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参考人(春日由三君) お答え申し上げます。
いま御指摘になられましたように、非常に大きな歴史的な行事でございますので、
NHKといたしましては、国の内外を問わず、この機会に、
日本の実情も詳しく海外に紹介されることでもありまするので、非常に積極的にこの大会を
放送に取り上げたいと
考えています。
御承知のように、オリンピック大会の
放送権というものは、オリンピック憲章四十九条によりまして、国際オリンピック
委員会が持っているわけでございます。その持っております
放送権を、開催地の——今度の場合は東京でございますが、開催地の組織
委員会が、国際オリンピック
委員会の同意を得てその主たる
放送機関に
放送権を付与するわけであります。で、この場合、当然
放送権料を支払わなければならぬという問題がございます。これは
テレビジョンでございます。
一方、
ラジオにつきましては、同じようなあれはございますが、
放送権は無料で開放されることになっております。したがいまして、この憲章に基づきまして、
NHKは、海外の
放送機関に対し
放送する権利をオリンピック組織
委員会にかわりまして取り行なうために、ヨーロッパ
放送連盟、あるいはアメリカの場合には一社だけで代表しますNBCでございます。それから、カナダの
放送協会、豪州の
放送協会、という代表的な
放送機関と
契約をすでに終わりまして、これに番組を供与することになっています。
一方、東欧圏、ソビエトにつきましては、目下先方から交渉団が参りまして、交渉することになっているわけでございます。その他の世界的な地域にほとんど話は終わっているわけでございます。そういう機関を全部集めてみますと、現在一月末までで合計しますと、
ラジオでは五十九ヵ国七十一の
放送機関が申し込みをしてきているわけでございます。また、
テレビジョンにつきましては、三十九ヵ国、四十二の
放送機関が東交大会に取材に来ると申し込んできているわけでございまして、今月一ぱいになりますれば、すべての数が確定するわけでございます。そういたしますと、推定で、いま世界じゅうの
テレビジョンのセットが一億三千万程度あると
考えられますので、このセットを通じて、一台で四人とか五人というと相当大きな人数が東京オリンピックの実況を
テレビジョンで見、
ラジオで聞くということになるわけでございます。これに番組を提供いたしますために、
NHKといたしましては、ワシントン・ハイツに
放送センターをつくることになっておりますが、そのオリンピックに必要な部分は十分間に合うように目下建設が進んでいるわけでございます。
具体的なやり方を申し上げますと、一日一番たくさん同時に種目が開催されるのは十ないし八という
計画になっておりますので、
NHKといたしましては、八競技場から同時にオリンピック・センターまで画を持ってまいりまして、その画を外国の
放送機関が、たとえばAの自転車競技がほしいとか、Bのサッカーがほしいとか、いろいろ注文がある。この注文に応じまして、フィルムなり、ビデオテープなりをつくって差し上げるという方法をとって準備を進めておるわけです。
国内の
放送につきましては、昨年夏以来、東京の
商業放送の
テレビ・キー局の幹部及び
NHKの会長以下でオリンピック
放送の
委員会をつくりまして、そこでどういうふうにやっていくかという相談をいたしました結果、結論は、オリンピックの取材はあげて
NHKにやってもらう。で、
NHKは自分の持っている機関を動員して集めました画を各
商業放送の自由選択にまかして番組を差し上げる。この差し上げる方法は、具体的にはオリンピックセンターから例の電電公社の統制センターと申しますか、そこまでいったものを各社は自分の
放送機に入れるというような選択をするわけでございます。そういった形で各
日本全国の
商業放送のネットにもこれが乗るわけでございます。
ただいま
考えております具体的な
放送計画は、
ラジオで一日八時間程度、
テレビジョンで十時間ないし十二時間程度ということを
考えておりますので、午前、午後、夜間、ことに今度の東京大会の場合には、夜間に主としてかなり有望な種目の決勝が集まるようなスケジュールになっておりますから、午前、午後、夜間にわたりまして、
ラジオにつきましては、
NHKの場合には原則として第一
放送、
テレビジョンでは原則として総合
テレビをフルに動員して
放送いたしたい、こういうふうに
考えております。
で、昨年の国際スポーツ大会以来、そのことを
考えまして、全国の
NHKのアナウンサー、プロデューサー、あるいは技術関係者の養成、研修も
計画的に進めておりますので、オリンピックには国の内外に番組を提供し、同時に
NHK自体の
放送をするために約千六百人程度の人間が動員されることになろうかと
考えております。
それからカメラとか、中継用の自動車とか、マイクロホンとか、録音機とかいうふうなものは、現在進行中の六ヵ年
計画の一部を早期繰り上げのようなかっこうになりまして、オリンピックに動員される
計画を立てているわけでございますので、いずれにいたしましても、それと同時に
NHKの、先ほど
お話のございました国際
放送の波にも乗るように、オリンピック期間には時間を若干延長いたしまして、
日本の国際
放送の波にも相当オリンピック種目を乗せるというような形で、世界じゅうに東京オリンピックが
ラジオ、
テレビジョン、あらゆる
機能を使ってフルに提供できるように、万全の態勢を整えておりますし、十分所期の目的が達し得るという、
計画の進捗状況も、研修の進捗状況も、なっている次第でございます。