運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-04 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月四日(木曜日)    午前十時十八分開会   —————————————   委員の異動  六月二日   辞任      補欠選任    占部 秀男君  永岡 光治君  六月三日   辞任      補欠選任    永岡 光治君  光村 甚助君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            熊谷太三郎君            沢田 一精君            館  哲二君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            光村 甚助君            辻  武寿君            市川 房枝君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    自治省行政局行    政課長     倉橋 義長君    自治省財政局交    付税課長    山本  悟君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方自治法等の一部を改正する法律案改正する法律案を議題とし、前回に続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言を願います。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 最後段階ですが、二、三お尋ねをいたします。  一つは、基本的な問題として、一体東京都における特別区、この区の性格というものをどのようにお考えになり、あるいは将来どのようなものにしていくというふうにお考えになっておられるか。この点について少しお聞きをしておきたいと思うのであります。というのは、いろいろ今回の法改正によって都から区へ相当量事務が移譲される、だんだんこういうことになってきますと、区というものが単なる行政区でなしに、自治区としての性格をだんだん強めていくようになっておると思うのでありますが、したがって、お聞きしましたように、一体現在の区というもの、あるいは将来の区というものをどのように考え、どういう方向考えたらいいかということが、私きわめて大事なことになってくると思うのでありますので、その点を最初にまずお聞きしたいと思います。
  4. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 特別区の性格につきましては、御承知のように、自治区とすべきか、あるいは行政区とすべきかというこうにつきまして、戦前より種々論議のあったところでございます。現行法におきましては、自治区ではあるけれども普通の市町村とは違った自治権制限を受けた、いわゆる制限自治区であるという規定の仕方をいたしておるわけでございます。今回の改正にあたりましても、制限自治区としての特別区の性格につきましては、そのままこれを維持していくという考え方に立っております。と申しますのは、特別区の実態を見ますというと、二十三区全体が一つ大都市社会としての実体を持っておりまして、その大都市社会の中の内部的な、部分的な団体であるという性格を強く持っておるわけでございます。しかし、それであるから単なる行政区にするということにつきましては、これまでの沿革から考えましても、自治行政——十分民意を反映しながら住民批判と監視のもとに行政を行なっていくという地方自治基本考え方からいたしましても、行政区とすることには賛成しがたい。さりとて、いま申したような理由から、市町村と同様な完全な自治区にするということも適切でないということで、やはり従来どおりの制限自治区という性格をそのまま維持をしていくべきであるという考え方に立っておるわけでございます。しかしながら、その制限自治区にいたしましても、それではどの程度自治権を与えていくかということになりますと、これまでの沿革に徴しましても、いろいろその時期時期によりまして考え方に変遷があるわけでございますが、今回の改正にあたりましては、制限自治区ではあるけれども、できるだけ普通の市に近づけてまいりたい、特別区で処理のできますもので通常の市の事務となっておりますものは、なるべく特別区の責任で処理させるようにしてまいりたい。しかしながら、二十三区通じて一体的に処理しなければならないものも相当あるわけでございますから、そういうものにつきましては、普通の市と違った制限を受けるけれども、そういうものを除きましたものにつきましては、できるだけ普通の市に近づけてまいりたいという考え方をとっておるわけでございます。今後のいき方といたしましても、制限自治区という性格はそのまま維持をしながら、しかし、その与えられる自治権範囲というものは、可能な限り普通の市に近づけてまいるという考え方が正しいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあさっきもちょっと申し上げましたが、今回のこの地方自治法改正によって、相当事務というものが区の責任として処理されなければならないようになってきている。少なくともそういうふうな段階になってきますと、この区の持つ事務に対する責任なり、あるいは区民のいろいろな要望、こういうものからして、できるだけ自治体としての歩み方をしていかなければならないのじゃないかと、こう私、はなはだ抽象的な言い方でありますけれども、考えるわけなんですが、ただお話のように、だからといって、東京都のいまの二十三区を一つの大きな区域として見た場合のこの都市的な性格からいっても、完全にその特別区が自治体として、ほんとうの意味における自主的な運営、これだけにゆだねていいかというと、やっぱり私問題もあると思うのでありますが、しかし、その場合のいわゆる制限自治と言われるその制限というものは、できるだけこれはひとつ範囲の狭いものにしていかなければならぬじゃないだろうかと、こういうふうに思うのであります。特にこの場合に考えなければならぬことは、これはせんだっての委員会において、占部委員からもいろいろお尋ねがあったのでありますが、現在もそうでありますし、将来もできるだけ普通の市の持つああいうものに近づけていきたいと、こういう点からいたしましても、あるいは事務量相当ふえて、住民の身近なものについては区が責任を持ってやるのだと、こういうふうなものになってきますと、やっぱり現在の区長のあり方というものが私は非常に大きな問題になってくると思うのであります。そういう面において、区長選出のいまのような形、はたしてこれでいいものかどうか。できるだけ自治体にしていく、民意を反映をさせ、あるいは住民の総意とあるいは責任においてやっていくという方向をとるとし、さらにまた、実際的にも事務の面でそういうふうになってきておるとすれば、やっぱりこの段階では、私は区長選任方法について考えなければならぬというふうに思うのですが、これは先日の、いま申しましたように、占部委員質問ともダブリますけれども、あらためて考え方を聞かせてもらいたいと思います。
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 特別区の長の選任方法につきましては、御承知のように地方自治法制定当初におきましては、公選でございましたものが、二十七年の改正におきまして現行のように改正をされたわけでございます。その当時の改正理由を記録によって調べてみますというと、二十三区を通じての行政の一体的な運営というものを確保していくということが主たる理由に述べられておったようでございます。そういうような経緯もございましたので、この区長選任方法を改めるにつきましては、政府といたしましては非常に慎重な態度をとってまいっておるわけでございます。そこで地方制度調査会に、この問題も含めまして、東京制度に関する改正につきまして諮問をいたしておった状況でございます。地方制度調査会の御審議の過税におきましても、区長選任方法につきまして、現行方式につきましてはいろいろな弊害があるということは、ほとんど委員の各位が異口同音に述べられておりました。しかしながら、現行方式をそれじゃどういうふうに改正をしたらいいかということにつきましては、区長公選にすべきであるという御意見と、知事区議会同意を得て任命をするという方式に改めるべきだという御意見と、両々ございまして、地方制度調査会といたしましては、先日大臣からも御答弁のございましたように、この問題につきましては、事務移譲後の状況を見て、なお今後さらに検討するということで、今回は選任方法には触れないということに答申が出されたわけでございます。政府といたしましても、調査会答申を尊重をして、今回の御提案をいたしたわけでございまして、今回の法案にはその点につきましては、したがいまして触れていないわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、現行方式が最善だとは、先刻申しましたとおりに、思っておりませんので、この選任方法をどう改めたらいいかということにつきましては、引き続き地方制度調査会の御審議をいただきまして善処をしてまいりたい、さような考え方をただいまとっておるわけでございます。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 この問題、非常に私は大事な問題だと思うし、いまお話しのように、いろいろ地方制度調査会等においても検討され、必ずしも意見の一致を見ておるわけでございません。また、あなた方も十分その検討をしよう、こう言うのでありますが、やっぱ方向としては、区長公選というものに踏み切るべき段階ではないだろうか、こう思うのですがね。まあ時間がありませんから、あまり考え方のいろんなことについて申し上げませんが、私は、やっぱり特別区が制限されておる自治体であるとはいっても、もう事実上事務の面おいても、特に今回の法改正によって、もうほとんどが普通の市で持たなければならない仕事相当部分を、今回の法改正によって持つことになると思うのでありますし、あるいは現在の区の規模なりあり方なり、いろいろこれは問題の点がないわけじゃありませんけれども、しかし、やっぱり方向としては、自治体としての特別区の性格というものは、はっきり出ておるのでありますから、したがって、いわばそれの中心的な柱ともいうべき区長選任問題を、そのままのかっこうにしてはおけない、こういうふうに思うのですがね。私はこういうことに対して、少し自治省は、憶病じゃないかと思うのですがね。少し言い方おかしいのですが、どうです。これはまあいろいろ単純に割り切っていけないというような要素もなくはないと思うのです。しかし、それは外でのいろいろな論議の際に出てくる問題であって、やはり筋としてのあなた方の考えを固める際には、もっとこの問題について勇敢であってほしいと思うのですが、その点どうです。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 決して憶病であるわけではございませんけれども、問題が非常にむずかしい問題でございまして、先ほども申しましたように、地方制度調査会におきましても両論あり、しかも地方制度調査会におきしては、どちらかと申しますと、むしろ知事区議会同意を得て任命するという御意見のほうがやや多かったような状況でございます。そういうふうなことで、自治省だけではございませんで、一般の世論なり、識者の間にも両論あるむずかしい問題でございまするので、なお地方制度調査会の御審議をいただいて、慎重に検討してまいりたい、かような考え方をとっておる次第でございます。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ都民といいますか、あるいは区民といいますか、いまは特別区の問題ですから区民と申し上げましょうか、これは、やはりいまのような選出方法でなしに、はっきり公選によるべきである、こういう考え方が非常に強いと思うのですね。東京都の場合、都民あるいは区民が、何か自治意識が薄いとかなんとかということも一つ理由にあげて、この公選問題に踏み切れない一つ理由としておる向きもないわけではありませんけれども、確かにそういう面もあるかもしれませんが、しかし、少なくともいまのこの特別区というものを考え自分たちのいわば自治権の確立というような点からいたしまして、区長公選が筋なんだ、ぜひそうしなければならぬのだ、こういう声が非常に私は強いと思うのです。各区長選挙と申しますか、区長選出の問題が出るたびに、そういう声が非常に大きくなって、区長公選への動き、あるいはその推進ということの運動が非常に広まりつつあると思うのであります。まあこの問題を、いまとことんまで話をしておってもしようがないと思いますが、さっきも申し上げましたように、段階としては、私は、今回のこういう法改正による大幅な事務移譲というものがあるこういう段階でこそ、そういう区長公選というはっきりした方向を出すべきであろうと思いますが……。まあ私最後意見あるいは要望というようなことになってしまいましたが、ひとつそういうことを申し上げておきたいと思います。  何か局長に対して内閣委員会のほうでも出席を求められておるようでありますから、あとの問題を簡単にやりますが、一つは、今度の事務移譲に伴っての区の財政の問題であります。せんだって三十九年度の予算から今後どうなるのかということを拾えないのかということでお願いをしたのだが、そう簡単にはできないというお話でありますが、したがって、お尋ねすることも数字的なことに触れないで一般的な問題として聞きしますが、この中で、今度の改正によって税なんかも相当区に移譲されるということでありますが、このいただいております資料の中からだけ見まして、事務移譲に伴って増加する経費、それから反対に増加する財源、こういうものですね、こういうことだけで、これで一体今後区において必要とされるいわゆる財政需要、そういうものを十分まかなっていけるのかどうか、こういう問題が私一つあると思うのでありますが、さっきも言いましたように、これは数字でこまかく、これはどうだ、これはどうだと言っているひまはありませんので、そういう資料もまだ示されておりませんから、まあ一般論としてのそれと、それからもう一つは、その問題と切り離されない財政調整の問題ですね、あなた方の現在での見通し、それをひとつお聞きしたいと思うのです。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今回の改正によりまして、特別区の財政需要領が二十三区の合計で約二百六十二億円程度増加する見通し考えております。もっとも衆議院清掃関係につきまして御修正がございましたので、その分はこれから差し引かなければならないと考えております。で、所要財源につきましては、特別区税の増加額が約二十九億円、都から交付される交付金の増が約百六十九億円、国庫支出金及び都女出金の増が四十二億円、手数料その他の収入の増が約二十二億円、こういうふうなことに一応予定をいたしておるわけでございますが、先ほど申しました御修正関係で、若干移動があろうかと思います。ただ、今回の考え方といたしましては、従来特別区相互間におきまして財政力が非常にアンバランスでございましたために、従来の税制によりまするというと、財政力の大きい区におきましては納付金を都に出しておる、逆にまた、財政力の小さい特別区に対しましては、都から交付金を出しておるということになっておりまして、三十八年度におきましては、十一区が納付金を都に出すことになっております。それから、逆に都から交付金を受けますものが十二区ということになっております。そこで、今回の改正によりまして、特別区の事務の上におきましても、財源の上におきましても、できるだけ自主性を強めてまいりたい、かような考え方をとりましたので、特別区から都に納付金をするという区は、できることならばやめてしまいたいということで検討をいたしたわけでございます。さような考え方に立ちまして、なるべく特別区の自主財源を付与する、しかし同時に、特別区から都に納付金を出すというような区を少なくするということを基本考え方といたしまして、今回御提案申し上げているような税制改正を行なうことにいしたわけでございます。今後の問題といたしましては、特別区間財政力アンバランスは、これはだんだんとむしろ強まる傾向にあろうと思いまするので、その辺のことは特別区の規模あるいは区域等とも考えまして、今後検討をする必要がある問題ではなかろうかとは思いまするが、さしあたり現状におきまして、ただいま申しましたような方針で今回の御提案をいたした次第でございます。
  11. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは局長のほうでしょうか、あるいは財政のほうでしょうか。都と区のいわゆる財政調整のこの仕組みを、もう少しお聞したいのですがね。まあ総括的には、いま局長お話しになったように、区から納付金として、あるいは都からの交付金としてやっておるようでありますが、もっと具体的なやり方仕組みというようなもの、これをひとつ——まあ具体的といっても、あまりまた、いまここでこまいことまでやっておられないと思うのですが——それをお聞きしたいと思うのです。
  12. 山本悟

