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1964-05-21 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十一日(木曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            井川 伊平君            沢田 一精君            館  哲二君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            辻  武寿君            市川 房枝君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    自治大臣官房長 松島 五郎君    自治大臣官房参    事官      山本  弘君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政連絡会議法案内閣提  出)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政連絡会議法案議題といたします。  前回に続き質疑を行ないます。御質疑のある方は御発言願います。
  3. 林虎雄

    林虎雄君 一昨日の地方行政連絡会議法案に対する質問鈴木委員ほかの人の質問でありますが、そのときに、この法案提出した経緯、特に提案予定考えられておった府県連合法案あるいは府県合併促進法案との関係をお尋ねしたわけでありますが、自治省お答えによりますと、この連絡会議法案とともに、府県連合法案性格が違うから、二案を出す予定であった。ところが間に合わないので、都合によって連絡会議法案だけを提案したと、こういう意味のことを大臣お答えになったと思いますが、そう理解してよいのでありますか。
  4. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 大体御指摘のとおりでございます。
  5. 林虎雄

    林虎雄君 そうなりますと、府県連合は追って提案するということになろうと思いますが、大体自治省としてはいつごろ提案する御予定でありますか。
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 府県連合と俗に申しておりますが、私ども準備をいたしておりましたのは、地方公共団体連合ということでございまして、府県だけを対象といたしておりません。市町村を含めまして、地方公共団体一つ共同処理方式といたしまして、地方自治法の一部を改正をいたしまして、そこに追加をするという構想を持っておったわけでございます。ただ、その地方公共団体連合の中で、府県についての連合が、一方議員提案されると伝えられておりました府県合併促進法案との関係で、いろいろ検討すべき問題点がございまするので、今国会提案を見合わせて、なお慎重に府県合併の問題とも関連をさせながら検討をいたすことがよいという結論になりまして、提案を見合わせた次第でございます。そこで、ただいまそういうような考え方で今後の検討を進めることにいたしておるわけでございますが、何ぶんにも府県合併の問題と関連させて検討いたしますことになりますと、たいへん大きな問題でございますので、いつごろまでに結論を得て国会に御審議をお願いすることになるかならないか、その辺のことは、ただいまのところ見当がつきかねる状況でございます。
  7. 林虎雄

    林虎雄君 この議員提案をするであろうといわれております府県合併促進法案との調整がつかなければ提案できないと。それで、その調整ということに時間がかかって、おそらくこの国会では間に合わないと思いますが、次の国会には提案できるというお見通しがございますか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 自治省といたしましては、地方公共団体連合構想検討いたしますときに、府県合併の問題も関連をいたしまして検討はいたしたのでございますが、府県合併の問題につきましては、なかなか大きな問題でございまするし、かりに府県合併することがよいといたしましても、現実合併を実現するということはなかなか見通しのつきかねる問題でございますので、前大臣のときに、共同処理方式考えるということで、連合法案を準備することにいたしたような経緯があるわけでございます。しかしながら、一方若干の地域におきまして、合併促進をしたいという動きもかなり活発に出ておりましたし、ただいま御指摘になりましたように、府県合併促進法案提案したらどうか、こういうような動きも出てまいりましたので、自治省といたしましても、もう一度合併促進法案内容もよく検討いたし、合併の問題もさらに掘り下げてゆっくり検討をしてまいろう、こういうことで提案を見合わしたわけでございますから、先ほど申し上げましたように、次の国会までにこれらの問題につきまして十分検討を終えて、結論が得られるかどうかということは、ただいまのところ見当がつきかねるということでございます。
  9. 林虎雄

    林虎雄君 一昨日の質問のときにも指摘されたことでございますが、この法案内容をずっと見ておりますと、どうも何か弱々しい感じを全体として受けるわけであります。せっかくこの会議法案が通っても、これによって運営される会議の持つ権威といいますか、力というものがきわめて弱いような感じがするわけでありますが、それはそれといたしまして、この法案自治省提案をしたという基本的な考え方といいますか、この点についてお聞きしたいと思うわけでございますが、内容がきわめて弱いものであっても、なおかつ提案したということは、この法案の陰に何か隠されておるというか、陰に何か考えられておることがあるのか、たとえば、最近の河川法改正等に見られますように、中央集権強化傾向各省がとっておる、それに対して地方のいわゆる地方自治の元締めであります自治省は、そういう中央集権化傾向を防衛するといいますか、自治を守るという、そういう意図をもってこの法案提案したのでありますか、そういう点についてはどうでございますか。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘のように、府県を越えるいわゆる広域行政に対処いたしまして、いろいろな構想が両三年来出てまいっておるわけでございます。ただいま御指摘になりましたような河川法のように、都道府県ではだめだから、その権限を中央政府に引き上げようというような動きもございまするし、あるいはまた国の地方出先機関強化することによってこれに対処していこうというような構想もあるわけでございます。私どもといたしましては、都道府県が広域的な地方公共団体としての性格を持っておるわけでございますから、この都道府県広域的地方公共団体としての性格を充実強化するという方向においてそれらの広域行政に対処する方策を考えていくべきだ、かような基本的な考え方に立っておるわけでございまして、この地方行政連絡会議も、同様に、都道府県中心になって国の出先機関とも一緒になって広域行政に対処していこうという一つ構想であるわけでございまして、私どもといたしましては、ただいま先生のおっしゃいました中央集権的な方向での広域行政に対する対応策に対しまして、都道府県自治を守ると申しますか、拡充をするという方向でこれに対処する、そういう観点から、ぜひこの連絡会議の御審議をいただきたい、かような決意をいたした次第でございます。
  11. 林虎雄

    林虎雄君 ただいま行政局長お答えでよくわかりましたが、そういう考え方には非常に賛成でありますけれども、それにしては法案が非常に弱いというふうに感ぜざるを得ないわけです。会議そのもの性格が非常に弱いという印象を全体から受けるわけでありますが、この法案意図する成果というものが、はたしてあがるというふうにお考えになっておられるでしょうか。
  12. 山本弘

    政府委員山本弘君) ただいま行政局長からも答弁を申し上げたのでございますが、そういう趣旨であっても、この程度のことで、はたして成果が期待できるのかという御質問でございますが、毎々申し上げるよううでございますが、中央縦割り行政の弊を克服いたしまして、現地の都道府県知事中心に、地方における広域行政を推進していくということになりますので、これにつきまして、いわゆるゆるやかな協議方式を実は採用いたしておるわけであります。しかしながら、現在知事さんだけの協議会その他が事実上ございますが、それはいわゆるサロン的なものでございまして、その決定につきましては、いわゆる権威というものがないわけでございますが、これを広域行政協議方式として制度化することによりまして、当然参加するところの会議そのもの権威づけられまして、この会議に参加して重要な広域行政の一端をになっている国の出先機関とも、この会議において合同して広域行政を行なうために協議するわけでございます。その協議につきましては、第五条で「協議の結果の尊重」ということになっておりまして、自然この会議においてととのいましたところの事項につきましては、地方公共団体のみならず国の出先機関もこれを尊重する義務を負いまして、これに従って方向を進めていくということに相なるのでございます。また、会議におきまして問題になりましたことにつきまして、ととのったことにつきまして、あるいはまたととのわない点につきましては、どういう点に隘路があるかという点につきまして、「意見の申出」ということを第七条に規定をいたしております。それによりまして、中央におきましては、地方における広域行政問題点がどこにあるかということがわかるわけでございまして、この点におきまして広域行政解決方向に作用していくというふうに考えております。また、会議結果につきましては、第九条に報告の義務をつけておりますが、いずれにいたしましても、ゆるやかな協議方式でございますが、これを制度化し、方向づけることによりまして、協議積み重ねによってこの効果を期待していくというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  13. 林虎雄

    林虎雄君 いまお答えをいただきましたが、ゆるやかに逐次方向づけて成果をあげていくというお答えでありますが、確かにお答えのようにゆるやか過ぎるという印象を受けるわけでございます。たとえば、いまお答えの中にありましたように各条文でありますが、この中でも「その協議の結果を尊重してそれぞれその担任する事務を処理するように努める」、非常に抽象的なんですね、権威づけといいますか、権威がないようなふうに考えられるわけであります。伝えられるところによりますと、自治省のほうで考えられた原案では「処理するように努める」ということでなくて、処理しなければならないというふうに——会議構成員は処理しなければならないというふうな原案だったそうですが、それが「処理するように努める」というように弱まったわけであります。そういう意味で、どうも考えておられる意図はよくわかりますけれども、これが実際に行なわれる場合には骨抜きになるのではないか、おそらく実効というものが少ないのではないか、したがって、単なる府県出先機関との懇談会になる可能性が多いと思われますがどうでしょう。
  14. 山本弘

