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1964-03-03 第46回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三日(火曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員の異動 二月二十七日  辞任       補欠選任   永岡 光治君   杉山善太郎君 二月二十八日  辞任       補欠選任   杉山善太郎君   永岡 光治君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            野田 俊作君            最上 英子君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省簡易保険    局長      田中 鎭雄君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会副    会長      前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会専    務理事     赤城 正武君    日本放送協会専    務理事     春日 由三君    日本放送協会専    務理事     栃沢 助造君    日本放送協会理    事       松井 一郎君    日本放送協会主    計部長     志賀 正信君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、承認を求める件(内閣送付、  予備審査) ○簡易生命保険法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  日本放送協会関係付託案件審査のため、また、郵政事業電気通信事業運営並びに電波に関する調査中、放送に関する事項の調査のため、今期国会開会中、日本放送協会会長阿部真之助君、副会長前田義徳君、専務理事田辺義敏君、専務理事小野吉郎君、専務理事赤城正武君、専務理事春日由三君、専務理事栃沢助造君、理事松井一郎君、主計部長志賀正信君を、それぞれ参考人に決定しておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  4. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、本件について、政府より説明を聴取します。
  5. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十九年度収支予算事業計画及び資金計画提案事由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣がこれらに意見を付し、国会提出するものであります。  郵政大臣としましては、これら収支予算等につきまして、検討いたしました結果、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付したのであります。  この収支予算等の概略を御説明いたしますと、まず、収支予算でございますが、その規模は、収入支出とも総額七百八十八億八千三百万円と予定しております。  これを昭和三十八年度に比べますと、それぞれ、四十六億六千八百万円の増加となっております。収支の内訳は、資本収入百三十八億二千八百万円、資本支出二百二十三億二千七百万円、事業収入六百五十億五千五百万円、事業支出五百六十一億五千六百万円、予備金四億円となっており、事業収入のうち八十四億九千九百万円は、建設費等資本支出に充当することとなっております。  次に事業計画でございますが、そのおもなものは、テレビジョン放送全国普及をはかるための積極的な置局の推進、FM放送普及開発教育テレビジョン放送番組充実オリンピック東京大会放送実施受信料免除範囲拡大等となっております。  なお、資金計画は、この収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金に関する計画でございます。  以上のとおりでございますが、何とぞ御審議の上、御承認のほど、よろしくお願いいたします。
  6. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、日本放送協会より補足説明を聴取します。
  7. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和三十九年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げる機会をお与え下さいましたことに対し、厚く御礼申し上げます。  協会は、公共放送としての使命を遂行するため、昭和三十七年度を起点とする第二次六カ年計画を策定し、委員各位の御協力を得まして、着々その実現に努力いたしておりますが、昭和三十九年度はその第三年度としての諸計画を積極的に推進して、ラジオテレビジョン放送全国普及国民の要望するすぐれた放送実施につとめ、国民生活充実向上に資することといたしております。  次に、そのおもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画から申し上げますと、ラジオにつきましては、三十八年度に引き続き、放送受信困難な地域の解消と外国電波による混信を防止するため、放送局五局の増力を行ないますほか、中継放送局二局の新設、第二放送二局の増設を実施することといたしております。また、FM放送開発普及をはかるため、全国主要地域に対する置局を進めることとし、FM放送局二十四局の建設を行なうことといたしております。これらによりまして、三十九年度末の全国世帯に対するカバレージは、第一放送九九・九%、第二放送九八・一%、FM放送約八〇%となる予定であります。  一方、テレビジョンにつきましては、総合教育とも全国放送網早期完成をはかるため、総合テレビジョン局において、五十五局の建設を完成し、十五局の建設に着手いたしますとともに、教育テレビジョン局において、六十二局の建設を完成し十五局の建設に着手することといたしております。これらによりまして、三十九年度末におきましては、総合放送教育放送とも放送局数は二百二十三局となり、全国世帯に対するカバレージも両者八九%となる予定であります。  また、演奏所整備につきましては、放送規模拡大番組多様化に対処し、番組制作体制の確立をはかるため、三十八年度に引き続いて放送センター建設を推進することといたしまして、オリンピック東京大会開催時におきましても、放送実施に十分その機能の活用をはかることとしております。  このほか、ローカル放送拡充に対処するための地方局演奏所整備ラジオテレビジョン放送設備充実改善研究用施設局舎、宿舎、一般機器整備等実施することといたしております。  これらの建設計画実施するために必要な経費総額は、百八十億円でありますが、これの資金手当につきましては、自己資金により百十六億六千万円、外部資金により六十三億四千万円を調達することといたしております。  このうち、自己資金につきましては、減価償却引当金及び固定資産売却代金六十六億六千万円のほか、受信料からの繰り入れ五十億円を予定いたしております。また外部資金につきましては、放送債券の発行によるもの四十億円、長期借入金の借り入れによるもの二十三億四千万円でありますが、放送債券のうち十億円につきましては、財政投融資資金の融資を仰ぐこととなっているものであります。  次に、事業運営計画につきまして申し上げますと、まず、国内放送につきましては、ラジオテレビジョンとも、番組内容向上、刷新につとめることといたしておりますが、ラジオにおきましては、特に新しい放送分野であるFM放送におきまして、FMのすぐれた特性を活用いたしまして、普及を促進する番組ステレオ番組等を積極的に編成することといたしております。また、テレビジョンにおきましては、特に教育放送放送時間を一時間三十分増加いたしまして、一日十三時間三十分の規模をもって、学校放送番組通信教育番組等充実をはかることといたしております。さらに、テレビジョンローカル放送及びカラーテレビジョン放送につきましても、番組拡充をはかることといたしております。  このほか、報道取材体制整備沖縄地区に対する番組提供を含む番組交換業務拡充、第二回世界ラジオテレビジョン学校放送会議開催その他番組の利用の促進等の諸計画実施することといたしておりますが、特に、オリンピック東京大会におきましては、放送を通じて積極的に国際親善に寄与し、放送の効果を最大限に発揮するよう全力を結集して放送実施に当たりますとともに、諸外国放送機関に対する番組提供につきましても万全を期することといたしております。  また・国際放送につきましては、三十八年度のとおり十八方向、一日三十六時間の規模により放送実施することといたしておりますが、受信状態改善をはかりますため、主要な送信方向につきまして送信出力を百キロワットから二百キロワットに増力する等の拡充計画いたしております。  次に、受信契約者普及につきましては、僻地、離島等電力事情の悪い地域に対する受信者開発対策UHFテレビジョン局置局地域に対する受信者普及対策テレビジョン共同受信施設に対する助成等によりまして、受信契約者維持増加につとめることといたしております。他方、受信料の収納につきましても、一そう確実を期するよう努力することといたしております。  次に、調査研究につきましては、番組、技術両分野にわたり活動を強化することといたしておりまして、ラジオ及びテレビジョン番組聴視率調査オリンピック番組聴視状況総合調査テレビジョン国際中継研究FM放送研究等を積極的に実施することといたしております。  次に経営管理につきましては、事業規模拡大に伴う業務の増大に対処いたしまして、業務全般にわたり合理化を積極的に進め、経費の節減につとめますとともに、事務機械化、職員の教育訓練実施等により、企業能率向上をはかることといたしております。  また、給与につきましては、社会水準に比し適正な水準を維持し得るよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する事業収支につきまして申し上げますと、まず、三十九年度における受信契約者の増減につきましては、契約甲においては、年度初頭千五百三十四万件に対し、年度内百三十万件の増加契約乙においては、年度初頭二百八十六万件に対し、年度内八十万件の減少を見込みまして、これによる受信料収入を六百四十二億八千七百万円と予定いたしております。  一方、受信料免除につきましては、視覚障害者及び聴覚障害者において、放送受信社会生活上きわめて重要な手段となっていることにかんがみまして、契約甲受信料につきまして、半額免除を行ないますほか、契約乙受信料につきましては、従来実施しております視覚障害者に対する全額免除に加えて、聴覚障害者に対しましても、全額免除措置を講ずることといたしております。また、基地周辺において、騒音により特に聴視困難な地域に居住する受信者に対しては、その特殊な聴視状態にかんがみまして、契約甲受信料については半額免除契約乙受信料については、全額免除措置を講ずることといたしております。  このほか、国際放送関係等交付金一億二千三百万円、預金利息等の雑収入六億四千五百万円を合わせまして、事業収入総額は、六百五十億五千五百万円であります。  これに対する支出といたしましては、放送債券償還積立金外部資金返還金受信料からの建設費充当などの資本支出関係に八十五億円、事業支出関係に五百六十五億五千五百万円を充てることといたしております。  以上、昭和三十九年度日本放送協会事業計画につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活向上に、放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務遂行努力する所存でありますので、委員各位の変らざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞすみやかに御審議承認賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終らせていただきます。
  8. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本件については、本日は、説明聴取にとどめておきます。   —————————————
  9. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する審査を進めます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 横川正市

