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1964-05-12 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)    午前十時四十分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            熊谷太三郎君            沢田 一精君            館  哲二君            鍋島 直紹君            占部 秀男君            鈴木  壽君            辻  武寿君            市川 房枝君   衆議院議員    発  議  者 渡海元三郎君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    自治省行政局振    興課長     森   清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○行政書士法の一部を改正する法律案衆議院提出) ○大規模公有水面埋立てに伴う村  の設置に係る地方自治法等の時例に  関する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに、行政書士法の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。衆議院議員渡海元三郎君。
  3. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ただいま議題となりました行政書士法の一部を改正上する法律一案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表してその提案理由並びに内容概要を御説明申し上げます。  まずこの法律提案理由は、最近、行政事務がますます複雑化する傾向にあることに伴い、行政書士資質向上義務の適正な執行を確保することにより、それを利用する国民の便益に資することを目的とするものであります。  次に、その内容は、  第一に、行政書士義務の範囲を明確にするため、行政書士が作成する書類の中に、実地調査に基づく図面類を含むものとすることであります。  第二に、行政書士資質向上をはかるため、国または地方公共団体行政事務を担当する公務員として在職したことにより行政書士となることのできる者の資格を取得する期間を現行八年から十二年に、高等学校卒業者等にあっては現行五年から九年にそれぞれ引き上げようとするものであります。  第三に、行政書士の業務の安定とその適正な執行を確保するため、非行政書士等の取り締まりに関する規定につき、所要の整理を行なおうとするものであります。  以上が行政書士法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎垂御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本案についての質疑は次回に譲りたいと存じます。   —————————————
  5. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に大規模公有水面埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案議題といたします。  前回に続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。
  6. 辻武寿

    辻武寿君 八郎潟干拓に関する入植者は、地元民のほうはほとんど皆無に近い状態である、要望がないということですが、その事情について、どういうわけでそうなのか、政府見解をお尋ねいたします。
  7. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 八郎潟干拓をいたしまして、本年度中に約六千ヘクタールが千陸をいたすことになっておりますが、したがいまして干陸ができません間は、そこに居住する者もないわけでございます。干陸が進むにつれて、あと工事関係者が逐次入ってまいります。それから四十二年から本格的に入植者入植を始めることになっておりますので、そのときから本来の意味での住民というものが生ずるというふうに予想をいたしております。
  8. 辻武寿

    辻武寿君 中央干拓入植するとすれば約二百万円程度資金が必要である。これは政府でもそういうふうに思っているわけですか。
  9. 森清

    説明員森清君) 八郎潟入植につきましては、まだその具体的な内容が定まっておりませんので、いかほどの資金をそのとき要するか、あるいはその資金をどのような形で調達させるかというふうなことについての詳細はきまっておりません。
  10. 辻武寿

    辻武寿君 私が聞いたところでは、そういうような話でした。  それから現在までの土地ですね。もし中央干拓地入植するとすれば、現在の土地家屋並びに田畑等を売却して本格的に入植することになる、将来の保障等が判然としない今日においては、将来農業経営について踏み切るだけの意思がなかなか出てこない、こういうふうな地元民の声なんですが、そういうことに対しては、これから先どういうふうに政府は考えておられますか。
  11. 森清

    説明員森清君) 直接の責任は農林省でございますが、参っておりませんので、私の存じておる限りのことを申し上げます。  営農の形態につきましては、ただいま研究をいたしております。また、入植開始前に実験農場もつくりまして、またそこで営農の実際の実験をする。さらに入植を予定される人をそこへ入れて訓練をする。そういう過程を経まして営農に自信を持ったときに本格的に入植をするということでございますので、なお今後そのような実験を積み重ねていって、将来の営農について十分な成算を持って入植が始まるものと、このように承知いたしております。
  12. 辻武寿

    辻武寿君 そういう将来のことについて安心感を与えてあげなければ、私は入植に踏み切れないと思うのです。この間八郎潟のほうで地震があって新聞にも出たが、非常に地割れがひどかった、そういうような場合にはすぐまた作物、生活にも影響してくるわけですが、ああいった場合には直ちに貸し付け金でもしてあげるか、そういったようなあたたかい保護の手がないと、新しい土地というものは特にいろいろのことが起こりがちなんですから、そういうことに対して十分な心がまえと方策というものを立てていかなければ、なかなか完全な入植事業はできないと存じますが、こういうことについては大臣の御見解はどうなんですか。
  13. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 新しい干拓地に入る場合には、やっぱりそういう不安が入植者には伴うのは当然である。私はかつてオランダのゾイデル・ゼーの干拓地を見に行ったわけですが、ここでも政府のほうでいろいろの作物を試作していまして、この干拓地には何が適作であるかということを十分検討した上で入植させておるようでございますが、八郎潟の場合もやはり同じであると思います。やっぱり入植希望者はその成果というものをよく見て、自分判断をして入るわけでございますので、私は危険はないと思っております。自分でそろばんをはじかれるわけですから。ただ、おっしゃるように何せ新しいところだから思わぬ事故が起こった場合どうするかということでございますが、まだいまのところ、やりそこなったらこれだけは出してやりますということを、いまきめる段階ではないと思います。事実そういったことが起こりました場合に、これは当然国のほうでいろいろの心配をしてやる、かように考えております。
  14. 辻武寿