    説明員山本悟君) ただいま御質問の都と区の間の財政問題でございますが、従来のやり力といたしましては、その中心になりますのは、御承知財政調整制度でございます。従来は、地方自治法及び地方自治法施行令規定によりまして、具体的に都の条例の定めるところによりまして、毎年度、特別区が計上する費用に基づきまして、各特別区につきまして財政需要額財政収入額計算をいたしまして、需要額収入額をこえる区に対しましては、超過額を補てんするように交付金を出し、また収入額需要額を超過する団体からは、その差額納付させるというような制度になっていたわけでございます。その際に、需要額あるいは収入額計算を、都の条例に従ってやっていたわけでございますが、基本的には、平衡交付金の当時からある制度でございますので、その平衡交付金に準じたような考え方がとられているわけでございます。ただ、具体的には、都の条例の定め方は、平衡交付金なりあるいは現行の国の場合で申します地方交付税と多少違っておりまして、財政需要計算におきましても、まあ交付税あるいは平衡交付金と同じようなかっこう測定単位を使って計算いたします部分と、建設事業費等につきましては具体的な事業費そのものをつかまえまして、それを追加需要額というようなことで、各区ごと計算をして加算をするというようなやり方をいたしておりました。また、収入額計算におきましては、それぞれ区税につきましての実績等をもとにして推定をいたしているわけでございますが、その際、御承知のとおり平衡交付金なりあるいは交付税でございますと、基準税率をかけておりまして、これが昨年度までは、国の場合であれば七〇%、今年度から七五%になったわけでございますが、都区調整の場合には九五%という基準税率を置いておるというようなかっこうでいたしていたわけでございます。したがいまして、基本的に大体平衡交付金的な考え方、また総額のきめ方におきましても、交付税と申しますよりも、平衡交付金のように、毎年毎年そういうかっこうできめていきまして、どれだけ納付され、どれだけ交付しなきゃならないか、で、その差額予算に計上するというやり方をやっていたものでございます。まあその差額となりますと、三十七年度は、約七百億弱でございますが、交付するような、都として持ち出しになっていたようでございますが、三十八年度は収支とんとん納付される額と交付される額が同じである。都としては特別に持ち出しなしというような計算が具体的にはとられていたようでございます。大体従来のやり方は、以上申し上げましたようなかっこうで、各区間財政調整を主としてはかっていたというようなわけでございます。
  13. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方が見て、いま御説明のあったやり力を都でとっておるというのでありますが、これがいろいろな区の仕事に必要な実体のいわゆる財政需要というもののはじき方でいいのかどうか。こういう問題どうですか。そういう点まで御検討なさったことでございますか。
  14. 山本悟