    横川正市君 この簡易生命保険改正法律案提案するにあたっての政府考え方をまずお聞きいたしたいのでありますが、従来、議会では、予算の伴う法案については衆議院先議とするというふうに、これは、きめられた内容がぴしっと書きものやその他によって記されているわけではありませんけれども、大体そういう慣習によって、今日まで、それぞれの法案提出にあたって、そういう案件については衆議院から提出をする、こういうふうにきまっているようであります。私は、この簡易保険の一部改正法律案予算の伴わない法律案として参議院から先議されたものなのか、それとも、いままでの慣例は無視されて、参議院側から先にこれは先議する、こういう都合で提出されたものなのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  11. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 従来から、この最高制限額引き上げに関する法律案は、いわゆる予算関係法案ではないという扱いをされてまいったのでございます。予算関係、いわゆる衆議院先議というようなことで問題になりまする予算関係法案とは何であるかということになりますと、いろいろこれは議論があるとも存じまするが、一応法制局の見解といたしましては、その法律案成立しないことによって当該年度予算の一部が執行できないというものが予算関係法案である——これは非常に厳密な意味予算関係法案だと存じます。そういう厳格な解釈に立ちますと、今回の簡易生命保険改正に関する法律案は若干それとは違うのではないか。ただしかし、予算に全然関係がないとは、これは申し上げることはできないのでございまして、今回参議院先議ということになりましたのは、その厳格な意味予算関係法案ではないという立場に立ったのではないかと考える次第であります。
  12. 横川正市