    辻武寿君 先日のような地震でああいうふうな地割れがあり、地盤が陥没するということになれば、これはうっかり入植できないぞという気持ちになるのは人情だと思うのですね。ですからこういう点、将来の保障というものを考えて事を運んでもらいたい。  それから、これは碧南地方の開拓であったということを私は聞いたわけでありますが、割り当て耕地面積が少ないから現金収入が非常になくて借金が返せない。五十万円借りて、住宅資金等で五十万円、百万円借りたのがいつまでたっても返せないでたまっている。それから新しい土地地元民に割り当てることについて、漁業組合ボスがおって、そのボスがどういうふうなからくりをしたのか、手続をしたのか知りませんけれども、入植者名義で、他人の名義で実際はボス土地を一部使っておるということがあります。まああまりいいことばではないけれども、ピンはねをしているということがある。そういうことが事実碧南地区で問題になっているということを聞いたのです。こういうようなことがまた将来秋田の八郎潟干拓地などで同じようなことがあり得るのではないかということを心配するわけです。そういうことについて、政府検討したことがあるのかどうか。
  15. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そういう事実があればもちろん農林省当局では検討しておるはずでございますので、そのほうの委員会で明らかにしていただきたいと思っております。
  16. 辻武寿

    辻武寿君 これは農林省だけでなくて、自治大臣のほうでもよく連絡をとって、そういう干拓事業の場合には、あとが正しく行われるように、そして、そういう入植した人が全部全国から来るのでしょうけれども−来てよかったというような結果にならなければ、政府に対する不信の念が起きる。そういう点、くれぐれも注意をして貸し付け金制度とか、あと事故があった場合の保障等も考えて、またそうしたボス等に左右されることのないような状況になるよう、県でも国でもよく注意をして、干拓事業が完全に行なわれることを私は要望します。  きょうはこれだけで終わります。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 まず最初に、あと大臣にもちょっとお聞きしたいと思いますが、最初に、この新しくできた村の財政の問題で、どういうようになるのか。たとえば税の問題にしろ、あるいは国からの交付税等の問題、いろいろあると思うのでありますが、こういうことについて、いまどのようにお考えになっておられるのか、それをひとつお聞きしておきたいのですが……。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 新村ができましてから、当初におきましては入植者につきましても担税力があまりないであろうと思いますし、新村財政につきましても、財政力がほとんどないという状態であろうと思います。したがいまして、その間の新村のいろいろ事業に要します財政上の措置につきましても支障のないように十分配慮をしていかなければならないと考えております。いま理論的には交付税で計算をいたしまして、足らないところは、さらに特別な需要につきましては特別交付税で見ていくというような、通常方式がまず考えられるわけでございますが、さらに新村発足後の実情に応じまして、必要な検討をいたしてまいりたいと思っております。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在のところ、そうしますと、財政上の問題についてはどのようになるか、あるいはどのようにするつもりなのか、はっきりしておらないということでございますね。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 前回農林省当局から答弁もございましたように、新村といたしまして道路学校その他必要な公共施設建設につきましては、もし事業団が新設されれば、便宜それに委託をして、実施をしてもらおうということは考えておりますが、その他の通常経費につきましては、先ほど申しましたような通常方式でまず考えて、おそらく新村が発足いたしますと、通常方式ではいかないいろいろな事情もあろうかと思いますので、そのときの事情に応じてさらに必要な検討をしてまいりたいという考え方でございます。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 通常方式と、こうおっしゃるんですが、しかしまた通常方式だけではやっていけない、そういうものについては、実際に村ができて、そのいろいろな仕事の面から、実情をよく見た上で方途を講じていきたい、こういうお話のようでありますが、いまのところ考えられますことは、かりにこの法案が通っていきますと、八郎潟のような場合には、とりあえず七月とか八月には新村設置ということにならざるを得ないと思うのであります。しかし住民もほとんどおらない、こういう形なんですが、かりに来年度になっても多少の入植者なりあるいは事業関係者等が入ったにしても、通常の村においての予想せられるいわゆる税負担というようなことになりますと、これは簡単にはいかない。そうしますと、これは交付税ということになるというふうなお話でありますが、交付税も、かりに三十九年度の場合だって、これは村ができてやっているからには、交付税の対象には一応なるといたしましても、来年度になるとまたすっかり様相が違ってくる、入植者あるいは事業関係者等居住者のいろいろな状況によって非常に、何といいますかね、とらまえにくいんですね。はっきり交付税にのっけるにしても、なかなか算定の上に、数字的なものをはじき出すということになりますと、むずかしい状況が出てくるのじゃないか、こういうふうに思うんですがね。ですから、こういう点に対して、そのときになって考える、あるいは普通の交付税で足りない部分は特別交付税によって考えるのだ、こういうふうにおっしゃるようでありますけれども、いま少しくそういうことに対して、やはりいまの段階でこまいことはともかくも、ある程度予想を立てておく必要があるのじゃないかと思うことが一つ。  それからいま一つは、御説明の中にありました事業団ができて、いろいろな公共施設等事業団の手によってつくられていく、この場合に、当然村でやらなければならない役場の庁舎なりあるいは学校なり、その他の施設等を、二点を取り上げてみましても、これはただ事業団委託をしてやるのだといっても、経費負担区分が一体どういうふうになるのか、全部これを村でもって持つということになるのか、あるいは村で持つ場合にどのような形で村で持っていくのか、起債とかいろいろあるでしょうけれども、そういうものを一体どうするのか、これはもう少しやはりいまの段階で明らかにしておくというか、皆さん方のこれからこういうふうにやっていきたいという一つ方途方法というものを、やはり明らかにしてもらいたいと思うんですがね。出たとこ勝負でそのときになればそのとき考えるでは、これはやはりおかしなことになると思いますから、その点についてもう少しお答えいただきたいと思います。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 第一の点でございますが、新村が発足いたしますると、さっそく仰せのとおりの事情になろうと思います。さしあたり必要といたします役場の諸経費でございますが、職員につきましては、職務執行者はじめ県の職員を充てることになりまするので、これの人件費県費負担をすることに考えております。そういたしますと、そのほかの事務費につきましては、当初はそうたいしたこともなかろうかと思っておりますが、しかし収入のほうも御指摘のようにわずかしか期待ができませんが、それで足らない分につきましては、交付税特別交付税でさらに措置をするという考え方をいたしております。  それから第二の点の道路学校などの公共施設でございますが、これは本来村が設置すべきものでございますが、前回いろいろ御質疑がございましたような事情から、営農関係施設をし、並びに指導等をいたします事業団ができますれば、それらの施設と一緒に関連をさせて建設をしてもらうことが何かと便宜かと思いまするので、それにいわば委託をするようなかっこうで建設をしてもらう、そしてその経費につきましては、地方債で長期にわたって償還をしていくというような方法を、ただいまのところ考えておるわけでございます。ただ、この事業団がどういうような機構でどういうような仕事のやり方で発足するかにつきましては、まだ農林当局と十分打ち合わせをいたしておりませんので、まだはっきりといたしたことまではわかりませんが、大体そういうような考え方をいたしておるわけでございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 当面の村役場仕事といっても、これはたいしたことはございませんが、その場合のいわば吏員といいますか、職員についてのやはり人件費等は、これはもともと県の職員ということでございますから、これは県費で持ってもらう、こういうことでございますが、その場合に、じゃ県に対して一体どうするのか、県に対しては何かまた特別な、この分に対する人件費等の、県が持っておる分に対して国が何とかの方法で見てやるとかいうようなことは、これは考えておられるのですか。それともこれは県独自の裁量でやれ、あるいは県独自の経費でやるんだ、こういうことになりますか、その点どうですか。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは特別な財政需要になりまするので、特別交付税措置するということを考えております。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきも申しましたが、当面考えられる村の収入というのは、これは交付税しかないと思いますね、一年あるいは二年あたりまでの間は、この点はどうです。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) いろいろな工事関係機械等も入りまするので、それらの償却資産に対する固定資産税収入も若干期待できると思っております。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 工事関係で、干拓され、干陸されたその土地のいろんな工事機械が入る、その機械からのいわゆる固定資産税というものも入るんではないか、こういうお話でございますね。
  28. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に、固定資産評価というものは、どこでこれは行ないますか。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 新村で行ないます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 第八条によりますと、固定資産評価審査委員会というものも置かない。それから八条の二項を見ましても、固定資産評価審査委員会は、他の選挙管理委員会とかあるいはいろいろなそういう委員会等は、それぞれどこかへ委託したりなんかして仕事をやれるような規定になっておりますけれども、固定資産評価審査委員会仕事委託なり、実際に仕事をするというようなものについては、何らやっておりませんが、そうしますと、新村において行なうと、こうおっしゃいますけれども、新村では、その職務執行者なり、それから県から派遣されたような職員が実際にそういうことをなさると、こういうことでございますか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 この法文からしますと、次のとおりにならざるを得ないと思うのですが、なぜ固定資産評価審査委員会だけは、さっき計ったように、他の委員会等においては、それぞれたとえば県の段階において委託をするという形をとっていながら、これだけは除外したのはなぜです。
  34. 森清

