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1964-03-05 第46回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)   午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            野田 俊作君            最上 英子君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省簡易保険    局長      田中 鎭雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○簡易生命保険法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の審査を進めます。質疑のある方は御発言願います。
  3. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、昨年六月十三日の本委員会におきまして、簡保資金につきまして質問したことを記憶しております。そのときに、物価指数等から見まして限度額を百万から二百万円に引き上げるべきだ、こういうふうに私は申したと思うのです。今度の改正案では、最高限度額を百万円、最低限度額五万円に改定しようとしてこの法案が出たわけですが、しかし、法案政府提案理由をよく読んでみますると、私が当時提案した趣旨とは違っておるように思われるのです。  そこで、数点質問いたしたいと思いますが、まず、保険金最高限度額を現在百万円に引き上げようとする理由は何によるのか、御説明願いたい。
  4. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 現在、最高限度額は五十万円ということになっております。これは、昭和三十七年の四月一日に引き上げられたのでありますが、最近の経済事情から考えてみますると、五十万では低きに過ぎる、保険的保護という面から申しましても十分ではないということから、今回百万円に引き上げたい、かように考えたのでございします。この点につきましては、そのほか、たとえば衆議院の逓信委員会でも、大幅に引き上げるべしというふうな決議もございますし、また、事業経営の観点から見ましても、百万円に引き上げる必要がある。まあ概略かような点でございます。
  5. 須藤五郎

    須藤五郎君 それ以外に、今度急に百万円に引き上げようという理由はないのですか。
  6. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) それ以外と申しますると、たとえば、まあ加入者方面からも強い要望があるという点はございます。それから、まあ事業経営の面と申しますると、これも一種の集中満期対策とも申せる。まあ、つけ加えますれば、かような点かと存じます。
  7. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、もっと具体的に質問しますが、終戦直後に大量募集した契約が、ここ数年のうちに集中して満期になる、こういうふうに言われていますが、どうですか。
  8. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) さようでございます。
  9. 須藤五郎

    須藤五郎君 その集中満期になる金はやはり埋めなくちゃならぬということで、こういうことになったというふうに理解できないですか。
  10. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) まあ、集中満期対策一助ともなるということは申すことができると思います。
  11. 須藤五郎

    須藤五郎君 だから、さっき私、まだほかに理由があるのだろうと言ったら、それをあなたはおっしゃらなかったわけです。
  12. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 事業経営ということで一括申し上げたつもりでございますが、もちろん集中満期対策一助にもなるということは明らかでございます。
  13. 須藤五郎

    須藤五郎君 終戦直後に大量募集した契約が、ここ数年のうちに集中満期になるというふうになっておりますが、この終戦直後とは、いつごろのことですか。
  14. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 昭和二十四年度に、当時としては非常に大きな目標であります二十億の目標を掲げまして、新規契約獲得につとめましたのでありますが、大体それ以降の契約、若干その前のものもあるわけでありますが、大体二十四年度を中心とした数年ということでございます。
  15. 須藤五郎

    須藤五郎君 二十四年ごろから二十六年ころというふうに理解していいですか。
  16. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) さようでございます。
  17. 須藤五郎

    須藤五郎君 ここ数年というのは、いつまでくらいを言うのですか。
  18. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 三十七年度から四十年度、この四カ年を一応集中満期発生の年度と見ております。
  19. 須藤五郎

    須藤五郎君 満期になる保険契約件数保険金額、一件平均保険金額は幾らか、年次別にちょっと御説明願いたい。
  20. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 三十七年度は百九十三万件でございます。保険金にいたしまして二百三十二億。それから三十八年度は三百二十一万件、保険金が六百九十八億。三十九年度は四百四十四万七千件、保険金で千二百七十四億円。四十年度が三百十九万八千件、保険金で九百八十九万円、かような数字でございます。
  21. 須藤五郎

    須藤五郎君 一件平均をちょっと聞かしてほしいのですが、三十五年度あたりから。戦前のものもちょっと参考までに聞きたいと思います。
  22. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 一件平均でございますが、これは、件数金額を割れば出るわけでございまして、三十七年度が一万一千円、三十八年度が二万円、三十九年度が三万二千円。三十五年度の数字はいま手元にございませんので、もし必要でありますれば、後ほど御報告したいと思います。
  23. 須藤五郎

