでお尋ねしたのですが、いろいろお尋ねしたいこともありまするが、時間の関係もありますから、私この時間短縮の問題についての質問は打ち切りたいと思うのですけれども、要するに、いま言ったような勤務の内容そのものも従来よりも複雑化している。あるいは先ほどお話があったように、特にNHK仕事は、一般共通部門は別にして、どちらかといえば、神経あるいはこまかい気を使わなければならぬという秒刻みのような仕事をやっておられるわけですから、その点では、勤務時間の問題については十分の配慮を要する事業部門だと思うのです。したがって、先ほどお話がございましたが、一つの構想なり理想図というものはお持ちになっておるようですが、そういったことについても、一挙にやるといっても、確かにやり得ないことですから、やるとすれば逐次やっていくよりしかたがないと思いますけれども、ぜひひとつ早急に、そういったことが現実化していく、実行化していくという形に、御配慮と御努力を願いたいと思います。その点、会長のほうから簡潔にお答え願いたいと思います。
  171. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 私は、ひそかにそういう時がきたることを念願しておるものでありまして、まあ、私もいつまで会長でいるわけでもないのであるが、会長にいる間に実現したい、そういう気でいるわけであります。
  172. 久保等

    ○久保等君 それでは次に、これはまた少し耳が痛い話かもしれませんが、経営組織の問題について私あまり深く研究しているわけではないのですけれども、ただ最近のNHKを見ておって感ずることですが、非常に組織がだんだんと大きくなってまいる。そのことは、何も私、人の頭数が多いということを意味するのではなくて、経営組織の機構が非常に複雑膨大化してまいる、ことばをかえて言えば、機構が非常に頭でっかちのような感じを受けるのです。これは、もちろん放送法改正して、NHKのたとえば理事なんかについて強化をはかったこと、私自体国会審議にも加わっておるのですが、何か頭でっかちになっていくという傾向が最近顕著になってまいっておると思う。これは、少なくとも事業体としては、あまり好ましい姿では私はないと思うのです。どの部門をどうこう具体的には申し上げませんが、少なくとも、やはり、人員は多くなっても、その人員は、要するに実際仕事をやられる部面の人員は、これは必要に応じて私はどんどんふやしていくこともけっこうだと思います。また、機械化をできる面は機械化することもけっこうだと思う。ところが、管理部門の機構が大きくなってまいるということは、申し上げるまでもなく、よく言われるお役所的な機構になってまいることであるし、また、そのことが非常に何か動脈硬化的な結果になってしまうのだと思うのです。そういう点は、最近のNHKの機構状態を見ておると、どんどん機構は大きくなる、人員が多くなるということは別問題で、とにかく機構がどんどん大きくなっていくという状態にあると思うのですが、これはぜひひとつ十分にお考えを願い、検討を私は願いたいと思うのです。当委員会でも、若干そういった議論が出たことが過去においてもあったようですが、ぜひひとつ、機構のほうはできるだけ簡素な機構で、できるだけ動脈硬化におちいらないような形に私はすべきではないかというふうに考えます。  たとえば、経営組織表をちょっと拝見しても、何か非常にわかりにくいような組織になっておるのじゃないかという気が私するのです。何か、放送総局が一つあれば、それで万事やれるのではないかというような機構になっておるのですが、それとは別に、経理担当にしても二つばかり部門があるようになっています。これは、理屈をいえば理屈はあると思いますし、御答弁をお伺いすればいろいろ御答弁をされる余地のある問題だと思うのですが、しかし、とにかく、いずれにいたしましても、経営組織体が非常に大きくなってまいる。これは私、人の問題を全然含めていない。あくまでも機構の問題として申し上げているのです。その点については、ひとつぜひ、私の申し上げることが杞憂であればけっこうなんですけれども、だんだんと大きくなってまいる反面、頭でっかちの組織になってまいるということになりますと、人は比較的多いが、結局管理部門の人が多いのだということになっていくきらいがあると思うのです。公共機関でありますだけに、やっぱりNHKの機構が役所的な機構になっていくことは、これはやはり国民の立場からいって、私は納得できないと思います。ぜひ、今後の経営組織体のあり方として十分にお考え願いたい。それこそ、ひとつ自主的に十分にお考えを願って、検討願って、簡素化できる面はむしろ簡素化していく。これは、配置転換とか、そういったことを含まない問題です。特に管理機構の問題について私は申し上げているのですから、その点はひとつ混同されたり誤解のないようにお聞き願いたいと思うのですが、このことを私の感じとして申し上げておきたいと思うのですが、会長あるいは副会長は、一体この問題についてどうお考えになりますか。
  173. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 御意見は十分尊重しまして、検討して御意向に沿うようにつとめたいと思います。
  174. 久保等

    ○久保等君 それから次に、NHKに共済会があるようでありますが、その組織なり、陣容なり、あるいは事業内容等について簡潔にひとつお答え願いたい。
  175. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 共済会は、昭和三十年に郵政省の認可を得まして設立いたしました財団法人でございまして、主として構成は、NHKの現役の役員、職員ということで会員を組織いたしております。共済会の仕事の目的といたしますことは、会員相互の生活の向上並びに遺家族あるいは退職者の援護救済というようなことを目的といたしております。実態的には、いろいろな慶弔の見舞金の給付でありますとか、あるいは各種の貸付金の運用をいたしておりますとか、あるいはまた食堂、売店の経営、宿泊クラブの経営といったようなこと、さらには職員の住宅対策を一切これにあげて委託しておりますが、そういったいろいろな事業をいたしております。それから構成は、理事長を、NHK会長が推薦いたしましたものを共済会の評議員会の同意を得て任命いたしております。そのほかに、理事並びに評議員というものは、経営者側とそれから組合側と同数で構成いたしておりまして、きわめて民主的な運営をいたしておるという機構でございます。
  176. 久保等

    ○久保等君 資金なり年間の予算といいますか、総額だけでけっこうですが、資金的な面をちょっと。
  177. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 大体十億前後でございますが、収入源の一番——いろいろございますが、会員から取っております会費と、それから一番大きいのは売店、購買施設の収益、それから食堂の収益、それに貸し付け金の利息とか、そのほか協会から交付金というのを毎年支給いたしております。そういうようなものがおもな財源になっております。
  178. 久保等