    説明員森清君) 固定資産評価審査委員会という制度は、固定資産に特有な異議申し立てに関する制度でございまして、この制度を設けましたゆえんのものは、土地家屋償却資産につきまして相当大量に処理しなければならない、しかも二度評価額を決定いたしますと、それに基づく賦課処分が行なわれるわけでございますが、その賦課処分段階異議申し立てをやるよりか、評価段階であらかじめ適正に決定して、法律的に争いのないものにしておくということが能率的であるという趣旨から設けられた特別な制度でございます。したがいまして、新村において予想される程度のことでございますならば、それぞれの賦課処分が行なわれましたときに、その賦課処分に対する一般通常争訟制度異議申し立て制度を使っていけば十分足りるのではないか、あらかじめばらばらに評価額を決定しておくという機構をつくらなくても十分やっていける、こういう判断で、この固定資産評価審査委員会というものは置かない、このようにいたしたわけでございます。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、私は固定資産評価審査委員会というものの制度が置かれておるという、こういう趣旨からいって、かりにこういう他と違うような、いわば新しく誕生する村でございますから、一がいには、すでに発足しておる市町村と同列には見られないにしても、そういう制度というものを全然抹殺してしまうようなことについては、これはどうですかね。たとえば人事委員会なんかの仕事までも県に委託していますね、一体、新村の場合に人事委員会のことでどういうことがあるのか、一方には県の職員がそこへ行ってやっておるだけ、もう最初の一、二年の間に人事委員会で取り上げなければならぬというような仕事が一体どこにどれほどあるか、しかし、そういうことすら一応やっぱりたてまえ上設けなければならぬと、しかし設けるといっても、その村ではそのまま置くということはできないということから、県の段階事務をやってもらうと、こういう方途をとっておりますね。私はやはりそういうふうな行き方というものは必要だと思うし、特にそういう固定資産の問題では、いま言ったように、評価新村職務執行者なり、二、三のそこの職員がやるんだ、あとそれで終わるんだと、こういうことでは、やっぱりおかしいと思うんですがね。その点、御説明がせっかくありましたけれども納得できないんですが、どうです、その点。
  36. 森清