    須藤五郎君 三十五年度は、私のほうで調べた点によりますと、件数において八十八万四千四百九十五件、保険金額にして二億五千八百四十四万円、一件平均保険金額二百九十二円、こういうふうになっておりますが、間違っておりますか。
  24. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) いまおっしゃられた数字と私どものほうと合致しております。
  25. 須藤五郎

    須藤五郎君 三十六年度は七十一万四千四百三十三件、保険金額にして二億八千五百九十五万円、一件平均四百円、間違いありませんか。
  26. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) そのとおりでございます。
  27. 須藤五郎

    須藤五郎君 十年も十五年もかけ続けて、さてもらうというと、二百円、四百円、また三十七年度も、私の調べたのでは九千どれだけになっておりますが、何にもならないと思うのですね。十年も十五年も保険金をかけて、もらうときにこんなような、戦前契約に至っては、四百円でピース十箱になってしまっている。九千円で老後生活保障になるとあなたはお考えになりますか。それに比較しまして、この保険金を借りた、いわゆる独占企業は肥え太ってしまっておる、こういう状態が起こっておると思うのですよ。池田さんが内閣をつくって三年間の間に二割三分——二割五分物価が上がってしまった。そうすると、この金利を見ても、保険金にしましても、その物価値上がりに追っつかないという状態になっておると思うのです。  で、大臣にお尋ねするのですが、かりに三年前に十万円の金を持っておる人がある。まあ、これを金利に回して、銀行定期に入れて五分五厘の利子をもらうと、三年間に一万六千五百円の利子がたまる。元利合計十一万六千五百円、こういうことになる。ところが、その間に物価が二割三分上がってしまうというと、三年前十万円で買えたものが、いま買おうとすると十二、三万円かかる。銀行定期に入れておいても、金利物価値上がりに追いつかないというような状態になって、国民は全くばかをみておると思うのですよ。ところが、この簡保にかけた金、年金にかけた金、そういうものが独占資本のほうにずっと回ってしまって、そこはどんどんどんどん肥え太っていく。金を貸したものがどんどんやせて損をしてしまって、金を借りたものがどんどん太っていく、こういう不合理な状態が起こっているわけですね。こういうことに対して、どういうふうにそれを合理化しようと大臣考えていらっしゃるのかどうか。
  28. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 通貨価値の安定ということは非常に私は大切なことだと考えております。保険に限らず、貯金にしましても、やはり長期にわたれば、若干の通貨価値変動ということは、従来の沿革から見ましても、あるのですが、その通貨価値変動があまりに大きい場合には、いろいろな面において支障が出てくるということは、全く私もさように考えております。そこで、政府としましても、物価の安定ということのために非常な努力をして、関係各省が常にこのために頭を使い、極力物価の上がらないようにというふうにつとめておることは御承知のとおりだと存じます。保険について見ますると、やはり、いまお話しのように、十数年前と今日とでは、相当通貨価値が変わってきておりまするので、いかにも損をしておるのではないかということは、確かに私は認めざるを得ないと思います。しかし、保険制度そのもの、特にこの死亡保険の場合には、満期になって保険金額を受け取るという際はそのとおりでありますけれども、不幸にしてその途中において死亡されたというような場合は、まあ、満期になって受け取るときほど通貨価値変動は少ないということは言えるかと思います。しかし、いずれにいたしましても、物価を安定して、継続的に通貨価値というものを変動しないようにするということは、これはいかなる政府になりましても必要なことではなかろうかと、こう考えておりますので、ただいまの御質問の御趣旨は、まことに私ごもっともだと思っております。
  29. 須藤五郎