    説明員山本悟君) 条例で都がきめていくことでございますが、やはりこういった制度改正等の場合には、将来どうするべきかという点で、われわれといたしましても検討いたしたことでございます。やはり通常市町村に対しましては、現在の交付税制度を通じまして、いろいろわれわれとしてもやっているわけでございます。それとの対比等におきましてどうだろうかというような見方を検討したわけでございます。一つには、需要額計算というのが非常に実績的になっておるのでございます。というのは、先ほど申し上げましたように、追加需要額といったようなやり方で、この区にこういう施設をやるということを都で査定をしてきめて、その必要額プラスをするというようなかっこうに、需要計算も一部はなっておる。人件費等につきましても、いわゆる現員現給によってプラスといいますか、需要額計算されておるというような点があるわけでございます。それから収入計算におきましても、やはり基準税率が九五%であるというようなことでございまして、そういったような点、従来の特別区というものの性格なり事務なりというものとの関連があったことと存じますが、今回の改正のように、税の面におきましても自主性が強まるというような場合には、財政面におきましてもそういう方向自主性をもっと持たすような方向で将来考えてはどうだろうかというような感じも、われわれとしてはいたしたわけでございます。そういう意味で、今回の改正案によりますと、こういった点も、あるいは交付税のように総額といいうものが一定税目にリンクするということも考えられるのじゃないかというような批判もあるわけでございまして、それからも、都のほうとも今後とも十分に相談して、適切な制度にいたしてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  15. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回の改正で、地方税関係のそれもあるわけなんでありますが、今度区に移す税が載っておりますが、区が一つの市としての性格を持つように、さっきみたいに、いわゆる完全な自治体というわけじゃございませんけれども、やはりできるだけそういうようにしていきたいという考え方、あるいは実際の事務のこなす面においても、だんだんそういうふうになっていくという場合に、必ずしもいまの税制は、たとえば府県税なりあるいは市町村税、これが東京実態とはマッチしない面もあると思うのでありますが、考え方としては、原則としては、いわゆる市町村税に当たるものは、区に全部一たんおろす、こういうことの中から調整の必要な問題、これは相当あると思いますから、調整を行なっていく、こういうことをたてまえとすべきじゃないだろうか、こう思うのですが、今回の改正案では、必ずしもいま言ったようなことにはなっておらぬですね。市町村民税として当然特に大きな柱ともいうべきものが都のほうに残っておる、こういう問題がありますね。ですからこういう点、私はちょっと考え方としてはおかしいのじゃないか。市税なら市税あるいは府県税なら府県税、これはまず私が先ほど申し上げましたようなことで位置づけをした上で、必要な財政調整をすべきである、こういうふうに私結論的には申し上げておるわけなんでありますが、これに対してどうです、お考えは。
  16. 山本悟

