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1964-03-25 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)    午後三時一分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            後藤 義隆君            松野 孝一君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            市川 房枝君   政府委員    自治政務次官  金子 岩三君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    自治省行政局振    興課長     森   清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○奄美群島復興特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回、説明を聴取いたしておりますが、本日は、初めに振興計画等について説明願います。佐久間行政局長
  3. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お手元にお配りしてございます追加の関係資料でございますが、そこに奄美群島振興計画といたしまして現在検討中の案を掲げてございますので、これにつきまして御説明を申し上げます。  奄美群島振興計画は、正式には御審議いただいております法律案が成立いたしました後、その法律に定める手続に基づきまして策定されるわけでございます。ここに掲げてございますのは、その素案といたしまして検討中のものでございます。  第一は、振興計画基本方針でございますが、すでに奄美群島復興十ヵ年の計画が本年度をもって終わることになっているわけでございます。この復興十ヵ年計画は、行政分離の後、荒廃をいたしておりました群島につきまして、早急に応急的な復興のための事業をやることを内容といたしておりましたので、そのねらいといたしておりますところも、民生安定を主眼といたしまして、そのために必要な基幹となる公共施設整備中心といたしておったわけでございます。この計画が十ヵ年、本年度をもって終わるわけでございますが、大体相当順調に進捗を示してまいったのでございますが、しかしながら、奄美群島の実情からいたしますと、なお住民所得がこの十ヵ年計画によりまして戦前日本本土——昭和九年から十一年の本土生活水準に一応達するということでございまして、現在の状況からいたしますと、鹿児島県が本土全体の大体七〇%くらい、そのまた七〇%くらいでございまして、日本本土全体と比べますと四〇%くらいのところで、まだ生活水準も非常に低いわけでございますし、また、従来の復興事業で、し残りの事業も若干ございまするし、いまここで一般方式になりますことによりまして、せっかくこれまで築き上げてまいりましたものが、大事なてこが抜かれるようなかっこうになりましてまた逆戻りする、そういうようなおそれが多分にございますので、それらの事情を考慮いたしまして、引き続き五ヵ年の振興計画を立てる、こういうことにいたしているわけでございます。で、今後は群島開発は応急的な復興、民生安定のための基幹的な公共施設整備から、漸次自主再建と申しますか、自主建設と申しますか、そういう方向に向かって進んでいかなければなりませんので、今度の振興計画におきましては、主要産業振興重点といたしまして、群島経済的自立を促進し、住民生活の安定並びに福祉の向上をはかる、こういう目標でいるわけでございます。  次に、なお具体的な項目ごとに御説明申し上げますと、計画目標といたしましては、五カ年たちましてから住民生活水準をおおむね鹿児島本土水準に近づけるということを目標といたしております。  計画重点は、復興計画を補完するとともに、群島の地理的、自然的条件を活用した主要産業振興重点といたしまして、各島別の特性に即した積極的な振興方策を推進するということにいたしております。  計画の期間は、昭和三十九年度以降五ヵ年間といたしております。経費の負担補助率につきましては、引き続き奄美群島特殊事情に対応いたしまして特例措置を続けていくことに考えております。ただ、漸次自主建設方向へもってまいらなければなりませんので、補助率につきましては、十ヵ年復興計画の場合におきますよりも若干ものによりましては下げておるわけでございます。  次は開発方式でございますが、従来自治省一括方式によって施行してまいったのでございますが、その実績にかんがみまして、今後もさらにその方式を継続していくということに考えております。  次に、金融対策でございますが、奄美群島復興信用基金の資金を増額するとともに、関係金融機関に対しましても、必要な特別な配慮を求めるということに考えております。  以上が振興計画基本方針でございます。  次に、そのような方針に基づきまして、主要産業振興その他それぞれの部門につきまして、大体どのような点に重点を置いて事業をやっていくかという振興計画の大綱につきまして御説明を申し上げます。  主要産業振興のために行ないます事業といたしまして、土地改良でございますが、土地改良につきましては、農地集団化を含めた区画整理、農道の整備畑作振興をはかるための畑地かんがいの推進及び経営規模拡大のための農地造成事業等重点を貫くことにいたしております。  次に、糖業振興でございますが、糖業主要産業の中でも特に中核をなすものと考えておりますので、国の甘味資源施策に対応いたしまして、増産対策を講じてまいりたいと考えております。  次に、亜熱帯果樹等振興でございますが、亜熱帯的な立地条件を高度に生かしましたポンカン等につきまして振興をはかってまいりたい。  次に、畜産振興でございますが、これにつきましても、振興をはかってまいりたい。  次に、林業、水産につきましても、いずれもそれぞれ振興をはかってまいりたい。  漁港につきましては、大体整備を終わっておるわけでございますが、なお、知名港の整備をやってまいりたい。  大輪つむぎにつきましても、引き続き振興をはかってまいりたい。  協同組合につきましても、強化をはかってまいりたい。  船舶につきましても、輸送力充実を引き続きはかってまいりたい。  電力につきましては、これまで無電灯部落解消相当進めてまいったのでありますが、さらにそれを進めるとともに、現在の電力整備促進をはかってまいりたい。  以上、申し上げましたことに関連をいたしました試験研究についても強化をはかってまいりたいと考えております。  第二は、産業基盤整備でございますが、道路につきましても、これまで民生安定のための各部落間をつなぐ基幹道路整備に力を入れてまいっておりますが、さらに産業開発主眼といたしまして引き続き道路整備をはかってまいりたい。名瀬市の土地区画整理事業もはかってまいりたい。  港湾整備につきましても、亀徳港の拡大等引き続き整備をはかってまいりたい。  防災及び国土の保全につきましても従来復興計画でやってまいったことでありますが、さらに引き続き充実をはかってまいりたい。  文教施設につきましては、小学校、中学校につきましては、一通り整備を終わっておりますが、引き続き高等学校施設整備をはかってまいりたい。  民生安定につきましても、これまでの必要最小限度のものしか整備されておりませんので、引き続き保健衛生関係社会福祉関係整備をはかるとともに、水道につきましてもそれの普及をはかってまいりたいと存じます。  住宅につきましても整備をさらにはかってまいりたいということでございます。  以上申し上げましたような考え方で、一応五ヵ年間の振興計画を立案いたしましたのが次に掲げてあります表でございます。これにつきましては、五ヵ年間におきまして総事業費百七十七億を予定いたしておりますが、これは予算要求の際に私どもがつくりましたものでございますので、三十九年度予算がきまりましたのと関連をいたしまして、さらにいろいろ御審議の際に承りました御意見も加えまして、法律が成立いたしました後になおこの素案検討をして正式のものにしていきたい、かようなことに考えておるわけでございます。
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) それでは、これより質疑を行ないます。御質疑の方は、順次御発言願います。
  5. 林虎雄

    林虎雄君 少し質問したいと思いますが、奄美群島復興特別措置法という法律を、「復興」を「振興」に改めるわけですが、その理由、まあ常識的には従来の荒廃したのが一定の水準になったからもう正常になったと、さらにこれを推し進めるという意味だと思いますが、その点と、もう一つは、奄美群島ということになっておりますが、群島でもいいと思いますけれども、私一般地図地理書などちょっと調べますと、すべて奄美諸島となっておるわけですね。ですからこのいずれが正しい称呼であるか、これは教科書を調べませんからその点はちょっと自信ありませんけれども教科書を調べても諸島のほうじゃないかと思うのですが、この二点を最初にお聞きしたいと思います。
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 第一の点でございますが、御説のような私どもも気持ちで「復興」を「振興」と改めたわけでございます。従来の復興は、先ほど申しましたような本土復帰という特殊事情を克服いたしまして、急速な復興をはかろうということでございましたので、復興計画復興事業と申しますことがふさわしかったと思いますが、一応の目標を達しまして、さらに主要産業振興中心として、自主建設のために諸事業を進めていこう、こういうことでございますから、用語も振興というほうがよりふさわしいであろう、かような考え方でいたしたわけでございます。  それからさらに、次の、称呼の問題でございますが、奄美諸島と書いてございますものもあるようでございますが、奄美群島復帰をいたしました際の往復文書におきましては、奄美群島ということばを用いておりまして、さらに奄美群島復興特別措置法をつくります際に、第一条におきまして、「鹿児島県大島郡の区域で北緯二十九度以南にある地域(以下「奄美群島」という。)」ということで、法律上で定義を明確にいたしましたので、その後この称呼を公式には使ってまいったわけでございます。
  7. 林虎雄

