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1964-03-25 第46回国会 参議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)    午後三時十三分開会   —————————————    委員異動  三月二十五日   辞任      補欠選任    小林 篤一君  村上 春藏君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            村上 春藏君            最上 英子君            安井  謙君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会副    会長      前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会専    務理事     赤城 正武君    日本放送協会専    務理事     春日 由三君    日本放送協会専    務理事     栃沢 助造君    日本放送協会主    計部長     志賀 正信君    日本放送協会経    営第一部長   野村 忠夫君    日本放送協会人    事部長     加藤 俊三君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  この際、委員異動についてお知らせいたします。  本日、小林篤一君が辞任され、その補欠として、村上春藏君が選任されました。   —————————————
  3. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  日本放送協会関係付託案件審査のため、また、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査中、放送に関する事項調査のために、今期国会開会中、日本放送協会人事部長加藤後三君を参考人として決定しておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件についての審査を進めます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 久保等

    久保等君 最初に、質問に入るに先立ちまして、私の要望を申し上げておきたいと思うのですが、NHK予算書、毎年出されております様式を見ると、縦書きでこれをお出しになっておるのですが、実際問題として、数字が非常にたくさんある。書類縦書きで書かれているということは非常に見にくいし、おそらくまた、書かれるほうも、なかなかスムーズに書けないのじゃないかと思うのですが、私は、決算なんかについては、やはり横書きでお出しになっておるようですし、したがって、この予算についても、ことしは別として、次から横書きでお出しを願うと、これはお互いに便利じゃないかと思うのですが、このことについて、大臣どうお考えになりますか。
  7. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これは形式のことでありますから、私たちとしては、どちらでもよろしいと思いますが、要するに、NHKのほうで便利なようにおやりになったらよかろうと存じます。
  8. 久保等

    久保等君 もちろん原本は、これはNHKで出されているのでしょうが、国会に出されてくる印刷物は、これはやはり内閣のほうで印刷をされて出しておられるのだろうと思うのです。NHKで出されたものがそのままストレートに国会に出されておるのじゃない、これはやはり内閣としてお出しになっておると思うのです。この少なくとも書類そのものは、内容は別ですが。そうだとすれば、それからNHKのほうにももちろん私はあわせてお尋ねしたい、あるいはお願いをしたいのですが、郵政大臣としてお出しになる場合も、やはり横書きでお出しを願いたいのですが、いかがですか。
  9. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私、別にどちらでもいいと思いますけれども、十分にまた事務当局にも話しまして、非常に困るようなことがあれば別問題ですけれども、たいした支障がなければ、御期待に沿うようなふうにいたしたいと思います。
  10. 久保等

    久保等君 NHKのほうでも、私のいまの要望について特別御異存はないのじゃないかと思うのですが、NHKさんのほうでは、どうお考えになりますか。
  11. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御要望の節はごもっともだと思います。ごらんに御便利なような方法について、将来考えたいと思います。
  12. 久保等

    久保等君 それでは、将来そういう扱い方にしてもらえると、お互いに非常に便利だと思いますから、ぜひそうお願いしたいと思います。当然横書きになれば、左とじの形でお出し願えると思いますし、現に郵政大臣意見書なんかも、これは横書きでもって出されておるのですし、それからまた、決算報告書なんかも、やはりそういう形でお出しになっておるししますから、事新しく、予算だけについて、今度、私の申し上げていることは、新しくやるということじゃないので、ただ予算だけについて縦書きに書かれておりますが、これは非常に見るのにねずらわしいし、非常に見にくいと思いますから、私は、NHK並びに郵政当局で、ぜひ将来の予算書提出については、ただいま申し上げたような方式でお出し願えるように、ひとつお願いしたいと思います。  それを要望申し上げ、次に質問に入っていきたいと思うのですが、最初に、やはり私大臣にお尋ねいたしたいと思います。  それは、先般来、衆議院での質疑速記録も私拝見したのですが、例のラジオ受信料全廃問題、この問題について、この際、大臣のほうからある程度明確にお答えおきを願いたいと思います。したがって、最初大臣の、一応あの全廃発言をせられた経緯について詳細に承っておきたいと思います。
  13. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 前回でしたか、前々回でしたか、この委員会で概略の御報告は申し上げておいたのでありまするが、重ねて繰り返して申し上げることになりまするけれども、この三十九年度のNHK予算案並びにこれに関連する計画書提出されまして、これを閣議に上程して、閣議承認を得て国会に提出したわけでありますが、その閣議の際に、この予算案に関連して、ラジオだけの料金、すなわち乙料金のことでありますが、これは年々減ってまいっておることでもありまするし、もうそろそろ全廃をすることを考えてみたらいいではなかろうかという発言がございました。それにつきまして、私も説明をいたしまして、ちょうど三十九年度の予算では十四億となっておるが、これだけの乙料金徴収するための手数料と申しましょうか、徴収費が約半分くらいかかると聞いておる、さらに、乙料金を払う受信者の数も、年度の末になりますると約三分の一くらいは減る勘定になっております。したがって、そういう意味から言えば、全廃考えるということも、そろそろその時期に近づいておるように思うという意味発言を私したのであります。何さま、全体の予算が七百八十八億という膨大な予算の中で、まあ実際の収入としては七、八億ということでありまするから、全体からいえば比較的に少ない数字にもなるわけでございます。  そこで、そのあとで定例の記者会見が行なわれました際に、閣議の模様で差しつかえない点は記者諸君に発表することになっております。そこで、閣議において予算案が了承されたということを報告すると同時に、その際、かような発言もあったということをあわせて報告をいたしました。そこで、ことしはとうてい諸般事情からむずかしいと思うけれども、来年にでもなれば、なるべく早い機会に乙料金全廃方向に向かって考えてもらいたいという希望であるということを私が話したわけでございます。それが、その日でしたか、翌日の新聞に報道されまして、これも、新聞によって、いろいろ表現が変わっておるようでありますけれども、私、明年にでもなればなるべく早くと、こう申したものですから、中には一月からというように書かれた新聞もあるようでございます。  なお、この点については、私の希望を申し述べたにすぎないのでありますが、あわせてNHKのほうにも、自分はかような希望を持っておる、検討してもらいたいということは申し入れております。  大体さような事情でございまするから、御了承いただきたいと存じます。
  14. 久保等

    久保等君 そのことについて、現在のお考えといいますか、気持ちは、どういうお考えでおられますか。
  15. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これは、やかましく言えば、乙料金の問題を考えていけば、まあ自然甲料金のほうにも考えを及ぼしていかなければならぬということは、申すまでもないのでございます。いずれにしましても、この料金問題をきめていくについては、やはり法律改正も必要とするわけでありまするし、また、特にこの予算の面において重要なる要素になるわけでございまするから、予算案として国会承認を受けると、こういう必要もありまするので、十分に検討もし、また、NHKにも検討していただいて、諸般の情勢が許すという段階になれば、私としては、なるべく早くこの料金軽減するということが望ましいのではないかと、かように考えております。
  16. 久保等

    久保等君 大臣が、やはり二月の二十一日でしたか、閣議でもって発言された当時のお考え、まあそれがただいまの御答弁だと、やはり大体同じような心境でおられるようですが、いまもちょっと軽減するようなことで考えてみたいというようなことを言っておられるのですが、そこで、はっきりしてもらいたいのは、全廃にするか軽減するかということによっても、また違うと思うし、一体、二月二十一日当時に言われたことは、おそらく全廃というような意味の御発言じゃなかったかと思うのですが、いまは、何か少し軽減だというようなお話もあったのですが、そういった点で、大臣がほんとうに慎重に検討せられた上に立って、やっぱりこういった特に聴取料という、一般国民といってもいいような、対象の非常に広い範囲に影響力を持った問題ですから、そういったことについて非常に慎重を欠いた点が私はあるのじゃないかという気がするんですよ。だから、ただいまお話のあったその軽減という問題、一体全廃しようというお気持ちなんですか、軽減するというお気持ちなのですか、どちらなんですか。
  17. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私は、この乙の料金は、先ほども御説明申しましたように、年々これは額として低下されていくものと思います。したがって、これだけを考えてみれば、影響も比較的少ないわけでありまするから、できれば全廃方向検討をしてもらいたいと、こう思っております。しかしながら、この問題は、NHKの経営という面からいって、その財政上の諸般事情を勘案した上でなければ最後的な決定はもちろんできがたいと存じまするが、いまからでもその検討を進めていくことは別に差しつかえないことでありまするから、そういう線でお考えを願いたいと、こういうふうな意図で私は新聞記者諸君お話をしたわけでございます。
  18. 久保等