    須藤五郎君 古池さん、私の姉に、機関長の女房になっている姉が一人あったんですよ。戦争前は保険もかけました。それから貯金もしました。ところが、戦争——戦前十万円ほどの金があったわけですね。楽に老後を暮らせるというので、安心しておったわけです。兄の船長が六十何歳まで船に乗って、そうしてこつこつためた金が十万円あった。ところが、戦争が済んでしまったら、その十万円は何の価値もなくなってしまったわけです。それで、非常に生活に困って、私にいつも嘆いて話をするわけです。  この間、私は京都に参りまして、おもしろい話を聞いたんですよ。蜷川府知事を訪問した。で、蜷川さんのところに、この間お寺からお墓の掃除代二年間滞っているというので、千円請求書が来たというんですね。それで蜷川さんは、これはめんどくさいから十年分払っておけ——一年五百円で十年間五千円。それを使いの者に持たしてやったというんです。そうしたら、そのお寺が言うには、未払いの二年分千円だけいただきましょう、あとの四千円は受け取らぬ、こういうんですね。何で受け取らぬのだといったら、この物価変動の激しいときに、十年後までもらったのではどうにもならぬじゃないか、だから二年分はいただきますけれどもあとの八年分はお返ししますといって返してよこしたという。この池田内閣物価政策というもの、インフレーション政策、これはお寺の坊さんにも信用がないわけですよ。  これはおもしろい話じゃないかといって蜷川知事が僕に話したので、これはおもしろいといって私は聞いていたのですが、古池さん、いまおっしゃいましたけれども物価指数は絶対下がらないですよ。政府がいかに努力しても、いまの高物価政策——いわゆる所得倍増政策池田さんがやめない限り、どうしても、これはやまないですよ。そのやまらないときに、今度百万円にして保険金たくさんかけて、そうして死んだときはともかく——それは得するかもしれませんよ。しかし、大体満期で受け取る人が多いと思うんです、このごろは。それを受け取るときは、その金の値打ちが下がってしまって何にもならぬ。そうして、いま百万円の保険金かけて、そうしてその払い込んだ金は、やはり財政投融資でずうっと資本家のほうに流れてしまう。それで資本金はふえ、どんどん太っていく。そうして金を貸した者が損をしていく。金を貸した者は、何のことはない、自分の金で自分の首をくくるようになって、物価高を来たして、そうして生活が困難になる、こういう状態だと思うんです。ですから、それに対して何か政府補償考えているかどうか。やはり物価高になってインフレーションになったときに、金の値打ちが下がってしまったときに、それだけやはり政府補償する義務があるんじゃないか、私はそういうふうに考えるんですが、それに対して古池さんどういうふうにお考えですか。
  30. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) なかなかこの物価問題というものはむずかしい問題だと思いますが、しかし、これによって、いまお話しになりますような、国が補償をするということはなおさらこれはめんどうな問題だと思います。要するに、大きな社会連帯的な考えから貯蓄もやっていただき、保険にも加入しいただくということで、そこで調節をはかっていくということが結局また物価を上げないということの一つの役割りもなすのではなかろうか。かりに、この保険料を払い込んだり、あるいは貯金をするということをやめて、まあ物が上がるだろうからというので、これがみな購買方面に向けられたとすれば、さらにこの物価値上がりに拍車をかけるようなことになりまして、やはりこれは社会全体が自分たちを守るという意識の上において貯蓄をやっていただく。そしてこの物価値上がりということを極力避けていくようにやはりしていくことが必要じゃなかろうか。政府ももちろんその線で努力をいたしておりますけれども、やはり政府の力だけで完全に物価をとめるということは実際上なかなかむずかしいのじゃなかろうかと思います。しかし、政府としましては、あくまでその困難を乗り越えて物価安定、したがって通貨価値の安定というために最善努力をいたすべきであるというので、ただいまその線に沿って努力をやっておる次第でございまするから、国がそれを補償するという問題は、これはとうてい困難なことであろうと思います。
  31. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、まあ結果的にいって、やはり国民犠牲によって政府物価高政策はカバーされている、こういうことになって、何ら政府の積極的な施策というものがあらわれてこないという結果になるのじゃないでしょうか。国民にこんな大きな犠牲をしょわせて、政府は知らぬ顔をしておって、それでうまくいくんでしょうか、どうでしょうか。
  32. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ一言にして国民犠牲というお話ですけれども、必ずしもそうとも言えないのではないか。やはり、保険料あるいは貯金にしてたくわえられた資金というものが、ただひたすら独占資本擁護のために向けられておるというふうなお説でありましたけれども、かりに、この簡単保険資金がどういうふうな方面に向けられているかということを調べてみますと、結局、これはやはり国民生活向上、またその前提として産業経済の発展ということに向けられておるわけでありまして、たとえて申しますると、三十八年度の簡易保険積み立て金財政融資関係からいいますると、千六百億ということが予定されておりまするが、その中で、やはり大きな問題は、たとえば運輸事業逓信事業あるいは国民日常生活環境の整備であるとか、あるいは中小零細企業、また農林業、漁業の対策であるとか、あるいは一般の国民教育のほうであるとか、あるいは最近非常に力点が置かれてきておりまする道路の問題、住宅の問題、さらに災害の出た場合の復旧の関係とか、また低開発地域開発であるとか、すべてが国民幸福増進ということにつながっているわけでございまして、こういう資金がばらばらであっては、その効果というものは非常に少ないのでありますけれども、こうしてまとまった上において初めていまのような国民生活向上に役立つというわけでありまするので、必ずしもそれは不当であるとは申しかねると、こう私は考えております。
  33. 須藤五郎