    説明員森清君) 鈴木委員の言われました固定資産評価を適正にするという面でございますが、これにつきましては、一般市町村につきましても固定資産評価委員会というものを設置いたしまして、それは市町村長の指揮を受けて評価を適正にやる。最終的には市町村長評価額を決定するわけでございますが、そのような制度が設けられておるわけでございます。したがいまして、相当大量に固定資産評価事務が生ずる、あるいは専門的な判断を要するということになりますれば、新村においてもこの固定資産評価委員会設置することができるわけでございます。しかし、通常考えますと、一般市町村につきましても、あまり件数のないようなものについては、固定資産評価員を置かなくてもいいというふうなことが法律的にも規定されておるわけでございますが、新村におきまして、たとえばもしも田畑等におきましても、これは国でつくります、何と言いますか、同じ程度の同じ態様の田畑ができ上がるわけでございますから、こういうものについても評価は比較的画一的にできるのではないか。あるいは、住宅等を建てましても、これは事業団が原則的に建てるものが大量でございますので、こういうものについても評価は画一的にできるのではないかというふうに考えております。また、償却資産につきましては、これは原則的には納税者のほうからの申告額がありまして、これに基づいて評価をいたすわけでございます。これにつきましても、機械装置等でございますので、それについて他の市町村が行なう程度評価事務というものが新村職務執行者あるいはそれを補助する県の職員段階で十分処理できるんではないか、このように考えた次第でございます。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきもちょっと言いましたが、公平委員会等仕事、どの程度あるというふうにあなた方予想しておりますか。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 職員身分は県にございまするので、身分に伴います事件はございません。ただ、勤務をいたします場所が村でございまするから、その勤務環境等に関係した問題につきましては事案が起こり得るというふうに考えております。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 事案は起こり得ると、実際に起こるかどうかわからぬけれども、私はきわめてまれだと思うんですがね。おそらくないだろうと思うんですが、しかし、予想としてはやっぱり起こり得るという前提に立たなきゃならぬと思います。そういうふうな点からして、たとえば固定資産評価審査委員会、めんどうなことは起こらぬだろうと、土地なんかでも画一的に区画を定めて国の手でやっていく、事業団の手でやっていくんだから、評価なんかもきわめて簡単だろうと、その間にいろんな問題は起こらぬだろうと、こうおっしゃるんですが、しかし、あそこの広い、一万五千町歩にわたる区域の土質が必ずしも一様でなかったり、いろいろな条件があるわけですね。これを一律にどこの区域における土地についても同じような評価で、きちっとやるというようなことは、私は実際としてはむずかしいと思う。たとえばあそこの水深が、いまの予想では深いところで五メーター、三メーターから三・五メーターくらいの水深だろうと、その程度になるだろうと、水面より下がったところになるんですね。しかし、一律にまっ平らなそういうところになるというわけでもないらしいです。多少高いところもあるだろうし、低いところも残る。低いところの中には、ひどいのがたくさんあるというようなこともいまいろいろ予想されておりますね。そういうところに、土地の条件というものは必ずしも——あの区画は新しい区画とは言いながら——同一ではない。土質なんかも多少違うというようなところも出てくるらしいんですがね。これは一つの例でありますが、予想から言ったら、だれもが異議の持たないような評価異議のさしはさまれないような評価をするんだと、こう私は必ずしも言い切れないと思うんですね。ですから、こういう一つ制度というものは、それは私は何も償却資産のことばかり言っているのではなく、一般的に言って、固定資産そのものについて、できるだけ適正にということをされる一つ制度でありますから、そういう一つのたてまえによって置かれる制度というものは、やはりどこかでやれるようなことをしておくことがいいじゃないだろうか、そういうようなことが実際に起こり得るかどうかということは、いろいろ問題があるにしても、やはりたてまえ上どこかで取り扱え得るようなことをしておくことが私はいいのじゃないか、そういう意味から言って、さっきから聞いている公平委員会の場合はこうするとかというようなことがあったら、やはりここでもそういうふうな措置をしておく必要があるじゃないか、こういう気持ちがいま強いのですが、その点あらためて伺います。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 鈴木委員のおっしゃいますことごもっともでございますが、確かに固定資産評価につきましても、理屈の上から申しますと、起こり得るとは存じます。ただ固定資産評価員は、これは必要があれば新村におきましても置くことができるわけでございまするし、それらの評価に対する不服の審査の機関でございまするので、他の公平委員会等の場合におきましては、村にありません場合におきましては、県にそれに相当する機関がございまするので、その県の機関に代行させるという方法をとったわけでございますが、固定資産評価審査委員会につきましては、それを代行させるに相当する機関が県にもございません。さりとて起こるか起こらないかわからない、かりに起こりましても、ほんの一、二しか起こりはせんかと思われますようなケースのために、わざわざ一つの機関を新村に経過期間の間に置くということも、全体のたてまえからいたしまして適当でないのでないか。新村機構というものは、必要な限度においてやはり簡素化していくということがよかろう、このような判断に立ったわけでございます。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 もちろんお話のように県の段階にそういうものがあるわけじゃないので、ストレートに県に持っていくということはできませんが、何かしかしこういうものを生かすようなことを考えておくほうがいいじゃないかと私は思う、たてまえ上。実際問題としてあり得るかどうか、あるいはそういうことは起こらないかもしれない。これは、いま、にわかにお互い先のことを予想して言っても、これはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、そういうものを置かなければならぬ、そういうたてまえだとすれば、私はどこかにそういうものの精神の生かされるような、この制度というものを生かしていくようなものを置くことが、やはり村が新しいとか小さいとか大きいとか、そういうことは別にして、私はやはり考えていくべきじゃないだろうかと思うのですが、何か便法はこざいませんか——便法というと少し悪いのでございますが……。