    林虎雄君 いまの点、別にこだわるわけじゃありませんけれども教科書ども諸島になっているのじゃなかろうかと思いますが、これは地理書地図等ほとんどそうなんですから、ですから、これはやはり政府のほうでなるべく統一したほうが混同しないでいいと思っております。よけいなことでありますが。  そこで、いままでの復興十ヵ年計画でありますが、大臣説明によりますと、大体戦前本土生活水準に達したと、また、佐久間行政局長からもそういう御報告があったわけですが、大体三十八年度中でほぼ達成したと考えてよろしいのですか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 三十八年度はまだ終わっておりませんので、数字的には検討いたしておりませんが、現在の見込みではほぼ達成できるというふうに考えております。
  9. 林虎雄

    林虎雄君 ところが、この本土のほうの経済成長どもありまして、生活水準が上がってきたので、それに比較すれば半ばにも達しないというふうに大臣は述べておられますが、本土生活水準の差異というものは、ただいま行政局長からお話のありました、現在まだ、大体推定が鹿児島の七〇%、日本全体の六〇%と見てよろしいわけですか。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 数字的にはっきりしておりますのは、昭和三十六年のものが最新でございますが、これによりますと、奄美群島平均が六万一千二百八十三円でございます。鹿児島平均が七万八千三百六円でございまして、鹿児島平均の七八・三%、それから全国平均は十四万五千六百四十五円でございますので、全国平均の四二・一%でございます。
  11. 林虎雄

    林虎雄君 新しい振興計画——今度の計画でありますが、当該住民生活水準本土に比べてどの程度に向上期待しているかということを承りたいのですが、大体本土といいましても鹿児島並みにしたいという意味でございますか。
  12. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  13. 林虎雄

    林虎雄君 鹿児島並みに五ヵ年で達成しようといたしましても、今後の経済成長というものはちょっと予測できませんが、五年たてば鹿児島県はまたそれだけ発展していくと、いつも立ちおくれになるというふうに考えますが、どうでしょうか。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 鹿児島県におきましては、現在、昭和四十二年までの振興計画県自体でつくってございます。この奄美振興計画は四十三年で終わることになるわけでございますが、そこに一年のズレはございますけれども、大体四十二年の鹿児島本土水準に達するとまではちょっと自信がございませんけれども、それに近づけるということで目標を立てたわけでございます。
  15. 林虎雄

    林虎雄君 鹿児島県のほうも発展しますから、いま申し上げたように、せっかく五ヵ年計画を完成してもまた立ちおくれてくる。さらに五ヵ年計画というようなことになるおそれはないですか。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは目標で、私どもとしては最大の努力をしてまいるつもりでもちろんございますけれども、御指摘のように、鹿児島県のほうもまた進んでいくし、奄美群島の置かれております諸条件のもとにおきましては、この目標を達成することについては相当努力を要するということは私どももそう考えております。それが終わりましてからさらに五ヵ年間の計画が必要かどうかということにつきましては、そのときになってみないとわからないのでございまして、私どもとしてはいま御審議いただいております法律によりまして、とにかく五ヵ年間で先ほど申し上げましたような目標に達するように全力をあげてまいりたいと思っておるわけでございます。
  17. 林虎雄

    林虎雄君 さきの四十三国会でありますか、その審議のときに、この復興事業実施計画について政府関係の各省とも相互連絡がどうも十分でないような印象を受けたのでございますが、新しい今度の計画はそのようなことはなくて、連絡は十分でありますかどうですか。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 四十三国会の際に御指摘のような御意見をちょうだいをいたしましたので、私どもといたしましては、この振興計画の立案にあたりましては特にその点に留意をいたしたわけでございます。この振興計画の案を大蔵省提出をいたしますまでの過程におきまして、関係省にはそれぞれその計画事業ごと主管局、課におきまして御検討を願い、その御意見によりまして修正すべきものは修正をいたしました上で予算要求をいたしたわけでございます。予算査定の結果、なおもう一度全体を検討をいたす必要もあるわけでございますが、関係省との間の幹事会も実は昨日も開いておりますし、今後必要に応じて開催をいたしまして、その間の連絡につきましては遺憾のないようにいたしてまいりたいと思っております。
  19. 林虎雄

    林虎雄君 いま局長から御説明がありましたように、五ヵ年計画事業に百七十七億でありますか、そういう計画になっておりますが、国費はどの程度考えておいででしょうか。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはまだ予算的には大蔵省と三十九年度の分だけが話がきまっておるわけでございまして、今後の分につきましては、なお法律が成立いたしました後に話をきめたいと思っておりますが、大体七十数億くらいになろうかと思っております。
  21. 西田信一

    西田信一君 関連して。いまの振興計画目標ですね、これは林委員からお尋ねがあったわけですけれども、ここのところがポイントになると思うのでお聞きするわけですが、いま査定中のこれを見ましても、住民生活水準をおおむね鹿児島本土水準に近づけることを目標とする、こう言っていますね。そこを考えているのでしょう。ちょっといまの御答弁の中にあったので、明確でなかったと思うのだけれども鹿児島県の本土のほうでも相当計画を持って、四十年までの計画を持っておられる。こっちのほうも四十三年までの計画を立てるわけですね。この場合に、ここで言っている鹿児島本土水準というものは一体何かということなんです。現在の水準ということであれば、当然そこに何年かおくれが出てくるわけですね、両方走っているけれども目標をどこに置くか、その一方進行している本県のその当時の水準に近づけるということであるならば、よろしいのだけれども、そうでなければ、最初から計画にハンディがついてしまう、ハンディキャップがずっとどこまでもついてくるということになると思うが、その点はどうなるかということが、この問題の将来の一番大事な点であると思うが、どうですか。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 鹿児島県全体といたしましては、県自体で立てておりますその四十二年度までの計画目標をもとにいたしまして、こちらの四十三年度で終わります計画も大体それに近づけるようにしていきたい、こういう意味でございます。
  23. 西田信一

    西田信一君 その点は明確にはっきりしておるのですね。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  25. 林虎雄

    林虎雄君 そうすれば五ヵ年計画事業費百七十七億というものの中で大体国費を七十数億くらいを考えられている、そう解釈していいわけですね。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございますが、ただ百七十七億の数字そのもの大蔵省への予算要求の際出しました数字でございますので、もう一度この検討いたしました結果、それを若干下回ることになるだろうと思っております。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 大蔵当局は、百七十七億というものは、要求だけで、まだ承認、了承までは至っておらないわけですね。
  28. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) おおよそ百七十七億の中に考えております事業につきましては、原則的には了承いたしております。ただその中の細部の点につきましては、三十九年度予算査定の際にいろいろな折衝がございましたので、その結果によりまして、百七十七億全体をもう一度再検討する、こういうことに考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まだ若干下回るという程度で落ちつくものと予想いたしております。
  29. 林虎雄

    林虎雄君 法律案関係資料をいただいた末尾のほうにあります国の補助率でございますが、今度、従来よりも全般的に下がっておる、下がらないのもちょっとあるようですが、同じのもあるようですが、ほとんど下がっておるということはどういうことですか。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 従来は特殊な事情でございましたので、特別な補助率でやっておったわけでございますが、振興計画につきましては、先刻申し上げましたように、だんだん自力で建設事業をやっていくという方向へ漸次移してまいらなければなりませんので、そこで補助率を若干総体として下げるということにいたしたわけでございます。  しかし、現在他の離島につきましては、離島振興法による特別措置があるわけでございますが、それと比較いたしてみますというと、ちょうど従来の、奄美群島補助率一般離島振興事業補助率と大体中間くらいのところで考えているわけでございます。たとえて申し上げますと、従来は道路改良に例をとってみますと、従来は十分の十でございましたのが、今度は十分の九にいたしておりますけれども一般離島振興事業の場合には三分の二になっております。港湾整備につきましては、これは従来十分の十でございましたが、振興事業におきましては、これは引き続き十分の十にいたしております。離島振興事業におきましては、これが十分の七・五ということで、こういうような考え方で全体の補助率を決定いたしたわけでございます。
  31. 林虎雄

