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1964-04-21 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十時四十八分開会   ―――――――――――――   委員の異動  四月十五日   辞任      補欠選任    山本伊三郎君  占部 秀男君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            井川 伊平君            熊谷太三郎君            沢田 一精君            館  哲二君            松野 孝一君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            市川 房枝君   衆議院議員    発  議  者 安井 吉典君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    自治政務次官  金子 岩三君    自治省財政局長 柴田  護君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    農林省農地局参    事官      永田 正董君    農林省農地局調    査官      大場 敏彦君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(衆議院送付予備審査) ○地方財政法の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○地方交付税法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (昭和三十九年度地方財政計画に関  する件) ○大規模な公有水面の埋立てに伴う村  の設置に係る地方自治法等特例に  関する法律案内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに、地方交付税法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。  提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員安井吉典君。
  3. 安井吉典

    衆議院議員安井吉典君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案の両案について、私は日本社会党を代表いたしまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  まず、地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  本年度は、産業基盤整備社会資本等公共投資拡充を中心とした超大型予算がすでに成立いたしました。とれに伴い、本年度地方公共団体財政需要は、新道路整備五カ年計画に基づく道路事業をはじめとする各種公共事業増大社会保障制度等施策による負担増で、ばく大なものとなります。また、地方公務員給与改定の平年度化等により増加する給与費等相当額に上り、しかも、主として国の施策による地方財政需要増は、今後年を経るごとに増大することが予想され、ますまず地方財政を圧する重圧となり地方自治体の活動を大きく拘束することになるのであります。したがって、これらに対応する財源関係地方公共団体に十分に付与する必要があるのであります。  もとより、本年度は、国税三税の増加に伴う地方交付税増収等も相当期待できるのでありますが、地方自治体の本来の任務である住民福祉の向上や行政水準引き上げにこれを当然向けなければなりません。特に、最近の池田内閣経済政策の失敗により、この面の地方団体の努力は一そう大きく要請され、需要はますます増大しているのであります。  また、交付税基準財政需要算定上、道路港湾等公共事業費特に、産業基盤強化に力を注いできていることは数年来の傾向であり、清掃の経費種類新設等、やや改善のきざしはありますが、生活基盤強化住民福祉面における交付税単位費用の積算は不合理であり不十分であります。これらの改善もはからねばなりません。たとえば、幼稚園を例にしてみますと、幼児を保育し、適切な環境を与えて、その心身の発達を助長することは、現在国策として緊急な課題となっているのでありますが、しかるに現在幼稚園費は、教育費の中でその他の教育費として全く軽視せられているのが実態であります。幼稚園教育重要性園児数増大等から考えても幼稚園という経費種類を新しく設け、経費算定合理化経費の一そうの充実をはかり、全国の市町村幼稚園をその人口に応じてこぞって適切に設置することが必要であると思うのであります。  一例をあげましてもかくのごとくであります。これら地方財政健全化財源充実交付税制度改善のため、当然、地方交付税税率引き上げられるべきであり、引き上げによって、初めて交付税制度の目的である財源偏在の調整と、財源保障機能達成が可能になると思うのであります。  以上の趣旨によって、交付税法第六条の税率現行二八・九%を三十一彩に改正し、交付税額増額するため、本法律案提案いたした次第であります。この措置により、四百四十九億円の交付税増額になります。  慎重御審議の上、何とぞ御可決あらんことをお願いいたします。  次に、地方財政法の一部を改正する法律案提案理由と、その要旨を御説明申し上げます。  ここ数年来、地方財政実態は、やや改善されてきているとはいえ、最近の国と地方間の行政財政の乱れはひどく、国は不十分な財源措置事業計画地方に押しつけ、補助金助成金単価が低く、当然国でやるべき毛のまで負担地方に強制しているありさまであります。したがって、それに伴い都道府県市町村脚、または地方公共団体住民間の財政秩序は、ばく大な税外負担寄付命等の強制で大きく乱されているのであります。  これら地方公共団体間並びにこれらと住民間の財政秩序適正化をはかり、地方財政のより健全な運営を確保することは、当面の緊急脚であります。  これが本法律案提案理由であります。  次に、本法律案の内容の要旨を御説明申し上げます。  第一は、都道府県住民にその負担を転嫁してはならない経費についてであります。昨年度における法改正により、本年四月一日から、都道府県が行なら高等学校施設建設に要する経費について、これを市町村負担させることを禁止し、また、住民にその負担を転嫁させてはならないことになりましたが、新たに、現在、過大な税外負担によってまかなわれている都道府県立高等学校給与に要する経費及び都道府県立高等学校施設維持及び修繕に要する経費を追加いたしたのであります。小中学校では、すでに数年前より禁止対象になっているこの二項目の措置高等学校にも適用することは税外負担の解消を前進させる上から当然の措置であろうと考えるのであります。  第二は、市町村住民にその負担を転嫁させてはならない経費についてであります。市町村の職員の給与に要する経費及び市町村立小学校及び中学校施設維持及び修繕に要する経費については、政令により住民負担を禁止せられているところでありますが、この政令への委任を改め法定し、新たに市町村立小学校及び中学校施設建設事業に要する経費を追加し、税外負担強要多発現象を解消し、別途提案地方交付税税法の一部改正案とあいまって地方財政秩序健全化をはからんとするものであります。  以上が本法律案を提出する理由並びにその要旨であります。  慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 両案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。   ―――――――――――――
  5. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、地方交付税等の一部を改正する法律案昭和三十九年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  いずれも前回までに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 松本賢一

    松本賢一君 一つだけ。ちょっと、うかつな質問かもしれませんが、地方税法改正に伴う財源補てんに関連して、あの補てんの三分の一を地方交付税でみるということでしたね。あれはいつからみることになるのですか。
  7. 柴田護

    政府委員柴田護君) 本年度からでございます。
  8. 松本賢一

    松本賢一君 本年度から。そうすると、それはどういうふうにみてあるわけですか。
  9. 柴田護

    政府委員柴田護君) 本年度利子分だけでございます。元金は入ってまいりませんけれども利子分でございますので、計算が可能でございますればこれを持ってくるわけでございます。つまり減税補てん債をいつ発行するかということと交付税の決定時期との関連がございますけれども、本年度からみる建前にはいたしております。
  10. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、この中でどこへ含まれることになるわけですか。
  11. 柴田護

    政府委員柴田護君) この法律ではございませんで、この前御採決いただきました財政上の特例措置に関する法律の中に入っております。
  12. 松本賢一

    松本賢一君 しかし、これは交付税総額というものがきまっているのだから、それが全部この法律の中に入っているわけでしょう。そうすると、あのほうの補てんはどういうふうにしてやるわけですか。
  13. 柴田護

    政府委員柴田護君) この前御採決になりました市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律の第二条に「基準財政需要額への算入」という規定がございまして、この規定の中で、市町村民税減税補てん債償還費については一〇〇%みるのだ、千円について千円だという規定が第二条にあるわけでございます。この規定交付税法特例として働くわけでございます。したがって、計算いたします場合には、地方交付税法の本法にこの特例法が加わって計算される、そういうことになるわけでございます。総額はもちろんこの交付税法によってきまるわけでございますけれども、その場合の基準財政需要額計算につきましては、この法律規定による基準財政需要額への算入に対しまして、財政上の特別措置に関する法律の第二条の規定による計算が加わってくる、こういう形になるわけでございます。
  14. 松本賢一

    松本賢一君 ちょっとはっきりわからないのですがね。そうすると、この法律によって特別交付税以外のものは全部配分することになるわけでしょう、一応。それが余分なものがくっついてくるわけですが、そうすると、これを食っていくことになるわけですか。
  15. 柴田護

    政府委員柴田護君) そのとおりでございます。
  16. 松本賢一

    松本賢一君 そういうことになるわけですか。そうすると、このたくさん出ている単価というものがかわってくることになるのか。それともそれは減税補てん債というか何というか、そういうものに対するものは特別にあれして、総額から引いてしまって、あとを割り振るといったようなことになるわけですか。
  17. 柴田護

    政府委員柴田護君) この規定によります基準財政需要額計算したものに、特別法による元利償還金計算を加えたものをもって、この法律による基準財政需要額とする、こういうことになるわけでございます。
  18. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、そういう特例法ができないものと仮定した場合と比べると、一般配分はそれだけ減ってくるわけじゃございませんか。
  19. 柴田護

    政府委員柴田護君) 交付税総額が固定いたしておりますればお話のようなことになるのでございます。しかし、交付税総額は動きますので、その辺のところは十分配慮をしたことになるということを、この前にも御説明をいたしたかと実は記憶いたしております。
  20. 松本賢一

    松本賢一君 それはまあ税金国税三税がふえれば交付税増額になるでしょうから、それで何とか左かなえるということはまあ十分予想もできるけれども、しかし、やっぱりそれじゃ、こうふえるべきものがふえないという、当てがはずれるということはあるわけですね、一般地方自治体としては。そういうことになりませんですか。
  21. 柴田護

    政府委員柴田護君) それは未来永劫にそれでいいかどうかという問題は確かにございます。これはこの前の地方税法の御審議の際にも私はそのお答え申し上げたと記憶いたしておりますが、交付税率がいいか悪いかといろ問題については、それは地方財政全般状況とにらみ合わして検討をすべき問題でございますし、将来今日の二八・九%という税率が妥当かどうかという問題については、再検討する必要がある時期がくるかもしれません。しかしながら、昭和三十九年度に関しまする限りにおきましては、利子だけでございますので、金額にいたしましても三分の一の額は一億四、五千万の僅少の額でございます。交付税全体の計算をいたしまして、財政計画上の計算をいたしました場合には、その程度のものは三十九年度に関する限りは十分措置ができる、こういうふうな判断をいたしておるわけでございます。  また、将来一部減税補てん債が減ってまいります部分を吸収するものについてどうかというようなお尋ねもございましたが、これも今日の財政需要のテンポから申しますならば、その程度ならば当然入れることは不可能ではないと考えます。こういうことをお答え申し上げましたし、現在でもさように思っておる次第でございます。  ただ、その交付税総額全体が地方財政実態から比べてどうかという問題は、別個の問題としてあることは私どもも承知しておるわけでございますので、それはそれとして地方税充実等とも関連いたしながら、将来にわたって検討をしていかなきゃならぬ問題だというふうに考えておる次第でございます。
  22. 松本賢一

    松本賢一君 何日か前の委員会のことでしたけれども、私が何のときにお尋ねしたのか忘れましたが、何かの機会にお尋ねしたときに、大臣も局長もまあ交付税はもっとふやすべきだという御意見だったと思う。これは私らもそう思うのですが、それで、さしあたってまあいまのお話によると、本年度はもう心配ないということですが、そうすると、少なくとも近い将来、まあ来年度というか、いまの補てん債償還というものが大幅にふえてくる時期があると思うのですが、そういう時期あるいは、またほかの理由にもよって交付税というものが相当ふやす必要があるのじゃないかと思うのですが、そういったような意味で、今年度すでに、いま安井さんから提案があったように、交付税をふやせという考え方もあるわけなんですがね。そういう点について、まあこの法律提案しておられる立場からいって、そういう必要はないのだとおっしゃるだろうとは思うのですけれども、しかし、考え方としてはまあ何かの機会交付税の率を上げるということを私どもは必要だと思うのですが、そういう点について局長の御意見をお伺いしてみたいと思います。
  23. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私どもといたしましては交付税もさることながら、地方自治立場から言いますならば、やはり国と地方団体との間の税源の再配分、でき得べくんば独立税の形でもって地方公共団体財源を与えたい、そのためには交付税が少々減ってもかまわない、独立税がふえれば交付税が少々減ってもかまわないという気持でおるのであります。交付税ということになりますと、どうしても共同の独立財源――と申しますか、により、事実そのような形でもって運営指導に当たっておりますけれども、やはりその間に独立税の場合と違って運用上の弾力性が乏しい。したがって、第一義的には、やはり地方団体独立財源を与えるという方向でものを考えていきたいと思っております。ただしかし、実際問題として、税源のないところに税源を与えようもございませんので、そういうところは、その財源増強ということになってまいりますと、やはり交付税傾斜配分ということにならざるを得ない。そこで、地方財源全体の総量としてどう考えるべきかという問題と、別個にやはり財源のない貧弱な団体につきましては、そういったような財源増強という形でやはり交付税傾斜配分ということをある程度強化していかなければならないだろうといろことから、数年来その方向を強化してまいっておるわけでございます。今回提案してまいっております法律案におきましても、そういう思想をさらに進めておるわけでございますけれども地方財源全体の問題として考えた場合には、やはり財政需要とのかね合いの問題でございますので、現行の率が妥当かどうかという問題につきましては、なお慎重に検討する必要があるだろうというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、財政需要は無限でございます。したがいまして、それは地方財源が多いに越したことはないわけでございますけれども、一方国民の租税負担ということも考えていかなければならない。双方考えまして地方財政を強化し、地方行政施設水準を強化するためには、いまの率が適当かどうかということにつきましては、なお相当慎重な検討を要するものと考えております。
  24. 松本賢一

    松本賢一君 傾斜配分を、今年はそういう思想を強めたとおっしゃるのですが、傾斜配分というものをうんとやれば、地方の不均衡是正というものはなかなか行なわれないと思うのですが、それより前に独立財源をなるべく与えたいということを原則的に考えるということですけれども独立財源を与えるということを先だってから参考人等からの意見もいろいろあって聞いたのですが、やはり現実の問題としてなかなか独立財源では貧弱なところと富裕なところとでは、むしろ独立財源によっては開きが大きくなる傾向のほうがむしろ強いのではないか、そういうことが考えられるので、私ども傾斜配分をうんと強めるためには、交付税というものをもっとふやしていくといろ考え方に立たざるを得ないと思うのですがね。それと同時に、もっと突っ込んだ問題として補助金の整理だとか何だとかいうことをやって、そうして地方財政というものの自主性というものをもう少し考えるべきだというふうに、私どもは考えているのですが、将来やはりそういろ方向自治省としてはお進みになろうとしているのだろうと思うのですけれども、その点いかがですか。
  25. 柴田護