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほども御説明申し上げましたように、この評価審査委員会は、相当大量にこういう審査を要する事案が起こりました場合に対処するための制度でございますので、この新村におきまして、かりに不服があり得るといたしましても、これは査定の際に争えば足りるわけでございますので、これは新村におきまして、職務執行者のほうにおきまして十分処理し得る。もし職務執行者の処理が適切を欠くようなことがございますれば、県におきまして十分指導をいたしまして、誤りなきを期することが可能であるし、また、そのようにいたすべきだと、さように考えておるわけでございます。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 職務執行者段階で、そういう、かりに不服等があった場合には、そこでひとつ十分配慮をしていくんだと——職務執行者というのは、村民、住民の忘恩によって選ばれたものでもなければ、いわば県の知事の任命された県の職員が行くんですから。私は、かっこうとしてはいい。そこでですよ、職務執行者で不服の点についてうまく処理できるかどうかというようなことについては、こういう職員のたてまえ上からいっても、私は問題があると思うのです。県の知事の任命の人間が、必ずしも、何といいますか、非民主的だというそういう意味ではないけれども、しかし、村民が、自分たちが選んだ人ではないですから……。で、たとえば、四百二十三条の、いまの固定資産評価委員会設置、選任等は、私は、やはりこれは、実際としてはあまりないかもしれませんけれども、しかし一つでも二つでもあり得る場合の予想として、こういう規定ができておると思うのです。ですから、やはりそういうものだったら、やはり新しい村であっても、こういうようなことをどこかで生かすようなことをやはりやるべきだと思いますですね。まあその点ひとつ……。これは幾らしゃべっておってもどうもしょうがないようでありますから、ちょっとあなた方と私この点については考え方が違いますですね。まあその点は、しかしやめましよう。  それから第二にひとつお伺いしたいのですが、私、新しい村の設置に伴っての法律について一番心配なのは、住民の自治というものが非常に制限されていることだと思うのです。住民の自治というものが非常に制限されている。で、将来、この法律が適用されるようなどういうものができてくるか、これはわかりませんが、少なくともいまの八郎潟干拓に伴なうこの村の設置を考えてみます場合に、これは当然おそらく、そのためにできた法律だろうと思いますが、何といっても、やはりいま申しましたように、選挙権もなければ、村のいろいろな行政運営、そういうものに対する住民の発言権というものは非常に制限されて、初めは何もないですからね、かりにその五年なら五年という間、年々入植者が入るとか、あるいは、その他の人が入るという、そういう状況であるから、最初のわずかの人はいいんじゃないか、こういう考え方もおそらくあると思うのですが、しかし、そういう場合であっても、少ない数の住民入植者であっても、その村の人なんですから、やはり、こういう人たちには、それぞれ発言権なり、村政に参与させる何か方途というものが、私は最大限やはり工夫してやっていかなければいけないと思うのです。それが何らない。すべて県の段階でやるとか、知事の承認を得なければならぬとか、県の議会の同意を得るのだとか、そういう形でだけ行なわれておる条例とか、その他の議決事項においてはですね。私はこれは根本的な問題だと思うのです。しかし、まあ、私も事情はわからないわけじゃないですから、最初に入ってくる人に、長いこれからの、何といいますか、村の運営なりいろいろなことに対する全部の権限を大幅に与えてしまうというわけにもいかないということもわかります。しかし、基本的に言ってできるだけ早い機会に、少ない住民であっても、いま言った自分たちの村としての権利なりあるいは自分たちの意思なりというものを反映するということがぜひ私は必要だと思う。そういう意味において、ここに自治大臣が選挙の日を指定するようになっておりますが、この指定の日について、八郎潟のいま村ができていく状況の中に、いつごろおやりになるというふうにお考えになっておるか、現時点においてですね。この点をまずひとつお聞きしたいと思います。
  44. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 先ほどからの御議論を拝聴しているわけですが、なかなか微に入り細をうがって、新しくできる村のためにずいぶん御心配をいただいているのであります。私どもといたしましては全く同感でございまして、ただ、なかなか新しい村づくりは容易ではないと思いますけれども、やはりこれは入植者の方々が、まあみずから築き上げていかなければなりませんけれども、一方こうして国会でも大体近い将来の状況というものを推定いたしまして、ここにこういうふうな計画を立てようとしているわけでございます。ですから不十分なことはあるかもしれませんが起こり得べきことは大体想定いたしましてこの法案に考えているわけでございますが、ただいまおっしゃいました意味では、まず日本の領土ですから、普通の日本国民としての公民権はもちろん十分行使なさる場合もあるわけですけれども、ただ自治ということになりますと、いまの現状では、何とも不十分だと言われればいたしかたない。たとえば住民がここへ十世帯おっても三十世帯おっても、新しい村は村だと言われればそれまででございますけれども、やはりまあ近い将来には三百世帯、人口にして一万人以上の者が入るといたしますと、大体いまの時期においてもほうっておくわけにはまいりませんので、大体本来の意味における住民と申しますか、最初のそういった意味での入植者が入りますのが、昭和四十二年に予定されております。ですから、そういう形になりましたらすぐ選挙をやらなければならぬと考えておりますし、状況にもよりますけれども、いまの段階では、そういう見当をつけている次第でございます。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ私は大臣のお考えわかりましたから、これ以上あまり申し上げないことにいたしたいと思いますが、この法律案をずっと見ましてさっき申し上げました住民のいわゆる公民権なりあるいは自治権というものはいろいろ制限があるということ、これが一番私は問題だと思っておったのですが、そこで「自治大臣が指定する日」というのは一体いつになるのか。まだわずかじゃないか、ことし入ったばかりじゃないか、来年まで待とうやというような、まあ少し俗な行い方で悪いのですが、そういうことでずるずるに延ばされるようなことがあっては非常に困ると、そういう点を私は心配をいたしておるわけなんであります。