    説明員山本悟君) 結局、特別区の性格をどの程度通常の市と同様に考えるかということがやはり基本的な問題になるのだろうと思いますが、従来からございましたように、財政調整の結果、納付区は納付制度というものをつくるというような状況のもとにおきましては、納付区の額が多くなり、かつ納付区が多くなるということは、非常に具体的にはむずかしい問題が起こってきたわけでございます。都と各区間、あるいは区相互間におきまして、いろいろ納付をめぐりまして問題が多かったわけでございまして、今回の財政的な改正におきましては、なるべくは納付というものが少なくなるように、あるいはなくなるようにというような考え方基本にあったわけでございます。この点、衆議院修正前の案によりますれば、先ほど行政局長からお答え申し上げましたように、納付区はないというような見込みが一応立てられていたわけでございまして、その修正の結果は、数区は納付区が出るようなかっこうになると思いますが、しかし、それにいたしましても、従来の納付の数十億という金額に比べれば、わずか数億という程度の納付額であろうというようなことでありまして、都と区あるいは区相互間の納付金あるいは交付金をめぐります争いというものも、やはり非常に問題があったわけでございまして、この際は、そういうような点も是正をしたいという案になったわけでございます。基本的に市税であるものはすべて特別区にまずおろして、その上で必要な調整をやれということも一つのお考え方であろうと存じますが、特別区の性格自体が、完全な市と同様であるというぐあいに完全に割り切れているわけでもございませんので、そういった意味で争いも避け、なるべくそういった混乱のないような制度ということも考え合わせまして、今回のような改正案考えられたものと存じているわけでございます。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、やはり考え方としてさっき私が申し上げたような考え方基本に持つべきではないだろうか。でないと、自治区だとかなんとかという、あるいはできるだけ特別区というものをそういうものに持っていきたいとかといっても、財政仕組みの中でまた別扱いをされている。さっきも言ったように、いまの地方税のあり方が、都道府県の税とあるいは市町村の税というものが、東京都のこういう都と区の関係にこれは必ずしもマッチしておらないことは私もわかりますが、しかし、だからといって、私いまのようなやり方というのは、今度事務移譲によってこれくらいの経費が多く必要になる、いまの市町村税のうちこうこういうようなものを拾っていけばそのくらいになるのじゃないか、必要額を大体満たすのじゃないか、こういうことが、どうも先になっているのじゃないかと思うのですね。これは私のかってな推測かもしれませんが、何かそういうふうに、このいまの地方税法の改正からして、それからその事務移譲に伴う所要財源というような点からして、そういうふうにまあ思うのであります。それがたまたまお話のあったように、三十九年度においては、あまり納金がないようになるのじゃないか、こういうふうなことに通じていっていると思うのですがね。調整は、私が何べんも言いますように、東京都と区の場合には私は必要だと思うし、特に二十三区相互の関係を見てみますと、規模においても、財政の税収入等の面からいっても、いろいろなアンバランスがありますから、これをできるだけやはり——しかし区における事務に必要な財源だけは見てやるというたてまえに立てば、当然私は調整ということが必要だと思いますが、その必要な調整というものは、さっきも言ったように、原則としてはこうなんだ。この上に立っての調整だ、こういうふうに私はならなければならぬと思うのですがね。その点、あらためてどなたでもよろしゅうございますが……。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 鈴木先生のおっしゃいますことは、私どもも同感でございます。それで考え方の筋道といたしましては、都でやります事務につきましては都税でまかなう。特別区でやります事務につきましては特別区税でまかなうということを、できるだけ貫きたい。したがいまして、他の市町村におきまして市町村税とされておりますものは特別区税とする。他の府県におきまして府県税とされておりますものは都税とするという原則を、なるべく貫いてまいりたいということを基本にいたしたわけでございます。したがいまして、従来個人の道府県民税に相当するものが、これは特別区で区税とされておりましたが、これは改正後は都税に持ってまいりましたし、それから市町村たばこ消費税、電気ガス税、鉱産税につきましては従来都税とされておりましたものを、これは他の市町村と同様に特別区税ということに持ってまいることにいたしたわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、特別区相互間のアンバランスが非常にはなはだしいものでございまするので、そこで一般市町村の場合と違いまして調整財源をより多く都に留保しておく必要があるということになったわけでございまして、しかもその調整財源として何を選ぶかということにつきましては、各特別区間アンバランスの特に大きい原因をなしております法人関係市町村民税でございますとか、あるいは固定資産税というものを取り上げたわけでございます。かたがた先ほど来申し上げておりますような納付金をする区があるということは、これは財政自主性を強めてまいろうという考え方からいたしますと、一たん自分が徴収したものを、ゆえなくしぼり上げられるということは、いかにもこれは不自然でございますので、そういうものはできるだけなくすという配慮を加えたわけでございまして、結果から見ますというと、御指摘のように、どうも数字上のつじつまを合わせるためにやったようにあるいはお考えになられるかもしれませんが、考え方の筋道といたしましては、鈴木委員の仰せられるような筋道で考えてまいった次第でございます。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 確かにお話のように納付金があるということもこれはおかしなことだと思うし、区民からすれば、やはり相当不満だろうと思うのですね。できるだけそういうものがなくなることがやはり望ましいと思うのでありますが、しかし、いまの税の仕組みからいって、地方税の仕組みからいって、また東京都のこういう実態からして、これはやっぱりある程度出るのはやむを得ませんね、税制そのものからいって。ですから、確かに考え方としては、納付金のあることは好ましくないし、そういう点を強めてだけ都区の税源の配分を考えていったのでは、私はちょっとまずいものになってくるのじゃないだろうか、こう思うのです。一方また、調整財源が必要だ、都においてはこれも確かに現実の区の税収等からいたしますと、出てくるわけなんでありますが、しかし、私がさっきも言ったように、繰り返すことになりますが、一つ制限はあるとはいいながら、自治体としてやっていかなければならぬし、やっていくべきだというこういういまの特別区、それと都の関係の税財源のあり方、配分ということからいたしますと、さっき私が申し上げたようなことが正しくて、それをやっぱり中心に立てていかなければならぬのじゃないだろうかと、なお私は考えるわけなんであります。これは三十九年度どういうふうになるのか。それからこの事務移譲が完全に行なわれ、四十年度からどのようになるのか、これは現在のところは私ども数字的にはつかめませんけれども、これはひとつやはり基本的な問題として考え——単に考えるだけでなしに、東京都のそれとも十分話し合いをして善処していくべきではないかと思うのでありますが、その点どうでしょう。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘になっております点は、確かに都区間財政問題を考えます場合の大きなポイントでございます。私どもも先生のおっしゃいますようなことでいろいろ検討いたしました結果、御提案申し上げておるようなことが現段階におきましては最善の案であるということにいたした次第でございますが、今後事務移譲後の実情もさらにしさいに検討いたしまして、将来また改める必要がございますれば、あらためて御審議をお願いするように十分検討いたしてまいりたいと思います。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 この問題でもう一言。いま申し上げましたように事務移譲が行なわれていくのは四十年度からでございますから、いわばもう一年あるわけでございますね、ひとつこの一年を、こういう問題に、いまの財源調整なりあるいは区の税あるいは都の税含めまして、いわゆる税財源全体を含めまして、移譲後の事務量あるいは必要な経費、こういうものも当然大きな柱となって考えられなければならないと思いますが、あわせてひとつ十分御検討すべき問題だと思いますから、ぜひ局長がお答えになったように検討して、ここでだけでしょっちゅう言う検討検討でなしに、私は大事な問題だと思うので、あなた方これは非常にいわば自治体のことでございますから、いろいろ困難ないろいろ条件もあるだろうと思いますけれども、しかし、そういう問題は私はやっぱりこのままにしてはおけないと思いますので、特にまたこういうような税の改正なんかは、いわば法律としてやれるのでありますから、こういう面で十分ひとつ御検討いただいて、四十年度からは私の考え方で、自分で言うのはおかしいのですが、もっとすっきりした、さっき申しましたようなことでやっていけるようにやっていただきたいということを、ひとつ要望しておきたいと思います。  それから今度の法改正一つ気になることがあるのですが、何か自治省が、都区のことについて、親切な考え方から出たことかもしれませんが、他の自治体に対するそれよりも、さらに自治大臣として、区の問題等について、あるいは区と都の関係等の問題について関与し過ぎるのじゃないかというような感じがするのですが、二百八十一条あるいは二百八十二条、こういうもののいまの改正規定の中に、私がいま言ったように、「都は、前項の条例に基づいて必要な措置を講じたときは、政令の定めるところにより、当該措置を自治大臣に報告しなければならない。」、「自治大臣は、必要があると認めるときは、第二項に規定する条例又は前項に規定する措置について必要な助言又は勧告をすることができる。」と、特にこういうふうなことをする必要があるのですか、一体。この点どうです。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま御指摘になりました条項を特に挿入することにいたそうといたしておりますのは、実は先ほどお尋ねになりました都区間財政調整の問題に関連をいたしておるわけでございまして、率直に申しますと、従来都と特別区の間におきましては、事務につきましても、あるいは財源につきましても、お互いに取り合いといいますと少し語弊がございまするが、そういう感情が従来長くあったわけでございます。今回は、都区双方が協調的な考え方でこの改正を期待をされておるわけでございますが、ただ、具体の財政需要額をどういうふうに算定をするか、あるいは特別区への交付金総額をどういう方法で算定をするかというようなことにつきまして、都が条例調整上必要な措置を講ずることになるわけでございまするが、その条例につきまして、自治大臣が、都区双方の公正な、また円滑な行政運営ができますように、もし必要がございますれば助言、勧告ができるようにいたしたい、またそうしてほしいという要望関係の地方公共団体からございましたので、この規定をあえて入れることにいたしたわけでございまして、この規定によりまして、他の地方公共団体に対する以上に、いろいろな関与をいたそうというつもりはないわけでございます。この「政令の定めるところにより、」というふうにいたしておりますのは、いま申したような事項を政令で限定をいたしたいという考え方でございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ確かに現在までの都と区の間におけるいろいろな問題、特に財政の問題等について、さっきも質問の中にちょっと触れましたが、交付金をこんなに出すのはけしからぬとか、いろいろな問題が確かにあったのでございますね。ですから、そういうものをあまりトラブルが起こらないようにやるという、そういうことについては、そういう念願については、私も同様の考え方を持っておるわけなんでありますが、だからといって、いろいろな条例をつくり、条例に基づいて措置をした事柄について、政令で定めるところによって——政令がどういう内になるかわかりませんが——自治大臣に報告をしなければならぬ、あるいはまた、必要がある場合には助言または勧告をすることができるのだ、こういう規定をことさらつける必要は私はないと思うのですが、この点どうですか。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘になっておられます調整条例でございますが、これは第二百八十二条の第三項でござていまして、これは経費の財源についての調整のための条例でございます。その条例についてだけ、さらに政令で事項をしぼりまして、自治大臣に報告をさせ、必要があれば助言、勧告ができるようにしようということで、念頭に予想いたしておりますのは先ほど申し上げたような事項でございます。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 財政調整の問題で、確かにこれを見るとそういうふうになっていることは、お答えのとおりでありますが、しかし、そういう問題であっても、さっきも言ったような基本的な問題をきちっとやっておけば……。それは個人的な不満とか意見とか、いろいろいかなる場合にもあるのですから、しかし、それはそれとして、基本的な線をはっきりしておけば、そういう点について一々自治大臣に報告をしたり自治大臣がどうのこうのという、そういうことまで要らぬようなたてまえをはっきりつくりなさいと私は言うのです、逆に言うと。特別な、東京都と特別区との関係、あまりよそに例のないような関係ではあるのですけれども、だからといって、一つ自治体としてやっていくということに対する、いわば条例が、あるいは法律に反したような条例なら、それはまた別の方法自治大臣としては黙っておれないような問題が出てくると思いますけれども、適法に行われている条例、その条例に基づいて講ずる措置について、これは自治大臣に報告しなければならない、あるいは自治大臣が助言または勧告をすることができるのだと、こういうことは、私はやはり行き過ぎだと思う。やはり必要な助言なり指導なりという内面的なこういうものは、さっきも言ったように、いろいろ問題であると思います。こういうようにはっきり法律で書かれるということについては、私はどうも少し納得しかねるところがありますが、この点いかがでございます。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私どもも、できますことならばこのような規定をあらためて法律に書きますことは避けたいと思うのでございまするが、一つには、先生の御質問になっておられますように、特別区の税源配分というものがなかなか理想どおりにいかない、特別区の間の財政力アンバランスがはなはだしいためにいかない。どうしても調整財源を都が相当留保しておかなければならない状況でございますので、財政調整上は、他の団体におきまするのと違って特別な措置が必要になってまいるわけでございます。なお、この実情から申しますと、今回特別区に相当事務が大幅に移譲されますけれども、特別区側の関係者におきましては、事務だけよこして、それに必要な財源をよこさないということが非常に心配だということを、立案の過程におきましてもしばしば私どもに申してこしてこられた事情もあるわけでございます。そこで、ないに越したことはないわけでございまするけれども、まあ助言、勧告ということで、別に権力的な関与をいたすわけでございませんので、実情に即しましてこのような規定を置こうということでいたしたわけでございます。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治大臣がする「必要な助言又は勧告」。助言の場合はいいとして、「勧告をすることができる。」、こういうふうに法律化された場合に、勧告をした場合に何といいますか、都なり区なりが勧告をどう受けるかということを、これはどの程度まであなた方は考えておられるのですか。