    政府委員柴田護君) 地方財政を考えます場合に、やはり私どもいままでどうも地方財政を引っくるめてものを考えてきた。引っくるめてものを考えてくるのは、もちろん全体としての姿を見るためには必要なことではございますけれども、それが高してまいりますと、やはり問題がありはしないか。やはりある程度地方団体種類といいますか、置かれた環境により、種類と申しますか、こういうものを見定めていって考えなければいかぬのじゃないか。言いかえますれば、全体として観察することも必要でございますが、個別の財政というものを固めていく必要があるだろう、そういう意味からいいますと、私は今日の地方団体を眺めていきますと、都市財政というものは非常に困っているところがある。これは税について考えますならば、非常に財政需要がふえてまいるにかかわらず、年ごと税制伸長性というものが失なわれてきている。町村の辺境の地にありますと、お説のように税源の与えようがございませんので、これは交付税傾斜配分というような方法で財源の困難を救っていくよりほかにない。しかし、都市につきましては、私は税源はあると思います。そういたしますと、そういうところにつきましては、ただ単に交付税率引き上げといいますか、交付税増強による財源充実ということでなくして、やはり税制というものをもっとまじめに考えていく必要がある、かように思うのでございます。したがって、総体的な計算でいいますと、税金幾らで、不足分幾らと、こういう通りきたりのいままで私どものやってまいった計算が出てまいるわけでございますけれども、どうも、最近の状況を見てまいりますと、それだけではいかぬのじゃないか。都市種類市町村種類に応じてその財源構成というものを見ていく必要があるのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  26. 松本賢一

    松本賢一君 きょうはこの程度で。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 いま松本委員から質問されましたが、減税補てん債について、本年度交付税利子分だけという説明がありましたけれども、各市町村はもう予算編成本文方式で――本文方式もこれは過渡的なやり方でしょうけれども本文方式を採用しておりから、それで歳入欠陥が生じていますから、利子だけでなくして、元本も交付しなければいけないんじゃないですか、利子だけでいいんですか、この点お聞きします。
  28. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは減税補てん債起債条件といいますか、それにもよりますけれども、本年で申しますと、据置期間でございます。したがいまして、本年は利子だけでいいと思います。
  29. 林虎雄

    林虎雄君 交付税で三分の一みることになっているわけですが、平年度といいますか、普通になればどのくらい交付税が必要になるわけですか、年間に。
  30. 柴田護

    政府委員柴田護君) 一番多いときで元利合わせて五十七億。
  31. 林虎雄

    林虎雄君 もう各市町村で、この国の方針に基づいてそれぞれ市町村議会で決議をしているわけでありますが、今年は、本文方式といいましても、準拠税率標準税率が、過渡的な何がありますから、機械的に本文方式ただし書き方式との差額というふうには出ないわけですが、減収分というものは、中間のものが出るわけですね、大体。中間といいますか……。それはどうですか。
  32. 柴田護

    政府委員柴田護君) 具体的に政令をまだきめておりませんけれども、三十八年度の実績をつかまえまして、それにある程度の人為的な修正といいますか、おっしゃるように、ぴしゃっと本年度やった場合の差額という意味の若干のでこぼこはあるかもしれませんが、しかし、その差は大したことはない、非常に小さなものだというふうに考えております。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 そこで、人為的な修正で過渡的にやむを得ないでしょうが、ある市などで聞いたんですけれども、たとえば本文方式を今度とることによって、約四千万円の減になる。ところが実際に国で三分の二、交付税で三分の一補てんするという額は、そのまた半分くらいだという話で、完全に予定された歳入欠陥を十分に補てんされないというふうに聞いておりますが、そんなことはありませんか。たとえばある市ですけれども、四千万円大体赤字になる。ところが国のほうの補てん債として見てくれるのは、二千万円か二千五百万円程度で、結局千五百万か二千万円が不足になって困る、こういうことを言われていましたが、そのようなことはありませんでしょうか。
  34. 柴田護

    政府委員柴田護君) それはどこの町か、お話のところはわかりませんし、またどういう計算をしておるのかわかりませんけれども、まだ計算の中身は、三十八年度を基礎にして、伸びを見ていく見方につきましては決定いたしておりませんので、おそらくはそこにいろいろ計算不足している部分があるんじゃなかろうかと思うのでございます。私どもはそういう事態は起こり得ようはずがないというように実は考えるのでございますが、なおもう一つ考えられますことは、そのおそらくお話の市は、相当超過課税をやっておって、税率を下げるということも行なわれているんじゃないか、その部分はことしは対象になりませんから、その部分が含まれているんじゃなかろうかというように推察いたします。
  35. 西田信一

    西田信一君 松木委員の御質問にちょっと関連して、お聞きするのですが、地方財政計画の基本的な考え方として、交付税に依存するというよりは自主財源をなるべく多く持たせる方向に考えておるということでありますが、ここ数年間の推移は、いまの御趣旨のような方向に、どういうふうに向かっているかということを何か数字でお示し願えますか。
  36. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私が申し上げました趣旨から申し上げますと、ここ数年間の動きというものは残念ながら逆の方向に向いている。で、国と地方との間の税源の再配分をやりましたのは、例のおととし非常におしかりを受けました府県民税の増徴問題で、これは理屈から言いますならば、私どもの考えている方向税制改正が行なわれたわけでございますけれども、まあやり方等にいろいろまずいところもあったこともありまして、非常に御非難を受け、おしかりを受けたわけでございます。しかし、私は先ほどもお答え申し上げましたように、やはり税収というのは自治行政を支える基礎だろう、そういうことから言いますと、可及的に税収入の税源増強ということを考えていくのが自治を考える場合の本筋じゃないか、ただその場合に、税源を与えるにも与えようのないところはこれはしようがないので、これはやはり財源補償という立場から言いますと、交付税しかないだろう、しかしちょっと先ほど申し上げましたように、現在の五大市をはじめとする都市財政というものを考えてみますると、これはただでさえこんな乏しいものしか与えられておりませんけれども、その乏しい伸長性にある税源すら年ごとに削られていっているんじゃないか。つまり伸長度というものが伸長度のないものに置きかえられている。しかも都市財政需要というものはますますふえる一方だ、そうしますと、この辺でやはり都市税制というものについては国、地方を通じまして考え直す必要がありはしないか、こういうことを痛感いたしているわけでございます。
  37. 西田信一

    西田信一君 私も御趣旨とは必ずしもその方向に向かっていないといろ感じからお聞きしたわけですが、三十九年度歳入歳出の構成比を資料で見ますと、税収入はわずかの伸びを見せ、地方交付税のほろがむしろ比率が落ちているというのがあらわれておりますが、そこでそういう方向にいくことはけっこうだと思うのですけれども、現実がそういっておらない、そこで財政計画というものをお示しになっていると思う。財政計画と決算とはどうも相当の開きが出る傾向にあると思うのです。これは何か資料はございませんか、ここ数年間どんな財政計画と決算とはどういう結果を示しているかという。
  38. 柴田護

    政府委員柴田護君) 毎年の決算と財政計画との開きにつきましては、地方財政状況報告というのがございますが、この中にそれぞれその中身の違っているところを明らかにいたしております。若干の年度を追って申し上げますと、三十五年では三千八百、約四千億近い開きがあります。三十六年度ではそれが約四千七百億、それから三十七年度では六千億程度の開きになっておる、わけであります。しかし、これには、西田先生御承知のとおり、財政計画のペースと決算ベースと違うものがございます。その開きが当然出てきておるわけでございますが、そのほかにこの開きの中のおもなものを参考に申し上げますと、投資的経費の開きが非常に大きい。六千億の中の開きを経費別に追ってまいりますと、一番大きいのが投資的経費の二千七百億、それから給与関係経費の千五百億、一般行政費の千百億ということになるわけでございます。
  39. 西田信一

    西田信一君 その開きというものは、おそらく財政を上回る開きだと思うのですが、その差額、いま大体御説明がございましたけれども、もう少し具体的に、それが現実にどういうふうに、財源的な穴埋めがどういうふうにされているかということをもう少し詳しく御説明願います。
  40. 柴田護

    政府委員柴田護君) 投資的経費の二千七百億の中で、やはり一番大きいのは普通建設事業費の二千三百億というのが大きうございます。これはやはり事業繰り越しの関係、それから府県市町村では建設事業のために過去において剰余金がありました場合にこれを積み立てております。その積み立て金を取りくずしたときの財源として増加額というものがあろうかと思います。それから給与費の千五百億の中身は、これはこの中で約四百何億というのは給与改定年度当初に行なわれました給与改定の金でありますので、給与関係経費で約千億の開きがある。この千億の開きが何で開いておるかということでございますが、人員の数の開き、それからベースの開き、両方あろうかと思うのであります。数の開きの中には、地方独自で人間をふやしておるものもございますし、それからいろいろな施設ができてまいります。施設ができてまいりますと、その維持管理に人が要りますので、施設に伴う増員というものと、そうじゃない全く地方団体独自の立場からふやしておるものもあり、その辺のところは実は詳細が明確でございません。そこはもう少し私どもも調べなければならぬと思っておるのでございますが、ちょうど給与実態調査を去年ですかかおととしですかやりました結果が近く出てまいります。それが出てまいりますと給与関係経費については全面的に再検討するということになるだろうと思うのでございます。それから一般行政費の中で千億ばかり開きが出ております。この開きでございますが、この中身は実は必ずしも明確になっておりません。私どもの推察では、おそらく物件費ではございませんで出投費、出資金とか貸し付け金、こういったものの開きが相当ある。それから繰り出し金等の出資金、この一般行政費の開きは、出資金、貸し付け金の開き、つまり年度内貸し付けというやつがありまして、年度の当初に予算に上げますが、年度の終わりには全部回収される。こういうものは表面づらは予算規模の開きというものになってあらわれる。そういうものが相当ここに出てきているんじゃないかと思います。物件費そのものにつきましては、私どもはそんなに開きがないので、地方もこの辺のところは相当締めておるだろうというように感じております。それからその次に大きなものが繰り出し命、これが四百八十億ございます。これが実は特別会計、国民健康保険でございますとか、あるいは公営企業会計でございますとか、こういうところの繰り出し金でございまして、これの増加状況というものが四百八十億、約五面億ございますので、たいした額ではございません、それから、その増加傾向もそう大きなものじゃございませんけれども、この中身というものは、やはり相当今後分析してかからなければならないというように考えております。歳出のおもなる違いはそういうことでございます。歳入では、やはり違いは、地方税が千二百五十八億違います。それから交付税が約三百億、それから地方債が五百六十億違いますが、これはワク外債で地方計画以外に若干許可しているものです。そういうものでございます。それから、繰り越し金が千二百億、これがやはり一番大きなあれでございまして、三十七年度の場合、三十五、六年度の非常に財政のよかった時代の金を、これを繰り越してきておるといったような関係もあって、繰り越し金が千二百億という額が出ております。
  41. 西田信一

    西田信一君 まあ一年間を見通しての財政計画ですから、若干ベースの改定というような、経済ベースの変化とか、いろいろな推移が影響することは、これはわかるわけですけれども、しかし、大体一年間を予見しての財政計画でなければならぬという意味から申しまして、大体何%になりますかね。三千ないし四千、六千というと二〇%にも及ぶということになるわけです。その点若干問題があると思うのですがね。それと、その財政計画と決算があまり開きがあるということになると、せっかくこう審議することも、交付税計算もあまり重要な意味を持たぬということにもなるわけであって、そういう点に多少の問題があるように考えるわけですが、自治省としてはどうお考えなんですか。
  42. 柴田護

    政府委員柴田護君) 財政計画に問題があることは私どもも承知しておるのでございまして、これの合理化をさらに進めていかなきゃいかぬというように実は思っておるわけでございます。お話のように、あまり大きな違いがある。それは理路整然とした説明がつくならともかくとして、たとえば給与関係経費だとか、投資的経費というものの中身はなお検討してみる必要があろうかと思うのであります。現在の財政計血では、一般行政費につきましては、国庫補助金を伴いますものについては、一応の計算はできておりますけれども、国庫補助金を伴わないものにつきましては、大数観測で計算をしておる。また単独事業につきましても非常に大きな、大ざっぱな計算であります。本年度は、道路につきましては多少理屈めいた計算もとりましたけれども、その他のものにつきましては、その辺のところはきわめて明確じゃない。この辺のところも詰めていき、合理化していくということが、やはり財政計画合理化という立場からいいますならば、今後に課せられた課題であろうというふうに思うわけでございます。  しかし、また財政計画があまり決算と一致してまいりますと、これは問題があるのでありまして、私どもの過去からの例でいいますと、財政計画と決算が非常に僅差であった時代がございます。これは昭和二十何年でございましたか、ほとんど違わなかった時代がございました。その時代は、言いかえますならば、地方財政が非常に緊迫してきた時代でありまして、言うならば中央の財政的な立場地方財政をしばっておる時代であります。そういう意味からいいますと、ある程度の差があってむしろおかしくないので、それが地方財政がわりとスムーズに動いている証拠だといえるのではないかと思うわけでございます。  なお、計画合理化につきましては努力いたしたいと思います。
  43. 西田信一

    西田信一君 私、交付税という、こういう制度がある、これは要するに必要な一般財源の足りないところを補足するという使命を持った制度だと思うのですね。そういう意味からいえば、あまり大きな開きがあるというようなことはちょっと問題があるというように思うのですが、そこでことしの財政計画を見ましても、全体の伸びが一九・二ですか、交付税のほうが一五・四%ということになって、この資料によると、そうなっておるわけです。全体の伸び率からいうとさっきの御趣旨はわかるのですけれども、しかし実際にそういうかなり不足というか、開きが出ておるという点から考えて、やはり交付税というものの大体全体に占める割合といいますかね、こういうものもやはり若干検討の余地があるのじゃないかというふうに感じたからお聞きしておるわけですが、先ほどからそういう点について御質疑がありましたから、同じ質問になるかもしれませんが、そういうような地方財政の伸びというか、推移というものと合わして、交付税についてはどんなふうに考えられているか、税率等について。まあいま急のことじゃありませんけれども方向としてどうお考えになっているか。
  44. 柴田護