    須藤五郎君 いまあなたがおっしゃったこと、それ自体が、すなわち国民の零細な金を集めたものでやるのであって、それは政府がやるのじゃなしに、国民の金でやることであって、政府がいばった筋じゃないと思うのですよ。政府は、国民の零細な金を集めてきてやっておる。まだまだ足らないと思うのですよ。まだ国民利益にならぬ面がたくさんありますよ。大きな企業体を肥え太らすために保険の金が使われていくのであって、国民一人一人のために何にも利益になって返ってこない。全く国民犠牲において、ぼくはそういう事業に貸しておると思うのですよ。かつての戦前の金では、いまも言ったように、四百円かけていたのがピース十箱しか買えなくなったじゃないですか。その当時は、国民戦争に負けたのだからといってあきらめていたかもしらぬけれども、しかし、いまはそうじゃないのです。いまは、やはり池田内閣の高物価政策によって国民にこういうふうにどんどんしわ寄せが来ているのですから、政府として、やはり国民に対して責任を持つ必要があると思うのですね。国民は、金をためて、金を預けて、そうして損がいくという、こんな政治が、古池さん、正しい政治なんでしょうか。それを、国民がこういうことをいつまでも信用するでしょうか、どうでしょうか。
  34. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) なかなかむずかしい御質問ですけれども、まあ政府としては、国民の損失を少なくして、利益を、幸福を増大するという立場から極力努力をしておる。なお及ばない点も確かにありますけれども、そういう点は極力これを少なくして、最大にその効率を発揮できるような方向で一生懸命やっておるという点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  35. 須藤五郎

    須藤五郎君 やっぱし、こういう貨幣価値変動期にあって、国民犠牲を与えるような場合には政府が何か考えてやらなくちゃならぬ。そこまで積極的に政府考えるべきだと私は思うんです。まあ、戦争のときの金鶏勲章を出したり、今度は叙勲をしたり、金鶏勲章に金をつけてあげるというのは政府は一生懸命やるけれども戦前つましく生活をしてためた金が三文の値打ちもなくなった、その人たちに対する補償は何も考えていないというのでは、何だか片手落ちな感じがするように思うんですが、どうですか。
  36. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 先ほど来私が申し上げておるように、確かに通貨価値変動のあったということは、これはもう事実ですから、お話のとおりですけれども、それかといって、いま政府がそれを補償するということになれば、これはまた容易ならぬことでありまして、とうてい不可能なことであろう。したがって、できるだけそういうふうな通貨価値変動なからしめるように最善努力を尽くして、そうして安定した物価のもとにおいて国民がそれぞれ努力をして繁栄を続けていく、こういうふうなことを目標として、いま一生懸命やっている次第でございますから、その点はどうか御了承いただきたいと思います。
  37. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは、池田内閣の夢物語ですよ、小池さん。絶対にそういうことにならないです。いまの政策が続く限り物価は上がりますし、貨幣価値は落ちてしまう。そうして、老後のことを考え保険かけて、百万円なんて保険かけて、そうしてそれを受け取るころになると、またその百万円が現在の五十万円ぐらいの値打ちしかないような金になってしまって、かけた者は大損、かけた金を借り出した資本家が大得というような、そういう結果が私は出るだろう、こういうふうに考えます。だから、そのときは、政府は、私は補償すべきものだというふうに考えているんで、私の考えを述べたのですが、最近の物価上昇国民個人貯蓄伸びは落ちておるというふうに私は聞いておりますが、簡保資金伸びはどういうふうになっておりますか。
  38. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 簡保資金伸びと申しますか、これは年を追うごとに増加してまいっております。ただ、新規積み立て金がここ一、二年減少の傾向にありますが、これは、先ほど来お話のありました集中満期の影響によるものでございます。
  39. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はこういうふうに聞いているんですが、三十年から三十五年の新契約伸び悩んだ。しかし、三十七年から再び増勢に向かった、こういうふうに聞いておりますが、どうですか。
  40. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) さようでございます。
  41. 須藤五郎

