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1964-05-12 第46回国会 参議院 逓信、建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)    午前十時五十二分開会    ———————————  委員氏名   逓信委員    委員長     光村 甚助君    理事      鈴木 恭一君    理事      寺尾  豊君    理事      松平 勇雄君    理事      野上  元君            植竹 春彦君            小林 篤一君            郡  祐一君            白井  勇君            野田 俊作君            平井 太郎君            最上 英子君            谷村 貞治君            安井  謙君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君            須藤 五郎君   建設委員    委員長     北村  暢君    理事      石井  桂君    理事      稲浦 鹿藏君    理事      増原 恵吉君    理事      瀬谷 英行君            天埜 良吉君            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            熊谷太三郎君            小西 英雄君            小山邦太郎君            田中 清一君            高橋進太郎君            村上 春藏君            小柳  勇君            田中  一君            武内 五郎君            中尾 辰義君            田上 松衛君            村上 義一君    ———————————  出席者は左のとおり。   逓信委員    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            野上  元君    委員            郡  祐一君            白井  勇君            最上 英子君            安井  謙君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君            須藤 五郎君   建設委員    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            瀬谷 英行君    委員            小沢久太郎君            熊谷太三郎君            田中  一君            武内 五郎君            中尾 辰義君            田上 松衛君            村上 義一君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君    常任委員会専門    員       中島  博君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出)    ———————————   〔逓信委員長光甚助委員長席   に着く〕
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。古池郵政大臣
  3. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  第一点といたしましては、昨年四月に批准されました「千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約」の発効に備えまして、電波法中の船舶局無線設備運用等に関する条件を新しい条約規定に適合させるために必要な改正をしようとするものであります。  第二点といたしましては、昨年の建築基準法の一部改正によりまして、新たに容積地区の制度が設けられ、この地区では、三十一メートルという従来の高さの制限を受けない高層建築物建築が予想されますので、この機会に、高層建築物その他の工作物によるマイクロ波重要無線通信路障害を防止するための措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  まず、安全条約関係につきましては、義務船舶局無線設備を設ける場所の要件を若干強化し、第三種局乙船舶範囲の下限を三百トンとし、並びに国際航海に従事する三百トン以上千六百トン未満の貨物船船舶局聴守義務時間を一日二十四時間としようとするものであります。  次に、高層建築物等によるマイクロ波重要無線通信路障害防止関係につきましては、高層建築物等による障害から保護すべき無線通信を八百九十メガサイクル以上の周波数を使用する固定地点間の重要無線通信に限ることとし、その電波伝搬路の直下で郵政大臣が指定する区域内において高さ三十一メートルをこえる高層建築物等建築しようとする者は、事前に郵政大臣届け出なければならないこととし、電波伝搬上の障害となる旨の通知を受けた場合には、まず、建築主関係無線局免許人との間の協議によって障害防止措置を講じるものとし、協議がととのわない場合には、建築主は、通知を受けた日から、公衆通知に対する障害の場合には三年間、その他の重要無線通信に対する障害の場合には二年間、当該建築物障害原因となる部分工事をしてはならないこととしようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  4. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 以上で、提案理由説明は終わりました。  次に、本法案に対し質疑のある方は、順次、御発言願います。
  5. 石井桂

    石井桂君 ただいま御説明のありました電波法の一部を改正する法律案中、第百二条の三、「(伝搬障害防止区域における高層建築物等に係る届出)」という条文ですが、このうちの第一項第一号「地表からの高さが三十一メートルをこえる建築物その他の工作物云々という条文がございます。この三十一メートルの建築物というのは、いままで建築基準法あるいはその前の市街地建築物法を通じて、四十数年間、建築関係法規については高さのはかり方があるわけです。で、結局、三十一メートルというのは、建築物の本体の高さでありまして、そこに突出物が許されておるわけなんです。市街地建築物法というのは、大正九年から昭和二十五年まで、約三十年間施行されておったのですが、その当時は、三十一メーターが百尺という表現で現制されております。そうして百尺の建物という場合にも、屋上突出物が、たとえば屋上に出る出口でありますとか、昇降機機械室でありますとか、あるいは換気その他の機械室付属物も認められておったわけです。それから昭和二十五年に市街地建築物法というのが改正されて、現在の建築基準法に変わりまして、百尺が三十一メーターという表現になりますし、さらに、屋上に突出されている突出部は、建築面積の八分の一の範囲で高さが十二メーターまでは高さに算入しないで、これを三十一メーターの高さという表現をして今日まで来ております。  そこで私が疑問といたしますのは、この電波法の一部を改正する法律案の百二条の三に、むぞうさに、どこにもこの法律表現がないのですが、「三十一メートルをこえる建築物」と書いたのは、建築基準法算定方式を使用する、それによるということで規定になっておるのですか。あるいは電波法の一部に、どこかにそういう高さを算定する基準規定しておるかどうか、そういうことについてお聞きしたい。
  6. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまの御質問につきましてお答えいたしたいと思います。  この法律規定いたしておりますところの建築物の高さ三十一メートルと申しますのは、これは正味の三十一メートルでございます。しかしながら、ただいまいろいろ先生の御指摘にございました建築基準法施行令の第二条第一項第五号に規定しております屋上部分ペントハウスその他のものにつきましては、この改正案の二百条の三に基づきます「郵政省令で定めるところにより」ということによりまして、ただいま御指摘部分につきましては、届け出から除外するように取り運びたい、こういうように考えております。
  7. 石井桂

    石井桂君 もう一ぺん確かめておきますが、この電波法の一部を改正する法律案によるところの郵政省令ですか、郵政省令で、そういうものは、尾上突出物は、私が言った範囲のものは除外するということで了解していいわけですね。
  8. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  9. 石井桂