    政府委員柴田護君) まあ交付税地方団体の共同の独立税源だということを考えておるわけでございますが、同じことになりますけれども、まあ基本的には先ほど来お答え申し上げましたような考え方で、なるべくは税源だという気持でございますけれども、それじゃ交付税がこれで立っておるか、立ってないかということになってまいりますと、やはりそれは問題のあることは私どもも承知いたしておるわけでございます。で、それにつきましては、いま先ほど来御指摘のございましたような問題点をやはり解明をしてかかって、そして今日の置かれております国、地方の税負担というものを頭に置いた上で、しかも必要な財政需要というものと結びつけて、どの程度、一体地方財政にその財政活動の規模を期待するかということから判断をしてかからなければなりませんので、地方だけのことばかり言っておりましても、国全体の財政経済に及ぼす影響等々も考えてまいらなければなりませんので、そういう地方財政計画の基礎にあります問題点の解明をいたしながら、全体として地方交付税というものをどう見るかということになるのじゃなかろうか。  率直に申しますと、私どもは国庫補助金の中でじゃまになっておる、いわば必要なものは国庫補助金の中でも増強していただく必要もあるのでございますけれども地方財政にとってじゃまになっているものがある。こういうものはむしろ交付税にどんどん振りかえていったほうが、伸びも期待できるし、自由潤達に地方財政を伸ばすという意味合いからいいましても、そういう措置をとることも必要じゃないかと思うのでありますが、本年度はその振り変えが行なわれておりません。ほとんど地方財政には、補助金合理化審議会の答申の結果というものはあらわれておりませんし、若干のものが統合された程度でございます。将来の問題といたしましては、そういうものの交付税なりへの振りかえというものが十分考慮されていかなきゃならぬだろう。そうなってまいりますと、交付税負担の問題もそこに出てまいるだろう、こういう考え方をいたしておる次第でございます。
  45. 西田信一

    西田信一君 まあお考えは一応わかるのですが、そこで、こういう地方財政の上に、自主財源とあるいは交付税との組み合わせですね、こういう制度がとられておるということは、たとえばことしの住民税のただし書き方式の廃止ということから言っても、自主財源を与えるというととはけっこうだけれども、あまり無理な税の取り方はこれはやめておくというような方向にお考えになっておる、まあこういうふうに思われるわけです。そういう意味からいって将来自主財源をなるべく持たせるという方向にお考えになったなら、もう少し具体的に何かお考えがございますか。そういう方向に対して、もう少し具体的な、自主財源を持たせるという、どういう方向にものをお考えになっておるか、こういうことを、もし伺えるなら答えていただきたい。
  46. 柴田護

    政府委員柴田護君) 省内では、これからそういう問題については議論をしなければなりませんので、私ども自治省といたしましても、どういう方向で考えるか。ばく然とした方向はいま申し上げたような方向で考えておるわけですけれども、具体的にどうこうということになりますと、省内といたしましては決定はいたしておりません。全く個人の私見で、私見を言うことをお許し願えますなうば、私ども最近やはり都市財政ということを考えます場合に、その土地の住民に対するサービス、それをそれ土地かう上がる、その土地に住んでおる住民負担においてそのサービスをやって住民に還元するという姿というものが、特に都市におきましては変わってきつつあるのじゃないだろうか。たとえば大都市をつかまえてみますると、毎日々々相当の人間がその土地に、住居を持たない人間が入ってきておる。それが町の中をいろいろ活動いたしまして、そこで経済活動を、いろんな活動を行なうわけでございますが、その連中は一文も負担をしない。しかしその連中のためにやはり道路を直さなければなりませんし、また清掃等の業務を行なっていかなければならない。そうなりますと、そういう経費というものをその土地に居住する住民だけの負担に求めることが一体自治体としていいかどうかという問題があるんじゃないか、そうなってまいりますと、今日の固定資産税と住民税という居住民中心の税制というものについては、やはり反省すべき点が出てくるんじゃないか。もっとはっきり申し上げますならば、そういう大都市に、あるいは中都市もそうでございますが、外から入ってくる連中というのは勤労者であります。そうしますと、そういう人々のための行政というのは、つまり法人というものに対してある程度求めていってもおかしくないんじゃないか、全く個人の意見でごさいますけれども、そういうことも考えます。そうしますと、法人に対する租税負担全体としての軽減、経済的な意味かう国際経済の競争力を強めるという意味かう法人全体の負担を軽減するという問題もございますけれども、これは別としまして、国と地方との間の法人関係の租税負担の求め方というものがいまの姿でいいかどうかという問題が起こってくるんじゃなかろうかということを私は感じるのでございます。個人の意見で申しわけございませんけれども、現在省論といたしましては、この点につきましては突き詰めた議論はいたしておりません。
  47. 西田信一

    西田信一君 もう少し、無理な地方税負担を整理するといいますか、そういう意味で、たとえば固定資産税の内容等についてもいろいろお聞きしたい点もありますが、きょうはこの程度にいたしまして、また次回にお尋ねしたいと思います。
  48. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いまのことに関連して。いま局長個人の意見ということで前提にしておっしゃったようです。もちろんこれは、大都市は大都市としての行政をやっていかなければならないと思うんですが、そうだからといって、いなかから働きにきているからといって、それを法人に何かの形でもって負担させるといいますか、配分を考えるということも、それは都市はそれでいいでしょうけれども、そうであったからといって、いわゆる貧弱市町村、そのほうは全然解決にならないんじゃないですか。そのほうはやはり別の考えでもって何かの解決の方法を考えなければならないんでしょうが、全体としてはどうですか。都市の場合をおっしゃればそうであるかもしれませんが、やはり傾斜配分とか、法律的な意味における富裕都市というんじゃなくて、都市的な都会と、それから農村的な都会といいますか、中小都市、そういうやっぱり団体間の何か調整みたいなものが必要なように思うんですけれども、こういうことはどうなんですか。
  49. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私はいまの市町村自治の姿というものを考えた場合に、法人に対する租税負担というものの国、府県、市町村相互間の配分が現状では適正じゃないんじゃないか、こういう疑問をお話申し上げたわけでありまして、それがいいのだと言い切っておるわけではありません。そういう疑問があるということを申し上げたわけであります。お話のように、それは振興していく都市につきましては、そういうことが可能でありますけれども、それほど振興を期待できない都市におきましては、かりにそういう税制を考えていきましても、それはそれで十分間に合うものじゃございません。そういうものにつきましては、やはりどうしても町村ないしは、町村と言っては語弊がありますが、町村の性格を残した小都市と申しますか、そういうところへやはり税源の発掘といいますか、振興と申しますか、そういうことを中心として考えていかなければならない、そういうことになれば、法人税の傾斜配分しかないじゃないだろうかと私は思っております。
  50. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結局新税を創設するといっても、富裕な都市以外のところでは、新税の発掘ということもむずかしいと思うのですね。結局はあれじゃないですか、都会的な、あるいは産業的な都会における税の伸びがいいということは、やはり経済の高度成長の直接の恩恵を受けるようなところはそうなんですけれども、やはり農村的な環境の中にある都会とか、あるいは町村というものはその恩恵を全然受けないし、かつまた国の何といいますか、命令的な事業をたくさんやらなきゃならぬというようなところで、事業とそれから収入との関係がアンバランスになるというところに問題があるのじゃないかと思うのです。今度もそういう意味傾斜配分というようなことをお考えになっていると思うのですけれども、これも何か靴を隔ててかゆいところをかくような気がするのですが、私たちがやっぱり考えることは、職員の給与を上げていかなければならないし、国家的な要請の仕事をやっていかなければならないし、そういうところの財源をどうするか、新税が考えられないということであるならば、やっぱり交付税の全体のワクを上げていって、傾斜的な、おくれているところの開発なりあるいは振興なりをはかっていくというところに問題の焦点を合わせていかなければいけないのじゃないかと思うのですが、今度の法律改正、それがどの程度まで実現できるかという、そういう具体的な見通しを伺いたいのです。
  51. 柴田護

    政府委員柴田護君) 交付税率は据え置いておりますけれども、基準税率計算で五%引き上げておりますということは、結局そういう、いまお話のありました団体のほうへ交付税が流れるということを意味するのでございまして、そういう意味合いでは交付税傾斜配分をさらに強めたと実は考えるのであります。したがって、お話のように、そういう都市についての必要な財政需要をまかなうために財源充実してまいらなければならぬのでございますけれども交付税では隔靴掻痒の感があるというお話でございましたが、これはやはり交付税算定方法というものがいまいろんな形で整理されていない、いろいろ突っ込みになっておる部分もいろいろ誤解を招くおそれがあると思いますが、全体の思想としては、従来から比べますと、食弱団体への交付税の流れ方というものが従来から比べますと、さらに相当推進されるということになるのじゃなかろうかというように私どもは考えておる次第でございます。
  52. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この法律がもし改正になったとしますと、従来よりも傾斜配分的な要素というものが、全額にしてどのくらいということになるのですか。
  53. 柴田護

    政府委員柴田護君) これはまあ傾斜配分ということで、即傾斜配分ということになるかならぬかわかりませんけれども、たとえば、小中学校経費充実だとか、あるいは土木関係の経費充実、それから農業関係で土地基盤整備事業、あるいは産業経済費の投資的経費、あるいは離島等の隔遠地補正をつくりましたこと、低極地におきます市町村の態容補正係数を改めて態容差を少なくいたします基準税率引き上げ、それやこれやを入れまして、市町村財政需要を増しておるわけでございます。いま申し上げましたようなことを全部ひっくるめますと、交付団体で三百億ばかりになるわけでございますが、的確なお答えが、突っ込み計算でございますので、的確なお答えができませんで少し恐縮でございますけれども交付税の割合から言いますと、この計算で府県と市町村の割り振りは八百億ばかりふえます。交付税が。これが普通交付税の割り振りが府県と市町村が半々近くになっておる。府県が四百四十億ぐらい、市町村が三百六十億ぐらいの増加を予定をいたしておるわけでございます。この増加額の府県、市町村の割合というものは、従来から比べますと、非常に市町村に片寄っておるわけでございます。それだけ貧弱団体についての財源増強をはかるということを頭に入れておるわけでございます。特に相当な給与改定がありまして、これが平年度化するわけでございますので、給与改定の比率から言いますと、府県と市町村との割合は一対二、県が二、市町村が一という割合になるわけでございますけれども、それを考慮に入れてこの数学を眺めますと、相当市町村交付税が流れることを前提として計画ができておると、こういうふうに御判断願えるのではないかと思うのです。
  54. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この委員会でも地方団体の赤字がだんだと激増しているということ、赤字団体がふえてきているということですけれども、これはいろいろ自治省の方に聞けば、首長が自分かってな事業をやる、あるいは職員の給与改定が毎年々々累増していくからだというようなことをおっしゃる方もあるわけなんですけれども、赤字の原因というものは、大ざっぱに分けてみて、どういう順序で赤字になるものが多いかということはどうですか。どういう原因で赤字になるのか。
  55. 柴田護

    政府委員柴田護君) この最近の財政の推移をもう少しこまかく分析いたしませんと、そこのところはっきりした結論は出庫せんけれども、大体私どもの最近感じますところは、非常に事業のやり過ぎ、と言っては語弊がありますけれども、何と申しますか、財政的な見通しの甘さ、甘い見通しの上に立って事業を行なったその結果がつい崖から足を踏みはずしたということになっている場合が相当ある。それからどうも地方団体で首長が交代いたしましたときに、隠れていた赤字が出てまいるというのが最近またふえ始めております。特に市町村で何回か市町村長がやめたあと、それが新しい人にかわったとたんに、財政を調べてみると、やや赤字がある。それで再建をしなければならないというような問題が最近ふえてまいっておる。非常に残念なことでございますけれども、そういうように思うのでありまして、給与費の問題は全体として地方財政にやはり重圧を加えておりまして、これがもはや問題でなくなったという状態ではございませんけれども、それが直接赤字の原因とは言えない、そういうことが毎年々々積み重なってきて財源を圧迫している、そういう意味合いにおきましては、やはり給与問題というものは、やはり地方財政の問題点ではございますけれども、赤字の原因ということから言いますれば、やはり甘い見通しの上に立った事業の執行ということが一番大きな原因ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  56. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いまのお話では、勘といいますか、ちょっと感じたところでは、そういうことではないかというお話のようです。ということは、結局事業のやり過ぎと言ったって、どの程度のやり過ぎかということになるし、それから見通しが甘かったといっても、どういうのが甘いのかということは、一つ一つのやはり団体について何かこう監査か、検査かでもすれば、この程度のことは、これだけの財政規模ではちょっと大き過ぎたのじゃないか、多う過ぎたのじゃないかということは言えると思いますけれども、全体として考えてみて、事業のやり過ぎと断定できる根拠はございますか。
  57. 柴田護

    政府委員柴田護君) 全体としては、やはり私が事業をやり過ぎということを申し上げましたのは、やはり地方を歩いてみますと、特に市町村の場合などというものは、行政水準引き上げと申しますか、向上と申しますかということが非常にスピードアップされているわけでございます。しかしながら、いつかこの委員会でも御報告申し上げたかと思いますけれども、背なら学校を一つ改築いたしますと、相当年数たってからまた学校の改築というような問題が起こってくる。しかし、今日では、学校が済んだら下水道、下水が済んだら水道だといったように、次から次と需要が出てきている。それを満たさなければ住民の不満が消えない。そこで無理してただし書き方式をとっていくというような現象になるわけであります。したがって、そういう意味では、財政需要が相当きつい、非常に大きな圧力となって市町村に迫っている。一方収入の計算でございますけれども、収入の計算では、税収入はわりと高目に計算するのでございますけれども交付税計算が末端にいきますと、まことにいいかげんな計算をしているのが多い。これは年度の初めに、こういう形で計算をしてもらいたいということは、府県を通じまして、こまかく通知をしておりますけれども、どうもそこのところが従来の陋習等がございまして、きわめて大ざっぱな率をかけてやっているというのが多うございます。したがって、きちっと計算をすると、どうもいろいろ見込み違いがあったというようなことがいまだにあとをたたない。そういう収入の計画の上に立って財政需要を満たそうとしますれば、こうしても無理をした予算になり、執行になってしまう、その辺に足を踏みはずす原因があるというふうに私は思っているのでございます。
  58. 西田信一

    西田信一君 具体的なことをお聞きするんですが、あなたのほうで地方債を組んでいましょう。それが地方の公共団体で起債や何か、予算に組みますね。これは相当の開きがあると思うんだが、そういうものはつかんでおられるか。市町村が当初予算の中に組んだ起債の額と、これはどんなことになっていますか、非常に違いがあるんじゃないですか。
  59. 柴田護

    政府委員柴田護君) 当初予算の集計を一時やったことがあるんですけれども、最近また気になりまして、当初予算の中身をとってみたらといっておりますけれども、この中にまた、山をかけたものがたくさんありますので、詳しく集計しても、あまり意味がございません。具体的にそれを比較して幾らということはございません。ただ、結果的には、先ほど決算と計画との比較で申し上げましたように、地方財政計画よりも相当オーバーしたものが借り入れられているということになっているようでございます。
  60. 西田信一

    西田信一君 交付税の見込み違いという話もあったけれども、私は、起債なんかの過大見込みというようなことは、相当その起債の決定がおくれて実質的に間に合わないので、どんどん仕事を進めてやっちまうということが非常に影響が多いんじゃないかというような感じもしているんですが、そういう点はどんなふうに指導されているんですか。
  61. 柴田護