    ○久保等君 交付金は幾らになっていますか。
  179. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) ただいまの実行いたしております昭和三十八年度では、三億一千万を交付いたしておりまして、共済会の資金は十四億でございますが、そのうち三億一千万を協会から交付いたしております。
  180. 久保等

    ○久保等君 先ほどの御説明の中で、住宅関係についてもこの共済会でおやりになっておるというような御説明でしたし、また、厚生関係仕事についてもこの共済会がやっておられるようなお話なんですが、住宅対策について、三十八年度、九年度の具体的な住宅の建設戸数等について、ひとつ御説明願いたいと思います。
  181. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 大体現在ございます住宅は三千七百戸くらいございます。そのうちで約二種類ございまして、四百戸くらいは業務用宿舎と申しまして、これは業務の必要上半ば義務的に住まわせておるというのが約四百近くございます。これは各局の局長でありますとか、あるいは放送所の構内にあります技術者の宿舎というのがおもなものでございます。それが約四百近くございます。あとの三千三百戸というのが、いわゆる共済住宅でございます。もっとも、このうちで全部が共済施設じゃございませんで、足りませんものですから、一般の住宅を借り上げいたしておりますのが約四割ございます。そういうようなのを全部合わせまして三千七百戸が現在ある施設でございます。それから年々大体協会で建設いたしまして、それを共済会に貸与して運営を委託しておるという形をとっておりますので、毎年百戸ないし百二十戸くらいは建設してふえておるわけでございますが、中には老朽施設もございまして、廃棄するものもございますので、必ずしも百戸はふえておりませんが、毎年建設計画といたしましては、百戸ないし百二、三十戸くらい建設いたしております。
  182. 久保等

    ○久保等君 三十八年度、三十九年度について、具体的な数字をひとつお答え願いたいと思います。
  183. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 三十七年度が予算的に三億五千でございまして、約百三十戸ほど建設いたしました。三十八年度が三億八千でございまして、百十戸建設いたしております。
  184. 久保等

    ○久保等君 三十九年度は。
  185. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十九年度の予定といたしましては、総額三億一千万円を予定いたしておりますが、そのうち社宅に七千六百万円、それから世帯寮に二億七千万円を予定いたしております。なおそのほかに三百三十万ばかりございます。そのうちで社宅につきましては老朽してまいりましたものの取りかえが七戸と新しい増設が十三戸ございます。それから世帯寮と申し上げました二億七千万の内訳といたしましては、老朽の建てかえが一棟と増設が全国で七棟でございます。
  186. 久保等

    ○久保等君 そうすると、三十九年度は、戸数にすると、独身、世帯含めて二十戸か、そんなものですか。
  187. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十九年度の増加数といたしましては百七十七戸でございます。
  188. 久保等

    ○久保等君 NHKは非常に全国的に転勤等おやりになっておるようですししますが、そういう点との関連性でお聞きするのですけれども、年間どのくらい人事交流等をやり、転勤等が行なわれておるんですか。
  189. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 全国的にネットを形成いたしておりますし、それから、御承知のように、職員の大部分は知識労働者でございますから、全国的な交流は、ある程度毎年やっていかなければなりません。昭和三十七年度におきましては、約一千四百件ほど実施いたしております。三十八年は、あと一週間ほどでございますが、だいぶ減りまして、九百五、六十件で、おそらく千件をこえることはなかろうと存じております。
  190. 久保等

    ○久保等君 そうすると、年々千名くらい転勤される方がいると判断していいんじゃないかと思うのですが、住宅関係は、先ほどのお話があったような計画なり現状とにらみ合わせて、一応間に合っておるんですか、どうなんですか。
  191. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 数的には大体三分の一ないし以上が社宅を利用しているわけでございますけれども、異動の時点におきまして、必ずしも社宅居住者だけが動くわけではございませんので、あるときには余る場合もございますし、あるときには足りない場合もございますが、足りない場合も、組合との協定に基づきまして住宅を提供するということになっておりますので、その場合には、先ほどちょっと申し上げました、いわゆる借り上げ社宅といって、一般住宅を借り上げまして、そして共済住宅と同じような運営でそれに使用させるというような方法をとっております。
  192. 久保等

    ○久保等君 特に地方転勤あたりの場合には、原則として、住宅はそういった転勤等によって勤務をされるような方については、現地の方でない方に対しては確保されているんですか。
  193. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 確保されております。
  194. 久保等

    ○久保等君 確保されているんですか。
  195. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) はい。
  196. 久保等

    ○久保等君 先ほどお話のあった、三分の一ないしはそれを多少上回る程度の宿舎があるようなお話だったのですが、そうすると、半分以上はなくても確保されているということなんですか。
  197. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) 共済住宅の性格といたしまして、われわれは、あくまでもこれは転勤を円滑に行なうための手段でありまして、そして余裕があれば一時的に住宅困窮者にも貸与している、使用せしめているということでございまして、あくまでもこれは一時の住まいという考えで、職員には自分の家をぜひ持たすということを方針といたしまして、できるだけ自分の家を持たすということで、持ち家政策というのをただいま強力に推し進めております。
  198. 久保等

    ○久保等君 この住宅問題については、いまの御答弁だと、だいぶ恵まれておるというか、比較的住宅問題については問題ないような御答弁で、持ち家政策ということで職員に自分の家を持たせるような方向でいろいろ努力されているというのですが、それもきわめてけっこうでありますが、しかし、そういったことが、勤務地と自分の住宅等が通勤可能の距離で確保されるというようなことも、現実の問題としてはなかなかむずかしいのではないかと思っておりますが、地方の場合には、地方で、自身の出身地なり自分の郷里ならば別ですが、そうでないところで家を持つといっても意味のないことでありますから、おのずから借り上げなり、あるいはNHKの社宅に入らざるを得ないと思うのですが、そういうところについても一応確保されているというふうに理解していいんですか。
  199. 加藤俊三