    石井桂君 これは屋上突出物ほど大きなものでありませんけれども、物には飾りとしては、むね飾りとか旗ざおとか、いろいろな付属物ができて家のかっこうができているわけです。それらはあまりに大きな障害にならないと思いますから、当然高さに算入されないと思うのですが、そういうものはいかがですか。
  10. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 同じように、ペントハウスと同様に考えて除外いたしたいと考えております。
  11. 石井桂

    石井桂君 もう一つ建築物ができましても、あとでいろいろ小さな手直しとか、あるいは増改築というものがあるわけなんです。建築基準法だと、十平方メートルというから約三坪以内のこまかいものは、届け出義務を負わしていないわけなんです、基準法では。そういうものについてのお取り扱いはいかがですか。
  12. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その点につきましては、このただし書きに書いてございますものは、おそらく電波伝搬障害を与えるおそれのないものと判断いたしまして、これにつきましても、やはり省令をもちまして除くように取り運びたいと思います。
  13. 石井桂

    石井桂君 私の疑問とするところは全部氷解いたしましたから、私の質問はこれで終わります。
  14. 田中一

    田中一君 大臣に伺いますが、従来既成事実として認められておる行為に対して、新しくこれを制限しようという場合には、われわれの社会においてはどういう抵抗が起きるかという点についての、郵政大臣認識をひとつまず最初に伺いたいと思うのです。すべて既成事実としてわれわれ社会において認められておった行為が、突如として他の意思によって、しいて言えば、国家権力によってその意思制限されるということになった場合には、われわれ社会の秩序というものはどういうことになるか。また、それがよろしいものと思うか、あるいは悪いものと思うか、万やむを得ないというものであるか、それらの点について、ひとつ郵政大臣認識を伺いたいと思うのです。
  15. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この法律案自体関係する意味でなくて、きわめて一般論として申し上げますと、たとえば私ども所有権というものは、きわめて神聖なもので侵してはならないというのが、従来の考え方であったと思いますが、しかしながら、これも憲法によりまして、公共福祉のためならば法律によって制限することができる。そういうふうな意味においての所有権存在というものが、今日は認められておると存じます。そこで、社会の情勢が日に増して進展してまいりますると、やはりそれに応じて公共福祉という観念も、必ずしも百年の一日のごときものでなく、やはり常に概念としては変わっていくものではなかろうかと存じます。さようになりますれば、たとえば所有権というものの内容にしましても、昔と今日と比べれば、漸次法律によって制限を受けてきている、こういうことが考えられますので、今後といえども、やはり公共福祉というような問題が大きく取り上げられていけば、それに応じて所有権制限というものはあり得るものである、こう考えます。したがって、そこで、既得権と新しい要請との間の調整をいかにすべきかというところに、立法権の大きな職責があるであろう、こう考えますので、一般論といたしましては、法律によって、その時代時代に即して、権利内容というものもあるいは変化していくということは可能である、こう考えております。
  16. 田中一

    田中一君 そのお考えは私も同感でございます。そこで、今回の法律改正案というものが、公共福祉のために必要であるからお出しになったというような見解でしょうか。
  17. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) そこで、建築をされる方としては、従来の建築基準法という法律があって、それによってやってきておられます。ところが、最近、電波技術の発達に伴いまして、マイクロ通信というものが非常な発展を見せております。これはもとより日本ばかりではなく、世界各国マイクロ通信を非常に利用するようになってきましたので、そこで、建築基準法とこの電波関係監督法律との間に、ある意味においては利害の対立する面が出てくるわけでございます。そこで、私といたしましては、できる限り、従来の一般国民の持っておりまする法律上の権利というものは、十分尊重していかなければならないという原則に立ちながら、しかしながら、新しい技術に基づく制限を、支障のない限りにおいてはこれをやることもやむを得ないのではなかろうか。しかし、あくまでも、さような場合においても、両者の権益の調整を十分はかって、そこに不つり合いのないようにしていくことが、一番今日の時代においては大切なことではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 建築基準法昭和二十五年に制定されました。いま石井委員からも御質問があったように、その以前には、大正年代から市街地建築物法というのがございまして、その法律による高さというものはそのまま継承しているわけです。したがって、歴史的に、数十年の歴史がある、建築の高さの制限があるわけです。  そこで、マイクロウエーブでしたかね、私はそのほうは弱いものですから、よくわからないのですが、そうした電波が、それらの数十年前からある建築物障害と感じない技術発展というものは不可能なわけですか。
  19. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私も非常にこまかい技術的なことはよくわかりませんけれども、大体論から申しまして、長い間建築界において認められており、また、建築一つのものさしになっておりました高さというものは、やはりできる限りこれは尊重していかなければならぬと考えております。  それから一方、マイクロウエーブ利用につきましても、これが単なる個人の利益のためのものであれば、さほど重要視する必要はないと思いますが、これが公共利益のために使用されるものにつきましては、やはりなるべくマイクロ通信の完全に利用できるようなふうに取り計らうということも、時代の趨勢に照らしまして必要であろう、こう考えておるわけでございます。  そこで、昨年建築基準法改正になりまするまでは、三十一メートルというのが限度でございまして、それまでは、ほとんどマイクロ通信のほうから申しまして支障はなかったと認めております。ただ、最近の改正によって、三十一メートルをこえる建築物が可能になりましたので、そうなると、マイクロのほうに対する影響も大きい、こういうわけでありまするので、新しい改正の点につきましては、何らかの制限といいましょうか、工事上におきまして十分考慮していただくような機会を持とうというのが、この際の私どもの希望でございまして、長年の間守られてきた基本的な高さというものについては、あくまでこれを尊重してまいりたい、こういう考えでこの改正をいま計画しておる次第でございます。
  20. 田中一