    政府委員柴田護君) 一時おっしゃるようなことがございました。最近はそんなこともございますので、地方債のワクの決定というものは、なるべく早くするということで、早くいたしておりますし、単独事業等につきましても、継続事業的なものについては、継続年次割りを示しまして、それに応じて事業をやっていくように指導いたしておりますので、一町に比べまして、私は非常に是正されたと思うわけでございます。ただしかし、お話しのように、それでは足りないがやってしまえという非常に勇ましいところもあるわけでございますから、御指摘の点は全然原因がないとは申し上げられません。
  62. 占部秀男

    占部秀男君 一つ、先ほどの松澤先生のお話で、地方財政を圧迫する大きな原因は何といっても財政需要が非常にふえてきておる、こういうようなお話ですが、私はこれは事実だろうと思うのです。特に三十七年度一般会計の決算状況の報告を読んでみても、非常に県市の単独事業がふえている。これは私はそういうことの一つの裏づけだと思うのですが、そういう意味では必ずしも単独事業がふえたから、それはいけないという意味ではなくて、私はそういうような意味財政需要がふえるということはどこに原因があるかということを考えると、いままでやっていなかったというところに私は大きな原因があるんじゃないかと思うんですが、それは政府の統計的なものでも明らかになっておるわけなんですが、そういうことを考えると、この際、むしろ財政需要が高まる、すなわち国民の生活のための要求を満たす仕事、これはどうしてもやらなくちゃならぬ。そのことを前提として、逆に赤字が起こらないような形の、もっと何か根本的な方針といいますか、大ワク的の言い方ですけれども、それを一ぺん考える必要があるんじゃないか。赤字が出る、単年度赤字に三十七年度はなっておるわけですし、赤字団体もふえているのですが、そういうような財政需要が起こっても、それは赤字にならないような方式をもっと先に考えるべきじゃないかというように私は考えるのですが、そういう点は大まかにいって、どういうふうなお考えを持っておられるのですか。
  63. 柴田護

    政府委員柴田護君) まあお話のような方法が具体的にあるのかどうか検討する必要があろうかと思いますけれども、私は考えてみまするのに、われわれの家庭でもそうでございますけれども、それは収入を無視して金を使えば赤字になるにきまっているので、永久にそういうぴしゃっとした方法があるかといいますと、これはなかなかむずかしいことじゃないかと思うのでございます。ただ御指摘のように、私どもは単独事業が非常に財政計画のワクをオーバーして行なわれたということが悪いかといえば、私どもは悪いことだと思っておりません。単独事業といいますと、何か悪いことのように、よけいなことをしたように思う人が多くて非常に誤解を招いておりますので残念でございますけれども、実は道路五ヵ年計画一つとらえてみましても、あの八千億という単独事業は少ないと私は考えます。国道と府県道、市町村道の面積から考えますならば、単独事業はあれの三倍になっても別におかしくないのでございます。それを財政計画上どのように取り上げていくかというのが問題でございまして、いままでの財政計画やり方では問題が解決しない。したがって、財政計画上の単独事業の計画といいますか、これをもっとしっかりしたものをもってやっていく必要があるんじゃないかと思います。逐年努力してやってまいっておりますけれども、なかなか理想どおりにいかない、これが現状でございます。将来ともこれの合理化につきましてはさらにつとめてまいりたいと思うのでございます。したがって、そういう意味における検討の余地は現在の財政計画にはあるわけでございます。やっていく必要があるのでございますけれどもお話しのような点は、実はなかなかむずかしいことじゃないかというように考える次第でございます。
  64. 占部秀男

    占部秀男君 僕の言うことも、ちょっと伺いますと、僕の言い方が悪かったので、あるいは誤解してとられたかもしれぬのですが、ほぼあなたの言われておるようなところに近いのです。大ワク的な意味できちっとそれを全部包括しろというのじゃなくて、財政需要が多くなっておるその根本原因が必要なものなんです。これは必要でないものならとにかく、実際問題として都市計画の問題なり、いまも道路お話をしましたが、それは道路だけでなくて、いろいろな県市の仕事に共通して言えることじゃないかと思うのですね。そういう点をやはり埋めるということを積極的に考えてもらわぬと、地方団体は国民のために仕事をするたびに赤字になる。赤字になるという言い方はおかしいのですが、財政が圧迫されるという言い方では、これはどうも地方自治の本来からいって、私は逆のさか立ちの言い方ではないかという感じがするものですから、そういう点をひとつ課題としてお願いをしたいのです。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 きょうの時間もあまりないようですから、先ほどから出ております地方財政計画の問題でお考えをお聞きしたいのですが、さっき西田委員からの地方財政計画と決算が相当大きな違いが出てきておるというようなこと、そういうことに対して、局長はできるだけ決算と計画とが近づくようなこともしたいというような意味のことをおっしゃったようであります。しかし、地方財政計画の立て方からしますと、これは局長の言葉の中にもありましたが、当然これは食い違ってくるので、それはそれとして建前上これはやむを得ないものだというふうに言わざるを得ないと思うのです。で、そのことについては決算とそれからあまり違わないような財政計画をつくるというようなこと、これはこれからの問題として、一体いまの財政計画というものが何をねらって何を考えておつくりになっておるのか。これは私はやはりいまのような問題、これは基本的に考えてみなければならぬことになってくるのじゃないかと思うのです。いままで自治省では財政計画というものは地方財政運営を合理的なものにし、何といいますか、将来にわたっての見通しを立てるために必要なんだと、こういうようなことをしばしば言ってきておられたと思うのですが、そういうことでいまの地方財政計画をおつくりになっていらっしゃるのかどうか。この点、端的に私ひとつお聞きしたいと思うのです。
  66. 柴田護

    政府委員柴田護君) やはり財政計画から、それを基礎にして交付税計算に入っていくわけでございます。交付税単位費用等を改正いたしますもとは財政計画に発しておるわけでございますので、そういう意味合いにおきましては、従来から私どもが御説明いたしました趣旨はくずしていないつもりでございます。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 確かに地方財政計画とそれから交付税の関係、これはおっしゃるとおりだと思うのですが、ただ、いまの地方財政計画というものが一体どういう役割を持っておるのか。単に交付税のためのものであるのか、こういう点になると、私は多少疑問だと言わなければいけないと思うのです、私自身は。毎年これは非常に難儀をしてつくっておられる。しかし、その財政計画というのは、地方税のそれからいっても、それから地方税なり標準税収入というものの見込みを立てて、その他の地方における歳入、それから交付税あるいは起債、国庫支出金、こういうものを集めて、そうしてそれに対応するような地方の支出というものを一応見通しを立てて、その限りにおいての数字は合うのですがね、これは決算とか何とかいうことでなしに、非常に実態とは違った姿で数字が出てきておるわけですね。たてまえ上いまのようなやり方をすれば、それしかないと言えばそれまででありますけれども、少なくとも地方財政計画というようなものと呼ぶためには、いまのようなやり方では私ちょっと物足りない。そしてまた、地方団体にとってもどの程度のいわば参考になるのか、指針になるのか。というのは、私は少し口悪いような言い方をしますと、ほとんど地方団体にとっては何ら指針になるというようなことではない財政計画ができている。しかも、これは府県市町村全体としての国全体のやつを大きな数字でまとめてしまったというようなかっこうになると、なおさらそういうふうになってしまうわけですね。そういう考えを持っています。見方をしております。  そこで、財政計画というのは、地方交付税法の第七条によるものとして考えているわけでございますね。いかがでございます。
  68. 柴田護

    政府委員柴田護君) 地方交付税法第七条による書類のいわば概算的なものだという考え方に立っておるわけでございます。おっしゃいます指針というのがどういう意味なのかちょっと問題があるかと思うんでございますけれども、国がその年度において地方団体に期待をする標準的規模における財政活動というものを表示すれば足りるということでございまして、したがって、ここから標準的な行政指導を、行政規模を維持し、これを行なえ、また標準施設維持するといったようなことをねらいとする交付税計算が出てまいる、そういうことになってくるかと思うんでございます。地方財政全体として財源が足るとか足らぬとかという判断にもなるんであって、交付税率が妥当であるかどうかという判断も、やはり財政計画が一つのベースになって、そこから計算をする、そういう仕組みになっておるわけでございます。実際問題といたしましては、財政計画にもいろいろ問題があるものでございますから、そういったような御議論が出てくるかと思うんでございますけれども、その趣旨はそういう趣旨で、その趣旨は今日においてもくずれてないんだというふうに考えておる次第でございます。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 標準的な行政水準といいますか、行政をやっていくための一つの見通しですね、といったって、この財政計画の中にあるそれで地方における――地方と言っても、さっきも言ったように、府県から東京みないなものも入り、市町村までみんな入っておりますから、これで標準的なものといったって、なかなかどうですかね、やっぱりそういうような目的が達せられておるというふうにお考えになっておるんですか。  それから、もう一つですね、交付税法の第七条によるものの概算みたようなものだと、こういうようなお話でしたが、そうすると、本番はこれなんですか。本番はこれによって見ろと、こういうふうに考えるべきですか。
  70. 柴田護

    政府委員柴田護君) やや話がこまかくなりますけれども、具体的に申し上げますと、たとえば財政計画で税収入は一兆二千億とにらんだ、その場合の算定基礎の税目別算定基礎はこうなっておるということになります。それを各地方団体に流すわけでございますが、それぞれの地方団体では、その財政計画というのは全国的平均値でございますので、その平均値に対する自分の団体修正値を持っておる。その修正値を使いますと、その団体の税収入というものはある程度見通しが立つ。たとえば、国庫補助金、奨励的補助金の問題はやや別でございますけれども、大体負担金系統のものでございますれば、従来からのある程度の一つの実績を基礎にした比率というものはあるわけでございます。それによって国庫補助金の増減の中身が明確でありまするならば、それによってある程度計算がつく。そういう意味合いで、やはり私ども財政計画の中身の分析というものを通じまして、地方団体といたしましては、予算なり財政活動にやはり非常に参考になるだろうというように思っておるわけでございます。正式な法律上の書類といたしましては、いま御指摘のような法第七条の書類が、正式の地方公共団体の歳出入の見通しでございます。それを一つのバランスシートにちゃんと置き直したのが財政計面、しかも概算的なものです。詳しいのは、相当な中身のこまかい算定基礎をつけました法第七条の書類が正式のものだというふうに考えております。
  71. 鈴木壽

    鈴木壽君 きょうはあまり時間もありませんから、ただもう一つ聞いておきますが、地方交付税法第七条による書類でありますが、これには翌年度地方団体歳入歳出総額の見込額に関する書類をつくれとあり、総額という場合に、これはあとの二号に、「地方団体の歳出総額の見込額及び左の各号に掲げるその内訳」、こうあって、総額というもののとらえ方はどうしたらいいのか。これを見ましても、たとえば税なら税を見ましても、これは総額ではないわけですね。標準税収入ということで見ている。総額はもっともっと大きい、こういう問題があるのですが、総額というものは、どういうふうに考えて計画なり、書類なりをおつくりになるわけですか。
  72. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは多少歴史的な因縁があるものですから、おっしゃるような御議論が起こるのはごもっともと思うのでございます。これは平衡交付金時代にあったわけでございます。それは毎年度の平衡交付金の額をきめます場合、個々の市町村について基準財政需要額と基準財政収入額の計算をして積み上げるというのが、シャープ勧告の趣旨でございます。そういう方法をとることは具体的にできない。そこでこの七条の条文を置きまして、代置したわけです。その場合、ここに書かれておりますおっしゃるような総額という問題、これはもちろん標準的規模における総額である、標準的なものにおきます計算をして見たわけでございます。それを交付税法にかわりましたときに、やはり七条というものは、交付税率の妥当、非妥当というものを検算するといいますか、それを確かめる一つのものとして要るのじゃないかということで存置したわけであります。したがって、七条に基づく書類は、その平衡交付金時代以来のものを今日まで踏襲してきている。そのような理解をしておりまするし、そうやってきております。また七条の理解のしかたも、地方交付税法の中の七条でございますので、地方交付税法趣旨に基づいて解釈すべきものだというふうに考えているのでございます。
  73. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、総額というのは、従来の平衡交付金時代のそれで、その場合には、税のことで申しますと、いわゆる課税標準額、標準税額、これを総額という、こういうことでございますか。
  74. 柴田護

    政府委員柴田護君) ありていに申し上げますならば、あるべき姿の地方財政総額、したがって、税についていいますと、標準税率算定した税の総額というふうに解釈いたしているのでございましす。
  75. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、ここはもう少し的確にこれは従来の――従来というよりも、平衡交付金時代はこうだったし、いまもこうだという――ちょっと誤解のないような書き方というものはありませんかな。
  76. 柴田護

    政府委員柴田護君) 誤解のないような響き方はあろうかと思います。思いますが、なぜさわりませんかというと、これはいろいろさわりますと、大蔵省との間に問題が起こったり、いろいろするものですから、率直に申し上げまして、そのままでずっとしておるわけでございます。しかし、なお検討いたしたいと思います。
  77. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあと、きょう時間もないようでありますが、財政計画というものの持つ性格なり意味なり、あるいは何を目ざすのか、これはやはりもう少し検討しないと、私はさっきも申し上げましたが、率直に言って、財政計画財政計画、しかし実態はこうだ、こういうような一つの単なる形式的な書類に終わってしまうのではないかと思いますし、もし財政計画をつくるとするならば、よくいう、いわゆる標準的な行政をやっていく場合の財政需要のそれを完全に一まあ完全ということばは少しあるいはどうかと思いますが、それを捕捉して、その上で、たとえば税というものはどうなきゃならぬのか、しかし現状の税種目なり、あるいは税以外から入ってくる金というものはこれしかない。そこで、一体交付税というものはどうなければならないのか、あるいは起債その他がどうなければならないのかという、そういうものでないと、財政計画、単に数字的なつじつまが合ったということだけで、本来の財政計画そのものの果たすべき任務というものは果たせないことになってしまうのじゃないだろうか。率直に言って、私は毎年あなた方、さっきも言ったように、非常に難行しておられますが、どうもまともに一生懸命やっておっても、いまある税、あるいは見られる税、あるいは交付税、しかもその交付税は、地方財政計画の中で交付税がどうなければならぬのかということよりも、また交付税というものは税率においていまのところはさまっておるのですね、ワクでどうするのかという、そういうことしかできないことになっているのですね。それでは私はいま申しましたように、ほんとうの意味地方財政計画というためには役に立たないものになってしまうんじゃないだろうか。ここに財政計画に盛られておられますいろいろな歳出関係のを見ましても、どうも地方の何といいますか、あるべきといいますか、あるいは標準的な、そういう行政維持するためのそれとしては、まことに幾多の問題のあることも、これははっきりしておりますし、これはひとついずれあとでもまた関連をしてお尋ねをしたいと思いますが、財政計画のあり方、持つべき性格、こういうものについて御検討をいただかなければならないんじゃないだろうかと思っておりますが率直に悪口も申し上げましたが、あなた方、やはりこのままでずっとおやりになるつもりなんですか、どうです、その点は。
  78. 柴田護