    久保等君 ですから、大臣としての気持ちは、軽減なりあるいは全廃なりということを前提にして検討をしてもらいたいというお気持ちなのか。それから、先般来国会でいろいろ問題になっておりますから、大臣として、要するに軽減できるかできないか、そういったこと、とにかく、いずれにしても再検討をしてもらいたい、検討してもらいたいというような意味なのか、そこらあたり、やっぱりはっきりしておいてもらう必要があると思う。要するに、料金改定をすることを前提にして検討してもらいたいというのと、改定できるものかできないものか、そこらあたり検討してもらいたいというような気持ちなのか。私は、本来ならば、こういう議論が突如として降ってわいてくることは、郵政大臣の、所管大臣として軽率だと思っているのですよ。特にこれが認可事項ですと、郵政大臣認可事項ということになれば、あるいは郵政大臣の一存でそういうことが意向として表明されることはしかるべきだ。しかし、NHK受信料の問題は、これの是非をきめるのは国会なんですから、だから、そういう問題について、宮澤企画庁長官衆議院での発言を見ると、なかなか、はなはだ慎重なことを言われているので、これは経済企画庁長官あたりの言っていることはきわめて常識的だと思うのですが、大臣の御説明を聞くと、何かもう全廃ないしは軽減するのだということを前提にしておられるような発言をしておられるものですから、これは非常に所管大臣として私は不謹慎だと思うのですよ。一般国民大衆立場から言えば、料金を安くしてもらうことはけっこうだし、ただにしてもらえばなおけっこうですが、所管大臣というものは、かりにそういう要望があったとしても、はたしてそれが制度的に可能なのかどうか、あるいは財政的にそういったことが将来どういう影響を及ぼすのかということを、当然あらゆる角度から慎重にそれこそ考慮されて初めて結論が出る性格のものなんです。それを、全廃ないしは軽減問題というものを、こういう制度的な問題、財政的な内容の問題を、何ら検討しないで、いまの物価問題と関連して、一般世論ができるだけ公共料金を低いところに下げたほうがよいじゃないか、下げてもらいたいという要望があるからということで、その空気にぽんと乗っかってやられるということは、私は、国民を代表する立場から言えば、物価問題についてはもちろん政府が強力に物価引き下げをやってもらいたいと思いますが、そういう点では、原則論としては全面的に賛成だ。しかし、具体的にこの聴取料の問題、受信料の問題になってくると、これはきわめて私はNHK自体の存立の基盤そのものですから、それだけに、所管大臣がそういうきわめて根拠薄弱なことでもって新聞記者に発表することはもちろんのこと、閣議において言われたことについても、私はむしろ不審に思っているのです。だから、大臣検討するということは、一体どういうお気持でおられるのか、どういうことを考え検討なんですか、ひとつはっきりお答え願いたい。
  19. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この収入徴収またこれの使途、そういうふうな実態の財政的な問題については、十分NHKにおいて研究もされ、また年々これに基づいて計画を立てていかれるわけでありますが、私としては、先ほど来申し上げましたように、乙料金というものは、漸次受信者そのものが減っていく段階でもありまするので、できればこれは全廃するという方向検討をしてもらいたい、こういう希望を持っておって、したがって、それを記者諸君に話した、こういうわけでございます。
  20. 久保等

    久保等君 大臣、きわめて自信のあるような答弁をしておられるのだけれども、一体全廃する方向でと言われても、ただその根拠というものは、大臣の言っておられるのは、きわめて年々少なくなっていくからということだけが根拠なんですね。だから、私は、それはもちろん釈迦に説法の話だけれども、契約甲は、ラジオテレビも含めての一本になった形の契約甲という少なくとも制度があるのですから、したがって、ラジオだけの契約乙というものだけの問題として処理できないことは、これはもう自明の理ですから、そうなってくると、単に契約乙だけを全廃することを前提として何とか考えてもらいたいというようなことは、私は金額多寡の問題じゃないと思うのです。金額多寡の問題もありますけれども、それより以上に、本質的な一体聴取料というものを、あるいは受信料というものを、どう考えるかという問題がある。もしそういう考え方でいくなら、本質的には、できるものならただにしよう、したがって、ラジオただにするなら、将来私は、テレビただにせいという議論になってくる。ラジオただにするけれども、テレビはとるのだという根拠一体どこから出てくるのかという議論になる。テレビはとるけれども、ラジオただにするのだという理論的な御説明をお聞きしたいと思うのです。
  21. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私は、別にテレビただにしようとか、そういうことを申しておるのではないのでありまして、年々数も少なくなっていく乙料金のほうは廃止をして、また甲料金については、将来これはどういう方向に向かっていくかわかりませんが、十分に研究は進めてもらいたいということは考えております。受信料の性質とか、あるいはその使途の問題、そういうことについては、これはいろいろ議論する立場になれば、相当議論の余地もあるかと思いまするけれども、現在のところは、法律に基づいてNHK受信者契約をして、これを予算案として国会において認めてもらう、こういうたてまえになっておりまするから、その線でいくことは当然であろうと思います。経済企画庁長官の話も出ましたが、経済企画庁は総合的に全般の物価対策を所管しておる役所でありまするから、いろいろの物価について、特に公共的な料金等については十分に研究を尽くしておるわけであります。このラジオ料金については、直接の主管はもちろん私どものほうで、企画庁長官としては、さような意味での答弁があったことと思います。私も、政府部内としては、経済企画庁長官とも話し合ったこともございますけれども、それは、いま直ちにこれを全廃するというようなことは、とうていこれは不可能である、しかし、将来の問題としては考究をしてみることは決してむだではなかろう、こういうふうな意味で話し合いはしておったわけでございます。私の発言が、あるいは誤解を招き、私の考えていることが説明不十分のために十分に徹底しなかったというような点は、これは私十分に考えて今後の注意をしていきたいと思っております。
  22. 久保等

    久保等君 当然、受信料の、特にラジオの場合全廃するということになれば、法改正も必要だということを大臣も認めておられるのです。例の放送関係法制調査会ですか、大臣は何かそういったところに諮問されるような御意思はあるのですか。
  23. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 現在、臨時放送関係法制調査会におきまして、今後における日本放送事業というもののあり方、これの基本的な体系、また、これに基づく法律あるいは制度改正ということがいま審議対象になっておるわけでございます。したがって、この中には、いろいろな面から、またあらゆる角度から当面の問題について検討が加えられておることと存じます。いずれ、その答申も六月ごろには提出されるという見通しでございまするので、その答申を十分に検討いたしまして、今後の行政の上に反映をさしてもらいたいと考えております。
  24. 久保等

    久保等君 私のお尋ねしているのは、ラジオ受信料の問題について何か調査会諮問をせられておりますかというお尋ねなんですが、その点はどうなんですか。
  25. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 特別に取り立てて受信料ということで諮問はいたしておりませんが、放送事業の将来の姿あるいはその体系というようなことについて全般的な諮問をいたしておりまするので、調査会のほうで必要と認めれば、受信料等の問題についても審議がなされるのではなかろうかと、こう考えております。
  26. 久保等

    久保等君 その調査会では、ただ単に、とにかく何も言わずに、全面的にお好きなような何か答申をしてくれというような形で調査会でいろいろ検討しておるのじゃなくて、やはり相当項目を列挙して、こういったこと、こういったことを中心にひとつ意見を聞かしてもらえぬだろうかというような、何か諮問事項みたいなものがあるのじゃないですか。どうなんですか、調査会あり方は。
  27. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 臨時放送関係法制調査会諮問いたしておりますものは、放送法制に関する全体的な問題でございまして、ただいま御指摘のような特にある料金の問題というような具体的な問題ではございません。したがいまして、ただいま放送法制調査会のほうでもって議論をしていただいております問題は、相当広範囲にわたっておりまして、たとえば放送というものの社会的機能がどういうふうにあるべきかというようなことから始めまして、日本におけるNHK一般放送とはどういうふうな社会的な機能を持っていくべきであるかというような問題、そういうような問題の中に、当然いまの受信料の問題も議論されることじゃないかと思います。そのほか、商業放送日本において今後どういう形において行なわれていくべきだろうか。たとえば、その経営的な支配の問題であるとか、系列化の問題であるとか、そういうような問題も入りますが、またさらには、行政あり方というような問題にもなろうかと思います。また、現在の放送法電波法というような法のあり方体系という問題もございまして、そういうような点に関しますいろいろな問題点を、われわれといたしまして、省側といたしまして整理いたしまして、それを法制調査会のほうに提出はしてございますが、調査会といたしましては、そのほかに、各方面からの意見、たとえば民間放送であるとか、あるいはNHK意見であるとか、そういうようなものを集めまして議論しておるわけでございます。特に具体的な一つの案について諮問をしているというものではございません。
  28. 久保等

    久保等君 何か、いまの御説明を聞くと、きわめて広範なような内容に受け取れるのですが、やはり何ですか、諮問事項は、文書か、そういったようなもので問題点を列記して、それでこういった問題を中心にして、なおかつ調査会として独自の意見があれば、それはもちろん答申をしてもらいたいということを言われるだろうと思うのですけれども、いま口で御説明のあったようなやはり要点については、何か正式に文書のようなもので調査会諮問をしておられるのですか。
  29. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま私の申しましたような、放送法制というもの全体のあり方について、今後どうあるべきかという総括的な諮問をいたしておる次第でございます。
  30. 久保等

    久保等君 ただいまお話のあった程度の諮問ですか、諮問されておるのは。
  31. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 諮問内容といたしましては、私があとで御説明しましたような、大きな、簡単な問題として諮問している。簡単というか、内容は複雑でございますが、言い方は簡単な言い方として諮問しているわけでございます。しかしながら、ただいま私が御説明いたしましたような問題点につきましては、別に法制調査会のほうからの御要求がありましたので、それに対しての問題点を提示してございます。
  32. 久保等

    久保等君 それで、受信料の問題に触れた答申が出てくることが期待されるのですか、されないのですか。
  33. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 当然、受信料というものの性格については、十分に討議された形で出てくるものとわれわれは期待しております。
  34. 久保等

    久保等君 大臣の先ほどの御意向なんですが、これは、何らかの形で、あの二月二十一日に問題になる以前、あるいはその後でも何ですが、調査会のほうに伝えられているのですか、いないのですか。
  35. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 調査会には、別に私のほうから伝えたことはございません。
  36. 久保等