    須藤五郎君 だから、それはそういうふうに答えてもらいたかったわけです。
  42. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 資金という点に——私、これは先生の御質問と違ったかと存じますが、資金の面を申し上げましたので、新契約の面につきましては、ただいまお話しのとおりでございます。
  43. 須藤五郎

    須藤五郎君 今後の見通しはどうでしょう。
  44. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) ここ数年来非常に成績は良好でございまして、今後この趨勢は続いていくものと思いますし、また、私どももそういう方向に沿って努力をいたしておる次第でございます。
  45. 須藤五郎

    須藤五郎君 日銀内に貯蓄推進委員会というのがありますね。ここで貯蓄に関する世論調査を発表しましたが、この世論調査は、預貯金信託生命保険、株式、投資信託、公社債などを持っている世帯の調査をやっております。それによりますと、貯蓄目的は、病気や「不時の災害の備えとして」と答えたものが七四・五%、「子供の教育費結婚資金に充てるため」と答えたものが五四・七%、「老後生活安定のため」と答えたものが四一・五%、「土地、家屋の買い入れや新改築のため」と答えたものが二七・一%、「特に目的はなく、貯蓄していれば安全だ」と答えたものが二三・三%、こういうふうになっておるということを聞いております。それでもわかりますように、社会保障が完備されていないために、将来の恐怖から高率貯蓄をしている。日本世界に冠たる貯蓄国だ、こういうふうに皆さん言われるわけですが、日本は二二・三%、イギリスは一〇・七%、フランスは七・八%、アメリカは七・一%、西ドイツは八・八%、その裏には、世界主要国最低の賃金、最低社会保障世界最大交通事故災害、こういう問題があるわけですね。この不安を利用して金を集めておる。これが今度の簡保なんかのねらわれるところじゃないですか。わかりませんか、質問が。
  46. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) あまり的確な答弁にならないかと存じますが、簡保がねらうのがそういった面であるかという御質問でございますが、簡易保険事業目的は、これはもういまさら申すまでもないことでございますが、簡易生命保険法の第一条に、はっきりうたわれておりますように、国民経済生活の安定ということに主眼を置いておるのでありまして、今回の法案も、そういう点を考えて、制限額の引き上げなり、あるいは新種保険の創設ということを打ち出した次第でございます。
  47. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本は、こういうふうに貯蓄とか保険事業が盛んだということは、社会保障がないということに最大の原因があると私は思うんですよ、いま申しましたように。社会保障さえちゃんとしておるならば、そんな高率保険などかける必要はなかろうかと私は考えるんです。そこをねらって、あなたたちこれをやっておる。そうして、そこからたくさん零細な金を集めていって、そうしてそれを大資本のほうに金を貸して、それでそちらをだんだん太らせる。その結果、金を貸した人間がますます貧乏になっていくような結果があらわれてきておる。これが今日の姿だと、こういうふうに思う。  そこで、その金の集め方について質問したいんですが、どういうふうに金を集めているか、提案理由説明には「募集活動積極的推進をはかる」、こういうふうに言っておるわけです。三十九年度予算でも、保険金新規募集目標の達成のために四十億の予算を組んでおります。一体どのようにしてやるのか、内容を説明していただきたい。
  48. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 新規契約の積極的な獲得努力するということは、常日ごろやっておるところでございます。  で、三十九年度の予算、これも、先ほど四十億と申されましたですが、募集目標は、第一回の保険料にいたしまして三十二億ということでございまして、特に来年度は集中満期のピークに当たる年でありまして、多額の保険金あるいは剰余金の支払いがなされる、これにかわるべき良質高額な新規契約獲得する、また一面、既存の契約の保全をはかるという、この両面から、事業向上をはかってまいらなければならないわけでありまして、これはいま始まったことではなく、保険事業経営の立場から、絶えずそういう面に力が注がれておるわけでございます。
  49. 須藤五郎

    須藤五郎君 この新規募集、そのためにいろいろな手を考えなくちゃならぬと思うのですが、何人ぐらい人員をかけてやるのですか。
  50. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 外務員は全国で大体二万五千名ございます。
  51. 須藤五郎