    政府委員柴田護君) ごもっともな御説かと思うのでございます。私どものほうの関係の中でも財政計画についていろいろ疑問を提示する向きもあるわけでございます。しかし、私ども財政計画の持つ指導性、その趣旨というものにつきましては、やはり交付税法との関連におきまして依然として失われていない。また交付税率が足るか足らぬかという議論をいたします場合、やはりこういうものがなければ議論にならないんじゃないだろうか。そういう意味におきましては、やはり交付税法の第七条というものの条文の趣旨は、生きておりますし、また生かされなければならないし、それの概算として財政計画という意味も十分あると思います。ただ御指摘のように、この中にはその算定方法、とらえ方あるいは示し方等々につきまして、お説のような御疑問が生ずる余地は十分あるのであります。その合理化につきましては、従来からやってまいったわけでございますけれども、やはりさらにその合理化について、もっと知恵をしぼり、もっと計画にふさわしいものにしてまいらなければならないというように考えておるわけでございます。
  79. 鈴木壽

    鈴木壽君 きょうはこれで……。
  80. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 午前中の審査はこの程度にして、午後は一時半まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩    ――――・――――    午後一時四十八分開会
  81. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 休憩前に引き続き委員会を再会いたします。  「大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等特例に関する法律案」を議題といたします。  前回の説明に補足して説明を願います。佐久間行政局長
  82. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お手元に配付いたしてございます法律案要綱に従いまして補足説明をいたします。  この法律案は、大臣の提案理由の御説明でも申し上げましたように、大規模な公有水面の埋め立てによりまして新たな土地が生じました場合におきまして、将来その土地につきまして周辺市町村と関連なく、新たな集落が形成されまして、しかもそれが一つの地方公共団体として十分要件を備える見通しがあり、一つの地方公共団体として成立させ、今後の運営をさせていくことが適当だと考えられますような場合に、当該区域をもって新たな村を設置することができるような法的措置を講じようとするものでございます。具体的には八郎潟の干拓事業が進捗をいたしまして、昭和三十九年度から干陸が始まり、昭和四十年度で干陸を完了する予定になっております。八郎潟中央干拓地が百五十八平方キロメートルになりますし、新しい形式の営農を行なっていこうとするわけでございますから、このような場合におきまして、先ほど申しましたような新しい村を設置することのできるような、地方自治法等特例を定めようという必要が起こりましたので、急に御審議をいただくことにいたした次第でございます。  法案の内容といたしましては、まず第一でございますが、現行地方自治法によりまするというと、市町村の地先水面は、当該市町村の区域に属するという解釈が行わなれておるのでございますが、八郎潟のような場合におきましては、そのようなことで区域を周辺の市町村に分属きせることが適当ではないわけでございます。そこで、この特例に定めました手続といたしましては、内閣は、大規模な公有水面の埋め立てが行なわれる場合におきまして、当該埋め立により生ずる土地にかかる区域をもって村を設置することが適当であると認めるときには、関係普通地方公共団体意見を聞いて、新たに村を設置することができるということにいたそうとするものでございます。関係普通地方公共団体は、申すまでもなく関係都道府県、関係市村町でございますし、それらの地方公共団体意見を申し述べます場合には、議会の議決を要することにいたしておるわけでございます。  次は、村が処置されまして、長、議員の選挙を行ないます場合でございますが、当初は住民もおりません状況でございますので、ある程度の入植者が定着をいたしまして、村としての共同生活体の基礎ができます時期になりましてから選挙を行なうようにいたそうということで、「自治大臣が指定する日」まで延期をするということにしようとするものでございます。  次は、職務執行者に関する事項でございますが、ただいま申したような状況でございますから、村の設置と同時に村長を選挙することができませんので、村長が選挙されますまでの間、「都道府県知事は、都道府県の議会の同意を得て、当該都道府県の吏員で市町村長の被選挙権を有する者のうちから、職務執行者を定めなければならない。」ということにいたそうとするものであります。職務執行者の任期は二年としょうといたしております。職務執行者は、村長が選挙され、就任されるときまで、新村の長及び収入役の権限に属するすべての職務を行なうことにしようということにいたしております。  次は、職員に関する事項でございますが、新村の職員は、都道府県の職員のうちから、「当該都道府県知事の同意を得て、職務執行者が命ずる。」ものとしようといたしております。  次は、「条例の特例」事項についてでございます。条例を制定いたすにつきましては、当初、議会がございませんので、「当該議会の議決に代えて都道府県知事の承認を得て、」制定することができることにいたそうということでございます。ただし、それらの条例の中で地方税の賦課徴収、分担金、使用料の徴収または行政事務の処理に関するもの、言いかえますれば、住民の権利義務に関係あるものについては、都道府県知事の承認を得るだけでなくて、あらかじめ都道府県議会の同意を得なければならないものといたしております。新村の長が選挙されました後におきましては、最初に招集されました議会の会議におきまして、条例の制定について承認を求めなければならないことにしようといたしております。  次に、「議決事項の特例」でございますが、職務執行者は、新村の議会が成立するまでの間は、議決を要することとされております事項につきましては、議会の議決にかえて都道府県知事の承認を得て管理し、執行するものといたそうとしております。  次に、「委員会等の特例」でございますが、新村の状況から見まして、選挙管理委員会、監査委員、教育委員会、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会は、一定期間置かないものとし、その間新村のそれらの委員会の事務につきましては、都道府県のその相当委員会がそれぞれ管理し執行するということにいたそうとしております。  最後に、「議会の議員等の任期の特例」でございますが、自治大臣の指定する日から選挙されるわけでございますが、その新たに選挙されました議員及び長の任期につきましては、地方自治法の四年とありますのを二年ということにいたしております。これは、住民がだんだんと定着をしてまいるわけでございまするから、この住民移動の激しい時期におきまして、住民の意思をよりよく反映させるために任期を短縮することがよかろうと考えたわけでございます。
  83. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) それではこれより質疑を行ないます。自治省当局のほか、農林省農地局永田参事官同じく大場調査官が出席しております。御質疑の方は御発言願います。
  84. 鈴木壽

    鈴木壽君 このたびのこの法律案によって、大規模な公有水面の埋め立てによって新たに生じた土地にかかる区域に、新しい一つの村をつくろう、こういうことなんでありますが、これはいま考えられている八郎潟干拓によってできる村、それのみならず、将来もこういうことがあり得ると、こういうふうな考え方に立っておられるようでありますが、その点はいかがでございますか。
  85. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) さしあたりは八郎潟の必要に対応することを考えておりますが、将来にこれと同様なケースが考えられる場合におきましては、そのほうにも適用し得るように、あらかじめ制度をつくって置こうという考え方に立っております。
  86. 鈴木壽

    鈴木壽君 公有水面の埋め立てによって新たにできる土地、その場合に、かりに面積が大きいとか、あるいはその土地に入る人たちの数が多い、こういう問題があるにしても、現行地方自治法なり、その他現在までやってこられました慣例等からいたしますと、これはいわば非常な変わったやり方だというふうに思うんですが、将来もこういろことが、単に八郎潟の干拓地のみならず他の場合においても予想せられるんだからと、こういうことだとしますと、これはやっぱり問題が相当重要な問題になってくると思うんですが、その点、現行法等の規定あるいは立法の精神、地方自治のあり方、こういう点からいって、こういうことに踏み切らざるを得なかったという何か理由、そういうものがあるだろうと思うんですが、その点はどのように考えておられるんですか。
  87. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 現行規定では、公有水面はその地先水面は関係市町村の区域に属するんだ、こういうのが慣例、実例の解釈でございます。したがいまして例を八郎潟の場合にとりますると、周辺の十一町村に、それぞれ地先水面を分属をさせるというようなことになるわけでございます。もちろん一たん分属をさせました上で、廃置分合の手続によりまして、それをまたそこに一つの村をつくるということも可能ではございまするけれども、しかし、一たん周辺の市町村に分属させてしまいますと、今後新しい村をつくります場合にいろいろ支障もございまするので、最初から一つの村をつくるということが適当だと思われます区域につきましては、最初からつくれるような道を開いておくことがいいのじゃなかろうか、かような考え方に立ったわけでございます。
  88. 鈴木壽

    鈴木壽君 新しい村をつくるということを前提に、だから最初からそういうふうにつくれるような道を講じておくことがいいんじゃないかと、こういうお考えのようでありますが、新しい村をつくらなければならないという、そういう必要性なり、そういうものがはっきりする必要があると思いますね。で、お話のように現行の自治法の中に、たとえば七条なり八条、特に公有水面の埋め立て地の所属市町村を定める場合の指貫というようなことが、法的に、はっきりあるわけですね。ですから、こういうものによらないで、特に最初から新しい村をつくらなければならないといろ、そこに大きな納得させる理由がない限りおかしなことになってくると思うのですね。もともとこういうところは、いまの法律のたてまえからしましても、あるいは現在までのいろいろな考え方からいたしましても、新たに公有水面の埋め立て、干拓等によってできる土地、これはその関係市町村のいずれかに編入されるか何かの形をとる、それしかないと思うんですね。それがまた正しい行き方だと思うんですが、それですから、なぜ新しい村でなければいけないということでこういうふうになさるのか、こういう点がはっきりしなきゃいけないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  89. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 大規模な公有水面の埋め立てによって土地が生じました場合に、すべての場合にこの法律の適用があるというわけではございませんで、もちろんその埋め立てによって生じました上地、そこに今後行なわれます産業経営の方向等にもよりまして、新しい村をつくったほうがいいか、あるいは周辺の市町村に分属させたほうがいいかということは判断をしなければならないと思っております。そこで、この八郎潟の場合を例に考えてみますと、八郎潟の干拓事業は、農林省が一つの計画に基づきましてずっとやってこられまして、今後この完成をいたしました後も、そこに一本の計画に基づきまして新しい形式の営農を行なう村落をつくっていこう、こういうことであるわけでございます。しかも面積についてみましても、百五十八平方キロメートル、あるいは人口にいたしましても、これは戸当たりの経営する農地の規模にもよりますけれども、一万あるいは二万以上の人口が定着するということが予想されるわけでございまするから、これはそのでき上がりました集落の今後の自治経営の上から考えましても、それだけを周辺の市町村から切り離しまして、そこで一体的な運営を行なわせることが適当であろうという実態についての判断をいたしておるわけでございます。  それから次に、法律技術的な観点から申しますと、なるほど公有水面のみにかかわらず、市町村の境界変更の手続もあるわけでございますが、これは関係市町村の地先水面に埋め立て地が生じまして、その関係市町村間の境界がはっきりいたしませんような場合に、関係市町村の同意を得て都道府県知事が定めるという手続を定めておるわけでございまして、八郎潟のような場合におきましては、公有水面のみにかかる市町村の境界を決定すると申しましても、実際上どこをどう分属させるかという決定がむずかしいと思いまするし、法の通常考えております場合は、そのような場合ではないと思うのでございます。もちろん現行法のもとでやろうといたしますれば、現行法の規定を使わざるを得ないわけでございますが、実態は、現行法が予想しておりますような場合ではございませんで、むしろ新しい町村、いままで社会通念上どこの市町村にも属さなかった区域に新しい市町村が生まれる、そういうふうな実態であろうかと思うのでございます。そういうような実態に対応する手続というものが、実はこれまで例もございませんでしたので、なかったわけでございまするので、以上申し上げましたような実態の面と法律技術的な面と、両方から考えまして、このような特例を定めることにいたしたわけでございます。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 実態からして従来いずれの町村にも属しないようなところに大規模な土地が新たに生じた、そこに相当数の人が入るし、ざらに、いわゆる産業といいますか、ここの場合は主として農業だろうと思うのですが、農業経営、その他その地域に合うような、他の地区とは違ったような形の一つの営農形態というものを樹立し、一貫したそういう経営をやっていこう、こういうことにつきまして、まあわからないわけでもないのですが、だからといって、最初からこれは新しい村なんだということを前提にしてものごとを考えていくという、そこにやはり何かひっかかりがまだ残っているわけなんです、私自身。これは、いわば一つは、まあことばは少し悪いかもしれませんが、国の上からの力でここへつくるのだという、こういう一つの行き方ですね、こういうことは、ずっと現在までの考えられてきたいわゆる地方自治なり行政のあり方、その中に含む区域の問題等の所属の決定等の場合に、私は、そういう考え方は許されないと思うのです。かりに周辺の市町村が、実際上はたくさんの数の市町村がありますから、十一市町村ですか、その程度のものがありますから、どの町、どの村にどういうふうに分けてやるかというようなことになると、なかなかむずかしい問題でありまして、私も承知しておりますが、しかし、そういうことはあるにしても、周辺の市町村で当然われわれのところに所属すべきなんだというようなことで主張されたら、これはやはり私は問題だと思いますね。それを、いや、そうじゃないのだ、内閣がこれをきめるのだと、ぴしゃりと言うような形に、上からの力でこういうふうなことをやるというふうなことになりますと、これは根本的な問題として問題が残るし、これは重大な問題だとして考えなきゃならぬものだと私は思うのです。もし将来他の周辺の市町村等と違った形の営農なり、そこで地区のいろいろな形態なりというものが予想せられて、新しい一つの別のものにしなきゃならぬということがあっても、それはいますぐでなしに、将来の問題としてそういうふうな必要性があり、また、周辺の市町村の納得する形において新たなものをつくる、こういうことが私はすなおな行き方だと思うし、正しい行き方だと思うのですが、どうです、その点は。
  91. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お説のように、こういう特例を認めますということは相半慎重でなければならないと私どもは考えておるわけでございます。ただ、この八郎潟のような場合におきましては、周辺の市町村がそれぞれ自分のところに当然属すべきものである、本来の区域だと考えますよりも、むしろ地方自治法で申しますと、七条の二の所属未定地域の編入の規定がございます。かつて、御承知のように青森県と秋田県の間の所属が未定で問題になりました久六島の例であったわけでございますが、それと同じというわけではもちろんございませんけれども実態から申しますと、むしろそれに類する扱いをしていいような実態ではなかろうか、かような判断に立ったわけでございます。
  92. 鈴木壽