    林虎雄君 特殊の事情ということで、この前の補助率離島振興よりもよくしたわけですけれども、今度それに若干近づけるような形ですけれども、特殊の事情にしただけの理由、原因が、この奄美群島にはあったと思いますから、こんなにみみっちいことをしなくてもいいような気がしますが、どうですか。  もう一つお聞きしたいが、いまの補助率を下げたといいますか、改正することによって、この地元負担の増というものはどの程度予想されましょうか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 補助率を引き下げましたことによりまして、地元負担が約五億増となります。そのうち、県分が一億八千万、市町村分が約一億八千万、その他のが団体関係が四千万程度というふうに考えております。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 そうすると、とにかく地元負担というものは多くなることは間違いがないわけですが、私も現地を見たことがありませんので、想像ですけれども、大体想像に間違いはないと思います。たださえ財政力の弱いこうした振興計画でありますだけに、地元負担というものは、なるべく軽くするなり、あるいは従来どおりというならわかりますけれども、幾らか復興してきたという程度補助率を引き下げるということはどうかと思います。  次にお聞きしたいことは、地元市町村公債費でありますが、最近どのくらいになっておりましょうか。それからなお公債費償還に対して、地元は苦慮しておるというふうに聞いておりますが、どんな事情ですか。
  34. 森清

    説明員森清君) 公債費についてお答え申し上げます。三十八年度公債費は九千九百万、約一億でございまして、これを三十八年度のいわゆる標準財政規模に比べてみますと、九%程度になっておるわけでございます。これは他の全国平均と申しますか、その比率をとりましても、全国市町村平均も、大体公債費が八・九%程度でございますので、ほぼ同じ程度公債費比率になっておるわけでございます。ただ、今後復興事業を進めてまいります財源といたしまして、相当程度起債をしていかなければならないということになりますので、それもずっと続けて、この振興計画に応じて、地元負担相当程度のものを起債に仰ぐということをいたしますと、昭和四十一年、二年、三年ごろには相当大きくなる。大体いま予測される限りでは標準財政規模の二〇%程度までいくのではないか、このように見込まれるわけでございます。そういうふうになりますと、相当公債費償還については問題が出てまいりますので、今後とも地方財政負担をどのような形で市町村にたえさせていくかということを地方財政問題として検討していかなければならない、こういうことでございます。
  35. 林虎雄

    林虎雄君 補助事業はほとんど融資に切りかえられるということですから、いまお答えになったように、公債費はますますふえるわけだと思いますが、地方財政計画の中でその対策を講じたいというお答えでありますが、ほかに何か特に救済策というものはありませんか。
  36. 森清

    説明員森清君) 地方財政負担につきまして奄美群島のみを目的とした特別の救済策というものを制度化したものはないわけでございますが、御存じのとおり、辺地債を認められますれば、それの相当部分基準財政需要額に算入せられるということと、あるいは今回の地方交付税法改正案によりますと、離島遠隔地につきましては相当程度、これは経常費についてでございますが、相当程度の補正が行なわれるというようなこともございますし、また、一般地方交付税制度というものが、地方団体が標準的な行政をやっていくについて必要とされるものが確保される仕組みになっております。また、それでなお算定されない額につきましては、特別交付税という制度もあるわけでございまして、そのようなものを総合的に運用することによって、関係市町村財政負担が大きくなって、それがためにその振興事業が遂行できないということのないように措置してまいりたいと考えております。
  37. 林虎雄

    林虎雄君 たしか辺地対策事業費償還について地方交付税で見ておると思いますが、それと同じような措置をお考えになっておられると理解していいですか。
  38. 森清

    説明員森清君) 必ずしもそのような制度制度といたしまして、辺地債のように、普通交付税に算入するというふうなところまでまだ現在成案を得ているわけではございません。
  39. 占部秀男

    ○占部秀男君 関連してお伺いしたいのですが、いま林委員から補助率の問題についてのお話があって、かように小さくして、この際に補助率を下げるのはおかしいじゃないか、こういうような御質問であったと思うのでございますが、私もその点は同感なんですが、特にもう一つ私は補助率の問題でお伺いしたいことは、今回の振興計画補助率の問題と復興計画補助率の比較、この法の中に書かれておるその別表の比較を見ると、小規模産業の振興のような問題については、大規模の産業基盤の問題に比べて補助率の切り下げ方がひどい。また、特に学校関係を除いては民生関係の問題、住宅あるいはその他あるけれども、民生関係の問題点についても大規模の産業基盤の問題と、たとえば道路港湾その他に比べて補助率の下げ方がひどいと私はあれから見ておるのですが、何か今度の計画では、重点的にそうした方面に主力を置いて、民生関係その他の問題についてはやや薄いのじゃないかという感じを持つのですが、そういう点は局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 個々の問題につきましては、またいろいろ御意見もあろうかと思いますが、全体といたしまして、今度の振興計画主要産業産業基盤整備ということに相当重点を置いておるということは先刻申し上げたとおりでございます。しかし、それだからと申しまして、一般の民生、衛生関係の施設に対するものを特にしわ寄せをいたしたというようなつもりはございません。
  41. 占部秀男

    ○占部秀男君 なぜ私はこういうことをお伺いするかというと、あとでその点具体的にお伺いをしますが、今度の法の改正の第一条には、いま局長から言われました主要産業の育成等の措置を講ずることによってというのがつけ加えられているわけですね。じゃ、その主要産業とはどういうものであるか、こういうことについて自治省としての概念をお伺いをいたしたいと思います。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは法律の第二条で掲げておりますが、「糖業、林業、畜産等の主要産業」、まあ等という中には、大島つむぎとか水産等も入れておりますが、そういうものを考えております。
  43. 占部秀男

    ○占部秀男君 もちろんそうだろうと思うのですが、そういうふうな対象にされる産業は、やや大規模的なものもあれば小さなやつもある。いろいろと同じ産業でも経営規模は違うと思うのです。ところが、どうも経営規模の小さなものが多いような産業の補助金が減り方が多いのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。  そこで具体的にお伺いをいたしますが、この新しい振興計画の一六ページの中に畜産関係についての補助があるわけですが、たとえば共同飼育所の設置あるいは飼料作物奨励施設その他小さな家畜なり鶏なら、鶏一つをとってみても、小さな経営をしておる人たちが特に必要な問題についての補助金が落ちて、むしろこれは減るんじゃなくてなくなっているわけですね。従来あったやつがなくなっておるわけですね。これは一体事業というものが完成したからなくしたのかどうか。あるいはまた、なくなした理由をひとつお伺いをいたしたい。
  44. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この一六ページ、一七ページの表の中で、ただいまおあげいただきましたもののほかにも、復興事業におきまして補助率が書いてございまして、振興事業においては落ちておるものがございますが、そのようなものにつきましては、今後は融資の方法によって事業を育成していくということがいいのじゃなかろうか、こういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。ただ、この融資という字が書いてありますところと、いま御指摘になりましたところには融資という字が落ちておりますが、この点は現在どういうものを融資事業にするかにつきましては、なお検討いたしておる段階でございます。
  45. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は融資であってもおかしいのじゃないかと思うのです。というのは、いま言った畜産関係の問題はもちろんあるのですが、落ちておるところなどを見ても、たとえば二一ページの保健衛生施設、この中では保健所の支所がやはり十分の七・五あったやつが今度は一つもなくなっておる。あるいはまた、保健所の支所などというものは、あの低開発地帯においては、その地域にぼくが行ってみたわけではありませんからわかりませんが、どこだって低開発の地帯は支所の要るような、特に保健所のような問題は支所の要るような山間僻地、漁村的な部落が多いわけですね。そういうところの支所の補助金というものを落として、融資に切りかえるなんていうことは、およそぼくは逆じゃないかと思うのです。また、同じページの住宅整備の問題にしてもそうであって、農村の改良住宅、これはもうどうしたって必要な問題で、特にさっき私がいなかったけれども大臣の御説明の中には、本土本土というか、県並み生活水準を与えるのだというようなことを言われたというのですが、その一番生活改善の基本となるべき住宅の問題、特に農村関係の住宅の問題については、三分の二の復興当時の補助を落としてしまって、そうして融資だけでやっていこう、こういうような考え方、あるいはまた、公営住宅の問題も三分の二にしてしまうというような問題、こういう点がどうしてもわれわれとしては納得のできないところであると思うのですけれども、そういう点について、どういうわけでこういう扱い方をしたかをお伺いしたい。
  46. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 保健所の支所につきましては、復興事業におきましては設置の計画があったわけでございますが、振興計画におきましては計画がございませんので、この補助率もブランクになっているわけでございます。  それからその他の融資にどうして切りかえたかということでございますが、全体といたしまして、復興事業で非常に大部分を国の力に依存をしながら復興をやってきたという段階から、相当自力もつきつつありますので、漸次一般離島並みのところまでもってまいりますようにしていきたい、そういう観点から、現状におきましてはすでに補助をやめて、今後は希望のものに融資によって助成をしていくということに切りかえることが相当であろうと思われるものがございますので、そういうような考え方で切りかえることにいたしたわけでございます。
  47. 西田信一