さればといって、法律でぴしゃっと、いつになったら指定をするんだということも、実はこの法律からしますと、なかなか書けない。対象が八郎潟だけでないでしょうから。将来またどこかに、めったにこういうことはないだろうと思いますけれども、どこかに出てくるかもしれませんから、いわば特殊な法とはいいながら、一般法みたいなところに、ぴしゃっと期日を切って書くということも不可能だとは思いますが、何かそういう点において私は心配です。ですから、これはいま大臣がおっしゃったように、これは三十九年度からですね。ことしから若干人が入って、もう入っていますし、来年度では相当何といいますか、いわゆる指導員みたいな者も一部に入れる、四十一年度では訓練生ということになるかもしらぬけれども、将来その村に定着する人が相当の数が入ってくるわけです。本格的な、いわゆる入植者としての営農関係のことになりますと、四十二年度でありますけれども。もう人が入るのは三十九年度で相当入って、いわゆる訓練を受けている。こういう状況ですから、その訓練を受けている人であっても、いま言ったように、これは定着するつもりで入ってくる人なんであります。数が三百か四百だから、これはどうでもいいじゃないかという考え方は、ぜひ私はとってもらいたくないと思うのでございますが、ひとつその点を、要望ということにもなりましたけれども、機を失しないで選挙等についての自治大臣の指定があるようにということを、ここで私申し上げておきたいと思うのですが、重ねて結論だけでよろしゅうございますから、にお考えを……。
  46. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 新しい村づくり、特に農民の開拓の場合、なかなかやっかいな問題があるでしょうし、県やまた国に対する要求もあることと思います。で、それを隣村に頼んでやるというわけにもいきませんし、新しくできた村が、じゃ県にどう呼びかけるかという、そういったことにつきましては、なかなか村自体がまとまることさえ容易でないと考えます。そこで最初から議会をつくることができておればいいですけれども、そこに至るまでの間が、やっぱり空白の時間があろうと思いますので、その際には、何かこの条例で審議会的なものを設けるとか、この住民がわずかでありましても、そういったことにあずかるような、御相談なさる機会をつくる、それがまた政治的にまた上級のいろんな機関ともつながれるような仕組みを考えていかなきゃならぬと思っております。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 私はこの選挙の期日の指定についてのことを、もう一度念を押すようにしてお尋ねをしたんでありますが、いまお答えいただきましたことは、第二の問題としてお聞きしたがったことなんであります。それは、この法律案の第六条におきまして「条例の特例」、あるいは第七条の「議決事項の特例」、こういろいろありますが、かりに、いま大臣がおっしゃったように、選挙が行なわれるまでの間といえども住民の意思といいますか、これをできるだけやっぱり村の運営に反映させる、やっぱり自分たちの村なんだ、自分たちで持っていくんだ、こういうことでやってもらわなければならぬと思いますが、そういうことについては、いま大臣は、何か協議会等のようなものをつくるということも考えられる、こういうふうなお話でございますが、この点はあれですか、指導としてどういう形を、じゃ具体的におとりになるつもりですか。自由にやりなさいというかっこうになりますか、それとも、いま言ったようなことで、何か協議会でもつくるとか、いずれ形は、あるいは名前はともかくとして、住民の意思が村政に反映されるような、そういう仕組みというものを考えたいとするならば、具体的にどういうふうに指導なさるつもりですか。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま大臣がお答えになりましたような御趣旨で、私ども結論は得ておりませんが、一つの案といたしましては、条例で新村が審議会的なものをつくりまして、そこで事実上住民の代表の人たちに集まってもらって、いろいろ御相談をするというような運営をさせるように指導をしたらどんなものであろうかというように考えております。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、そういうことについて具体的にあなた方の立場として指導する、あるいは県を経由するなり、何かの形ではっきりおやりになると、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。やったらいいということですか。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのような何らかの措置を講じたほうがいいというふうに考えておりますので、県のほうともよく相談をいたしまして指導をいたしたいと思います。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはひとつぜひ……。名称とかあるいは形、これはいろいろあるでしょうから、ここで、かりに審議会にしても審議会をつくれと、はっきり私申し上げるわけではありませんから、適当にこれはやっていただきたいと思いますが、しかし、そういう精神を生かすための措置はぜひとってもらう。それについての指導を自治省として、大臣おられますから、私大臣にひとつお願いしたいのです。ぜひやっていただくということをお願い、お願いというよりも、当然に私は、一つのあるべき姿についての、自分自身のことについて言っちゃ悪いですが、当然の意見だと思っておりますが、その点を最後に大臣からお聞きして質問を終わりたいと思います。
  52. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 全く同感でございまして、設置選挙をするまでの間の空白は、先ほど申しましたように、私ども非常に気にしているところでございます。人間は政治的な動物だといわれておりますが、まあこれが五人寄れば、十人寄れば、またそれがばらばらに発言をなさっても実を結ばないということも当然でございますし、私は、ただ自然発生的に何か協議体的なものかほうっておいてもできてくるはずだと思います。かりにほうっておいてできたものであっても、これでまとまった住民の意見というものがそこに出てまいれば、当然県だって、国だって取り上げるべきものであると思うし、また、そういう機関が止まれてくるように、どういう形になるか知りませんが、適当な方法を考えることにつきましては、私ども心配しておりますので、御指摘のような点、十分考えまして指導いたしたいと考えます。
  53. 占部秀男