    参考人(加藤俊三君) お説のとおり、地方になんか行きまして、また二、三年たてば東京に戻るというような者に、自分の家を持てというのは無理でございますので、そういう場合には、共済住宅なり、あるいは協会で借り上げまして、それを共済住宅に貸与するという方法をとっております。
  200. 久保等

    ○久保等君 次にお尋ねしますが、受信者が、ラジオの場合は年々激減しておりますし、片や、テレビの場合には漸次増大をしてまいっておりますが、その増減状況について、各年度別の予算と実績について、数字的に御説明願いたいと思うのです。
  201. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 昭和三十五年度におきましては、ラジオとテレビジョンと申しておりました時代でございますが、テレビジョンにおきましては、予算の増加が百六十五万でありましたが、非常に伸びが上昇いたしまして、二百七十万に達しまして、この年は百五万三千の増加になっております。それからラジオにおきましては、反面、百六十万の減少を予算で予定いたしましたが、テレビの伸びに伴いまして減少いたしまして、三万三千二百十一の減少の増加になっております。それから三十六年度におきましては、テレビジョンにつきましては二百万を予定をいたしましたが、三百三十五万まで伸びまして、百三十五万の増加になっております。それからラジオにつきましては二百三十一万の減少を予定をいたしましたが、さらに減少が進みまして、三百三万まで到達いたしまして、七十二万四千の減少の増加になっております。それから三十七年度におきましては、テレビジョン、契約甲につきましては二百三十万を予定いたしましたが、三百十四万の結果をみまして、八十四万二千の増加になりました。契約乙につきましては百四十四万の減少を見込みましたが、結果におきましては、百八十八万の減少になりまして、四十四万の減少の増加になっております。
  202. 久保等

    ○久保等君 三十八年度はまだ年度が終わっておらないのですが、ほぼ年度間近に迫っておりますから、最近の、かりに二月末か、一月末かしりませんが、そこらで御説明願えますか。
  203. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 三十八年度につきましては、ただいま十二月末の統計を持参いたしておりますが、予算は予定いたしました数は二百万でございましたが、十二月末で百七十五万まで一応いっております。それからラジオにつきましては、百十五万の減少を見込みましたが、八十九万の減少になっております。
  204. 久保等

    ○久保等君 次に、NHKが最近諸外国にいろいろな形で特派員を派遣されたり、あるいはNHKの職員でない一般の芸能人あるいは芸能人でない方々、いろいろな形で海外派遣をされておるようでありますが、その状況について御説明願えますか。
  205. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKの海外総支局は、現在おおよそ十九ヵ所にございます。そのうち、大きなものは、アメリカ大陸の中ではニューヨークでございまして、ここには技術者及び管理業務の者もおります。それからヨーロッパ大陸におきましては、パリが一番大きい組織になっておりますが、これはしかし、ニューヨークと比べますと約半分でございます。そのほか、年間番組計画といたしまして、昭和三十六年ごろからスタートいたしまして、年間四組の特別取材班を各地域に出しておりまして、その一取材班はおおむねテレビジョンで十三回、ラジオにおきましても十二回ないし三回の番組を製作いたしております。芸能関係につきましては、これまでおおよそ五回にわたりまして海外放送局との共同製作を始めております。その第一回はイタリアの放送協会との共同製作でございまして、第二回目は、アメリカの協力を得てアラスカを舞台とした劇番組を製作いたしました。それから第三回目は、主として東南アジアのインドネシアその他の各地の機関の協力を得まして、南方関係の芸能番組をつくっております。これは二種類ございますが、現在ほぼ完成をしておりますのは、フランス放送協会との協力による劇番組でございまして、これは、御審議いただいております予算昭和三十九年の四月末から番組に乗る予定でおります。したがいまして、NHKといたしましては、芸能人に関する限りは、番組政策の一部として派遣しておりますけれども、芸能人そのものを派遣したということはございません。  大体、現状は以上のようなものでございます。
  206. 久保等

    ○久保等君 これ以外に、芸能関係ということでもないでしょうし、それからあるいは特別取材班あたりに入るのじゃないかと思うのですが、最近何か小学生が若干海外に出かけたような問題がありますが、これはどういう形で派遣されたのですか。
  207. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは大体、中学の上級生を目標にしておりますが、これは学校放送との関連で、その年間、学校放送の利用をした中学上級生を全国的に選抜いたしまして、三十八年度で二回目でございます。したがいまして、三十七年度から始めましたが、夏休みを利用して海外を見せ、大体中学同年輩くらいの海外の生徒と交歓させ、なお海外の家庭生活、学校生活などを見学させる。同時に、その人たちが得た印象を学校放送の特別の番組としてこれを番組にいたすという制度をつくっております。
  208. 久保等

    ○久保等君 これは三十八年度の、本年の場合ですが、何人くらいですか、それで経費の面はどのくらいになるのですか。
  209. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十八年度の場合は、男子四名、女子三名と考えております。それで、中学生でございますから、それにNHKの職員及び番組取材のためのカメラマンをつけ、同時に、NHKのお医者さんを一人つけております。期間は約二十日間でございます。
  210. 久保等

    ○久保等君 経費は。
  211. 春日由三

    参考人(春日由三君) 手元に正確な資料を持っておりませんが、八百万から一千万の間だったと思います。
  212. 久保等

    ○久保等君 これは、いまの御説明で、夏休みを利用して海外を十分に見せて、諸外国における大体同じ年配の子供たちと交歓をさせるのだというようなお話なんですが、その程度の目的ですか。
  213. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 直接にはその程度の目的でございます。
  214. 久保等