    久保等君 そうだとすれば、その法制調査会との関連性もなく、また大臣としては、閣議の席上でたまたま問題になったというか、たまたま時局的な問題として取り上げられたので、大臣のお考えを発表せられたのであろうと思うのですが、しかし、やはり私は、せっかく調査会をおつくりになって、その全般的な放送法の将来のあり方について検討を加えておられるならば、それこそ私は、その場で十分に検討してもらうという、その過程を経て、ある程度固まって一つの案ができ上がったとすれば、これはあるいは先般のような閣議のような席上での問題になることもあり得ると思うのですが、調査会のほうは、全然調査会はそのことを特に具体的に諮問をしておるとかなんとかというようなことがないようですが、そういったようなことを考えると、どうも、大臣のやはり問題のとらえ方、発表のしかたというものは、私は、不自然であり、かつまた、きわめてその手順を踏んでおられない、いわゆる軽率な扱い方であったと言わざるを得ないと思うのですが、先ほどもちょっと申し上げたように、いろいろ制度的な面からいっても、あるいは将来の財政的な問題からいっても、問題がきわめて重大な問題だと思うのです。だから、単に、ラジオ料金が三十九年度の場合に十四億円ぐらいで、半分ぐらいはそのまた扱い料金としてかかってしまうのだ、経費としてかかってしまうのだという程度の問題じゃない。先ほどちょっと申し上げたような基本的な、本質的な問題があるわけですが、そういったことについて、全廃するかしないかという問題の以前の問題として、私はやはり基本的に十分に検討していただかなければならぬ問題があることには、大臣としてもお気づきになったと思うのですよ。だから、したがって、その全廃をしてもらいたいのだという希望前提にして検討させるということよりも、私はやはり、大臣のお気持ちは、何か、金額はたいしたことはないのだから、この際ひとつ公共料金抑制の一翼をになって、この際気前よくまけてやるほうが非常にアッピールするのじゃないかというような、きわめて国民の素朴な感覚には私はマッチするお考え方だと思うのですが、しかし、公共放送の重要な放送事業一体成り立つか成り立たぬか、存立するかしないかという問題に触れる聴取料の問題ですから、その点については、これはもう最も慎重であるべき立場におられると思うのです。したがって、そういう点を考えあわせると、大臣としては、私は、何といいますか、ほんとうに根本的な問題から、全廃するとかしないとかという問題を抜きにして、まず料金体系の問題について考えてみようということなら、これは私ども全然わからぬでもないし、将来一体どうするかというようなことを検討するという範囲内なら問題はないと思う。しかし、全廃云々というような問題を軽々にはっきりと言明せられるということ自体は非常に問題だと思うのです。だから、そういったことについて、大臣がいまどういうふうにお考えになっておるのか、心境をむしろ私は承っておきたいと思います。
  37. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 料金問題の全体について十分慎重に検討をし、考慮されなければならないというお説は、私もさように存じております。先ほども申し上げましたように、これは十分にNHK当局にやはり財政的な面からも研究を重ねてもらわなくちゃならない問題でありまするがゆえに、私も十分にその点はNHKにもお話をし、かつ私の希望としてはこうであるということを申し上げたのでありまして、いずれにしても、将来国会において十分慎重審議を重ねていただくべき問題であるということは承知をしております。ただ、そういう希望を私が申したことが、少し早まっておりはしないか、こういう御意見であれば、あるいはそういうふうに皆さんに御迷惑をかけたとすれば、これはまことに私未熟の至りでございますから、今後は注意をしたいと思いまするが、NHKの公共的な使命を十分果たしながら、一方においては、国民の負担も軽減するということを考えてもらうことが、やはり将来必要ではなかろうか、こういうふうに、ごく素朴な考え方かもしれませんが、私の心境としては、そういうふうに思っているものでありますから、そのことをお話しした、こういうわけでございます。
  38. 久保等

    久保等君 大臣がその御意向NHKにお伝えになったのはいつですか。
  39. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ちょっとその日にち等は記憶しておりませんが、まあそういうふうな検討もしてもらいたいということは、話しております。
  40. 久保等

    久保等君 これは、大臣、ぼくはいまの御説明を聞いておっても、きわめて軽率だと思うのです。少なくとも料金問題について再検討せよと、自分の監督すべきNHKに対して大臣発言をし、要望するからには、これは権威のある形でやられなければ、そこらで道で会ったから、どうだい料金問題再検討したらどうだというような、そんな話の伝え方はないですよ。しかも、いわゆる所管大臣ですから、われわれ部外者が適当なことを言うなら、何を言ったって、かってほうだいですけれども、所管の大臣が、自分の監督しているNHKに対して、しかも料金問題について、ラジオ料金全廃するというような問題に対して、再検討してくれぬかという話をされるのに、どこで、何日に言われたのか、あまり大臣はっきり御記憶がないというお話ですけれども、そういう考え方自体が大体非常に軽率だと思う。同時に、この料金問題も、これは五年も十年も前からこういう体制でやっているのではない。たったおととし、それこそけんけんがくがくの議論をやって、何とかラジオテレビというものが——特にテレビが普及してきた今日、二本立てはおかしいじゃないか、何とか一本立てにしたらどうかという長い間の検討の結果、ようやくにして一昨年の四月から実施したばかりです。ところが、三十七年度の一年間の経過を見ただけで——非常に急激にラジオだけの聴取者が減っていることは事実です。ただ、いずれにしても、実施した時期はつい一昨年の話ですから、大臣大臣になられたのは去年ですから、その前のことを忘れてしまえば、最近急激にラジオ聴取者が減っているから、この際再検討しなければならないという気持ちになるのは無理もないけれども、われわれ少なくとも、十年余にわたってNHKの概括的な動きをながめているものの立場からいえば、一昨年四月からこの新料金体系に入っておるのであり、大臣言われるように、何とかこの際全廃するようにと言われるけれども、われわれ唐突にそういう意見を聞くと、実は驚いているような状態なんです。だから、そういう点もひとつ歴史的な経過を考えてみても、先ほど申し上げたように、私は基本的な問題として、まず、そういうことはとても納得できない意見です。ただ公共料金を下げろということは、われわれは全く全面的に賛成ですから、もし下げ得るものがあるなら、ラジオテレビに限らず、それは公共料金はせいぜい下げてもらいたい。まあ、ただにできるなら、国民としてなおさらけっこうです。しかし、そんなこと言ってみたって、具体的に検討してみたら、なかなかそういうことにはいかないだろう。ことにラジオ料金テレビ料金の問題になってくると、私は、少なくとも当委員会として直接責任のある問題ですから、大臣のいま言われた答弁説明ではとても納得できません。しかも、いま言われたように、一体NHK検討を命じたと理解していいのかどうか、そういうように受け取っていいんですか、大臣。どうも、あんまりはっきりしたお答えがないんですけれども。
  41. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ、日にちのことは私もはっきり記憶はしておりませんが、NHKの当局に対して、乙料金については、いずれ検討をしてみてはどうかということをお話ししたことは事実であります。
  42. 久保等

    久保等君 どこでどなたにですか。
  43. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 大臣室で、たしか別の用件で副会長が来訪されたときであったと考えております。
  44. 久保等

    久保等君 それじゃ前田副会長にお聞きいたしますが、前田副会長はどういうふうにお聞きになっておりますか。それから、あるいは日時のことについても副会長のほうが御存じかと思いますが。
  45. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 大体ただいま大臣からお話がありましたとおりでございます。日時については、私も実は正確にただいま記憶しておりませんけれども、大臣からそういうお話をいただき、いろいろな関係を検討した上でなければ私自身としては何とも申し上げられないけれども、御趣旨を伺いまして、NHKだけでなしに、NHKを取り巻くいろいろな手続の問題その他もございますので、それらを将来総合的に検討する方向にまいりたいということを大臣には申し上げております。
  46. 久保等

    久保等君 まあ、日にちのことはあまりはっきりわからないようですから、それはそれでやむを得ないと思いますが、いずれにしても、私は、やはり郵政大臣のこの問題に対する扱い方としては、十分に慎重に扱うべきものだと思うし、それから同時に、検討されるという立場も、単に全廃あるいは軽減にしても、それを前提にして再検討してもらいたいという意向だとすると、これは、われわれとしても非常に重要視をせざるを得ないと思うんです。まずひとつ全般的に検討してみてくれぬかと、それはもしできるものなら、希望としては——大臣気持ちとしては安くするにこしたことはないと思うんですが、しかし、それを前提にした検討をしろと、もし言われてるとすると、非常に重要だと思うんですが、その点はどうなんですか。まあ先ほどから何回もお聞きするわけですけれども。大臣が個人的にどういう希望を持たれるにしても、これは私はけっこうだと思いますが、しかし、事郵政大臣という立場で、まあこれは非公式も公式もないので、郵政大臣NHKに向かって言えば、これはやはり単に古池信三さんという個人の立場じゃないので、やはり郵政大臣という立場でものを言われてるんですから、これは公式のものと受け取らざるを得ない。そうだとすれば、やっぱり慎重にこの問題については対処すべきだと思うし、したがって、全廃前提にして検討してもらいたいということではないというように理解していいんですか。
  47. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 料金の問題、いろいろ議論もあろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、公の機関としてのNHKがいろいろな仕事もなさる必要がありましょう。したがって、それらの仕事ともにらみ合わせて、将来料金問題について、もし値下げができるというようなことになれば、私はこれはけっこうなことだと、こう考えましたので、将来に向かって、乙料金については全廃するというような方向で実は検討はしてもらえないだろうかということをお話ししたのであります。これは私の希望でございますから。しかし、NHKが、いろいろと研究をした結果、どうしてもいま早い機会に料金全廃ないし軽減するということが非常に困難であるということであれば、しいてそれも無理を押して私はやってほしいというようには考えておらぬのでありまして、その辺のところは、要するに、私の希望を十分のみ込んで、NHKが合理的に考えていただければ、それでけっこうだと思います。あえて私は無理を要求しようというような考えで申したわけではございません。
  48. 久保等

    久保等君 大臣の後段のほうの点については、私もある程度了解できるのですが、しかし、大臣の一貫して、というか、閣議発言せられたこと、あるいはその後新聞記者団等に発表せられたこと等のお考えについては、私特に、むしろ大臣の十分に今後御反省を願いたいと思う点がありまして、同時に、料金問題については、ひとつ十分に慎重に扱ってもらいたいということを要望申し上げておきたいと思いますし、当然、法制調査会のほうで答申が出てこない場合には、この問題だけについてでもひとつ、調査会諮問するといったような——かりに問題を扱う場合には、そういったことも、常識的に、せっかくそういう調査会をつくっているくらいなんですから、そういったところに諮問をするくらいのことは当然考えられることですが、しかし、そんなことは、私自体希望することではございませんから、いずれにしても、大臣がストレートで、ひとつNHK全廃するようなことで再検討しろとかなんとか言われること自体も、私は問題があると思う。したがって、今後の問題については、十分ひとつ慎重に扱ってもらいたいということを要望申し上げておきます。  それから次に、国際放送のことでお尋ねしたいと思うのですが、三十九年度の場合にも、一億二千二百万円の交付金を一応予定して、国際放送の命令をお出しになることになるのだろうと思います。これは、大蔵省に郵政省として予算要求をせられた根拠というものは、どういうことを根拠にしてお出しになったのですか。
  49. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) NHKの国際放送につきましては、放送法第三十三条による政府命令によりまして、これを命ずることができることになりますので、われわれといたしましては、三十九年度は、国際放送の拡充強化というような観点から、いままでよりもこれをどうしても倍額程度のものにしたいというような考えをもって、いろいろと関係方面とも折衝いたしてまいったのでありますが、財政状態その他から、ただいまお話しの一億二千二百万という形に相なったような次第であります。
  50. 久保等