    ○占部秀男君 二つ、三つだけお伺いをいたしたいと思います。  第二条の「村の設置の特例」の問題でございますが、先ほど鈴木委員も申されましたように、これは八郎潟の問題でありますけれども、やはり今後同じような例が起きないとも限らない、一般法の問題ですから特にお伺いをするわけですが、村を設置することが適当であると、これは内閣が認めるわけですが、したがって、その適当であると認めるときには、何らかの基準があると思うのですが、その基準について何か明らかにするような方法をとるかどうか、そういう点、またその内容について何か考えられていることがありましたならば、その点をお伺いしておきたい。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 別段基準という法的な形できめているものは持っておりませんが、今回の八郎潟の場合につきまして私どもが考えておりますことは、一つはその区域をもって一つの村とするだけの、人口におきましても区域におきましても適当の規模を持っておるということが一つでございます。それから第二番目には、その区域が隣接の市町村から離れまして、独立の村を組織することが地理的に申しましても、あるいはそこの住民構成、産業の形態等から考えまして適当であるというふうに考えられますこと。第三番目には、そうすることのほうが行政を運営いたしてまいります上に適切であろうと考えられる場合、大体そのようなことを念頭に考えておるわけでございます。
  55. 占部秀男

    ○占部秀男君 次に、第四条の「職務執行者」の問題なのですが、この法によると、当該邪道府県の吏員が新村の長の職務を行なうということになるわけですが、これは八郎潟の場合は秋田の県庁から出てくると思うのですが、何かこう昔あった県か何かの職務執行の何かそういう感じがしてならないのですが、これ以外の方法はなかったものですか。
  56. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) いろいろ検討いたしたのでございますが、何ぶんにも新村と申しましても、そこの住民最初は全くおりませんわけでございますから、そういたしますると、そこの住民と関係のないということで、隣接の市町村のいずれかに委託をするというようなことも検討をしたわけでございますが、それもこの場合のように隣接の市町村が十一もございます場合に、そのいずれか一つ市町村委託をするということも、かえって行政がやりにくいのではなかろうか、いろいろ考えまして、やはり都道府県の吏員を派遣をするということが一番適当な措置であろうということになったわけでございます。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 都道府県の吏員を派遣するということですから、したがって給与費その他は、もちろん秋田県なら秋田県で当分の同持つと、こういうことになるのだろうと思いますが、その点いかがですか。
  58. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  59. 占部秀男