    横川正市君 厳格であるか厳格でないかは別問題として、予算に大体関係のない法案が未成立に終わったときでも、現行予算関係なくこれを執行することができるというふうに私は言い切れないのじゃないかというふうに思うのです。たとえば、募集手当あたり予算額は、おそらくこの法律案が通過することによって変わってくるのじゃないですか、それから人件費だとか、その他業務費だとか、あるいは定員であるとか、そういった間接的なものは、あるいはいわゆる厳格なという意味からはずれるかもわからないけれども、直接的には、業務遂行のための基本法である法律が変わった場合に、私は、予算が当然これに伴ってくるのだ、こう思っておるわけなんですが、その点はどういうふうに処置されているのですか。
  13. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 予算編成の場合に、一番基礎になるのは、来年度新規契約募集目標でございます。これは、三十九年度第一回保険料三十二億ということで組んであるわけであります。この三十二億のうちに、今回の引き上げあるいは新種保険といったようなものがどの程度影響するかということでございますが、すでに三十二億の中に、そういう引き上げ、また新種、こういうものの成立を予想して大体二億程度を見込んであるわけでございます。  それではこの法案成立しなかった場合にどうかということになるわけでございますが、私どもといたしましては、そういう際には、その分はいわゆる企業努力と申しますか、われわれの努力によりまして、企業経営の要請もあることでありますので、三十二億はぜひとも達成いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 横川正市

    横川正市君 三十九年度予算概算要求は、大体いつごろ郵政省は大蔵省に要求をされて、それから一次査定、二次査定という中で、最終的に三十九年度予算が固まった時期と、それからこの法律案郵政省でこの国会提出するように決意した時期とは食い違いなくきめられてきたのですか。それとも、予算編成過程では、この法律案は全く予算の伴わない法律案として別個に審議されてきたのですか、どちらですか。
  15. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 先ほども申し上げましたように、従来は、かような引き上げのものは予算には関係ないという考え方でまいったのでありますが、今回の場合には、今回の法律案提案するという考え方、それから予算に対する概算要求の時期、それは並行して進んでまいったのでありまして、その過程におきまして、今回の法案は、従来の引き上げ性質は同じでありますが、引き上げの幅その他を勘案いたしますと、一応この引き上げ前提とした予算を組むべきではないか、かような結論に到達いたしまして、この法案前提とした予算を組んだ、こういうことになっている次第でございます。
  16. 横川正市

    横川正市君 そうすると、法案の通過をはかる郵政当局の作戦的なものを抜きとすれば、予算の伴わない法律案とは言えないと、こういうふうに解釈できますが、どうですか、その点は。
  17. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 予算を伴うということになりまするか、ともかく、この法案に盛られた趣旨を加味して予算を組んである、こういうことでございます。
  18. 横川正市

    横川正市君 それが消極的な意味で、もっと実情を明確にすれば、金を伴わない法律案一つもないから、そういう意味ではこの予算を伴うといううちで、積極的な予算を伴うもの、消極的な予算を伴うものに分けて、消極的な予算を伴うものとして参議院提出されたものと、こういうふうに理解する、いままでの答弁では理解できるわけですが、そういうことですか。
  19. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) さようでございます。
  20. 横川正市

    横川正市君 そうすると、この提案説明を見ますと、二つ問題があるわけですが、一つは、「最近における社会経済事情推移にかんがみ」云々という、いわゆる経済推移にかんがみて必要が起こってきたという理由一つ。それからもう一つが問題だと思うのですが、戦後大量に募集した契約のいわゆる集中満期による事業規模の縮小を防止し、それに充てるためにこれが必要であったと、こういうふうに提案理由として説明されているわけですが、その説明から言えば、もっと予算面では積極的に、保険事業会計の中には影響力を持った法案ですから、当然これは、概計要求から、三十九年度予算はきのう衆議院を通過いたしましたが、その衆議院を通過された予算の中には、積極的な意味予算関係ある法律案として保険当局では考えておったのではないか、こう私は思うのですけれども、さきの説明と、その点との食い違いがあるように思うのですけれども、この提案理由説明とあわせてみますと。この点はどういうふうに説明されますか。
  21. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 今回の法案集中満期対策の一助になるということは、これは申すまでもないことであります。ただ、法律予定どおり実施されたといたしまして、その場合に、やはり新種保険あるいは制限額引き上げ、これは初年度のことでもありまするし、実質的には、本年度はそれによってどの程度新規契約の増、その結果として資金増加がはかれるか、これはなかなかむずかしい問題でありまして、たとえば、新種保険にいたしましても、これはいわゆる特別養老という制度でございまするが、従来の養老保険そのものがそのまま上積みになってとれるかどうか。考え方によっては、従来の養老保険特別養老のほうに移行するものもかなりあるのではないか。また、百万円に引き上げられた場合に、いわゆる百万円ずばりの契約がはたしてどの程度あるか。従来の五十万円にさらに上積みされるといったようなものもかなりあるんではないか。いろいろそういった条件がありまして、はっきり資金としてこれだけ増になると、一応の計算はできてはおりますが、その点で、そう初年度においては多くを望むことはできないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  22. 横川正市