    政府委員山本弘君) ただいまも申しましたように、この法案は、いわゆる行政機構の統廃合というような、そういったものを伴わずに、現在の機構をそのままにして、地方における広域行政現実必要性から考えまして、協議方式によってやっていこうというのが趣旨でございます。したがいまして、話し合いをどこまでも詰めていくということが趣旨でございます。そういう意味から申しますと、いま先生おっしゃいましたような意味で「ねばならない」という規定、これは非常に強うございますが、いずれにいたしましても訓示的な規定でございます。したがいまして、こういうふうな「努めるものとする。」という表現は、やや弱いようでございますが、「努めねばならない」と書きました場合には、同じ訓示的な規定でございましても、やや強制的なにおいが、まあせぬわけでもございませんが、この法案趣旨から考えまして、「努めるものとする。」という、こういった表現をもちまして、話し合い積み重ねというものを期待する。そしてこの法案趣旨を十分に各省ともに理解されまして、連絡会議運営のよろしきを得るならば、同様の効果をあげるものであるというふうにわれわれは期待しておるのでございます。
  15. 林虎雄

    林虎雄君 やってみなければその成果の結果はわかりませんが、ただ、せっかくいま参事官からお答えになりましたような自治省の親心というようなものが、この会議を通じても得られなかった、この会議そのものが中途はんぱなものでありますから、成果が得られないような、そういう結果になるおそれがあるような気がいたします。したがって、こういう中途はんぱなことではだめである。むしろ国出先機関強化方向のほうが行政能率を上るげためにはいいのであるというように、逆の口実を与えるようなそういう結果になるおそれはありませんですか。
  16. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘の点は、まことにごもっともな御意見でございまして、非常に広域行政に対処いたしますために、府県中心にして連絡協議を進めていくことによって問題を解決しようとする意図が、必ずしも達せられない。その結果、府県中心ではいかぬのだという逆の議論を招くのではないかというおそれも、運営のいかんによっては十分考えられるところでございます。ただ、私ども考えますのに、地方自治の問題につきましては、お互いに不断の努力を常に続けていかなければ地方自治の発展を期することはできないわけでございますので、この会議運営にあたりましても、単に法律でもって強制するから、すぐに地方自治が守れるのだというのではなく、やはり地方自治団体みずからが努力をすることによってその権威を高めていくということによって、地方自治を守るという方向に進んでいくのが適当ではないかとも考えられますので、そういった意味において府県十分努力をされて、そういう御心配のようなことのないように運営をしていく考えでおるわけでございます。
  17. 林虎雄

    林虎雄君 この法案提案するのに対しまして、一番関係の深い全国知事会議等は、どういう態度をとっておられますか。積極的な賛成であるのか、そういう点、お聞きしたいと思います。
  18. 山本弘

    政府委員山本弘君) 先ほども申しましたように、現在全国知事会がございます。また、ブロック別にも知事会がございまして、それぞれ問題を任意的に協議を行なっております。しかしながら、これは当然にはむろん地方出先機関が入るわけではございません。現在問題になっているところの広域行政というものは、国と地方行政というものの総合の上に立たなければならないというところに意味があるのでございまして、現在の知事会のいわゆるサロン的な会議においては、具体的な事項についての解決は、はかり得ないということは自明のことでございまして、知事会におきましても、今後の広域行政運営につきまして、国の出先機関地方における知事会との結びつきによって問題を解決していくといくという方向について、この連絡会議意図するところは一致するわけでございますので、この法案につきまして賛意を表しているのでございます。
  19. 林虎雄

    林虎雄君 いまの知事会議あるいは知事会ブロック会議がサロン的な会議だと言われますが、そういう点ももちろんありますけれども、必ずしもそうでなくて、いろいろ地方的なことを協議して、政府に、各省陳情運動等もかなり活発に行なっていると思います。出先機関一緒になれば幾らか強化するというようには一応は考えられますけれども、まあまあいまの法案内容では、サロン的にプラス・アルファがあるかどうか知りませんけれども、その程度ではないかと思います。なお、九ブロックに分けたという分け方については、どういう根拠で分けられたのでありますか。たとえば現在、全国知事会議ブロック会議が九ブロックになっていると思いますが、その区域と同じ区域をもって分けたわけでありますか。その理由を承りたい。
  20. 山本弘

    政府委員山本弘君) お答えいたします。ただいまの御指摘のように、地方ブロック知事会議も大体この区分をとっております。その基本的な考え方といたしましては、いろいろな考え方があるのでございますが、一応われわれとといたしましては、社会通念上最も一般的な地方区分に従ったつもりでございます。一例を申し上げますならは、国土総合開発法——広域行政の中身が地域開発にあるとするならば、一番国土総合開発法というのが広域行政の基本になる法律とも考えられるのでございますが——この法律におきましては、開発区分といたしまして同様な区分をいたしているのでございます。また、地方におきますところの市長会あるいは議長会あるいは町村長会とかいったような地方公共団体組織ブロック区分もおおむねこの区分によっている。そういったところから、この九ブロック地方区分をいたしたわけでございます。
  21. 林虎雄

    林虎雄君 国の出先機関というものは、必ずしも九ブロックに完全に一致しておらないように思います。大体は一致していると思いますが、一致しておらない行政官庁出先機関はどうなるわけですか。
  22. 山本弘

    政府委員山本弘君) 御指摘のとおり、第四条に掲げておりますところの国の出先機関は、必ずしもこの区分と一致いたしておりません。一番多く出先機関を持っておりますのは、営林局でございまして、十四ございます。また一番少なく管轄しておりますのは、港湾建設局の五でございます。そういうふうに、必ずしも一致いたしておりません。したがいまして、いまお尋ねのような場合におきましては、第四条におきまして、都道府県及び指定市の全部または一部を管轄する地方行政機関構成メンバーとして入るというふうになっております関係上、九つブロックよりも少ない出先機関は、一つ連絡会議と、また他の連絡会議にも顔出しするという問題が起こりますし、多いところにおきましては一つ連絡会議二つの同種の機関が出てくるということも起こるわけでございますが、これは先ほど申しましたように、このブロックを単位といたしまして、広域行政を話し合おうという趣旨から考えまして、それもやむを得ないというふうに考えておるのでございます。
  23. 林虎雄

    林虎雄君 二つブロックに顔を出さなければならない場合もできると思いますが、問題によっては甲のブロックと乙のブロック会議が利害が対立するような場合もないとは蓄えないと思います。たとえば水利の問題、県界問題等によってあり得ないことではないと思いますが、そういう場合に、出先機関二つ関係する省の立場というものは、非常にむずかしくなりますが、そういうようなことを予想したことはございませんか。
  24. 山本弘

    政府委員山本弘君) 一応この九つ区分によっておりますが、必ずしもこの九つ区分を、いわゆる固定的なものに考えず、「備考」といたしまして、問題によりましては、たとえば関東ブロック地方行政連絡会議に東北のある県が参加したほうがいいというような場合ができます場合を予想いたしまして、他の地方行政連絡会議の同意を得て加わるということもいたしておるわけであります。そうしますと、その新しく参加するところの府県の全部または一部を管轄しているところの地方出先機関もこれに入ってくるという関係になるのでありますが、そういう場合は予想いたしております。また、問題ごとに、これは連絡会議運営の問題にはなってくるのでありますが、問題ごと分科会あるいは地域別分科会というものを設けまして、ただいま先生おっしゃったような一ブロック会議において、同時に二つ出先機関が参加するということについて合理的な運営がなされるようにも考えております。また、それらを連絡して調整するという方法も弾力的に道を開いておるわけであります。
  25. 林虎雄

    林虎雄君 この国の出先機関の、それぞれ具体的な局名はわかっておりますが、地方鉄道管理局というものがありますが、これは入っておらないのでありますが、最近地方団体、特に府県の場合などは、地方産業の進展に伴って輸送力強化ということがたいへん問題になり、したがって力を入れてきておるわけであります。したがって地方鉄道管理局府県との関係は非常に密接でありまして、たとえばこれは自治省のほうでは問題に取り上げておるかとも思いますけれども鉄道公債など引き受けて、そうして輸送力強化しようと、地方団体がみな公債を引き受けておるわけです。そういうような密接な関係にある地方鉄道管理局が入っておらないというのはどういう理由ですか。
  26. 山本弘

