○国務大臣(
赤澤正道君) ただいまの井川
委員の御質問に
あわせまして、大体私からは
地震対策反省に基づく対策などにつきまして、まとめて申し上げたいと思います。一番最初衆議院の本会議場で
警察情報などをお伝えしておりました席から私すぐヘリコプターでもって
現地に参ったわけでございますが、わずかな滞在でございましたけれ
ども、大体
新潟地震の特徴
——特徴と申しますのは、御
承知のとおりに非常に地盤が軟弱でありまして
——のために地盤が
陥没して、いわゆる海抜ゼロメーター地帯というのが相当ございますので、そこの
被害が大きかった。県が直後にとりました
措置、これは私おおむね妥当なるものと考えます。何せ混乱の際でございますので、なかなか皆
あわてておりますから……。私東京から来たものですから、
被害民でもありませんし、おか目八目といいますか、少し整理してやりなさいということで、いろいろ対策をしぼってみたわけでありますが、九項目ぐらい実はこちらに
報告いたしましたけれ
ども、おおむね妥当、それ以上県としてもどうしようもありませんし、それからまた、参議院で御
報告いたしましたとおりに、緊急要望事項、中央に対してぜひこれだけはすぐやっていただきたいというもの、これも朝方にかけまして取りまとめて十点ばかり、これも新聞などに出ておりましたので、私といたしましては、そのときの対策は、まあこれ以上はどうにもしようもなかったという気持ちでこちらへ帰って御
報告をしたわけでございます。しかし、いろいろ落ちついて考えてみますと、やらなければならぬ問題が、私の所管につきましても多々あるわけでございまして、新聞では、どろぼうを見てなわをなうなどと言ってからかっておりますけれ
ども、例の
昭和電工の
事故以来、私もこういった化学の進歩に伴うオートメーション
工場、あるいは石油のコンビナートなどを
中心にいたしまして、いままでのような防火対策では、もうとても追っつかないというようなことから、実は私いろいろ要件を指示いたしまして、いわゆる防火対策の研究を始めたわけでございます。ただいま
消防庁の次長からるる
説明したようでございますが、井川
委員の御質問もそのことではなかったかと思われる次第です。やっぱり大規模な
化学工場、たとえば石油コンビナートに対する規制ですが、この個々の
工場に対しましても、今次の
事故にかんがみまして相当重大な規制を加える必要がある、こういうことが消防法
関係では漏れておるわけでございまするので、まあこういうコンビナートなどにつきましては、
タンクの容量、高さの制限を、現行法ではできておりませんけれ
ども、そういうものをやっぱり考えなければならない。
それから、ただいま次長が言っておりました
消火薬剤、これも行ってみたところ、まるでお話にならぬ
状態である。まあ東京からその薬品が来るのを、まるで干天の慈雨の
ごとく待ち望んでおる。まことに不都合千万な話です。事実その薬がなかったかというと、そうではないのでして、さすがに何がしかの薬品はあったけれ
ども、ああいう大きな
事故を予想しておりませんから、
工場としては怠っておったのではないか。これが単なる行政
指導で片づく問題でありません。やはり
消火薬剤の量を化学的に算定しまして、その保有義務を法制化する必要がある、こういうふうに考えます。
それから、日本は
地震国ですから、
タンクの耐
震度の検討、これもやはりもっと別の角度からやらなければならない。
それから、油が流れ出てそれが一面に燃えておりますので、
民家に類焼する危険がやっぱりあるわけでありまして、ですから、このためには防油堀と申しますか、コンクリートあるいは土手を築いて、
タンクがこわれた場合に漏れ出る油が一つの
地域に限られてしまうという形をつくりませんと、今回のように運河へ流れ出したものまで燃えてしまって、水の上だって火が一ばいということになりますと、どうにもなりませんので、こういうことにつきましても、やっぱり検討しなければならない。
また、なかなか土地が高価で手に入りませんが、やっぱり
工場の性質によっては、
付近に保有の空地というものも相当広げる
措置を講ずる。
また、
化学車の設置、ただいまのような危険物設置につきまして、消防用の設備としてこれは必ず設置させる。
それから保安要員、こういった
事故は当然起こるわけでございまするので、こういう緊急事態に対処するための保安要員というものにつきまして、やっぱり平素から
工場自体でも
消火訓練をするように
指導するなど、いろいろやらなければならぬ点があると思います。
それから、総合的な規制につきましては、やっぱり
化学車を
中心とする高度の装備、つまり化学消防専門という形での自衛消防隊というものを、やはり大規模のものには義務づけなければならぬということ。
それから、これはたいへん遠大な計画ですけれ
ども、都市計画などの際に、緑地帯というものを大きくつくる。大規模工業
地域の周辺には、やはり都市計画上緑地帯の設定というものは絶対に必要である、こういうふうに考えるわけです。
それから、危険物扱いの法規の一元化、ただいま次長が申しておりましたが、やはり御案内のとおりに、それぞれ取り締まりの法規が違いまするために、所管省も違うわけなんでん。ですから、単にこういう重油というだけでなくて、やっぱり同種の高圧
ガスあるいは火薬類の消防を主管するものは一元化しなければならぬのじゃないかというふうに私
どもは考えるわけでございます。つまり高圧
ガス以外の可然性
ガスについては新しい規制も考えていかなければならぬ。結局、
事故が起こったら、何省が所管している、査察しているといっても、消すのは
消防庁の消防
関係の責任になるわけでございまするので、やっぱり平素から査察の基準なんかを明確にいたしまするならば、何も通産省あるいはその他の各省をわずらわさなくても、
消防職員の知識でやり得ると思うのです。やはりこれを一元化していくということが私は大事ではないかと、かように考えるわけでございます。たとえば、例の原油であそこの
昭和石油がやられたわけです。あそこへ行ってみますと、精製過程でLPGなど出ております。LPGの