    久保等君 ざっくばらんに言えば、従来一億一千何百万ですか、三十八年度は交付金を組んだわけなんですが、そういう過去の実績から考えて、今度は多少増力をするから、その分だけ経費をふやしたと、その程度のものを大蔵省へ要求したということですか。
  51. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 大蔵省へどういうように経費を要求したかというお尋ねでございますが、その点につきましては、昨年度の倍額程度のものを、われわれとしてはやりたいという考えでもって折衝した次第でございます。
  52. 久保等

    久保等君 要するに、十八方向十八時間の命令を出されようとしていると思うのですが、それで十分だとお考えになっておりますか。
  53. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 十分という意味は、ちょっと、それだけの放送があっていれば十分かというお尋ねか、あるいは資金的にそれで十分かというお尋ねか、ちょっとわからなかったのでございますが。
  54. 久保等

    久保等君 私のお尋ねしているのは、NHKとしては、実際国際放送は十八時間程度ではなくて、三十四時間ですか、そういった放送をやっているわけですね、現実には。したがって、政府立場から見た場合には、十八時間程度で十分なんだ、それ以上にやるのは、要するによけいなんで、やられるならば、もちろん自由にやられてけっこうだけれどもというような程度のお考えなのか、やはり政府としても、できれば三十四時間、あるいはさらにこれを時間を延ばしてまいる必要があるのじゃないかというふうにお考えになっているのか、そのあたりどうなんです。
  55. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 十八方向十八時間ということにいままでなっておったわけでございまするけれども、そのほかに、御指摘のような、NHKのほうといたしまして、これを十八方向、実際は三十六時間というような形で国際放送をやっているわけでございます。われわれといたしましては、政府のほうの命令によるものももっと大きくしたいし、またNHK側としても、できるだけこれに協力といいますか、そういう態勢をとってもらいまして、全体といたしまして、もっと拡充してまいりたいと、実はこんなふうに考えている次第でございます。
  56. 久保等

    久保等君 さらに、その金額をはじき出し根拠というものは、もちろん十八方向、十八時間にふさわしい金額をはじき出したといえばそれまでの話なんですけれども、積算根拠ですね、そういったものは、実際こまかく一応郵政省は郵政省として検討して、その上に立って大蔵省に交付金として要求をされているのですか、どうなんですか。
  57. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) こまかい資料をもとにいたしまして要求いたしております。
  58. 久保等

    久保等君 国際放送の問題について、私は郵政省あるいはNHKの両方からお聞きしたいのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。その国際放送のために相当の金額を国内の聴視者から集めた聴視料でもってまかなっていく、全体では六億円余りの金を使って国際放送を現実にはNHKはやっているわけですが、そのうち、政府が交付金で交付するものは一億円ちょっと、約五億円くらいは国内放送によって上がってくる聴視料によって国際放送をまかなっているというのが現実の姿だと思います。こういう姿が好ましいと考えておられるのかどうか。要するに、国際放送について、これはやはり必要なものについては政府が交付金としてみていくというのがたてまえじゃないかと思うのです。それもきちっきちっと一銭一厘も狂いなく交付金で全部出せといってみても、なかなかいろいろな事情があってむずかしいかと思うのですが、考え方としてはそういう考え方でいくのが正しいのじゃないか。一面、国内の一般国民立場からいえば、国際放送を何も自分は聴いておらないので、国内放送を見たり聞いたりしている。その料金の一部の頭をはねて国際放送に使っている、そのもとは何かといえば、政府のほうで交付金をあまり出さないからである。一応国際放送をやるとなれば、内容ということも問題になってくるだろうし、放送時間の問題も問題になってくるでしょうし、そういった点から、現在約六億円余りの金をかけて国際放送をやっているという状態だとすれば、いま私が申し上げた国際放送あり方ですね。あり方というよりも、その経費等の関係ですね。これは、国際放送については、原則として政府がみていくのだという考え方に立つべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  59. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) やはり、日本の国際放送といたしまして恥ずかしくない程度のものは、政府として考えていくのが基本の考え方であろうというふうに考えております。
  60. 久保等

    久保等君 それが、財政的にはそうなっていますか。
  61. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 十八方向と申しますと、世界各国に一応ずっと放送ができる態勢になっております。一時間ということがはたしていいかどうかという点に問題があろうかと思いまするけれども、決してこれで十分だとは思っておりませんけれども、まあ、現在の財政状態において、できる限りのことはこの程度ではなかろうかというふうに考えております。
  62. 久保等

    久保等君 いまの問題、ひとつ郵政大臣からお答え願いたいと思うんですが、金額は、国家財政全般から見れば、財政能力からいって出せるとか出せないとかいったような大きな金額じゃないんですね。実際問題として五億、六億の話ですから。やはり、私は政府の基本的な考え方の問題だと思うんですよ。できるだけ最小限度の放送をさせて、その経費だけを負担している分には、あまり財政的には負担にならぬからという安易な考え方に立てば別ですけれどもね。国際放送そのものの重要性を認識するならば、やはり五億や六億の金を出してでも、国際放送というものに対して積極的に支援していくという立場を私はとるべきだと思う。ところが、逆に主客転倒して、ほんの一部だけを国際放送に命令的な形でやらして金を出しておるというのが現在の姿だと思う。これに対して、どういうふうに郵政大臣はお考えになりますか。
  63. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 御承知のように、NHKの国際放送は、政府の命令によっていたす場合と、自主的な形においていたす場合と、二つあるわけであります。したがいまして、政府としては、できる限り両面を考慮しながら、命令による場合においては予算をより多くNHKにつけるということが望ましい姿かと思いますけれども、いまの状態としては、まず、相当われわれ努力して、これだけの予算を大蔵省と折衝してとってきた、こういうわけでございます。また、自主的におやりになる点は、これはまたNHKとしての公の機関、法律に基づいて設立されておる公の機関としての立場から、この国際放送の重要性を認めておやりになっておることであって、これは私どもとしてはけっこうなことである、こう考えております。
  64. 久保等

    久保等君 NHKのほうへお尋ねいたしますが、私がちょっと先ほどお尋ねした、日本の国内におる受信者立場からすると、国際放送に対する経費、来年度の場合約五億程度ですが、こういったものが国内の受信料によって国際放送に向けられるということについては、国内の受信者立場からいけば、私はやはり割り切れないものを感ずると思いますが、そのことに対して、NHKとしてはどんなふうにお考えになっていますか。担当の方、どなたでもけっこうです。
  65. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKといたしましては、現在の放送法に、政府命令によります国際放送のほかにNHKが自主的に行ないます国際放送の分野が明定してございます。そのような根拠に基づきまして経費を投入いたしまして、政府命令のほかに、自主的なNHK放送を実施しておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、財源は国内の受信者の方々からいただきました受信料でございます。そういった関係から申しまして、いかに自主的なそのような国際放送の実施とは申しましても、いわばおよそ一定の限界があろうかと心得ております。そういう面から、一面には、政府命令でありましょうとも、あるいは公の機関としての立場からも、日本の国際地位の向上、それは、はね返りましては、日本国民の全体の生活の充実につながるわけでございます。そういったような面から、いろいろと実施をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、そう無制限に経費を投入すべきものではないと考えております。現在の政府命令の一日十八方向十八時間のそれを拡大いたしまして、三十六時間の放送をいたし、しかも、一方向に対しましては一波でなしに数波の波を出しまして、できるだけ日本から出します放送がいい条件で外国に到達をいたしますような方法を講じておるわけでございますけれども、大体申しまして、現在のNHKの使命並びに規模等から考えますると、放送の時間の関係ではおおよそこの辺がもう天井で、限界だと心得ております。したがいまして、所要の経費につきましても、自主的にNHKの財源で実施をいたしております額は五億ばかりの金になりますが、金額的にも、おおよそこの辺のところが限界ではあるまいかと、このように考えております。
  66. 久保等

    久保等君 現状が、国内聴取者の受信料でまかない得る金額としては限界であるというお話しなんですが、また一面から見れば、私はむしろ一対五、大まかに言って一対五で、一が政府のほうで交付金で負担している、それから五が国内受信者の聴視料でもって負担しているという形は、少なくとも好ましい姿だとは私考えられないので、確かに二本立てで経費を負担することにはなっていますが、しかし、あり方としては、できれば全額全部というわけにもいかぬと思いますけれども、大半のものはやはり政府のほうで負担をしていくという考え方に立つべきじゃないかと思うのです。これも、長いずっとやってきた過去の実績は、いま言われたような姿になっておりますが、私はやはり、あり方としては、不自然だと思うし、むしろ、国内聴視者の立場から言えば、大いにひとつ文句を言いたいところだろうと思うのです。だから、したがって、そういうことについて、将来の問題になりますが、一体郵政当局は、五対一といったような比率じゃなくして、三対二か、半分以上のものはむしろ政府命令の形でやる。もちろん必要ないものはNHKとしても放送されておられないだろうと思うのですが、少なくとも必要であるということになれば、政府としても、これは当然、国策というか、公共的な立場でやっておられるわけですから、それを国内受信者のふところから回して持っていくというのは、私はあり方としてはあまり感心しないと思うのです。だから、郵政大臣としては、この問題についてどんなふうに考えられますか、将来の問題として。
  67. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 国が予算をもって、もっと国際放送のために支出をすべきではないかという御意見は、私もごもっともだと存じます。本年度につきましても、大蔵省にはさらに倍額程度要求をいたしたのでありまするけれども、諸般の財政上の事情から、今回来年度予算に計上した程度が認められたというわけでありまして、今後もこれが増額については、十分に努力をしてまいりたいと思います。
  68. 久保等