    田中一君 技術的にはこっちはわからぬから、何というか、三十一メートル、あるいはこれが四十メートル、五十メートルとなった場合に、技術的に、何というか、波長を流すのに、それを避けて完全に送信受信とキャッチするような方法は、技術的にできないのかどうかという点を伺いたいと思う。
  21. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) マイクロウエーブ通路建築物が立ちはだかった場合におきましては、これは建築物がたとえば木であるとか、そういうような特別なものでございますならば電波は通過いたしますけれども、金属、コンクリートというようなものは電波を遮蔽いたしますので、その場合には、技術的にこれをよけて通る道はないのでございます。それで、そういう場合におきましては、電波がそれより高いところ、あるいはそのわきへ行くとか、あるいはその上に中継器をつけてもう一度増幅する、あるいは別のほうに向けまして反射させる、そういうような、電波が別に迂回をして、とにかく、そこに立ちはだかるものに対しましては避けて通る、こういうことをいたさなければ電波伝搬が可能にならないわけでございます。
  22. 田中一

    田中一君 将来四十階、五十階という高層建築ができた場合、問題は、その波長を守るために、それらのものを制限させようというつもりでおるのか、将来それらのものが出現するという推定のもとに、二年間ないし三年間の間に、それらの電波が、将来でき上がる建造物を避けて通るように、技術的な解決をしようとするのか、その点はどうですか。
  23. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 今後のマイクロウエーブルート設定ということにつきましては、申請者といたしましても、十分に、その通路に今後高層建築物が予定されるかどうかということを調査して申請をするように、指導をいたしたいと思います。また、その実際の免許にあたりましても、それが直ちに障害となるようなおそれのある低い場合、そういうような場合につきましては、免許の際にも十分考慮して、もっと高いところに置くように、いろいろ指導してまいりたいというふうに考えております。ただし、何分にも、高いところに電波を通しますためには、アンテナを非常に高いところに建てなければならないのでありまして、そのために非常に巨額の費用も要しますし、また、既設建築物の上に建てるアンテナの場合につきまして技術的な制限もございますので、それらにつきましては、全部いま直ちにということではございませんで、今後のものにつきまして、そういう考慮を十分に払いながら、また、免許基準の中にもそういう要素を取り入れた形で今後指導をして、できる限り、電波通路障害物ができまして、この法律によりましていろいろな解決方法はございまするけれども、そういうことのないように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると、予想される建造物制限しようとするのか。あるいは、その場合には、電波は、技術的に解決し得る他の方法をもって、その波長を完全に通すということにしようとするのか。基本的にどういう態度なんですか。
  25. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波のほうを、障害のないような通路を選ぶようにいたしたいと思っております。
  26. 田中一

    田中一君 いままでに、昨年の建築基準法改正によって、いわゆる超高層建造物ができない以前において、障害があったという事件はありましたか。あったなら、それをひとつ例示してもらいたいと思います。
  27. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 高層建築物によりましてマイクロ波伝搬障害が実際に起こりましたのは、やはりマイクロ波利用が進んでまいりましたからでございまして、昭和三十年前後からときおり障害事例が出てまいりました。現在、障害事例といたしましては、電々公社関係二件、警察庁関係二件、電発関係一件、関西電力関係一件、国鉄関係二件、計八件その実例がございます。
  28. 田中一

    田中一君 具体的に、その建造物はどういうもので、その波長のどういうところにそれが位置している、それと、その建造物が、波長を発する前の建造物か、あるいは波長が出ている際に、それをさえぎって新しく建築されて、それで障害されたのか、その点もっと具体的に説明してほしい。
  29. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その前に電波がすでに伝搬路として使用しておりましたのでございまするけれども、そこに新しい建物が建ちまして、そうして既設電波通路に妨害を与えたのでございまして、これらは、電波のほうで空中線の高さを上げるとかというようなことによりまして解決できたものと、それから建築主のほうで一部の計画の変更をいたしましたことによって解決したものとございます。
  30. 田中一

    田中一君 どこでどういうことがあったか、もう少し具体的に説明してほしい。
  31. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電々公社の例といたしましては、福岡−新宮間に六千メガサイクルの伝搬路がございましたが、昭和三十五年の一月三十日に、天神ビルと申します塔の屋上工事によりまして、これに回線障害が出たのでございますが、これは電々公社におきまして無線臨時回線を作成いたしまして、とりあえずの回線の疎通をはかりまして、そうして新市外局のほうへこれを移築いたしまして、そうして空中線の高さを地上高百四十三メートルといたすことによって解決したのでございます。これが第一件でございます。  以下、第二件といたしましては、同じく電々公社の件でございますが、金沢におきまして、金沢とNHKの金沢テレビ中継用端局との間を結ぶ回線、同じように六千メガサイクル帯のものでございますが、これが三十八年四月に、日本冷蔵ビルというものが新築いたすことによりまして、通路の一部を遮蔽いたしましたので、非常に回線の質が悪くなった事例がございます。これは三十八年の五月に、新しい鉄塔を使いまして、これに一時可搬用の六GCのセットを持ってまいりまして、空中線を二十三メートル上げて一時処理をいたしまして、三十八年の十二月末に、新鉄塔を使用しまして新しい周波数帯に移行することによって解決してございます。
  32. 田中一

    田中一君 それはいずれも三十一メートル、建築物としては三十一メートルの高さ、それに塔やその他が入って十二メートル、いわゆる四十三メートルの高さの障害事件ですね、みな。
  33. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  34. 田中一

    田中一君 局長は、建築基準法という法律ご存じですか。いままで、あなたの職責についてからむろん存在は知っているでしょう、あなたもおそらくうちをつくるでしょうから。しかし、内容について、高層建築物との関係は、そういう障害があり得るということはいつごろから知りました。
  35. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 建築基準法があることは、もちろん私もよく存じております。私、着任いたしましたのが、昨年の七月でございまして、そのころにすでに、こういうような問題が起こっておることは知っておりました。その前、国会等におきましても、この問題についていろいろ御審議があって、これに対しての法律的な措置構ずるという旨の引き継ぎもございまして、私、この問題に取り組んだような次第でございます。
  36. 田中一