    政府委員山本弘君) ただいま御指摘の点につきましては第四条の十二に「関係のある公共企業体その他これに類する団体機関の長又は関係のある地方公共団体連合組織代表者連絡会議において委嘱するもの」といたしまして書き入れております。したがいまして、いま御指摘の国鉄の地方組織であるところの管理局の問題は、この公共企業体といたしまして連絡会議におきまして委嘱しました場合におきましては、連絡会議において連絡会議構成員となって協議をし得るというふうになっております。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 なお、そのほかに災害等が起きると、最近自衛隊がたいぶ活動しておられますが、あるいは自衛隊、あるいは地方の、何といいますか、気象台関係出先、そういうこともありますけれども、これも十二の中に考えていいのでありますか。
  28. 山本弘

    政府委員山本弘君) いま御指摘の点につきましては、同じく第四条の十一に、「その他政令で定める国の地方行政機関」とございまして、必要があります場合におきましては、政令規定することによりまして連絡会議構成員となるという道を開いております。  なお、「資料提出」というのは、第六条にございますが、連絡会議において協議する場合におきまして、構成員でなくても、問題によりましては会議における協議事項関係のある国の行政機関に対しまして、資料提出等の要求をなし得るという道も開いておりまして、その点につきましては弾力的な運用をなし得るような道を講じておる次第でございます。
  29. 林虎雄

    林虎雄君 いまの点でもう一つ承りたいのは、地方公共団体、まあ府県並びに指定都市でございますが、その議会代表というものは、やはり十二の中に含まれているというふうに考えていいのであるかどうか。議会というものを無視して知事会出先たけ協議を行なっても、場合によっては議会意見が対立するおそれがないとは言えない、絶無たとは言えないのでありますから、むしろ議会代表もそれにもっとはっきりと、すべて十二にしないで、もっとはっきりさせたほうが地方自治運営の上に適当たろうと思いますが、この点どうでございますか。
  30. 山本弘

    政府委員山本弘君) この連絡会議は、議題の問題について、地方公共団体と国の出先機関協議して広域行政の円滑なる展開をはかっていくというのでございますので、執行機関ばかりを一応連絡会議構成員として考えておるわけでございます。たたいま御指摘のように、議会——議長ということでございましょうか——議長地方公共団体の中におきまして最もこういった行政について関心を持たれる立場にあるのでございますが、そういった意味執行機関たけを一応構成員といたしまして、議長議会の問題は地方公共団体の中における問題といたしまして、たとえばこの連絡会議におきまして問題の所在があらかじめわかるということになると思いますが、その場合におきまして、あらかじめ意見をよく聞いて調整をして出てくる。あるいはまた当然これはきまったことにつきましては、地方公共団体がその事務を尊重して執行する場合におきましては、議会議決を得べきものにつきましては議会議決を経て執行いたしますので、先ほど申しましたような意味執行機関たけをもって構成員といたしたわけであります。  なお、十二の「関係のあの地方公共団体機関連合組織代表者」ということは、御指摘のように議長会たとか、あるいは市長会たとか、村長会たということになりますが、そのいわゆる組織代表者というものが委嘱を受けて参加するというふうになっているのでございまして、直接、何と申しますか、何県の議長という形では出てこないというふうな構成にいたしております。
  31. 林虎雄

    林虎雄君 大臣お見えですが、大臣にひとつ承りたいと思いますが、大臣の御出席の前にも、ちょっと承ったのでありますが、この法案自治省提案するに至るまでには、もちろん準備として自治省中心となって各省と折衝されたと思いますが、その結果として、自治省意図した内容よりも、かなり後退をしておるというふうにいわれており、そのような感じを持っておるわけでございますが、そこで、この法案が成立した場合、自治省以外の各省において、この法案を積極的に賛成しているのかどうか。この法律が成立した場合に、これを活用するために、せっかく地方団体やそれから出先機関が必要なりとして決定しても、この要望を各省が十分に取り入れて広域行政をやっていこうとするそういう熱意が各省にあるのかどうか。自治省のひとり相撲になっては、せっかくの自治省意図もそこなわれるわけでありますから、その点について、各省に対する自治省のにらみといいますか、その御自信といいますか、そういう点を承りたいと思います。
  32. 赤澤正道

    ○国務大臣赤澤正道君) 御懸念の点、私ども最初から考えておる次第でございまして、やはり縦割り行政というものが強力に進められますと、どうしても住民自治という部分に多く食い込んでくるというふうに判断されるところから、いろいろな必要性考えまして、この法案も前々大臣提案したわけであります。しかし、自治省としては、言うまでもなく住民自治を守るという意味で、各省のそれぞれの所管の事業がございましょうけれども、住民の意思というものをまっ先に尊重してほしい。しかし、それぞれの担当部門ではそうもできないということがあり得ることは承知はいたしますけれども、にもかかわらず、やはりこの協議会で決定しましたことについては、ひとつの拘束力を持つという形が自治省としては望ましいわけでございます。しかしながら、やはり関係各省といろいろ協議しました際には、なかなかそういきませんでして、自治省としては残念ですけれども一歩後退をして五条では、「協議の結果を尊重してそれぞれその担任する事務を処理する」、こういう形にならざるを得なかったわけでございます。まあしかし、政府としての意思を決定してこの法案を出しておるわけでございますので、気持ちとしては各省とも十分協力してくれるはずでございますが、しかし、実際この法文をまともに読みました場合には、弱々しいという感じを皆さまお持ちになるということは当然かと思うわけでございます。しかし、かと言って、これがなくてもいいかというと、そうではなくて、水利権の問題その他、いままで各県がいがみ合って、そしてそれぞれ建設省に陳情闘争をしておったなどということは、やはり自主的に話し合いによって緩和され、また一つ結論がつけば、それがまたそれぞれ関係省でもその線に沿って善処する面も出てくるのじゃないかということを考えております。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 わかりました。山本事官に伺いますが、この会議内容として、この会議府県組織であるというふうに一応考えられるわけですが、知事議長になり、そして大体会議のイニシアチブをとる。負担も府県側が、地方団体がするということになっておると思いますが、したがって、この連絡会議というものは地方団体機関と増えてよろしいのかどうか。
  34. 山本弘

    政府委員山本弘君) 第二条に「地方行政連絡会議は、別表で定めるところにより、都道府県及び地方自治法をもって組織する。」というふうにいたしまして、組織体としての地方行政連絡会議は、地方組織であるというふうに私たちは観念をいたしております。
  35. 林虎雄

    林虎雄君 そうすると、この国の出発機関の長が加わるということは、法的には別に差しつかえないわけですか。
  36. 山本弘

    政府委員山本弘君) 地方組織体に国の出先機関が加わるという例は、自治法におきましても付属機関構成員、付属機関、たとえば審議会その他がございますが、その中に地方防災会議というものがございますが、その地方防災会議に国の出先機関も入ってくるというふうに、幾らも例がございまして、そういう点につきましては、法制上の疑義はございません。
  37. 林虎雄

    林虎雄君 そうすると、組織は、地方団体組織をする、それに国の出先機関の長が構成員として参加する。組織員といいますか、それと、構成員というものと二つあるようですが、この会議における権限というものは、一体区分があるのか、同等の権限によって会議が進められるのが、おそらく同等たと思いますが、その会議の形式としてはちょっとおかしいと思いますが、そうお思いになりませんか。
  38. 山本弘

    政府委員山本弘君) 第二条は、地方組織としての行政連絡会議をはっきりうたっておるわけでございますが、四条におきまして、その機関としての連絡会議規定しているわけでございます。それに、国の中央出先機関構成員として入ってくるということになるわけでございますが、これにつきましては、たたいま申し上げました見解のとおりでございます。そして一度四条の「会議」のメンバーになりました以上は、その構成員としての資格におきましては、全く同等であるというふうに考えておるのでございます。たた三項におきまして、「議長は、会議において定める都道府県知事をもって充てる」というふうに規定しているたけでございまして、会議における発言力その他全く同一に扱われるものであるというふうに考えております。
  39. 林虎雄

    林虎雄君 「議長は、会議において定める都道府県知事をもって充てる」とありますが、「副議長は、議長会議にはかってきめる」、こういうふうに、ぼんやりしておりますけれども、これは自治省とすれば、たれを副議長に予想されているのか、たとえば都道府県側をおおよそ予想しておるのか、あるいは国の出先機関の長を予想しているのか、そう点、明らかでありましたら聞かしていたたきたい。
  40. 山本弘

    政府委員山本弘君) 副議長は、四条三項によりますと、「議長会議にはかって指名する者をもって充てる」ということだけにいたしておりまして、特に地方公共団体側でなくちゃならないとか、あるいは議長知事さんだから、出先機関の長を副議長にするのだというふうな考え方は実はいたしておりません。また、会議構成メンバーその他の関係におきましては、副議長の二人制と申しますか、そういうことも運営上あってもいいんじゃないかというふうにも考えております。
  41. 林虎雄