    ○久保等君 どうも学校放送の問題と関連しての海外派遣としては、ちょっと御説明がわれわれに理解できないのですが、日本の学校放送が外国で聞かれておって、それで外国の中学生ですか、あたりに、非常にそれが役立っておるというようなことでもあって、国内で聞いておる人と、諸外国で聞かれた場合と、一体教育効果というものがどうなっておるか、ひとつ直接本人同士で交歓をしてもらうということならば、これもまた一つのある理由があると思うのですが、日本の国内での学校放送について、外国における中学の同級生、同年配ぐらいの中学の同級生と比較をしても、どうも比較の対象にはならないと思う。何かどうも目的が少しはっきりしないのじゃないかと思うんですが、これをすでに三十七年、三十八年と二回ばかりおやりになったというような御説明なんですが、十分に効果が、海外旅行の目的があがっておるとお考えになっておりますか。どうですか、派遣された後の感想なり所見
  215. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十七年度も、三十八年度も派遣いたしました。一行に、先ほど申し上げましたように、NHKのプログラムをつくる人間と、カメラマンと同行させておりまして、帰ってまいりましてから、それをラジオ、テレビジョンの学校放送及び一般番組で放送いたしております。したがいまして、学校放送の夏休みのラジオクラブ、テレビジョンクラブ、あるいは二学期になりましてからの正規の学校放送、その他の番組で、海外の同年配の中学生の勉強とか生活とかというものを比較対照いたしまして、かなりの放送効果をあげておると考えております。
  216. 久保等

    ○久保等君 全国で男子四人、女子三人ということになってくると、これはもちろん学校放送を聞いて教育を受けておる人員から見ると、まことにりょうりょうたるあれなんですが、これはどういう方法で選抜をされますか。
  217. 春日由三

    参考人(春日由三君) ラジオ及びテレビジョンの学校放送を継続的かつ計画的に利用しております全国の学校放送研究会という連盟がございます。そこで、NHKの学校放送を過去において非常によく利用しておりますところには、特に研究委託校というようなのも委嘱しておるわけでありますが、その学校放送を非常によく利用して効果をあげているところから、学校放送を利用したことによってどういう効果があったか、またどういう成績の向上が見られたかというふうなデータ及び作文のようなものを取り寄せまして、それを慎重に審査した結果、その中から身体検査などもいたしまして、該当者を選抜して派遣することになっております。
  218. 久保等

    ○久保等君 私は、学校放送の事業をおやりになっておることはもちろんけっこうですが、ただ、海外派遣とを関連して考えますと、どうも少し目的を若干逸脱をしておるのじゃないかという感じがします。目的というよりも、NHKで海外視察というか、海外修学旅行といいますか、そういったことに出されることにあたっては、どうもその根拠において薄弱じゃないかと思います。こういうことをやられると、やはりNHKに対するいろいろ批判が出てくるのじゃないかと思うのです。要するに、国内放送、学校放送でもってどの程度の教育効果をあげたかということについては、もちろん十分にその効果を測定をしたり、あるいはまた、いろいろ将来の学校放送の改善のためにお考えを願うことはけっこうなんだけれども、海外に出して、海外の学校教育の状況を見てくることがもちろんマイナスにはなりません。これはけっこうなことだと思うのです。ただし、NHKという立場で、しかもそれが学校放送ということの関連性において派遣をするということについては、はたして当を得ているかどうかということになると、問題だと思うのですよ。できるだけ国家的な、国家で大いに若い人たちを外国へやって修学をさせるということは、私はけっこうだから、大いにそれは積極的にやるべきだと思うのですが、学校放送関連して、学校放送を聞いている中学生を海外に旅行させる、一言で言えば海外に旅行させるということなんですが、それはどうもちょっと理解しがたい面があると思うのです。このことについては、私も事前によく調査をして、資料をもって質問をしているわけではないので、たまたまお話を聞いた過程の中で受ける印象で質問をしておるのですから、私もあまり深くお尋ねはしませんが、ただしかし、御説明の程度では、どうも納得いきかねる感じがします。したがって、そのことについては、また私も研究してみたいと思いますが、NHKのほうでも、いささかただいまの御説明程度であるならば、検討をひとつぜひしてもらいたいという感じがします。  それから先ほど副会長のほうから御説明があった中には、ただいまの問題は含まれておらなかったのですが、どういう形であれ、あるいは名目であれ、先ほど副会長の御説明のあった以外に、何かまだほかにあるのですか。
  219. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 職員のための留学制度を実施しております。
  220. 久保等

    ○久保等君 これは何名ぐらいですか。たとえば三十八年度あるいは三十九年度あたりは。
  221. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 年間八名内外を目標といたしております。
  222. 久保等

    ○久保等君 それから先ほど御説明のあった総支局十九ヵ所設けておられるようですが、これは全員でどのくらいの人員になるのですか。
  223. 春日由三

    参考人(春日由三君) 昭和三十八年度におきましては、十八億で四十人でございます。その中にいまの留学生の八人が入っております。したがいまして、それを引きますれば三十二人ということでございます。
  224. 久保等

    ○久保等君 先ほど副会長の御説明のあった特別取材班、それから芸能関係の共同製作といった関係では、三十八年度はどの程度の予算計上になっていますか。それから明年度予算でどの程度になっていますか。
  225. 春日由三

    参考人(春日由三君) お手元に提出いたしております三十九年度予算におきましては、海外取材の予算といたしましては四千五百万円を予定いたしております。それから三十八年度におきましては八千八十万円計上いたしております。
  226. 久保等

    ○久保等君 ただいまの芸能関係のほうも。
  227. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十八年度につきましては、先ほど副会長から御説明申し上げましたフランス放送局とNHKと合作をいたします予算の三千五百万円が含まれているわけでありますが、三十九年度の予算では、現時点におきまして、ドラマ関係の海外取材を予定いたしておりません。したがいまして、報道教育関係の海外取材だけでございます。
  228. 久保等

    ○久保等君 それでは私、最後の質問をいたしますが、職員の給与に関する問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、現在の職員の給与、これは一体どういうふうにお考えになっていますか。特に最近御承知のように物価高などで、全般的に見ますならば相当のベースアップが行なわれておるところもあるようであります。すでにそれが実行されておるところも新聞関係等でもあるようでありますが、給与問題について、特に給与改定の問題についてどういうふうにお考えになっていますか。三十九年度の予算を出された立場からひとつ御説明願いたい。
  229. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 当協会の給与の水準でございますが、三十八年度を申し上げますと、全産業の平均から見ますとかなり上位にございます。しかし、われわれの同業の関係から申しまして、民放のキー・ステーション関係の平均から見ましてやや上位にございますが、関連の新聞関係から見ますと若干低位でございます。そういたしますと、大体新聞と民放のキー・ステーションの中間くらいというふうに考えておるわけでございます。  それで、三十九年度の給与の改善でございますが、先般組合との話し合いで大体妥結いたしましたのが、三十九年度のベースアップの率といたしまして六・三五%で妥結しております。
  230. 久保等