  28. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほどあげました例に即して申しますと、もう少し特別区の財政需要額というものを見るべきではないか。この事務についての財政需要額というものの見方が足らないではないか、あるいは財政調整についての各区間アンバランス調整やり方が、もう少しこういう点をくふうしたほうがいいのじゃないかというようなことが、助言なり勧告の内容になるだろうと思います。もちろん勧告でございまするから、それが受け入れられません場合におきましても、それを是正する手段はないわけでございまするが、私どもの公正な立場から考えましての勧告でございまするから、関係者におきまして受け入れられることを期待いたしておる次第でございます。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長も時間がないようでありますから、これ以上やりませんが、これはいまの局長のお答えからいたしますと、さっき山本課長に私がお聞きしてお答えのあった調整の具体的なやり方仕組みですね、こういうものには当然関連してくるわけなんですね。だからそういうもっと実際に必要な経費なりいわゆる財政需要なりというものの算定で不満のないようなやり方というものの仕組みをどうすべきであるのかという、こういうことについての、こういうものに至らない前段階のいろいろな指導なり助言なりというものは、私は確かに必要だと思うのです。ただ、出てきた結果についてどうのこうのと言うことは、あまりほかの自治体には例のないようなこと、例のない財政調整ということをやっているのです。やってないと言えばそれまででありますけれども、どうも私は、こういうところに自治大臣が関与するという、こういう考え方が、まだちょっと解せないでおるのですが、またいずれ……。あなたは向こうのほうへ出かけるのですから、その点だけを申し上げて、局長に対する問題は一応やめておきます。いろいろ条例の問題、特に協議会等のことについてもお聞したかったのでありますか、やめておきます。  大臣もおいででございますから、ちょっと問題が変わるようでございますか、今回の法改正による都から特別区に移譲される事務、それに伴っての関連する法改正が行なわれておるのでありますが、この問題と、いまの地方自治法等の一部を改正するこの問題と、昨年の秋自治省が行なった東京都に対する行財政の調査ですね、これと何か関連があるのでございますか。
  30. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) その調査の結果を十分勘案して今度の措置をとったわけでございます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 十分行政調査の結果を勘案をして今回の改正を行なったと、こうおっしゃいますが、具体的に言うとどういうところでございますか。
  32. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 事務をできるだけ特別区のほうへ移譲しなさいということであったことは鈴木委員も御承知になっていただいておると思いますが、やはり通じて流れますものの考え方は、住民自治の本旨に照らしまして、やはり住民にとって何が便宜であるか、やはりこういう多くの事務は比較近い特別区で処理してもらったほうがいいわけでございますので、そういう点を多くとり入れまして今回の措置となったわけでございます。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣新しいから、そこまでお聞きしていいかどうかわかりませんが、もし局長がおられるのであったらお答えいただきたいのですが、地方自治法の一部改正は、昨年の秋の自治省のやった東京都のいわゆる行財政調査の、その以後に固まったわけではないわけですね。これはその前にできておるのですが、生かされたのは一体どこなんですか。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この法律案は、御指摘のように、昨年の第四十三回通常国会に御提案申し上げたものとほとんで内容は変わっておりません。ただ昨年の秋行ないました都の行財政調査の結果に徴してみましても、できるだけ都から特別区へ事務を移譲して、東京都というものは、もっと身軽になって当面必要とされる事務に専念できるようにすべきだということを調査の結果、指摘もされておるわけでございまして、それがこの法案の目ざしております方向、内容と全く一致いたしておりましたので、私どもといたしましては、確信を持ってさらに今国会に御提案を申し上げて御審議をいただくことにいたしたわけでございます。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 具体的に昨年の行政調査が、正しくはどういうことばで言ってるのかわかりませんが、私は昨年の秋の九月の調査をそういうふうに申し上げますが、行財政調査の結果、具体的にその調査の結果に基づいて、この法の内容的なものまで追加したり改めたりするというようなことはなかったのだが、考え方として、従来から考えておった、そしてそれに基づいて作業をしておった地方自治法等の一部改正案、それを裏づけるような調査の結果なり、あるいは勧告なりが出たからと、こういうことでございますね。
  36. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。なお、つけ加えさしていただきますと、昨年いたしました調査は、制度の欠陥と申しますよりも、むしろ現行制度のもとにおける都の行財政運営上の諸問題を中心にいたしまして調査をいたしたわけでございます。この調査にあたりましても、先ほど申しましたようなことが痛感されたわけでございまするし、この運営上の調査の結果、改善をいたしますにつきましても、制度的に今回の法律改正はぜひ必要だということを痛感をいたした次第でございます。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は昨年の自治省で行なった東京都の行財政調査、これは私はきわめて重要な一つの問題だし、その調査のしかたなり、あるいは調査によって出た結論なり、あるいはそれに基づく勧告等、従来こういうことが行なわれておらなかっただけに、評価はこれはまちまちで、いろいろあると思いますが、ともかく私は重要な問題だと思いますので、できるだけそういうことについても、きょうこの機会にお聞きをしておきたいと思ったのでありますが、どうも時間がそれをやるためにはあまりないようでございますから、きわめて簡単に一、二の問題だけお聞きしておきたいと思います。  東京都に対するこういう行財政の調査、これは東京都からの要望ですか、それとも、あるいは自治省が必要性を認めて自発的に行なった措置であるのか、この点はどうです。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 自治省の発意でございますが、行なうに先立ちまして、都側の了承を得て行なったもでございます。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治省がどういう考え方で、どういう権限でこういうものを行なったのですか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 東京都の行政のあり方につきましては、かねがね各方面で論議がなされておりましたし、私どもといたしましても、地方制度調査会でいろいろ御検討をいただいておったわけでございますが、地方制度調査会答申におきましても、制度改正と並行をして都の行財政運営上の改善についても行なわなければならないということを強調されておったのでございます。そこで、制度改正といたしましてこの法案を提案いたしますと同時に、都の行財政運営上の改善につきましても、自治省といたしましては何らか指導をすることが必要であるというふうな考え方を持っておったわけでございます。たまたまそのための前提としてこういう調査をすることがよかろうということになりまして、調査を行なったわけでございます。  次に、どういう根拠に基づいているかということでございまするが、地方自治法の第二百四十五条におきまして「自治大臣は、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。」こういう規定がございますので、この規定に基づきましたことと、いま一つは、第二百四十六条におきまして、「自治大臣は、必要があるときは、普通地方公共団体につき財務に関係のある事務の報告をさせ、」云々とございます。この両条文に基づきましていたしたわけでございます。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 東京都政の運営あるいはその仕組みあるいはまた都と区の関係、こういうことについていろいろ問題があることは、これはだれしも認めるところであり、そういう限りにおいて、それらの問題について自治省が無関心であっていいわけはないと思います。当然、必要な助言というものもあるでしょうし、また、なければならぬ場合も出てくると思うのですが、さて、昨年秋の行財政調査ですね。いまの局長お話によりますと、自治法の第二百四十五条の三、あるいは第二百四十六条の「財務監督」というのがありますが、これに基づいて行なったのだ、こういうふうなことでありますが、二百四十五条の三項ですね、いまあなたのお読みになったように「適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。」というここの規定と、「財務監督」の二百四十六条の規定とは、ちょっと違ったところがあるのですね。財務の場合には、必要がある場合には「財務に関係のある事務の報告をさせ、書類帳簿を徴し又は実地について財務に関係のある事務を視察し若しくは出納を検閲することができる。」、「実地」ということばがあるのです。ところが二百四十五条の三には、助言あるいは勧告をすることができるのだけれども、実地についてのことは二百四十六条のように、はっきり規定されたことばがないのですね。ただ、私がいま申し上げましたような二百四十五条の三あるいは二百四十六条のこれからしますと、財務については実地調査ができるのだ、しかし、一般的な公共団体の組織及び運営の合理化云々というその場合の自治大臣としてやり得ることは、適切と認められる助言なり勧告であって、実地調査ということばはここにはないのですね。そうしますと、昨年の秋九月に行なわれました東京都の行財政調査、財政についてはいま言ったように、法的にちゃんと根拠規定があるのでありますけれども、いわゆる行政関係の組織なり、運営の合理化等の問題についてのそれはないのでありますが、これはどういうふうに解釈し、どういうふうに運用すべきが正しいのか。助言または勧告のために、やはり実地に当たってみなければならぬ、こういうことの解釈も成り立つのかどうか。そういう運用が許されるのかどうか、こういう点、いかがでしょう。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 財務につきましては、御指摘のように二百四十六条に規定があるわけでございます。それ以外の組織及び運営の合理化につきましては、二百四十五条の第三項におきまして「組織及び通常の合理化に関する情報を提供するため必要があると認めるときは、普通地方公共団体に対し、その作成に要する資料の提出を求めることができる。」、こういう規定がございまするので、法律的には二百四十五条の第一項の助言、勧告をいたします前提といたしまして、三項によって必要な資料の提出を求めることができるということになるわけでございます。しかし、必要な資料の提出を求めるということが、直ちに二百四十六条に書いてありますような、実地について云々という権限まで包含するものではございませんが、そこで実際の運用といたしましては、第二百四十五条の一項の助言なり勧告なりをいたします場合におきましては、当該団体同意を得て行なうということにいたしておるわけでございまして、今回の東京都の行財政調査におきましても、先ほど申し上げましたように、発議は自治省でございますが、行なうに先立ちまして、都知事同意を得ました上で行なったわけでございます。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 しり切れトンボのようでございますが、局長が忙しいので、矢の催促でございますからやめましょう。ただ、おかしいことだけは、これは法文から言って言えますね。
  44. 辻武寿