    林虎雄君 私の考えとすれば、地方側が負担もし、組織もするわけでございますから、あくまでも会議を統べるもの、司会するものは、府県側であるべきたというふうに受け取るわけでありますが、いまなお答えのように、議長会議にはかって指名するわけですから、この法律案とすれば、出先機関の長でも差しつかえないということになります。その場合に、出先機関の長が指名されたとなりますと、法律上のたてまえとして、組織、負担は地方団体がし、その重要な司会をする。議長の事故のあった場合にはその代理をするわけですから、その人が出先機関の長というと、ちょっと法的に混乱するような気がいたしますが、そんなことはないですか。
  42. 山本弘

    政府委員山本弘君) 先ほどちょっと私十分に意を尽くしておりませんで、ちょっと敷衍さしていただきますと、法律上は副議長知事側あるいは出先機関側いずれも指定できるわけでありまして、この点につきまして、強く、副議長地方公共団体でなくちゃならないということは、この条文からはっきり言い切れないということを実は申し上げておるのでございまして、まあこの会議の基本的な趣旨から考えました場合におきまして、議長が事故ある場合の副議長議長の代理をするということを考えますならば、副議長地方公共団体側であったほうがいいということは望ましいということに気持ちの上では言えると思うのであります。しかしながら、四条の三項では、かりに国の出先機関が副議長になりましても、いわゆる違法ではないのでございます。その場合に、国の出先機関が副議長になって、そしてまた議長代理をする場合において、地方公共団体中心とする運営だといっても、連絡会議として少しおかしいではないかという御意見でございますが、もともと地方出先機関が四条の中で会議に入ってくる、構成員として入ってくるという場合におきましては、この組織の中に入ってくるわけでございますから、いわゆる国の出先、しつこくなりますが、国の出先機関としてじゃなしに、その身分はもちろんございますが、その構成メンバーとしては会議構成員、言うならば地方行政連絡会議の非常勤の身分を持ったものとして入ってくるというふうに考えられるわけでございまして、その立場において連絡会議代表するというふうに理解されますので、法律的に申しますならば、まあ理屈っぽいようでございますが、法律的に申しますように、その点につきまして別にぐあいの悪いことはないというように思います。ただ趣旨としては先生のおっしゃるとおりだと思います。
  43. 林虎雄

    林虎雄君 いまお答えで、構成員としての同一資格であるから、副議長になってもおかしくないというお答えもありましたが、ただ問題は、連絡会議協議する内容というものは、おおむね地方的な立場から出る問題を出先の長とともに審議して、決定して中央に要請する、申し出するわけであると思いますが、国の職員としての身分である者が地方団体立場でという使い分けをしなければならないようなふうにも考えられるわけですが、出先機関の長がそこで協議をして、まとまって中央のほうに要請する場合に、国が、出先機関の長がこれに参加して決定した事項というものについては、責任を負うというか、当然責任を持つという結論になると思いますが、まあその点については、おのずから出先機関にはそれぞれ行政権限というものがあると思いますので、限界があると思いますので、そこは違いがあると思いますが、その点どうですか。国のほうでは認められないような問題が出先機関の長としてこれは必要だといって満場一致で協議してまとまった場合、国との関係はどうなりますか。そういう予想をしたことございますか。
  44. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 出先機関の長が副議長になって議事を主宰するということもこの法律上はあり得るわけでございますが、その場合において、ただいまお尋ねのように、国の出先機関としての立場と必ずしもこの会議の決定とが一致しない場合があり得るのじゃないか。その場合における副議長の、何と申しますか、立場と申しますかそれはどうなるかというお尋ねであろうかと存じます。お話のようなこともあろうかと思いますけれども、ただ、この会議はどこまでもお互いに国と地方公共団体が連絡協同をはかっていくという目的のもとに運営されていく性質のものでございますので、たまたま議事の主宰者に国の出先機関がなった、国と地方団体の利害が全く対立する問題がそこで何か採決のような形でばたばたと決をとられていくというようなことは起きないのではないか、また、そういうようなことで運営されるということでは、この会議がうまくいかないのではないかというふうに考えられます。したがいまして、議長は、本来ならばここにありまするように、地方団体の長がなるわけでございますから、副議長に議事を主宰していただくというような場合は少ないであろうと思われますし、また、副議長が必ずしも国の出先機関ということに限っておるわけでもございませんから、御心配のような事態はまず起きることがないのではないかというふうに考えております。
  45. 林虎雄

    林虎雄君 その出先機関といいましても、ピンからキリまであるといいますか、国のほうから与えられた行政権限というものは、まちまちであろうと思います。分掌事務も同じでしょうが、このまちまちの出先機関の長が、同じような資格で同じに参加した場合に、何かちぐはぐなものが起こるというような気もいたしますが、そういう点はないのでございますか。つまり出先機関の大小、広狭というものがあると思いますが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  46. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のような問題もあろうかと思います。国の出先機関と申しましても、いま御指摘のように、その権限が必ずしも同一の基準によって与えられているわけではございませんから、ある出先機関では、自分の権限内で連絡会議できめることについて同意をしても、ある出先機関では、それは自分の権限外だから、なお保留をしなければならぬというようなことも起こると思います。しかし、ここでは権限だけによって問題をきめていくという性質のものではなくて、お互いに協同、連絡をすることによって一つ方向を見出しながら努力目標を定めていこうという意味もあるわけでございますから、権限の自分に直接与えられておらない問題についても、その当該出先機関の長として、その決定が合理的であるというふうに考えますならば、自分の良識と申しますか、上位の機関に対する努力目標として受け取るという場合もあり得ると思いますので、何と申しますか、ここでもって同等の権限を持っておる者が、何対何で採決をするというような性質の会議ではございませんので、いまのような問題も差しつかえなく運営できるのではないかというふうに考えております。
  47. 林虎雄

    林虎雄君 この会議はいつも全体会議として全員が集まることをたてまえとしておるのか、あるいは会議の議案の内容によっては、適当な人だけが出席するように考えているのか、もちろん地方側が全員出ることがたてまえでしょうが、出先機関の長が関係のないことにまで出席しなければならないのか、その点はどのように予想されておりますか。
  48. 山本弘

    政府委員山本弘君) 広域行政、いわゆる地域開発行政中心とする広域行政は、個別的な行政じゃなしに、総合的な問題として処理されねばならない、かように考えておるのであります。総合的にかつ一体的に処理されなければならないというふうに考えておるのであります。したがいまして、ここに書いてあるような出先機関は、それぞれ個別的には権限を持っておりますが、一堂に会することによって総合的な検討がなされ得るというようにわれわれも考えておりまして、連絡会議におきましては、かりに直接それには関係がないという場合におきまして、何らかの形において関連を生じてもまいりますし、また、あるいは行政のエキスパートと申しますか、そういった観点からもいろいろな意見も述べられるであろうし、また、この広域行政の処理方式による方向づけについても協力をなしてもらったほうが効果があがるという考えでおるのであります。しかしながら、非常に特殊、と申しますと何でございますが、きょうは単にこれこれだけのことをやるというようなことになりますと、非常に関係の薄い官庁も常に出てもらうということになりますと、これもまた場合によっては逆な場合で、能率的でないという場合もあり得るかと思います。そういう場合におきましては、いわゆる事項別におきましては、関係行政機関をセレクトして、分科会でもってやって、そして何らかの結論が出たような場合に全体会議において協議をととのわしていくというような運営考えられるのじゃないか。また、あるいはこのブロック内におきまして、一つ地域的な問題として処理せねばならぬという場合におきましては、地域的に処理していくというような分科会のあり方というものもあるのじゃないだろうか、こういうふうに考えておるのでございます。しかしながら、冒頭申しましたように、広域行政の基本的な処理のあり方といたしましては、やはり総合的、一体的という考え方を持ちながら、事項地域別によっての分科会の運用というものによって効果をあげていく、かように存ずる次第であります。
  49. 林虎雄