    西田信一君 いま新しい振興事業に対する補助率のことをいろいろ質疑されているわけですが、ちょっとお聞きしたいのですが、北のほうの北海道開発は、やはり後進地域であるという意味で、復興とは違って、振興となると、大体北海道開発と同じような考え方が取り入れられていると思うのですが、北海道開発補助率、これとこの振興計画補助率とはおよそどういう状況になっているかということをお調べになっていますか。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 北海道開発資料がいま手元にございませんので、正確なことはお答えいたしかねますが、大体私どもの考えておりましたものが、先刻申しましたように、一般離島と従来の復興事業とのちょうど中間ぐらいのところの補助率、しかも奄美の特殊性において、従来どおり十分の十にしてあるものは十分の十残しておくぐらいの考えでまいっております。北海道の場合におきましては、事業の種類、内容も相当違ってくるかと思いますが、大体北海道の一般の場合よりも、この奄美振興事業の場合のほうが相当上回った扱いをしております。
  49. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 ちょうだいしました資料の一二ページですか、振興計画の概要というところがありますね。この中に書いてある復興計画合計二百十三億というのは、十ヵ年の間に実際行なわれた事業に要した経費の集計と、こういうふうに理解していいですね。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは計画であり、実績もほぼ二百十三億でございます。
  51. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 その復興十ヵ年計画のいわゆる計画事業量ですね、これに対しまして実際十ヵ年の計画に従って行なった事業量というものと大体開きというのはどのくらいあるのですか。ほぼ計画どおりに実行できたというふうに理解していいですか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ほぼ計画どおりということに御理解いただいていいと思います。
  53. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 このほぼ計画どおりできたとして、ここで今度振興五ヵ年計画に移行するわけですね。それでこの事業名というものを比べて見てみますと、いかにも新しくなった事業もありまするが、従来の延長のような事業というものもだいぶありますね。だからこれはものの考え方だと思いますけれども、延長のようなものというのは、まだ復興計画において完成していないというふうに考えてしかるべきものが振興計画の中にそのまま出てきておる、こういうふうに理解してしかるべきじゃないかと思いますが、そういう理解でいいですか。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのように御理解いただいてけっこうと思います。
  55. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 それではそういうふうな状況にもかかわらず、どういうわけで補助率を下げたりあるいは従来の補助を融資に切りかえたり、こういうことをなさったんですか。
  56. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 根幹となる事業につきましては、先生のおっしゃいますように、継続的になっておるというふうに御理解いただいてけっこうと思いますが、個々の住民のいたします事業に対する助成というものにつきましては、十ヵ年事業の結果によりまして、相当住民負担力と申しますか、自力もついてまいりましたので、その辺の事情も考えまして、融資事業に切りかえることにいたしたわけでございます。
  57. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そういう議論は一応議論としてはわからぬわけじゃないのですが、実態論からいうとそういうものじゃないんじゃないですかね。復興十ヵ年計画というものが確かに実地に即した事業であったというふうに理解すればそういう理解もできぬわけじゃないと思いますが、やはり不十分であった、それだからこそ振興五ヵ年計画に切りかえられても同じ事業を続けてやっていかなければならない、こういうふうに私は理解をすべきものだと思うのです。現地では相当負担力ができたから補助率を下げて、それだけ負担をかけてもいいのだということにはならぬのじゃないかと思うのですがね、どうもあまり形式的なお考えで、そういう考え方が結果におきましては地域住民負担、受益者の負担というものを私は高めていく、そういうことで一体はたして振興五ヵ年計画という新しい計画に切りかえられた趣意が達成できるかどうか、非常に疑問を持つんですが、そこでやはりその辺のことにつきまして相当吟味して折衝されたのですか、この補助率の改訂は。
  58. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 基本的な考え方は先刻申しましたように、十ヵ年の復興計画をやってまいりましたので、従来もほとんど国のまるがかえのようなかっこうで復興事業をやってまいりましたのですが、いつまでもそういう状態に置いてはぐあいが悪いので、やはりほかから比べますと落ちてはおりますものの、相当自力もついてまいりましたので、そこでさらにこの五ヵ年やりましたならば、ほかの離島と大体同じような扱いをしていい程度にはどうしても持っていかないといけないんじゃないだろうか、こういう考え方で折衝もいたしたわけでございます。どういうものを融資事業に切りかえるかということにつきましては、現地の鹿児島県並びに大島支庁長の意見も十分伺いまして、この辺のところであるならば無理がなかろう、こういうことで決定をいたしたような次第でございます。
  59. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 ながめますと、補助率が上がったというものは一つもないですね、全部下がっていますね。しかもこの事業というものは三十にわたる事業でしょう。それぞれ一つずつについて検討されて、それだけの負担力が確かにできてきた、こういうふうに補助率を下げてもいいのだという具体的な検討の上に立ってやはり補助率を引き下げられたものなんですか。そうじゃなくて、いまのような一般論というか、きわめて抽象的な議論の上に立ってそうなったであろうから下げていいのだ、こういうことなんですか。
  60. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 一般的、抽象的にしゃくし定木にいたしたわけではございませんで、個々の事業ごと大蔵省との間でも折衝もいたしましたし、それからその折衝に現地の支庁長も大体ずっと共同いたしまして、よく実情も聞きながらいたしたわけでございます。
  61. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 私は現地につきましてこれだけの事業について十分調査をなさいましたならば、必ず一律に補助率を引き下げるんだという結論は出ないんだと思うんですよ。中には上げなければならないものが出てくるんじゃないかというふうにも考えますし、少なくとも復興計画の延長的な事業につきましては、補助率は当然据え置かなければならないという結論が出るのじゃないか。そういう意味で、もう地域というものは奄美に限定されているわけですから、そこで行なわれた事業ですから、実地につきまして十分検討された上で、この補助率の問題というのは、ほんとうに実地によく合ったものに考え直していただかなければ、はたして皆さんがお考えのように、この振興五ヵ年計画というものが、従来の十ヵ年の復興計画の上に花を咲かせることになるのかどうか、非常に問題になる点があると思いますから、その点を強くお願いしておきます。
  62. 林虎雄

    林虎雄君 群島は人口密度もわりあいに多いようですね、それに八十数%ですか、ほとんど農業人口であるのに耕地面積はきわめて少ない、全島の一二%幾らくらいのようですが、零細農業の人たちがほとんどですが、振興計画が達成すれば当該住民が安住できるかどうか、少しむずかしい問題ですけれども、人口が十五、六万ですね、あすこの群島は。それに見合うような計画にはなっておるんですか。
  63. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 奄美の人口は約二十万ございます。五ヵ年計画をいたしました結果、各産業構成がどう変わるかということでございますが、産業構成そのものはそれほど変わらないと思っております。ただ各産業がそれぞれ経済的に安定をするようにということを考えております。それから現在でも島から鹿児島本土なりあるいは本州各府県のほうにどんどん流出しておる人口も相当ございますので、現状からそう多く人口がふえるということも予想はせられておりません。  それから先ほど林委員の御質問に対しまして、さっきちょっとお答え申し上げました数字を訂正さしていただきたいと思いますが、それは補助率が下がったことによる地元地方団体負担額の増でございますが、ちょっと私ほかの数字を読み違えましたので訂正させていただきたいと思います。それは一億七千万余円でございます。そのうち、県分が七千五百七十九万余、市町村分が九千四百四十一万余の増でございます。
  64. 林虎雄

    林虎雄君 実は二十万の人口が安住できるというようなことはむずかしい問題ですけれども群島基幹産業でありますか、甘蔗の栽培、糖業復興事業は、国の施策等によって戦前をしのぐようになったということでありまして、それはけっこうなことだと思いますけれども、ただ懸念されますことば、いよいよ開放経済、貿易の自由化というものに直面しておりますから、外国の砂糖との関係ですね、それがどんなことになる予想をお持ちですか。また、それに対する対策などどのように考えておいででしょうか。
  65. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この自由化に伴う問題でございますが、これにつきましては、なお不確定な要素もございまするので、私どももしかとは検討が行き届いてはおりませんけれども、現在の糖業の伸び、特に反別の収量も相当向上してまいっておりまするので、現在の計画をいたしておりますように、品種の改良あるいは経営の安定のための諸施策、資力を高めるための対策、機械化による指導を総合的に多角的に進めてまいりますならば、外国の産地との競争にも耐え得るのじゃないかという考え方をいたしておりまするし、現地の関係者の意見を徴してみましても、大体最近の状況で伸びていくならば、だいじょうぶ乗り切れるだろう、こういうような意見も伺っております。
  66. 林虎雄