    田中一君 少なくとも四十三メートル以上のものならいざ知らず、四十三メートルまでは建築基準法でその建造物を許可する。そういう事実は、数十年来の建築行政歴史の上において明らかなんです。どこの空中を通ろうと、少なくとも、これは私権というものがそこに設定されているわけです。それを障害物と見なければならぬというような送信とか受信ですかという装置を持っておったということになりますと、これはもう建造物の問題ではなくして、それより高い発信、受信ということですか、それにそういうものを設備するのは当然であります。だから、そういう見方をしますと、建築基準法の今日の施行というものを知らなかったということにならざるを得ないと思うのです。知らないから、三十一メートルプラス十二メートルという高さより以下の送信受信施設を持ったということになるのです。したがって、建造物云々ではなくして、そういう障害になるような施設しか考えておらなかったということの、電波監理局の責任怠慢ですね、無知、そのほうが大きいわけです。法律は厳存しておるのです。石井委員も言っておるように、数十年来その法律は厳存しておる。郵政大臣は、社会の情勢、社会の進展によってそれらのものが変更されるということもあり得ると思いますが、現に歴史的に数十年の間、それらのものが厳存しているという、この事実とういものはこれは否定できない。それが障害物と見なければならぬというような送信受信施設指導してつくっているというところに、あなた方の電波行政の欠陥があることに気づいておりますね。
  37. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 従来の法律が三十一メートルをこえるもの、三十一メートルを一応の基準といたしまして、その三十一メートルの上に、先生ただいま御指摘になりましたペントハウスその他八分の一の面積において十二メートルのものがあるという、これは、確認申請によりまして従来の建築ができたということは、まことにそのとおりでございます。そういうことで、電波法免許をもっと初めから全部高いところに置かなかったのは、電波行政が十分でなかったのではないかというお尋ねかと思うのでございますけれども、その点につきましては、確かに、障害は全然初めからないようにいたしますということを考えますならば、そういうふうにいたさなければなるまいことは、田中先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、四十メートルあるいは五十メートルというような高さに電波を設定いたしますことは、相当に巨額な投資を必要といたしますし、従来は、いままではそういうようなことがそうひんぴんと起こることなく来ておりましたので、高さ三十一メートルということを一応の目安といたしまして、それに、電波自身に多少ふくらみがございますので、それらを勘案いたしまして、現実には三十四、五メートル以上のところにアンテナが一番低くてもできていたというのが、いままでの実情であったかと思います。以上でございます。
  38. 田中一

    田中一君 建築基準法の、これは昭和二十五年でしたか、あなたがお幾つであったかわからないけれども、はっきりと施行令——これはあなた御承知と思うけれども、同僚の委員が御承知ないと思うから説明します。というのは、逓信委員会の委員の皆さん方は御承知とは思いますけれども、一応ここで読み上げてみます。  第二条には「(面積、高さ等の算定方法)」が書いてございます。そのうちの一号、二号、三号、四号、五号、六号、七号とありますが、その五号のロに「法第三十三条の場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートルまでは、当該建築物の高さに算入しない。」三十一メートルになっておるけれども、十二メートルまではその高さの制限には算入しないと書いてある。  ハとして、「むね飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。」、先ほど石井委員質問して、あなた方がそのとおりでございますという答弁と同じことがここに書いてあるわけです。  これは昭和二十五年です。あなたが役人になっていたかどうかわからないんですけれども、少なくとも、電波行政というものがこれ以後に突如として出たものではないと思うのです。知っておるはずです。たとえ、これ以後にできたものとしても、二十五年には、こういう施行令が出ているわけです。だから、率直に言ったらどうですか、これは気がつきませんでしたということでいいと思うのです。言ってごらんなさい、気がつきませんでしたと。気がついていれは必ず——三十一メートルプラス十二メートルというものを建造物として建築基準法上認めている、そういうものを空中に、どこへできるかわからないけれどもつくる権利があるのだ、むろん、これはそれ以上のものは許可しておりません。しかし、これは認められておるのだ、あるいは、その上に持つ旗ざお等はもっと高いものも認めております。だから、その場合には、この施行令を気がつきませんでしたと率直に言わざるを得ないじゃありませんか。三十一メートルじゃないんです。三十一メートルグラス十二メートルという、構築物は制限されながらも、私権として認められておるということなんでありますから、当然気がつかなかったということが、すなおな答弁じゃなかろうかと思うのです。これは宮川さん、あなた去年か就任したんだから、あなたを責めているんではないですよ。電波監理局長としての職責に対して申し上げておるわけですから、率直に認めたほうがいいんじゃないですか。お答え願います。
  39. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波監理局の過去の行政につきましての問題点につきまして、どういう形でそれをしていたかということは、形にあらわれたことで私申し上げるよりほかはないのでございますけれども、今後の問題につきましては、ただいまの先生の御指摘のように、高いところにアンテナを置き無線局を免許するということでやっていきたい、そういうふうに考えております。
  40. 田中一