    林虎雄君 先ほどちょっと触れましたけれども連絡会議の決定といいますか、協議が成立した場合、その結果が地方自治体の議会の意思と違う場合も絶無とは言えないと思いますが、その場合はどちらが優先するか、まあ常識的には、法的には議会の意思というものが第一義的になるだろうと思いますが、もしそういうふうに連絡会議地方議会の意思というものが違った場合には、どういうふうに調整するか、そういうような点は予想しましたか。
  50. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 個々の団体の意思をどういうふうにきめていくかという問題は、いわばその団体の内部の問題でございますので、その団体代表される知事としては、自分の団体の意向というものがどうあるべきかということを十分考えてこの会議に出席されて意見を述べられ、また、協議に参加されるものと考えております。したがいまして、自分の団体に持ち帰ったときに議会の意向と反するような形で知事がこの協議でものをきめていくというようなことは、まず考えられないのではないだろうかというふうに考えますが、しからば、万が一、この会議できまったことと、その団体の意思、議会の意思と違う場合にはどうかというお尋ねでございますけれども、やはり団体としての意思の最終の決定機関議会でございますので、かりにこの会議できまっても、どうしても議案として提出すべきものについて提出をした結果、議会の承認が得られなかったというようなことになりますれば、それは残念ながら議会の意思に従うべきものというふうに考えております。
  51. 林虎雄

    林虎雄君 お聞きしようと思ったことで、すでにお答えをいただいたのでありますが、この会議は、あくまでも協議ということにあるようであります。「協議がととのった」ということでありますが、したがって議決ということは予想されておらないようであります。議決ということは満場一致のこともあるでしょう、そういう場合には協議がととのったと内容的には同じでありますが、場合によって意見が食い違って、そのために採決ということも、会議でありますから、これもないとは言い切れないと思いますが、そういう採決ということは、いま官房長のお答えでも、予想しておらないということでありますが、そう理解していいですか。
  52. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 採決と申しますか、反対があっても多数でもってものをきめてしまうというようなことは考えておりません。
  53. 林虎雄

    林虎雄君 そうなりますと、結局、会議といいましても地方側と出先の長との意思がまとまらない場合には、意味のないような会合になるわけですね、何ら成果を得られないということになるわけですが、この点どうですか。
  54. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) みな意見が一致しなければ成果があがらないのではないかというお尋ねでございますが、事柄によりましては、会議を重ねることによって問題点がどこにあるのかという点が明らかにされ、その問題点に対する出先機関なりあるいは各県なりの考え方がどこに食い違いがあるのかということが突きとめられることによって、さらに将来への解決への道、意思が見出されるということもあり得るのではないかというふうに考えられます。お互いに主張も何もなしで、何となくものがまとまるというよりは、お互いに主張すべきものは主張し、論議を尽くし、問題点を明らかにして、なおまとまらなかった場合には、それについてなお別途の解決方法も出てくるのではないかというふうにも考えられますし、また、そういう場合、中央に対して意見を具申して解決の方法を促進するということも考えられますので、何が何でも意見がまとまらなければ成果があがらないというふうには考えておりません。
  55. 林虎雄

    林虎雄君 そうなりますと、まあ意見が食い違っても採決というようなことを考えないで、あくまでもその場合にも話し合いを続け、あるいは場合によっては中央との打ち合わせもして、最終的には採決によらないところの結論を得たい、得ることを期待している、そういうことでございますね。
  56. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) そのとおりでございます。
  57. 林虎雄

    林虎雄君 会議は、いまお話のように、協議をして、協議をととのえて、ととのった場合に、それぞれの担任する事務を処理する、そうして重要な事項としては、おおむね地方側の要望というものは中央各省に反映する点が多いと思います。したがって、この会議の結果、「大臣又は公共企業体等の長に対し意見を申し出ることができる。」ということになっております。そこで、大体現在も行なっております全国知事会あるいは市町村長会ですか、そういうものがあり、またブロック会議がそれぞれ持たれておると思いますが、そういうところでの会議も、おおむね中央に対する陳情ということになります。現在の陳情もたくさんいろいろの性質がありましょうけれども全国知事会とか、あるいは市町村長会というものは、発言権もある意味では非常に強い、国のほうでも相当認めておられることは事実であろうと思います。しかし、それはあくまでも陳情でありますが、中央に反映する力は、他の民間団体よりもかなり強いと思います。いわゆる圧力団体なんといわれておるのがありますが、その一つのような力があるのではなかろうかと思いますが、そういう会議にさらに出先機関の長が加わってくると、その陳情の圧力というものはかなり強いように予想されますが、逆に出先機関の長というものは、やはり中央のあくまでも出先でありますから、結局この連絡会議でととのった意見の具申といいますか、申し述べについては、全国知事会あるいは市町村長会の陳情と同じくらいのウエートを持って、それ以上のものではないような気がしますけれども、そんなことはありませんか。
  58. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 陳情と申しますか、あるいは意見の申し出と申しますか、そういうものがどれだけのウエートを持つかということでございますが、現在の陳情については、陳情がございましても、政治的には別といたしまして、法律的には別にウエートと申しますか、どうしなければならないという拘束が必ずしもあるわけではございません。それに対しまして、この連絡会議において決定をいたした事項につきましては、少なくとも法的な会議として認められ、そこできまった事項については尊重義務法律的に課せられておるわけでございますから、かりに尊重義務が訓示規定であるといたしましても、おのずから軽重の差がやはりあるのではないかと考えておるわけでございます。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 ここで協議のととのった事柄ですが、いまの林委員のお尋ねのように、国へ陳情と申しますか要望といいますか、そういうことをしなければならぬような事柄——まあしかし、それだって陳情したから、要望したからといって、どうなるかわかりませんが、いずれそういうような事柄で国の機関のこういう人たちがその会議に入り、会議構成メンバーとなって対等の立場でいろいろ話し合いをするということが、はたして必要なのかどうかですね。そういうのだったら、何も役に立たぬと言ってはおかしいのですが、そういう問題をこの会議の中で処理ができるんだというようなことでないとうまくないんじゃないですか。何のためにこういう人たちが入ってくるのか。
  60. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 私の林先生に対する答え方が悪かったので誤解を生ずるようなことがございまして申しわけございませんでしたが、この会議できまったことは、それぞれ尊重してその事務を担任するということになるわけでございますので、このことをさらに陳情するということはございません。ただ、会議できまらなかったような問題については、またさらにそれぞれどこに意見の食い違いがあるかというようなことも第九条で報告することになっておりますので、それらを通じてさらに適正な処理が期せられる、こういうことになろうかと思います。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのお話でわかりましたがね、意見の食い違ったような事柄、これはおそらく地方団体と国との間の問題だと思うのです、主として。もちろん地方団体相互の間の問題もありますけれども、この場合のいわゆる意見の食い違い、それによって出る意見の申し出、こういうものは、主として国と地方との問題だろうと思うのですが、たとえばある一つの問題について、農政局としてはどうも国の立場からするとこれは困る、あるいは営林局のほうから、林野行政にわたる事柄であって、どうも地方の要望なりそういうものに応ずることができないのだと、こういうことがあった場合に、しかし他の公共団体の長である知事さんたちの意見は一致していると、こういう場合に意見の申し出もする、具体的にいま一つの例をあげたんですが、そういうことですか。
  62. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 大体御指摘のとおりでございます。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 ここに出てくる地方出先機関の長なりというものは——いまのような事態が当然予想されますけれども、したがってそういうことが予想されるということからして——もっと私はこういう人たちの持つ権限なり、したがって会議に入って発言をし、あるいはものごとをきめるといった場合の力なりというものを、もう少し明確にしておく必要があると思いますね。私、心配するのは、何のために出てきておるのか、それは法律にあるから出なければならぬといって出てくる。しかし農政局の局長の権限なりあるいは営林局長の権限なり通産局長の権限なり、そういう者の権限というものは、いまのままの形では、国と地方出先機関の長との間は、もうすこぶるあいまいなんですね。権限があるようなないような、すべてはやっぱり国のほうへ、こっちのほうへ持ってこなければならぬというようなことがずいぶんあるのですね。そういう場合に、いまのような形のままにしておいて、こういう連絡会議にそういう人たちを出席させ、構成メンバーにして、いろいろなことについて協議をさせるということが、これはもう事実上何もできないというようなことになりますね、ほんとう言えば。ですから、先ほど林委員も心配しておられますように、どれほどの効果があるのか、まことに私は心配だと思うのです。一つ逆の例としては、うんとそういう人たちが権限を持っておるのでは、北海道のような場合にこれは困ると思います。知事一人で、国の出先機関の長がたくさんおって、一体何がここでやれるのか。こういう問題もある。ちょっと例としてあげたのはおかしなようなことになりますけれどもね。ですから、ここに出てくる構成員になるこういう人たちの持っておる権限なり力なりというものが、一体いまのままでいいのか。私は端的に言って、はっきりさせなければ、ただ一堂に会してああでもないこうでもないと話をする場に終わってしまう、こういう心配があると思うのですがね。その点はどうですか。
  64. 山本弘