    久保等君 次に、オリンピックの実況放送の問題、テレビの世界中継の問題について重ねて実はお尋ねしたいと思うのですが、きのうも大臣から、同僚委員質問に対して御答弁があったのでございますが、私、ずっと御答弁を聞いておって、オリンピックも目睫に迫ってきているわけです。したがって、できないものは、これはどうにもならぬと思うのですが、やはり、きのうの御答弁でも、できるだけひとつ努力をする、世界中継ができるような方向で努力をしたい、窓口になっておるのは郵政省なんだというお話なんですが、きわめてあと残された日数もわずかなんですから、文書でやりとりをして、いろいろ要請をしたり、アメリカのNASAの実情等もお聞きになっておるようですけれども、もう少し何か積極的に努力をせられて、はっきりしためどをおつけになる必要があるのじゃないかと思うのですが、郵政大臣、どうお考えになりますか。
  69. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま御指摘のとおりだと存じておりまして、われわれもいろいろ手を尽くして努力をしておるわけでございます。時間的に申しましても、だんだんオリンピック大会が近づいてきておりまするので、猶予なく、できるだけ早く実現のめどをつけたい、かような見解をもって努力をいたしております。
  70. 久保等

    久保等君 きょうは何かリレー衛星二号を使って送信実験をやられる日にもなるようですが、こういう報道が伝われば伝わるほど、国際世界中継といったようなものが実現するのだろうというふうなことについて、これは国のそれこそ内外を問わず、相当な私はやはり期待を寄せておると思うのです。また、先般の佐藤科学技術庁長官の話ではないけれども、日本も一半の財政的な負担をしてでもひとつやりたいのだというふうな意向も伝えられると、非常にオリンピックが近くなってくればくるほど、こういったことについて国民自体も非常に大きな関心を持っていると思うのです。しかし、きのうの話を聞いても、何か文書でやりとりをしておられるという程度というのです。何か隔靴掻痒の感を私は感ずるのですが、大臣が精一ぱい努力をしようと言えば、話はそれで終わりになるだけだけれども、何かもう少し積極的におやりになる方法は考えられないのですか。特に問題は、費用の問題が一番問題になるだろうと思うのですが、日本がある程度負担をしてでもやるお気持ち郵政大臣にはあるのかないのか、そこらもひとつお尋ねしたいと思うのです。
  71. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 公の文書の往復でございませんから、かような席で申し上げるのはどうかとも思いますが、情報としてわれわれいままで受けておりまするところでは、アメリカ側が日本に対して、たとえばどれだけ資金を負担をしたら新しい衛星を上げるとか、そういうふうな具体的な話にまだなってきていないのです。いままでの段階では、技術的にはNASAが十分に協力をしよう、積極的に協力をしようという意思はこちらに参っております。それから試験的にもアメリカにおける関係機関の間でこの調達のためにはいろいろと協議を進めておる、こういう段階でありまして、要するに、アメリカでは、しからばこれこれの資金を用意するからあと日本のほうで用意したらどうかとか、そういうふうな具体的な問題にまだ触れてこないものでありまするから、私といたしましても、その点については、責任者の一人としてどうするというはっきりした決意をつけるまでの段階に至っていない、こういうことが事実でございます。
  72. 久保等

    久保等君 技術的なことからちょっとお尋ねしたいと思うのですが、もちろん、打ち上げられるその通信衛星の種類によっても違ってくると思うのですが、日本として、当然、打ち上げられた場合には、それに対する送受信設備、そういったものをつくらなければならぬと思うのですが、おおよそどの程度、国内設備の設置に必要な時間というのはどの程度必要なんですか、技術的な立場から言って。
  73. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 宇宙通信の通信衛星を使いまして、日本からアメリカにオリンピックのテレビを送るということだけを考えてみますと、方法といたしましては、まず第一に考えられますのは、現在もうすでに実験が済んでおりますところのリレー一号、リレー二号、この衛星を打ち上げてもらうということが一つでございます。それからテルスターというこの衛星を打ち上げてもらう、これが第二でございます。これは、ともに実験的には成功しておりますし、これに対する送信の設備はできておる次第でございます。ただ、これは打ち上げの費用ということが問題でございます。  第三の方法といたしましては、シンコム衛星というものが上がりましたときに、これを利用させてもらう。これはまだ確約を得ていないわけでございます。これができるようになりました場合には、それに対する送信の設備をしなければならないわけでございますが、この送信の設備につきましては、はっきりしたシンコム衛星の情報がわかっておりませんから、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、大体一億円くらいの経費と、六ヵ月くらいの期日があれば、日本のいまの技術からいえば、送信設備が何とかできるのじゃなかろうかと、こういうふうな見通しは持っております。  それから、もう一つの、これははっきりしたことは申し上げられませんが、昨年の暮れに受信の実験をいたしました一番初めのリレー一号というものは、実は消滅するはずであったのでございますけれども、タイムスイッチがまだ生きておりまして、これは動いております。これが、オリンピックのときには、非常に時間的に長くできる軌道をちょうど通っておりますので、これは大体寿命一年くらいとして設計されたものでございますが、これが使えるかどうかということについては非常に疑問がございますけれども、あらゆる手段というものを考えてみるということに相なりますれば、それらもやはり一つの方法としてあがるかと思います。これはやはり送信設備は現在あるわけでございます。  以上が、大体考えられる大きな問題でございます。  なお、もう一つ問題点といたしましてならば、現在上がっておりますシンコム二号という星を太平洋上に持ってくるということをやるということも、これは一つの可能な考えられるところの手段ではございますが、これを移すのにどのくらいの費用が要るか、ちょっといま私はっきりしたことは申し上げられませんが、いま大体申し上げましたような方法、簡単に申しますれば、リレー、テルスターにつきましては、結局、いま送信設備はできておるけれども、星がちょうどオリンピックのときにない。したがって、打ち上げてもらわなければならない。したがって、シンコムにつきましては、まだこれを使わしてくれるということがない。それを使わしてくれるということになりましてから、われわれがその情報によりましていろいろ送信設備を用意するといたしましても、一億円くらいの金と、半年内外の期間が要るだろう、これが大体技術的なわれわれの持っておるデータでございます。
  74. 久保等

    久保等君 そうすれば、ここ一、二ヵ月——二ヵ月になると、ほとんどだめかもしれませんが、一ヵ月前後くらいのところでめどがつけば、ほとんど可能だ。もちろん、十分や十五分のほんの中継が技術的にやれたのだという程度のことは、あるいは先ほどお話があったように、すでにだいぶ古くなった星を使ってやってもやれないことはないかもしれぬけれども、これはきわめて不安定な話で、そのときに使えるかどうかもわからぬようなきわめて不安定なもので、そういったものを期待して世界中継をやるのだということを前もって宣伝をしておると、非常に問題になると思うのですよ。だから、そういった点で、はっきり安定したものを使って国際放送がやれるかどうかという問題は、一にかかって、ここ一ヵ月前後の努力いかん、成り行きいかんにかかっておるのじゃないかと思うのですが、大体そんなところですかね。
  75. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) シンコムの問題につきましては、先生のおっしゃるようなことが言えるかと思いますが、リレーとか、テルスターを上げるとかいうことになりますれば、それはいい軌道に上げてくれるならば、もっとまぎわになって上げてくれてもいいわけでございますから、取りきめは早くいたさなければならないと思いますけれども、リレー、テルスターに関しましては、何も早くから上げてもらわなくてもいいという、もう少しまだ時間があるかと思います。
  76. 久保等

    久保等君 そのリレー、テルスターでやった場合には、時間はどの程度の放送に使えるのですか、時間的には。
  77. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) いまの上がっておりますものは、全然もう、ほとんど取るに足る時間ではございませんけれども、いい軌道に打ち上げてもらえるならば、二十分ないし三十分は一回に使えると思います。
  78. 久保等

    久保等君 シンコムの場合はどの程度の時間使えますか。
  79. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) シンコムの場合は、とまっておりますので、これは時間に関係なく使えると思います。
  80. 久保等

    久保等君 やはり、放送するということになれば、ある程度まとまった時間でなければ、これは期待にこたえられないと思うのです。もうあとは、なんだったら、フィルムでも送ってもらって放送したほうが、これは初めからしまいまでまとまった一つの競技が見られるのですから、二十分や三十分というので、ちょうどいいところでストップになったというのでは、かえって私は放送しないほうがいいくらいだと思うのですよ。そういった点を考えると、やはりシンコムあたりを打ち上げて使うということが一番好ましいことだろうと思うのですがね。そういうことになってくると、これまた時間的な問題があって、ただいまお話があったように、きわめて早急にめどをつけて、また、やるとすれば、よほどピッチを上げて努力しなければいかぬと思うのですよ。そういう、いずれにしても、時間的に差し迫った問題であるだけに、先ほど郵政大臣お話では、まあ他人まかせ、あなたまかせで、向こうからどうもあまりはっきりした返事がこないのでというお話なんですが、こちらのほうで積極的に経費なんかの問題についても折衝してみられたらどうかという気がするのですがね。私は、何が何でもやりなさい、どういう犠牲を払ってもやりなさいという気持ちは実はないのです。これは、日本国民は直接実況は見られるのですから、問題なのは、アメリカなり諸外国の諸君が何といっても恩恵を受けるのですから、そちらのほうは全然熱意がないのに、こちらのほうで何か一人相撲でもってやるというようなことは、これは犠牲ばかり多くして効が少ないということになると思いますから、どうかと思うのです。しかし、いずれにしても、はっきりした見通しを私はつける必要があるし、そういう最善の努力をして、だめならだめで、あきらめざるを得ないと思うのです。ただ、いま電波監理局長の言うような十分や二十分なんというのは、ほんの技術屋さんの実験に使うだけであって、ほんとうの意味の中継放送とは言えないのです。そういうことは、何かいかにもまとまって中継放送ができるようなむしろ期待を持たせるということは、私はかえって問題が起こるのじゃないかと思うのです。したがって、そういったようなことは抜きにして、やるならやるで、りっぱに、しっかり一つのシンコムの打ち上げ、実現をさせる、日本の国内の設備も完成をさせるということで、もう少し計画的に早急にひとつ結論を出されることが必要じゃないか。したがって、大臣にその点について、もう一ぺんひとつお答え願いたいと思います。
  81. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 東京においてオリンピックが開かれるということは、これは、考えようによっては、非常な歴史的な事件であろうと思うのであります。したがって、私どもの感情としては、かような情景を通信衛星を通じてアメリカ及び世界各国の国民に見てもらうという希望をもつことも自然であろうと思うのでありまするが、実際問題となりましては、ただいま電波監理局長から御説明がありましたように、リレー衛星あるいはテルスターでありますると、結局十五分、二十分というふうなきわめて短時間に限られておる。こういう難点があるわけです。そういう意味から、比較的長時間テレビの中継をやろうと思えば、どうしてもシンコムによる以外にはないということが考えられるわけであります。同時に、もう一つわれわれが念頭に置かなければならぬことは、やはり世界の時差の問題です。こちらが昼のちょうど競技によいときが向こう側は、夜中であったり、こういうことでありますると、なかなか、せっかくよい競技も、向こうが寝静まっておるときでは、なかなか実用にならない、こういう難点もありますので、いろいろめんどうな問題はあると思いまするが、たとえ十五分、二十分でも、記念の事業として、やり得るものならばやりたいものだと、こういう気持ちがあります。また、シンコムを上げるためにどのくらい費用が要るかわかりませんけれども、そのために何億、あるいは十億をこえるというふうな費用を負担することが、はたしていまの日本の状態として適切であるかどうかということも、また考えてみなくちゃならぬ問題がありまするので、その辺のところを十分慎重に考慮しながら、なるべく最小の負担において最大の効果をおさめたいと、こういうふうな考えでいま努力しております。
  82. 久保等