    林虎雄君 局長からも説明にありましたように、亜熱帯地帯の条件に適したもの、ポンカン等のいわゆる果樹栽培が非常に有望だというように私も想像いたしますけれども、これもやはり同じように国際競争という、カリフォルニアあたりからだいぶいまでも果樹が来ておりますけれども、そういうものとの競争ということを考えると、この指導というものをよほど適切にやっていかないと、先にいって困難に逢着するというようにも予想されるわけでありますから、そういう点の御指導を十分にひとつお願いをいたしたいと思っております。畜産、林業、水産等の振興策もそれぞれ考えておいでのようですから、この質問は省略いたします。  なお、次にお聞きしたいことは、電力料金が高いようであります。戦前は九州電力へ吸収されたのでありますが、その後軍政部ですか、米軍のほうに接収された後には離れて、現在では何かあそこだけの電力会社ができておるように思いますが、その電力料金が非常に高いということで、産業の振興の上にも大きく影響しておると思いますが、この電力料金をもう少し内地並みといいますか、九州電力並みにする必要があると思いますが、現在九州電力との電力料金の比較はどんなことがおわかりでしょうか。
  67. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 九州電力そのものとは、ちょっといま数字ございませんが、大体本土と比較いたしますと、一・四倍から二・五倍になっております。
  68. 林虎雄

    林虎雄君 この対策、解決策というようなものはお考えになっておりますか。
  69. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 電力関係につきましては、従来の復興計画におきましては、無電灯部落の解消ということを重点にいたしまして、それにつきましては復興計画の中で助成をいたしまして、これは復帰当時が四〇%ぐらいでございましたのが、今年度復興計画が終わりますと、大体八五%くらいまで行きわたる見込みでございます。  そこでただ、無電灯部落がそういうことで少なくなったということで、今度はその電灯料金の問題が起こってきたわけでございますが、お説のように、今後の産業の振興をはかってまいります上には、どうしてもこの問題を解決しなければいけないと思っております。現地におきましては、九州電力との合併を推進しようという運動もございます。鹿児島県当局も、それにつきましては相当協力をされているように聞いているわけでございます。私どもも、その問題につきましては所管の役所ではございませんが、所管の官庁とも連絡をいたしまして、側面から電力料金を下げる、電力問題の解決には努力をいたしたいと思っております。最近、通産省から保官を派遣されまして、つぶさに現地の状況を調査をしてまいって、つい最近帰っておりますので、その調査の結果も伺いまして、よく検討をしてまいりたいと思っております。
  70. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 関連。いまの答弁聞きまして、この間、最近にも名瀬支庁なんかに陳情があったと思うのですが、屋久島の開発の場合に、あそこの電力料金が内地より一キロワット当たり一円安いというので、非常に産業の振興の根幹になった。奄美の今度の振興計画には、特に産業の振興重点を置くのでしょう。しかもその計画を見ると、五億なにがしというような電力のあれが予算にあるけれども、本島はまだいいとしても、奄美群島の中の本島以外に行くと、非常に薄暗いのです。ようやく新聞が読める程度で、しかも十時ごろだと思うのですが、夜はもとを切ってしまう。そういう現状をよく自治省は把握しておられるかどうか。前の局長など向こうに行かれたから、そういう事情はよくわかっていると思うのですが、この予算の百七十七億の中を見て、しかも産業振興重点だというなら、この予算見てももう少し電力というのは——内地よりも高い、しかもあそこはほかに比べ、ものにならぬほど薄暗いところがある。これに重点を置いてなさらなければ、産業の振興ですね、もちろん亜熱帯地帯や何かの特殊事情を生かされるでしょうが、ほかのものについては、将来のことを考えると、電力に最重点を置いて産業の振興をはからなければ、お隣の屋久島みたいにいかないのじゃないか。この点は、特に産業振興重点を置くというけれども、灯電時間が非常に短いということは住民にとって非常な苦痛です。私などもあそこを見て回って、帰りに本線に乗ると、やっと文明のあれに浴したような気がするくらいです。今日の時代に、なおかつ薄暗い電気でやっているということは非常に気の毒に思うのです。そういう点に関しまして、自治省としては、非常に重点を置いて今後やっていただく必要が私はぜひともあると思うのですが、そういう点について、いま御答弁を聞いたが、どうもまだほんとうの確信がないし、いまのようなことでなく、最重点を置く必要があるのじゃないかと思いますけれども、その点についてもう一度。
  71. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 率直に申しまして、復興計画時代には無電灯部落の解消ということに重点を置きまして、いまの電力料金問題につきましては、正面から私ども取っ組んでいなかったのでございます。最近テレビもできました関係もあり、いろいろな関係で非常に群島民から電力料金問題を強く私ども訴えられているわけであります。ぜひこの問題につきましては、早急に解決をするように努力してまいりたいと思っております。
  72. 林虎雄

    林虎雄君 次に、復興事業におきまして病院や保健所、診療所等が設置されて無医村がなくなったというふうに聞いております。それは非常にけっこうでありますが、本土においても、長野県などの例をとりましても、診療所があっても勤務するお医者さんの確保が思うようにいかない、あるいは看護婦にも事欠くということで困っておりますけれども、現地の実情はこの点心配がないか、どんな状況か承りたいと思います。
  73. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在、奄美群島には病院が三、一般診療所が五十五、保健所が二つございます。現在住用村という村がございますが、そこの一地区につきましては、なお、医師、看護婦が常駐をいたしておりませんので、これにつきましては医師の住宅等の整備をいたしまして、何か常駐できるようにいたしたいということで、現在、現地の支庁長がせっかく努力をいたしております。
  74. 林虎雄

    林虎雄君 ほとんど充実しているというか、一応お医者さんなどが配置されているわけでけっこうだと思いますが、特別の措置を講じておらないでも現状のような状況である、そこでいまお話しの一ヵ村は住宅等を心配して全部満配にするということに理解してよろしいですね。
  75. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのように考えております。
  76. 林虎雄

    林虎雄君 それから第六条の一項の規定でありますが、これを削除した理由は何でございますか。国費支弁の事業がほとんどなくなって補助事業だけになると思いますが、改めた理由を承りたい。
  77. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほどのお尋ねに対しましてお答え申し上げましたように、従来ほとんどまるがかえで復興をいたしておりました段階から、漸次自力で建設をしていくということにだんだん移行していこうという考え方に基づきまして、従来国費支弁事業としてやっておりましたものも補助事業に切りかえることにいたしたわけでございます。その結果、国費支弁事業としてやっておりましたことを規定いたしました規定が不要になりましたので、削除することにいたしたのであります。
  78. 林虎雄

    林虎雄君 そうすると、第十条の削除。つまり国の地方事務官がなくなって県へ移管するといいますか、人事の点も県の職員になる、これとうらはらの関係になると承知していいのですか。
  79. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  80. 林虎雄

    林虎雄君 そこで切りかえられる場合の職員の人件費とか待遇というのはどんな結果になるのですか。
  81. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 予算的には同じ人員をそのまま引き継ぎ、全額補助職員として置くことにしております。
  82. 林虎雄

    林虎雄君 そうすると、待遇の内容も変わらないのですね。
  83. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  84. 林虎雄

    林虎雄君 次に、第十条の二ですが、その項が、今度は振興信用基金ということになるわけで、現在の融資及び保証の状況を、わかったらひとつ簡単に伺いたい。ということは、今回の国の出資金の増が五千万円ということになっておりますが、五千万円程度で現地の資金需要がまかない得るかどうかという点で聞きたいわけです。
  85. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 大体この基金の業務は順調に進んでまいっております。昭和三十八年の十月末現在におきまして、保証業務につきましては、八億三千四百七十七万円申し込みがございまして、それに対して保証の実績といたしましては七億九千六百七十九万円、大体実績の率から申しますと九〇%をこえているわけであります。融資業務につきましては、同じく三十八年十月末現在におきまして、融資の申し込みが二億七千三百三十万、融資の実績が二億三千五百十六万ということで、これも八六%ぐらいの実績率になっております。もちろん各市町村を通じて希望を集めておりますので、実際は希望があっても市町村段階で、基準に合わないものを振り落としているという点も、ございますが、大体現地の要望にはこたえ得ている、かように考えております。しかし、まだいま申し上げましたように、希望の全部に応ずるわけには参りませんので、今回も五千万円増資をするということにいたしたのであります。
  86. 林虎雄