    政府委員山本弘君) 出先の権限が非常にあいまいであり、弱いために、地方において協議しても具体的にきまるものが少ないんじゃないかというふうな御意見でございますが、そのとおりだと思うのでございます。先ほども林先生からもお話がございましたが、まあ中央集権化の例の一つとしておっしゃいましたが、いわゆる中央出先機関強化の問題がございますが、また、一例を申しますと、たとえば昨年農政局は、相当の権限を地方農政局に移しております。また現在国会審議されておりますところの建設省の設置法におきましては、相当な権限を地方建設局に委譲するというふうなことを考えられておるように聞いておるのでありますが、そういった場合におきましては、この地方行政連絡会議の場は、これだけ多くのものを決定し得るということにもなろうかと思うのであります。そしてさらに原則的にわれわれは考えるのでございますが、出先もそうでございますが、地方公共団体側といたしましても、処理し得るいわゆる行政事務の権限があまりにも少ないというところが、中央依存主義にもなる弊をもたらしておるわけでございます。現在地方制度調査会あるいはまた臨調においてもそうであるのでありますが、いわゆる機能と責任の明確化という意味で、行政事務の再配分について慎重な検討をいたしておるのであります。現地主義と申しますか、広域行政——最も地域住民に関係のある広域行政というものが、やはり現地において解決されるように、しかも地域住民の創意と責任において解決され得るような、合理的な行政事務配分が望ましいわけでございます。そうした場合においてこそはじめてこれがほんとうの効果を発揮するんじゃないかというような御意見にもなると思いますが、まことにそうであるのでございますが、現段階においては、なるほど各出先機関が権限が少ない。また、あるいは必ずしも同一の権限を持っておるわけではない。そういうものが集まっただけではというお話もございますが、広域行政協議方式による解決という一つの道を与えることによりまして、府県中心地方自治ブロック化と申しますか、これを促進するという一つの基本的な体制をとるということが、今後の地方における広域行政運営の大きな柱になっていくんじゃないか、かように考えまして、この地方行政連絡会議運営につきましては、われわれもこれが成立した場合におきましては実効があがり得るように最大の努力をいたしたい。そしてまた運営いかんによっては、非常に弱いようではありますが、効果も期待し得るんだという確信のもとに御審議を願っておるわけでございます。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連ですから、私あとやめますが、あなた方の考えておることについては一応わかりますが、広域行政をやっていくための、いわば一つの前提になる地ならしをこういうところでやっていきたいということなんで、まあことばは少し悪いですけれどもね、それはわかりますが、私もある意味においてはそういうことが必要だろうと思うのです。ただしかし、その場合に、地ならしといいますか、お互いの考え方を、あるいはまたいろいろな各地における条件等も異なるそういうところにおける行政のやり方というものについての意思統一をはかられる、こういうことをねらうにしても、山本さんの言う総合的に、一体的にという、こういうことが中心なようでありますが、しかし広域行政といっても、一体、総合的、一体的とは何か。あるいはあらゆる行政についてそれを一体化していくというのか、総合的にやっていくというのか。あるいは何かの仕事を、たとえば水資源の問題なりあるいは交通問題なり——私はやはり実際の行政というものはもっと具体的な形であらわれてきていると思うのですね。また、しなければならぬと思う。そういうものの一体性というのか。これによって会議運営というものは、ここに掲げられたような、こういうかっこうでは私はうまくないと思うのです。この会議に出て、こういうような出先機関が出て、全然ものも言わないし関係もないしということで、何べんも帰っていく人がこれは出てきますよ。それはたとえばある地域にわたっての、いわゆる地域開発総合開発というようなことになりますと、問題はまた別ですが、そういうことだけではないのでしょうから、もっと私がいま言ったように、具体的な問題が、ここで、この場で、しかも一県だけでは処理できない、そういう問題が、ここで話題となり、協議されなければならぬのですよ。そういう場合に、いま言ったようにこれらのメンバーをずっと並べて、それでやったって、さっき言った権限の問題からいっても、何ともここではきめかねるというようなことにもなるし、また無関係の人方も、ただその会議の席を埋めているという、こういうことにならざるを得ないですね、私これはあとでまた全体的な問題として、私の番のときにお尋ねをしますが、どうも機械的にこういうものをずらっと並べて、そういう場で広域行政をやるための協議をするのだ、こういっても、これは非常に私は実際上うまくないのじゃないかということと、それから、それは私はこの別表にあるブロックの、こういう問題に出てくると思うのです。北海道で自治体の相互間の連絡協議をするのに、北海道だけ一つぽつんとやって、一体知事と国の出先機関だけが何のかんのやっていなければいけない。少なくとも二以上にわたるいわゆる広域行政のためにつくるこれは会議であるはずなんです。だから、そういう問題もあって、どうもこれを見ますと、形の上ではいろいろ整った形でやるようになっていますけれども、しかし、実際は期待した効果というものはあげれないようなことに、もう明らかになってくることだと思うのですね。これはまあしかし私の意見ですから、それ以上申し上げませんが、ともかくここに出てくる人たちの権限、したがって私は何もこういう人たちの権限を強くせいとかなんとかいうことじゃない。権限を明確にしておかなければならぬということですね。でないと、ああでもない、こうでもない、結局きまったようなきまらないような、きまったことであっても、これは中央との関係で一体どうなるとか、そういうようなことになりますから、そういうことについて、私はもっとはっきりする必要があるのではないかと思うが、その点についてもう一度ひとつ。それから山本さんがお答えになった、私の言うのは、根本的には、いまのような国と地方団体府県あるいはその他の地方団体との事務配分を、このままにしておいて、しかも権限をこのままにしておいたんでは、単なる集まって会議を開いたということだけに終わって、広域行政を発展させるとか、あるいはうまく推進するというようなことについては、ほとんど期待できないのではないかというように、これはまあしかし私の意見ですから、それについてはこれ以上申し上げませんが、ひとつこれらの持つ権限というものについて、どういうふうに考えておるのか、あらためて聞きたい。
  66. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 権限がまちまちの出先機関を集めて、それもたくさんの機関を集めて協議をしても無意味ではないかというお話でございます。私前に聞いた話でございますけれども、東京の道路はしょっちゅう掘り返していて満足に通れるときがないではないか、こういうことは一体だれがどういうふうに調整しておるのだというようなお話を聞いたことがございます。こういうふうに道路の工事一つとってみましても、今日の行政の面から申しますと、あるいは水道のために掘り返すこともございます、あるいは電話線を埋めるために掘り返すこともございます、あるいは電気の線を埋めるために掘り返しておる、あるいは下水道管の埋設のために掘り返しておるというように、いろいろのものが重なっておる、あるいは地下鉄の問題もございます。一方そういうことを問題にします場合には、水道行政、電話行政あるいは電気行政、下水道行政あるいはそれと道路行政、それと交通全体の体系をどう考えていくかというような問題がいろいろと重なっているわけでございます。したがいまして、道路を掘り返しているというただ一つの事実をとらえましても、ここに幾つかの関係ある行政機関と申しますか、事業主体と申しますか、そういうものがあるわけでございまして、もしもこれらの間において相互に連絡をとり連携をとりながら道路工事なりあるいは下水道工事なりというようなものを進めていくことができれば、東京の道路がいつも通れることがないというような非難を受けないで済むのではないかというふうにも考えられるわけでございます。そうなりますと、単に権限というだけの問題でなくて、一つの権限の中において仕事をやる場合においても、そのやり方、順序、あるいは相互に関連ある行政との連絡のしかたという問題がやはり問題になってくるのではないか、その辺の連絡協調がうまくとれれば、たとえ権限がそう強大なものでなくても、うまくいく行政というものもあり得るのではないかということも考えられるわけでございます。したがいまして、ブロック単位の問題にいたしましても、御指摘のとおり一つ行政がここに掲げてあります十の行政地方出先機関に全部関係するとは必ずしも限りませんけれども、お互いにそういう問題をある程度広い範囲でもって議論し協議をすることによって、自分たちはいままで気がつかなかったけれども、なるほどこういうふうにしたほうがお互い連絡がとれて円滑にいくのではないかという問題が、まだまだ私どもたくさんあるのではないかというふうに考えております。したがいまして、問題によっては先ほど山本事官からもお答えをいたしましたように、地域別分科会なり、あるいは問題別の分科会なりをつくって、あらかじめ下ごしらえをして、さらに連絡会議、全体会議にかけるということもございますでしょうが、要は、そういう問題がたくさん私はあると思います。そういうものを円滑に処理をしていくということによって、この連絡会議成果をあげていき得るのではないか、その成果を積み上げていくことによって、さらに権限の問題とかそういう問題について、中央解決すべきものは解決させるという方向に必ずいけるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 私関連ですからこの程度で……。
  68. 林虎雄