    鈴木壽君 確かに所属の未定地なわけですがね。しかしこれはいま例にあげました久六島等の問題とは、やはり違ったものだというふうに思うのです。たとえば、東京湾の地先に、これは埋め立てという形でやるのでしょうが、新しい土地ができる、それぞれの周辺の関係市町村、それと何ら変らない。たまたまそれが中において区画がなしに、全部一本の形で土地ができ上がるのだ、こういうことなんであって、自分の地先ですわ、それで橋もかかるし人間も通るし、そういう場所でしょう。全然縁のない、それこそほんとうに所属がいずれにも属しておらないというような、さっきのお話の例の沖の島のようなかっこうではこれはないですね。たまたまそれがいま言ったように形が、こういう何といいますか、楕円形みたいなかっこうで、そして堤防で全部締め切って、中に一つの土地ができたのだということであって、考え方は東側のほうの八郎潟町にしても琴丘町にしても、自分の地先です、これは。西側のほうの琴浜村にしても自分たちの地先ですね。これは当然自分たちの地先干拓という形で、自分たちのほうに所属させるべきだという主張ができるのです。また、しなければならぬと思うのです。ですから、そこら辺、これはあとであなたのほうでお答えになるか、あるいは農林省のほうが適当じゃないかとも思うのだが、いずれどういう村という、ことばはちょっと私はいま使いたくありませんが、この土地にどういうふうな人の配置をし、営農の形態をどういうふうに持っていくのか、さっきお話がありましたように、一戸当たりのそれがどうなるのか、それに入ってくるいわゆる入植者といいますか、そういうのが一体どういうふうになっていくのか、そういうものが明らかにならないとうまくないと思うのですが、そういうものをあとでお聞きしますが、将来ここを一つの新たな村としてやっていったほうがいいんだ、その際には、関係市町村のそれこそ同意を得て、住民の納得の上で、ここに一つの新たな村としてのそれを考えるという考え方であれば、私は非常にうまくいくと思うのですが、もしかりにというか、例として、どこかの町なり村なりが同意を与えないというようなことがあっても、それでもおやりになりますか、これは。
  93. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 先生のおっしゃいますことも一つの御意見だと私ども思うのでございます。結局、問題はそこの造成されました埋め立て地に、今後建設されます生活共同体というものが、周辺の市町村とどれほどの関係を持っておるか。また、その共同体自身がそれだけでどれだけ一体性を持っていくのか。今後のそこの住民の人たちの生活の形態なり産業経営の方向なり、いろいろな点から考えていかなきゃならぬと考えますが、結局、地方公共団体の基礎になりますのは、そうした社会的共同体でございますから、そういうものの実態に適するような自治体をつくらせていくということが政策的に見て正しい方向ではなかろうかと思うのでございます。そういうことになりますると、八郎潟の場合につきましては、農林省の今後の事業継続の考えによるところが非常に多いわけでありまして、私どももそれらの状況も御説明をいただました上で、この場合にはこういうようなやり方をすることが適当だという判断をいたしたのでございます。  それからなお、お尋ねのございました周辺の市町村が同意をしなかった場合にも行なうのか、こういうことでございますが、この法律案のたてまえは「普通地方公共団体意見をきいて、」ということでございまするが、その意見が反対だという場合におきましても、内閣が新しい村を、設置することが適当だという判断をいたしましたときには、法律上は可能だというたて使えにいたしておるわけでございます。
  94. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあこの新しくできるいろんな土地の姿というものは、周辺の市町村とどういうふうな関連があり、一体性が保たれるかどうかというような問題、これは初めから隔絶されたものとして考えれば、一体性も何も出てこないかもしらぬけれども、そうでなしに考えていけば、それは一体性を持つような、関連性を持つようなやり方は、これは幾らでもあると思うんです。最初から別なんだというふうな頭でおるから、一体性があるとかないとかという問題になってくるので、そういうことはスタートにおいてどうのこうのと言うべきものじゃなくて、関連性を持たせるようなことも、かりに、この中の一戸当たりの農地が五町歩なら五町歩、五百ヘクタールになるというふうなことで、ほかのほうは一ヘクタールか二ヘクタールだ、ここだけが大きいのだと、そういうようなことがかりにあっても、それはそれなりに一戸当たりの営農形態の違いであって、村全体として考えれば、その中には当然関連性というものを、何も営農の規模そのものによって村としての一体性がどうのこうのというふうに考えるべき問題じゃないのですから、それは幾らでも関連性を持たせるとすれば、あるいは一体的な村の運営をやろうとすれば、それはできますね。だから、私はあなたのおっしゃるようなことには、にわかには賛成できませんがね。それから、かりに周辺の市町村が賛成をしないんだと、議決もしないんだと、反対だと、こういうことがあっても、これは内閣が意見を聞けばいいんだから、そんなことがあったってやれるんだと、こういうようなことで、だからそろいうところに私は一番初めに申し上げたように、上からの力でこういう問題を……。意見を聞くということは、同意するかしないかは別だと、形において聞くので、形式を整えればいいんだと、賛否は問うところじゃないのだというような、そういうふうな考え方が私はおかしいと思うんです。私は、この問題は実態的にはあなたのおっしゃるように、私も地元ですから、わかりますよ。だから新しい村をつくるということについても、私は必ずしもまつこうに反対する気持ちはない。しかし、ものごとは単なる実態とかなんとかいうことで考えていくべきでなくて、これはやっぱり地方自治の一つの本来のあり方、そういうものにかかわってくる大きな問題だと思うのです。そういう面でどういうふうな御検討をなされ、どういう結論に立ってこういうことに踏み切られたのかということを、私はいまお聞きしたいと思っておるわけなんです。それは所属のきまらないところだから、内閣は、どんどん意見を聞いて、やればいいんだという、こういう姿では、私はこういう問題の処理というものについては大きな疑問を抱かざるを得ないのですがね。だから、私のさっきから言っているこうやったらどうかということは、いまの自治法に基づいたやり方をとっていくと、その場合に、周辺の関係市町村にも将来のこともやっぱり考えながら、将来こういうふうな地区についての新しい一つの村というものをつくるということをみんな納得した形で、ともかくいまの所属をきめていく。将来何年かたって、入植も完全に終わり、予想したような一つのいわばそこに集落ができる、こういうような時期になったら、またそれぞれの関係の市町村において、議決によってここを新たなものにするということは、いまのこういう所属のきまらないところ、あるいは公有水面の埋め立てとかなんとかいろいろありますが、とにかく七条、八条、九条による、そういうルールによるところのものを考えていくほうが私はいいんじゃないかと思うのです。  もう一つ、あとから聞きますが、それで出てくる村というものは一体どうなるのかというと、私は非常にこれはやっぱり住民の権利といいますか、自治の制限された形のものがここに出てくるわけですね。非常にこれは変なかっこういうものです。選挙権があるわけではない――これはあるいは国会の場合は使えるときがあるかもしれませんけれども、自分たちの村そのものに対して選挙権も、村長も選べないし議員も選ぶことができない、こういう非常に制限された形においてその村なるものができ、ここに住民がおるということ、これはまた別の面から大きな問題だと思うんですね。なぜ一体そのように制限をしなければならぬか、かりに五年か七年という計画によって入植するという、そういういまの予想だとしましても、だからといって、最初に入ってくる何百人か何千人か知りませんけれども、そういう人たちは、みんな入ってくるまで待つのだ、そういう権利も行使しちゃだめだという、こういうきわめて制限した窮屈な、いわば住民としての権利も全然行使できないような、そういう形におけるこういう村づくりというのは、これはおかしい。だからこそ私は、初めから周辺のそれに、しかるべく話し合いすればつきますよ、そうやって、あとできれいに分村なんかも認めて、議会で――それはあなたがた、何といいますか、みんなで新しい一つの村をつくりなさい、周辺の人から祝福されて出てくるようなかっこうをとってやることが私はいいんじゃないかと思うんですね。そういうことも含んで、このやり方というのは少しどうもおかしいと、こういうふうに私は思うんですが……。まあ関連があるようでございますから……。
  95. 松本賢一

    松本賢一君 いま鈴木委員質問があっているわけですが、鈴木さんは地元の方で事情をよく御存じなんですが、私どもはよく知らないのですから、幸いここに図面をちょうだいしておるので、ちょっとこの法律はここに関するだけの法律のような気がしまするので、この八郎潟の問題について、ひとつ干拓の歴史とか付近の自治体との関連とかいったようなことについて、概略お話を聞かしていただきたいと思います。それはどちらからでもけっこうですから。
  96. 永田正董

    説明員(永田正董君) お手元に八郎潟の略図がお配りしてあると思います。左上と左下とに日本海、その間に左のまん中より下に陸地の男鹿半島があります。中央が八郎潟でございます。八郎潟は総面積二万二千百七十ヘクタール程度ございます。いわゆる八郎潟事業と言っておりますのは、中央に白く浮かび上がっておる部分、これが中央干拓でございまして、この部分が一万孔子八百七十ヘクタールございます。それから周辺に、下の左のほうからまいりまして西部干拓、南部干拓、それから右側にいきまして東部干拓、北のほうに一部北部干拓一というのが帯のように小さく見えておりますが、これがいわゆる周辺干拓と称しておりますので、この周辺部が千五百六十ヘクタールございまして、中央干拓地と周辺干拓地とを合わせますと、新たに陸地となる面積が一万七千四百ヘクタール程度になるのでございます。一万七千四百数十ヘクタールになりますので、約一万七千五百でございます。  この事業は、昭和三十二年度から国営干拓群業として着工されたわけでありまして、これは特別会計で行なっておるわけでございます。それで、さきに申し上げました干拓します面積一万七千五百ヘクタール程度のうち、耕地となる面積は、一万四千七百ヘクタール程度ということを予定しておるわけでございます。その差は、堤防とか道路とか水路とか宅地とか、そういうものになるわけでございます。この特別会計によります事業費の総額は、現在のところ三百三十一億円ということになっておりまして、三十八年度までの、すでに使いました事業費は、なまで約二百十九億円ということになっております。  具体的な工事の進捗状況について申しますと、中央干拓地につきましては、堤防が付帯工事を除きましてほぼ築造が終わっております。それからその堤防のまん中の白く浮かび上がっておりますところ、右側のまん中よりも上に北部排水機場というのがございます。左下にも南部排水機場というのがございます。その二つが、一万五千ヘクタールばかりの中央干拓の排水機場になっております。この二つはすでに完成しておりまして、堤防とこの機場が完成いたしましたので、咋昭和三十八年の十一月に排水を開始したわけでございます。この図面にはございませんけれども、地区内の幹線排水路も水中で荒堀りを行なっておりまして、三十九年度、本年度中には、五、六千ヘクタール程度のものが水中からあらわれまして干陸される予定になっております。  それから周辺の干拓地、これにつきましては、すでに西部、南部の干拓地はほぼ完了いたしまして、東部干拓地のほうがややおくれておりますけれども、築堤がほぼ完了しておる状況でございます。先ほど周辺干拓の耕地面積の内訳を申し上げませんでしたが、中央干拓の一万五千八百ヘクタールばかりの中の耕地面積は、一万三千七百ヘクタールばかりを考えております。それから周辺干拓の一万五千ヘクタールの中で耕地面積になりますのが千三十五ヘクタールを考えております。これを合わせて先ほど一万四千七百ヘクタールと申し上げたわけであります。  なお、残存水面がございまして、この残存水面は下のほうに調整池と書いてありますが、調整池とそれから承水路、これは向かって右のほうが東部路水路、向かって左のほうが西部承水路と、このようになっております。それと下のほうに船越水道と書いたのがございますが、これが日本海に抜ける道でございます。これの掘さく工事もあわせてやっておりますので、これらの水面を合わせますと残存水面も四千七百ヘクタールばかりになりまして、もとの二万二千余りの総面積の約四分の一が水面として残存する、こういう形になっております。これらの干拓地は主として耕地となるわけでございますが、中央干拓地におきましては、干陸に引き続きまして、国営事業といたしまして用排水路、道路というようなものの基幹的な工事が行なわれまして、その末端工事は特別会計以外の施行によりまして、入植者が入りますまでに、農地、農業用施設、公共施設等の建設整備が必要であると考えておるわけであります。これらの卒業は、おおむね四十年度から開始されまして――と申しますのは、建設工事以外の小さな仕事も含めまして、末端の仕事は四十年度から開始されまして、最初の入植は四十二年といまのところ予定しておるわけであります。で、これは中央干拓地のことでございます。周辺の干拓地は、周辺の市町村の増反用地として逐次現在配分しつつあるといろ遊行状態でございます。  次に、入植計画につきましては、まだ確定をしておらないのであります。実は八郎潟干拓事業企画研究会、こういうものをわれわれのほうでつくっておりまして、これには東畑四郎さんを会長にいたしておりまして、学識経験者が非常に多いのでございますけれども、秋田県もメンバーに入っておりますし、関係各省もメンバーに入っております。こういう会合でいろいろ試算を試みておるわけであります。で、その一つの試案について申し上げますと、一戸五ヘクタール、こういう工合に仮定をいたしますと、農家の戸数は約二千四唐戸と推算されます。それに伴いまして、他産業の商工関係が八百四十戸、給与生活者が千戸、合計いたしまして四千二百戸程度のもので、人口にいたしますと二万一千人程度の規模になるであろう。研究会の試算は、実は二戸当たり二町五反、それから五町歩、ヘクタールでも大体同じでありますけれども、それから十町歩、この三つに分けて実は試算が行なわれております。いま一戸当たり五町歩ということの数字を申し上げたわけでございますが、十町歩になりますと、農家戸数はきちんと半分になる。その他のものはちょうど半分というわけにはまいりませんが、おおむね大体これの半分に近いもの、それから二町五反ということになりますと、おおむねこれの倍の数字ということで大体見当がおつきになると思います。――いまの概略の説明で落としましたことは、先ほど申し上げましたように、水面の面積を約四分の一に狭めたわけでございますので、周辺から入ってきます河川の水をここにプールする能力が減ったわけであります。したがって出口の船越水道というところを、いままで曲って出ておりましたものを、まっすぐ突き抜けるという船越水道の工事をやっておりまして、これが海に向かって吐き出せるところまできております。護岸その他がちょっと残っておりますけれども、通水はしております。それから重要河川、その他の河川につきましても、流入河川の改修が伴うわけでありますが、これらもおおむね完了に近づいております。  以上をもちまして概略の説明を終わります。
  97. 松本賢一