    田中一君 大臣に伺いますが、いま私が宮川局長と話していることお聞きだと思いますが、少なくとも、いままで電波障害事件が八件あった。そのうち、三十五年に、三十一メートルの高さの建築物であり、かつまた十二メートルの塔や、読み上げたような施行令の部分の構築物があった、三十八年にまた金沢でそういう事件が起きたということになりますと、少なくとも、一方の法律は、その権利を憲法上の大まかなきめ方ではなくして、はっきりとわれわれの社会に生きて動いている法律でもって認めている権利、この権利を知らずじて発信するか受信するか、どういうことになるか知らぬけれども、それらの電波を流す高さがそれ以下であったということならば、これは当然電波行政の面に不十分なところがあったということにならざるを得ない。これが歴史的に数十年前から認められている権利であり、かつまた、新しい憲法になって建築基準法と形を変えて昭和二十五年にきめられているこの法律を認めるならば、当然いままで不十分であったことは認めなければならぬと思うんです。郵政大臣どうお考えになりますか。
  41. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 建築基準法によりまして従来長い間認められ、また守られてきたということにつきましては、あくまで同じ政府部内の行政官庁でありますから、どこの主管省の法律でありましょうとも、これは守っていかなくちゃならぬことは申すまでもないと思います。ただ、非常に詳細に規定されておりまするので、取り扱い者のほうにおいて、あるいはこれに完全に精通していなかった面があったということもあるかもしれませんけれども、しかしながら、基本的にはそうあってはならないのでありまして、あらゆる法制に十分通じて行政を行なっていくことは申すまでもないと存じます。したがって、ただいま局長のほうから説明いたしましたその例の場合においても、いずれも電波施設のほうが逃げて、そうして、この建築物を避けて通るというふうに措置をしたようでございます。これも当然であろうと思います。  それだけ申し上げればいいと思いますけれども、ただ、しいて弁護めいたことを申し上げるとすれば、この三十一メートルというのは基本の高さであり、それ以上の十二メートルというのは、床面積の八分の一ということになっておるようでありますから、そうしますと、妨害になる率が八分の一だということは一応考えられると思うのであります。したがって、おそらく、そういう障害の起こる場合が少ないから、しも障害の起こるような建築物ができた場合には、こちらが至急に逃げるようにするというような考えもあったのではなかろうかと、これは私の想像でございまするけれども、そんなふうに思っておりますが、あくまで既存の法規というものは、当然どこの官庁においても尊重していくという原則には、もとより異議はないわけでございます。
  42. 田中一

    田中一君 そこで、この問題は、一生懸命勉強したと思いますけれども、見落としたということですから、そういうことがあり得ると思いますから、その点は、いまの大臣の答弁でけっこうです。そうすると、いま提案されているこの法律というものは、多少変わってこなくちゃならぬと思うのです。これは住宅局長に伺いますが、けさも、建設省の住宅局の建築指導課長から、ゆうべ話がつきましたという耳打ちがあったのでございます。ゆうべ話がつきました。しかし、そんなこと、法律を提案しながら、ゆうべ話がついたから云々じゃ困るので、やはりわれわれは法文上明らかにそれを規定するのが当然であります。たとえば話のついた点、話のつかない点、私も、きのうは、無線通信部長が私の部屋にいたものですからいろいろ聞きました。また、きびすを返して三宅指導課長も来た。よく御懇談しておりますが、それらのこまかい点までも全部了解がついたという、きょう話を聞きましたが、了解がついたならば、了解がついたとおり法文の修正をなさい、これが正しい立法府の姿です。原則は、十二メートルというものは認めないで、あと省令か話し合いか何か知らぬけれども、そうしたもので了解するということは、国民は知りません。私は、こんないやな質問をしたくないんです。したくないんですが、国民はやはり、成立した法律によってそれを判断しなければならないものでありますから、当然いま提案されているこの法律案の修正が必要だと思います。これは当委員会の逓信委員会の方々に、委員長を含めてお願い申し上げます。すべて、法律は、解釈によって云々ということがたくさんございます。たとえば、憲法第九条に、明らかに戦力は持たないときめておりながら、自衛隊を持っておる。また一面、自衛隊を今度は国防省にして、ほんとうの軍隊にしようなんという動きが、与党の諸君の中にもたくさん出ておる。私どもは、こういうことは不安でなりません。うしろに何を隠しておるかわからぬ。こうなりますと、われわれの社会はいい社会になりませんし、いま提案されておるこの法律一つ条文にしても、これから日本が平和国家として栄えていく場合には、当然高層建築等が予想されるのです。ましてや、土地の少ない日本の領土、これが、たとえ住宅にいたしましても、平面的に伸びていったのじゃ困る。したがって、十階、十一階というような住宅も出ないとは限りません。その際に、三十一メートルということを厳としてここで押えているということは、これは法を行政官庁の行政面の解釈によって云々ということに印象づけられますから、非常に良心的な古池郵政大臣でありますから、おそらく、逓信委員会の皆さん方の修正案には同意なさると思うのです。この際、演説ぶつわけじゃございませんけれども、ひとつ逓信委員長のもとで善処を願いたいと思います。——委員長、これで終わったのではございません、まだ……。  そこで、昨日、話し合いがついたという話し合いをここで御披露願いたい。話し合いのついたという話し合いを披露していただきたい。そして、それを文書で当連合委員会に提出をしていただきたいのです。三十分や一時間待ちますから、その間に、その話し合いのついた条文をお出し願いたいと思います。委員長、これをひとつ要求願いたい。
  43. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  44. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩    ————・————    午後一時二十九分開会
  45. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信建設委員会連合審査会を再開いたします。  電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  午前中に田中委員より要求のありました資料が、ただいま出ておりますが、これでよろしいですか。
  46. 田中一