    ○辻武寿君 時間もございませんようですから、私は二、三点にしぼって質問いたしますから、簡単明瞭に御答弁いただきます。  第一は、保健所の件ですが、今度改正案では、施設管理だけが区にまかされて、あとのことは政令できめる。保健所は最初福祉事務所のように、仕事も人間も全部区に移管されるはずだと聞いておった。ところが施設管理だけになった。これは区側の負担が増すだけで、区として迷惑なことじゃないかと思いますが……。都のほうも、初めは区に移管する考えであった、地方制度調査会等意見も、区に移管すべきであるというように聞いておる。それがこういうふうに施設の管理だけになったのはどういうわけか。その見解をお願いしたいと思います。
  45. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 保健所につきましては、御指摘のように地方制度調査会におきましても、特別区に移譲すべきだという御答申でございます。自治省といたしましては、そういう案で政府部内の関係省と折衝をいたしたのでございますが、なかなか関係省との意見調整ができませんで、率直に申し上げますと、一つの妥協の結果としてこのようなことになったわけでございます。その関係省におきまして反対をされました理由といたしましては、保健所で行なっております行政が各区でとくに統一を欠き、ばらばらになるということが非常に支障があるということを強く主張されておったわけでございます。
  46. 辻武寿

    ○辻武寿君 区にまかせ、あとのことは政令できめる。政令はどんなことをきめるのですか。
  47. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 施設の管理が区にまかせられるわけでございますが、政令におきましては、土地建物の管理ということになるわけでございますが、その管理の中で、たとえば新築、改築あるいは修繕、いろいろあるわけでございますが、どの程度のところまで区にやらせるかということを、その範囲を明確にいたしたいと思っております。
  48. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に清掃事務について、ちょうどこれは汚物処理等で一貫してやっていたのです。終末処理場が未完成であるから、まだ特別区には移管できない、こういうふうに聞いておるが、それに間違いないですか。
  49. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点はそのとおりでございます。
  50. 辻武寿