    ○久保等君 六・三五というのは、金額にすると幾らになりますか。
  231. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 大体二千五百円でございます。
  232. 久保等

    ○久保等君 六・三五%というと、パーセンテージからいくと、だいぶこまかくなっておるようでありますが、最近の物価状況から見ると、必ずしも物価の上がった程度のベースアップにもなっておるかなっておらないか、問題だと思うのです。したがって、NHKの給与の場合には、予算総則でもいわれておりますように——予算総則というものがあって、予算総則の第七条二項に、いわば弾力条項という制度もございますが、当面の給与改定の問題についても、先ほど組合との間で話が妥結したということであればけっこうでありますけれども、しかし、これも予算編成当時の状況の中で一応話のまとまった話だと思うんですが、その後、いろいろ四囲の情勢等も考えますと、私は、やはり給与問題等についても、協会側のほうでは積極的にできるだけ改善をはかっていく余地があると思うんです。特に、三十八年度の予算が実行された結果、どういう結果になっておるか。これも数字的にはまだ明らかにならぬと思いますが、三十八年度における弾力条項の発動の問題も当然出てまいろうと思うんですが、給与問題について、できるだけ積極的にもう少し改善をはかっていく必要があるんじゃないか。先ほど六・三五%の改善をはかる予定だ、こういうお話なんですが、このことについて、会長のほうからひとつ簡単に御答弁を願いたいと思います。
  233. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 弾力条項については、できるだけひとつ給与改善のほうへ回し得る余地があれば、そっちへ回したいと思います。
  234. 久保等

    ○久保等君 現在NHKの職員の現行ベースが幾らになっていますか。それから勤続年数あるいは平均年齢、そういったものをちょっと御説明願いたい。
  235. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 三十八年度の基準賃金でございますが、三万七千八百六十三円でございます。これを三十九年度におきましては、先ほども申し上げました六・三五%のベースアップと定期昇給を加えますと、四千十五円になります。そういたしますと、三十九年度のベースは四万一千八百七十八円でございます。それからただいまお尋ねの協会の職員の平均年齢でございますが、三十三歳でございます。それから平均の勤続年数は九・八年でございます。
  236. 久保等

    ○久保等君 いずれにしましても、お聞きしてみましても、年齢的にも、あるいは勤続年数、さらに学歴等のお話は承りませんが、これは承らなくても私もおおよそ理解しておりますが、いずれにいたしましても、給与問題について十分にできる限り御努力をひとつ協会側のほうでもお考えを願いたいという要望を私は申し上げまして、私の質問は、以上をもって終わります。
  237. 野上元

    ○野上元君 関連質問さしていただきます。  三十九年度の収支予算、事業計画及び資金計画をいろいろと検討いたしましたが、NHK当局が、すべての部門について非常に努力をされておるということは十分に認められるわけですが、にもかかわらず、最近NHKに対する風当たりが非常に強いわけです。私どもも、新聞で見、あるいは人に聞く程度でありますからよくわかりませんけれども、しかし、かりにもNHKに対する新聞の報道等が随所に出てくるということは、NHK当局にも何か心してもらわなければならぬ問題があるのではないかというふうに最近痛感されるわけです。したがって、そういう点について、これから二、三久保委員の問題に関連してお尋ねをしてみたいと思うんですが、まず第一に、NHK民放は経営のやり方が違うわけであります。NHKは、御承知のように受信料をもってやっておる、民放は広告料をもってやる、その点、違いがあります。したがいまして、NHKは、とにかく受信料が毎月どんどん自然に入ってくるわけなんです。したがって、入ることはもう心配ない。どうやって使うかということに頭を悩ましておるんだ、われわれにとっては全くうらやましい話だ、というような記事が再三出ておるわけです。こういう点にもやはり問題があろうかと思います。そしてまた、NHKの公共性というものをどの程度にきめるかという問題これらについても、やはり問題があろうかと思います。先ほど来、いろいろと質問が出ておりましたし、また、過般のこの委員会において問題になりました、例の学園経営の問題であるとか、いまの生徒の海外派遣であるとか、あるいはまた、前田副会長からお話がありましたように、海外に芸能人を派遣して海外でロケをやって、その劇映画をNHK放送する。さらにまた、例の大型番組の問題がありますが、「花の生涯」だとか「赤穂浪士」だとか私も見ておりますが、あの番組の顔ぶれを見ますと、まことに豪華でありまして、あすこまでNHKがやって劇映画を放送しなければならぬのかどうかというような問題がいろいろあろうかと思いますが、これらについて、NHK会長としては、いまあなた方に当たっておる冷たい風をどういうふうに受け収められておるのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  238. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) この問題については、私、新聞やなにかに散見する、けちつけみたいなものについては言い分があるのでございますが、ちょっとここで申し上げることは、少しお話がしにくいことなのでございます。というのは、相手方をまた逆にやっつけるような形になりまして、たいへんその点は心苦しいのでございます。しかしながら、そういう非難が出ることについては、かねがね私は、協会の内部に対しても、顔を見るたびに、将来は、急激にNHKが伸びたのだから、風当たりが強くなる、だからこの点は特に留意して頭を低くしろ、腰を低くして、そういう非難が当たらざるにかかわらず、なるべく起きないように用心しろということは、かねてからたいへん戒めておる事柄なのであります。しかしながら、私の立場から言うと、はなはだ当たらざる非難が多い。たとえば、いま言われた「赤穂浪士」がたいへん金を使い過ぎると言うが、われわれとすれば、皆さんからお金をいただいて番組を出すについては、できるだけ完全ないい番組を出すことは当然の義務であろうと思う。しかも、非常にはなはだしい金を出すならともかく、単なる一回二百万円そこそこで、ある局が外国の映画に出す費用よりもむしろ安いという程度のものでしかないのです。そういうことでありまして、はなはだ当たらざることが多いのでありますが、この点は、当たらざるにかかわらず、十分今後も自粛して、そういうふうな非難がなるべくないようにやっていきたいと、かねがね考えておりますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  239. 野上元