    田中一君 この説明をまずひとつしていただきたいと思います。
  47. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ちょっと読みながら御説明をいたしますが、法第百二条の三の第一項の規定によりまして、届け出義務を課することとなっておるのでございまするが、その届け出義務に関しまして、同条同項の規定に「郵政省令で定めるところにより、」というところがあるのでございます。その郵政省令において、届け出義務に関しまして、次のような措置をしようということに、政府といたしまして予定しているわけでございます。  すなわち、「法第百二条の三第一項に規定する建築物のうち次に掲げるものについては、同条同項の規定による届出を要しないものとすること。」、次に掲げるものと申しますものが、先ほど政府といたしまして答弁いたしました二点の内容を持つものでございまして、一は「建築物屋上部分又は屋上空出物(建築基準法施行令第二条第一項第五号のロ又はハに規定するものをいう。)」——この「ロ又はハ」と申しますのは、読みますと、「階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートルまでは、当該物の高さに算入しない。」と申す部分がロでございます。それからハといいますものは、「むね飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。」、そのロまたはハに該当する部分があることによりまして高層建築物等となる建築物——高層建築物等といいますのは、この電波法改正の百二条の三の第一項にその定義がございまして、第一号に「その最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる建築物その地の工作物(土地に定着する工作物の上部に建築される一又は二以上の工作物最上部にある工作物の最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる場合における当該各工作物のうち、それぞれその最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえるものを含む。以下「高層建築物等」という。)の新築」ということに相なっておりまして、読みかえまするならば、三十一メートルをこえる建築物という意味でございますが、高層建築物等となる建築物、これが先ほどの石井先生、田中先生の御質問にございました屋上部分または屋上に突出いたしました部分の問題でございます。  二といたしまして「建築基準法第六条第一項ただし書に規定する増築、改築又は移転に係る建築物」、これは先ほど両先生からも御質問がございました、建築基準法の第六条にただし書きがございまして、「防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内のものについては、この限りでない。」ということがございますので、それに該当いたしますものをさしているわけでございます。  以上の二項につきまして、これを届け出を要しないこととするということに、政府といたしましては意思の統一をしているわでございます。
  48. 田中一

    田中一君 御説明は承りました。しかし、この第百二条の三というのは一応届け出義務の条項であって、もしそれならば、明らかに除外するということにきめればいいのであって、現に建築基準法施行令は政令であり、かつ閣議決定であるのであります。これすら、いままで守られておらなかったという現状から見ると、やはり各関係大臣が閣議において正確にそれを認める、閣議決定ということのほうがよろしいと私は思う。したがって、私としては、いまの建設省と郵政省の間で合議の上、郵政省令で出そうというものに対しましては、不十分のように思う。したがって、これはいまの案文につきましては、案文といいますか、郵政省令の要綱は、建築省のほうではこれに対して、内容については同意をしているものですか、その内容について伺います。
  49. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) ただいまの省令の内容におきまして、建築物取り扱いの件につきましては、郵政省と合意をしております。
  50. 田中一

    田中一君 これは、内容については同意をしたということですか。
  51. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 郵政省令規定するということにつきましても、私たちのほうでは、合意をしております。
  52. 田中一

    田中一君 国民の負託を受けて、そこでいま論議している、審議している私としては、それに対しては同調できません。現に政令できめてあるものすら守られてない、というよりも無視されて現在のマイクロウエーブの高さというものが設定されているという現状においては、やはり基準法施行令と同じように、政令をもってこれを規定していただきたい。内容につきましては同意をいたしますが、私としては、委員長のほうに案を提案いたしますから、これをひとつ政府とも委員長から質疑をかわしていただいて、私ども、これに対する修正案の提出権はありませんから、委員長において善処されることを希望いたします。この案を提示いたします。
  53. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいま田中委員のほうから、電波法の一部を改正する法律案に対する修正意見要綱が出ております。それを朗読いたしますと、  第一 第百二条の三第一項の次に次の一項を加えること。2前項の工作物の高さの算定方法は、政令で定める。  第二 所要の整理を行なうこと こういう修正意見要綱が出ておりますが、逓信委員会においていずれ審議をいたす段階において、郵政省のほうではこれをどういうお取り扱いをなさいますか、お聞きしたいと思います。
  54. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 原案を提案した次第でございますが、しかしながら、先ほど来の審議の過程におきまして、いろいろと御検討の末、ただいま田中委員から、政令によって定めるべきであるという旨の修正意見が御提案になったように伺いました。これにつきましては、私といたしましては、ただいま即時に御返事を申し上げるということはできませんので、しばらく研究をさしていただきたいと存じます。そうして、できますならば、本法律案が付託されておりまする逓信委員会におきまして、今後の過程において、この点を十分御審議をいただきたい、御決定をいただきたいと、かように私は考えます。
  55. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 大臣から以上の答弁がありましたが、逓信委員会といたしましても、田中委員の意見を尊重して審議をいたすつもりでございます。それでよろしゅうございますか。
  56. 田中一