    林虎雄君 いま貸し出し利率はどのくらいになっておりますか。
  87. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 貸し出し利率は、一次産業が年七分五厘でございます。それから二次、三次産業が年九分でございます。
  88. 林虎雄

    林虎雄君 第一次産業などはもっと引き下げる必要があると思いますが、緩和する方法は何かありませんか。
  89. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはちょうど国民金融公庫が第二次、第三次産業につきまして年九分、それから農林漁業金融公庫が第一次産業のほぼ類似の施設につきまして年七分五厘となっておりますのに大体そろえているわけであります。しかし、奄美の実情からいたしますと、お説のとおりにもっと引き下げるようにいたしたいということで検討中でございまして、明年度におきましてはもう少し引き下げられる見込みでございます。
  90. 林虎雄

    林虎雄君 それからこの基金について、十条の三に三項加えておりますが、そのうち5でありますが、「基金は、必要があるときは、自治大臣及び大蔵大臣の認可を受けて、その資本金を増加し、又は減少することができる。」というふうにありますけれども、その「必要があるとき」というのはどのように考えておりますか。
  91. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは県が出資する場合を予想いたしまして、現実に県から国の出資に対しまして若干ずつのプラスをしていただいております。
  92. 林虎雄

    林虎雄君 最後に、この法律の失効でございますが、復興計画ですね、前の法律によりますと三十八年度計画が終わるわけでありますけれども、それを四十一年の三月三十一日まで、つまり三ヵ年の猶予といいますか、事業繰り越しとか、いろいろのことを予想されて、前の法律は三年ほど延ばしてあるわけです。ところが、今度の改正によりますと、三十九年度から始まる振興計画五ヵ年間と、そして失効の時期も同じようなことになって余裕というものを見ておらない、したがって、事業繰り越しなどのようなことがあった場合に動きがつかないようなふうに感じられるわけですが、この点はどうでしょう。
  93. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現行法におきましては御指摘のように、若干の余裕を見ておったわけでございまして、その理由といたしましては、繰り越し事業もございましょうし、また、この基金の貸し付けた資金の回収というようなこともあったろうと思うのでございますが、今回その点も立案の過程におきまして政府部内で検討いたしたのでありますが、ここはむしろ五ヵ年きちんと書いておいて、どうせこれは事業で繰り越すものもございましょうし、それからこの基金というものにつきましては相当な、かりにこの事業終了と同時に解散するものといたしますならば、相当な残務関係の規定も要るわけでございまするし、まあそれは五ヵ年計画の終了いたします前年におきまして、その時点におきまして今後のあり方もよく検討をしていこうということにいたしたわけでございます。
  94. 林虎雄

    林虎雄君 終わりでありますけれども、私も先ほど質問いたしましたし、また、西田委員からも同じ意味のことを質問されたわけでありますが、現在の振興五ヵ年計画、これらの五ヵ年計画鹿児島県の水準に持っていくという計画、ところが、五年たてば鹿児島県のほうが先に進みますから、いつもある程度の立ちおくれはあるわけですから、むしろ五ヵ年計画というよりも先に追いかけていくというか、先に進んだ計画があって初めて五年たった後には鹿児島県の水準と同じことになる。かなり、マラソン競走じゃありませんけれども、ハンディをよほどつけておかないと足並みが五ヵ年たってもそろわないということになるおそれがあるわけであります。したがいまして、いまお答えによりますと、この法律失効も計画と同じ時期になっておるが、その一年前ぐらいになれば実情がわかるから、また法律改正かなんかを考えられているかのような印象を受けたのでありますが、そうとすれば、思い切って振興五ヵ年計画を十ヵ年計画なり八ヵ年計画なりにしていって、初めて足並みがそろうということになろうと思うのでありますが、この点どうでありましょうか。それはお答えいただかなくてもいいと思いますけれども、とにかく、せっかく五年たってまた先を見たら、鹿児島県のほうはずっと先のほうへ進んでしまっておるというようなことで、また計画を次々と、あとを追いかけていくようなことになったのでは、せっかくの苦労もしがいがないわけでありますから、この点十分に考えていただきたいと思います。先に申し上げましたように、奄美群島は私も視察したことはありませんから、かれこれこまかいことを申し上げる資料もありませんが、ただあの群島の歴史といいますか、宿命といいますか、主権者が昔からかなり変わってきておるようであります。特に最近においてはアメリカに占領され、そうして琉球政府に移され、さらに昭和二十九年か三十年ごろに日本復帰したというようなふうに、非常に気の毒な実情だということが想像されるわけであります。それだけにいろいろ産業にしても文化にしてもおくれておると想像されるわけでありますが、そういう意味政府はおくれたこの群島振興にほんとうに目をかけられるような措置を、強く今後の対策に要望いたしたいと思う次第でございます。以上です。
  95. 占部秀男

    ○占部秀男君 ちょっと二、三林委員の御質問と重複しない点だけお伺いしたいと思うんですが、第一番に、この法の第十条の問題ですが、先ほど林委員の御質問に対して、局長のほうから全額補助職員として置いておくんだというような御答弁があったように聞いたんですが、私の考えるところでは、この法そのものが附則一で時限法になっておるわけで、四十一年三月三十一日に失なわれることに本来なっていて、今度のあれについても、国の事務がなくなったということから、こういう十条の削除という問題がとられたわけなんで、したがって、従来県の職員でこの十ヵ年の期間、一応国家公務員としての待遇を受けていた者は、そのまま県の職員に、いわゆる地方公務員に変えるんじゃないかというふうに感じているんですが、その点はいかがなものですか。
  96. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほどあるいはことばが足らなかったかと思いますが、先生のおっしゃいますとおりでございまして、従来とも同じようにこの振興事業についてこの職員が当たっていくわけでございます。ただ国費支弁事業補助事業に切りかえたことと関連をいたしまして、身分は国家公務員から地方公務員に切りかわる。しかし、そのために鹿児島県の負担を多くすることは適当じゃございませんので、全額補助職員としてそのままの定数を引き続き置いておく、それで事業をやらせる、こういうことでございます。
  97. 占部秀男

    ○占部秀男君 もう一つ。この職員の中には、いわゆる県の職員になって、定数というか、いわゆる臨時雇い的なもので、しかもいわば恒常的に雇われておる、いわゆる国の雇いの臨職的な、そういうものはいないんですか。いなければいいんですが、もしいればその者に対する扱いはどういうことになるか。
  98. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これにつきましては、一般の臨時職員の定数化の方針をそのまま指示をいたしまして、これまで当然定数内に入れるべきものは定数内に繰り入れてございます。
  99. 占部秀男