    ○野上元君 私も、会長の言われることはよくわかるのです。私は、新聞を読んで、新聞の諭旨をそのまま私の論旨として受け入れるというのじゃないのです。私自身も若干疑問があるのです。問題は、やはりNHKの積極的な公共性という問題をどの程度に見るかということに帰着すると思うのです。一般の論旨はこう言っているわけなんですがね——NHKは受信料が入ってくるんだ、したがって、それは使わなければならぬ、金があるから海外派遣もするし、特派員の派遣もするし、先ほど来のお話のように、学生を外国にまで派遣をする、あるいはまた、海外ロケまでもやって劇映画をつくる、それは金があるからなんだ、もしもそういう金があるならば、NHKはそこまでやらなくてもいいということになれば、受信料を値下げすべきじゃないか、こういう論法も成り立つと思うんですね。そこが私は問題だと思うのです。私も、まだそこは割り切れておらぬのですが、NHKが持つ公共性を的確にきめるということは、NHK自身はやれないと思うんですが、だれがこれをやるかという問題になると、これも、いまのところ、なかなかないと思います。経営委員会はそういうことをはたしてやるかどうかということになると、非常にむずかしいと思うんですが、そういう点について、あなた方もやはり積極的にその点をPRされて、そして、やはり国民の納得を得ないと、だんだんだんだん、NHKは、いわゆる悪いことばで言えば、経費を乱費しているんだ、使わなくともいいものを、金が入ってくるから使っているんじゃないか、こういうふうな言い方をされるんじゃないかと思うんですが、それが新聞にどんどん報ぜられるということになると、NHKは金を乱費しているということに一般の大衆も考えやすいと思う。その点は、皆さん方には、もう少しNHKの使命というものを国民にPRしていただきたいと思うんですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  240. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 端的に申し上げますと、NHK、私どものやっておることは、頭からしまいまで、すべて公共精神に徹していかなければならぬ、かように存じておるのでありまして、海外ロケというようなことも、金があるからやるのじゃなしに、NHKの番組をよくして、そうして皆さんの御満足を得るというためには、あらゆる手段を講ずべきものと私は思います。あるからやるのじゃなしに、これは、そういうことをやらなければならぬ問題だろうと思ってやっておることでありまして、もちろん、金がないならやれないことでありまして、たまたま、やり得る金があるからといえばそれまででありますが、あるなしにかかわらず、われわれは、よき番組をつくって、これをお返しするということが、われわれの義務である、かように信じておるのでありまして、むだづかいなんということは、おそらく、私どもにすれば心外千万の非難だと思います。
  241. 野上元

    ○野上元君 NHK側が反論されることは、当然私にもその気持ちはわかります。しかし、現実の姿としては、そういうふうな非常に冷たい風がNHKに向かって吹いていることは事実です。この事実をいつまでもほっておくと、だんだんだんだん、さらに冷却していきやしないかという気がいたします。したがって、その点は皆さん方にも十分にひとつ、今後心していっていただきたいと思うんです。特に、今年度の予算を見ましても、実に七百八十八億を突破するというような膨大な予算NHKは成長しておるわけであります。番組編成費関係を見ても、百二十四億というような大きな金を使われているわけであります。したがって、そういう問題が、おそらく一般の人には、NHKは金を持っているんだということになろうかと思います。ちなみに、私はTBSの番組編成費を調べてみたんですが、約三十億円ということでありますから、大体NHKの三分の一ないし四分の一の番組編成費しか使っておらない。したがって、これでは民放NHKに太刀打ちできるはずはないんじゃないかというような言い方もされているわけでありますから、その点については、どうかひとつ、今後十分に御検討いただきたいと思います。  それから受信料の問題。これもやはり一応触れておいたほうがいいような気がいたします。近い将来、放送法改正されるということが論ぜられている今日においては、当然この問題に触れられるでありましょうし、かつまた、新聞等にも盛んに受信料の問題が出ているわけであります。この問題についても、ひとつこの際、一般の疑念を一掃するためにお聞きしておきたいと思うのでありますが、NHKが創立されたときには、確かにNHK放送界のパイオニヤとして、ほとんど独占的に開拓をされていったわけでありまするが、今日の姿は違うと思います。民放も相当の発展をしてまいっております。したがって、民放側から言わせれば、今日、聴視者の全体から見て、必ずしもNHKだけを見ているのじゃない、われわれのほうも見てもらっている、われわれのほうがおもしろい番組を流す、あるいは見ごたえのある番組を流すから、NHKは自然に受信料がふえていくのではないか、契約がふえていくのじゃないか、こういうふうな言い方をされておるわけであります。これは、私は一応の理屈になっておるような気がいたします。したがって、受信料の全部を等分に分けるというのではないのですが、大部分は、これはNHKの持つ公共性から見て、当然NHKが使用していいのですが、一部は、放送界全般の問題等に使うことはできないだろうか、こういう意見の人がだいぶおるようであります。たとえば、技術研究所を開放するとか、あるいは文化研究所を開放するとか、あるいはまた、雑音、混信の解消、あるいは難視聴地域の解消のためにこれらの金を共同に使うような、そうして全般的に日本の放送界の事業の内容を高めていくということは、当然あってしかるべきだという考え方の人が相当おるやに見受けられるのでありますが、これらについては、NHKとしてはどういうふうにお考えになっていますか。
  242. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 放送局というものが、出発当時から申しますと、NHKは受信料によって経営をやっている。そのかわり、NHKは、受信料を、全国普及、難視聴地域のために経費がペイしないところでもやっていかなければならない義務を持っております。今後とも永久に持っておるわけでありまして、その義務がまだ果たし得ないこの段階において、商業放送が広告料金によって経営しているというたてまえをとっておるので、そういう人たちにこの料金の一部を提供するということは、現段階においては無理だろう。なお、この研究所ですが、この研究所は、私どもの見るところによると、非常な成果をあげていると思っています。最近の宇宙映像のアメリカの送信のごときも、NHKの研究所というものが非常に大きな貢献をしておるということなのでありますが、こういう貢献をなし得るわけは、もしもこれがNHKの手から離れたらどうなるかといいますと、いま効果をあげ得るということは、ちょうどNHKの現業と研究が相まって調和した状態において行なわれているから、非常に成果があがるので、これがだれのものでもないという形において、NHKが金だけ出すということが、はたしてそれだけの効果をあげ得るということは、まだ私は確信を持つに至りません。いま、にわかにそういうことでNHKの手から離してしまったら、はたしてそれだけのよき成果をあげ得るかということは疑いがあるので、このことについては十分慎重に研究した後決定したいと思います。  なお、研究所の研究の成果というものは、現在でも一般に公開しておって、NHKが独占しておるわけではないのでありますから、そういう点においては何ら差しつかえは私はないものであると、かように存じております。
  243. 野上元