    田中一君 よろしゅうございます。  引き続き質疑をいたしたいと思いますが、委員長、よろしゅうございますか。
  57. 光村甚助

    委員長光村甚助君) どうぞ。
  58. 田中一

    田中一君 午前中に質疑をかわしました問題は、昨年建築基準法改正にならない以前の問題点についての質疑をかわしたんでありますが、これから昨年の建築基準法改正によるいわゆる俗に言ってる超高層、三十一メートターよりそれをこえる建築物に対する考え方に対して、質疑をいたしたいと思います。  この法律案の制定にあたりましては、いろいろ昨年の通常国会におきまして質疑をかわしましたが、私どもは、かかるいわゆる超高層建築物というものは、現在の日本の実情から言って、法の改正は時期尚早であるという見解を持っております。むろん、これは電波法並びにマイクロウエーブ障害となるというような観点からではございませんけれども、その際に、巷間伝えられる、大都市において、大都市に網をかけて、全区域にこれらの施行区域をきめようという考えが前提に立っておりましたが、過ぐる予算委員会の分科会におきましても、十分に成立後の法の施行にあたっては、実情を検討の上善処するように要望いたしました。これに対して河野建設大臣は、自分の意見を言っております。全区域に綱をかけるということでなくして、大体いまの段階では、東京都の二十三区内に、点としての部分的な指定をしたいという意向を明らかにしております。私は、電波法によるマイクロウエーブというのがわれわれの頭上の空間のどこを走っているかは存じません。しかし、これも秘密でないとするならば、これは当然国民に明示すべきである。ここにはこういうものが出ているということが明らかになれば、おのずから、今回のこの電波法の一部改正の成立による制約は受けると思いますが、事前に、現在考えておる超高層地点というものはどこにあるかという点を建設省から明確にしていただきたいんです。むろん、これは確認申請が出ない以上、的確に計画が実施されるものというものは見られませんけれども、少なくとも、技術的に見ていろいろな問題を含んでおる数十階の建築物に対する工事というものは、建設省のほうにも折衝はあろうと存じます。したがって、一応伝えられておるところの超高層の位置、規模等を、建設省のほうから、住宅局長から明確に説明を願いたいと思います。
  59. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 容積地区の指定につきましては、ただいま先生のお話のとおり、大臣の方針に従いまして目下検討いたしております。まだ具体的にどの地区を指定するかにつきましては、成案を得ておりません。  次に、お尋ねの、現在高層建築を建てる話が持ち上がっております地区は、東京について申し上げますと、われわれの聞いておりますのは、日本地区、丸の内地区、虎の門地区、新宿の副都心地区というところにつきまして、高層建築を建てたいという話のあることは聞いておりますが、いずれも詳細な具体的計画に基づいての話は、まだわれわれのほうは詳細に聞いておりません。
  60. 田中一

    田中一君 この電波法の一部改正を提案された法律では、届け出制というものは、二年ないし三年の時限が付されている。そこで、それらの予想される超高層建築に対しては、いつごろ始まっていつごろ完成するのか、いわゆるこの法律の適用される範囲内に現在あると考えているのか、あるいは、電波監理局のほうでは、いま説明された、予想され計画されているところの地区では、どういう障害があるか、両方から説明願いたいと思う。  まず第一に、いまかりに確認申請が出たといたしましても、これをはっきりと確認するには、おそらく、現在の時点で申請があったとしても、まあ半年や八カ月はかかると思う、確認するには。したがって、マイクロウエーブ障害になる点はいつごろになるのか、ひとつそれを技術的に伺いたい。  もう一つは、電波監理局のほうに、いま住宅局長が予想される地点をあげられたが、その区域マイクロウエーブ電波障害というものは起こるかどうかということを伺いたい。
  61. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 建築物の確認申請が出ましてから、確認をおろすまでの間におきましても、予想される超高層建築物につきましては、数カ月かかると思います。しかし、確認申請をする事前におきまして、関係方面とはすでにいろいろ打ち合わせはいたしておりますので、できる限りその事前において連絡をとることができるならば、確認申請を出す前に、すでに電波関係との調整を了することによりまして、建築工事に実際上支障なく、両者それぞれの立場を尊重しながら、両方でお互いに調整できる期間が十分とれると考えております。
  62. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま住宅局長のあげられました地区につきましては、日本橋、丸の内、虎の門、新宿というふうに承っているわけでありますが、、その地区におきまして通過している電波はございます。しかしながら、電波の高さが相当高い場合、また、できてきます建築物のある場所によりまして、非常に微妙で、それが現実に障害になるかならないかということの判定は、物が建ってみませんと、その通路の下に実際に建ってみませんと、その設計をよく拝見いたしませんとわからないのでございまするが、普通、電波通路としてはございますので、設計のしかたによりましては、そういう可能性が起こり得るというふうに考えざるを得ないと思います。
  63. 田中一

    田中一君 そんなものですかね。たとえば建築物の位置がきまり、それから設計がきまる、電波の流れはきまっても、建築してみなければわからないという程度の日本技術なんですか、その点どうなんです。
  64. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 建物が実際に建築されましてから判定すると申し上げたのじゃございませんので、その点、あるいは説明が不十分だったかもわかりませんのでございますが、実際に設計ができまして、そうして、なお詳しく御説明申し上げますならば、電波アンテナ受信アンテナとございますが、完全な伝搬を保障いたしますためには、その間に少しふくらみました空間を必要とするわけでございます。しかし、その空間に建物がごく一部にさわるというようなところには、別に電波障害にならないのでありまして、それをどの辺まで侵すかということは、使っております周波数にもよります。それから、その内容にも——内容と申しますのは通信内容でございますが、設備の性能でございますが、そういうようなものにもよりますので、その辺は具体的なものを待ちまして、十分に判断の上、判定いたしたい、そういうふうに考えております。
  65. 田中一

    田中一君 それから超高層ビルというのができ上がる地点というのをいま住宅局長が言ったように、確認申請が出る以前において折衝が始まるということを聞きます。これはそのとおりと思います。かつてこの法律審議の過程においても、東京都の確認申請を担当している建築指導課長から、自分にはその是非は判断できませんという答弁があり、かつまた、前田住宅局長も、建築基準法何条かによる建設大臣にその確認をお願いするという段階になるそうでありますが、その場合には、建設省もこれに対する確認をする力がないと言ったんじゃ、ことばが強過ぎるかどうかしらぬけれども、未経験の問題であるから、なかなかできがたい、その際には、学識経験者を集めて一つの機関をつくるかして、そこに技術的な検討をしてもらって是非をきめるという答弁をしております。学識経験者としてだれかというと、ちょうど、その際、幸いにその方面の研究をしている建設省の付属機関である建築研究所の所長の竹山博士が来ておりましたから、おそらく君は学識経験者の一人になるであろうから、君はその際どういう判断をするかという質問をしますと、自分はその判断ができません、建築材料、工法、その他がもっと進歩し、検討されてその判断ができるので、いまはできませんという答弁でありました。したがって、私は、この法律できめている二年ないし三年という間には、それらのものは実現しないんではないかというような予想を持っております。そこで、マイクロウェーブの電波というものがわれわれの上空のどこを通っているかということを、やはり国民に知らしめなければいけないと思うのですが、その措置はどういう方法でおとりになるつもりですか。
  66. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) このたびの法律施行されることに相なりますと、電波伝搬障害防止区域というものを指定いたしまして、それによりまして重要通信の確保をはかる必要上、その重要通信電波伝搬路の地上投影面に沿いまして、その中心線と見られる線の両側、それぞれ百メートル以内の区域電波伝搬障害防止区域といたしまして、これを指定いたしまして、公示することに相なるのでございます。しかしながら、これは法律としてそういうことに相なるわけでございまするけれども、ただいま先生のおっしゃいましたように、この電波がいまどういうところに通っているかということは、この重要通信以外の通信もあるわけでございまして、そういうようなものは、今後できる限りの方法を講じまして、これのある場所を、あるいは建設省を通す、あるいはその他の機関を通すことによりまして、これができる限り国民によく事前にわかっておるようにしていきたい、そういうふうに考えております。
  67. 田中一