    ○占部秀男君 もう一つだけ。これは私希望になってしまうと思うんですけれども、先ほども林委員あるいは西田さんのほうからお話もあったと思うのですが、本来事業計画を見てみますと、振興計画復興計画と、率直に言ってあまり違いはないわけなんですね。第一番の産業基盤整備の問題も、航空だとか船舶、自動車と、こういうものが落ちているだけだし、主要産業のほうも、中心になる主要産業は変わりなく、二、三の小さな問題が起きていて、ほとんどはそのまま受け継がれているというような形に私はなっていると思うのですね。で、先ほど補助率を引き下げたという問題については、やはり奄美復興の一歩前進したという形からぐあいが悪いと、こういうふうに言われるけれども奄美復興の十ヵ年計画を立てるときに、あのときにも実はこの計画をやることによって本土のほうの人たちの生活水準を上げるのと同じようなことを、同じような生活環境の改善もあわせてするのだ、所得格差の問題についても、この問題も産業を振興することによって解決をつけるのだというふうにいっていたわけなんですね。それでまあ今度それができなかったから今度この五ヵ年計画にいわば延長的にしよう、こういうことなんですから、したがって、ぼくはこの際、何かこう一つのけじめを機械的につけるためにか、あるいは大蔵省から予算がもらえなかったためか、これはどうかわかりませんけれども、とにかくやはり現状の認識の上に立つと、この補助率を引き下げるなんということは、これはあまりに技術の末梢に走り過ぎて、本体を見失うような私は結果が出てこやしないかということをおそれるわけです。これはもうあれですから、一応希望意見として言って置きますが、どうもそういう点は納得ができないということだけは、ひとつ明かにしておきたいと思います。御答弁は要りません、もうたびたび御答弁いただいておりますから。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの占部委員の御発言にも関連をしますが、今度の振興五ヵ年計画、これを見まして、また、いろいろ御説明を聞きまして、ひとつやはり心配なことがあるのです。と申しますのは、今年度で終わる十ヵ年計画のこれをいろいろやっておる間に、占部委員も述べられましたように、十年たてばこの程度にはいくのだ、こういうことがしばしば述べられておったのです。確かに事業費の金だけを見ますと、そしてまたそれに対応する国費の支出の面から見ますと、計画どおりの事業費が注ぎ込まれておるし、国からも金が出ておる。しかし、実際に仕事の量といいますか、あるいは質的な面と申しますか、そういう点になりますと、当初考えたような、そこまではいっておらない、こういうことが一つやはり大きな問題として反省をしなければならぬじゃないだろうかと思う。実は私、こんなことを言っても始まりませんが、奄美のこの復興計画について、この国会の場で実際に参加をしてやったのは三十一年度からでございますが、その間現在に至るまで何べんか、場合によっては資金の増額の問題で一部改正があったり、いろいろこう部分的な改定が行なわれたり何かして、審議する機会があったのでありますが、いま言ったように、三十六、七年、まあ六年度あたりまでは十ヵ年で何とかこれはいけるのだ、こういうことをしばしば言っておったのでありますけれども、三十七年、八年あたりになりますと、どうもこれじゃというようなことで、もっとこの措置というものを延長といいますか、あるいはさらに十ヵ年で終わらないでもっと続けていく必要があるというようなことになって、われわれもいわば驚いたようなかっこうで、それでは十ヵ年で打ち切らないでさらに続けたらいいじゃないか、こういうことで、御承知のように、附帯決議なんかもついて、さらに復興について国も力を入れるべきだという、そういうことを必要性を述べたわけなんであります。今度の五ヵ年計画にあたっても、私は何かまた四、五年たってどうもうまくないと、こういうようなことが起こりはしないか。これは単にあなた方一人を責めるというわけではなしに、やはり経済情勢が変わっていきますから、必ずしも明年度三十九年度から始まるところの五ヵ年計画当初で策定しましたそれぞれの面について、特に金の面とかそういうことについては、やはり五年先をきちっと読むわけにもいきませんから、やむを得ないとも思いますけれども、しかし、そういうことも一応計画を策定する場合には考えていかなければならないことではないか、予想してかからなければいけないことじゃないか。したがって、もっと具体的に言いますと、今度の五ヵ年計画では、百七十七億五千万円という総事業費を見込んでおるようでありますが、これについては、やはりある程度の増額ということも二年、三年やっていった際には考えられなければならぬじゃないだろうか、こう思うわけなんですがね。そういう点について、この五ヵ年計画策定においてどういう一つの見通しなりかまえなりというものをお持ちであるのか、まずこれはこれで百七十七億五千万円をつぎ込むのだ、そのうち国はこれだけ出すんだ、こういうようなことでおやりになるのか、もしそうだとすれば、さっき林さんからあるいは占部さんからも御心配あったように、しょっちゅうまたしりを追っかけていってまだ一〇〇%にならぬ、まだふやさなければならぬというようなことになってしまうんではないか、こういうことを私はおそれるものですから、そういう点についてどういうふうな計画策定にあたっての心がまえと申しますか、先の見通しと申しますか、そういう点についての考え方がありましたら、ひとつお聞きしてみたいと思います。
  101. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 十ヵ年やって十ヵ年で戦前日本本土並み水準に持っていくんだと、こう申し上げておりました目標は、先刻から他の委員の御質問に対しましてお答え申し上げましたように、大体達成ができるものと考えております。昭和二十八年に復帰当時の住民一人当たりの名目生産所得をパーセントで申しますと、鹿児島平均に対しましては五一・五%、全国平均に対しましては三〇%であったのでございます。それが最近の昭和三十六年の数字になりますと、鹿児島平均に対しまして七八・三%、全国平均に対しまして四二・一%というふうに向上いたしておるわけでございます。現在なお全国平均から比べますとその半ばにも達しないということで、たいへん低位にあるわけではございますけれども、十ヵ年計画の成果というものはそれなりにあがってきておるというふうに考えておるわけでございます。今後の五ヵ年計画目標がその鹿児島本土並みに近づけようということでございまして、私ども近づけるという表現を使いましたのは、必ずしも鹿児島本土並みにいくということにつきましてはいささか確信が持てませんので、近づけるという表現をいたしておるわけでございますが、これもその間鹿児島県のほうもどんどん発展していくわけでございますから、また格差が開くじゃないかという御心配ごもっともだと思いますけれども、先ほど申しましたように、鹿児島県の四十二年までの振興計画数字を合わせまして、同じ鹿児島県庁が中心になりましていろいろ資料検討をしていただいた結果でございまするので、まあほぼ目標を達成することは可能であろうと思っております。もちろんそれにつきましては、相当な、関係者といたしましても努力が必要であるということは痛感をいたしております。それから、なお、この五ヵ年計画をやってまいります途中におきまして、物価の変動その他によりまして、国庫の負担分にいたしましても、あるいは地方負担分にいたしましても、現在立てております計画を変更しなければならない必要の起こってくることは、これはまあ当然予想されるわけでございます。これは当然直すべきものは直しながらやってまいりたいと考えております。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ鹿児島並みといっても、これははなはだ失礼なような言い方でありますけれども全国レベルからしますと、最下位あたりにある県だったはずですね、現在のところはですね。平均の七〇%までいきますかどうか。まあそのあたりでしょう。したがって、それに到達したにしても、全国平均からすれば、いま言ったように、七〇%程度だ、こういう状況なんですし、まあ一応のめどというものをそこに置くということもわからないわけじゃありませんが、努力としましては、もっと私は高いところへ置くべきじゃないか。それから、もう一歩、現実の問題としては、鹿児島県でも現状のそういうところにもちろん満足すべきでなくて、それぞれ高いところへ上げるためのいろいろな施策を講じてこれからもいくだろうと思う。したがって、そういうところにまた奄美自体のそれが追っつくようなかっこうでいかなくちゃならぬじゃないか。そうでない限り、しょっちゅうあとへあとへというようなかっこうに残されていくと思うのでありますから、そういうことを考える場合に、いまの時点で立てるこの五ヵ年計画で、総事業費を百七十七億五千万円ですね、こういうふうに立てておっても、おそらく五年後になるといろいろの情勢が変わっていく。特に経済的な条件が変わってきて、やってみたもののまた鹿児島の何%しかまだいってないんだということが起こりはしないかという私は端的に心配を持つわけですから、そういうことに対して、やはり場合によってはこの事業を三年目あたりでもっと変えなければならぬじゃないか。変えることも予想しているのだ——もっと端的にいうと、単に変えるというよりも、事業費をふやしたり、あるいはしたがって、国からの出る金をふやしたりなんかして目的を達成できるような形で、単に金の面だけでなしに、仕事そのものにおいて目的が達成できる、そういうことにならなければいけない時期が来るのではないか。しかも、そういうことを予想せざるを得ないのではないか、こういうことを考えるものですからね。したがって、そういうことについての、まあいまはこれだけれども、しかし、一応いま言ったようなことについては、まあわれわれとしても十分考えているのだ。また、政府部内においても、この振興計画を立てる場合にそういうことも頭に置いているのだというのであればやや安心だと思うから、そういうことがあったらお聞かせ願いたいと、まあこういうつもりでお聞きしたのです。
  103. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お尋ねの点は一々、ごもっともでございます。で、私どもといたしましても、一応五ヵ年全体の計画というものを検討いたしまして立てるわけでございますが、その全体のものも、年次計画といたしまして、第一年目にどれだけやる、第二年目にどれだけやる、第三年目にどれだけということにつきましては、なお本法が成立いたしました後に、奄美振興審議会の御審議もいただいて、よく検討をしてまいりたいと思っております。率直に申しまして、先生の御指摘のように、三年目ぐらいになりましたならば、ちょうど中間に立ちどまって、もう一ぺんよくそのときの状況において検討をしてみるという必要はあるだろうと私どもも考えております。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 新しい五ヵ年計画事業費は、従来の、現在までのいわゆる十ヵ年計画事業費からしますと、五年にしては相当私は大きくなっていると思うのです。これはいろいろ物価の問題とか、いろいろありますから、当然といえばそれまででありますが、しかし、単に物価のそれだけでなしに、やはりもっと強い、何といいますか、意欲を持った計画ではないかと、こう私は思うのですが、たとえばその三十九年度計画でも、まあ三十億をつぎ込む、事業費にしてですね。すると、いままでの十ヵ年計画で三十億をこした年は、三十四年度と三十五年度、二ヵ年しかない。あとは十何億とか、二十億をちょっとこした程度でしてね。そうすると、それはもう初年度において三十億、しかもこれは百七十七億を五ヵ年で割ると、やはり三十億をみなこした年度計画にならなきゃならぬのですから、多いときにはもう相当な額になるのじゃないかと思うのです。そういう点からいっても、私は相当まあ大きな決意で、そしてまた大きな目標をもっておやりになっているだろうとは思いますが、しかし、さっき申し上げましたように、こういうふうに経済情勢の変わる中にあって、さあやってみたものの、さっぱり目標にはほど遠かった、もう一度やり直さなきゃならぬというようなことをあまり繰り返すべきではないのじゃないかというふうな気持ちで申し上げておるところなんであります。  で、一つお聞きしたいのですが、この三十九年度計画の卒業費の財源内訳を見ますと、国費が十四億四千八百万円、起債が四億二千万円、融資が六億七千万円、一般財源、自己資金が五億二千万円で、一般財源、自己資金というのは相当大きな額になっているわけですね。で、さらに、融資といい、あるいは起債といっても、これはいわば返さなきゃいけない金でありましょうから、これらを含めると、相当な大きな、いわゆる自己負担をしておるというふうに見なきゃならぬと思うのであります。念のためにパーセンテージをとってみますと、この事業費に対して国費は四七%しかない。これはもちろんいろいろ、さきに御説明ありましたように、補助率がダウンされたり、いろいろなことがありますから、まあそれはそれとして、ともかく一般財源あるいは自己資金というものは相当大きなウエートを持ってきている、こういうことが言えると思うのであります。  そこで、ひとつやはり心配なのは、こういう特殊な地帯における振興計画を推し進め、民度を高め、所得をふやしていくということをもってねらいとして、いろいろな施策をやっていく場合に、いわゆる特殊な地帯でございますから、やはりできるだけ自己負担といいますか、そういう一般財源というようなものに大きくおっかぶさるようなことのないようなことをやはり考えるべきだと思うのですね。そうでないと、せっかくの計画なんかも鹿児島県あるいは関係の市町村あるいはその他の組合等において、団体等において、自己負担のことで、地元負担のことでふうふう言っていなければならぬというような事態もやはり招来されるのではないかという心配もあるわけなんであります。さっき質問の中にも、国の補助率の下がったことや、あるいはなくなった問題について、あったようでありますが、この点もひとつ検討していただいて、今後もっと一般財源あるいは自己負担にたえるそのウエートというものを低めるような形で計画というものを考えていただきたいと思うのであります。  ちょっとよけいなことを申し上げましたが、お尋ねしたいことは、一般財源、自己資金とありますが、これのうち、鹿児島県あるいは関係の市町村、あるいは自己資金ですか、自己負担金ですか、何かの団体とか組合とかというようなものだろうと思いますが、これの内訳が、もしここでお示しになれるようでしたら、ひとつおよそのところをお聞きしておきたいと思います。
  105. 森清