    ○野上元君 NHKが今日まで日本放送界のパイオニアとして開拓されたその功績は、これはだれも認めるところでありますし、かつまた、研究所あるいは文化研究所等が大きな役割を果たしたということも、これは当然事実と思います。しかし、この案件の中で審議をいただきました例の通信衛星の問題がありますが、これも、今日アメリカだけではなくして、とにかく数ヵ国によって共同保有しようじゃないかというような話も出てきておる今日であります。したがって、研究所の問題等についても、やはりそろそろ研究をしなければならぬのではないかというふうな議論をすることも、またこれは必ずしも否定できないのではないかというような気もいたします。したがって、私は、ここで会長にすぐ即答を求めておるのではございません。当然、こういう問題が将来はさらにやかましく論ぜられると思いますので、NHKNHK立場から、十分に確固たるあなた方の一つの考え方をPRしてもらいたい。また、郵政省郵政省として、そういう考え方についても、十分なひとつ、何といいますか、配慮を行なってもらいたいと思うのであります。そうして、NHKは、口を開くと、いわゆる公共性と言われるのでありますけれども郵政大臣はどのようにお考えになっておりますか。NHK民放の相違というのは、どこに相違があるのですか、公共性について。
  244. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ、NHKは、ただいまもいろいろお話がありましたように、国民の受信者から受信料という形において収入を得ておる。また、民間の放送は、スポンサーから広告料という形において収入を得て、これを基礎にして経営しておる。そういうふうに、経営の内容につきましては違いがあるのでありまするが、しかし、いずれも、多数の国民を相手にして、そして放送のサービスを提供しておる。こういう見地からいいましても、ともに、公共的な性格と申しましょうか、その使命は十分に考えてやっていただかなければならぬと、こう考えております。特に、なかんずく、日本放送協会におきましては、一そう公共的な使命に徹して、国民のためによき番組を編成し、これを国民に開放して視聴できるようにしていただくということは、何より大切なことではないかと考えております。
  245. 野上元

    ○野上元君 私も、この問題は考えてみましたが、結局、鉄道を国営でやるか民営でやるかの相違だけだと思うのです。鉄道そのものは、やはり公共性があると思うのですね。それと同じで、電波そのものは、これはやっぱり国民のものであり、非常に大きな公共性を持っているわけです。ただ経営のやり方が違うというだけで、その波の持つ公共性が濃くなったり薄くなったりするものではないというふうに実は考えることもできると思うのですね。そういうことになると、やはり民放のほうが、いろいろな角度からこの問題を論じておるということも一応御理解できると思うのです。したがって、そういう問題が将来どうしてもやかましくなってくると思うのです、私は。このテレビが、あるいはラジオが、普及すれば普及するほど、一〇〇%近いカバレージを持ってきた今日においては、当然そういう問題が出てくるような気がいたしますので、そういう問題については、どうかひとつ、あわせて十分に御研究をいただきたいと思うわけです。きょうは、それらの問題について具体的には突っ込んだ質問はいたしませんが、いずれまた機会を見て、そういう問題についてお答えをいただきたいと思いますので、どうかそれまでには十分に確固たる方針を御説明いただきたいと思います。  一応私の質問はこれで終わります。
  246. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  247. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  249. 野上元

    ○野上元君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について賛成の討論をいたします。  日本放送協会昭和三十九年度収支予算、事業計画及び資金計画を詳細に検討したのでありますが、その結果、おおむね妥当なるものと認め、これを承認すべきものと思います。  しかしながら、昭和三十九年度予算の総額は七百八十八億八千万円という膨大なものでありまして、受信料の性格、NHKの公共性に深く思いをいたし、公正かつ慎重なる使用を心がくべきは申すまでもないのであります。また、昭和三十九年度事業計画が終了した暁においては、全国総世帯に対するカバレージは、ラジオにあっては第一放送九九・九%、第二放送九八・一%、FM放送八〇%、テレビにあっては、総合、教育ともに八九%となるのであります。このことは、別の面から見ますと、いまやテレビ、ラジオは国民生活の重要な一部となっているのでありまして、NHKの持つ機能動員の是非は、国民の道徳・情操形成に重大なる影響を与えるものと言わねばなりません。また、いまなお、この放送文化の恩恵に浴しておらない国民が相当数あることに注目し、一日も早く救済する必要があることは言を待たないところであり、いまこそ、NHKの公共性を十二分に発揮する時期であることを銘記すべきだと思うのであります。また、しばしば問題となっている混信・雑音の解消はいまだしの観があり、この面における技術改革並びにこれを適切に規制する法規の制定の必要であることを痛感するのであります。特に、本年十月には、世紀の祭典ともいうべきオリンピックが東京において行なわれることを考えると、政府、放送界一体となってこれが万全の対策を講じ、国内はもちろん、全世界の期待にこたえる必要があると思います。  最後に、近時、放送事業の飛躍的発展に伴い、放送法改正が論ぜられていることは当然のことと言わなければなりませんが、この際、受信料の問題についても十分検討し、受信者のみならず、国民全般の納得を得ることが必要であることを痛感するのであります。  以上、希望意見を添えて賛成の討論といたします。  なお、私はこの際、次のごとき附帯決議を付し、かつ、それぞれの項目が今後着実に実行されることを期待し、各位の賛成を得たいと思う次第であります。    放送法第三十七条第二項の規定    に基づき、承認を求めるの件に    対する附帯決議  政府並びに日本放送協会は、左に掲げる事項の実施につとむべきである。  一、難視聴地域の解消対策並びに雑音防止対策を積極的に推進すること。  一、オリンピック東京大会の内外放送の実施につき万全を期すること。  一、経営の合理化、能率の向上をはかるとともに従業員の待遇改善に努力すること。   右決議する。  以上であります。
  250. 白井勇