    横川正市君 何かもっと、私のほうでは、積極的な意味保険体質改善に対する一つの施策として簡易保険法の一部改正というものが議会提出をされてきた、保険事業体質をこれにひとつかけて三十九年度改善していこうと、こういう意欲的な意味で一部改正をしようというふうに、内容は別として、法律案提出の意思はそういうところにあったのじゃないかと思うのですね。だから、そういう意味でいえば、この予算面相当影響力のあるものとして、積極的な意味での法律提出のしかたは、実は衆議院先議にして衆議院から審議をしてもらう、こういうかっこうで審議をされるべき性質のものではなかったかと、こういうふうに考えたわけですが、そういう意味では、一面ではやはり相当影響力があるというふうに説明をされ、一面では、予算の面で関係があるのじゃないかと言われると、非常に消極的な法律案の性格になってくるというのは、これは少し提出のしかたというものが無理な面があるように思うのですが、しかし、すでにこの委員会にかかった法律案ですから、いずれの院が先議先議でないかということは二の問題になっておりますので、将来の問題としては、ひとつ十分これは検討を要することではないかと思うのです。院の姿勢が、予算を伴うもうについては衆議院先議と、こういうようになっておるわけですから、やはり議会慣例とか慣行というものもある程度そんたくしてもらわなければいけないんじゃないかと思いますので、その点から、ぜひひとつ将来の問題としては考えていただきたいと思うのです。  そこで、この法案提出されております中の第一なんですが、事業経営立場から立って、経済動きというものをどういうふうに把握をしておるのか、その点が少しあいまい、あいまいということよりか、少し事業に、いわば何といいますか、事業立場から立って、いいようにいいように見るような傾向が、事業経営立場に立っての経済動きについて見ているんじゃないかと思うのです。  たとえば三十七年度のあなたのほうで出した総説を読みますと、「三十七年度わが国経済は、前年に引きつづき景気調整策影響で、工業生産卸売物価が下落し、下半期には国際収支が著しく改善され、」とまあ、ずっとうたってあります。そうして、その結果安定した安定成長の上に立って保険事業というものが伸びてきている。しかし、数字の面では、たとえば、前年度実質経済成長率は一四%であったけれども、これに対して三十七年度は五%にととまったと——これは、景気調整成長率が下がったということは、安定をしたという理由には説明をされておるけれども、実際には、この時期の日本経済というのは、やはり下降状態を提起しておって、一般市中には相当経済的には問題のあった時期だと思うんです。  それからその次に、こういう状態から受けて、三十九年度経済推移についてはどういうふうに見ておるのか。事業経営立場からすれば、この点きわめて敏感でなければならぬと思うんですけれども、三十七年度−三十八年度を経て三十九年度の大体経済の見通しについて、たとえば国際収支はどういうふうになるのか、それから日本経済の本年度における状態はどういうふうに推移するのか、その判断というものは、私あっていいんじゃないかと思うんです。  私がなぜこれを聞くかというと、私どもの立場からいたしますと、第一は、加入者の立場というものを、簡易保際というのは、民間保険と違って、もっと責任を持たなきゃいけないんじゃないかと考える。言ってみますと、いまはやや国民からはあまりけどられないけれども、インフレ刺激経済で動いておって、貨幣価値というのは、その中でだんだん下落していっている。下落ということばが当たらないというかもわかりませんけれども、だんだん貨幣価値が実際的に下がってきているという、こういう状態だと思うんです。そうすると、長期の契約を目的とする保険とか年金とかの経営の場合、これは貯金の場合には私はあえてそれほど影響はないと思いますけれども、保険とか、それから年金の場合には、長期契約、何十年先を見越しての契約なんであって、そうなってくると、事業経営者というのは、良心的に言うと、ある時期というよりか、いまの日本経済推移を見ていると 相当積極的な募集態度をとるなら、それに見合った、いわゆる加入者保護の態度というものが裏面になければ、健全経営じゃなくて、やはりお役所仕事の中で、国民大衆が損をすることを無視して、企業一本で推進していく、こういう形にとられがちだと思うんです。私は、やはり簡易保険というものの生命は、もうすでに、かつてあった三つの特殊な簡易保険の形態というものはなくなって、民間と競争の立場に立つという立場に立てば、それはやはり国の企業としては、加入者保護という問題も相当積極的に考えた姿勢というものが必要になってくるんじゃないか。そういう姿勢が要請される時期に、経済の見通しについては少し甘い見方をしているんじゃないか。そのために、経済が安定だと、だから貯蓄をしておきなさい、利子もふえます、また、災害があったときにはあなたの生命に対する保障もいたします、という、非常におざなりな、いわゆる保険の募集態度といいますか、宣伝態度といいますか、そういうものに堕してしまうんじゃないかと、こう思うのでありますけれども、その点から、まず一つは、一体保険事業経営者としての経済の見通しに対してどういう見通しを持っておられるのか。少し長くなりましたけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  23. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 非常にむずかしい問題でございまして、今後日本の経済がはたしてどういう推移をたどっていくか。これは、なかなか私として、ここではっきり申し上げることの、それだけの能力もないのでございまするが、一応来年度計画を立てる場合、あるいは予算編成、さらには日常の事業の管理運営といったような面におきまして、大体来年度はそう日本経済に変化はない、まあ本年と大体同じような推移をたどるのではないかと、かような観点に立っておるわけでございます。  で、インフレの問題でございまするが、現在の経済情勢がインフレと言い切ることができるかどうか、これも非常に問題だと思います。ただ、仮定の問題といたしまして、また現実に、終戦直後のあの悪性インフレの経験もございます。インフレの状況下におきまして、長期契約を主体とする簡易保険事業というものは非常に弱いということは、これははっきり申し上げることができると思います。しからば、このインフレに対応してどういう対策を立てるべきか。これは、いろいろ議論としては、なされておるところでございます。ただ、現在差し迫って、インフレ対策といったようなものについて、特に計画をしたということはございません。ただ、戦前の保険、年金の問題、またかりにインフレ、といいますか、インフレまでいかなくても、ある程度の貨幣価値の下落といったようなものに対応して、はたしてどういうことをやるべきか。これにつきましては、資金の運用の面、あるいは今回の特別養老に一部その片りんが出ておりまする定期保険といったようなもの、そういった面に効果があるところではないかと、かように存じておる次第でございます。
  24. 横川正市