    久保等君 私、まだ四、五点について特にNHKにお尋ねしたいことがありますが、きょうは、ちょっと以上でもって終わって、また次の機会に譲ります。
  83. 永岡光治

    ○永岡光治君 私も、ただいま同僚議員の久保君から質問されましたオリンピックを中心にいたします問題について少しお尋ねいたしたいと思います。  同僚議員から、すでにもう二人質問しておるわけですから、二番せんじ、三番せんじで、いいところもないと思いますけれども、少しばかり補足して質問いたしたいと思います。  まず、その意味で、NHKさんのほうにお尋ねしたいのですけれども、大臣も、いま御答弁の中にありましたように、今度のオリンピックの行事というのは、これはやっぱり国際的な行事でございまして、日本のこれがうまく成功するかどうかということは、いろいろな意味で私は重大な意義を持つものだと思っております。そこで、このオリンピックの放送関係について、NHKさんのほうで今日まで努力されてきたいろいろな経過があるだろうと思いますし、国内放送と国際放送に分けまして、どういう準備をされてきたのか。で、いま大体放送を開始する、オリンピックの始まる時期までに十分間に合うと思うのでありますけれども、万遺憾なきを期しておられると思いますが、その辺の準備の状況を国民はやっぱり知りたいと思うのですが、特に国会逓信委員会では、いままでそのことが明らかにされておりませんので、その意味でひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  84. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申し上げます。  いま御指摘になられましたように、非常に大きな歴史的な行事でございますので、NHKといたしましては、国の内外を問わず、この機会に、日本の実情も詳しく海外に紹介されることでもありまするので、非常に積極的にこの大会を放送に取り上げたいと考えています。  御承知のように、オリンピック大会の放送権というものは、オリンピック憲章四十九条によりまして、国際オリンピック委員会が持っているわけでございます。その持っております放送権を、開催地の——今度の場合は東京でございますが、開催地の組織委員会が、国際オリンピック委員会の同意を得てその主たる放送機関に放送権を付与するわけであります。で、この場合、当然放送権料を支払わなければならぬという問題がございます。これはテレビジョンでございます。  一方、ラジオにつきましては、同じようなあれはございますが、放送権は無料で開放されることになっております。したがいまして、この憲章に基づきまして、NHKは、海外の放送機関に対し放送する権利をオリンピック組織委員会にかわりまして取り行なうために、ヨーロッパ放送連盟、あるいはアメリカの場合には一社だけで代表しますNBCでございます。それから、カナダの放送協会、豪州の放送協会、という代表的な放送機関と契約をすでに終わりまして、これに番組を供与することになっています。  一方、東欧圏、ソビエトにつきましては、目下先方から交渉団が参りまして、交渉することになっているわけでございます。その他の世界的な地域にほとんど話は終わっているわけでございます。そういう機関を全部集めてみますと、現在一月末までで合計しますと、ラジオでは五十九ヵ国七十一の放送機関が申し込みをしてきているわけでございます。また、テレビジョンにつきましては、三十九ヵ国、四十二の放送機関が東交大会に取材に来ると申し込んできているわけでございまして、今月一ぱいになりますれば、すべての数が確定するわけでございます。そういたしますと、推定で、いま世界じゅうのテレビジョンのセットが一億三千万程度あると考えられますので、このセットを通じて、一台で四人とか五人というと相当大きな人数が東京オリンピックの実況をテレビジョンで見、ラジオで聞くということになるわけでございます。これに番組を提供いたしますために、NHKといたしましては、ワシントン・ハイツに放送センターをつくることになっておりますが、そのオリンピックに必要な部分は十分間に合うように目下建設が進んでいるわけでございます。  具体的なやり方を申し上げますと、一日一番たくさん同時に種目が開催されるのは十ないし八という計画になっておりますので、NHKといたしましては、八競技場から同時にオリンピック・センターまで画を持ってまいりまして、その画を外国の放送機関が、たとえばAの自転車競技がほしいとか、Bのサッカーがほしいとか、いろいろ注文がある。この注文に応じまして、フィルムなり、ビデオテープなりをつくって差し上げるという方法をとって準備を進めておるわけです。  国内の放送につきましては、昨年夏以来、東京の商業放送テレビ・キー局の幹部及びNHKの会長以下でオリンピック放送委員会をつくりまして、そこでどういうふうにやっていくかという相談をいたしました結果、結論は、オリンピックの取材はあげてNHKにやってもらう。で、NHKは自分の持っている機関を動員して集めました画を各商業放送の自由選択にまかして番組を差し上げる。この差し上げる方法は、具体的にはオリンピックセンターから例の電電公社の統制センターと申しますか、そこまでいったものを各社は自分の放送機に入れるというような選択をするわけでございます。そういった形で各日本全国の商業放送のネットにもこれが乗るわけでございます。  ただいま考えております具体的な放送計画は、ラジオで一日八時間程度、テレビジョンで十時間ないし十二時間程度ということを考えておりますので、午前、午後、夜間、ことに今度の東京大会の場合には、夜間に主としてかなり有望な種目の決勝が集まるようなスケジュールになっておりますから、午前、午後、夜間にわたりまして、ラジオにつきましては、NHKの場合には原則として第一放送テレビジョンでは原則として総合テレビをフルに動員して放送いたしたい、こういうふうに考えております。  で、昨年の国際スポーツ大会以来、そのことを考えまして、全国のNHKのアナウンサー、プロデューサー、あるいは技術関係者の養成、研修も計画的に進めておりますので、オリンピックには国の内外に番組を提供し、同時にNHK自体放送をするために約千六百人程度の人間が動員されることになろうかと考えております。  それからカメラとか、中継用の自動車とか、マイクロホンとか、録音機とかいうふうなものは、現在進行中の六ヵ年計画の一部を早期繰り上げのようなかっこうになりまして、オリンピックに動員される計画を立てているわけでございますので、いずれにいたしましても、それと同時にNHKの、先ほどお話のございました国際放送の波にも乗るように、オリンピック期間には時間を若干延長いたしまして、日本の国際放送の波にも相当オリンピック種目を乗せるというような形で、世界じゅうに東京オリンピックがラジオテレビジョン、あらゆる機能を使ってフルに提供できるように、万全の態勢を整えておりますし、十分所期の目的が達し得るという、計画の進捗状況も、研修の進捗状況も、なっている次第でございます。
  85. 永岡光治

    ○永岡光治君 あまり私よくわかりませんので、教えていただきたいのでありますが、そういたしますと、民放や世界にずっとニュースを送るわけでありますが、その収入NHKに入ってくるわけですね。そうすると、いまお話を聞きますと、ばく大な経費をこれに使うことになるわけでありますが、それらの問題は一体どういうことになるのか。
  86. 春日由三

    参考人(春日由三君) 先ほどお話し申し上げました海外の諸機関から入る放送権料につきましては、これはオリンピック組織委員会に入りまして、今度のオリンピックを実行する経費の一部になるわけでございます。同時に、NHKが自分の機関を使っていわゆる番組提供する分については、NHKがちょうだいし得るものがあるわけでございます。お金が二つに分かれて考えられているわけでございます。したがいまして、お手元に提出いたしました、オリンピック放送のために六億五千万円程度の予算が出ておりますのは、これはNHKが、国内放送あるいはそれをするために使う経費でございますが、同時にその際、オリンピック組織委員会に納まる権利料のほかに、NHKがサービス提供するものについて入ってくる部分が一億五千万円程度ある、こういうことでございます。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、結局、いわば持ち出しということに、数字的には、なるようですが、そういうふうに理解していいわけですか。このオリンピック放送NHKがタッチするために相当な経費をつぎ込むことになる。犠牲といってはおかしいけれども、収入よりは持ち出しのほうが多いのだと、そういうことに、いまのあれではなると思うのですが、そうなるとすれば、何か国のほうでそういうことについて補助するというようなことはないのか、あるのか。郵政大臣のほうにも、もしそういうことであれば、所見をお聞きしたい。
  88. 春日由三