    ○占部秀男君 それから第四項に、知事が職務執行者を解職することができるという条項があるわけですね。この解職ということの意味は、府県の吏員を解職するのではなくて、つまり職務執行者という知事が任命したその仕事を解職するのだと、いわば職場の配置転換と同じようなものだと、かように考えてよろしいですか。
  60. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 職務執行者としての職務を解職するわけでございます。
  61. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると、当然この吏員は、定数的には府県——秋田なら秋田とか、府県の定数の中にずっととどまっているわけでございますね。
  62. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  63. 占部秀男

    ○占部秀男君 次に、第五条の「職員」の問題なのですが、これはいま職務執行者の場合がそうであったと同じような使い方におそらくなると思うのですけれども、これは職務執行者と違って職員なんですから、新しい村ができた場合には、やはり何らかの財政的な便法をつけて新村職員を雇うべきではないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  64. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 新村は当初財政力もございませんしいたしまするので、便宜措置といたしまして本条に規定してございますように、都道府県の職員がこれに出たることにいたしておるわけでございます。したがいまして、この職員は当然府県の職員身分を持っておりまするし、給与も府県から支給をされるというふうに考えております。
  65. 占部秀男

    ○占部秀男君 この時期はどのくらいの時期を予想しているんですか。執行している時期といいますかね、期間というもの。
  66. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは選挙が行なわれまして、新村の村長ができますまでを予想いたしております。
  67. 占部秀男

    ○占部秀男君 私の聞いたのは、職務執行者の場合でなくて、職員の場合ですがね。職員の場合もそういうふうに考えておられるんですか。
  68. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 職員の場合におきましても、この第五条で規定をいたしておりまする職務執行者の補助機関としての職員につきましては同様に考えております。
  69. 占部秀男

    ○占部秀男君 その場合に、よくあることなんですが、新村ができたためにそのままこう居すわらなければならないようなことになると、職員としては非常に迷惑な話で、自分が進んで残りたいというのならけっこうですが、少なくとも県庁につとめる人は、卒直に言って、村へつとめるということは、いよいよ年も取ってしまってどうにもならぬという人は別ですけれども、いまのところちよつと若い人たちにはないと思うんですね。そういう点の扱い方などは、はっきりしてもらえるんですか。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点は、たまたまここへ派遣されました職員が、自分の意思に反しまして、この村にとどまらなければならないというたようなことはもちろんないようにいたすつもりでおります。
  71. 占部秀男

    ○占部秀男君 けっこうです。
  72. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御質疑はございませんか。——他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  73. 西田信一

    ○西田信一君 私は自由民主党を代表いたしまして、本法律案に賛成し、あわせて各派共同提案にかかります附帯決議案を提出いたしたいと思います。  この法律案は、近く完成が予想される百五十八平方キロメートルの面積と二万余人の予想人口を持ち、新形式の営農が行なわれようとする八郎潟中央干拓地区域のように、周辺の市町村と関連なく、今後一つの独立した地方公共団体として十分成り立っていく見通しがある場合に、新しい村を設置し、運営することのできるような地方自治法の特例を定めようというものでありまして、きわめて特例的な法案であり、妥当なものと考えます。  しかしながら、この法律の施行にあたっては、若干の問題を含んでいるのであります。すなわち、審議の過程において問題となりましたように、新村には、当分の間、村長も議会も置かずに、知事の任命する職務執行者が村長の職務を行なうこととし、また、村議会の議決のかわりに、知事の承認を待て条例を制定する等の、いわば異例の制限自治制をとっております。これは土地ができ、村ができてから人口が数年間にわたり逐次増加していく新村でありますから、過渡的段階としてまことにやむを得なといころであり、現実的問題としてこれ以外に方法がないとは思います。しかしながら、私は、住民自治こそ最大の尊重を払うべきものであるとの観点から、二つの点を取り上げ、各派共同提出による附帯決議といたしまして、本法施行の後、政府の十分な配慮を要望し、本法案に賛成するものであります。  附帯決議案を読み上げます。   大規模公有水面埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案に対する附帯決議案   本法の施行にあたり、政府は次の諸点につき、遺憾のないよう措置すべきである。  一、自治大臣が指定する新村設置選挙の日は、住民意思を尊重する趣旨から、可及的速やかに指定すること。  一、新村の議会が成立するまでの間、条例の制定及び議会の議決事項の決定については、住民の意思にそうよう配意すること。  右決議する。 であります。   どうか委員各位の御賛同をお願いいたしまして、私の討論を終わります。
  74. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。   大規模公有水面埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案全部を問題に供します。   本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 全会一致であります。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。   次に、討論中に述べられました各派共同提案の附帯決議案を問題に供します。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 全会一致であります。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本法律案について本委員会の決議とすることに決定いたしました。  それでは、ただいまの附帯決議について自治大臣の所信をお聞かせ願います。
  77. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御決議の趣旨には全く同感でございまするので、そのようにいたしたいと思います。
  78. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。  本日はこの程度にいたしたいと存じます。  次回は五月十四日木曜日午前十時、行政書士法一部改正案並びに地方行政連絡会議法案について審査の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会    ————・————