    須藤五郎君 一人当たり募集金額、どのくらいに見積もっているのですか。
  52. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 先ほど申し上げました二万五千名の外務員と申しますのは、必ずしも募集勤務ではなくて、集金要員といいますか、集金と兼務をしておる人間が含まれておるわけでございます。一人当たりの募集金額、いまはっきりいたしません、後ほどお答え申し上げます。
  53. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかしこれは、なんでしょう、大体外を回って金を集めてくる人に対してノルマ的な、一人当たりどのくらい集めてこいというめどをつけておるのでしょう。そのめどはわからないのですか。
  54. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) これは、一律に一人当たり幾らというような、いわゆるノルマ的なものはございませんで、各郵便局の実情に即した方法をとっておるわけであります。
  55. 須藤五郎

    須藤五郎君 郵便局の実情に即してやっておるけれども、その郵便局内においては、やっぱりノルマ的なものがあるのじゃないですか。
  56. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 郵便局におきましては、まあ、やみくもにやるよりも、これは全国の目標、それが各郵政局別に分けられまして、郵政局から各郵便局別にまた目標というものが定められまするので、各郵便局におきましては、自局の目標を消化するたてまえから、各個人別に大体この程度の目標を目がけていくというようなことはやっております。
  57. 須藤五郎

    須藤五郎君 その大体のめどが、あなたのほうにわかってないのですか。どうですか。
  58. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 目標を人員で割った数字という簡単なものでしたら、まあ計算すればすぐ出るわけでございます。ただ、郵便局の個々の目標というものは非常に違いますので、したがいまして、各局によって、そういう数字も違ってくるわけであります。
  59. 須藤五郎

    須藤五郎君 満足した答弁が得られなくて残念だと思います。私は、必ずわかっているはずだと思っているのですが。
  60. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 三十七年度では、保険金で申しますると、一人当たり二千万円ということになっております。
  61. 須藤五郎

    須藤五郎君 正式職員以外の雇いを使っておるかどうか。雇いを使っておるとするならば、なぜ使うのかどうか。
  62. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 募集の面では、非常勤は使っておりません。
  63. 須藤五郎

    須藤五郎君 こういうことを聞くのですがね。ノルマが非常にきびしいために、非常にたくさんの責任を持たされる結果、架空名義の加入者をつくったり、また、ある場合には、死亡したと称して保険金を着服した例がある。これは私は、本人が悪いというよりも、そういう過酷なノルマを課したところの郵政省のノルマ主義、それから低賃金、それから将来の不安などによって起こるのではないかと、こういうふうに私は考えるのです。この保険の勧誘に当たる人たちの賃金は一体どのくらいになっておるのか、基本給と歩合給ということになっておるのか、そういう点を。
  64. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 外務員も、これは郵政事業に従事する一般の職員と全く同じ給与ベースで俸給が支給せられるわけでありまして、ただ、新契約の募集に際しましては、それに相当した募集手当というものを支給しております。
  65. 須藤五郎

    須藤五郎君 金額がわかっているなら言って下さい。
  66. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 募集手当の支給率は、これは普通局と特定局と違っておりまして、普通局におきましては、第一回保険料の百分の四十と保険金手当として千分の三、特定局は、第一回保険料の百分の八十五と、それにプラス保険手当として保険金の千分の三、こういうことになっております。
  67. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなた、さっき、この募集に歩く人たちは正式職員だけで、雇いは絶対にない、こう言っていますが、それは間違いないですか。
  68. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 絶対ということはちょっと言い過ぎかとも思いますが、まず、ほとんどないと申してよろしいと思います。
  69. 須藤五郎

    須藤五郎君 では、さっきの答弁は違うじゃないですか。私は雇いはないかと言ったら、雇いはない、正式職員のみだと答えたから、ぼくは念を押したわけです。やはりあるのでしょう。
  70. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) もう私の記憶ではないと思っておりましたのですが、若干——絶対にないと言い切ることはどうかと思いまして、そういうふうに訂正いたしました次第であります。
  71. 須藤五郎