    林虎雄君 この法律案を提案いたしました自治省のお考えといいますか、意図というものは大体わからないでもありませんけれども、どうも全体を通じて見ますと、せっかく自治省地方自治の、特に広域行政の円滑な運営のために提案したこの法律案に対しては、成立しても成果がどうもあがらないのではないか、自治省意図するようなぐあいにいかないのではないかという、そういう点が懸念されるわけでございますが、なおこの法案の中に、たとえば「協議事項関係のある大臣は、必要があるときは、連絡会議意見を聞くことができる。」というふうになっております。おそらく自治大臣の場合には活発にいろいろ意見を聞く場合があろうと思いますけれども、他の大臣になりますと、はたしてこうしたことを、必要があっても連絡会議意見を聞くかどうか、特に最近の各省のセクト主義といいますか、縦割り行政強化されてまいっております現在として、自治大臣は別といたしまして、他の大臣連絡会議に必要なる事項に対して意見を聞くことが実際あるかどうかという点ですが、これは将来にわたってのことだから予想ですけれども、私はおそらくこれは空文に終わるのではないかと思いますが、そういう点どうですか。少し言い過ぎかもしれない、思い過ごしかもしれないけれども……。
  69. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほど来申し上げておりますように、この連絡会議において、具体的な問題について連絡会議を開くことにおいて成果をあげていくということの積み上げが実績として出てまいりますならば、やはり連絡会議というものが尊重せられるようになり、また、関係大臣も必要な事項については連絡会議意見を聞いて仕事を進めるというふうに、おのずからなっていくものと私ども考えております。
  70. 林虎雄

    林虎雄君 いま私が申し上げたことは、この原案を作成するにあたって、自治大臣各省間の調整に関する権限といいますか、調整に対する具体的な内容を持ったものがあったそうですが、それが各省で反対等があって骨抜きにされたというような経緯もあるようでありますから、したがってそういう心配をするわけでありますが、この点はお説のように連絡会議が活発な、国を動かし得るようなよい結論を得ていけば、おのずからそういう点も解決するという見方もありますけれども、私は、現在においてはおそらく各省大臣は、自治大臣を除く各省においては、どうも連絡会議を軽視する方向考えられてしかたがないわけでありますが、それは将来の問題でありますからその程度にいたしたいと思います。どうも全体を通じて見まして印象づけられますことは、法律案の内容はたいしたことはない、しかも具体性を持っておらないということでありますから、成果もおのずからそう大きなものはあがらない、むしろきわめて予期したものとは違ったような方向にいくのではないかということが予想されるわけでありますが、こういうことは最初の原案が修正——閣議等において変えられて、かなり弱体化されたといいますか、骨抜きにされたといいますか、そういう内容を持っているように伺っているわけですが、そういうことを百も承知で自治省のほうでは提案をされたということであろうと思います。要するに、承知しながらもこういったものを提案したということは、私が最初お尋ねいたしましたように、いわゆる地方団体立場から、地方自治を守る立場から、将来に備える親心というようなものがあって、そういう将来に対するおもんぱかりによって出したとすれば、また意味は別でありますが、先ほどこの点についてはある程度お答えになりましたので、重ねてはお尋ねはいたしません。  なお、これに関連いたしまして承りたいことは、行政局長さんに伺ったほうがいいと思いますが、現在の府県合併論等のいわゆる広域行政のムードが高まっておることは御承知のとおりであります。そこで、いろいろ法律案等も検討されておるようでありますけれども地方自治を守るという立場にあります自治省とすれば、将来のあるべき地方自治体の姿といいますか、主として府県のあるべき姿はどういう形が好ましいとお考えになっておりますか。これは局長さんの私見でもけっこうですから、たいへん府県合併問題がいま部分的には動いておりますが、この点に対して局長さんのお考えを承りたいと思います。
  71. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 冒頭にも申し上げましたように、自治省といたしましては、現在、今後さらに掘り下げて検討していこうということでございまして、まだ結論を申し上げる段階になっておらないのでございますが、私の私見でもということでございまするが、広域行政の問題を解決する方式といたしましては、いろいろな方式があげられておるわけでございます。臨時行政調査会等からは、国の地方出先機関を統合いたしますことによりまして、府県を越える広域的な開発行政の処理をやっていこう、こういういわゆる地方構想というようなものが出されたことがございます。そういう考え方と、それからいま一つは、地方公共団体府県強化することによって対処していこうという方式でございます。府県連合あるいは府県合併というのがその方式になろうと思います。それからまた、それらいずれにも関連いたしますけれども、計画の策定を広域的に行なっていくということによって広域行政の問題を処理していこう、こういう考え方もあるわけでございます。各ブロックごとに何々地方開発促進法、あるいは近畿圏整備法、首都圏整備法のような広域にわたる計画をそこで作成をする、実施はそれぞれの従来の国、地方公共団体の各機関が当たっていく、こういう考え方があるわけでございます。  私の考えでは、その第一番目の、国の地方出先機関強化することによって解決をしていこうという方式は、府県広域的地方公共団体としての機能を弱めるおそれもあるわけでございますから、その方式はとるべきでないという考え方をいたしております。  それから第二番目の、府県の能力を強化する方向での方式でございますが、これはこの方式をぜひとるべきである、ただ、府県中心といたしまして、その能力を強化拡充する方式と申しましても、一番端的なのが府県合併でございますが、府県合併につきましては、いわゆる広域行政を処理をするという点からだけ考えますると、合理的な面があるわけでございまするが、府県という地方公共団体は、いわゆる広域行政もその他の行政も、いろいろな行政をやっているわけでございますし、また地方公共団体という性格からまいりますと、ただ広域的行政の能率的な処理という観点からだけ問題を考えるわけにはいかない、いろいろな要素を考えていかなければならないというようなことからいたしますと、この合併方式につきましても、よほど綿密な、現実に即した資料を整えました上で検討して結論を出していかなければならないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。かりに府県合併が、機が熟しまして自主的にできるようなことが期待できるといたしましても、これは全国的に申しますと、ごく一部の区域に限られるのではなかろうかと思うのでございます。そういたしますと、全国的な普遍的な広域行政に対処する方式といたしましては、やはりただいま御提案いたしておりますような地方行政連絡会議というような連絡協議の方式をつくっていくということ、あるいは府県連合という構想も、冒頭申しましたように、なおいろいろ検討しなければならない点がございますけれども、何かそういう一つの、府県中心になって共同で処理をしていく方式、しかも府県自治強化する方向で協同をしていくという、そういうような共同処理の方式というものも、これも検討する必要があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、府県の広域的公共団体としての能力を強化し拡充する方向で問題の処理を考えていくべきだという考え方をいたしているわけでございます。  それから第三の、広域的な計画を立てる、実施はそれぞれの団体にゆだねていくという方式でございますが、この方式は、これはやはり併用をしていく必要があるのではなかろうかと思っているわけでございます。ただ、この計画を立てます場合に、その計画を立てます機関を国の機関にするということにつきましては、これは問題があるのじゃなかろうか。首都圏、近畿圏につきましては、国の機関府県を越える広域的な開発計画の策定の責任を持つことになっておりますが、これは首都圏とか近畿圏とかいう特殊な事情を考慮されてそのような法律が制定されたことと思うのでございますが、一般的に申しますと、本来府県中心になって計画を立てていく、必要があればさらにそれに国の出先機関が加わって計画を立てていくべきであって、その計画を国の機関をつくって、それに立てさせていくということにつきましては、地方自治立場から考えまして、いろいろ問題があるように考えているわけでございます。  なお、ついでに申しますと、臨時行政調査会から広域行政に関する報告が、まだ案でございますが、先般出されたのでございます。その案によりますと、中央につきましては、中央各省庁に分散をいたしております開発計画の機能を一つ機関に統合する、地方につきましては、都道府県と国の出先機関とが審議会をつくって、そこで連絡協議をしていく、こういう方式が一番いいという指摘をいたしております。私も、その考え方が比較的実情に合っているのじゃなかろうかと思うのでございますが、そこで、都道府県地方出先機関とで連絡協議の審議会をつくるということで、大体この地方行政連絡会議構想と同様の趣旨のようにも思うわけでございます。
  72. 林虎雄