    松本賢一君 そこで、これもちょっと参考までに聞いておきたいのですが、昭和三十二年から始まったのでしたね。私その当時の話も実は聞いておりませんので、なんですが、そもそもこの干拓というものは、付近の市町村が十一あるわけですね。こういういわゆる付近の地方自治体というものとこの計画との関係というか、そもそも何かやはり付近のほうからそういう声が起こってやり出したのか、それともそういうこととおかまいなしに、そういうことを政府のほうで計画されておやりになったのか、ちょっと伺っておきたいのです。
  98. 永田正董

    説明員(永田正董君) 少しデリケートな問題でございますが、夢のような話で、これを干拓したらいいというような、技術屋の間でそういう話は前々からあったわけでございますが、いよいよ調査にかかったといろときには、やはり県の有力者と打ち合わせながら行なわれたものと考えます。そのころから、やはり賛否両論が地元においてはあったと承知しております。したがいまして、特に困難をいたしましたのは、漁業補償で相当もんちゃくが多くて、これの解決には相当骨が折れたという関係がございます。協調点といたしましては、周辺干拓地というものは、実はオランダの有名なヤンセン教授が、もうすでに八郎潟に四、五回おいでになって見ていただいておるわけでございまして、その前に日本の技術屋もオランダに行って勉強してきたということがあるわけでございますが、ヤンセン教授がおいでになったときも、周辺干拓というものは要らないとおっしゃったのです。つくる必要がない、こういうことをおっしゃったのでございますが、まあ排水の面から堤防のようなものは整然と高さをそろえてあったほうがベターであるという一つの考え方とあわせて、周辺農村に増反用地を与えるということが、何といいますか、一つの妥協点といいますか、満足を与える一つの材料になったということができるかと思うのでございます。なお多少は、今後は増反的な意味で中央干拓地にもそういうような希望を持っておられる向きもあると承知しておりますし、また入植をする場合も、周辺からの希望者に対しては、ある程度考慮を払っていかなければならぬ、こういう工合に考えておるわけでございます。  以上で答弁になりましたかどうかわかりませんが……。
  99. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、この中央干拓を除いた周辺干拓――三カ所か四カ所ありますが、これはそれぞれその村へ所属することになるわけですか。
  100. 永田正董

    説明員(永田正董君) そのとおりです。
  101. 松本賢一

    松本賢一君 その程度伺っておきましょう。それじゃいいです。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在までの経過なり現時点なんかの状況なりも、いまお聞きしましたが、昨年末から今年度に六千ヘクタールくらいの干拓ができることでありますし、これから全面的な干拓のそれに入るわけなんですが、今度どのような形でここに入植させるのか、こういうような問題もひとつお聞きしておいたほうが、いまの法律案審議する際に役立つと思いますから、それをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。――その前に、ちょっと一戸当たりの営農規模というようなもの、これはきまったやにも聞きますが、一体どういうふうになっておるか、そういうふうなところからひとつお聞きしていきたいと思います。
  103. 永田正董

    説明員(永田正董君) 一戸当たりの配分面積ということでございますが、先ほど概要のところでちょっと触れましたとおり、企画研究会で二・五、五、十ヘクタールの三通りの案を試算されております。研究会としましては、いずれきめられる数字は、これだけあれば、その中に入るか、少しくらい外に出るか、大体この三つのスタンダードをつくっておけば、きめるときにはそう苦労しないできめられるであろうと、こういう御趣旨かと私らは承知しておるわけでございます。周辺の干拓地は増反でございますから、これは別といたしまして、残余の中央干拓地の耕地の配分をどうするかという、まず土地利用計画と申しますか、部落をどうずるとか、道路の配置をどうするとか、あるいは公園のようなものをどうするとか、公共施設をどういうところに設けるとかというような農村建設といいますか、そういうこともございますので、大まかなことだけはどうしてもきめて進まなければならぬという点がございます。そこで、農業の一つの作業単位というものを、いまのところ六十町歩ということで割り切っておるわけでございまして、たとえば一戸当たりの配分が五町歩であるということになりますと、十二戸が一かたまりになって六十町歩の土地を作業単位としてやる、いわば協業組織でやる、こういうふうな形を考えておるわけでございまして、これをたとえば十馬力程度の耕うん機を使って耕作をするということになると、個人経営という線に近づくでありましょうが、二十馬力以上のトラクターを用いるということにいたしますと、六十町歩に二台、あるいは経営のしようによりまして三台というようなことで、六十町歩というのを一つの単位として考えるわけでございます。ざらに、最近実用に近づきつつありますコンバインを入れるということにいたしますと、これは大体一台で、やはりまき幅がいろいろありますので、一台で作業単位として考える面積は、大体八十ヘクタールから百五、六十ヘクタールという範囲になりますので、四メートル幅のまき幅のものということになりますと、六十町歩の倍の百二十町歩くらいを一つの単位としていけるだろう。大体六十町歩を二つ合わせて、一台のコンバインでやる、こういうぐあいな一応の大体の目安を立てておるわけでございますが、そこで、機械の編成等もございまして、もう少し検討さしていただいてから一戸当たりの面積というものはきめるほうがいいのではないかということで、なお目下検討を続行しておる、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、一つの作業単位というものを六十町歩ということでいたしまして、道路、水路等の配置、それから部落等の配置は、人口によりまして違ってきまするので、いろいろ案を組み合わせて考えておる、こういうのが現在の段階でございます。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 とすると、一つの単位を六十町歩にするということはわかりましたが、しかしその中に、じゃ何世帯でいわゆる協業なり何かをするという、そういうこまかいことについては、まだそれはきまらぬということでございますね。さっきのお話ですと、二町五段歩案、五町歩案あるいは十町歩案、こういうふうにそれこそ案としてはできているんだけれども、そのいずれともまだきまっておらないというようなお話でございましたね。そうしますと、これは入植計画なんということも、具体的なところでは、いまのところ、まだ発表する段階ではないということになりますね。というのは、たとえば、いままでぼくら聞いたところでは、四十一年度から七百戸ぐらい入れるというふうなことを聞いておりましたが、しかし、それはいまの一戸当たりの耕作面積、耕地面積がきまらない限り、何戸というふうなことをまだ言えない段階ですわね。その点はどうです。
  105. 永田正董

    説明員(永田正董君) 工程として考えておりますところを申し上げたほうが、多少早いと思いますので、申し上げますが、三十九年度に初めて土地が、水の中から浮かび上がってきだすわけでございまして、内部工事に三十九年度から多少入っていくという形になりますが、人の問題と結びつけて考えますと、四十年度という年は、指導員の養成と、それから農場――農場というのは、さしあたっては訓練用に使うわけでございますが、農場の四百ヘクタールを耕地としてつくり上げる、これが四十年度でございます。それで四十一年度でこの四百町歩を千町歩に直しかたがた、四十年度で耕地にいたしました四百町歩の上で、三百何十人程度の入植者を一年間訓練する、で、その訓練された入植者が、四十二年度に、初めて配分された耕地で経営を始める、こういうぐあいな案をもって、それに向かって、いま工事を進めつつあるということでございまして、こういう点から申しますと、入植者の選考というようなものは、四十年度で考えて、四十年度からその初めての人たちが現地に入ってきて訓練を受ける、こういう工程になっておるというぐあいに承知しておるわけでございます。したがいまして、三十九年度じゅうは、まだ十分検討する期間がある、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話お話としてわかりますが、私お聞きしたのは、いままで私ども昭和四十一年度から入って四十六年度までで――四十六年度で全部完成した場合には――総戸数が四千三百戸ぐらいだと、したがって四十一年度、二年度、三年度と、こういう年度ごとに七百戸くらいの戸数が入るんだ、こういうふうに聞かされておったんですがね。しかし、それはさっきもちょっと触れましたように、一戸当たりどのくらい持たせるかについて全体の戸数が違ってきますね、したがって、その規模なり何なりもわかってこなければいけないのじゃないだろうか、一戸当たりどうするか、一単位六十町歩にするということはわかりましたが、具体的に何戸入れて六十町歩に一緒にさせるのか、一団地として経営させるのか、それがまだきまらぬというお話ですから、とすれば、四十一年度から私がいままで聞いておったような七百戸前後のものが入るというようなことは、まだそうは言えないのじゃないか、このことをひとつどうなのか、こう聞いたのです。三十九年度からとか四十年度からの準備とか、あるいは訓練ということでなしに、そういうものを予想しながら、四十一年度から入るといういままでの大体の計画の立て方のようでしたから、それをひとつ確かめたところです。
  107. 永田正董

    説明員(永田正董君) 鈴木先生のただいまおっしゃったのは、おそらく一戸当たり二町五反の線だと考えます。で四千三百戸。たとえば五町歩ということになりますと、先ほど申し上げました二千四百戸、こういうことになるわけでございまして、そこをどこに落ちつくかということは、まだきまっておりませんが、そのほうをきめるということ、今度は基本的な施設なり、基本的施設につながる導水路あるいは開墾整地というものの施工の速度、これは機械なり組織なり陣容なりの規模にもよることでありますけれども、軟弱地盤であるということで、そこにやはりある程度の時間を持たせなければ、水が引けた、すぐ来いというわけにいかない、そのほうの抑制もございまして、われわれのほうとしていま考えておりますのは、軟弱地盤が干上がっていくのを追っかけまして、それにできるだけ個々に工事能力を集中いたしましてやった場合にこうなると、そこで、入植者はたとえば五町歩なら、あるいは二町五反なら、あるいは十町歩ならばということで、人数のほうをそのスピードに合わせて入れる、こういうぐあいな大きな考え方、多少両方にらみ合わせる点もありますけれども、多少そういうにらみ合わせを考えておるわけでございます。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 私お聞きしているのはこういうことなんですよ。実は今度新しい村をつくるというのですから、その村の、これは法律をいつ施行して、いつからなるか、これはあとから聞かなければわかりませんが、いずれそう遠くないときに新しい村ができるということを考えなければならない、しかしできた村は、本格的にそこに永住する人たちがおるのかおらぬのか、あるいはおるとすればどのくらいおるのか、これを大体見当をつけておかないと、村としての機能なり、いろいろな仕事なり、そういうようなものを今度の新しい村づくりでやっていく、それとかみ合わなくなると困ると思うんですよ。ですから、私は入植計画があるはずだ、だから、入植計画というのは私が聞いておるのは一戸当たり五町歩、十二尺、六十町歩を一団地といいますか、一つの単位にして、そういうことを前提にして昭和四十一年度から農家及びその他の人たちを含めて七百二十一戸ずつ入っていくんだという計画があるということを聞いておったんです。プリントしたものもありますがね、四十一年から始めて四十六年まで六カ年の間に入植を終わらせるんだ、こういうふうなことを聞いておりましたが、さっきのあなたのお話からしますと、二戸当たり五町歩だとか二町五反だということがまだきまらぬ、こうおっしゃる。きまらぬというふうになりますと、一体五年、六年かかって村に人を入れていくんだが、どの程度ずつ入っていくものやら、三年目には準備がどのくらいになるやら、戸数がどのくらいになるものやら、ちょっとつかみようがなくなってきたわけですね。それがいまの段階でははっきり――たとえば、私がいままで刷りものや話に聞いておりましたもの、そういうものでなくて、まだそこまでいかないんだ、四十一年度七百二十一戸、四十二年度七百二十一戸まあ単なる一つのプランで、そこまできまっていないんだというこであるならそれでいいわけです。そこら辺、お話からしますと、まだいえない段階であるようでありますので、念のためにどうなのか、いままで発表されておったあるいはわれわれが聞いておったそういう新村建設計画と、実際のあなた方のやっておる仕事との間に、少しズレがあるようでございますから、それを確かめておきたかったんです、それだけの意味ですから……。
  109. 永田正董

    説明員(永田正董君) いままでまだ決定版としたものを出したことがありませんし、いま早急に出せるとも思っておりません。したがいまして、いままでやってきたのは、いろいろお持ちかもしれませんけれども一つの試案である、こういうぐあいにお考え願いたいと思うのです。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、それならそれでいいんです。私は別にどうのこうのと言うんじゃなくして、私どもは、いままで案でございますけれども、いま言ったように一戸当たり五ヘクタール、十二戸、六十ヘクタール、これが一つの単位としてやられるんだ、そういう前提に立って農家のほかの方々も入りますが、全部で合わせて大体六年たてば四千三百くらいの戸数が入るんだという、こういう話を聞いておったものですから、さっきの話を聞いたところでは、いやそれまできまっていないんだ、二町五反がいいか十町歩がいいか、これからだというお話でございますから、それならそれでいいわけです。ただ、そうなりますと、これは今度あなたのほうではありませんが、新しい村をつくってやっていくいろいろなことに関係してきます。まだ皆目めどのつかないようなところへ村ができて、一体どういうことをするのかということも実は問題になってくるんですが、それは別問題として……。関連があるようでございますから……。
  111. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま計画について承ったんですすれども、大体簡単にお答え願いたいんですけれども、土地は五ヘクタールで幾らくらいの見積もりでございますか。
  112. 永田正董

    説明員(永田正董君) よくのみ込めたかどうかわからないんですけれども、五ヘクタールを一戸について渡しますと二千四百戸でございまして……
  113. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 土地の値段といいますか、払い下げの値段。
  114. 永田正董

    説明員(永田正董君) これは、干拓の場合には、いま新たにやる干拓でございますと、二割五分を農民に負担してもらう、その二側五分相当額で土地を入手する、総工事費のでございますね。それに借り入れがありますと利息も入るわけでございます。そういうことになっておりますが、これはいまの新しい制度でございまして、八郎潟の場合には相当違いまして、二五%を原則とするけれども、下限と上限とを設けておこうということになっておりまして、三十八年度では下限が反当たりにいたしまして七万円、上限が九万円ということで、先に言いました二五%のものがその七万円から九万円の範囲内に、たとえば八万五千円になるといいますと、八万五千円負担していただく、こういうことになります。で、上下限の中に入ってこない、外側にくるというものは上下限で切る、こういうことになると思います。
  115. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 反当たり下は七万円から上は九万円、その四分の一がそれ以上であっても九万円に抑える、こういうことですか。それから先ほど鈴木委員質問で、四十六年に全部の入植を終わってしまう、これは農林省のほうとしてもやっぱりそういう考えでいらっしゃるのですか。それの見当は全然ついていないのですか。
  116. 永田正董

    説明員(永田正董君) これもまだ決定段階ではございませんからわかりませんというお答えが正しいのかとも思いますけれども、現在の工程から押してまいりまして、大体最後の入植者が入る年は四十六年度に押えたいという目標を持っておるわけでございます。
  117. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういたしますと、大体その配分された耕地に入植者が入るというのは、四十二年ですか、四十一年からでございますか。
  118. 永田正董