    横川正市君 目的の据え方というものは、文字づらでは非常にうなずけるものがあるんですけれども、実際問題を見ると、率直に言えば、一体簡易保険というのは 国民保険に対する思想の普及が、簡易保険事業を維持し、これを発展するまでに大体国民の中に浸透しているのか、いまの経営を維持していく上に。それとも、非常に至れり尽くせりの、いわゆるこの保険事業網というものが、郵便事業普及しているその完全な組織網の上に乗っかって、そしていわば生命保険的な性格を持っているものとは別個に、貯蓄的な性格を持って、両者相まちながら簡易保険事業というものが、今日までの形態になってきたのか。それには、日本の非常に国民の貧困な、いわば、何といいますか、日銭をかけておかなければ将来そういう手当てができない、そういう特殊な経済事情にも助けられておることと思うのですけれども、そういうことで、簡易生命保険というのは今日体をなしてきているのではないかと私どもは思うのです。そういう加入者の立場というものは、これはおそらく、比率で言えば、たとえば、三十万円のときには国民の何%で、五十万円になったら幾ら、百万円になったら幾らと、パーセンテージからすれば、だんだん少なくなっていくんじゃないか。その少なくなっていくのは、民間保険との競争をしなければならないという意味で金額というものは高められているのであって、簡易保険に入って日銭をかけて保険的、貯蓄的の目的を達しようとする加入者の大半の意思というものとは、私は離れているのじゃないかと思うのです。だから、字づらでは、国民経済生活の安定をはかり、福祉増進を目的的とするといってみても、実際上は、このことばなりに事業経営というものはなっていかないのではないか、その点は私は問題だと思う。  たとえば、身近な問題として、衆議院参議院の議員がおりまするが、簡易保険に幾ら入っておりますかといって一回調べたらわかると思う。おそらく、毎月簡易保険に一万円入るというようなことはたいへんなことと思うのです。民間保険にはある程度入っておっても、議員のようないわゆる所得のある階層であっても、相当高額の簡易保険に入るということはむずかしいわけですよ。だから、全体の保険加入者の層を分けてみますと、やはり簡易保険の生命とする低額、月掛け、集金と、こういうようなところに、ある程度貨幣価値あるいは所得の伸びに伴って金額が上がってくる。ですから、かつて百円か二百円のものが千円になる、こういう程度のいわゆる加入者層というものは部厚いのじゃないかと思うのです。そうなってくると、そういう人たちの、実際上のこの立場というものを守っていくということになると、私は、簡易保険として一体何があるのか、この点をいま非常に心配するわけなんです。ほとんどないのじゃないか、こういう層の、いわゆる国でやっている保険事業として、どうこの加入者の立場を守っていくのか、こういう点になると非常に薄れていくんじゃないか、こういうふうに思うのです。  そういう意味から、まずひとつ、この際ですから説明していただきたいと思いますのは、一体、五十万の最高制限額の時期に、国民の加入者の層というのはどれくらいの金額、平均であらわすと、どれくらいになるのか。  それからもう一つは、最高額の加入者は何%くらいになっているのか、この二つだけわかれば大体いいんじゃないかと思いますが、これをひとつ説明していただきたいと思います。
  25. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 大体五十万の加入率を申し上げますと、三十八年の四月から十月の平均をとってみますると、新契約の七・五%が五十万の契約でございます。それからどういう階層かという、いわゆる国民の所得階層は、どの程度の階層の人がどういう金額の保険に入っておるかという、第一点はそういう御質問かと存じますが、実は、私のほうといたしましても、加入の実態調査ということを先般いたしたわけでございます。いま手元に資料がありませんので、あまり、はっきり申し上げられませんが、それによりますと、民間保険、それから農協生命、こういったものと比較をしたのでございますが、その結果、大体私どもの予想しておったように、まあ簡易保険のほうが全国的に普及しておる。ことに農村方面には、これは農協というものがありまするが、民間保険と比較すれば、はるかにこちらのほうが普及率が高い。また、階層別にとってみましても、低額所得者層の簡保加入者が多い。こういう結果も出たのでございます。先ほどの御質問、第一点につきましては、いまはっきり申し上げられませんが、後ほどまた資料等でお答え申し上げたいと思います。
  26. 横川正市