    須藤五郎君 そんないいかげんな答弁、よしなさいよ。私がちゃんと分けて質問しているのだから、たくさんはないけれども少ないなら少ないと答えたらいい。ありませんという答弁はうそでしょう。そんな無責任な答弁はやめたらいい。  私がいま尋ねたところの、架空名義の加入者をつくったり、ということはあるのか。こういうことがあるのか。ノルマがきびしいために架空名義者をつくってみたり、または死亡したと言って保険金を着服した、そういう例が絶対ないですか、どうですか。
  72. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) きわめてまれな例でありますが、あります。
  73. 須藤五郎

    須藤五郎君 こういう好ましくないことが起こるのは、私はやっぱり郵政省のノルマ主義だと思うのですよ。先ほども言ったように、一人当たり二千万円、これがノルマだと大体あなたがさっき認めておりますが、そういうふうな多額のノルマを課することによって、そういうことになると思うのです。だから、いま採用している雇いを全部正式職員に直して、それから基本給の大幅引き上げ、社会保障の拡充など、不安なくやれるようにしないというと、そういう問題が起こるのではないだろうか、こういうふうに考えますが、どういうふうに考えますか。
  74. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 先ほど、雇いの点につきましてちょっと不十分でございましたが、私がないと申し上げましたのは、募集をするための雇いといいますか、非常勤職員というものはないということを申し上げたわけでして、現在おりまするそういう非常勤の職員は、一般の従業員の欠務というような場合の補充要員として、たとえば集金に携わるその方々の補充をすることもあり得るだろう、こういうのが事実でございますので訂正申し上げたいと思います。  ただいまのお話でありまするが、たまたま先ほど御指摘のような犯罪事実というものも、これは絶無ではないののでありまして、私どもは、そういう犯罪の防止ということに努力をいたしておるところでございまして、ただ過酷ノルマのためにそういう犯罪を犯したというふうには私どもは理解しておらないところでございます。
  75. 須藤五郎

    須藤五郎君 いままで質問しましたように、加入者の犠牲、それから死の恐怖というものを利用すること、職員に対するノルマ主義でかき集める、ただ独占資本資本蓄積に奉仕していると、こういうことが私は言えると思うのです。  今後どうなるかが私は問題だと思いますが、百万円に引き上げると、保険収入は一体どうなるのか、尋ねたいと思います。百万円に引き上げた場合に、保険料の収入はどうなるのか。
  76. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 来年度の募集目標、第一回保険料といたしまして三十二億ということになっておりますが、今回の引き上げ及び新種保険の創設ということによりまして、大体そのうちの二億程度をそれに充てるという考え方でおります。したがいまして、年間にこれを引き延ばして見ますると、十一億ということになるわけでございます。
  77. 須藤五郎

    須藤五郎君 最近の収支状況はどうですか。それから今後の収支というものについて聞いておきたいと思います。
  78. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 現在三十七年度の収支状況ははっきりいたしておりますが、収入超過額が約千三百億円、そのうち、法律に定めるところによりまして、契約準備金というものを積み立てるわけであります。それが千二百億円。大体三十七年度におきましては百十億の剰余金が発生いたしております。三十八年度も大体順調に推移しておりますので、この程度の剰余金の発生は可能かと存じます。
  79. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうしますと、ここ数年、収支を補うだけじゃなく、満期になった保険金支払いが終わったあと、雪だるま式に資金量が、ふえていくのじゃないか。今後十五年、二十年後の長期収支見込みはどういうふうになっておりますか。
  80. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) ただいま資金というお話がございましたのですが、大体私どものほうの収支見込みといたしましては、一応四十七年度まで試算したものがございますが、それによりますると、収入超過額は——三十九年度は、これはたびたび話に出ておりますように、集中満期関係で減少いたしますが、その後、四十年度から逐次上向きになりまして、四十七年度に至りますると、収入超過額は大体二千億程度になる見込みでございます。
  81. 須藤五郎