    説明員(永田正董君) 最初に入植されて、自分の土地を耕すのは四十二年度をいまのところ目安として努力中でございますが、これも決定版とは申し上げかねます。
  119. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、三十九年で大体いま水の中にある土地が全部出てくる、それは全部実現できるんですか。
  120. 永田正董

    説明員(永田正董君) 大体三十八年の十一月から干拓を開始したわけでございますが、徐々に水を引かしていったほうが堤防が急激な変化を受けないで逐次安定的な沈下をしていく上に都合がいいということが一つ。もう一つは、掘さくなり盛り土なりが、水中であったほうが安いという工事が相当ございます。現に幹線排水路が水中掘さくをしております。それから部落の建設予定地とか、幹線道路の敷地というようなところはサンドポンプでもって盛り土をやっております。そういう関係と、両方から、大体四十年度までで水は徐々に引いていく。四十一年度から全面積があらわれる、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  121. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう一つだけ。われわれとしてその干拓計画がどうこうということを言っておるわけじゃないのです。結局いっその村ができるかということを私たちとしては問題にしているわけです。それで、最終四十六年度で抑える、それまでは完全な形態における新しい村というものができないのじゃないか、こういうところに焦点を置いて御質問を申し上げておるわけでして、干拓の計画計画としてやっていかれればいい、少なくとも四十六年、どんなに早くても四十六年より前には完全な形における新しい村というのは姿をあらわさないということに了解してよろしゅうございますか。
  122. 永田正董

    説明員(永田正董君) 私のほうは、実は農家として入植させるという面から、そういう目標といいますかを置いておるわけでございまして、商工業とかあるいはサラリーマンが建てるとかというような付加的なものがどういうスピードでそれにくっついていくかということは、確たる自信を持った答弁はいたしかねるわけでございますし、さらに、当初に、先行する入植者がどういう家族構成を持つかということが問題でございまして、おそらく当初は家族構成が平均して少ないのではなかろうか、したがいまして、通常の家族構成――五人とか五人半とかという農村の通常の家族構成――に達するのには、相当の年月を要するのではないかと、このように考えております。
  123. 林虎雄

    林虎雄君 大体入植される農家の農業形態ですが、大体水田を主として営農が行なわれると思いますけれども、その他についていろいろ具体的に考えておいでになるわけですか。と申しますことは、もう少し私言いましょう。戦後、高冷地とかあるいは荒蕪地へだいぶ入植させて、あの当時の事情からいえばやむを得なかったと思いますけれども、それが失敗したりして離農した人もだいぶあるわけですが、この干拓の場合には、荒蕪地でも高冷地でもないですし、たいへん平面ですから、耕作には申し分がないというふうに思っております。ただ、半ば塩水があったと思いますから、そういう塩分の関係はどうか知りませんけれども、とにかく従来の終戦直後の干拓の考え方とはだいぶ違ってきているはずだと思います。したがって、水田稲作を中心とするとしても、稲作だけでは営農がなかなか容易でないというふうに承知しておりますが、これからせっかくここへ入植させるには、近代的な農業といいますか、広いところへ新たに入れるわけですから、農林省としても理想的な営農形態をつくろうというお考えだと思いますが、この点お聞きいたしたいと思います。
  124. 永田正董

    説明員(永田正董君) ただいまの営農の形態の話でございますが、企画研究会でいろいろ学識経験者が検討をされておるようでございます。農林省としてその幾つかの成案を持ったという段階ではございません。ただ、その中で問題点をちょっと申し上げておきますと、水田単作はあそことしては非常にぴったりしておる地帯だと思うのでございますが、水田ならば、従来のような個人経営でやるならばそう不安定なものではないのではないか。戦後の開拓でも水田を持った開拓者は大体安定しております。畑作地帯では非常に苦しんでおる農家が多い。こういうのが現実であると承知しておるわけであります。しかしながら八郎潟においては、将来の日本農業のモデルになるような理想的なものをひとつつくってみたいのだという意見が非常に強いわけでございます。まああまりユートピアに近いものをつくるということは、周辺の農家との関係もございます。それ以上に、現在農業というものはまだ日本ではそう実証的な成績が出ておらないわけでありまして、どちらかというと試験段階である。機械もどんどん変わってきておる。そういう過渡期的な時期であるというようなことから、将来機械農業にこの地帯をどうしてもしたいものであるという御希望が多いようでございますので、そこで機械農業で水田単作ということになりますと、御承知のように植えつけの時期と収獲の時期と二度のピーク、そのピークのために三百六十五日機械を保有しておらなければならない。そうすると機械の遊休防止ということをどう考えたらいいかというのが一つの大きな問題点になろうかと思うのであります。そこで、水田以外にそこに何か結び合わさなければならない。機械なり労力なりの平均化といいますか、結局は省力化というほうがいいのかもしれませんけれども、そういう方面からも何か組み合わされた農業というものが必要ではなかろうかという声が高いのでございますが、さてその点について何をどう組み合わせたらいいかということは、たいへんむずかしくて成案がなかなか出ないというのが現在の段階ではなかろうか。牛を入れるというような計画、試算も、いま努力されております。しかしながら、理想的な乳牛地帯ということになりますと、相当規模の大きなものになる。そうするとやはり消費地の関係もございますし、相当それに対処するには施設も要るというようなことになってきますので、これもあまり大きなものをここへ持ってくるというわけにはいかない。そうすると、いろいろ細み合わせができてくるのじゃなかろうかという気もいたしてまいりますが、いずれにいたしましても、これは問題点として申し上げるのでありまして、農林省としてはその点については残念ながら姿勢がいまのところきまっていない。検討中でございまして、申し上げる段階ではございません。
  125. 林虎雄

    林虎雄君 一戸平均五町歩、そうすると十二戸を一つのグループとして、何というか、協業といいますか、そういう形態は非常にこれからの農業のあり方として適当だというふうに思いますが、せっかくこうした平らな、理想的な、何もないところですから、新たな村づくりをするには、特に農業を中心とする村でありますから、農林省としても日本の農業の最高のあるべき姿といいますか、理想像をここに描けるはずだと思いますし、他の一般の日本の漁業の現状を見ますると、みんな行き詰まっておるわけです。一応開拓者なども水田を中心としたところは安定しておるという話でありますけれども、実際は食べることにはこと欠かないけれども、現金収入が少ないので、一部の人は外へ出かせぎに行くというようなところがだいぶ見えておりますし、漁業自体の将来を非常に不安がっているのが日本の農家の現状でありますが、これについては決定的な欠陥としては、耕地が狭小であるということにありますが、この場合には五町歩というものが、一応のきまったことでもないでしょうが、二町五反あるいは五町といわれておりますが、できるだけ規模も従来の日本の農業の規模を拡大して、そうして合理的に営農させていくことが必要だというふうに思うわけでございますが、この入植される人は、おおむね近隣の町村から大体農業の経験のある人が入ってくると思いますけれども、そうなりますと、従来の耕地はどういうふうになるというお考えですか。たとえば他の残っている農家にその土地を処分してこちらへ入るとか、あるいは両方兼ねて営農するとかいうやり方もあるでしょうが、農林省の指導方針としては、どういうふうに考えておりますか。
  126. 永田正董

    説明員(永田正董君) 入植者の選考につきましては、全国的な視野に立ってこれを選びたい、こういうぐあいな基本方針でございますが、地元の方が近いというので優位性を考えてまいりたい。それから地元の方については、入植者という扱い以外に、増反というものを――周辺干拓は全部そうでありますが、周辺の干拓につきましても、いままでの経緯からいたしまして、ある程度は増反に割愛しなければならぬであろう、こういうぐあいに考えておるわけでございます。そこで、その際一戸当たり二反とか三反とか五反とか、非常にこま切れに使われるということは、少なくとも中央干拓地ではそういうことにはしたくない、そこで六十町歩の協業経営というものに御賛同をどうしても願いたいものだ、それが何戸で協業になるかということは別にいたしまして、六十町歩の協業単位の営農が行なわれるということに御賛同をぜひとも願いたいものと、かように心得ておるわけであります。
  127. 林虎雄

    林虎雄君 いまのお話で、先ほども説明があったのですが、周辺の方の入植、入植ということでなくて増反という形、考え方でいきたい、それは御説明のありました周辺の干拓を指して増反と解釈していいのか、あるいは周辺だけでなくて、中の内面のここへ入る近隣の人も増反として考えるのか、その点どうなんですか。
  128. 永田正董

    説明員(永田正董君) 周辺の干拓地は全部増反と考えているわけでございます。中央の干拓地につきましては、これは思想としては増反ということは好ましくないのでございますけれども、従来の経緯からいきまして、周辺干拓地だけではおさまらないというぐあいに考えておりますので一部は増反に回さざるを得ないであろう、こういうことを考えておるわけでございます。そこで、中央干拓地は六十町歩単位ということで指導もし、いろいろやっていくことでございますから、それを周辺干拓と同じようにばらばらの経営をやってもらうのは好ましくない、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  129. 林虎雄

    林虎雄君 これは自治省のほうにお聞きするのが適当かどうか知りませんが、周辺の干拓は、それぞれ従来の村にみな付随しておりますね、大体において。したがって、これは従来の村の区域になるように図面では感じられるわけですが、新しい村をつくるというのは、この内面だけを指して自治省なりあるいは農林省で考えておられるのか、干拓のうちの周辺との関係は、新しい村へ入るのか従来の村に残るのか、その辺ちょっと聞いておきたいと思います。
  130. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お尋ねの点は、お説のとおりに新しい村をつくりますことが適当であろうと考えておりますのは、この中央干拓地を考えております。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 永田さんね、入植なりそういうものの計画がまだはっきりしておらないということはわかりましたが、ただ、六十町歩を一つの単位としてやりたいのだと、それに賛成した人が入ってくるのだと、こういうような意味のことをおっしゃっていますが、問題は、一単位を六十町歩にするということでなしに、一戸当たりどの程度のものが与えられるかということなんじゃないですか。でないと、六十町歩、とにかく一つの経営をするためには六十町歩が適当なんだというようなことがあったにせよ、その中に何人働くのか、まさか入る人たちがいわゆる農業労働者として入る人たちじゃないはずなんですから、土地を持った人たちとしてやって、その上で一つの六十なら六十、五十なら五十という単位で協業化しよう、こういうことでしょうから、その基本を無視して六十町歩ということをまず前提にし、それに賛成しなければどうのこうのと言っても、ちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、そこらほどうですか。
  132. 永田正董

    説明員(永田正董君) 六十町歩という単位が、どちらかといいますと、機械農業として機械がむだなく使える単位面積はどういう大きさであるかというようなことが主となって積算されてきた面積だと思うのであります。それで、入植者の場合には、先ほど申しましたとおり、まだ決定でないが、案としては幾つかあるということでございます。増反の配分のしかたというのは、従来行なわれておりました二戸当たりの配分というのは、一戸当たりに幾らという標準的なものをきめておるのではなしに、今まで保有しておった面積が非常に少ない人へはたくさん差し上げる、比較的多い人は少なくしかもらえない。さらに、多くの場合には、非常に零細な分にそういう耕地が使われるというケースが多いのでございますから、ですからすべてが大体標準的な保有面積を得るくらいにまで持ち上げてやるというようなことで増反配分が行なわれたのが従来の普通のいき方であったわけでございます。これにはもちろん家族構成がございまして、労働力の多い人はたくさんの面積を持っても自作ができるし、少ない人はそうたくさんはできないということがあるわけでございます。勢い増反地につきましては非常に統一を欠いた、面積的にいいましても非常に不同なものの寄せ集めになるということになるわけでございますので、そういう人がわざわざ橋を渡ってきていろいろなことをやるというのでは、指導も何もないものになってしまいますので、それではちょっと困るじゃないか、それらの人が自分の配分面積がいろいろ変わっておりましても、六十町歩の単位のところで御相談なさって、どういうぐあいにひとつ共同してやろうじゃないか、こういうぐあいなことをぜひ賛同した上で入ってもらいたいという念願を持っておるわけでございます。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 佐久間さんね、いま農林省のほうからお話を聞いていますと、いわゆるここの入植計画なり、新村としての体をなしていく経過なり、どうもさっぱりいまのところは見当つきませんね、これは。それでもやはりこの法律をいま急いでやらなければいけないというようなことになりますかね。これはまあ特例であっても、もちろん八郎潟だけでなしに、他の場合でも将来適用されるかもしらぬ、そういう場合も予想してつくられるものだと思うのですが、しかし、いまとりあえず問題になっているのは、これは八郎潟の干拓の問題ですわね。その肝心の八郎潟の、何といいますか、入植者の、いま言ったように計画もできない、どういうふうに施設ができていくのか、あるいは経営の形態がどういうふうになっていくのか、したがって四十一年度からというのだが、一体どの程度入るのか、あるいは四十六年度といっても、これは最終の年度であるのかどうか、お聞きしていますと、まだ固まっておらないということなんですね。この法律がもしかりにこの国会で通ったとした場合に、これはいつからどういうふうに執行していくつもりでおったんでしょう。
  134. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 計画の細目につきましては、ただいまお話のようにまだ未決定の部分が多いわけでございますが、ただ本年度中におきまして約六千ヘクタールが干陸されることは、これは既定の事実と私どもは伺っておるわけでございます。そして本年以降におきまして、道路でございますとか、あるいは用排水路等の建設事業でございますとか、そのほか開墾整地等の農地整備事業も農林省のほうで計画をされておりまするし、そういう事業が開始されまするというと、本年度中に相当数の工事関係者もそこに入ってくるということが予想もされまするし、入植の時期につきましては、先ほどのお話で大体四十二年からというふうに伺っておりますが、それまでにいまのような事業が行わなれるわけでございますから、そこでその間、入ってきておりますごくわずかではございまするけれども住民もあるわけでございまするから、それらに対しまする市町村としての行政の仕事も、分量は少のうございますけれども、出てくると予想いたしておるわけでございます。そこで私どもといたしましては、この法律を幸いにして成立さしていただきまするならば、なるべく早く新村を発足をさせることがいいんじゃなかろうかと、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  135. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと速記をとめて……。
  136. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  137. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記を起こして。  本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。  次回は四月二十三日木曜日、午前十時開会の予定でございます。  なお、出面の審査日程につきまして、委員長及び理事打ち合わせの結果をお手元に配付してございまするので、御承知おき願いたいと存じます。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会    ――――・――――