    ○辻武寿君 現状はどれくらいきているのですか。
  51. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ごみの処理場につきましては、現在都の計画では十五カ所つくる予定にいたしておりますが、現状では九カ所できております。
  52. 辻武寿

    ○辻武寿君 将来の見通しは。
  53. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 都の計画におきましては昭和四十三年ごろに十五カ所完成する計画のように伺っております。
  54. 辻武寿

    ○辻武寿君 表面上では終末処理場未完成であるからと言っているけれども、実際は労働組合等の圧力によってできないのだということも聞いているが、そういうことは絶対ないですか。
  55. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 労働組合の圧力云々ということにつきましては、そのようなことはないと思いますが、衆議院の御修正にたりました過程におきましては、ただ終末処理場がいまの都の計画どおりに完成をした時期ということ以外に、清掃施設の近代化の趨勢もにらみ合わせて、移管の時期は慎重に検討すべきだという御趣旨に承っておりますので、それらの御趣旨もよくくんで、政府としても検討してまいりたいと思っております。
  56. 辻武寿

    ○辻武寿君 清掃事務については、よその国では夜もやっておるところもあるのですが、夜間にこれを行なうというようなことは、自治大臣としては考えておるかおらないか、その点、大臣の見解を……。
  57. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) いま夜やるというようなことは考えておりません。
  58. 辻武寿

    ○辻武寿君 昼間は交通が非常に激しいし、夜間に行なったほうがいいのじゃないかという意見相当あるのです。大臣としてはどういう見解か。将来夜間もやるか、昼間でいいということなのか。
  59. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 私は現状に照らして一案であろうかと思いますが、しかし、これは大体都で検討してきめるべきことでありまして、自治省といたしましては、夜やるのが適切であるというような見解は出さないつもりでございます。
  60. 辻武寿

    ○辻武寿君 もう一つ区長公選ということは将来もずっと考えないのだろうか、大臣の見解を……。
  61. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) たびたび申しますように、ただいま過程でございまして、事務のこういう配分をまたやりまして、いろいろやってみた上で、公選制をとるのが妥当であれば、そういう見解に立つときがあると思います。ただ、いまの知事は御案内のとおりに選挙のときに公約もしておるとか、また区ごとにいろいろおもしろくない事件もこれにからんで起きているわけでございまして、いま地方制度調査会のほうでは、ああいうごらんの結論を出しておりますので、なおこの問題につきましては鋭意検討しなければならぬと考えております。
  62. 辻武寿