    横川正市君 それはですね、資料はいいです。大体私のほうで調べて資料を持っておりますから。その点からいくと、やはりこの最高額をずっと上げていくというのは、やはり民間保険との競争率を高めていくという、非常に私はそういうところに目的があるんじゃないかと思うのです。で、実際には、加入者の層というのは、あまり上のほうではなくて、中以下のところに加入者層というものが非常に部厚い。しかし、実際上の金額からいけば、大体その最高額に入っているものは、先ほど言ったように、募集の全体の七・五%くらいですから、こういう点からいくと、簡易保険の性格というものは、やはり昔の三つの方針でやられた当時とは、あまり体質的には変わっておらない、こういうことになるんじゃないかと思うのです。  そこで、集中満期ですが、この資料によると、三十七年度状態と、それから三十八年度、三十九年度のこの推定を見ますと、まず計画の面では、集中満期というのは、相当先に、何年から集中満期が起こるということを想定して、それに対しては逐次補強策をとってきたのじゃないかと思うのです、計画の面では。そういう補強策をとってきておったのに対して、今度の二つの方針——集中満期の手当てとして、百万にし、それからもう一つは特別養老保険ですか、この二つを集中満期一つ対策として新たに加えられるようになっておるのですが、実際上は、相当長期の見通しの上に立って集中満期というものに対する補強策、いわゆる対策というものは立てられてきておったのじゃないかと思うのでありますけれども、そのいままでの計画にのっとっての補強策は、これは十分だったのかどうか。いま新たにこの二つの改正を加えなければならないという、いわゆる体質改善の行なわれる、今度のこの法案提出までの状態というものはどういうことになっておるのですか。
  27. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 集中満期対策は、現在のところ、大体順調にいっておると申し上げていいかと存じます。まあ五十万に引き上げられたということも、すでに一つの効果となっておるのでございますが、今回百万に引き上げ理由といたしまして、これは集中満期対策の一助にもなるということでございます。特に三十九年度集中満期のピークということで、ここ数年に比較いたしましても、大体二倍程度保険金、剰余金の支払いがなされるというような時期でもありまするので、今回の法案実施された場合には、これに対する対策として非常に大きな効果があると存じておるところでございます。
  28. 横川正市

    横川正市君 そうすると、集中満期対策として、見通しの上に立って立てられた計画というものは、大体見通しは誤りなく今日まで来ておるのだと、こういうふうに考えていいのですか。
  29. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 大体集中満期対策は順調にいっておると考えております。
  30. 横川正市

    横川正市君 そうすると、今度の——説明が少しあいまいだったので、どれほど効果があがるのか、期待が持てるのか、期待が持てないのか、あまりその点が明確じゃなかったようですけれども、百万に上げることによって、あるいは特別養老保険を創設することによって、いわゆる計画の面ではどういう期待するというものを持っておるわけですか。やってみなければわからぬというのじゃなくて、いままである程度長期見通しに立って補強策をやってきて、まあ順調ですと。その上に今度はこれを加えると、計画としてはどういうふうに変わっていく、計画面の数字でいいわけですが、どういうふうに変わるとお考えになっていますか。
  31. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) まず、新契約の募集の面におきましては、五十万が百万になるということになりますると、従来の場合におけるよりも、さらに集中満期によって支払われる保険金なり剰余金を多額にこっちに吹収し得るということ、これは当然の結果でありますが、数字的にどうかといえば、一応予算の面におきましては、第一回の保険料二億ということが予定されておるわけであります。二億と申しますと、年間十一億、これは初年度でございますので、一応非常に控え目に組んだ数字でございます。ただ、実績は、本年度におきましても、二十四億の目標は、予算編成当時は大体二十六億五千万程度いくのではないかという計算をしておったのでありまするが、現在のところ、三十億近くいくという予想が立てられるような実情でございまして、来年度一応予算は三十二億ということになっておりまするが、この法案実施の暁には、集中満期の代替契約募集という面にかなり大きな効果を及ぼして、相当の増収がはかれると期待しておるわけであります。
  32. 横川正市

    横川正市君 そこで私は思いつくわけではないのですけれども、こういう観点から実は収益についてこまかく聞いているわけなんですが、一つは、加入者のほうの立場に立って、何をするかというのですね。たとえば、還付金制度の問題についてどうするか、あるいは福祉事業団とかその他の事業についてどう強化するか、いろいろいままで行なわれてきたものもあるわけなんですけれども、そういう加入者のほうの立場に立って、何を行なうかということを前提条件として、どれだけの収入をあげていくことができるのか、一応聞いていきたいと思うのです。  まず、運用面なんですけれども、さきにこの運用の一部改正を行ないましたときに、大蔵省の指摘をした中に、幾つかの問題点が私はあると思うのです。その問題点の一つは、現在の簡易保険資金と国の資金運用部資金との運用の範囲というものが大体同じになってきているから、大蔵省としては、政府資金としての適切な運用範囲というものは根本的に検討する必要はあると思うけれども、郵政省の言うような、いわゆる余裕金の問題その他について、この際一括郵政省に回すというようなことは必要がないのではないかと、こういうことを言っております。  そこで私は、この点はいわゆる運用部資金の金と、それから保険の金というのは、性格的に変わってきているのじゃないかと思うんですよ、実際のところは。それは、かつての戦前のような政府資金の一括統一運用というような性格を持っておったんでは、これは、保険的思想が大衆の中にある程度できてくれば、当然反対給付を要求する力というのは強くなるし、また反対給付を与えてやらなければ保険事業というものは発展していきませんから、一括に運用されておったんでは保険事業というものは成り立っていかないと思うのですよ。ことに、民間保険と競争が激しくなってきている段階では。そういうたてまえからとれば、保険の運用資金というものと、それから運用部資金のいわゆる運用資金とは、性格的に、私は変わってくるのがほんとうなんじゃないか、こういうふうに思っているわけなんですけれども、郵政省としては、この点どういうふうな考え方の上に立って大蔵省との間でその後折衝されているか。まず、この点お伺いしたいと思います。
  33. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 私どもも、ただいまお話しのとおり、両者は性格的に非常に異なるものであるという点は絶えず主張しておるところでございます。
  34. 横川正市