    須藤五郎君 今後膨大な資金が、雪だるま式にどんどんふえていく。また、ふやそうと政府考えておる。そうして、この資金の運用にあたっては、地方公共団体、道路公団、住宅金融公庫など、住民の福祉のために使うのだというふうに先ほど古池さんおっしゃいましたが、私が独占資本のために使うのじゃないかと言うと、それを古池さん否定しておるように思うのですが、しかし、結果はそういうふうになっておるのじゃないですか。過剰生産の爆発を阻止するために、とにかく池田内閣は国づくりをやっておると思うのですが、いま、そういうふうな方向にその金が使われていって、依然として社会保障というほうには使われなくて、やはり零細な金をかき集めて、それをどんどんと独占資本を太らす方向に使っていくということは、これは否定できないのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  82. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 先ほどもちょっと積み立て金の用途についてお答え申し上げましたが、私は、あながち資金独占資本の擁護であるというふうには解しませんので、これらの資金は、いずれも国民生活に直結して、国民生活向上ないしは社会保障的なものに使われておる。したがって、資金の使用という面から見ましても、今日まで政府がやってきておりますることは決して不当なものじゃない、かように考えておるのでありますが、なるほど各国に比べますると、今日まで日本全体の社会保障制度というものは確かに劣っておりたと思います。そこで、この数年来、特に社会保障には力を入れまして、これは、保険積み立て金というよりも、むしろ一般会計のほうの経費をもって社会保障の増強に力を入れておることは御承知のとおりだと存じます。それから、この多数の簡易保険の加入者に対しましても、極力資金の繰り合わせをしまして、いわゆる老人ホーム、あるいは保養センターであるとか、あるいは医療機関、そういうものを年々増強してまいりまして、これが加入者の方々の広い意味での社会保障ということに役立っておるのじゃなかろうか、かように考えております。
  83. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは私の希望になるわけですが、私は昨年の暮れ、テレビを見ておりますと、施設の子供というふうなテレビが出たのですよ。その話によると、施設で、親もない、また親が養育する力もない子供を集めておるのが全国に数百カ所ある。それで、東京にある施設をテレビで見ていると、冬の寒中に窓ガラスも割れていて、室内と室外と同じようである。ストーブはたいていない。寝る前にちょっとたいてあたって寝かす。ふとんはどうかというと、せんべいぶとんが二枚、上下一枚ずつ。一日の食費は幾らかというと、一日の食費は百六円。そしておやつ代は幾らかというと一日五円。百六円の食費で、おやつ代五円で、育ち盛りの子供をどうして食わしていくかという問題を投げかけておる、テレビで。いわゆる簡易保険は相当もうかっておると思うのです。いま聞いただけでも、ずいぶんな金が私は集まって、そしてもうかっていると思います。何で、こういう社会保障のほうに、もう少し金を使おうとなさらないのですか。私は、それを考えてもらいたいと思うのですよ。国民は金を預けておって、いつのまにやら金の値打ちがなくなってしまう。そして貨幣価値の下落で大きな損をする。それで、金を集めた郵政省なり金を借りた人間はどんどん肥え太っていく。こういう矛盾がいまあるわけです。それは古池さんも認めざるを得ないだろうと思う。そういう矛盾が絶対ないと私は言えないと思います。これは、あるにきまっている。今後もあります、将来。これまでもあった。将来もある。そうして、社会保障には金をそう使っていない。老人ホームもあります。老人ホームもありますが、十分ではないのです。老人ホームにほんとうに入りたい人がたくさんあるが、施設が足らないために入れない。そういう条件にある。だから、独占に金を貸すのにうき身をやつさずに、何で、もっと社会保障に金を使おうとなさらないのか。今後社会保障のほうに、もっと金を使っていただきたい。こういうことが私の希望なんですが、大臣の見解を聞かしていただきたい。
  84. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま御指摘になりましたように、まだまだ困った方、あるいは非常に不幸な境遇にあるという方が多いと思います。こういう方に対して、国として、あらゆる手を打って、できる限り、あたたかい手を差し伸べて助けてあげようということは、これは当然の義務であり、そうしなければならないと思います。また、簡易保険としましても、将来保険金を支払わなければならない義務がありますから、それらのための積み立て金というものは当然必要でありますけれども、なおかつ資金の余裕を、できる限り加入者の福利増進、広い意味での社会保障という施設のために今後一そう振り向けて、そういうものを増強していきたい、かように考えております。ただいまの御意見にできるだけ沿うように今後やっていきたい、かように考えております。
  85. 光村甚助

    委員長光村甚助君) いいですか。
  86. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと資料を。  三十八年度の金融債等の短期運用状況を、これは、資料では三十六年度の七月分しか出ておりませんが、三十七年と三十八年がわかりましたら、資料を出していただきたいと思います。
  87. 光村甚助

    委員長光村甚助君) よろしいですか。
  88. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 承知いたしました。
  89. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本案については、本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会    ————————