    説明員森清君) お答えいたします。  五億二千万円の内訳でございますが、鹿児島負担が九千五百七十七万二千円、市町村負担が一億六千七百七十八万三千円、団体その他が二億五千六百六十二万一千円、合計五億二千十七万六千円でございます。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、この団体にはどういう団体がございますか。おもなものでいいですから………。
  107. 森清

    説明員森清君) 各協同組合等でございます。それから、その他の中には、たとえば精糖会社等がございます。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういう各種団体、いわゆる組合とか何かそういうものの力はどうなんですか、端的に言って。
  109. 森清

    説明員森清君) 農業協同組合等につきましては、一般内地の農業協同組合に比べまして非常に力が弱く、その基盤が脆弱でございます。したがいまして、たとえば金融等を考えましても、なかなかうまくいかない面がございますが、そのほかの商工関係の団体あるいはその他一般のいわゆる融資を受けて工場を拡張したりあるいは船舶を建造するというようなものもございます。おっしゃられますとおり、一般の農業協同組合につきましては、なるべく振興計画におきましても、再建といいますか、充実措置を講じておりますが、一般の内地に比べまして基礎が非常に脆弱であると言ってもいいかと思います。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、事情はよくわかりませんが、いままでいろいろ、きょうだけでなしに、奄美復興計画等について審議した際にお聞きしておったところからしますと、これらの農協等あるいは漁業協同組合等もあるでしょうが、こういうものの力も、住民そのものに力がないんだし、農民といったってどうもなかなかやっていけないという農民の集まりである農業協同組合が組合だけに、力があるとは思えないわけですね。まあぼんやりとした言い方でありますが、私はそう思っておった。やっぱりお聞きしますと、そうじゃないかと思うのですね。こういう団体が相当ないわゆる自己資金といいますか、これは融資とかいろいろな方法を講ずるのでありましょうけれども相当負担もしなければならぬということも、さっき申し上げたように、単に鹿児島県あるいは市町村のみならず、やっぱりこれは相当大きな問題だと思うのです。しかし、なんでもかでも国がやって、みんなおんぶされたようなかっこうでやれというのも、私は本意じゃありませんけれども、しかし、こういうところのいま言ったような組合なり団体等の非常に基盤の脆弱な、弱いものにとっては、やっぱりちょっと過酷のような感じがする。どのような種類の金をどう負担するのかわかりませんが、二億五千万円、やっぱり相当な大きな額になる。そのほかにあるいは起債とかなんとかというものも、これは関係があるのじゃないか。若干これらの団体等で持たなければならぬところがあるのじゃないかと思うのですが、それはちょっとわかりませんがね。いずれにしても相当負担じゃないだろうかと思うのです。市町村でいっても一億七千万というと、相当な金だと思う。貧乏村が——市は名瀬とかなんとかという市がありますけれども、これだって何か裕福なところじゃないということも聞いております。としますと、やっぱり地方団体のいわゆる一般財源あるいはこれらの団体の自己負担、交付資金、こう言っても、なかなか容易なものじゃないだろうか、こういう気がする。それですからさっき申し上げたように特殊なところの振興計画でございますから、普通のところの場合によっては何倍かもやっぱり国がめんどうを見てやる、こういうことに立たない限り、期待するような、あるいは住民の喜ぶようないわゆる民度の引き上げなり生活条件の向上ということも不可能ではないだろうか、こういうふうに思うのですから、これはひとつ要望みたいようなことになってしまいましたが、十分これはやっぱり考えていかなければならぬじゃないか、こういうふうに思うのであります。いずれあとでまた詳細な計画についての詳細なものがつくられるようでありますから、あとでまた、お聞きしたい。あるいは、場合によってはいろいろ申し上げることもあると思いますけれども、きょうはそういう点だけにしておきたいと思います。
  111. 西田信一

    西田信一君 大体伺っておりまして相当地元負担もあるようでありますから、それらの配慮も必要だとは思いますけれども、私は県本土とその群島との県における開発というか、その産業振興計画と、こちらの振興計画とが一年ずつずれているということもありますし、それから県が進んでいて、さっきから何回も言っているように立ちおくれるというか、ついていけないというようなことも懸念されるわけです。そこで私は、この振興計画の速度の問題は非常に大事だと思う。たとえば五ヵ年計画最初は三十億、相当見込んであるから、かなりの速度で進まれることであろうと想像はいたしますけれども地元負担の関係もありましょうけれども、やはり速度を早めることが大事だ。そうして最終年度においてえらい事業量が持ち込まれることがないように、むしろ最終年度には余裕をとっておく、そうして県の本土の四十二年度も大体符節を合わせるような速度で行って、そうして最後に手直しということも若干出てくるかもわからぬが、そのくらいの速度で進むということが必要じゃないかというふうに感じておったのですが、これは私の希望のようなことになりますけれども、そのようなくらいのお気持ちでおられるのでしょうかどうでしょうか。
  112. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは最終的には、決定をいたしておりませんけれども、大体先生の御指摘になったようなことを私どもも考えております。むしろ五カ年計画最初のころ、ある程度事業量をやるというような考えを持っております。
  113. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案についての質疑は終了することにいたしたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 御異議がないと認めます。さよう決定いたします。  次回は、明二十六日、木曜午前十時、本法律案並びに地方税関係二案について審査の予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会