タンクもある、別に製品のガソリン・
タンクもある、こういうことになっておるのであります。原油は
消防庁が所管する、精製過料で出る高圧
ガスは通産省が所管するということになりましては、それは、行政上所管するということはけっこうだけれ
ども、やはりその危険を予防し、
爆発した場合にどういう
措置をどこがするかということにつきましては、やはり責任の所在が明確ではないのではないかという
感じを私は持つものですから、この際、こういったことも統一しなければならぬ。皆さん御案内のとおり、
消火せんがこわれてしまって、まるで普通の消防という概念であの火に立ち向かえなかった。そこで、やはり
地震などの場合には、また
新潟でも
飲料水に非常に困ったわけです。ですから、これは所在市町村で地下に貯水槽というものを必ずつくらせる。これは耐震設計をいたしまして、漏水防止の工法を研究した上で、なお、ろ過装置もつけて、
飲料水にも使える、消防にも使えるということも当然やらさなければならぬのではないかと考えておるわけでございます。その際、消防組織法
関係でも、私
どもは、いまのやり方では新しい時代に向かないと考えますので、こういったことにつきましては根本的な
措置を考えなければならぬ。まあどろぼうを見てなわをなうと言われるとそれまでですが、しかし、ほうっておいていいことではないと思いますので、私はこれにすぐ手をつける決意をいたしまして、いま
消防庁を
中心に、私もいろんな問題点を指示いたしまして、それを法律的にどう扱うかということについて検討をさしておる最中でございます。来週防災会議を招集することになりまして、初めて防災会議を開くことになっておりますので、それまでには大体の骨子というものをつくりまして、そしてこれをはかって、そうして次の国会には必ずこの消防法の改正というものをぜひ皆さんに提案をいたしまして御検討願いたい、かように思っておる次第でございます。
なお、ただいま
現地からお帰りになった方々から、激甚地指定というものを至急にやってくれと、これは
現地ではそういう気持ちになられるのはもっともだと思いますので、私ができる立場ではありませんから、すぐに防災会議の事務
局長である総務
長官に
電話をいたしまして、とにかく拙速という意味でも急いでやるべきであるということを非常に強く要求をしたわけでございます。
大体今度の
災害のあと始末のことを考えてみるわけですが、きょうも閣議で河野大臣も
報告をされました。まあ手ぎわよくいったほうだ、最近いろんな
災害が毎年毎年繰り返してあるけれ
ども、今回の
事故の緊急
措置というものは非常に手ぎわよくやっている、
自衛隊な
ども非常に目ざましく働いておるし、まあまあ打つべき手は打って今日まできている、しかし、本格的な復興になれば、いまの段階での話は別だけれ
ども、緊急
措置としてはやれるところまでやったという印象であるということを言われましたが、私もそういうふうに
感じとっておるわけです。しかし、閣議の席でも、どうせこういう
災害国だから、非常
災害対策本部は常設すべきではないかという御議論もありまして、これは次の防災会議では当然議題になると思いますが、やはり心がまえを平素しておきませんと、さあというときにまごつきますから、そのことにつきましては、私
どもも防災ということにつきましては、何がしかの経験を持っておりますから、十分意見を述べ、そして今後の対策というものについて検討したいと、かように考えております。
自治省としてやるべき財政面の
措置でございますけれ
ども、こういう
災害か起これば、市町村というものは何かえたいのしれない金というものを支出しなければならぬことは私
ども承知をいたしております。たとえば、たき出しをやるとか、あるいは町内の人たちが、働いた者に御苦労賃に酒の一ばいも出すということは、どこでもやっておるわけでございますので、目に見えぬ金がかかるわけです。そこで、何かそういった場合の
措置につきましては、実は私
どもとして苦慮をいたしまして、緊急の融資と申しますか、そういったとりあえずの資金に事欠かぬようにということは、実は事務当局でもいろいろ配慮いたしておりますが、そのほかに
罹災者の免税のことにつきましては、言うまでもなくできるだけ大幅に
地方税を減免する、新聞で八十万円などと言っておりましたが、しかし私
どもはそういうことでなくて、できるだけ
罹災者の方々の苦しみというものを軽めていくということを当然考えなきゃなりませんので、これはいま検討をさしておる次第でございます。それから交付税の繰り上げ交付であるとか、あるいは特別交付税の時期になりまして特に考慮するなどということは、これは当然のことでございまするので、こういう
措置も
あわせてやっておりまするし、その他起債面だとかあらゆる面についてこういう罹災地の県並びに市町村につきましては、それぞれ十分配慮していく、かように考えておる次第でございます。
この間、私参りましたのは、何ぶん三人乗りのヘリコプターで、しかも三時間もかかるわけですから、向こうへ着いたと思ったらすぐ帰ってきて、参議院の本会議で十時半から
報告せいということでございました。実際、私は
新潟の
現地はずっとひどいところだけは見て回りましたし、何せ夜危険をおかして入って、朝早くたったわけですから、多少御
報告いたしましたのに漏れもあったかと思います。しかしながら、そのときは緊急やむを得なかったわけでございますので、お許しをお願いいたしたいと思ういますが、しかし、自後の
措置につきましては、こっちにありましても常に罹災地の面に思いをはせまして、十分なことをしなきゃならぬと考えて善処しつつあるわけでございます。ただ、
新潟に限られておって、ほかの
秋田とかその
付近は、私もこの目で見たわけではございませんし、
あわせて
警察庁や
消防庁の
報告というものを皆さんにお伝えするにとどめたわけでございまするけれ
ども、
先ほど申しましたように、まあとりあえずのところは着々としていろんな
措置が行なわれておるということだけは御
報告させていただきます。