    ○白井勇君 私は、自由民主党を代表しまして、案件の放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、すなわち、日本放送協会昭和三十九年度の収支予算、事業計画及び資金計画を承認することに賛成をいたすものであります。  ただ、この際、日本放送協会及び郵政省に対しまして、次の四点を強く要望するものであります。  その第一は、難視聴地域の解消であります。  日本放送協会の第二次計画は、その終期である四十二年度を待たずに、四十一年度、うまくいけば、四十年度の終わりには完了する見通しで順調に進捗しておりますることは喜ばしいことでありまするが、一面、国民大衆の、ラジオ、特にテレビ放送に対する切なる要望は、協会の第二次計画の進捗度をはるかに上回るものがあるのであります。また、協会の目的、その使命は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるよう放送を行なうこと、の一点にあることを考えますと、この事業計画及び資金計画というものは、難視聴地域の解消が、これは最優先でなければならないはずであります。ところが、来年度の難視聴地域の解消を主とする建設計画の事業量が、本年度よりも十億を減じて百八十億にとどめましたことは、まことに遺憾であります。したがって、新年度において収入が予算額を増加する分は、極力難視聴地域の解消の建設資金に投入すべきものであります。郵政省においても、ラジオ料金の廃止を希望することよりも国民大衆の要望というものは、料金の減免よりも、まず、どこでも、より豊かな放送を視聴できるということにありますことに思いをいたされ、難視聴地域の一日も早い解消を重点に指導いたされまするよう要望するものであります。  第二は、郵政省の、放送局の開設の根本的基準の第七条の三の運用についてであります。  現在の難視聴地域の解消のため、各地方の置局にあたり、特別の使命を与えられておりまする協会の立場と、企業採算を無視できない民放立場とでは、相一致し得ないのが当然の理であります。にもかかわらず、電波監理局が、協会と民放との協定、妥協のない限り置局を認めない現在の行政措置というものは、いたずらに置局の遅延と混乱を招き、逆に難視聴地域におきまする置局の大きな隘路となっておりまする現状であります。郵政省は、協会の置局計画というものが公共の福祉に適合するものである限り、民放の諾否にこだわることなしに、協会の置局を積極的に推進されるよう措置されたいのであります。  第三は、法第三十七条の二によりまする郵政大臣意見についてであります。  この意見というものは、郵政大臣の協会に対しまする監督権の重点であり、また、国会審議にあたりましても、大事なよりどころとなる重要なものであると考えます。ところが、郵政大臣意見は、近年の昭和三十六年度以来を見ましても、難視聴地域の解消、冗費または経費の節減、長期負債の返還の推進の三点を、毎年毎年漫然と繰り返しているだけであります。したがって、受け取るほうにおきましても、郵政大臣意見というものは、単なる訓戒であるというような受け取り方をしておるのであります。これは、郵政省の現状におきましては、法令の定める協会に対する監督の権限内におきましても、常時協会の業務の運行に留意し、それを集積しまして結論とするような適切な意見を付し得る行政体制がないからであります。郵政省は、すみやかにその体制を整備しまして、今後、もっと権威のある意見を付するように努力されたいのであります。  第四は、放送関係法制等、放送基本対策の確立についてであります。  政府は、臨時放送関係法制調査会に、放送関係法制改正について諮問いたしまして、六月にその答申を待ちまして対策を講ずる由でありまするが、放送関係法制を根本的に再検討いたしまして、適正妥当な法制を確立いたしまするには、まず、放送のあり方につきまして根本的な政策があるべきであります。したがいまして、臨時放送関係法制調査会におきましては、権威者の集まりでありまするから、おそらく、放送のあるべき姿、根本的な政策というものを頭において、権威ある答申があるものと期待をいたしておるものでございます。今日、いわゆる電波時代を迎え、しかもその電波には限界がある、その貴重な電波は、申すまでもなく、国民大衆のものであり、あくまでも公共の福祉のために活用さるべきものであり、単に営利の用に供されるようなことがあってはならないと思うのであります。今日、とかく批判のありまする放送業務の運営の現状は、決して国民の要望にこたえるものとは称しがたいのであります。郵政省は、調査会答申を待つまでもなく、放送のあるべき姿に立って、FM放送あるいはUHFテレビジョン放送等を含め、効率的な放送網体制を総合的に整備をいたしまして、いやしくも禍根を将来に残すことのないよう、あらかじめ周到な準備と手配に万全を尽くされまして、放送基本対策の確立に勇断をもって当たられますよう、切に要望いたしまして、私の討論を終わります。
  251. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  253. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって、原案どおり承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、討論中述べられました野上元君提出の附帯決議案を議題といたします。  野上元君提出の附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  255. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 全会一致と認めます。  よって、野上元君提出の附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、古池郵政大臣及び阿部NHK会長から発言を求められておりますので、これを許します。古池郵政大臣
  256. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重し、これらの事項の実施については、日本放送協会と協力して努力をいたす所存でございます。
  257. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 阿部NHK会長
  258. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) NHKの三十九年度の予算が、皆さんの御熱心なる御審議により、よき理解をもって、満場一致御承認を得たことに対して、ありがたくお礼を申し上げます。  なお、ただいま御決議になった附帯決議に対しては、NHKは全力を尽くしてこの実現にあたりたいと、かように存じます。どうもありがとうございました。
  259. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会