    田中一君 三年ないし三年後のこれに対する何といいますか、障害除去の方針はどう考えておりますか。
  68. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ちょっと先生の御質問意味がとりにくかったのでございますが……。
  69. 田中一

    田中一君 ぼくも間違ったかもしらぬが、二年ないし三年後には、その制限は取ろうというのでしょう。二年ないし三年後には、いまのような届け出義務等は、というか、障害にならない技術的な何か方針をとろうということを言っているのでしょう。そうじゃないのですか。
  70. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この法律では、電波伝搬障害防止区域の指定されましたその地域に建ちますところの建物につきましては、なるべく早くその建築物の設計がどういう形になるか、少なくとも電波伝搬障害を与えるかどうかということを判定できるものを届け出をしていただきまして、それによりまして、もしそれが障害になるということが郵政省で判定いたしました場合には、建築主免許人との間において協議をしてもらうということでございます。そういうことによりまして、現実に建物が建ちまして電波伝搬に実際に障害を与えるという時点までの間には、できる限り電波のほうでそれに対する措置を講ずる、こういうことが精神でございます。
  71. 田中一

    田中一君 そうすると、どういう措置考えているのです、将来。たとえば五十階の建物ができ上がった。その場合に、その建物利用して障害を除くという方法をとろうとするのか、あるいは別に高いタワーをつくって、また受信、発信のタワーをつくって、ある限界はあるでしょうけれども措置をするということなのか、どちらをとろうとしておるのですか。
  72. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) その電波伝搬障害が起こりましたときに、これを……。
  73. 田中一

    田中一君 障害が起こったという場合を言っておるのじゃなくて、障害が起ころうとする建築物の確認申請があった場合に、これは永久にその場合には建物をつくっちゃいけないという規制をするのじゃなくて、建物をつくるのは自由なはずなんです。電波障害がなければいいのでしょう。だから、それはどういう方法をとって障害をなくすかということなんです。それは郵政省のほうの考えとして、どういう方法をとって障害を除去することなのかということを伺っておるわけなんです。
  74. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 確認申請を待ちませんで、それよりも早い機会届け出をしていただきまして、なるべく早く電波のほうを措置いたしたい、こういう考え方でございます。それによりまして、なるべく早い機会に、障害のおそれのあることがわかりました場合には、直ちに免許人建築主との間において協議いたしまして、ルートを変えるとか、アンテナのほうを上げるとか、あるいは、そういう建物の中に中継器を置かしてもらうとか、反射板をつけるとか、そういうことを両当事者の間で協議いたしまして、なるべく建築のほうにもよけいな負担のかからないよう、また、電波のほうといたしましても、重要通信の疎通が途絶いたしませんように、できる限りの措置をいたす、こういうことでございます。
  75. 田中一

    田中一君 そうすると、これは最後の質問ですが、五十階であろうと、八十階であろうと、許される建築物高層建築ができた場合に、それを制限しようという考えはない、電波のほうでその障害をのがれるような方途を講じよう、こう理解していいですか。
  76. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 電波のほうでのがれよう、こういうことでございますが、ただ、重要通信の疎通が途絶いたしますということは、公共福祉に非常に重大な関係がございますので、なるべく早い機会届け出をしていただきまして、それを判定いたしまして、両者の協議によって、実際上疎通がとまらないようにする。二年ないし三年たちました場合におきましては、その後に、建築のほうはもちろん建てられるわけでございます。もちろん、それまでの間におきましても、三十一メートルという、障害にならない高さのものは建てられるわけでございます。
  77. 田中一

    田中一君 その場合、協議ということばを使っておりますが、協議というのは、建築申請者のほうにも物質的な負担をさせるということなのですか。いわゆるマイクロウェーブの申請人のほうが、自分を守るための措置を自分の費用で行なう、こういうことなんですか、どっちなんです。
  78. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そこは建築主と両当事者との間の協議によるものと、協議によりまして、ある場合におきましては、無線免許人のほうが負担する場合もございましょうし、また、特に電波のほうで非常に早く除くということがあるような場合におきましては、話し合いでございますので、建築主のほうが、では自分の負担においてこれを変えようとかいうような、あるいは話も起こるかと思います。そこは両当事者の間の話し合いになるかと思います。
  79. 田中一

    田中一君 両当事者の話し合いがつかない場合には、どうなさいます。
  80. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 最初に届け出がございましてより二年、公衆通信におきましては三年後には、建築主建築をすることができるようになるわけでございます。
  81. 田中一

    田中一君 それを伺いたかったのですがね。結局、二年ないし三年たった後ならば、十分に、自由にできるという措置をしよう、こういうことなんですね。
  82. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) そのとおりでございます。
  83. 田中一

    田中一君 質問終わります。
  84. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑なければ、本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後二時四分散会