    横川正市君 それで、大蔵省との間は、経過的にはどういうふうになっていますか。大蔵省は、政府資金としての適切な運用範囲については根本的に検討する必要があるんだと、こういうことを言っておるわけなんですよ。だから私は、さきの国会で出された法律案のときに、大蔵省はこういうふうに言っておるわけなんだか、郵政省は、政府資金と簡保資金の間に性格的な違いが年々強くなってくる、こういうことになれば、当然大蔵省との間には折衝を持ってしかるべきじゃないか、また、こちらが相手側に譲るべき点はなくて、向こうから今後とる点ばかりになるわけですから、その点では戦利品は一体何だったか、こういう点が私は明らかになるべきじゃないかと思うんです。
  35. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 昨年御審議いただきまして、電力債に一歩簡保資金が踏み出たということは、結果的には、運用部資金と簡保資金が性格的に異なるんだという一つの姿だと考えてもよいかと存じます。ただ、残念ながら、電力債の運用につきましてはいろいろの条件がつけられまして、ただいまのところ、短期運用、しかも日銀手持のものを引き受けるということで、しかも総額も制限されておるという実情でございます。私どもといたしましては、目下のところ、電力債に対する長期運用、これが第一点であります。  それから余裕金の問題でありまするが、余裕金を直接われわれの手で運用するということも年来主張しておるところでありますが、これは非常なむずかしい問題がございまして、余裕金を直接こちらで運用するか、あるいは現在特利というものが設けられておるわけでありますが、この特利をさらに操作してわれわれのほうに有利に持っていくか、そういう考え方も出てくるわけでありまして、その辺のところも、寄り寄り折衝を続けておるわけであります。さらに具体的に折衝という段階にまでは至っておりませんが、将来戦前の運用形態に復帰するという意味から申しましても、株式に対する投資というようなことも考えておるのであります。これらにつきましては、やはり政府資金の一元化という主張のもとに、かなりの困難性があるわけであります。また、たまたま来年度から新規の積み立て金が減少する時期に立ち至っておりますので、われわれの主張の裏づけとしてはちょっと時期が好ましくないということもあるのでありまして、いま直ちに何かを獲得するという段階には至っておらない現状でございます。
  36. 横川正市

    横川正市君 ずっと当時の問題で六つあるわけですから、これはまたあとの委員会で詳細聞きたいと思いますが、この際ですから、あわせて、「短期資金については、現在の運用対象の中において十分に効率的な運用を行ない得ると認められるので、新たな運用対象を加える必要は乏しい」と、こういう大蔵省の見解が出されているわけなんです。  そこで一体、長期と短期との運用の利率を資料でずっと見てみますと、三十六年、七年の面では、なるほど短期の面では長期よりか幾らか利率の面で、平均利率で上がっているようです。たとえば、長期運用は三十六年度は六分四厘、それに対して短期のほうは——この年は、短期は少ないのですね。三十六年の短期運用の場合には、長期運用よりか利回りが低くなっているようです。これは計算のとり方かなんかによるんですかな。ただし、三十七年度の場合は、長期運用が六分五厘に対して、短期運用は六分五厘七毛、そういうふうに七毛だけ実際上上がっているようですが、大蔵省のいう、短期運用資金について、運用の効率は運用のしかたによってあげられるんだからと、こう言われているのは、一体何を指してこういうふうな指摘を受けたのか、検討されたことはありますか。
  37. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 短期運用の問題でございますが、大蔵一省の主張は、運用範囲が三十六年に拡張されまして、それ以上に当方でさらに運用の範囲を広げたいというような主張に対しまして、利回りの点を考慮するということであれば現在の運用範囲で十分ではないか、こういう考え方だろうと思います。
  38. 横川正市