    林虎雄君 現在進んでいるかは別といたしまして、話題になっております府県合併でありますが、たとえば大阪を中心とする、それから東京都を中心とする、それから愛知県を中心とする三つの府県合併ということが一応取りざたをされておりますが、この動き関連をしまして、府県合併促進法案というものが企図されたように伺っておりますけれども、現在、自治省で調べられましたこの三つの府県中心とする合併への動向、見通し等はどんな状態ですか。
  73. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいまおあげになりました三つの地域につきまして、私ども聞き及んでおります範囲内においてお答え申し上げます。その中で、一番合併の利害得失に関しまして調査を進めておられますのが愛知、三重、岐阜の東海三県でございます。ここでは、数年前から東大の田中教授を長とされまして、学者の方々に実態調査を、中部経済連合会が主になりまして御委嘱されております。その報告が昨年出されたのでございますが、たいへん綿密にいろいろな面についての資料をまとめておられます。それをもとにされまして、中部経済連合会がたいへん積極的に府県合併を推進されておりますが、関係の県におきましては、愛知県は賛成をされておりまするが、岐阜県は、知事さんは反対をされておりますし、三重県の知事さんは、それにつきまして大体賛成の意向のようですが、なお、各県議会におきましては、それぞれいろいろな御意見があるようでございます。一般の世論と申しますか、これにつきましては、言論機関はかなり積極的な御意見を持っておられる方も多いようでございますが、まだ住民全体として気運が盛り上がってきているという段階には至っていないように聞いております。それから阪・奈・和の三府県でございますが、これにつきましては、昨年の当初から関経連などが中心になりまして、非常に強力に、積極的に合併の機運を進めてきておられますし、新聞等にあらわれましたところを見ましても、かなり積極的な論調が出ております。ただ、これも関係府県におきまして、大阪の知事さん、大阪の市長はもちろん積極的に賛成されておりますが、大阪の府議会は必ずしも全部が賛成という意向でもないようでございます。奈良県はかなり慎重な態度をとっておられるようでございます。和歌山県は、知事さんはたいへん積極的に賛成されておりますが、そういう状況で、これも関係の住民の間で合併機運が盛り上がってきておるというところまではまだいっていないように思います。それから東京都近辺におきましては、東京都と山梨県、埼玉県と合併したらどうかというような御意見を一部の方々から私も伺っておるわけでございますが、これはほかの二地域に比べますと、さらにまだ機運が熟していない、ごく一部のところでそういう意見が出ているというふうに聞いております。
  74. 林虎雄

    林虎雄君 いま三府県中心とします合併動き等について詳細にお答えをいただいたわけでありますが、いま話題になっておりますこれらの合併については、比較的早くできるところもありましょうし、時間のかかるところもありましょうし、あるいは話だけで、まとまらない結果になるところもあろうかと思いますが、いずれにしても、これらが具体化していけば、実現すると仮定すれば、この三府県中心といたします府県というものは、非常に巨大なものになることが予想されます。行政的にも財政的にも非常に力が強化されることになるわけであります。そうなりますと、他の府県との格差といいますか、非常に大きな差がついてくる。したがって、いま局長さんのお話にありますように、他の残された府県といいますか、それらについては、よほど自治省も三府県合併とにらみ合わせて、府県行政、財政の強化といいますか、あり方について考えていただかなければならないと思います。その方法として、府県連合共同処理方式というようなお答えもありましたが、かなりの差等を他の府県に対して行なっても、なおかつ、ただでさえ大きな東京、大阪、中京を中心といたします府県が、もうマンモスのようになってしまう、他の府県はますます現状のまま、あるいは以下になるおそれもありますので、これに備える自治省考え方といいますか、現在のところ、連絡会議、その次に府県連合等を考えておられるようでありますが、さらに、府県連合程度ではどうにもならないというようなそういう事態も予想されるのではなかろうかと思いますが、三府県合併した場合、他の府県との格差が開き過ぎるということに対処するもっと積極的な考えは何か持っておいでになりませんか。
  75. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 三地域につきましても、私はそう簡単に合併が実現するものとは考えられないと思っております。また、それぞれ合併したほうがいいかどうかにつきましては、なおいままで出ております御議論のほかに、もっといろいろ掘り下げて検討しなければならない問題点もあるように思うのでございます。ただいま先生の御指摘になりましたように、ただ社会的、経済的に密接な関係があるからといって、あまり膨大な地方公共団体になりましても、地方公共団体としては、はたしてそれが合理的かどうかということにつきましても問題がございましょうし、ある地域と他の地域における格差をどうするかというような問題もあるでございましょうし、いずれにいたしましても、そう簡単に府県合併というものが実現するというふうには現在のところ考えられませんし、また、かりに今後検討をいたしました結果、府県合併が望ましいというような結論が得られましたといたしましても、それは全国的に、画一的に、ちょうど町村合併を行ないましたように、一つの計画のもとに合併を推進すべきものだとは私ども考えていません。府県につきましてそのような合併の強行というようなことは、これは避けるべきことであるし、また、実際、現実にもそんなことができるはずのものではないと思いますし、そういたしましてどれだけの利益があるかということにつきましても、いろいろ問題があると思うのでございます。そこで、ただいまの段階におきましては、したがいまして府県合併を前提といたしまして格差の解消をどうするかというようなことまで私ども検討は進んでおりませんので、お答えもまだ申し上げるところまで至っておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  76. 林虎雄

    林虎雄君 最後に承りたいことは、昭和三十二年に地方制度調査会から答申がありました地方制度改革、道州制の問題ですね。それを現在自治省としてはどう考え、どう取り扱おうとしておられますか。地方自治立場からいけば非常に大きな問題でありますだけに、答申がそのままになっておるというふうに見えるわけでありますが、自治省の現時点における考え方といいますか、取り扱いについて承りたいと思います。
  77. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 昭和三十二年の地方制度調査会の答申は、御承知のようにいわゆる道州制と称せられますものが答申の内容になっており、少数意見といたしまして三、四府県の統合論が添付されておるわけでございます。しかも、これの調査会における審議の経過を見てみますというと、いわゆる道州制も、いわゆる府県統合案も、両方有力な御意見が対立いたしておりまして、最後の総会におきましてわずかの差でいわゆる道州制論が多数でございまして、それが答申の本文になり、府県統合論が少数意見として添付された、かような経過になっておるわけでございます。そこで自治省といたしましては、地方制度調査会の審議の経過も十分考え、そうして慎重にこの問題に取り組んで現在に至っておるわけでございますが、現在におきましての自治省考え方といたしましては、このいわゆる道州制案をとって、これを実現していこうという考え方は持っておりません。府県区域の狭いことにつきましては各方面の論議のほぼ一致している点でございまするし、広域行政の能率的な処理方式ということにつきましても、これも指摘されておるところでございますが、かりにそうした観点から問題を取り上げるといたしましても、道州制の考え方ではなしに、府県統合の少数意見のほうの考え方で進むべきじゃないか、かような考え方につきまして、ほぼ省内の意見も一致しておるわけでございます。ただ、これも府県合併をどのようなふうに今後扱っていくかにつきましては、たびたび申し上げておりますように、なお十分慎重に検討した上で結論を出すべきだ、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して一言。佐久間さん、いまのあなたの府県合併に対する林委員のお尋ねに対してのお答えですね、これは自治省全体としてそういうふうに態度をきめておるということでお聞きしたのですが、そういうふうに受け取っておいてよろしいのですか。というのは、あなた個人、まさかここで個人的なことをおっしゃりますまいから、いま言ったようなお聞きのしかたをしたのですが、たとえば佐久間さんのほうの立場で、局でそういうふうにいまのところ考えているのだということなのか、自治省として、府県合併に対する考え方は、現在のところこうなんだ、こういうのであるのか、そこをひとつお聞きしておきたいと思います。
  79. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この地方制度調査会の答申のございましたいわゆる道州制案を実現するという方向で……
  80. 鈴木壽

    鈴木壽君 その前の府県合併に対する、林先生が例をあげて三地区のそれについてのお話と、それからもし合併されたような場合には巨大なものができて、他の府県との間の格差が生ずるのじゃないか、それに対する対策があるかどうかということをお聞きした際にお答えになった、あなたの府県合併に対する御答弁ですね、これが一体自治省としてそういうふうに考えておられるのか、いまの態度はこうだ、こういうこととして聞いてよろしゅうございますか、こういうのです。
  81. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 府県合併についての結論的なことは、冒頭に申し上げましたように、今後十分慎重に検討をした上で結論を出したい、こういうのが自治省としての態度でございます。で、先ほど申し上げましたのは、三地域についてどういう状況、動きになっておるかというお尋ねでございましたので、そのお尋ねについて私の承知しておる範囲で申し上げましたことと、それからなお、かりに三地域につきまして合併が実現した場合に、他との関係がどうかというようなことについてのお尋ね以降申し上げましたことは、まだ現在私のところで検討をいたしております段階におきましての私の感想を申し上げたわけでございます。
  82. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。  次回は五月二十六日火曜日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会