    参考人(春日由三君) 結果的には、六億五千万円程度使って一億五千万円入ってきて、その残りはいわゆる持ち出しでございますが、いわば、これは番組制作費でございますから、二週間にわたって、一日ラジオ十時間程度、テレビジョン十二時間程度の番組制作費が大部分でございます。その期間はほかの番組はないわけでございますから、放送の番組制作経費というふうに考えられるわけでございます。
  89. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この世紀的な行事でありますオリンピック放送の実況を国内並びに国外に伝えるために、いろいろな施設もし、努力をされておるNHKの仕事としては、公の機関としてかなりサービスをされることは、特に不当だとは私思っておりません。また、これがために、郵政省が国の予算をもって補助するということは考えておりません。
  90. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちょっとお気の毒のように思うのですが、その経費の問題はさておき、国内の放送の問題について、何かカラー・テレビ放送計画をいたしまして、NHKと民放のほうで何か電電公社に要望されたような話をいつか聞いたのでありますが、その経過はどうなっておりましょうか。
  91. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 一部の放送をカラー・テレビジョンでやるという計画がございまして、現在のNHKに関しましては、現在のカラーのテレビ放送網は、東京、名古屋、大阪並びに北陸を結ぶグループだけの局地しかできませんので、ぜひオリンピック時には全国的にこれをカラーの放送を送りたいということで、電電公社のほうに何とかできるだけたくさんの局でカラーの放送ができるようにマイクロ・ウエーブを整備してもらいたいという要望出しました。
  92. 永岡光治

    ○永岡光治君 要望して、回答が何かありましたか。それでその皆さんの要望のとおり現在進捗しているのか、どうですか。
  93. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) お答え申し上げます。  電電公社につきましては、かねてから、昭和四十年度末を目標にいたしまして、全国のマイクロ・ウェーブの系統を全部カラーが送れるようなふうにすることで工事を進めておられるように伺っております。それは一応四十年度末ということになっておりまして、オリンピックの三十九年の十月までにはそれはできないという、本格的なものはできないというような御返事はいただきました。ところが、重ねて私のほうから要望いたしまして、本格的なものは間に合わないでも、いろいろ現在の回線に対して若干の手を加えまして、暫定的な方法によってある程度可能であろうこの点につきまして、現在電電公社と折衝中でございます。
  94. 永岡光治

    ○永岡光治君 次に、まあ国際放送のほうに入るわけでありますが、春日局長からのお話によりますと、ただいま国際放送についてもテレビジョンを送りたい、こういうことでありますが、先ほど同僚の議員の質問によりますと、なかなかそのテルスターなり、リレーなり、シンコムなりというものが、非常に利用がむずかしいような印象を受けているわけでありますが、これはどの程度できるのでしょうか。むしろこれは郵政当局に、研究機関が方方に施設もあるようですが、国際電電あり、NHKあり、郵政省も何かそういう設備をつくろうとしている話でありますが、そういうふうに、どこまで進捗しているのか知りませんけれども、いまのNHKさんの計画されているものが、端的に言って、相当実現の可能性があるのかどうかですね。
  95. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 概略を御説明申し上げまして、また詳細な、あるいは技術的な面は、局長のほうからお答え申し上げます。  国際放送と申しましても、ただいまお尋ねになっているのは、宇宙通信衛星を利用しての放送だろうと思います。これにつきましては、衛星として考えられることは、リレー衛星、テルスター衛星、シンコム衛星がありますが、そのうち、現在上がっておりますリレー二号並びにテルスターは、ちょうど十月ごろには条件の悪い軌道に乗っておりますので、これを利用するということは非常に困難であると考えます。また、かりに新しくリレーないしテルスターなどを打ち上げてもらいましても、これを利用する時間が十五分とか二十分とか、きわめて限られた時間であります。なおかつ、時差の関係も考慮に入れますと、これがほんとうにアメリカなりヨーロッパなりの家庭にその映像が十分見てもらうことができるということについては、なかなか問題が多いであろう、こう考えられます。そこで、第三のシンコムでありますならば、これは長時間静止する状態にありますから、相当にこの実況を送ることができると思いますが、これについては、アメリカの方針もまだきまっておりませんし、技術的には可能であろうと存じますが、これを打ち上げるに要する相当多額の経費をどこがどういう方法で分担するかというような問題がまだ具体化していない、こういう難点があるわけでございます。また、日本側の受信あるいは送信の設備としましては、御承知の茨城県の国際電電の十王における設備、また郵政省直轄の鹿島における地上設備も、そのときまでには完成いたしますから、いずれにしても、これはテルスターまたはリレーに対しては有効に働きますが、シンコムに対しては、今日の段階では用をなさない。したがって、シンコムを上げられて送信をするということになれば、新たに送信の設備を考えていかなければならない、こういうふうないま段階になっております。
  96. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、宇宙通信によるところの放送というものは、まず間に合いそうもないと理解をせざるを得ないわけでありますが、これはオリンピックに間に合おうと間に合うまいとにかかわらず、実験をして、早急にその実現をはかろうとしておるのでありますから、その点について若干お尋ねをしたいわけでありますが、通信衛星の共同所有ということについて、アメリカのほうからオーストラリアとか日本に対してどうだというような話があったやに新聞の記事で拝見したわけであります。そういう事実があったのか、そうして、いまどういう程度に進捗しておるのか、そういう状況をひとつお知らせをいただきたい。
  97. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これは、アメリカに、一昨年法律に基づいて通信衛星会社というものが設立されまして、この通信衛星会社が中心になって、世界の各国が参加して一つの国際的な世界的な商業衛星通信網をつくろうという計画が今日あるわけでございます。先般、三月の三日、四日、五日、アメリカから通信衛星会社の関係者並びに国務省の関係者が日本に来られまして、他に豪州からも関係者が参加されて、三国の会議ということに相なったわけであります。この会議の目的とするところは、アメリカ側からその計画内容について説明を聞く、こういう目的の会議でございまして、いろいろと計画あるいは内容について説明を聞いた次第でありますが、このことは、直接にやはり今秋のオリンピック放送に関係のあるわけではございません。これはもう少し将来のことを考えた大きな世界的な構想であると、かように御承知をいただきたいと存じます。
  98. 永岡光治

    ○永岡光治君 その場合に、郵政省として、郵政大臣として、主管の大臣としてこれを進めるお考えであるのか。  なお、もう一つついでにお尋ねをしておきたいのは、これはアメリカからの話でありますが、いまの衛星通信というのは、これは十ヵ国くらい参加するというような話を聞いておりますが、この十ヵ国の中に、フランスだとか、そういうものが入っているのかどうか。実は、アメリカとの共同で宇宙通信を上げようじゃないかという話があって、そういう意味でやはり話が進んでおるやに聞いておるのでありますが、一方また、フランスのほうにもどうだという話があるやに聞いておるのでありますが、そういう事情はどうなっておるのでありましょうか。  もう一つ、第三点目として、もしそういう衛星通信会社と申しますか、そういうものができる場合には、日本の機関としては、どこの会社がそれに入るのか。そういう場合に、それもあわせて構想を承りたいと思います。
  99. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いまお話しになりました中で、フランスが通信衛星を通じて日本からの放送を受けたいという話は、これは、ただいま問題になっておりまする通信衛星会社の構想とは全然無関係のことでございます。  それからアメリカが主唱しておりまする世界宇宙通信網の構想の中には、世界の有力な国々ができるだけ多く参加してもらいたい、したがって、自由国家群であろうと、共産国家群であろうと、そういう区別はしない、そこで、この説明を一応受けたのでございますが、しからば、日本としてはどういう態度であるかと、率直に私の考えを述べよということでありますが、これは非常に重大な事柄でありまして、まだ関係省の間では協議を進めておりません。したがって、私がここで申し上げると、はなはだ軽率な発言をしたといって、あとでおしかりをこうむると、まことに私も迷惑をいたします。したがって、そういうふうな、あとで決してとがめないからひとつ率直に考えていることを、述べよということであれば、私としては世界の大勢が、これからだんだん宇宙通信衛星利用という方向へ向かっておる際でございまするから、日本としても、今日これだけの力を備えてきたのでありまするから、やはりこういう機会を逸せず、こういう仲間入りをして、そうして大きく世界の平和的な利用によって世界全体の平和の増進、また人類福祉の増進という面に寄与することが国のためでもあり、世界全体のためでもあるから、好ましいことではないかと、私はさように考えております。  それから、もしも日本がこれに参加するというような場合になったらば、機関としては何がこれに参加するかという問題になりますが、これをいまの段階で私が確定的なことを申し上げることは差し控えたいと思いまするけれども、一応の案としては、やはり国際電信電話株式会社が国際通信という立場からはその使命とするところではなかろうか。こういうふうに考えております。
  100. 永岡光治

    ○永岡光治君 おそくなりましたから、はしょって質問をさらに進めますが、例の沖繩とのテレビないしラジオ放送の中継の問題でありますが、いまだにこの前の、昨年問題になって以来の、解決していないやに聞いているわけでありますが、どういう状況になっておるのか、現在の段階を御説明ただきたいと思います。
  101. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 日本と琉球間のマイクロの施設につきましては、御案内のように、昨年完成いたしまして、設備そのものは沖繩に寄贈したわけでございます。これが運営は、日本においては日本電信電話公社、また沖繩においては琉球電信電話公社が当たることになるわけであります。  そこで、このマイクロウエーブを使用するにあたって、その収入をいかなる割合において分けるか、いわゆる分収の問題について、両公社の間で折衝を続けてまいっておりまするが、まだ意見の一致をみておらない。こういうような段階でございます。私どもといたしましても、せっかく沖繩に寄贈をし、一日も早く利用してもらいたいというのが念願とするところでございまするから、側面からいろいろと支援をいたしながら、早急にこの問題が妥結するように、かように考えておる次第でございます。
  102. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、オリンピックには当然間に合うだろうと思うのですけれども、そうのんびりしたことは言えないだろうと思うのですが、大体いつごろの見通しですか。いまあなたのお感じになっておる状況で、努力した結果、大体いつごろまでにはおよそ解決するのではないかというお見通しがありますか。それとも、それも全然いまのところないという状況でございましょうか。
  103. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これは、昨年以来の懸案になっておりまして、両者の主張がはなはだしく対立しておるようなわけでございます。と同時に、沖繩におきましては、沖繩の行政事情が、御承知のようにアメリカの民政府の施政下にある、こういうような関係もありまして、かたがた簡単にまいっていないのであると、こう存じております。先般わざわざ日本の電信電話公社からも総務理事が沖繩に行かれまして、折衝を続けておられるということを聞いております。したがって、私の立場からいつごろこれが解決するかという見通しをはっきり申し上げるということは、これは不可能でございますが、沖繩の民政府の長官である高等弁務官もアメリカに帰国しておられたようでありますけれども、近々帰任されることと思いますので、そうなれば、この問題も促進されるのではないかと、かように考えております。
  104. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはやはり私の受ける感じでありますが、電信電話公社だけで——折衝される当面の責任者ですから当然でありましょうけれども、それだけでは、かなりむずかしい事情があるのではないかと想像されるわけです。昨年からは、もうすでに四月、五月になろうとしているのに、いまだに解決しない、たいへんこれはもったいないといいましょうか、設備のそれも遊ばしていることになるわけですから。政府筋のほうでもう少し積極的に、相手方の高等弁務官ですか、そちらのほうとの接触、これは側面的になりますかどうかわかりませんが、力をかしてやらないと、なかなか早急には解決できないような印象を受けるわけですが、そういう努力はされておるのでしょうか。それとも、まだその段階でないけれども、近くそれじゃ努力しようということになるのか、その辺の事情をひとつ承りたいと思います。
  105. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 沖繩と日本政府との折衝の当事者は、御承知のように内閣では総理府がこれを分担しております。そこで、先月と記憶しますが、キャラウェー高等弁務官が東京に来られました節に、私からも特に総理府総務長官にお願いをいたしまして、二回にわたって、この高等弁務官と会見をしていただいて、この問題の早期解決のために、側面からぜひ努力をしていただきたいということを申し入れたわけでございます。その後におきましても、関係者が沖繩の民政府とも交渉をして、できるだけ早い妥結と目標に立ちまして今日努力を続けておる、こういう状況でございます。決して、日本政府は、これを公社のことであるからといって放任しておる、そういうわけではないのでございます。
  106. 永岡光治