    横川正市君 私は、この長期と短期の操作の中で、長期運用については一定利率をこえて上げるわけにはいかないが、短期運用の場合には、ある程度利回りの点で有利に回すことができる、そういう意味から、大蔵省ではそういう方針をとっていまのような指摘をしたんではないか、こう思って資料をあなたのほうからもらって、ずっと見てみたんですが、それによると、三十六年と三十七年の振り合い、長期と短期では、三十六年度の長期の場合と三十六年度の短期の場合の利回りは、実は逆に短期のほうが下回っているわけです。それから三十七年度では、年内七毛ばかり利回りが上がっているわけなんですが、こういうふうな点からいくと、必ずしも(6)の指摘というのは、それほど効果の認められない点ではないか、こういうふうにも思われるわけですし、もう一つ私のちょっと仄聞するところでは、郵政省の運用計画の中で、長期よりか、やはり短期の効率のあがる運用を好むような傾向があるんではないか、こういうことも聞くわけなんで、実際に(6)の指摘というのは、省としてはどういうふうに受け取っているのか。それからまた、実際の運用の態度というのはどういう態度をとっておられるのか。長期資金は幾ら、短期資金は幾ら、こういうふうに年度計画で立てられているんではないかと思うのでありますけれども、その点の説明をひとつしていただきたいと思います。
  39. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 財投計画に組み入れられましたものは、全部長期に回るものでございまして、短期に回る資金というものは、その長期運用の実際のズレあるいはその年度内に回収金なり、さらには前年度の若干の繰り越しといったようなものが合わさって短期に回るということでございまして、まあ短期のほうを特に好んでやる、短期のほうにやる、短期のほうになるべく資金を集めるというような考え方はないわけでございます。
  40. 横川正市

    横川正市君 そうすると、この(6)の大蔵省の指摘をした、運用対象を新たに、郵政省の言うように、電力債とかその他のところにそれをなお広げる必要はないんじゃないか、こういうふうに言われている点には、なお多くの疑問を私どもは残すわけですが、きょうは、実はこの程度でこの問題はとどめて、私の質問はだいぶたくさんありますから、これは後日に残したいと思うのであります。  そこで、最後に私はお聞きをいたしておきたいと思うのでありますが、私は、郵政省というのは、きわめて民主的な、しかも大衆奉仕の行き届いた役所で、どこにも権限とか権力とかいうものはないと実は思っておったのです。それだけに、大衆と親しみのある省の運営だろう、こう思っておりました。ところが、それに対して、最近こういうことが下部からいわれる。  それは、さきに転貸債の問題で、あなたのほうでは八月八日に通牒を出して一方的な実施を行なったようです。まあこれは、言ってみれば、あなたのほうが貸して、自治省を通してまた郵政省が借りるというようなかっこうになっておるようですが、そういう資金の運用について、いま各自治団体では、借りたらいいものなのか、それとも借りないで済まされるならば借りないで済まそう、こういうところがあちこちにいま出てきているようです。ところが、これに対して、郵政省関係官が出向いていって、この金を借りないのならば一般起債も認めないとか、あるいは実際上の便宜を与えないとか、圧力をかけている例というのが非常にたくさんあるわけなんです。  一体、郵政省の運用のあり方として、これは零細な金を保険に入ってもらって運用するわけなので、運用している限りにおいては、あなたのほうで責任はありますけれども、しかし、その金で、そういうかっこうの何か一つの目的を持ったものを推進するために圧力をかけるというやり方は、これは、もしやっているとすればやめてもらいたいし、私の考え方では、そういうばかなことは郵政省はやらぬだろうと、もし、やっているとすれば、中間機関の管理者が少し変なんじゃないかと私は思うのですけれども、一体省として、八・八の次官通牒をめぐってのその後の各自治団体の実施状況とあわせながら、どういう指導をしておるのか、この際お聞きいたしておきたい。
  41. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 転貸債に関連をいたしまして、地方の関係官が関係の道府県に行くということは、これは当然のことでありまして、その際に、今回の措置に対する協力を求め、また具体的の実施に際しましては、いわゆる郵政局と関係道府県の協議ということが当然なされなければならないわけでありますので、関係の者はおそらく何回かそういうところへ出向いておることかと存じます。ただ、ただいまお話のありましたように、そちらの思うようにやらないと今後の融資はしないというような、そういうことで圧力をかけるといったようなことは、これはもう全然おかしなことでありまして、おそらくそういったことはないと存じますが、今後、お話もありましたことでもありますのが、地方にも十分注意をいたすつもりでおります。
  42. 横川正市

    横川正市君 私は、ここでそういうことをやったものは処分しろとかなんとかとは言いませんけれども、少なくとも八・八の次官通牒については相当問題のある点でもありますし、郵政省としては、通牒を出した限りは実施してもらいたいという気持ちは十分私どももあることは認めざるを得ないのですけれども、しかし、そのことによって他の地方債の貸し付け事務にまで影響さして、これを完全に消化させるというようなことは、私はとるべきじゃないと思うのです。そういう点については、下部指導を厳重にやってもらいたいし、まあ、この際ですから、先ほどの答弁にあったように、ないと、おかしなことですからありませんと、ひとつこの意思どおりに省としての指導をやっていただきたいと、こう思います。
  43. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま横川委員のお話、私はもとよりさような意味の指示はいたしたことはございません。事務当局としましても、さようなことを申したことはないと考えておりますし、ただいま保険局長が御答弁申し上げたとおりだと存じます。今後におきましても、そういう、何といいましょうか、われわれ常識として考えられないようなことはもちろんないように十分に注意をいたしたいと存じます。
  44. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記を始めて。  本案については、本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。   午後零時十三分散会。