    ○辻武寿君 区長公選に対する地方制度調査会意見はどうだったのですか、その点ひとつ。
  63. 倉橋義長

    説明員(倉橋義長君) 地方制度調査会におきましては、先ほどの行政局長からも答弁がございましたように、現行制度におきましては一長一短があるということは言っておるわけでございますけれども、公選としますか、あるいは長が議会の同意を得てしますか、その点、結論が出ないわけでございまして、地方制度調査会といたしましては、事務を配分したあとにおいて検討する、かようなことに相なっております。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうも局員がおらなくなったり何かして、しり切れトンボになってしまいましたが、さっきの東京都の行財政調査、私はいろいろ問題があると思うのでありますし、さらに、自治省は他の地方公共団体に対してもこれからやるんだ、こういうことを発表しておられるようでありますが、大臣、この問題そう私は簡単な問題でないと思うのですがね、少なくともいまのこの規定からしますと。さっきも言いましたように、財政関係においてはともかく、他の地方公共団体の組織とか運営、そういうことのための助言、勧告をする必要がある場合には資料は出させることができる、実地にやっていいということはない。それから地方公共団体のほうからも助言や勧告を求めることはできるけれども、何も実地にやらなければならぬとか、やるべきだということの規定は、私はないと思う。これはある意味においては、地方自治体に対する、何といいますかね、非常に度の過ぎた関与のしかた、あるいは一つの支配の考え方だと思うので、気持ちは、考え方としては私もわからないわけじゃありませんけれども、この問題、今後どういうふうにやっていくか、ひとつ最後に大臣からお考えを聞いておきたいと思います。いずれあとの機会にひとつ当委員会においても、東京都の行財政調査あるいは今度行なおうとする今後の地方公共団体に対するこの種の実地調査の問題についてひとつお尋ねをしたいと思いますので、機会を与えていただくように、委員長にもあらかじめお願いをしておきたいのですが、大臣簡単でよろしゅうございますから……。
  65. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 地方行政は言うまでもなく住民自治でございまして、最近ごらんのとおりにいろいろな問題で住民の間から非難の声があがっております。それが事実かどうかということについては、自治省として重大な関心を持つのは当然のことでございまして、ですから先ほど法文に照らしていろいろ御議論になっておりますが、自治省は、こういう地方団体に対しまして何も指導あるいは命令するなどということは全然権限もございませんし考えてはおりませんが、やはり住民自治の本旨に照らしまして、適切な助言だとかあるいは勧告は行なうべきもの、しかも、単に資料提出と申しましても、やはり行財政といいましても、行政の裏にはやっぱり何らかの形で財政もからんでおるのが通常でございます。そういたしますと、やはり証票なども見ませんと、ただざっと資料出してもらったというだけでは、なかなか実態承知できぬ場合もありますし、そのためにかえって誤った判断を打つことになりましては、地方自治団体のほうにも御迷惑であると思うから、私どもといたしましては、限界はよく承知しておるのでございまして、ただ、こういった住民自治の現在の姿というものを傷つけたくない、将来も政治の威信を失わないためには、やはりある程度、何と申しますか、われわれのほうでも適切な助言をして、そうして住民の信をつなぐということが、また形の上でも必要な場合があり得ると私どもは考えるわけでございます。ですから私どもといたしましては、決して悪いことを摘発するなどということはゆめゆめ考えておらぬのでございまして、やはり将来ともきれいな姿で、少なくとも行財政ともに行なわれているんだという実態を、むしろ住民の方々に納得を願うような責任があるものではないか、こういうふうに考えるわけでございます。ですから、いろいろ受け取り方もあると思いまするけれども、自治省といたしましては、そういう態度で臨んでおりますということは御了承をお願いしたいと思います。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 いずれいま申しましたように、あとでまた機会を見てこの問題について自治省考え方を聞きたいと思いますから、きょうはこれで打ち切っておきたいと思います。
  67. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御質疑ございませんか。——他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。
  68. 松本賢一

    ○松本賢一君 私は、本改正案に対しまして、日本社会党を代表して修正の御提案を申し上げたいと思います。案文はお手元に配布してあると思いますので、朗読は省略させていただきます。  御承知のように特別区の区長公選制は、昭和二十二年の地方自治法制定以来とられてきたのでありますが、昭和二十七年八月の地方自治法改正におきまして公選制は廃止せられ、議会による選任制に改められたのであります。この改正後、今日に至るまでの実情は、委員各位の見聞されているとおりでありまして、区長選任のために長い期間を要し、ために区政に渋滞を生じ、区政の運営上重大な悪影響をもたらしているというのが実情であります。このことは特別区の住民及び議会が、区長公選制の復活を強く要望している事実、並びに東京知事などが区長公選制に賛意を表しているという事実などからも、うかがわれるのであります。  今回提案されました地方自治法等の一部を改正する法律案は、都が処理している事務のうち、一般の市に属する事務は、できるだけこれを特別区へ移譲することによってその合理化をはかるとともに、特別区の権限を拡充することになっております。このように特別区の権限が拡充されてまいりますと、特別区とその住民との関係は、いよいよ密接になりますので、住民の意思をより反映する方法をとることが必要と考えます。にもかかわらず、今回の改正案のように、区長現行どおり議会による選任制としておきますことは、この点において欠けるところがあると言わざるを得ないのであります。それゆえ私は、今回の改正に伴いまして区長公選制とすることは、この際当然とるべき措置であり、それによってこそ民主主義の基本である住民自治の発展を期することができると思うのであります。  以上述べましたような理由から、この修正案を提案した次第でございます。  次に、修正案の概要について申し上げます。修正案の要点は次の三点でありまして、他の部分は、この修正に伴う条文の整理であります。  第一点は、特別区の区長は特別区の議会が都知事同意を得て選任する旨を規定した地方自治法第二百八十一条の二第一項を削ったことであります。  第二点は、公職選挙法第二百六十六条第一項を改正しまして、公職選挙法上特別区の区長の選挙は、市長の選挙と同じ手続によって行なわれることとしたのであります。  第三点は、附則に一項を加えまして、この法律施行の際、現にその職にある区長は、その任期中はなお従前の例により在職するものと明記しまして、現在の区長の地位を明確にしたことであります。  以上の三点の修正によりまして、特別区の区長公選とすることとしたわけでありますが、修正の形式は、以上申し上げましたように、区長公選とするために障害となる条文を削った消極的な形のものではありますが、修正の意図は、特別区の区長は必ず公選としなければならないという積極的なものであることを申し添えたいと思います。  以上がこの修正案の提案理由とその概要でございます。何とぞ皆さま方の御賛成をお願いいたします。
  69. 西田信一

    ○西田信一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま御提案修正案に反対し、衆議院送付案に賛成するものであります。  この法律案は、最近ますます複雑膨大化の傾向にある東京都政の現状にかんがみ、その行き詰まりを打開するため、都と特別区の間において、事務及び税源の合理的な配分をはかるとともに、都と特別区及び特別区相互間の連絡調整を促進し、あわせて特別区議会の議員定数の定限に関する規定を整備する等を内容とするものでありまして、当面急を要する措置として、きわめて時宜にかなった妥当なものと考えます。  なお、衆議院におきまして、特別区が処理する清掃事務の明確化と、その事務移譲の時期、農林漁業改良普及手当の支給、並びに町名、町界等の変更手続規定の整備について修正を加えられたのは当を得たものと考え衆議院送付案に賛成するものであります。  次に、日本社会党の修正案は、区長公選規定しようとするものでありますが、これについては種々論議のあるところでありまして、沿革的に見るときに、かつて特別区の区域は、東京市として二十三区が一体的に発展してきた事情、区民生活が区の境界を越えて錯綜しておる事情、並びに区民としての自治意識が他の普通地方公共団体とはまた異なっているという事情から、一般市町村と同様な普通地方公共団体として取り扱うことはできず、都と特別区の有機的な関連を確保するため、特別区をして制限自治区とするのが妥当であると考えられているのであります。このような特別区の性格からいたしまして、現在の段階において区長公選にすることは、大都市行政の一体性を保持する立場から、相当問題点を包蔵し、かつ住民の受けける行政サービスの不均衡をもたらすおそれもありますので、今回の大幅な事務移譲をいたしましたその後の経過を見た上で公選制を採用するかどうか、これを慎重に検討するのが、至当であると考え修正案には賛成いたしかねる次第であります。
  70. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  まず、討論中にありました松本君提出の修正案を問題に供します。松本君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  71. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 少数であります。よって松木君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  72. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 多数であります。よって本案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。  本日はこの程度にいたしたいと存じます。次回は六月九日火曜日午前十時開会の予定でございます。  なお、本日午後一時、建設・地方行政連合審査会が開会されます。  それでは本委員会はこれで散会いたします。    午後零時四分散会    ————————