    ○永岡光治君 早急にひとつ、さらに政府筋におきましても御尽力をいただきたいと思うのであります。  次に質問することは、直接これはまあラジオあるいはテレビ等の放送の関係とは違いますけれども、オリンピックに関係する問題で郵政省所管の事項として、所管官庁として十分御配意いただかなければならぬのじゃないかというふうに感ずる問題を申し述べて、ひとつ御所見を承りたいと思うのでありますが、冒頭申し上げましたように、今度のオリンピックというものが世界に及ぼす影響というものは非常に私は大きいと思うのです。日本の威信と申しますか、評価と申しますか、その点の非常なチャンスでもあるし、また失敗すれば、これはたいへんなことになると思うのでありますが、そういう意味におきまして、放送等につきましても万全の措置をとっていただこうと思っておるのでありますが、やはり、これはローマにおける状況もそうだったそうでありますけれども、選手はもとよりでありますが、多くの外来者がおいでになるわけでありますが、交換業務に当たる外国語のわかる人ですね。これに非常に不便をするのではないかと思います。これは、直接には電電公社さんが受け持つことになりましょうし、またその競技場等においては競技場の交換手、PBX等の問題になると思うのでありますけれども、ローマですら用が足りなくて、何かスイスのほうに御協力を求めたという話も聞いているくらいでありますが、よけいなことかもしれませんけれども、私ども逓信の関係の一員として、その辺のところを十分配意していただいて、電電公社のほうにも十分意思を伝えて、万遺憾なきを期していただきたいと思うのでありますが、これは要望でございます。その辺のひとつあえて大臣の所見を求める必要もなかろうと思うのでありますが、ぜひひとつこれはお願いをしておきたいと思うのであります。  それから最後に、これは放送に関係することでありますが、先般私ども広島管内あるいは四国管内を逓信委員会国会視察として参りましたが、自動車が非常に最近多くなりまして、あるいはまた電池を使うわけでありますが、雑音が非常に多い。何とかできないのかということで、その雑音の防止策についていろいろ努力しておるようでありますが、郵政当局として、そういう問題について特別配意をしているものかどうか。これはひとつ、わかっておることであれば、知らしていただきたいと思います。
  107. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまの御意見、特に私の答弁は要しないというお話でございますが、オリンピックの際に多数の外国の選手その他の観光客が来られます場合に、電話交換要員が外国語に習熟するということは、非常に大切なことであろうと思います。ただいまの御心配は、まことにごもっともな御心配であると考えます。まあ、実際の担当をいたしまするのは日本電信電話公社でございまするから、さっそくその御意見は公社のほうに伝えまして、今後十分にできる限りの努力をこの方面に尽くしてもらうようにいたしたいと考えます。  それから第二のラジオ等の雑音防止の問題でありますが、これについては、雑音防止に関する機関もできておりまして、いろいろと国民の皆さんに呼びかけて、雑音防止に対する協力を要請しておる。あるいはまた、関係業者等にもいろいろと協力方を要望いておる次第でありまするが、技術的な面にもわたりまするので、これは局長のほうから詳しい御答弁をさせていただきます。
  108. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま御質問になりました雑音の問題は、まさしく今後のいろいろな電気機械器具普及というとうな問題から、電波を使用しているものにとりましては大いに関心を寄せていかなければならない問題であろうと思います。ただいま大臣から御説明お答え申し上げましたように、雑音防止協議会というものを、これは任意団体でございますがっくりまして、それによりまして、この雑音源になりますものに雑音を出さないような装置をつけることを大いに勧奨するということで、これは効果をあげておるとわれわれ考えておりますが、決してこれだけでは十分ではございません。  なお、御指摘の自動車の問題というものにつきましては、このテレビの雑音の発生源といたしまして、この着火装置のところから出てまいります高周波によりましての雑音、これが御指摘のように非常に大きな問題となっておるような次第でございます。郵政省電波監理局で電波技術審議会というのがございます。そこに技術的な問題に対しますいろいろな問題を諮問しておりまするが、そこでもいろいろとこの問題について、一番経済的な、いい雑音の防止策というものはどういうふうにあるべきかということも検討してもらっております。技術的にまた、この使っておりますものの理解というようなものを大いにわれわれPRをいたしまして、この問題の解決をいたしたいと努力をしている次第でございます。
  109. 永岡光治

    ○永岡光治君 その協議会みたいなものがあるそうでございますが、そこで私は、私の一つの思いつきでありますけれども、十分御検討ただいたらどうだろうかと思うのでありますが、特別な機械装置をすればこれが防げるという話も聞きましたが、それにはやはり金もかかりましょうし、技術指導もしなければならぬと思うのでありますが、そういう意味では、郵政当局もひとつ助成をする経費を出せる道があるのかどうか知りませんけれども、それからNHKさんあたりでも、できだけひとつ援助をしていただいて、それは結局、おたくの出される電波が的確に聞けるわけでありますから、そういうまたNHKさんのほうの性格は、私は助成、援助する——援助と申しますか、そういう性格を持ってもいいんじゃないかと思うのでありますが、そういう団体をつくられて、技術指導なりして、安いりっぱなものをひとつつけてもらうように、いまある協議会ですか、そういうものを助成していく方法をとったらどうだろうかと思うのですが、いままで郵政当局としては、経済面ではなくて、そういう何と申しますか、業者に指導している程度じゃないかと私は記憶するわけでありますが、そこまで積極的に踏み入ったらどうだろうかという気がするのでありますが、その辺どういうお考えを持っておりましょうか。
  110. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま御指摘のように、雑音防止協議会は、確かにいろいろなこういう方面の指導というようなことをやっておりまして、非常に機器そのものの助成ということはやっておらないのは確かでございます。しかし、これを助成ということになりますと、なかなか法律的にもいろいろ検討しなければならない問題もあるかと思います。また、どこが助成すべきかというような問題もあろうかと思うのでありますが、御趣旨のことはよくわかるのでございまするけれども、いまさしあたって、私どものほうといたしまして、どういうふうにしていきたい、こういうふうにしていきたいというような考えは持っておらないような次第でございます。
  111. 永岡光治

    ○永岡光治君 やはり、ある程度の技術指導だけでは、なかなか、やはり若干の金もかかるわけでありますから、自動車業者でもつけないと思うのです。それがどうも実態のようです。そこで、これはまたむしろNHKさんのほうにお願いしたほうがいいんじゃないかと思うのですが、そういう経費がもし出されるとするなら、ひとつ方法を考えていただいて、結局電波の正確なものを受けていただくということになるわけでありますから、何かそういう経費でも出せれば、それを助成する団体でもつくって、おたくのほうの役員なり電波監理局の役員の方々にも、ひとつそこに入っていただいて、十分御指導していただいたらどうかという私の考えがあるわけです。即答はむずかしいかと思うのでありますけれども、ひとつ、そういうことも十分御研究ただきたいと思います。
  112. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 御趣旨の線に沿っていろいろ研究したいと思います。この問題につきましては、私どもが非常に重大な関心を持っている問題でございまして、長年にわたりまして、いろいろ雑音源防止等につきましても、研究ないしあるいは実際の現場の技術指導、あるいは若干の経費を出したこともございます。問題は、やはり、簡単に申し上げますと、ラジオにおける螢光灯の雑音、テレビあるいはFM放送における自動車のたぐいの出します雑音、これが一番いまの雑音源としては大きなものでございます。これらにつきましては、根本的には、欧米諸国のごとく、雑音源に対する法律的ないろいろな規制を加えまして、出さないようにさせるということが一番根本的な解決問題かと思います。若干の助成をいたしましても、この根本が放置されております限り、これを根絶することは不可能でございまして、現に、自動車でも、外車はほとんど雑音を出しておりません。ちゃんとした規制がされております関係で、出しておりません。日本の国産の車が雑音を出しているという状態でございます。そういうことで、根本的には、私どもとしては、これに対して、ヨーロッパの各国のごとく、法律的な規制を加えていただくのが最もいい方法だと思っておりますが、これもなかなか簡単にはいかないと考えておりますので、いろいろな形によりまして、御趣旨の線に沿いまして、いろいろ今後とも努力したいと思います。
  113. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは、おたくのほうのラジオの故障とか修理についての巡回相談とか、かなり助成しているように聞いているのですが、それと同じような範疇として考えていいのではないかという気がするので、できるだけそういう面で御協力いただけば、たいへんありがたいと思います。これは要望しておきます。  以上をもちまして、私の本日の質問は終わります。
  114. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本件については、本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後五時十五分散会